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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026421
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】音響装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20240220BHJP
   G10K 11/178 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
H04R1/10 104Z
G10K11/178 100
H04R1/10 104E
H04R1/10 104A
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023214482
(22)【出願日】2023-12-20
(62)【分割の表示】P 2020570377の分割
【原出願日】2019-11-12
(31)【優先権主張番号】P 2019018482
(32)【優先日】2019-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093241
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101801
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 英治
(74)【代理人】
【識別番号】100095496
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 榮二
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】110000763
【氏名又は名称】弁理士法人大同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新免 真己
(72)【発明者】
【氏名】山邉 祐史
(72)【発明者】
【氏名】浅田 宏平
(57)【要約】
【課題】聴取者の耳に装着して用いられ、ノイズキャンセルを実施する音響装置を提供する。
【解決手段】音響装置は、外耳道と係合して、周囲音を遮音する遮音部と、前記遮音部よりも鼓膜側に配置され、音響信号を出力する発音部と、前記遮音部により周囲音を遮音する遮音位置付近に配置され、周囲音を収音する収音部と、前記収音部が収音した周囲音に応じて前記音響信号を処理する処理部と、前記発音部、前記収音部、及び前記処理部を収容するハウジングを具備する。前記遮音部は、前記ハウジングを外耳道入り口付近で支持するイヤピースからなる。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外耳道の入り口付近に配置され、周囲音を収音する収音部と、
前記収音部よりも鼓膜側に配置され、音響信号を出力する発音部と、
を具備する音響装置。
【請求項2】
外耳道と係合して周囲音を遮音する遮音部をさらに備え、
前記発音部は、前記遮音部よりも鼓膜側に配置され、
前記収音部は、前記遮音部により周囲音を遮音する遮音位置付近に配置される、
請求項1に記載の音響装置。
【請求項3】
前記収音部が収音した周囲音に応じて前記音響信号を処理する処理部をさらに備える、
請求項2に記載の音響装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記収音部が収音した周囲音に基づいてノイズキャンセリングを実施する、
請求項3に記載の音響装置。
【請求項5】
前記発音部、前記収音部、及び前記処理部を収容するハウジングをさらに有する、
請求項3に記載の音響装置。
【請求項6】
前記遮音部は、前記ハウジングを外耳道入り口付近で支持するイヤピースからなる、
請求項5記載の音響装置。
【請求項7】
前記イヤピースは、前記発音部が鼓膜側を向くように、前記ハウジングを支持する、
請求項6に記載の音響装置。
【請求項8】
前記ハウジングは、ほぼ円筒形状を有し、
前記イヤピースは、前記ハウジングの中心軸の傾斜角度が可変となるように、前記ハウジングを支持する、
請求項6に記載の音響装置。
【請求項9】
前記イヤピースは、外耳道の内壁と当接する傘部と、前記傘部内で前記ハウジングを保持する筒部を備え、前記傘部の中心軸に対する前記ハウジングの中心軸の傾斜角度が可変となるように、前記ハウジングを支持する、
請求項8に記載の音響装置。
【請求項10】
前記ハウジングは、前記イヤピースにより周囲音を遮音する遮音位置付近に、前記収音部用の音孔が穿設されている、
請求項6に記載の音響装置。
【請求項11】
前記イヤピースは、外耳道の内壁と当接する傘部と、前記傘部内で前記ハウジングを保持する筒部を備え、
前記音孔は、前記傘部の内側に配置される、
請求項10に記載の音響装置。
【請求項12】
前記イヤピースは、前記傘部内で前記ハウジングを保持する筒部を備え、
前記筒部は、前記音孔に対応する場所に開口部を有する、
請求項11に記載の音響装置。
【請求項13】
前記ハウジングは、前記発音部から出力される音響の音響特性を調整するための前面空間又は背面空間の少なくとも一方を有する、
請求項5に記載の音響装置。
【請求項14】
前記ハウジングは、前記前面空間と、前記前面空間から前記ハウジングの鼓膜側の先端まで延びる音導部を備える、
請求項13に記載の音響装置。
【請求項15】
前記ハウジングは、前記前面空間及び前記背面空間を後方に備える、
請求項13に記載の音響装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、聴取者が主に耳に装着して用いる音響装置に関する。
【背景技術】
【0002】
再生装置や受信機から出力された電気信号を耳又は鼓膜に近接されたスピーカーで音響信号に変換する小型の音響変換装置すなわちイヤホンが広く普及している。この種の音響再生装置は、着用した聴取者本人だけに聴こえるように音響を発するので、さまざまな環境で利用に供されている。
【0003】
例えば、カナル型イヤホンは、耳の穴(外耳道:ear canal)にイヤピースを深く差し込んで使用する形状である。この種のイヤホンでは、発音素子が、イヤピースの外耳道係合部から見て、鼓膜と反対側に配置されるのが一般的である(例えば、特許文献1を参照のこと)。
【0004】
また、イヤホンやヘッドホンにおいて、外部環境のノイズ(騒音)を除去し又は低減した良好な再生音場空間を提供するノイズキャンセルシステムが知られている。例えばアクティブなノイズ低減を行なうアクティブ方式のノイズ低減システムでは、マイクロホンで外来ノイズを収音し、その収音したノイズの音声信号から、ノイズとは音響的に逆相のノイズキャンセル信号を生成する。このノイズキャンセル信号を、音楽などの本来の聴取目的たる音声信号と合成してスピーカーで音響再生することによって、外来ノイズを音響的に相殺する。
【0005】
ノイズキャンセルには、フィードフォワード方式と、フィードバック方式がある。フィードフォワード方式では、耳に近い位置で収音した音(騒音)を解析、及び聴取者の鼓膜位置での騒音波形を予測して、騒音を打ち消す信号(逆位相波形)を生成する。また、フィードバック方式では、音響装置のハウジング内部に設けられたマイクによってハウジング内部で収音された音(騒音)に対してノイズキャンセリング処理を実施する(特許文献2を参照のこと)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-86281号公報
【特許文献2】特開2016-174376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書で開示する技術の目的は、聴取者の耳に装着して用いられ、ノイズキャンセルを実施する音響装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書で開示する技術は、
外耳道の入り口付近に配置され、周囲音を収音する収音部と、
前記収音部よりも鼓膜側に配置され、音響信号を出力する発音部と、
を具備する音響装置である。
【0009】
音響装置は、外耳道と係合して周囲音を遮音する遮音部をさらに備え、前記発音部は、前記遮音部よりも鼓膜側に配置され、前記収音部は、前記遮音部により周囲音を遮音する遮音位置付近に配置される。また、音響装置は、前記収音部が収音した周囲音に基づいてフィードフォワード方式のノイズキャンセリングを実施する処理部をさらに備えている。
【0010】
また、音響装置は、前記発音部、前記収音部、及び前記処理部を収容するハウジングをさらに有する。前記遮音部は、前記ハウジングを外耳道入り口付近で支持するイヤピースからなり、前記発音部が鼓膜側を向くように、前記ハウジングを支持する。
【発明の効果】
【0011】
本明細書で開示する技術によれば、聴取者の外耳道入り口付近に装着して用いられ、フィードフォワード方式によりノイズキャンセルを実施する音響装置を提供することができる。
【0012】
なお、本明細書に記載された効果は、あくまでも例示であり、本発明の効果はこれに限定されるものではない。また、本発明が、上記の効果以外に、さらに付加的な効果を奏する場合もある。
【0013】
本明細書で開示する技術のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、ノイズキャンセリングシステム100の基本的な構成例を示した図である。
図2図2は、音響装置200の外観構成を示した図である。
図3図3は、ハウジング210単体の外観構成を示した図である。
図4図4は、イヤピース250の断面構成を示した図である。
図5図5は、音響装置200の断面を示した図である。
図6図6は、音響装置200を聴取者の耳に装着した様子を示した図である。
図7図7は、音響装置200を聴取者の耳に装着した他の例を示した図である。
図8図8は、反力を低減するように構成したイヤピース250の断面を示した図である。
図9図9は、反力を低減するように構成したイヤピース250の断面(ハウジング210を装着し、且つ、ハウジング210が傾斜した場合)を示した図である。
図10図10は、反力を低減するように構成したイヤピース250の断面の他の例を示した図である。
図11図11は、反力を低減するように構成したイヤピース250の断面の他の例(ハウジング210を装着し、且つ、ハウジング210が傾斜した場合)を示した図である。
図12図12は、ハウジング210が所望しない方向には傾斜し難くなるように構成したイヤピース250の上面図である。
図13図13は、ハウジング210が所望する方向にのみ傾斜するように構成したイヤピース250の上面図である。
図14図14は、音響装置200の変形例を示した図である。
図15図15は、図14に示した音響装置200で使用されるイヤピース250の筒部252の構成例を示した図である。
図16図16は、音響装置200の他の変形例を示した図である。
図17図17は、ハウジング210内に音響特性を調整するための空間を設けた音響装置200の構成例を示した図である。
図18図18は、ハウジング210内に音響特性を調整するための空間を設けた音響装置200の他の構成例を示した図である。
図19図19は、ハウジング210内に音響特性を調整するための空間を設けた音響装置200のさらに他の構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本明細書で開示する技術の実施形態について詳細に説明する。
【0016】
本明細書では、カナル型のような、聴取者の耳に装着して用いられる、小型で、且つ、フィードフォワード方式のノイズキャンセル機能を有する音響装置について、以下で提案する。
【0017】
ノイズキャンセル機能を有する音響装置は、所望の音響信号を再生する発音部と、外部環境のノイズ(騒音)などからなる周囲音を収音する収音部と、収音部が収音した周囲音に応じて発音部から出力する音響信号を処理する処理部を備えている。
【0018】
発音部は、例えばダイナミックスピーカーやバランストアーマチュア、ピエゾ素子、又は静電型スピーカーなどの発音素子、又はこれらの複数の発音素子のいずれか2以上を組み合わせて構成される。
【0019】
所望の音響信号は、音楽などの再生信号であり、例えば、携帯型オーディオ再生機器あるいはスマートフォンやタブレットなどの多機能情報端末といった外部機器から音響装置に供給される。
【0020】
収音部は、小型のマイクロホンで構成され、発音部で音響信号を出力している最中に発生する、外部環境のノイズ(騒音)などからなる周囲音を収音する。本実施形態では、収音部はフィードフォワード方式のノイズキャンセリングに用いられるマイクロホンとする。
【0021】
処理部は、収音部で収音した周囲音に基づいて、周囲音が最小となるようなキャンセル信号を生成する。具体的には、収音部で収音した周囲音の信号の波形を解析して、周囲音を打ち消す逆位相の信号を発生させ、周囲音にこの逆位相の信号を重ねることによって周囲音を打ち消すようにする。これによって、鼓膜位置での周囲音を低減する。フィードフォワード方式の場合、処理部では、周囲音が鼓膜に到達した際にどのような波形になるのかを推測し、その推測結果に基づいて、周囲音が最小になるようなキャンセル信号を生成する。
【0022】
図1には、ノイズキャンセリングシステム100の基本的な構成例を示している。以下、各部について説明する。図示のノイズキャンセリングシステム100は、発音部としてのドライバーユニット110と、収音部としてのマイクロホン120と、処理部としての信号処理部130を備えている。
【0023】
信号処理部130は、DSP(Digital Signal Processor)131と、システムコントローラ132を備えている。DSP131は、システムコントローラ132の制御下で、音響信号の処理を実行する。
【0024】
音楽ソースの再生信号は、オーディオ入力端子(図示しない)を介してノイズキャンセリングシステム100に取り込まれると、AD変換器(ADC)133でデジタル変換した後に、DSP131に入力される。ここで言う音楽ソースは、携帯型オーディオ再生機器あるいはスマートフォンやタブレットなどの多機能情報端末といった外部機器などである。但し、音響ソースがBluetooth(登録商標)やWi-Fiなどの無線により再生信号を伝送する場合には、オーディオ入力端子及びAD変換器133に代えて、無線インターフェースを装備すればよい。
【0025】
また、マイクロホン120で収音された外部環境のノイズ(騒音)などからなる周囲音信号は、マイクロホンアンプ121で増幅され、さらにAD変換器(ADC)134でデジタル変換した後に、DSP131に入力される。
【0026】
DSP131内では、イコライザ135が、音楽ソースからの再生信号の周波数特性を整える。また、ノイズキャンセルエンジン部136が、マイクロホン120から取り込まれた周囲音の信号の波形を解析して、周囲音を打ち消す逆位相のキャンセル信号を発生させる。本実施形態では、フィードフォワード方式によるノイズキャンセルを実施するので、ノイズキャンセルエンジン部136は、聴取者の鼓膜位置での周囲音の波形を予測して、周囲音を打ち消すキャンセル信号を発生させる。なお、ノイズキャンセルエンジン部136は、ソフトウェア処理により実装することができる。そして、合成部137は、波形整形した後の再生信号にキャンセル信号を加算して、合成信号を生成する。
【0027】
DSP131から出力される合成信号は、DA変換器(DAC)でアナログ変換し、さらにイヤホンアンプ111で増幅した後、ドライバーユニット110から音響出力される。ドライバーユニット110から出力された音響信号は、周囲音とともに、聴取者の鼓膜に到達する。ここで、音響信号には、周囲音と逆位相のキャンセル信号が重畳されている(前述)。このため、周囲音にこのキャンセル信号が重なることによって、周囲音のみが打ち消されるので、聴取者は静かに音楽などを楽しむことが可能になる。
【0028】
マイクロホン120で観測される周囲音信号と、実際に鼓膜に到達する周囲音との相関が大きいほど、ノイズキャンセリングの効果が大きい。したがって、マイクロホン120を外耳道内又は外耳道入り口付近に配置することで、マイクロホン120で観測される周囲音と鼓膜に到達する周囲音との相関をより大きくすることができる。
【0029】
本明細書で提案するノイズキャンセル機能付きの音響装置は、カナル型のような、聴取者の耳に装着して用いられることを想定している。この種の小型の音響装置は、一般に、イヤピースを使って外耳道入り口付近に差し込んで用いられる。この場合、周囲音はある程度イヤピースで遮音されるので、イヤピースから漏れ込んでくる周囲音が実際に鼓膜に到達する周囲音の多くを占める。したがって、マイクロホン120は、周囲音を遮音する遮音位置付近、言い換えればイヤピース付近に配置されることが、マイクロホン120で観測される周囲音信号と鼓膜に到達する周囲音との相関が大きくなり、ノイズキャンセリングの効果が大きくなる、ということができる。
【0030】
また、本明細書で提案する音響装置は、フィードフォワード方式のノイズキャンセル機能を有することを想定している。フィードフォワード方式のノイズキャンセリングを実施する際、ドライバーユニット110と鼓膜間を音波が伝搬する時間t1と、周囲音がマイクロホン120の近傍から鼓膜へと伝搬する時間t2と、マイクロホン120で観測された周囲音信号の処理時間t3の関係により、ノイズキャンセリングの効果を得られる周波数帯域が決定する。なお、時間t3は、信号処理部130内で、マイクロホン120の入力信号を解析し、キャンセル信号を生成して、合成部137により再生信号にキャンセル信号を加算して出力する所要時間に相当する。ノイズキャンセリングシステム100における、キャンセルされるべき周囲音に対するシステム入出力の時間ずれΔtは、以下の式(1)で表される。
【0031】
【数1】
【0032】
例えば、ある周波数において20dB以上のノイズキャンセリング量を確保しようとした場合には、上記の遅延Δtがキャンセルしようとする信号の位相5度相当以内に抑える必要があると考えられる。
【0033】
フィードフォワード方式では、イヤホン(若しくはヘッドホン)の外部にマイクロホン120が配置されるが、外耳道より大きく外側に配置すると、マイクロホン120で観測される周囲音と鼓膜に到達する周囲音の相関が小さくなるため、好ましくない。マイクロホン120の位置を(遮音位置付近で)一定とした場合、時間t2が一定となるので、ドライバーユニット110と鼓膜間を音波が伝搬する時間t1が短いほど、ノイズキャンセリングの効果を得られる周波数帯域は高域まで拡大する。
【0034】
一般的なノイズキャンセリングイヤホンでは、発音素子が、イヤピースの外耳道係合部から見て、鼓膜と反対側に配置され(例えば、特許文献1を参照のこと)、発音素子から鼓膜側に伸びる音導部を有し、音導部にイヤピースが取り付けられる構造である。この場合、イヤピースの長さ分だけ音波の伝搬時間がかかってしまう。また、周囲音検出用のマイクロホンは、外耳道より大きく外側に配置されることになる。
【0035】
これに対し、本明細書で提案する音響装置は、外耳道と係合して周囲音を遮音する遮音部としてのイヤピースと、イヤピースよりも鼓膜側に配置され、音楽などの再生信号を出力する発音部としてのドライバーユニット110と、イヤピースにより周囲音を遮音する遮音位置付近に配置され、周囲音を収音する収音部としてのマイクロホン120と、マイクロホン120が観測した周囲音に応じて再生信号を処理する信号処理部130と、これらドライバーユニット110、マイクロホン120及び信号処理部130を収容するハウジングで構成される。
【0036】
本明細書で提案する音響装置では、ドライバーユニット110は、イヤピースの外耳道との係合部よりも鼓膜側に配置される。したがって、ドライバーユニット110と鼓膜間の距離が短縮することにより、ドライバーユニット110から出力される音波の伝搬経路での位相遅延が低減されるので、ノイズキャンセリングの効果を得られる周波数帯域は高域まで拡大することができる。ドライバーユニット110がイヤピースによる遮音位置よりも鼓膜寄りに配置されることで、遅延による影響を抑制して、ノイズキャンセリングの効果を高めことができる、ということもできる。
【0037】
また、本明細書で提案する音響装置では、マイクロホン120がイヤピースにより周囲音を遮音する遮音位置付近にて配置される。キャンセルしたいノイズは、イヤピースから漏れ込んで鼓膜まで到達する周囲音である。したがって、マイクロホン120を遮音位置付近に最適に配置することにより、実際にキャンセルしたい周囲音をマイクロホン120で観測することが可能になる。すなわち、マイクロホン120で観測される周囲音信号と鼓膜に到達する周囲音との相関が大きくなり、ノイズキャンセリングの効果が大きくすることができる。
【0038】
付言すれば、キャンセルする対象となる、イヤピースから漏れ込んで鼓膜まで到達する周囲音は、実際には、音響装置を装着した聴取者の耳介や頭部並びに身体からの反射の影響を受けた音響信号である。本実施形態では、マイクロホン120が配置される遮音位置とは外耳道の入り口付近に相当するので、マイクロホン120は音響装置を装着した聴取者の耳介や頭部並びに身体からの反射の影響を受けた周囲音を観測することができ、この観点からも、ノイズキャンセリングの効果を高めることができる。
【0039】
図2には、本実施形態に係る音響装置200の外観構成を示している。音響装置200は、ハウジング210と、イヤピース250からなる。
【0040】
ハウジング210は、ドライバーユニット110と、マイクロホン120と、信号処理部130と、これら各部の駆動電源としての電池を内蔵している(いずれも、図2では図示しない)。また、ハウジング210には、携帯型オーディオ再生機器あるいはスマートフォンやタブレットなどの多機能情報端末といった外部機器(音楽ソース)から再生信号を取り込むためのイヤホンケーブルが接続されることもあるが、図2では簡素化のため図示を省略している。
【0041】
図3には、ハウジング210単体の外観構成を示している。ハウジング210は、中空の円筒形状をなし、内部にドライバーユニット110と、マイクロホン120と、信号処理部130と、これら各部の駆動電源としての電池を内蔵している。ハウジング210は、弾性若しくは可塑性のあるシリコンゴムやエラストマー、又はABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)などのプラスチック、若しくは金属などで構成される。
【0042】
図3中には、音響素子としてのドライバーユニット110及びマイクロホン120の配置例をそれぞれ破線で示している。ドライバーユニット110の位置は、イヤピース250の外耳道との係合部よりも鼓膜側となる。また、マイクロホン120の位置は、イヤピース250により周囲音を遮音する遮音位置付近となる。ハウジング210のマイクロホン120を配置した位置付近の壁面には、マイクロホン120が周囲音を取り込むための1以上の音孔211が穿設されている。
【0043】
図4には、イヤピース250の断面構成を示している。イヤピース250は、外耳道の内壁と係合する傘部251と、ハウジング210を保持する筒部252で構成される。イヤピース250は、弾性若しくは可塑性のあるシリコンゴムやエラストマーなどで構成される。
【0044】
図5には、イヤピース250の断面に、ハウジング210を取り付けた様子を示している。ハウジング210及びイヤピース250はともに、ほぼ回転形状であり、ハウジング210の中心軸がイヤピース250の中心軸とほぼ一致するように、ハウジング210は筒部252によって支持されている。イヤピース250は楕円形状又は外耳道形状に沿う形状でもよい。また、ハウジング210がイヤピース250に取り付けられた状態において、当該音響装置200が聴取者の耳に装着された際には、ドライバーユニット110の位置は、イヤピース250の外耳道との係合部よりも鼓膜側となり、マイクロホン120の位置は、イヤピース250により周囲音を遮音する遮音位置付近となる。
【0045】
図6には、図2図5に示した音響装置200を聴取者の耳に装着した様子を示している。外耳道は、入口から鼓膜まで約2.5~3センチメートルあり、異物の侵入を防ぐためにS字状に曲がっている。入口に近い方の曲がりは第1カーブ、奥の方は第2カーブと呼ばれている。したがって、音響装置200は、外耳道(第1カーブ)に沿った形状でなければ、奥深くまで挿入することができない。奥深くまで挿入できなければ、ドライバーユニット110と鼓膜間の距離が長くなり、その分だけ音波の伝搬時間t1が長くなるため、ノイズキャンセリングの効果が低下する。
【0046】
ハウジング210の中心軸がイヤピース250の中心軸に対して(少なくとも一定の角度の範囲で)任意の角度に傾斜できるように、音響装置200を構成すれば、外耳道のより深くまで(言い換えれば、鼓膜の近くまで)、音響装置200を挿入することが可能になる。
【0047】
図7には、音響装置200を聴取者の耳に装着した他の例を示している。ここでは、イヤピース250に対するハウジング210の中心軸701が可変となるように構成されている。外耳道(第1カーブ)の形状に沿うように、ハウジング210の中心軸701がイヤピース250の中心軸702に対して傾斜することによって、音響装置200を、図6に示した例よりも、外耳道の奥深くまで挿入することができる。
【0048】
図4に示したように、イヤピース250は、外耳道の内壁と当接する傘部251と、筒部252を備えている。そして、中空の筒部252にハウジング210を挿入することによって、ハウジング210はイヤピース250に支持されている。したがって、傘部251の中心軸に対してハウジング210の中心軸の傾斜角度が可変となるように、イヤピース250がハウジング210を支持するように構成すればよい。
【0049】
イヤピース250を、弾性若しくは可塑性のあるシリコンゴムやエラストマーなどを使って構成することで、傾斜角度が可変となるように、イヤピース250がハウジング210を支持することができる。また、ハウジング210も弾性若しくは可塑性のあるシリコンゴムやエラストマーなどを使って構成することで、ハウジング210の先端も外耳道の内壁と当接して、外耳道(第1カーブ)の形状になじむことができる。
【0050】
但し、傘部251の中心軸に対してハウジング210の中心軸が傾斜した角度の大きさに応じて反力が作用するので、この反力が傘部251を介して外耳道の壁面に加わるため、音響装置200を装着した聴取者の肉体的負担になってしまう。
【0051】
そこで、傘部251の中心軸に対してハウジング210の中心軸が傾斜した際に作用する反力を低減するようにイヤピース250を構成してもよい。
【0052】
図8には、ハウジング210が傾斜した際の反力を低減するように構成したイヤピース250の断面を例示している。図示の例では、参照番号801及び802に示すように、イヤピース250の先端面に、中心軸を中心とする波面形状を形設している。このため、イヤピース250の先端面は、強度が低下して、半径方向に曲がり易くなる。この結果、筒部251は先端面に対して撓み易くなり、ハウジング210が傾斜した際の反力が低下する。
【0053】
図9には、図8に示したイヤピース250の断面に、ハウジング210を取り付けた様子を示している。イヤピース250の先端面の波面形状部分801及び802が変形し易くなっているので、図示のようにハウジング210の中心軸701がイヤピース250の中心軸702に対して傾斜しても、ハウジング210の中心軸701をイヤピース250の中心軸702に戻そうとする反力は低減する。
【0054】
また、図10には、ハウジング210が傾斜した際の反力を低減するように構成したイヤピース250の断面の他の例を示している。図示の例では、イヤピース250の断面をH形状に構成し、そのH形状の両端のフランジ1001及び1002で挟まれたウェブ(腹板)1003に筒部252を形成して、イヤピース210を支持するように構成されている。図10を、図4と比較すると、ハウジング210の先端が外耳道の壁面と当接してモーメントが発生した際の支点が、インピース250の先端面から、ほぼ中央のウェブ1003までセットバックしている。したがって、イヤピース250の先端が外耳道の壁面から外力が加わった場合に、図10に示す構成例の方がより大きくなり、傾斜角も大きくなる。言い換えれば、傘部251の中心軸に対してハウジング210の中心軸が同じ角度だけ傾斜した際に、図4よりも図10に示す構成例の方が、作用する反力を低減することができる。
【0055】
図11には、図10に示したイヤピース250の断面に、ハウジング210を取り付けた様子を示している。図8とは異なり、イヤピース250の断面がH形状であり、イヤピース250の先端面が開口部となり、筒部252を支持するウェブ1003がフランジ1001及び1002に対して変形し易くなっている。また、図示のようにハウジング210の中心軸701がイヤピース250の中心軸702に対して傾斜する際の支点がセットバックしている分だけ、ハウジング210の中心軸701をイヤピース250の中心軸702に戻そうとする反力は低減する。また、ウェブ1003の板厚を小さくすることで、反力をさらに低減することができる。
【0056】
他方、ハウジング210がイヤピース250に対して傾斜した際の反力を低減するように構成した場合には、ハウジング210がイヤピース250に対してあらゆる角度に傾斜し易くなり、ハウジング210が不必要な方向に折れ曲がって聴取者の耳に装着する際の手間がかかってしまうことが懸念される。このため、ハウジング210が所望しない方向には傾斜し難くする、若しくは所望する方向にのみ傾斜するように、イヤピース250を構成するようにしてもよい。
【0057】
図12には、ハウジング210が所望しない方向には傾斜し難くなるように構成したイヤピース250の上面図を示している。図示のイヤピース250には、傘部251と筒部252の間に一対のリブ1201及び1202が形設されている。このため、筒部252(若しくは、筒部252に支持されたハウジング210(図12では図示しない))は、A方向には傾斜し易いままであるが、B方向には傾斜し難くなる。
【0058】
また、図13には、ハウジング210が所望する方向にのみ傾斜するように構成したイヤピース250の上面図を示している。図示のイヤピース250には、傘部251と筒部252の間には、スポンジ1301のような弾性体が詰め込まれている。このため、筒部252(若しくは、筒部252に支持されたハウジング210(図13では図示しない))は、スポンジ1301の間隙となっているC方向に傾斜し易いが、それ以外の方向に傾斜する際には高い負荷がかかる。
【0059】
続いて、ハウジング210の内部構成について、詳細に説明する。
【0060】
図3に示したように、ハウジング210は、中空の円筒形状をなし、内部にドライバーユニット110と、マイクロホン120が収容されている。また、図3では図示を省略したが、ノイズキャンセリングなどの処理を実施する信号処理部130や、駆動電源としての電池も、ハウジング210内に配置されている。
【0061】
ドライバーユニット110の位置は、イヤピース250の外耳道との係合部よりも鼓膜側となる。ライバーユニット110と鼓膜間の距離が短縮することにより、ドライバーユニット110から出力される音波の伝搬経路での位相遅延が低減されるので、ノイズキャンセリングの効果を得られる周波数帯域は高域まで拡大することができる。ドライバーユニット110がイヤピース250による遮音位置よりも鼓膜寄りに配置されることで、遅延による影響を抑制して、ノイズキャンセリングの効果を高めことができる、ということもできる。
【0062】
また、マイクロホン120の位置は、イヤピース250により周囲音を遮音する遮音位置付近となる。ハウジング210のマイクロホン120を配置した位置付近の壁面には、マイクロホン120が周囲音を取り込むための1以上の音孔211が穿設されている。キャンセルしたいノイズは、イヤピース250の隙間から外耳道内に漏れ込んで鼓膜まで到達する周囲音である。したがって、マイクロホン120がイヤピース250の遮音位置付近で周囲音を収音することにより、実際にキャンセルしたい周囲音をマイクロホン120で観測することが可能になる。すなわち、マイクロホン120で観測される周囲音信号と鼓膜に到達する周囲音との相関が大きくなり、ノイズキャンセリングの効果が大きくすることができる。
【0063】
キャンセルする対象となる、イヤピースから漏れ込んで鼓膜まで到達する周囲音は、実際には、音響装置を装着した聴取者の耳介や頭部並びに身体からの反射の影響を受けた音響信号である。図6又は図7からも分かるように、マイクロホン120の音孔211は外耳道の入り口付近に配置されることになるので、マイクロホン120は音響装置を装着した聴取者の耳介や頭部並びに身体からの反射の影響を受けた周囲音を観測することができ、この観点からも、ノイズキャンセリングの効果を高めることができる。
【0064】
図14には、音響装置200の変形例を示している。図5に示した音響装置200の構成例では、ハウジング210の後端は、イヤピース250の筒部252から突設している。これに対し、図14に示す音響装置200の構成例では、ハウジング部210は、後端まで筒部252内に挿入されており、その分だけ先端側のドライブユニット110を鼓膜に近づけることができ、ノイズキャンセリングの効果が高まる。また、マイクロホン120が配置される位置も筒部252に覆われてしまう。そこで、図15に示すように音孔211に対応する筒部252の壁面にもマイクロホン120用の音孔1501が穿設されている。
【0065】
体積効率を向上させるために、小型のマイクロホンを設置するようにしてもよい。図16には、小型化したマイクロホン120をイヤピース250内の奥深くに位置に配置した、音響装置200の構成例を示している。
【0066】
スピーカーなどの音響出力装置においては、振動板の前面又は背面に、音響特性を調整するための空間を設けることが良く行なわれている。
【0067】
本実施形態に係る音響装置200においても、同様に、音響特性を調整するための空間を設けることが好ましい。図17には、ハウジング210内で、ドライバーユニット110の鼓膜側及び鼓膜と反対側にそれぞれ前面空間1701と背面空間1702を設けた様子を示している。
【0068】
音響装置200を外耳道内に収める場合、ドライバーユニット110の前面又は背面に音響特性を調整するための空間をハウジング210に設けることが困難なことが想定される。そこで、ハウジング210内の任意の場所に音響特性を調整するための空間を設け、その空間からハウジング210の鼓膜側の先端までを音導部で接続するようにしてもよい。
【0069】
図18には、ハウジング210内に音響特性を調整するための空間を設けた音響装置200の他の構成例を示している。同図では、ハウジング210内で、ドライバーユニット110の鼓膜と反対側に、前面空間1801を設けるとともに、前面空間1801からハウジング210の鼓膜側の先端までを、チューブ状の音導部1802で接続して、音響特性を調整するための空間を確保している。
【0070】
図19には、ハウジング210内に音響特性を調整するための空間を設けた音響装置200のさらに他の構成例を示している。同図では、ハウジング210内で、ドライバーユニット110の鼓膜と反対側に、前面空間1901及び背面空間1902の両方を設けて、音響特性を調整するための空間を確保している。また、前面空間1901からハウジング210の鼓膜側の先端までを、チューブ状の音導部1903で接続している。
【0071】
ここまで、ハウジング210内での処理部130や電池の配置については特に言及してこなかった。ドライバーユニット110やマイクロホン120などの音響素子とは相違し、処理部130や電池は、音響特性上の配置の制約を受けない。したがって、例えば、処理部130と電池を組み合わせてモジュール化して扱い、ハウジング210内でドライバーユニット110及びマイクロホン120とともに区分けして配置するようにしてもよい。各モジュールを柔軟性のある配線材で電気的に結合し、ハウジング210をシリコンゴムやエラストマーなどの弾性のある部材で構成して、ハウジング210の変形に応じて各モジュールの相対位置がわずかでも変化できるようにして、装着感のよい音響装置200を実現することができる。
【0072】
なお、処理部130及び電池は、音楽ソースとなる外部機器側のものを使用することができる。音楽ソースは、例えば、携帯型オーディオ再生機器あるいはスマートフォンやタブレットなどの多機能情報端末などである。このような場合、ハウジング210からは、ドライバーユニット110及びマイクロホン120に電気的に結合するコードが出ており、外部機器と接続する。
【0073】
また、ハウジング210内に搭載され処理部130及び電池と、有線接続(又は無線接続)される外部機器とを切り替えて使用できるように、音響装置200を構成することもできる。例えば、ハウジング210内に、内部の処理部130及び電池と外部機器の各々に接続できるコネクタと、いずれかに択一的に接続する交換機能を装備するようにしてもよい。
【0074】
最後に、本明細書で提案する音響装置の効果についてまとめておく。
【0075】
本明細書で提案する音響装置によれば、ドライバーユニット110を鼓膜側に配置することにより、ドライバーユニット110と鼓膜間の距離が短縮して、音波の伝搬経路での位相遅延が低減することにより、高域に至るまでノイズキャンセリングの効果を得ることができる。
【0076】
また、本明細書で提案する音響装置によれば、マイクロホン120がイヤピースにより周囲音を遮音する遮音位置付近にて配置して、実際にキャンセルしたい周囲音をマイクロホン120で観測することにより、ノイズキャンセリングの効果が大きくすることができる。また、マイクロホン120は、外耳道入り口付近に配置されるので、音響装置を装着した聴取者の耳介や頭部並びに身体からの反射の影響を受けた周囲音を観測するので、ノイズキャンセリングの効果はさらに高くなる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上、特定の実施形態を参照しながら、本明細書で開示する技術について詳細に説明してきた。しかしながら、本明細書で開示する技術の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
【0078】
本明細書で開示する技術は、聴取者の耳に装着して用いられ、ノイズキャンセリングを実施するさまざまなタイプの音響装置に適用することができる。
【0079】
要するに、例示という形態により本明細書で開示する技術について説明してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本明細書で開示する技術の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【0080】
なお、本明細書の開示の技術は、以下のような構成をとることも可能である。
【0081】
(1)外耳道の入り口付近に配置され、周囲音を収音する収音部と、
前記収音部よりも鼓膜側に配置され、音響信号を出力する発音部と、
を具備する音響装置。
【0082】
(1-1)外耳道と係合して、周囲音を遮音する遮音部と、
前記遮音部よりも鼓膜側に配置され、音響信号を出力する発音部と、
前記遮音部により周囲音を遮音する遮音位置付近に配置され、周囲音を収音する収音部と、
を具備する音響装置。
【0083】
(3)外耳道と係合して周囲音を遮音する遮音部をさらに備え、
前記発音部は、前記遮音部よりも鼓膜側に配置され、
前記収音部は、前記遮音部により周囲音を遮音する遮音位置付近に配置される、
上記(1)に記載の音響装置。
【0084】
(3)前記収音部が収音した周囲音に応じて前記音響信号を処理する処理部をさらに備える、
上記(2)に記載の音響装置。
【0085】
(4)前記処理部は、前記収音部が収音した周囲音に基づいてノイズキャンセリングを実施する、
上記(3)に記載の音響装置。
【0086】
(4-1)前記処理部は、フィードフォワード方式のノイズキャンセリングを実施する、
上記(4)に記載の音響装置。
【0087】
(5)前記発音部、前記収音部、及び前記処理部を収容するハウジングをさらに有する、
上記(3)に記載の音響装置。
【0088】
(6)前記遮音部は、前記ハウジングを外耳道入り口付近で支持するイヤピースからなる、
上記(5)に記載の音響装置。
【0089】
(7)前記イヤピースは、前記発音部が鼓膜側を向くように、前記ハウジングを支持する、
上記(6)に記載の音響装置。
【0090】
(8)前記ハウジングは、ほぼ円筒形状を有し、
前記イヤピースは、前記ハウジングの中心軸の傾斜角度が可変となるように、前記ハウジングを支持する、
上記(6)又は(7)のいずれかに記載の音響装置。
【0091】
(9)前記イヤピースは、外耳道の内壁と当接する傘部と、前記傘部内で前記ハウジングを保持する筒部を備え、前記傘部の中心軸に対する前記ハウジングの中心軸の傾斜角度が可変となるように、前記ハウジングを支持する、
上記(8)に記載の音響装置。
【0092】
(10)前記ハウジングは、前記イヤピースにより周囲音を遮音する遮音位置付近に、前記収音部用の音孔が穿設されている、
上記(6)乃至(9)のいずれかに記載の音響装置。
【0093】
(11)前記イヤピースは、外耳道の内壁と当接する傘部と、前記傘部内で前記ハウジングを保持する筒部を備え、
前記音孔は、前記傘部の内側に配置される、
上記(10)に記載の音響装置。
【0094】
(12)前記イヤピースは、前記傘部内で前記ハウジングを保持する筒部を備え、
前記筒部は、前記音孔に対応する場所に開口部を有する、
上記(11)に記載の音響装置。
【0095】
(13)前記ハウジングは、前記発音部から出力される音響の音響特性を調整するための前面空間又は背面空間の少なくとも一方を有する、
上記(5)乃至(12)のいずれかに記載の音響装置。
【0096】
(14)前記ハウジングは、前記前面空間と、前記前面空間から前記ハウジングの鼓膜側の先端まで延びる音導部を備える、
上記(13)に記載の音響装置。
【0097】
(15)前記ハウジングは、前記前面空間及び前記背面空間を後方に備える、
上記(13)に記載の音響装置。
【符号の説明】
【0098】
100…ノイズキャンセルシステム
110…ドライバーユニット、111…イヤホンアンプ
120…マイクロホン、121…マイクロホンアンプ
130…信号処理部
131…DSP(Digital Signal Processor)
132…システムコントローラ、133…AD変換器(ADC)
134…AD変換器(ADC)、135…イコライザ
136…ノイズキャンセルエンジン部、137…合成部
138…DA変換器(DAC)
200…音響装置、210…ハウジング、211…音孔
250…イヤピース、251…傘部、252…筒部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2024-01-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外耳道の入り口付近に配置され、周囲音を収音する収音部と、
前記収音部よりも鼓膜側に配置され、前記収音部が収音した周囲音に基づいてノイズキャンセリングが施された音響信号を出力する発音部と、
前記収音部及び前記収音部を収容するハウジングと、
前記ハウジングを外耳道入り口付近で支持するイヤピースと、
を具備し、
前記収音部は、前記イヤピースにより周囲音を遮音する遮音位置付近に配置される、
音響装置。
【請求項2】
前記発音部は、前記イヤピースよりも鼓膜側に配置される、
請求項1に記載の音響装置。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記収音部が収音した周囲音に基づいて前記音響信号に対してノイズキャンセリングを実施する処理部をさらに収容する、
請求項に記載の音響装置。
【請求項4】
前記イヤピースは、前記発音部が鼓膜側を向くように、前記ハウジングを支持する、
請求項に記載の音響装置。
【請求項5】
前記ハウジングは、ほぼ円筒形状を有し、
前記イヤピースは、前記ハウジングの中心軸の傾斜角度が可変となるように、前記ハウジングを支持する、
請求項に記載の音響装置。
【請求項6】
前記イヤピースは、外耳道の内壁と当接する傘部と、前記傘部内で前記ハウジングを保持する筒部を備え、前記傘部の中心軸に対する前記ハウジングの中心軸の傾斜角度が可変となるように、前記ハウジングを支持する、
請求項5に記載の音響装置。
【請求項7】
前記ハウジングは、前記イヤピースにより周囲音を遮音する遮音位置付近に、前記収音部用の音孔が穿設されている、
請求項に記載の音響装置。
【請求項8】
前記イヤピースは、外耳道の内壁と当接する傘部と、前記傘部内で前記ハウジングを保持する筒部を備え、
前記音孔は、前記傘部の内側に配置される、
請求項に記載の音響装置。
【請求項9】
前記イヤピースは、前記傘部内で前記ハウジングを保持する筒部を備え、
前記筒部は、前記音孔に対応する場所に開口部を有する、
請求項8に記載の音響装置。
【請求項10】
前記ハウジングは、前記発音部から出力される音響の音響特性を調整するための前面空間又は背面空間の少なくとも一方を有する、
請求項に記載の音響装置。
【請求項11】
前記ハウジングは、前記前面空間と、前記前面空間から前記ハウジングの鼓膜側の先端まで延びる音導部を備える、
請求項10に記載の音響装置。
【請求項12】
前記ハウジングは、前記前面空間及び前記背面空間を後方に備える、
請求項10に記載の音響装置。