(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026376
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】電気式凝縮エアロゾル装置
(51)【国際特許分類】
A61M 11/00 20060101AFI20240220BHJP
A61M 15/00 20060101ALI20240220BHJP
A61K 31/5517 20060101ALI20240220BHJP
A61K 31/553 20060101ALI20240220BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20240220BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20240220BHJP
A61K 31/4535 20060101ALI20240220BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20240220BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20240220BHJP
A61K 31/472 20060101ALI20240220BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20240220BHJP
A61K 31/473 20060101ALI20240220BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20240220BHJP
A61K 31/428 20060101ALI20240220BHJP
A61K 31/4045 20060101ALI20240220BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20240220BHJP
A61K 31/439 20060101ALI20240220BHJP
A61K 31/4178 20060101ALI20240220BHJP
A61P 1/08 20060101ALI20240220BHJP
A61P 25/34 20060101ALI20240220BHJP
A61K 31/465 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
A61M11/00 F
A61M15/00 Z
A61K31/5517
A61K31/553
A61P25/08
A61P25/18
A61K31/4535
A61P25/04
A61P25/20
A61K31/472
A61K31/519
A61K31/473
A61K31/4745
A61K31/428
A61K31/4045
A61P25/16
A61K31/439
A61K31/4178
A61P1/08
A61P25/34
A61K31/465
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023211237
(22)【出願日】2023-12-14
(62)【分割の表示】P 2020541904の分割
【原出願日】2019-02-01
(31)【優先権主張番号】62/625,757
(32)【優先日】2018-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/626,388
(32)【優先日】2018-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/626,396
(32)【優先日】2018-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】501431062
【氏名又は名称】アレクザ・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ALEXZA PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182730
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 浩明
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド コウジ ハセガワ
(72)【発明者】
【氏名】ミンツー レイ
(72)【発明者】
【氏名】ギルバート ティー.トン
(57)【要約】
【課題】本発明は、疾患及び/又は慢性、断続的又は急性病態の治療のための凝縮エアロゾルを生成する方法を提供する。
【解決手段】これらの凝縮エアロゾルは、温度に対して感受性がある薬物や小分子薬を含む薬物から精製され、その薬物は箔基板上にコーティングされ、その箔基板は、制御可能なランプアップ及び加熱速度で正確に制御された温度プロファイルで電気抵抗加熱されて、コーティングされた薬物を気化させ、次に凝縮させてエアロゾル粒子を形成する。これらの凝縮エアロゾルは、分解生成物がほとんど有しない、又は全くない。薬物と凝縮エアロゾルを生成するための装置を含むキットも提供される。さらに、これらのエアロゾルを使用するための方法、エアロゾルを作るためのキット及び方法も開示される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物の熱気化によって薬物凝縮エアロゾルを生成するのに適したハンドヘルド医療装置(100)であって、
a)1つ又は複数の空気入口(107)、
b)1つ又は複数の空気出口(103)、
c)電流を供給するための1つ又は複数の電池(105)、
d)前記装置(100)を、箔基板(209)上にコーティングされた薬物組成物(210)を含む使い捨てカートリッジ(200)に電気的に接続するための1つ又は複数のコネクター、及び
e)前記使い捨てカートリッジ(200)への電流の放出を制御するための1つ又は複数の電流送達装置(106)
を備え、
-前記空気入口(107)及び空気出口(103)が空気通路を画定し、
-少なくとも1つの前記空気出口(103)が、前記使い捨てカートリッジ(200)を取り付けるためのハウジングとして構成され、
-前記電流送達装置(106)が、目標温度及び加熱速度への制御可能なランプアップを伴う正確な温度プロファイルを達成する速度で電気抵抗加熱に影響を及ぼすために、前記使い捨てカートリッジ(200)の前記箔基板(209)に正確な電流プロファイルを駆動するように構成され、
-前記温度プロファイルが、前記カートリッジ(200)の前記箔基板(209)上にコーティングされた前記薬物組成物(210)の治療有効量を3秒以下の時間内に気化させ、それに続いて、結果として生じた蒸気を前記カートリッジ内部で凝縮させて、薬物エアロゾル粒子を形成するのに適している
医療装置。
【請求項2】
前記ランプアップ目標温度が150~550℃である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ランプアップ目標温度が200~500℃である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ランプアップ目標温度が250~450℃である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ランプアップ時間が50~200msである、請求項1~4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記ランプアップ時間が50~115msである、請求項1~5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記箔基板(209)が前記ランプアップ時間内に3~10℃/msで加熱される、請求項1~6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記加熱速度がプラトー加熱、タンパード冷却及び連続的加熱の1つ又は複数から選択される、請求項1~7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記電池(105)が30Aを超えるピーク電流及び8~13Vの電圧を供給できる、請求項1~8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記電池(105)が100Aより高いピーク電流及び9~12Vの電圧を供給できる、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記電池(105)がリチウムポリマー電池である、請求項1~10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
使用者の吸入を検知するための手段をさらに備える、1~11請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
使用者の吸入を検知するための前記手段がフローセンサーを備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
使用者の吸入を検知するための前記手段がフロースイッチを備える、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
使用者の吸入を検知するための前記手段が温度センサーを備える、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
装置筐体(108)をさらに備える、請求項1~15のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
前記装置筐体(108)の内壁が帯電防止材料を含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記使い捨てカートリッジ(200)の前記装置(103)の前記ハウジングへの正しい取り付け(103A)を確認するための手段をさらに備える、請求項1~17のいずれかに記載の装置。
【請求項19】
前記使い捨てカートリッジ(200)の前記装置(103)の前記ハウジングへの正しい取り付け(103A)を確認するための前記手段が電気接触の確認を含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記使い捨てカートリッジ(200)の前記装置(103)の前記ハウジングへの正しい取り付け(103A)を確認するための前記手段が近接センサーを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記使い捨てカートリッジ(200)の前記装置(103)の前記ハウジングへの正しい取り付け(103A)を確認するための前記手段が機械的又は光学的スイッチを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項22】
前記使い捨てカートリッジ(200)を一意に認識するための手段をさらに備える、請求項1~21のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
前記使い捨てカートリッジ(200)を一意に認識するための前記手段が、RFIDタグ、バーコード、QRコード、読み取り/書き込みチップ又はそれらの組み合わせから選択される、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
必要な温度を達成するために、前記箔基板(209)の温度を感知し、箔基板温度情報を前記電流送達装置(106)に送り込んで、電流送達を修正することによって、前記使い捨てカートリッジ(200)の前記箔基板(209)の温度を制御するための手段をさらに備える、請求項1~23のいずれかに記載の装置。
【請求項25】
前記使い捨てカートリッジ(200)の前記箔基板(209)の温度を制御するための前記手段が、前記箔基板を横切る電気抵抗の測定を含む、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記使い捨てカートリッジ(200)の前記箔基板(209)の温度を制御するための前記手段が光学的測定を含む、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記使い捨てカートリッジ(200)の前記箔基板(209)の温度を制御するための前記手段が、熱電対を用いた直接接触測定を含む、請求項24に記載の装置。
【請求項28】
前記装置(100)の前記空気出口(103)と前記カートリッジ(200)の前記空気入口(220)の間に、空気圧シールインターフェースをさらに備える、請求項1~27のいずれかに記載の装置。
【請求項29】
使い捨てカートリッジ(200)であって、
a)チャンバー、
b)前記チャンバーに接続された1つ又は複数の空気入口(220)、
c)前記チャンバーに接続された1つ又は複数の空気出口(202)、
d)前記空気入口(220)、前記チャンバー及び空気出口(202)によって画定される空気通路(203)、
e)穴の有無にかかわらず不透過性の表面を有する箔基板(209)、
f)前記チャンバーに箔基板(204)を保持するための手段、
g)厚さ0.01~50μmを有する膜の形態で前記箔基板(209)の少なくとも一部にコーティングされた薬物組成物(210)、
h)前記使い捨てカートリッジ(200)をハンドヘルド医療装置(100)に電気的に接続するための1つ又は複数のコネクター(208)、及び
i)気化した薬物を前記チャンバー内で凝縮して、前記空気通路(203)を通る空気流に乗って運ばれ、マウスピース(202)を通って流れる凝縮エアロゾル粒子を生成する手段
を備え、
-少なくとも1つの空気入口(220)が前記ハンドヘルド医療装置(100)に取り付けられるように構成され、
-少なくとも1つの前記空気出口(202)がマウスピースとして構成され、
-前記箔基板(209)が導電性箔基板であり、治療有効量の前記薬物組成物を気化させ、続いて、結果として生じた蒸気を前記カートリッジ内部で凝縮させ、薬物エアロゾル粒子を形成するために、目標温度及び加熱速度への制御可能なランプアップを伴う正確な温度プロファイルを達成するように前記ハンドヘルド医療装置(100)から電気を受け取るための手段を有する
使い捨てカートリッジ。
【請求項30】
前記箔基板が前記空気通路(203)に対して実質的に平行に配置される、請求項29に記載のカートリッジ。
【請求項31】
前記箔基板(209)が金属箔基板である、請求項29~30のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項32】
前記箔基板(209)がステンレス鋼箔基板である、請求項29~31のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項33】
前記薬物組成物(210)が0.01~20μmの厚さを有する、請求項29~32のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項34】
前記箔基板(209)及び前記コネクター(208)が、接続回路を通して電気的に接続されて電気抵抗回路を画定し、前記接続回路及び前記箔基板が同一又は異なる金属から作られている、請求項29~33のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項35】
前記箔基板(209)及び前記接続回路が異なる金属から作られており、一方の金属が銅であり、他方の金属がステンレス鋼である、請求項34に記載のカートリッジ。
【請求項36】
前記箔基板(209)及び前記接続回路がレーザー溶接される、請求項35に記載のカートリッジ。
【請求項37】
前記箔基板(209)及び前記接続回路が、圧着によって接合される、請求項35に記載のカートリッジ。
【請求項38】
前記箔基板(209)及び前記接続回路が、クランプによって互いに結合される、請求項35に記載のカートリッジ。
【請求項39】
前記接続回路が回路基板(211)又はフレックス回路(204)である、請求項34~38のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項40】
前記箔基板(209)及び前記接続回路が前記箔基板(209)の均一加熱をもたらす、請求項34~39のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項41】
前記箔基板(209)の少なくとも一部にコーティングされた前記薬物組成物(210)が、前記コーティングの異なる領域において異なる膜厚を示す、請求項29~40のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項42】
前記箔基板(209)の少なくとも一部にコーティングされた前記薬物組成物(210)が所定の形状で塗布される、請求項29~41のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項43】
塗布される前記形状が台形である、請求項42に記載のカートリッジ。
【請求項44】
塗布される前記形状が三日月形である、請求項42に記載のカートリッジ。
【請求項45】
塗布される前記形状の幾何中心が、前記箔基板(209)の下流端よりも上流端に近い、請求項42~44のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項46】
塗布される前記形状の幾何中心が、前記箔基板(209)の上流端よりも下流端に近い、請求項42~44のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項47】
前記薬物が、アセトアミノフェン、アマンタジン、アテノロール、ブロマゼパム、ブロムフェニラミンマレイン酸塩、カフェイン、セレコキシブ、クロファジミン、クロニジン、コデイン、シプロヘプタジン、ダプソン、ジクロフェナクエチルエステル、ジフルニサル、フェンフルラミン、フルマゼニル、フルルビプロフェン、ガランタミン、ヒドロモルフォン、インドメタシンノルコリンエステル、ケトロラクメチルエステル、ケトロラクノルコリンエステル、メラトニン、メマンチン、メタドン、モルヒネ、ナブメトン、ナプロキセン、オルフェナドリン、フェニトイン、ピンドロール、プロカインアミド、プロパフェノン、キニジン、キニーネ、スピロノラクトン、サリドマイド、テオフィリン、トラマドール塩酸塩、トラゾドン、トリアムテレン、ケトチフェン、ブロムフェニラミン、ブトルファノール、ジアゼパム、エスタゾラム、ケタミン、メペリジン、オキシコドン、クロルフェニラミン、ドキシラミン、エタクリン酸、フルニトラゼパム、ハロペリドール、リドカイン、ロキサピンコハク酸塩、オランザピン、タクリン、トリフルオペラジン、アモキサピン、クロルゾキサゾン、イブプロフェン、ロキサピン、マプロチリン、ペルゴリド、ピリベジル、プロトリプチリンHCl、トカイニド、ゾニサミド、アザタジン、クロルフェニラミンマレイン酸塩、シプロヘプタジンHCl、フレカイニド、イソカルボキサジド、ケトプロフェンエチルエステル、ロラタジン、メトキサレン、プロプラノロール、テストステロン、ベンズトロピン、クロザピン、ミダゾラム、パロキセチン、セルトラリン、バルプロ酸、ザレプロン、クロミプラミン、ロペラミド、メキシレチンHCl、ベンラファキシン、アミトリプチリン、ベタヒスチン、ナラトリプタン、プラミペキソール、シルデナフィル、テルブタリン、ビタミンE、フルラゼパム、メトプロロール、ナロキソン、リザトリプタン、セレギリン、タダラフィル、トリアゾラム、トリミプラミン、ブプロピオンHCl、ドキセピン、イミプラミン、ラモトリギン、メタプロテレノール、メトクロプラミド、モルヒネ、ノルトリプチリン、ペルフェナジン、クエチアピン、シクレソニド、アルプラゾラム、カルビノキサミンマレイン酸塩、シクロベンザプリン、ジソピラミド、エフェドリン、グラニセトロン、インドメタシン、インドメタシンエチルエステル、インドメタシンメチルエステル、ケトプロフェンメチルエステル、ケトロラクエチルエステル、ミルタザピン、ナルブフィン、ニコチン、ロピニロール、ロピニロールフマル酸塩、アセブトロール、ヒドロキシクロロキン、メペリジン、エストラジオール、フェノプロフェン、プロクロルペラジン、トレミフェン、ヒドロキシジン、アトロピン、ブプレノルフィン、ブメタニド、フェンタニル、イブチリド、ピリラミン、ゾルミトリプタン、ゾテピン、クロルジアゼポキシド、シタロプラム、ケトプロフェン、ペルゴリド、ロピニロールHCl、ロチゴチン、エファビレンツ、ゾピクロン、スマトリプタン、ベルガプテン、ブスピロンHCl、エレトリプタン、ノルトリプチリン、コルヒチン、フルニソリド、ネファゾドン、ロフェコキシブ、トラニルシプロミンHCl、フルオキセチン、プロメタジン、トリミプラミンマレイン酸塩、メクリジン、ジルチアゼム、テマゼパム、トルテロジン、バルデコキシブ、アポモルヒネジアセテート、ドネペジル、ソタロール、トラマドール、シンナリジン、イソトレチノイン、ゾルピデム、ブスピロン、クロルプロマジン、アルブテロール、ベラパミル、ナルトレキソン、テルミサルタン、ヒヨスチアミン、トラニルシプロミン、エスモロール、ピオグリタゾン、トレプロスチニル、ジピリダモール、アポモルヒネHCl、リネゾリド、カルビノキサミン、ブトルファノール酒石酸塩、クレマスチン、フルコナゾール、トルフェナム酸、ロバスタチン、アポモルヒネHClジアセテート、プロマジン、シブトラミン、アステミゾール、ジフェンヒドラミン、ピリラミンマレイン酸塩、ジフェンヒドラミンHCl、フルフェナジン、シタロプラム、トリアムシノロンアセトニド、プロピオン酸フルチカゾン、ブプレノルフィンHCl、タモキシフェン、アリピプラゾール、フロバトリプタン、ネファゾドン、プロトリプチリン、オキシブチニン、メクリジン、ベナゼプリル、エタンブトール、スコポラミン、ニコチン塩、トレプロスチニル塩、オンダンセトロン、パロノセトロンHCl、チザニジン、アルモレキサント又はそれらの混合物から選択される、請求項29~46のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項48】
前記薬物が、ロキサピン、アルプラゾラム、エスタゾラム、フェンタニル、チザニジン、ザレプロン、アルモレキサント、アポモルヒネ、ペルゴリド、プラミペキソール、ロピニロール、ニコチン、グラニセトロン、オンダンセトロン、パロノセトロン、それらの任意の薬学的に許容される塩又は混合物から選択される、請求項29~47のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項49】
前記薬物がニコチン又はニコチンメタサリチル酸塩である、請求項29~48のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項50】
前記薬物がアポモルヒネ又はアポモルヒネ塩酸塩である、請求項29~48のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項51】
前記薬物がパロノセトロン又はパロノセトロン塩酸塩である、請求項29~48のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項52】
前記チャンバーが、その内壁の少なくとも一部に帯電防止材料を含む、請求項29~51のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項53】
生成された前記薬物エアロゾル粒子の少なくとも50重量%が、5μm未満のMMADとして定義される粒子径を有する、請求項29~52のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項54】
生成された前記薬物エアロゾル粒子の少なくとも90重量%が、5μm未満のMMADとして定義される粒子径を有する、請求項29~53のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項55】
前記薬物エアロゾル粒子が10%未満の薬物分解生成物を含む、請求項29~54のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項56】
前記箔基板(209)上にコーティングされた前記薬物組成物(210)が90%超の前記薬物を含む、請求項29~55のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項57】
前記ハンドヘルド医療装置(100)の前記ハウジング(103)へのその正しい取り付けを確認するための手段をさらに備える、請求項29~56のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項58】
その正しい取り付けを確認するための前記手段が電気接触の確認を含む、請求項57に記載のカートリッジ。
【請求項59】
その正しい取り付けを確認するための前記手段が近接センサーを含む、請求項57に記載のカートリッジ。
【請求項60】
その正しい取り付けを確認するための前記手段が機械的又は光学的スイッチを含む、請求項57に記載のカートリッジ。
【請求項61】
前記ハンドヘルド医療装置(100)によって一意に認識されるための手段を備える、請求項29~60のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項62】
一意に認識されるための前記手段が、RFIDタグ、バーコード、QRコード、読み取り/書き込みチップ及びそれらの組み合わせからなるリストから選択される、請求項61に記載のカートリッジ。
【請求項63】
使用者の吸入を検知するための手段を備える、請求項29~62のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項64】
吸入を検知するための前記手段がフローセンサーを含む、請求項63に記載のカートリッジ。
【請求項65】
吸入を検知するための前記手段がフロースイッチを含む、請求項63に記載のカートリッジ。
【請求項66】
吸入を検知するための前記手段が温度センサーを含む、請求項63に記載のカートリッジ。
【請求項67】
前記空気入口(220)からの空気流を分散させるための手段をさらに備える、請求項30~66のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項68】
空気流を分散させるための前記手段が穴のあいた隔壁(206)である、請求項67に記載のカートリッジ。
【請求項69】
前記装置(205)の前記空気出口とカートリッジ(220)の前記空気入口の間に空気圧シールインターフェースを備える、請求項30~68のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項70】
前記ハンドヘルド医療装置(100)が請求項1~28のいずれかに記載の装置である、請求項29~69のいずれかに記載のカートリッジ(200)。
【請求項71】
前記カートリッジ(200)が請求項29~70のいずれかに記載の前記カートリッジである、請求項1~28のいずれかに記載の装置(100)。
【請求項72】
(a)請求項29~70のいずれかで画定された使い捨てカートリッジ(200)を用意すること、
(b)請求項1~28又は71のいずれかで画定されるように、前記使い捨てカートリッジ(200)を前記ハンドヘルド医療装置(100)に取り付けること、及び
(c)肺送達のために吸入を通して前記薬物を前記対象に投与すること
を含む、対象における病態又はエピソードを治療する方法。
【請求項73】
a)前記薬物がロキサピンである場合、前記病態若しくはエピソードが、
a.統合失調症若しくは双極性障害の成人の軽度から中等度の不穏の迅速なコントロール、若しくは
b.成人の統合失調症若しくは双極I型障害に関連する急性の不穏
を含む不穏であり、
b)前記薬物がアルプラゾラム若しくはエスタゾラムである場合、前記病態若しくはエピソードが、痙攣発作を含むてんかんであり、
c)前記薬物がフェンタニルである場合、前記病態若しくはエピソードが突出痛であり、
d)前記薬物がザレプロン若しくはアルモレキサントである場合、前記病態若しくはエピソードが、
a.夜中の覚醒、若しくは
b.夜中の不眠
を含む睡眠障害であり、
e)前記薬物がアポモルヒネ、ペルゴリド、プラミペキソール若しくはロピニロールである場合、前記病態若しくはエピソードが、パーキンソン病(パーキンソン病のオフ症状を含む)であり、
f)前記薬物がグラニセトロン、オンダンセトロン若しくはパロノセトロンである場合、前記病態若しくはエピソードが、
a.嘔気、
b.嘔吐若しくは
c.周期性嘔吐症候群であり、又は
g)前記薬物がニコチン又はニコチンメタサリチル酸塩である場合、前記病態若しくはエピソードが、ニコチン渇望及び/若しくは禁煙の実行である
請求項72に記載の治療方法。
【請求項74】
治療に使用するための請求項1~28又は71のいずれかに記載の装置(100)。
【請求項75】
a)前記薬物がロキサピンである場合、前記治療が、
a.統合失調症若しくは双極性障害の成人の軽度から中等度の不穏の迅速なコントロール、若しくは
b.成人の統合失調症若しくは双極I型障害に関連する急性の不穏
を含む不穏であり、
b)前記薬物がアルプラゾラム若しくはエスタゾラムである場合、前記治療が、痙攣発作を含むてんかんの治療であり、
c)前記薬物がフェンタニルである場合、前記治療が突出痛の治療であり、
d)前記薬物がザレプロン若しくはアルモレキサントである場合、前記治療が、
a.夜中の覚醒、若しくは
b.夜中の不眠
を含む睡眠障害の治療であり、
e)前記薬物がアポモルヒネ、ペルゴリド、プラミペキソール若しくはロピニロールである場合、前記治療がパーキンソン病(パーキンソン病のオフ症状を含む)の治療であり、
f)前記薬物がグラニセトロン、オンダンセトロン若しくはパロノセトロンである場合、前記治療が、
a.嘔気、
b.嘔吐若しくは
c.周期性嘔吐症候群
の治療であり、又は
g)前記薬物がニコチン又はニコチンメタサリチル酸塩である場合、前記治療が、ニコチン渇望及び/若しくは禁煙の実行の治療である
請求項74に記載の使用のための装置。
【請求項76】
治療に使用するための請求項29~70のいずれかに記載のカートリッジ(200)。
【請求項77】
a)前記薬物がロキサピンである場合、前記治療が、
a.統合失調症若しくは双極性障害の成人の軽度から中等度の不穏の迅速なコントロール、若しくは
b.成人の統合失調症若しくは双極I型障害に関連する急性の不穏
を含む不穏であり、
b)前記薬物がアルプラゾラム若しくはエスタゾラムである場合、前記治療が、痙攣発作を含むてんかんの治療であり、
c)前記薬物がフェンタニルである場合、前記治療が突出痛の治療であり、
d)前記薬物がザレプロン若しくはアルモレキサントである場合、前記治療が、
a.夜中の覚醒、若しくは
b.夜中の不眠
を含む睡眠障害の治療であり、
e)前記薬物がアポモルヒネ、ペルゴリド、プラミペキソール若しくはロピニロールである場合、前記治療がパーキンソン病(パーキンソン病のオフ症状を含む)の治療であり、
f)前記薬物がグラニセトロン、オンダンセトロン若しくはパロノセトロンである場合、前記治療が、
a.嘔気、
b.嘔吐若しくは
c.周期性嘔吐症候群の治療であり、又は
g)前記薬物がニコチン又はニコチンメタサリチル酸塩である場合、前記治療が、ニコチン渇望及び/若しくは禁煙の実行の治療である
請求項76に記載の使用のためのカートリッジ。
【請求項78】
治療に使用するための請求項1~28又は71に記載の前記装置(100)に取り付けられる、請求項29~70のいずれかに記載のカートリッジ(200)。
【請求項79】
a)前記薬物がロキサピンである場合、前記治療が、
a.統合失調症若しくは双極性障害の成人の軽度から中等度の不穏の迅速なコントロール、若しくは
b.成人の統合失調症若しくは双極I型障害に関連する急性の不穏
を含む不穏であり、
b)前記薬物がアルプラゾラム若しくはエスタゾラムである場合、前記治療が、痙攣発作を含むてんかんの治療であり、
c)前記薬物がフェンタニルである場合、前記治療が突出痛の治療であり、
d)前記薬物がザレプロン若しくはアルモレキサントである場合、前記治療が、
a.夜中の覚醒、若しくは
b.夜中の不眠
を含む睡眠障害の治療であり、
e)前記薬物がアポモルヒネ、ペルゴリド、プラミペキソール若しくはロピニロールである場合、前記治療がパーキンソン病(パーキンソン病のオフ症状を含む)の治療であり、
f)前記薬物がグラニセトロン、オンダンセトロン若しくはパロノセトロンである場合、前記治療が、
a.嘔気、
b.嘔吐若しくは
c.周期性嘔吐症候群の治療であり、又は
g)前記薬物がニコチン又はニコチンメタサリチル酸塩である場合、前記治療が、ニコチン渇望及び/若しくは禁煙の実行の治療である
請求項78に記載の使用のための前記装置に取り付けられるカートリッジ。
【請求項80】
a)請求項1~28又は71のいずれかで画定された1つのハンドヘルド医療装置(100)、
b)請求項29~70のいずれかで画定された1つ又は複数の使い捨てカートリッジ(200)、及び
c)前記使い捨てカートリッジ(200)を前記ハンドヘルド医療装置(100)に取り付け、それらを使用するための取扱説明書
を含むキット。
【請求項81】
前記取扱説明書が請求項72~79のいずれかに記載の前記使用のいずれかを含む、請求項80に記載のキット。
【請求項82】
a)請求項29~70のいずれかで画定された1つ又は複数の使い捨てカートリッジ(200)及び
b)前記使い捨てカートリッジ(200)を、請求項1~28又は71のいずれかで画定された前記ハンドヘルド医療装置(100)に取り付け、それらを使用するための取扱説明書
を含むキット。
【請求項83】
前記取扱説明書が請求項72~79のいずれかに記載の前記使用のいずれかを含む、請求項82に記載のキット。
【請求項84】
a)請求項1~28又は71のいずれかで画定された1つのハンドヘルド医療装置(100)及び
b)請求項29~70のいずれかで画定された前記使い捨てカートリッジ(200)を前記ハンドヘルド医療装置に取り付け、それらを使用するための取扱説明書
を含む、キット。
【請求項85】
前記取扱説明書が請求項72~79のいずれかに記載の前記使用のいずれかを含む、請求項84に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
著作権宣言文
本特許書類の開示の一部には、著作権保護の対象となる資料が含まれている。著作権所有者は、特許商標庁の特許ファイル又は記録に表示されている形で、特許書類又は特許開示物が何人かによって複製(facsimile reproduction)されることに異議を唱えないが、それ以外の場合はすべての著作権の権利を留保する。
【0002】
本開示は、全体として、薬物エアロゾル、エアロゾルを送達するための方法、及び薬物エアロゾルを送達するためのキットの分野に関する。より具体的には、本発明は、薬物自体が気化される薬物でコーティングされた箔基板の電気加熱を介して、凝縮薬物エアロゾルを生成する装置に関する。薬物は、温度に依存しうる気化プロセスの間、分解に対して感受性があってもよい。本明細書に記載の電気的凝縮薬物エアロゾル装置を通して、薬物の純度、放出量、粒子径、及びエアロゾルとしての安定性が恩恵を受ける。
【背景技術】
【0003】
現在、乾燥粉末吸入器、ネブライザー、加圧式定量吸入器を含む、薬物の吸入送達用の認可装置が数多く存在する。空気流中で、最高600℃の温度まで500ms未満で薬物の薄膜を急速に気化させることで、薬物の劣化を最小限に抑えた高収率かつ高純度の薬物エアロゾルを製造することができる。凝縮薬物エアロゾルは、吸入医療装置を用いた効果的な薬物の肺送達に使用することができる。金属基板上に堆積した薬物の薄膜を電気抵抗加熱によって気化させる装置及び方法が示されている。
【0004】
吸入可能な薬物製剤、特に吸入による全身送達用の製剤は、最小限の侵襲で効率的にかつ迅速な投与経路を可能にするので、その開発が望ましい。典型的には、乾燥粉末吸入器、ネブライザー、及び加圧式定量吸入器からの吸入エアロゾルは、それらの薬物のエアロゾル形態での安定性や送達性を向上させるための賦形剤や溶媒を含んでいる。これらの典型的な吸入装置は、生成された薬物エアロゾルの放出量、粒子径及び細かい吸入性画分を十分に制御しない。その結果、これらのタイプの装置から生成されたエアロゾルは、肺ルートを介した全身的な薬物送達には非効率的である。
【0005】
本開示は、他の吸入技術で遭遇した前述の欠点及び問題点を克服し、薬物の気化中に熱分解を含む分解を制御する機構を提供し、吸入による全身的な薬物送達に理想的に適した、吸入可能なエアロゾル粒子径、一貫した細かい呼吸性画分及び放出量をもつ薬物化合物の純度が高いレベルのエアロゾルを製造することが可能になる。
【0006】
ハンドヘルド装置に動力を供給するのに電池を使用することは問題があることがわかっている。ポータブルハンドヘルド装置での使用を目的とする従来の電池タイプとしては、アルカリ、ニッケルカドミウム(Ni-Cd)、ニッケル水素(NiMH)が挙げられる。これらの電池化学物質は、気化される薬物の量が少ない(200マイクログラム未満)、したがって、加熱するのに比較的小さな箔基板表面積を必要とする場合など、電流の引き込み要件が低い用途に適している。しかし、0.5mg~10mgの範囲など箔基板上の薬物搭載が大きい場合、かなり大きな電力が必要とされる。これらのより大きな薬物搭載の場合、従来の電池化学物質は、薬物膜の効率的な気化に向けて箔基板を急速に加熱するのに必要な大電流を送ることができない。くわえて、これらの電池化学物質の一部は、メモリー効果の影響を受けやすく、充放電サイクルを繰り返すと容量を失う。
【0007】
箔基板を急速に加熱するために必要な高放電電流を実現する方法の1つとして、スーパーキャパシタを使用する方法がある。しかし、より大きな薬物搭載に対応できるスーパーキャパシタは、ハンドヘルド薬物送達装置には相対的に大型であり、必要な電力を供給するのに、それぞれがC又はDサイズの電池とほぼ同じ大きさのスーパーキャパシタが約4~6個必要となる。くわえて、別個の電源がスーパーキャパシタを充電するために必要で、装置の携帯性が落ちる。
【0008】
高電力出力が可能なコンパクトな電池が、薬物を気化させるために箔基板を急速に加熱するのに必要な電力を供給する、ハンドヘルド凝縮エアロゾル薬物送達装置を提供することが望ましい。このような装置を提供することが本発明の目的である。
【0009】
異なる金属が一緒に接合されて電気回路を形成する装置であって、その回路の1つの構成要素が薬物でコーティングされた箔基板からなる装置を提供することが望ましい。回路を介して電流を駆動すると、均一な電気抵抗が得られ、したがって、箔基板が加熱され、箔基板上にコーティングされた薬物が気化し、続いて凝縮して、吸入を介して効率的に薬物を送達するエアロゾル粒子を形成する。そのような装置を提供することが本発明の目的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、導電性箔基板、基板の表面の画定された部分にコーティングされた薬物を含む薬物組成物(ここで、コーティングされた薬物膜は、均一であってもよく、又は意図的な厚さ勾配で塗布されてもよい画定された厚さを有する)、コーティングされた薬物組成物の全て又は一部を3秒以下の時間内に気化させるのに十分な正確な温度プロファイルを達成する速度で電気抵抗加熱に影響を及ぼすように基板を通して正確な電流プロファイルを駆動する電流送達装置、及び気化した薬物組成物を乗せて運んで凝縮させて、空気通路のマウスピース端から使用者の口に出て、気道を通過して肺深部に到達し、全身的な薬物送達を行う凝縮エアロゾル粒子にするように吸入空気を基板の表面上に導く空気通路を備える薬物送達物品(article)を提供する。エアロゾル薬物組成物は治療有効量の薬物を含む。薬物膜は厚さが0.01~50μmである。薬物膜は厚さが0.01~20μmである。選択された薬物は、気化プロセスに関連する温度に対して感受性があってよい。選択された薬物は、気化プロセスに関連する分解に対して感受性があってよい。選択された薬物は、加熱が迅速で一貫した再現性のある加熱プロファイルを可能にする、本明細書に記載の加熱装置の使用によって恩恵を受けることができる。その利点としては、薬物純度の向上、分解の減少、肺深部(肺胞)への沈着の増加などが挙げられうる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態では、薬物送達装置は、さまざまな空気流量の存在下で、コーティングされた原薬の気化に最適な目標表面温度を生じる基板領域を特定するために、電気抵抗加熱の間に捉えられる基板表面の熱画像を使用することによる基板上の薬物コーティング領域のマッピングを含む。一実施形態では、流体の流れ及び熱伝達をモデル化するための数値流体力学(CFD)解析などの数値モデル化ツールが、薬物コーティングのための基板の特定の領域をマップするために、さまざまな範囲の空気流量の存在下での電気抵抗加熱中の基板の表面温度勾配を予測してコーティングされた原薬の気化に最適な基板の領域を特定するために使用される。一実施形態では、薬物送達装置は、箔基板の上流端から中間点を含む特定の領域(
図14)にコーティングされた薬物を含む。一実施形態では、薬物送達装置は、箔基板の中間点から下流端を含む特定の領域(
図13)にコーティングされた薬物を含む。薬物コーティング領域は、台形形状(
図15)、三日月形形状、長方形形状又は正方形形状を含むさまざまな形状であることができるが、これらに限定されない。薬物は、基板温度が気化に最適である基板の特定の領域にコーティングされ、基板温度が高すぎて気化中に不純物の生成を引き起こしうる領域、又は基板温度が低すぎて望ましくない構成部分への薬物の解離及び/又は放出量の減少を引き起こしうる基板の領域を避ける。薬物コーティング領域の形状は、基板の加熱中、温度プロファイルが原薬(drug substance)気化に最適である基板の領域を参照して、薬物コーティング領域の形状は、薬物のコーティングを可能にする加熱中に基板の温度マップに従うことができる。
【0012】
一実施形態では、本開示は、薬物の迅速な送達が治療に最適である病態を治療する方法を教示し、ここで、上記装置は薬物と共に使用される。薬物は気化温度及び/又は分解に対して感受性がある薬物であってもよい。
【0013】
一実施形態では、本開示は、薬物の迅速な送達が治療に最適である病態を治療する方法を教示し、そこにおいて上記装置は、気化温度及び/又は分解に対して感受性が薬物とともに使用される。一実施形態では、本開示は、薬物の迅速な送達が治療に最適である病態を治療する方法を教示し、そこにおいて上記装置は、分子量が600g/mol未満である小分子の薬物送達に使用される。一実施形態では、本開示は、薬物の迅速な送達が治療に最適である病態を治療する方法を教示し、そこにおいて上記装置は、分子量が500g/mol未満である小分子の薬物送達に使用される。一実施形態では、本開示は、薬物の迅速な送達が治療に最適である病態を治療する方法を教示し、そこにおいて上記装置は、分子量が400g/mol未満である小分子の薬物送達に使用される。一実施形態では、本開示は、薬物の迅速な送達が治療に最適である病態を治療する方法を教示し、そこにおいて上記装置は、分子量が300g/mol未満である小分子の薬物送達に使用される。
【0014】
一実施形態では、本開示は、患者の病態を治療する方法を教示し、前記(said)方法は、(a)気化温度に対して感受性がある薬物又は分解に対して感受性がある薬物を用いて凝縮エアロゾルを生成するための装置であって、その上に配置された原薬を気化させるように構成され、薬物が、薬物の加熱効率を高め、気化中の薬物の分解を最小限に抑える方法で基板上にコーティングされた金属箔基板を含む電気抵抗加熱要素、正確で制御された電流送達プロファイルに従って電流を箔基板に送達し、それによって、箔基板における急速ではあるが制御された温度上昇をもたらし、基板上にコーティングされた原薬を気化させる制御装置、及び気化された物質を凝縮させて、粒度分布が制御された凝縮エアロゾルを生成する手段を含む装置を用意すること、並びに(b)肺の肺胞領域に向けて吸入を通して薬物を対象に投与することを含む。この方法を用いて、パーキンソン病(パーキンソン病に関連するオフ症状を含む)、運動障害(レストレスレッグス症候群、ジストニア、舞踏病、ハンチントン病、運動失調、振戦-本態性振戦、チック、歩行、全身硬直症候群、ミオクローヌス及び驚愕)、周期性嘔吐症候群、治療抵抗性うつ病、睡眠障害(例えば夜中の不眠症)、突出痛、肺動脈性肺高血圧症、片頭痛、禁煙、疼痛管理、吐き気、痙攣発作、うっ血性心不全を伴う呼吸困難、アルツハイマー病、勃起不全、痛風、多動性障害、体重管理(例えば肥満、過食)、嗜癖乱用(例えば喫煙、アルコール、麻薬)、中枢神経系障害、尿路疾患、めまい、糖尿病、呼吸器疾患、骨粗鬆症、はしか、抗生物質、不安、鎮痛剤、不穏を含む病態、及び循環系への薬物の迅速な送達が有益である任意の病態を治療することができる。
【0015】
一実施形態では、本開示は、それを必要とする対象における病態を治療する方法を教示し、その方法は、吸入によって薬物を投与することを含み、その薬物は気化温度に対して感受性がある薬物であり、凝縮エアロゾルの形態で投与される。一実施形態では、薬物エアロゾル粒子の少なくとも80重量%は、サイズが5ミクロン未満である。一実施形態では、薬物エアロゾル粒子の少なくとも90重量%は、サイズが5ミクロン未満である。一実施形態では、薬物エアロゾル粒子の少なくとも93重量%は、サイズが5ミクロン未満である。一実施形態では、薬物エアロゾル粒子の少なくとも95重量%は、サイズが5ミクロン未満である。一実施形態では、薬物エアロゾル粒子の少なくとも97重量%は、サイズが5ミクロン未満である。一実施形態では、薬物エアロゾル粒子の少なくとも99重量%は、サイズが5ミクロン未満である。一実施形態では、凝縮エアロゾル粒子は15%未満の薬物分解生成物を特徴とする。一実施形態では、凝縮エアロゾル粒子は10%未満の薬物分解生成物を特徴とする。一実施形態では、凝縮エアロゾル粒子は9%未満の薬物分解生成物を特徴とする。一実施形態では、凝縮エアロゾル粒子は8%未満の薬物分解生成物を特徴とする。一実施形態では、凝縮エアロゾル粒子は7%未満の薬物分解生成物を特徴とする。一実施形態では、凝縮エアロゾル粒子は6%未満の薬物分解生成物を特徴とする。一実施形態では、凝縮エアロゾル粒子は5%未満の薬物分解生成物を特徴とする。一実施形態では、凝縮エアロゾル粒子は4%未満の薬物分解生成物を特徴とする。一実施形態では、凝縮エアロゾル粒子は3%未満の薬物分解生成物を特徴とする。一実施形態では、凝縮エアロゾル粒子は2%未満の薬物分解生成物を特徴とする。一実施形態では、凝縮エアロゾル粒子は1%未満の薬物分解生成物を特徴とする。
【0016】
一実施形態では、本開示は、箔基板にコーティングされた正確な量の薬物を有する装置を含む薬物の送達のための組成物を教示し、その装置は、コーティングされた薬物組成物の全て又は一部を気化させるのに十分に正確な温度プロファイルを達成する速度で電気抵抗加熱に影響を及ぼすように基板を通る正確な電流プロファイルを駆動する手段を有する。凝縮エアロゾルは、a)薬物組成物を、前記薬物組成物の加熱蒸気を生成するのに有効な条件下で気化させ、薬物組成物の加熱蒸気を凝縮させて、凝縮エアロゾル粒子を形成することによって形成され、b)前記凝縮エアロゾル粒子は10%未満の薬物分解生成物を特徴とし、c)エアロゾルのMMADが5μm未満であり、d)薬物は分解に対して感受性がある。一実施形態では、エアロゾルのMMADは3.5μm未満である。一実施形態では、コーティングされた薬物の気化した部分は、薬物の少なくとも99.5%である。一実施形態では、コーティングされた薬物の気化した部分は、薬物の少なくとも99%である。一実施形態では、コーティングされた薬物の気化した部分は、薬物の少なくとも95%である。一実施形態では、コーティングされた薬物の気化した部分は、薬物の少なくとも90%である。一実施形態では、コーティングされた薬物の気化した部分は、薬物の少なくとも85%である。一実施形態では、コーティングされた薬物の気化した部分は、薬物の少なくとも80%である。一実施形態では、コーティングされた薬物の気化した部分は、薬物の少なくとも75%である。一実施形態では、コーティングされた薬物の気化した部分は、薬物の少なくとも70%である。一実施形態では、コーティングされた薬物の気化した部分は、薬物の少なくとも65%である。一実施形態では、コーティングされた薬物の気化した部分は、薬物の少なくとも60%である。一実施形態では、コーティングされた薬物の気化した部分は、薬物の少なくとも55%である。一実施形態では、コーティングされた薬物の気化した部分は、薬物の少なくとも50%である。一実施形態では、コーティングされた薬物の気化した部分は、薬物の少なくとも45%である。一実施形態では、コーティングされた薬物の気化した部分は、薬物の少なくとも40%である。一実施形態では、コーティングされた薬物の気化した部分は、薬物の少なくとも35%である。一実施形態では、コーティングされた薬物の気化した部分は、薬物の少なくとも30%である。一実施形態では、コーティングされた薬物の気化した部分は、薬物の少なくとも25%である。一実施形態では、コーティングされた薬物の気化した部分は、薬物の少なくとも20%である。一実施形態では、コーティングされた薬物の気化した部分は、薬物の少なくとも15%である。一実施形態では、コーティングされた薬物の気化した部分は、薬物の少なくとも10%である。
【0017】
典型的には、さまざまな実施形態の凝縮エアロゾルは、熱伝導性で不透過性の基板上に所望の厚さの薬物組成物を含有する膜を調製し、前記基板を加熱して前記膜を気化させ、前記蒸気を冷却し、それによって前記薬物組成物を含有するエアロゾル粒子を製造することによって形成される。ガスの流れと組み合わせた急速加熱は分解の量を減らすのに役立つ。したがって、典型的には、200℃を超える温度、好ましくは少なくとも250℃、より好ましくは少なくとも300℃又は350℃に基板を加熱し、3秒以内、好ましくは1秒以内、より好ましくは0.5秒以内に基板から薬物組成物の実質的に完全な気化を生じる熱源が使用される。薬物の気化に最適な温度範囲は、気化する特定の薬物の物理的特性に依存する。典型的には、気化化合物上の空気流量は約4~80L/分である。
【0018】
本発明のいずれかの実施形態における膜厚は、基板を加熱することによって化合物を気化させ、気化した化合物を凝縮させることによって形成されたエアロゾルが10重量%以下の薬物分解生成物を含有する膜厚である。薄膜の使用は、より急速な気化速度を可能にし、したがって一般に、熱薬物分解をより少なくする。典型的には、膜は厚さが0.01~50μm又は0.01~20μmである。いくつかの変形形態では、膜は厚さが0.01~15μmである。いくつかの変形形態では、膜は厚さが0.01~10μmである。いくつかの変形形態では、膜は厚さが0.01~5μmである。いくつかの変形形態では、膜は厚さが4~10μmである。いくつかの変形形態では、膜は厚さが5~10μmである。いくつかの変形形態では、膜は厚さが3~9μmである。基板表面の広がり及び膜厚の選択された領域は、薬物エアロゾルの有効なヒト治療投与量をもたらすようなものである。いくつかの変形形態では、薬物の厚さはサーマルマッピングによって決定される。
【0019】
凝縮段階の間、エアロゾルのMMADは時間とともに増加する。典型的には、本発明の変形形態では、MMADは、キャリアガスとの接触により蒸気が冷却して凝縮するにつれて0.01~3μmのサイズ範囲内で増加し、次いで、エアロゾル粒子が互いに衝突し、より大きな粒子に固まるにつれてさらに増加する。最も典型的には、MMADは、1秒未満で<0.5μmから>1μmになる。したがって、典型的には、粒子に凝縮した直後に、凝縮エアロゾルのMMADは、1秒間に少なくとも1回、しばしば1秒間に少なくとも2、4、8、又は20回、2倍になる。他の変形形態では、MMADは0.1~3μmのサイズ範囲内で増加する。いくつかの変形形態では、キャリアガスは空気である。いくつかの変形形態では、他のガス又はさまざまなガスの組み合わせを使用することができる。
【0020】
本発明の範囲を逸脱することなく、論じられた実施形態にさまざまな修正や追加を行うことができる。例えば、上記の実施形態は特定の特徴に言及しているが、本発明の範囲には、特徴の異なる組み合わせを有する実施形態及び上記特徴のすべてを含まない実施形態も含まれる。
【0021】
したがって、本開示の一態様は、導電性基板、基板の外側表面にコーティングされた目標温度に加熱されると気化できる薬物層、正確な電圧で正確な送達プロファイルで電流を制御し、誘導する電気回路、対象による吸入の開始を感知し、吸入によって引き起こされる信号を利用して基板の加熱を開始する手段、及びリチウムポリマー電池を備える電源を含むハンドヘルドエアロゾル薬物送達装置を教示する。
【0022】
本開示の一態様は、ハンドヘルド薬物供給ユニットを提供し、そこにおいて、リチウムポリマー電池は40~50アンペアを超える電流出力能力を有する。
【0023】
本開示の一態様は、ハンドヘルド薬物供給ユニットのサイズが、高さと幅6インチ未満であることを提供する。
【0024】
本開示の一態様は、直列に接続された3つの電池が、少なくとも10Vを生成するために装置内で使用されることを提供する。
【0025】
本開示の一態様は、電池が、サイズ及び形状の制限が与えられたハンドヘルド装置内に適合するようにカスタム設計されていることを提供する。
【0026】
薬物エアロゾルを形成するための装置は、組成物を加熱して蒸気を形成するように構成された要素、蒸気を凝縮させて凝縮エアロゾルを形成することを可能にする要素、及び使用者が凝縮エアロゾルを吸入すること可能にする要素を備える。組成物を加熱するように構成された要素は、熱伝導性の基板を備え、基板上に形成されるのは、典型的には、薬物がエアロゾル形態で投与されるときに有効量の薬物を含有する薬物組成物膜である。電源は、基板の電気抵抗加熱を駆動して、典型的には300℃を超える基板温度をもたらし、2秒以下の時間、より好ましくは500ミリ秒以下の時間で基板から薬物組成物膜を実質的に気化させるのに利用可能である。電源は、最大400~700Wの電力を送達できるリチウム電池の形態である。この装置は、呼吸作動、ロックアウト(lockout)要素、投与カウント(dose counting)/履歴記録又は改ざん防止方法などの機能をさらに備えうる。
【0027】
さらに別の態様では、本開示は、薬物組成物の薄膜を含む薬物エアロゾルを送達するためのキット及び前記膜を縮合エアロゾルとして提供するための装置を教示する。典型的には、膜厚は0.5~30μmである。膜は、薬学的に許容される賦形剤を含むことができ、典型的には、500ミリ秒以下で膜を実質的に気化させるような速度で加熱される。他の実施形態では、薬物膜は、1000ミリ秒以下で膜を実質的に気化させるような速度で加熱される。
【0028】
したがって、本開示の一態様は、電気抵抗回路を作り出す目的で、2つの異なる金属を取り付けるためにレーザー溶接を使用することを教示し、一方の金属は銅で他方の金属は気化させる薬物でコーティングされたステンレス鋼であり、蒸気は凝縮されて、肺深部への送達に適した粒子を有するエアロゾルが形成され、その粒子は、空気通路を通る空気流に乗って運ばれる。この空気流は対象による吸入の結果である。
【0029】
本開示の一態様は、銅にステンレス鋼箔基板をもたらすレーザー溶接を提供し、そこにおいて、いったん薬物送達装置が活性化されると、基板の加熱が均一になる。
【0030】
本開示の一態様は、凝縮エアロゾル装置用の電気抵抗回路を提供し、そこにおいて、レーザー溶接を使用して電気抵抗回路の2つの異なる金属を溶接する。
【0031】
本開示の一態様は、電気抵抗回路の2つの異なる金属が銅及びステンレス鋼であることを提供する。
【0032】
本開示の一態様は、1つ又は複数の空気入口、1つ又は複数の空気出口、電流を供給する1つ又は複数の電池、装置を、箔基板上にコーティングされた薬物組成物を含む使い捨てカートリッジに電気的に接続するための1つ又は複数のコネクター、及び使い捨てカートリッジへの電流の放出を制御するための1つ又は複数の電流送達装置を備える、薬物の熱気化によって薬物凝縮エアロゾルを生成するのに適したハンドヘルド医療装置を提供し、前記空気入口及び空気出口は空気通路を画定し、少なくとも1つの空気出口は、前記使い捨てカートリッジを取り付けるためのハウジングとして構成され、前記電流送達装置は、目標温度及び加熱速度への制御可能なランプアップを伴う正確な温度プロファイルを達成する速度で電気抵抗加熱に影響を及ぼすために、使い捨てカートリッジの箔基板に正確な電流プロファイルを駆動するように構成され、温度プロファイルはカートリッジの箔基板上にコーティングされた薬物組成物の治療有効量を3秒以下の時間内に気化させ、それに続いて、結果として生じた蒸気をカートリッジ内部で凝縮させて、薬物エアロゾル粒子を形成するのに適している。ランプアップ目標温度は、150~550℃、250~450℃、200~500℃、300~450℃、又は340~440℃である。ランプアップ時間は、50~200ms、50~80ms、又は50~115msである。箔基板は3~10℃/ms又は4~10℃/msで加熱される。加熱速度は、プラトー加熱、タンパード冷却(tampered cooling)及び連続的加熱(progressive heating)の1つ又は複数から選択される。この加熱速度は、ランプアップ温度が達成された時点で選択することができる。電池は、30A及び8~13Vの電圧又は100A及び9~12Vの電圧よりも高いピーク電流を供給することができる。一実施形態では、電池はリチウムポリマー電池である。装置は、使用者の吸入を検知するための手段を含むことができる。一実施形態では、吸入を検知するためにフロースイッチ、フローセンサー又は温度センサーが使用される。一実施形態では、フロースイッチ、フローセンサー又は温度センサーは、呼吸アクチュエータ(breath actuator)として使用される。一実施形態では、装置は装置筐体を備える。一実施形態では、装置筐体の内壁は帯電防止材料を含む。一実施形態では、装置のハウジングは帯電防止材料を含む。帯電防止材料は、空気通路のハウジング上にコーティングすることができる。装置は、使い捨てカートリッジの装置のハウジングへの正しい取り付けを検知又は確認するための手段を有することができる。正しい取り付けの確認は、電気的接触の確認、近接センサー、機械的スイッチ又は光学的スイッチを通して行うことができる。一実施形態では、装置は、配向を制御するための決定要素を有する。一実施形態は、配向を決定するための対称カートリッジを含む。
【0033】
一実施形態では、装置は、使い捨てカートリッジを一意に認識するための手段を含む。使い捨てカートリッジの認識としては次が挙げられる。RFID、バーコード若しくはQRコード、読み取り/書き込みチップ又はそれらの組み合わせ。装置は、必要な温度を達成するために、光学的測定を行うことを含む箔基板を横切った電気抵抗の測定を通して、温度を感知し、箔基板温度情報を電流送達装置に送り込んで、電流送達を修正することによって、使い捨てカートリッジの箔基板の温度を制御するための手段を備えることができる。使い捨てカートリッジの箔基板の温度の制御は、熱電対を用いた直接接触測定を含むことができる。
【0034】
使い捨てカートリッジは、識別情報(ID)を含むことができる。装置は、カートリッジが装置に挿入された後、カートリッジの状態(使用済み又は未使用)を判定するようにカートリッジIDを記憶することができる。他の機能としては、ロックアウトタイマー:投与頻度を制限するタイマー、投与リマインダー:患者に薬物を服用することを思い出させる装置、投与ログ:服薬与が行われるたびに日時を取り込むする、装置アクセスセキュリティー:生体認証又は他の方法で装置の操作へのアクセスを制限する、バッテリー充電インジケーター;ブルートゥース接続性:モバイル機器とペアリングされる装置が挙げられる。服薬時に信号送信。モバイル機器アプリケーションがセットアップされて、他の人(医師、家族、介護者など)に服薬が行われたことを知らせることができる。
【0035】
装置は、装置の空気出口とカートリッジの空気入口の間に空気圧シールインターフェースを備えることができる。
【0036】
一実施形態では、本開示は、チャンバー、チャンバーに接続された1つ又は複数の空気入口、チャンバーに接続された1つ又は複数の空気出口(少なくとも1つの空気出口はマウスピースとして適合される)、空気入口、チャンバー及び空気出口によって画定される空気通路、穴の有無にかかわらず不透過性の表面を有する箔基、チャンバーに箔基板を保持するための手段、厚さ0.01~50μmを有する膜の形態で箔基板の少なくとも一部にコーティングされた薬物組成物、使い捨てカートリッジをハンドヘルド医療装置に電気的に接続するための1つ又は複数のコネクター、気化した薬物をチャンバー内で凝縮して、空気通路を通る空気流に乗って運ばれ、マウスピースを通って流れる凝縮エアロゾル粒子を生成する手段を含む使い捨てカートリッジを教示し、そこにおいて、少なくとも1つの空気入口は、ハンドヘルド医療装置に取り付けられるように適合され、箔基板は導電性箔基板であり、治療有効量の薬物組成物を気化させ、続いて、結果として生じた蒸気をカートリッジ内部で凝縮させ、薬物エアロゾル粒子を形成するために、目標温度及び加熱速度への制御可能なランプアップを伴う正確な温度プロファイルを達成するようにハンドヘルド医療装置から電気を受け取るための手段を有する。箔基板は、空気通路に対して実質的に平行に配置されうる。箔基板は、金属箔基板であってもよい。箔基板は、ステンレス鋼箔基板であってもよい。
【0037】
薬物を含む組成物は、厚さが0.01~20ミクロンである。一実施形態では、箔基板及びコネクターは、接続回路を介して電気的に接続されて、電気抵抗回路を画定し、そこにおいて、接続回路及び箔基板は、同一又は異なる金属からできている。一実施形態では、箔基板及び接続回路は異なる金属からできており、一方の金属は銅であり、他方の金属はステンレス鋼である。一実施形態では、一方の金属はニッケルであり、他方はステンレス鋼である。金属の他の組み合わせとしては、金とステンレス鋼、黄銅とステンレス鋼、及びアルミニウムとステンレス鋼が挙げられる。
【0038】
一実施形態では、箔基板及び接続回路はレーザー溶接され、圧着又はクランプによって接合される。一実施形態では、接続回路はプリント回路基板又はフレックス回路である。一実施形態では、箔基板及び接続回路は箔基板の均一加熱をもたらす。一実施形態では、箔基板の少なくとも一部にコーティングされた薬物組成物は、コーティングの異なる領域で異なる膜厚を示す。箔基板の少なくとも一部にコーティングされた薬物組成物は、台形又は三日月形を含む異なる形状で塗布することができ、塗布された形状の幾何中心が箔基板の下流端よりも上流端に近いこと、又は塗布された形状の幾何中心が箔基板の上流端よりも下流端に近いことを含む、箔基板の異なる領域に塗布することができる。
【0039】
一実施形態では、本開示は、ハンドヘルド装置を用いた薬物の送達のための方法を教示する。一実施形態では、本開示は、ハンドヘルド装置を用いて患者を治療する方法を教示する。一実施形態では、本開示は、使用のための取扱説明書を含むハンドヘルド送達装置を含むキットを教示する。
【0040】
一実施形態では、本開示は、特定の病態に対応する薬物を教示する。例えば、薬がロキサピンの場合、疾患、病態又はエピソードは不穏であり、統合失調症又は双極性障害の成人の軽度から中等度の不穏の迅速なコントロール、又は成人の統合失調症又は双極I型障害に関連する不穏の急性治療を含む。アルプラゾラム又はエスタゾラムなどのベンゾジアゼピンで治療すること、そこにおいて、疾患、病態又はエピソードは、てんかん性痙攣発作を含む痙攣発作の治療である。薬物がフェンタニルである場合、疾患、病態又はエピソードは突出痛であり、薬物がザレプロン又はアルモレキサントである場合、疾患、病態又はエピソードは、夜中の覚醒、又は夜中の不眠を含む睡眠障害であり、薬物がアポモルヒネ、ペルゴリド、プラミペキソール又はロピニロールである場合、疾患、病態又はエピソードは、パーキンソン病(パーキンソン病のオフ症状を含む)及びレストレスレッグ症候群であり、薬物がグラニセトロン、オンダンセトロン又はパロノセトロンである場合、疾患、病態又はエピソードは、嘔気、嘔吐若しくは周期性嘔吐症候群であり、又は薬物がニコチン又はニコチンメタサリチル酸塩である場合、疾患、病態又はエピソードは、ニコチン渇望の治療及び/又は禁煙の実行(effecting cessation of smoking)である。
【0041】
一実施形態では、薬物は遊離塩基である。一実施形態では、薬物は塩である。
【0042】
特定の実施形態の性質及び利点のさらなる理解は、類似の構成要素を参照するために同じ参照数字が使用されている本明細書及び図面の残りの部分を参照することによって実現されうる。場合によっては、サブラベル(sub-label)は、複数の類似した構成要素のうちの1つを表すために参照数字と関連付けられている。既存のサブラベルを指定せずに参照数字を参照する場合、そのような複数の類似構成要素のすべてを参照することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】
図1は、初期ランプアップ加熱温度対時間のチャートを示す。
【0044】
【
図2】
図2は、プラトー加熱温度対時間のチャートを示す。
【0045】
【
図3】
図3は、タンパード冷却温度対時間のチャートを示す。
【0046】
【
図4】
図4は、連続的加熱温度対時間のチャートを示す。
【0047】
【
図5】
図5は、薬物送達用の装置コンセプトを示す。
【0048】
【
図6】
図6は、コンセプトAの層1-補強材(stiffener)を示す。
【0049】
【
図7】
図7は、コンセプトA層2-補強材に取り付けられたフレックス回路及びフレックス回路にレーザー溶接された箔基板を示す。
【0050】
【
図8】
図8は、コンセプトB層1-プリント回路基板及びフレックス回路にレーザー溶接された箔基板を示す。
【0051】
【
図9】
図9は、熱伝導障壁としての箔基板の線状スリットを示す。
【0052】
【
図10】
図10は、熱伝導障壁としての箔基板の山形(chevron)スリットを示す。
【0053】
【
図11】
図11は、熱伝導障壁としての箔基板の蛇行状(Serpentine)スリットを示す。
【0054】
【
図12】
図12は、熱伝導障壁としての箔基板の穴のパターンを示す。
【0055】
【
図13】
図13は、箔基板上の下流に偏った薬物コーティングを示す。
【0056】
【
図14】
図14は、箔基板上の上流に偏った薬物コーティングを示す。
【0057】
【
図15a】
図15aは、箔基板上の選択的な熱ゾーンに適合する薬物コーティング領域を示す。
【0058】
【0059】
【
図16】
図16は、入口空気を分散させるための穴のあいた隔壁を示す。
【0060】
【
図17】
図17は、乱流を導入し、空気流を分散させる障害の例を示す。
【0061】
【
図18】
図18は、広範囲の気化温度に耐えることができる薬物の例を示す。
【0062】
【
図19】
図19は、気化温度に対して感受性がある薬物の例を示す。
【0063】
【
図20】
図20は、空気流を伴わない電気抵抗加熱中の箔基板の熱画像を示す。
【0064】
【
図21】
図21は、空気流を伴う電気抵抗加熱中の箔基板の熱画像を示す。
【0065】
【
図22】
図22は、ポータブルハンドヘルド凝縮エアロゾル薬物送達装置での使用に適した市販のリチウムポリマー電池を示す。
【0066】
【
図23】
図23は、ポータブルで、ハンドヘルド型で、電池式で、電気的に加熱される、凝縮エアロゾル薬物送達装置コンセプトのコンセプトレイアウトを示す。
【0067】
【
図24】
図24a~24cは、ハンドヘルド装置コンセプトのさまざまな図を示す。
【0068】
【
図25】
図25は、フレックス回路の銅トレースにはんだ付けされたステンレス鋼箔基板を示す。
【0069】
【
図26】
図26は、フレックス回路の銅トレースにレーザー溶接されたステンレス鋼箔基板を示す。
【0070】
【
図27】
図27は、赤外線イメージング用のフッ化カルシウム窓を組み込むように改造された凝縮エアロゾル装置を示す。
【0071】
【
図28】
図28は、改造された凝縮エアロゾル装置から熱画像を捉えるサーマルカメラのセットアップを示す。
【0072】
【
図29】
図29は、銅とステンレス鋼箔基板の間のはんだ付け品質が低いと、局所的な高温ゾーンと低温ゾーンが生じることを示す熱画像を示す。
【0073】
【
図30】
図30は、ステンレス鋼箔基板を銅にレーザー溶接すると、基板が均一に加熱されることを示す熱画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0074】
ある特定の実施形態のさまざまな態様及び特徴が上記にまとめられているが、以下の詳細な説明は、当業者がそのような実施形態を実施できるようにするために、少数の実施形態をさらに詳細に例示するものである。記載の例は、例示目的で提供され、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0075】
以下の記載では、説明の目的のために、記載の実施形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載されている。しかし、本発明の他の実施形態がこれらの特定の詳細のいくつかがなくても実施されうることは、当業者には明らかであろう。いくつかの実施形態が本明細書に記載及びクレームされており、さまざまな特徴が異なる実施形態に帰するが、1つの実施形態に関して記載された特徴は、他の実施形態にも組み込まれうることが理解されるべきである。しかし、さらに同様に、本発明の他の実施形態は、記載又はクレームされた実施形態の単一の特徴又は複数の特徴を省略してもよいので、そのような特徴が本発明のすべての実施形態に必須であると考えるべきではない。
【0076】
別段の記載がない限り、使用されている量、寸法などを表現するために使用されているすべての数値は、すべての場合において、「約」という用語によって修正されているものとして理解されるべきである。本出願では、特に記述がない限り、単数形の使用は複数形を含み、「及び」及び「又は」という用語の使用は、別段の指示がない限り、「及び/又は」を意味する。また、「含む(including)」という用語及び「含む(includes)」や「含まれる(included)」などの他の形態の使用は、非独占的なものであると考えられるべきである。また、「要素」や「構成要素」などの用語は、特に記述がない限り、1つの構成単位から成る要素や構成要素と、1つより多い構成単位から成る要素や構成要素の両方を包含する。
【0077】
実施形態1.薬物の熱気化によって薬物凝縮エアロゾルを生成するのに適したハンドヘルド医療装置(100)であって、
a)1つ又は複数の空気入口(107)、
b)1つ又は複数の空気出口(103)、
c)電流を供給するための1つ又は複数の電池(105)、
d)装置(100)を、箔基板(209)上にコーティングされた薬物組成物(210)を含む使い捨てカートリッジ(200)に電気的に接続するための1つ又は複数のコネクター、及び
e)使い捨てカートリッジ(200)への電流の放出を制御するための1つ又は複数の電流送達装置(106)
を備え、
-前記空気入口(107)及び空気出口(103)が空気通路を画定し、
-少なくとも1つの空気出口(103)が、前記使い捨てカートリッジ(200)を取り付けるためのハウジングとして構成され、
-前記電流送達装置(106)が、目標温度及び加熱速度への制御可能なランプアップを伴う正確な温度プロファイルを達成する速度で電気抵抗加熱に影響を及ぼすために、使い捨てカートリッジ(200)の箔基板(209)に正確な電流プロファイルを駆動するように構成され、
-温度プロファイルが、カートリッジ(200)の箔基板(209)上にコーティングされた薬物組成物(210)の治療有効量を3秒以下の時間内に気化させ、それに続いて、結果として生じた蒸気をカートリッジ内部で凝縮させて、薬物エアロゾル粒子を形成するのに適している
医療装置。
【0078】
実施形態2.前記ランプアップ目標温度が150~550℃又は250~450℃である実施形態1に記載の装置。
【0079】
実施形態3.前記ランプアップ目標温度が200~500℃である実施形態2に記載の装置。
【0080】
実施形態4.前記ランプアップ目標温度が300~450℃又は250~450℃である実施形態3に記載の装置。
【0081】
実施形態5.ランプアップ時間が50~200msである実施形態1~4のいずれかに記載の装置。
【0082】
実施形態6.ランプアップ時間が50~115ms又は50~80msである実施形態1~5のいずれか(any of the previous embodiment)に記載の装置。
【0083】
実施形態7.箔基板(209)が、ランプアップ時間内に3~10℃/msで、又はランプアップ時間内に4~10℃/ms加熱される実施形態1~6のいずれかに記載の装置。
【0084】
実施形態8.前記加熱速度が、プラトー加熱、タンパード冷却及び連続的加熱の1つ又は複数から選択される実施形態1~7のいずれかに記載の装置。
【0085】
実施形態9.電池(105)が、30Aを超えるピーク電流及び8~13Vの電圧を供給できる実施形態1~8のいずれかに記載の装置。
【0086】
実施形態10.電池(105)が、100Aより高いピーク電流及び9~12Vの電圧を供給できる実施形態9に記載の装置。
【0087】
実施形態11.電池(105)がリチウムポリマー電池である実施形態1~10のいずれかに記載の装置。
【0088】
実施形態12.使用者の吸入を検知するための手段をさらに備える1~11実施形態のいずれかに記載の装置。
【0089】
実施形態13.使用者の吸入を検知するための前記手段がフローセンサーを備える実施形態12に記載の装置。
【0090】
実施形態14.使用者の吸入を検知するための前記手段がフロースイッチを備える実施形態12に記載の装置。
【0091】
実施形態15.使用者の吸入を検知するための前記手段が温度センサーを備える実施形態12に記載の装置。
【0092】
実施形態16.装置筐体(108)をさらに備える実施形態1~15のいずれかに記載の装置。
【0093】
実施形態17.装置筐体(108)の内壁が帯電防止材料を含む実施形態16に記載の装置。
【0094】
実施形態18.使い捨てカートリッジ(200)の装置(103)のハウジングへの正しい取り付け(103A)を確認するための手段をさらに備える実施形態1~17のいずれかに記載の装置。
【0095】
実施形態19.使い捨てカートリッジ(200)の装置(103)のハウジングへの正しい取り付け(103A)を確認するための手段が、電気接触の確認を含む実施形態18に記載の装置。
【0096】
実施形態20.使い捨てカートリッジ(200)の装置(103)のハウジングへの正しい取り付け(103A)を確認するための手段が、近接センサーを含む実施形態18に記載の装置。
【0097】
実施形態21.使い捨てカートリッジ(200)の装置(103)のハウジングへの正しい取り付け(103A)を確認するための手段が、機械的又は光学的スイッチを含む実施形態18に記載の装置。
【0098】
実施形態22.使い捨てカートリッジ(200)を一意に認識するための手段をさらに備える実施形態1~21のいずれかに記載の装置。
【0099】
実施形態23.使い捨てカートリッジ(200)を一意に認識するための手段が、RFIDタグ、バーコード、QRコード、読み取り/書き込みチップ又はそれらの組み合わせから選択される実施形態22に記載の装置。
【0100】
実施形態24.必要な温度を達成するために、箔基板(209)の温度を感知し、箔基板温度情報を電流送達装置(106)に送り込んで、電流送達を修正することによって、使い捨てカートリッジ(200)の箔基板(209)の温度を制御するための手段をさらに備える実施形態1~23のいずれかに記載の装置。
【0101】
実施形態25.使い捨てカートリッジ(200)の箔基板(209)の温度を制御するための手段が、箔基板を横切る電気抵抗の測定を含む実施形態24に記載の装置。
【0102】
実施形態26.使い捨てカートリッジ(200)の箔基板(209)の温度を制御するための手段が、光学的測定を含む実施形態24に記載の装置。
【0103】
実施形態27.使い捨てカートリッジ(200)の箔基板(209)の温度を制御するための手段が、熱電対を用いた直接接触測定を含む実施形態24に記載の装置。
【0104】
実施形態28.装置(100)の空気出口(103)とカートリッジ(200)の空気入口(220)の間に、空気圧シールインターフェースをさらに備える実施形態1~27のいずれかに記載の装置。
【0105】
実施形態29.使い捨てカートリッジ(200)であって、
a)チャンバー、
b)チャンバーに接続された1つ又は複数の空気入口(220)、
c)チャンバーに接続された1つ又は複数の空気出口(202)、
d)空気入口(220)、チャンバー及び空気出口(202)によって画定される空気通路(203)、
e)穴の有無にかかわらず不透過性の表面を有する箔基板(209)、
f)チャンバーに箔基板(204)を保持するための手段、
g)厚さ0.01~50μmを有する膜の形態で箔基板(209)の少なくとも一部にコーティングされた薬物組成物(210)、
h)使い捨てカートリッジ(200)をハンドヘルド医療装置(100)に電気的に接続するための1つ又は複数のコネクター(208)、及び
i)気化した薬物をチャンバー内で凝縮して、空気通路(203)を通る空気流に乗って運ばれ、マウスピース(202)を通って流れる凝縮エアロゾル粒子を生成する手段
を備え、
-少なくとも1つの空気入口(220)がハンドヘルド医療装置(100)に取り付けられるように構成され、
-少なくとも1つの空気出口(202)がマウスピースとして構成され、
-箔基板(209)が導電性箔基板であり、治療有効量の薬物組成物を気化させ、続いて、結果として生じた蒸気をカートリッジ内部で凝縮させ、薬物エアロゾル粒子を形成するために、目標温度及び加熱速度への制御可能なランプアップを伴う正確な温度プロファイルを達成するようにハンドヘルド医療装置(100)から電気を受け取るための手段を有する
使い捨てカートリッジ。
【0106】
実施形態30.箔基板が空気通路(203)に対して実質的に平行に配置される実施形態29に記載のカートリッジ。
【0107】
実施形態31.箔基板(209)が金属箔基板である実施形態29~30のいずれかに記載のカートリッジ。
【0108】
実施形態32.箔基板(209)がステンレス鋼箔基板である実施形態29~31のいずれかに記載のカートリッジ。
【0109】
実施形態33.薬物組成物(210)が0.01~20μmの厚さを有する実施形態29~32のいずれかに記載のカートリッジ。
【0110】
実施形態34.箔基板(209)及びコネクター(208)が、接続回路を通して電気的に接続されて電気抵抗回路を画定し、接続回路及び箔基板が同一又は異なる金属から作られている実施形態29~33のいずれかに記載のカートリッジ。
【0111】
実施形態35.箔基板(209)及び接続回路が異なる金属から作られており、一方の金属が銅であり、他方の金属がステンレス鋼である実施形態34に記載のカートリッジ。別の実施形態では、1つの金属はニッケルであり、1つはステンレス鋼である。金属の他の組み合わせとしては、金とステンレス鋼、黄銅とステンレス鋼、及びアルミニウムとステンレス鋼が挙げられる。
【0112】
実施形態36.箔基板(209)及び接続回路がレーザー溶接される実施形態35に記載のカートリッジ。
【0113】
実施形態37.箔基板(209)及び接続回路が、圧着によって接合される実施形態35に記載のカートリッジ。
【0114】
実施形態38.箔基板(209)及び接続回路が、クランプによって互いに結合される実施形態35に記載のカートリッジ。
【0115】
実施形態39.接続回路が回路基板(211)又はフレックス回路(204)である実施形態34~38のいずれかに記載のカートリッジ。
【0116】
実施形態40.箔基板(209)及び接続回路が箔基板(209)の均一加熱をもたらす実施形態34~39のいずれかに記載のカートリッジ。
【0117】
実施形態41.箔基板(209)の少なくとも一部にコーティングされた薬物組成物(210)が、コーティングの異なる領域において異なる膜厚を示す実施形態29~40のいずれかに記載のカートリッジ。
【0118】
実施形態42.箔基板(209)の少なくとも一部にコーティングされた薬物組成物(210)が所定の形状で塗布される実施形態29~41のいずれかに記載のカートリッジ。
【0119】
実施形態43.塗布される形状が台形である実施形態42に記載のカートリッジ。
【0120】
実施形態44.塗布される形状が三日月形である実施形態42に記載のカートリッジ。
【0121】
実施形態45.形状の幾何中心が、箔基板(209)の下流端よりも上流端に近い実施形態42~44のいずれかに記載のカートリッジ。
【0122】
実施形態46.形状の幾何中心が、箔基板(209)の上流端よりも下流端に近い実施形態42~44のいずれかに記載のカートリッジ。
【0123】
実施形態47.薬物が、アセトアミノフェン、アマンタジン、アテノロール、ブロマゼパム、ブロムフェニラミンマレイン酸塩、カフェイン、セレコキシブ、クロファジミン、クロニジン、コデイン、シプロヘプタジン、ダプソン、ジクロフェナクエチルエステル、ジフルニサル、フェンフルラミン、フルマゼニル、フルルビプロフェン、ガランタミン、ヒドロモルフォン、インドメタシンノルコリンエステル、ケトロラクメチルエステル、ケトロラクノルコリンエステル、メラトニン、メマンチン、メタドン、モルヒネ、ナブメトン、ナプロキセン、オルフェナドリン、フェニトイン、ピンドロール、プロカインアミド、プロパフェノン、キニジン、キニーネ、スピロノラクトン、サリドマイド、テオフィリン、トラマドール塩酸塩、トラゾドン、トリアムテレン、ケトチフェン、ブロムフェニラミン、ブトルファノール、ジアゼパム、エスタゾラム、ケタミン、メペリジン、オキシコドン、クロルフェニラミン、ドキシラミン、エタクリン酸、フルニトラゼパム、ハロペリドール、リドカイン、ロキサピンコハク酸塩、オランザピン、タクリン、トリフルオペラジン、アモキサピン、クロルゾキサゾン、イブプロフェン、ロキサピン、マプロチリン、ペルゴリド、ピリベジル、プロトリプチリンHCl、トカイニド、ゾニサミド、アザタジン、クロルフェニラミンマレイン酸塩、シプロヘプタジンHCl、フレカイニド、イソカルボキサジド、ケトプロフェンエチルエステル、ロラタジン、メトキサレン、プロプラノロール、テストステロン、ベンズトロピン、クロザピン、ミダゾラム、パロキセチン、セルトラリン、バルプロ酸、ザレプロン、クロミプラミン、ロペラミド、メキシレチンHCl、ベンラファキシン、アミトリプチリン、ベタヒスチン、ナラトリプタン、プラミペキソール、シルデナフィル、テルブタリン、ビタミンE、フルラゼパム、メトプロロール、ナロキソン、リザトリプタン、セレギリン、タダラフィル、トリアゾラム、トリミプラミン、ブプロピオンHCl、ドキセピン、イミプラミン、ラモトリギン、メタプロテレノール、メトクロプラミド、モルヒネ、ノルトリプチリン、ペルフェナジン、クエチアピン、シクレソニド、アルプラゾラム、カルビノキサミンマレイン酸塩、シクロベンザプリン、ジソピラミド、エフェドリン、グラニセトロン、インドメタシン、インドメタシンエチルエステル、インドメタシンメチルエステル、ケトプロフェンメチルエステル、ケトロラクエチルエステル、ミルタザピン、ナルブフィン、ニコチン、ロピニロール、ロピニロールフマル酸塩、アセブトロール、ヒドロキシクロロキン、メペリジン、エストラジオール、フェノプロフェン、プロクロルペラジン、トレミフェン、ヒドロキシジン、アトロピン、ブプレノルフィン、ブメタニド、フェンタニル、イブチリド、ピリラミン、ゾルミトリプタン、ゾテピン、クロルジアゼポキシド、シタロプラム、ケトプロフェン、ペルゴリド、ロピニロールHCl、ロチゴチン、エファビレンツ、ゾピクロン、スマトリプタン、ベルガプテン、ブスピロンHCl、エレトリプタン、ノルトリプチリン、コルヒチン、フルニソリド、ネファゾドン、ロフェコキシブ、トラニルシプロミンHCl、フルオキセチン、プロメタジン、トリミプラミンマレイン酸塩、メクリジン、ジルチアゼム、テマゼパム、トルテロジン、バルデコキシブ、アポモルヒネジアセテート、ドネペジル、ソタロール、トラマドール、シンナリジン、イソトレチノイン、ゾルピデム、ブスピロン、クロルプロマジン、アルブテロール、ベラパミル、ナルトレキソン、テルミサルタン、ヒヨスチアミン、トラニルシプロミン、エスモロール、ピオグリタゾン、トレプロスチニル、ジピリダモール、アポモルヒネHCl、リネゾリド、カルビノキサミン、ブトルファノール酒石酸塩、クレマスチン、フルコナゾール、トルフェナム酸、ロバスタチン、アポモルヒネHClジアセテート、プロマジン、シブトラミン、アステミゾール、ジフェンヒドラミン、ピリラミンマレイン酸塩、ジフェンヒドラミンHCl、フルフェナジン、シタロプラム、トリアムシノロンアセトニド、プロピオン酸フルチカゾン、ブプレノルフィンHCl、タモキシフェン、アリピプラゾール、フロバトリプタン、ネファゾドン、プロトリプチリン、オキシブチニン、メクリジン、ベナゼプリル、エタンブトール、スコポラミン、ニコチン塩、トレプロスチニル塩、オンダンセトロン、パロノセトロンHCl、チザニジン、アルモレキサント又はそれらの混合物から選択される実施形態29~46のいずれかに記載のカートリッジ。一実施形態では、薬物は遊離塩基である。一実施形態では、薬物は塩である。
【0124】
実施形態48.薬物が、ロキサピン、アルプラゾラム、エスタゾラム、フェンタニル、チザニジン、ザレプロン、アルモレキサント、アポモルヒネ、ペルゴリド、プラミペキソール、ロピニロール、ニコチン、グラニセトロン、オンダンセトロン、パロノセトロン、それらの任意の薬学的に許容される塩又は混合物から選択される実施形態29~47のいずれかに記載のカートリッジ。
【0125】
実施形態49.薬物がニコチン又はニコチンメタサリチル酸塩である実施形態29~48のいずれかに記載のカートリッジ。
【0126】
実施形態50.薬物がアポモルヒネ又はアポモルヒネ塩酸塩である実施形態29~48のいずれかに記載のカートリッジ。
【0127】
実施形態51.薬物がパロノセトロン又はパロノセトロン塩酸塩である実施形態29~48のいずれかに記載のカートリッジ。
【0128】
実施形態52.チャンバーが、その内壁の少なくとも一部に帯電防止材料を含む実施形態29~51のいずれかに記載のカートリッジ。
【0129】
実施形態53.生成された薬物エアロゾル粒子の少なくとも50重量%が、5μm未満のMMADとして定義される粒子径を有する実施形態29~52のいずれかに記載のカートリッジ。
【0130】
実施形態54.生成された薬物エアロゾル粒子の少なくとも90重量%が、5μm未満のMMADとして定義される粒子径を有する実施形態29~53のいずれかに記載のカートリッジ。
【0131】
実施形態55.前記薬物エアロゾル粒子が10%未満の薬物分解生成物を含む実施形態29~54のいずれかに記載のカートリッジ。
【0132】
実施形態56.箔基板(209)上にコーティングされた前記薬物組成物(210)が90%超の薬物を含む実施形態29~55のいずれかに記載のカートリッジ。
【0133】
実施形態57.ハンドヘルド医療装置(100)のハウジング(103)へのその正しい取り付けを確認するための手段をさらに備える実施形態29~56のいずれかに記載のカートリッジ。
【0134】
実施形態58.その正しい取り付けを確認するための前記手段が、電気接触の確認を含む実施形態57に記載のカートリッジ。
【0135】
実施形態59.その正しい取り付けを確認するための前記手段が、近接センサーを含む実施形態57に記載のカートリッジ。
【0136】
実施形態60.その正しい取り付けを確認するための前記手段が、機械的又は光学的スイッチを含む実施形態57に記載のカートリッジ。
【0137】
実施形態61.ハンドヘルド医療装置(100)によって一意に認識されるための手段を備える実施形態29~60のいずれかに記載のカートリッジ。
【0138】
実施形態62.一意に認識されるための前記手段が、RFIDタグ、バーコード、QRコード、読み取り/書き込みチップ及びそれらの組み合わせからなるリストから選択される実施形態61に記載のカートリッジ。
【0139】
実施形態63.使用者の吸入を検知するための手段を備える実施形態29~62のいずれかに記載のカートリッジ。
【0140】
実施形態64.吸入を検知するための前記手段がフローセンサーを含む実施形態63に記載のカートリッジ。
【0141】
実施形態65.吸入を検知するための前記手段がフロースイッチを含む実施形態63に記載のカートリッジ。
【0142】
実施形態66.吸入を検知するための前記手段が温度センサーを含む実施形態63に記載のカートリッジ。
【0143】
実施形態67.空気入口(220)からの空気流を分散させるための手段をさらに備える実施形態30~66のいずれかに記載のカートリッジ。
【0144】
実施形態68.空気流を分散させるための前記手段が、穴のあいた隔壁(206)である実施形態67に記載のカートリッジ。
【0145】
実施形態69.装置(205)の空気出口とカートリッジ(220)の空気入口の間に空気圧シールインターフェースを備える実施形態30~68のいずれかに記載のカートリッジ。
【0146】
実施形態70.ハンドヘルド医療装置(100)が、実施形態1~28のいずれかに記載の装置である実施形態29~69のいずれかに記載のカートリッジ(200)。
【0147】
実施形態71.カートリッジ(200)が実施形態29~70のいずれかに記載のカートリッジである実施形態1~28のいずれかに記載の装置(100)。
【0148】
実施形態72.(a)実施形態29~70のいずれかで画定された使い捨てカートリッジ(200)を用意すること、
(b)実施形態1~28又は71のいずれかで定義されるように、前記使い捨てカートリッジ(200)をハンドヘルド医療装置(100)に取り付けること、及び
(c)肺送達のために吸入を通して薬物を対象に投与すること
を含む、対象における病態又はエピソードを治療する方法。
【0149】
実施形態73.a)薬物がロキサピンである場合、病態若しくはエピソードが、
a.統合失調症若しくは双極性障害の成人の軽度から中等度の不穏の迅速なコントロール、若しくは
b.成人の統合失調症若しくは双極I型障害に関連する急性の不穏
を含む不穏であり、
b)薬物がアルプラゾラム若しくはエスタゾラムである場合、病態若しくはエピソードが、痙攣発作を含むてんかんであり、
c)薬物がフェンタニルである場合、病態若しくはエピソードが突出痛であり、
d)薬物がザレプロン若しくはアルモレキサントである場合、病態若しくはエピソードが、
a.夜中の覚醒、若しくは
b.夜中の不眠
を含む睡眠障害であり、
e)薬物がアポモルヒネ、ペルゴリド、プラミペキソール若しくはロピニロールである場合、病態若しくはエピソードが、パーキンソン病(パーキンソン病のオフ症状を含む)であり、
f)薬物がグラニセトロン、オンダンセトロン若しくはパロノセトロンである場合、病態若しくはエピソードが、
a.嘔気、
b.嘔吐若しくは
c.周期性嘔吐症候群であり、又は
g)薬物がニコチン又はニコチンメタサリチル酸塩である場合、病態若しくはエピソードが、ニコチン渇望及び/若しくは禁煙の実行である
実施形態72に記載の治療方法。
【0150】
実施形態74.治療に使用するための実施形態1~28又は71のいずれかに記載の装置(100)。
【0151】
実施形態75.a)薬物がロキサピンである場合、治療が、
a.統合失調症若しくは双極性障害の成人の軽度から中等度の不穏の迅速なコントロール、若しくは
b.成人の統合失調症若しくは双極I型障害に関連する急性の不穏
を含む不穏であり、
b)薬物がアルプラゾラム若しくはエスタゾラムである場合、治療が、痙攣発作を含むてんかんの治療であり、
c)薬物がフェンタニルである場合、治療が突出痛の治療であり、
d)薬物がザレプロン若しくはアルモレキサントである場合、治療が、
a.夜中の覚醒、若しくは
b.夜中の不眠
を含む睡眠障害の治療であり、
e)薬物がアポモルヒネ、ペルゴリド、プラミペキソール若しくはロピニロールである場合、治療がパーキンソン病(パーキンソン病のオフ症状を含む)の治療であり、
f)薬物がグラニセトロン、オンダンセトロン若しくはパロノセトロンである場合、治療が、
a.嘔気、
b.嘔吐若しくは
c.周期性嘔吐症候群
の治療であり、又は
g)薬物がニコチン又はニコチンメタサリチル酸塩である場合、治療が、ニコチン渇望及び/若しくは禁煙の実行の治療である
実施形態74に記載の使用のための装置。
【0152】
実施形態76.治療に使用するための実施形態29~70のいずれかに記載のカートリッジ(200)。
【0153】
実施形態77.a)薬物がロキサピンである場合、治療が、
a.統合失調症若しくは双極性障害の成人の軽度から中等度の不穏の迅速なコントロール、若しくは
b.成人の統合失調症若しくは双極I型障害に関連する急性の不穏
を含む不穏であり、
b)薬物がアルプラゾラム若しくはエスタゾラムである場合、治療が、痙攣発作を含むてんかんの治療であり、
c)薬物がフェンタニルである場合、治療が突出痛の治療であり、
d)薬物がザレプロン若しくはアルモレキサントである場合、治療が、
a.夜中の覚醒、若しくは
b.夜中の不眠
を含む睡眠障害の治療であり、
e)薬物がアポモルヒネ、ペルゴリド、プラミペキソール若しくはロピニロールである場合、治療がパーキンソン病(パーキンソン病のオフ症状を含む)の治療であり、
f)薬物がグラニセトロン、オンダンセトロン若しくはパロノセトロンである場合、治療が、
a.嘔気、
b.嘔吐若しくは
c.周期性嘔吐症候群の治療であり、又は
g)薬物がニコチン又はニコチンメタサリチル酸塩である場合、治療が、ニコチン渇望及び/若しくは禁煙の実行の治療である
実施形態76に記載の使用のためのカートリッジ。
【0154】
実施形態78.治療に使用するための実施形態1~28又は71に記載の装置(100)に取り付けられる実施形態29~70のいずれかに記載のカートリッジ(200)。
【0155】
実施形態79.a)薬物がロキサピンである場合、治療が、
a.統合失調症若しくは双極性障害の成人の軽度から中等度の不穏の迅速なコントロール、若しくは
b.成人の統合失調症若しくは双極I型障害に関連する急性の不穏
を含む不穏であり、
b)薬物がアルプラゾラム若しくはエスタゾラムである場合、治療が、痙攣発作を含むてんかんの治療であり、
c)薬物がフェンタニルである場合、治療が突出痛の治療であり、
d)薬物がザレプロン若しくはアルモレキサントである場合、治療が、
a.夜中の覚醒、若しくは
b.夜中の不眠
を含む睡眠障害の治療であり、
e)薬物がアポモルヒネ、ペルゴリド、プラミペキソール若しくはロピニロールである場合、治療がパーキンソン病(パーキンソン病のオフ症状を含む)の治療であり、
f)薬物がグラニセトロン、オンダンセトロン若しくはパロノセトロンである場合、治療が、
a.嘔気、
b.嘔吐若しくは
c.周期性嘔吐症候群の治療であり、又は
g)薬物がニコチン又はニコチンメタサリチル酸塩である場合、治療が、ニコチン渇望及び/若しくは禁煙の実行の治療である
実施形態78に記載の使用のための装置に取り付けられるカートリッジ。
【0156】
実施形態80.a)実施形態1~28又は71のいずれかで画定された1つのハンドヘルド医療装置(100)、
b)実施形態29~70のいずれかで画定された1つ又は複数の使い捨てカートリッジ(200)、及び
c)前記使い捨てカートリッジ(200)を前記ハンドヘルド医療装置(100)に取り付け、それらを使用するための取扱説明書
を含むキット。
【0157】
実施形態81.取扱説明書が、実施形態72~79のいずれかに記載の使用のいずれかを含む実施形態80に記載のキット。
【0158】
実施形態82.a)実施形態29~70のいずれかで画定された1つ又は複数の使い捨てカートリッジ(200)及び
b)前記使い捨てカートリッジ(200)を、実施形態1~28又は71のいずれかで画定されたハンドヘルド医療装置(100)に取り付け、それらを使用するための取扱説明書
を含むキット。
【0159】
実施形態83.取扱説明書が、実施形態72~79のいずれかに記載の使用のいずれかを含む実施形態82に記載のキット。
【0160】
実施形態84.a)実施形態1~28又は71のいずれかで画定された1つのハンドヘルド医療装置(100)及び
b)実施形態29~70のいずれかで画定された使い捨てカートリッジ(200)を前記ハンドヘルド医療装置に取り付け、それらを使用するための取扱説明書
を含むキット。
【0161】
実施形態85.取扱説明書が、実施形態72~79のいずれかに記載の使用のいずれかを含む実施形態84に記載のキット。
【0162】
図1は、最初のランプアップ加熱の時間に対する温度のチャートを示す。箔基板は、目標温度まで急速に加熱され、放冷される。
【0163】
図2は、プラトー加熱の時間に対する温度のチャートを示す。箔基板は、最初のランプアップ加熱によって目標温度まで急速に加熱され、次いで、その温度を目標温度の約±1℃に1秒間維持される。
【0164】
図3は、タンパード冷却の時間に対する温度のチャートを示す。箔基板は、最初のランプアップ加熱によって目標温度まで急速に加熱され、次いで、温度は、この特定の例では1秒間に約40℃で下がる。
【0165】
図4は、連続的加熱の時間に対する温度のチャートを示す。箔基板は、最初のランプアップ加熱で目標温度まで急速に加熱されたされ、次いで、温度は、この特定の例では1秒間に約100℃でさらに上がる。
【0166】
図5は、エアロゾル薬物送達用の装置コンセプトを示す。
【0167】
1)使い捨てカートリッジ(200)が挿入されると、ハンドヘルド医療装置(100)の電源が入る。
【0168】
i)左側のLED(101)は、新しい使い捨てカートリッジが検知されると緑色に点灯する。
【0169】
ii)左側のLED(101)は、挿入された使い捨てカートリッジが使用済みである、又は以前に使用されたことが検知された場合、赤色に点灯する。
【0170】
iii)各カートリッジを一意に識別するために、RFID又は他の技術が存在しうる。
【0171】
2)第2のLED(102)はバッテリー残量が少ない場合、赤色に点灯する。
【0172】
3)カートリッジスロット(103)のキーイング機能(Keying feature)(103A)は、カートリッジ(200)の適切な向き及び/又は取り付けを確実する、代替的に、対称的なデザインをもつカートリッジ(200)も使用されうる。カートリッジスロット(103)は、塵埃の侵入を最小限に抑えるために、スプリング作動式のカバーを含んでもよい。
【0173】
4)オプションのLCD(104)は、さらなる情報を表示することができる。
【0174】
5)ハンドヘルド医療装置(100)の背面に配置されたバッテリー充電用のコネクタージャックと吸気ベント
【0175】
6)使い捨てカートリッジ(200)の部品表
【0176】
i)上部ハウジング
【0177】
ii)下部ハウジング
【0178】
iii)箔基板をコネクターで支えるための補強材付きPCB又はフレックス回路
【0179】
iv)薬物でコーティングされた箔基板
【0180】
v)RFIDタグ
【0181】
vi)使い捨てカートリッジ(201)の背面のコネクターと空気流インターフェース
【0182】
vii)マウスピース(202)として適合された空気出口
【0183】
任意選択で、カートリッジが挿入された後、装置がカートリッジIDを記憶しておくことになり、その結果、以降は、カートリッジが新品か以前に使用されたものかどうかを判断することができる。他のIDデータは、ロット番号、有効期限、薬物、投与量レベルを表示するのに使用することができる。この装置に含まれうる他の機能としては、以下が挙げられる。
【0184】
-ロックアウトタイマー:投与の頻度を制限するタイマー
【0185】
-投与リマインダー:患者に薬物の服用を思い出させるための装置
【0186】
-投与ログ:服薬が行われるたびに時間と日付を取り込む
【0187】
-装置アクセスセキュリティー:装置の操作へのアクセスを制限する生体認証又は他の方法。
【0188】
-電池充電インジケーター
【0189】
-ブルートゥース接続性:モバイル機器とペアリングされる装置。服薬時に信号送信。モバイル機器アプリケーションがセットアップされて、他の人(医師、家族、介護者など)に服薬が行われたことを知らせることができる。
【0190】
図6は、使い捨てカートリッジのコンセプトA及びBの層1を示す。この図は、空気圧シール(205)によって挟まれた装置の背面の入口(220)、空気入口からの空気流を分散させるための手段の例としての穴のあいた隔壁(206)を通る空気流(203)、及び箔基板を保持するための手段の例としての補強材(204)を示す。空気通路又は空気流(203)は矢印で示されている。
【0191】
図7は、使い捨てカートリッジのコンセプトA層2の層2を示す。この図は、フレックス回路(207)上の箔基板(209)を示し、同様に箔基板(209)上にコーティングされた薬物(210)を示す。電気コネクター(208)は、箔基板(209)に通電するために、使い捨てカートリッジをハンドヘルド医療装置に接続するために使用される。箔基板の例は、厚さが~0.00075インチ(~0.019mm)のステンレス鋼である。
【0192】
図8は、使い捨てカートリッジのコンセプトBの層2を示す。この図は、プリント回路基板(PCB)(211)上の箔基板(209)を示し、同様に箔基板(209)上にコーティングされた薬物(210)を示す。電気コネクター(208)は、箔基板に通電するために、使い捨てカートリッジをハンドヘルド医療装置に接続するために使用される。
【0193】
図9は、熱伝導障壁としての、薬物(210)でコーティングされた領域を通り抜ける箔基板(209)の線状スリット(212)を示す。
【0194】
図10は、熱伝導障壁としての、薬物(210)でコーティングされた領域を通り抜ける箔基板(209)の山形スリット(213)を示す。
【0195】
図11は、熱伝導障壁としての、薬物(210)でコーティングされた領域を通り抜ける箔基板(209)の蛇行状スリット(214)を示す。
【0196】
図12は、熱伝導障壁としての、薬物(210)が塗布された領域を通る箔基板(209)の穴(215)のパターンを示す。穴は、円形、角丸長方形(obround)、楕円形(oval)、他の任意のものであることができ、箔基板(209)上にランダム又は非ランダムなパターンで形成されうる。
【0197】
図13は、箔基板(209)上の下流(216)に偏った薬物コーティングを示す。言い換えれば、薬物コーティング領域の幾何中心は、箔基板(209)の上流端よりも箔基板(209)の下流端に近い。
【0198】
図14は、箔基板(209)上の上流(217)に偏った薬物コーティングを示す。言い換えれば、薬物コーティング領域の幾何中心は、箔基板(209)の下流端よりも箔基板(209)の上流端に近い。
【0199】
図15aは、箔基板(209)上の選択的な熱ゾーンに適合する薬物コーティング領域を示す。この場合では、台形の薬物コーティング領域(218)が示されている。
【0200】
図15bは、高温(暗色)ゾーン(219)を示すエアロゾル化後の箔基板の写真を示す。台形のより広い部分は、空気通路(203)に続く箔基板(209)の上流端にあり、より狭い部分は、空気通路(203)に続く箔基板(209)の下流端にある。
【0201】
図16は、装置の側面に空気入口(220)、入口の空気を分散させるための穴のあいた隔壁(206)を備える使い捨てカートリッジのコンセプトである。矢印は空気流(203)の方向を示す。
【0202】
図17は、乱流を導入して箔基板のより均一な対流熱損失を達成するための、空気流経路の障害物や制限(restrictions)の例を示す。
【0203】
障害物は、空気通路の内面から突出した柱(posts)、バンプなどであることができる。一般に、障害物機能は、障害物機能へのエアロゾル粒子の堆積を最小限にするように、箔基板の上流に配置されることになる。302は層流を表す。導入される乱流のいくつかの例は、形状抗力(301)及び乱流(303)である。
【0204】
図18は、広い範囲の気化温度に耐えることができる薬物の例を示す。
【0205】
図19は、気化温度に対して感受性がある薬物の例である。
【0206】
図20は、空気流を伴わない電気抵抗加熱中の箔基板の熱画像を示す。
【0207】
図21は、空気流を伴う電気抵抗加熱中の箔基板の熱画像を示す。
【0208】
図22は、ポータブルハンドヘルド凝縮エアロゾル薬物送達装置での使用に適した市販のリチウムポリマー電池を示す。この特定の電池は次の特徴を有する。
【表1】
1)実力容量:0.5C、4.2~2.7V 於25℃
【0209】
図23は、使い捨てカートリッジ、電池(105)用のハウジング(103)を備えた、ポータブルハンドヘルド電池式の電気的に加熱される凝縮エアロゾル薬物送達装置のコンセプトレイアウト、使い捨てカートリッジ(200)への電気の放出を制御するプリント回路基板(106)、及びグリル付き空気入口(107)を示す。下記は装置の背面図である。一例として、使い捨てカートリッジ用のハウジング(103)は、幅~42mm×奥行~50mm×高さ~15mmである。
【0210】
図24a、24b及び24cは、ハンドヘルド医療装置のコンセプトのさまざまな図を示す。
【0211】
図23~24cは、使い捨てカートリッジ(200)(使い捨てカートリッジの一例は、幅~38mm×奥行~50mm×高さ~12mm(マウスピースを除く)である)、電池(105)(電池の一例は~25mmの総スタック高さである)、プリント回路基板アセンブリ(106)(プリント基板アセンブリの一例は~42mm×~60mm(コネクタの延長を含まない)である)、空気入口グリル(107)、及び装置筐体(108)(装置筐体の例では、長さ~135mm×幅~90mm×高さ~30mmである))を異なる視点から示す。
【0212】
図25は、フレックス回路の銅トレースにはんだ付けされたステンレス鋼箔基板を示す。箔基板が変形していることが明らかに見られる。
【0213】
図26フレックス回路の銅トレースにレーザー溶接されたステンレス鋼箔基板を示す。レーザー溶接しても箔基板が変形しないことが明らかに見られる。
【0214】
図27は、赤外線イメージング用のフッ化カルシウム窓及び外部コネクターをハンドヘルド医療装置に組み込むように改造された使い捨てカートリッジの開発試作品を示す。
【0215】
図28は、改造された使い捨てカートリッジから熱画像を捉えるサーマルカメラのセットアップを示す。
【0216】
図29は、銅とステンレス鋼箔基板の間のはんだ付け品質が低いと、局所的な高温ゾーンと低温ゾーンが生じることを示す熱画像を示す。
【0217】
図30は、ステンレス鋼箔基板を銅にレーザー溶接すると、基板が均一に加熱されることを示す熱画像を示す。
【0218】
定義
本明細書で定義するとおり、以下の用語は、本明細書中で言及された場合、以下の意味を持つものとする。
【0219】
所与の粒子の「空気動力学径」とは、所与の粒子と同じ沈降速度を有する密度1g/mL(水の密度)の球状の液滴の直径を指す。
【0220】
「エアロゾル」とは、気体中に浮遊している固体又は液体の粒子の集合体を指す。
【0221】
「エアロゾル質量濃度」とは、エアロゾルの単位体積当たりの粒子状物質の質量を指す。
【0222】
帯電防止材料としては、帯電防止性の空気通路材料及び空気通路用コーティング剤が挙げられるが、これらに限定されない。これらの帯電防止材料としては、金属化された空気通路(ステンレス鋼/銅/銅/ステンレス鋼などの導電性金属で空気通路の内壁をコーティングすることによって、かつ/若しくは(銅などの)金属テープを空気通路の内壁及び外壁に貼ることによって製造される)、デフォルトの空気通路に帯電防止スプレー(スタティサイド(Staticide)ブランドなど)の使用、並びに/又は帯電防止プラスチック(Permastat若しくはPermastat plusブランドなど)を気道材料としての使用が挙げられる。帯電防止特性をもつ材料は本開示に含まれる。帯電防止材料の使用に関するさらなる情報は、国際公開第16145075号に記載されている。
【0223】
「凝縮エアロゾル」とは、組成物の気化とその後の蒸気の冷却によって形成され、蒸気が凝縮して粒子を形成するエアロゾルを指す。
【0224】
「病態」は、急性の病態、間欠的な病態及び/又は慢性の病態を含む。
【0225】
「分解指数(Decomposition index)」とは、発生したエアロゾルの純度を分数で表したものを1から引いた数値を指す。
【0226】
「薬物」とは、病態の予防、診断、軽減、治療又は治癒に使用される任意の物質を意味する。薬物は、エステル、遊離酸、遊離塩基、又は塩の形態などの、熱蒸気送達(thermal vapor delivery)に適した形態であることが好ましい。薬物は、レクリエーショナルドラッグ以外であることが好ましい。より具体的には、薬物は、好ましくは、医薬以外のレクリエーショナル目的、例えば、気分、感情、意識状態を変えるだけのための習慣的使用、又はレクリエーショナル目的のために不必要に身体機能に影響を及ぼすための習慣的使用のために使用されるレクリエーショナルドラッグ以外である。「薬物」、「化合物」、及び「薬(medication)」という用語は、本明細書では交換可能に使用される。薬物はまた、「プロドラッグ」という用語を含み、ここでは熱活性化に際し、プロドラッグは活性薬物となる。
【0227】
「薬物組成物」とは、純粋な薬物のみ、2種以上の薬物の組み合わせ、又は1つ若しくは複数の薬物の追加の成分との組み合わせを含む組成物を指す。追加の成分は、例えば、薬学的に許容される賦形剤、担体、添加剤及び界面活性剤を含むことができる。
【0228】
「薬物分解生成物」又は「熱分解生成物」は、互換的に使用され、薬物を加熱することから生じ、治療効果を生む要因にはならない任意の副産物を意味する。
【0229】
「薬物供給物品」又は「薬物供給ユニット」は、互換的に使用され、その表面の少なくとも一部が1つ又は複数の薬物組成物でコーティングされた基板を指す。本発明の薬物供給物品はまた、限定ではないが、例えば加熱要素などの付加的な要素も含みうる。
【0230】
「フラクション薬物分解生成物」とは、エアロゾル粒子中に存在する薬物分解生成物の量を、エアロゾル中に存在する薬物及び薬物分解生成物の量で割ったもの、すなわち、(エアロゾル中に存在するすべての薬物分解生成物の量の合計)/((エアロゾル中に存在する薬物の量)+(エアロゾル中に存在するすべての薬物分解生成物の量の合計))を指す。本明細書で使用される場合、「パーセント分解生成物」という用語は、100%を乗じた画分薬物分解生成物を指し、一方、エアロゾルの「純度」とは、100%から薬物分解生成物のパーセントを引いたものを指す。
【0231】
「幾何中心」は、箔基板(209)上にコーティングされた薬物組成物(210)の形状の全ての点の算術平均位置を指す。
【0232】
「熱安定薬物」は、0.01μm~20μmのある程度の厚さ(some thickness)の膜を気化させたときの熱安定率、TSR≧9を有する薬物を指す。
【0233】
エアロゾルの「質量中央空気動力学径」又は「MMAD」は、エアロゾルの粒子質量の半分がMMADよりも大きい空気動力学径をもつ粒子によって寄与され、半分がMMADよりも小さい空気動力学径をもつ粒子によって寄与される空気動力学径を指す。
【0234】
「個数濃度」は、エアロゾルの単位体積あたりの粒子の数を指す。
【0235】
「プロドラッグ」は、生理学的に活性な化合物にインビトロで化学的に変換されうる化合物、すなわち、所望の生理学的に活性な化合物の前駆体である。典型的には、プロドラッグは生理活性を有しないが、この用語はそれほど限定されず、生理活性を有しうる化合物を包含する。「熱不安定性」又は「熱的に不安定な」プロドラッグは、加熱、すなわちプロドラッグを高温に供することによって生理学的に活性な化合物に変換できるプロドラッグである。
【0236】
本明細書で使用される場合、「純度」は、エアロゾルの純度に関して、エアロゾル中の薬物組成物の画分/(エアロゾル中の薬物組成物の画分プラス薬物分解生成物)を意味する。したがって、純度は出発材料の純度に関して相対的である。例えば、基板のコーティングに用いた出発薬物又は薬物組成物に検出可能な不純物が入っていた場合、エアロゾルの報告された純度には、出発物質中に存在し、エアロゾル中にも見られた不純物は含まれていない。例えば、ある特定の場合では、出発物質が1%の不純物を含み、エアロゾルが同一の1%の不純物を含むことがわかっていた場合、それとは関係なく、検出可能な1%の純度が気化-凝縮エアロゾル生成プロセス中にもたらされなかったという事実を反映して、エアロゾル純度は>99%の純度として報告されうる。
【0237】
「感受性薬物」とは、気化温度に対して感受性がある薬物及び/又は分解に対して感受性がある薬物を指す。これらの薬物は、基板温度の関数としてのエアロゾルの純度の変化率が、感受性が低い薬物に比べて高いことを特徴とする。感受性が低い薬物は、広い気化温度範囲にわたってエアロゾル純度の安定したレベルを維持できるが、感受性が高い薬物は、所望の標的純度を維持するために狭い気化温度範囲を必要とする。
【0238】
「沈降速度」とは、空気中で重力沈降するエアロゾル粒子の終端速度を指す。
【0239】
薬物のコーティングのための「形状」としては、長方形、台形、三角形、放物線上などを挙げることができる。形状は、感受性がある薬物を含む薬物の気化に最適な表面温度の箔基板の領域を特定することによって決定される。くわえて、薬物のコーティングは、さまざまな膜厚を有することができる。膜の厚さは均一であることができる。膜の厚さは、異なる領域で異なる厚さを有することができる。異なる厚さは、階段関数であってもよく、ある厚さから別の厚さへの勾配差であってもよい。厚さは0.01~50μmの範囲であることができる。
【0240】
「支持体」は、組成物が、典型的にはコーティング又は薄膜として付着される材料を指す。「支持体」及び「基板」という用語は、本明細書において互換的に使用される。
【0241】
「対象」は、哺乳動物、患者としての能力を有するヒト、又は特定の疾患を治療するためにエアロゾルを送達することを装置が意図している治験の対象を指す。
【0242】
「を実質的に含まない」とは、記載されている材料、化合物、エアロゾルなどが、実質的に含まない他の成分を少なくとも95%含まないことを意味する。
【0243】
「治療」は、慢性及び急性病態の治療及び予防的(preventative)又は予防的(prophylactic)治療を指す。
【0244】
「典型的な患者の1回換気量」は、成人患者では1L、小児患者では15mL/kgを指す。
【0245】
「治療有効量」とは、治療効果を得るために必要な量を意味する。治療効果とは、予防、症状改善、症状治療から、疾患終息又は治癒に至るまでのいずれかの治療効果でありうる。
【0246】
「熱安定比(Thermal stability ratio)」又は「TSR」とは、%純度が99.9%未満の場合は%純度/(100%-%純度)、%純度が≧99.9%の場合は1000を意味する。例えば、純度90%で気化する呼吸器系薬物は、TSRが9であることになる。一般的に、温度に対して感受性がある薬物は、9以上のTSRを有することになる。感受性が低い薬物は純度が99%の範囲にあるので、そのTSRは99以上である。
【0247】
「熱安定比4μm」又は「4TSR」とは、厚さが約4μmの薬物含有膜を、膜中の薬物の少なくとも50%を気化させるのに十分な条件で加熱し、結果として生じたエアロゾルを集め、エアロゾルの純度を測定し、純度を用いてTSRを計算することによって決定される薬物のTSRを意味する。そのような気化では、一般的には、厚さが約4ミクロンの薬物膜を約350℃~200℃で約1秒間加熱して、膜中の薬物の少なくとも50%を気化させる。
【0248】
「熱安定比1.5μm」又は「1.5TSR」とは、厚さが約1.5μmの薬物含有膜を、膜中の薬物の少なくとも50%を気化させるのに十分な条件で加熱し、結果として生じたエアロゾルを集め、エアロゾルの純度を測定し、純度を用いてTSRを計算することによって決定される薬物のTSRを意味する。そのような気化では、一般的には、厚さが約1.5ミクロンの薬物膜を約350℃~200℃で約1秒間加熱して、膜中の薬物の少なくとも50%を気化させる。
【0249】
「熱安定比0.5μm」又は「0.5TSR」とは、厚さが約0.5μmの薬物含有膜を、膜中の薬物の少なくとも50%を気化させるのに十分な条件で加熱し、結果として生じたエアロゾルを集め、エアロゾルの純度を測定し、純度を用いてTSRを計算することによって決定される薬物のTSRを意味する。そのような気化では、一般的には、厚さが約0.5ミクロンの薬物膜を約350℃~200℃で約1秒間加熱して、膜中の薬物の少なくとも50%を気化させる。
【0250】
「蒸気」は気体を指し、「蒸気相」とは気相をいう。「熱蒸気」という用語は、好ましくは加熱することによって形成される、蒸気相、エアロゾル、又はエアロゾル-蒸気相の混合物を指す。
【0251】
「ランプアップ」とは、箔基板を目標温度まで急速に加熱する段階を指す。これに関連して、「急速加熱」とは、3~10℃/msの速度で加熱することを意味する。
【0252】
「加熱速度」はランプアップ後の段階を指す。加熱速度の間、ランプアップ後に得られる目標温度が制御され、一般的には1~3秒の継続時間がある。加熱速度は、プラトー加熱、タンパード冷却又は連続的加熱のうちから1つ又は複数を選択することができる。加熱速度段階の後、箔基板は制御されずに冷却される。加熱速度段階は、薬物の放出量、並びに/又は薬物エアロゾル粒子の純度及び/若しくは粒子径を制御することを可能にする。
【0253】
「プラトー加熱」は、目標温度に達した後の箔基板の加熱速度を指す。この加熱速度では、箔基板の温度は、±5℃の範囲に最大3秒間、好ましくは最大1秒間維持される。
【0254】
「タンパード冷却」は、目標温度に達した後の箔基板の加熱速度を指す。この加熱速度では、箔基板の温度は、制御された方法で、0.2~0.01℃/msの速度で最大3秒間、好ましくは最大1秒間低下する。
【0255】
「連続的加熱」は、目標温度に達した後の箔基板の加熱速度を指す。この加熱速度では、箔基板の温度は、制御された方法で、0.01~0.2℃/msの速度で最大3秒間、好ましくは最大1秒間上昇する。
【0256】
箔基板の温度の測定は、実施例1で説明されるように、薬物をコーティングしていない箔基板でサーマルカメラを用いて行うことができる。箔基板の温度を測定するための他の方法を使用することができ、例えば、熱電対との直接接触、温度の光学的測定、又は箔基板を横切る電気抵抗の測定が挙げられるが、これらに限定されない。
【0257】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以下の本発明の好ましい実施形態の詳細な説明にさらに記載されている。
【0258】
薬物
開示の装置に適用可能な薬物としては次のものが挙げられる。アセトアミノフェン、アマンタジン、アテノロール、ブロマゼパム、ブロムフェニラミンマレイン酸塩、カフェイン、セレコキシブ、クロファジミン、クロニジン、コデイン、シプロヘプタジン、ダプソン、ジクロフェナクエチルエステル、ジフルニサル、フェンフルラミン、フルマゼニル、フルルビプロフェン、ガランタミン、ヒドロモルフォン、インドメタシンノルコリンエステル、ケトロラックメチルエステル、ケトロラックノルコリンエステル、メラトニン、メマンチン、メサドン、モルヒネ、ナブメトン、ナプロキセン、オルフェナドリン、フェニトイン、ピンドロール、プロカインアミド、プロパフェノン、キニジン、キニーネ、スピロノラクトン、サリドマイド、テオフィリン、トラマドール塩酸塩、トラゾドン、トリアムテレン、ケトチフェン、ブロムフェニラミン、ブトルファノール、ジアゼパム、エスタゾラム、ケタミン、メペリジン、オキシコドン、クロルフェニラミン、ドキシラミン、エタクリリン酸、フルニトラゼパム、ハロペリドール、リドカイン、ロキサピンコハク酸塩、オランザピン、タクリン、トリフルオペラジン、アモキサピン、クロルゾキサゾン、イブプロフェン、ロキサピン、マプロチリン、ペルゴリド、ピリベジル、プロトリプチリンHCl、トカイニド、ゾニサミド、アザタジン、クロルフェニラミンマレイン酸塩、シプロヘプタジンHCl、フレカイニド、イソカルボキサジド、ケトプロフェンエチルエステル、ロラタジン、メトキシサレン、プロプラノロール、テストステロン、ベンツトロピン、クロザピン、ミダゾラム、パロキセチン、セルトラリン、バルプロ酸、ザレプロン、クロミプラミン、ロペラミド、メキシレチンHCl、ベンラファキシン、アミトリプチリン、ベタヒスチン、ナラトリプタン、プラミペキソール、シルデナフィル、テルブタリン、ビタミンE、フルラゼパム、メトプロロール、ナロキソン、リザトリプタン、セレギリン、タダラフィル、トリアゾラム、トリミプラミン、ブプロピオンHCl、ドキセピン、イミプラミン、ラモトリギン、メタプロテレノール、メトクロプラミド、モルヒネ、ノルトリプチリン、ペルフェナジン、クエチアピン、シクレソニド、アルプラゾラム、カルビノキサミンマレイン酸塩、シクロベンザプリン、ジソピラミド、エフェドリン、グラニセトロン、インドメタシン、インドメタシンエチルエステル、インドメタシンメチルエステル、ケトプロフェンメチルエステル、ケトロラックエチルエステル、ミルタザピン、ナルブフィン、ニコチン、ロピニロール、ロピニロールフマル酸塩。前述の薬物のリストは、本明細書に記載の発明を使用してエアロゾル化した場合に、99%を超える純度を示した。
【0259】
開示の装置に適用可能な気化温度に対してより感受性がある他の薬物としては次のものが挙げられる。アセブトロール、ヒドロキシクロロキン、メペリジン、エストラジオール、フェノプロフェン、プロクロルペラジン、トレミフェン、ヒドロキシジン、アトロピン、ブプレノルフィン、ブメタニド、フェンタニル、イブチリド、ピリラミン、ゾルミトリプタン、ゾテピン、クロルジアゼポキシド、シタロプラム、ケトプロフェン、ペルゴリド、ロピニロール塩酸塩、ロチゴチン、エファビレンツ、ゾピクロン、スマトリプタン、ベルガプテン、ブスピロン塩酸塩、エレトリプタン、ノルトリプチリン、コルヒチン、フルニソリド、ネファゾドン、ロフェコキシブ、トラニルシプロミン塩酸塩、フルオキセチン、プロメタジン、トリミプラミンマレイン酸塩、メクリジン、ジルチアゼム、テマゼパム、トルテロジン、バルデコキシブ、アポモルヒネジアセテート、ドネペジル、ソタロール、トラマドール、シンナリジン、イソトレチノイン、ゾルピデム、ブスピロン、クロルプロマジン、アルブテロール、ベラパミル、ナルトレキソン、テルミサルタン、ヒヨスチアミン、トラニルシプロミン、エスモロール、ピオグリタゾン、トレプロスチニル、ジピリダモール、アポモルヒネ塩酸塩、リネゾリド、カルビノキサミン、ブトルファノール酒石酸塩、クレマスチン、フルコナゾール、トルフェナム酸、ロバスタチン、アポモルヒネHClジアセテート、プロマジン、シブトラミン、アステミゾール、ジフェンヒドラミン、ピリラミンマレイン酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、フルフェナジン、シタロプラム、トリアムシノロンアセトニド、プロピオン酸フルチカゾン、ブプレノルフィン塩酸塩、タモキシフェン、アリピプラゾール、フロバトリプタン、ネファゾドン、プロトリプチリン、オキシブチニン、メクリジン、ベナゼプリル、エタンブトール、スコポラミン、ニコチン塩、及びトレプロスチニル塩。リストは、本明細書に記載の発明を使用してエアロゾル化した場合のエアロゾル純度の順に、純度の最も高いものを最初に、残りを降順に薬物を示している。
【0260】
他の実施形態では、プロドラッグは、基板(又は基板に付着したポリマー又は他の化学部位)の間に共有結合を形成することなく、基板、例えば薄膜としてコーティングされた基板上に堆積することができる。加熱すると、プロドラッグは分解して、薬物及び任意の副産物を生成する。好ましい実施形態では、副産物は有毒ではない。本発明で使用する場合、プロドラッグは、典型的には、標準的な温度及び圧力で固体である。プロドラッグは、典型的には、フェノール性薬物化合物の誘導体である。好ましい実施形態では、プロドラッグは、フェノール性薬物化合物のt-ブトキシカルボニル誘導体、フェノール性薬物化合物のカルボン酸誘導体、及びフェノール性薬物化合物のt-ブトキシカルボニルーグリシニル(glycinyl)-グリシネート誘導体からなる群より選択される。本発明で有用なフェノール性薬物化合物としては、限定されることなく、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(Δ9-THC)、プロポフォール、エストラジオール、アポモルヒネ、ドーパミン、エピネフリン、及び関連化合物が挙げられる。
【0261】
エアロゾル組成物
本明細書に記載の組成物は、典型的には薬物又は薬物化合物を含む。組成物は他の化合物も含むことができる。例えば、組成物は、薬物化合物の混合物、薬物化合物と薬学的に許容される賦形剤との混合物、又は薬物化合物と有用若しくは望ましい特性を有する他の化合物との混合物を含むことができる。組成物は純粋な薬物化合物も含むことができる。好ましい実施形態では、組成物は本質的に純粋な薬物からなり、推進剤又は溶媒を含有しない。
【0262】
追加的に、薬学的に許容される担体、界面活性剤、増強剤、及び無機化合物が組成物に含まれうる。そのような材料の例は、当該技術分野で公知である。
【0263】
幾つかの変形形態では、エアロゾルは、有機溶剤及び推進剤を実質的に含まない。くわえて、大気中からの水が、エアロゾル形成中に、特に膜上を空気が通っている間及び冷却過程の間に、エアロゾルに取り込まれることがあるが、水は典型的には溶媒として添加されない。他の変形形態では、エアロゾルは、有機溶媒及び推進剤を完全に欠いている。さらに別の態様では、エアロゾルは、有機溶媒、推進剤、及びいずれの賦形剤も完全に欠いている。これらのエアロゾルは、純粋な薬物、10%未満の薬物分解生成物、及び典型的には空気であるキャリアガスのみを含む。
【0264】
典型的には、薬物は分解指数が0.15未満である。好ましくは、薬物は分解指数が0.10未満である。より好ましくは、薬物は分解指数が0.05未満である。最も好ましくは、薬物は分解指数が0.025未満である。
【0265】
いくつかの変形形態では、凝縮エアロゾルは、少なくとも5重量%の凝縮薬物エアロゾル粒子を含む。他の変形形態では、エアロゾルは、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、又は75重量%の凝縮薬物エアロゾル粒子を含む。さらに他の変形形態では、エアロゾルは、少なくとも95%、99%、又は99.5重量%の凝縮薬物エアロゾル粒子を含む。
【0266】
いくつかの変形形態では、凝縮エアロゾル粒子は、10重量%未満の熱分解生成物を含む。他の変形形態では、凝縮薬物エアロゾル粒子は、5%、1%、0.5%、0.1%、又は0.03重量%未満の熱分解生成物を含む。
【0267】
本開示のある特定の実施形態では、薬物エアロゾルは、90%~99.8%、又は93%~99.7%、又は95%~99.5%、又は96.5%~99.2の純度を有する。
【0268】
典型的には、エアロゾルは106個の粒子/mLを超える個数濃度を有する。他の変形形態では、エアロゾルは107個の粒子/mLを超える個数濃度を有する。さらに他の変形形態では、エアロゾルは、108個の粒子/mL超、109個の粒子/mL超、1010個の粒子/mL超、又は1011個の粒子/mL超の個数濃度を有する。
【0269】
エアロゾルのガスは、典型的には空気である。しかし、他のガス、特にアルゴン、窒素、ヘリウムなどの不活性ガスを使用することができる。また、ガスは、粒子を形成するためにまだ凝縮していない組成物の蒸気を含むことができる。典型的には、ガスは、推進剤又は気化した有機溶媒を含まない。いくつかの変形形態では、凝縮エアロゾルは、少なくとも5重量%の凝縮薬物エアロゾル粒子を含む。他の変形形態では、エアロゾルは、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、又は75重量%の凝縮薬物エアロゾル粒子を含む。さらに他の変形形態では、エアロゾルは、少なくとも95%、99%、又は99.5重量%の凝縮エアロゾル粒子を含む。
【0270】
いくつかの変形形態では、凝縮薬物エアロゾルは、MMADが約0.01~3μmの範囲にある。いくつかの変形形態では、凝縮薬物エアロゾルは、MMADが約0.1~3μmの範囲にある。いくつかの変形形態では、エアロゾルは、MMADが5μm未満である。いくつかの変形形態では、凝縮薬物エアロゾル粒子のMMAD周辺の幾何標準偏差は3.0未満である。他の変形形態では、凝縮薬物エアロゾル粒子のMMAD周辺の幾何標準偏差は、2.5未満、又は2.0未満である。
【0271】
本発明のある特定の実施形態では、薬物エアロゾルは、少なくとも5若しくは10の4TSR、少なくとも7若しくは14の1.5TSR、又は少なくとも9若しくは18の0.5TSRを有する1つ又は複数の薬物を含む。本発明の他の実施形態では、薬物エアロゾルは、5~100若しくは10~50の4TSR、7~200若しくは14~100の1.5TSR、又は9~900若しくは18~300の0.5TSRを有する1つ又は複数の薬物を含む。
【0272】
凝縮エアロゾルの形成
本明細書に記載の凝縮エアロゾルを形成するのに任意の好適な方法を使用することができる。そのような方法の1つは、組成物を加熱して蒸気を形成し、それに続いて、それがエアロゾル(すなわち凝縮エアロゾル)を形成するように蒸気を冷却するものである。方法は、以前に米国特許第7,090,830号に記載されている。この参照は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0273】
本開示は、その上に配置された物質を気化させるように構成された金属箔基板を含む電気抵抗加熱要素(基板)、コーティングされた薬物組成物の全部又は一部を3秒以下の時間内に気化させるのに十分な基板上の正確な温度プロファイルを達成する速度で、電気抵抗加熱に影響を及ぼすように基板を通して正確な電流プロファイルを駆動する電流送達装置、及び気化した薬物組成物を乗せて運んでん凝縮させて、空気通路のマウスピース端から使用者の口に出て、気道を通過して肺深部に到達し、全身的な薬物送達を行う物質を含む凝縮エアロゾル粒子にするように吸入空気を基板の表面上に導く空気通路を備える、薬物を含む凝縮エアロゾルを生成する装置を教示する。電気抵抗箔基板は、肺深部への沈着を可能にするための放出量、純度、及び粒子径に関して、薬物送達を最大にするための薬物の最適な気化を可能にする正確なプロファイルで正確な温度に加熱するように構成されている。
【0274】
典型的には、組成物は基板上にコーティングされ、次いで、基板が加熱されて組成物を気化させる。基板は、どんな形であってもよく、さまざまな異なるサイズであってよい。多くの場合、基板は、大きな表面積対体積比(例えば1メートル当たり100を超える)及び大きな表面積対質量比(例えば1グラム当たり1cm2を超える)をもつことが望ましい。基板は、2つ以上の表面を有することができる。
【0275】
また、ある形状の基板は、性質の異なる別の形状に変形させることもできる。例えば、ある厚さ0.25mmの平らなシートは、表面積対体積比が1メートル当たり約8,000のである。このシートを直径1cmの中空円筒にまるめると、元のシートの高い表面積対体積比を保つが、表面積対体積比が低い(1メートル当たり約400)支持体が作り出される。
【0276】
基板を構成するために、数多くの異なる材料を使用することができる。典型的には、基板は熱伝導性であり、アルミニウム、鉄、銅、ステンレス鋼などの金属、合金、セラミック、及び充填ポリマーを含む。一変形形態では、基板はステンレス鋼である。材料の組み合わせ及び材料のコーティングされた変形体(variants)も使用することができる。
【0277】
基板としてアルミニウムを使用することが望ましい場合は、アルミニウム箔が好適な材料である。アルミナ及びシリコンをベースとする材料の例、BCR171(ミズーリ州セントルイス、Aldrich社製の、規定表面積(defined surface area)が2m2/gを超えるアルミナ及び半導体業界で使用されているシリコンウェハー。
【0278】
典型的には、基板は、表面の凹凸が比較的少ないか、又は実質的にないことが望ましい。さまざまな支持体を使用できるが、典型的には、不透過性表面を有する支持体、又は不透過性表面コーティングを有する支持体が典型的には望ましい。そのような支持体の例示的な例としては、金属箔、滑らかな金属表面、非多孔質セラミックスなどが挙げられる。代替的に、又は付加的に、不透過性表面を有する好ましい基板にあっては、基板表面の広がりは約20mm2の連続した表面積を特徴とする。代替的に、又は付加的に、不透過性表面を有する好ましい基板にあっては、基板表面の広がりは、1mm2、好ましくは10mm2、より好ましくは50mm2、さらにより好ましくは100mm2を超える連続した表面積、及び0.5g/ccを超える材料密度を特徴とする。対照的に、好ましくない(non-preferred)基板は、典型的には、例えば糸や、フェルト、フォームなど、0.5g/cc未満の基板密度を有する、又は例えば小さいアルミナ粒子や他の無機粒子など、1mm2/粒子未満の表面積を有する。なぜなら、これらのタイプの表面では、気化を介して10%未満の薬物分解で治療量の薬物エアロゾルを生成することは困難であるからである。
【0279】
一変形形態では、本開示はステンレス鋼箔基板を教示する。中空のステンレス鋼管を薬物膜基板として使用してもよい。他の変形形態では、アルミニウム箔が試験薬物用の基板として使用される。
【0280】
凝縮エアロゾルを発生させる目的で、電気抵抗加熱を介して箔基板を急速に加熱して、基板上にコーティングされた薬物膜を気化させるように設計された装置において、箔基板は、電気回路と一貫した均一な電気接触を有していなければならない。一貫性のない電気接触は、箔基板上に局所的な高温箇所及び低温箇所(hot and cool spots)を生じさせ、この高温箇所及び低温箇所は、薬物の気化の効率に悪影響を与え、結果として、より少量の一貫性のない放出量をもたらし、薬物の分解を引き起こし、結果としてより高いレベルの不純物をもたらす可能性がある。また、箔基板を電気回路に取り付けた後、箔基板は、箔基板上への薬物膜の一貫したコーティングを可能にし、箔基板と装置内の空気通路の内部表面との間の一貫した距離を維持するために、電気接触間の平坦性を維持する、又は電気接触間の制御アークを維持するなど、一貫した構成を維持すべきである。箔基板の凹凸な表面により、スプレーコーティング中に箔基板の低い点に薬物が溜まり、その結果局所的に高密度のコーティング領域が生じ、箔基板上の高い点から離れて薬物が流れ、その結果低密度のコーティング領域が生じる可能性がある。
【0281】
電気抵抗加熱ベースの凝縮エアロゾル装置に使用するのに適したステンレス鋼箔基板は、ポータブル電池式凝縮エアロゾル装置の設計を考慮すると、およそ0.002インチ(0.05mm)以下の極めて薄くなければならない(より厚い箔基板は、電力予算が重要な設計上の考慮事項ではない、主電源式のポータブルではない(less portable)ベンチトップの凝縮エアロゾルシステムの設計に使用されうる)。ステンレス鋼箔基板の熱容量は、ステンレス鋼箔の厚さに正比例して増加する。するとこれは、箔基板を急速に加熱するのに必要な電力に影響を与える。さらに、電気抵抗もまた箔基板の厚さに正比例する。電気抵抗は、箔基板の厚みが増えるにつれて減少する。電気抵抗の減少は、箔基板を急速に加熱するために必要な電力の増加をさらに促進する。薬物送達用のポータブルハンドヘルド電池式エアロゾル発生装置の設計では、合理的な装置サイズを確保するために必要な電力を最小限に抑えなければならない。したがって、基板を20Cから400Cまで300ms以下で加熱することなどの、急速加熱を可能にするために、ステンレス鋼箔基板の厚さを最小限にすることが重要である。急速加熱は、エアロゾル粒子を肺の深部に輸送するために十分な吸入チェイサー(chaser)体積を確保するために、吸入サイクルの早い段階で薬物膜を効率的に気化させるのに必要である。
【0282】
銅はプリント基板(PCB)の電気トレースに使用される標準的な材料であり、ステンレス鋼は薬物膜をコーティングする基板として使用するのに好ましい材料である。電気抵抗回路を作り出すためには、銅にステンレス鋼を貼り付けなければならない。上述したように、ポータブル電池式凝縮エアロゾル発生装置に使用するのに適した箔基板は、薄くなければならない。
【0283】
はんだ付けとは、電気回路の電気的な接続を作り出すための標準的な手段である。はんだ付けは銅など一部の金属にはうまく機能するが、銅とむき出しのステンレス鋼との間では、はんだ付けはうまくいかない。銅とステンレス鋼の間のはんだ付けを可能にする方法は、はんだ接合部が作られることになるステンレス鋼の領域に金メッキを施すことである。薬物膜用の基板としての役目をすることになるステンレス鋼の領域が金メッキで覆われるのを防ぐために、金メッキ工程の前にステンレス鋼の特定の領域をマスクで覆わなければならない。上述したように、ポータブル電池式凝縮エアロゾル発生装置に使用するのに適した箔基板は薄くなければならない。金メッキの前に薄いステンレス鋼箔にマスクを塗布し、それに続いて、箔を引き裂くことなく、かつ/又は箔にしわを寄せることなく箔からマスクを除去することは困難なプロセスであり、薄い(0.002インチ(0.05mm)以下)ステンレス鋼箔でこの操作を行うことができる機能を有する箔変換器(foil convertors)はほとんどない。箔基板にマスクや金メッキを施す必要性は、組立過程に時間とコストが加わり、全体的な収量効率を低下させるので望ましくない。
【0284】
電気抵抗回路を形成するためにステンレス鋼箔基板を銅にはんだ付けすることに代わる手段は、レーザー溶接を使用することである。レーザー溶接がはんだ付けより優れている多くのさまざまな理由がある。
【0285】
はんだ付け、又はより適切にはろう付けは、ガス酸素トーチ、裸火(open flame)又はホットチップはんだごてではんだを加熱するキャピラリーフィルシステムである。はんだがその融点に達すると、はんだは金属を横切って流れ、金属同士を架橋する。はんだは、はんだ付けされる金属よりも低い温度で溶融するように設計された合金であり、したがって、金属と異なる合金である。このプロセスに使用される熱は非常に高く、したがって、はんだ領域に目に見える継ぎ目、変色又は火ムラ(fire stain)を生じることが多い。
【0286】
レーザー溶接は、金属をそれ自体に溶接するために光エネルギーが使用される非接触プロセスであり、このプロセスは金属を分子レベルで融合させ、すべて1つの合金である最終品をもたらす。ほとんどのレーザープロセスは溶加材を用いないで(autogenously)溶接し、フィラー金属を使用せずに、最小限の熱影響部(HAZ)と、材料を溶融及び溶融するのに十分な熱だけを用いることを意味する。これにより、熱歪みが最小限の高品質の溶接接合部が得られる。しかし、溶加材を用いないで溶接するには、合わせ面の接触を必要とする。レーザーは高濃度の熱源であるため、接合部は一般的に溶融、融合し、極めて急速に冷却する。したがって、材料は、割れなどの溶接欠陥を引き起こすことなく急速冷却に耐えなければならない。レーザー溶接機で、金属又は「フィラーワイヤー(filler wire)」を追加する必要がある場合、典型的にはフィラー材料は溶接される金属の1つと同一である。
【0287】
溶接に必要な熱は、直径わずか2,000分の1インチの強く(tightly)集束させた光ビームによって供給される。溶接は、短いパルスを連続して発射し、金属を溶かして高品質の溶接を生み出す。レーザービームが強く集束されているため、入熱が最小限に抑えられ、ほぼすぐに部品を扱うことができる。レーザーは細かく(finely)集束されたビームであり、最小限のHAZ又は「衝撃ゾーン(bombardment Zone)」をもたらす。溶接プロセスの間、衝撃ゾーンに隣接する金属は溶融されない。この精密熱源により、使用者は熱に対して感受性がある構成要素の近くで金属を溶接することができ、結果として変色のないシームレスで検出不可能な作業域がもたらされる。
【0288】
レーザーは、炭素鋼、高強度鋼、ステンレス鋼、チタン、アルミ、及び貴金属などの溶接並びにステンレス鋼と銅の溶接など異なる材料の溶接に成功している。
【0289】
溶接や切断に使用されるレーザーの主な種類は次の通り。
・ガスレーザー:ヘリウムと窒素などのガスの混合物を使用する。CO2又は炭酸ガスレーザーもある。これらのレーザーは、レーザー媒体を使用してガス混合物を励起するために、低電流、高電圧電源を使用する。パルスモード又は連続モードで作動する。二酸化炭素レーザーは、レーザー媒体としてヘリウムと窒素を含む高純度二酸化炭素の混合物を使用する。CO2レーザーはまた、ビームが2つの等しい出力ビームに分割されるデュアルビームレーザ溶接にも使用される。
・固体レーザー:(Nd:YAGタイプ及びルビーレーザー)1マイクロメートルの波長で作動する。それらは、パルス化されることができる、又は連続的に作動することができる。パルス運転はスポット溶接に似ているが完全に貫通した接合部を生み出した。パルスエネルギーは1~100ジュールである。パルス時間は1~10ミリ秒である。
・ダイオードレーザー
【0290】
好ましい実施形態では、Nd:YAGレーザーはコンピューター数値制御(CNC)下で使用されて、再現性のある正確な溶接を実現する。各組立体ごとに箔基板を同じ向きに保持するためにツーリング(Tooling)が用いられる。
【0291】
図25は、はんだ付けされた箔基板の例を示し、
図26は、電気フレックス回路に溶接されたレーザーを示す。図に見られるように、はんだ付けされた箔基板は、はんだ付けプロセス中の過剰な熱への露出から生じる歪みに起因して平らにならない。比較してすると、フレックス回路に溶接された箔基板レーザーは、熱変形が最小限に抑えられて、銅とステンレス鋼の間の非常に整った(clean)結合を示した。
【0292】
組成物に関して、典型的には、薬物は膜の形態で箔基板上にコーティングされる。膜は、任意の好適な方法を用いて膜基板上にコーティングすることができる。コーティングに適した方法は、化合物の物理的特性及び所望の膜厚に依存することが多い。組成物を箔基板上にコーティングする1つの例示的な方法は、好適な溶媒中で化合物(単独で、又は他の望ましい化合物と組み合わせて)の溶液を調製し、その溶液を箔基板の外面に塗布し、次いで(例えば蒸発などによって)溶媒を除去し、それによって箔基板上に膜を残ことによるものである。
【0293】
一般的な溶媒としては、メタノール、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、アセトン、エタノール、イソプロピルアルコール、3:1クロロホルム:メタノール混合液、1:1ジクロロメタン:メチルエチルケトン混合物、ジメチルホルムアミド、及び脱イオン水が挙げられる。場合によっては(例えばトリアムテレンが使用される場合)、ギ酸などの溶媒を使用することが望ましい。また、必要に応じて、超音波処理を使用して化合物を溶解してもよい。
【0294】
組成物はまた、基板を組成物溶液に浸漬することによって、又は溶液を箔基板にスプレー、ブラッシング若しくは他の方法で塗布することによって箔基板上にコーティングすることができる。代替的に、薬物の溶融物を調製し、箔基板に塗布することができる。室温で液体である薬物については、増粘剤をその薬物と混合して、固体薬物膜の適用を可能にすることができる。
【0295】
膜は、化合物及び所望の熱分解の最大量に応じてさまざまな厚さであることができる。1つの方法では、組成物の加熱は、約0.1μm~30μmの厚さを有する組成物の薄膜を加熱して蒸気を形成するものである。さらに他の変形形態では、組成物は膜厚が約0.5μm~21μmである。最も典型的には、気化される膜厚は0.5μm~25μmである。
【0296】
典型的には、電源は、少なくとも200℃、好ましくは少なくとも250箔基板、より好ましくは少なくとも300℃又は350℃、又は500℃の基板温度を達成し、2秒以内、好ましくは1秒以内、より好ましくは0.5秒以内に、基板からの薬物組成物の実質的に完全な気化をもたらす速度で基板に熱又は電力を供給する。ポータブルハンドヘルド薬物送達装置用の好適な電源は、例えば、少なくとも200℃、250℃、300℃、又は350℃、又は500℃の基板温度に、好ましくは50~500ms以内、より好ましくは50~200msの範囲で急速な加熱を達成するために電気抵抗加熱に必要な高い電流放電速度を提供することができるリチウムポリマー電池である。
【0297】
凝縮エアロゾルを発生させる目的で、電気抵抗加熱を介して箔基板を急速に加熱して、基板上にコーティングされた薬物膜を気化させるためには、装置は、短い時間(最大300ms)の間に、箔基板に高電力(400~700W)を送ることができなければならない。3.7Vの電池を3個直列に接続することによって達成できる~10Vのシステムの場合、出力電流は40~70Aになる。この高いレベルの電力を発生させることは、その機能をハンドヘルドポータブル凝縮エアロゾル薬物送達装置に組み込むことを意図したとき、従来の電池化学では難しい課題である。
【0298】
コンパクトな市販リチウムポリマー電池は、比較的大きな表面積の箔基板の電気抵抗加熱を駆動するための、ハンドヘルド凝縮エアロゾル薬物送達装置の構築に使用するのに適した電力及び電流出力を有する。これらの電池は、コーティングされた薬物を効率的に気化させるために、ステンレス鋼などの薬物でコーティングされた金属箔基板を、300ms以下で20℃~300℃~500℃の範囲で急速に加熱するのに必要な40から70Aの範囲の電流出力能力を有する。気化した薬物物はその後凝縮して、肺深部への送達に最適なサイズのエアロゾル粒子を形成する。リチウムポリマー電池はさまざまなサイズのものがあり、又はポータブルハンドヘルド装置に柔軟にパッケージングできるようにカスタム設計することができる。
【0299】
電池の電流放電能力は、そのCレートによって特定される。Cレートは、電池の最大容量に相対的な、電池が放電される速度の尺度である。これは、放電電流を、電池が1時間で公称定格容量を送ることになる理論上の消費電流(current draw)で割った値として定義される。
【0300】
組成物の薄膜を加熱する際には、分解を避けるために、気化化合物は、加熱された表面又は周囲の加熱されたガスから、より低温の環境にすばやく移行することが望ましい。これは、基板の急速加熱によってだけでなく、基板の表面を横切るガスの流れの使用によっても達成されうる。表面からの気化化合物は、ブラウン運動又は拡散を通して移行しうるが、この移行の時間的持続時間は、表面上のガスの速度勾配及び表面の物理的形状によって確立される表面の上昇温度領域の範囲によって影響を受けうる。そのような分解を最小限に抑え、所望の粒子径を生成するために使用される典型的なガス流量は1~10L/分の範囲である。
【0301】
投与用エアロゾル粒子は、典型的には、1秒間に108個を超える吸入可能粒子の速度で、記載の方法のいずれかを用いて形成することができる。いくつかの変形形態では、投与用エアロゾル粒子は、1秒間に109個又は1010個を超える吸入可能粒子の速度で形成される。同様に、エアロゾル形成(すなわち、単位時間あたりの送達装置によって生成されるエアロゾル化された粒子状物質の質量)に関して、エアロゾルは、0.25mg/秒を超える、0.5mg/秒を超える、又は1若しくは2mg/秒を超える速度で形成することができる。さらに、エアロゾル形成に関して、薬物エアロゾル形成速度(すなわち、単位時間あたりの送達装置によってエアロゾル形態で放出される薬物化合物の速度)に着目すると、薬物は、毎秒0.05mgの薬物を超える、毎秒0.1mgの薬物を超える、毎秒0.5mgの薬物を超える、又は毎秒1若しくは2mgの薬物を超える速度でエアロゾル化することができる。
【0302】
いくつかの変形形態では、薬物縮合エアロゾルは、少なくとも5重量%の薬物縮合エアロゾル粒子を形成する組成物から形成される。他の変形形態では、エアロゾルは、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、又は75%の薬物縮合エアロゾル粒子を形成する組成物から形成される。さらに他の変形形態では、エアロゾルは、少なくとも95%、99%、又は99.5重量%の薬物縮合エアロゾル粒子を形成する組成物から形成される。
【0303】
いくつかの変形形態では、薬物縮合エアロゾル粒子は、形成されたとき、10重量%未満の熱分解生成物を含む。他の変形形態では、薬物縮合エアロゾル粒子は、形成されたとき、5%、1%、0.5%、0.1%、又は0.03重量%未満の熱分解生成物を含む。
【0304】
いくつかの変形例では、薬物凝縮エアロゾルは、結果として生じるエアロゾルが約0.1~3μmの範囲のMMADを有するような速度でガス流中に生成される。いくつかの変形形態では、薬物凝縮エアロゾル粒子のMMAD周辺の幾何標準偏差は、3μm未満である。いくつかの変形形態では、薬物凝縮エアロゾル粒子のMMAD周辺の幾何標準偏差は、5μm未満である。他の変形形態では、薬物凝縮エアロゾル粒子のMMAD周辺の幾何標準偏差は、2.5μm未満、又は2μm未満である。
【0305】
本開示は、その上に配置された物質を気化させるように構成された金属箔基板を含む電気抵抗加熱要素、コーティングされた薬物組成物の全部又は一部を3秒以下の時間内に気化させるのに十分な基板上の正確な温度プロファイルを達成する速度で、電気抵抗加熱に影響を及ぼすように基板を通して正確な電流プロファイルを駆動する電流送達装置、及び気化した薬物組成物を乗せて運んで凝縮させて、空気通路のマウスピース端から使用者の口に出て、気道を通過して肺深部に到達し、全身的な薬物送達を行う物質を含む凝縮エアロゾル粒子にするように吸入空気を基板の表面上に導く空気通路を備える、気化温度に対して感受性がある薬物を含む凝縮エアロゾルを生成する装置を教示する。例えば、アポモルヒネ塩酸塩半水和物は気化温度に対して感受性があり、したがって、凝縮エアロゾルを発生させるために正確なレベルの温度制御を必要とする。
【0306】
送達装置
凝縮薬物エアロゾルを投与するための本明細書に記載の送達装置は、典型的には、組成物を加熱して蒸気を形成するための要素、及び蒸気を冷却し、それによって凝縮エアロゾルを形成可能にする要素を備える。これらのエアロゾルは一般に、局所又は全身治療のために、患者の肺に吸入を介して送達される。しかし、代替的に、本発明の凝縮エアロゾルは、薬物-エアロゾル粒子を標的部位に適用するために、気流中で生成することができる。例えば、薬物-エアロゾル粒子を運ぶ空気の流れは、急性又は慢性皮膚病態を治療するために適用することができ、手術中に切開部位で適用することができ、又は開放創に適用することができる。送達装置は、キットとして使用するために単位投与形態の薬物を含む組成物と組み合わせることができる。
【0307】
本明細書に記載の装置は、エアロゾル送達を容易にするために、さまざまな構成要素を付加的に含むことができる。例えば、装置は、吸入に対する薬物エアロゾル化のタイミングを制御する(例えば呼吸作動)ために、当該技術分野で公知の任意の構成要素を含むことができる。同様に、装置は、吸入の速度及び/又は量について患者にフィードバックを与えるための構成要素、又は過剰使用を防止するための構成要素(すなわち「ロックアウト」機能)を含むことができる。装置は、投与カウント/履歴記録又は漸減(tapering)方法などの機能をさらに含むことができる。くわえて、装置は、無許可の個人による使用を防止するための構成要素、及び投与履歴(dosing histories)を記録するための構成要素をさらに含むことができる。これらの構成要素は、単独で、又は他の構成要素と組み合わせて使用することができる。
【0308】
冷却を可能にする構成要素は、どのような構成であってもよい。例えば、加熱手段を吸入手段に連結する不活性通路であることができる。同様に、使用者による吸入を許可する構成要素は、どのような構成であってもよい。例えば、冷却要素と使用者の呼吸器系との間の接続を形成する出口ポータルであることができる。
【0309】
典型的には、薬物供給物品は、組成物が吸入中に空気の流れに乗って運ばれるようになる蒸気を形成するように、膜の全部又は一部を気化させるのに十分な温度に加熱される。上述したように、薬物供給物品の加熱は、例えば、ハウジング内に配置された電池パックなどの電源に電気回路で接続された電気抵抗性の、薬物コーティングされた箔基板を使用して達成することができる。加熱は、例えば、当該技術分野で公知のように、ハウジング上のボタンを用いて、又は呼吸作動を介して作動させることができる。
【0310】
本明細書に記載のエアロゾルを形成及び送達するために使用されうる別の装置は、以下の通りである。その装置は、組成物を加熱して蒸気を生成するための要素、蒸気を冷まして凝縮エアロゾルを形成するための要素、及び使用者がエアロゾルを吸入することを可能にする要素を含む。その装置はまた、嵌合する上部外ハウジング部材及び下部外ハウジング部材も含む。
【0311】
各ハウジング部材の下流端部は、使用者の口の中に挿入するために緩やかにテーパ状になっている。上部及び下部ハウジング部材の上流端部には、スロットが作られており(一方又は両方にスロットがあり)、使用者が吸入する際に空気の吸入を可能にする。上部及び下部ハウジング部材は嵌合されると、チャンバーを画定する。チャンバー内には薬物供給ユニットが配置されている。
【0312】
使用される装置の一変形形態では、装置は、基板、基板表面上の選択された薬物組成物の膜、及び200℃を超える温度、又は他の実施形態では、250℃、300℃若しくは350℃、300℃若しくは350℃、若しくは500℃を超える温度に基板を加熱し、2秒未満の時間内又はより好ましくは1秒未満の時間内に薬物組成物の実質的に完全な気化をもたらすのに有効な速度で箔基板を通して電流を供給するための電源からなる薬物組成物送達物品を含む。
【0313】
本明細書に記載の装置と組み合わせて使用されうる他の薬物供給物品。コーティングのさまざまな方法が当技術分野で公知であり、かつ/又は上述されている。
【0314】
電流がそれを通って流れるときに熱を生成する電気抵抗箔基板として示される例示的な加熱要素。許容されるエネルギー源は、支持体表面から組成物を完全に気化させるのに十分な温度を急速に達成する速度で、薬物コーティングされた箔基板を加熱するための電力を薬物供給物品に供給することができる。例えば、2秒の間に200℃から500℃以上の温度を達成する熱源が典型的であり、1秒以下が好ましい。選択される温度は、組成物の気化特性に依存することになると理解されるべきであるが、典型的には少なくとも約200℃、好ましくは少なくとも約250℃、より好ましくは少なくとも約300℃又は350℃の温度に加熱される。基板を加熱すると、流動ガスの存在下で所望のサイズ範囲のエアロゾル粒子を生じる薬物組成物蒸気が生成される。ガス流が存在するのは、一般に、基板を加熱する前、基板を加熱するのと同時に、又は基板を加熱した後である。一実施形態では、基板は、約1秒未満、より好ましくは約500ミリ秒未満、さらにより好ましくは約200ミリ秒未満の間加熱される。薬物-エアロゾル粒子は、肺に送達するために対象によって吸入される。
【0315】
装置はまた、固体支持体の上流に配置され、凝縮領域を通るガス流量を制限するガス流量制御弁を含むことができる。ガス流弁は、例えば、チャンバーと連通する入口ポートと、弁を横切る圧力降下を増加させながら、ポートから離れる空気流をますます迂回させる又は制限するように適合された変形可能なフラップとを含むことができる。同様に、ガス流弁は作動スイッチを含むことができる。この変形形態では、弁の動きは、弁を横切る空気圧差に応答していると思われ、これは、例えば、スイッチを閉じるように機能しうる。ガス流弁はまた、チャンバーへの空気流量を制限するように設計されたオリフィスを含むことができる。
【0316】
装置はまた、使用者がチャンバーに空気を引き込む際に、ガス流量制御弁によって生成される空気流の減少を相殺するために、ユニットの下流のチャンバーと連通するバイパス弁を含むことができる。このようにして、バイパス弁はガス制御弁と一緒に機能して、チャンバーの凝縮領域を通る流れ及び装置を通って引き込まれる空気の総量を制御しうる。したがって、この変形形態の装置を通る総体積空気流量は、ガス制御弁を通る体積空気流量及びバイパス弁を通る体積空気流量の合計であることになる。
【0317】
ガス制御弁は、例えば、装置に引き込まれる空気を予め選択されたレベル、例えば15L/分に制限するように機能しうる。このようにして、所望のサイズの粒子を生成するための空気流を予め選択して生成することができる。例えば、この選択された空気流レベルに達すると、装置に引き込まれた追加の空気は、バイパス弁を横切って圧力降下を生み出しことになり、それを受けて、バイパス弁を通って使用者の口に隣接する装置の下流端部への空気流を収容することになる。したがって、使用者は、2つの弁が所望の空気流量とバイパス空気流量の間の総空気流を分散させることで、呼吸が深く吸い込まれていることを感知する。
【0318】
これらの弁は、チャンバーの凝縮領域を通るガスの速度を制御するため、したがって生成されたエアロゾル粒子の粒子径を制御するために使用される。典型的には、空気流が速いほど粒子は小さくなる。したがって、より小さい又はより大きい粒子を得るために、チャンバーの凝縮領域を通るガス速度は、体積空気流量を増加又は減少させるようにガス流制御弁を加減することによって変えることができる。例えば、約1~3.5μmのMMADのサイズ範囲の凝縮粒子を生成するために、表面が実質的に滑らかな壁を有するチャンバーは、1~10L/分の範囲で選択されたガス流量を有することになる。
【0319】
くわえて、当業者であれば理解するであろうように、粒子径は、所与の体積流量に対してガスの線速度を増加又は減少させるようにチャンバー凝縮領域の断面を修正することよって、及び/又はチャンバー内に乱流を引き起こす構造物の有無によって変えることができる。したがって、例えば10~100nmのMMADのサイズ範囲の凝縮粒子を生成するために、チャンバーは、凝縮チャンバー内に空気の乱流を作り出すためのガス流障壁を設けることができる。典型的には、これらの障壁は、基板表面から数千分の1インチ以内に配置される。粒子径は、以下でより詳細に論じられる。
【0320】
薬物組成物の膜の厚さ
典型的には、基板上にコーティングされた薬物組成物膜は、約0.05~30μmの厚さ、典型的には0.1~30μmの厚さを有する。より典型的には、厚さは約0.2~30μmであり、さらにより典型的には、厚さは約0.5~30μmであり、最も典型的には、厚さは約0.5~25μmの間である。典型的には、任意の所与の薬物組成物の望ましい膜厚は、縮合エアロゾル組成物の所望の収率及び純度が選択される、又は既知である段階的な手順(iterative process)によって決定される。
【0321】
例えば、粒子の純度が望ましいものよりも低い場合、又は収率パーセントが望ましいものよりも低い場合、薬物膜の厚さは、最初の膜厚とは異なる厚さに調整される。次いで、調整された膜厚で純度及び収率が決定され、所望の純度及び収率が達成されるまで、この手順が繰り返される。適切な膜厚が選択された後、治療的に有効な投与量をもたらすのに必要な基板の面積が決定される。
【0322】
一般に、所与の薬物組成物のための膜厚は、基板を加熱することによって薬物組成物を気化させ、ガス流にその蒸気を乗せて運ぶことによって形成される薬物-エアロゾル粒子が、(i)10%重量以下、より好ましくは5%重量以下、最も好ましくは2.5%重量以下の薬物-分解生成物、及び(ii)少なくとも50%の膜に含まれる薬物組成物の総量を有するようなものである。薬物組成物膜が形成される基板の領域は、さらに後述されるように、薬物エアロゾルの有効なヒト治療投与量を達成するように選択される。
【0323】
薬物膜の厚さを決定するために、使用できる1つの方法は、基板の面積を求め、以下の関係を用いて薬物膜厚を計算する方法である。
膜厚(cm)=薬物質量(g)/[薬物密度(g/cm3)×基板面積(cm2)]
【0324】
薬物の質量は、薬物膜の形成前後に基板を秤量することによって、又は薬物を抽出してその量を分析的に測定することによって決定することができる。薬物密度は、当業者に公知である、又は文献若しくはCRC Handbook of Chemistry and Physicsなどの参考文献に見られるさまざまな技術によって実験的に測定することができる。実際の薬物濃度が不明な場合には、単位密度を仮定することが許容される。
【0325】
既知の厚さの薬物膜を有する基板を、熱蒸気を発生させるのに十分な温度に加熱した。熱蒸気の全部又は一部を回収し、薬物分解生成物の有無を分析して、熱蒸気中のエアロゾル粒子の純度を測定した。膜厚とエアロゾル粒子の純度との間には明確な関係があり、膜厚が減少すると純度が上がる。
【0326】
10%以下の薬物分解生成物を含むエアロゾル粒子(すなわち90%以上のエアロゾル粒子純度)をもたらす薬物膜厚の選択にくわえて、膜厚は、基板が膜を気化するのに十分な温度まで加熱されたときに、膜に含まれる薬物組成の総量の少なくとも約50%が気化するように選択される。
【0327】
より純度の高いエアロゾルを得るためには、より少ない量の薬物をコーティングし、より薄い加熱する膜を得るか、又は代替的に、同じ量の薬物をより大きい表面積に使用することができる。一般的に、上述のように薬物膜の厚さが極端に薄い場合を除いて、膜厚の線形的な減少は、不純物の線形的な減少と関連している。
【0328】
したがって、エアロゾルが、膜厚の増加に伴い、特に0.05~30μmを超える厚さで、薬物分解生成物のレベルの増加を示す薬物組成物の場合、基板上の膜厚は、典型的には0.05~30μm、例えば薬物分解が5%未満の粒子エアロゾルの形成を可能にするこの範囲内の最大又は最大に近い厚さであることになる。
【0329】
別のアプローチは、アルゴン、窒素、ヘリウムなどの不活性ガスの制御された雰囲気下で熱蒸気を形成することによって、所望のレベルの薬物組成物純度を有する薬物-エアロゾル粒子の生成を企図する。
【0330】
いったん所望の純度と収率が達成される、又はエアロゾル純度対膜厚のグラフから推定でき、対応する膜厚が決定されると、治療的に有効な投与量をもたらすのに必要な基板の面積が決定される。
【0331】
基板面積
上述のように、基板表面積の表面積は、治療的に有効な投与量をもたらすのに十分であるように選択される。治療投与量をもたらす薬物の量は、当該技術分野で公知であり、以下にさらに論じられる。上述の必要な投与量及び選択された膜厚は、次の関係に従って最小必要基板面積を規定する。
膜厚(cm)×薬物密度(g/cm3)×基板面積(cm2)=投与量(g)
又は
基板面積(cm2=投与量(g)/[膜厚(cm)×薬物密度(g/cm3)]
【0332】
薬物質量は、薬物膜の形成前後の基板を秤量することによって、又は薬物を抽出し、分析的にその量を測定することによって決定することができる。薬物密度は、さまざまなよく知られた技術によって実験的に決定できる、又は文献若しくはCRCなどの参考文献に記載されていることがある。実際の薬物密度が不明な場合には、単位密度を仮定することが許容される。
【0333】
有効なヒト治療投与量を投与できる熱伝導性基板上の薬物膜からなる薬物供給物品を作るためには、最小基板表面積は、薬物エアロゾルの治療投与量をもたらすことになる選択された膜厚に対する基板面積を決定する上記の関係を用いて決定される。
【0334】
いくつかの変形形態では、選択された基板表面積は約0.05~500cm2である。他では、表面積は約0.05~300cm2である。一実施形態では、基板表面積は0.05~0.5cm2である。一実施形態では、基板表面積は0.1cm~0.2cm2である。薬物供給物品から送達される薬物の実際の投与量、すなわち、百分収率又は放出百分率は、他の要因とともに、基板の加熱に際し気化する薬物膜の%割合に依存する。したがって、100%の薬物膜を加熱した際に得られる薬物膜及び100%の薬物純度を有するエアロゾル粒子については、上記の投与量と、厚さ、面積の間の関係は、使用者に与えられる量に直接相関する。百分収率及び/又は粒子純度が低下するにつれて、基板面積の調整が必要に応じて行われて、所望の投与量をもたらすことができる。また、当業者であれば認識するであろうように、特定の膜厚に対する最小の算出面積以外のより大きな基板面積を用いて、薬物の治療的に有効な投与量を送達することができる。さらに、当業者には理解できるように、選択された表面積が、選択された膜厚から治療投与量を送達するのに必要な最小値を超える場合、膜は全表面積をコーティングする必要はない。
【0335】
薬物含有エアロゾルの投与量
エアロゾルで送達される薬物の投与量とは、定義された条件下で薬物を加熱し、その蒸気を冷却し、結果として生じたエアロゾルを送達することによって生成される単位投与量を指す。「単位投与量」とは、所与の量の吸入されたエアロゾル中の薬物の総量である。単位投与量は、エアロゾルを集め、本明細書に記載の組成物を分析し、エアロゾルの分析結果を、既知の量の薬物を含有する一連の参照標準物質の分析結果と比較することによって決定することができる。エアロゾルとして送達するための出発組成物中に必要な薬物又は(複数の)薬物の量は、加熱時に熱蒸気相に入る薬物又は(複数の)薬物の量(すなわち出発薬物又は(複数の)薬物によって生成される投与量)、エアロゾル薬物又は(複数の)薬物のバイオアベイラビリティー、患者の吸入の量、及び血漿薬物濃度に応じたエアロゾル薬物又は(複数の)薬物の効力に依存する。
【0336】
動物実験や用量設定(第I/II相)治験などの方法を用いて、特定の病態を治療するための薬物含有エアロゾルの適切な投与量を決定することができる。これらの実験はまた、エアロゾルの肺毒性の可能性を評価するためにも使用されうる。1つの動物実験は、動物がエアロゾルに曝露された後の薬物の血漿濃度を測定するものである。イヌや霊長類などの哺乳類の呼吸器系はヒトのものと類似しており、典型的にはヒトに対する試験結果の正確な推定を可能にするので、典型的にはそれらの哺乳類がかかる試験に使用される。一般に、ヒトでの試験の初期投与量レベルは、ヒトにおける治療効果に関連する血漿薬物レベルをもたらした哺乳動物モデルでの投与量より少ないか、又はそれと同じである。次いで、最適な治療反応が得られるか、又は用量制限毒性に当たるまで、ヒトでの用量漸増が行われる。特定の患者に対する薬物の実際の有効量は、用いられる特定の薬物又はそれらの組み合せ、製剤化される特定の組成物、投与の様式、並びに患者の年齢、体重、及び状態、並びに治療されるエピソードの重症度に応じて変わりうる。
【0337】
粒子径
肺への効率的なエアロゾルの送達には、粒子が一定の浸透及び沈降又は拡散の特性を有することを必要とする。肺深部への沈着は重力沈降によって起こり、粒子が質量中央空気動力学径(MMAD)として定義される有効な沈降サイズ、典型的には1~3.5μmを有する必要がある。より小さい粒子の場合、肺深部への沈着は、10~100nm、典型的には20~100nmの範囲の粒子径を有することを必要とする拡散プロセスによって起こる。肺深部への送達のための吸入薬物送達装置は、これら2つのサイズ範囲のうちの1つ、好ましくは約0.1~3μmのMMADの粒子を有するエアロゾルを生成すべきである。他の変形形態では、エアロゾルMMADは5μm未満である。典型的には、所望のMMADを有する粒子を生成するために、ガス又は空気を一定の流量で固体支持体の上を通過させる。
【0338】
凝縮の間、エアロゾルのMMADは時間とともに増加する。典型的には、本発明の変形形態では、MMADは、蒸気がキャリアガスとの接触によって冷却されて凝縮するにつれて0.01~3μmのサイズ範囲内で増加し、次いでエアロゾル粒子が互いに衝突してより大きな粒子に固まるにつれてさらに増加する。最も典型的には、MMADは1秒未満で<0.5ミクロンから>1ミクロンになる。したがって、典型的には、粒子に凝縮した直後に、凝縮エアロゾルMMADは、少なくとも1秒に1回、多くの場合、1秒に少なくとも2、4、8、又は20回に2倍になる。他の変形形態では、MMADは0.1~3μmのサイズ範囲内で増加する。
【0339】
典型的には、流量が多いほど、形成される粒子は小さくなる。したがって、より小さい又はより大きい粒子を得るために、送達装置の凝縮領域を通る流量を変えることができる。所望の粒子径は、混合物の個数濃度が約109個の粒子/mLに達したときに所望の粒子径が達成されるような比率で、その蒸気状態の化合物を大量のキャリアガスに混合することによって達成される。この個数濃度での粒子成長は、単回の深い吸入という状況において粒子径が「安定」であると考えるのに十分に遅い。これは、例えば、ガス流量制御弁を加減して体積空気流量を増減させることによって行うことができる。具体的には、気化薬物上のガス流量を1~10L/分の範囲、好ましくは2~8L/分の範囲とすることを選択することによって、0.1~3μmのMMADのサイズ範囲の凝縮粒子を生成することができる。
【0340】
くわえて、当業者であれば理解するであろうように、粒子径は、チャンバー凝縮領域の断面を修正して、所与の体積流量に対する線形ガス速度を増加又は減少させることによっても変えることができる。さらに、粒子径は、チャンバー内に乱流をもたらす構造の有無によっても変えることができる。したがって、例えば、サイズ範囲10~100nmのMMADで凝縮粒子を生成するために、チャンバーは、凝縮チャンバー内に空気乱流を作り出すためのガス流障壁を設けることができる。典型的には、これらの障壁は基板表面から数千分の一インチ以内に配置される。
【0341】
薬物含有エアロゾルの分析
薬物含有エアロゾルの純度は、多くのさまざまな方法を用いて決定することができる。「純度」という用語が使用される場合、それはエアロゾルのパーセンテージからその形成において生成される副生成物のパーセンテージを引いたものを指すことに留意すべきである。例えば、副生成物は、気化の間に生成されるそれらの不要な生成物である。例えば、副生成物には、熱分解生成物及び活性化合物若しくは(複数の)化合物の任意の不要代謝物が含まれる。エアロゾル純度を決定するための好適な方法の例は、Sekine et al., Journal of Forensic Science 32:1271-1280 (1987)及びMartin et al., Journal of Analytic Toxicology 13:158-162 (1989)に記載されている。
【0342】
1つの適切な方法は、トラップを使用するものである。この方法では、副生成物のパーセント又は割合を決定するために、エアロゾルをトラップに集める。任意の好適なトラップを使用することができる。好適なトラップとしては、フィルター、グラスウール、インピンジャー、溶媒トラップ、コールドトラップなどが挙げられる。多くの場合、フィルターが最も望ましい。典型的には、次いでトラップは、溶媒、例えばアセトニトリルで抽出され、抽出物は、当該技術分野で公知のさまざまな分析方法のいずれか、例えば、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、及び特に有用な高速液体クロマトグラフィーによる分析に供される。
【0343】
典型的には、ガスクロマトグラフィー法又は液体クロマトグラフィー法は、質量分析検出器又は紫外吸収検出器などの検出器システムを含む。理想的には、検出器システムにより、薬物組成物の成分の量及び副生成物の量の重量での決定が可能になる。これは実際には、医薬組成物又は副生成物の成分の1つ又は複数の既知の質量(標準)を分析して得られた信号を測定し、エアロゾルを分析して得られた信号と標準を分析して得られた信号を比較することによって達成される。これは当該技術分野で周知のアプローチである。
【0344】
多くの場合、副生成物の構造は知られていない可能性があるか、又はその標準が利用できない可能性がある。そのような場合、副生成物の重量分率は、それが薬物組成物中の薬物成分又は(複数の)成分に対して同一の応答係数(例えば、紫外吸収検出用、同一の消散係数)を有すると仮定することによって計算することができる。そのような分析を行う場合、薬物化合物の非常に小さな画分よりも少ない、例えば薬物化合物の0.1%又は0.03%未満存在する副生成物は、典型的には除外される。副生成物の重量百分率を計算する際には、薬物と副生成物の間で同一の応答係数を仮定することが必要となることが多いので、そのような仮定が妥当である確率が高い分析アプローチを用いることがより望ましいことが多い。この点に関して、225nmでの紫外線の吸収で検出する高速液体クロマトグラフィーが典型的には望ましい。250nmでのUV吸収は、化合物が250nmでより強く吸収する場合の化合物の検出のために、又は250nmでの検出が、HPLC分析を用いて重量で純度を推定する最も適切な手段であると当業者であれば考えるであろう他の理由のために使用することができる。UVによる薬物の分析が実行可能でないある種特定の場合には、GC/MS又はLC/MSなどの他の分析ツールを用いて純度を決定することができる。
【0345】
組成物の気化が起こるガスを変えることも純度に影響を与える可能性がある。
【0346】
他の分析方法
薬物含有エアロゾルの粒度分布は、当該技術分野での任意の好適な方法(例えばカスケードインパクション(cascade impaction))を用いて測定することができる。インダクションポート(USP induction port、MSP Corporation、ミネソタ州ショアビュー)によって気化装置に連結された次世代カスケードインパクター(Next Generation Cascade Impactor)(MSP Corporation、ミネソタ州ショアビュー)は、カスケードインパクション研究に使用されるシステムの1つである。
【0347】
吸入可能なエアロゾルの質量密度は、例えば、吸入装置を介して薬物含有エアロゾルを密閉チャンバー内に送達し、チャンバー内に集められた質量を測定することによって決定することができる。典型的には、エアロゾルは、チャンバーが装置よりも低圧である、装置とチャンバーの間の圧力勾配を有することによってチャンバーに引き込まれる。チャンバーの容積は、おおよそ吸入患者の吸入量になるべきであり、典型的には約2~4リットルである。
【0348】
吸入可能なエアロゾル薬物質量密度は、例えば、吸入装置を介して薬物含有エアロゾルを密閉チャンバー内に送達し、チャンバー内に集められた活性薬物化合物の量を測定することによって決定することができる。典型的には、エアロゾルは、チャンバーが装置よりも低圧である、装置とチャンバーの間の圧力勾配を有することによってチャンバーに引き込まれる。チャンバーの容積は、おおよそ吸入患者の吸入量になるべきであり、典型的には約2~4リットルである。チャンバーに集められた活性薬物化合物の量は、チャンバーを抽出し、抽出物のクロマトグラフィー分析を行い、クロマトグラフィー分析の結果を、既知の量の薬物を含有する標準物質の結果と比較することによって決定される。
【0349】
吸入可能なエアロゾル粒子濃度は、例えば、吸入装置を介してエアロゾル相薬物を密閉チャンバーに送達し、チャンバーに集められた所与のサイズの粒子の数を測定することによって決定することができる。所与のサイズの粒子の数は、粒子の光散乱特性に基づいて直接測定することができる。代替的に、所与のサイズの粒子の数は、所与のサイズの範囲内の粒子の質量を測定し、その質量に基づいて粒子の数を次のように計算することによって決定することができる。粒子の総数=各サイズ範囲の粒子の数の和(サイズ範囲1~サイズ範囲N)。所与のサイズ範囲の粒子の数=サイズ範囲の質量/サイズ範囲の典型的な粒子の質量。所与のサイズ範囲の典型的な粒子の質量=π*D3*φ/6、ここで、Dは、単位μmの、サイズ範囲での典型的な粒子径(一般にサイズ範囲を規定する平均境界MMAD)であり、φは粒子密度(g/mL)を表し、質量はピコグラム(g-12)の単位で与えられる。
【0350】
吸入可能なエアロゾル粒子形成の速度は、例えば、吸入装置を介してエアロゾル相薬物を密閉チャンバーに送達することによって決定することができる。送達は、設定された時間(例えば3秒)にわたって行われ、チャンバーに集められた所与のサイズの粒子の数は、上記で概説したように決定される。粒子形成の速度は、集められた10nm~5ミクロンの粒子の数を収集時間の長さで割ったものに等しい。
【0351】
エアロゾル形成の速度は、例えば、吸入装置を介してエアロゾル相薬物を密閉チャンバーに送達することによって決定することができる。送達は、設定された時間(例えば3秒)にわたって行われ、集められた粒子状物質の質量は、粒子状物質の送達の前後に、閉じ込められたチャンバーを秤量することによって決定される。エアロゾル形成の速度は、チャンバー内の質量の増加を収集時間の長さで割ったものに等しい。代替的に、送達装置又はその構成要素の質量の変化が、エアロゾル相粒子状物質の放出を通してのみ起こりうる場合、粒子状物質の質量は、エアロゾルの送達の間に装置又は構成要素から失われる質量に匹敵しうる。この場合、エアロゾル形成の速度は、送達事象の間の装置又は構成要素の質量の減少を送達事象の長さで割ったものに等しい。
【0352】
薬物エアロゾルの形成の速度は、例えば、設定された時間(例えば3秒)にわたって吸入装置を介して薬物含有エアロゾルを閉じ込められたチャンバーに送達することによって決定することができる。エアロゾルが純粋な薬物である場合、チャンバーに集められた薬物の量は上記のように測定される。エアロゾル形成の速度は、チャンバー内に集められた薬物の量を収集時間の長さで割ったものに等しい。薬物含有エアロゾルが薬学的に許容される賦形剤を含む場合、エアロゾル形成の速度をエアロゾル中の薬物のパーセント割合と掛けることによって、薬物エアロゾル形成の速度が得られる。
【0353】
気化温度の制御
温度に対して感受性がある薬物を用いた好適な凝縮エアロゾルの生成は、さまざまな転移点に関連する温度を特定すること、及びそれら温度を回避すること(例えば、HClが250℃~280℃で解離する可能性があるアポモルヒネ塩酸塩半水和物の場合など)、又は不純物の生成を最小限に抑える正確に制御された温度プロファイルに温度を向けることのいずれかを含む。この範囲を著しく超える温度に薬物が暴露されると、エアロゾルの純度は低下する。箔基板が過剰に加熱されるのを防止するために、箔基板の温度のランプアップ速度は、箔基板の温度が気化のための目標温度を超えるのを防ぐためにいつ膜基板への高電流の流れの供給を止めるかを決定するために特徴付けられる。
図1を参照されたい。
【0354】
気化される薬物の量を最大にするために、吸入された空気が箔基板上を通過するときに生じる箔基板からの放射熱損失及び対流熱損失は、追加のエネルギーを供給することによってオフセットされなければならない。いったん目標温度に達すると、パルス電流が、特定の周波数で箔基板に印加されて安定した温度を維持する(
図2)。パルス化しないと、箔基板の温度は急速に低下し、放出量の減少をもたらすことになる。パルス化の代わりになるのは、定電流を供給することであり、その定電流は、追加の加熱を引き起こさない程度に十分に小さく、冷却を防ぐのに十分に大きい。
【0355】
基板温度に対する薬物の応答に応じて、上記のプラトー加熱は定率(プラトー加熱若しくは温度/時間の変化なし)制御され、又はタンパード冷却又は負の傾斜率(
図3)、又は連続的加熱若しくは正の傾斜率(
図4)(温度/時間の変化)で、気化プロセスを最適化することができる。
【0356】
本開示は、任意選択で、米国特許第7913688号に記載のものなどのバイパス空気流の設計の使用を含み、対流熱損失率を減少させて薬物のより一貫した気化を可能にするために箔基板上を通過する空気の流量を制御することができる。箔基板の厚さは0.0005~0.002インチであることができる。いくつかの変形形態では、箔基板の厚さは0.0005~0.0015インチであることができる。いくつかの変形形態では、箔基板の厚さは0.0005~0.0010インチであることができる。
【0357】
ランプアップ速度の温度
アポモルヒネ塩酸塩半水和物場合、箔基板が気化温度に迅速に達して特定の低温への薬物の曝露を最小限に抑えることが重要である。約250℃~280℃の温度範囲では、塩酸塩(HCl)がアポモルヒネから解離する可能性がある。アポモルヒネからのHClの解離を防ぐために、アポモルヒネ塩酸塩半水和物がこの温度ウィンドウ(250℃~280℃)に曝される時間を最小限に抑えることが重要である。
【0358】
気化温度は300ms以下で到達される(
図1)。これは、エネルギーを蓄え、次いで急速にエネルギー(大電流)を放出できるスーパーキャパシタを使用することによって達成される。
【0359】
スーパーキャパシタは、標準的な電源又は電池からのエネルギーを用いて充電する(エネルギーを予め入れる)ことができる。
【0360】
代替的に、十分に高いCレートをもつ電池を使用して、箔基板を300ms以下で加熱するための電気エネルギーの急速な放出をもたらすこともできる。Cレートは、電池の最大容量に相対的な、電池が放電される速度の尺度である。これは、放電電流を、電池が1時間で公称定格容量を送ることになる理論上の消費電流で割った値として定義される。
【0361】
箔基板を加熱するのに必要なエネルギーを減らすために、かつ、温度の急速な上昇を達成するのを助けるために、薄いステンレス鋼箔基板が、熱質量を最小にするために使用される。発熱化学反応を用いて箔基板を加熱するために凝縮エアロゾルシステムで使用される箔基板の厚さは、典型的には、約102~127μm(0.004インチ~0.005インチ)の範囲の厚さである。電気抵抗加熱システムでは、13~38μm(0.0005インチ~0.002インチ)程度の厚さのより薄い箔基板が、ランプアップ温度の段階中のコントローラーの電力要件を低減するのにより適している。
【0362】
箔基板の設計
本発明の一実施形態では、導電性箔基板は、約40mm×30mmの長方形であり、箔基板の2つの対向する端が、各端の全長に沿ってフレックス回路又はプリント回路基板に電気的に接続される(
図6~8)。箔基板は、装置筐体の上半分及び下半分によって支えられる空気通路に配置される。電気的に接続された端は、空気通路内の空気流の主方向に平行に走る。箔基板の他の2つの端は、空気通路内の空気流の主方向に対して垂直に走り、支えられていない。
【0363】
空気通路内の空気流への曝露の結果として吸入中に生じる箔基板からの対流熱損失は、箔基板の表面上に望ましくない温度勾配を生じさせて、箔基板の表面上に局所的な高温箇所及び低温箇所を発生させる。薬物の気化の間、箔基板上の高温箇所は純度に悪影響を与え、低温箇所は放出量効率に悪影響を与える。
【0364】
薬物の最適な気化のために箔基板上の温度勾配を減らすように、さまざまな方法を用いることができる。代替的に、基板の高温領域及び低温領域での薬物のコーティングを避けることによって、箔基板表面上の温度勾配の周りで機能するようにシステムを設計することができる。
【0365】
本発明の一実施形態では、空気流が箔基板上に均一に分散して、箔基板表面上でより均一な対流熱損失をもたらすように、箔基板の上流に配置された穴のあいた隔壁を通して空気流を導くことによって、箔基板上を流れる空気中に乱流が誘導される(
図16)。
【0366】
本発明の別の実施形態では、空気流が箔基板上に均一に分散して、箔基板表面上のより均一な対流熱損失を提供するように、箔基板の上流及び近傍の空気通路の内面にさまざまな形状の表面突起を含むことによって、箔基板上を流れる空気中に乱流が誘導される(
図17)。
【0367】
本発明の別の実施形態では、空気流が箔基板上に均一に分散して、箔基板表面上のより均一な対流熱損失をもたらすように、相応の量の空気流を箔基板の特定の領域に向けるために流路(206)が空気通路に使用される(
図16)。
【0368】
本発明の別の実施形態では、導電性熱伝達によって生じる局所的な低温箇所又は高温箇所の広がりを防止又は低減するための、箔基板にランダム又は非ランダムなパターンで配置された一連の円形、角丸長方形又は他の形状の穴などのカットアウトフィーチャー(cutout features)の形態の熱伝導障壁(
図12)。
【0369】
本発明の別の実施形態では、導電性熱伝達によって生じる局所的な低温箇所又は高温箇所の広がりを防止又は低減するための、箔基板に配置された一連のスリットなどのカットアウトフィーチャーの形態の熱伝導障壁。スリットは、空気流に対して異なる向きで異なる幅を有する線状、蛇行状、山形などであることができる(
図9~
図11)。
【0370】
本発明の別の実施形態では、箔基板は、薬物コーティングの基価のための所望の目標温度を一貫して達成できる領域として特徴付けられた箔基板の特定の領域でのみコーティングされる。例えば、コーティング領域は、箔基板の前半分(コーティングされた領域の幾何中心は、箔基板(209)の上流端よりも下流端により近い)を少なくとも部分的にコーティングする(
図13)、又は箔基板の後ろ半分(コーティングされた領域の幾何中心は、箔基板(209)の下流端よりも上流端により近い)を少なくとも部分的にコーティングする(
図14)ように画定されうる。コーティング領域は、正方形、長方形、台形、三日月形、又は薬物がコーティングされる領域が薬物の気化に最適な表面温度をもつ領域に限定されるような他の形状(
図15a及び15b)であることができる。
【実施例0371】
以下の実施例は、例示の目的でのみ提供され、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0372】
実施例1:最適なコーティング領域を決定するための箔基板のサーマルマッピング
箔基板を通って十分な電流が流れると、箔の固有の電気抵抗により、箔基板表面の温度が上昇する。装置を通る空気流の非存在下では、
図20に見られるように、箔基板表面全体の温度は比較的均一になる。
【0373】
エアロゾル薬物送達装置として機能するためには、装置を通して患者によって吸入される空気は、加熱された箔基板上を流れて、形成される蒸気及び凝縮エアロゾル粒子を乗せて運び、空気通路を通してエアロゾルを装置のマウスピースに移動させ、次いで、深肺部への薬物の送達のために患者に入っていくように導かれる。箔基板上を流れる空気は、一般に、空気通路の中心に向かって最も高い流速を有し、空気通路の端に向かって最も低い流速を有する放物線的な流速プロファイルに従う。したがって、箔基板から空気への対流熱伝達率は、空気流速度がより高い箔基板の中心に向かって高くなる。また、箔基板の薄い部分が空気流の方向と平行に配置されているので、箔基板の上流端は非加熱の室温の空気によって冷却される。空気が箔基板上を流れると、箔基板からの対流熱伝達により空気の温度が上昇する。結果として、空気の温度と箔基板表面の間の差に正比例する対流熱伝達率は、空気が箔基板の上流端から下流端に向かうにつれて低下する。放物線的な流速プロファイルと、箔基板の上流端で発生する高い熱伝達率の組み合わせによって、箔基板全体に温度勾配が生じる。
【0374】
この熱伝達現象を経験的に捉えるために、装置を通る空気流の存在下で加熱中の箔基板の温度を、サーマルカメラを用いてモニターした。箔基板表面の温度をサーマルカメラで測定できるように、装置のハウジングを改造して、可視波長と赤外波長の吸収が極めて小さいフッ化カルシウム窓を組み入れ、その結果赤外熱測定に向けて効果的に透明であった。窓は、箔基板を見ることができるように、装置ハウジングに配置した。
図21の画像は、空気流の存在下での箔基板のサーマルマッピングを示している。
【0375】
図21では右から左に空気が流れている。図に見られるように、予想通り、箔基板の上流端の中央に向かって最大の冷却が起こっている。この情報を使用して、箔基板の最適な薬物コーティング領域を決定することができる。気化温度に対してより感受性がある薬物については、サーマルマッピングを使用して、箔基板の高温領域又は低温領域を特定することができる。薬物コーティングパターンは、最も均一な温度を示す領域のみが薬物コーティングのために選択されるように、これらの高温領域及び低温領域を避けるように設計することができる。
実施例2:薬物
凝縮エアロゾルを作り出すための気化プロセスに関連する温度プロファイルに対して感受性がある1つの薬物は、HClが~250℃から始まる温度で解離する可能性があり、気化が約260℃より高い温度で起こるアポモルヒネ塩酸塩半水和物である。本発明は、箔基板から薬物を気化させるために正確に制御された温度プロファイルを提供することによって、純度90%以上のアポモルヒネ塩酸塩半水和物を有する凝縮エアロゾルの生成を可能にする。アポモルヒネは気化温度に対して感受性があり、基板温度が260℃から400℃に上昇すると純度の著しく低下を示す。したがって、アポモルヒネは気化温度感受性薬物であると考えられている。
図19は、気化温度がエアロゾルの純度に影響を与える気化温度に対して感受性がある薬物の例を示す。一方、ロキサピン、フェンタニル、ザレプロン及びアルプラゾラムで生成されたエアロゾルの純度は、広い範囲の気化温度にわたって高いままである。
図18は、気化温度に対して感受性があるではない薬物で生成された凝縮エアロゾルの典型的な放出量及び純度を示す。ロキサピンの場合、約330℃~470℃の範囲の気化温度で純度は99%以上である。また、放出量も約330℃~470℃でかなり安定している。ザレプロンも同様であり、放出量は安定しており、同様の温度範囲で純度は99%以上である。フェンタニルの場合、エアロゾルの純度は一貫して~99%であり、放出量は約300℃~500℃の温度範囲で90%以上である。同様に、広い範囲の基板温度(350℃~450℃)にわたって、アルプラゾラムエアロゾルの純度は、~99%で高いままであり、放出量もまた、約90%で比較的安定である。アポモルヒネの放出量は20%でありうる。代替的に、約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%でありうる。アポモルヒネの分解生成物は、10%以下の範囲にある。
【0376】
実施例3:電池
電池モデル番号SLPB8043128H(
図22)などのKokamの電池は、ハンドヘルド装置に適したコンパクトなサイズ(43mm×128mm×7.6mm)で、軽量(84g)であり、適度な容量(3.2Ah)を有し、公称電圧3.7V、連続Cレーティング20を有する。この特定のバッテリーは、連続放電電流能力が64Aで、ピーク放電電流能力が128Aである。直列に接続されたこれらの電池のうち3つは、凝縮エアロゾルを生成するのに必要なエネルギーを供給するのに十分である。カスタムサイズのリチウムポリマー電池を使用すれば、よりコンパクトな装置レイアウトが可能になるであろう。
【0377】
実施例4:レーザー溶接
ステンレス鋼箔基板の電気抵抗加熱を特徴付けるために、プラスチック製のハウジングを改造して、凝縮エアロゾル薬物送達装置を組み立てた。ハウジング側面の長方形の部分を切り取り、フッ化カルシウム窓に換えて、赤外線サーマルカメラに使用によって加熱中の箔基板の熱画像を捉えることを可能にした。
図27を参照されたい。
【0378】
サーマルカメラは、10ms毎(1秒に100画像)に熱画像を撮影するように設定した。
図28を参照されたい。
【0379】
図29は、箔基板の上と下を流れている30LPMの空気流の存在下で、電気抵抗加熱を開始した~200ms後に、フレックス回路の銅トレースにはんだ付けされたさまざまな箔基板の構成の熱画像を示す。画像では、空気の流れは右から左である。薄い色の領域は局所的な高温ゾーンを示し、濃い領域は低温ゾーンを示す。これらの画像は、銅とステンレスの間に達成されたはんだ付けの質の低さが、どのように一貫性のない電気的接続性をもたらし、結果として、箔基板の不均一な加熱をもたらすかを示す。
【0380】
図30は、箔基板の上と下を流れている30LPMの空気流の存在下で、電気抵抗加熱を開始した後、複数の時点でフレックス回路の銅トレースにレーザー溶接された箔基板の熱画像を示す。これらの画像では、空気の流れは右から左である。図に見られるように、ステンレス鋼箔基板がフレックス回路にレーザー溶接されている場合、基板の上を流れる空気からの対流冷却が上流端を冷却するまで、基板の表面全体の温度は均一である。
【0381】
さまざまな実施形態の記載は、図示及び説明を目的として提示されているが、挙げられたものがすべてであること、又は本発明を開示された形態に限定することを意図したものではない。本発明の範囲は、以下の請求項の範囲によってのみ限定される。多くの修正及び変形が当業者には明らかであろう。図に記載され、示された実施形態は、本発明の原理、実用的な適用を説明し、当業者の他の者が、企図された特定の使用に適しているようにさまざまな修正を含むさまざまな実施形態に関して本発明を理解できるようにするために選択及び記載された。本明細書で引用された参考文献はすべて、参照によりその全体が組み込まれる。
【0382】
図中の参照番号は以下を意味する。
【0383】
100:ハンドヘルド医療装置
【0384】
101:左側のLED
【0385】
102:右側又は第2のLED
【0386】
103:カートリッジスロット
【0387】
103A:キーイング機能
【0388】
104:LCDディスプレイ(オプション)
【0389】
105:電池
【0390】
106:プリント回路基板(PCB)
【0391】
107:グリル付き空気入口
【0392】
108:装置筐体
【0393】
200:単回投与使い捨てカートリッジ
【0394】
201:コネクター及び空気流インターフェース
【0395】
202:空気出口、この場合はマウスピースとして適合
【0396】
203:カートリッジ内の空気通路を画定する空気流の方向
【0397】
204:投与カートリッジのフレックス回路のための支持の例としてのスティフナー
【0398】
205:空気入口用空気圧シールガスケット
【0399】
206:穴のあいた隔壁
【0400】
207:箔基板に電流を流すフレックス回路
【0401】
208:箔基板に通電するための電気コネクター
【0402】
209:箔基板
【0403】
210:箔基板上に薬物組成物をコーティングした領域(片面でも両面でもよい)
【0404】
211:箔基板に電流を流すためのPCB内のトレース
【0405】
212:線形スリット
【0406】
213:山形スリット
【0407】
214:蛇行状スリット
【0408】
215:穴
【0409】
216:箔基板の下流端に向かって偏った薬物組成物のコーティング領域
【0410】
217:箔基板の上流端に向かって偏った薬物組成物のコーティング領域
【0411】
218:台形状の薬物組成物のコーティング領域
【0412】
219:高温(濃い)ゾーンを示すエアロゾル化後の箔基板の画像
【0413】
220:空気入口
【0414】
301:形状抗力
【0415】
302:層流
【0416】
303:乱流
必要な温度を達成するために、前記箔基板(209)の温度を感知し、箔基板温度情報を前記電流送達装置(106)に送り込んで、電流送達を修正することによって、前記使い捨てカートリッジ(200)の前記箔基板(209)の温度を制御するための手段をさらに備え、前記手段が、前記箔基板を横切る電気抵抗の測定、光学的測定、熱電対を用いた直接接触測定を含む、請求項1~12のいずれかに記載の装置。
前記装置(100)の前記空気出口(103)と前記カートリッジ(200)の前記空気入口(220)の間に、空気圧シールインターフェースをさらに備える、請求項1~13のいずれかに記載の装置。