(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026425
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】改良された噴霧器を有するエアロゾル送達装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/44 20200101AFI20240220BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20240220BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20240220BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20240220BHJP
【FI】
A24F40/44
A24F40/10
A24F40/46
A24F40/40
【審査請求】有
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023214530
(22)【出願日】2023-12-20
(62)【分割の表示】P 2022185435の分割
【原出願日】2018-03-28
(31)【優先権主張番号】15/472,839
(32)【優先日】2017-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516097871
【氏名又は名称】アール・エイ・アイ・ストラテジック・ホールディングス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・エフ・デイビス
(72)【発明者】
【氏名】ノア・マーク・ミンスコフ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ベンソン・シアーズ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】蒸気形成を改善するように、および/または電源ユニットとの統合を改善するように構成される蒸気形成ユニットを利用して製造されるエアロゾル送達装置を提供する。
【解決手段】エアロゾル送達装置800は、噴霧器およびその要素、例えば、特に多孔質のモノリシックなウィック836上での気化応答時間を改善するように構成されたウィック836とヒータ834との組合せを提供する。ウィック836は、実質的にかご型のワイヤヒータコイルの内部と係合する先細状端部を有することができる。ヒータ834はまた、ウィック836の一部に存在する導電性メッシュの形態であってもよい。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴霧器であって、
先細状の第1の端部を有し、かつ第2の端部を有する、硬質の多孔質モノリスの形態の流体輸送要素と、
流体輸送要素の先細状の第1の端部を受け入れ、かつ、これと実質的に一致する内部領域を含む実質的に円錐形状のヒータと、
を含む噴霧器。
【請求項2】
硬質の多孔質モノリスが多孔質セラミックまたは多孔質ガラスから形成される、請求項1に記載の噴霧器。
【請求項3】
流体輸送要素が繊維材料を含まない、請求項1または請求項2に記載の噴霧器。
【請求項4】
流体輸送要素が、先細状の第1の端部と第2の端部との間に延在する長手方向長さを有する本体を有し、本体が、その長手方向長さに沿って実質的に一定の直径を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の噴霧器。
【請求項5】
流体輸送要素の先細状の第1の端部が、流体輸送要素の全長の約5%~約50%を形成する、請求項4に記載の噴霧器。
【請求項6】
先細状の第1の端部が、本体の直径とほぼ同じである第1の直径から、流体輸送要素の本体の直径の約50%以下である第2の直径まで先細になる、請求項4に記載の噴霧器。
【請求項7】
請求項4に記載の噴霧器であって、
ヒータが、流体輸送要素の本体の直径と実質的に同じ直径を有する上端を有し、
ヒータが、流体輸送要素の先細状の第1の端部の長さと実質的に同じ高さを有し、
ヒータが、ヒータの上端の直径の約50%以下の直径を有する下端を有する噴霧器。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の噴霧器を含むエアロゾル送達装置。
【請求項9】
エアロゾル前駆体組成物を含むリザーバを備え、流体輸送要素の第2の端部がエアロゾル前駆体組成物と接触するようにリザーバ内へ延在する、請求項8に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項10】
噴霧器であって、
第1の端部および第2の端部を有する、硬質の多孔質モノリスの形態の流体輸送要素と、
流体輸送要素の外面の少なくとも一部と接触し、導電性メッシュの形態であるヒータと、
を含む噴霧器。
【請求項11】
導電性メッシュが、複数の交差する導電性フィラメントから形成される、請求項10に記載の噴霧器。
【請求項12】
導電性メッシュが、断熱空間を取り囲む平行四辺形を形成する導電性フィラメントの規則的なパターンを有する、請求項10または請求項11に記載の噴霧器。
【請求項13】
断熱空間が開口している、請求項12に記載の噴霧器。
【請求項14】
断熱空間が約0.01μm2~約2mm2の平均個別面積を有する、請求項12または請求項13に記載の噴霧器。
【請求項15】
流体輸送要素が長手方向全長を有し、導電性メッシュが、流体輸送要素の長手方向全長の約10%~約80%に存在する、請求項10から14のいずれか一項に記載の噴霧器。
【請求項16】
導電性メッシュが、流体輸送要素の長手方向全長の約30%~約70%に存在する、請求項15に記載の噴霧器。
【請求項17】
請求項10から16のいずれか一項に記載の噴霧器を含むエアロゾル送達装置。
【請求項18】
エアロゾル前駆体組成物を含むリザーバを含み、流体輸送要素の第2の端部がエアロゾル前駆体組成物と接触するようにリザーバ内へ延在する、請求項17に記載のエアロゾル送達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、喫煙用品などのエアロゾル送達装置に関し、さらに具体的には、エアロゾルの生成のために電気的に生成された熱を利用してもよいエアロゾル送達装置(例えば、一般に電子タバコと呼ばれる喫煙用品)に関する。喫煙用品は、タバコから製造され得るか、タバコに由来し得るか、そうでなければタバコを組み込み得る材料を組み込んでもよいエアロゾル前駆体を加熱するように構成されてもよく、前駆体は人間が摂取するための吸入可能な物質を形成することができる。
【背景技術】
【0002】
使用のためにタバコを燃焼させることを必要とする喫煙製品の改良品または代替品として、多くの喫煙装置が長年にわたって提案されてきた。これらの装置の多くは、紙巻タバコ、葉巻またはパイプの喫煙に関連する感覚を提供するように設計されているが、タバコの燃焼に起因する相当量の不完全燃焼および熱分解生成物を送達することはないと言われている。この目的のために、電気エネルギーを利用して揮発性材料を気化または加熱するか、タバコを著しく燃焼することなく紙巻タバコ、葉巻またはパイプの喫煙感覚を提供しようとする多くの喫煙製品、香味発生器および薬用吸入器が提案されている。例えば、参照により本明細書に組み込まれるRobinsonらの米国特許第7,726,320号明細書、Griffith Jr.らの米国特許出願公開第2013/0255702号明細書およびSearsらの米国特許出願公開第2014/0096781号明細書に記載の背景技術に記載されている様々な代替喫煙品、エアロゾル送達装置および発熱源を参照されたい。また、例えば、参照により本明細書に組み込まれる2014年2月3日に出願されたBlessらの米国特許出願第14/170,838号明細書に記載の商標名および商業的供給元によって参照される様々な種類の喫煙用品、エアロゾル送達装置および電気式発熱源を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7,726,320号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2013/0255702号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2014/0096781号明細書
【特許文献4】米国特許出願第14/170,838号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エアロゾル送達装置の蒸気形成ユニットを提供することが望ましく、蒸気形成ユニットは、蒸気形成を改善するように、および/または電源ユニットとの統合を改善するように構成される。そのような蒸気形成ユニットを利用して製造されるエアロゾル送達装置を提供することも望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、エアロゾル送達装置、かかる装置を形成する方法および、かかる装置の要素に関する。エアロゾル送達装置と、特にセラミック製のウィックとを統合して蒸気形成ユニットを形成することができ、蒸気形成ユニットを電源ユニットと組み合わせてエアロゾル送達装置を形成することができる。
【0006】
1つ以上の実施形態では、本開示は、エアロゾル送達装置に特に有用な噴霧器に関し得る。噴霧器は、特に、少なくとも流体輸送要素とヒータとを含むことができる。流体輸送要素は、硬質材料から形成することができ、特に、多孔質セラミックまたは多孔質ガラスなどの多孔質モノリスであってよい。ヒータと流体輸送要素とを組み合わせることにより、個々の材料の特定の構成に照らして、蒸気形成の改善を示すことができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、例示的な噴霧器は、先細状の第1の端部、かつ第2の端部を有する、硬質の多孔質モノリスの形態の流体輸送要素と、流体輸送要素の先細状の第1の端部を受け入れ、それと実質的に一致する内部領域を含む実質的に円錐形状のヒータとを含むことができる。さらなる実施形態では、かかる噴霧器は、任意の数および順序で組み合わせられ得る以下の記述の内の1つ以上に関して定義され得る。
【0008】
硬質の多孔質モノリスは、多孔質セラミックまたは多孔質ガラスから形成することができる。
【0009】
流体輸送要素は、繊維材料を含まなくてもよい。
【0010】
流体輸送要素は、先細状の第1の端部と第2の端部との間に延在する長手方向長さを有する本体を有することができ、本体は、その長手方向長さに沿って実質的に一定の直径を有する。
【0011】
流体輸送要素の先細状の第1の端部は、流体輸送要素の全長の約5%~約50%を形成することができる。
【0012】
先細状の第1の端部は、本体の直径とほぼ同じである第1の直径から、流体輸送要素の本体の直径の約50%以下である第2の直径まで先細とする(すなわち、徐々に縮小する)ことができる。
【0013】
噴霧器は、以下によって定義することができる:ヒータは、流体輸送要素の本体の直径と実質的に同じ直径を有する上端を有することができる;ヒータは、流体輸送要素の先細状の第1の端部の長さと実質的に同じ高さを有することができる;ヒータは、ヒータの上端の直径の約50%以下の直径を有する下端を有することができる。
【0014】
本開示は、第1の端部および第2の端部を有する、硬質の多孔質モノリスの形態の流体輸送要素と、流体輸送要素の外面の少なくとも一部に接触する、導電性メッシュの形態であるヒータとを含む噴霧器にも関し得る。さらなる実施形態では、かかる噴霧器は、任意の数および順序で組み合わせられ得る以下の記述の内の1つ以上に関して定義され得る。
【0015】
導電性メッシュは、複数の交差する導電性フィラメントから形成され得る。
【0016】
導電性メッシュは、断熱空間を取り囲む平行四辺形(または他の幾何学的形状)を形成する導電性フィラメントの規則的なパターンを有することができる。
【0017】
断熱空間は開口していても、または少なくとも部分的に塞がっていてもよい。
【0018】
断熱空間は、約0.01μm~約0.5μmの平均個別面積を有することができる。
【0019】
流体輸送要素は、長手方向全長を有することができ、導電性メッシュは、流体輸送要素の長手方向全長の約10%~約80%に存在することができる。
【0020】
導電性メッシュは、流体輸送要素の長手方向全長の約30%~約70%に存在することができる。
【0021】
1つ以上の実施形態では、本開示は、特に、本明細書に別途記載されている噴霧器を含むエアロゾル送達装置に関し得る。具体的には、かかるエアロゾル送達装置は、エアロゾル前駆体組成物を含むリザーバを備えることができ、噴霧器からの流体輸送要素の第2の端部は、エアロゾル前駆体組成物と接触するようにリザーバ内へ延在することができる。流体輸送要素は、リザーバから、流体輸送要素と熱的に接続されているヒータへエアロゾル前駆体組成物を吸い上げるか、その他の方法で輸送することができる(ヒータは、本明細書に別途記載されている任意の構成を有する)。ヒータは、流体輸送要素を介してリザーバから輸送されるエアロゾル前駆体組成物の少なくとも一部を気化させるように、リザーバの外部に配置される。形成された蒸気は、エアロゾル送達装置に引き込まれる空気と組み合わされてエアロゾルを形成することができ、エアロゾルは、エアロゾル送達装置の吸い口へ流れて、エアロゾル送達装置を出る。噴霧器を含むエアロゾル送達装置は、エアロゾルを形成するのに有用な本明細書に記載のあらゆる要素(例えば、電力、制御および気化要素)を収容する単一の一体型構造とすることができる。エアロゾル送達装置は、電力要素を含まない(例えば、電池を含まない)および/または制御要素を含まない(例えば、その上にセンサまたは他の電子制御装置を有するプリント回路基板を含まない)カートリッジまたはタンクとすることができる。
【0022】
本開示は、限定するものではないが、以下の実施形態を含む。
【0023】
実施形態1:噴霧器であって、先細状の第1の端部を有し、かつ第2の端部を有する、硬質の多孔質モノリスの形態の流体輸送要素と、流体輸送要素の先細状の第1の端部を受け入れ、それと実質的に一致する内部領域を含む実質的に円錐形状のヒータとを備える噴霧器。
【0024】
実施形態2:硬質の多孔質モノリスが多孔質セラミックまたは多孔質ガラスから形成される、任意の前述の実施形態の噴霧器。
【0025】
実施形態3:流体輸送要素が繊維材料を含まない、任意の前述の実施形態の噴霧器。
【0026】
実施形態4:流体輸送要素が、先細状の第1の端部と第2の端部との間に延在する長手方向長さを有する本体を有し、本体が、その長手方向長さに沿って実質的に一定の直径を有する、任意の前述の実施形態の噴霧器。
【0027】
実施形態5:流体輸送要素の先細状の第1の端部が、流体輸送要素の全長の約5%~約50%を形成する、任意の前述の実施形態の噴霧器。
【0028】
実施形態6:先細状の第1の端部が、本体の直径とほぼ同じである第1の直径から、流体輸送要素の本体の直径の約50%以下である第2の直径まで先細となる、任意の前述の実施形態の噴霧器。
【0029】
実施形態7:ヒータが、流体輸送要素の本体の直径と実質的に同じ直径を有する上端を有し、ヒータが、流体輸送要素の先細状の第1の端部の長さと実質的に同じ高さを有し、ヒータが、ヒータの上端の直径の約50%以下の直径を有する下端を有する、任意の前述の実施形態の噴霧器。
【0030】
実施形態8:任意の前述の実施形態による噴霧器を備えるエアロゾル送達装置。
【0031】
実施形態9:エアロゾル前駆体組成物を含むリザーバを備え、流体輸送要素の第2の端部がエアロゾル前駆体組成物と接触するようにリザーバ内へ延在する、任意の前述の実施形態のエアロゾル送達装置。
【0032】
実施形態10:噴霧器であって、第1の端部および第2の端部を有する、硬質の多孔質モノリスの形態の流体輸送要素と、流体輸送要素の外面の少なくとも一部と接触する導電性メッシュの形態であるヒータとを備える噴霧器。
【0033】
実施形態11:導電性メッシュが、複数の交差する導電性フィラメントから形成される、任意の前述の実施形態の噴霧器。
【0034】
実施形態12:導電性メッシュが、断熱空間を取り囲む平行四辺形を形成する導電性フィラメントの規則的なパターンを有する、任意の前述の実施形態の噴霧器。
【0035】
実施形態13:断熱空間が開口している、任意の前述の実施形態の噴霧器。
【0036】
実施形態14:断熱空間が約0.01μm2~約2mm2の平均個別面積を有する、任意の前述の実施形態の噴霧器。
【0037】
実施形態15:流体輸送要素が長手方向全長を有し、導電性メッシュが、流体輸送要素の長手方向全長の約10%~約80%に存在する、任意の前述の実施形態の噴霧器。
【0038】
実施形態16:導電性メッシュが、流体輸送要素の長手方向全長の約30%~約70%に存在する、任意の前述の実施形態の噴霧器。
【0039】
実施形態17:任意の前述の実施形態による噴霧器を備えるエアロゾル送達装置。
【0040】
実施形態18:エアロゾル前駆体組成物を含むリザーバを備え、流体輸送要素の第2の端部がエアロゾル前駆体組成物と接触するようにリザーバ内へ延在する、任意の前述の実施形態のエアロゾル送達装置。
【0041】
本開示のこれらならびに他の特徴、態様および利点は、以下に簡単に説明する添付の図面と共に、以下の詳細な説明を読むことにより明らかになるであろう。本開示は、かかる特徴または要素が本明細書の特定の実施形態の説明において明示的に組み合わされているかどうかにかかわらず、2つ、3つ、4つまたはそれ以上の上述の実施形態の任意の組合せ、ならびに本開示に記載の任意の2つ、3つ、4つまたはそれ以上の特徴または要素の組合せを含む。本開示は、文脈上他に明確に指示されない限り、その様々な態様および実施形態のいずれかにおいて、本開示の任意の分離可能な特徴または要素が、組合せ可能であるように意図された通りに見えるように全体的に読み取られることを意図している。
【0042】
本開示は上述の一般的な用語で記載しており、添付の図面をこれから参照するが、これらの図面は必ずしも縮尺通りに描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本開示の様々な実施形態による、エアロゾル送達装置に利用され得る様々な要素を含むカートリッジおよび電源ユニットを含むエアロゾル送達装置の部分切取図である。
【
図2A】先細状端部を含む本開示の様々な実施形態による流体輸送要素の図である。
【
図2B】
図2Aからの線A-Aを通る流体輸送要素の断面図であり、その断面形状を示している。
【
図3】本開示の様々な実施形態によるヒータの図であり、ヒータは、ヒータの上端の直径がヒータの下端の直径よりも大きい実質的に円錐形状を有する。
【
図4】本開示の様々な実施形態による噴霧器の図であり、噴霧器は先細状端部を有する流体輸送要素を含み、実質的に円錐形状を有するヒータを含み、ヒータは流体輸送要素の先細状端部と係合する。
【
図5】その全長に沿って実質的に一定の直径を有する流体輸送要素の実質的に中央部の周りに巻き付けられた単鎖加熱線を有する比較噴霧器の図である。
【
図6】本開示の様々な実施形態による噴霧器の図であり、噴霧器は、流体輸送要素を含み、流体輸送要素の一部を取り囲む導電性メッシュヒータを含む。
【
図7】本開示の様々な実施形態による導電性メッシュヒータの断面の拡大図である。
【
図8】本開示の様々な実施形態による、リザーバおよび噴霧器を含むタンクを含むエアロゾル送達装置の部分切取図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本開示は、以下、その例示的な実施形態を参照して、さらに詳細に記載される。これらの例示的な実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、本開示の範囲を当業者に完全に伝えるように記載される。実際、本開示は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が、適用される法的要件を満たすように提供される。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形「a」、「an」、「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0045】
以下に記載されるように、本開示の実施形態は、エアロゾル送達システムに関する。本開示によるエアロゾル送達システムは、吸入可能な物質を形成するために、電気エネルギーを使用して(好ましくは、材料をかなりの程度燃焼させることなく、および/または材料を著しく化学変化させることなく)材料を加熱し、かかるシステムの構成要素は、最も好ましくは手持ち式装置と見なされるのに十分に小型の物品の形態を有する。すなわち、好ましいエアロゾル送達システムの構成要素を使用しても(すなわち、タバコの燃焼または熱分解の副産物から)煙は生成されず、むしろそれらの好ましいシステムを使用すると、その中に組み込まれた特定の成分の揮発または気化に起因する蒸気が生成される。好ましい実施形態では、エアロゾル送達システムの構成要素は、電子タバコとして特徴付けられてもよく、これらの電子タバコは、最も好ましくは、タバコおよび/またはタバコ由来成分を組み込み、ひいてはエアロゾル形態のタバコ由来成分を送達する。
【0046】
特定の好ましいエアロゾル送達システムのエアロゾル生成部品は、そのいかなる成分も実質的に燃焼することなく、タバコを点火し燃焼させることによって(ひいては、タバコの煙を吸い込むことによって)使用される紙巻タバコ、葉巻またはパイプを喫煙するという数々の感覚(例えば、吸入および呼気の形式、味または香味の種類、感覚刺激効果、物理的感触、使用形式、目に見えるエアロゾルによってもたらされるような視覚的刺激など)をもたらし得る。例えば、本開示のエアロゾル生成部品の使用者は、喫煙者が従来の種類の喫煙用品を使用するのと同じように、その部品を保持し使用し、その部品によって生成されたエアロゾルを吸入するためにその部品の一端を吸い、選択された時間間隔で吸煙する等々を行うことができる。
【0047】
本開示のエアロゾル送達装置はまた、蒸気生成物品または薬剤送達物品として特徴付けることができる。したがって、かかる物品または装置は、吸入可能な形態または状態で、1つ以上の物質(例えば、香味および/または薬学的有効成分)を提供するように構成することができる。例えば、吸入可能な物質は、実質的に蒸気の形態(すなわち、その臨界点よりも低い温度で気相にある物質)であり得る。あるいは、吸入可能な物質は、エアロゾルの形態(すなわち、気体中の微細固体粒子または液滴の懸濁液)であり得る。分かりやすくするために、本明細書で使用される用語「エアロゾル」は、目に見えるかどうか、また煙状であると見なされ得る形態であるかどうかに関わりなく、人間の吸入に適した形態または種類の蒸気、気体およびエアロゾルを含むことを意味する。
【0048】
本開示のエアロゾル送達装置は、一般に、ハウジングと呼ばれ得る外側本体またはシェル内に設けられる多くの構成要素を含む。外側本体またはシェルの全体的な設計は変更可能であり、エアロゾル送達装置の全体的な寸法および形状を画定することができる外側本体の形式または構成は変更可能である。典型的には、紙巻タバコまたは葉巻の形状に類似する細長い本体が、単一の一体型ハウジングから形成されてもよく、あるいは細長いハウジングが、2つ以上の分離可能な本体から形成されてもよい。例えば、エアロゾル送達装置は、形状を実質的に管状とすることができ、従来の紙巻タバコまたは葉巻の形状と類似し得る細長いシェルまたは本体を備えることができる。一実施形態では、エアロゾル送達装置のあらゆる構成要素が、1つのハウジング内に収容される。あるいは、エアロゾル送達装置は、接合され分離可能な2つ以上のハウジングを含むことができる。例えば、エアロゾル送達装置は、1つ以上の構成要素(例えば、その物品の動作を制御するための電池および様々な電子機器)を収容するハウジングを含む制御本体(または電源ユニット)を一端に有し、エアロゾル形成構成要素(例えば、香味およびエアロゾル形成剤などの1つ以上のエアロゾル前駆体成分、1つ以上のヒータ、および/または1つ以上のウィック)を収容する取り外し可能に取り付けられた外側本体またはシェルを他端に有することができる。
【0049】
本開示のエアロゾル送達装置は、実質的に管状ではないが実質的に比較的大きな寸法に形成され得る外側ハウジングまたはシェルから形成されることができる。ハウジングまたはシェルは、吸い口を含むように構成することができ、および/または液体エアロゾル形成剤などの消耗要素を含むことができ、気化器または噴霧器を含むことができる別個のシェル(例えば、カートリッジまたはタンク)を受け入れるように構成されてもよい。
【0050】
本開示のエアロゾル送達装置は、最も好ましくは、電源(すなわち、電気的な駆動源)、少なくとも1つの制御部品(例えば、電源から物品の他の構成要素への電流の流れを制御することなどによって、発熱のための電力を作動、制御、調整および停止するための手段(例えば、マイクロコントローラまたはマイクロプロセッサ))、ヒータまたは発熱部材(例えば、単独でまたは1つ以上の追加要素と組み合わせて、一般に「噴霧器」と呼ばれ得る電気抵抗加熱要素または他の構成要素)、エアロゾル前駆体組成物(例えば、「スモークジュース(smoke juice)」、「e-リキッド(e-liquid)」および「e-ジュース(e-juice)」と一般に呼ばれる成分など、一般に、十分な熱を加えるとエアロゾルを生じることができる液体)ならびにエアロゾル吸入のためにエアロゾル送達装置を吸引することを可能にする吸い口および口元領域(例えば、生成されたエアロゾルが吸入によりそこから引き出され得るように、物品を通る画定された空気流路)の何らかの組合せを含む。
【0051】
本開示のエアロゾル送達システム内の構成要素のさらに具体的な形式、構成および配置は、以下に提供されるさらなる開示に照らして明らかになるであろう。さらに、様々なエアロゾル送達システム構成要素の選択および配置は、本開示の背景技術の項で参照される代表的な製品などの市販の電子エアロゾル送達装置を考慮して理解することができる。
【0052】
本開示によるエアロゾル送達装置に利用され得る構成要素を示すエアロゾル送達装置100の例示的な一実施形態が、
図1に示されている。エアロゾル送達装置100は、その中に示されている切取図に見られるように、機能的関係で恒久的にまたは取り外し可能に位置合わせされ得る電源ユニット102およびカートリッジ104を備えることができる。電源ユニット102とカートリッジ104との係合は、(図示されるように)圧入、ねじ込み、締り嵌め、磁気などとすることができる。具体的には、本明細書でさらに説明するような接続構成要素が使用されてもよい。例えば、電源ユニットは、カートリッジ上のコネクタと係合するように構成されたカプラを含んでもよい。
【0053】
特定の実施形態では、電源ユニット102およびカートリッジ104の一方または両方は、使い捨て可能であるか、再使用可能であると言及され得る。例えば、電源ユニットは、交換可能な電池または再充電可能な電池を有してもよく、したがって、典型的な電気コンセントへの接続、自動車の充電器(すなわち、シガーソケット)への接続、およびユニバーサルシリアルバス(USB)ケーブルなどを介したコンピュータへの接続を含む任意の種類の再充電技術と組み合わされてもよい。例えば、一端にUSBコネクタと、対向端に電源ユニットコネクタとを含むアダプタが、参照により本明細書に組み込まれるNovakらの米国特許出願公開第2014/0261495号明細書に開示されている。さらに、いくつかの実施形態では、カートリッジは、参照により本明細書に組み込まれるChangらの米国特許第8,910,639号明細書に開示されているような使い捨てカートリッジを含んでもよい。
【0054】
図1に示すように、電源ユニット102は、制御部品106(例えば、プリント回路基板(PCB)、集積回路、メモリ部品、マイクロコントローラなど)、流量センサ108、電池110およびLED112を含むことができる電源ユニットシェル101から形成されることができ、かかる構成要素は、可変に位置合わせされることができる。LEDに加えて、またはLEDの代替として、追加のインジケータ(例えば、触覚フィードバック構成要素、音声フィードバック構成要素など)を含めることができる。発光ダイオード(LED)構成要素など、視覚的刺激をもたらす構成要素、またはインジケータの追加の代表的な種類ならびにそれらの構成および使用は、参照により本明細書に組み込まれるSprinkelらの米国特許第5,154,192号明細書、Newtonの米国特許第8,499,766号明細書およびScatterdayの米国特許第8,539,959号明細書、Gallowayらの米国特許出願公開第2015/0020825号明細書ならびにSearsらの米国特許出願公開第2015/0216233号明細書に記載されている。図示された要素のいずれもが必要なわけではないことが理解される。例えば、LEDは、存在しなくても、振動インジケータなどの異なるインジケータに置き換えられてもよい。同様に、流量センサは、押しボタンなどの手動アクチュエータに置き換えられてもよい。
【0055】
カートリッジ104は、リザーバハウジング内に貯蔵されたエアロゾル前駆体組成物をヒータ134へ吸い上げるか、その他の方法で輸送するように構成された液体輸送要素136と流体連通しているリザーバ144を囲むカートリッジシェル103から形成することができる。液体輸送要素は、毛細管作用などによって液体を輸送するように構成された1つ以上の材料から形成することができる。液体輸送要素は、例えば、繊維材料(例えば、有機綿、酢酸セルロース、再生セルロース布、ガラス繊維)、多孔質セラミック、多孔質炭素、黒鉛、多孔質ガラス、焼結ガラスビーズ、焼結セラミックビーズ、毛細管などから形成することができる。したがって、液体輸送要素は、開放細孔ネットワーク(すなわち、流体が、要素を通る複数の方向に、1つの細孔から別の細孔へ流れ得るように相互接続された複数の細孔)を含む任意の材料とすることができる。本明細書でさらに考察されるように、本開示のいくつかの実施形態は、特に、非繊維輸送要素の使用に関し得る。そのため、繊維輸送要素は明示的に除外され得る。あるいは、繊維輸送要素と非繊維輸送要素との組合せが利用されてもよい。電流が印加されると熱を生成するように構成された様々な実施形態の材料を使用して、抵抗加熱要素134を形成してもよい。ワイヤコイルを形成し得る材料の例には、カンタル(FeCrAl)、ニクロム、二珪化モリブデン(MoSi2)、珪化モリブデン(MoSi)、アルミニウムをドープした二珪化モリブデン(Mo(Si,Al)2)、チタン、白金、銀、パラジウム、銀およびパラジウムの合金、黒鉛および黒鉛系材料(例えば、炭素系発泡体および糸)、導電性インク、ホウ素ドープシリカならびにセラミック(例えば、正温度係数セラミックまたは負温度係数セラミック)が挙げられる。
【0056】
形成されたエアロゾルをカートリッジ104から放出することを可能にするために、開口128がカートリッジシェル103内に(例えば、吸い口に)存在してもよい。かかる構成要素は、カートリッジ内に存在してもよい構成要素の代表であり、本開示に包含されるカートリッジ構成要素の範囲を限定することを意図するものではない。
【0057】
カートリッジ104はまた、集積回路、メモリ部品、センサなどを含むことができる1つ以上の電子部品150を含んでもよい。電子部品150は、有線または無線手段によって、制御部品106および/または外部装置と通信するように構成されてもよい。電子部品150は、カートリッジ104またはその基部140内のどこに配置されてもよい。
【0058】
制御部品106および流量センサ108は別個に図示されているが、空気流量センサが直接取り付けられた電子回路基板として、制御部品および流量センサが組み合わされてもよいことが理解される。さらに、電子回路基板は、電子回路基板が電源ユニットの中心軸に対して長さ方向に平行であり得るという点で、
図1の図に対して水平に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、空気流量センサは、それが取り付けられ得るそれ自体の回路基板または他の基部要素を備えてもよい。いくつかの実施形態では、フレキシブル回路基板を利用してもよい。フレキシブル回路基板は、実質的に管状の形状を含む様々な形状に構成されてもよい。例えば、プリント回路基板および圧力センサの構成がWormらの米国特許出願公開第2015/0245658号明細書に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0059】
電源ユニット102およびカートリッジ104は、それらの間の流体係合を容易にするように構成された構成要素を含んでもよい。
図1に示すように、電源ユニット102は、内部にキャビティ125を有するカプラ124を含むことができる。カートリッジ104は、カプラ124と係合するように構成された基部140を含むことができ、また、キャビティ125内に嵌合するように構成された突起141を含むことができる。このような係合は、電源ユニット102とカートリッジ104との間の安定した接続を容易にするとともに、電源ユニット内の電池110および制御部品106とカートリッジ内のヒータ134との間の電気接続を確立することができる。さらに、電源ユニットシェル101は、吸気口118を含むことができ、吸気口118はシェル内のノッチであってよく、ここでノッチはカプラ124に接続し、これにより、カプラ周辺の周囲空気が通過してシェル内に入り、次いでカプラのキャビティ125を通過し、突起141を介してカートリッジ内に入ることが可能となる。
【0060】
本開示による有用なカプラおよび基部は、Novakらの米国特許出願公開第2014/0261495号明細書に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。例えば、
図1に見られるように、カプラは、基部140の内周142と嵌合するように構成された外周126を画定してもよい。一実施形態では、基部の内周は、カプラの外周の半径と実質的に等しいか、それよりわずかに大きい半径を画定してもよい。さらに、カプラ124は、基部の内周に画定された1つ以上の凹部178と係合するように構成された1つ以上の凸部129を外周126に画定してもよい。しかしながら、構造、形状および構成要素の様々な他の実施形態を使用して、基部をカプラに連結してもよい。いくつかの実施形態では、カートリッジ104の基部140と電源ユニット102のカプラ124との間の接続が実質的に恒久的であってよいのに対して、他の実施形態では、それらの間の接続は、例えば、電源ユニットが、使い捨ておよび/または再充填可能であってよい1つ以上の追加のカートリッジとともに再利用され得るように、解放可能であってよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、エアロゾル送達装置100は、実質的に棒状または実質的に管状または実質的に円筒形状であってよい。他の実施形態では、追加の形状および寸法、例えば、矩形または三角形の断面、多面体形状などが包含される。具体的には、電源ユニット102は、棒状でなくてもよく、むしろ実質的に矩形、円形もしくは何らかの形状を有してもよい。同様に、電源ユニット102は、実質的に従来の紙巻タバコの寸法であると予測される電源ユニットよりも実質的に大きくてよい。
【0062】
図1に示されるリザーバ144は、容器(例えば、エアロゾル前駆体組成物に対して実質的に不浸透性の壁から形成される)であり得るか、繊維リザーバであり得る。容器の壁は柔軟とすることができ、折り畳み可能とすることもできる。あるいは、容器の壁は実質的に硬質であり得る。容器は、好ましくは実質的に密閉されて、本明細書に別途記載されている輸送要素を介するなど、エアロゾル前駆体組成物の通過のために明示的に設けられた任意の特定の開口を介するもの以外のエアロゾル前駆体組成物の通過を防止する。例示的な実施形態では、リザーバ144は、カートリッジシェル103の内部を取り囲む管の形状に実質的に形成された不織繊維の1つ以上の層を備えることができる。エアロゾル前駆体組成物をリザーバ144に保持することができる。例えば、液体成分は、リザーバ144によって収着可能に保持され得る(すなわち、リザーバ144が繊維材料を含む場合)。リザーバ144は、液体輸送要素136と流体接続することができる。この実施形態では、液体輸送要素136は、毛細管作用を介して、金属ワイヤコイルの形態である加熱要素134に、リザーバ144に貯蔵されたエアロゾル前駆体組成物を輸送することができる。このように、加熱要素134は液体輸送要素136を伴った加熱構成にある。
【0063】
使用時に、使用者が物品100を吸引すると、センサ108によって空気流が検出され、加熱要素134が作動し、加熱要素134によってエアロゾル前駆体組成物の成分が気化される。物品100の吸い口を吸引すると、周囲空気が吸気口118に入り、カプラ124内のキャビティ125と、基部140の突起141内の中央開口とを通過する。カートリッジ104では、吸引された空気が形成された蒸気と組み合わさって、エアロゾルを形成する。エアロゾルは、加熱要素134から吹き飛ばされるか、吸入されるか、そうでなければ吸引され、物品100の吸い口内の口元開口128から出る。あるいは、気流センサがない場合、加熱要素134は、押しボタンなどによって手動で作動させられてもよい。
【0064】
エアロゾル送達装置には、入力要素が含まれてもよい(また、気流センサまたは圧力センサを置き換えるか、補完してもよい)。入力は、使用者が装置の機能を制御し、および/または使用者に対して情報を出力することを可能にするために含まれてもよい。装置の機能を制御するための入力として、任意の構成要素または構成要素の組合せが利用されてもよい。例えば、参照により本明細書に組み込まれるWormらの米国特許出願公開第2015/0245658号明細書に記載されているように、1つ以上の押しボタンが使用されてもよい。同様に、参照により本明細書に組み込まれる2015年3月10日に出願されたSearsらの米国特許出願第14/643,626号明細書に記載されているように、タッチスクリーンが使用されてもよい。追加の例として、エアロゾル送達装置の特定の動きに基づくジェスチャ認識に適合した構成要素が、入力として使用されてもよい。参照により本明細書に組み込まれるHenryらの米国特許出願公開第2016/0158782号明細書を参照されたい。
【0065】
いくつかの実施形態では、入力は、スマートフォンまたはタブレットなどのコンピュータまたはコンピューティング装置を備えてもよい。具体的には、エアロゾル送達装置は、USBコードまたは類似のプロトコルの使用などを介して、コンピュータまたは他の装置に配線されてもよい。エアロゾル送達装置はまた、無線通信を介して入力として作用するコンピュータまたは他の装置と通信してもよい。例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれるAmpoliniらの米国特許出願公開第2016/0007561号明細書に記載されているような読み出し要求を介して装置を制御するためのシステムおよび方法を参照されたい。かかる実施形態では、コンピュータまたは他のコンピューティング装置に関連してアプリケーションまたは他のコンピュータプログラムを使用して、エアロゾル送達装置に制御命令を入力してもよく、そのような制御命令は、例えば、ニコチン含有量および/または含有される追加の香味の含有量を選択することによって、特定の組成のエアロゾルを形成する能力を含む。
【0066】
本開示によるエアロゾル送達装置の様々な構成要素は、当技術分野に記載され市販されている構成要素から選択することができる。本開示に従って使用することができる電池の例は、Peckerarらの米国特許出願公開第2010/0028766号明細書に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0067】
エアロゾル送達装置は、エアロゾル生成が所望される場合(例えば、使用中に吸引された場合)に、発熱要素への電力の供給を制御するためのセンサまたは検出器を組み込むことができる。このように、例えば、使用中にエアロゾル送達装置が吸引されていない場合には発熱要素への電力供給をオフにし、吸引中には発熱要素による発熱を作動させるか引き起こすために電力供給をオンにする様式または方法が提供される。追加の代表的な種類の感知または検出機構、それらの構造および構成、それらの構成要素ならびにそれらの一般的な操作方法は、参照により本明細書に組み込まれるSprinkel,Jr.の米国特許第5,261,424号明細書、McCaffertyらの米国特許第5,372,148号明細書およびFlickの国際公開第2010/003480号パンフレットに記載されている。
【0068】
エアロゾル送達装置は、吸引中に発熱要素への電力量を制御するための制御機構を組み込むことが最も好ましい。代表的な種類の電子部品、それらの構造および構成、それらの特徴ならびにそれらの一般的な操作方法は、参照により本明細書に組み込まれるGerthらの米国特許第4,735,217号明細書、Brooksらの米国特許第4,947,874号明細書、McCaffertyらの米国特許第5,372,148号明細書、Fleischhauerらの米国特許第6,040,560号明細書、Nguyenらの米国特許第7,040,314号明細書およびPanの米国特許第8,205,622号明細書、Fernandoらの米国特許出願公開第2009/0230117号明細書、Colletらの米国特許出願公開第2014/0060554号明細書およびAmpoliniらの米国特許出願公開第2014/0270727号明細書ならびにHenryらの米国特許出願公開第2015/0257445号明細書に記載されている。
【0069】
エアロゾル前駆体を支持するための代表的な種類の基材、リザーバまたは他の構成要素は、参照により本明細書に組み込まれるNewtonの米国特許第8,528,569号明細書、Chapmanらの米国特許出願公開第2014/0261487号明細書およびDavisらの米国特許出願公開第2014/0059780号明細書ならびにBlessらの米国特許出願公開第2015/0216232号明細書に記載されている。さらに、様々なウィッキング材料ならびに特定の種類の電子タバコ内のそれらのウィッキング材料の構成および操作は、参照により本明細書に組み込まれるSearsらの米国特許第8,910,640号明細書に記載されている。
【0070】
電子タバコとして特徴付けられるエアロゾル送達システムでは、エアロゾル前駆体組成物は、タバコまたはタバコ由来成分を組み込むことが最も好ましい。ある点では、タバコは、微粉砕されたか、粉砕されたか、粉末状のタバコ薄片などのタバコの部分または片として提供されてもよい。例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれるSearsらの米国特許出願公開第2015/0335070号明細書に記載されているようなタバコビーズ、ペレットまたは他の固体形態が含まれてもよい。別の点では、タバコは、タバコの水溶性成分の多くを組み込んだ噴霧乾燥抽出物などの抽出物の形態で提供されてもよい。あるいは、タバコ抽出物は、タバコ由来の少量の他の抽出成分も組み込んだ比較的高濃度のニコチン含有抽出物の形態を有してもよい。別の点では、タバコに由来する特定の香味剤などの比較的純粋な形態で、タバコ由来成分が提供されてもよい。ある点では、タバコに由来し、高度に精製された形態または本質的に純粋な形態で使用され得る成分は、ニコチン(例えば、医薬品グレードのニコチン)である。
【0071】
蒸気前駆体組成物とも呼ばれるエアロゾル前駆体組成物は、例えば、多価アルコール(例えば、グリセリン、プロピレングリコールまたはそれらの混合物)、ニコチン、タバコ、タバコ抽出物および/または風味料を含む様々な成分を含んでもよい。代表的な種類のエアロゾル前駆体成分および製剤もまた、Robinsonらの米国特許第7,217,320号明細書ならびにZhengらの米国特許出願公開第2013/0008457号明細書、Chongらの米国特許出願公開第2013/0213417号明細書、Collettらの米国特許出願公開第2014/0060554号明細書、Lipowiczらの米国特許出願公開第2015/0020823号明細書およびKollerの米国特許出願公開第2015/0020830号明細書、ならびにBowenらの国際公開第2014/182736号パンフレットに記載され、特徴付けられており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。使用されてもよい他のエアロゾル前駆体には、R.J.Reynolds Vapor CompanyのVUSE(R)製品、Lorillard TechnologiesのBLU(登録商標)製品、Mistic EcigsのMISTIC MENTHOL製品およびCN Creative Ltd.のVYPE製品に組み込まれているエアロゾル前駆体が挙げられる。Johnson Creek Enterprises LLCから入手可能な電子タバコ用のいわゆる「スモークジュース」も望ましい。
【0072】
エアロゾル送達システム内に組み込まれるエアロゾル前駆体の量は、エアロゾル生成部品が許容可能な感覚および望ましい性能特性を提供するような量である。例えば、多くの点でタバコの煙の出現に似た、目に見える主流エアロゾルを生成するために、十分な量のエアロゾル形成材料(例えば、グリセリンおよび/またはプロピレングリコール)が使用されることが非常に好ましい。エアロゾル生成システム内のエアロゾル前駆体の量は、エアロゾル生成部品当たりの所望の吸煙の数などの要因に応じて決まってもよい。1つ以上の実施形態では、約1ml以上、約2ml以上、約5ml以上または約10ml以上のエアロゾル前駆体組成物が含まれてもよい。
【0073】
本開示のエアロゾル送達システムに組み込むことができるさらに他の特徴、制御部または構成要素は、参照により本明細書に組み込まれるHarrisらの米国特許第5,967,148号明細書、Watkinsらの米国特許第5,934,289号明細書、Countsらの米国特許第5,954,979号明細書、Fleischhauerらの米国特許第6,040,560号明細書、Honの米国特許第8,365,742号明細書、Fernandoらの米国特許第8,402,976号明細書、Fernandoらの米国特許出願公開第2010/0163063号明細書、Tuckerらの米国特許出願公開第2013/0192623号明細書、Levenらの米国特許出願公開第2013/0298905号明細書、Kimらの米国特許出願公開第2013/0180553号明細書、Sebastianらの米国特許出願公開第2014/0000638号明細書、Novakらの米国特許出願公開第2014/0261495号明細書およびDePianoらの米国特許出願公開第2014/0261408号明細書に記載されている。
【0074】
物品の使用の上記の説明は、本明細書に提供されるさらなる開示に照らして当業者には明らかであり得る軽微な変更を介して、本明細書に記載される様々な実施形態に適用され得る。しかしながら、上記の使用の説明は、物品の使用を限定することを意図するものではなく、本開示のすべての必要な開示要件に従うために提供される。
図1に示されたか、あるいは上記に記載された物品に示された要素はいずれも、本開示によるエアロゾル送達装置に含まれ得る。
【0075】
1つ以上の実施形態では、本開示は、特に、蒸気生成を増加するように構成されたエアロゾル送達装置に関し得る。このような増加は、様々な要因から生じ得る。いくつかの実施形態では、液体輸送要素(すなわち、ウィックまたはウィッキング要素)は、多孔質セラミック、多孔質ガラスなどのような多孔質モノリスから部分的にまたは完全に形成することができる。本開示の実施形態による使用に適した例示的なモノリシック材料は、例えば、2016年1月5日に出願された米国特許出願第14/988,109号明細書、およびLaMotheの米国特許出願公開第2014/0123989号明細書に記載されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。多孔質モノリスは、実質的に中実のウィックを形成することができる。特に、輸送要素は、当技術分野で既知の個々の繊維の束ではなく、実質的に単一のモノリシック材料とすることができる。
【0076】
流体輸送要素として硬質の多孔質モノリスを使用することは、加熱の均一性を改善し、不均一な加熱が発生した場合の流体輸送要素の炭化の可能性を減らすのに有益である。また、エアロゾル送達装置内の繊維材料の存在を排除することが望ましい場合がある。このような利点にもかかわらず、多孔質モノリスは、流体輸送要素としての実装を成功させるための特定の課題も提示する。かかる課題は、繊維状のウィックと比較して、多孔質モノリス(例えば、多孔質セラミック)の異なる材料特性に一部起因する。例えば、アルミナは、シリカよりも高い熱伝導率および高い熱容量の両方を有する。これらの熱特性により、ウィックとヒータとの界面でエアロゾル前駆体組成物から熱が奪われるため、同等の流体気化を実現するには、比較的高い初期エネルギー出力が必要になる場合がある。本開示は、そのような困難を克服する手段を実現する。
【0077】
多孔質モノリスを使用するいくつかの実施形態では、多孔質モノリスを使用する場合の気化に必要なエネルギーを最小限に抑えることができ、多孔質モノリス流体輸送要素の表面の熱流束密度(ワット毎平方メートル(W/m2)単位で測定)を増加させることによって気化応答時間を改善することができる。本開示は、特に、熱流束密度のそうした増加を提供するのに適した実施形態を説明する。
【0078】
1つ以上の実施形態では、本開示は、多孔質モノリシック流体輸送要素が、実質的に一致する形状を有するヒータと組み合わされる特定の形状部分を有する噴霧器構成に関するものとなり得る。例えば、流体輸送要素236が
図2Aに示されており、流体輸送要素236は実質的に硬質の多孔質モノリスの形態である。
図2Bに見られるように、流体輸送要素は実質的に円形断面を有するが、他の断面形状も包含される。流体輸送要素236は、本体236aと、先細状の第1の端部236bと、第2の端部236cとを有する。流体輸送要素236は実質的に真っ直ぐであるように示されているが、1つ以上の屈曲部を有する、または湾曲しているような他の構成も包含される。流体輸送要素236の本体236aは、該本体236aの長手方向長さに沿って実質的に一定の直径dを有する。第2の端部236cは、本体236aの直径dと実質的に同じ直径を有することができる。ただし、第2の端部236cの直径は、本体236aの直径dよりも小さくても大きくてもよい。図示されるように、輸送要素236の先細状端部236bは、輸送要素の全長Lの約25%を形成する。様々な実施形態では、先細状端部236bは、輸送要素236の全長Lの約5%~約50%、約10%~約40%または約15%~約35%を形成する。輸送要素236の先細状端部236bは、本体236aの直径dとほぼ同じ直径で始まり、次いで点236dまで徐々に縮小するように構成される。点236dは鋭い点として示されているが、そのような構成は必要ではない。好ましくは、点236dは、本体236aの直径dの約50%以下、約35%以下、約20%以下または約10%以下の直径を有し、例示的な下方範囲は、本体の直径dの約5%または約1%である。いくつかの実施形態では、点236dは、実質的に丸みを帯びるか、平坦とすることができる。
【0079】
ヒータ234が
図3に示されており、ヒータは、輸送要素236の先細状端部236bと実質的に一致する形状の加熱線235aから形成されている。図示されるように、ヒータ234は実質的にかご型である。輸送要素236の先細状端部236bと実質的に一致するために、ヒータ234は、輸送要素236の寸法と実質的に同様の寸法を有することができる。例示的な実施形態では、ヒータ234は、輸送要素236の本体236aの直径dと実質的に同じ直径Aを有する上端234aを有する。実質的に同じとは、ヒータ234の上端234aの直径Aが輸送要素236の本体236aの直径dの±10%であることを示す。ヒータ234はまた、輸送要素236の先細状端部236bの長さと実質的に同じ高さCを有する。実質的に同じとは、ヒータ234の高さCが輸送要素236の先細状端部236bの長さの±10%であることを示す。いくつかの実施形態では、ヒータ234の高さCは、輸送要素236の先細状端部236bの長さ以下である。例えば、ヒータ234の高さCは、輸送要素236の先細状端部236bの長さの約50%~約100%、約60%~約99%または約65%~約98%とすることができる。ヒータ234はまた、ヒータの上端234aの直径Aよりも小さい直径Dを有する下端234bを有することができる。ヒータ234の下端234bの直径Dは、ヒータの上端234aの直径Aの約50%以下、約35%以下、約20%以下または約10%以下であることが好ましい。例えば、直径Dは、直径Aの約1%~約50%、約2%~約40%または約5%~約30%とすることができる。ヒータ234の直径は、ヒータの上端234aの直径Aからヒータの下端234bの直径Dまで徐々に縮小することができる。ヒータ234は、輸送要素236の先細状端部236bを受け入れるように構成された開口する内部領域を有する。
【0080】
ヒータ234は、ヒータに正および負の電気接続を提供するための電気リード線(235b、235c)をさらに含むことができる。電気リード線(235b、235c)は、加熱線235aと一体に形成することができるか、加熱線に(例えば、溶接により、またはコネクタを使用して)取り付けることができる別個の要素とすることができる。ヒータ234は、加熱線235aによって形成されたコイルの全幅と、電気リード線(235b、235c)の長さとを含むことができる全幅Bを有することが可能である。
【0081】
輸送要素236とヒータ234との組合せが
図4に示されている。そこに見られるように、噴霧器275は、硬質の多孔質モノリスの形態の輸送要素236と、輸送要素の先細状端部の周りに巻き付けられたヒータ234とから形成される。ヒータ234は、ヒータ線235aの9巻きのコイルを備える。見られるように、ヒータ234は、実質的に円錐形状であり、流体輸送要素の先細状端部を受け入れ、それと実質的に一致する内部領域を含む。この構成では、ヒータ234からのエネルギーは、ウィックの先細状端部の比較的小さな表面積に集中する。比較すると、
図5に示すように、流体輸送要素236’の一定直径部分の周りに巻き付けられたヒータ線235a’の9巻きのコイルから形成されたヒータ234’は、流体輸送要素のかなり大きな表面積を覆い、ひいては、エネルギーの集中を低下させる。このような比較の噴霧器では、熱流束密度は、
図4に示すようにヒータ線が比較的小さな表面積に巻かれている場合よりも大幅に低下する。
【0082】
1つ以上の実施形態では、代替のヒータ構成を使用して、熱流束密度を増加させ、ひいては加熱および蒸気形成を改善することができる。例えば、
図6に示すように、メッシュまたはスクリーンヒータ334を使用してもよく、これは、多孔質モノリシック流体輸送要素336上のヒータ表面積の範囲を拡大するのに効果的であり得る。ヒータは、好ましくは、流体輸送要素の外面の少なくとも一部に接触するように構成され、ヒータは導電性メッシュの形態である。本明細書で使用されるメッシュおよびスクリーンという用語は、交換可能であり、特に、交差する導電性フィラメント335aのネットワークを指すことを意味する。したがって、導電性メッシュは、導電性フィラメントのネットワークおよび/または交絡構造であると解釈することができる。導電性フィラメント335aは、ヒータの形成に関して本明細書に別途列挙されているような任意の好適な導電性材料から形成することができる。1つ以上の実施形態では、導電性フィラメント335aは、留め具338aと338bとの間の電流の流れの方向を改善するのに有効であり得る非導電性フィラメント383または同様の材料と少なくとも部分的に織り合わされ得る。
【0083】
導電性メッシュヒータ334は、流体輸送要素336の外面の少なくとも一部を周方向に取り囲むことができる。いくつかの実施形態では、導電性メッシュヒータ334は、流体輸送要素336の外面の少なくとも一部を部分的にのみ取り囲んでもよい。導電性メッシュヒータ334は、第1の端部334aおよび第2の端部334bを含むことができ、そこで流体輸送要素336の外面上の導電性メッシュヒータの範囲が終了する。導電性メッシュヒータ334の第1の端部334aおよび第2の端部334bは、導電性メッシュヒータを流体輸送要素に固定することができる、および/または導電性メッシュヒータと電源との間の電気接続部として機能することができる、それぞれの第1および第2の留め具338aおよび338bを含むことができる。
【0084】
図7に見られるように、導電性メッシュヒータ334は、複数の交差する導電性フィラメント335aを備えることができる。導電性メッシュヒータ334は、平行四辺形339、またはメッシュ構成と一致する他の形状を形成する導電性フィラメント335aの規則的なパターンを画定することができる。導電性フィラメント335aは、特に、断熱空間381を取り囲むことができる。断熱空間381は、開口していても(例えば、空気により断熱されていても)よく、あるいは少なくとも部分的に断熱材が充填されていてもよい。断熱空間381は、導電性メッシュヒータ334の加熱能力が最大化され、かつ導電性メッシュヒータへの電力送達の量が最小化されるように、規定の面積を有するように構成され得る。いくつかの実施形態では、断熱空間は、約0.01μm
2~約2mm
2の平均個別面積を有することができる。さらなる実施形態では、断熱空間は、約0.05μm
2~約1.5mm
2、約0.1μm
2~約1mm
2、約0.25μm
2~約0.5mm
2または約0.5μm
2~約0.1mm
2の平均個別面積を有することができる。いくつかの実施形態では、断熱空間は、約0.005mm
2~約2mm
2、約0.01mm
2~約1.5mm
2または約0.02mm
2~約1mm
2などの上方範囲の平均個別面積を有することができる。いくつかの実施形態では、断熱空間は、約0.01μm
2~約10μm
2、約0.02μm
2~約5μm
2または約0.05μm
2~約1μm
2などの下方範囲の平均個別面積を有することができる。
【0085】
図6に戻ると、導電性メッシュヒータ334は、図示されるように、流体輸送要素336の長手方向全長の約30%を覆っている。さらなる実施形態では、導電性メッシュヒータ334は、流体輸送要素336の長手方向全長の約10%~約80%、約15%~約75%または約20%~約70%に存在することができる。導電性メッシュヒータ334は、流体輸送要素336の一端に実質的に近接して配置されてもよく、あるいは導電性メッシュヒータは、流体輸送要素の長手方向長さに沿って実質的に中央に配置されてもよい。
【0086】
さらなる実施形態では、
図4および/または
図6に示されるような噴霧器(275、375)が、
図1に示されるようなエアロゾル送達装置(100)に含まれてもよい。したがって、
図1のエアロゾル送達装置100からの関連要素のいずれかが、本明細書に記載の噴霧器(275および/または375)を含むエアロゾル送達装置に含まれてもよい。例示的な実施形態として、エアロゾル送達装置800が
図8に示されている。エアロゾル送達装置800は、外側本体またはシェル803によって画定されるタンク(またはカートリッジ)804を含む。タンク804は、エアロゾル前駆体組成物845が少なくとも部分的に充填されたリザーバ844を含む。リザーバ844は、特に、多孔質モノリシック流体輸送要素836と密封係合するように構成された単一の開口部846を有する閉鎖体として構成される。したがって、流体輸送要素836は、エアロゾル前駆体組成物845と流体連通しているか、他の接触状態にあり、ヒータ834にエアロゾル前駆体組成物を輸送するように、リザーバ844内へ延在または突出する。ヒータ834が作動すると、エアロゾル前駆体組成物は気化されて、タンク804内の気化ゾーン809を少なくとも部分的に充填する。吸気口818を通って引き込まれた空気によって、形成された蒸気(例えば、形成された蒸気が空気と混合されるエアロゾルの形態)が気化ゾーン809から吸い口827へ送られる。図示されるように、リザーバ844は、タンク804の実質的に中心に位置し、エアロゾルはリザーバの周りを通過する。ただし、要素の他の構成も包含される。タンク804は、タンクを制御本体または電源ユニット(例えば、
図1の要素102)に接続するためのコネクタ840を含む。コネクタ840は、
図1に示される基部140と同様の構造を有してもよく、あるいはタンク804を制御本体/電源ユニットに接続するのに適した任意の追加の構造を有してもよい。図示されていないが、ヒータ834と電池(例えば、
図1の要素110)または他の電力送達装置との間の電気接続を提供するために電気接続部が含まれることが理解される。
図8に示すヒータ834と流体輸送要素836との組合せに加えて、またはその代替として、
図6に示す噴霧器375が使用されてもよい。
【0087】
本明細書に記載されるヒータは、一般に、流体輸送要素の外側部分の周りに配置されてもよい。しかしながら、1つ以上の実施形態では、ヒータは、流体輸送要素の少なくとも部分的に内部に配置されてもよい。例えば、セラミック流体輸送要素は、セラミック流体輸送要素およびヒータがモノリシックであるように、ヒータの存在下で形成されてもよい。かかる実施形態では、電気接点を形成するのに適した少なくとも十分な量のヒータが、流体輸送要素の外部に配置される。いくつかの実施形態では、流体輸送要素を、少なくとも部分的に中空としてもよい、すなわち、ヒータが配置され得る解放された空間を含んでもよい。このように、流体輸送要素から外方に最大の蒸気生成が形成されるように、加熱を内側から外側へ進めてもよい。必要に応じて、本明細書に記載のヒータを、流体輸送要素の少なくとも部分的に内部に配置してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のヒータを流体輸送要素の外面に配置してもよく、第2のヒータを上述のように流体輸送要素の少なくとも部分的に内部に配置してもよい。
【0088】
少なくとも2つの別個のヒータを使用すると、蒸気生成を改善するのに有益となり得る。具体的には、第1のヒータを使用して液体輸送要素内での気化のために液体を予熱することができ、第2のヒータを使用して液体を実際に気化させることができる。予熱により、所望の量の蒸気を提供するために必要な総電力および/または絶対温度および/または加熱時間を低減することができる。例えば、内部ヒータは予熱器であってよく、外部ヒータは気化ヒータであってよい。あるいは、少なくとも2つの別個のヒータを液体輸送要素の外面に配置してもよい。一方のヒータは予熱器として機能させることができ、他方のヒータは気化ヒータとして機能させることができる。例えば、
図8に示すように、予熱器(図示せず)は、ヒータ834(気化ヒータとして機能し得る)とリザーバ844との間に配置させることができる。予熱器は、リザーバ844から気化ヒータ834に流れる液体エアロゾル前駆体組成物845を予熱してもよく、その結果、気化ヒータは、上述のように気化をさらに容易に達成することができ、および/または予熱器は、液体エアロゾル前駆体組成物の粘度を低下させて、リザーバから気化ヒータへの液体の流れを改善し得る。同様のヒータの組合せを
図6の液体輸送要素336に適用してもよい。
図8では、ヒータ834とリザーバ844との間に配置された第2のヒータは、本明細書に記載のメッシュヒータであってもよいか、単純なワイヤコイルであってもよいか、液体輸送要素内の液体を予熱するのに有用な任意の他の種類のヒータであってもよい。
図6では、液体輸送要素336上の第2のヒータは、追加のメッシュヒータであってもよいか、単純なワイヤコイルであってもよいか、液体輸送要素内の液体を予熱するのに有用な任意の他の種類のヒータであってもよい。例えば、本明細書に記載のワイヤメッシュヒータ(
図6参照)またはかご型ヒータ(
図4参照)と組み合わせて、
図5に示すようなヒータコイル234’を第2のヒータとして追加してもよい。
【0089】
1つ以上の例では、本明細書に記載される値は、「約」という単語によって特徴付けられ得る。値が「約」記載された量であるということは、記載された量が正確に、示された値であり得るか、示された値から最大5%、最大2%または最大1%変化する可能性があることを示すと理解される。
【0090】
上記の説明および関連する図面に示された教示の利益を有し、本開示が関連する当業者には、本開示の多くの変更および他の実施形態が思い浮かぶであろう。したがって、本開示は、本明細書に開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、変更および他の実施形態が添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されることを理解されたい。本明細書では特定の用語を使用しているが、それらは一般的かつ説明的な意味でのみ使用され、限定のためには使用されない。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル送達装置であって、
外側本体によって画定されるタンクと、
タンクの端に配置されるコネクタであって、タンクを電源ユニットに接続するように構成されているコネクタと、
タンクの反対の端に配置される吸い口と、
タンクの外側本体内に画定され、エアロゾル前駆体組成物を保持するのに有効なリザーバと、
タンクの外側本体内に画定される噴霧器であって、
開放された空間を画定するように少なくとも部分的に中空である硬質の多孔質モノリスの形態の流体輸送要素と、
硬質の多孔質モノリスにおいて画定される開放された空間内に少なくとも部分的に位置づけられるヒータとを含み、
リザーバによって保持されるエアロゾル前駆体組成物が硬質の多孔質モノリスの外側表面に接するように、リザーバに対して位置付けられる、噴霧器と
を含む、エアロゾル送達装置。
【請求項2】
噴霧器のヒータが、タンクの吸い口よりもタンクのコネクタにより近くなるようにタンク内に位置付けられる、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項3】
硬質の多孔質モノリスが、多孔質セラミックまたは多孔質ガラスから形成される、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項4】
流体輸送要素が、繊維材料を含まない、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項5】
流体輸送要素が、ヒータが硬質の多孔質モノリスに不可欠であるようにヒータの存在下で形成される多孔質セラミックを含む、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項6】
電気的接触を形成するのに適したヒータの少なくとも一部が、硬質の多孔質モノリスの外部に位置付けられる、請求項5に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項7】
硬質の多孔質モノリスにおいて画定される開放された空間内の少なくとも部分的なヒータの配置が、硬質の多孔質モノリスから外へ移動する蒸気を生じるのに有効である、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項8】
ヒータが、ワイヤコイルとして構成される、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項9】
ヒータが、ワイヤメッシュとして構成される、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項10】
ヒータによるエアロゾル前駆体組成物の加熱によって形成される蒸気が少なくとも部分的に気化ゾーンを満たし、気化ゾーンから吸い口に通過される気流通路を通して通過する空気と混ざるようにタンクを通して気流通路に対して配置される気化ゾーンを含む、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項11】
エアロゾル送達装置であって、
外側シェルと、
外側シェル内に画定され、エアロゾル前駆体組成物を保持するのに有効なリザーバと、
外側シェル内に位置付けられ、エアロゾル前駆体組成物を気化するように配置されたヒータと、
外側シェル内に位置付けられ、エアロゾル前駆体組成物をリザーバからヒータに移送してそれによって気化されるように配置された流体輸送要素とを含み、
ヒータが、導電性フィラメントのネットワークによって形成される導電性メッシュとして構成され、第1の留め具とともに第1の端および第2の留め具とともに第2の端を画定するように配置され、第1の留め具および第2の留め具が導電性メッシュヒータを位置的に動かないように構成される、エアロゾル送達装置。
【請求項12】
導電性メッシュが、断熱空間を取り囲む平行四辺形を形成する導電性フィラメントの規則的なパターンを有する、請求項12に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項13】
断熱空間が、開口している、請求項12に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項14】
断熱空間が、約0.01μm2~約2mm2の平均個別面積を有する、請求項請求項13に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項15】
第1の留め具および第2の留め具が、電源から電力を受け取るために導電性メッシュヒータの電気接続として構成される、請求項11に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項16】
導電性メッシュヒータが、流体輸送要素の表面の少なくとも一部に接するように配置される、請求項11に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項17】
流体輸送要素が、硬質の多孔質モノリスの形態であり、流体輸送要素が第1の端および第2の端を有する、請求項11に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項18】
導電性メッシュヒータが、流体輸送要素の外側表面の少なくとも一部を周方向に取り囲む、請求項17に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項19】
流体輸送要素が、長手方向全長を有し、導電性メッシュが、流体輸送要素の長手方向全長の約10%~約80%に存在する、請求項18に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項20】
導電性フィラメントのネットワークが、1つ以上の非導電性フィラメントを含む、請求項11に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項21】
1つ以上の非導電性フィラメントが、第1の留め具と第2の留め具との間の電流の流れの方向を改善するのに有効である、請求項20に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項22】
エアロゾル送達装置のカートリッジであって、カートリッジが、
外側シェルと、
外側シェルにおいて画定されるリザーバであって、エアロゾル前駆体組成物を保持するように構成されるリザーバと、
カートリッジの上端を画定する吸い口と、
カートリッジの下端を画定するコネクタと、
カートリッジにおいてリザーバの下に気化ゾーンに接近して位置付けられるヒータと、
カートリッジにおいて位置付けられ、リザーバからヒータにエアロゾル前駆体組成物を送達するように配置される流体輸送要素とを含み、
気化ゾーンにおけるヒータによるエアロゾル前駆体組成物の加熱が、ヒータの下および気化ゾーンの下でカートリッジに入る空気と混合する蒸気を形成して、混合された蒸気および空気が、リザーバを過ぎて吸い口に進む、カートリッジ。
【請求項23】
ヒータが、導電性フィラメントのネットワークによって形成される導電性メッシュとして構成される、請求項22に記載のカートリッジ。
【請求項24】
導電性フィラメントが、第1の留め具とともに第1の端および第2の留め具とともに第2の端を画定するように配置される、請求項23に記載のカートリッジ。
【請求項25】
第1の留め具および第2の留め具が、導電性メッシュヒータを位置的に動かないように構成される、請求項24に記載のカートリッジ。
【請求項26】
ヒータが、流体輸送要素の端に位置付けられる、請求項22に記載のカートリッジ。