(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026369
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】薬物送達デバイスの逆流防止機構
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20240220BHJP
A61M 39/24 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
A61M5/142 522
A61M39/24
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023210897
(22)【出願日】2023-12-14
(62)【分割の表示】P 2020542136の分割
【原出願日】2019-03-08
(31)【優先権主張番号】62/640,934
(32)【優先日】2018-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リング,ローレンス・スコット
(72)【発明者】
【氏名】パーボダヒ,トヒッド
(72)【発明者】
【氏名】アクバリ,サミン
(72)【発明者】
【氏名】グロースマン,ダニエル・エデュアルド
(72)【発明者】
【氏名】モジャラッド,メヘラン
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ティフ,ミハイル
(72)【発明者】
【氏名】ワード,ジミー・エル
(72)【発明者】
【氏名】ギブソン,スコット・アール
(72)【発明者】
【氏名】モバーグ,シェルドン・ビー
(72)【発明者】
【氏名】タムスキー,ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】ファウチャー,ポール
(72)【発明者】
【氏名】リンド,ジェフ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】薬物の流れを補助するための逆流防止機構を有する改良された薬物送達デバイスを提供する。
【解決手段】薬物送達デバイス10は、シェルと内容積とを画定するハウジング29と、容器14と、駆動機構24と、針アセンブリ12と、流体流接続部50と、逆流防止機構70と、を含む。容器14は、使用者に投与されるべき薬剤を収容するための内容積を有する。駆動機構24はハウジング29内に少なくとも部分的に配置され、薬剤を容器14から押し出すための力を作用させる。流体流接続部50は、容器14と針アセンブリ12とに結合され、薬剤が容器14から針アセンブリ12に流れ、投与されることを可能にする。逆流防止機構70は、容器14、流体流接続部50、又は針アセンブリ12のうちの少なくとも1つと関連付けられ、流体が針アセンブリ12から容器14に流れるのを制限するための少なくとも1つの流量制限器を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェルと内容積とを画定するハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置された容器であって、使用者に投与されるべき薬剤を収容するように適合された内容積を有する、容器と、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置された駆動機構であって、前記薬剤を前記容器から押し出すための力を作用させるように適合されている、駆動機構と、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置された針アセンブリと、
前記容器と前記針アセンブリとに結合された流体流接続部であって、前記薬剤が前記容器から前記針アセンブリに流れることを可能にするように適合されている、流体流接続部と、
前記容器、前記流体流接続部、又は前記針アセンブリのうちの少なくとも1つと関連付けられた逆流防止機構であって、流体が前記針アセンブリから前記容器に流れるのを制限するための少なくとも1つの流量制限器を含む、逆流防止機構と、
を含む、薬物送達デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの流量制限器は一方向弁を含む、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの流量制限器は、
スリットバルブ、
アンブレラバルブ、
ボールバルブ、
ダックビルバルブ、又は
フラップバルブ
のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の薬物送達デバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの流量制限器は空気排除デバイスを含む、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項5】
前記逆流防止機構は、前記流体流接続部が前記針アセンブリに結合される結合領域に配置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項6】
前記結合領域は、前記針アセンブリを封止するように適合されたボール及びリザーバ受け部を含む、請求項5に記載の薬物送達デバイス。
【請求項7】
前記逆流防止機構は、前記針アセンブリ内に少なくとも部分的に配置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項8】
前記流体流接続部は、フレキシブルチューブから作成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項9】
前記フレキシブルチューブは、ポリマー材料から作成されている、請求項8に記載の薬物送達デバイス。
【請求項10】
薬物送達デバイスの逆流防止機構であって、前記薬物送達デバイスの容器、流体流接続部、又は針アセンブリのうちの少なくとも1つと関連付けられており、流体が前記針アセンブリから前記容器に流れるのを制限するための少なくとも1つの流量制限器を含む、
逆流防止機構。
【請求項11】
前記少なくとも1つの流量制限器は一方向弁を含む、請求項10に記載の逆流防止機構。
【請求項12】
前記一方向弁は、
スリットバルブ、
アンブレラバルブ、
ボールバルブ、
ダックビルバルブ、又は
フラップバルブ
のうちの少なくとも1つを含む、請求項10又は11に記載の逆流防止機構。
【請求項13】
前記少なくとも1つの流量制限器は、空気排除デバイスを含む、請求項10に記載の逆流防止機構。
【請求項14】
シェルと内容積とを画定するハウジングと、前記ハウジングの前記内容積内に少なくとも部分的に配置され、使用者に投与されるべき薬剤を収容するように適合された容器と、を有する薬物送達デバイス内の逆流を防止する方法であって、
前記ハウジング内に駆動機構を少なくとも部分的に配置することであって、前記駆動機構は、前記薬剤を前記容器から押し出すための力を作用させるように適合されている、ことと、
前記ハウジング内に針アセンブリを少なくとも部分的に配置することと、
前記薬剤が前記容器から前記針アセンブリに流れることを可能にするために、流体流接続部を前記容器と前記針アセンブリとに結合することと、
逆流防止機構を、前記容器、前記流体流接続部、又は前記針アセンブリのうちの少なくとも1つと関連付けることであって、前記逆流防止機構は、流体が前記針アセンブリから前記容器に流れるのを制限する少なくとも1つの流量制限器を含む、ことと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの逆流防止機構を関連付けることは、一方向弁を、前記容器、前記流体流接続部、又は前記針アセンブリのうちの前記少なくとも1つと関連付けることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの逆流防止機構を関連付けることは、空気排除デバイスを、前記容器、前記流体流接続部、又は前記針アセンブリのうちの前記少なくとも1つと関連付けることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記逆流防止機構は、前記流体流接続部が前記針アセンブリに結合される結合領域に配置される、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記逆流防止機構は、前記針アセンブリ内に少なくとも部分的に配置される、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年3月9日に出願された米国特許仮出願第62/640,934号明細書の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
本開示は、薬物送達デバイスに関し、より具体的には、薬物の流れを補助するための逆流防止機構を有する薬物送達デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
インジェクタなどの薬物送達デバイスは、患者に液剤を送達するために使用される。起動されると、薬物送達デバイスは、内部リザーバ内に貯蔵された薬物を、針、カニューレ、又は他の送達部材を通して患者内に排出する。オンボディ型インジェクタなどのいくつかの薬物送達デバイスは、注射針又はそれ以外の手段により長期間にわたって薬物を送達するために患者に一時的に取り付けられ得る。薬物送達デバイスは、患者の腹部、大腿、腕、又は患者の体のそれ以外の部分の組織に粘着的に取り付けられ得る。
【0004】
遅延送達デバイスは、有害な副作用を防止しながらも、特定の薬物の治療効果を高めることができる。このようなデバイスは、最初に医療関係者によって作動されることで針及び/又はカニューレを患者の組織に挿入させることができるが、実際には薬物を長期間にわたって投与しない場合がある。いくつかの場合では、薬物送達デバイスへの体液の逆流が流体路の閉塞をもたらす可能性がある。血液又は他の流体の逆流の結果、薬物送達デバイスの流体路に沿って凝塊が形成されるおそれがある。凝固物質は、薬剤を凝塊に押し通すために(或いは、凝塊を変位させるために)必要な圧力がデバイスの駆動力性能を超えると、薬物が送達されるのを妨げるおそれがある。したがって、デバイスが失速する場合があり、使用者への薬物の送達に悪影響を及ぼす可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、シェルと内容積とを画定するハウジングと、容器と、駆動機構と、針アセンブリと、流体流接続部と、逆流防止機構と、を含む、薬物送達デバイスを提供する。容器は、使用者に投与されるべき薬剤を収容するための内容積を有する。駆動機構は、ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、薬剤を容器から押し出すための力を作用させる。流体流接続部は、容器と針アセンブリとに結合され、薬剤が容器から針アセンブリに流れ、投与されることを可能にする。逆流防止機構は、容器、流体流接続部、又は針アセンブリのうちの少なくとも1つと関連付けられ、流体が針アセンブリから容器に向かって流れるのを制限するための少なくとも1つの流量制限器を含む。
【0006】
いくつかの例では、少なくとも1つの流量制限器は一方向弁を含んでもよい。いくつかの例では、流量制限器は、スリットバルブ、アンブレラバルブ、ボールバルブ、ダックビルバルブ、又はフラップバルブのうちのいずれか1つであってもよい。いくつかの例では、任意の数のこれらのバルブを互いに組み合わせて使用してもよい。
【0007】
いくつかの形態では、逆流防止機構は、流体流接続部が針アセンブリに結合される結合領域に配置されてもよい。結合領域は、針アセンブリを封止するように適合されたボール及びリザーバ受け部を含んでもよい。他の形態では、逆流防止機構は、針アセンブリ内に少なくとも部分的に配置されている。
【0008】
いくつかの実施形態では、流体流接続部は、フレキシブルチューブ(例えばポリマー材料)から作成されてもよい。追加的に他の好適な材料を使用してもよい。
【0009】
本開示の第2の態様は、薬物送達デバイスの逆流防止機構を提供する。逆流防止機構は、薬物送達デバイスの容器、流体流接続部、又は針アセンブリのうちの少なくとも1つと関連付けられている。この態様では、逆流防止機構は、流体が針アセンブリから容器に流れるのを制限する少なくとも1つの流量制限器を含んでもよい。
【0010】
本開示の第3の態様は、シェルと内容積とを画定するハウジングと、ハウジングの内容積内に少なくとも部分的に配置され、使用者に投与されるべき薬剤を収容するように適合された容器と、を有する薬物送達デバイス内の逆流を防止する方法を提供する。駆動機構は、ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、薬剤を容器から押し出すための力を作用させる。針アセンブリもまた、ハウジング内に少なくとも部分的に配置されている。流体流接続部が、容器と針アセンブリとに結合され、薬剤が容器から針アセンブリに流れることを可能にする。逆流防止機構は、容器、流体流接続部、又は針アセンブリのうちの少なくとも1つと関連付けられる。逆流防止機構は、流体が針アセンブリから容器に流れるのを制限するための少なくとも1つの流量制限器を含む。
【0011】
上記ニーズは、特に図面と併せて研究される、以下の詳細な説明に記載される薬物送達デバイスの逆流防止機構の提供によって少なくとも一部満たされる。
【0012】
添付の図は本開示による実施形態を示し、限定ではなくむしろ例示である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】各種実施形態による薬物送達デバイスの一実施形態の概略断面図を示す。
【
図2】各種実施形態による、針アセンブリに対する流体流路の接続を示す
図1の薬物送達デバイスの斜視図を示す。
【
図3A】各種実施形態による薬物送達デバイスの針ハブアセンブリに結合された流体流路の斜視図を示す。
【
図3B】各種実施形態による、
図3Aに示される針ハブアセンブリに結合されている流体流路の側断面図を示す。
【
図4A】各種実施形態による薬物送達デバイスの逆流防止機構の例示的な配置のそれぞれ側断面図及び上部断面図を示す。
【
図4B】各種実施形態による薬物送達デバイスの逆流防止機構の例示的な配置のそれぞれ側断面図及び上部断面図を示す。
【
図5】各種実施形態によるスリットバルブの形態の第1の例示的な逆流防止機構の斜視図を示す。
【
図6A】各種実施形態によるアンブレラバルブの形態の第2の例示的な逆流防止機構の側断面図を示す。
【
図6B】各種実施形態によるアンブレラバルブの形態の第2の例示的な逆流防止機構の側断面図を示す。
【
図7A】各種実施形態によるボールバルブの形態の第3の例示的な逆流防止機構の側断面図を示す。
【
図7B】各種実施形態によるボールバルブの形態の第3の例示的な逆流防止機構の側断面図を示す。
【
図8A】各種実施形態によるダックビルバルブの形態の第4の例示的な逆流防止機構の側断面図を示す。
【
図8B】各種実施形態によるダックビルバルブの形態の第4の例示的な逆流防止機構の側断面図を示す。
【
図9A】各種実施形態によるフラップバルブの形態の第5の例示的な逆流防止機構の側断面図を示す。
【
図9B】各種実施形態によるフラップバルブの形態の第5の例示的な逆流防止機構の側断面図を示す。
【
図10A】各種実施形態によるフラップバルブの形態の第6の代替的な逆流防止機構の側断面図を示す。
【
図10B】各種実施形態によるフラップバルブの形態の第6の代替的な逆流防止機構の側断面図を示す。
【
図10C】各種実施形態によるフラップバルブの形態の第6の代替的な逆流防止機構の側断面図を示す。
【
図11A】各種実施形態による空気排除を使用する第7の代替的な逆流防止機構のそれぞれ斜視図及び側断面図を示す。
【
図11B】各種実施形態による空気排除を使用する第7の代替的な逆流防止機構のそれぞれ斜視図及び側断面図を示す。
【
図12】各種実施形態による空気排除を使用する例示的な逆流防止機構の代替的配置の側断面図を示す。
【
図13A】各種実施形態による常時開クランプアセンブリを使用する第8の代替的な逆流防止機構のそれぞれ斜視図及び背面図を示す。
【
図13B】各種実施形態による常時開クランプアセンブリを使用する第8の代替的な逆流防止機構のそれぞれ斜視図及び背面図を示す。
【
図13C】各種実施形態による常時開クランプアセンブリを使用する第8の代替的な逆流防止機構のそれぞれ斜視図及び背面図を示す。
【
図13D】各種実施形態による常時閉クランプアセンブリを使用する第8の代替的な逆流防止機構のそれぞれ斜視図及び背面図を示す。
【
図13E】各種実施形態による常時閉クランプアセンブリを使用する第8の代替的な逆流防止機構のそれぞれ斜視図及び背面図を示す。
【
図13F】各種実施形態による常時閉クランプアセンブリを使用する第8の代替的な逆流防止機構のそれぞれ斜視図及び背面図を示す。
【
図14A】各種実施形態によるスリーブバルブアセンブリを使用する第9の代替的な逆流防止機構の側面図及び断面図を示す。
【
図14B】各種実施形態によるスリーブバルブアセンブリを使用する第9の代替的な逆流防止機構の側面図及び断面図を示す。
【
図14C】各種実施形態によるスリーブバルブアセンブリを使用する第9の代替的な逆流防止機構の側面図及び断面図を示す。
【
図15A】各種実施形態によるスリーブバルブアセンブリを使用する第10の代替的な逆流防止機構の側面図及び断面図を示す。
【
図15B】各種実施形態によるスリーブバルブアセンブリを使用する第10の代替的な逆流防止機構の側面図及び断面図を示す。
【
図15C】各種実施形態によるスリーブバルブアセンブリを使用する第10の代替的な逆流防止機構の側面図及び断面図を示す。
【
図15D】各種実施形態によるスリーブバルブアセンブリを使用する第10の代替的な逆流防止機構の側面図及び断面図を示す。
【
図15E】各種実施形態によるスリーブバルブアセンブリを使用する第10の代替的な逆流防止機構の側面図及び断面図を示す。
【
図15F】各種実施形態によるスリーブバルブアセンブリを使用する第10の代替的な逆流防止機構の側面図及び断面図を示す。
【
図15G】各種実施形態によるスリーブバルブアセンブリを使用する第10の代替的な逆流防止機構の側面図及び断面図を示す。
【
図15H】各種実施形態によるスリーブバルブアセンブリを使用する第10の代替的な逆流防止機構の側面図及び断面図を示す。
【
図16A】各種実施形態による代替的な空気排除デバイスを使用する第11の逆流防止機構を示す。
【
図16B】各種実施形態による代替的な空気排除デバイスを使用する第11の逆流防止機構を示す。
【
図16C】各種実施形態による代替的な空気排除デバイスを使用する第11の逆流防止機構を示す。
【
図16D】各種実施形態による代替的な空気排除デバイスを使用する第11の逆流防止機構を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
当業者であれば、図中の要素は簡略化及び明確化のために描かれているものであり、必ずしも一定の縮尺で描かれていないことは理解するであろう。例えば、図中の要素のいくつかの寸法及び/又は相対位置は、本発明の各種実施形態の理解を向上させるために他の要素に対して誇張される場合がある。また、商業的に実現可能な実施形態において有用又は必要な、一般的ではあるが十分に理解されている要素は、これら様々な実施形態の図をあまり妨げないようにするために示されないことが多い。更に、特定の行為及び/又は工程は、特定の発生順序で記載される又は示される場合があることは認識されるであろうが、当業者であれば、順序に関するそのような特定性は実際には必要ないことは理解するであろう。本明細書で使用される用語及び表現は、異なる特定の意味が本明細書で説明されている場合以外は、上述のように、このような用語及び表現に当業者が与えるような通常の技術的な意味を有することも理解されよう。
【0015】
本開示は、概して、薬物送達デバイスの逆流防止機構に関する。概して、薬物送達デバイスは、シェルを画定するハウジングと、容器と、駆動機構と、第1端部と第2端部とを有する針アセンブリと、流体流接続部と、逆流防止機構と、を含み、これらはそれぞれ、ハウジング内に少なくとも部分的に配置されている。容器は、第1及び第2端部と、使用者に投与されるべき薬剤を収容するための内容積と、を有する。駆動機構は、薬剤を容器内でその第2端部に向かって押し出すために、容器の第1端部に力を作用させるように適合されている。流体流接続部は、容器の第2端部と針アセンブリの第1端部とに結合されており、薬剤が容器から針アセンブリに流れることを可能にするように適合されている。
【0016】
逆流防止機構は、流体路内に配置された流体路要素である。逆流防止機構は、第1の方向の(すなわち、薬物を患者に投与することができるように容器から針アセンブリへの)流体の流れを可能とする一方で、第2の方向の(すなわち、針アセンブリから容器に戻る)流体の流れを制限する。第2の方向の流体の流れを阻止することにより、凝塊形成の可能性が減少及び/又は排除され、それにより流体が所定の流量で(at flow rates)流れることができるようにする。その結果、逆流防止機構は、流路閉塞のみならず薬物送達を完全に妨げる閉塞に打ち勝つために必要とされる高価で高出力の駆動機構の必要性を排除することができる。更に、逆流防止機構は、デバイスが作動された時に並びに/又は針及び/若しくはカニューレが患者に挿入された時に患者に薬物を即座に送達しない遅延送達インジェクタに容易に用いることができる。
【0017】
図1は、本開示の原理に従って作成された薬物送達デバイス10の一実施形態の概略図である。薬物送達デバイス10は、患者に薬物を皮下的に又は経皮的に送達するように動作させてもよい。図示される実施形態においては、薬物送達デバイス10は、オンボディ型インジェクタ又は携帯型輸液ポンプなどのウェアラブル薬物送達デバイスとして構成され、患者の組織11(例えば、患者の皮膚)に取り外し可能に取り付けられる。薬物送達デバイス10は、一定の又は患者/オペレータが設定可能な用量の薬物を制御された又は選択された時間にわたって自動的に送達するように構成されてもよい。更に、薬物送達デバイス10は、患者による自己投与用であってもよい、又は正式に訓練された医療関係者若しくは注入を行う他の介護者によって操作されてもよい。
【0018】
概して、薬物送達デバイス10は、針アセンブリ(挿入機構とも呼ばれる)12と、容器14と、流体経路アセンブリ22と、駆動機構24と、コントローラ26とを含んでもよく、これらはそれぞれ、シェルを画定する主要ハウジング29の内部空間内に配置されてもよい。アクチュエータ28(例えば、使用者が押すことができるボタン、タッチスクリーン、マイクロフォン等)はハウジング29の外部表面から突き出ていてもよく又はハウジング29の外部表面に配置されてもよく、機械的及び/又は電気的手段(
図1に破線で示す)により、針アセンブリ12、流体経路アセンブリ22、駆動機構24、コントローラ26、並びに/又は他の機構及び/若しくは電子機器を起動することによって薬物送達デバイス10の動作を開始するように構成されてもよい。いくつかの例では、デバイス10を起動させるために無線通信を用いてもよい。アクチュエータ28が使用者若しくは患者によって押される又は別の手法で物理的に動作されるボタンである実施形態において、アクチュエータ28は、針アセンブリ12、流体経路アセンブリ22、駆動アセンブリ24、コントローラ26、及び/又は他の機構を起動するのに必要な原動力を作用させるように構成されてもよい。そのような実施形態では、アクチュエータ28を手で押すこと又はこれと他の手法で相互作用することで、針アセンブリ12、駆動機構24、流体経路アセンブリ22、及び/又は他の機構を起動するのに必要な原動力を供給するように、アクチュエータ28は、直接的に又は機械的リンク機構を介して間接的に、のいずれかで、針アセンブリ12、駆動機構24、流体経路アセンブリ22、及び/又は他の機構に物理的に接続されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、アクチュエータ28を手で押すことにより、流体経路アセンブリ22を固定容器14の第1端部36に向かって移動させ、又は容器14を固定流体経路アセンブリ22に向かって移動させ、それにより、容器アクセス針60をシール部材40に貫通させて容器14のリザーバ又は内容積30に入れてもよい。付加的に又は代替的に、アクチュエータ28は電気的及び/又は機械的信号をコントローラ26に送信する入力デバイスとして動作してもよく、コントローラ26は更に、針アセンブリ12、駆動機構24、流体経路アセンブリ22、及び/又は他の機構の動作を制御するためのプログラム可能命令を実行してもよい。そのような実施形態では、コントローラ26は、プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)、及びプロセッサによって実行されるプログラム可能命令を記憶するための非一時的なメモリを含んでもよい。更に、そのような実施形態では、薬物送達デバイス10は、アクチュエータ28とは別個の、コントローラ26から受信された電気的制御信号に応答して、針アセンブリ12、駆動機構24、流体経路アセンブリ22及び/又は他の機構を起動するのに必要な原動力を作用させる内部アクチュエータ(例えば、電気モータ、空気圧式若しくは油圧式ポンプ及び/又は加圧ガス若しくは液体源)を含んでもよい。
【0019】
更に
図1を参照すると、ハウジング29は、患者の組織11に取り外し可能に取り付けられる(例えば、接着剤によって接着される)ように構成された底壁25と、1つ以上の視覚インジケータ42(例えば、ライト、グラフィカルディスプレイ等)並びに/又は容器14及びその中に収容された薬物32を観察するための窓35を含む頂壁27と、を含んでもよい。1つ以上の視覚インジケータ42は、薬物送達デバイス10の動作状態及び/又は薬剤若しくは薬物32の状態に関する情報を使用者に伝えるために使用されてもよい。開口部31が底壁25に形成されてもよく、任意選択的に、突き通し可能なセプタムなどの突き通し可能な滅菌バリア33が開口部31にわたって延び、使用前にハウジング29の内部を密封していてもよい。いくつかの実施形態では、突き通し可能な滅菌バリア33は省略されてもよく、その代わりに、使用前に、取り外し可能なシーリング部材(図示せず)が開口部31を覆い、密閉閉鎖(seal close)してもよい。
【0020】
ハウジング29の底壁25が患者の皮膚11に取り付けられた後、針アセンブリ12を起動して、ハウジング29内の後退位置からハウジング29の外に延びる展開位置に送達部材を移動させてもよい。本実施形態では、これには、
図1に示されるように、針アセンブリ12が針又はトロカール21とトロカール21を包囲する中空カニューレ23とを、突き通し可能な滅菌バリア33を通して患者の皮膚11及び皮下組織13に挿入することを含んでもよい。その直後又はその後間もなく、針アセンブリ12は、針21を自動的に後退させ、カニューレ23の先端側開端部を薬物32の皮下送達のために患者の内部に残してもよい。針21は中実であり、患者の皮膚11に穿孔するために鋭利な端部を有してもよい。更に、針21は、カニューレ23よりも剛性の高い材料で作製してもよい。いくつかの実施形態では、針21は金属製であってもよく、カニューレ23はプラスチック又は別のポリマー製であってもよい。カニューレ23の相対的な可撓性により、カニューレ23を患者に痛み又は顕著な不快感を生じさせることなくある期間にわたって患者の組織11内に皮下配置することを可能にしてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、針アセンブリ12は、初めは付勢された状態に保持され、アクチュエータ28を押すと針21及びカニューレ23又は中空針を患者に挿入するために解放される1つ以上のばね(例えば、コイルばね、ねじりばね等)を含んでもよい。更に、針21の後退は、針21及びカニューレ23が患者に挿入された後、別のばねの自動解放によって達成されてもよい。例えば、電気モータ、油圧式若しくは空気圧式ポンプ又は加圧ガス若しくは加圧液体を放出して作動エネルギーを提供するキャニスタを含む、挿入及び/又は後退のための他の動力源も考えられる。
【0022】
一部の文脈では一次容器と呼ばれることのある容器14は、薬物32が充填されるリザーバ30を画定する内部表面43と外部表面47とを有する壁38を含んでもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイス10に容器14を取り付ける前に、リザーバ30に薬物製造業者によって薬物32が予め充填されてもよい。いくつかの実施形態では、容器14をハウジングに対して動かすことができないように、容器14はハウジング29に強固に接続されてもよく、その一方で、他の実施形態では、薬物送達デバイス10の動作中に容器14をハウジング29に対して動かすことができるように、容器14は、ハウジング29に摺動可能に接続されてもよい。容器14は、長手方向軸線Aに沿って延びる細長いバレル状の又は円筒状の形状を有してもよい。薬物送達デバイス10がオンボディ型インジェクタとして構成される実施形態では、容器14の長手方向軸線Aは、針アセンブリ12がカニューレ23などの送達部材を患者に挿入する方向に垂直若しくは実質的に垂直又は他に非平行であってもよい。この構成は、患者の動きを妨げることなく患者が装着することができるオンボディ型インジェクタが略平坦な薄型形状を有することを可能にし得る。最初に、ストッパ34又は他のピストン部材が容器14の第1端部36においてリザーバ30内に配置されてもよい。ストッパ34は容器14の壁38の内部表面43に密閉的に且つ摺動可能に係合してもよく、容器14の壁38に対して移動可能であってもよい。
【0023】
送達前にリザーバ30内に収容される薬物32の量は、約(例えば、±10%)0.5~20mLの範囲内の任意の量、又は約(例えば、±10%)0.5~10mLの範囲内の任意の量、又は約(例えば、±10%)1~10mLの範囲内の任意の量、又は約(例えば、±10%)1~8mLの範囲内の任意の量、又は約(例えば、±10%)1~5mLの範囲内の任意の量、又は約(例えば、±10%)1~3.5mLの範囲内の任意の量、又は約(例えば、±10%)1~3mLの範囲内の任意の量、又は約(例えば、±10%)1~2.5mLの範囲内の任意の量、又は約(例えば、±10%)1~2mLの範囲内の任意の量、又は約(例えば、±10%)4mL以下の任意の量、又は約(例えば、±10%)3.5mL以下の任意の量、又は約(例えば、±10%)3mL以下の任意の量、又は約(例えば、±10%)2.5mL以下の任意の量、又は約(例えば、±10%)2mL以下の任意の量、又は約(例えば、±10%)1.5mL以下の任意の量、又は約(例えば、±10%)1mL以下の任意の量、又は約(例えば、±10%)2mL以上の任意の量、又は約(例えば、±10%)2.5mL以上の任意の量、又は約(例えば、±10%)3mL以上の任意の量であってもよい。リザーバ30には薬物32が完全に又は一部充填されてもよい。薬物32は、例えば、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、PCSK9(ヒトプロタンパク転換酵素サブチリシン/ケキシン9型)特異抗体、スクレロスチン抗体、又はカルシトニン遺伝子関連ペプチド抗体(CGRP)など、以下、「薬物情報」の表題下に記載する薬物のうちの1つ以上であってもよい。
【0024】
薬物送達デバイス10の動作中、駆動機構24は、容器14の第1端部36に力を作用させてもよい。例えば、駆動機構24は、容器14から薬物32を排出する又は押し出すためにストッパ34を長手方向軸線Aに沿って容器14の第1端部36から容器14の第2端部37まで押してもよい。いくつかの実施形態では、駆動機構24は、初めに付勢された状態に保持され、アクチュエータ28を押すと解放される1つ以上のばね(例えば、コイルばね、ねじりばね等)を含んでもよい。ばねは、それらの解放後、伸張又は収縮し、ストッパ34を、リザーバ30内において長手方向軸線Aに沿って容器14の第1端部36から容器14の第2端部37まで移動させることができる。他の実施形態では、駆動機構24は、例えば1つ以上のスプロケットギアを含むギア機構を回転させてリザーバ30内におけるストッパ34の軸方向運動を生じさせる電気モータ(図示せず)を含んでもよい。更に別の実施形態では、駆動機構24は電気モータ及びばねの両方を含んでもよく、電気モータは、ばねの伸張をテザー又はプーリシステムを介して調整する。更に別の実施形態では、駆動機構24は、加圧ガス又は加圧液体を放出して作動エネルギーを提供するキャニスタを含んでもよい。他の例も可能である。
【0025】
流体経路アセンブリ22は、薬物送達デバイス10の動作中に滅菌流体流路を介して容器14と針アセンブリ12との間に流体連通を確立するように構成されてもよい。流体経路アセンブリ22の第1端部44は、容器アクセス針60及びオーバーモールド部材62を含んでもよい。概して、オーバーモールド部材62は容器アクセス針60のための取付部材又は接続ハブとしての役割を果たしてもよく、リザーバ30にアクセスしない容器アクセス針60の一部分に、拡大外径などの拡大外形寸法を与えてもよい。容器アクセス針60は、容器アクセス針60の第1端部に対応する鋭利な端部すなわち先端63と、流体流接続部と流体連通する第2端部64と、を有してもよい。
【0026】
流体経路アセンブリ22は、容器14の第2端部37に接続された第1端部44と、針アセンブリ12の第1端部に接続された第2端部48と、を含んでもよく、流体流接続部50は、第1端部44と第2端部48との間に延び、逆流防止機構70は、容器14、流体流接続部50、又は針アセンブリ12のうちの少なくとも1つと関連付けられている。図示される例では、逆流防止機構70は流体流接続部50内に配置されている。以下で更に詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、流体経路アセンブリ22の第1端部44は、クリップ部材53によって容器14に接続されてもよい。流体流接続部50は滅菌してもよく、例えばポリマー又は他の材料などの可撓性チューブ52で部分的に又は完全に作製してもよい。最初に、流体経路アセンブリ22がハウジング29に対して移動することを可能にするように、且つ/又は、流体経路アセンブリ22が取り付けられている針アセンブリ12の構成要素がハウジング29に対して移動することを可能にするように、可撓性チューブ52にたるみがあってもよい。
図2に示されるように、流体流接続部50の第2端部48は、流体流接続部50と針アセンブリ12との間にシールを作成するために針アセンブリ12内のリザーバ受け部内に挿入され得るボール又は栓49を有してもよい。
図2、
図3A、及び
図3Bに示されるように、ボール又は栓49は、流体流接続部50の第2端部48に配置されてもよい。更に、
図2及び
図3Bに示されるように、栓49は、針アセンブリ12までの完全な流体流路を作成するために、流体流接続部50が通過することを可能とする開口部又はボア49aを含んでもよい。
【0027】
図3A及び
図3Bは、
図1及び
図2に示した針アセンブリ12に対応する例示的な針アセンブリ(挿入機構とも呼ばれる)120を示す。針アセンブリ120は、
図1に示される薬物送達デバイス10などの薬物送達デバイスに組み込まれてもよい。針アセンブリ120は、針ハブ122と、針ハブ122に結合された針又はトロカール121と、針ハブ122に取り外し可能に結合されたブーツ130と、可撓性ブーツ130の内容積131内に少なくとも部分的に配置されたカニューレ140と、針ハブ122に結合されたバネ150と、を含む。針121は、薬物32が流れることを可能にするための中空内部を有してもよい。針アセンブリ120は、動作を補助するための任意の数の追加構成要素及び/又は特徴を含んでもよい。いくつかの例では、薬物32の送達は、針アセンブリ120が針121及び/又はカニューレ140を使用者に挿入後の時点まで遅延させてもよい。いくつかの例では、薬物送達は、漸増的に又はボーラスとして、のいずれかで行われてもよい。
【0028】
これらの例では、並びに
図3A及び
図3Bに示されるように、流体流接続部50の第2端部48は、結合領域71において、針ハブ122のリザーバ受け部若しくは開口部124内に挿入されている又はこれに結合されている。薬物32は、流体流接続部50の終端箇所でカニューレ140に入り、針121の中空内部を通って流れ、使用者に送達される。
【0029】
図2~
図4Bに示されるように、逆流防止機構70は、流体流接続部50が針アセンブリ12に結合される結合領域71に位置づけられてもよい、配置されてもよい、及び/又は結合されてもよい。他の例では、逆流防止機構70は、デバイス10内の、流路に沿った他の場所(例えば、針アセンブリ12内のある場所など)に配置されてもよい。一例では、逆流防止機構70は、圧入接続部を介して針ハブ122に結合されてもよい。逆流防止機構70を結合領域71において結合するために他の適切な手法を用いてもよい。逆流防止機構70は、流体が針アセンブリ12から流体流接続部50を通って容器14に流れるのを制限する少なくとも1つの流量制限器72を含んでもよい。
【0030】
図5は、
図4A及び
図4Bに示される流量制限器72に対応する流量制限器172の一例を示す。図示される例では、流量制限器172は、入口部分174と、出口部分176と、入口部分174と出口部分176との間に延びる弁体178と、弁体178によって画定される、薬物32が弁体178を通過することを可能にするための1つ以上のスリット又は開口部180と、を有する、一方向スリットバルブの形態である。流量制限器172はまた、結合領域71において対応する突起(図示せず)を収容して、流量制限器172を突起に結合するための溝182を含んでもよい。流量制限器172は、ゴム及び/若しくは高分子材料などの弾性及び/又は可撓性材料から部分的に及び/又は完全に作成されてもよい。
【0031】
流量制限器172は、入口部分174が出口部分176の上流に配置されるようにデバイス10内に配置されている。換言すると、流量制限器172の入口部分174は容器14により近接して配置されており、その一方で、流量制限器172の出口部分176は針アセンブリ12により近接して配置されている。このように構成されることで、使用者に薬物32を送達したいとき、デバイス10は作動され、薬物32は容器14から流体流接続部50に沿って流量制限器172の入口部分174及び流量制限器172の出口部分176を通り、スリット又は開口部180を通って流れる。
【0032】
図示される例では、流量制限器172の出口部分176はスリット180において開口し、薬物32が針アセンブリ12へと通過し、送達されることを可能にする。薬物32の送達が完了すると、流量制限器172の固有の弾力性によってスリット180は閉じ、したがって、薬物32又は他の流体が流量制限器172の出口部分176から流量制限器172の入口部分174に流れるのを制限する。
【0033】
これらの例のいくつかでは、意図しない順方向の流れを防ぐことが望まれる場合がある。高度による環境圧力の変化は、これらデバイスの容器14又は流体流接続部50内の気泡の膨張を引き起こす可能性がある。この膨張が薬物を針から押し出す場合があるため、意図しない送達に至る。自然に発生する圧力差を超えるクラッキング圧力を有する一方向弁を使用することで、これらの発生を防止することができる。したがって、流量制限器172のクラッキング圧力はまた、空気又は薬剤の順方向の流れが望まれないときにこれを防止するために、約2psi超で構成されてもよい。
【0034】
図6A及び
図6Bは、
図4A及び
図4Bに示される流量制限器72に対応する流量制限器272の第2の例を示す。図示される例では、流量制限器272は、入口部分274と、出口部分276と、入口部分274と出口部分276との間に延びる弁体278と、弁体278によって画定される、薬物32が弁体278を通過することを可能にするための1つ以上の開口部280と、を有する、一方向(常時閉)アンブレラバルブの形態である。流量制限器272はまた、任意の数の適切な手法を用いて(例えば、圧入接続部、ねじ付き接続部等を介して)弁体278に動作的に結合されたアンブレラ部材282を含む。流量制限器272はまた、結合領域71において流量制限器272を結合するために使用される溝(図示せず)又は他の結合機構を含んでもよい。
【0035】
アンブレラ部材282は、ベース部分282aとフラップ部分282bとを含み、第1の構成と第2の構成との間での移動を可能にするために、ゴム及び/若しくは高分子材料などの弾性並びに/又は可撓性材料から部分的に及び/又は完全に作成されてもよい。同様に、弁体278は、ゴム及び/若しくは高分子材料などの弾性並びに/又は可撓性材料から部分的に及び/又は完全に作成されてもよい。
【0036】
アンブレラ部材282のフラップ部分282bは、第1表面282cと第2表面282dとを含み、開口部280を選択的に覆うために、第1の、閉鎖位置(
図6A)と、第2の、開放位置(
図6B)との間で移動可能である。フラップ部分282bは、その形状及び/又は構成の維持を補助するために任意の数の支持構造体を含んでもよい。いくつかの例では、フラップ部分282bはベース部分282aと一体的に形成され、いくつかの例では、フラップ部分282bは別個の構成要素である。
【0037】
流量制限器272は、入口部分274が出口部分276の上流に配置されるようにデバイス10内に配置されている。換言すると、流量制限器272の入口部分274は容器14により近接して配置されており、その一方で、流量制限器272の出口部分276は針アセンブリ12により近接して配置されている。このように構成されることで、及び
図6Bに示されるように、患者に薬物32を送達したいとき、デバイス10は作動され、薬物32は容器14から流体流接続部50に沿って流量制限器272の入口部分274及び流量制限器272の出口部分276を通り、開口部280を通って流れる。流量制限器272のクラッキング圧力はまた、空気又は薬剤の順方向の流れが望まれないときにこれを防止するために、約2psi超で構成されてもよい。
【0038】
図6Bを引き続き参照すると、開口部280を通って流れる際、薬物32はフラップ部分282bの第1表面282cに圧力を作用し、この圧力が更に、フラップ部分282bを、第2の、開放位置に付勢して、薬物32が針アセンブリ12へと通過し(
図6Bに矢印で示されるように)送達されることを可能にする。いくつかの例では、アンブレラ部材282の固有の弾力性によってフラップ部分282bを閉鎖構成(
図6A)に戻してもよい。他の例では、フラップ部分282bは、フラップ部分282bに逆の圧力が作用されるまで開放構成を維持してもよい。
【0039】
図6Aに示されるように、薬物32又は他の流体が反対方向に(例えば、流量制限器272の出口部分276から流量制限器272の入口部分274に)流れた場合、薬物32又は他の流体はフラップ部分282bの第2表面282dに接触し、それによりフラップ部分282bを閉鎖構成に戻す。したがって、及び
図6Aに矢印で示されるように、フラップ部分282bは薬物32又は他の流体が開口部280を通って流れるのを制限する。
【0040】
図7A及び
図7Bは、
図4A及び
図4Bに示される流量制限器72に対応する流量制限器372の第3の例を示す。図示される例では、流量制限器372は、入口部分374と、出口部分376と、入口部分374と出口部分376との間に延びる略中空の弁体378と、弁体378によって画定され、薬物32を入口部分374から出口部分376に送ることを可能にするチャネル381を形成する任意の数の細長い棚状部380と、を有する、一方向ボールバルブの形態である。流量制限器372はまた、弁体378内に配置されている、流体の流れを選択的に制限する又は可能にするために第1の、閉鎖位置(
図7A)と第2の、開放位置(
図7B)との間で移動可能なボール部材382を含む。流量制限器372はまた、結合領域71において流量制限器372を結合するために使用される溝(図示せず)又は他の結合機構を含んでもよい。流量制限器372の構成要素は、任意の数の適切な材料から作成されてもよい。
【0041】
弁体378内の棚状部380は、弁体378の出口部分376内に少なくとも部分的に延びるが、弁体378の入口部分374に到達する前に終端する。その結果、
図7Bに示されるように、ボール部材382が第2の、開放位置(
図7B)に配置されているとき、ボール部材382は棚状部380に当接し、これによりチャネル381を収容するための間隙を維持し、したがって、入口部分374からフローチャネル又はチャネル381を通り、出口部分376を通る流れを可能とする。これとは逆に、ボール部材382が第1の、閉鎖位置(
図7A)に配置されているとき、ボール部材382は弁体378に接触してシールを作成し、それにより、出口部分376から入口部分374への流れを制限する。
【0042】
流量制限器372は、入口部分374が出口部分376の上流に配置されるようにデバイス10内に配置されている。換言すると、流量制限器372の入口部分374は容器14により近接して配置されており、その一方で、流量制限器372の出口部分376は針アセンブリ12により近接して配置されている。このように構成されることで、及び
図7Bに示されるように、使用者に薬物32を送達したいとき、デバイス10は作動され、薬物32は容器14から流体流接続部50に沿って、流量制限器372の入口部分374を通って流れる。薬物32は、入口部分374を通って流れる際、ボール部材382に圧力を作用し、これによりボール部材382を出口部分376に向かって、薬物32が針アセンブリ12へとチャネル381を通過し(
図7Bの矢印で示されるように)、送達されることを可能にする第2の、開放構成に移動させる。
【0043】
図7Aに示されるように、薬物32又は他の流体が反対方向に(例えば、流量制限器372の出口部分376から流量制限器372の入口部分374に)流れた場合、薬物32又は他の流体はボール部材382に接触し、ボール部材382を入口部分374に向かって、第1の、閉鎖構成へと付勢する。したがって、及び
図7Aに矢印で示されるように、ボール部材382は弁体378を封止し、薬物32又は他の流体が入口部分374を通って逆流することを防止する。
【0044】
図8A~
図8Dは、
図4A及び
図4Bに示される流量制限器72に対応する流量制限器472の第4の例を示す。図示される例では、流量制限器472は、入口部分474と、出口部分476と、薬物32を入口部分474から出口部分476に送ることを可能にする開口部480を画定する、入口部分474と出口部分476との間に延びる略中空の弁体478と、を有する、一方向(常時閉)ダックビルバルブの形態である。流量制限器472はまた、弁体478内に配置され、任意の数の適切な手法を用いて(例えば、圧入接続部、ねじ付き接続部等を介して)弁体478に動作的に結合されたダックビル部材482を含む。流量制限器472はまた、結合領域71において流量制限器472を結合するために使用される突起473、溝(図示せず)、又は他の結合機構を含んでもよい。流量制限器472の構成要素は、例えば弁体478用の剛性材料及びダックビル部材482用の弾性材料などの任意の数の適切な材料から作成されてもよい。
【0045】
ダックビル部材482は、ベース部分482a及びフラップ部分482bを含む。フラップ部分482は、内部表面482c及び外部表面482dを含む。更に、出口部分484は、フラップ部分482bの下流端部に又はその近辺に配置されている。いくつかの例では、フラップ部分482bはベース部分482aと一体的に形成され、いくつかの例では、フラップ部分482bは別個の構成要素である。ダックビル部材482は、ゴム及び/若しくは高分子材料などの弾性並びに/又は可撓性材料から部分的に及び/又は完全に作成されてもよい。
【0046】
ダックビル部材482は、第1の、閉鎖位置(
図8A及び
図8C)と第2の、開放位置(
図8B及び
図8D)との間で移動可能である。ダックビル部材482は、流量制限器472の両端の圧力差(入口部分474の圧力と出口部分476の圧力との間の差)がバルブのクラッキング圧力を超えるまで、第1の、閉鎖位置に留まる。ダックビル部材482が第1の、閉鎖位置にあるとき、フラップ部分482bの内部表面482cは互いに接触し、出口部分484にシールを形成する。流量制限器472の両端の圧力差がクラッキング圧力を超えると、ダックビル部材は第2の、開放位置に移動し、フラップ部分482bの内部表面482cは離れ、出口部分484に開口部を形成する。
【0047】
流量制限器472は、入口部分474が出口部分476の上流に配置されるようにデバイス10内に配置されている。換言すると、流量制限器472の入口部分474は容器14により近接して配置されており、その一方で、流量制限器472の出口部分476は針アセンブリ12により近接して配置されている。このように構成されることで、並びに
図8B及び
図8Dに示されるように、使用者に薬物32を送達したいとき、デバイス10は作動され、薬物32は容器14から流体流接続部50に沿って、流量制限器472の入口部分474を通り、ダックビル部材482のフラップ部分482bに流れる。その後、薬物32はフラップ部分482bの内部表面482cに圧力を作用し、これによりダックビル部材482を第2の、開放位置に移動させ、ダックビル部材482の出口部分484を広げ、薬物32が流量制限器472の出口部分476を通過し(
図8Bに矢印で示されるように)、送達されることを可能にする。流量制限器472の両端の圧力差がクラッキング圧力よりも小さい場合、ダックビル部材482の固有の弾力性によりダックビル部材482は第1の、閉鎖位置に戻り、ダックビル部材482の出口部分484が閉じ、シールを形成する。流量制限器472のクラッキング圧力は、空気又は薬剤の順方向の流れが望まれないときにこれを防止するために、約2psiになる(又はこれを超える)ように構成されてもよい。
【0048】
図8Aに示されるように、薬物32又は他の流体が反対方向に(例えば、流量制限器472の出口部分476から流量制限器472の入口部分474に)流れた場合、薬物32又は他の流体はダックビル部材282のフラップ部分482bの外部表面482dに接触する。したがって、及び
図8Aに矢印で示されるように、ダックビル部材482は薬物32又は他の流体が出口部分476を通って入口部分474に逆流するのを制限する。
【0049】
図9A及び
図9Bは、
図4A及び
図4Bに示される流量制限器72に対応する流量制限器572の第5の例を示す。図示される例では、流量制限器572は、入口部分574と、出口部分576と、入口部分574と出口部分576との間に延びる略中空の弁体578と、弁体578と流体連通する1つ以上の開口部579aを有するキャップ部材579と、を有する、一方向フラップ、プレート、又はダイヤフラムバルブの形態である。弁体578は、薬物32を入口部分574から出口部分576に送ることを可能にするチャネル581を形成するように弁体578によって画定される任意の数の棚状部580を含む。いくつかの例では、キャップ部材579は棚状部580と一体的に形成されている。流量制限器572はまた、キャップ部材579内に配置されている、流体の流れを選択的に可能にする又は制限するために開放位置(
図9A)と閉鎖位置(
図9B)との間で移動可能なフラップ、プレート、及び/又はダイヤフラム部材582を含む。流量制限器572はまた、結合領域71において流量制限器572を結合するために使用される溝(図示せず)又は他の結合機構を含んでもよい。流量制限器572の構成要素は、任意の数の適切な材料から作成されてもよい。
【0050】
弁体578内の棚状部580は、弁体578の出口部分576内に少なくとも部分的に延びる。フラップ部材582は、棚状部580の上面580aとキャップ部材579の内面579bとの間で移動可能である。
図9Aに示されるように、フラップ部材582が棚状部580の上面580aに接して配置されているとき、流体は、入口部分574からキャップ部材開口部579aを通り、チャネル581を通って出口部分576に流れることができる。いくつかの例では、フラップ部材582の外径はキャップ579の内径よりも小さくてもよく、したがって、流体は出口部分576に流れてもよい。これとは逆に、フラップ部材582が閉鎖位置(
図9B)に配置されているとき、フラップ部材582はキャップ部材579の内面579bに接触してシールを作成し、それにより、出口部分576から入口部分574への流れを制限する。
【0051】
流量制限器572は、入口部分574が出口部分576の上流に配置されるようにデバイス10内に配置されている。換言すると、流量制限器572の入口部分574は容器14により近接して配置されており、その一方で、流量制限器572の出口部分576は針アセンブリ12により近接して配置されている。このように構成されることで、及び
図9Aに示されるように、使用者に薬物32を送達したいとき、デバイス10は作動され、薬物32は容器14から流体流接続部50に沿って、流量制限器572の入口部分574を通って流れる。薬物32は、入口部分574を通って流れる際、フラップ部材582に圧力を作用し、これによりフラップ部材582を、薬物32が針アセンブリ12へとチャネル581を通過し(
図9Aに矢印で示されるように)、送達されることを可能にする開放構成に、出口部分576に向かって移動させ、棚状部580の上面580aに載せる。
【0052】
図9Bに示されるように、薬物32又は他の流体が反対方向に(例えば、流量制限器572の出口部分576から流量制限器572の入口部分574に)流れた場合、薬物32又は他の流体はフラップ部材582に接触し、フラップ部材582をキャップ部材579の内面579bに向かって、したがって、フラップ部材582がキャップ部材579の開口部579aを封止する閉鎖構成へと付勢する。したがって、及び
図9Bに矢印で示されるように、フラップ部材582は薬物32又は他の流体がキャップ部材579の開口部579a及び入口部分574を通って逆流するのを制限する。
【0053】
図10A~
図10Cは、
図4A及び
図4Bに示される流量制限器72に対応する流量制限器672の第6の例を示す。流量制限器672は、
図9A及び
図9Bに示した流量制限器572と類似の特徴を有する別の一方向フラップ、プレート、又はダイヤフラムバルブの形態である。したがって、
図9A及び
図9Bの流量制限器572に示したものと同一の2桁の接尾辞を有する流量制限器672の特徴については簡略化のために説明しない。
【0054】
流量制限器672は、弁体678内に配置された突出部材685を更に含む。
図10Aの図示例では、第1の、開放(載置)構成において、フラップ部材682は突出部材685に当接している。この構成では、チャネル681は、流体が入口部分674と出口部分676との間を流れることを可能にする。
図10Bに示されるような第2の、撓んだ構成では、薬物32によってフラップ部材682に作用する圧力は、フラップ部材を出口部分676の方に撓ませ、流量制限器672を通る完全な流体の流れを提供する。
図10Cに示されるように、薬物32又は他の流体が反対方向に(例えば、出口部分676から入口部分674に)流れようとした場合、フラップ部材682は移動してキャップ部材679の内面679bに当接し、開口部679aを封止する。したがって、及び
図10Cに矢印で示されるように、フラップ部材682は薬物32又は他の流体がキャップ部材679の開口部679a及び入口部分674を通って逆流するのを制限する。
【0055】
図11A及び
図11Bは、逆流防止機構70に対応する空気排除デバイス772の形態の逆流防止機構770の第7の例を示す。いくつかの場合では、充填ポート776を通して容器14に薬物32が充填されるとき、流体路(容器14、流体経路アセンブリ22、及び/又は流体流路50)に空気が導入される可能性があり、流体路のコンプライアンスが空気のない/泡のない流体路と比較して増大する。遅延送達の場合、この付加されたコンプライアンスにより血液又は他の流体が針アセンブリ12、流体流路50、又は容器14に入る(逆流する)可能性があり、流体路内に凝塊を形成する可能性が高まる。充填プロセス中に同伴された空気を除去することで、デバイス流体路50内における凝塊の防止を補助することができる。これを達成するために、空気排除デバイス772は、例えば、圧入接続部、ねじ付き接続部、クランプ、及び/又は他のカップリングなどの任意の適切な手法を用いて流体流路50に結合された泡除去膜又はフィルタプレート774を含む。
【0056】
泡除去膜774は、微孔性PTFEなどの疎水性材料から作成されてもよい。追加的に他の好適な材料を使用してもよい。いくつかの例では、泡除去膜774は、充填プロセス中に空気を除去するために、デバイス10の充填ポート776に又はその近辺に配置されてもよい。これらの例では、及び
図11Aに示されるように、空気排除デバイス772は、流体流路50内の、充填ポート776の(充填プロセス中の流れに対して)下流の位置に配置されている。他の例では、及び
図12に示されるように、空気排除デバイス772は、デバイスの充填ポート776内に配置されている。他の場所も可能である。いくつかの例では、泡のないプレフィルドシリンジ(図示せず)を使用すると、充填プロセス中に流体路に導入される空気の量の排除及び/又は低減を補助することもできる。更に、いくつかの例では、取り外し可能なキャップ又はシールが、デバイスに薬物を充填するプロセスを補助するために用いられてもよい。具体的には、取り外し可能なキャップは、一次容器14の充填中に薬物が針アセンブリ12から流出するのを制限する。
【0057】
他の例では、及び
図11Bに示されるように、空気排除デバイス772は、フィルタプレート774の任意の半径方向に気泡を通過させるためのチャネル(例えば、マイクロチャネル)778をフィルタプレート774内に開けることによって形成されてもよい。いくつかの例では、容器14に薬物32を充填中の流量は、任意の数の流量制限器(図示せず)を使用し、空気排除デバイス772を通してより多くの空気を逃がすことにより減少する。空気排除デバイス772の下流に大きな流体抵抗が存在すると、充填中の空気排除デバイス772内部の圧力が増加する。この圧力上昇は、空気がフィルタプレート774を通過して環境に達することを促し、それにより、充填プロセス中に流体路に導入される空気の量を低減する。
【0058】
充填プロセス中、薬物32が充填用ポート776を通って流れ、空気排除デバイス772に入ると、空気排除デバイスの内部と環境との間の圧力差により、同伴された空気は泡除去膜774を通して放出されるが、薬物32は引き続き容器14まで流体流路50内を流れる。空気排除デバイス772は、本明細書中に記載される任意の数の追加的な逆流防止機構70とともに使用されてもよい。
【0059】
空気排除デバイス772の効率は、液体の流れと気体の流れとの間の比率に依存し得る。いくつかの例では、所与の液体流量に対する最大除去可能泡サイズは、フィルタプレート774の空気流抵抗が既知である場合に決定することができる。いくつかの例では、チャネル778は、直径約0.25mm及び長さ約5mmを有してもよく、したがって、約0.25μLのチャネル体積が得られる。このチャネル778の設計は、容器14の充填中に高い空気排除効率及び高流量を提供しながらも、患者に送達されない薬物32の量を最小限にするのに望ましい、低(マイクロリットル以下の)内容積を有する空気排除デバイス772をもたらす。更に、いくつかの例では、空気排除デバイス772は、同伴された空気が液体流を介して空気排除デバイス772を出ることを防ぐ親水性要素(図示せず)を更に含んでもよい。
【0060】
図13A~
図13Fは、
図4A及び
図4Bに示される流量制限器72に対応する流量制限器872の第8の例を示す。図示される例では、流量制限器872は、針121及びカニューレ140がその開口部を通って突出し、患者の組織に挿入される、針アセンブリ120の下方部分に配置されているが他の場所も可能であるクランプバルブ873の形態である。クランプバルブ873は、カニューレ140又は流体流接続部50の他の部分と連通する任意の数の可動要素又はジョー875と、任意の数のピボット部材876と、弾性部材878と、駆動機構又はアクチュエータ880と、を含む、クランプ機構874を有する。各ジョー875は、第1端部875aと、第2端部875bと、第1端部875aと第2端部875bとの間に延びる長さ875cと、カニューレ140(又は流体流接続部50の他の部分)に隣接して配置された接触面875dと、を含む。更に、1つ又は両方のジョー875は、カニューレ140の損傷(すなわち、過度の圧迫)を防止するためにクランプの最小開口を画定し且つ制限する停止部875eを含む。ピボット部材876は、長さ875cに沿って配置されており、いくつかの例では、長さ875cに沿って形成された、針アセンブリ120に回転自在に結合する一体的な突起の形態であってもよい。他の例では、ピボット部材876は、針アセンブリ120から延びて、ジョー875の長さ875cに沿って形成された開口部又は穴に挿入される柱又は突起の形態であってもよい。他の例も可能である。
【0061】
アクチュエータ880は、ジョー875の第1端部875aに又はその近辺に配置されており、ジョー875をピボット部材876を中心に回転させるように構成されている。いくつかの例では、アクチュエータ880は、ジョー875の相対運動を発生させるプーリ機構の形態であってもよい。磁気機構、歯車機構等のような他のアクチュエータ機構が使用されてもよい。弾性部材878は、ジョー875の第2端部875bに又はその近辺に配置されており、(常時開(
図13A~
図13Cに示されるような)又は常時閉(
図13D~
図13Fに示されるような)であるクランプ機構の構成に応じて)アクチュエータ880によって作用される力と反対の力を作用するように構成されている。
【0062】
具体的には、
図13A~
図13Cに示されるように、(
図13A及び
図13Bに示されるような)流体がカニューレ140及び/又は流体流接続部50から流出することを可能とする開放構成にジョー875を位置づけるための力を弾性部材878がジョー875に作用する常時開クランプバルブ873が設けられている。
図13Cに示されるように、アクチュエータ880を作動させると、アクチュエータ880は、弾性部材878によって作用される力よりも大きなクランプ力をジョー875に作用する。その結果、ジョー875はピボット部材876を中心に回転し、ジョー875の接触面875dにおいてカニューレ140及び/又は流体流接続部50を押しつぶし又はクランプし、したがって、いずれの方向の流体の流れも制限する。一例として、薬物送達前に遅延が望まれる場合、アクチュエータ880はクランプ機構874を閉鎖構成に移行させてもよい。薬物32の投与が望まれる場合、アクチュエータ880はジョー875に力を作用するのをやめてもよく、したがって、弾性部材878はジョー875を開放構成に移行させる。
【0063】
図13D~
図13Fを参照すると、流体がカニューレ140及び/又は流体流接続部50を通っていずれの方向にも流れることを制限する閉鎖構成(
図13D及び
図13Eを参照)にジョー875を位置づけるための力を弾性部材878がジョー875に作用する常時閉クランプバルブ873が設けられている。
図13Fに示されるように、アクチュエータ880を作動させると、アクチュエータ880は、弾性部材878によって作用される力よりも大きなクランプ力をジョー875に作用する。その結果、ジョー875は、ピボット部材876を中心に回転し、接触面875dにおけるカニューレ140及び/又は流体流接続部50のグリップ又はクランプを解除し、したがって、いずれの方向の流体の流れも可能にし、具体的には、患者に薬物32を送達することを可能にする。一例として、薬物送達前に遅延が望まれる場合、アクチュエータ880はジョー875に力を作用せず、したがって、クランプ機構874は閉鎖構成に配置される。薬物32の投与が望まれる場合、アクチュエータ880はジョー875に力を作用してもよく、したがって、弾性部材878によって作用される力に打ち勝ってジョー875を開放構成に移行させる。
【0064】
図14A~
図14Cは、
図4A及び
図4Bに示される流量制限器72に対応する流量制限器972の第9の例を示す。図示される例では、流量制限器972は、針921の先端部に又はその近辺に配置されている入口部分と出口部分とを有する一方向(常時閉)スリーブバルブ973の形態である。この例では、スリーブバルブ973は、入口部分を出口部分に接続する少なくとも1つの側部流体ポート921aを有する剛性中空針921と、可撓性スリーブ部材974と、針先端閉鎖部材976と、を含む。可撓性スリーブ974は、針921の外径を少なくとも部分的に包囲する及び/又は囲むような寸法であり、任意の数の適切な手法を使用して(例えば、締まり嵌め接続、接着接続等により)針921に動作的に結合されてもよい。針先端閉鎖部材976は、可撓性スリーブ974の外径に等しい又はこれを超える外径を有する。本例では、針先端閉鎖部材976は、針921に取り付けられた付属デバイスである。別の例では、針先端閉鎖部976は、針921の特徴として一体的に形成されてもよい。針921は、流体抵抗及び薬物注入時間を調整するために任意の数の側部流体ポート921aを備えてもよい。流量制限器972の構成要素は、例えば針921及び先端閉鎖部材976用の剛性材料並びに可撓性スリーブ部材974用の弾性材料などの任意の数の適切な材料から作成されてもよい。
【0065】
可撓性スリーブ974は、第1の、閉鎖位置(
図14A及び
図14B)と第2の、開放位置(
図14C)との間で移動可能である。可撓性スリーブ974は、流量制限器972の両端の圧力差(入口部分の圧力と出口部分の圧力との間の差)がバルブのクラッキング圧力を超えるまで、第1の、閉鎖位置に留まる。流量制限器972が第1の、閉鎖位置にあるとき、可撓性スリーブ部材974の内部表面は側部流体ポート921aを覆い、封止する。針先端閉鎖部材976は可撓性スリーブ974の外径に等しい又はこれを超える外径を有するような寸法であることから、針アセンブリ120による針921の挿入中、針先端閉鎖部材976は針の挿入中に可撓性スリーブ974の前縁部が患者の組織を捕らえることを阻止する。流量制限器972の両端の圧力差がクラッキング圧力を超えると、可撓性スリーブ部材974は第2の、開放位置に移行し、可撓性スリーブ部材974の内部表面は針921の外部表面から離れ、流体サイドポート921aを露出させる。
【0066】
流量制限器972は、入口部分が出口部分の上流に配置されるようにデバイス10内に配置されている。換言すると、流量制限器972の入口部分は容器14により近接して配置されており、その一方で、流量制限器972の出口部分は針アセンブリ12により近接して配置されている。このように構成されることで、及び
図14Cに示されるように、患者に薬物32を送達したいとき、デバイス10は作動され、薬物32は容器14から流体流接続部50に沿って、可撓性スリーブ部材974の内部表面に接触するまで、流量制限器972の入口部分を通り、流体サイドポート921aを通って、針921へと流れる。その後、薬物32は可撓性スリーブ部材974の内部表面に圧力を作用し、可撓性スリーブ部材974を第2の、開放位置に移行させ、流体サイドポート921aを露出させ、薬物32の送達を可能にする(
図14Cに矢印で示されるように)。流量制限器972の両端の圧力差がクラッキング圧力よりも小さい場合、可撓性スリーブ部材974の固有の弾力性により可撓性スリーブ部材974は第1の、閉鎖位置に戻り、針921の流体サイドポート921aを覆い、シールを形成する。したがって、流量制限器972は、薬物32の各増分又はボーラスが送達された後に自己閉鎖する。流量制限器972のクラッキング圧力は、空気又は薬剤の順方向の流れが望まれないときにこれを防止するために、約2psiになる(又はこれを超える)ように構成されてもよい。
【0067】
図14Bに示されるように、薬物32又は他の流体が反対方向に(例えば、流量制限器972の出口部分から流量制限器972の入口部分に)流れた場合、薬物32又は他の流体は可撓性スリーブ部材974の外部表面に接触する。したがって、及び
図14Aに矢印で示されるように、可撓性スリーブ部材974は薬物32又は他の流体が出口部分を通って入口部分に逆流するのを制限する。
【0068】
図15A~
図15Hは、
図4A及び
図4Bに示される流量制限器72に対応する流量制限器1072の第10の例を示す。図示される例では、流量制限器1072は、針アセンブリ120の下方部分に、具体的には、針1021の一部分の周囲に配置された一体型スライドスリーブバルブの形態である。この例では、流量制限器1072は、硬質針1021と、バルブチャンバ1074を有する軟質カニューレ1040と、を含む。針1021は少なくとも1つの流体ポート1021aを含み、且つ閉鎖先端部分を有する。これらの例では、針1021とカニューレ1040とは、薬物送達前の任意の遅延中に流体ポート1021aを覆う摩擦締まり嵌め部(frictional,interference fit)を介して互いに結合されている。換言すると、カニューレ1040は、血液又は他の流体が針1021に入るのを防ぐ。いくつかの例では、針1021の外径とカニューレ1040の内径との間の隙間は、カニューレ1040内における針1021の滑らかな動きを可能にしつつも流体ポート1021aの完全な封止を提供するような寸法である。
【0069】
図15Aに示されるように、針1021は、カニューレ1040を皮膚11を通して皮下組織13に挿入するために使用される。カニューレ1040が皮下組織13に挿入された後、針は、その流体ポート1021aがカニューレの内側表面によって封止され、いずれの方向の流体の流れも制限する「バルブ閉鎖」位置に引き込まれる。いくつかの例では、針1021は、カニューレ1040に更なる剛性を与え、薬物送達前の任意の遅延中における患者とデバイスとの相対運動によるキンクを防ぐために、この状態のままにされてもよい。このようなキンクは、カニューレ1040を閉塞させること又はカニューレ1040を皮膚11若しくは皮下組織13から抜くことのいずれかにより送達に支障を来す可能性があり、誤った位置/深さ(例えば、皮下組織13内の特定の深さではなく皮膚11上)での薬物32の送達につながる。
【0070】
図15Bに示されるように、所望する場合、針1021は、流体ポート1021aがカニューレバルブチャンバ1074内にある「バルブ開放」位置に移動させてもよい。その後、薬物32は、漸増的に又はボーラスとして、のいずれかで患者に送達されてもよい。より具体的には、
図15Cに示されるように、最初の、作動前の状態において、針1021及びカニューレ1040は両方とも患者の皮膚11の上方に配置される。
図15Dに示されるように、針アセンブリ120が作動されると、針1021及びカニューレ1040は皮膚11及び皮下組織13に挿入される。カニューレ1040は、カニューレ1040を定位置に固定するために、デバイス10の底壁25に配置された任意の数のタブ25aに結合するラッチ用棚状部1076を含む。
【0071】
図15Eに示されるように、その後、針1021は、流体ポート1021aがカニューレ1040の内側表面に対して封止される「バルブ閉鎖」位置に移動される。薬物32の送達が望まれる場合、
図15Fに示されるように、針1021は、流体ポート1021aがバルブチャンバ1074内に配置される位置に移動される。その結果、流体路50は、再度、カニューレ1040に流体圧的に(hydraulically)接続され、したがって、薬物32の投与を可能にする。
【0072】
図15G及び
図15Hに示されるように、
図15A~
図15Fに記載した針1021の代わりに中実トロカール1021’を使用する代替的な流量制限器1072’を設ける。これらの例では、薬物の流れは、トロカール1021’とカニューレ1040’との間の嵌合によって選択的に可能とされる又は遮断される。これらの例では、トロカール1021’には流体経路がなく、むしろ、薬物32はトロカール1021’の外部表面の周囲を流れ、患者に送達される。結果的に、トロカール1021’は、カニューレ1040’とともに動作可能な栓又はシールとして機能する。
【0073】
図16A~
図16Dは、
図4A及び
図4Bに示される流量制限器72、より具体的には、
図11A~
図12に示される流量制限器772に対応する流量制限器1172の第11の例を示す。概して、薬物リザーバ30内に含まれる空気によって、針の挿入後、血液及び間質液が流体路50に入ることになり得る。針挿入中に毛細血管が破壊され、流体路50を閉塞させ得る凝塊が形成されると、用量送達の成功に悪影響を及ぼす可能性がある。リザーバに薬物32を追加するために使用されるプレフィルドシリンジから空気をパージすることを医療関係者に要求すると時間がかかる可能性があり、シリンジから薬物32を噴出させることになるおそれがあり、無駄が生じる。
【0074】
図示される例では、流量制限器1172は、主要チャンバ1174と、二次チャンバ1176と、入口1173と、出口1182と、を有するマルチチャンバ型エアフィルタ機構の形態である。更に、第1チャンバ1174に隣接して配置されているのは、親水性材料から作成された第1の膜1178である。流量制限器1172は更に、疎水性材料から作成された第2の膜1180を収容する。疎水性膜は、この圧を下回ると水(したがって、薬物32)が通過できない臨界破水圧(critical water break-through pressure)を有する。同様に、親水性膜もまた、この圧を下回ると空気が通過できない臨界圧を有する。この臨界圧は、沸点圧として知られている。流量制限器1172は、薬物32がエアフィルタ出口から漏れないこと、及び送達中に気泡が薬物32とともに押し出されないことを確実とするように設計されている。加えて、気泡の排除によって、保持量、すなわちデバイス内に保持される薬物を最小限にすることができる(例えば、いくつかの実施形態では約20μL未満)。
【0075】
図16A及び
図16Bに示されるように、デバイス10の充填中、薬物32及び空気は入口1173を通して主要チャンバ1174に入る。薬物32は、第1の、親水性膜1178を通過して二次チャンバ1176に達し、その後、送達のために出口1182に送られる(例えば、針(図示せず)を通して押し出される)。空気は、二次の、疎水性膜1180を通して濾過され、大気出口1184を通して大気へと出される。
【0076】
記載した空気排除デバイス1172を使用することにより、空気が流体路50から除去され、したがって、薬物リザーバ内に気泡がない完全にプライミングされた流体路50がもたらされる。このような完全にプライミングされた流体路50により、凝血塊の閉塞による破損が低減されるため、デバイスの信頼性が高まり、且つ薬物32の全用量の送達の成功が確実となる。
【0077】
いくつかの形態では、空気排除デバイス1172はデバイスに直接組み込むことができる(例えば、ハウジング内のリザーバ30の入口ポートに結合される)、又は代替的に、いくつかの例では、空気排除デバイス1172は、デバイス10の外側の、リザーバ30と流体連通する薬物送達ポートに選択的に結合され得る。例えば、
図16C及び
図16Dに示されるように、空気排除デバイス1172は充填シリンジ1185の先端に付加されてもよい。空気排除デバイス1172の出口1182は、薬物32をリザーバ30に充填するためにデバイス10に挿入される針1186を有してもよい。空気排除デバイス1172は、充填シリンジ1185に固定するために使用されるルアーロック機構を含んでもよい。他の例も可能である。
【0078】
いくつかの例では、凝塊形成を低減する及び/又は排除するために更なる戦略が使用され得る。例えば、任意の潜在的な凝塊を除去することができる所望の圧力がデバイス10を介して加えられてもよい。いくつかの手法では、プライミングされた流体路を使用することにより、あらゆる潜在的な凝塊が、約10psiの圧力を加えることによって、所望の遅延(例えば、約25時間~約30時間)後に除去され得る。凝塊の位置は、凝塊を除去するのに必要な要求圧力に影響を及ぼす可能性があることに留意されたい。例えば、凝塊が(カニューレと針内に配置されているのではなく)カニューレ内にのみ配置されている場合、約10psiの圧力を使用して凝塊が除去される可能性は高くなる。しかしながら、凝塊が針の上流に及ぶか、可撓性チューブ52内に形成されているかである場合、凝塊を圧力の印加によって除去できる可能性は低くなる。
【0079】
上記の記載では、薬物送達デバイスに関連する様々なデバイス、アセンブリ、構成要素、サブシステム、及び使用方法について説明している。デバイス、アセンブリ、構成要素、サブシステム、方法、又は薬物送達デバイスは、以下に特定される薬物、並びにそれらのジェネリック及びバイオシミラー同等品を含むがこれらに限定されない薬物を更に含み得るか又はこれらとともに使用され得る。本明細書で使用する場合、薬物という用語は、他の類似の用語と交換可能に使用することができ、伝統的及び非伝統的な医薬品、栄養補助食品、サプリメント、生物学的製剤、生物学的活性剤及び組成物、大分子、バイオシミラー、生物学的同等物、治療用抗体、ポリペプチド、タンバク質、小分子、及びジェネリック医薬品を含む、任意の種類の薬剤又は治療用材料を指すために使用され得る。非治療的な注入可能材料も包含される。薬物は、液体形態、凍結乾燥形態、又は凍結乾燥形態から再構成されたものであってもよい。以下の例示的な薬物のリストは、網羅的又は限定的であると考えるべきではない。
【0080】
薬物はリザーバ内に入れられる。いくつかの場合では、リザーバは、治療のために薬物が充填される若しくは予め充填される、のいずれかである一次容器である。一次容器は、バイアル、カートリッジ、又はプレフィルドシリンジであり得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスのリザーバには、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)などのコロニー刺激因子が充填されてもよい、又はデバイスは、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)などのコロニー刺激因子とともに使用することができる。このようなG-CSF剤には、Neulasta(登録商標)(ペグフィルグラスチム、PEG化フィルガストリム、PEG化G-CSF、PEG化hu-Met-G-CSF)及びNeupogen(登録商標)(フィルグラスチム、G-CSF、hu-MetG-CSF)が含まれるが、これらに限定されない。
【0082】
他の実施形態では、薬物送達デバイスは、液体又は凍結乾燥形態であり得る赤血球造血刺激因子製剤(ESA)を収容してもよい又はこれとともに使用してもよい。ESAは、赤血球産生を刺激する任意の分子である。いくつかの実施形態では、ESAは、赤血球産生刺激タンパク質である。本発明で使用する場合、「赤血球産生刺激タンパク質」とは、例えば、受容体に結合し、受容体の二量化を引き起こすことによってエリスロポエチン受容体の活性化を直接的又は間接的に引き起こす任意のタンパク質を意味する。赤血球産生刺激タンパク質としては、エリスロポエチン受容体に結合し、これを活性化させるエリスロポエチン及びその変異体、類似体、又は誘導体;エリスロポエチン受容体に結合し、この受容体を活性化させる抗体;又はエリスロポエチン受容体に結合し、活性化させるペプチドが挙げられる。赤血球産生刺激タンパク質としては、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコールエポエチンベータ)、Hematide(登録商標)、MRK-2578、INS-22、Retacrit(登録商標)(エポエチンゼータ)、Neorecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Silapo(登録商標)(エポエチンゼータ)、Binocrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、エポエチンアルファHexal、Abseamed(登録商標)(エポエチンアルファ)、Ratioepo(登録商標)(エポエチンシータ)、Eporatio(登録商標)(エポエチンシータ)、Biopoin(登録商標)(エポエチンシータ)、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンイオタ、エポエチンオメガ、エポエチンデルタ、エポエチンゼータ、エポエチンシータ、及びエポエチンデルタ、PEG化エリスロポエチン、カルバミル化エリスロポエチン、並びにそれらの分子又は変異体又は類似体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
特定の例示的なタンパク質の中には、その融合物、断片、類似体、変異体、又は誘導体を含む、以下で説明する特定のタンパク質がある。完全ヒト化及びヒトOPGL特異抗体、特に、完全ヒト化モノクローナル抗体を含む、(RANKL特異抗体、ペプチボディ等とも称される)OPGL特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等;ミオスタチン特異的ペプチボディを含む、ミオスタチン結合タンパク質、ペプチボディ、関連タンパク質等;特に、IL-4及び/又はIL-13の受容体への結合によって媒介される活動を抑制する、IL-4受容体特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;インターロイキン1-受容体1(「IL1-R1」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;Ang2特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等、;NGF特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;CD22特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等、特に、ヒト-マウスモノクローナルhLL2κ鎖に結合したヒト-マウスモノクローナルhLL2γ鎖二硫化物の二量体、例えば、エプラツズマブ(CAS登録番号501423-23-0)のヒトCD22特異完全ヒト化抗体などの、ヒトCD22特異IgG抗体を特に含むがそれに限定されない、ヒト化及び完全ヒトモノクローナル抗体を含むがそれに限定されない、ヒト化及び完全ヒト抗体等であるがそれに限定されない、ヒトCD22特異抗体;抗IGF-1R抗体を含むがそれに限定されない、IGF-1受容体特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質等;B7RP特異完全ヒトモノクローナルIgG2抗体を含むがそれに限定されない、B7RP-1の最初の免疫グロブリン様ドメインのエピトープと結合する完全ヒトIgG2モノクローナル抗体を含むがそれに限定されない、B7RP-1と活性化T細胞上のB7RP-1の自然受容体であるICOSとの相互作用を抑制するものを含むがそれに限定されない、B-7関連タンパク質1特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等(「B7RP-1」、B7H2、ICOSL、B7h、及びCD275とも称される);例えば146B7などの、HuMax IL-15抗体及び関連タンパク質を含むがそれらに限定されない、特にヒト化モノクローナル抗体などの、IL-15特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;ヒトIFN γ特異抗体を含むがそれに限定されない、及び完全ヒト抗IFN γ抗体を含むがそれに限定されない、IFN γ特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;TALL-1特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等、並びに他のTALL特異結合タンパク質;副甲状腺ホルモン(「PTH」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;トロンボポチエン受容体(「TPO-R」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;肝細胞増殖因子/分散因子(HGF/SF)を中和する完全ヒトモノクローナル抗体等のHGF/SF:cMet軸(HGF/SF:c-Met)を標的にするものを含む、肝細胞増殖因子(「HGF」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;TRAIL-R2特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;アクチビンA特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;TGF-β特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;アミロイドβタンパク質特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;c-Kit及び/又は他の幹細胞因子受容体と結合するタンパク質を含むがそれらに限定されない、c-Kit特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;OX40L及び/又はOX40受容体の他のリガンドと結合するタンパク質を含むがそれに限定されない、OX40L特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質等;Activase(登録商標)(アルテプラーゼ、tPA)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ、又はエリスロポエチン)、GLP-1、Avonex(登録商標)(インターフェロンβ-1a)、Bexxar(登録商標)(トシツモマブ、抗CD22モノクローナル抗体)、Betaseron(登録商標)(インターフェロン-β)、Campath(登録商標)(アレムツズマブ、抗CD52モノクローナル抗体)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)、MLN0002(抗α4β7 mAb)、MLN1202(抗CCR2ケモカイン受容体mAb)、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF受容体/Fc融合タンパク質、TNF遮断薬)、Eprex(登録商標)(エポエチンアルファ)、Erbitux(登録商標)(セツキシマブ、抗EGFR/HER1/c-ErbB-1)、Genotropin(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン)、Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ、抗HER2/neu(erbB2)受容体mAb)、Humatrope(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン)、Humira(登録商標)(アダリムマブ)、Vectibix(登録商標)(パニツムマブ)、Xgeva(登録商標)(デノスマブ)、Prolia(登録商標)(デノスマブ)、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF-受容体/Fc融合タンパク質、TNF遮断薬)、Nplate(登録商標)(ロミプロスチム)、リロツムマブ、ガニツマブ、コナツムマブ、ブロダルマブ、溶液中のインスリン、Infergen(登録商標)(インターフェロンalfacon-1)、Natrecor(登録商標)(ネシリチド、遺伝子組換え型ヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(hBNP)、Kineret(登録商標)(アナキンラ)、Leukine(登録商標)(サルガモスチム、rhuGM-CSF)、LymphoCide(登録商標)(エピラツズマブ、抗CD22 mAb)、Benlysta(商標)(リンフォスタットB、ベリムマブ、抗BlyS mAb)、Metalyse(登録商標)(テネクテプラーゼ、t-PA類似体)、Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコール-エポエチンベータ)、Mylotarg(登録商標)(ゲムツズマブオゾガマイシン)、Raptiva(登録商標)(エファリズマブ)、Cimzia(登録商標)(セルトリズマブペゴル、CDP870)、Soliris(商標)(エクリズマブ)、パキセリズマブ(抗補体C5)、Numax(登録商標)(MEDI-524)、Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ)、Panorex(登録商標)(17-1A、エドレコロマブ)、Trabio(登録商標)(レルデリムマブ)、TheraCim hR3(ニモツズマブ)、Omnitarg(ペルツズマブ、2C4)、Osidem(登録商標)(IDM-1)、OvaRex(登録商標)(B43.13)、Nuvion(登録商標)(ビジリズマブ)、カンツズマブメルタンシン(huC242-DM1)、NeoRecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Neumega(登録商標)(オプレルベキン、ヒトインターロイキン-11)、Orthoclone OKT3(登録商標)(ムロモナブ-CD3、抗CD3モノクローナル抗体)、Procrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、Remicade(登録商標)(インフリキシマブ、抗TNFαモノクローナル抗体)、Reopro(登録商標)(アブシキシマブ、抗GP lIb/Ilia受容体モノクローナル抗体)、Actemra(登録商標)(抗IL6受容体mAb)、Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、HuMax-CD4(ザノリムマブ)、Rituxan(登録商標)(リツキシマブ、抗CD20 mAb)、Tarceva(登録商標)(エルロチニブ)、Roferon-A(登録商標)(インターフェロンalfa-2a)、Simulect(登録商標)(バシリキシマブ)、Prexige(登録商標)(ルミラコキシブ)、Synagis(登録商標)(パリビズマブ)、146B7-CHO(抗IL15抗体、米国特許第7,153,507号明細書を参照)、Tysabri(登録商標)(ナタリズマブ、抗α4インテグリンmAb)、Valortim(登録商標)(MDX-1303、抗炭疽菌防御抗原mAb)、ABthrax(商標)、Xolair(登録商標)(オマリズマブ)、ETI211(抗MRSA mAb)、IL-1 trap(ヒトIgG1のFc部分及び両IL-1受容体成分(I型受容体及び受容体補助タンパク質)の細胞外ドメイン)、VEGF trap(IgG1 Fcと融合したVEGFR1のIgドメイン)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ、抗IL-2Rα mAb)、Zevalin(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン)、Zetia(登録商標)(エゼチマイブ)、Orencia(登録商標)(アタシセプト、TACI-Ig)、抗CD80モノクローナル抗体(ガリキシマブ)、抗CD23 mAb(ルミリキシマブ)、BR2-Fc(huBR3/huFc融合タンパク質、可溶性BAFF拮抗薬)、CNTO148(ゴリムマブ、抗TNFα mAb)、HGS-ETR1(マパツズマブ、ヒト抗TRAIL受容体-1 mAb)、HuMax-CD20(オクレリズマブ、抗CD20ヒトmAb)、HuMax-EGFR(ザルツムマブ)、M200(ボロシキシマブ、抗α5β1インテグリンmAb)、MDX-010(イピリムマブ、抗CTLA-4 mAb、及びVEGFR-1(IMC-18F1)、抗BR3mAb、抗C.ディフィシル毒素A並びに毒素B C mAbs MDX-066(CDA-1)及びMDX-1388)、抗CD22 dsFv-PE38抱合体(CAT-3888及びCAT-8015)、抗CD25 mAb(HuMax-TAC)、抗CD3 mAb(NI-0401)、アデカツムマブ、抗CD30 mAb(MDX-060)、MDX-1333(抗IFNAR)、抗CD38 mAb(HuMax CD38)、抗CD40L mAb、抗Cripto mAb、抗CTGF特発性肺線維症第1期フィブロゲン(FG-3019)、抗CTLA4 mAb、抗エオタキシン1 mAb(CAT-213)、抗FGF8 mAb、抗ガングリオシドGD2 mAb、抗ガングリオシドGM2 mAb、抗GDF-8ヒトmAb(MYO-029)、抗GM-CSF受容体mAb(CAM-3001)、抗HepC mAb(HuMax HepC)、抗IFNα mAb(MEDI-545、MDX-1103)、抗IGF1R mAb、抗IGF-1R mAb(HuMax-Inflam)、抗IL12 mAb(ABT-874)、抗IL12/IL23 mAb(CNTO1275)、抗IL13 mAb(CAT-354)、抗IL2Ra mAb(HuMax-TAC)、抗IL5受容体mAb、抗インテグリン受容体mAb(MDX-018、CNTO95)、抗IP10潰瘍性大腸炎mAb(MDX-1100)、BMS-66513、抗マンノース受容体/hCGβ mAb(MDX-1307)、抗メソテリンdsFv-PE38抱合体(CAT-5001)、抗PD1mAb(MDX-1106(ONO-4538))、抗PDGFRα抗体(IMC-3G3)、抗TGFβ mAb(GC-1008)、抗TRAIL受容体-2ヒトmAb(HGS-ETR2)、抗TWEAK mAb、抗VEGFR/Flt-1 mAb、及び抗ZP3 mAb(HuMax-ZP3)。
【0084】
いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、ロモソズマブ、ブロソズマブ、又はBPS804(Novartis)などであるがそれらに限定されないスクレロスチン抗体、他の実施形態では、ヒトプロタンパク転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に結合するモノクローナル抗体(IgG)を収容してもよい又はこれらとともに使用してもよい。このようなPCSK9特異抗体としては、Repatha(登録商標)(エボロクマブ)及びPraluent(登録商標)(アリロクマ)が挙げられるがこれらに限定されない。他の実施形態では、薬物送達デバイスは、リロツムマブ、ビキサロマー、トレバナニブ、ガニツマブ、コナツムマブ、モテサニブ二リン酸塩、ブロダルマブ、ヴィデュピプラント、又はパニツムマブを収容してもよい又はこれらとともに使用してもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスのリザーバには、OncoVEXGALV/CD;OrienX010;G207、1716;NV1020;NV12023;NV1034;及びNV1042を含むがそれらに限定されない、黒色腫又は他の癌の治療用のIMLYGIC(登録商標)(タリモジーンラハーパレプベック)又は別の腫瘍溶解性HSVが充填されてもよい、又はデバイスは、これらとともに使用することができる。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、TIMP-3などであるがそれらに限定されないメタロプロテイナーゼの内在性組織阻害剤(TIMP)を収容してもよい又はこれとともに使用してもよい。エレヌマブ、及びCGRP受容体及び他の頭痛標的を標的とする二重特異性抗体分子などであるがそれらに限定されないヒトカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体の拮抗的抗体もまた、本開示の薬物送達デバイスを用いて送達されてもよい。加えて、BLINCYTO(登録商標)(ブリナツモマブ)などであるがそれに限定されない二重特異性T細胞誘導(BiTE(登録商標))抗体を、本開示の薬物送達デバイスにおいて又はこれとともに使用することができる。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、アペリン又はその類似体などであるがそれらに限定されないAPJ大分子アゴニストを収容してもよい又はこれとともに使用してもよい。いくつかの実施形態では、治療的有効量の抗胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)又はTSLP受容体抗体が本開示の薬物送達デバイスにおいて又はこれとともに使用される。
【0085】
薬物送達デバイス、アセンブリ、構成要素、サブシステム、及び方法を、例示的実施形態の観点から説明してきたが、これらに限定されるものではない。詳細な説明は、例としてのみ解釈されるものとし、本開示の考え得るすべての実施形態を説明しているわけではない。現在の技術又は本特許の申請日以降に開発された技術のいずれかを使用して、多くの代替的な実施形態を実施することができるが、このような実施形態はなお、本明細書に開示される本発明を定義する請求項の範囲内に含まれる。
【0086】
当業者であれば、本明細書に開示される発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく上記の実施形態に対して多種多様な修正、変更、及び組み合わせを施すことができ、そうした修正、変更、及び組み合わせは本発明の概念の範囲であると解釈されることを理解するであろう。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイスであって、薬物送達デバイスは、
シェルと内容積とを画定するハウジングと、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置された容器であって、使用者に投与されるべき薬剤を収容するように適合された内容積を有する容器と、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置された駆動機構であって、前記薬剤を前記容器から排出するための力を作用させるように適合されている、駆動機構と、
前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置された針アセンブリであって、前記針アセンブリは、針またはトロカールを前記使用者の皮膚に挿入し、その後に後退させるように構成されており、それによって、少なくとも前記駆動機構が前記容器から前記薬剤を排出するまでの一定期間、カニューレを前記使用者の皮膚内に残す、針アセンブリと、
前記容器と前記針アセンブリとに結合された流体流接続部であって、前記薬剤が前記容器から前記針アセンブリに流れることを可能にするように適合されている、流体流接続部と、
前記容器と前記針アセンブリとの間の結合領域内に配置された逆流防止機構であって、流体が前記カニューレから前記容器に流れることを制限するための少なくとも1つの流量制限器を含み、それによって、少なくとも前記駆動機構が前記容器から前記針アセンブリに前記薬剤を排出するまでの一定期間、凝塊形成を低減および/または除去する、逆流防止機構と、
を含み、
前記結合領域は、上流部分および下流部分を含み、前記上流部分は、前記流量制限器よりも大きい上流直径を有し、前記下流部分は、前記流量制限器よりも小さい下流直径を有する、薬物送達デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの流量制限器は一方向弁を含む、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの流量制限器は、
スリットバルブと、
アンブレラバルブと、
ボールバルブと、
ダックビルバルブと、又は
フラップバルブ
のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の薬物送達デバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの流量制限器は、空気排除デバイスを含む、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項5】
前記逆流防止機構は、前記流体流接続部が針アセンブリに結合される結合領域に配置されている、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項6】
前記結合領域は、前記針アセンブリを封止するように適合されたボールおよびリザーバ受け部を含む、請求項5に記載の薬物送達デバイス。
【請求項7】
前記流体流接続部は、フレキシブルチューブから作成されている、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項8】
前記フレキシブルチューブは、ポリマー材料から作成されている、請求項7に記載の薬物送達デバイス。
【請求項9】
薬物送達デバイスのための逆流防止機構であって、前記逆流防止機構は、容器と針アセンブリとの間の結合領域内に配置されており、前記逆流防止機構は、前記針アセンブリが使用者の皮膚内にカニューレを送達した後、長期間にわたって流体が前記カニューレから前記容器に流れることを選択的に制限する少なくとも1つの流量制限器を含み、それによって凝塊形成を低減および/または除去し、
前記結合領域は、上流部分および下流部分を含み、前記上流部分は、前記流量制限器よりも大きい上流直径を有し、前記下流部分は、前記流量制限器よりも小さい下流直径を有する、逆流防止機構。
【請求項10】
前記少なくとも1つの流量制限器は一方向弁を含む、請求項9に記載の逆流防止機構。
【請求項11】
前記一方向弁は、
スリットバルブと、
アンブレラバルブと、
ボールバルブと、
ダックビルバルブと、又は
フラップバルブと
のうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の逆流防止機構。
【請求項12】
少なくとも1つの流量制限器は、空気排除デバイスを備える、請求項9に記載の逆流防止機構。
【請求項13】
シェルと内容積とを画定するハウジングと、前記ハウジングの前記内容積内に少なくとも部分的に配置され、使用者に投与されるべき薬剤を収容するように適合された容器と、を有する、逆流防止機構を有する薬物送達デバイス内の逆流を防止する方法であって、
前記ハウジング内に駆動機構を少なくとも部分的に配置することであって、前記駆動機構は、前記薬剤を前記容器から排出するための力を作用させるように適合されている、駆動機構を配置することと、
前記ハウジング内に針アセンブリを少なくとも部分的に配置することであって、前記針アセンブリは、針またはトロカールを前記使用者の皮膚に挿入し、その後に後退させるように構成されており、それによって、少なくとも前記駆動機構が前記容器から前記薬剤を排出するまでの一定期間、カニューレを前記使用者の皮膚内に残す、針アセンブリを少なくとも部分的に配置することと、
流体流接続部を前記容器と前記針アセンブリとに結合して、前記薬剤が前記容器から前記針アセンブリに流れることを可能にすることと、
逆流防止機構を、前記容器と前記針アセンブリとの間の結合領域内に配置することであって、前記逆流防止機構は、流体が前記カニューレから前記容器に流れるのを制限する少なくとも1つの流量制限器を含み、それによって、少なくとも前記駆動機構が前記容器から前記針アセンブリに前記薬剤を排出するまでの一定期間、凝塊形成を低減および/または除去する、逆流防止機構を配置することと
を含む、方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの逆流防止機構を関連付けることは、一方向弁を前記容器、前記流体流接続部、又は前記針アセンブリのうちの少なくとも1つと関連付けることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの逆流防止機構を関連付けることは、空気排除デバイスを、前記容器、前記流体流接続部、又は前記針アセンブリのうちの少なくとも1つと関連付けることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記逆流防止機構は、前記流体流接続部が前記針アセンブリに結合される結合領域に配置される、請求項13に記載の方法。
【外国語明細書】