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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002635
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】カーテンウォール
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/96 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
E04B2/96
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101960
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 辰雄
【テーマコード(参考)】
2E002
【Fターム(参考)】
2E002NA04
2E002NB01
2E002NC01
2E002PA01
2E002QA04
2E002SA01
2E002SA02
2E002UA01
2E002UB01
2E002XA11
(57)【要約】
【課題】上枠及び下枠を小型化できるカーテンウォールを提供する。
【解決手段】カーテンウォール10は、外壁材21と、上枠31と、下枠32と、縦枠33,34と、をそれぞれが有する複数のパネルユニット11を備える。複数のパネルユニット11のうちの一つである第1のパネルユニット11ULの縦枠34と、複数のパネルユニット11のうち第1のパネルユニット11ULと左右方向に隣り合う一つである第2のパネルユニット11URの縦枠33と、の間に第1の等圧空間SVが設けられる。第1のパネルユニット11ULの下枠32と、複数のパネルユニット11のうち第1のパネルユニット11ULと上下方向に隣り合う一つである第3のパネルユニット11LLの上枠31と、の間に第2の等圧空間SLが設けられる。屋内側における第2の等圧空間SLの端SLiは、屋内側における第1の等圧空間SVの端SViよりも屋外側に位置する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の外壁材と、前記外壁材の上方の縁に取り付けられた上枠と、前記外壁材の下方の縁に取り付けられた下枠と、前記外壁材の側方の縁に取り付けられた縦枠と、をそれぞれが有し、上下方向及び左右方向に並べられた複数のパネルユニット、
を具備し、
前記複数のパネルユニットのうちの一つである第1のパネルユニットの前記縦枠と、前記複数のパネルユニットのうち前記第1のパネルユニットと左右方向に隣り合う一つである第2のパネルユニットの前記縦枠と、の間に第1の等圧空間が設けられ、
前記第1のパネルユニットの前記下枠と、前記複数のパネルユニットのうち前記第1のパネルユニットと上下方向に隣り合う一つである第3のパネルユニットの前記上枠と、の間に第2の等圧空間が設けられ、
屋内側における前記第2の等圧空間の端は、屋内側における前記第1の等圧空間の端よりも屋外側に位置する、
カーテンウォール。
【請求項2】
前記第1のパネルユニットの前記下枠と前記第2のパネルユニットの前記下枠との間に挟持され、且つ前記第1のパネルユニットの前記縦枠と前記第3のパネルユニットの前記縦枠との間に挟持され、弾性を有する仕切部材、
をさらに具備し、
前記仕切部材は、前記第1の等圧空間と前記第2の等圧空間との間を隔てる、
請求項1のカーテンウォール。
【請求項3】
前記仕切部材は、前記第1の等圧空間の下方の端部を覆い、前記第1の等圧空間の下方の端部と屋外とを連通する排水路が設けられた、請求項2のカーテンウォール。
【請求項4】
前記仕切部材は、前記第2の等圧空間の一方の端部を覆う、請求項2のカーテンウォール。
【請求項5】
屋内側における前記第2の等圧空間の端は、屋外側における前記第1の等圧空間の端よりも屋外側に位置する、請求項1乃至請求項4のいずれか一つのカーテンウォール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンウォールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーテンウォールは、例えば、上下方向及び左右方向に並べられた複数のパネルユニットを備える。隣り合うパネルユニットの間には、例えば圧力差や気流により雨水が屋内に浸入することが抑制するため、屋外の外気と略等圧な等圧空間が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-95748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各パネルユニットにおいて、板状の外壁材の縁に、上枠、下枠、及び二つの縦枠が装着される。等圧空間は、上枠と下枠との間と、二つの縦枠の間と、に設けられる。上枠と下枠との間の等圧空間と、二つの縦枠との間の等圧空間とを互いに連通させるように、上枠、下枠、及び縦枠の見込(depth)寸法が、比較的近く設定されることがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、上枠及び下枠を小型化できるカーテンウォールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るカーテンウォールは、複数のパネルユニットを備える。前記パネルユニットは、板状の外壁材と、前記外壁材の上方の縁に取り付けられた上枠と、前記外壁材の下方の縁に取り付けられた下枠と、前記外壁材の側方の縁に取り付けられた縦枠と、をそれぞれが有し、上下方向及び左右方向に並べられる。前記複数のパネルユニットのうちの一つである第1のパネルユニットの前記縦枠と、前記複数のパネルユニットのうち前記第1のパネルユニットと左右方向に隣り合う一つである第2のパネルユニットの前記縦枠と、の間に第1の等圧空間が設けられる。前記第1のパネルユニットの前記下枠と、前記複数のパネルユニットのうち前記第1のパネルユニットと上下方向に隣り合う一つである第3のパネルユニットの前記上枠と、の間に第2の等圧空間が設けられる。屋内側における前記第2の等圧空間の端は、屋内側における前記第1の等圧空間の端よりも屋外側に位置する。
【0007】
また、本発明に係るカーテンウォールは、上述した発明において、前記仕切部材は、前記第1のパネルユニットの前記下枠と前記第2のパネルユニットの前記下枠との間に挟持され、且つ前記第1のパネルユニットの前記縦枠と前記第3のパネルユニットの前記縦枠との間に挟持され、弾性を有する仕切部材をさらに備え、前記仕切部材は、前記第1の等圧空間と前記第2の等圧空間との間を隔てても良い。
【0008】
また、本発明に係るカーテンウォールでは、上述した発明において、前記仕切部材は、前記第1の等圧空間の下方の端部を覆い、前記第1の等圧空間の下方の端部と屋外とを連通する排水路が設けられても良い。
【0009】
また、本発明に係るカーテンウォールでは、上述した発明において、前記仕切部材は、前記第2の等圧空間の一方の端部を覆っても良い。
【0010】
また、本発明に係るカーテンウォールでは、上述した発明において、屋内側における前記第2の等圧空間の端は、屋外側における前記第1の等圧空間の端よりも屋外側に位置しても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るカーテンウォールによれば、屋内側における第2の等圧空間の端が屋内側における第1の等圧空間の端よりも屋外側に位置するため、見込方向において、上枠及び下枠の寸法が、縦枠の寸法よりも短くなり得る。より大きな負荷がかかり得る縦枠の見込寸法が長く設定されることで、カーテンウォールの強度が低下することが抑制される。一方、見込方向における上枠及び下枠の寸法が短くされることで、カーテンウォールは上枠及び下枠を小型化し、ひいては上枠及び下枠の重量及びコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施形態に係るカーテンウォールを概略的に示す正面図である。
図2図2は、本実施形態のカーテンウォールの一部を図1のF2-F2線に沿って示す断面図である。
図3図3は、本実施形態のカーテンウォールの一部を図1のF3-F3線に沿って示す断面図である。
図4図4は、本実施形態のパネルユニット及びキャッチパンを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の一つの実施形態について、図1乃至図4を参照して説明する。なお、本明細書においては基本的に、鉛直上方を上方向、鉛直下方を下方向と定義する。また、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0014】
図1は、本実施形態に係るカーテンウォール10を概略的に示す正面図である。カーテンウォール10は、例えば、ビルのような建物1の外壁を形成する。言い換えると、建物1は、カーテンウォール10を有する。
【0015】
各図面に示されるように、本明細書において、便宜上、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、カーテンウォール10の幅に沿って設けられる。Y軸は、カーテンウォール10の奥行(見込)に沿って設けられる。Z軸は、カーテンウォール10の高さに沿って設けられる。
【0016】
さらに、本明細書において、X方向、Y方向及びZ方向が定義される。X方向(左右方向)は、X軸の矢印が示す+X方向と、X軸の矢印の反対方向である-X方向とを含む。Y方向(見込方向)は、Y軸の矢印が示す+Y方向と、Y軸の矢印の反対方向である-Y方向とを含む。Z方向(上下方向)は、Z軸の矢印が示す+Z方向(上方向)と、Z軸の矢印の反対方向である-Z方向(下方向)とを含む。また、以下の説明において、+Y方向は、建物1の屋内から屋外に向かう方向であり、屋外側とも称され得る。-Y方向は、建物1の屋外から屋内に向かう方向であり、屋内側とも称され得る。
【0017】
カーテンウォール10は、複数のパネルユニット11と、複数のキャッチパン12とを有する。キャッチパン12は、仕切部材の一例である。複数のパネルユニット11のそれぞれは、パネル21と、枠22とを有する。パネル21は、外壁材の一例である。
【0018】
パネル21は、例えば、複層ガラス、普通コンクリート、軽量コクリート、又は金属製の、略四角形の板である。なお、パネル21は、他の材料で作られても良い。パネル21の上方の縁21a及び下方の縁21bは、略X方向に延びている。縁21bは、縁21aの下方に位置する。パネル21の側方(左右)の縁21c,21dは、略Z方向に延びている。
【0019】
枠22は、上枠31と、下枠32と、二つの縦枠33,34とを有する。上枠31、下枠32、及び縦枠33,34は、例えば、アルミニウムのような金属で作られる。なお、上枠31、下枠32、及び縦枠33,34の一部が他の材料で作られても良い。
【0020】
上枠31は、パネル21の上方の縁21aに取り付けられ、略X方向に延びている。下枠32は、パネル21の下方の縁21bに取り付けられ、略X方向に延びている。二つの縦枠33,34は、パネル21の側方の縁21c,21dに取り付けられ、略Z方向に延びている。上枠31、下枠32、及び縦枠33,34は、例えばネジにより、互いに結合される。パネル21は、上枠31、下枠32、及び二つの縦枠33,34に囲まれる。
【0021】
複数のパネルユニット11は、上下方向及び左右方向に並べられる。カーテンウォール10において、四つのパネルユニット11が、隣り合う当該パネルユニット11の角部にキャッチパン12を挟持するように組み合わされる。例えば、左右方向に隣り合う二つのパネルユニット11の縦枠33,34は、方立を形成する。複数のパネルユニット11のそれぞれは、例えばファスナにより、建物1の躯体に取り付けられる。
【0022】
以下、四つのパネルユニット11が、パネルユニット11UL,11UR,11LL,11LRと個別に称され得る。パネルユニット11ULは、第1のパネルユニットの一例である。パネルユニット11URは、第2のパネルユニットの一例である。パネルユニット11LLは、第3のパネルユニットの一例である。
【0023】
パネルユニット11URは、パネルユニット11ULと左右方向に隣り合う。パネルユニット11LLは、パネルユニット11ULと上下方向に隣り合う。パネルユニット11LRは、パネルユニット11URと上下方向に隣り合う。パネルユニット11LL,11LRは、パネルユニット11UL,11URの下方に位置する。
【0024】
図2は、本実施形態のカーテンウォール10の一部を図1のF2-F2線に沿って示す断面図である。図2に示すように、下枠32は、複数の見込壁41,42,43と、複数の見付壁44,45,46とを有する。
【0025】
見込壁41,42,43は、X-Y平面に沿って広がる板状に形成される。上下方向において、見込壁41は見込壁42,43の下方に位置し、見込壁43は見込壁41,42の間に位置する。
【0026】
見付壁44,45,46は、X-Z平面に沿って広がる板状に形成される。見込方向において、見付壁44は見付壁45,46の屋外側に位置し、見付壁46は見付壁44,45の間に位置する。
【0027】
見付壁44は、見込方向における見込壁41の略中央から、上方に突出している。見付壁44は、見込方向においてパネル21を支持する。見込壁42は、上方における見付壁44の端から、屋内側に延びている。
【0028】
見付壁46は、屋内側における見込壁41の端から、上方に延びている。見込壁43は、略上方における見付壁46の端から、屋内側に延びている。見付壁45は、屋内側における見込壁42の端から、下方に延びている。屋内側における見込壁43の端は、見付壁45に接続される。
【0029】
上枠31は、複数の見込壁51,52と、複数の見付壁53,54,55とを有する。見込壁51,52は、X-Y平面に沿って広がる板状に形成される。上下方向において、見込壁52は、見込壁51の下方に位置する。
【0030】
見付壁53,54,55は、X-Z平面に沿って広がる板状に形成される。見込方向において、見付壁53は見付壁54,55の屋外側に位置し、見付壁55は見付壁53,54の間に位置する。
【0031】
見付壁53は、見込方向における見込壁51の略中央から、下方に突出している。見付壁54は、屋内側における見込壁51の端から、下方に突出している。見込壁52は、下方における見付壁53の端と、下方における見付壁54の端と、の間で見込方向に延びている。見付壁55は、見込壁51から上方に突出している。上枠31の見付壁55は、下枠32の二つの見付壁45,46の間の空間に挿入されている。
【0032】
カーテンウォール10は、シール材61,62,63をさらに有する。シール材61,62,63は、例えば、エチレンプロピレンジエン(EPDM)ゴムのような弾性体により作られる。シール材61,62はレインバリアであり、シール材63の屋外側に位置する。シール材63はウインドバリアであり、シール材61,62の屋内側に位置する。
【0033】
シール材61は、シール材62の屋外側に位置する。シール材61は、上枠31の見込壁51から上方に突出し、下枠32の見込壁41に当接する。シール材62は、下枠32の見込壁41から下方に突出し、上枠31の見込壁51に当接する。シール材63は、上枠31の見付壁55から屋外側に突出し、下枠32の見付壁46に当接する。
【0034】
カーテンウォール10に、複数の横等圧空間SLが設けられる。横等圧空間SLは、第2の等圧空間の一例である。複数の横等圧空間SLのうち少なくとも一つは、パネルユニット11ULの下枠32と、パネルユニット11LLの上枠31と、の間に設けられる。また、複数の横等圧空間SLのうち他の少なくとも一つは、パネルユニット11URの下枠32と、パネルユニット11LRの上枠31と、の間に設けられる。
【0035】
パネルユニット11UL,11LLの間の横等圧空間SLと、パネルユニット11UR,11LRの間の横等圧空間SLとは、互いに略等しい。以下、パネルユニット11UL,11LLの間の横等圧空間SLについて主に説明する。
【0036】
横等圧空間SLは、第1の領域SL1と、第2の領域SL2とを有する。第1の領域SL1は、パネルユニット11ULの下枠32と、パネルユニット11LLの上枠31と、の間の空間のうち、シール材62とシール材63との間の部分である。シール材62,63のそれぞれは、左右方向に延び、第1の領域SL1の端部をシールする。
【0037】
第2の領域SL2は、パネルユニット11ULの下枠32とパネルユニット11LLの上枠31との間の空間のうち、シール材61とシール材62との間の部分である。シール材61,62のそれぞれは、左右方向に延び、第2の領域SL2の端部をシールする。
【0038】
横等圧空間SLは、例えば、上枠31及び下枠32の少なくとも一方に設けられた孔を通じて、屋外に連通している。これにより、横等圧空間SLは、屋外と略等圧に保たれ、例えば圧力差や気流により雨水が屋内に浸入することが抑制する。なお、横等圧空間SLの気圧と屋外の気圧とは、一時的に異なっても良い。
【0039】
図3は、本実施形態のカーテンウォール10の一部を図1のF3-F3線に沿って示す断面図である。図3に示すように、縦枠34は、複数の見込壁71,72,73と、複数の見付壁74,75,76,77とを有する。
【0040】
見込壁71,72,73は、Y-Z平面に沿って広がる板状に形成される。左右方向において、見込壁71は見込壁72,73の右方(+X方向)に位置し、見込壁73は見込壁71,72の間に位置する。
【0041】
見付壁74,75,76,77は、X-Z平面に沿って広がる板状に形成される。見込方向において、見付壁74は見付壁75,76,77の屋外側に位置し、見付壁76,77は見付壁74,75の間に位置する。
【0042】
見付壁74は、屋内側における見込壁71の端と、屋外側における見込壁72の端と、の間で左右方向に延びている。見付壁74は、見込方向においてパネル21を支持する。見付壁75は、屋内側における見込壁72の端から、右方に延びている。
【0043】
見付壁76,77は、見込方向における見込壁72の略中央から、右方に突出している。見付壁76,77は、見込方向に互いに離間している。見込壁73は、左右方向における見付壁76の略中央と、左右方向における見付壁77の略中央と、の間で見込方向に延びている。
【0044】
縦枠33は、複数の見込壁81,82,83と、複数の見付壁84,85,86,87とを有する。見込壁81,82,83は、Y-Z平面に沿って広がる板状に形成される。左右方向において、見込壁83は見込壁81,82の左方(-X方向)に位置し、見込壁81は見込壁82,83の間に位置する。
【0045】
見付壁84,85,86,87は、X-Z平面に沿って広がる板状に形成される。見込方向において、見付壁84は見付壁85,86,87の屋外側に位置し、見付壁86,87は見付壁84,85の間に位置する。
【0046】
見付壁84は、屋内側における見込壁81の端と、屋外側における見込壁82の端と、の間で左右方向に延びている。見付壁84は、見込方向においてパネル21を支持する。見付壁85は、屋内側における見込壁82の端から、左方に延びている。縦枠33の見付壁85は、縦枠34の見付壁75と組み合わされる。
【0047】
見付壁86,87は、見込方向における見込壁82の略中央から、左方に突出している。見付壁86,87は、見込方向に互いに離間している。左方における見付壁86,87の端部は、縦枠34の見付壁76,77の間に位置する。見込壁83は、左右方向における見付壁86の略中央と、左右方向における見付壁87の略中央と、の間で見込方向に延びている。
【0048】
カーテンウォール10は、シール材91,92をさらに有する。シール材91,92は、例えば、EPDMゴムのような弾性体により作られる。シール材91は、レインバリアであり、シール材92の屋外側に位置する。シール材92は、ウインドバリアであり、シール材91の屋内側に位置する。
【0049】
シール材91は、縦枠33の見付壁86から突出し、縦枠34の見付壁76に当接する。シール材92は、縦枠33の見付壁87から突出し、縦枠34の見付壁77に当接する。
【0050】
カーテンウォール10に、複数の縦等圧空間SVが設けられる。縦等圧空間SVは、第1の等圧空間の一例である。複数の縦等圧空間SVのうち少なくとも一つは、パネルユニット11ULの縦枠34と、パネルユニット11URの縦枠33と、の間に設けられる。また、複数の縦等圧空間SVのうち他の少なくとも一つは、パネルユニット11LLの縦枠34と、パネルユニット11LRの縦枠33と、の間に設けられる。
【0051】
パネルユニット11UL,11URの間の縦等圧空間SVと、パネルユニット11LL,11LRの間の縦等圧空間SVとは、互いに略等しい。以下、パネルユニット11UL,11URの間の縦等圧空間SVについて主に説明する。
【0052】
縦等圧空間SVは、パネルユニット11ULの縦枠34と、パネルユニット11URの縦枠33と、の間の空間のうち、シール材91とシール材92との間の部分である。シール材91,92のそれぞれは、上下方向に延び、縦等圧空間SVの端部をシールする。
【0053】
縦等圧空間SVは、例えば、縦枠33,34の少なくとも一方に設けられた孔を通じて、屋外に連通している。これにより、縦等圧空間SVは、屋外と略等圧に保たれ、例えば圧力差や気流により雨水が屋内に浸入することが抑制する。なお、縦等圧空間SVの気圧と屋外の気圧とは、一時的に異なっても良い。
【0054】
図4は、本実施形態のパネルユニット11LL,11LR及びキャッチパン12を示す斜視図である。キャッチパン12は、例えば、シリコン素材に発泡剤を入れることで製造されたシリコンスポンジで作られ、弾性を有する。なお、キャッチパン12は、他の弾性を有する材料で作られても良い。キャッチパン12は、縦隔壁101と、二つの横隔壁102,103とを有する。
【0055】
縦隔壁101は、略直方体状に形成される。縦隔壁101は、パネルユニット11ULの縦枠34の下方の端と、パネルユニット11LLの縦枠34の上方の端と、の間に挟持される。さらに、縦隔壁101は、パネルユニット11URの縦枠33の下方の端と、パネルユニットLRの縦枠33の上方の端と、の間に挟持される。
【0056】
縦隔壁101は、パネルユニット11UL,11URの間に設けられた縦等圧空間SVの下方の端部を覆う。さらに、縦隔壁101は、パネルユニット11LL,11LRの間に設けられた縦等圧空間SVの上方の端部を覆う。
【0057】
横隔壁102,103は、縦隔壁101から屋外側に突出している。二つの横隔壁102,103は、左右方向に互いに離間している。
【0058】
横隔壁102は、パネルユニット11ULの下枠32の、見込壁41,43の下方の端部と、見付壁45,46の右方の端部と、に当接する。横隔壁102は、パネルユニット11LLの上枠31の、見込壁51の上方の端部と、見付壁55の右方の端部と、に当接する。さらに、横隔壁102は、シール材62,63の右方の端部に当接する。
【0059】
横隔壁103は、パネルユニット11ULの下枠32の、見込壁41,43の下方の端部と、見付壁45,46の左方の端部と、に当接する。横隔壁103は、パネルユニット11LLの上枠31の、見込壁51の上方の端部と、見付壁55の左方の端部と、に当接する。さらに、横隔壁103は、シール材62,63の左方の端部に当接する。
【0060】
横隔壁102,103を有するキャッチパン12は、パネルユニット11ULの下枠32と、パネルユニット11URの下枠32と、の間に挟持される。さらに、キャッチパン12は、パネルユニット11LLの上枠31と、パネルユニット11LRの上枠31と、の間に挟持される。キャッチパン12のうち、上枠31、下枠32、又は縦枠33,34に当接した部分は、弾性的に押し潰され(圧縮され)、上枠31、下枠32、又は縦枠33,34に密着することができる。
【0061】
横隔壁102は、パネルユニット11UL,11LLの間に設けられた横等圧空間SLの第1の領域SL1の右方の端部を覆う。横隔壁103は、パネルユニット11UR,11LRの間に設けられた横等圧空間SLの第1の領域SL1の左方の端部を覆う。
【0062】
以上のように、横等圧空間SLは、キャッチパン12、上枠31、下枠32、シール材61,62,63によって囲まれ、規定(区画、形成)された空間である。また、縦等圧空間SVは、キャッチパン12、縦枠33,34、及びシール材91,92によって囲まれ、規定された空間である。
【0063】
キャッチパン12の縦隔壁101は、上下方向における縦等圧空間SVの両端を、ほぼ塞いでいる。また、キャッチパン12の横隔壁102,103は、左右方向における横等圧空間SLの両端を、ほぼ塞いでいる。このため、キャッチパン12は、横等圧空間SLと縦等圧空間SVとを隔てる。
【0064】
図3に示すように、本実施形態では、縦枠33の見込壁71,72及び見付壁74,76と、縦枠34の見込壁81,82及び見付壁84,86と、の内側にゴンドラレールSGが設けられる。ゴンドラレールSGは、屋外に連通し、実質的に屋外の一部である。
【0065】
縦隔壁101は、縦等圧空間SVとゴンドラレールSGとの間を隔てる。横隔壁102,103のそれぞれは、横等圧空間SLとゴンドラレールSGとの間を隔てる。縦等圧空間SVと横等圧空間SLとは、キャッチパン12及びゴンドラレールSGによって隔てられている。
【0066】
図4に示すように、縦隔壁101は、上面101aと、外面101bとを有する。上面101aは、上方に向く。上面101aは、パネルユニット11UL,11URの間の縦等圧空間SVの下方の端部を覆う。外面101bは、屋外側に向く。外面101bは、ゴンドラレールSGに面している。
【0067】
縦隔壁101に、排水路105が設けられる。排水路105は、上面101a及び外面101bに開口する。このため、排水路105は、パネルユニット11UL,11URの間の縦等圧空間SVの下方の端部と、ゴンドラレールSG(屋外)とを連通する。縦等圧空間SVの水は、排水路105から、ゴンドラレールSGに排出される。
【0068】
図2及び図3に示すように、屋内側における横等圧空間SLの端SLiは、屋内側における縦等圧空間SVの端SViよりも、屋外側に位置する。端SLi,SViは、気密ラインとも称され得る。また、屋内側における横等圧空間SLの端SLiは、屋外側における縦等圧空間SVの端SVoよりも、屋外側に位置する。すなわち、見込方向において、横等圧空間SLの全域が、縦等圧空間SVの屋外側に位置する。見込方向において、上枠31及び下枠32のそれぞれの寸法は、縦枠33,34のそれぞれの寸法よりも短い。なお、見込方向において、横等圧空間SLの一部が、縦等圧空間SVの一部の屋内側に位置しても良い。
【0069】
以上説明された実施形態に係るカーテンウォール10において、パネルユニット11ULの縦枠34と、パネルユニット11URの縦枠33と、の間に縦等圧空間SVが設けられる。パネルユニット11ULの下枠32と、パネルユニット11LLの上枠31と、の間に横等圧空間SLが設けられる。屋内側における横等圧空間SLの端SLiは、屋内側における縦等圧空間SVの端SViよりも、屋外側に位置する。これにより、見込方向において、上枠31及び下枠32の寸法は、縦枠33,34の寸法よりも短くなり得る。より大きな負荷がかかり得る縦枠33,34の見込寸法が長く設定されることで、カーテンウォール10の強度が低下することが抑制される。一方、見込方向における上枠31及び下枠32の寸法が短くされることで、カーテンウォール10は、上枠31及び下枠32を小型化し、ひいては上枠31及び下枠32の重量及びコストを低減することができる。
【0070】
カーテンウォール10は、弾性を有するキャッチパン12をさらに備える。キャッチパン12は、パネルユニット11ULの下枠32とパネルユニット11URの下枠32との間に挟持され、且つパネルユニット11ULの縦枠34とパネルユニット11LLの縦枠34との間に挟持される。キャッチパン12は、縦等圧空間SVと横等圧空間SLとの間を隔てる。すなわち、縦等圧空間SVと横等圧空間SLとが互いに独立し、見込方向における縦等圧空間SVと横等圧空間SLとの位置を異ならせることが容易となる。また、縦等圧空間SVと横等圧空間SLとのそれぞれにおける気圧を屋外の外気と略等圧に保つことが容易となる。
【0071】
キャッチパン12は、縦等圧空間SVの下方の端部を覆う。キャッチパン12に、縦等圧空間SVの下方の端部と屋外とを連通する排水路105が設けられる。これにより、縦等圧空間SVの水が、排水路105から排出され得る。また、縦等圧空間SVと横等圧空間SLとを隔てるキャッチパン12が縦等圧空間SVの水を排出するための部材を兼ねるため、カーテンウォール10のコストが低減され得る。
【0072】
キャッチパン12は、横等圧空間SLの一方の端部を覆う。これにより、横等圧空間SLの気密性が向上する。
【0073】
屋内側における横等圧空間SLの端SLiは、屋外側における縦等圧空間SVの端SVoよりも屋外側に位置する。すなわち、横等圧空間SLの全体が、縦等圧空間SVよりも屋外側に位置する。これにより、カーテンウォール10は、上枠31及び下枠32を小型化し、ひいては上枠31及び下枠32の重量及びコストを低減することができる。
【0074】
上述の本発明の実施形態は、発明の範囲を限定するものではなく、発明の範囲に含まれる一例に過ぎない。本発明のある実施形態は、上述の実施形態に対して、例えば、具体的な用途、構造、形状、作用、及び効果の少なくとも一部について、発明の要旨を逸脱しない範囲において変更、省略、及び追加がされたものであっても良い。
【0075】
2015年9月の国連サミットにおいて採択された17の国際目標として「持続可能な開発目標(Sustainable DevelopmentGoals:SDGs)」がある。本実施形態に係るカーテンウォール10は、このSDGsの17の目標のうち、例えば「11.住み続けられるまちづくりを」の目標などの達成に貢献し得る。
【符号の説明】
【0076】
10…カーテンウォール、11…パネルユニット、11UL…パネルユニット(第1のパネルユニット)、11UR…パネルユニット(第2のパネルユニット)、11LL…パネルユニット(第3のパネルユニット)、12…キャッチパン(仕切部材)、21…パネル(外壁材)、21a…上方の縁、21b…下方の縁、21c,21d…側方の縁、31…上枠、32…下枠、33,34…縦枠、105…排水路、SV…縦等圧空間(第1の等圧空間)、SL…横等圧空間(第2の等圧空間)。
図1
図2
図3
図4