(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026313
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】メッシュベースのインサイチュ架橋性組成物
(51)【国際特許分類】
A61F 2/02 20060101AFI20240220BHJP
A61L 24/10 20060101ALI20240220BHJP
A61L 24/00 20060101ALI20240220BHJP
A61L 31/04 20060101ALI20240220BHJP
A61L 31/14 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
A61F2/02
A61L24/10
A61L24/00 200
A61L31/04 120
A61L31/14 400
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023207020
(22)【出願日】2023-12-07
(62)【分割の表示】P 2022055455の分割
【原出願日】2017-05-09
(31)【優先権主張番号】62/333,521
(32)【優先日】2016-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】510332981
【氏名又は名称】ライフボンド リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LIFEBOND LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】プレイス-ブルーム,オラーン
(72)【発明者】
【氏名】トマー,ガイ
(72)【発明者】
【氏名】ハディド,アミール
(72)【発明者】
【氏名】ポラケウィクズ,アロン
(72)【発明者】
【氏名】マイズラー,アリエル
(72)【発明者】
【氏名】クラマレンコ,デニス
(72)【発明者】
【氏名】ゴダー,ダニエラ
(72)【発明者】
【氏名】ヨスフォブ,ダニー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】少なくとも幾つかの実施形態の架橋性タンパク質又はポリペプチド及び1種類以上の架橋材料を含む、メッシュベース組成物を提供する。
【解決手段】メッシュベース組成物であって、第1及び第2の部分を有するメッシュ、及びコーティングを含み、前記コーティングが、1種類以上の架橋性タンパク質又はポリペプチド、及び1種類以上の架橋材料を含み、前記メッシュの前記第1の部分が、前記コーティング内に封入され、前記コーティングが、前記架橋性タンパク質又はタンパク質及び前記1種以上の架橋材料の発泡組成物を含み、前記メッシュの前記第2の部分は、前記コーティング内に封入されていないメッシュベース組成物。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッシュベース組成物であって、第1及び第2の部分を有するメッシュ、及びコーティングを含み、前記コーティングが、1種類以上の架橋性タンパク質又はポリペプチド、及び1種類以上の架橋材料を含み、
前記メッシュの前記第1の部分が、前記コーティング内に封入され、前記コーティングが、前記架橋性タンパク質又はタンパク質及び前記1種以上の架橋材料の発泡組成物を含み、
前記メッシュの前記第2の部分は、前記コーティング内に封入されていない
メッシュベース組成物。
【請求項2】
前記メッシュが複合メッシュを含み、前記架橋性タンパク質又はポリペプチド及び前記1種以上の架橋材料の発泡組成物を含む、請求項1に記載のメッシュベース組成物。
【請求項3】
前記架橋性タンパク質又はポリペプチドがゼラチンを含む、請求項1に記載のメッシュベース組成物。
【請求項4】
前記1種以上の架橋材料がトランスグルタミナーゼを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のメッシュベース組成物。
【請求項5】
前記メッシュのみが、埋め込み1ヶ月後に残っている、請求項1~4のいずれか一項に記載のメッシュベース組成物。
【請求項6】
前記タンパク質はゼラチンを含み、前記コーティングは前記発泡組成物を含み、かつ前記発泡組成物は1~100mg/cmの密度範囲の密度を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のメッシュベース組成物。
【請求項7】
発泡前のゼラチン溶液の濃度が、0.1%~30%w/wである、請求項1~6のいずれか一項に記載のメッシュベース組成物。
【請求項8】
発泡前のゼラチン溶液の濃度が、5%~15%w/wである、請求項1~7のいずれか一項に記載のメッシュベース組成物。
【請求項9】
発泡ゼラチンが、乾燥又は凍結乾燥発泡ゼラチンを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のメッシュベース組成物。
【請求項10】
前記コーティングが、前記発泡組成物を含み、前記発泡組成物はガスで発泡する、請求項1~9のいずれか一項に記載のメッシュベース組成物。
【請求項11】
前記メッシュが、外科用メッシュを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のメッシュベース組成物。
【請求項12】
前記外科用メッシュが、ヘルニア用メッシュを含む、請求項11に記載のメッシュベース組成物。
【請求項13】
前記1種類以上の架橋材料が、トランスグルタミナーゼを含み、前記トランスグルタミナーゼの活性レベルが、ゼラチンの1~500U/gである、請求項1~12のいずれか一項に記載のメッシュベース組成物。
【請求項14】
前記活性レベルが、ゼラチンの5~120U/gである、請求項13に記載のメッシュベース組成物。
【請求項15】
前記1種類以上の架橋材料が、トランスグルタミナーゼを含み、かつ前記1種類以上の架橋性タンパク質又はポリペプチドが、ゼラチンを含み、ゼラチン対トランスグルタミナーゼの重量比が、50:1~5000:1の範囲である、請求項1~14のいずれか一項に記載のメッシュベース組成物。
【請求項16】
前記1種類以上の架橋材料が、トランスグルタミナーゼを含み、前記トランスグルタミナーゼが、微生物のトランスグルタミナーゼを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載のメッシュベース組成物。
【請求項17】
前記メッシュベース組成物は、再吸収性材料を含む裏材層を特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載のメッシュベース組成物。
【請求項18】
前記メッシュは、非分解性である、請求項1~17のいずれか一項に記載のメッシュベース組成物。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載のメッシュベース組成物の器具の製造方法であって、
非接着性裏材層を適用するステップと、
前記架橋性タンパク質の多孔質構造を作製するステップと、
前記架橋性タンパク質、及び酵素及び/又は架橋材料を混合するステップと、
前記混合するステップにて得た混合物を、前記非接着性裏材層に適用するステップと、
前記メッシュを、前記混合物に対して配置するステップと、
を包含する製造方法。
【請求項20】
前記架橋性タンパク質が、ゼラチンを含み、前記架橋性タンパク質の前記多孔質構造を作製するステップが、ゼラチン溶液をガス発泡させるステップを含む、
請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
前記架橋性タンパク質が、ゼラチンを含み、前記架橋性タンパク質の多孔質構造を作製するステップが、
1種類以上のエマルション凍結乾燥のステップと、
溶媒キャスト又は粒子溶出のステップと、
超臨界ガスを用いた高圧プロセスのステップと、
ガス発泡又は粒子溶出のステップと、
熱誘起層分離のステップと、
電界紡糸のステップと、又は
ラピッドプロトタイピングのステップと、
を包含する、
請求項19又は20に記載の製造方法。
【請求項22】
前記架橋性タンパク質の多孔質構造を作製するステップが、-20℃の凍結乾燥によって実施される、請求項19~21のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティングされた外科用メッシュに関し、一方コーティングは、架橋性タンパク質及び架橋性タンパク質の架橋を引き起こす酵素を含む架橋性組成物に基づき、裏材層が適用される。
【背景技術】
【0002】
インサイチュでゲルを形成できる生体材料は、様々な用途にとって有用である。多くの場合、インサイチュでゲルを形成する材料は、薬物の送達を制御するための注入可能なマトリックス又は組織工学のための注入可能な足場材料として使用される(Gutowska A,Jeong B,Jasionowski M. Anat Rec 2001,263,342-349.Silva EA,Mooney DJ.J Thromb Haemost 2007,5,590-8.Mahoney MJ,Anseth KS.J Biomed Mater Res A 2007,81,269-78.)。インサイチュでゲルを形成する材料はまた、生理学的環境において組織を接合させるか又は漏出物(気体又は液体のいずれか)を封止するための接着剤としても作用できる。
【0003】
創傷縫合に対して取ってかわるもの又は補うものへの要望(Glickman M,Gheissari A,Money S,Martin J,Ballard J.Arch Surg2002,137,326-31;discussion332.Pursifull NF,Morey AF.Curr Opin Urol2007,17,396-401.)、低侵襲性及び美容整形に対する傾向(Tissue Adhesives in Clinical Medicine;2nd ed.;Quinn,J.V.,Ed.;BC Decker:Hamilton,Ontario Canada,2005.Tissue Glue in Cosmetic Surgery;Saltz,R.;Toriumi,D.M.,Eds.;Quality Medical Publishing,Inc.,:St.Louis,Missouri,USA 2004.)及び緊急の止血に対する必要性(Pusateri AE,Holcomb JB,Kheirabadi BS,Alam HB,Wade CE,Ryan KL.Journal of Trauma-Injury Infection and Critical Care 2006,60,674-682.Acheson EM,Kheirabadi BS,Deguzman R,Dick EJ,Holcomb JB.Journal of Trauma-Injury Infection and Critical Care 2005,59,865-874.Kheirabadi BS,Acheson EM,Deguzman R,Sondeen JL,Ryan KL,Delgado A,Dick EJ,Holcomb JB.Journal of Trauma-Injury Infection and Critical Care 2005,59,25-34.)のため、軟組織用接着剤への関心が大きくなっている。
【0004】
インサイチュでのゲル形成は、様々なアプローチによって開始できる。ゲルを形成するための化学的アプローチとして、シアノアクリレートのような接触又は光開始などの外部刺激のいずれかによる重合開始が挙げられる。またゲル形成は、グルタルアルデヒド又はカルボジイミドなどの低分子量架橋剤(Otani Y,Tabata Y,Ikada Y.Ann Thorac Surg 1999,67,922-6.Sung HW,Huang DM,Chang WH,Huang RN,Hsu JC.J Biomed Mater Res 1999,46,520-30.Otani,Y.;Tabata,Y.;Ikada,Y.Biomaterials 1998,19,2167-73.Lim,D.W.;Nettles,D.L.;Setton,L.A.;Chilkoti,A.Biomacromolecules 2008,9,222-30.)又はポリマー上の活性置換基(Iwata,H.;Matsuda,S.;Mitsuhashi,K.;Itoh,E.;Ikada,Y.Biomaterials 1998,19,1869-76)のいずれかを使用し、あらかじめ形成されたポリマーを化学的に架橋することによっても達成できる。
【0005】
化学的アプローチに加えて、ゲル形成は、ペプチドの自己組織化を使用した物理的手段によって達成できる。(Ellis-Behnke RG,Liang YX,Tay DK,Kau PW,Schneider GE,Zhang S,Wu W,So KF.Nanomedicine 2006,2,207-15.Haines-Butterick L,Rajagopal K,Branco M,Salick D,Rughani R,Pilarz M,Lamm MS,Pochan DJ,Schneider JP.Proc Natl Acad Sci USA2007,104,7791-6.Ulijn RV,Smith AM.Chem Soc Rev 2008,37,664-75)。
【0006】
最後にゲル形成を開始するための生物学的アプローチが、イガイ接着剤(mussel glue)などの、海産の接着剤由来の架橋成分(Strausberg RL,Link RP.Trends Biotechnol 1990,8,53-7)又はフィブリンシーラントのような血液凝固(Jackson MR.Am J Surg 2001,182,1S-7S.Spotnitz WD.Am J Surg 2001,182,8S-14SBuchta C,Hedrich HC,Macher M,Hocker P,Redl H.Biomaterials 2005,26,6233-41.27-30)に基づいて研究されてきた。
【0007】
様々なバイオミメティックアプローチもまたインサイチュでのゲル形成のために考慮されてきた。これらのアプローチでは、ポリマー架橋及びゲル形成は、生物学において見いだされた架橋操作の1つにならってモデル化される。おそらく最大の技術的関心を集めている生物学的モデルは、湿った条件下で固まるイガイ接着剤(mussel glue)である(Silverman HG,Roberto FF.Mar Biotechnol(NY) 2007,9,661-81.Deacon MP,Davis SS,Waite JH,Harding SE.Biochemistry 1998,37,14108-12.)。イガイ接着剤(mussel glue)の架橋は、続いてタンパク質間架橋反応を生じ得る、接着性タンパク質におけるフェノール性(すなわち、ドーパ)残基の反応性キノン残基への酵素変換によって開始される(Burzio LA,Waite JH.Biochemistry 2000,39,11147-53.McDowell LM,Burzio LA,Waite JH,Schaefer JJ.Biol Chem 1999,274,20293-5)。技術的モデルとして役立つ第2の生物学的架橋操作は、血液凝固中に生じる、トランスグルタミナーゼ触媒反応である(Ehrbar M,Rizzi SC,Hlushchuk R,Djonov V,Zisch AH,Hubbell JA,Weber FE,Lutolf MP.Biomaterials 2007,28,3856-66)。インサイチュでゲルを形成するためのバイオミメティックアプローチとして、FactorXIIIa又はその他の組織のトランスグルタミナーゼの使用を研究してきた(Sperinde J,Griffith L.Macromolecules 2000,33,5476-5480.Sanborn TJ,Messersmith PB,Barron AE.Biomaterials 2002,23,2703-10)。
【0008】
特別な関心として、インサイチュでゲルを形成するバイオミメティックアプローチの1つに、カルシウム非依存性微生物トランスグルタミナーゼ(mTG)によるゼラチンの架橋がある。mTGは、FactorXIIIaと類似の架橋反応を触媒するが、微生物酵素は、活性化のためにトロンビン又はカルシウムのいずれも必要としない。mTGについて初期の研究は、食品産業における応用を目標としていたが(Babin H,Dickinson E.Food Hydrocolloids 2001,15,271-276.Motoki M,Seguro K.Trends in Food Science&Technology 1998,9,204-210.)、後の研究では、医療用途への可能性を検討した。以前のインビトロでの研究では、mTGが、ゼラチンを架橋して数分以内にゲルを形成できることを示し、ゼラチン-mTG接着剤は、湿った又は濡れた組織と結合でき、接着強度は、フィブリン系シーラントと同等か又はそれよりもすぐれていることを示した(Chen TH,Payne GF,et al.Biomaterials 2003,24,2831-2841.McDermott MK,Payne GF,et al.Biomacromolecules 2004,5,1270-1279.Chen T,Payne GF,et al.J Biomed Mater Res B Appl Biomater 2006,77,416-22.)。
【0009】
上述のように様々な生体適合性材料の適用がまた、外科用メッシュ及び裏材層で増加してきた。
【0010】
外科用メッシュは、多孔質シート材料であり、これは、様々な有機材料及び合成材料から織るか又は紡糸してよい。外科用メッシュが作製される材料は、生体適合性があり、化学的及び物理的に不活性で、発がん性がなく、機械的に強固で容易に作製され、滅菌されていなければならない。
【0011】
多くの外科的処置において、外科用メッシュが外科手術部位を取り囲む組織に組み込まれることが望ましい。このような外科的処置には、腹壁、横隔膜及び胸壁の解剖学的欠損の修復、泌尿生殖系の不具合の矯正、並びに脾臓、肝臓、又は腎臓などの外傷的に損傷した器官の修復が含まれる。このような外科的処置の別の例は、ヘルニア形成に対する補強である。ヘルニアの修復では、適切なサイズ及び形状の外科用メッシュがヘルニア上に配置され、任意の適切な連結手段を使用して適所に固定される。外科手術部位を取り囲む組織が治癒するにつれて、外科手術部位及びその周囲で増殖する肉芽組織は、繊維化とよばれる過程で外科手術部位を覆って固定された外科用メッシュの材料に浸潤して付着する細胞外マトリックスを生成し始める。外科用メッシュを細胞外マトリックスによって外科手術部位に組み込むことは、外科手術部位で組織を強化し、再発性損傷を防止するのに役立つ。
【0012】
一般に使用されるメッシュの固定方法には、吸収性又は非吸収性のいずれかの経腹的縫合と組み合わせた金属固定器具(タック)の配置及び縫合を用いずにタックによる2つの環の挿入(ダブルクラウン技術)がある。タック又はステッチを使用したメッシュの腹壁への固定は、神経及び組織の直接的な損傷を引き起こすことによる手術後の痛みの原因因子と認識されており、腹腔鏡による腹壁及び瘢痕ヘルニア修復を受けた患者は、その他のどの最小侵襲手術の後よりも手術後の期間の早期に多くの痛みがある傾向があることがわかっている(Wassenaar,E.,et al.,Mesh-fixation method and pain and quality of life after laparoscopic ventral or incisional hernia repair:a randomized trial of three fixation techniques.Surgical endoscopy,2010.24(6):p.1296-1302.Champault,G.,et al.,A self-adhering mesh for inguinal hernia repair:preliminary results of a prospective,multicenter study.Hernia,2011.15(6):p.635-641)。推定慢性疼痛率は、0~53%と大幅に異なる。患者の3分の1までが手術後1年、ある程度の痛みを訴え、患者の3~4%では、この痛みは、激しく障害を起こし、患者の生活の質に著しく影響を及ぼす(Champault,G.,et al.,A self-adhering mesh for inguinal hernia repair:preliminary results of a prospective,multicenter study.Hernia,2011.15(6):p.635-641)。鼠径ヘルニアのメッシュ修復の場合では、現在、ますます多くの臨床医及び研究者が、手術後の痛みが腹腔鏡による腹壁及び瘢痕ヘルニア修復手術の最も重要な副作用と考えている(Wassenaar,E.,et al.,Mesh-fixation method and pain and quality of life after laparoscopic ventral or incisional hernia repair:a randomized trial of three fixation techniques.Surgical endoscopy,2010.24(6):p.1296-1302.)。最近の研究は、メッシュの固定技術及び外科用接着剤の使用を含んだ新規で痛みの少ない技術を見つけることに焦点を当てている。Olmiらによって、小規模及び中規模の腹壁欠損の腹腔鏡修復中において、メッシュを固定するためにフィブリン糊が使用された、一連の40人の患者において手術後の痛みについて割合が低いことが観察された(Wassenaar,E.,et al.,Mesh-fixation method and pain and quality of life after laparoscopic ventral or incisional hernia repair:a randomized trial of three fixation techniques.Surgical endoscopy,2010.24(6):p.1296-1302.Olmi,S.,et al.,Use of fibrin glue (Tissucol(登録商標))in laparoscopic repair of abdominal wall defects:preliminary experience.Surgical endoscopy,2007.21(3):p.409-413)。
【0013】
従来の組織接着剤は、一般に、広範囲の接着剤用途に適していない。現在、多数の外科用接着剤が、外科分野で使用されているが、安全に使用されかつヘルニア用メッシュを固定させるために必要な機械的及び生物学的支持を得るために十分に強い市販の製品は存在しない。更に、植込み型医療器具を組織部位に強固に接着させるために十分な接着強度を得ることができ、一方で組織の急速な内方成長を可能にする市販の製品は存在しない。
【0014】
例えば、シアノアクリレート系接着剤は、局所創傷縫合に使用されているが、有毒な分解生成物の放出によって、それらの内部用途の使用が制限される。いずれの場合でも、このような接着剤による組織の融合は不可能である。フィブリン系接着剤は、硬化が遅く、機械的強度が低く、ウイルス感染の危険性がある。ポリアミン、特にポリ(リジン)若しくはキトサン、又はポリカルボキシレート、特にクエン酸若しくはポリ(アクリル酸)を添加し、カルボジイミドと架橋するアルブミン系接着剤などのタンパク質系組織接着剤の分野では進展があり、架橋速度の増大について、Wilkieら(米国特許出願公開第2002/0022588号)及びTammishettiら(WO99/66964)によって記載されているが、接着剤組成物中におけるカルボジイミドの使用は、毒性の問題を引き起こす。毒性の問題は、ポリ(リジン)などの有毒ポリアミンの使用によって悪化する。Otaniらは、ゼラチン及びポリ(L-グルタミン酸)を水溶性カルボジイミドと架橋することによって作製した組織接着剤について記載している(Otani,Y.,Y.Tabata,and Y.Ikada,A new biological glue from gelatin and poly(L-glutamic acid).Journal of biomedical materials research,1996.31(2):p.157-166)。この接着剤は、上記のアルブミン-ポリ(リジン)接着剤よりも毒性が低いが、接着強度に欠ける。
【0015】
現在、市場には2種類の自己固定型ヘルニア用メッシュがある。Adhesix(登録商標)(旧Cousin Biotech、現Bard-Davol)は、ポリビニルピロリドン(PVP)及びPEGの層でコーティングされたメッシュである。それは、濡れたときに粘着性を示す。Adhesix(登録商標)メッシュは、14日後及び90日後におけるラットのヘルニアアンレーモデルの50%に位置のずれが示された(Gruber-Blum S.,et al.(2014)A comparison of Progrip((登録商標)) and Adhesix((登録商標))self-adhering hernia meshes in an onlay model in the rat,Hernia 18:761-9)。ProGrip(商標)(Medtronic)は、自己固定型ヘルニア用メッシュである。それはポリ乳酸(PLA)から作製されるマイクログリップの機械的原理に依存している。この製品は、内臓癒着防止層の欠如及び腹膜組織への不十分な固定のため腹腔内ヘルニア修復に使用できない。
【0016】
外科用メッシュで問題となることがわかっている別の課題は、メッシュへの癒着形成である。Pro-Tackを試しているとき、LeBlancによって、固定器具の設置部位においてメッシュの端部の、メッシュ自体への「めくれ」が観察された。彼らの研究では、これがプロテーゼの露出した端部への癒着例を増大させるように見えたと結論付けた(LeBlanc,K.,et al.,Comparison of adhesion formation associated with Pro-Tack(US Surgical)versus a new mesh fixation device,Salute(ONUX Medical).Surgical Endoscopy And Other Interventional Techniques,2003.17(9):p.1409-1417)。更なる研究によって、片側を癒着防止バリアでコーティングされたポリプロピレンメッシュよりもむき出しのポリプロピレンメッシュへの癒着の割合が有意に高いことが見いだされた(Borrazzo,E.,et al.,Effect of prosthetic material on adhesion formation after laparoscopic ventral hernia repair in a porcine model.Hernia,2004.8(2):p.108-112)。
【0017】
米国特許出願第20100305589号では、生体接着剤でコーティングされた繊維状植込み器具について記載している。生体接着剤として様々な合成ポリマー及び可塑剤が挙げられるが、例えば、ゼラチンなどのタンパク質は含まれない。米国特許出願第20120197415号では、植込み物について記載しているが、ゼラチンの酵素による架橋には言及していない。米国特許出願第20130158571はまたゼラチンにも言及していない。
【発明の概要】
【0018】
背景技術では、追加の固定手段を必要とせず、かつ同時にむき出しのメッシュのいずれの「めくれ」及び露出も防止し、癒着を最小限に抑える自己接着メッシュについて教示又は示唆していない。
【0019】
背景技術では、安全に使用されかつ例えば、ヘルニア用メッシュを固定させるために必要な機械的及び生物学的支持を得るために十分に強い、メッシュベース組成物について教示又は示唆していない。更に、植込み型医療器具を組織部位に強固に接着させるために十分な接着強度を得ることができ、一方で組織の急速な内方成長を可能にする市販の製品は存在しない。
【0020】
本発明は、少なくとも幾つかの実施形態の架橋性タンパク質若しくはポリペプチド又は1種類以上の架橋材料を含むメッシュベース組成物を提供する。
【0021】
メッシュベース組成物は、任意に及び好ましくは追加の固定手段を必要とせず、同時に癒着を最小限に抑える自己接着外科用メッシュを含む。任意にメッシュは、例えば(限定されないが)、架橋性タンパク質及び架橋性材料の架橋を引き起こす非毒性材料の発泡組成物を特徴とする複合メッシュを含んでよい。複合メッシュは、任意にシート状の形態であってもよい。架橋性タンパク質又はポリペプチドは、任意にゼラチンを含んでよく、このゼラチンは、任意に発泡してよく、また任意に層内に存在してもよい。
【0022】
幾つかの例示的実施形態によれば、上記のゼラチン層は、例えば、乾燥前にゼラチン溶液を加圧空気及び/又はその他のガスと混合することによって、任意に発泡させてよい。幾つかの実施形態では、ゼラチン発泡体は、1~100mg/cm3の密度範囲であってよく、好ましくは1~50mg/cm3の範囲であってよい。
【0023】
少なくとも幾つかの実施形態によれば、好ましくは複合メッシュは、組み込まれたヘルニア用メッシュ特徴とする。構造について、好ましくは2つの部分を特徴とし、その1つは、接着剤組成物内に封入されたメッシュから構成され、もう1つは、接着剤組成物のみを含有し、その中にメッシュはない。この設計によって、ヘルニア用メッシュ器具を最小限に抑え、縫合、ステープル及びその他の追加の固定手段の使用なしで、メッシュの移動、動き、その端部でのめくれ又はその位置が変化することを防止する自己固定接着を可能にする。
【0024】
任意に該ゼラチンは、発泡ゼラチンを含む。任意に該発泡ゼラチンは、乾燥又は凍結乾燥された発泡ゼラチン溶液を含む。任意に該酵素は、酵素層内に存在し、該ゼラチンは、1つ以上の以下の場所:該製品内、該酵素層上、該酵素層内、該補強用裏材層上、該補強用裏材層内又は該酵素層と該補強用裏材層間に配置される。
【0025】
任意に該ゼラチンは、発泡ゼラチンであり、発泡前のゼラチン溶液の濃度は、0.1%~30%w/wの間である。任意に発泡前のゼラチン溶液の濃度は、1%~20%w/wの間である。任意に発泡前のゼラチン溶液の濃度は、5%~15%w/wの間である。
【0026】
任意に該架橋性タンパク質は、タンパク質マトリックス中に存在し、該乾燥マトリックスは、1~100mg/cm3の範囲の密度を有する。任意に該密度は、1~50mg/cm3の範囲である。
【0027】
任意に該発泡ゼラチンは、バッチ混合プロセス、連続混合プロセス、化学的発泡プロセス、Venturi発泡プロセス又は凍結乾燥からなる群から選択される方法に従って生成する。
【0028】
任意に該タンパク質は、ゼラチンを含み、酵素などの架橋剤は、トランスグルタミナーゼ(TG)を含む。任意にゼラチンは、以下の1つ以上:酵素活性の大部分が、作製プロセス全体にわたって保存される;酵素が、ゼラチンマトリックス表面に等しく分布している;及び/又は酵素が、ゼラチンマトリックスの深さに埋め込まれている(勾配又は等しい分布)が生じるように、該トランスグルタミナーゼを有するゼラチンマトリックスに組み込まれる。任意に該トランスグルタミナーゼは、該マトリックスの乾燥前又は該マトリックスの乾燥後に、1種類以上の混合によって該ゼラチンマトリックスに組み込まれ、任意に、該マトリックスは、10%以下の含水率になるように乾燥される。任意に該乾燥マトリックスの密度は、1~100mg/cm3の範囲であり、トランスグルタミナーゼは、トランスグルタミナーゼ/ゼラチンマトリックス(0.05~2mg/cm3)の濃度で存在する。好ましくは、トランスグルタミナーゼ組成物は、少なくとも約1U/mgの比活性レベル(酵素単位/タンパク質含量)を有する。最も好ましくは、トランスグルタミナーゼは、少なくとも約5U/mgの比活性レベルを有する。
【0029】
任意に及び好ましくは、ゼラチン-トランスグルタミナーゼ組成物中におけるトランスグルタミナーゼの活性レベルは、ゼラチンの約1~約500U/gである。より好ましくは、活性レベルは、ゼラチンの約5~約120U/gである。
【0030】
本発明の幾つかの実施形態によれば、架橋性タンパク質又はポリペプチド(ただし、該タンパク質又はポリペプチドは、フィブリン又はフィブリノゲンではない)及び架橋剤、任意に酵素を含む組成物が提供される。
【0031】
任意に及び好ましくは、本明細書に記載されている任意の組成物に関して、酵素は、1種類以上のトランスグルタミナーゼ又はマルチ-銅オキシダーゼを含む。
【0032】
より好ましくは、該トランスグルタミナーゼは、微生物のトランスグルタミナーゼを含む。
【0033】
本発明の幾つかの実施形態によれば、架橋性タンパク質又はポリペプチド(ただし、該タンパク質又はポリペプチドは、フィブリン又はフィブリノゲンではない)該架橋性タンパク質の架橋を引き起こす酵素、金属イオン及び変性剤を含む組成物が提供される。
【0034】
任意に架橋性タンパク質又はポリペプチドは、ゼラチンを含む。好ましくは、該ゼラチンは、少なくとも250ブルームである。
【0035】
より好ましくは該金属イオンは、任意の薬学的に適合性のある塩としてカルシウムを含む。最も好ましくは、該カルシウム塩は、1種類以上の塩化カルシウム又は水酸化カルシウムを含む。任意に及び最も好ましくは、該カルシウムは、1Mまでの量で存在する。
【0036】
本発明の幾つかの実施形態によれば、ゼラチン、トランスグルタミナーゼ及びカルシウム架橋性アルギン酸塩マトリックスを含む組成物が提供される。任意に該組成物をカルシウムイオンリッチ湿潤環境にさらすことによって、アルギン酸塩の架橋が生じる。単一の仮説によって制限されるものではないが、このような架橋は、ゼラチン及びアルギン酸塩のそれぞれが、mTG及びカルシウムのそれぞれによってインサイチュで別々に架橋される場合、ゼラチン及びアルギン酸塩の完全な相互侵入ポリマーゲル網目構造(IPN)が生成すると予想される。
【0037】
アルギン酸塩は、好ましくは、カルシウムイオンによるイオン架橋を補助するために十分なグルロネート残基又はGブロックを有する、アルギン酸のナトリウム塩である。アルギン酸ナトリウムは、好ましくは、溶液中におけるゼラチンとの混合を容易にする低粘度の等級である。
【0038】
アルギン酸ナトリウムの代わりに、カルシウムイオンの存在下でゲル化するために知られている低メトキシルペクチンを使用できる。
【0039】
カルシウムイオン源は、カルシウム塩として供給される。任意にカルシウム塩は、塩化カルシウム、グルコン酸カルシウム、硫酸カルシウム又は炭酸カルシウムであり得る。塩化カルシウムは、その他のカルシウム塩よりも容易にアルギン酸塩を架橋し、潜在的にそれを製剤の作製中に溶液から沈殿させる。これは、遅く溶解するグルコン酸カルシウム又は難溶性の硫酸カルシウム又は炭酸カルシウムを使用することによって回避できる。後者は、インビボでカルシウムイオンの徐放性デポとして作用し得る。
【0040】
任意にカルシウム塩は、組成物の一部である。水分にさらされると、カルシウム塩が溶解し、溶解したカルシウムが、次に組成物内のアルギン酸塩の架橋を引き起こすことができる。カルシウム塩は、発泡接着層内でゼラチン、アルギン酸塩及びmTGと一緒に混ぜ合わせることができる。あるいは、カルシウム塩は、器具の別個の部分(例えば、デポとして作用する場合、裏材層又は結合層)に添加することによって、アルギン酸塩から空間的に分離できる。インビボでの器具の適用及び水分への暴露後、カルシウム塩はその元の位置から溶解して拡散し、アルギン酸塩含有層に到達するとアルギン酸塩を架橋する。
【0041】
任意にカルシウム塩は、コーティングされたメッシュを組織に接着させる前に、カルシウム塩溶液を、組織又は組織に面するコーティングされたメッシュの接着層又は組織から離れて面する裏材側に適用することによってインサイチュで添加できる。カルシウム塩溶液の適用は、濡らすか、広げるか又は吹き付けることによって行うことができる。あるいは、粉末カルシウム塩は、カルシウム溶液について上記したように直接適用できる。
【0042】
本発明の幾つかの実施形態によれば、ゼラチン、トランスグルタミナーゼ及びキトサンを含む組成物が提供される。キトサンは、脱アセチル化されたキチンであり、ペンダント第一級アミン基を有する。単一の仮説によって制限されるものではないが、これらのペンダントアミン基は、トランスグルタミナーゼの基質として作用し得、したがってゼラチンマトリックスへと架橋され得る。
【0043】
それらのマトリックス形成の補助能力、例えば高分子量によって組成物に適切であり得る、その他の任意の構成成分として、アルギン酸エステル、アラビアガム、高粘度カルボキシメチルセルロース(CMC)、キサンタンガム、グアーガム、ペクチン及びPVP(ポリビニルピロリドン)、ヒアルロン酸又はヒアルロン酸ナトリウム、アルギン酸塩又はペクチン(カルシウムなし)が挙げられる。これらのポリマーは、相互に又はゼラチンとのそれらの絡み合いによって架橋マトリックスの結合力を増加させるように作用してよい。この現象は、ゼラチンのみが架橋され、追加の該ポリマーが、それ自体又はゼラチンに対して非架橋であるが、架橋ゼラチン網目構造の細孔全体に均一に分散している場合、半相互侵入ポリマーゲル網目構造(セミIPN)と呼ばれる。
【0044】
本発明の幾つかの実施形態によれば、ゼラチン、トランスグルタミナーゼ及び該ゼラチンに共有結合できるPEG(ポリエチレングリコール)誘導体を含む組成物が提供される。任意に該PEG誘導体は、任意のアミノ化PEG誘導体を含む。好ましくは、該アミノ化PEG誘導体は、PEGアミンを含む。
【0045】
本発明の幾つかの実施形態によれば、ゼラチン、トランスグルタミナーゼ及び該ゼラチンに共有結合できるPVA(ポリビニルアルコール)誘導体を含む組成物が提供される。任意に該PVA誘導体は、任意のアミノ化PVA誘導体を含む。好ましくは、該アミノ化PVA誘導体は、PVAアミンを含む。
【0046】
本発明の幾つかの実施形態によれば、発泡ゼラチン及びトランスグルタミナーゼを含む架橋組成物が提供される。任意に該トランスグルタミナーゼは、凍結乾燥形態で存在する。
【0047】
幾つかの例示的実施形態によれば、本明細書に記載されている方法及び/又は器具としてインサイチュでのゼラチン鎖と組織のECM(細胞外マトリックス)における内在性コラーゲンとの間の架橋が挙げられ、例えば、体液に対する強固な止血バリアを生成する。
【0048】
幾つかの例示的実施形態では、本明細書に記載されている方法及び/又は器具として、例えば、ゼラチン及びTGを凍結乾燥形態で適用させることによって、止血及び/又は体液流の停止に効果的に影響させることが挙げられ、例えば、ゼラチン及びTGを、血液又はその他の体液によって再構築させてよい。本明細書で使用される場合、用語「凍結乾燥」は、任意に真空乾燥を含むがこれに限定されない任意の種類の乾燥に関してよい。任意に及び好ましくは、乾燥は、組成物のタンパク質マトリックスのゾル-ゲル転移温度(物理的ゲル化点)より低い温度で実施される。
【0049】
幾つかの例示的実施形態では、本明細書に記載されている方法及び/又は器具として、例えば、向上した貯蔵寿命によって特徴付けられる、凍結乾燥形態のゼラチン-TG混合物が挙げられる。
【0050】
幾つかの例示的実施形態では、本明細書に記載されている方法及び/又は器具として、例えば、幾つかの実施形態によれば、高圧流体の流れ環境に対して役立ち得る、より迅速な再構成が得られる、層状で凍結乾燥形態のゼラチン及びTGが挙げられる。
【0051】
幾つかの例示的実施形態では、本明細書に記載されている方法及び/又は器具として、自然の血液-凝固カスケードを模倣し得、並びに/又は創傷及び/若しくは切開部を止血、閉鎖及び/若しくは封止するため、ステープル及び/若しくは縫合ラインを補強するため、自然の組織を補強するため、及び/若しくは任意のその他の適切な医療及び/若しくは外科用用途のために使用できる、ゼラチン架橋技術に基づいた乾燥組成物が挙げられる。
【0052】
幾つかの例示的実施形態では、組成物は、例えば、マトリックスに組み込まれた、酵素による架橋剤、好ましくは微生物のトランスグルタミナーゼを有するゼラチン又はコラーゲンマトリックスを含んでよい。
【0053】
幾つかの例示的実施形態では、本明細書に記載されている方法及び/又は器具として、乾燥ゼラチン-酵素組成物が挙げられ、例えば、組成物は、パッチを形成してよい。
【0054】
幾つかの例示的実施形態では、本明細書に記載されている方法及び/又は器具として、例えば、流れを遅くすること、及び/又はゼラチン-TGの架橋により多くの時間をかけること、及び/又は体液の漏れを阻止することによって、例えば、混合物の止血及び/又は流体制御能力を向上させるためにゼラチン-TG混合物を有する機械的な裏材層を含む器具を提供してよい。
【0055】
幾つかの例示的実施形態では、本明細書に記載されている方法及び/又は器具として例えば、組成物が体液と接触したとき、器具が組織表面に接着し得るように、ゼラチンマトリックスに組み込まれた分解性及び/又は非分解性器具を含み得る、乾燥ゼラチン-酵素組成物が挙げられる。
【0056】
幾つかの例示的実施形態では、本明細書に記載されている方法及び/又は器具として、例えば、損傷組織を補強するための器具が、外科用メッシュであり得る場合、分解性及び/又は非分解性器具を含み得る、乾燥ゼラチン-酵素組成物が挙げられる。
【0057】
別の実施形態では、非架橋ゼラチン又はmTGは、部分架橋ゼラチン-mTGと一緒に存在してよい。
【0058】
別の実施形態では、非架橋ゼラチン又はmTGは、架橋ゼラチン-mTGと一緒に存在してよい。
【0059】
別の実施形態では、非架橋ゼラチンは、mTGと一緒に存在する。
【0060】
現在、多数の外科用接着剤が、外科分野で使用されているが、固定可能なヘルニア用メッシュを特徴とする適切な器具を提供する市販の製品は存在しない。更に、組織部位への接着を確実にするために植込み型医療器具の一部として十分な接着強度を提供でき、一方で組織の急速な内方成長を可能にする市販の製品は存在しない。
【0061】
本発明の幾つかの実施形態によれば、本明細書の任意の実施形態に任意に従う、任意にメッシュを含むパッチの形態のコラーゲン又はコラーゲン誘導体及び非毒性架橋剤を含む組成物を組織に適用することを含む、標的組織の治療方法が提供される。
【0062】
任意に非毒性架橋剤は、1種類以上の酵素及び/又は酵素組成物を含んでよい。幾つかの例示的実施形態では、1種類以上の酵素は、トランスグルタミナーゼ又はトランスグルタミナーゼ組成物を含んでよい。好ましくは、ゼラチン対トランスグルタミナーゼの重量比は、約50:1~約5000:1の範囲である。より好ましくは、トランスグルタミナーゼ組成物は、少なくとも約1U/mgの比活性レベル(酵素単位/タンパク質含量)を有する。最も好ましくは、トランスグルタミナーゼは、少なくとも約5U/mgの比活性レベルを有する。
【0063】
任意に及び好ましくは、ゼラチン-トランスグルタミナーゼ組成物中のトランスグルタミナーゼの活性レベルは、ゼラチンの約1~約500U/gである。より好ましくは、活性レベルは、ゼラチンの約5~約120U/gである。
【0064】
任意にトランスグルタミナーゼ組成物は、血液由来のFactorXIII以外の植物、遺伝子組み換え動物及び/又は微生物由来のトランスグルタミナーゼを含んでよい。任意にコラーゲン及び/又はコラーゲン誘導体は、動物起源、遺伝子組み換え起源又はそれらの組合せから生成してよい。好ましくは、動物起源は、魚及び哺乳動物からなる群から選択される。より好ましくは、哺乳動物は、ブタ及びウシからなる群から選択される。
【0065】
任意にコラーゲン誘導体は、ゼラチンである。
【0066】
任意にゼラチンは、タイプA(酸処理)又はタイプB(アルカリ処理)である。より好ましくは、ゼラチンは、高分子量ゼラチンを含む。任意にゼラチンは、少なくとも約250のブルームを有する。
【0067】
任意に遺伝子組み換えゼラチンは、細菌、酵母、動物、昆虫、若しくは植物系又は任意の種類の細胞培養を使用して生成される。
【0068】
任意にゼラチンは精製され、塩が除去される。
【0069】
任意に創傷組織は、外科的に切断された組織、外科的な修復組織及び外傷を受けた組織からなる群から選択される。
【0070】
任意に本方法は、更に組織からの出血及び/又はその他の体液の漏れを低減することを含んでよい。任意に体液は、脳脊髄液、腸液、空気、胆汁及び脳からなる群から選択される。好ましくは、本方法は、組織における止血又はその他の体液について漏れの停止を引き起こすことを更に含む。
【0071】
任意に創傷は、出血又は別の体液の漏れであり、創傷組織を処置することは、例えば、インサイチュでのゼラチン鎖と組織の細胞外マトリックスにおける内在性コラーゲン間の架橋を促進し、液体の漏れ又は出血に対してバリアが生成する、パッチの形態で、組成物を創傷部位に適用することを含む。好ましくは、非毒性架橋剤は、トランスグルタミナーゼを含む。
【0072】
トランスグルタミナーゼは、Streptoverticillium mobaraense、Streptoverticillium Baldaccii、Streptomyces Hygroscopicus株又は大腸菌(Escherichia Coli)の1種類以上から任意に抽出してよい。
【0073】
任意にトランスグルタミナーゼは、血液由来のFactorXIII以外の植物、遺伝子組み換え体、動物又は微生物由来のトランスグルタミナーゼを含む。好ましくは、組成物は、安定剤又は充填剤を更に含む。また好ましくは、組成物は、約5~約8の範囲のpHを有する。
【0074】
任意にゼラチンは、動物起源、遺伝子組み換え体起源又はそれらの組合せから生成される。好ましくは、動物起源は、魚及び哺乳動物からなる群から選択される。より好ましくは、哺乳動物は、ブタ及びウシからなる群から選択される。最も好ましくは、ゼラチンは、ブタの皮又はブタの骨又はそれらの組合せを含む。また最も好ましくは、ゼラチンは、タイプA(酸処理)又はタイプB(アルカリ処理)である。また最も好ましくは、ゼラチンは、高分子量ゼラチンを含む。
【0075】
任意にゼラチンは、少なくとも約250のブルームを有する。好ましくは、魚は、冷水種の魚を含む。
【0076】
任意に遺伝子組み換えゼラチンは、細菌、酵母、動物、昆虫、若しくは植物系又は任意の種類の細胞培養を使用して生成される。
【0077】
任意にゼラチンは精製され、塩が除去される。
【0078】
任意にゼラチンは、調整されるか、適合されるか又は所定の特性を少なくとも1つ有する。
【0079】
任意に、組成物は、追加の止血剤を更に含む。好ましくは、追加の止血剤は、1種類以上のアルブミン、コラーゲン、フィブリン、トロンビン、キトサン、硫酸第二鉄又はその他の金属硫酸塩を更に含む。
【0080】
本発明の幾つかの実施形態によれば、架橋性タンパク質又はポリペプチド、(ただし、該タンパク質又はポリペプチドは、フィブリンではない)該架橋性タンパク質の架橋を引き起こすカルシウム非依存性酵素、変性剤及び変性剤の効果を低下させゾルゲル転移点を逆転させ、該変性剤の効果を逆転させる薬剤を含む組成物が提供される。
【0081】
任意に該変性剤は尿素を含み、該変性剤の該効果を逆転させるための該薬剤は、ウレアーゼを含む。
【0082】
任意に本明細書に記載されている任意の組成物は、ソルビトールを更に含んでよい。任意に及び好ましくは、該ソルビトールは、架橋組成物の柔軟性を増大させ、及び/又は架橋速度を加速させるために十分な量で存在する。任意に、組成物はまた、更に酢酸塩を含んでもよい。
【0083】
本発明の幾つかの実施形態によれば、本明細書の任意の組成物は、任意に可塑剤を更に含んでよい。任意に該可塑剤は、アラビアガム、グアーガム、PVA、ポリビニルピロリドン(PVP)、クエン酸アルキルエステル、グリセリンエステル、フタル酸アルキルエステル、セバシン酸アルキルエステル、ショ糖エステル、ソルビタンエステル、アセチル化モノグリセリド、グリセロール、脂肪酸エステル、グリコール、プロピレングリコール、ラウリン酸、ショ糖、グリセリルトリアセテート、ポロキサマー、ジエチルフタレート、食用脂又は油のモノ-及びジ-グリセリド、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、ポリソルベート、ポリエチレングリコール200~12,000、Carbowaxポリエチレングリコールからなる群から選択される。
【0084】
本発明の幾つかの実施形態によれば、本明細書の任意の組成物は、任意に界面活性剤を更に含んでよい。該界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコールドデシルエーテル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポロキサマー、ポロキサミン、アルキルポリグルコシド、脂肪族アルコール、脂肪酸塩、コカミドモノエタノールアミン及びコカミドジエタノールアミンを含む。
【0085】
より好ましくは、該界面活性剤の濃度は、該架橋性タンパク質における乾燥重量の約0.1%~約5%w/wの範囲である。任意に及び最も好ましくは、該ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、ポリソルベート20、21、0、60、61、65、80又は85の1種類以上を含む。
【0086】
本発明の幾つかの実施形態によれば、本明細書の任意の組成物に関して、任意に該酵素は、トランスグルタミナーゼを含み、組成物は、更に1種類以上のシスタミン、システイン、シアン酸塩又はメラニンを含む。
【0087】
本発明の幾つかの実施形態によれば、本明細書の任意の組成物は、任意にアンモニア捕捉剤、金属イオン封鎖剤若しくは結合剤、アンモニア代謝の刺激剤又は細胞のアンモニア摂取の阻害剤を更に含んでよい。任意に該アンモニア捕捉剤は、二糖ラクツロースを含む。また任意に該アンモニア結合剤は、サポニンを含む。好ましくは、該アンモニア捕捉剤は、フェニル酢酸ナトリウム及び安息香酸ナトリウムを含む溶液を含む。
【0088】
また好ましくは、アンモニア代謝の該刺激剤は、L-グルタミン、L-グルタミン酸又はそれらの組合せを含む。
【0089】
また好ましくは、細胞のアンモニア摂取の該阻害剤は、L-グルタミン、L-グルタミン酸又はそれらの組合せを含む。
【0090】
本発明の幾つかの実施形態によれば、比活性>25(酵素単位/ミリグラム)、>95%電気泳動純度、<5(エンドトキシン単位/グラム)、及び<10CFU/gを有する微生物のトランスグルタミナーゼ(「mTG」)組成物が提供される。このようなトランスグルタミナーゼは、上記請求項のいずれかに記載の架橋剤として任意に提供してよい。
【0091】
任意にメッシュベース組成物は、補強用裏材層及び外科用メッシュを含み、該外科用メッシュは、補強層とゼラチンマトリックス間;ゼラチンマトリックスの中央;若しくはゼラチンマトリックス上部;又はそれらの組合せの場所に位置する。
【0092】
任意にメッシュベース組成物は、裏材層のないメッシュを含む。
【0093】
任意に架橋性タンパク質は、複数の部分を含み、該部分の50%超が、架橋されていない。任意に、この製品は、更に補強用裏材層を含み、該補強用裏材層は、再吸収性材料を含む。任意に該再吸収性材料は、セルロース(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース=「HPMC」)、酸化セルロース、フィブリン、ケラチン、コラーゲン及び/又はゼラチンなどのタンパク質性物質、又はアルギン酸塩、キチン、セルロース、プロテオグリカン(例えば、ポリ-N-アセチルグルコサミン)、グリコール酸ポリマー、乳酸ポリマー又はグリコール酸/乳酸コポリマーなどの炭水化物からなる群から選択される。
【0094】
任意にパッチの作製中、ゼラチン/mTG溶液は、中性のpHより低い。pH値の低下によるメッシュ作製プロセスの「湿った」部分全体にわたるmTG酵素の阻害は、ゼラチン溶液の早すぎる架橋を防止するのに役立つ。pH値は、任意に3~5、好ましくは3.3~4.3、より好ましくは3.6~4.0のpH値の範囲内の値を含んでよい。
【0095】
多孔質接着層は、加圧ガスで作製してよく、ガスは、例えば、ゼラチン及びmTGなどの架橋基質及び架橋材料を含有する溶液と混合される。次に、発泡溶液は、任意に例えば、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などの基材上に押し出してよい。
【0096】
ゼラチン-酵素の乾燥混合物を特徴とする、多孔質スポンジ状構造を作製する別の方法は、凍結乾燥方法を使用している(任意に追加の通気手段なし)。このプロセスは、好ましくは、例えば、ゼラチン及びmTGなどの架橋基質及び架橋材料を含有する溶液のゼロ付近、ゼロ又は零下の温度(摂氏)までの急速冷却を伴う。次に、溶液の圧力を低下させ、溶液の液体を昇華させ、凍結乾燥材料を残す。
【0097】
少なくとも幾つかの実施形態によれば、ゼラチン発泡体に関する特定の外科用メッシュの配置によって、組織の統合に関するものを含む望ましい特性が増大し得る。驚くべきことに、本発明者らは、発泡コーティング内のメッシュの位置(すなわち、発泡体によって完全に囲まれている)が、製品を組織に適用した後の初期の段階において、プロテーゼに対する組織の応答の程度を低減し得ることを見いだした。好ましくは、メッシュは、その一部のみが発泡体でコーティングされ、一方、その他の部分は発泡体でコーティングされておらず、外科用メッシュに対する迅速な組織の応答を可能にするように配置される。
【0098】
欧州特許EP2219691では、HPMC層が、製品を保護するか、又は接着層が手袋、内臓等に付着することを防止する別個の層としてではなく、内臓器官への癒着を防止するために設計される包帯について記載している。
【0099】
米国特許出願20140271781では、セルロースエステルからなる非接着性裏材を有する歯のホワイトニング接着剤ゲルについて記載しているが、;しかしこのような組成物構造は、創傷処置に明らかに無関係である。
【0100】
米国特許8703177では、接着層及び非接着性であり、更に少なくとも1つの水侵食性フィルム形成ポリマー(HPMCなど)を含むことができる裏材層からなる粘膜付着性パッチについて記載している。更にまた、このようなパッチは、外科的処置に明らかに無関係である。
【0101】
本明細書で使用される場合、「約」は、指示値の約10%のプラス又はマイナスを意味する。
【0102】
本発明の様々な実施形態におけるその他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0103】
本発明は、添付の図面を参照して、単なる例として本明細書に記載されている。ここで詳細な図面を具体的に参照して、示された詳細は例としてのものであり、本発明のみにおける好ましい実施形態の例示的な考察を目的としており、本発明の原理及び概念的側面について最も有用で容易に理解される記述と考えられるものを提供することを示していることを強調している。この点に関し、本発明の基本的な理解に必要されるよりも詳細に本発明の構造的詳細を示す試みはなされず、図面を用いた説明は、本発明の幾つかの形態をどのように実際に実施してよいかを当業者に明らかにする。
図面は次の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【
図1】接着剤で覆われたメッシュの部分及びメッシュ-接着剤部を取り囲む接着剤のみの部分を含む、器具設計の上面図を示す。
【
図2A】
図2Aは接着剤が、メッシュを全ての方向で取り囲む、接着剤内におけるメッシュの任意の配置を描く器具の側面図を示す。
【
図3】Instronを用いた様々な裏材及び組成物の組合せの相対的な粘着度の測定値を示す。
【
図4】インビボに植え込まれた例示的な器具を示す。埋め込まれた外科用ヘルニア用メッシュは、腹膜組織に強固に固定される。
【
図6】様々なメッシュベース組成物の形状について、幾つかの任意の寸法、最小値及び最大値を示す。示されている寸法が、どのように製品に関連しているかについては明細書の
図2Aを参照のこと。
【
図7】粘度計の試験による、mTG活性に対するpHの影響を示す。pH5.5(そのまま)、4及び3.5の9%のゼラチンを37℃(2:1)で40u/ml酵素溶液と混合した。
【
図9】実施例7に記載されているプロセスによって作製されたゼラチン-mTG乾燥発泡品における断面のSEM画像を示す。
【
図10】実施例7に記載されているプロセスによって作製されたゼラチン-mTG乾燥発泡品における接着剤表面のSEM画像を示す。
【
図11A】本明細書に記載されているように作製した物品のSEM画像を示す。
図11AはLM-147品の断面のSEM画像を示し、メッシュは発泡体の中央に埋め込まれる。
【
図11B】本明細書に記載されているように作製した物品のSEM画像を示す。
図11BはLM-149品の断面のSEM画像を示し、外科用メッシュは、底部(表面)に位置する。
【
図12A】
図11の物品における底部のSEM画像を示す。
図12AはLM-147品における底部表面のSEM画像を示し、外科用メッシュは発泡体によって完全に覆われているので見えない。
【
図12B】
図11の物品における底部のSEM画像を示す。
図12BはLM-149品における底部表面のSEM画像を示し、外科用メッシュは、表面に位置し、完全に覆われていない。
【
図13A】コラーゲン上に固定された
図11の物品におけるSEM画像を示す。
図13Aは、組織のシミュレーション基材としてコラーゲン上に固定した(コラーゲンは最下層)後のLM-149のSEM画像を示す。
【
図13B】コラーゲン上に固定された
図11の物品におけるSEM画像を示す。
図13Bは、組織のシミュレーション基材としてコラーゲン上に固定(コラーゲンは最上層)後のLM-147のSEM画像を示す。
【
図14】固定後4分に重ねせん断法によって試験したコラーゲン上の異なるモデルの固定強度を示す。
【
図15】重ねせん断法によって試験したブタ腹膜組織上の異なるモデルの固定強度を示す。
【
図16】ブタから7日後に外植された試料の代表的な組織病理画像を示す。
【
図17】植込み後14日後に癒着によって覆われた、対照メッシュ(むき出しの外科用メッシュ)及びメッシュベース組成物(接着剤で覆われた外科用メッシュ)グループGF-199(架橋ゼラチン)、GF-200(HPMC)の表面積%を表すボックスプロットを示す。
【
図18】固定後24時間に重ねせん断法によって試験したコラーゲン上のゼラチン-アルギン酸塩メッシュベース組成物(バッチNo.GF-502)の固定強度を示す。GF-502品をコラーゲン上に適用後、0.9%生理食塩水又は50mMCaCl
2を添加した0.9%生理食塩水内に24時間浸漬した。
【
図19】固定後24時間に重ねせん断法によって試験したコラーゲン上のゼラチン-キトサンメッシュベース組成物(バッチNo.GF-510、GF-511、GF-512)の固定強度を示す。物品をコラーゲン上に適用後、0.9%生理食塩水に24時間浸漬した。
【発明を実施するための形態】
【0105】
本発明は、架橋性タンパク質又はポリペプチド、架橋性タンパク質の架橋を引き起こす薬剤の溶液を含む、メッシュベース組成物である。
【0106】
本発明は、少なくとも幾つかの実施形態の架橋性タンパク質若しくはポリペプチド及び1種類以上の架橋材料を含むメッシュベース組成物を提供する。
【0107】
メッシュは、任意に及び好ましくは追加固定手段を必要とせず、同時に癒着を最小限に抑える自己接着外科用メッシュを含む。任意にメッシュは、例えば(限定されないが)、架橋性タンパク質及び架橋性材料の架橋を引き起こす非毒性材料の発泡組成物を特徴とする複合メッシュを含んでよい。複合メッシュは、任意にシート状の形態であってもよい。
【0108】
少なくとも幾つかの実施形態によれば、好ましくは複合メッシュは、組み込まれたヘルニア用メッシュを特徴とする。構造について、好ましくは2つの部分を特徴とし、その1つは、接着剤組成物内に封入されたメッシュから構成され、もう1つは、接着剤組成物のみを含有し、その中にメッシュはない。この設計によって、ヘルニア用メッシュ器具を最小限に抑え、縫合、ステープル及びその他の追加の固定手段の使用なしで、メッシュの移動、動き、その端部でのめくれ又はその位置が変化することを防止する自己固定接着を可能にする。
【0109】
任意に及び好ましくは、架橋性タンパク質として、本明細書に記載されているゼラチン及び任意のゼラチン変異体又は変異体タンパク質が挙げられる。任意に及び好ましくは、非毒性材料は、トランスグルタミナーゼ(TG)を含み、任意にこれは、任意の種類のカルシウム依存性又は非依存性トランスグルタミナーゼを含んでよく、任意にこれは、例えばカルシウム非依存性微生物のトランスグルタミナーゼ(mTG)であってよい。いずれにせよ制限されるものではないが、本発明の少なくとも幾つかの実施形態において改善された特性のうち、背景技術の組成物と比較して、本発明の組成物によって、タンパク質架橋速度の増加が得られる。更に、mTGの架橋反応は、血液凝固系のFactorXIIIaによって触媒されたものより有意な改善を示す。FactorXIIIaとは異なり、微生物酵素は、活性のためにトロンビンもカルシウムも必要としない。
【0110】
本発明の様々な実施形態は、明確にするためにのみ提供され、いずれにせよ制限する意図はないセクションの見出しのもと、以下でより詳細に記載されている。
【0111】
ゼラチン及びトランスグルタミナーゼ
本発明の好ましい実施形態によれば、架橋材料がトランスグルタミナーゼを含み、架橋性タンパク質がゼラチンを含む、メッシュベース組成物が提供される。
【0112】
好ましい実施形態によれば、トランスグルタミナーゼは、少なくとも約5U/mgの比活性レベルで存在する。
【0113】
適切なゼラチン及びトランスグルタミナーゼは、当業者に既知で利用可能な任意の方法によって得ることができる。任意にゼラチンは、任意の種類のゼラチンを含んでよく、これは、当該技術分野において既知のタンパク質を含み、好ましくは動物組織の部分的な加水分解によって得られるゼラチン及び/又は動物の皮、結合組織(靱帯、軟骨などを含むがこれに限定されない)、枝角若しくは角などを含むがこれらに限定されない動物組織から得られるコラーゲン及び/又は骨及び/又は魚のうろこ及び/又は骨若しくはその他の構成要素;及び/又は細菌、酵母、動物、昆虫若しくは植物系若しくは任意の種類の細胞培養を使用して生成される遺伝子組み換えゼラチンを含むがこれに限定されない。
【0114】
本発明の好ましい実施形態によれば、動物起源のゼラチンは、好ましくは哺乳動物起源のゼラチンを含み、より好ましくは1種類以上のブタ皮、ブタ及びウシの骨若しくはウシの裂けた皮革又は任意のその他のブタ若しくはウシを供給源とするものを含む。より好ましくは、このようなゼラチンは、アナフィラキシー率が低いためブタゼラチンを含む。動物起源のゼラチンは、好ましくはタイプAであるものの、任意にタイプA(酸処理)又はタイプB(アルカリ処理)であってよい。
【0115】
好ましくは、動物起源のゼラチンは、第一の抽出中に得られるゼラチンを含み、一般に低温(50~60℃、この正確な温度範囲は、必ずしも限定的ではない)で実施される。このようにして生成されたゼラチンは、250~300ブルームの範囲にあり、少なくとも約95~100kDaの高分子量を有する。好ましくは、275~300ブルームのゼラチンが使用される。
【0116】
このようなゼラチンの生産者の非限定的な例は、PB Gelatins(ベルギー、Tessenderlo Group)である。
【0117】
本発明の幾つかの実施形態によれば、動物起源のゼラチンは、任意に魚由来のゼラチンを含む。任意の種類の魚、好ましくはコイ、タラ若しくはカワマス又はマグロなどの冷水種の魚を任意に使用してよい。このゼラチンのpH(10%溶液で測定)は、好ましくは4~6の範囲である。
【0118】
冷水魚のゼラチンは、10℃で水中に溶解し、したがって全ての冷水魚のゼラチンは、0ブルームであると見なされる。本発明に関して、好ましくは高分子量の冷水魚のゼラチンが使用され、より好ましくは少なくとも約95~100kDaの分子量を含む。これは、250~300ブルームの動物ゼラチンの分子量に相当する。このようなゼラチンの生産者の非限定的な例は、Norland Products(ニュージャージー州、Cranbury)である。
【0119】
本発明の好ましい実施形態では、ゼラチンは精製され、塩が除去される。これは、以前に記載された技術に従って達成できる。このような技術の1つは、水中においてゼラチンの20%w/v溶液を形成し、それを攪拌しながら60℃まで加熱することを伴う。次に混合物を一晩静置する。得られたゲルを脱イオン水の繰り返し変化に対して透析して塩を除去し、攪拌し、50℃まで加熱し、物理的網目構造を解離させる。最終的な溶液をろ過して凍結乾燥した(Crescenzi V,Francescangeli A,Taglienti A.(2002).Biomacromolecules.3:1384-1391)。あるいは、ゼラチンは、サイズ排除カラムによって脱塩できる。
【0120】
本発明の幾つかの実施形態によれば、遺伝子組み換えゼラチンが使用される。遺伝子組み換えゼラチンは、FibroGen(カルフォルニア州、San Francisco)によって、現在商業的に製造されている。現在、好ましい方法は、遺伝子組み換え酵母系(Pichia Pastoris)を使用してI型アルファ1ヒト配列コラーゲンの特定の断片を発現することである。
【0121】
本発明の任意ではあるが好ましい実施形態では、遺伝子組み換えゼラチンは、完全に合成された分子であり、ヒト又は任意の動物からの混入成分を含まない。「合成」は、ゼラチンが、好ましくは化学的合成、無細胞タンパク質合成、細胞組織培養、任意の種類の細菌、昆虫又は酵母培養から選択される方法に従って生成されるか又は植物において生成されることを意味する。合成ゼラチンの使用は、望ましくない免疫応答を引き起こすことを含む、組織由来物質に関連する多くの変異及び弊害を排除する。例えば、魚ゼラチンは、高いアレルゲン性を示し、動物ゼラチンは、低-中程度のアレルゲン性を示し、一方、遺伝子組み換えゼラチンは、アレルゲン性をゼロにできる。ヒト安全性研究では、遺伝子組み換えゼラチンに関連する有害な事象は見いだされなかった。
【0122】
遺伝子組み換えゼラチンを作製する方法及びそれらの使用の利点は、米国特許第6,413,742及び6,992,172に完全に記載され、参照することにより本明細書に全て記載されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0123】
遺伝子組み換えゼラチンは、高純度(99%)で生成できる。遺伝子組み換えゼラチンの製造によって、定義された分子量、pI(等電点)、保証されたロット間の再現性及び分子を特定の用途に適合するように調整する能力を含むがこれらに限定されない少なくとも1つの定義された所定の特性を有するゼラチンの任意の製造が可能になる。
【0124】
分子を特定の用途に適合するように調整する例は、以前に記載されており、ゼラチンは、高度に親水性であるように作製された(Werten M W T,et al.(2001).Protein Engineering.14(6):447-454)。任意に及び好ましくは本発明のゼラチンは、調整されるか、適合されるか又は所定の特性を少なくとも1つ有するゼラチンを含む。
【0125】
器具に用いられるゼラチンは、ゼラチン複合体若しくは任意のゼラチン、又はその誘導体若しくは代謝物、又は単一のプロセス若しくは複数のプロセスに従って生成されたゼラチンであり得る。例えば、ゼラチンは、任意にゼラチンタイプA若しくはゼラチンタイプB又はそれらの組合せを含んでよい。
【0126】
任意にトランスグルタミナーゼは、好ましくは血液由来FactorXIII以外の任意の植物、動物又は微生物由来のトランスグルタミナーゼを含んでよい。好ましくは、Streptoverticillium mobaraensis由来の微生物のトランスグルタミナーゼ(mTG)が使用される。
【0127】
任意にトランスグルタミナーゼは、例えば、安定剤又は充填剤などの少なくとも1種類のその他の物質を含む組成物中にあってよい。このような材料の非限定的な例として、マルトデキストリン、加水分解脱脂粉乳タンパク質又は任意のその他のタンパク質物質、塩化ナトリウム、サフラワー油、リン酸三ナトリウム、カゼイン酸ナトリウム若しくは乳糖又はそれらの組合せが挙げられる。
【0128】
トランスグルタミナーゼは、負の温度係数を特徴とする。トランスグルタミナーゼ活性の温度範囲では、高温では反応時間が短く、低温では機能を開始するための時間が長い。以下の表1では、10分で生じ、50℃、pH6.0の反応と同じ反応程度と比較した、異なる温度での異なる反応時間を示す。
【0129】
【0130】
市販のトランスグルタミナーゼ製品の非限定的な例として、味の素株式会社(日本、川崎)によって製造されるものが挙げられる。この会社からのこのような製品の好ましい例としてActivaTG-TI(欧州:ActivaWM)-成分:mTG及びマルトデキストリン;活性:Activaの81-135U/gが挙げられる。この会社からの適切な製品におけるその他の非限定的な例として、ActivaTG-FP(成分:加水分解脱脂粉乳タンパク質、mTG;活性:ActivaTG-FPの34-65U/g);ActivaTG-GS(成分:塩化ナトリウム、ゼラチン、リン酸三ナトリウム、マルトデキストリン、mTG、及びサフラワー油(加工助剤);活性:ActivaTG-GSの47-82U/g);ActiveTG-RM(欧州:ActivaEB)-成分:カゼイン酸ナトリウム、マルトデキストリン及びmTG;活性:Activaの34-65U/g;ActivaMP(成分:mTG、乳糖及びマルトデキストリン;活性:Activaの78-126U/g)が挙げられる。
【0131】
市販のトランスグルタミナーゼ製品のその他の非限定的な例として、Yiming Biological Products Co.(Jiangsu,China)によって生成されるものが挙げられる。この会社からのこのような製品の好ましい例は、TG-B(成分:1%mTG、99%コタンパク質;活性:TG-Bの80-130U/g)である。この会社からの適切な製品のその他の非限定的な例として、TG-A(成分:0.5%mTG、99.5%コタンパク質;活性:TG-Aの40-65U/g)が挙げられる。
【0132】
双方の例に関して、それらは、(単一の仮説によって制限されるものではないが)適用時に最良の反応性を有し、望ましくない副作用の可能性が低いと考えられているので、好ましいトランスグルタミナーゼ製品は、最も高い比活性及び最も単純な共成分を有するものである。
【0133】
任意に別の実施形態では、トランスグルタミナーゼは、低温(それぞれ約37℃及び37~45℃)で最適に機能することを示す酵素変異体を生成するStreptoverticillium Baldaccii又はStreptomyces Hygroscopicus株から抽出してよい(Negus SS.A Novel Microbial Transglutaminase Derived fromStreptoverticillium Baldaccii.PhD Thesis.School of Biomolecular and Biomedical Science.Griffith University,Queensland,Australia and Cui L et al.Purification and characterization of transglutaminase from a newly isolated Streptomyces hygroscopicus.2007:105(2).p.612-618.)。低温での高い比活性は、周囲条件下で速く強いゼラチンの架橋を達成することが望ましい。
【0134】
幾つかの実施形態によれば、トランスグルタミナーゼは、任意にトランスグルタミナーゼを含む任意の市販の混合物を含む任意の上記組成物の形態で使用できる。
【0135】
別の実施形態では、任意の上記トランスグルタミナーゼ混合物は、任意にゲルろ過、陽イオン交換クロマトグラフィ、中空糸ろ過又はタンジェンシャルフローろ過手段によりそれらの担体タンパク質及び/又は炭水化物を除去することによって精製してよい。これらの方法の幾つかは以前に記載されている(Bertoni F,Barbani N,Giusti P,Ciardelli G.Transglutaminasereactivity with gelatine:perspective applications in tissueengineering.Biotechnol Lett(2006)28:697-702)(Broderick E P,et al.Enzymatic Stabilization of Gelatin-Based Scaffolds JBiomed Mater Res 72B:37-42,2005)。ろ過に使用されるフィルターの孔径は、好ましくは約10kDAである。
【0136】
好ましくは、トランスグルタミナーゼは、陽イオン交換クロマトグラフィ、疎水性クロマトグラフィ及び限外ろ過を含むプロセスで精製され、例えば、本出願と共通して所有され、少なくともいくにんかの本出願と共通の発明者を有する、2009年6月18日出願の米国特許第8367388号により詳細に記載される。
【0137】
トランスグルタミナーゼ活性は、相変わらず好ましくは、トランスグルタミナーゼ反応性アッセイを用いて、本発明の組成物を使用及び/又は製造前に測定される。任意にこのようなアッセイは、トランスグルタミナーゼ活性のヒドロキサメート方法、Nesslerアッセイ、比色分析アッセイ又は任意のその他のアッセイを含んでよいがこれらに限定されない(例えば、Folk J E,Cole P W.Transglutaminase:mechanistic features of the active site as determined by kinetic and inhibitor studies.Biochim Biophys Acta.1966;122:244-64;又はBertoni F,Barbani N,Giusti P,Ciardelli G.Transglutaminase reactivity with gelatine:に記載されるNessler Assay;perspective applications in tissue engineering.Biotechnol Lett(2006)28:697-702を参照のこと)。
【0138】
一般に、器具(組織接着剤、止血又は封止製品)の組成物に使用されるゼラチン及び/又はトランスグルタミナーゼの純度及び/又は品質は、タンパク質の有効性及び安定性をもたらす、当業者に既知の適切な純度である。
【0139】
酵素の精製及び濃度
本発明の幾つかの実施形態によれば、トランスグルタミナーゼ溶液について、一段階又は複数段階の精製を行い、1つ以上の1)トランスグルタミナーゼ混合物から発酵残留物を除去し;2)トランスグルタミナーゼ溶液中の活性トランスグルタミナーゼの量を濃縮し;3)担体タンパク質又は炭水化物からトランスグルタミナーゼ溶液を更に精製し;4)トランスグルタミナーゼ溶液のエンドトキシンレベルを低下し;及び/又は5)トランスグルタミナーゼ溶液から全ての微生物を除去し、効果的に溶液を滅菌することを実施するが、閉鎖リストに全て制限されるものではない。
【0140】
幾つかの実施形態によれば、架橋材料の溶液がポリペプチドの架橋性タンパク質と混合される前にろ過される。
【0141】
本発明の一実施形態では、ろ過プロセスは、最初に時として清澄化として既知の粗ろ過を使用し、発酵残留物の大きな固まりを除去する。このような粗ろ過の非限定的な例は、例えば任意に約0.65μmの孔径のろ過を含む約0.45μmからの孔径のろ過などの、0.22μmを超える孔径を特徴とする。
【0142】
本発明の別の実施形態によれば、架橋材料の溶液は、任意に及び好ましくは、粗ろ過後、第2のろ過プロセスにおいて0.22μm未満の孔径のフィルターを通され、例えば、材料のバイオバーデンを10コロニーフォーミングユニット(CFU)/グラム未満に減少させ、医療用途用に適切にさせる。好ましくは、バイオバーデンは、約10-2未満、より好ましくは約10-3未満の無菌性保証水準(SAL)に達成するように実質的に排除され、SALは、滅菌プロセスを受けた後に単一ユニットが非滅菌である確率を記載するための、微生物学で使用される用語である。
【0143】
本発明の別の実施形態によれば、タンジェンシャルフロー又は中空糸限外ろ過技術のいずれかがこのような第2のろ過段階後に、担体炭水化物及びタンパク質の除去によって架橋材料の溶液を精製するだけでなく、溶液を濃縮するために使用される。本発明とともに使用するために好ましい孔径は、架橋組成物の成分のサイズより大きい孔径を有するものである。
【0144】
一実施形態では、架橋材料は、mTGであり、孔径は、10~50kDaの範囲である。より好ましい実施形態では、架橋材料は、mTGであり、孔径は、10~30kDaの範囲である。
【0145】
別の実施形態によれば、1つ以上のサイズ排除クロマトグラフィ工程が使用され、架橋材料が、周囲物質から選択的に分離される。
【0146】
別の実施形態によれば、1つ以上の疎水性又は親水性相互作用クロマトグラフィ工程が使用され、架橋材料が、周囲物質から選択的に分離される。
【0147】
本発明の別の実施形態によれば、架橋材料は、タンパク質であり、1つ以上のイオン交換クロマトグラフィ工程が使用され、架橋タンパク質が優先的に結合され、それによって、周囲材料から精製される。
【0148】
より好ましい実施形態によれば、架橋タンパク質は、mTGであり、1つ以上の陽イオン交換クロマトグラフィ工程が使用され、mTGが精製される。
【0149】
好ましい実施形態では、陽イオン交換樹脂は、セファロース樹脂である。
【0150】
別の好ましい実施形態によれば、精製によって、架橋材料のエンドトキシンレベルが、<5のエンドトキシン単位(EU)/グラムに低減する。
【0151】
別の好ましい実施形態によれば、架橋材料は、mTGであり、精製によって、比活性が、20酵素単位/ミリグラム超であり、好ましくは25単位/ミリグラム超である、mTG組成物がもたらされる。
【0152】
別の好ましい実施形態によれば、架橋材料はmTGであり、精製によって、少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%の電気泳動純度がもたらされる。
【0153】
mTG精製プロセスは、非限定的な例として、食品用mTG製品を精製し、>25酵素単位/ミリグラムの比活性、>95%電気泳動純度、<5エンドトキシン単位/グラム及び<10CFU/gを有するmTG組成物を生成させることが本明細書に記載されている。
【0154】
上記のように、mTG濃度はまた、本発明の組成物の幾つかの実施形態にとって好ましいパラメーターである。上記精製プロセスはまた、より濃縮されたmTG材料をもたらし得る。非濃縮mTG溶液より迅速にゼラチンを架橋することに加えて、濃縮mTG溶液は、非濃縮対照と比較して、より弾性があり、接着性が高く、透明性の高いゲルを形成した。
【0155】
1種類以上のサプリメントを、組織接着剤、止血又は封止製品、例えば、成長因子、ポリクロナール及びモノクロナール抗体及びその他の化合物などの薬物に含有できる。このようなサプリメントの例示的実施例として、:テトラサイクリン及びシプロフロキサシン、アモキシシリン及びメトロニダゾールなどの抗生物質;活性化タンパク質C、ヘパリン、プロスタサイクリン(PGI2)、プロスタグランジン、ロイコトリエン、抗トランスグルタミナーゼIII、ADPアーゼ及びプラスミノーゲン活性化因子などの抗凝固剤;炎症を抑制するためのデキサメタゾン、プロスタサイクリン、プロスタグランジン、ロイコトリエン剤及び/又はキニンの阻害剤などのステロイド;カルシウム拮抗剤、血管拡張剤及び血管収縮剤などの心血管薬;化学誘引物質;ブピバカインなどの局所麻酔薬;並びに5-フルオロウラシル(5-FU)、タキソール及び/又はタキソテールなどの抗増殖薬/抗腫瘍薬;ガンシクロビル(gangcyclovir)、ジドブジン、アマンタジン(amantidine)、ビダラビン、リバビリン(ribaravin)、トリフルリジン、アシクロビル、ジデオキシウリジン及びウイルス成分又は遺伝子産物に対する抗体などの抗ウイルス剤;αインターフェロン又はβインターフェロン又はγ-インターフェロン、α腫瘍壊死因子又はβ腫瘍壊死因子、及びインターロイキンなどのサイトカイン;コロニー刺激因子;エリスロポエチン;ジフルカン、ケトコナゾール(ketaconizole)及びナイスタチンなどの抗真菌剤;ペンタミジンなどの駆虫剤;α-1-抗トリプシン及びα-1-抗キモトリプシンなどの抗炎症剤;ブピバカインなどの麻酔剤;鎮痛剤;消毒剤;並びにホルモンが挙げられるがこれらに限定されない。その他の例示的なサプリメントとして、ビタミン及びその他の栄養補助食品;糖タンパク質;フィブロネクチン;ペプチド及びタンパク質;炭水化物(単一及び/又は複合体の双方);プロテオグリカン;血管新生薬(antiangiogenin);抗原薬;脂質又はリポソーム;並びにオリゴヌクレオチド(センス及び/又はアンチセンスDNA及び/又はRNA)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0156】
例示的組成物
任意に上記架橋基質及び架橋材料は、1種類以上の追加材料と混ぜ合わせて、本明細書に記載されているパッチとともに使用するために、本発明の様々な組成物を形成してよい。幾つかの実施形態によれば、接着剤材料は、任意に及び好ましくは(i)ゼラチン;(ii)トランスグルタミナーゼを含む。より好ましくは、ゼラチン及びトランスグルタミナーゼは、組織接着剤、封止剤又は止血剤として有用であるのに十分な量で提供される。
【0157】
加えて、1種類以上のサプリメントはまた、組織接着剤、封止又は止血製品、例えば、成長因子、ポリクロナール及びモノクロナール抗体及びその他の化合物などの薬物に含有できる。このようなサプリメントの例示的実施例として、:テトラサイクリン及びシプロフロキサシン、アモキシシリン及びメトロニダゾールなどの抗生物質;活性化タンパク質C、ヘパリン、プロスタサイクリン(PGI2)、プロスタグランジン、ロイコトリエン、抗トランスグルタミナーゼIII、ADPアーゼ及びプラスミノーゲン活性化剤などの抗凝固剤;炎症を抑制するためのデキサメタゾン、プロスタサイクリン、プロスタグランジン、ロイコトリエン剤及び/又はキニンの阻害剤などのステロイド;カルシウム拮抗剤、血管拡張剤及び血管収縮剤などの心血管薬;化学誘引物質;ブピバカインなどの局所麻酔薬;並びに5-フルオロウラシル(5-FU)、タキソール及び/又はタキソテールなどの抗増殖薬/抗腫瘍薬;ガンシクロビル(gangcyclovir)、ジドブジン、アマンタジン(amantidine)、ビダラビン、リバビリン(ribaravin)、トリフルリジン、アシクロビル、ジデオキシウリジン及びウイルス成分又は遺伝子産物に対する抗体などの抗ウイルス剤;αインターフェロン又はβインターフェロン又はγインターフェロン、α腫瘍壊死因子又はβ腫瘍壊死因子、及びインターロイキンなどのサイトカイン;コロニー刺激因子;エリスロポエチン;ジフルカン、ケトコナゾール(ketaconizole)及びナイスタチンなどの抗真菌剤;ペンタミジンなどの駆虫剤;α-1-抗トリプシン及びα-1-抗キモトリプシンなどの抗炎症剤;ブピバカインなどの麻酔剤;鎮痛剤;消毒剤;並びにホルモンが挙げられるがこれらに限定されない。その他の例示的なサプリメントとして、ビタミン及びその他の栄養補助食品;糖タンパク質;フィブロネクチン;ペプチド及びタンパク質;炭水化物(単一及び/又は複合体の双方);プロテオグリカン;血管新生薬(antiangiogenin);抗原薬;脂質又はリポソーム;並びにオリゴヌクレオチド(センス及び/又はアンチセンスDNA及び/又はRNA)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0158】
メッシュベース組成物及び構造
少なくとも幾つかの実施形態によれば、本発明は、一時的な再吸収性抗接着性非付着裏材についてである。医療器具が手袋、外科用器具及び内臓に付着することを防止するために設計される。
【0159】
例として、止血又は封止目的のために使用されるパッド、発泡体、包帯がある。その他の例として、コーティングされた外科用メッシュがある。これらの器具の幾つかは、器具を組織に接着させることによってそれを固定する接着層を含むか、又はそれでコーティングされている。同じ接着剤が、組織から離れて面する器具の側に存在する場合、粘着性になり、手袋、外科用器具及び内臓に付着し得る。加えて、手術中、コーティング層が、それ自身で粘着性でない場合、後半、腹膜液、血液又は生理食塩水と接触することによって湿るか又は濡れた後、依然として手袋、外科用器具及び内臓に付着し得る。
【0160】
別のシナリオでは、器具の取り扱い中で、外科医が、器具を所望の場所に配置する機会を有する前に、コーティングが、意図せずに腸などの湿った組織に接触し、それに付着する恐れがある。非付着裏材は、このようなことが発生することを防止するために設計される。
【0161】
器具の裏材は、多糖、タンパク質などのある程度水に溶けることが可能な天然で半合成又は合成の性質である任意のポリマー材料から構成してよい。
【0162】
裏材は、器具のコーティングが、例えば、器具の取り扱い中又は手術中に望ましくない表面又は組織に付着する危険性があり、短時間で行うことが必要とされる。所望の場所に器具が配置され固定されると裏材は、もはや必要とされず、したがって迅速に溶解するように設計される。裏材は、HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)又はHPC(ヒドロキシプロピルセルロース)、HEC(ヒドロキシエチルセルロース)又はEC(エチルセルロース)などのセルロースエーテル誘導体から作製できる。裏材はまた、架橋ゼラチン(酵素、物理的又は化学的架橋)から作製できる。
【0163】
本発明の少なくとも幾つかの実施形態によれば、ゼラチン層及び補強用裏材層を含むパッチが提供され、該ゼラチン層は、HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)、HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、エチルセルロース、PVP(ポリビニルピロリドン)、PVA(ポリビニルアルコール)、PEG(ポリエチレングリコール)、PEI(ポリエチレンイミン)、デンプン、微結晶セルロース、酸化セルロースからなる群から選択される担体に組み込まれるゼラチン及び酵素を含む。
【0164】
ポリマーの分子量は、裏材の性能を決定するために任意に選択してよい。単一の仮説によって制限されるものではないが、分子量が小さいと湿った/濡れた状態でポリマーがより速く溶解し、したがって、裏材自体の粘着性が発現する。分子量が大きいほど、ポリマーの溶解性が低くなり、結果として粘着性の傾向が低下する。
【0165】
非接着性裏材層は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、エチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマー、コラーゲン及び誘導体、ゼラチン、アルブミン、ポリアミノ酸及び誘導体、ポリホスファゼン、多糖及び誘導体、キチン及びキトサンなどの、水侵食性でフィルムを形成し薬学的に許容されるポリマーを、単独又は組み合わせて含んでよい。裏材層の成分は、所望の浸食の速度に応じて架橋するか又は架橋しなくてよい。
【0166】
一実施形態では、好ましい裏材層成分は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含む。好ましくは、ヒドロキシエチルセルロースの場合では、平均分子量(固有粘度測定値から推定されるMw)は、2x104~1.2x106の範囲内、より好ましくは2.5x105~1x106の範囲内である。
【0167】
別の実施形態では、所望の機械的特性又はフィルム厚みを達成するために、MWが異なる2種類のHPMCポリマー混合することが可能である。例えば、1~4%のHPMC(4x10^5Da)と混合された0.5~2%のHPMC(1x10^6Da)を使用することは、本発明の少なくとも幾つかの実施形態で検討される。
【0168】
任意に裏材層の浸食速度は、滞留時間を変更するために多くの異なる方法で変更してよい。
【0169】
任意にこのような変更は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びエチルセルロースなどのアルキルセルロースを含む組合せで実施してよい。このような組合せは、フィルムを形成する量のアルキルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び適切な溶媒を含む。有利には、ゲルから形成されるフィルムの特性は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース対アルキルセルロースの比率に応じて変更してよい。このような変更可能な特性は、有利には侵食性の速度論を含む。
【0170】
典型的には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース対アルキルセルロースの比率は、適切なフィルムを形成するために必要な比率である。この比率は、その他の成分及びアルキルセルロースの種類に基づいて変化させてよい。しかし、エチルセルロースが用いられる場合、次に、ヒドロキシプロピルセルロース対エチルセルロースの比率は、通常、約1000:1~約3:1、好ましくは約200:1~約4:1、より好ましくは約200:1~約8:1である。典型的には、ヒドロキシプロピルセルロース対アルキルセルロースの比率が増大すると、水侵食性が増大し、すなわち、フィルムが、より容易に洗い流される。したがって、エチルセルロースは、器具における侵食性の速度論の調整に作用する成分である。
【0171】
別の実施形態によれば、裏材層は、メッシュ又は接着層の内臓器官への癒着を低減し得る場合、長期間、例えば植込み後1ヶ月まで所定の位置にとどまるように設計される。この場合、裏材層は、非常にゆっくりと溶解するのみであり得、これは、裏材を含むポリマーを架橋することによって達成できる。
【0172】
任意にフィルムを形成するポリマーを架橋することはまた、その特性に影響を及ぼすように実施してよい。当該技術分野において既知の架橋剤は、本発明において使用するために適切であり、グリオキサール、プロピレングリコール、グリセロール、異なるサイズのジヒドロキシポリエチレングリコール、ブチレングリコール及びこれらの組合せを含んでよい。使用される架橋剤の量は、特定のポリマー及び架橋剤に応じて変えてよいが、通常、ポリマー材料の5%モル当量を超えるべきではなく、好ましくはポリマー材料の0~3%のモル当量を含む。
【0173】
ゼラチンの裏材は、当業者に既知の方法によって架橋でき、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド及びEDCなどの化学的架橋剤、DHT(脱水熱)処理などの物理的方法又は例えば、哺乳動物のTG又はFactorXIIIを含むがこれらに限定されない任意の種類のmTGによる酵素による方法を含むがこれらに限定されない。
【0174】
同時にフィルムを可塑化する賦形剤を用いることによって、裏材層の機械的特性を制御することが可能である。賦形剤又は可塑剤は、多くの場合器具の機械的特性を改善し、及び/又は薬物の放出特性又は崩壊時間を変更する。層の浸食挙動を改質する適切な賦形剤又は可塑剤は、プロピレングリコールなどのアルキルグリコール、ポリエチレングリコール、オレエート、セバケート、ステアレート又はグリセロール、フタル酸及びその他のエステルを含んでよい。その他の適切な可塑剤として、アセチルシトレート、オレイン酸アミル、酢酸ミリスチル、オレイン酸ブチル及びステアレートなどのエステル、セバシン酸ジブチル、ジエチル、ジブチル、及びジエトキシエチルフタレートなどのフタル酸エステル、オレイン酸及びステアリン酸などの脂肪酸、セチルアルコール、ミリスチルアルコール及びステアリルアルコールなどの脂肪族アルコールが挙げられる。更に、場合によっては、ポリマー、薬剤又は溶媒残留物が、可塑剤として作用してよい。1種類の好ましい可塑剤は、PEGである。MW範囲は、200Da~1000Daである。好ましくは、フィルムのPEGの濃度は、10%w/w~50%w/w、より好ましくは25~40%である。別の好ましい可塑剤はグリセロールであり、フィルムのグリセロールの濃度は、10%w/w~50%w/w、より好ましくは25~40%w/wである。
【0175】
裏材層は、直接適用又は間接適用によって接着層に貼り付けることができる。
【0176】
裏材を液状でゼラチン層に広げるか又は吹き付け、それを乾燥することを含む、「直接適用」による様々な方法を任意に使用してよい。エタノールなどの非水性溶媒を使用することによって、ゼラチン層の望ましくない溶解を防止する。
【0177】
直接適用の更に別の例では、裏材層は、フィルムとしてキャストされ、乾燥され、次に接着層は、濡れた状態で該フィルムの上部に適用され、凍結乾燥などの、別の回の乾燥にかけられる。
【0178】
別の実施形態では、任意に直接適用は、以下のように実施してよい。:裏材層は、それらが液体又は蒸気のいずれかの水で濡らされた後に、ポリマー固有の粘着性の利点を利用することによって、接着層に貼り付けることができる。ポリマーの接着層、裏材層又は双方のいずれかは濡れており、及び/又は粘着性であり、この2層は、互いに張り付き、活性化のために使用された水が排除された後でも、形成され、得られた結合は永久的である。
【0179】
間接適用では、任意に裏材は、例えば、キャスト乾燥によってフィルムとして別個に作製してよく、次に吹き付けるか又は広げることによって結合層をフィルム又は接着層に適用することにより接着層に貼り付けてよい。次に結合層が接着層と裏材層を一緒に接着する場合、接着層は裏材層に貼り付けられる。結合層は、ゼラチン層の裏材層への貼り付け前又は後に乾燥できる。
【0180】
別の実施形態では、貼り付けはまた、任意に接着層又は結合層を、水又は生理食塩水などのその他の水性液体で直接濡らすことによって、又は(湿度チャンバー又は蒸気などによる)高湿度環境でインキュベートすることによって実施してよい。
【0181】
任意に結合層は、マルトデキストリン、デンプン、セルロース系材料(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース若しくはそれらの配合組成物)などの天然由来の多糖、又はPVPなどの合成ポリマーから構成される。PVPの好ましいMW範囲は、1x10^4Da~1.3x10^6Daである。
【0182】
可塑剤は、結合層の含水率を増大し、したがってその粘着性を増大させるために添加できる。1種類の好ましい可塑剤は、PEGである。PEGのMW範囲は、200Da~1000Daである。好ましくは、結合層におけるPEGの濃度は、10%w/w~50%w/w、より好ましくは25~40%である。別の好ましい可塑剤はグリセロールであり、任意に結合層におけるグリセロールの濃度が、10%w/w~50%w/w、より好ましくは25~40%である。可塑剤が50%w/w超では、結合層が濡れすぎ、裏材層がゼラチン層から滑る恐れがあり、可塑剤が10%w/w未満では、急速に乾燥する恐れがある。
【0183】
任意に製品はメッシュを特徴とし、メッシュが、臓器表面、組織表面又はキャビティーに接着できる場合、外科用メッシュを固定するために適している。
【0184】
任意に該メッシュは、合成メッシュ、生物学的メッシュ、又は合成-生物学的メッシュの組合せを含むがこれらに限定されない、任意の分解性又は非分解性材料を含む。
【0185】
任意に製品は、鼠径、大腿、臍又は腹壁瘢痕ヘルニアヘルニアの修復又はその他の種類の外科用メッシュによる再建に適している。
【0186】
任意に製品は、ステープリング又は縫合手順を低減した使用に適している。
【0187】
任意に、製品は、メッシュの接着を補うための1つ以上のステープル、タック又は縫合の使用に適している。
【0188】
任意に製品は、任意の大型横隔膜ヘルニアの修復、直腸固定術(直腸脱出)用メッシュの固定、脱出した膣円蓋の再建又はその他の骨盤底用メッシュの補強手術(婦人科手術)に適している。
【0189】
任意に製品は、:抗生物質、抗凝固剤、ステロイド、心血管薬、局所麻酔薬、抗増殖/抗腫瘍薬、抗ウイルス剤、サイトカイン、コロニー刺激因子;エリスロポエチン;抗真菌剤;駆虫剤;抗炎症剤;ブピバカインなどの麻酔剤;鎮痛剤;消毒剤;及びホルモンからなる群から選択される追加の薬剤を更に含む。
【0190】
任意に製品は、ビタミン及びその他の栄養補助食品;糖タンパク質;フィブロネクチン;ペプチド及びタンパク質;炭水化物(単一及び/又は複合体の双方);プロテオグリカン;血管新生薬(antiangiogenin);抗原薬;脂質又はリポソーム;並びにオリゴヌクレオチド(センス及び/又はアンチセンスDNA及び/又はRNA)からなる群から選択される追加の薬剤を更に含む。
【0191】
任意に該サイトカインは、αインターフェロン又はβインターフェロン又はγインターフェロン、α腫瘍壊死因子又はβ腫瘍壊死因子並びにインターロイキンからなる群から選択される。
【0192】
任意に該抗ウイルス剤は、ガンシクロビル(gangcyclovir)、ジドブジン、アマンタジン(amantidine)、ビダラビン、リバビリン(ribaravin)、トリフルリジン、アシクロビル、ジデオキシウリジン及びウイルス成分又は遺伝子産物に対する抗体からなる群から選択される。任意に該抗腫瘍薬物は、5-フルオロウラシル(5-FU)、タキソール及び/又はタキソテールからなる群から選択される。
【0193】
任意に該心血管薬は、カルシウム拮抗剤、血管拡張剤及び血管収縮剤;化学誘引物質からなる群から選択される。
【0194】
任意に該ステロイドは、炎症を抑制するためのデキサメタゾン、プロスタサイクリン、プロスタグランジン、ロイコトリエン及び/又はキニンの阻害剤からなる群から選択される。
【0195】
任意に該抗凝固剤は、活性化タンパク質C、ヘパリン、プロスタサイクリン(PGI2)、プロスタグランジン、ロイコトリエン、抗トランスグルタミナーゼIII、ADPアーゼ及びプラスミノーゲン活性化剤からなる群から選択される。
【0196】
任意に該抗生物質は、テトラサイクリン、シプロフロキサシン、アモキシシリン及びメトロニダゾールからなる群から選択される。
【0197】
任意に製品は、創傷治癒剤を更に含む。
【0198】
任意に製品は、止血剤を更に含む。
【0199】
本発明の少なくとも幾つかの実施形態によれば、架橋性タンパク質を含む架橋性タンパク質マトリックスを生成すること、酵素組成物を該タンパク質マトリックスに付着させること、を含むメッシュベース組成物の製造方法が提供され、該酵素組成物は、該架橋性タンパク質を架橋できる酵素を含み、それによって製品を生成する。幾つかの実施形態では、タンパク質マトリックスは、少なくとも0.5mmの深さで付着する。その他の実施形態では、付着の深さは、より低くてもよい。
【0200】
任意に該酵素は、トランスグルタミナーゼを含み、該トランスグルタミナーゼは、任意の種類のカルシウム依存性又は非依存性トランスグルタミナーゼを含む。任意に該トランスグルタミナーゼは、微生物のトランスグルタミナーゼ(mTG)を含む。
【0201】
任意に該架橋性タンパク質は、ゼラチン溶液の形態でゼラチンを含み、発泡溶液を形成する速度で、ミキサー内で該ゼラチン溶液を混合すること、該発泡溶液を乾燥して乾燥溶液を形成すること及び該乾燥溶液を該酵素と組み合わせることを含む。
【0202】
任意に該ゼラチン溶液の該混合は、該ゼラチン溶液を、ミキサー内で加圧空気とある混合速度及び空気圧で混合して溶液を発泡させることを含み、該方法は、更に発泡ゼラチン溶液を凍結乾燥して、凍結乾燥されたゼラチンの多孔質層を形成することを含む。
【0203】
任意に該速度は、100RPM~10,000RPMである。任意に該速度は、1000RPM~6000RPMである。
【0204】
任意に該速度は、発泡体の体積当たり0.1cm3/秒~10,000cm3/秒である。
【0205】
任意に該架橋性タンパク質は、ゼラチンをゼラチン溶液の形態で含み、該ゼラチン溶液を、溶液を発泡させるための化学的発泡剤と混合することを含み、;該方法は、更に乾燥したゼラチンの多孔質層へと発泡ゼラチン溶液を乾燥することを含む。
【0206】
任意に該化学的発泡剤は、重炭酸ナトリウムを含み、ゼラチン溶液及び重炭酸ナトリウムの混合物は、7未満のpHを有する。
【0207】
任意に該架橋性タンパク質は、ゼラチン溶液の形態でゼラチンを含み、溶液を発泡させ乾燥したゼラチン多孔質層を形成するためにある温度及び圧力範囲で、任意に通気を伴って、凍結乾燥させることを含む。
【0208】
ゼラチン-酵素乾燥混合物を特徴とする、多孔質スポンジ状構造を作製する別の方法は、凍結乾燥方法を使用することであるが、任意にこのような通気を伴わない。
【0209】
この方法では、最初に均一なゼラチン溶液は、急速に冷却され、ゼラチンリッチの連続相及び孤立したスポットに濃縮された氷相を含有する二相固体へと転換される。次に凍結乾燥チャンバー内の圧力を低下させることによって固体中の水が昇華し、以前に氷相が濃縮された位置に細孔が残る。
【0210】
単一の範囲に制限されるものではないが、凍結乾燥プロセスでは、多孔質の柔軟な乾燥発泡体は、ゼラチン対mTG酵素(80U/gゼラチン)の同一の比率を用いて得ることができるが、物理的通気を伴わないことが示された。乾燥発泡体の密度は、例えばN2ガスを用いた物理的通気によって作製されたものと同等である。したがって、インビトロで試験した接着力も同等であった。
【0211】
任意に、この方法は、更にゼラチン溶液と該酵素を混合することによってゼラチン層を生成することを含み、該酵素は、トランスグルタミナーゼを含み、発泡ゼラチン溶液を形成し、;該方法は、更に発泡ゼラチン溶液を凍結乾燥して凍結乾燥された発泡ゼラチン溶液を形成すること及び該凍結乾燥された発泡ゼラチン溶液を該製品に添加することを含む。
【0212】
任意に該トランスグルタミナーゼは、該混合前又は該混合中において該ゼラチン溶液に添加される。任意に、該トランスグルタミナーゼは、混合中における連続ストリームを通して該ゼラチン溶液に添加される。
【0213】
任意にこの方法は更に、該凍結乾燥が実施される前に該発泡ゼラチン溶液の冷却を含む。任意にこの方法は更に、ゼラチン溶液を発泡して発泡ゼラチン溶液を形成すること;発泡ゼラチン溶液を乾燥して該乾燥発泡ゼラチン溶液を形成すること;及び溶液中の該トランスグルタミナーゼを該乾燥発泡ゼラチン溶液に添加して酵素含有発泡体を形成することを含む。
【0214】
任意に該乾燥溶液に対する該トランスグルタミナーゼは、1種類以上の、酵素溶液を乾燥ゼラチンマトリックス表面に吹き付けること;酵素溶液をゼラチンマトリックス内に針又は針のマトリックスを通して注入すること;乾燥ゼラチンマトリックスを酵素含有溶媒混合物中に浸漬すること;及び/又は酵素含有溶媒混合物を乾燥ゼラチンマトリックス上に分散させることを含む。
【0215】
任意にこの方法は更に該酵素含有発泡体を乾燥することを含む。
【0216】
任意に該酵素含有発泡体の該乾燥は、1種類以上の空気乾燥、真空乾燥、凍結乾燥及び/又は加熱乾燥を含む。
【0217】
任意に該乾燥は、-40C~65Cの範囲の複数の温度で生じる。任意に、乾燥は、30Cまでの温度で生じる。任意に該乾燥は、20Cまでの温度で生じる。任意に、該乾燥は、0C~20Cの範囲の複数の温度で生じる。
【0218】
任意にメッシュベース組成物は、複数のゼラチン層を含み、任意に該ゼラチン層のそれぞれは、異なる密度のゼラチンを有する。任意に少なくとも1種類のゼラチン層は、溶液中のゼラチンを約1%w/w~約15%w/wの比率で含む。任意に少なくとも1種類のゼラチン層は、ゼラチンを約2.5%w/w~約10%w/wの比率で含む。任意に少なくとも1種類のゼラチン層は、ゼラチンを少なくとも約5%w/wの比率で含む。
【0219】
任意に少なくとも1種類のゼラチン層は、潤滑剤を含む。任意に該潤滑剤は、グリセロールを含む。任意に該グリセロールは、0.1%~10%の量で存在する。任意に該グリセロールは、2%~6%の量で存在する。
【0220】
本発明の少なくとも幾つかの実施形態によれば、架橋性多孔質タンパク質マトリックス及び架橋性タンパク質の架橋を引き起こす非血液由来酵素を含むメッシュベース組成物が提供され、マトリックス密度は、5~100mg/cm3の範囲である。任意に該密度は、40~70mg/cm3の範囲である。任意に製品は、30%未満の総含水率、20%未満の総含水率又は10%未満の総含水率を有する。任意にこのようなメッシュベース組成物は、止血用包帯、組織接着剤又は創傷縫合を含むがこれらに限定されない様々な用途に利用される。
【0221】
任意に酵素対マトリックスの比率は0.05~5mg酵素/cm3マトリックスである。任意に該比率は、0.5~2.5mg酵素/cm3マトリックスである。
【0222】
任意に製品は、電子ビーム放射への暴露によって10^6の無菌性保証水準に滅菌される。任意に放射線量は、10~50kGyの範囲である。任意に放射線量は、20~40kGyの範囲である。
【0223】
任意に製品は、エチレンオキシドガスへの暴露によって10-6の無菌性保証水準に滅菌される。
【0224】
任意に製品は、更にアスコルビン酸塩、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、クロロブタノール、システイン、マンニトール、メチルパラベン、ナイアシンアミド、フェノール、プロピレングリコール、没食子酸プロピル、プロピルパラベン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、トコフェノール、トレハロースからなる群から選択される放射線防護剤を含む。
【0225】
任意に製品は更に、任意に酢酸ナトリウム、HEPES、クエン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウムを含む群から選択される緩衝剤を含む。
【0226】
任意に製品は更に、任意にイオン性界面活性剤(すなわち、SDS)、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、ヒアルロン酸、グリシン、デキストランからなる群から選択される1種類以上の発泡安定剤を含む。
【0227】
任意に複数の別個の酵素含有タンパク質マトリックスセグメントが、一緒になって単一の生成物を形成する。任意にそれぞれのセグメントは、0.1~10cmの範囲内の直径である。任意にそれぞれのセグメントは、1~5cmの範囲内の直径である。
【0228】
【0229】
【0230】
架橋性タンパク質/ポリペプチドのコポリマー
幾つかの実施形態によれば、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)又はポリオキシエチレン(POE)としても既知のポリエチレングリコール(PEG)は、コポリマーとしてタンパク質/ポリペプチド又は架橋剤溶液に添加され、組成物の1つ以上の特性が改善され、例えば(制限なしに)、組成物の柔軟性を増大させるか又はタンパク質の架橋剤組成物に対する体の免疫応答から保護する。PEGは、300Da~10MDaの分子量の広範囲にわたって利用可能であり、分子量に応じて液体又は低融点固体であってよい。
【0231】
化学的に修飾されたPEGの異なる形態もまた、重合プロセスに使用される開始剤に応じて利用可能であり、最も一般的なものは、単官能性メチルエーテルPEG(メトキシポリ(エチレングリコール))である。PEGはまた、異なる幾何学的配置で利用可能である。分岐鎖PEGは、中心のコア基から広がる3~10個のPEG鎖を有する。星型PEGは、中心のコア基から広がる10~100個のPEG鎖を有する。くし型PEGは、通常ポリマー主鎖にグラフト化される複数のPEG鎖を有する。これらの種類のPEGの全ては、本発明に有用であると考えるべきである。
【0232】
PEGは、タンパク質架橋剤組成物におけるタンパク質又は架橋剤成分のいずれかに添加できる。優先的にPEGは、タンパク質:PEGが20:1~1:1の間の乾燥重量比で添加される。PEGは、タンパク質又は架橋剤の修飾及び/又はPEG分子の修飾を通して、タンパク質成分又は架橋剤成分に添加できる。このような修飾の一例は、PEG化として既知のプロセスである。PEG化は、PEG構造を別の大きな分子に共有結合でカップリングさせる作用である。このプロセスは、タンパク質上又は架橋剤分子上のいずれかで実施できる。
【0233】
ゼラチンPEG化の実施形態は、その多くの利点のうち、制限されるものではないが、PEGはタンパク質鎖の一部であり、したがって、電荷及び親水性並びにそのかさ高さによる立体効果を含むがこれに限定されない、タンパク質表面の特性の変化を引き起こす利点を有する。この実施形態は、例えば、本出願と共通して所有され、本出願と共通の少なくとも1人の発明者を有する、2009年6月18日に出願の米国特許第8,367,388号に記載され、これは本明細書に完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。結果として、共有結合したPEGは、タンパク質鎖間の分子間相互作用とそれによる物理的ゲル化及び架橋剤依存性架橋並びにこれらの方法によって作製されたゲルの機械的特性に非常に大きな影響を及ぼすことができる。
【0234】
PEG化に使用されるPEG分子は、通常活性化され、それらが、官能基と標的タンパク質上で自然に反応することを意味する。PEG化の非限定例は、PEGのNHSエステル誘導体を使用することである。これらの活性化PEG分子は、タンパク質の第一級アミンと反応して、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を放出してアミド結合を形成する。
【0235】
タンパク質を修飾できるその他の方法は、リジンの内部鎖及びタンパク質鎖のアミノ末端で見いだされる第一級アミンを反応させることである。修飾は、アルキル化、サクシニル化、カルバミル化又はタンパク質修飾における任意のその他の方法によるものであってよい。
【0236】
好ましい実施形態では、架橋性タンパク質/ポリペプチドは、最初に活性化PEGと反応し、PEG化タンパク質を生成する。PEG化タンパク質は、限定されないが、透析、限外ろ過及びゲルろ過クロマトグラフィなどの方法によって、過剰の未反応PEG及びその他の反応生成物から精製される。次に、PEG化タンパク質は、架橋剤と反応し、架橋ゲルを形成できる。
【0237】
任意にPEGはまた、アミン基を標的とする架橋剤の基質としてPEGアミンを使用することにより添加できる。架橋剤は、PEG分子をその末端アミン基を通してタンパク質分子上の架橋剤基質に架橋し、したがって、タンパク質上の天然アミン基と競合する。
【0238】
PEGアミンは、アミン官能基と結合したPEGを含む。これらは全ての種類のPEGの幾何学的配置で市販されている。アミン官能性PEG製品の供給元として、NOF(日本)、Nanocs(ニューヨーク州、NewYork)及びPierce Biotechnology(イリノイ州、Rockford)が挙げられる。
【0239】
PEGを組み込む全てのアプローチでは、架橋に利用可能な天然の基質の数が減少し、結果として架橋が減少する。これは、架橋ゲルの機械的特性に影響を及ぼす場合があり、例えば、任意に剛性を低くし、より柔軟性を高くすることが可能である。加えて、単一の仮説によって制限されるものではないが、PEG分子そのものは、可塑剤として作用してよく、更に得られたゲルの柔軟性に寄与してよい。
【0240】
好ましい実施形態によれば、PEGアミンは、活性リジンアミノ酸を含む。
【0241】
本発明の別の実施形態によれば、ポリビニルアルコール(PVA)は、コポリマーとしてゼラチン又はmTG溶液に添加され、タンパク質架橋剤組成の柔軟性又は接着性を増大させる。PVAは、高い引張り強度及び柔軟性を有する水溶性合成ポリマーである。体内などの高湿度環境では、PVAは水を吸収する。次に、可塑剤として作用する水は、PVAの引張り強度を低減し得るが、その伸びを増大し得る。
【0242】
幾つかの実施形態によれば、コポリマーは、PVAアミンを含む。アミン標的架橋剤が、溶液に添加されるとき、タンパク質及びPVAアミンの双方は、基質として作用し、相当する架橋タンパク質ポリマーよりも優れた柔軟性を有するタンパク質-PVAコポリマーが形成される。
【0243】
ポリ(ビニルアルコール)のアミン官能性誘導体を製造するために使用できるプロセスの非限定的な例は、米国特許第6107401号に記載されている。
【0244】
PVAのアミンコポリマーを製造するために使用できるプロセスの別の非限定的な例は、ポリ(ビニルアルコール)が、アミノ-アルデヒドジアルキルアセタールと反応する場合、米国特許第4931501号に記載されている。
【0245】
カルボニルジイミダゾール活性化ジアミンを使用して異なるアミン置換度を有するPVAを生成する2工程のプロセスによる、アミン修飾ポリ(ビニルアルコール)を合成するプロセスはまた、以前に別の非限定的な例として(Wittman M,et al.Biophysical and Transfection Studies of an Amine-Modified Poly(vinyl alcohol)for Gene Delivery.Bioconjugate Chem.,16(6),1390-1398,2005)に記載されている。
【0246】
本発明の幾つかの実施形態によれば、ゼラチン、トランスグルタミナーゼ及びカルシウム架橋性アルギン酸塩マトリックスを含む組成物が提供される。任意に該カルシウム架橋性アルギン酸塩マトリックスは、ゼラチンの重量の1~30%重量/重量の間の重量比及び好ましくは5~20%の比率で添加される。
【0247】
例示的実施形態(pH3.8)で使用されるpHのもとで沈殿が形成された。このような沈殿が形成されるとき、それは、例えばNaClなどの適切な塩を適切な量で添加することによって任意に溶解させてよい。この非限定的な例では、単一の仮説によって制限されるものではないが、アルギン酸塩は単独で沈殿してもよく、及び/又はゼラチン及びアルギン酸塩は、溶液から沈殿した高分子電解質複合体を形成してもよい。既に述べたように、12gr/L又は0.2MNaClの添加によって沈殿を溶解し、溶液を透明にすることが見いだされた。
【0248】
任意にゼラチン、トランスグルタミナーゼ、カルシウム架橋性アルギン酸塩マトリックス、適切な量のNaClなどの適切な塩は、任意に追加の添加剤を伴い、溶液に均一に溶解し得る。メッシュベース組成物は、該溶液から上記の同一の方法で作製してよい。
【0249】
本発明の幾つかの実施形態によれば、ゼラチン、トランスグルタミナーゼ及びキトサンを含む組成物が提供される。
【0250】
任意に該キトサンは、ゼラチン重量に対して1~100%の間の重量比、より好ましくは20~100%の比率で添加される。
【0251】
界面活性剤
本発明の幾つかの実施形態によれば、1種類以上の生体適合性界面活性剤が、例えばその溶液の表面張力を低下させるために、架橋性タンパク質又はポリペプチドの溶液に添加される。
【0252】
界面活性剤は、液体の表面張力を低下させ、容易に広がることを可能にし、2種類の液体間の界面張力を低下させる湿潤剤である。表面張力が低いことによって、アプリケーターの通過が容易になり、架橋材料の溶液と混合することが容易になるので、架橋性ペプチド溶液の取り扱いが容易になる。界面活性剤はまた、溶液の粘度を下げることができる。更に、ゼラチン溶液の表面張力を低下させることは、乾燥ゼラチンの最上層上にフィルムが形成されるのを防止できるので、ゼラチン溶液を単独で又はmTG溶液と一緒に凍結乾燥するときに非常に有用である。このようなフィルムは、凍結乾燥ゼラチンを均一溶液に再構成することを阻害する。
【0253】
本発明の文脈において有用な生体適合性界面活性剤の非限定的な例は、ポリソルベート20(Tween(商標)20)、ポリオキシエチレングリコールドデシルエーテル(Brij(商標)35)、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー(Pluronic(商標)F-68)、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)又はドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウレス硫酸ナトリウム又はラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、ポロキサマー又はポロキサミン、アルキルポリグルコシド、脂肪族アルコール、脂肪酸塩、コカミドモノエタノールアミン並びにコカミドジエタノールアミンである。
【0254】
界面活性剤はまた、可塑剤として使用してよい。Tween80は、例えば幾つかの親水性ポリマーのガラス転移点(Tg)を低下させることが示されている。ポリマー内におけるTween80の小さな分子の存在によってポリマー鎖間の凝集相互作用を希薄にし、弱めると考えられていた。これによって、ポリマーマトリックス内における自由体積を増加させることによる摩擦及び絡み合いが低下する(Ghebremeskel et al,2006,International Journal of Pharmaceutics328:119-129)。
【0255】
本発明の好ましい実施形態では、1種類以上の界面活性剤が可塑剤として使用され、特に時間の経過とともに硬化するにつれ、架橋組成物の弾性を向上させる。
【0256】
別の任意の実施形態では、1種類以上の界面活性剤が、本発明に関連して上に列挙した可塑剤からの別の可塑剤と混ぜ合わせられる。Rodriguezら(Food Research International39(2006)840-6)は、非架橋乾燥ゼラチンフィルムの弾性の増加について、可塑剤(グリセロール)及び界面活性剤(Tween20、Span80、レシチン)間の相乗効果を示している。
【0257】
優先的に界面活性剤は、溶液中のゼラチンの乾燥重量について0.1~5%の重量比でゼラチン溶液に添加される。あるいは、界面活性剤は、溶液中の特定の界面活性剤の臨界ミセル濃度(CMC)にほぼ等しい濃度でゼラチン溶液に添加される。それぞれの界面活性剤のCMCは変化し、界面活性剤が溶解する溶液のイオン濃度に依存する。
【0258】
凍結乾燥生成物の構造
本発明の一実施形態では、乾燥架橋剤物質が、架橋性タンパク質又はポリペプチドの凍結乾燥組成物全体に完全に分散された乾燥組成物が形成される。
【0259】
本発明の一実施形態では、架橋性タンパク質又はポリペプチドが、非毒性架橋剤と完全に混合し、均一な溶液を形成し、溶液の温度が、架橋プロセスの完了を防止するために直ちに低下させられる乾燥又は凍結組成物が形成される。次に、混合組成物を凍結又は凍結及び乾燥して新規で均一な組成物を形成する。
【0260】
別の実施形態では、タンパク質はゼラチンであり、非架橋ゼラチン発泡体は、このような多孔質発泡体全体に架橋剤が分散する前に凍結乾燥される。
【0261】
別の実施形態では、乾燥架橋剤物質が、架橋剤が発泡体に溶解しない(すなわち、架橋活性が、凍結乾燥前に観察されない)ようにゼラチン発泡体に添加される。
【0262】
再構成可能な発泡体を、任意の安定剤又は架橋剤の添加なしで、発泡形態のゼラチンを凍結乾燥させるために十分に安定なゼラチン溶液から任意に形成できることが、驚くべきことに見いだされた。
【0263】
このような発泡体を形成するための、本発明の好ましい例示的な実施形態では、ゼラチン溶液が作製され、液状の温度で維持される。次に、ゼラチン溶液は、そのゾル-ゲル転移点未満の温度まで冷却されながら、持続的な、好ましくは連続的な発泡プロセスにかけられる。
【0264】
ゼラチン溶液の濃度は、好ましくは0.5%~20%w/w、より好ましくは5~10%w/wの範囲内である。
【0265】
ゼラチン溶液の初期温度は、30℃~70℃、好ましくは30℃~50℃、より好ましくは35℃~45℃である。発泡プロセス中の環境温度は、0℃~25℃、好ましくは15℃~25℃である。発泡プロセスの非限定的な例として、ガスの攪拌、混合、ブレンド及び注入が挙げられる。
【0266】
好ましくは、発泡プロセスとして攪拌又は混合が挙げられる。
【0267】
任意に1種類以上の発泡技術を発泡プロセス中に使用してよい。あるいは、任意に1つの発泡技術を異なる条件のもとで複数回使用してよく、:例えば、穏やかな攪拌で低レベルの発泡体を生成させ、続いて激しい攪拌でゼラチン発泡体中における最大の通気を達成する。
【0268】
任意の実施形態では、発泡が完了すると、ゼラチン発泡体は、好ましくは発泡プロセス完了時にゼラチン発泡体の温度より低い温度に冷却された容器に移される。
【0269】
別の実施形態では、ゼラチン発泡体は、任意に及び好ましくは発泡プロセス完了時直ちに急速冷却される。急速冷却の非限定的な例は、発泡プロセスの直後にゼラチン発泡体を液体窒素に暴露することである。
【0270】
好ましい実施形態では、乾燥ゼラチン発泡体は、約15%未満の水分を含有する。より好ましい実施形態では、乾燥ゼラチン発泡体は、約10%未満の水分を含有する。
【0271】
別の実施形態では、任意に発泡の完了時に、冷却又はその他の方法によって、ゼラチン発泡体は、更に安定化されず、発泡体が部分的に崩壊して発泡体の底部にゼラチン発泡体の高密度層が形成される。例えば、任意にこのような安定化が実施される前に、例えば、制限されるものではないが、10分までの一定の時間が経過する。安定化が冷却を含む場合、任意にこのような冷却は、発泡後、2~10分の間で遅れる。
【0272】
上記の一実施形態では、任意に高密度層は、凍結乾燥ゼラチン組成物の厚さの約50%未満、好ましくは約35%未満、より好ましくは約20%未満を含む。
【0273】
密度は、本明細書で使用される場合、凍結乾燥組成物の体積あたりのゼラチンの重量の増加を意味する。このような増加は、任意に5%の少量であることができるが、好ましくは約10%超、より好ましくは約20%超である。
【0274】
単一の仮説又は閉鎖リストに制限されるものではないが、このようなゼラチン発泡体の高密度層は、乾燥組成物の上部の再構成の特性に影響を及ぼすことなく、凍結乾燥ゼラチン組成物に機械的強度を与えると考えられている。
【0275】
メッシュベース組成物作製方法
メッシュベース組成物を作製するために、異なる適切な作製方法を任意に使用してよい。様々な例示的段階が以下に示され、これらは、任意に異なって構成し、再び組み合わせてよい。このような例示的段階のそれぞれは、異なる方法に従って任意に実施してよく、任意にそれぞれを本明細書に記載されている任意のその他の作製方法と組み合わせてよい。その段階は、それらが任意に実施される順序で示される。
【0276】
裏材(非接着成分)の適用は、任意にブレードコーティングを含み、すなわち、材料を押し出すギャップコントローラーが、適用されたコーティングの濡れた厚みを決定する。更に又はあるいは、このような裏材の適用は、任意に1種類以上のエアーナイフコーティング、吹き付け、シルク印刷又は任意にその他の関連印刷プロセス、スピンコーティング、ディップコーティング、カーテンコーティング、溶液のキャスト、ポリマー分散液/溶液の層をコーティングするための任意のその他の適切な方法及び/又は溶融押出(溶媒を伴わず、ポリマーのみを加熱)を含んでよい。
【0277】
接着剤マトリックスの多孔質構造を作製することは、任意に加圧不活性ガス(例えば、窒素)をゼラチン溶液に導入することを伴う、(物理的)ガス発泡を含んでよい。更に又はあるいは、このような多孔質構造を生成させることは、任意に1種類以上の(物理的)エマルション凍結乾燥、(化学的)溶媒キャスト/粒子浸出、超臨界ガス、例えばco2を用いた(物理的)高圧プロセス、(物理的及び/又は化学的)ガス発泡/例えば、分散した重炭酸アンモニウム塩粒子を用いた粒子浸出、熱誘起相分離法、電界紡糸及び/又はラピッドプロトタイピング(例えば3Dプリンターによる)を含んでよい。
【0278】
次のゼラチンと酵素の混合は、例えば、ゼラチン溶液の発泡後、静的ミキサー(混合エレメントが、それを通る材料の移動によって回転する)を使用して実施される。酵素溶液は、ゼラチン溶液が発泡した後に導入される。例えば、第一の工程と同一の溶液中でゼラチンと酵素を一緒に混合すること、例えば、制限されるものではないが、水中油型又は油中水型エマルションの形態で混合すること及び/又はゼラチン連続相中の分散体として封入された酵素微粒子を混合することなど、様々な方法を任意に実施してよい。別の例示的方法では、酵素は、後の段階、例えば、制限されるものではないが、酵素の乾燥粒子を予備乾燥ゼラチンマトリックス上に配置して及び/又は交互のゼラチン及び酵素の層を、層ごとに適用して導入される。
【0279】
次に接着層(ゼラチン-酵素発泡溶液)の適用が実施され、例えば、ブレードコーティングを用い、すなわち、材料を押し出すギャップギャップコントローラーが、適用されたコーティングの濡れた厚みを決定する。その他の例示的方法として、制限されるものではないが、エアーナイフコーティング、吹き付け、シルク印刷又は任意のその他の関連印刷プロセス、スピンコーティング、ディップコーティング、カーテンコーティング、溶液のキャスト、ポリマー分散液/溶液の層をコーティングするための適切な方法、射出成形及び/又は成形(キャスト)が挙げられる。
【0280】
任意にポリプロピレンメッシュの配置は、様々な方法で実施してよい。例えば、制限されるものではないが、任意に接着層の適用は、2工程で実施され、ポリプロピレンメッシュが、第1の接着層上に配置され、次に第2の接着層がそれを覆う。任意にメッシュは、発泡体適用の前後で配置される。
【0281】
接着剤及び裏材層の貼り付けは、任意に接着剤の発泡溶液を既に乾燥した裏材上に直接適用することによって実施してよい。更に又はあるいは、任意にこのような貼り付けは、2つのフィルムを別々に1つ以上の乾燥にかけ、次に例えば、制限されるものではないが、接着剤(フィルム転写法)を使用又はラミネーションプロセスによる、適切な方法を通してそれらを貼り付けることによって実施してよい。任意に裏材は、例えば、制限されるものではないが、エアーナイフコーティング、吹き付け、シルク印刷又は任意のその他の関連印刷プロセス、スピンコーティング、カーテンコーティング、ポリマー分散液/溶液の層をコーティングするために既知で任意のその他の方法及び/又はホットメルト押出によって、既に乾燥した接着層の上部に適用される。
【0282】
接着層の乾燥は、任意に-20℃で凍結乾燥(凍結乾燥)を通して実施してよい。任意にこのような乾燥はまた、更に又はあるいは1種類以上の熱風乾燥、真空乾燥を通して又は冷凍された製品を適用まで維持することによって実施してよい。
【0283】
メッシュ器具の寸法
任意にメッシュベース組成物はまた、特有の寸法を有するメッシュ器具として記載してよい。このような寸法の非限定的な例は、以下及び
図6に示す。
【0284】
任意に寸法は、例えば、器具の形状(例えば、矩形として任意に正方形を含み、又は丸い形状として任意に楕円又は円を含む)に従って変えてよい。直径(又は丸くない形状に対する端から端までの距離)は、任意に0.5cm~60cmの範囲であってよい。非限定的な例として、
図6に1cm及び50cmと示される。しかし、任意にこれらの寸法は、メッシュサイズにのみ関連するが、全器具のサイズには関連しない。このような実施に関する、全器具のサイズを以下に示す。
【0285】
メッシュの面積(平方センチメートル)は、任意に0.5cm2~3600cm2の範囲である。メッシュの面積の非限定的な例として、丸い場合は1平方cmの器具に対して0.8cm2、丸くない場合は1cm2として示される。メッシュの面積は、必ずしもこれらの実施に従う器具の総面積ではなく、器具に関する上記寸法は、例えば、マージンを含まず、及び/又はそうでなければ器具の総寸法に関係しない。
【0286】
マージンサイズは、メッシュを超えて広がる器具の部分であり、例えば、接着剤を任意に含んでよい。マージンサイズは、任意に0.01~10cmの範囲であってよい。非限定的な例は、
図6に0.1cm及び5cmとして示される。直径又は端から端の距離について割合としてのマージンサイズは、任意に0.1%~10%の範囲である。
【0287】
マージンの面積は、任意に0.0001cm2~1200cm2であるが、好ましくは丸い形状の器具に対して0.1cm2~900cm2、正方形の形状の器具に対して0.1cm2~1100cm2である。
【0288】
全器具の面積は、上記の寸法と異なるとき、任意に丸い形状の器具に対して0.5cm2~3000cm2、正方形の形状の器具に対して0.5cm2~4000cm2の範囲である。
【0289】
メッシュ面積の割合としてのマージンの面積は、任意に0.1cm2~14,000cm2の範囲である。全器具面積の割合としてのマージンの面積は、任意に0.1%~100%の範囲である。
【0290】
器具の異なるパラメーターにおける厚み寸法は、
図2Aに示す記号に従って、任意にd1(器具の端からメッシュまでの接着層の厚み)(μm)が、0~10000;d2(メッシュから結合層までの接着層の厚み)(μm)が、0~10000;d3(メッシュ内に封入された発泡体の厚み)(μm)が、100~2500;d4(裏材の厚み)(μm)が、1~2000;及びd5(結合層の厚み)(μm)が1~100の範囲である。総厚み(μm)は、101~24600の範囲である。
【0291】
器具の異なるパラメーターおける厚み寸法の比率(パーセンテージとして)は、任意に発泡体の厚みに対する裏材厚みの%が、0.004~2000.000;総厚みに対する裏材の%が、0.004~1980.198の範囲である。
【0292】
発泡体の密度(g/ml)は、任意に0.001~0.1の範囲である。
【0293】
任意に本明細書に記載されている全ての寸法、割合及びその他のパラメーターの値は、10%増加するか又は減少してよく、依然として本明細書に記載されている本発明の範囲内にあると考えられる。
【0294】
実施例
ここで上記の説明とともに、本発明の幾つかの実施形態を非限定的な方法で示す、以下の実施例を参照する。
【0295】
実施例1:
本明細書に示すように、メッシュベース組成物を特徴とする、構造について様々な例示的実施が可能であり、本発明の範囲内にあると考えられる。
【0296】
図1は、接着剤で覆われたメッシュの部分及びメッシュ-接着剤部を取り囲む接着剤のみの部分を含む、器具設計の上面図を示す。
【0297】
図2Aは、接着剤が、メッシュを全ての方向で取り囲む、接着剤内におけるメッシュの任意の配置を描く器具の側面図を示す。
図2Bは、層の分解図を示す。
【0298】
メッシュ材料及び関連する組成物の非限定的な例は、以下の表4に示す。
【0299】
【0300】
接着剤は、任意に米国特許第8,961,544B2号に記載されているように構成してよく、本明細書に完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれ、本出願と共通して所有され、本出願と共通の少なくとも幾つかの発明者を有する。上に示したその他の材料及びパラメーターは、制限する意図はいずれもない、単なる例である。
【0301】
実施例2:
湿ったラテックス手袋に対する様々な基材の粘着性を垂直電気機械試験システム(英国、Instron)を使用して試験した。2種類の裏材、架橋(CL)ゼラチン及びHPMCを使用した。裏材は、非架橋発泡ゼラチン層を覆っていた。ラテックス手袋をしっかりと取り付けたインストロンのヘッドに平らなアタッチメントを接続した。ラテックス手袋をInstronに取り付ける前に0.9%生理食塩水に浸漬した。発泡した接着剤と裏材の試料を、底部の平板に両面テープで接続した。インストロンのヘッドを、0.3~0.9Nの力が達成されるまで、垂直に圧縮した。力を1秒間保持し、伸長荷重を50Nロードセルで測定しながら伸長を実施した。
【0302】
データは、裏材が発泡ゼラチン層の粘着性を低下させ、ラテックス手袋間の粘着性と変わらないことを明確に示している。結果を
図3に示し、様々な裏材及び組成物の組合せの相対的な粘着性の測定値を示す。
【0303】
実施例3
裏材は、キャストによってフィルムとして作製され、乾燥後、1cm幅の細片に切断され、垂直電気機械試験システム(英国、Instron)のホルダー内に設置された。フィルム長さは5cmだった。裏材を底部と上部のホルダーに設置し、底部のホルダーを固定し、上部のホルダーを50Nのロードセルに接続した。その後、試料の引張り伸びを実施した。伸張速度を0.5mm/sに設定し、引張り応力及びひずみを測定した。
【0304】
データは、可塑剤が添加され、この影響が濃度に依存するときHPMCの裏材がより弾力的になることを示す。同じ量を比較すると、PEG400はソルビトールより優れた可塑剤である。結果を以下の表5に示す。
【0305】
【0306】
実施例4
この実施例は、周囲の接着剤マージン部分(
図1のA)及びインビボでのその性能に関し、;
図4は、ゼラチン-mTG接着剤マトリックスを使用してインビボで腹膜組織に固定された軽量メッシュを示す。この画像は、腹腔鏡下でブタの腹膜に挿入され、適用されたメッシュに基づいた器具を示す。適用されたメッシュのサイズは、接着剤によって取り囲まれ、裏材層(HPMC(k100)+HPMC(k4))及びPlasdoneC17)で構成された結合層によって覆われた外科用メッシュについて、15x15cmであり、メッシュがなく接着剤及び裏材(結合層と接続した)のみを含む周辺部に1cmのマージンを加える。これらのマージンは、器具の中心及び外科手術部位を取り囲む組織とわずかに異なる色を有しており、画像内で視認できる。この植込みでは、メッシュが接着層により組織に十分に接着し、裏材は外科用器具に対する粘着のいずれも防止した。
【0307】
実施例5
この実施例は、メッシュベース組成物の作製について非限定的な例示的方法に関する。
【0308】
図5の左側の枝状の部分に青色で示されているように、接着剤組成物は、任意に以下のように作製される。任意にゼラチン溶液は、最初にガス、好ましくは窒素などの不活性ガスで発泡させる。次に発泡溶液を酵素溶液と混合する。次にこの接着剤組成物は、接着層を非接着層上に適用し、次にメッシュを埋め込むことによって、例えば、HPMCなどの非接着成分と任意に組み合わされる。次に、このメッシュ-組成物の組合せを任意にまず-70~-80Cで凍らせ、次に-20~15Cで凍結乾燥した。
【0309】
表6は、プロセスのそれぞれの段階における、様々な任意の非制限的な作製方法に関する。
【0310】
【0311】
図6は、上記プロセスに従って作製されるパッチに関する様々なパッチ形状について、幾つかの任意の寸法、最小値及び最大値を示している。
図1は、示されている寸法がどのように製品に関連しているかについて示す。特に、文字「A」は、接着剤が存在する部分を示し、一方、文字「M」は、メッシュと接着剤の双方が、存在することを示す。以下の寸法が、
図6に示され、以下に説明される。
d
1-器具の底部から外科用メッシュまでの接着剤の厚み
d
2-外科用メッシュから結合層までの接着剤の厚み
d
3-外科用メッシュの厚み
d
4-裏材の厚み
d
5-結合層の厚み
【0312】
実施例6-酢酸を使用したmTG酵素のインプロセス阻害
pH値の低下によるメッシュ作製プロセスの「湿った」部分全体にわたるmTG酵素の阻害は、ゼラチン溶液の早すぎる架橋を防止するのに役立つ。
【0313】
方法:
ゼラチン溶液の作製-9%w/w、(pH3.8の例):
12285gの精製水を40~45℃に予熱した。円錐状のオーバーヘッドスターラーで攪拌しながら、1350gのゼラチンを容器に徐々に添加した。
【0314】
ゼラチンが完全に溶解した後、1365gの3M酢酸(360gの100%氷酢酸(J.TBaker)を1640gPWと混合した)を、5分間攪拌しながら、容器に添加した。pHは3.8±0.5となるようにpHメーターで試験した。
【0315】
同様に、pH5.5、4.0及び3.5のゼラチン溶液を作製した。精製されたmTG酵素溶液含有クエン酸ナトリウム緩衝液(以下に記載された作製物)、50U/mlを40U/gゼラチンを含有するように添加した。
【0316】
図7は粘度計の試験による、mTG活性に対するpHの影響を示す。pH5.5(そのまま)、4及び3.5の9%のゼラチンを37℃(2:1)で40u/ml酵素溶液と混合した。pH3.5(
*で示す)については、粘度が0.1%を超えない場合、試験を15分後に停止した。
【0317】
実施例7-多孔質接着層の作製方法
加圧ガスを用いた物理的通気
図8は、通気及び混合システムの概略図を示し、通気のためにゲル化溶液を入れるホッパーを特徴としている。通気は混合ヘッドで生じ、続いて温度制御されたチューブを通って移動する。mTG溶液の注入後、静的混合が生じる。次に材料は、フローマニホールドを通って流出する。
【0318】
方法:
ゼラチン溶液の作製-9%w/w水、pH=3.8、15kg;12285gの精製水40~45℃に予熱した。円錐状のオーバーヘッドスターラーで攪拌しながら、1350gのゼラチンを容器に徐々に添加した。ゼラチンが完全に溶解した後、1365gの酢酸を、5分間攪拌しながら、容器に添加した。pHは3.8±0.5となるようにpHメーターで試験した。
【0319】
微生物のトランスグルタミナーゼ溶液の作製
56.5gの濃縮精製mTG溶液(885U/ml)を943.5gの20mMクエン酸ナトリウム溶液と混合し、希釈mTG溶液(50U/ml)を得た。
【0320】
酸性化ゼラチン溶液を曝気機にポンプで送り、加圧窒素ガスを圧力室に導入して0.28g/ml±0.02の濡れた発泡体密度を得た。
【0321】
システム全体の発泡体の流れを6Kg/hrの流速に維持し、その温度を二重ジャケットチューブを介して調節し、その転移温度より上にゼラチン溶液を維持し、凍結を防止した。
【0322】
ストリームライン全体の途中で、室温で酵素溶液を、15ml/minの速度でインラインバルブを通して導入した。
【0323】
チューブ(約2mの長さ)内の静的混合エレメントによって、mTG溶液とゼラチン溶液発泡体の適切な混合を可能にした。
【0324】
混合ゼラチン-mTG発泡体を、ラインの端部にて、型として使用するPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)の平板上に射出した。外科用メッシュ(米国、SurgicalMesh)の外科用メッシュ用プロテーゼをPEEK型に予め固定し、型の上部に適用された発泡体によって、それが完全に覆われた。
【0325】
次に、発泡体をナイフコーターで所望の厚み(1000~1500マイクロメートルの間)に押し出した。
【0326】
発泡体でコーティングされたメッシュを有するPEEK型を凍結するために-80Cの冷凍機に挿入した。
【0327】
1.5時間後、型を、凍結乾燥プロセス(表7を参照)のために凍結乾燥機(Virtis Genesis EL、SP Scientific)に移した。
【0328】
【0329】
凍結乾燥後、発泡体層をPEEK型から容易に剥がすことにより、ゼラチン及びmTGの乾燥混合物を含有する、1.0~1.5mmの発泡体によってコーティングされたメッシュ品を得た。
【0330】
結果
図9は、実施例7に記載されているプロセスによって作製されたゼラチン-mTG乾燥発泡品における断面のSEM画像を示す。
【0331】
図10は、実施例7に記載されているプロセスによって作製されたゼラチン-mTG乾燥発泡品における接着剤表面のSEM画像を示す。
【0332】
実施例8-水溶液中における非共晶ゼラチンの凍結乾燥
方法:
275ブルームのゼラチン粒子(米国、Gelita)をDW中にて50℃で1時間混合することによって、水中における様々な濃度のゼラチン溶液を作製した。
【0333】
酢酸6M(BioLab)をpH=3.8に滴定することによって、溶液を酸性化した。
【0334】
最終混合段階では、50U/mlの濃度で精製されたmTG原液を、80U/gゼラチンの比率で溶液に添加した。溶液を1分間完全に混合した。全ての材料を添加した後、溶液は、水中に2.5%及び1.5%ゼラチン(w/w)を含有した。
【0335】
溶液を冷却し、ゼラチン溶液の凍結-融解点よりわずかに高い24.5℃で一晩維持した。
【0336】
Vitamesh Blue(アイルランド、Proxy)ヘルニア用プロテーゼの15cmの丸い形状の物品を、5℃に予め冷却した、型として役立つ平らなPEEK板上に固定した。酸性化ゼラチン-酵素混合物を1~1.5mmの層で平らなPEEK板上に適用し、ナイフコーターを使用して、Vitamesh Blue品を覆った。
【0337】
コーティングされた板を-80Cの冷凍庫に1.5時間入れ、凍結後、上記の表7に記載したものと同じ凍結乾燥プロセスのために、凍結乾燥機(Virtis Genesis EL、SP Scientific)に挿入した。
【0338】
乾燥発泡コーティングされた物品を検査の前にPEEK板から剥がした。
【0339】
コラーゲン法における重ねせん断の固定強度:
6x7cm(WxL)のサイズに切断したコラーゲンシートを、水和させ、次に36~37℃に加熱するまで、0.9%生理食塩水に浸漬した。試料を、メッシュベース組成物品全体を5x7cm(WxL)の試験片に切断し、試験機で把持するために7cmのうち2cをテープで覆うことによって作製した。メッシュベース組成物の試料を予熱したコラーゲンシートに適用して、37℃のインキュベーターで4分硬化させた。
【0340】
時間ゼロの試験:試料は、4分の硬化直後にモデル3433Instron万能試験機を使用して重ねせん断で試験した。
【0341】
生理食塩水に24時間浸漬した後の試験:試料を食塩水で満たしたペトリ皿に入れ、37℃のインキュベーターに24時間放置した。24時間後、試料をモデル3433インストロン万能試験機を使用して重ねせん断試験で試験した。
【0342】
結果
表8は、試験の結果を示す。示されるように、望ましいゼラチン含量は、少なくとも2%、好ましくは少なくとも2.5%である。
【表8】
【0343】
実施例9-メッシュの正確な配置
少なくとも幾つかの実施形態によれば、ゼラチン発泡体に関する特定の外科用メッシュの配置によって、組織の埋め込みに関するものを含む、望ましい特性が増大し得る。単一の仮説によって制限されるものではないが、驚くべきことに本発明者らは、発泡コーティング内のメッシュの位置が、組織への製品適用の初期段階でプロテーゼに対する組織応答の程度を低減し得ることを見いだした。
【0344】
方法:
以下の実施例では、予備硬化された裏材層上に接着層が直接適用され、接着層が乾燥するときにそれらを一緒に結合するので、結合層は使用されなかった。
【0345】
裏材層は、PEEK平板をコーティングすることによって作製した。
【0346】
裏材溶液:1%HPMCK100(Ashland)、1.7%HPMCK4(Ashland)、0.9%PEG400(Merck)
【0347】
裏材のキャスト:裏材の溶液をPEEKライナーに注ぎ、ナイフコーター(ドクターブレード)を使用してその高さ(1100μm)を調整する。
【0348】
溶液を室温で少なくとも24時間乾燥する。
【0349】
ゼラチン-mTG発泡体(水及び酢酸中の9%w/wゼラチン、pH=3.8、mTG濃度-80U/gゼラチン)を加圧ガスによる物理的通気下で上記のように作製した。
【0350】
表9に示すように、以下のプロセス変更は、Vitamesh Blueの外科用メッシュを様々な場所で接着層内に配置するために実施した。
【0351】
【0352】
結果:
図11Aは、LM-147品の断面のSEM画像を示し、メッシュは、発泡体の中央に埋め込まれる。
図11Bは、LM-149品の断面のSEM画像を示し、外科用メッシュは、底部(表面)に位置する。
図12Aは、LM-147品における底部表面のSEM画像を示し、外科用メッシュは、発泡体によって完全に覆われているので見えない。
図12Bは、LM-149品における底部表面のSEM画像を示し、外科用メッシュは、表面に位置し、完全に覆われていない。
図13Aは、組織のシミュレーション基材としてコラーゲン上に固定した(コラーゲンは最下層)後のLM-149のSEM画像を示す。
図13Bは、組織のシミュレーション基材としてコラーゲン上に固定(コラーゲンは最上層)した後のLM-147のSEM画像を示す。
【0353】
図14は、固定後4分に重ねせん断法によって試験したコラーゲン上の異なるモデルの固定強度を示す。試験方法は、水溶液中の非共晶ゼラチンの凍結乾燥に関するセクションに記載されているように実施した。
【0354】
図15は、植込み後の異なる日に重ねせん断法によって試験したブタ腹膜組織に関する異なるモデルの固定強度を示す。(研究AT-05-55)。組織への固定をエクスビボで試験した。0、3及び7日時点に対する試験法:外植したメッシュベース組成物試料を4x7cm(WxL)の試料に切断し、1cmのメッシュを、把持のために7cmの端部で組織から剥がし、4×6cmの有効な試験領域を残した。試料を、Instron万能試験機を使用して重ねせん断で試験し、一方の側では組織のみが把持され、他方ではメッシュのみが把持された。1日目の試料を試験した。腹壁を開き、把持するためにメッシュベース組成物を分離(4x6cmの試験領域を残す)し、フォースゲージを使用して重ねせん断で引っ張ることによって試験した。
【0355】
図16は、ブタから7日後に外植された試料の代表的な組織病理画像を示す。左-LM-147、右-LM-149。発泡体内のメッシュの元の位置は、メッシュを取り囲む新しい組織の内方成長の量に影響を与える(LM-147と比較してLM-149が高い)。
【0356】
実施例10-接着層-発泡体の面密度
発泡体の多孔質ゼラチン構造は、組織が迅速に外科用メッシュへ融合するために重要であると想定されていた。これは、発泡体の高い有効表面積が、体内の酵素分解の可能性を高め、架橋ゼラチンの迅速な分解(数日以内)を可能にするためである。架橋ゼラチンが分解すると、新しい組織の浸潤及び増殖のための空間を作り、外科用メッシュ繊維を封入し、それをしっかりと定位置に固定する。一方、面積当たりの発泡体の荷重を増加させることによって、植込み後数日において主な耐荷重性の固定要素である、架橋ゼラチンゲルマトリックスの強度に寄与できる。したがって、迅速な組織の融合とゲルマトリックスの初期固定強度の最適条件が求められた。
【0357】
方法:
注-以下の実施例では、予備硬化された裏材層上に接着層が直接適用され、接着層が乾燥するときにそれらを一緒に結合するので、結合層は使用されなかった。
【0358】
ゼラチン-mTG発泡体(水及び酢酸中の9%w/wゼラチン、pH=3.8、mTG濃度-80U/gゼラチン)を、ガスを用いた発泡に関して上記のセクションに記載されているように作製した。
【0359】
以下のプロセスの変更は、表10に示すように実施した。
【0360】
【0361】
結果
表11は、左の縦列(2000ミクロン)がより深く、右の縦列(1400ミクロン)がより浅い、異なる発泡体の深さを適用した結果を示す。
【0362】
【0363】
実施例11-裏材の選択及び架橋ゼラチンの癒着バリア特性
製品は、水で活性化した接着剤コーティング内に埋め込まれた外科用メッシュを含有する。仮出願に記載されているように、製品はまた、製品がその裏側(すなわち、外科医がその製品を利用するときの手袋、外科用器具等)に付着するのを防止する裏材層もまた含有する。
【0364】
腹腔内のメッシュの埋め込みに必要とされる、別の重要な特徴は、植込み材料の内臓器官、例えば、腸、肝臓、脾臓及び膀胱に対する癒着の防止である。この特性は、一般に「癒着バリア」と称され、従来技術で既知である。
【0365】
2種類の非接着性裏材バージョンを開発全体にわたって調査した。
【0366】
第1の裏材バージョンは、HPMCに基づいている(ヒドロキシプロピルメチルセルロースK4M22.3%wt、ヒドロキシプロピルメチルセルロースK100M44.6%wt、PEG400 33%wt)。HPMCの裏材は、外科用器具及び濡れた手袋に対する製品の癒着防止の目的のみに役立つ。それは水溶性であり、したがって植込み後、数時間以内に腹腔内に存在する液体に溶解する。癒着バリア特性は、HPMCに基づいた裏材が溶け去る間に、外科用メッシュを完全に覆い、既に完全に架橋した、残っているゼラチン層由来である。
【0367】
第2の裏材のバージョンは、架橋ゼラチンに基づいている(ゼラチン70%、mTG-5U/gゼラチン、PEG400 30%wt)。架橋ゼラチンの裏材は、インサイチュで架橋接着剤ゼラチン-mTG層と融合し、連続架橋ゼラチンマトリックスになる。組織に適用する間、裏材は、既に架橋しており、したがってその裏側への付着を防止するので非接着性であり、また、接着剤に対して追加の補強剤として働き、全体のゲル質量を増加させる。非接着性であるため、内臓器官への癒着バリアでもある。
【0368】
方法
HPMC裏材(GF-199):
溶液:1%HPMCK100(Ashland)、0.3%PEG400(Aldrich)、オートクレーブを実施
【0369】
プロセス:テフロンコーティングされたトレイ(12cmX17cm及び9.5cmX9.5cm)に60ml及び26mlの溶液を丁寧に満たし、室温で乾燥した。
【0370】
加熱架橋ゼラチンの裏材(GF-200):
溶液:1%ゼラチン225タイプA(Gelita)を0.2μmのフィルターを通してろ過した。
【0371】
プロセス:約60mlの溶液を9.5cmX9.5cmのテフロンコーティングされたトレイにキャストした。溶液を室温で乾燥し、次にオーブン内で160℃で2~4時間インキュベートした。
【0372】
酵素による架橋ゼラチンの裏材(LM-274):
溶液:5%ゼラチン(Gelita)、2.1%PEG400(Merck)+5u精製mTG酵素(TP1701)/gゼラチン(溶液中の合計)
【0373】
プロセス:溶液を酵素なしで作製した。ライナー上に溶液を適用する前に、酵素を添加し、混合し、次に溶液を適用し、ギャップコントローラー(ドクターブレード)を用いて1000μmの高さに設定した。(酵素によって架橋しながら)裏材を室温で乾燥した。
【0374】
結果
0.9%生理食塩水溶液に24時間浸漬後のコラーゲンに対する固定強度を2種類のモデルに対して試験した。:LM-274(架橋ゼラチンに基づく裏材層)及びLM-216(HPMCに基づく裏材層)。結果を以下のように表12に示す。
【0375】
【0376】
図17は、植込み後14日後に癒着によって覆われた、対照メッシュ(むき出しの外科用メッシュ)及びメッシュベース組成物(商標)(接着剤で覆われた外科用メッシュ)グループGF-199(架橋ゼラチン)、GF-200(HPMC)の表面積%を表すボックスプロットを示す。この試験は、ブタの腹腔内の植込みで行った。この実施例は、HPMC又は架橋ゼラチンのいずれかが任意に裏材として使用してよいことを実証する。
【0377】
実施例12-ゼラチン-アルギン酸塩メッシュベース組成物
ゼラチン/アルギン酸塩溶液の作製
300gの精製水を約40℃まで加熱した。8.35gゼラチン粉末(Gelita、タイプAゼラチン、ブルーム275)を加熱された水に添加し、均一になるまでマグネチックスターラーで混合した。
【0378】
98.35gの精製水を約40℃まで加熱した。1.68gの低粘度アルギン酸ナトリウム(Sigma Aldrich、cat#A0682)を加熱された水に添加し、均一になるまでマグネチックスターラーで混合した。
【0379】
アルギン酸塩溶液をゼラチン溶液に添加し、混合した。アルギン酸塩及びゼラチン溶液を混合すると、相分離が生じるので、3.4mlの6M酢酸(イスラエル、BioLab)及び5.7gのNaCl(Merck)を混合物がpH3.8になり、溶液が透明になるまで添加した。
【0380】
74.72gの精製水を添加し、490.5gの重量にした。
【0381】
ゼラチン/アルギン酸塩でコーティングされた外科用メッシュ(バッチ#GF-502)の作製
50U/mlの濃度の精製mTG酵素原液を80U/gゼラチンの比率で酸性化ゼラチン-アルギン酸塩溶液に添加した。溶液を1分間完全に混合した。
【0382】
Vitamesh Blue(アイルランド、Proxy)ヘルニア用プロテーゼの15cmの丸い形状の物品を、5℃に予め冷却した、型として役立つ、平らなPEEK板上に固定した。酸性化ゼラチン-アルギン酸塩-酵素混合物を1~1.5mmの層で平らなPEEK板上に適用し、ナイフコーターを使用して、Vitamesh Blue品を覆った。
【0383】
コーティングされた板を-80Cの冷凍庫に1.5時間入れ、凍結後、上記の表7に記載したものと同じ凍結乾燥プロセスのために、凍結乾燥機(Virtis Genesis EL、SP Scientific)に挿入した。
【0384】
乾燥発泡体でコーティングされた物品を検査の前にPEEK板から剥がした。
【0385】
カルシウム源を有するゼラチン/アルギン酸塩LifeMesh(GF-502)の適用1日後における固定強度の試験
LifeMeshを5x7cm(WxL)の試料に切断し、2cmの長さをテープで覆い、試験機で試料を把持できる部分を作製した。コラーゲンシートを6x7cm(WxL)の試験片に切断し、生理食塩水で浸したガーゼで覆って、36~37℃に予熱した。LifeMesh試料をコラーゲンに適用し、37℃のインキュベーター内で4分硬化させた。硬化後、試料を0.9%生理食塩水/0.9%生理食塩水含有カルシウム源(CaCl2)に浸漬した。試料を37℃で24時間維持し、次にモデル3433Instron万能試験機を使用して重ねせん断で試験した。
【0386】
図18は、固定後24時間に重ねせん断法によって試験したコラーゲン上のゼラチン-アルギン酸塩メッシュベース組成物(バッチNo.GF-502)の固定強度を示す。GF-502品をコラーゲン上に適用後、0.9%生理食塩水又は50mMCaCl2を添加した0.9%生理食塩水内に24時間浸漬した。
【0387】
実施例13-ゼラチン-キトサンメッシュベース組成物
それぞれの総固体含量が2%w/w、総重量が300gである、ゼラチン(Gelita、タイプAゼラチン、ブルーム275)と低MWのキトサン(Aldrich cat#448869)の3種類の混合物を作製(表13を参照)した。
【0388】
混合物を酢酸でpH3.8にし、キトサンを溶解させた。mTGを最終の比率が80U/グラムゼラチンになるまで添加した。
【0389】
【0390】
溶液を16℃に冷却し、ドクターブレードを使用して250μmの厚みの層でPEEK板にキャストした。外科用メッシュ液体層上に置き、組成物を4℃に冷却した。別の層をドクターブレードを使用して1700μmの厚みで外科用メッシュの上部に置いた。次にコーティングされたメッシュを-80℃で凍結し、凍結乾燥した。
【0391】
得られた乾燥コーティングされたメッシュを実施例12に記載されるようにコラーゲンに対する固定強度について試験した。
【0392】
図19は、固定後24時間に重ねせん断法によって試験したコラーゲン上のゼラチン-キトサンメッシュベース組成物(バッチNo.GF-510、GF-511、GF-512)の固定強度を示す。物品をコラーゲン上に適用後、0.9%生理食塩水に24時間浸漬した。
【0393】
別個の実施形態の文脈で明瞭にするために記載されている本発明の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供してもよいことが理解される。逆に、単一の実施形態の文脈で簡潔にするために記載されている本発明の様々な特徴は、別々に、又は任意の適切な副組合せで提供してもよい。
【0394】
本発明は、その特定の実施形態と関連して記載されているが、多数の代替、変更及び変形が当業者にとって明白であることは明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲の精神及び広範な範囲内に含まれる全てのこのような代替、変更及び変形を包含すると意図される。本明細書で言及した全ての刊行物、特許及び特許出願は、個々の刊行物、特許又は特許出願が、具体的及び個別に示され、参照により本明細書に組み込まれるのと同程度に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。加えて、本出願における任意の参照の引用又は識別は、このような参照が本発明の先行技術として利用可能であることを認めるものと解釈されてはならない。
【0395】
本発明の好ましい態様は以下のとおりである。
[1]メッシュベース組成物で、メッシュ及びコーティングを含み、前記コーティングが、1種類以上の架橋性タンパク質又はポリペプチド及び1種類以上の架橋材料を含み、前記メッシュの少なくとも一部が、前記コーティングでコーティングされ、前記コーティングされたメッシュ組成物が、自己接着外科用メッシュを含み、追加の固定を必要とせず、適用時の組織癒着を最小限に抑えることができる、メッシュベース組成物。
[2]前記メッシュが複合メッシュを含み、前記架橋性タンパク質又はタンパク質及び前記1種類以上の架橋材料の発泡組成物を含む、[1]に記載の組成物。
[3]前記複合メッシュが、シート状の形態である、[2]に記載の組成物。
[4]前記架橋性タンパク質又はポリペプチドが、ゼラチンを含む、[1]~[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]前記ゼラチンが発泡している、[4]に記載の組成物。
[6]前記ゼラチン発泡体が、1~100mg/cm3の密度範囲であり、好ましくは1~50mg/cm3の前記範囲である、[5]に記載の組成物。
[7]前記発泡ゼラチンが、乾燥又は凍結乾燥発泡ゼラチンを含む、[1]~[6]のいずれかに記載の組成物。
[8]発泡前の前記ゼラチン溶液の濃度が、0.1%~30%w/wの間である、[7]に記載の組成物。
[9]発泡前の前記ゼラチン溶液の濃度が、1%~20%w/wの間である、[8]に記載の組成物。
[10]発泡前の前記ゼラチン溶液の濃度が、5%~15%w/wの間である、[9]に記載の組成物。
[11]前記1種類以上の架橋材料が、トランスグルタミナーゼを含む、[4]~[10]のいずれかに記載の組成物。
[12]前記複合メッシュが、組み込まれた外科用メッシュを特徴とする、[1]~[11]のいずれかに記載の組成物。
[13]2つの部分を含み、その1つが、前記接着剤組成物内に封入されたメッシュから構成され、もう1つが、前記接着剤組成物のみを含有し、その中にメッシュがない、[1]~[12]のいずれかに記載の組成物。
[14]更に非付着性保護用裏材を含む、[1]~[13]のいずれかに記載の組成物。
[15]前記裏材が、1種類以上のセルロースエーテル誘導体及び/又は架橋ゼラチンを含む、[14]に記載の組成物。
[16]前記裏材が、HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)、HEC(ヒドロキシエチルセルロース)又はEC(エチルセルロース)を含む、[15]に記載の組成物。
[17]ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、エチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマー、コラーゲン及び誘導体、ゼラチン、アルブミン、ポリアミノ酸及び誘導体、ポリホスファゼン、多糖及び誘導体、キチン及びキトサンなどの水侵食性でフィルムを形成し薬学的に許容されるポリマーを、単独又は組み合わせて含む、非接着性裏材層を含む、[1]~[16]のいずれかに記載の組成物。
[18]前記裏材層が、植込み後の1ヶ月までの間維持される、[14]~[17]のいずれかに記載の組成物。
[19]前記1種類以上の架橋性タンパク質がゼラチンを含み、更にアミノ化PEG、アミノ化PVA、アルギン酸塩及びキトサンからなる群から選択される架橋性材料を含む、[1]~[18]のいずれかに記載の組成物。
[20]前記メッシュのみが、埋め込み1ヶ月後に残っている、[1]~[19]のいずれかに記載の組成物。
[21]前記メッシュが複合メッシュを含み、前記架橋性タンパク質又はタンパク質及び前記1種類以上の架橋材料の非発泡組成物を含む、[1]に記載の組成物。
[22]メッシュベース組成物であって、メッシュ及びコーティングを含み、前記コーティングが、1種類以上の架橋性タンパク質又はポリペプチド及び1種類以上の架橋材料を含み、少なくとも前記メッシュの一部が前記コーティングでコーティングされ、前記コーティングが、前記架橋性タンパク質又はタンパク質及び前記1種類以上の架橋材料の発泡組成物を含む、メッシュベース組成物。
[23]メッシュベース組成物であって、メッシュ及びコーティングを含み、前記コーティングが、1種類以上の架橋性タンパク質又はポリペプチド及び前記1種類以上の架橋性タンパク質又はポリペプチドを架橋できる酵素を含み、少なくとも前記メッシュの一部が、前記コーティングでコーティングされ、前記コーティングが、前記架橋性タンパク質又はタンパク質及び前記酵素(ただし、前記タンパク質又はポリペプチドは、フィブリン又はフィブリノゲンではない)の発泡組成物を含み、前記酵素が、1種類以上のトランスグルタミナーゼ又はマルチ-銅オキシダーゼを含む、メッシュベース組成物。
[24]メッシュベース組成物であって、メッシュ及びコーティングを含み、前記コーティングが、1種類以上の架橋性タンパク質又はポリペプチド及び1種類以上の架橋材料を含み、前記メッシュの第1の部分が、前記コーティング内に封入され、前記コーティングが、前記架橋性タンパク質又はタンパク質及び前記1種類以上の架橋材料の発泡組成物を含み、前記メッシュの第2の部分が、前記コーティング内に封入されていない、メッシュベース組成物。
[25]前記タンパク質がゼラチンを含み、前記コーティングが前記発泡組成物を含み、前記発泡組成物が、1~100mg/cm3の密度範囲の密度を有する、[1]~[24]のいずれかに記載の組成物。
[26]前記密度が、1~50mg/cm3の前記範囲内である、[25]に記載の組成物。
[27]発泡前の前記ゼラチン溶液の濃度が、0.1%~30%w/wの間である、[1]~[26]のいずれかに記載の組成物。
[28]発泡前の前記ゼラチン溶液の濃度が、1%~20%w/wの間である、[27]に記載の組成物。
[29]発泡前の前記ゼラチン溶液の濃度が、5%~15%w/wの間である、[28]に記載の組成物。
[30]前記発泡ゼラチンが、乾燥又は凍結乾燥発泡ゼラチンを含む、[1]~[29]のいずれかに記載の組成物。
[31]前記コーティングが前記発泡組成物を含み、前記発泡組成物が、バッチ混合プロセス、連続混合プロセス、化学的発泡プロセス、Venturi発泡プロセス及び凍結乾燥からなる群から選択されるプロセスに従って発泡する、[1]~[30]のいずれかに記載の組成物。
[32]前記コーティングが前記発泡組成物を含み、前記発泡組成物が、ガスで発泡する、[31]に記載の組成物。
[33]更にキトサンを含む、[1]~[32]のいずれかに記載の組成物。
[34]更にカルシウム及びカルシウム架橋性アルギン酸塩マトリックスを含む、[1]~[33]のいずれかに記載の組成物。
[35]メッシュベース組成物であって、メッシュ及びコーティングを含み、前記コーティングが、カルシウム、ゼラチン、トランスグルタミナーゼ及びカルシウム架橋性アルギン酸塩マトリックスを含む、メッシュベース組成物。
[36]前記メッシュが外科用メッシュを含む、[1]~[35]のいずれかに記載の組成物。
[37]前記外科用メッシュがヘルニア用メッシュを含む、[36]に記載の組成物。
[38]前記メッシュの第1の部分が前記コーティング内に封入され、前記メッシュの第2の部分が前記コーティング内に封入されない、[1]~[37]のいずれかに記載の組成物。
[39]前記コーティング組成物が、前記器具の総面積が前記メッシュの総面積より大きくなるように、前記メッシュを超えて広がる、[1]~[38]のいずれかに記載の組成物。
[40]前記1種類以上の架橋材料がトランスグルタミナーゼを含み、前記トランスグルタミナーゼの活性レベルが、ゼラチンの約1~約500U/gである、[1]~[39]のいずれかに記載の組成物。
【0396】
[41]前記活性レベルが、ゼラチンの約5~約120U/gである、[40]に記載の組成物。
[42]前記1種類以上の架橋材料がトランスグルタミナーゼを含み、前記1種類以上の架橋性タンパク質又はポリペプチドがゼラチンを含み、ゼラチン対トランスグルタミナーゼの重量比が約50:1~約5000:1の範囲である、[1]~[41]のいずれかに記載の組成物。
[43]前記1種類以上の架橋材料がトランスグルタミナーゼを含み、前記トランスグルタミナーゼが血液由来FactorXIII以外に植物、遺伝子組み換え動物及び/又は微生物由来トランスグルタミナーゼを含む、[1]~[42]のいずれかに記載の組成物。
[44]前記トランスグルタミナーゼが、微生物のトランスグルタミナーゼを含む、[43]に記載の組成物。
[45]前記微生物のトランスグルタミナーゼが、1種類以上のStreptoverticillium mobaraense、Streptoverticillium Baldaccii、Streptomyces Hygroscopicus株又は大腸菌(Escherichia Coli)からなる群から選択される微生物から生成される、[44]に記載の組成物。
[46]前記ゼラチンが、動物起源、遺伝子組み換え起源又はそれらの組合せから生成される、請求項[1]~[45]のいずれかに記載の組成物。
[47]前記動物起源が、魚及び哺乳動物からなる群から選択される、[46]に記載の組成物。
[48]前記哺乳動物が、ブタ及びウシからなる群から選択される、[47]に記載の組成物。
[49]前記ゼラチンが、タイプA(酸処理)又はタイプB(アルカリ処理)である、[48]に記載の組成物。
[50]前記ゼラチンが、高分子量ゼラチンを含む、[49]に記載の組成物。
[51]前記ゼラチンが、少なくとも約250のブルームを有する、[50]に記載の組成物。
[52]前記遺伝子組み換えゼラチンが、細菌、酵母、動物、昆虫若しくは植物系又は任意の種類の細胞培養を使用して生成される、[46]に記載の組成物。
[53]前記ゼラチンが精製され、塩が除去される、[1]~[52]のいずれかに記載の組成物。
[54]更に追加の止血剤を含む、[1]~[53]のいずれかに記載の組成物。
[55]前記追加の止血剤が、1種類以上のアルブミン、コラーゲン、フィブリン、トロンビン、キトサン、硫酸第二鉄又はその他の金属硫酸塩を含む、[54]に記載の組成物。
[56]更に可塑剤を含む、[1]~[55]のいずれかに記載の組成物。
[57] 前記可塑剤が、アラビアガム、グアーガム、PVA、ポリビニルピロリドン(PVP)、クエン酸アルキルエステル、グリセリンエステル、フタル酸アルキルエステル、セバシン酸アルキルエステル、ショ糖エステル、ソルビタンエステル、アセチル化モノグリセリド、グリセロール、脂肪酸エステル、グリコール、プロピレングリコール、ラウリン酸、ショ糖、グリセリルトリアセテート、ポロキサマー、ジエチルフタレート、食料脂又は油のモノ-及びジ-グリセリド、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、ポリソルベート、ポリエチレングリコール200~12,000、Carbowaxポリエチレングリコールからなる群から選択される、[56]に記載の組成物。
[58]前記メッシュベース組成物が裏材層を特徴としない、[1]~[57]のいずれかに記載の組成物。
[59]前記メッシュベース組成物が、再吸収性材料を含む裏材層を特徴とする、[1]~[58]のいずれかに記載の組成物。
[60]前記再吸収性材料が、セルロース、酸化セルロース、タンパク質性物質又は炭水化物からなる群から選択される、[59]に記載の組成物。
[61]前記再吸収性材料が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フィブリン、ケラチン、コラーゲン、ゼラチン、アルギン酸塩、キチン、セルロース、プロテオグリカン、グリコール酸ポリマー、乳酸ポリマー又はグリコール酸/乳酸コポリマーからなる群から選択される、[60]に記載の組成物。
[62]更にアルギン酸エステル、アラビアガム、高粘度カルボキシメチルセルロース(CMC)、キサンタンガム、グアーガム、ペクチン及びPVP(ポリビニルピロリドン)を含む、[1]~[61]のいずれかに記載の組成物。
[63]前記架橋性材料が、ゼラチンを含み、更に前記ゼラチンに共有結合できるPEG(ポリエチレングリコール)誘導体を含む、[1]~[62]のいずれかに記載の組成物。
[64]前記PEG誘導体がアミノ化PEG誘導体を含む、[63]に記載の組成物。
[65]前記アミノ化PEG誘導体がPEGアミンを含む、[64]に記載の組成物。
[66]前記架橋性材料がゼラチンを含み、更に前記ゼラチンに共有結合できるPVA(ポリビニルアルコール)誘導体を含む、[1]~[65]のいずれかに記載の組成物。
[67]前記PVA誘導体がアミノ化PVA誘導体を含む、[66]に記載の組成物。
[68]前記アミノ化PVA誘導体がPVAアミンを含む、[67]に記載の組成物。
[69]前記メッシュが、合成又は生物学的である、[1]~[68]のいずれかに記載の組成物。
[70]前記メッシュが分解性である、[69]に記載の組成物。
[71]前記メッシュが非分解性である、[69]に記載の組成物。
[72]矩形又は丸い形状で構成され、[1]~[71]のいずれかに記載の前記組成物を含む、器具。
[73]前記矩形が正方形を含む、[72]に記載の器具。
[74]前記丸い形状が楕円又は円を含む、[72]に記載の器具。
[75]直径又は端から端の距離が、0.5cm~60cmの範囲である、[72]~[74]のいずれかに記載の器具。
[76]前記メッシュ(平方センチメートル)の面積が、0.5cm2~3600cm2の範囲である、[75]に記載の器具。
[77]マージンサイズが0.01~10cmの範囲である、[75]~[76]に記載の器具。
[78]前記直径又は端から端の距離について割合としてのマージンサイズは、0.1%~10%の範囲である、[77]に記載の器具。
[79]前記マージンの面積が、0.0001cm2~1200cm2である、[72]~[78]のいずれかに記載の器具。
[80]前記マージンの面積が、丸い形状の器具に対して0.1cm2~900cm2、正方形の形状の器具に対して0.1cm2~1100cm2である、[79]に記載の器具。
【0397】
[81]前記総器具の面積が、丸い形状の器具に対して0.5cm
2~3000cm
2、正方形の形状の器具に対して0.5cm
2~4000cm
2の範囲である、[72]~[80]のいずれかに記載の器具。
[82]前記メッシュ面積の割合としてのマージン面積は、任意に0.1%~14,000%の範囲である、[72]~[81]のいずれかに記載の器具。
[83]前記総器具面積の割合としての前記マージン面積が、0.1%~100%の範囲である、[82]に記載の器具。
[84] 前記器具の異なるパラメーターにおける前記厚みの寸法が
図2Aに示す前記記号に従って、d1(器具の端からメッシュまでの接着層の厚み)(μm)が、0~10000の範囲である、[72]~[83]のいずれかに記載の器具。
[85] 前記寸法は、d2(メッシュから結合層までの接着層の厚み)(μm)が0~10000の範囲である、[84]に記載の器具。
[86]前記寸法は、d3(メッシュの厚み)(μm)が、100~2500の範囲である、[85]に記載の器具。
[87]前記寸法は、d4(裏材の厚み)(μm)が、1~2000範囲である、[86]に記載の器具。
[88]前記寸法は、d5(結合層の厚み)(μm)が、1~100の範囲である、[87]に記載の器具。
[89]前記寸法は、総厚み(μm)が101~24600の範囲である、[84]~[88]のいずれかに記載の器具。
[90]前記器具の異なるパラメーターにおける前記厚みの前記寸法の比率(パーセンテージとして)は、発泡体厚みに対する裏材厚みの前記%が、0.004~2000.000の範囲である、[72]~[89]のいずれかに記載の器具。
[91]前記比率は、総厚みに対する裏材の前記%が、0.004~1980.198の範囲である、[90]に記載の器具。
[92]発泡体密度(g/ml)が、任意に0.001~0.1の範囲である、[72]~[91]のいずれかに記載の器具。
[93]非接着性裏材(非接着性成分)を適用すること、前記ゼラチンのための多孔質構造を作製すること、ゼラチンと酵素を混合すること、ゼラチンと酵素の前記混合物を前記非接着性裏材に適用すること、及び前記メッシュを前記ゼラチンと酵素の混合物に対して配置することを含む、[1]~[92]のいずれかに記載の前記器具の作製方法。
[94]前記非接着性裏材の前記適用が、ブレードコーティングを含む、[93]に記載の方法。
[95]前記非接着性裏材の前記適用が、1種類以上のエアーナイフコーティング、吹き付け、シルク印刷又は任意のその他の関連印刷プロセス、スピンコーティング、ディップコーティング、カーテンコーティング、溶液のキャスト、ポリマー分散液/溶液の層をコーティングするための任意のその他の適切な方法及び/又は溶融押出(溶媒を伴わず、前記ポリマーのみを加熱)を含む、[93]に記載の方法。
[96]前記接着剤マトリックスための前記多孔質構造の作製が、前記ゼラチン溶液の(物理的)ガス発泡を含む、[93]~[95]のいずれかに記載の方法。
[97]前記接着剤マトリックスがゼラチンを含み、前記接着剤マトリックスのための前記多孔質構造を作製することが、1種類以上の(物理的)エマルション凍結乾燥、(化学的)溶媒キャスト/粒子浸出、超臨界ガス、例えばco2を用いた(物理的)高圧プロセス、(物理的及び/又は化学的)ガス発泡/例えば、分散した重炭酸アンモニウム塩粒子を用いた粒子浸出、熱誘起相分離法、電界紡糸及び/又はラピッドプロトタイピング(例えば3Dプリンターによる)を含む、[93]~[95]のいずれかに記載の方法。
[98]前記ゼラチン及び酵素の混合が、それを通る前記材料の移動に従って混合エレメントが回転することによる静的ミキサーを適用することを含む、[93]~[97]のいずれかに記載の方法。
[99]更に水中油型又は油中水型エマルションの形態の1種類以上の混合すること及び/又はゼラチン連続相中の分散体として封入された酵素微粒子を混合することを含む、[98]に記載の方法。
[100]前記ゼラチン及び酵素の混合物を前記非接着性裏材に前記適用することが、ブレードコーティングを含む、[93]~[99]のいずれかに記載の方法。
[101]前記ゼラチン及び酵素の混合物を前記非接着性裏材に前記適用することが、1種類以上のエアーナイフコーティング、吹き付け、シルク印刷又は任意のその他の関連印刷プロセス、スピンコーティング、ディップコーティング、カーテンコーティング、溶液のキャスト、ポリマー分散液/溶液の層をコーティングするための適切な方法、射出成形及び/又は成形(キャスト)を含む、[93]~[99]のいずれかに記載の方法。
[102]前記メッシュの前記配置が2工程で実施され、前記メッシュが、前記第1の接着層上に配置され、次に第2の接着層がそれを覆う、[93]~[101]のいずれかに記載の方法。
[103]前記接着剤の発泡溶液を既に乾燥した前記裏材上に直接適用することによる接着剤及び裏材層の貼り付けを含む、[93]~[102]のいずれかに記載の方法。
[104]前記2つフィルムを別々に乾燥し次にそれらを貼り付けることによる接着剤及び裏材層の貼り付けを含む、[93]~[102]のいずれかに記載の方法。
[105]前記貼り付けが、結合層を使用することか又はラミネーションプロセスによって実施される、[104]に記載の方法。
[106]前記結合層が、天然由来の多糖又は合成ポリマーを含む、[105]に記載の方法。
[107]前記結合層が、1種類以上のマルトデキストリン、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース又はPVPを含む、[106]に記載の方法。
[108]前記結合層が可塑剤を含む、[107]に記載の方法。
[109]前記可塑剤が1種類以上のグリセロール又はPEGを含む、[108]に記載の方法。
[110]前記裏材が、1種類以上のエアーナイフコーティング、吹き付け、シルク印刷又は任意のその他の関連印刷プロセス、スピンコーティング、カーテンコーティング、ポリマー分散液/溶液の層をコーティングするために既知で任意のその他の方法及び/又はホットメルト押出に従って既に乾燥した前記接着層の上部に適用される、[104]に記載の方法。
[111]前記接着層の乾燥が、-20℃の凍結乾燥(凍結乾燥)を通して実施される、[101]~[110]のいずれかに記載の方法。
[112]前記接着層の乾燥が、1種類以上の熱風乾燥、真空乾燥を通して実施される、[101]~[110]のいずれかに記載の方法。
[113]前記トランスグルタミナーゼの精製を含む、[1]~[112]のいずれかに記載の方法に従って前記トランスグルタミナーゼ及び前記ゼラチンを混合する前のトランスグルタミナーゼ溶液の作製方法。
[114]1種類以上の前記トランスグルタミナーゼ混合物から発酵残留物を除去し;トランスグルタミナーゼ溶液中の前記活性トランスグルタミナーゼ量を濃縮し;担体タンパク質又は炭水化物を除去し;前記トランスグルタミナーゼ溶液の前記エンドトキシンレベルを低下し;及び/又は前記トランスグルタミナーゼ溶液から全ての微生物を除去し、効果的に前記溶液を滅菌することを含む、[113]に記載の方法。
[115]前記精製が、前記トランスグルタミナーゼ溶液をろ過することを含む、[113]又は[114]に記載の方法。
[116]前記ろ過が発酵残留物の大きな固まりを除去するための、時として清澄化として既知の粗ろ過を含む、[115]に記載の方法。
[117]前記粗ろ過が、0.22μmを超える孔径を特徴とする、[116]に記載の方法。
[118]更に前記トランスグルタミナーゼ溶液を第2のろ過プロセスで0.22μm未満の孔径のフィルターに通すことを含む、[117]に記載の方法。
[119]前記第2のろ過段階が、タンジェンシャルフロー又は中空糸限外ろ過技術を含む、[118]に記載の方法。
[120]孔径が10~50kDaの範囲内である、[119]に記載の方法。