(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026384
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】X線イメージングデータ生成装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/50 20240101AFI20240220BHJP
A61B 6/40 20240101ALI20240220BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
A61B6/50 517
A61B6/40 500J
A61B6/03 510A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023211847
(22)【出願日】2023-12-15
(62)【分割の表示】P 2021505338の分割
【原出願日】2019-08-01
(31)【優先権主張番号】18186798.7
(32)【優先日】2018-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ケーラー トマス
(72)【発明者】
【氏名】フォフトメイエール ヘレオン
(72)【発明者】
【氏名】ヤロシェンコ アンドレイ
(57)【要約】
【課題】位相コントラスト及び/又は暗視野イメージングのための改良された装置、方法及びシステムを提供する。
【解決手段】本発明は、X線画像データを生成する装置10に関する。X線源と第2の格子との間に第1の格子を位置付けることが記述される。第2の格子は、第1の格子と第3の格子との間に配置される。第3の格子は、第2の格子とX線検出器との間に配置される。対象は、第1の格子と第3の格子との間に配置される。3つの格子のうち少なくとも1つは、一定の格子ピッチを有するピッチ属性を有する。3つの格子のうち少なくとも1つは、変化する格子ピッチを有するピッチ属性を有する。隣り合う一対の格子の両方の格子は、2つの隣り合う格子間の距離が扇角の関数として一定になるように曲げられている。隣り合う一対の曲げられている格子の両方の格子は、同じピッチ属性を有する。X線検出器は、3つの格子及び対象によって透過されたX線の少なくとも一部を検出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線イメージングデータを生成する装置であって、
X線源と、
第1の格子と、
第2の格子と、
第3の格子と、
X線検出器と、を有し、
前記X線源は、X線を生成するように構成され、
前記第1の格子は、前記X線源と前記第2の格子との間に配置され、
前記第2の格子は、前記第1の格子と前記第3の格子との間に配置され、
前記第3の格子は、前記第2の格子と前記X線検出器との間に配置され、
前記第1の格子と前記第3の格子との間の領域の少なくとも一部は、対象を収容するための検査領域を形成し、
前記第1の格子又は第3の格子のいずれかが、一定の格子ピッチを有するピッチ属性を有し、
隣り合う一対の格子の両方の格子は、変化する格子ピッチを有するピッチ属性を有し、
隣り合う一対の格子の両方の格子は、当該2つの隣り合う格子間の距離が扇角の関数として一定となるように曲げられ、前記X線検出器は、前記3つの格子によって透過される前記X線の少なくとも一部を検出するように構成される、装置。
【請求項2】
曲げられていない前記格子は、平面格子である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
曲げられている前記隣り合う一対の格子は、前記第1の格子及び前記第2の格子である、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の格子及び前記第2の格子は、変化する格子ピッチを有するピッチ属性を有する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第2の格子及び前記第3の格子は、変化する格子ピッチを有するピッチ属性を有する、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
曲げられている前記隣り合う一対の格子は、前記第2の格子及び前記第3の格子である、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の格子及び前記第2の格子は、変化する格子ピッチを有するピッチ属性を有する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第2の格子及び前記第3の格子は、変化する格子ピッチを有するピッチ属性を有する、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記X線イメージングデータは、暗視野又は位相コントラストイメージングデータを含む、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
対象をX線イメージングするシステムであって、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のX線イメージングデータを生成する装置と、
処理ユニットと、
出力ユニットと、を有し、
前記処理ユニットは、前記装置を制御するように構成されるとともに、前記出力ユニットを制御するように構成され、
前記X線検出器は、前記処理ユニットに、前記X線の検出に関するデータを提供するように構成され、
前記出力ユニットは、前記対象を表すデータを出力するように構成される、システム。
【請求項11】
前記システムが、放射線撮影又はCTシステムである、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
X線イメージングデータを生成する方法であって、
a)X線源と第2の格子との間に第1の格子を位置付けるステップと、
b)前記第1の格子と第3の格子との間に前記第2の格子を位置付けるステップと、
c)前記第2の格子とX線検出器との間に第3の格子を位置付けるステップと、
d)前記第1の格子と前記第3の格子との間に対象を位置付けるステップであって、
前記第1の格子又は前記第3の格子のいずれかは、一定の格子ピッチを有するピッチ属性を有し、
隣り合う一対の格子の両方の格子は、変化する格子ピッチを有するピッチ属性を有し、
隣り合う一対の格子の両方の格子は、当該2つの隣り合う格子間の距離が扇角の関数として一定となるように曲げられている、ステップと、
e)前記3つの格子及び対象によって透過されるX線の少なくとも一部を、前記X線検出器によって検出するステップと、
を有する方法。
【請求項13】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の装置を制御するための、及び/又は、請求項10又は11に記載のシステムを制御するためのコンピュータプログラムであって、前記プロセッサによって実行される場合、請求項12に記載の方法を実行する、コンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線イメージングデータを生成する装置、X線イメージングデータを生成する方法、並びにコンピュータプログラム要素及びコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
位相差コントラスト及び暗視野イメージング(DPCI及びDFI)は、X線装置コンピュータトモグラフィ(CT)及びX線撮影システムの診断品質を向上させる可能性が高い有望な技術である。例えば、暗視野X線(DAX)画像は、COPD、肺線維症、肺癌などの肺疾患を診断する領域で、大きな可能性を秘めた新しいモダリティである。DAXイメージングの基本概念は、タルボロー型干渉計を使用すること、すなわち、X線ビームに3つの光子G0、G1、G2を加えることである。対象は、G0格子とG1格子との間、又はG1格子とG2格子との間のいずれかに配置することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
米国特許出願公開第2016/0135769A号公報は、X線位相コントラストイメージング(PCI)のためのシステム及び方法を記載する。撮像される対象と検出器との間に準周期的な位相格子が位置付けられることができ、位相格子と検出器との間にアナライザ格子が位置付けられることができることが記述されている。また、近軸フレネルキルヒホッフ回折理論を用いたX線位相取り出しのための2次近似モデルについても記述されている。位相コントラスト画像又は暗視野画像を再構成するために、反復的な方法が使用されることができることが記述されている。
【0004】
DAXシステムの構成における主要な課題の1つは、アナライザ格子G2である。理想的には、検出器領域全体(例えば43cm×43cm)を覆わなければならず、高度に減衰させなければならない(例えば>90%)。同時に、ピッチ(おおよそ15~40マイクロメートルの周期)もなお要求される。これらの要件の全てを合わせると、格子ラメラを光源に集束させなければならないことは明らかである。
【0005】
最先端の格子製造は「リソグラフィ、電気メッキ及び成形」LIGA技術に基づくが、しかしながら、この技術は、格子のサイズが制限されているので、シンクロトロンへのアクセスが必要であること、又は格子タイルで作業する必要があることなど、いくつかの制限及び欠点を有している。一方で、散乱防止グリッドを製造するために今日確立されている箔積層の成熟した技術がある。この分野の最近の進歩のほとんどは、この技術で望ましい格子周期に到達することが可能であることを示している。
【0006】
箔積層における最近の進歩は、G2に関してこの技術を使用する方法を開くことができるが、G0(ピッチがより小さいため)及びG1(これは位相格子であるため)のためにその技術を使用することは実現可能ではない。LIGAにより製作した格子と箔積層とを組み合わせることには、焦点の問題がある。格子がLIGA処理を用いて製造される場合、格子は本質的に平坦であり、無限遠に集束され、すなわち、全てのラメラは互いに平行である。格子の焦点は、基板を曲げることによって達成される。しかし、一方で箔積層によって製造される格子は平坦であり、予め決められた距離に直接集束される。これらの格子は非常に堅く、製造あとに焦点を変えることは不可能である。特に、無限遠に焦点を合わせた格子を製造し、あとからX線管の焦点スポットまでの所望の距離まで格子を曲げることは不可能である。
【0007】
これらの問題に対処する必要がある。
【0008】
位相コントラスト及び/又は暗視野イメージングのための改良された装置、方法及びシステムを有することは有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、独立請求項の主題によって解決され、他の実施形態が従属請求項に組み込まれる。本発明の以下に記載される態様及び例は、X線イメージングデータを生成する装置、X線イメージングデータを生成する方法、並びにコンピュータプログラム要素及びコンピュータ可読媒体にも適用されることに留意されたい。
【0010】
第1の態様によれば、X線イメージングデータを生成する装置であって、X線源と、第1の格子と、第2の格子と、第3の格子と、X線検出器と、を有する装置が提供される。
【0011】
X線源は、X線を生成するように構成される。第1の格子は、X線源と第2の格子との間に配置される。第2の格子は、第1の格子と第3の格子との間に位置している。第3の格子は、第2の格子とX線検出器との間に配置される。第1の格子と第3の格子との間の領域の少なくとも一部は、対象を収容するための検査領域を形成する。第1の格子又は第3の格子のいずれかは、一定の格子ピッチを有するピッチ属性を有する。隣り合う一対の格子の両方の格子は、変化する格子ピッチを有するピッチ属性を有する。隣り合う一対の格子の両方の格子は、2つの隣り合う格子間の距離が扇角の関数として一定になるように曲げられている。X線検出器は、3つの格子によって透過されたX線の少なくとも一部を検出するように構成される。
【0012】
換言すれば、暗視野及び/又は位相コントラスト構成のG0、G1及びG2格子が利用されるが、3つの格子のうち互いに隣り合う2つの格子が曲げられる。こうして、G0格子及びG1格子が曲げられ、又はG1格子及びG2格子が曲げられる。G0格子及びG1格子が共に、変化する格子ピッチを有し(チャープし)、G2が一定ピッチを有するか、あるいは、G1及びG2格子が、変化するピッチを有するとともに、G0が一定の格子ピッチを有する。従って、このように、G0及びG1が曲げられ且つチャープされ、G2は一定のピッチを有し、平面であることができ、あるいは、G0及びG1が曲げられ、G1及びG2はチャープされ、G0が一定のピッチを有し、G2が平面であることができ、あるいは、G1及びG2が曲げられ、G0及びG1がチャープされ、G2が一定のピッチを有し、G0が平面であることができ、あるいは、G1及びG2が、曲げられ且つチャープされ、G0が一定のピッチを有し、平面であることができる。
【0013】
このようにして、格子の製造は例えば、LIGAの利用を通して単純化される。また、このまったく新しい構成は干渉計設計の正しい動作を保証し、G0格子の個々のスリットによって生成されるフリンジパターンは、G2の位置において適切にそろえられ、そうでなければ、真に満足されない。
【0014】
曲げられた格子は、それぞれ、必要な曲率半径を有する円筒面上で曲げられることに留意されたい。
【0015】
一例として、曲げられていない格子は、平面格子である。
【0016】
一例において、曲げられている隣り合う一対の格子は、第1の格子及び第2の格子である。
【0017】
言い換えると、G0及びG1の格子は、曲がっており、G2の格子は、平面とすることができる。
【0018】
一例において、第1の格子及び第2の格子は、変化する格子ピッチを有するピッチ属性を有する。
【0019】
言い換えると、G0及びG1格子は、曲げられチャープされ、G2格子は一定のピッチを有する。
【0020】
一例において、第2の格子及び第3の格子は、変化する格子ピッチを有するピッチ属性を有する。
【0021】
言い換えると、G0及びG1格子は曲げられ、G1及びG2格子はチャープされ、G0が一定の格子ピッチを有する。
【0022】
一例において、曲げられている隣り合う一対の格子は、第2の格子及び第3の格子である。
【0023】
言い換えると、G1及びG2格子は曲げられており、G0格子は平面でありうる。
【0024】
一例において、第1の格子及び第2の格子は、変化する格子ピッチを有するピッチ属性を有する。
【0025】
言い換えると、G1及びG2格子が曲げられており、G0及びG1格子がチャープされ、G2は一定の格子ピッチを有する。
【0026】
一例において、第2の格子及び第3の格子が、変化する格子ピッチを有するピッチ属性を有する。
【0027】
言い換えると、G1とG2格子が曲げられており、変化する格子ピッチを有し、G0格子は、一定の格子ピッチを有する。
【0028】
一例において、イメージングデータは、暗視野又は位相コントラストイメージングデータを有する。
【0029】
第2の態様によれば、対象をX線イメージングするシステムであって、第1の態様によるX線イメージングデータを生成する装置と、処理ユニットと、出力ユニットと、を有するシステムが提供される。
【0030】
処理ユニットは、装置を制御するように構成され、出力ユニットを制御するように構成される。このX線検出器は、処理ユニットに、X線の検出に関するデータを提供するように構成されている。出力ユニットは、対象を表すデータを出力するように構成される。
【0031】
一例において、システムは、放射線撮影又はCTシステムである。
【0032】
第3の態様によれば、X線イメージングデータを生成する方法であって、a)X線源と第2の格子との間に第1の格子を位置付けるステップと、b)第1の格子と第3の格子との間に第2の格子を位置付けるステップと、c)第2の格子とX線検出器との間に第3の格子を位置付けるステップと、d)第1の格子と第3の格子との間に対象を位置付けるステップであって、を有し、第1の格子又は第3の格子のいずれかが、一定の格子ピッチを有するピッチ属性を有し、隣り合う一対の格子の両方の格子が、変化する格子ピッチをもつピッチ属性を有し、前記隣り合う一対の格子の両方の格子は、前記2つの隣り合う格子間の距離が扇角の関数として一定となるように、曲げられている、ステップと、e)X線検出器により、前記3つの格子及び対象によって透過されたX線の少なくとも一部を検出するステップと、を有する方法が提供される。
【0033】
別の態様によれば、コンピュータプログラム要素が処理ユニットによって実行される場合に、前述の方法ステップを実行するように適応された、コンピュータプログラム要素制御装置が提供される。
【0034】
別の態様によれば、前述したような記憶されたコンピュータ素子を有するコンピュータ可読媒体が提供される。
【0035】
コンピュータプログラム要素は、例えば、ソフトウェアプログラムであってもよいが、FPGA、PLD、又は任意の他の適切なデジタル手段であってもよい。
【0036】
有利なことに、上記の態様のいずれかによって提供される利点は、他の態様の全てに等しく適用され、その逆も同様である。
【0037】
上記の態様及び実施例は以下に記載される実施形態から明らかになり、そしてそれを参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】X線イメージングデータを生成する装置の一例の概略的な構成を示す図。
【
図2】は、X線イメージングデータを生成するシステムの一例の概略的な構成を示す図。
【
図3】X線イメージングデータを生成する方法を示す図。
【
図5】G0、G1及びG2格子を有する格子構成の一例を示す概略図。
【
図6】
図1、
図2の装置及びシステムで使用される格子構成の一例を概略的に示す図。
【
図7】
図1、
図2の装置及びシステムで使用される格子構成の一例を概略的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付図面を参照して、例示的な実施形態について説明する。
【0040】
図1は、X線イメージングデータを生成する装置10の一例を示す。装置10は、X線源20と、第1の格子30と、第2の格子40と、第3の格子50と、X線検出器60とを備える。X線源20は、X線を生成するように構成される。第1の格子30は、X線源20と第2の回折格子40との間に位置している。第2の格子40は、第1の格子30と第3の格子50との間に位置している。第3の格子50は、第2の格子40とX線検出器60との間に位置している。第1の格子と第3の格子との間の領域の少なくとも一部は、対象を収容するための検査領域を形成する。第1の格子又は第3の格子のいずれかは、一定の格子ピッチをもつピッチ属性を有する。隣り合う一対の格子の両方の格子は、変化する格子ピッチを有するピッチ属性を有する。隣り合う一対の格子の両方の格子は、扇角の関数として、2つの隣り合う格子間の距離が一定になるように曲げられる。X線検出器は、3つの格子によって透過されたX線の少なくとも一部を検出するように構成されている。
【0041】
一例において、曲げられている格子の曲率半径は、X線源の位置まで延びる。
【0042】
更に、扇角は、中心線の向きから離れるX線ビームの角度に関する。
【0043】
一例によれば、曲げられていない格子は平面格子である。
【0044】
一例によれば、曲げられている隣り合う一対の格子は、第1の格子と第2の格子である。
【0045】
一例によれば、第1の格子及び第2の格子は、変化する格子ピッチを有するピッチ属性を有する。
【0046】
一例によれば、第2の格子及び第3の格子は、変化する格子ピッチを有するピッチ属性を有する。
【0047】
一例によれば、曲げられている隣り合う一対の格子は、第2の格子及び第3の格子である。
【0048】
一例によれば、第1の格子及び第2の格子は、変化する格子ピッチを有するピッチ属性を有する。
【0049】
一例によれば、第2の格子及び第3の格子は、変化する格子ピッチを有するピッチ属性を有する。
【0050】
一例によれば、イメージングデータは、暗視野及び/又は位相コントラストイメージングデータを含む。
【0051】
図2は、対象をX線イメージングするシステム100の一例を示す。このシステムは、
図1に関して説明したように、X線イメージングデータを生成する装置10を備える。システム10は更に、処理ユニット110と、出力ユニット120とを備える。処理ユニット110は、装置10を制御するように構成されるとともに、出力ユニット120を制御するように構成される。装置10のX線検出器60は、X線の検出に関するデータを処理部110に提供するように構成される。出力ユニット120は、対象を表すデータを出力するように構成される。
【0052】
一例によれば、装置は、X線イメージング装置又はCT装置である。
【0053】
一例によれば、システムは、放射線撮影又はCTシステムである。
【0054】
図3は、その基本ステップにおいてX線イメージングデータを生成する方法200を示す。方法200は、ステップa)とも呼ばれる位置付けステップ210において、X線源と第2の格子との間に第1の格子を位置付けるステップと、ステップb)とも呼ばれる位置付けステップ220において、第1の格子と第3の格子との間に第2の格子を位置付けるステップと、ステップc)とも呼ばれる位置付けステップ230において、第2の格子とX線検出器との間に第3の格子を位置付けるステップと、ステップd)とも呼ばれる位置付けステップ240において、第1の格子と第3の格子との間に対象を位置付けるステップであって、第1の格子又は第3の格子のいずれかが一定の格子ピッチを有するピッチ属性を有し、隣り合う一対の格子の両方の格子は、変化する格子ピッチを有するピッチ属性を有し、隣り合う一対の格子の両方の格子は、2つの隣り合う格子間の距離が扇角の関数として一定になるように曲げられている、ステップと、ステップeとも呼ばれる検出ステップ250において、3つの格子及び対象によって透過されるX線の少なくとも一部をX線検出器によって検出するステップと、を有する。
【0055】
一例において、曲げられていない格子は、平面格子である。
【0056】
一例において、曲げられている隣り合う一対の格子は、第1の格子及び第2の格子である。
【0057】
一例において、第1の格子及び第2の格子は、変化する格子ピッチを有するピッチ属性を有する。
【0058】
一例において、第2の格子及び第3の格子は、変化する格子ピッチを有するピッチ属性を有する。
【0059】
一例において、曲げられている隣り合う一対の格子は、第2の格子及び第3の格子である。
【0060】
一例において、第1の格子及び第2の格子は、変化する格子ピッチを有するピッチ属性を有する。
【0061】
一例において、第2の格子及び第3の格子が変化する回折格子ピッチを有するピッチ属性を有する。
【0062】
一例において、イメージングデータは、暗視野又は位相コントラストイメージングデータを含む。
【0063】
X線イメージングデータを生成する装置、システム、及び方法が、
図4~
図7を参照してより詳細に説明される。
【0064】
図4は、光路に3つの格子が挿入されたDAX装置の概略図を示す。典型的には、G0及びG2は吸収体格子であり、G1は位相格子である。しかしながら、対象が、G0格子とG1格子との間に位置することもできる。
【0065】
図5は、格子構成を示し、G0とG1は、LIGAによって製造されたものであり(曲げにより線源に集束される)、G2は、箔の積層によって製造されたものである(平面格子の製造時に集束される)。光軸は破線で示され、異なる扇角度における2つの例示的な光線が、実線で示されている。この構成において、G0からG1までの距離は、扇角度によって変化しないが、G1からG2までの距離は変化することに留意されたい。しかし、このような構成の特徴は、特定の格子が後述するようにチャープされるまで、標準的なタルボロー干渉計の設計に適合しない。
【0066】
図6は、扇角度αにおける例示的な光線を示す。上述の問題に対処する設計に関して、簡単にするために、G1は、π/2位相格子又は吸収格子であるとする。この概念は、G2の位置における干渉パターンの周波数倍増を考慮することによって、位相格子に容易に適応されることができる。ここで、G1がπ/2位相格子又は吸収格子である状況に戻って、格子G0、G1、及びG2の周期はそれぞれ、p
0、p
1、p
2で表され、G0からG1、及びG1からG2までの距離はそれぞれ、l及びdで表される。次に、システムの適切な動作のために、以下の関係が成り立たなければならない:
及び
【0067】
これらの関係は、G0の個々のスリットによって生成される縞パターンがG2の位置に適切に整列することを保証するので、これらの関係が適切な動作のために必要とされることに留意されたい。通常、システムの設計エネルギーに関連する別の関係、すなわち、以下の関係があることに注意されたい。
ここで、λは、システムの設計エネルギーの波長である。背景技術のセクションに記載されているように、LIGAによって製造された格子を使用することは最先端技術であり、全ての格子は一定の周期をもつ。これらの格子は、すべて平坦であるか、又は曲げによってすべて集束される。式1及び式2は、両方の状況に当てはまることに留意されたい。しかしながら、
図6に示すシナリオでは、その状況により、それは成り立たない。
図6に示すような光線を考える。このジオメトリでは、焦点スポットからG0までの距離l及びgは、αに依存せず、dは、次式に従ってαに依存する:
【0068】
次いで、格子G0及びG1は、チャープ周期で作製される。上記の式が与えられる場合、G0の周期は、
である。G1の期間は、
である。
【0069】
格子構造、従ってLIGAを用いて製造される格子の周期は、周期のこのような変調を容易に与えることができるリソグラフィ工程で製造されることに留意されたい。
【0070】
図6に戻って、G0とG1が曲げられ及びチャープし、G2が平面であり、及び一定の格子ピッチを有するのではなく、G0とG1が曲げられ、G2は平面であり、G0は一定の格子ピッチを有することができ、G1とG2はチャープすることができる。
【0071】
そして、上記の式を用いて、必要な周期p1とp2が、扇角αの関数として決定されることができる。
【0072】
更に、G0及びG1を曲げ、G2を平面にするのではなく、
図7に示すように、G0は平面であってもよく、G1及びG2は曲げられてもよい。次に、G0及びG1はチャープされ、G2が一定のピッチを有する場合を考える場合、必要な変化する格子ピッチを計算するために、以下が適用される:
【0073】
しかしながら、再び
図7を参照すると、G0は一定のピッチを有することができ、G1及びG2はチャープされることができる。この場合、変化する格子ピッチを計算するために以下が適用される:
【0074】
別の例示的な実施形態では、適切なシステム上で、前述の実施形態のうちの1つによる方法の方法ステップを実行するように構成されることを特徴とするコンピュータプログラム又はコンピュータプログラム要素が提供される。
【0075】
従って、コンピュータプログラム要素は、本実施形態の一部でありうるコンピュータユニットに記憶されることができる。この計算ユニットは、上述の方法のステップを実行するように又はその実行を引き起こすように構成されることができる。更に、計算ユニットは、上述した装置及び/又はシステムのコンポーネントを動作させるように構成されることができる。計算ユニットは、自動的に動作するように、及び/又はユーザの命令を実行するように構成されることができる。コンピュータプログラムは、データプロセッサの作業メモリにロードされることができる。従って、データプロセッサは、前述の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように装備されてもよい。
【0076】
本発明のこの例示的な実施形態は、最初から本発明を使用するコンピュータプログラムと、更新によって既存のプログラムを本発明を使用するプログラムに変えるコンピュータプログラムとの両方を包含する。
【0077】
更に、コンピュータプログラム要素は、上述の方法の例示的な実施形態のプロシージャを満たすために必要な全てのステップを提供することができる。
【0078】
本発明の他の例示的な実施形態によれば、CD-ROM、USBスティックなどのコンピュータ可読媒体が提示され、かかるコンピュータ可読媒体は、前述のセクションによって説明されたコンピュータプログラム要素を、その上に記憶する。
【0079】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に又はその一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体上に記憶され及び/又は配布されることができるが、他の形態で、又はインターネット又は他の有線もしくは無線電気通信システムなどを介して配布されることもできる。
【0080】
しかしながら、コンピュータプログラムは、ワールドワイドウェブのようなネットワークを通じて提示されることもでき、そのようなネットワークからデータプロセッサの作業メモリにダウンロードされることもできる。本発明の更なる例示的な実施形態によれば、コンピュータプログラム要素をダウンロードのために利用可能にするための媒体が提供され、このコンピュータプログラム要素は、本発明の前述の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように構成される。
【0081】
本発明の実施形態は、それぞれ異なる主題を参照して説明されることに留意されたい。特に、いくつかの実施形態は、方法タイプの請求項を参照して説明され、他の実施形態は、装置タイプの請求項を参照して説明される。しかしながら、当業者は、上記及び下記の説明から、別段の特記がない限り、1つのタイプの主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる主題に関する特徴間の任意の組み合わせも、本出願で開示されると考えられることを理解するのであろう。しかしながら、全ての特徴を組み合わせて、特徴の単純な合計よりも高い相乗効果を提供することができる。
【0082】
本発明は、図面及び前述の説明において詳しく図示され説明されてきたが、そのような図示及び説明は、例示的又は説明的であり、限定的ではないと考えられるべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形は、図面、開示及び従属請求項の検討から、請求項に記載の発明を実施する際に当業者によって理解され達成されることができる。
【0083】
請求項において、単語「有する、含む(comprising)」は、他の構成要素又はステップを排除せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数性を排除しない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、請求項の中で言及される幾つかの項目の機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項において言及されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。請求項におけるいかなる参照符号も、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線イメージングデータを生成する装置であって、
X線源と、
第1の格子と、
第2の格子と、
第3の格子と、
X線検出器と、を有し、
前記X線源は、X線を生成するように構成され、
前記第1の格子は、前記X線源と前記第2の格子との間に配置され、
前記第2の格子は、前記第1の格子と前記第3の格子との間に配置され、
前記第3の格子は、前記第2の格子と前記X線検出器との間に配置され、
前記第1の格子と前記第3の格子との間の領域の少なくとも一部は、対象を収容するための検査領域を形成し、
前記第1の格子又は第3の格子のいずれかが、一定の格子ピッチを有するピッチ属性を有し、
隣り合う一対の格子の両方の格子は、変化する格子ピッチを有するピッチ属性を有し、
隣り合う一対の格子の両方の格子は、当該2つの隣り合う格子間の距離が扇角の関数として一定となるように曲げられ、前記X線検出器は、前記3つの格子によって透過される前記X線の少なくとも一部を検出するように構成され、
曲げられている前記隣り合う一対の格子は、前記第2の格子及び前記第3の格子である、
装置。
【請求項2】
曲げられていない前記格子は、平面格子である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の格子及び前記第2の格子は、変化する格子ピッチを有するピッチ属性を有する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記第2の格子及び前記第3の格子は、変化する格子ピッチを有するピッチ属性を有する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項5】
前記X線イメージングデータは、暗視野又は位相コントラストイメージングデータを含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
対象をX線イメージングするシステムであって、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のX線イメージングデータを生成する装置と、
処理ユニットと、
出力ユニットと、を有し、
前記処理ユニットは、前記装置を制御するように構成されるとともに、前記出力ユニットを制御するように構成され、
前記X線検出器は、前記処理ユニットに、前記X線の検出に関するデータを提供するように構成され、
前記出力ユニットは、前記対象を表すデータを出力するように構成される、システム。
【請求項7】
前記システムが、放射線撮影又はCTシステムである、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
X線イメージングデータを生成する方法であって、
a)X線源と第2の格子との間に第1の格子を位置付けるステップと、
b)前記第1の格子と第3の格子との間に前記第2の格子を位置付けるステップと、
c)前記第2の格子とX線検出器との間に第3の格子を位置付けるステップと、
d)前記第1の格子と前記第3の格子との間に対象を位置付けるステップと、
e)前記3つの格子及び対象によって透過されるX線の少なくとも一部を、前記X線検出器によって検出するステップと、
を有し、
前記第1の格子又は前記第3の格子のいずれかは、一定の格子ピッチを有するピッチ属性を有し、
隣り合う一対の格子の両方の格子は、変化する格子ピッチを有するピッチ属性を有し、
隣り合う一対の格子の両方の格子は、当該2つの隣り合う格子間の距離が扇角の関数として一定となるように曲げられており
曲げられている前記隣り合う一対の格子は、前記第2の格子及び前記第3の格子である、
方法。
【請求項9】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の装置を制御するための、及び/又は、請求項6又は7に記載のシステムを制御するためのコンピュータプログラムであって、前記プロセッサによって実行される場合、請求項8に記載の方法を実行する、コンピュータプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読媒体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0083
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0083】
請求項において、単語「有する、含む(comprising)」は、他の構成要素又はステップを排除せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数性を排除しない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、請求項の中で言及される幾つかの項目の機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項において言及されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。請求項におけるいかなる参照符号も、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
以下、本願発明の形態に関して付記を示す。
(付記1)
X線イメージングデータを生成する装置であって、
X線源と、
第1の格子と、
第2の格子と、
第3の格子と、
X線検出器と、を有し、
前記X線源は、X線を生成するように構成され、
前記第1の格子は、前記X線源と前記第2の格子との間に配置され、
前記第2の格子は、前記第1の格子と前記第3の格子との間に配置され、
前記第3の格子は、前記第2の格子と前記X線検出器との間に配置され、
前記第1の格子と前記第3の格子との間の領域の少なくとも一部は、対象を収容するための検査領域を形成し、
前記第1の格子又は第3の格子のいずれかが、一定の格子ピッチを有するピッチ属性を有し、
隣り合う一対の格子の両方の格子は、変化する格子ピッチを有するピッチ属性を有し、
隣り合う一対の格子の両方の格子は、当該2つの隣り合う格子間の距離が扇角の関数として一定となるように曲げられ、前記X線検出器は、前記3つの格子によって透過される前記X線の少なくとも一部を検出するように構成される、装置。
(付記2)
曲げられていない前記格子は、平面格子である、付記1に記載の装置。
(付記3)
曲げられている前記隣り合う一対の格子は、前記第1の格子及び前記第2の格子である、付記1又は2に記載の装置。
(付記4)
前記第1の格子及び前記第2の格子は、変化する格子ピッチを有するピッチ属性を有する、付記3に記載の装置。
(付記5)
前記第2の格子及び前記第3の格子は、変化する格子ピッチを有するピッチ属性を有する、付記3に記載の装置。
(付記6)
曲げられている前記隣り合う一対の格子は、前記第2の格子及び前記第3の格子である、付記1又は2に記載の装置。
(付記7)
前記第1の格子及び前記第2の格子は、変化する格子ピッチを有するピッチ属性を有する、付記6に記載の装置。
(付記8)
前記第2の格子及び前記第3の格子は、変化する格子ピッチを有するピッチ属性を有する、付記6に記載の装置。
(付記9)
前記X線イメージングデータは、暗視野又は位相コントラストイメージングデータを含む、付記1乃至8のいずれか1つに記載の装置。
(付記10)
対象をX線イメージングするシステムであって、
付記1乃至9のいずれか1項に記載のX線イメージングデータを生成する装置と、
処理ユニットと、
出力ユニットと、を有し、
前記処理ユニットは、前記装置を制御するように構成されるとともに、前記出力ユニットを制御するように構成され、
前記X線検出器は、前記処理ユニットに、前記X線の検出に関するデータを提供するように構成され、
前記出力ユニットは、前記対象を表すデータを出力するように構成される、システム。
(付記11)
前記システムが、放射線撮影又はCTシステムである、付記10に記載のシステム。
(付記12)
X線イメージングデータを生成する方法であって、
a)X線源と第2の格子との間に第1の格子を位置付けるステップと、
b)前記第1の格子と第3の格子との間に前記第2の格子を位置付けるステップと、
c)前記第2の格子とX線検出器との間に第3の格子を位置付けるステップと、
d)前記第1の格子と前記第3の格子との間に対象を位置付けるステップであって、
前記第1の格子又は前記第3の格子のいずれかは、一定の格子ピッチを有するピッチ属性を有し、
隣り合う一対の格子の両方の格子は、変化する格子ピッチを有するピッチ属性を有し、
隣り合う一対の格子の両方の格子は、当該2つの隣り合う格子間の距離が扇角の関数として一定となるように曲げられている、ステップと、
e)前記3つの格子及び対象によって透過されるX線の少なくとも一部を、前記X線検出器によって検出するステップと、
を有する方法。
(付記13)
付記1乃至9のいずれか1項に記載の装置を制御するための、及び/又は、付記10又は11に記載のシステムを制御するためのコンピュータプログラムであって、前記プロセッサによって実行される場合、付記12に記載の方法を実行する、コンピュータプログラム。
(付記14)
付記13に記載のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読媒体。
【外国語明細書】