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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002634
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】結露防止機構、及びカーテンウォール
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/96 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
E04B2/96
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101959
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 辰雄
【テーマコード(参考)】
2E002
【Fターム(参考)】
2E002NA04
2E002NB01
2E002NC01
2E002UA02
2E002UB04
2E002UB11
2E002WA00
(57)【要約】
【課題】カーテンウォールの枠の縦枠と縦枠との間をゴンドラレールが形成されていても、枠の外気による温度低下を抑制して結露を防止する。
【解決手段】カーテンウォール1に配設され、ゴンドラレール49よりも建物の室外側に位置し、隣り合う縦枠33の互いに向かい合ったそれぞれの外周面にそれぞれ形成された一対の取付部81、82と、一対の取付部81、82にそれぞれ取り付けられゴンドラガイド76の移動経路上に位置し、高さ方向に延在し縦枠33の見付方向においてそれぞれの先端部が重なり合っているとともに、高さ方向に移動するゴンドラガイド76から外力が加えられることで先端部の重なりが解除され先端部が離間可能な一対のウィンドガード84、85と、を備える結露防止機構8。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦枠を有する複数の枠体と、前記枠体の開口に収容されるパネルと、隣り合う前記枠体の前記縦枠と前記縦枠との間に形成されゴンドラガイドを高さ方向に移動可能とするゴンドラレールと、を備え建物の外壁を形成するカーテンウォールに、配設される結露防止機構であって、
前記ゴンドラレールよりも建物の室外側に位置し、隣り合う前記縦枠の互いに向かい合ったそれぞれの外周面にそれぞれ形成された一対の取付部と、
該一対の取付部にそれぞれ取り付けられ前記ゴンドラガイドの移動経路上に位置し、前記高さ方向に延在し前記縦枠の見付方向においてそれぞれの先端部が重なり合っているとともに、前記高さ方向に移動する前記ゴンドラガイドから外力が加えられることで該先端部の重なりが解除され該先端部が離間可能な一対のウィンドガードと、を備える結露防止機構。
【請求項2】
前記ウィンドガードが、ゴム部材で形成されている請求項1に記載の結露防止機構。
【請求項3】
前記ウィンドガードが、モヘアシール部材で形成されている請求項1に記載の結露防止機構。
【請求項4】
前記高さ方向に延在する前記一対のウィンドガードの上端と上端との前記見付方向における間、及び下端と下端との前記見付方向における間の少なくともいずれか一方には、前記一対のウィンドガードの延在方向に向かって延び前記ゴンドラガイドの該一対のウィンドガードに対する進入又は進出を円滑にする切り欠きが形成されている請求項1に記載の結露防止機構。
【請求項5】
縦枠を有する枠体と、前記枠体の開口に収容されるパネルと、隣り合う前記縦枠と前記縦枠との間に形成されゴンドラガイドを高さ方向に移動可能とするゴンドラレールと、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の結露防止機構と、を備え建物の外壁を形成するカーテンウォール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンウォールに配設される結露防止機構、及びカーテンウォールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超高層ビルなどの建築には、水密性を備えるカーテンウォールが用いられている。カーテンウォールは、建物の躯体に取り付けられて、建物の壁部に並べて設置される。カーテンウォールを構成する枠体の互いに隣り合う縦枠(方立材)と縦枠との間には、例えば清掃用のゴンドラの上下動を適切に実施するためのゴンドラレールを配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平06-051471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のカーテンウォールでは、ゴンドラレールが配設された縦枠と縦枠との間から室内側に外気が侵入することで、枠体全体が冷やされて枠体に結露が発生することがある。よって、カーテンウォールの枠体を形成する縦枠と縦枠との間にゴンドラレールを配設していても、枠体の外気による温度低下を抑制して結露を防止するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明に係る結露防止機構は、縦枠を有する複数の枠体と、前記枠体の開口に収容されるパネルと、隣り合う前記枠体の前記縦枠と前記縦枠との間に形成されゴンドラガイドを高さ方向に移動可能とするゴンドラレールと、を備え建物の外壁を形成するカーテンウォールに、配設される結露防止機構であって、前記ゴンドラレールよりも建物の室外側に位置し、隣り合う前記縦枠の互いに向かい合ったそれぞれの外周面にそれぞれ形成された一対の取付部と、該一対の取付部にそれぞれ取り付けられ前記ゴンドラガイドの移動経路上に位置し、前記高さ方向に延在し前記縦枠の見付方向においてそれぞれの先端部が重なり合っているとともに、前記高さ方向に移動する前記ゴンドラガイドから外力が加えられることで該先端部の重なりが解除され該先端部が離間可能な一対のウィンドガードと、を備える。
【0006】
前記ウィンドガードは、例えばゴム部材で形成されている。
【0007】
前記ウィンドガードは、例えばモヘアシール部材で形成されている。
【0008】
例えば、前記高さ方向に延在する前記一対のウィンドガードの上端と上端との前記見付方向における間、及び下端と下端との前記見付方向における間の少なくともいずれか一方には、前記一対のウィンドガードの延在方向に向かって延び前記ゴンドラガイドの該一対のウィンドガードに対する進入又は進出を円滑にする切り欠きが形成されている。
【0009】
また、上記課題を解決するための本発明は、縦枠を有する枠体と、前記枠体の開口に収容されるパネルと、隣り合う前記縦枠と前記縦枠との間に形成されゴンドラガイドを高さ方向に移動可能とするゴンドラレールと、前記結露防止機構と、を備え建物の外壁を形成するカーテンウォールである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る結露防止機構は、ゴンドラレールよりも建物の室外側に位置し、隣り合う枠体の縦枠と縦枠の互いに向かい合ったそれぞれの外周面にそれぞれ形成された一対の取付部に取り付けられゴンドラガイドの移動経路上に位置する一対のウィンドガードが、縦枠の高さ方向に延在している。そして、一対のウィンドガードが、ゴンドラガイドから外力が加えられていない状態では縦枠の見付方向においてそれぞれの先端部が重なり合っていることで、外気のゴンドラレールから室内側への侵入を抑制できる。したがって、縦枠のゴンドラレールから室内側の温度低下を抑制して結露が発生してしまうことを防止できる。また、一対のウィンドガードは、ゴンドラレールに沿ってゴンドラガイドが高さ方向に移動する際に、ゴンドラガイドと接触してゴンドラガイドから外力を加えられることで、先端部の重なりが解除され先端部が離間するため、一対のウィンドガードの間をゴンドラガイドが通過でき、ゴンドラガイドの移動が妨げられない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】建物の躯体に取り付けられて建物の外壁となるカーテンウォールを室外側から見た正面図の一例である。
図2】カーテンウォールを図1のF1-F1線で切断した横断面図である。
図3】モヘアシール部材で形成された一対のウィンドガードを説明する横断面図である。
図4】一対のウィンドガードの上端と上端との見付方向における間、及び下端と下端との見付方向における間に形成され一対のウィンドガードの延在方向に向かって延びるV字状の切り欠きを説明する正面図である。
図5】カーテンウォールを図1のF1-F1線で切断し、一対のウィンドガードをゴンドラガイドが高さ方向に通過する状態を説明する横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の一つの実施形態について、図1から図5を参照して説明する。なお、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0013】
図1は、本実施形態に係る結露防止機構8(図2参照)が配設されたカーテンウォール1を概略的に示す正面図である。図2は、カーテンウォール1の一部を図1のF1-F1線に沿って切断して示す横断面図であり、2つのパネルユニット11がX方向において隣接する箇所を示している。
【0014】
パネル体である図1に示すカーテンウォール1は、例えば、図示しない建物(ビル)の外壁を形成する。なお、図1図5に示すように、本明細書において、便宜上、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、カーテンウォール1の見付(幅)に沿って設けられ、Y軸は、カーテンウォール1の見込(奥行)に沿って設けられ、Z軸は、カーテンウォール1の高さに沿って設けられる。X方向(見付方向)は、+X方向と-X方向とを含む。Y方向(見込方向)は、+Y方向と-Y方向とを含む。Z方向は、+Z方向(上方向)と-Z方向(下方向)とを含む。また、+Y方向は、建物の室内から室外に向かう方向であり、室外側とも称される。-Y方向は、建物の室外から室内に向かう方向であり、室内側とも称される。
【0015】
図1に示すように、カーテンウォール1は、高さ方向(Z方向)及び見付方向(X方向)に並べて設置される複数のパネルユニット11を有する。パネルユニット11は、建物の図示しない躯体に設置前に、予めユニットとして組み立てられる。複数のパネルユニット11は、互いに組み合わされることで、カーテンウォール1を形成する。複数のパネルユニット11はそれぞれ、ファスナ等により、図示しない建物の躯体に取り付けられる。
【0016】
複数のパネルユニット11はそれぞれ、枠体2と、パネル22とを有する。パネル22は、外壁材の一例である。枠体2は、上横枠5及び下横枠6と、二つの縦枠33と、を有する。上横枠5、下横枠6、縦枠33は、押出成形等で形成されたアルミ等の形材によって作られる。
【0017】
上横枠5、及び下横枠6は、略X方向に延在している。下横枠6は、上横枠5から略-Z方向に離間している。二つの縦枠33は、上横枠5の両端と下横枠6の両端との間で略Z方向に延在している。隣り合う二つのパネルユニット11の縦枠33は、方立を形成する。
【0018】
枠体2に、複数の開口37が設けられる。開口37は、上横枠5、縦枠33、及び下横枠6に囲まれる。開口37に嵌められて収容されるパネル22は、例えば、合わせガラスであるが、一枚板ガラスであってもよい。なお、パネル22は、開口37の縁(内周面)から離間していても良い。
【0019】
図1に示すゴンドラ70は、カーテンウォール1の清掃等に用いられるものである。図示しない建物の屋上などにはゴンドラステージ71が配設されており、ゴンドラステージ71によって、ゴンドラ70がカーテンウォール1に対してY方向において対向するようにして室外に吊り下げられる。
【0020】
ゴンドラステージ71には、一対のゴンドラ用ホイスト72が配設されている。これら一対のゴンドラ用ホイスト72は、ビーム721によって所定の間隔が隔てられている。そして、これら一対のゴンドラ用ホイスト72は、ゴンドラステージ71に配設された図示しないゴンドラ用トロリーレールにガイドされ、建物の外周に沿って走行可能である。
【0021】
ゴンドラ用ホイスト72は、ゴンドラ吊下用ワイヤ722を介してゴンドラ70を吊り下げるものであり、ゴンドラ吊下用ワイヤ722を巻き上げることでゴンドラ70を上昇させ、ゴンドラ吊下用ワイヤ722を巻き戻すことによりゴンドラ70を下降させる。
【0022】
図2に示すように、X方向において隣り合う縦枠33は、例えば、最も-Y方向側(室内側)に位置する室内側見込壁41と、室内側見込壁41の+Y方向側(室外側)の端に接続された見付壁42と、見付壁42から室外側(+Y方向)へ延在する室外側見込壁43と、最も室外側に位置する最外壁44と、を備えている。また、以下の記載において、便宜上、X方向のうち、図2に示す対応するパネル22の中心に向かう方向が、内周側と称される。また、X方向のうち、対応するパネル22の外側に向かう方向が、外周側と称される。
【0023】
室内側見込壁41は、Y-Z平面に沿って延在する板状に形成される。室内側見込壁41は、内周面41aと、内周面41aに対してX方向において反対側に位置する外周面41bとを有する。-X方向側に位置する室内側見込壁41の外周面41bには、+X方向側の室内側見込壁41の外周面41bに向けて突出する3つの突壁456、突壁457、突壁463が形成されており、突壁456と突壁457との間に係合へこみ部450が形成されている。
【0024】
+X方向側に位置する室内側見込壁41には、係合へこみ部450に挿入可能な係合突起451が形成されている。係合突起451は、取り付け溝を有し、取り付け溝の間にはガスケット453が配設されている。係合突起451が係合へこみ部450に挿入されて、ガスケット453のリップが係合へこみ部450を形成する突壁456にY方向において接触する。ガスケット453は、エチレンプロピレンジエン(EPDM)ゴム等の弾性体で形成されており、ウィンドバリアとして機能する。
【0025】
また、+X方向側に位置する室内側見込壁41には、突壁463にY方向において対向する突起460が形成されている。突起460にはガスケット461が取り付けられたおり、ガスケット461は突壁463に当接してレインバリアとして機能する。そして、図2に示すガスケット461とガスケット453との間が等圧空間47となる。例えば、ガスケット461には、等圧空間47に外気を導入し、等圧空間47内と外気圧を等しくするための図示しない等圧孔が形成されている。等圧空間47は、室外(外気)の気圧(外気圧)と等しい気圧の空間である。
【0026】
枠体2の内部には、ゴンドラガイド76(図5参照)を通過可能とするゴンドラレール49が形成されている。図2に示す例においては、ゴンドラレール49は、室内側見込壁41の外周面41bと、突壁463と、見付壁42との間に形成されており、高さ方向(Z方向)に延在している。
【0027】
見付壁42は、室内側見込壁41の室外側の端に一体的に接続され、略外周側に延在している。なお、室内側見込壁41と室内側見込壁41との見付方向における間隔は、室外側見込壁43と室外側見込壁43との見付方向における間隔よりも大きくなっている。見付壁42は、略平坦に形成されて室外側に向く外側面42aを備えている。
【0028】
見付壁42の外側面42aには、例えばガスケット取付突起が室外側に向かって突設している。そしてガスケット取付突起にガスケット425が嵌合した状態で取り付けられて、ガスケット425がパネル22の室内側となる内壁面22aに当接している。
【0029】
Y-Z平面に沿って延在する板状に形成された室外側見込壁43は、見付壁42の外周側における端部から、室外側となる+Y方向に延びている。このため、室内側見込壁41、見付壁42、及び室外側見込壁43は、略階段状に互いに接続されている。室外側見込壁43の室外側の端部は、パネル22の内壁面22aの反対面となる外壁面22bよりも室外側に位置している。
【0030】
室外側見込壁43は、内周面43aと、内周面43aに対してX方向において反対側に位置する外周面43bとを有する。室外側見込壁43の内周面43aは、パネル22の横側縁部227に見付方向において対向している。
【0031】
見付壁42とX-Z平面に沿って延在する板状の最外壁44とのY方向における間には、パネル22の見付方向における横側縁部227を収容する収容空間441を形成している。室外側見込壁43の内周面43aには、断面L字状の長尺部材である押縁438が取り付けられており、押縁438とパネル22の外壁面22bとの間にガスケット439を挟んだ状態で、押縁438によってパネル22が抑えられている。そして、押縁438とガスケット439と最外壁44との接続部分が封止されている。
【0032】
図2に示すように、パネル22は、見付壁42と最外壁44との間に位置しており、本実施形態においては合わせガラスである。そして、ガラス板の間にスペーサ及び封着材が配設されている。
【0033】
図2に示すように、カーテンウォール1は、本実施形態の結露防止機構8を備えている。結露防止機構8は、ゴンドラレール49よりも建物の室外側(+Y方向)に位置し、隣り合う縦枠33の互いに向かい合ったそれぞれの外周面43bにそれぞれ形成された一対の取付部81、82と、一対の取付部81、82にそれぞれ取り付けられゴンドラガイド76(図5参照)の高さ方向における移動経路上に位置し、高さ方向に延在し縦枠33の見付方向においてそれぞれの先端部が重なり合っているとともに、高さ方向に移動するゴンドラガイド76から外力が加えられることで先端部の重なりが解除され先端部が離間可能な一対のウィンドガード84、85と、を備える。
【0034】
一対の取付部81、82は、図2に示す例においては、縦枠33を構成する室外側見込壁43の外周面43bに一体的に形成され高さ方向(Z方向)に延在する係合溝である。一対のウィンドガード84、85は、図2に示す例においては、EPDMゴム等のゴム部材で形成され弾性変形可能なガスケットである。そして、ウィンドガード84及びウィンドガード85は、一対の取付部81、82に根元部分がそれぞれ取り付けられており、高さ方向に延在している。
【0035】
ウィンドガード84の見付方向における先端部となるリップとウィンドガード85の見付方向における先端部となるリップとが、外力が加えられていない状態においては、所定長さ分見付方向において重なっており、図示の例においては、さらに重なった先端部が室内側に向かって突き出るように曲がった状態になっている。そして、一対のウィンドガード84、85によって、隣り合う室外側見込壁43と室外側見込壁43との間に形成され外気が室内側に流れていく外気路48が、閉じられた状態になっている。なお、例えば、ガスケットである一対のウィンドガード84、85は、図示の例においては先端部となるリップがそれぞれ一枚となっているが、それぞれ二枚以上のリップを備えていてもよい。
【0036】
一対の取付部81、82に対して、図2に示す一対のウィンドガード84、85に代えて、図3に示すモヘアシール部材で形成された別例の一対のウィンドガード86、87を取り付けてもよい。一対のウィンドガード86、87は、それぞれ、例えば弾力性を備える樹脂繊維を直毛状に形成した毛部880を、一対の取付部81、82に取り付けられたそれぞれの台部881の対向する外周面に密集させたものである。一対のウィンドガード86、87は、高さ方向に延在している。そして、ウィンドガード86の見付方向における先端部となる毛部880とウィンドガード87の見付方向における先端部となる毛部880とが、図3に示すように外力が加えられていない状態では、所定長さ分だけ見付方向において重なった状態となっている。そして、一対のウィンドガード86、87によって、隣り合う室外側見込壁43と室外側見込壁43との間の外気が室内側に流れていく外気路48が閉じられた状態になっている。
【0037】
図4は、図2に示す一対のウィンドガード84、85を室外側から見た正面図である。図4に示すように縦枠33の高さ方向(Z方向)における一対のウィンドガード84の上端845とウィンドガード85の上端855との見付方向における間には、一対のウィンドガード84、85の延在方向である-Z方向に向かって例えばV字状に延びる切り欠き846が形成されている。そして、該切り欠き846が図5に示すゴンドラガイド76の入退出口となる。また、一対のウィンドガード84の下端847とウィンドガード85の下端857との見付方向における間には、一対のウィンドガード84、85の延在方向である+Z方向に向かってV字状に延びる切り欠き848が形成されている。そして、該切り欠き848が図5に示すゴンドラガイド76の入退出口となる。なお、一対のウィンドガード84、85の上端845と上端855との見付方向における間、及び下端847と下端857との見付方向における間は、V字状に切り欠かれておらず平坦となっていてもよいし、いずれか一方のみに切り欠きが形成されていてもよい。また、例えば、上記切り欠き846は、-Z方向に向かって曲がりながら幅が狭まるくさび状に延びていたり、半円状又は半楕円状に延びていたりしてもよい。例えば、上記切り欠き848は、+Z方向に向かって曲がりながら幅が狭まるくさび状に延びていたり、半円状又は半楕円状に延びていたりしてもよい。
【0038】
以下に、カーテンウォール1に配設された結露防止機構8の機能及び動作について説明する。図2に示すカーテンウォール1においては、ゴンドラガイド76(図5参照)が、縦枠33と縦枠33との間に形成されたゴンドラレール49に進入していない。そして、一対のウィンドガード84、85のそれぞれの先端部となるリップが、所定長さ分だけ見付方向において重なった状態になっている。そのため、一対のウィンドガード84、85によって、隣り合う室外側見込壁43と室外側見込壁43との間に形成された外気路48が閉じられた状態になっている。
【0039】
そのため、縦枠33と縦枠33との間における一対のウィンドガード84、85よりも室内側の領域への外気の侵入を抑制でき、縦枠33のゴンドラレール49から室内側の温度低下を抑制して結露の発生を防止できる。カーテンウォール1が仮に結露防止機構8を備えていない場合においては、例えば、外気が-10.0℃であったならば、縦枠33のゴンドラレール49から室内側の温度が-5.0℃まで低下する。一方、カーテンウォール1は結露防止機構8を備えていることで、縦枠33のゴンドラレール49から室内側の温度低下を-0.7℃で留めることができる。
【0040】
なお、図2に示す一対の取付部81、82に図3に示すモヘアシール部材で形成される一対のウィンドガード86、87が取り付けられている場合であっても上記と略同様の効果を得ることができる。即ち、ウィンドガード86の見付方向における先端部となる毛部880とウィンドガード87の見付方向における先端部となる毛部880とが、所定長さ分重なった状態となっていることで、隣り合う室外側見込壁43と室外側見込壁43との間に形成されている外気路48が閉じられており、縦枠33と縦枠33との間における一対のウィンドガード86、87よりも室内側の領域への外気の侵入を抑制できる。よって、縦枠33のゴンドラレール49から室内側の温度低下を抑制して、結露の発生を防止できる。
【0041】
次いで、図5に示すゴンドラガイド76がゴンドラレール49内を高さ方向に移動する場合の、結露防止機構8の機能及び動作について説明する。図1に示すゴンドラ70にゴンドラガイド76は連結されている。なお、図5においてはゴンドラ70を簡略化して示している。室外に位置するゴンドラ70に連結されたゴンドラガイド76は、ゴンドラレール49に沿って高さ方向に上下動して、作業者が乗ったゴンドラ70の作業動作時の揺れ、及び作業時の風による揺れなどを低減させる役割を果たす。
【0042】
例えば、図5に示すゴンドラガイド76は、ゴンドラ70に連結された連結バー761と、連結バー761の室内側を向く先端に取り付けられた可動ベース762とを備えている。連結バー761は、室外から隣り合う室外側見込壁43と室外側見込壁43との間の外気路48を通りゴンドラレール49内に至る長さで、Y方向に延在している。可動ベース762は、例えば、Y方向の両側面に配設された図示しない嵌合部がゴンドラレール49内に形成された図示しないレール溝に緩嵌合して、高さ方向に延在するゴンドラレール49内を高さ方向に摺動する。
【0043】
例えば、図1図5に示すカーテンウォール1が配設される図示しない建物の屋上等には、カーテンウォール1の隣り合う縦枠33と縦枠33との間に形成されたゴンドラレール49、及び外気路48に高さ方向から進入可能な進入口が設置されている。そして、図1に示すゴンドラ用ホイスト72によって室外で下降するゴンドラ70とともに、図5に示す外気路48に対して外気路48の高さ方向における上端から連結バー761が下降しつつ進入する。連結バー761の該進入とともに、ゴンドラレール49に対して可動ベース762が下降しつつ進入する。
【0044】
ここで、図5に示す外気路48に対して高さ方向において下降しつつ進入する連結バー761が、一対のウィンドガード84、85の上端845の入退出口846(図4参照)から一対のウィンドガード84、85に当接して外力(押圧力)を加えることで、図5に示すように例えばEPDMゴム等で形成された一対のウィンドガード84、85の先端部の重なりが解除されるように変形して、該先端部が見付方向において離間する。したがって、ウィンドガード84とウィンドガード85と間に連結バー761が進入でき、ゴンドラレール49内を下降するゴンドラガイド76の移動が妨げられることはない。
【0045】
本実施形態の結露防止機構8においては、一対のウィンドガード84の上端845とウィンドガード85の上端855との見付方向における間に、一対のウィンドガード84、85の延在方向である-Z方向に向かって延びるV字状の切り欠き846が入退出口として形成されているため、上端845及び上端855が仮に平坦である場合よりも、図5に示す連結バー761の上端845と上端855との間に進入する際の引っ掛かりが少なくなる。即ち、連結バー761のウィンドガード84とウィンドガード85との間への高さ方向における進入が、より円滑に実施可能になる。
【0046】
また、一対のウィンドガード84の図4に示す下端847とウィンドガード85の下端857との見付方向における間には、一対のウィンドガード84、85の延在方向である+Z方向に向かうV字状の切り欠き848が入退出口として形成されているため、下端847及び下端857が仮に平坦である場合よりも、連結バー761の下端847と下端857との間から退出する際の引っ掛かりが少なくなる。即ち、ウィンドガード84とウィンドガード85との間を下降しながら通過する連結バー761の、一対のウィンドガード84、85からの退出がより円滑になる。
【0047】
図5に示すように、一対のウィンドガード84、85に対して連結バー761がその間に高さ方向から進入することで、ゴム部材で形成される一対のウィンドガード84、85の離間したそれぞれの先端部が、連結バー761の外周面に倣って湾曲しながら接触する。したがって、ゴンドラレール49内をゴンドラガイド76が下降している最中においても、隣り合う室外側見込壁43と室外側見込壁43との間の外気路48は外気に対してほとんど閉じられた状態となる。したがって、縦枠33と縦枠33との間における一対のウィンドガード84、85よりも室内側の領域への外気の侵入を抑制でき、縦枠33のゴンドラレール49から室内側の温度低下を抑制して結露が発生するのを防止できる。
【0048】
例えば、一対の取付部81、82に図3に示すモヘアシール部材で形成される一対のウィンドガード86、87が取り付けられている場合であっても、外気路48に高さ方向において下降しながら進入する連結バー761が、一対のウィンドガード86、87の上端から一対のウィンドガード86、87に当接して外力を加えることで、一対のウィンドガード86、87の先端部となる毛部880の重なりが解除されるように変形して、毛部880が見付方向において離間する。したがって、ウィンドガード86とウィンドガード87と間に連結バー761が進入でき、ゴンドラレール49内を下降するゴンドラガイド76の移動が妨げられることはない。
【0049】
また、一対のウィンドガード86、87の間に連結バー761が進入することで、それぞれの毛部880が連結バー761の外周面に倣って湾曲しながら接触する。したがって、ゴンドラレール49内をゴンドラガイド76が下降している最中においても、隣り合う室外側見込壁43と室外側見込壁43との間に形成されている外気路48は、外気に対してほとんど閉じられた状態となる。したがって、縦枠33と縦枠33との間における一対のウィンドガード86、87よりも室内側の領域への外気の侵入を抑制でき、縦枠33のゴンドラレール49から室内側の温度低下を抑制して結露の発生を抑制できる。
【0050】
2015年9月の国連サミットにおいて採択された17の国際目標として、「持続可能な開発目標(Sustainable DevelopmentGoals:SDGs)」がある。本実施形態に係る結露防止機構8、及びカーテンウォール1は、このSDGsの分類コードが定められた17の目標のうち、例えば「分類コード11:住み続けられるまちづくりを」の目標などの達成に貢献し得る。また、本発明の実施形態を上記のように説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1:カーテンウォール 11:パネルユニット
2:枠体 22:パネル
33:縦枠 37:開口
41:室内外見込壁 42:見付壁 43:室外側見込壁 44:最外壁
453:ガスケット(ウィンドバリア)
461:ガスケット(レインバリア)
47:等圧空間 48:外気路
49:ゴンドラレール
5:上横枠
6:下横枠
70:ゴンドラ 71:ゴンドラステージ 72:ゴンドラ用ホイスト
76:ゴンドラガイド 761:連結バー 762:可動ベース
8:結露防止機構
81,82:一対の取付部
84,85:ゴム部材で形成される一対のウィンドガード
86,87:モヘアシール部材で形成される一対のウィンドガード
図1
図2
図3
図4
図5