(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026389
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】特に鉄道線路用の線路インフラストラクチャの位置及び幾何学形状の検出のためのシステムと車両と方法
(51)【国際特許分類】
B61K 9/08 20060101AFI20240220BHJP
B61L 23/00 20060101ALI20240220BHJP
B60L 15/40 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
B61K9/08
B61L23/00 Z
B60L15/40 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023212255
(22)【出願日】2023-12-15
(62)【分割の表示】P 2021575031の分割
【原出願日】2020-05-26
(31)【優先権主張番号】102019000010209
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】521548722
【氏名又は名称】ディーエムエー エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】マッジョーラ,リッカルド
(72)【発明者】
【氏名】サルヴァドール,サラ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、鉄道インフラストラクチャのための診断システムに、特に、カテナリ及びカテナリ支柱とバラストの輪郭のような線路インフラストラクチャを検出及び監視するためのシステムに関する。
【解決手段】送受信アンテナによって線路インフラストラクチャへ電磁波を放出するとともに、線路インフラストラクチャにより反射された電磁波を受信するように構成される電磁波検出装置(2)と、線路インフラストラクチャにより反射された電磁波を処理してプリセット参照システムに対する線路インフラストラクチャの位置を判断するように構成される制御ユニットとを具備する検出システム(1)である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道線路の線路インフラストラクチャ(C,P,L,ST,B,BL)のための検出システム(1)であって、
少なくとも一つの送受信アンテナを具備する少なくとも一つの電磁波検出装置(2,2A,2B)であって、前記少なくとも一つの送受信アンテナによって線路インフラストラクチャ(C,P,L,ST,B,BL)へ電磁波を放出するとともに、前記線路インフラストラクチャ(C,P,L,ST,B,BL)により反射された電磁波を受信するように構成される電磁波検出装置(2,2A,2B)と、
前記線路インフラストラクチャ(C,P,L,ST,B,BL)により反射された前記電磁波を処理して、プリセット参照システムに対する前記線路インフラストラクチャ(C,P,L,ST,B,BL)の位置を判断するように構成される制御ユニットと、を具備し、
前記少なくとも一つの電磁波検出装置(2,2A,2B)が、鉄道車両(V)への搭載設置のために構成される、検出システム(1)。
【請求項2】
前記少なくとも一つの電磁波検出装置(2,2A,2B)が、複数の送受信アンテナを含む位相配列レーダを具備する、請求項1に記載の検出システム(1)。
【請求項3】
前記少なくとも一つの電磁波検出装置(2A,2B)が、入射軸線を有する位相配列レーダのペアを具備する、請求項2に記載の検出システム(1)。
【請求項4】
前記ペアの第1位相配列レーダ(2A)の前記送受信アンテナが、前記ペアの第2位相配列レーダ(2B)の前記送受信アンテナと比較して異なる周波数で供給される、請求項3に記載の検出システム(1)。
【請求項5】
前記少なくとも一つの電磁波検出装置(2,2A,2B)により放出された前記電磁波が衝突する前記線路インフラストラクチャ(C,P,L,ST,B,BL)に関する画像データの取得のために前記少なくとも一つの電磁波検出装置(2,2A,2B)と協働するように構成される少なくとも一つの画像取得装置(3)をさらに具備する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の検出システム(1)。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の検出システム(1)を具備する鉄道車両(V)。
【請求項7】
前記検出システムが、
前記車両の屋根に、
前記車両の車体の側面に、
前記車両の床部の直下に、
組み合わせで、又は、代替的に設置される、請求項1に記載の鉄道車両(V)。
【請求項8】
前記検出システム(1)を鉄道車両(V)に設置することと、
検出を受ける前記線路インフラストラクチャが配置される鉄道軌道上で前記鉄道車両を動かすことと、
前記少なくとも一つの電磁波検出装置(2,2A,2B)を起動させて、検出を受ける前記線路インフラストラクチャへ電磁波を向けることと、
前記制御ユニットによって、前記線路インフラストラクチャ(C,P,L,ST,B,BL)により反射された前記電磁波を処理して、プリセット参照システムに対する前記線路インフラストラクチャ(C,P,L,ST,B,BL)の位置を判断することと、を包含する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の検出システム(1)によって線路インフラストラクチャを検出するための方法。
【請求項9】
前記線路インフラストラクチャが、
架空電力線(C)と、
架空電力線(C)の支持ブラケット(B)と、
架空電力線(C)の支柱と、
前記鉄道軌道のバラスト(BL)と、
のうち少なくとも一つである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記線路インフラストラクチャが鉄道バラスト(BL)であって、プリセット参照システムに対する前記線路インフラストラクチャ(BL)の位置の判断が、特に、動いている前記鉄道車両(V)の走行方向に対して横向きの前記鉄道軌道の横断面における前記バラスト(BL)の輪郭(BLP)を判断することを包含する、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道インフラストラクチャのための診断システムに、特に、カテナリ及びカテナリ支柱とバラストの輪郭のような線路インフラストラクチャを検出及び監視するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道インフラストラクチャでは、軌道に対する架空電力線の接触ワイヤ及び重量支承ケーブルの位置の判断は、鉄道車両のパンタグラフの接触子との接点に関して正しい位置に配置されることを保証するという目的のために重要である。実際に、間違った接点幾何学形状によりパンタグラフが偶発的にワイヤに拘束され、両者の破損の可能性が最も高くなる。
図1を参照すると、架空電力線Cは重量支承ケーブル又はカテナリPを含み、複数のドロッパSによって接触ワイヤLがこれから懸架される。接触ワイヤLは、例えば
図2の断面図のケースのように一重であるか、あるいは
図3の断面図のケースのように二重でもよい。また、Zが、軌道の斜面の中央を中心とする垂直軸線を表す場合に、架空線Cは軸線Zに対して多かれ少なかれずれた位置に配置され、これは、中央線自体の片側のみで中央線から或る距離に設定されうるという事実、あるいは中央線の片側から反対側を通るという事実を意味する。
【0003】
現在、軌道に対する接触ワイヤL及び重量支承ケーブルPの位置を測定するための接触システムに基づく機器が存在する。これらは、レールの平面(軸線Y)での架空線の展開に従って、あるいはスイッチや交差部の存在により、あるいは単に引張重量によるか他の理由での熱膨張の補正の結果として変化しうる接触ワイヤLの高さと或るケースでは軌道の中央に対するその水平位置とを測定するために、通例は診断車両のパンタグラフに追加される接触センサである。
【0004】
加えて、部分的ではあるが、別の欠点は、パンタグラフとの相互作用ゆえに休止位置に対してワイヤLがシフトした作用状態のみでこの機器が架空線の位置を測定できるという事実に存する。
【0005】
言うまでもなく、作用状態での位置の測定は、診断目的ではいくらか関心を持たれるが、鉄道車両が走行している時に起こりうる欠点に関する予後的活動を可能にするのが休止位置である限り、より関心を持たれるのはこの休止位置である。
【0006】
また、一以上のワイヤLの位置をそのタイプに従って測定するように設計された非接触測定機器が多数存在する。これらの機器がパンタグラフに近接して設置されると、パンタグラフ圧力を受けた位置(つまりパンタグラフ上昇状態)と、静止又は休止位置(つまりパンタグラフ下降状態)の両方を測定できる。これらの機器は一般的に光学タイプのものであって、回転スキャナ(LIDAR)あるいは様々なタイプの光学三角測量に基づく。
【0007】
充分に正確であって、厳密には作用状態にない架空線の監視が潜在的に可能であるが、これらの機器が抱えている主な欠点は、汚損である。光学装置であるので、適切な測定を行うための透明かいずれにしても屈折性の窓を必要とする。これらの窓はいずれにしても過酷な天候条件にさらされる鉄道車両部分に配置されるので、大気中化学物質による汚損、及び/又は、グリース、泥、液体のように移動中の鉄道車両から剥がれた物質の蓄積の結果である汚損のために、極めて急速な性能低下に影響される。
【0008】
上に提示したものからは比較的無関係であるが、斜面上のバラストの横輪郭の検出も重要な側面である。バラストは、枕木、ゆえに地面に固定された軌道を保持する砕石の層である。枕木に対するバラストの高さは、かなり重要なパラメータである。材料を無駄にしないように、そして列車の通過による空気の移動で持ち上げられた石が列車又はインフラストラクチャを損傷するのを防止するように、この高さは軌道を地面に保持するのに充分でなければならないが、過大であってはならない。
【0009】
またバラストの輪郭を判断するために、上に言及されたのと同じ問題を抱える光学機器が現在使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、前述した技術的問題を解決することである。特に、本発明の目的は、大気中化学物質による汚損や車両自体の移動による異物付着に対して実質上は無影響である手法で動作を可能にする、架空線、支柱、そしてバラストの輪郭のような線路インフラストラクチャの位置を検出するためのシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、発明に関連して本明細書に提示される技術的開示の一体的部分を形成する後続の特許請求の範囲の主題を成す特徴を有するシステム、鉄道車両、そして方法により達成される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
純粋に非限定的な例として提供される添付の図を参照して、これから本発明が説明される。
【
図1】すでに説明したように、架空電力線を図示する。
【
図4】レール平面の中央に対する線路インフラストラクチャの変位例により提示される状態を図示している。
【
図5】レール平面の中央に対する線路インフラストラクチャの変位例により提示される状態を図示している。
【
図6】本発明による測定システムの実施形態を図示している。
【
図7】本発明による測定システムの実施形態を図示している。
【
図8】本発明による測定システムの別の実施形態の側面図である。
【
図9】本発明による測定システムの別の実施形態の斜視図である。
【
図10】本発明によるシステムの別の実施形態を斜視図で図示している。
【
図11】本発明によるシステムの別の実施形態を平面図で図示している。
【
図12】本発明のまた別の実施形態を図示している。
【
図13】本発明のまた別の実施形態を図示している。
【
図14】特に斜面上のバラストの輪郭を検出するように構成された本発明のまた別の実施形態を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図6及び7において、参照番号1は、本発明の様々な実施形態による鉄道インフラストラクチャのための検出システムを示している。検出システム1は少なくとも一つの電磁波検出装置2を具備し、そしてこの装置は少なくとも一つの送受信アンテナを具備する。
【0014】
図7に図示されているような幾つかの実施形態において、検出システムは、参照番号2A,2Bで示される二つの電磁波検出装置を具備しうる。各装置2,2A,2Bの少なくとも一つの送受信アンテナは、線路インフラストラクチャへ電磁波を放出するとともに、線路インフラストラクチャにより反射された電磁波を受信するように構成される。
【0015】
システム1は、好都合なことには、鉄道車両の屋根に取り付けられるが、―検出を受ける線路インフラストラクチャに応じて―他の箇所が可能である。
【0016】
好適な実施形態において、検出装置2は、特定タイプの用途のため当該の架空線Cの位置の可変範囲に適応するのに充分な振幅の角度βを波面全体が掃引できるようにプリセット位相遅延を伴う順次的な手法で供給が行われる複数の送受信アンテナを含むいわゆる位相配列タイプのレーダを具備する。
【0017】
位相配列レーダでは、プリセット位相差を有する信号が送受信アンテナのアレイに供給されると、レーダ自体の軸線に対する周知の角位相オフセットを伴う波面を発生させる。これは、位相オフセットを時間とともに変化させることにより、実際には装置2の動作範囲を規定する角度βの掃引が可能であることを意味する。
【0018】
システム1はさらに、装置2の送受信アンテナにより反射及び傍受される電磁波を表す信号を受信するとともに、プリセット参照システムに対する線路インフラストラクチャの位置を判断するように構成される電子制御ユニットCUを具備する。概して、電子制御ユニットCUは、放出された電磁波と反射された電磁波とに関する情報を包含する信号の集合体を受信する。反射した電磁波に関する信号データの処理が特に複雑であるならば、(DSP+RISC CPUと可能であればFPGAのような)専用のコンピューティングユニットによって処理が行われる。
【0019】
図6及び
図7とともに続く
図8及び11に見られるように、システム1は、診断車両または、客車、高速列車、貨車、機関車、あるいは人力の鉄道台車(例えばトロッコや同様のもの)のような、従来の乗客及び貨物用の鉄道車両全体のいずれかでありうる鉄道車両Vに搭載適用されるように構成される。鉄道車両に搭載設置されると、システム1はさらに、(例えば、ボギー台車の軸箱に対応する位置で一体化される)鉄道車両のボギー台車の輪軸に接続されるエンコーダ3(あるいは概して角度位置トランスデューサ)と協働するように構成され、こうして装置2により検出されるデータとレール平面での車両の動きとの同期化が行われる。
【0020】
特に、装置2による各取得は、エンコーダ3のパルスカウンタの読み取りも引き起こすパルスにより開始される。このようにして、車両Vが動いている軌道の延伸範囲での参照走行距離を測定に提供することが可能であり、車両V自体が走行した距離を測定することもさらに可能である。
【0021】
装置2による読み取りは極めて高速であり、装置2は、300km/時の領域の速度までの効果的な動作が可能であるようなものである。
【0022】
図6を参照すると、単一の検出装置2が設けられた本発明によるシステム1は、架空線Cの一以上の接触ワイヤLの位置のみを測定する必要がある時には常に、使用されうる。代わって、システム1が真下にある場合に接触ワイヤLにより隠されうるカテナリケーブルPも測定することが望ましい時には、
図7の解決法が好ましい。
【0023】
軌道の延伸範囲が幾何学的な不規則性又は特異性を示すケースでは、あるいは、架空線の重量支承ケーブルPがワイヤLによりマスキングされるという事実による、あるいはやはり二重ワイヤLで、2本のワイヤの一方が他方によりマスキングされるという事実による部分的又は不完全な検出を防止するために、―やはり鉄道車両の屋根へのシステム1の設置を考慮すると―、システム1は、
図7の表示に従って、つまり、車両Vの両側に配設されて入射軸線を相互的に有する少なくとも二つの電磁波検出装置2A,2B(好ましくは位相配列レーダ)とともに構築されると、より好都合である。こうすると、二つのレーダ2A,2Bの一方についてマスキング状態にある物体が他方についてはマスキング状態にない。
【0024】
しかしながら、システム1のこれらの実施形態では、誤認識事象を防止するために各レーダ2A,2Bのリターンエコーを識別する必要が生じる。
【0025】
第一の解決法は、多様な周波数について高感度であるフィルタで、反射した電磁波に対応する信号をフィルタリングすることで、容易にレーダ2Aのエコーをレーダ2Bのエコーから区別するようにして、多様な周波数を有する信号をレーダ2A,2Bに供給することに存する。
【0026】
第二の可能性は、いわゆる時分割技術、つまり特定の瞬間時間と放出及び反射電磁波との間に一対一の対応を有するように所与の時間間隔で作動する窓を各レーダ2A,2Bに割り当てることによって、レーダ2A,2B(そして機器1を構成する別のレーダ2)を制御することに存する。言い換えると、このケースでは、レーダ起動シーケンスに従って、所与の瞬間に、システム1の配列の、一つの、そして唯一のレーダが作用するという確実性が得られる。
【0027】
また別の実施形態では、―可変周波数と時分割という―二つの管理技術が互いに組み合わされるようにして、システム1のレーダ2A,2Bと使用可能な別のレーダとを制御することが可能である。
【0028】
図8を参照すると、本発明の別の実施形態において、システム1は、特に、架空線Cを支承するブラケットの位置を測定してその幾何学形状を検出するように構成される。ブラケットは、参照符号Bにより特定され、重量支承ケーブル又はカテナリPが固定された支柱STに対して片持ち梁方式で配置されたフレームを概ね具備する。このケースで、やはり好ましくは鉄道車両の屋根に配設された一以上の電磁波検出装置2に加えて、システム1は、対応の線路インフラストラクチャ(ブラケットB)をフレーミングするとともに、それ自体は周知の画像処理アルゴリズムによって、ブラケットB自体の幾何学形状の表示と、―装置2によって取得されたデータとの組み合わせで―レールの平面に対するその位置(軸Y/平面XYに対する方向Zでの高さ、軸Zは平面XYに垂直)の表示とを提供するように構成される一以上の画像取得装置4を具備すると有利である。装置2と画像取得装置4との組み合わせは、内部キャリブレーションによる幾何学的寸法を装置2が提供するが、距離、光学素子、そして画角に応じて画像の寸法が変化する限りにおいて重要である。
【0029】
図10及び11を参照すると、システム1のまた別の実施形態では、鉄道車両Vの片側に設置可能であって、支柱STの位置を検出するように構成されるレーダ2を設けることが可能である。
【0030】
このケースでも、電磁波検出装置2は好ましくは、レーダ2自体の送受信アンテナの駆動に応じて変化しうる角度βにより規定される測定範囲の中で鉄道インフラストラクチャを走査するように構成される位相配列タイプのレーダである。
【0031】
図12及び13を参照すると、システム1のまた別の実施形態では、鉄道貨車又は台車の床部に設置され、人力による、つまり地面にいる人により押し引きされ、架空線Cのワイヤ(重量支承ケーブルP又は接触ワイヤL)の位置を検出するように構成されうるレーダ2を考案することが可能である。参照パラメータは、このケースでは、貨車又は台車の床部に正接する(平面XYに平行な)平面に対する(垂直)方向Zで測定されて床部自体の平面からのシステム1の距離に対応する距離hである。
【0032】
距離hは、所望される機器の横解像度(軸線Y)に応じたものであり、所望される解像度が高くなるほど、距離hは大きくなる。このケースでも、電磁波検出装置2は好ましくは、レーダ2自体の送受信アンテナの駆動に応じて変化する角度βにより規定される測定範囲で鉄道インフラストラクチャ(架空線L)を走査するように構成される位相配列タイプのレーダである。本発明の有利な態様によれば、システム1のハードウェアは、本明細書に記載の適用例全てについて統一される、つまり、好ましくは送受信アンテナの配列は、適用例に関係なく常に同じ構造を有する。
【0033】
アンテナを駆動するための多様な信号の発生により、作用パラメータの適応化が得られる。角度βは一般的に、駆動信号に変化を加えることにより適応化されるパラメータの一つである。例を挙げると、背が低いか背が低くされた貨車、ボギー台車、又は台車により構成される車両V(距離hが小さい)のケースでは、横方向Yの当該エリアのみを常に探索するように、大きい距離hのケースよりも小さい値に角度βを設定することが好ましい。
【0034】
図14を参照すると、システム1のまた別の実施形態では、(いずれかの)鉄道車両の床部の真下に設置することが可能であり、軌道バラストBLの輪郭BLPを検出するように構成されるレーダ2を考案することが可能である。このケースで、バラストは、システム1を介して調査される線路インフラストラクチャを構成し、輪郭BPLは、各電磁波検出装置2の参照システムに対するバラストの各点の位置の包絡線に対応する。
【0035】
好適な実施形態において、システム1は3個のレーダ2を具備して、バラストBLの断面全体に適応するように車両の中心位置に一つと各側に他の二つが配設される。概して、レーダ2の数は、バラストの断面と各レーダ2の測定角度(又は測定角度範囲)βとに相応している。例として、
図14において、3個のレーダ2は、測定角度β(中心レーダ)とβ’(左側レーダ)とβ”(右側レーダ)とを有するものとして表示されている。必要性に応じて、3個の角度値は、互いに同一であるか、エリアごとに特殊である(例えばβ≠β’=β”)か、全てが互いに異なっていてもよい(β≠β’≠β”)。
【0036】
バラストBLの輪郭BLPの検出から、鉄道車両Vが走行している際に、二つの連続枕木の間の軌道セグメントあるいは一つの枕木における軌道セグメントに対応する連続的な横輪郭(つまり鉄道軌道に対して、ゆえに移動方向に対して横向きの輪郭)が求められる。後者のセグメントで検出される輪郭は、連続枕木の間の空間で検出される輪郭を処理するための参照となる。特に、制御ユニットCは、連続枕木の間の空間で検出された(ゆえにバラストのみを表す)輪郭BPLと、枕木が存在する場合に得られるものとを、前者を後者と比較して、枕木が存在する際に検出される(大部分は枕木自体の輪郭を表す)輪郭BPLに対するバラストのみの輪郭BPLの偏差を判断するという手法で認識するようにプログラムされうる。ゆえに、枕木のみが存在する際に検出された輪郭に対するバラストのみが存在する際に検出された輪郭の偏差の指標について計算が行われ、偏差の指標が、正方向(枕木の上にバラスト:石が巻き上げられることによる鉄道車両の下側への損傷のリスク)、あるいは負方向(バラストが枕木より下にあり過ぎる:斜面のシフトのリスク)に過度である時に、不具合が記録されうる。
【0037】
図14の実施形態のケースでも、システム1は、一以上の電磁波検出装置(例えばレーダ)2と協働する一以上の画像取得装置を装備しうる。
【0038】
本明細書に記載される実施形態の各々において、システム1は、
いかなるタイプ(機関車、普通客車、貨車、台車、又はトロッコ)でも、鉄道車両Vに検出システム1を設置することと、
検出を受ける線路インフラストラクチャが配置された鉄道軌道上で鉄道車両を動かすことと、
検出を受ける線路インフラストラクチャへ電磁波を向けるための少なくとも一つの電磁波検出装置(例えばレーダ2)を起動させることと、
制御ユニットによって、線路インフラストラクチャにより反射された電磁波を処理して、プリセット参照システムに対する(例えば、装置2の局所性参照システムに対する、あるいは単数の装置2又は複数の装置2の一以上の局所性参照システムに対して規定された参照システムに対する)線路インフラストラクチャの位置を判断することと、を包含する、線路インフラストラクチャの検出のための方法の実装を可能にする。
【0039】
本発明によるシステム1では、周知のタイプの光学装置にとっての難題である汚損の問題全てが解消される一方でその利点は全て維持されることを、当該分野の熟練者は認識するだろう。電磁波検出装置2は、実際に、―車両の屋根、側面、又は床部の真下に取り付けられても―汚損について実質的に無影響であり、同じく必要に応じて鉄道車両に所望通りに設置されうる。加えて、電磁波検出装置2は、鉄道車両Vの給電に関与していない線路のいかなるセグメントを測定するのにも使用されうるように、これらと架空線Cとの間の接触を必要としない。
【0040】
言うまでもなく、構造及び実施形態の詳細は、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱せずに本明細書に記載及び図示されたものから大きく変化してもよい。