(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026347
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】軟部組織断裂部を修復するためのシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/56 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
A61B17/56
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023209474
(22)【出願日】2023-12-12
(62)【分割の表示】P 2021516960の分割
【原出願日】2019-09-30
(31)【優先権主張番号】62/791,127
(32)【優先日】2019-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/738,551
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/782,689
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500103074
【氏名又は名称】コンメッド コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロンバルド ジュゼッペ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】半月板断裂部などの軟部組織の断裂部を修復するシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】アンカシステム100は、縫合糸106の長さに接続された第1のインプラント102を有する。縫合糸106の長さは、張力リム123が第1のインプラント102から延び、ロックリム121が第1のインプラント102から延びるように折り畳まれる。アンカシステム100は、ロックリム121に固定された第2のインプラント104と、第1、第2のインプラント102,104との間の縫合糸106の長さの調整機構108と、も含む。張力リム123は、調整機構108を通過する。これにより、第1のインプラント102を通って調整機構108から延びる縫合糸106の長さ内の調整ループ126が形成される。調整ループ126は、第1、第2のインプラント102、104を互いに対して相対的位置に移動させるための1方向調整可能なループである。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫合糸の長さであって、前記縫合糸の長さが、張力リムが前記第1のインプラントから延び、ロックリムが前記第1のインプラントから延びるように折り畳まれた、縫合糸の長さ、に接続された第1のインプラントと、
前記ロックリムに固定された第2のインプラントと、
前記第1のインプラントと前記第2のインプラントとの間の前記縫合糸の長さの調整機構と、を備え、
前記張力リムが前記調整機構を通過する、アンカシステム。
【請求項2】
前記第1のインプラントを通って前記調整機構から延びる前記縫合糸の長さ内の調整ループをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記調整機構が、アイスプライスである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記アイスプライスが前記ロックリム内にある、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記第2のインプラントが、前記ロックリム内の穿刺ヒッチを介して前記ロックリムに固定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記穿刺ヒッチが、前記ロックリムの端部を前記ロックリム内の穴を通して挿入することによって形成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1のインプラントおよび前記第2のインプラントが長方形である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1のインプラントおよび前記第2のインプラントの各々に、一対の間隔を置いた隣接する開口をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記一対の間隔を置いた隣接する開口の各開口の間に、丸みを帯びたサドルをさらに備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記縫合糸の長さが、前記第1のインプラントおよび前記第2のインプラントの各々の前記一対の間隔を置いた隣接する開口部を通って延びる、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
そこから遠位に延びる針を有する細長い本体と、
前記細長い本体内のプッシャアセンブリであって、前記プッシャアセンブリが、プッシャ本体から遠位に延びるカニューレ状プッシャロッドおよび前記細長い本体を通って前記プッシャ本体から延びるアクチュエータを備え、
前記カニューレ状プッシャロッドが前記針内でスライド可能である、プッシャアセンブリと、
前記細長い本体上のロック機構であって、前記ロック機構がロック位置とロック解除位置との間で移動可能である、ロック機構と、を備え、
前記ロック機構が前記ロック位置にある時に、前記アクチュエータが第1の構成から第2の構成に移動可能であり、前記ロック機構が前記ロック解除位置にある時に、前記アクチュエータが前記第2の構成から第3の構成に移動可能である、送達デバイス。
【請求項12】
前記プッシャロッドの遠位端部と前記プッシャ本体との間にリリーフエリアをさらに備える、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記リリーフエリアから前記プッシャロッド内に延びるスリットをさらに備える、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記カニューレ状プッシャロッドと前記針の内腔との間にピンチ点をさらに備える、請求項11に記載のデバイス。
【請求項15】
前記アクチュエータが、サムスライドである、請求項11に記載のデバイス。
【請求項16】
半月板修復の方法であって、
送達デバイスに、そこから遠位に延びる針を有する細長い本体と、前記細長い本体内のプッシャアセンブリであって、前記プッシャアセンブリが、前記プッシャ本体から遠位に延びるカニューレ状プッシャロッドおよび前記細長い本体を通って前記プッシャ本体から延びるアクチュエータを備え、前記カニューレ状プッシャロッドが前記針内でスライド可能である、プッシャアセンブリと、前記細長い本体上のロック機構であって、前記ロック機構が、ロック位置とロック解除位置との間で移動可能である、ロック機構と、を提供することと、
縫合糸の長さであって、前記縫合糸の長さが、張力リムが第1のインプラントから延び、ロックリムが前記第1のインプラントから延びるように折り畳まれた、縫合糸の長さ、に接続された前記第1のインプラントと、前記ロックリムに固定された第2のインプラントと、前記第1のインプラントと前記第2のインプラントとの間の前記長さの縫合糸の調整機構と、を有し、前記張力リムが前記調整機構を通過する、アンカシステムを提供することと、
前記針を、組織の第1の側面上の第1の穿刺位置に位置付けることと、
前記針を、前記第1の穿刺位置を通して前記組織の第2の側面に穿刺することと、
前記アクチュエータを遠位に移動させ、前記送達デバイスから前記第1のインプラントを展開することと、
前記組織の前記第1の側面上の前記第1の穿刺位置から前記針を取り除くことと、
前記針を、前記組織の第2の側面上の第2の穿刺位置に位置付けることと、
前記針を、前記第1の穿刺位置を通して前記組織の第2の側面に穿刺することと、
前記ロック機構を前記ロック位置から前記ロック解除位置へ移動させることと、
前記アクチュエータを遠位に移動し、前記送達デバイスから前記第2のインプラントを展開することと、を含む、方法。
【請求項17】
前記張力リムを引くステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記張力リムを引く前記ステップが、前記第1および前記第2のインプラントを前記組織の前記第2の側面に向けて引く、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記カニューレ状プッシャロッドと前記針との間に前記張力リムを位置付けるステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記アクチュエータを近位に移動させ、前記カニューレ状プッシャロッドと前記針との間の前記張力リムを切断するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年9月28日出願の、「System and Method for Repairing Soft Tissue Tears」と題する米国仮特許出願第62/738,551号、2019年3月1日出願の、「System and Method for Repairing Soft Tissue Tears」と題する米国仮特許出願第62/791,127号、および2018年12月20日出願の、「System and Method for Repairing Soft Tissue Tearsと題する米国仮特許出願第62/782,689号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、概して、手術ツールおよび手術器具に関し、より具体的には、半月板断裂部などの軟部組織断裂部を修復するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
半月板は、脛骨の上部と大腿骨の下部の間の膝関節内に位置する軟骨片である。半月板は、互いに対する脛骨および大腿骨の安定した移動を促進し、衝撃を吸収し、荷重を分散させる役割を果たす。半月板は、傷害および/または事故の結果として頻繁に損傷(例え
ば、断裂)される。損傷した半月板は、膝関節の適切な動きを妨げ、とりわけ痛みを引き
起こす可能性がある。
【0004】
より具体的には、無傷の半月板の本質的な役割、および適切な膝機能に関するその重要性は、十分に文書化されており、一般整形外科コミュニティによって受け入れられている。膝の安定性を維持しながら、膝関節を通して移動する体重を支える力を最適に分配するには、無傷で機能する半月板が不可欠である。半月板は、膝の関節軟骨表面を程するのにも重要である。半月板組織の欠損は、変形性膝関節症の発症の重要な前兆であると考えられる。
【0005】
断裂半月板の修復における大きな課題は、組織自体が一様な血管ではない線維性構造であるという事実である。半月板の血管ゾーンは、半月板組織の約3分の1を含み、概して「赤-赤」および「赤-白」のゾーンとして認識される。「赤-赤」ゾーン(すなわち、
半月板の最も血管が発達した部分)は、半月板の修復が容易に治癒し、その外周に沿って
位置するエリアである。「赤-白」ゾーンは、最も血管の多い部分から半月板の内側に向かって延び、最終的には血液供給が減少して非血管組織となる(これは「白-白」ゾーンと呼ばれることもある)。修復の成功が「赤-白」ゾーンで達成されるには、適切な手術技術が非常に重要であると考えられている。すべての半月板断裂の約15%は「赤-赤」ゾーンで発生し、さらに15%は「赤-白」ゾーンで発生し、残りの70%は半月板の「白-白」(または非血管)ゾーンで発生するというのが、一般的に受け入れられている知識である。
【0006】
断裂した半月板を修復する上でのもう1つの大きな課題は、断裂部のサイズおよび形状が様々であるため、断裂した組織の縮小および並置が困難であることである。適切な並置および安定性がないと、断裂した半月板組織は適切に治癒しない。
【0007】
断裂した半月板組織を修復する技術は、1980年代を支点通して初期のスポーツ医学に焦点を当てた外科医によって最初に開発され、開拓された。最も早い方法は、修復にお
いて縫合のみを採用した。「インサイドアウト」および「アウトサイドイン」で縫合する技術は、半月板組織の修復のためのいわゆるゴールドスタンダードとなった。これらの技術はいずれも、小径の縫合糸(サイズ2-0または3-0)を半月板に通して断裂部を縮小閉鎖し、次いで縫合糸ノットを膝被膜の上で結んで断裂部を固定安定させることに焦点を置いていた。これらの初期の全縫合修復の特徴は、縫合糸ノットが膝関節の外側にあるため半月板の表面が比較的滑らかに保たれ、針および縫合糸の使用により、外科医は断裂部を適切に縮小および安定化させる上で非常に多くの柔軟性を得たことである。
【0008】
やがて、これらの初期の外科医は、半月板のより非血管性のエリアで血管反応を促進するための補完的な技術を併用するようになった。断裂縁部および半月板のやすりがけ、間歇的な血栓の適用、血管チャネルを作るための穿孔、筋膜鞘または滑膜フラップの被覆などの方法は、そのような併用技術を使用しない修復と比較して、半月板の断裂部を治癒するのに150%高い効果を有することが、いくつかの研究で示されている。
【0009】
前述の全縫合のインサイドアウトおよびアウトサイドインの修復技術に関連する特定の問題および課題は、主に「ユーザインターフェース」および半月板の膝被膜への「テザリング」に関する問題を中心としている。より具体的には、「ユーザインターフェース」の問題は、一般的に、手術室で必要とされる技術的要求に関連している:半月板の前部から半月板の後部を通して膝関節の後部/内側から針および縫合糸を安全に通すために必要な外科医のスキルおおび助手の数(すなわち、いわゆる「インサイドアウト」技術);または、針と縫合糸を膝の外側の内側から膝関節内に通し、半月板を通過させ、回収して半月板に再挿入し、被膜を通過させて膝の内側に戻す方法(いわゆる「アウトサイドイン」技術)。前述のテザリングの問題は、半月板の膝被膜へのそのようなテザリングが、半月板の正常な生体力学(例えば、荷重および力の分配など)を妨害する可能性があることを示唆する証拠があるので、膝被膜上に縫合糸を固定し、それによって半月板を膝被膜に「テザリング」することについてのより最近の懸念に関連している。
【0010】
1980年代後半、半月板の重要性に対する認識が高まるにつれ、半月板修復の新しい方法が開発された。これらの新しい方法は、より容易に、より単純に、より迅速に達成するために、手順の実行を改善することに焦点を当てた。新しいゴールドスタンダードのアプローチは、いわゆる「オールインサイド」技術となった。オールインサイド技術は、膝のカプセルを破らず、膝の後面/内側面を切開しないことを意図している(すなわち、上述のインサイドアウトおよびアウトサイドインの縫合技術で必要とされるように)。オールインサイド技術を用いて、近似および固定の両方の修復全体が関節内で行われる。
【0011】
最初のオールインサイド修復デバイスは、標準的な関節鏡ポータルから挿入され、次いで、半月板を強制的に押して断裂部を通過させ、それによって縫合糸を使用せずに断裂部を閉鎖固定するタック状のインプラントであった。これらのタック状のインプラントは、PLA、PLLA、PGAなどの生体材料で形成されており、時間の経過とともに生分解することが期待された。しかし、これらの材料は、最初に挿入されたときには非常に硬く、使用中には予想よりもはるかにゆっくりと分解するかまたは生体吸収されることがわかった。多くの発表された研究では、断裂の再形成、膝関節内でのインプラントの緩み、関節軟骨の損傷につながるデバイスの不具合が報告されているため、臨床使用および追跡調査により、タック状のインプラントを膝関節内で使用することには固有のリスクがあることが示された。さらに、外科医が、これらのタック状のインプラントを使用して様々な断裂部の形状およびサイズに適切に対処することは、困難である可能性がある。
【0012】
その結果、縫合糸ベースの修復に注目が戻り、オールインサイド技術を用いて縫合糸ベースの修復を行うことに新たな焦点が当てられている。この目標を達成しようとする最近のシステムがいくつかある。しかし、これらのシステムのいずれも、完全に満足できるも
のではないことがわかっている。
【0013】
したがって、半月板修復のための新しい改善された方法および装置に対するニーズがある。
【0014】
関連技術の項の免責条項の説明:特定の特許/刊行物/製品がこの関連技術の項の説明または本開示の他の場所で説明されている限り、これらの説明は説明された特許/刊行物/製品が特許法上の先行技術であることを認めるものとみなされるべきではない。例えば、説明された特許/刊行物/製品の一部または全ては、時間的に十分早期でない可能性があり、時間的に十分早期に開発された主題を反映していない可能性があり、および/または特許法の目的に対して先行技術に相当するほど、十分に有効ではない可能性がある。特定の特許/刊行物/製品が、この関連技術の説明の項および/または出願全体を通して上述されている限り、その記載/開示はそのそれぞれの全体が参照により全て本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0015】
本発明の実施形態は、半月板断裂部などの軟部組織の断裂部を修復するためのシステムおよび方法に関する。一態様によれば、アンカシステムは、縫合糸の長さに接続された第1のインプラントを有する。縫合糸の長さは、張力リムが第1のインプラントから延び、ロックリムが第1のインプラントから延びるように折り畳まれる。アンカシステムは、ロックリムに固定された第2のインプラントと、第1のインプラントと第2のインプラントとの間の縫合糸の長さの調整機構と、も含む。張力リムは、調整機構を通過する。
【0016】
別の態様によれば、本発明は送達デバイスである。送達デバイスは、そこから遠位に延びる針と、細長い本体内のプッシャアセンブリと、を有する細長い本体を含む。プッシャアセンブリは、プッシャ本体から遠位に延びるカニューレ状プッシャロッドおよび細長い本体を通ってプッシャ本体から延びるアクチュエータを有する。カニューレ状プッシャロッドは、針内でスライド可能である。送達デバイスは、ロック位置とロック解除位置との間で移動可能な細長い本体上にロック機構も含む。アクチュエータは、ロック機構がロック位置にあるときに、第1の構成から第2の構成へと移動可能であり、アクチュエータは、ロック機構がロック解除位置にあるときに、第2の構成から第3の構成へと移動可能である。
【0017】
さらに別の態様によれば、本発明は、半月板修復の方法である。本方法は、以下のステップを含む: (i)送達デバイスに、そこから遠位に延びる針を有する細長い本体と、細長い本体内のプッシャアセンブリであって、プッシャアセンブリが、プッシャ本体から遠位に延びるカニューレ状プッシャロッドおよび細長い本体を通ってプッシャ本体から延びるアクチュエータを備え、カニューレ状プッシャロッドが針内でスライド可能である、プッシャアセンブリと、細長い本体上のロック機構であって、ロック機構が、ロック位置とロック解除位置との間で移動可能である、ロック機構と、を提供すること、(ii)縫合糸の長さであって、縫合糸の長さが、張力リムが第1のインプラントから延び、ロックリムが第1のインプラントから延びるように折り畳まれた、縫合糸の長さ、に接続された第1のインプラントと、ロックリムに固定された第2のインプラントと、第1のインプラントと第2のインプラントとの間の上記長さの縫合糸の調整機構と、を有し、張力リムが調整機構を通過する、アンカシステムを提供すること、(iii)針を、組織の第1の側面上の第1の穿刺位置に位置付けること、(iv)針を、第1の穿刺位置を通して組織の第2の側面に穿刺すること、(v)アクチュエータを遠位に移動させ、送達デバイスから第1のインプラントを展開すること、(vi)組織の第1の側面上の第1の穿刺位置から針を取り除くこと、(vii)針を、組織の第2の側面上の第2の穿刺位置に位置付けること、(viii)針を、第1の穿刺位置を通して組織の第2の側面に穿刺することと、(
ix)ロック機構をロック位置からロック解除位置へ移動させること、(x)アクチュエータを遠位に移動し、送達デバイスから第2のインプラントを展開すること。
【0018】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下に記載される実施形態を参照して明らかになり、解明されよう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の1つ以上の態様は、本明細書の結論において、特許請求の範囲の例として具体的に指摘され、明確に特許請求されている。本発明の前述の、および他の目的、特徴、ならびに利点は、添付図面と併せて取り上げられる以下の記載から明らかである。
【0020】
【
図1】ある実施形態に係る、アンカの側面斜視図概略図である。
【
図2】ある実施形態に係る、アンカシステムのインプラントの側面斜視図概略図である。
【
図3A】ある実施形態に係る、縫合糸に穿刺ヒッチを形成する第1のステップの斜視図概略図である。
【
図3B】ある実施形態に係る、縫合糸に穿刺ヒッチを形成する第2のステップの斜視図概略図である。
【
図3C】ある実施形態に係る、縫合糸に穿刺ヒッチを形成する第3のステップの斜視図概略図である。
【
図3D】ある実施形態に係る、縫合糸に穿刺ヒッチを形成する最終ステップの斜視図概略図である。
【
図4】ある実施形態に係る、第2のインプラントに接続された縫合糸の長さの斜視図概略図である。
【
図5】ある実施形態に係る、展開前の構成におけるアンカシステムの斜視図概略図である。
【
図6】ある実施形態に係る、展開前の構成におけるアンカシステムの斜視図概略図である。
【
図7】代替的な実施形態に係る、アンカシステムの側面図概略図である。
【
図8】
図7のアンカシステムの斜視図概略図である。
【
図9】
図7のアンカシステムの別の斜視図概略図である。
【
図10】別の代替的な実施形態に係る、アンカシステムの斜視図概略図である。
【
図11】ある実施形態に係る、送達デバイスの斜視図概略図である。
【
図12】ある実施形態に係る、送達デバイスのプッシャアセンブリの斜視図概略図である。
【
図13】ある実施形態に係る、第1の構成における送達デバイスの側面図概略図である。
【
図14】ある実施形態に係る、第2の構成における送達デバイスの側面図概略図である。
【
図15】ある実施形態に係る、ロック機構がロック解除位置にある送達デバイスの側面図概略図である。
【
図16】ある実施形態に係る、第3の構成における送達デバイスの側面図概略図である。
【
図17】ある実施形態に係る、第4の構成における送達デバイスの側面図概略図である。
【
図18】代替的な実施形態に係る、送達デバイスの上面図概略図である。
【
図19】代替的な実施形態に係る、送達デバイスの側面図概略図である。
【
図20】代替的な実施形態に係る、送達デバイスの断面側面図概略図である。
【
図21】代替的な実施形態に係る、第1の構成における送達デバイスの断面側面図概略図である。
【
図22】代替的な実施形態に係る、第2の構成における送達デバイスの断面側面図概略図である。
【
図23】ある実施形態に係る、展開された構成におけるアンカシステムの上面図概略図である。
【
図24】別の実施形態に係る、展開された構成におけるアンカシステムの上面斜視図概略図である。
【
図25】代替的な実施形態に係る、展開された構成におけるアンカシステムの上面斜視図概略図である。
【
図26】ある実施形態に係る、展開された構成におけるアンカシステムの側面斜視図概略図である。
【
図27】ある実施形態に係る、展開された構成におけるアンカシステムの上面斜視図概略図である。
【
図28】ある実施形態に係る、展開された構成におけるアンカシステムの上面斜視図概略図である。
【
図29】ある実施形態に係る、アンカシステムを展開する送達デバイスの上面斜視図概略図である。
【
図30】ある実施形態に係る、アンカシステムを展開する送達デバイスの上面斜視図概略図である。
【
図31】ある実施形態に係る、アンカシステムを展開する送達デバイスの上面斜視図概略図である。
【
図32】ある実施形態に係る、アンカシステムを展開する送達デバイスの上面斜視図概略図である。
【
図33】ある実施形態に係る、アンカシステムを展開する送達デバイスの上面斜視図概略図である。
【
図34】ある実施形態に係る、アンカシステムを展開する送達デバイスの上面斜視図概略図である。
【
図35】ある実施形態に係る、アンカシステムを展開する送達デバイスの上面斜視図概略図である。
【
図36】ある実施形態に係る、展開された構成のアンカシステムの上面斜視図概略図である。
【
図37】ある実施形態に係る、展開された構成におけるアンカシステムの上面斜視図概略図である。
【
図38】ある実施形態に係る、展開された構成におけるアンカシステムの上面斜視図概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の態様およびその特定の特徴、利点、ならびに詳細は、添付図面に図示した非限定的な例を参照しながらより完全に以下に説明される。本発明の詳細を不必要に不明瞭にしないよう、周知の構造の説明は省略される。しかし、当然のことながら、詳細な説明および特定の非限定的な例は、本発明の態様を示すものであるが、例示のみの目的で与えられ、限定の目的ではない。基礎となる発明の概念の精神および/または範囲内での様々な置換、修正、追加、および/または配置は、本開示から当業者には明らかであろう。
【0022】
ここで図面を参照すると、同様の参照番号は全体を通して同様の部分を指しており、
図1は、ある実施形態に係る、縫合糸アンカシステム100の側面斜視図概略図を示す。アンカシステム100は、縫合糸106の長さによって相互に接続された第1のインプラント102および第2のインプラント104を含む。縫合糸106の長さは、第1の端部120および第2の端部122で終端する。縫合糸106の長さは、調整機構108およびロック機構116を介して一方向調整可能なループを作成することにより、第2のインプラント104に対する第1のインプラント102の位置を調整するために使用される(お
よび/またはその逆)。いくつかの実施形態では、調整機構108は、アイスプライス(すなわち、フィンガトラップ)であり、他の実施形態では、調整機構108は、スライドノットである。調整機構108は、任意の一方向調整可能なロック構築物とすることができる。ある実施形態では、ロック機構116は穿刺ヒッチである。しかしながら、ロック機構116は、ノットなどの任意の固定ロック構築物であってもよい。
【0023】
図2に示すように、第1および第2のインプラント102、104は長方形であるため、損傷した組織に対して平らになる。しかし、インプラント102、104は、任意の他の幾何学的構成を有してもよい。第1および第2のインプラント102、104は、縫合材料、プラスチック、または任意の他の適切な外科手術材料から構成することができる。
図2に示すように、各インプラント102、104は、一対の隣接した間隔を置いた開口110を有する。図示した実施形態では、隣接した間隔を置いた開口110の対は、インプラント102、104の第1の側面112を通って、インプラント102、104の第2の側面114まで延びる。インプラント102、104は、アンカシステム100が展開された構成にある時に、その縫合糸106を維持するために開口部110の間に丸みを帯びたサドル112を有する。
【0024】
ここで
図3A~
図3Dを参照すると、ある実施形態に係る、縫合糸106の長さのロック機構116を形成する方法の斜視図概略図が示されている。
図3A~
図3Dに示す実施形態では、ロック機構116は穿刺ヒッチである。穿刺ヒッチ116を形成するために、第1の端部120と第2の端部122との間の縫合糸106の長さに穴118が形成される。
図3Aに示すように、糸通し器124または別の同様のデバイスが、縫合糸106の長さ内の穴118を通って配置される。その後、縫合糸106の第1の端部120は、
図3Bに示すように、糸通し器124に通されるか、または織り込まれる。次いで、糸通し器124は、
図3Cに見ることができるように、縫合糸106の長さの穴118を通って引き込まれ、縫合糸106にループ125を形成する。ループ125を最小化するために、それにより、
図3Dに示す穿刺ヒッチ116を形成して、縫合糸106の第1の端部120に張力をかける。
【0025】
ここで
図4を参照すると、ある実施形態に係る、第2のインプラント104に接続された縫合糸106の長さの斜視図概略図が示されている。図示した実施形態では、第2のインプラント104は、一対の隣接した、間隔を置いた開口部110を備える。縫合糸106の長さの第2の端部122は、まず、インプラント104の第1の側面112から、隣接した、間隔を置いた開口110の1つを通過する。次いで、縫合糸106の長さの第2の端部122は、縫合糸106の中間部分128Bがインプラント104の第2の側面114上の隣接した間隔を置いた開口110の間に延びるように、インプラント104の第2の側面114から隣接した間隔を置いた開口110の他方を通過する(丸みを帯びたサドル112の上に)。最後に、
図4に示すように、縫合糸106の長さの第2の端部122を穿刺ヒッチ116に通し、その結果、縫合糸106の第1の端部120に延びる「穿刺ヒッチ尾部」121および縫合糸106の第2の端部122に延びる「張力リム」123が形成される。穿刺ヒッチ116は、穿刺ヒッチ尾部121の周りで自己折り畳みするヌースとして機能し、調整機構108(
図1)の位置に対して静止している。
【0026】
ここで
図5を参照すると、ある実施形態に係る、アンカシステム100の斜視図概略図が示されている。
図4に示す構成から、第1のインプラント102は、縫合糸106の長さに接続される。縫合糸106の長さの第2の端部122は、インプラント102の第2の側面114から、一対の隣接した間隔を置いた開口110の1つを通過する。次いで、縫合糸106の長さの第2の端部122(すなわち、張力リム123)は、縫合糸106の中間部分128A(
図6)がインプラント102の第1の側面112上の隣接した間隔を置いた開口110の間に(丸みを帯びたサドル112上に)延びるように、インプラン
ト102の第1の側面112から隣接した間隔を置いた開口110の他方を通過する。最後に、縫合糸106の長さの第2の端部122(すなわち、張力リム123)は、調整機構108を通過する。張力リム123は、穿刺ヒッチ尾部121に対してスライド可能である(穿刺ヒッチ尾部121はスライドしないため)。
【0027】
ここで
図6を参照すると、ある実施形態に係る、アンカシステム100の斜視図概略図が示されている。図示した実施形態に示すように、調整機構108は、アイスプライスである。アイスプライス108は、縫合糸106の長さに形成され、縫合糸106の長さの第2の端部122(すなわち、張力リム123)はアイスプライス108を通過し、第1のインプラント102とアイスプライス108との間の縫合糸106に調整ループ126を形成する。したがって、展開前の構成では、中間部分128Aは、第1のインプラント102の第1の側面112の開口110の間に延び、中間部分128Bは、アイスプライス108および穿刺ヒッチ116をその間に挟んで、第2のインプラント104の第2の側面114の開口110の間に延びる。調整ループ126を調整する(すなわち、その直径を変える)ために、縫合糸106の第2の端部122を引っ張り、第1のインプラント102と第2のインプラント104を互いにより近くに移動させる。
【0028】
ここで
図7~
図10を参照すると、代替的実施形態に係る、アンカシステム100の様々な図の概略図が示されている。
図7は、第1および第2のインプラント102、104がカニューレ状アンカ(または任意の他の管状構築物)である、代替的な実施形態に係るアンカシステム100の側面図を示す。カニューレ状アンカ102、104は、縫合材料などの軟質材料から構成される。図示した実施形態では、縫合糸106の長さは半分に折り畳まれ、スライドリム123および非スライドリム121(すなわち、張力リム123および穿刺ヒッチ尾部121)が形成される。
【0029】
さらに
図7を参照すると、縫合糸106の長さは、第1および第2のカニューレ状アンカ102、104を通過する。ノット116は、第2のカニューレ状アンカ104を非スライドリム121に取り付けるために使用される。アイスプライス108は、第1のカニューレ状アンカ102と第2のカニューレ状アンカ104との間の非スライドリム121に形成される。第1のカニューレ状アンカ102は、縫合糸106(スライドリム123)にスライド可能に接続される。次いで、スライドリム123は、
図7に示すように、アイスプライス108を通過し、調整ループ126を形成する。
【0030】
図8および
図9は、
図7のアンカシステム100の斜視図概略図を示す。
図8において、第1のカニューレ状アンカ102は、調整ループ126を、第1のカニューレ状アンカ102のスリット130(または別のタイプのセグメント)に通すことによって、縫合糸106にスライド可能に取り付けられる。具体的には、
図8に示すように、調整ループセグメント102は、第1のカニューレ状アンカ102のスリット130を通過し、アンカ102の側面132から外に出る。次いで、調整可能なループセグメント126は、
図9に示すように、第1のカニューレ状アンカ102の遠位端部134を通過し、それによってそれを投げ縄で捕える。
【0031】
図10は、別の代替的な実施形態に係る、アンカシステム100の斜視図概略図である。
図10のインプラント102、104は、カニューレ状アンカ(または任意の他の管状
構築物)でもある。図示の実施形態では、カニューレ状アンカ102、104は、編組材
料から構成される。縫合糸106の長さは、第1のカニューレ状アンカ102と第2のカニューレ状アンカ104とを、調節可能に接続する。ある実施形態では、縫合糸106の長さは、2-0縫合糸であるが、他のタイプの縫合糸を使用することができる。縫合糸106の長さは、両端部120、122が同じ側で終端し、他方の端部が「U」字形を形成するように、半分に折り畳まれる(
図7にも示される)。第2のカニューレ状アンカ10
4は、縫合106糸の長さのノット116を介して縫合糸106に固定される。アンカシステム100の前の実施形態と同様に、アイスプライス108は、縫合糸106の長さのロックリム121(本明細書では、非スライドリムまたは穿刺ヒッチ尾部とも呼ばれる)に形成される。他のリムである、張力リム123は、アイスプライス108を通過し、調整ループ126を形成する。
図8および
図9に示すアンカシステム100と同様に、調整ループ126は、第1のカニューレ状アンカ102の遠位端部134の周りに延びる。
【0032】
ここで
図11~
図17を参照すると、ある実施形態に係る送達デバイス200の様々な図の概略図が示されている。送達デバイス200は、展開のために1つ以上のアンカシステム100をその中に格納するように構成される。
図11は、送達デバイス200の斜視図を示す。送達デバイス200は、近位端部204および遠位端部206を有する細長い本体202を備える。送達デバイス200は、調整可能なイントロデューサスリーブ210と、細長い本体102の遠位端部206から延びるポジティブロック機構(図示せず)を有するストップ(図示せず)とを備える。針212は、イントロデューサスリーブ210内から遠位方向に延びる。アンカシステム100(
図6)は、送達デバイス200の針212内に完全に配置される。カニューレ状プッシャロッド208は、送達デバイス200の針212の内腔232内に延びる。カニューレ状プッシャロッド208の目的は、以下で詳細に説明するように、アンカシステム100を送達デバイス200から押すことである。細長い本体202は、アクチュエータ214およびロック機構216をさらに備える。
【0033】
ここで
図12を参照すると、ある実施形態に係る、送達デバイス200のプッシャアセンブリ220の斜視図概略図が示されている。プッシャアセンブリ220は、そこから遠位に延びるカニューレ状プッシャロッド208を有するプッシャ本体218を備える。プッシャ本体218は、アクチュエータ214を備える。図示の実施形態では、アクチュエータ214は、サムスライドである。カニューレ状プッシャロッド208は、プッシャアセンブリ220の遠位端部224とプッシャ本体218との間にリリーフエリア222を備える。リリーフエリア222は、カニューレ状プッシャロッド208の一部分が取り除かれた場所である。リリーフエリア222は、針212内に形成された角または屈曲を丸めることを容易にする。
【0034】
さらに
図12を参照すると、カニューレ状プッシャロッド208はまた、プッシャアセンブリ220の遠位端部224にスリット226を備える。図示のように、スリット226は、リリーフエリア222からカニューレ状プッシャロッド208の遠位端部224内に延びる。これにより、縫合糸106の端部120、122をスリット226内に位置付けることが可能になる。次いで、カニューレ状プッシャロッド208は、針212の開口228(
図17)に向けて近位に引き出され、カニューレ状プッシャロッド208と針212の内腔232との間にピンチ点230を形成し、縫合糸106の端部120、122を切断することができる。
【0035】
ここで
図13~
図17を参照すると、ある実施形態に係る、多数の構成の送達デバイス200の側面図概略図が示されている。第1の構成では、
図13に示すように、アクチュエータ214は、細長い本体202の遠位端部206から第1の距離にある。第1の構成では、送達デバイス200は、アンカシステム100を展開するように準備される。第2の構成では、
図14に示すように、アクチュエータ214は、細長い本体202の遠位端部206から第2の距離にある。ある実施形態では、第1の距離は、第2の距離よりも大きい。第1の構成から第2の構成に移動するとき、第1のインプラント102が展開される。したがって、アクチュエータ214(例えば、サムスライド)を細長い本体202に沿って遠位に移動させることによって、第一のインプラント102が展開される。
【0036】
図13および
図14では、第1および第2の構成の両方において、ロック機構216は、ロック位置にある。図示の実施形態では、ロック機構216は、ロックアウトスイッチである。ロックアウトスイッチ216は、ロック位置とロック解除位置との間でスライド可能であるか、またはそうでなければ移動可能である。
図13および
図14に示すように、ロック位置では、アクチュエータ214は、
図14の第2の構成から遠位に前進することができない。アクチュエータ214は、ロックスイッチ216を通過して細長い本体202に沿って遠位に前進することができない。ロックアウトスイッチ216は、
図15に示すように、押圧され、ロック解除位置に移動することができる。
【0037】
ロックアウトスイッチ216が、
図15に示すように、ロック解除位置にあるとき、アクチュエータ214は、細長い本体202の遠位端部206から第3の距離まで遠位に移動して、
図16に示す第3の構成を達成することができる。第2の構成から第3の構成に移動するとき、プッシャロッド208は、針212の外に延ばされ、第2のインプラント104を展開する。第3の構成では、図示されているように、プッシャロッド208と針212との間にリリーフエリア222が露出している。
【0038】
第3の構成では、縫合糸106は、プッシャロッド208と針212との間のリリーフエリア222に移動することができる。縫合糸106の端部(複数可)120、122がリリーフエリア222を通って延びている状態で、送達デバイス200を第3の構成から第4の構成に移動させることができる。送達デバイス200を第3の構成から第4の構成に移動させるために、アクチュエータ214を近位方向に引き込む。送達デバイス200が第3の構成から第4の構成に移動すると(
図17)、カニューレ状プッシャロッド208が針212内に引き戻され、縫合糸106の端部(複数可)120、122を針212に対して切断することができる。
【0039】
ここで
図18~
図22を参照すると、ある代替的な実施形態に係る、送達デバイス200の様々な図の概略図が示されている。
図18および
図19は、送達デバイス200の細長い本体202の任意のラッチスライド219および張力ホイール221を示す。送達デバイス200は、ラッチスライド219に対して細長い本体202の反対側にアクチュエータ214も含む。
図20に示すように、細長い本体202内のラック234は、カニューレ状プッシャロッド208に接続され、カニューレ状プッシャロッド208を針212の内外に移動させる。
【0040】
さらに
図20を参照すると、アクチュエータ214は、カニューレ状プッシャロッド208を選択的に前進させるためのラチェット機構を備える。アクチュエータ214が近位方向に引き込まれると、ラック234は遠位方向に移動し、カニューレ状プッシャロッド208を遠位方向に駆動する。アクチュエータ214は、解放されたときにアクチュエータ214がその第1の(または開始)構成に戻るようなばね戻りを有してもよい。張力ホイール221は、針212内を延びる縫合糸106が張力ホイール221の周りに巻き付くことができるように、細長い本体202を通って部分的に延びる。張力ホイール221は、インプラント102、104が展開されるときに縫合糸106に牽引力を与える。図示の実施形態では、張力ホイール221は、縫合糸106を把持するための歯223を備える。ラッチスライド219は任意選択であり、回転に対して張力ホイール221を選択的にロックするために使用することができる。
【0041】
第1の構成では、
図19および
図22に示すように、カニューレ状プッシャロッド208は針212内に延びる。次いで、送達デバイス200は、第1の構成から、
図21に示す第2の構成に移動することができる。送達デバイス200を第1の構成から第2の構成に移動させるために、アクチュエータ214は、近位方向に押し込まれるか、または引き込まれる。アクチュエータ214を近位方向に移動させると、ラック234を遠位方向に
駆動し、その結果、カニューレ状プッシャロッド208を針212から遠位に押し出し、針212から第1のインプラント102を排出することができる。アクチュエータ214は、第2のインプラント104を排出し展開するときに、解放され、次いで、再び近位に引き込むことができる。アクチュエータ214を近位に保持し、リリーフエリア222を露出させることにより、アクチュエータ214を第2の構成(
図21)に維持することもできる。リリーフエリア222を露出させた状態で、縫合糸106の端部120、122をリリーフエリア222内に延ばすことができる。次いで、アクチュエータ214が解放されると(
図22)、縫合糸106の端部(複数可)120、122が針212に対して切断される。
【0042】
ここで
図23~
図25を参照すると、代替的な実施形態に係る、展開前の構成と展開された構成との間の様々な段階におけるアンカシステム100の様々な図の概略図が示されている。上述のように、アンカシステム100(
図6)は、送達デバイス200の針212内に完全に配置される。例えば、第1のインプラント102は、送達デバイス200内で穿刺ヒッチ尾部121およびそこから近位方向に延びる張力リム123を備えた第2のインプラント104に対して、針212内で遠位に装填される。(なお、複数のアンカシステム100を、第1のアンカシステム100の第2のインプラント104の後ろに追加のアンカシステム100の第1のインプラント102を配置して、送達デバイス200に装填することができることが企図されている)。
【0043】
ある実施形態では、穿刺ヒッチ尾部121は、送達デバイス200に解放可能に接続され、第2のインプラント104の送達を制御し、第1のインプラント102に牽引力を加えるために使用されるテザーとして機能する。アンカシステム100を展開するために、送達デバイス200は、組織300または他の物体の第1の側面302に配置される 図
23に示すように、組織300は、断裂部304(または切断部または他の組織損傷部)を含む。第1の構成の送達デバイス200は、組織300および断裂部304の第1の側面302に配置される。針212は、第1の穿刺位置308で、組織300および断裂部304を通って前進し、組織300の第2の、反対側306から出る(
図29)。
【0044】
針212が組織300の第2の側面306上にある状態で、アクチュエータ214が係合され、例えば、サムスライド214が細長い本体202に沿って遠位方向に前進し、カニューレ状プッシャロッド208を遠位方向に駆動して、第2の構成を達成することができる。第2の構成では、カニューレ状プッシャロッド208は、送達デバイス200から第1のインプラント102を押し出し、それは、
図23に示すように、組織300の第2の側面306に展開される。次いで、針212は、組織300の第1の側面302上の第1の穿刺位置308から引き出される(
図30および
図31)。
図18~
図22に示す送達デバイス200の実施形態では、針212が引き出されるときに、縫合糸106は、張力ホイール221によって牽引され得る。次に、針212は、組織300および断裂部304の第1の側面302上の第2の穿刺位置310(第1の穿刺位置308に隣接)に移動する(
図32)。
【0045】
次いで、針212は、第2の穿刺位置310において、組織300の第1の側面302、断裂部304、および第2の側面306を通って前進する(
図33~
図35)。針212が組織300の第2の側面306にある状態で、送達デバイス200は、第3の構成および第4の構成に移動する。第2の構成から、ロックアウトスイッチ216が押圧されるか、または他の方法で係合されて、アクチュエータ114の追加の遠位移動を可能にする。ロックアウトスイッチ216がロック解除位置にある状態で、アクチュエータ114を第3の構成に遠位に移動させ、 カニューレ状プッシャロッド208を再び遠位に駆動す
る。第3の構成では、
図23にも示されているように、カニューレ状プッシャロッド208は、送達デバイス200から第2のインプラント104を押し出し、それが展開される
。
【0046】
第2のインプラント104が展開された後、いつでも、穿刺ヒッチ尾部121を解放することができ(すなわち、テザーおよび牽引を解放する)、送達デバイス200を取り外すことを可能にする、すなわち、針212を第2の穿刺位置310を通して、組織300の第1の側面302に引き戻す。アンカシステム100が展開された状態で、アンカシステム100を使用して、断裂部304を閉じるために、組織300の第1の側面302と組織300の第2の側面306を一緒に移動させることができる。これを行うために、調整可能なループ126は、締め付ける(すなわち、調整可能なループ126の直径は減少する)か、またはそうでなければ、縫合糸106(
図36~
図38)の第2の端部122(または張力リム123)を引っ張る/張力をかけることによって、折り畳まれる。第2の端部122に張力をかけると、両方のインプラント102、104が組織300の第2の側面306に向かって引っ張られ、それらの間の縫合糸106の長さが減少する。
図23では、各々異なる調整機構108を有する2つのアンカシステム100が示されている。左側のアンカシステム100は、スライドノット108Aを備え、右側のアンカシステム100は、アイスプライス108Bを備える。アイスプライス108B(およびスライドノット108A)は、第1のインプラント102を第2のインプラント104に対して相対的位置にロックする。穿刺ヒッチ116は、縫合糸106に沿って第2のインプラント104の位置を維持する。
【0047】
所望の圧縮が(第1のインプラント102と第2のインプラント104との間で)達成された後、送達デバイス200が依然として第3の構成にある状態で、カニューレ状プッシャロッド208と針212との間に緩和エリア122が露出される。送達デバイス200は、回転させるかまたは別の方法で操作して、リリーフエリア122内で過剰張力リム123を受容することができる。次いで、アクチュエータ114は、例えば、サムスライド114を近位方向に(細長い本体202の近位端204に向けて)スライドさせて戻すことによって、再び係合させることができる。アクチュエータ214を近位に移動させて、カニューレ状プッシャロッド208を針212内に近位に引き込み、過剰張力リム123を針212に対して切断し除去することを可能にする。同じプロセスが、任意の過剰な穿刺ヒッチ尾部121が残っている状態で繰り返すことができる(または同時に発生する)。結果として得られたアンカシステム100の展開された構成を、
図26~
図28に示す。
図24および
図25は、インプラント102、104がカニューレ状アンカである代替的な実施形態を示す。
【0048】
本明細書で定義および使用されるすべての定義は、辞書的な定義、参照により組み込まれた文書における定義、および/または定義された用語の通常の意味を統制すると理解されるべきである。
【0049】
本明細書では様々な実施形態を説明および図示してきたが、当業者であれば、本明細書に記載された機能を実行するための、および/または結果を得るための、および/または1つ以上の利点を得るための、様々な他の手段および/または構造を容易に想定することができ、そのような変形および/または変更のそれぞれは、本明細書に記載した実施形態の範囲内であるとみなされる。より一般的には、本明細書に記載されたすべてのパラメータ、寸法、材料、および構成は例示的なものであり、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成は、教示が使用される特定の用途(複数可)に依存することを、当業者は容易に理解するであろう。当業者であれば、本明細書に記載されている特定の実施形態に対する多くの均等物を認識するか、または日常的な実験を行うだけで確認することができるであろう。したがって、前述の実施形態は、例示としてのみ提示されており、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内で、実施形態は、具体的に説明され、請求されたものとは別の方法で実施することができることを理解されたい。本開示の実施形態は、
本明細書に記載された個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法に関する。さらに、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせは、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しない場合、本開示の範囲に含まれる。
【0050】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のためのみのものであり、本発明を限定することを意図していない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形も含むことが意図される。さらに、「備える(comprise)」(および「comprises」および「comprising」などのcompriseの任意の形態)、「有する(have)」(および「has」および「having」などのhaveの任意の形態)、「含む(include)」(および「includes」および「including」などのincludeの任意の形態)、および「含有する(contain)」(「contains」および「containing」などのcontainの任意の形態)という用語は、オープンエンドの連結動詞であることが理解されよう。結果として、方法またはデバイスは、1つ以上のステップまたは要素を「備える(comprises)」、「有する(has)」、「含む(includes)」、または「包含する(contains)」。同様に、一つ以上の特徴を「備える(comprises)」、「有する(has)」、「含む(includes)」または「包含する(contains)」方法のステップ、またはデバイスの要素は、それらの1つ以上の特徴を所持するが、それらの1つ以上の特徴のみを所持することに限定されない。さらに、特定の方法で構成されるデバイスまたは構造は、少なくともその方法で構成されるが、リストされていない方法でも構成されてもよい。
【0051】
以下の特許請求の範囲における全ての手段またはステップに機能要素を加えたものの対応する構造、材料、行為および均等物は、もしあれば、具体的に特許請求された他の特許請求の範囲の要素と組み合わせて、機能を実行するための任意の構造、材料、または行為を含むことを意図している。本発明の記載は、例示および説明の目的で提示されてきたが、網羅的であること、または開示された形態の本発明に限定されることを意図しない。多くの修正および変形は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。実施形態は、本発明の一つ以上の態様の原理および実際の応用を最もよく説明し、他の当業者が、考えられる特定の用途に適した様々な修正を有する様々な実施形態について本発明の一つ以上の態様を理解できるように選ばれ、かつ記載された。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半月板修復の方法であって、
送達デバイスに、そこから遠位に延びる針を有する細長い本体と、前記細長い本体内のプッシャアセンブリであって、前記プッシャアセンブリが、前記プッシャ本体から遠位に延びるカニューレ状プッシャロッドおよび前記細長い本体を通って前記プッシャ本体から延びるアクチュエータを備え、前記カニューレ状プッシャロッドが前記針内でスライド可能である、プッシャアセンブリと、前記細長い本体上のロック機構であって、前記ロック機構が、ロック位置とロック解除位置との間で移動可能である、ロック機構と、を提供することと、
縫合糸の長さであって、前記縫合糸の長さが、張力リムが第1のインプラントから延び、ロックリムが前記第1のインプラントから延びるように折り畳まれた、縫合糸の長さ、に接続された前記第1のインプラントと、前記ロックリムに固定された第2のインプラントと、前記第1のインプラントと前記第2のインプラントとの間の前記長さの縫合糸の調整機構と、を有し、前記張力リムが前記調整機構を通過する、アンカシステムを提供することと、
前記針を、組織の第1の側面上の第1の穿刺位置に位置付けることと、
前記針を、前記第1の穿刺位置を通して前記組織の第2の側面に穿刺することと、
前記アクチュエータを遠位に移動させ、前記送達デバイスから前記第1のインプラントを展開することと、
前記組織の前記第1の側面上の前記第1の穿刺位置から前記針を取り除くことと、
前記針を、前記組織の第2の側面上の第2の穿刺位置に位置付けることと、
前記針を、前記第1の穿刺位置を通して前記組織の第2の側面に穿刺することと、
前記ロック機構を前記ロック位置から前記ロック解除位置へ移動させることと、
前記アクチュエータを遠位に移動し、前記送達デバイスから前記第2のインプラントを展開することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記張力リムを引くステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記張力リムを引く前記ステップが、前記第1および前記第2のインプラントを前記組織の前記第2の側面に向けて引く、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記カニューレ状プッシャロッドと前記針との間に前記張力リムを位置付けるステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記アクチュエータを近位に移動させ、前記カニューレ状プッシャロッドと前記針との間の前記張力リムを切断するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。