IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アボット カーディオヴァスキュラー システムズ インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026428
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】薄肉スキャフォールド
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/915 20130101AFI20240220BHJP
   A61F 2/958 20130101ALI20240220BHJP
【FI】
A61F2/915
A61F2/958
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023214595
(22)【出願日】2023-12-20
(62)【分割の表示】P 2022066323の分割
【原出願日】2016-12-15
(31)【優先権主張番号】14/973,628
(32)【優先日】2015-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/973,632
(32)【優先日】2015-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/973,633
(32)【優先日】2015-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507135788
【氏名又は名称】アボット カーディオヴァスキュラー システムズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100168734
【弁理士】
【氏名又は名称】石塚 淳一
(72)【発明者】
【氏名】タ, ディエム
(72)【発明者】
【氏名】アブナッサー, チャド
(72)【発明者】
【氏名】エスワラン, センティル
(72)【発明者】
【氏名】リン, ジチェン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】身体の解剖学的内腔を治療するための生体吸収性スキャフォールドを提供する。
【解決手段】薄肉スキャフォールドは、リンクに連結された放射線不透過性マーカを含む。第1の例では、マーカは、据え込みによって一方または両方の端部の頭部によってストラット上に保持される。薄肉スキャフォールドの第2の例では、リンクは、クリンプ中の干渉を回避するように変更される。第3の例では、薄肉スキャフォールドの遠位端が、薄肉スキャフォールドの導入性を改善するように変更される。これらの特徴は、第4の例において組み合わされる。
【選択図】図4D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用具であって、前記医療用具が、
遠位バルーン端および近位バルーン端を有するバルーンを有するバルーンカテーテルと、
前記バルーンにクリンプされた薄肉スキャフォールドであって、複数のリンクによって相互連結された複数のリングのネットワークによって形成された近位端部および遠位端部を有し、各リングが複数の山を有し、山がU頂部、Y頂部またはW頂部のうちの1つであり、各リングが、長手方向軸線(A-A)と垂直な垂直軸線(B-B)に沿って波状に周方向に延びている、薄肉スキャフォールドと、
前記複数のリングのうちの第1のリングと第2のリングとの間に延びるマーカリンクであって、放射線不透過性材料が収容された穴を有する構造を含むマーカリンクとを備え、
前記マーカリンクが、前記第1のリングと共に前記第1のリングのW頂部を形成し、前記第2のリングと共に前記第2のリングのY頂部を形成しており、前記第1のリングの前記W頂部が第1の山に対応しており、
前記第1のリングの前記第1の山から前記第1の山の隣の第2の山までの寸法である前記第1のリングの第1の波長が、前記第1のリングの前記第2の山から前記第2の山の隣の第3の山までの寸法である前記第1のリングの第2の波長よりも長く、
前記薄肉スキャフォールドが約D-minの外径を有し、ここで、
D-min=(1/π)×[(n×strut_width)+(m×link_width)]+2×tであり、
「n」がリング内のストラットの数であり、
「strut_width」がストラットの幅であり、
「m」が、隣り合うリングを結び付けるリンクの数であり、
「link_width」がリンクの幅であり、
「t」が壁厚である、
医療用具。
【請求項2】
前記垂直軸線(B-B)に沿った寸法である前記構造の最大幅が、前記第2のリングと前記第2のリングと隣り合う第3のリングとの間に延びるリンクの最大幅よりも大きい、請求項1に記載の医療用具。
【請求項3】
前記マーカリンクが、前記構造から前記W頂部まで延びる第1のリンク部分と、前記Y頂部から前記構造まで延びる第2のリンク部分とを含み、前記第1のリンク部分の幅が、前記第2のリンク部分の幅よりも大きい、請求項1に記載の医療用具。
【請求項4】
前記第1のリンク部分の長さが、前記第2のリンク部分の長さよりも短い、請求項3に記載の医療用具。
【請求項5】
前記構造が、前記放射線不透過性材料を収容する第1の穴および第2の穴を含み、前記第1の穴および前記第2の穴が、前記長手方向軸線(A-A)と平行に並んでいる、請求項1に記載の医療用具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は生体吸収性スキャフォールドに関し、より詳細には、本発明は、身体の解剖学的内腔を治療するための生体吸収性スキャフォールドに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]半径方向に拡張可能な体内プロテーゼは、解剖学的内腔に埋め込まれるように適合された人工デバイスである。「解剖学的内腔」とは、血管、尿路、胆管などの管状器官の腔、すなわち管を指す。ステントは、略円筒形であり、解剖学的内腔の一部分を開いた状態に保ち、場合によっては拡張する体内プロテーゼの例である。ステントは、血管内のアテローム硬化性狭窄症の治療においてしばしば使用される。「狭窄」とは、身体の通路または開口部の径の狭窄または絞窄を指す。そのような治療において、ステントは、血管の壁を補強し、血管系における血管形成術後の再狭窄を防止する。「再狭窄」とは、(バルーン血管形成術、ステント留置、または弁形成術によって)治療され、明らかに成功した後の血管または心臓弁における狭窄の再発を指す。
【0003】
[0003]ステントを用いた患部または病変の治療は、ステントの導入と展開の両方を伴う。「導入」とは、解剖学的内腔を通して病変など所望の治療部位にステントを導入し、送ることを指す。「展開」とは、治療領域の内腔内でのステントの拡張に対応する。ステントの導入および展開は、ステントをカテーテルの一端部の周りに位置決めし、そのカテーテルの端部を、皮膚を通して解剖学的内腔内に挿入し、解剖学的内腔内でカテーテルを所望の治療位置まで前進させ、治療位置でステントを拡張し、内腔からカテーテルを取り外すことによって達成される。
【0004】
[0004]スキャフォールドおよびステントは、従来から2つの一般的なカテゴリ、すなわち、バルーン拡張型と自己拡張型とに分類される。後者のタイプは、半径方向の拘束が除去されると血管内で(少なくとも部分的に)拡張して展開状態または拡張状態になるが、前者は、外部から加えられた力を利用してそれ自体をクリンプ状態または格納状態から展開状態または拡張状態に構成する。
【0005】
[0005]自己拡張型ステントは、半径方向の拘束が除去されると著しく拡張するように設計されており、多くの場合ステントの展開にバルーンを必要としない。自己拡張型ステントは、(補助バルーンがあってもなくても)シース内に格納され、または内腔内で拡張されたときに、塑性変形も非弾性変形も受けず、または比較的受けにくい。バルーン拡張型ステントまたはスキャフォールドは、これとは対照的に、クリンプされるときにも後でバルーンによって展開されるときにも著しい塑性変形または非弾性変形を受ける。
【0006】
[0006]バルーン拡張型ステントの場合、ステントは、バルーンカテーテルのバルーン部分の周囲に取り付けられる。ステントはバルーン上に圧縮またはクリンプされる。クリンプは、米国特許出願第2012/0042501号明細書に開示および図示されているクリンプ機のような、アイリス型または他の形態のクリンパの使用によって達成されうる。バルーン拡張型ステントまたはスキャフォールドがクリンプされるときにも、後でバルーンによって展開されるときにも、著しい量の塑性変形または非弾性変形が発生する。内腔内の治療部位において、ステントは、バルーンを膨らませることによって拡張される。
【0007】
[0007]ステントは、いくつかの基本的な機能要件を満たすことができなければならない。ステント(またはスキャフォールド)は、血管の壁を支持する際に半径方向の圧縮力を持続することができなければならない。したがってステントは、適切な半径方向の強度を有していなければならない。展開後、ステントは、ステントにかかりうる様々な力にもかかわらずその耐用年数を通してそのサイズおよび形状を適切に維持しなければならない。特にステントは、これらの力にもかかわらず、所望の治療期間にわたって血管を規定の直径に適切に維持しなければならない。治療期間は血管壁が再造形するのに必要な期間に対応していてよく、その後ステントはもはや不要になる。
【0008】
[0008]生体吸収性ポリマースキャフォールドの例には、Limonの米国特許第8,002,817号明細書、Lordの米国特許第8,303,644号明細書、およびYangの米国特許第8,388,673号明細書に記載されているものが含まれる。図1に、カテーテルを使用して解剖学的内腔を通して導入するように設計され、バルーンを使用して塑性的に拡張された生体吸収性ポリマースキャフォールドの遠位領域を示す。スキャフォールドは、中心軸線2を有する円筒形状を有し、バーアームまたはストラット4と呼ばれる、相互連結する構造要素のパターンを含む。軸線2は、ストラット4によって形成された円筒形状の中心を通って延在する。圧縮中および展開中に関与する応力は、ストラット4全体にわたって広く分散されるが、曲げ要素、頂部またはストラット接合部に集中する。ストラット4は、頂部8で互いに連結された一連のリングストラット6を含む。リングストラット6および頂部8は、正弦波状リング5を形成している。リング5は、長手方向に軸線2を中心として配置されている。またストラット4は、リング5を互いに連結するリンクストラット9を含む。リング5およびリンクストラット9は集合的に、軸線2を有する管状スキャフォールド10を形成し、軸線2はスキャフォールド10の内腔軸線または長手方向軸線を表す。リング5dはスキャフォールドの遠位端に位置している。頂部8は、スキャフォールド10がバルーンにクリンプされるときにはより小さい角度を形成し、バルーンによって塑性的に拡張されるときにはより大きい角度を形成する。展開後、スキャフォールドは周囲の組織から静的、周期的な圧縮荷重を受ける。リング5は、展開後にスキャフォールドの半径方向に拡張された状態を維持するように構成されている。
【0009】
[0009]スキャフォールドは、生体分解性、生体吸収性、生体再吸収性、または生体浸食性のポリマーから作製されうる。生体分解性、生体吸収性、生体再吸収性、生体溶解性または生体浸食性という用語は、分解、吸収、再吸収または浸食されて移植部位からなくなる材料またはステントの特性を指す。またスキャフォールドは、生体浸食性の金属および合金で構築されてもよい。スキャフォールドは、耐久性のある金属製ステントとは対照的に、限られた期間にわたってのみ体内に留まることが意図されている。多くの治療応用において、身体内のステントの存在は、例えば、血管開存性の維持および/または薬物送達など、その意図される機能が達成されるまでの限られた期間にわたって必要でありうる。さらに、生体分解性スキャフォールドは、金属製ステントと比較して、解剖学的内腔の治癒の改善を可能にすることが示されており、これは後期血栓症の発生率の低下につながりうる。これらの場合には、血管内のプロテーゼの存在が一時的であるように、金属製ステントではなく、ポリマースキャフォールド、特に生体吸収性または生体再吸収性のポリマースキャフォールドを使用して血管を処置することが望まれている。
【0010】
[0010]以下の方法のいくつかでは、ポリマースキャフォールドとして使用するために考察されるポリマー材料、例えば、ポリ(L-ラクチド)(「PLLA」)、ポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)(「PLGA」)、D-ラクチドが10%未満のポリ(D-ラクチド-co-グリコリド)またはポリ(L-ラクチド-co-D-ラクチド)(「PLLA-co-PDLA」)、ポリ(L-ラクチド-co-カプロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)、PLLD/PDLAステレオコンプレックス、および上記ポリマーのブレンドについて、ステントの形成に使用される金属材料との比較によって説明する場合がある。ポリマー材料は、通常、金属と比較してより低い強度体積比を有し、これは、同等の機械的特性を提供するのにより多くの材料が必要であることを意味する。したがって、ステントが所望の半径で内腔壁を支持するのに必要な強度を有するためには、ストラットをより厚くかつより幅広くしなければならない。またこのようなポリマーから作製されたスキャフォールドには、脆い、または限られた破壊靭性を有する傾向もある。材料に固有の異方性および速度依存性の非弾性特性(すなわち、材料の強度/剛性が、温度、水和度、熱履歴に加えて、材料が変形する速度に応じても変動する)は、ポリマー、特に、PLLAやPLGAなどの生体吸収性ポリマーと共に作用する際に、この複雑さを悪化させるだけである。
【0011】
[0011]スキャフォールド構造に生体吸収性ポリマー(および、一般に炭素、水素、酸素および窒素からなるポリマー)を用いる場合のさらなる課題は、材料が放射線透過性であり、放射線不透過性がないことである。生体吸収性ポリマーには体組織に類似したX線吸収を有する傾向がある。この問題に対処する公知の方法は、ストラット、バーアーム、リンクなどのスキャフォールドの構造要素に放射線不透過性マーカを取り付けることである。例えば、図1には、遠位端リング5dを隣にあるリング5に連結するリンク要素9dが示されている。リンク要素9dは、一対の穴を有する。各穴は、放射線不透過性マーカ11を保持する。マーカ11のスキャフォールド10との併用には課題がある。スキャフォールドをバルーンにクリンプするような処理ステップの間に、またはスキャフォールドがクリンプ状態からバルーン拡張されたときにマーカ11がスキャフォールドから分離しないように、マーカ11をリンク要素9dに取り付ける確実な方法が必要である。これらの2つの事象、すなわちクリンプとバルーン拡張は、どちらの事象もスキャフォールド本体において著しい塑性変形を誘起するため、スキャフォールドへのマーカ付着にとって特に問題となる。この変形が、マーカを支持する、またはマーカの近くにあるストラットの著しい面外の、または不規則な変形を引き起こした場合、マーカが脱落する可能性がある(例えば、マーカを保持するストラットがクリンプ中にねじれたり曲がったりした場合、マーカはその穴から落下する可能性がある)。放射線不透過性マーカを有するスキャフォールド、およびマーカをスキャフォールド本体に取り付けるための方法は、米国特許出願第2007/0156230号明細書で論じられている。
【0012】
[0012]薄肉スキャフォールドのためのスキャフォールドへの放射線不透過性マーカ固定の確実性を改善する必要がある。この必要に関連して、スキャフォールド、特に蛇行した解剖学的構造の周囲を送らなければならない生体吸収性材料で作製された薄肉スキャフォールドの性能特性を改善する必要がある。
【発明の概要】
【0013】
[0013]開示されるのは、放射線不透過性マーカと、そのような放射線不透過性材料を保持し、クリンププロファイルの低減および/またはスキャフォールドが取り付けられているカテーテルを蛇行した解剖学的構造に押し通すときのカテーテルへの順応性の改善を可能にするスキャフォールド構造とを有する生体吸収性スキャフォールドである。
【0014】
[0014]本明細書で開示されるスキャフォールドは、以下の目的のうちの1つ、またはそれらの組み合わせを満たすのに適している。
(i)放射線不透過性マーカを支持する薄肉スキャフォールドのクリンププロファイルを薄くすること。
(ii)マーカを薄肉スキャフォールドに固定すること。
(iii)薄肉スキャフォールドが、クリンプ中、標的血管部位におけるバルーン拡張中、または標的部位へのスキャフォールドの導入中に変形される場合のマーカ保持構造におけるひずみエネルギー蓄積を低減させること。
(iv)薄肉スキャフォールド、またはPLLAを含み、125ミクロン(μm)より大きい肉厚を有するスキャフォールドのための、スキャフォールドの遠位端における端リングのフレアリングを低減させること。
【0015】
[0015]薄肉とするために、より大きい肉厚が使用された場合に以前には問題とされなかったスキャフォールドの特定の重要領域を変更する必要が試験を通じて、認識されている。158ミクロン(μm)のより大きい肉厚を有するスキャフォールドの例が、米国特許出願第2010/0004735号明細書に記載されている。肉厚の著しい低減がなされた場合、既存の生体吸収性スキャフォールド(例えば、160ミクロン(μm)の肉厚から100ミクロン(μm)の肉厚まで)と比較して、リングおよびリンク要素の配置、形状および寸法は、特にスキャフォールドの遠位端では、改善が必要であることが判明している。
【0016】
[0016]薄肉スキャフォールドが求められるのは、血流中で露出されるストラットの低プロファイルを維持する臨床的必要性があるからである。血液適合性(blood compatibility)は、血液適合性(hemocompatibility)または凝血抵抗性とも呼ばれ、スキャフォールドおよびステントにとって望ましい特性である。スキャフォールド血栓症の有害事象は、非常に低頻度の事象ではあるが、高い罹患率および死亡率を伴う。血栓の危険を軽減するために、二重の抗血小板療法が、すべての冠動脈スキャフォールドおよびステントの移植と共に施される。これは、処置、血管損傷、およびインプラント自体による血栓形成を低減させるためである。スキャフォールドおよびステントは異物であり、それらはすべてある程度の血栓形成性を有する。スキャフォールドの血栓形成性とは、その血栓を形成する傾向を指し、これは、ストラット厚さ、ストラット幅、ストラット形状、スキャフォールド全表面積、スキャフォールドパターン、スキャフォールド長さ、スキャフォールド径、表面粗度および表面化学作用を含むいくつかの要因によるものである。これらの要因のいくつかは相互に関連している。低ストラットプロファイルは、新生内膜増殖の低減にもつながる。というのは、新生内壁はストラットを覆うために必要な程度まで増殖することになるからである。よって被覆は、治癒の完了に必要なステップである。ストラットがより薄いと内皮化および治癒もより速くなると考えられる。
【0017】
[0017]本発明の様々な態様によれば、薄肉スキャフォールド(「スキャフォールド」)、医療用具、そのようなスキャフォールドを作製するための方法、マーカを作製し、マーカをスキャフォールドのストラット、リンクもしくはバーアームに取り付ける方法、クリンプのための方法、またはそのようなスキャフォールドを備える医療用具の組み立てのための方法があり、これらは、以下の(1)~(15)のうちの1もしくは複数、またはそれらの任意の組み合わせを有する。
【0018】
(1)スキャフォールドが理論上最小のクリンプ直径(D-min)までクリンプされる。
【0019】
(2)スキャフォールド肉厚は125ミクロン(μm)未満、100ミクロン(μm)未満、約100ミクロン(μm)または約93ミクロン(μm)である。
【0020】
(3)マーカリンクに連結されたリングの波長がマーカリンクに連結されていない別のリングの波長より大きく、かつ/またはマーカリンクに連結されたリングの波長は異なる長さの波長を有する。
【0021】
(4)W頂部から隣にあるU頂部までの距離がY頂部から隣にあるU頂部までの距離より大きい。
【0022】
(5)スキャフォールドはポリ(L-ラクチド)を含む管で作製されている。
【0023】
(6)バルーンにクリンプされたスキャフォールドであって、スキャフォールドは、図4D図6Aまたは図7Aに関連して図示され、説明されるクリンプ状態を構成する。
【0024】
(7)図3図4図5図6、または図7と関連して説明されるスキャフォールドのいずれかをクリンプする方法。
【0025】
(8)スキャフォールドに放射線不透過性マーカを取り付けるための方法。
【0026】
(9)図2Cに関連して図示され、説明されるマーカリンク。
【0027】
(10)リングはn個の山を有し、nは5より大、または6より大かつ12以下である。
【0028】
(11)リングは、第1のサイズの2つの波長および第2のサイズのn-3個の波長を有し、第1のサイズは第2のサイズより大きい。
【0029】
(12)w頂部でマーカリンクに連結されたリングは第1の幅を有し、マーカリンクに連結された隣にあるリングは、第1の幅より大きい第2の幅を有する。
【0030】
(13)W頂部でマーカリンクに連結されたリングは、マーカリンクに連結され、第1のリングに結合されたY頂部平坦部分より幅広い平坦部分を有する。
【0031】
(14)マーカリンクと隣合うリング間の第1の距離は、マーカリンクによって結合されたリング間の第2の距離より大きい。
【0032】
(15)非線形リンクマーカリンクによって結合されたリング間の第1の距離は、非線形マーカリンクによって接合されないリング間の第2の距離より大きい。
【0033】
(16)D-minは約1mmまたは1mm未満である。
【0034】
(17)薄肉スキャフォールドのマーカリンクのアスペクト比(AR)は、約4~5、または約4.5であり、ARは、マーカリンクの最大幅をマーカリンクにおける肉厚で割ったものとして定義される。
【0035】
(18)第1のリングの第1の波長または1/2波長は、結合された第2のリングの第2の波長または1/2波長より大きい。
【0036】
(19)リングの2つの山間の第1の波長または1/2波長は、同じリングの他の2つの山間の第2の波長とは異なる。
【0037】
(20)リングは正弦波状またはジグザグ状である。
【0038】
(21)非マーカリンクの最大幅より約200%大きい最大幅を有するマーカリンクでは、マーカリンクと第1のリングとの間に形成されたW頂部から測定された半波長は、マーカリンクと第1のリングに結合された第2のリングとの間に形成されたY頂部から測定された半波長より約15%大きい。
【0039】
(22)非マーカリンクの最大幅より約200%大きい最大幅を有するマーカリンクでは、マーカリンクと第1のリングとの間に形成されたW頂部から測定された波長は、マーカリンクと第1のリングに結合された第2のリングとの間に形成されたY頂部から測定された波長より約5%~10%大きい。
【0040】
(23)非マーカリンクの最大幅より約200%大きい最大幅を有するマーカリンクでは、マーカリンクとリングとの間に形成されたW頂部/山から測定された波長は、リングの他の山間で測定された測定された波長より約5%~10%大きい。
【0041】
(24)頂部幅B2より大きい頂部幅B1、例えば、頂部幅B2より約350%~400%大きい頂部幅B1。
【0042】
(25)第1のリングと第2のリングとの間のリング間隔A12は、第2のリングと第3のリングとの間のリング間隔A23より大きく、例えば、A12はA23より約40%大きい。
【0043】
(26)リンクは直線リンクまたは非線形リンクである。例えば、リンク20およびリンク636。
【0044】
(27)マーカリンクの長さc2より約36%大きい長さc1。
【0045】
(28)非線形リンクの長さc2より約36%大きい長さc1。
【0046】
(29)医療用具であって、リンクによって相互連結された複数のリングのネットワークを有する薄肉スキャフォールドであって、各リングが複数の山を有し、山は、U頂部、Y頂部およびW頂部のうちの1つであり、各リングは、長手方向軸線(A-A)に対して垂直な垂直軸線(B-B)に沿って波状に周方向に延在する、薄肉スキャフォールドと、複数のリングのうちの第1のリングと第2のリングとの間に延在するマーカリンクであって、マーカリンクは穴を有する構造を含み、穴内には放射線不透過性材料が含まれている、マーカリンクと、を備え、マーカリンクは、第1のリングと第1のリングのW頂部を形成し、第2のリングと第2のリングのY頂部を形成し、第1のリングのW頂部から第1のリングにおける隣にあるU頂部までで測定された第1のリングの1/2波長は、第2のリングのY頂部から第2のリングにおける隣にあるU頂部までで測定された第2のリングの1/2波長より大きい、医療用具。
【0047】
(30)以下の項目(a)~項目(g)のうちの1もしくは複数、またはそれらの任意の組み合わせと組み合わせた、(29)に記載の医療用具。
(a)マーカリンクの長さは、第2のリングを第2のリングと結合された第3のリングに連結するリンクの長さより大きい。
(b)マーカリンクは、構造から第1のリングのW頂部まで延在する第1のリンク部分と、第2のリングのY頂部から構造まで延在する第2のリンク部分とを含み、第1のリンク部分の幅は第2のリンク部分の長さより短い。
(c)第1のリンク部分の長さは第2のリンク部分の長さより小さい。
(d)構造は、放射線不透過性材料を各々含む第1の穴と第2の穴とを含み、第1の穴と第2の穴とは軸線A-Aに対して平行に配置されている。
(e)第1のリングは、第1の山、第2の山および第3の山を含み、第1の山は第1のリングのW頂部に対応しており、第2の山は第1の山の隣にあり、第3の山は第2の山の隣にあり、第2の山から第3の山まで及ぶ第2の波長は第1の山から第2の山まで及ぶ第1の波長より小さい。
(f)第1のリングのW頂部の平坦部分は、第2のリングと結合された第3のリングの第3のリングのW頂部の平坦部分、および/または第1のリングの第4のW頂部の平坦部分より大きい。
(g)第1のリングのW頂部を形成している第1のリングの波長は、第2のリングのY頂部を形成している第2のリングの波長より長い。
【0048】
(31)医療用具であって、リンクによって相互連結された複数のリングのネットワークによって形成された、近位端部分と遠位端部分とを有する薄肉スキャフォールドであって、各リングが複数の山を有し、山は、U頂部、Y頂部およびW頂部のうちの1つであり、各リングは、長手方向軸線(A-A)に対して垂直な垂直軸線(B-B)に沿って波状に周方向に延在する、薄肉スキャフォールドと、複数のリングのうちの第1のリングと第2のリングとの間に延在するマーカリンクであって、マーカリンクは穴を有する構造を含み、穴内には放射線不透過性材料が含まれている、マーカリンクと、を備え、マーカリンクは、第1のリングと第1のリングのW頂部を形成し、第2のリングと第2のリングのY頂部を形成し、第1のリングのW頂部は第1の山に対応し、第1の山から第1の山の隣にある第1のリングの第2の山までで測定された第1のリングの第1の波長は、第2の山から第1のリングの隣にある第3の山までで測定された第1のリングの第2の波長より大きい、医療用具。
【0049】
(32)以下の項目(a)~項目(c)のうちの1もしくは複数、またはそれらの任意の組み合わせと組み合わせた、(31)に記載の医療用具。
(a)第1のリングはn個の山とn-1個の波長とを有し、nは少なくとも6であり、かつ12以下であり、第1の波長と第2の波長とは第1の山からそれぞれ上下に測定され、第1の山は、n-1個の山間で測定された残りn-3個の波長より大きい。
(b)残りn-3個の波長はすべて同じ長さを有する。
(c)マーカリンクの長さは、第2のリングを第3のリングに連結するリンクの長さとほぼ等しい。
【0050】
(33)医療用具であって、遠位バルーン端と近位バルーン端とを有するバルーンを有するバルーンカテーテルと、リンクによって相互連結された複数のリングのネットワークによって形成され、近位端部分と遠位端部分とを有する、バルーンにクリンプされた薄肉スキャフォールドであって、各リングが複数の山を有し、山は、U頂部、Y頂部およびW頂部のうちの1つであり、各リングは、長手方向軸線(A-A)に垂直な垂直軸線(B-B)に沿って波状に周方向に延在する、薄肉スキャフォールドと、複数のリングのうちの第1のリングと第2のリングとの間に延在するマーカリンクであって、マーカリンクは穴を有する構造を含み、穴内には放射線不透過性材料が含まれている、マーカリンクと、を備え、マーカリンクは、第1のリングと第1のリングのW頂部を形成し、第2のリングと第2のリングのY頂部を形成し、第1のリングのW頂部は第1の山に対応し、第1の山から第1の山の隣にある第2の山までで測定された第1のリングの第1の波長は、第2の山から第2の山の隣にある第3の山までで測定された第1のリングの第2の波長より大きく、薄肉スキャフォールドは約D-minの外径を有し、D-min=(1/π)×[(n×strut_width)+(m×link_width)]+2*t、である、医療用具。
【0051】
(34)以下の項目(a)~項目(d)のうちの1もしくは複数、またはそれらの任意の組み合わせと組み合わせた、(33)に記載の医療用具。
(a)軸線B-Bに沿って測定された構造の最大幅は、第2のリングと第2のリングに結合された第3のリングとの間に延在するリンクの最大幅より大きい。
(b)マーカリンクは、構造からW頂部まで延在する第1のリンク部分と、Y頂部から構造まで延在する第2のリンク部分とを含み、第1のリンク部分の幅は第2のリンク部分の幅より大きい。
(c)第1の長さ部分の長さは第2のリンク部分の長さより小さい。
(d)構造は、放射線不透過性材料を含む第1の穴と第2の穴とを含み、第1の穴と第2の穴とは軸線A-Aに対して平行に配置されている。
【0052】
(35)医療用具を作製するための方法であって、ポリ(L-ラクチド)を含む管を使用するステップと、管から薄肉スキャフォールドパターンを形成するステップであって、薄肉スキャフォールドは、リンクによって相互連結された複数のリングのネットワークによって形成され、近位端部分と遠位端部分とを有し、各リングは複数の山を有し、山は、U頂部、Y頂部およびW頂部のうちの1つであり、各リングは、長手方向軸線(A-A)に対して垂直な垂直軸線(B-B)に沿って波状に周方向に延在し、薄肉スキャフォールドは、複数のリングのうちの第1のリングと結合された第2のリングとの間に延在する少なくとも1つのマーカリンクを含み、マーカリンクは穴を有する構造を含む、薄肉スキャフォールドパターンを形成するステップと、マーカ穴に放射線不透過性材料を配置するステップであって、穴は、材料配置前の第1のサイズと、材料配置後の、第1のサイズより大きい第2のサイズとを有し、構造は、軸線B-Bに沿って測定された幅を有する、放射線不透過性材料を配置するステップと、薄肉スキャフォールドをバルーンカテーテルにクリンプするステップと、を含み、薄肉スキャフォールドは、ほぼ理論上最小のクリンプ直径(D-min)までクリンプされ、構造の上下隣にあるいずれの頂部も構造とオーバーラップしない、方法。
【0053】
(36)以下の項目(a)~項目(c)のうちの1もしくは複数、またはそれらの任意の組み合わせと組み合わせた、(35)に記載の医療用具。
(a)マーカリンクは、第1のリングと第1のリングのW頂部を形成し、第2のリングと第2のリングのY頂部を形成し、第1のリングのW頂部は第1の山に対応し、第1の山から第1の山の隣にある第2の山までで測定された第1のリングの第1の波長は、第2の山から隣にある第3の山までで測定された第1のリングの第2の波長より大きい。
(b)マーカリンクは、第1のリングと第1のリングのW頂部を形成し、第2のリングと第2のリングのY頂部を形成し、第1のU頂部と第2のU頂部は、第1のリングのW頂部のそれぞれ上下隣にあり、第1のストラットは、第1のリングのW頂部から第1のU頂部まで延在し、第2のストラットは、第1のリングのW頂部から第2のU頂部まで延在し、第1のU頂部と第2のU頂部との間の距離、または第2のストラットから第1のストラットまでの距離は、軸線B-Bに沿って測定されたマーカ構造の最大幅以上である。
(c)マーカ構造の幅は、第2のリングを隣にある第3のリングに連結するリンクの最大幅より大きい。
【0054】
(37)医療用具であって、薄肉スキャフォールドのリンクによって相互連結された複数のリングのネットワークによって形成された、近位端部分と遠位端部分とを有する薄肉スキャフォールドであって、各リングは、U頂部と、Y頂部およびW頂部のうちの少なくとも1つとを含む、複数の頂部を有し、各リングは、長手方向軸線(A-A)に対して垂直な垂直軸線(B-B)に沿って波状に周方向に延在する、薄肉スキャフォールドを備え、近位端部分は、第1の近位リンクによって第1の近位リングに結合された最も外側の近位リングを含み、第1の近位リングは第2の近位リンクによって第2の近位リングに結合されており、遠位端部分は、第1の遠位リンクによって第1の遠位リングに結合された最も外側の遠位リングを含み、第1の遠位リングは第2の遠位リンクによって第2の遠位リングに結合されており、第1の近位リンクは、放射線不透過性材料を含む近位穴を備える近位マーカリンクを含み、第1の遠位リンクは、放射線不透過性材料を保持するリンクを欠いている、医療用具。
【0055】
(38)以下の項目(a)~項目(i)のうちの1もしくは複数、またはそれらの任意の組み合わせと組み合わせた、(37)に記載の医療用具。
(a)最も外側の近位リングは、第1の近位リンクによってのみ第1の近位リングに結合されており、第1の近位リンクのうちの2つは、軸線A-Aに対して平行に延在し、一定の断面二次モーメントを有する。
(b)最も外側の遠位リングは、第1の遠位リンクによってのみ第1の遠位リングに結合されており、第1の遠位リンクは各々非線形リンクストラットである。
(c)近位マーカリンクは第1の端部と第2の端部とを有し、第1の端部は、最も外側の近位リングとW頂部およびY頂部の一方を形成しており、第1の近位リングとW頂部およびY頂部の他方を形成している。
(d)第1の遠位リングと第2の遠位リングとは遠位マーカリンクによって結合されている。
(e)遠位マーカリンクは2つの穴を取り囲む構造を含み、第1の遠位リングと第2の遠位リングとは1または複数のマーカリンクによってさらに結合されている。
(f)遠位マーカリンクは第1の端部と第2の端部とを有し、第1の端部は、第1の遠位リングとW頂部およびY頂部の一方を形成しており、第2の遠位リングとW頂部およびY頂部の他方を形成しており、W頂部はY頂部より幅広い。
(g)近位マーカリンクは、穴を概ね取り囲み、穴壁およびストラット周縁を定義する周縁であって、壁と周縁との間の距離はDである、周縁と、穴に配置された放射線不透過性マーカであって、周縁上に配置されたフランジを有する頭部を含む、放射線不透過性マーカと、をさらに備え、フランジは、1/2D~D未満の半径方向長さを有し、薄肉スキャフォールド厚さ(t)は、マーカの反管腔側面と管腔側面との間で測定されたマーカの長さ(L)と1.1≦(L/t)≦1.8によって関連している。
(h)遠位マーカリンクは、第1の遠位リングと、第2の遠位リングとのW頂部およびY頂部の一方を形成し、第1の隣にある頂部から測定された、W頂部を有するリングの1/2波長は、Y頂部を有するリングの1/2波長より大きい。
(i)第1の近位リンクの長さは第1の遠位リンクの長さより短く、かつ/または第2の遠位リンクの長さは第1の遠位リンクの長さより小さい。
【0056】
(39)医療用具であって、遠位バルーン端と近位バルーン端とを有するバルーンを有するバルーンカテーテルと、薄肉スキャフォールドのリンクによって相互連結された複数のリングのネットワークによって形成され、近位端部分と遠位端部分とを有する、バルーンにクリンプされた薄肉スキャフォールドであって、各リングは、U頂部と、Y頂部およびW頂部のうちの少なくとも1つとを含む、複数の頂部を有し、各リングは、長手方向軸線(A-A)に対して垂直な垂直軸線(B-B)に沿って波状に周方向に延在する、薄肉スキャフォールドと、を備え、近位端部分は、近位バルーン端にクリンプされており、第1の近位リンクによって第1の近位リングに結合された最も外側の近位リングを含み、第1の近位リングは第2の近位リンクによって第2の近位リングに結合されており、遠位端部分は、遠位バルーン端にクリンプされており、第1の遠位リンクによって第1の遠位リングに結合された最も外側の遠位リングを含み、第1の遠位リングは第2の遠位リンクによって第2の遠位リングに結合されており、第1の近位リンクは、放射線不透過性材料を含む近位穴を備える近位マーカリンクを含み、第1の遠位リンクは、放射線不透過性材料を保持するリンクを欠いており、第1の遠位リンクは非線形リンクを備え、薄肉スキャフォールドは約D-minの外径を有し、D-min=(1/π)×[(n×strut_width)+(m×link_width)]+2*t、である、医療用具。
【0057】
(40)以下の項目(a)~項目(i)のうちの1もしくは複数、またはそれらの任意の組み合わせと組み合わせた、(39)に記載の医療用具。
(a)最も外側の近位リングは、第1の近位リンクによってのみ第1の近位リングに結合されており、第1の近位リンクは各々、軸線A-Aに対して平行に延在し、一定の断面二次モーメントを有する。
(b)非線形リンクはU字形リンクである。
(c)近位マーカリンクは第1の端部と第2の端部とを有し、第1の端部は、最も外側の近位リングとW頂部およびY頂部の一方を形成しており、第1の近位リングとW頂部およびY頂部の他方を形成しており、マーカリンクは穴を取り囲む構造を含む。
(d)近位マーカリンクの第1のリンク部分はW頂部から構造まで延在し、近位マーカリンクの第2のリンク部分はY頂部から構造まで延在し、第1のリンク部分の長さは第2のリンク部分の長さより大きい。
(e)第1のリンク部分の長さは、リング幅の2倍と、U頂部とリングのU頂部、Y頂部またはW頂部との間に延在するストラットの長さとの和とほぼ等しい。
(f)非線形リンクは第1の端部と第2の端部とを有し、第1の端部は最も外側の近位リングとW頂部およびY頂部の一方を形成しており、第1の近位リングとW頂部およびY頂部の他方を形成しており、非線形リンクは、W頂部とY頂部との間にU字形構造を含む。
(g)近位U字形リンクの第1のリンク部分はW頂部からU字形構造まで延在し、近位マーカリンクの第2のリンク部分はY頂部から構造まで延在し、第1のリンク部分の長さは第2のリンク部分の長さより大きい。
(h)第1のリンク部分の長さは、リング幅の2倍と、U頂部とリングのU頂部、Y頂部またはW頂部との間に延在するストラットの長さとの和とほぼ等しい。
(i)遠位マーカリンクは第1の端部と第2の端部とを有し、第1の端部は、第1の遠位リングとW頂部およびY頂部の一方を形成しており、第2の遠位リングとW頂部およびY頂部の他方を形成している。
【0058】
(41)医療用具であって、薄肉スキャフォールドのリンクによって相互連結された複数のリングのネットワークによって形成された、近位端部分と遠位端部分とを有する薄肉スキャフォールドであって、各リングは、U頂部と、Y頂部およびW頂部のうちの少なくとも1つとを含む、複数の頂部を有し、各リングは、長手方向軸線(A-A)に対して垂直な垂直軸線(B-B)に沿って波状に周方向に延在する、薄肉スキャフォールドを備え、近位端部分は、第1の近位リンクによって第1の近位リングに結合された最も外側の近位リングを含み、第1の近位リングは第2の近位リンクによって第2の近位リングに結合されており、遠位端部分は、第1の遠位リンクによって第1の遠位リングに結合された最も外側の遠位リングを含み、第1の遠位リングは第2の遠位リンクによって第2の遠位リングに結合されており、第1の近位リンクは、放射線不透過性材料を含む1対の近位穴を備える近位マーカリンクを含み、近位穴は軸線A-Aに沿って配置されており、第1の遠位リンクは、放射線不透過性材料を含む1対の遠位穴を備える遠位マーカリンクを含み、遠位穴は遠位の穴は軸線B-Bに沿って配置されている。
【0059】
(42)以下の項目(a)~項目(i)のうちの1もしくは複数、またはそれらの任意の組み合わせと組み合わせた、(41)に記載の医療用具。
(a)最も外側の近位リングは、第1の近位リンクによってのみ第1の近位リングに結合されており、第1の近位リンクのうちの2つは、軸線A-Aに対して平行に延在し、一定の断面二次モーメントを有する。
(b)最も外側の遠位リングは、第1の遠位マーカリンクと非線形リンクストラットとによってのみ第1の遠位リングに結合されている。
(c)近位マーカリンクは第1の端部と第2の端部とを有し、第1の端部は、最も外側の近位リングとW頂部およびY頂部の一方を形成しており、第1の近位リングとW頂部およびY頂部の他方を形成している。
(d)第1の端部によって形成されたW頂部の幅は、第2の端部によって形成されたY頂部の幅より大きく、そのためW頂部を形成しているリングの波長はY頂部を形成しているリングの波長より長い。
(e)遠位マーカリンクは第1の端部と第2の端部とを有し、第1の端部は、最も外側の遠位リングとW頂部およびY頂部の一方を形成しており、第1の遠位リングとW頂部およびY頂部の他方を形成している。
(f)遠位マーカリンクは、穴からW頂部まで延在する第1のリンク部分と、穴からY頂部まで延在する第2のリンク部分と含み、第1のリンク部分の長さは第2のリンク部分の長さより長い。
(g)近位マーカリンクは、穴を概ね取り囲み、穴壁およびストラット周縁を定義する周縁であって、壁と周縁との間の距離はDである、周縁と、穴に配置された放射線不透過性マーカであって、周縁上に配置されたフランジを有する頭部を含む、放射線不透過性マーカと、をさらに備え、フランジは、1/2D~D未満の半径方向長さを有し、薄肉スキャフォールド厚さ(t)は、マーカの反管腔側面と管腔側面との間で測定されたマーカの長さ(L)と1.1≦(L/t)≦1.8によって関連している。
(h)放射線不透過性材料は穴内に含まれており、放射線不透過性材料は錐台の形状を有する。
(i)穴は、マーカリンクの第1の側と第2の側とにそれぞれ位置する第1の開口と第2の開口とを備え、第1の開口は第2の開口より大きく、錐台は第1の開口および第2の開口と略同一平面上にある。
【0060】
(43)医療用具であって、遠位バルーン端と近位バルーン端とを有するバルーンを有するバルーンカテーテルと、薄肉スキャフォールドのリンクによって相互連結された複数のリングのネットワークによって形成され、近位端部分と遠位端部分とを有する、バルーンにクリンプされた薄肉スキャフォールドであって、各リングは、U頂部と、Y頂部およびW頂部のうちの少なくとも1つとを含む、複数の頂部を有し、各リングは、長手方向軸線(A-A)に対して垂直な垂直軸線(B-B)に沿って波状に周方向に延在する、薄肉スキャフォールドと、を備え、近位端部分は、近位バルーン端にクリンプされており、第1の近位リンクによって第1の近位リングに結合された最も外側の近位リングを含み、第1の近位リングは第2の近位リンクによって第2の近位リングに結合されており、遠位端部分は、遠位バルーン端にクリンプされており、第1の遠位リンクによって第1の遠位リングに結合された最も外側の遠位リングを含み、第1の遠位リングは第2の遠位リンクによって第2の遠位リングに結合されており、(1)第1の近位リンクは、構造を備える近位マーカリンクを含み、構造が、軸線A-Aに対して平行に延在し、放射線不透過性材料を含み、(2)第1の遠位リンクは、構造を備える遠位マーカリンクを含み、構造が、軸線B-Bに対して平行に延在し、放射線不透過性材料を含み、薄肉スキャフォールドは約D-minの外径を有し、D-min=(1/π)×[(n×strut_width)+(m×link_width)]+2*t、である、医療用具。
【0061】
(44)以下の項目(a)~項目(i)のうちの1もしくは複数、またはそれらの任意の組み合わせと組み合わせた、(43)に記載の医療用具。
(a)最も外側の近位リングは、第1の近位リンクによってのみ第1の近位リングに結合されており、第1の近位リンクは各々、軸線A-Aに対して平行に延在し、一定の断面二次モーメントを有する。
(b)第1の遠位リンクは非線形リンクを含む。
(c)近位マーカリンクは第1の端部と第2の端部とを有し、第1の端部は、最も外側の近位リングとW頂部およびY頂部の一方を形成しており、第1の近位リングとW頂部およびY頂部の他方を形成しており、マーカリンクは穴を取り囲む構造を含む。
(d)近位マーカリンクの第1のリンク部分はW頂部から構造まで延在し、近位マーカリンクの第2のリンク部分はY頂部から構造まで延在し、第1のリンク部分の長さは第2のリンク部分の長さより大きい。
(e)第1のリンク部分の長さは、リング幅の2倍と、U頂部とリングのY頂部、U頂部またはW頂部との間に延在するストラットの長さとの和とほぼ等しい。
(f)第1の遠位リンクは、第1の端部と第2の端部とを有する非線形リンクを備え、第1の端部は最も外側の近位リングとW頂部およびY頂部の一方を形成しており、第1の近位リングとW頂部およびY頂部の他方を形成しており、非線形リンクは、W頂部とY頂部との間にU字形構造を含む。
(g)非線形リンクの第1のリンク部分はW頂部からU字形構造まで延在し、非線形リンクの第2のリンク部分はY頂部からU字形構造まで延在し、第1のリンク部分の長さは第2のリンク部分の長さより大きい。
(h)第1のリンク部分の長さは、リング幅の2倍と、U頂部とリングのY頂部、U頂部またはW頂部との間に延在するストラットの長さとの和とほぼ等しい。
(i)遠位マーカリンクの穴は、最も外側の遠位リングのW頂部の隣にあるU頂部と第1の遠位リングのY頂部の隣にあるU頂部との間にあり、これらとオーバーラップすることもアンダーラップすることもない。
【0062】
[参照による援用]
[0018]本明細書に記載されるすべての文献および特許出願は、各個別文献または特許出願が参照により援用されることが具体的に個々に指示された場合と同様に、参照により本明細書に援用されるものである。援用された文献または特許と本明細書との間に相反する語句の用法がある限りにおいて、それらの語句は、それらの語句が本明細書で使用されている用法と一致する意味を有する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1】スキャフォールドがクリンプ状態で示されている(バルーンは図示せず)、先行技術のスキャフォールドの一部分の斜視図である。
図2】放射線不透過性材料を保持するための穴を有し、隣にあるリングを連結するマーカリンクを示すスキャフォールドの上部部分図である。
図2A】2つのマーカを保持するためのリンクの追加的な寸法特性および/または特徴を示す図2の複製図である。
図2B】マーカリンクの代替実施形態を示す図である。
図2C】マーカがリンクに取り付けられている図2の別の複製図である。
図3図2の連結リングのマーカリンクを含む、一実施形態によるスキャフォールドの遠位端部分および近位端部分を示す図である。
図3A図3のスキャフォールドのセクションIIIAを示す図である。
図3B図3のスキャフォールドのセクションIIIBを示す図である。
図3C】クリンプ状態の図3のスキャフォールドを示す図である。
図3D】バルーンカテーテルのバルーンにクリンプされた図3のスキャフォールドを示す図である。
図4】端部分は隣にあるリングを連結し、マーカを含むリンクを含み、リングはマーカリンクによって一部が形成されたW頂部を有し、W頂部はマーカ構造に対応するように変更されている、別の実施形態によるスキャフォールドの端部分を示す図である。
図4A図4のスキャフォールドのセクションIV面を示す図である。
図4B】2つのリング間の差異を示すために、図3のスキャフォールドの遠位端リングを、点線で示した図4のスキャフォールドの遠位端リングと共に示す図である。
図4C図4のスキャフォールドのセクションIVCを示す図である。
図4D】クリンプ状態の図4のスキャフォールドを示す図である。
図5】別の実施形態によるスキャフォールドの遠位端部分の部分図である。
図6】遠位端部分が近位端部分と異なり、非線形リンクストラットが最も外側の遠位リングを内側リングに連結し、マーカリンクが遠位端部分において内側リングの間にある、別の実施形態によるスキャフォールドの端部分を示す図である。
図6A】クリンプ状態の図6のスキャフォールドの部分図である。
図6B】バルーン遠位端から外側にフレア状に広がり、または突出するスキャフォールドの遠位リングを示す屈曲形態のカテーテル遠位端の画像である。
図6C】カテーテルが屈曲状態で配置されたときに遠位端リングがもはやフレア状に広がらない、図6によるスキャフォールドの遠位リングを示す屈曲形態のカテーテル遠位端の画像である。
図7】近位端部分が遠位端部分と異なり、非線形リンクストラットと変更されたマーカリンクとが最も外側の遠位リングを内側リングに連結する、別の実施形態によるスキャフォールドの端部分を示す図である。
図7A】クリンプ状態の図7のスキャフォールドの部分図である。
図7B図7のセクションVIIで取られた図7のスキャフォールドの部分図である。
図7C】カテーテルが屈曲状態で配置されたときに遠位端リングが外側にフレア状に広がらない、図7によるスキャフォールドの遠位リングを示す屈曲形態のカテーテル遠位端の画像である。
図8A】別の実施形態によるマーカの側面図である。
図8B】別の実施形態によるマーカの上面図である。
図9】穴を有し、穴に図8A図8Bのマーカが埋め込まれているリンクの断面図である。
図10】放射線不透過性ビーズからリベットマーカを形成するための第1のダイの側断面図である。
図11A図10のダイを使用して形成されたリベットマーカの側面図である。
図11B図11Aのマーカがストラットの穴と係合している、形成工程で、マーカを穴内に保持する周縁と下周縁とを作製するようにマーカを変形させた後のスキャフォールドストラットの側断面図である。
図12】放射線不透過性ビーズからリベットマーカを形成するための第2のダイの側断面図である。
図13図12のダイを使用して形成されたリベットマーカの側面図である。
図14A】クリンプまたはバルーン拡張と関連付けられる脱落力に抵抗するためにスキャフォールド穴に詰め込まれたリベットを変形させて穴との係合を強化するための工程の一態様を示す斜視図である。
図14B】クリンプまたはバルーン拡張と関連付けられる脱落力に抵抗するためにスキャフォールド穴に詰め込まれたリベットを変形させて穴との係合を強化するための工程の別の態様を示す斜視図である。
図14C】クリンプまたはバルーン拡張と関連付けられる脱落力に抵抗するためにスキャフォールド穴に詰め込まれたリベットを変形させて穴との係合を強化するための工程のさらに別の態様を示す斜視図である。
図15A図14A図14Cに関連して説明した工程の後の変形したリベットマーカおよびスキャフォールド穴の側断面図である。
図15B図15Aに示す変形したマーカの図である。
図15C】加熱ステップの後の図15Aのリベットおよびマーカ穴の側断面図である。
図16A】形成されたリベットマーカをダイから取り外し、リベットマーカをスキャフォールドの穴に配置することと関連付けられるステップを示す図である。
図16B】形成されたリベットマーカをダイから取り外し、リベットマーカをスキャフォールドの穴に配置することと関連付けられるステップを示す図である。
図16C】形成されたリベットマーカをダイから取り外し、リベットマーカをスキャフォールドの穴に配置することと関連付けられるステップを示す図である。
図17A】本開示による薄肉スキャフォールドをクリンプするための工程を説明する図である。
図17B】本開示による薄肉スキャフォールドをクリンプするための工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
[0056]本明細書において、図面および明細書に記載された類似した参照番号は、異なる図における対応する要素または類似した要素を指定するものである。
【0065】
[0057]本開示には、以下の用語および定義が適用される。
【0066】
[0058]「約」、「おおよそ」、「略(generally)」、または「略(substantially)」という用語は、記載された値、範囲もしくは記載された範囲の各エンドポイントよりも30%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、1~2%、1~3%、1~5%、もしくは0.5~5%だけ少ないもしくは多い、少ない、または多い、または記載された平均値もしくは予期される値から1シグマ、2シグマ、3シグマの分散(ガウス分布)であることを意味する。例えば、d1は約d2であるとは、d1が30%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、0%または1~2%、1~3%、1~5%、もしくは0.5~5%だけd2と異なることを意味する。d1が平均値である場合には、d2は約d1であるとは、d2がd1から1シグマ、2シグマ、または3シグマの分散または標準偏差内にあることを意味する。
【0067】
[0059]本開示における「約」、「おおよそ」、「略(generally)」、または「略(substantially)」という語が前に付いた任意の数値、範囲、または範囲エンドポイント(例えば、「おおよそ何もない」、「ほぼ何もない」、「ほぼ全部」などを含む)は、「約」、「おおよそ」、「略(generally)」、または「略(substantially)」という語が前に付かない同じ数値、範囲、または範囲エンドポイントも記述または開示するものであることを理解されたい。
【0068】
[0060]「ガラス転移温度」、TGは、ポリマーの非晶質ドメインが、脆性ガラス状態から大気圧で固体の変形可能状態または延性状態に変化する温度である。本出願では、ポリマーのTG、またはTG-low(TG範囲の下限)を見つける方法を、米国特許出願第14/857635号(整理番号:62571.1216)明細書と同じ方法で定義する。
【0069】
[0061]「ステント」とは、一般には、非分解性の金属または合金構造からなる永久的な、耐久性のある、または非分解性の構造を意味し、他方「スキャフォールド」とは、生体吸収性または生体分解性のポリマー、金属、合金またはそれらの組み合わせを含み、限られた期間、例えば、移植後3ヶ月、6ヶ月または12ヶ月間にわたって血管を半径方向に支持することができる一時的な構造を意味する。しかしながら、当技術分野では往々にしてどちらのタイプの構造を指す場合にも「ステント」という用語を使用することを理解されたい。
【0070】
[0062]「膨張直径」または「拡張直径」とは、スキャフォールドを血管内に埋め込むためにその支持バルーンがスキャフォールドをそのクリンプ形態から膨らませたときにスキャフォールドが得る内径または外径を指す。膨張直径は、公称バルーン直径を超える拡張後バルーン直径を指していてよく、例えば、6.5mmバルーン(すなわち、大気圧の6倍などの公称バルーン圧力まで膨らませたときに6.5mmの公称直径を有するバルーン)の拡張後直径は約7.4mmであり、6.0mmバルーンの拡張後直径は約6.5mmである。バルーンの公称対拡張後の比は、1.05~1.15の範囲でありうる(すなわち、拡張後直径は、公称膨張バルーン直径よりも5%~15%大きい場合がある)。スキャフォールド径は、バルーン圧力によって膨張直径を得た後に、スキャフォールドが製造、処理された方法、スキャフォールドの材料およびスキャフォールドの設計のうちのいずれかまたはすべてに主に関連した反跳効果に起因して直径がある程度減少する。
【0071】
[0063]直径という場合、特に明記され、または説明の文脈でそれ以外の意味が示唆されない限り、それは内径または外径を意味するものとする。
【0072】
[0064]スキャフォールドストラットという場合、それはリンクやバーアームにも適用される。
【0073】
[0065]スキャフォールドの「拡張後直径」(PDD)とは、その拡張直径まで増加し、バルーンが患者の血管系から除去された後のスキャフォールドの内径を指す。PDDは、反跳効果を考慮する。例えば、急性PDDとは、スキャフォールドにおける急性の反跳を考慮したスキャフォールド径を指す。
【0074】
[0066]「クリンプ前直径」とは、スキャフォールドが作られた材料である管(例えば、浸漬被覆、射出成形、押出成形、半径方向拡張、ダイ延伸および/またはアニーリングを施された管から切断される)またはバルーンにクリンプされる前のスキャフォールドの外径(OD)を意味する。同様に、「クリンプ直径」とは、バルーンにクリンプされたときのスキャフォールドのODを意味する。「クリンプ前直径」は、クリンプ直径の約2~2.5倍、2~2.3倍、2.3倍、2倍、2.5倍、3.0倍の大きさ、拡張直径、公称バルーン直径、または拡張後直径の約0.9倍、1.0倍、1.1倍、1.3倍および約1~1.5倍の大きさでありうる。クリンプとは、本開示では、著しい塑性変形により特徴付けられているスキャフォールドの直径縮小を意味し、すなわち、10%超、または50%超の直径縮小は、例えば図1など、波状のリングパターンを有するステントまたはスキャフォールドの場合の頂部におけるような、塑性変形に帰せられる。スキャフォールドがバルーンによって展開または拡張されると、膨張したバルーンはスキャフォールドをそのクリンプ直径から塑性変形させる。本開示に従って作製されたスキャフォールドをクリンプするための方法は、米国特許出願第2013/0255853号(整理番号62571.628)明細書に記載されている。
【0075】
[0067]ポリ(L-ラクチド)またはPLLAを「含む(comprising)」または「含む(comprises)」材料は、PLLAポリマー、PLLAと別のポリマーとを含むブレンドまたは混合物、およびPLLAと別のポリマーとのコポリマーを含むが、これらに限定されない。よって、PLLAを含むストラットとは、ストラットが、PLLAポリマー、PLLAと別のポリマーとを含むブレンドまたは混合物、およびPLLAと別のポリマーとのコポリマーのいずれかを含む材料から作製されうることを意味する。
【0076】
[0068]生体分解性ポリエステルポリマーからなる生体吸収性スキャフォールドは、放射線透過性である。X線透視を可能にするために、スキャフォールド上に放射線不透過性マーカが配置される。例えば、米国特許第8,388,673号明細書(’673特許)に記載されているスキャフォールドは、’673特許の図2に示されるように、スキャフォールド200の各端部に固定された2つの白金マーカ206を有する。
【0077】
[0069](例えば、図3に示すように)軸線A-Aに対して垂直な方向、または軸線A-Aと/に対して平行な方向という場合、それはスキャフォールドまたは管の軸線方向に対して垂直、または軸線方向と/に対して平行であることを意味する。同様に、(例えば、図3に示すように)軸線B-Bに対して垂直な方向、または軸線B-Bと/に対して平行な方向という場合、それはスキャフォールドまたは管の円周方向に対して垂直、または円周方向と/に対して平行であることを意味する。よって、スキャフォールドの正弦波状リングは、(周期的に)円周方向と/に対して平行、または軸線B-Bに対して平行、軸線A-Aに対して垂直に延在し、他方リンクは、一実施形態では、スキャフォールドまたは管の軸線方向または軸線A-Aに対して平行、軸線B-Bに対して垂直に延在する。
【0078】
[0070]同じ要素番号が複数の図面に使用されている場合はいつでも、別段の記載がない限り、最初の図面の要素に最初に使用されたのと同じ記述が後の図面に記載された実施形態に適用されることを理解されたい。
【0079】
[0071]厚さの寸法(例えば、壁、ストラット、リングまたはリンクの厚さ)は、軸線A-Aと軸線B-Bの両方に対して垂直に測定された寸法を指す。幅の寸法は、軸線A-Aおよび軸線B-Bの平面内で測定される。より具体的には、幅は、連続した構造の一方の側から他方の側までの断面幅であり、よって、U字形リンク636は、リンク334が一定のリンク幅を有するのと全く同様に、その長さにわたって一定のリンク幅を有する。さらに、いわゆる軸線A-Aおよび軸線B-Bの平面は、軸線A-Aと平行な中心内腔軸線を有する管状構造の表面を記述するものであるため、技術的には平面ではないことを理解されたい。したがって、軸線B-Bは、代替として、スキャフォールド位置が円筒座標系を使用して記述されていた場合の角度成分とみなされてもよい(すなわち、軸線A-AはZ軸であり、頂部、リンク、リングなどの管腔側面/反管腔側面の位置は、角度座標および動径座標定数によってみつかる)。
【0080】
[0072]「薄い肉厚」、「薄肉スキャフォールド」、「薄肉」とは、ポリ(L-ラクチド)を含み、125ミクロン(μm)未満の肉厚を有するポリマーで作製されたストラット、リング、リンク、またはバーアームを指す。本明細書では、同じ体積の放射線不透過性材料を有するマーカを保持することを含む、薄肉スキャフォールドを扱う際に直面する課題について論じる。
【0081】
[0073]図2は、ポリマースキャフォールド、例えば、リンクによって相互連結されたリングのパターンを有するポリマースキャフォールドの一部分の上面図である。図2のリング312a、312bの間にはマーカリンク20(「リンク20」)が延在している。リンク20は、放射線不透過性マーカを保持するための左右の構造またはストラット部分21b、21aをそれぞれ形成している。マーカは、構造21a、21bによって形成された穴22に保持できる。表面22aはスキャフォールドの反管腔側面に対応する。
【0082】
[0074]図2Aは、追加の寸法特徴、特に特徴的な寸法特徴D0、D1およびD2を示す図2の複製図である。穴22の直径はD0である。隣合う穴22間の距離はD1以上である。穴22のどちらかまたは両方の縁の幅、すなわち穴22のどちらかまたは両方を取り囲む内壁面からリンク20の縁部までの距離はD2以上である。
【0083】
[0075]図2Bに、構造21a、21bが、軸線A-Aではなく軸線B-Bに沿ってオフセットされるように向けて置かれたマーカリンク720について、図2Aに関連して説明した寸法特徴を示す。マーカ720は、リング312aとリング312bとを連結する。このマーカを具現化するスキャフォールドが図7に示されている。
【0084】
[0076]図2Cには、穴22に固定されたリベット型マーカ127’/137’が示されている。指示される寸法は、リベット127’/137’を穴22から脱落させる傾向がある力に抵抗するマーカリンクの能力を評価するために(放射線不透過性材料が連結された後の)マーカリンクを検査するのに使用されうるパラメータを指す。これらの脱落力は、スキャフォールドがクリンプされたり、バルーン拡張されたりするときに、加圧されたバルーン表面、または穴22を変形させる傾向がある近くのスキャフォールド構造の変形によって生じうる。一態様によれば、リベット127’/137’対のリベット頭部および/またはリベットの先端部は、最小距離δ1、δ2およびδ3(図2C)が満たされているかどうか判定するために検査されうる。距離δ1、δ2、およびδ3は、穴に押し込まれたリベットの頭部および/または先端部の最小サイズのいずれかまたは両方を反映し、このサイズは、リベットが穴22内に保持されるべきであること(頭部または先端部の直径が小さすぎると脱落力に抵抗することもできない)と、過剰なリベット材料が、スキャフォールドが血管内に埋め込まれたときにバルーン穿刺や血管刺激などの問題を引き起こさないことの両方を指示するものである。実施形態によれば、マーカの頭部/先端部の端部からストラット(またはリンク)部分21a/21bの縁までの最小距離、すなわちδ2は、D2の約10%、25%および最大50%までとすることができる。50%より上は、頭部または先端部が小さすぎてリベットを所定の位置に保持できないことを意味する。D2以上の頭部/先端部では、頭部はストラット/リンクの縁を越えて延在する場合があり、または延在し、これは、バルーンを損傷したり隣接する組織を刺激したりしうる比較的鋭い縁部を形成するといった問題につながる可能性がある。マーカ頭部/先端部間の最小距離、すなわちδ1は、距離D1の0%または最大25%までである。マーカの周縁または頭部が互いにオーバーラップする場合、これはストラットに求められる最大高さ(約160ミクロン(μm))を超える可能性がある。穴22の右または左まで延在する頭部/先端部の最小長さ、すなわちδ3は、D2の50%を超えるものである。
【0085】
[0077]放射線不透過性マーカを穴に挿入するための方法は、一般に、円筒形の穴を利用してマーカを保持する。保持力の大部分は、壁とマーカ材料との間の摩擦に由来する。マーカ材料は、スキャフォールドが150ミクロン(μm)以上の肉厚を有するときにはこの方法でスキャフォールド穴に確実に保持されている。しかしながら、肉厚を100ミクロン(μm)または100ミクロン(μm)未満まで薄くした場合には、マーカ材料を穴内に保持することがはるかに困難になる。薬物を運ぶための被覆材料がマーカを所定の位置に保持するのを助長する可能性もあるが、エベロリムス/PDLLAなどの被覆は、3ミクロン(μm)のオーダーで、非常に薄い傾向にあり、このため穴からのマーカの脱落に抵抗する面外せん断強度が制限される。
【0086】
[0078]スキャフォールドストラットの肉厚の減少の結果として得られるいくつかの望ましい特性または能力がある。薄くした肉厚を使用することの利点には、より低プロファイルであり、よって導入性がより良好であり、急性血栓形成性が低下し、治癒が改善される可能性があることが含まれる。いくつかの実施形態では、より薄いストラットを有するスキャフォールドに同サイズのマーカを使用して、2タイプのスキャフォールド間の放射線不透過性に差異、すなわち減少が生じないようにすることが望ましい。しかしながら、マーカ穴22を同サイズに保ちながらストラット厚さを薄くすると、穴容積が減少するためにマーカがストラット面の上方および/または下方に突出する結果になりうる。マーカの反管腔側面25aおよび管腔側面25bをストラットの対応する反管腔側面および管腔側面と同一平面上に保つことが望ましく、この場合、穴22径(d)は、より薄いストラットの結果としての穴容積の減少を一部補うために増加されうる。
【0087】
[0079]本出願と発明者が共通する米国特許出願第14/738,710号明細書の段落[0073]~[0083]には、スキャフォールドがマーカを穴に保持する能力に影響を及ぼす要因と、肉厚が160ミクロン(μm)未満、または125ミクロン(μm)未満である場合に直面する特殊な課題とが記載されている。いくつかの実施形態によれば、肉厚が125ミクロン(μm)未満である場合、すなわちスキャフォールドが薄肉型である場合には、本質的に摩擦のみによってはマーカを確実に穴に保持することができないことが判明している。肉厚が100ミクロン(μm)未満である好ましい実施形態では、マーカ材料は、図2Cに関連して簡単に上述した、図8図16に関連してより詳細に説明するリベット形状のマーカを使用して穴内に保持される。
【0088】
[0080]以下では、次の目的のうちの1つ、またはそれらの組み合わせを満たすのに適したスキャフォールドパターンの実施形態について説明する。
(i)放射線不透過性マーカを支持する薄肉スキャフォールドのクリンププロファイルを薄くすること。
(ii)薄肉スキャフォールド内で放射線不透過性マーカを固定すること。
(iii)薄肉スキャフォールドが、クリンプ、標的血管部位におけるバルーン拡張、または標的部位へのスキャフォールドの導入中に変形されている場合のマーカ保持構造におけるひずみエネルギー蓄積を低減させること。
(iv)薄肉スキャフォールド、またはPLLAを含み、125ミクロン(μm)より大きい肉厚を有するスキャフォールドのための、スキャフォールドの遠位端における端リングの突出またはフレアリングを回避すること。
【0089】
[0081]上記の目的は相互に関連しており、1つの変更によって複数の目的に対処できることが理解されよう。例えば、マーカリンクをより柔軟にすることによって、目的(iii)と目的(iv)の両方を満たすことができる。これらの実施形態によるスキャフォールドは、ポリ(L-ラクチド)(PLLA)を含む材料の薄肉管またはシートから作製されてよく、そうした薄肉管またはシートは、図3図7に示すパターンを生成するために管状体からレーザ切断される。管を作製する方法は、米国特許出願第14/810,344号(62571.1212)明細書に記載されているような押出、射出成形、固相処理、および二軸線拡張のうちの1または複数を含みうる。
【0090】
[0082]実施形態によるスキャフォールド、例えばスキャフォールド300、400、500、600または700は、好ましくは、図3Dに示されるようなバルーンカテーテルにクリンプされる。スキャフォールドは、米国特許出願第2013/0255853号明細書に記載されているクリンプ方法のうちのいずれか、具体的には、米国特許出願第2013/0255853号の段落[0068]~[0073]、[0077]~[0099]、[0111]~[0126]、[0131]~[0146]および図1A図1B図4A図4B図5A図5B図8Aおよび図8Bに記載されているクリンプ方法およびクリンプのための装置のいずれかを使用して、D-min(以下で定義する)など、所望のクリンプ直径を確保するようにバルーンに取り付けられてもよい。
【0091】
[0083]図3に、一実施形態によるスキャフォールド、すなわちスキャフォールド300の端部分の部分平面図を示す。左側または遠位端部分302(すなわち図3の左側)は、正弦波状リング312a、312bおよび312cを含み、リング312aが最も外側のリングである。リング312aとリング312bとは、2つのリンク334とマーカリンク20とによって結合されている。リング312cとリング312dとは、軸線A-Aに対して平行に延在する3つのリンク334によって結合されている。リンク334は、軸線A-Aに対して平行に延在し、その長さにわたって一定の断面二次モーメントを有し、これは、リンク334が一定の幅および厚さを有し、リンクの重心または幾何学的中心(または長手方向軸線)の位置はどこでも軸線A-Aと平行であることを意味する。右側または近位端部分304(すなわち図3の右側)は、正弦波状リング312d、312eおよび312fを含み、リング312fが最も外側のリングである。リング312dとリング312eとは、3つのリンク334によって結合されている。リング312eとリング312fとは、2つのリンク334とマーカリンク20とによって結合されている。よって、スキャフォールド300は、最も外側のリンクと隣にある内側リングとの間に延在し、最も外側のリンクを隣にある内側リングと結合するマーカリンク20を有する。スキャフォールド300は、リンク334によって互いに相互連結された15、18または20のリング312を有しうる。
【0092】
[0084]リング312、例えばリング312bは正弦波状であり、これは、軸線B-Bに沿ったリングの曲率が、正弦波の波長がリングの隣合う山311a間の距離と等しい正弦波によって最もよく説明されるものであることを意味する。リングは、頂部307、309、310と、頂部を隣にある頂部に連結するストラット330の両方で一定の幅を有する。
【0093】
[0085]各内側リング312b~312eには、U頂部、Y頂部、およびW頂部の3タイプの頂部がある。最も外側のリングはY頂部型またはW頂部型とU頂部型のみを有する。山もしくはピーク311a(または谷もしくはバレー311b)は、U頂部、Y頂部またはW頂部に対応しうる。最も外側のリング312aには、U頂部型とW頂部型のみがある。最も外側のリング312fには、U頂部型とY頂部型のみがある。マーカリンク20は、第1のリング(例えばリング312e)とW頂部を形成し、第2のリング(例えばリング312f)とY頂部を形成することによってリングを結合する。
【0094】
[0086]リンク334は、Y頂部310でリング312fに連結する。「Y頂部」とは、リング312のストラット330とリンク334との間に延在する角度が鈍角(90度より大きい)である頂部を指す。リンク334は、W頂部309でリング312aに連結する。「W頂部」とは、ストラット330とリンク334との間に延在する角度が鋭角(90度未満)である頂部を指す。U頂部307は、リンクが連結されていない頂部である。マーカリンク20は、W頂部314とY頂部316とでリングに連結する。
【0095】
[0087]スキャフォールド300では、リング312ごとに6つの山またはピーク311aおよび6つの谷またはバレー311bがある。山311aの後には必ずバレー311bが続く。リング312bは12個の頂部を有し、3つがW頂部309であり、3つがY頂部310であり、6つがU頂部307である。
【0096】
[0088]図3Aおよび図3Bに、スキャフォールド300の部分拡大図を示す。図3Aには、図3のセクションIIIAを示し、図3Bには、図3のセクションIIIBを示す。以下の説明は、図3A図3Bに関して行うものであり、リンク20の場合、Y頂部316で最も外側のリング312fに、W頂部314で隣にあるリング312eに連結するという了解のもとで、スキャフォールド300の部分302と部分304とに同じく適用される。
【0097】
[0089]図3Aを参照すると、最も外側のリング312aの連続する波長は長さL1および長さL2を有し、すなわち、頂部314からU頂部307までの(軸線B-Bに沿った)距離がL1であり、U頂部307からY頂部309までの距離がL2である。同じ距離がリング312bにも当てはまり、頂部316からW頂部309までと、W頂部309からY頂部310までとはそれぞれL1とL2とである。スキャフォールド300では、リング312a、312bについてL1=L2=一定である。すなわち、ある山から別の山までの距離または波長は同じである。また、スキャフォールド300では、L1+L2もどこでも一定である。すなわち、すべてのリングについて、W頂部とY頂部との間の距離は、リング312a~リング312fの隣合う山間の距離と同様に同じである。図3Aにおける距離Xは、正弦波の半周期または半分の長さ、すなわちL1の1/2を指す。距離Xは、頂部314から隣にある頂部312aのU頂部307までの距離と等しい。Xはリング312bでも同じである。他の実施形態では、L1はL2と等しくなく、Xは最も外側のリング312aと隣にあるリング312bとで異なる。
【0098】
[0090]後述するスキャフォールド400、スキャフォールド500またはスキャフォールド700を含む代替の実施形態では、リングは、正弦波状リング形状ではなくジグザグ状でありうる。ジグザグ形状のリングの一例が、米国特許出願第2014/0039604号明細書の図5Aおよび図6Aに記載されている。ジグザグ状リングは、内側頂部半径と外側頂部半径を有するように成形された頂部に集中する非湾曲ストラット要素として説明されうる。同じ説明が適用され、すなわち、リングは、形状が正弦波状ではなくジグザグ状であることを除いて、波長、ストラットおよび頂部の観点から説明されうる。「波状」という用語は、ジグザグ状リング型と正弦波状リング型の両方を指す。
【0099】
[0091]図3Bを参照すると、リング312aのピークまたは山から隣にあるリング312bのピークまたは山までの軸線A-Aに沿った距離、すなわちマーカ20の長さ(プラス幅t1)はA12である。リング312bのピークまたは山から隣にあるリング312cのピークまたは山までの軸線A-Aに沿った距離、すなわちこれらのリング間のマーカ334の長さ(プラス幅t2)はA23である。スキャフォールド300では、A12=A23である。マーカ構造21aの左側のリンク20の幅はtm1であり、構造21bの右側のマーカリンク20の幅はtm2である。リンク334の幅はtl1である。リング312aの頂部307、310、309、314およびストラット330は、一定の幅t1を有する。リング312bの頂部307、310、309、314およびストラット330は、一定の幅t2を有する。リング312cの頂部307、310、309、314およびストラット330は、一定の幅t3を有する。スキャフォールド300では、t1はt2未満であり、t2=t3である。寸法B1および寸法B2は、軸線B-Bに対して平行に延在するリング312aおよび312cの頂部の表面、または湾曲なしの、すなわち平坦な頂部表面部分である。スキャフォールド300では、B1=B2である。
【0100】
[0092]図3Cを参照すると、クリンプ状態のマーカ20を有するスキャフォールド300が示されている。スキャフォールド300上で実施されたクリンプ直径は、スキャフォールドが完全にクリンプされたとき、すなわち、スキャフォールドがクリンプ装置から取り外されるとき、またはクリンプ直後に拘束シース内に配置されるときに、同じ頂部に集中するストラットが互いに接触する、理論上最小のクリンプ直径である。これらの条件下での理論上最小のクリンプ直径(D-min)の式を以下に示す。
D-min=(1/π)×[(n×strut_width)+(m×link_width)]+2*t
であり、式中、
「n」は、リング内のストラットの数(スキャフォールド300では12のストラット)であり、
「strut_width」は、ストラットの幅(スキャフォールド300では170ミクロン(μm))であり、
「m」は、隣合うリングを結合するリンクの数(スキャフォールド300では3)であり、
「link_width」は、リンクの幅(スキャフォールド300では127ミクロン(μm))であり、
「t」は肉厚(スキャフォールド300では93ミクロン(μm))である。
【0101】
[0093]したがって、スキャフォールド300では、D-min=(1/π)×[(12×170)+(3×127)]+2×(93)=957ミクロン(μm)である。
【0102】
[0094]遠位端302の結合されたリング対312a、312bと、遠位端の結合されたリング対312e、312fとでは、マーカリンク20は、マーカを収容するためにリンク334より(軸線B-Bに沿って)幅広い。その結果、隣にあるストラット330は往々にして、全体にわたって同じD-minを達成するようにリンク20とオーバーラップしうることになる。この状態が図3Cに示されている。クリンプされたスキャフォールドのそのような状態は、マーカを保持するリングおよびリンクの局部強度に関する懸念を招く。図3Cに示されるように、ストラット330a、330bおよび/またはこれらのストラットと関連付けられた関連U頂部によるオーバーラップ(ストラットがマーカの反管腔側面を押す)またはアンダーラップ(ストラットがマーカの管腔表面を押す)が存在する。スキャフォールドがクリンプされるときのこのオーバーラップ/アンダーラップをなくすことが好ましい。
【0103】
[0095]スキャフォールドストラット、特に薄肉スキャフォールドのストラットおよびリンクは、ねじれるように、または大きなねじれを支持するようには設計されていない。ねじれは、ストラットが互いに接し、オーバーラップするときに生じる。スキャフォールドストラットの幅対厚さのアスペクト比がより高い場合、ストラットが、隣にある構造、例えば、マーカリンク20の構造21aと接するときにねじれる傾向がより大きくなる(薄肉スキャフォールドは、より厚肉のスキャフォールドと比較して、同じ血管組織被覆についてより高いアスペクト比、ストラット幅を有する)。図3と比較した図3Cの変形状態から理解できるように、リング構造に、場合によってはマーカリンクストラットにもねじれが導入される。この種の異常変形は、血管内でのバルーン拡張時のリングおよび/またはリンク20の亀裂伝播または疲労寿命の低下につながる可能性がある。
【0104】
[0096]図3Dに、バルーンカテーテルと、バルーン15にクリンプされたスキャフォールド300とを備える医療用具を示す。スキャフォールド300の遠位端302はバルーン15の遠位端17bに最も近く、近位端304はバルーン近位端17aに最も近い。バルーンカテーテルの先端または最遠位端12が示されている。先端12からガイドワイヤーまたはマンドレル8が延在し、カテーテルシャフト2の内腔から出ている。(D-minまたは他の最小クリンプ直径に従って)バルーンにクリンプされたスキャフォールドは、以下で論じるスキャフォールド300またはスキャフォールド400とすることができる。スキャフォールド300の代わりにスキャフォールド500、スキャフォールド600、およびスキャフォールド700が使用されてもよい。
【0105】
[0097]前述のように、米国特許出願第2010/0004735号明細書に記載されたスキャフォールドやABSORB GT1生体吸収性スキャフォールドなどの比較的厚い肉厚を有するスキャフォールドと比較した場合、類似したスキャフォールドパターンを有する薄肉スキャフォールドは、図3Cに示すのと同様に著しく高いストラットのオーバーラップまたはアンダーラップの発生率(以下MBOLと呼ぶ)を示すことが判明した。MBOL発生率が高くなりやすいのは、マーカを含むリンクの幅が、より大きい肉厚のストラットを有するスキャフォールドで使用されるのと同じ全体体積のマーカ材料を収容するために広げられた場合である。またMBOLは、より積極的なクリンプが用いられる場合、例えば、D-minクリンププロファイルの場合にも高くなりうる。
【0106】
[0098]さらに、同じ体積のマーカビーズが薄肉スキャフォールドと厚肉スキャフォールドの両方に取り付けられ、マーカがリンクの反管腔側面および管腔側面と同一平面上とされる場合、マーカビーズ領域により平坦で、幅広い形状を用いなければならず、この強いられた形状により構造21aおよび構造21bが変形して、マーカビーズ領域におけるストラットオーバーラップの傾向が高まる。というのは、マーカ構造は、マーカを収容するためにより高いアスペクト比を持つようになり、かつ/またはマーカの据え込み工程からのひずみが残存する可能性があり、これによりマーカ構造21が面外ねじれの影響をより受けやすくなるからである。表1にこれらの所見を要約する。
【表1】
【0107】
[0099]本出願と発明者が共通する米国特許出願第14/738,710号明細書の段落[0073]~[0083]には、スキャフォールドがマーカを穴に保持する能力に影響を及ぼす要因と、肉厚が160ミクロン(μm)未満、または125ミクロン(μm)未満である場合に直面する特殊な課題とが記載されている。加えて、’710出願では、マーカが、必要に応じて、ストラットの反管腔側面と同一平面上のままになる(したがって、アスペクト比がより高く、クリンプ中のねじれ運動およびオーバーラップの傾向がより高い)場合に、薄くした肉厚と同じ放射線不透過性材料体積とではマーカ保持構造の幅をどの程度広げなければならないかについても説明されている。マーカ構造がより幅広く平坦であると、リンク幅対肉厚のアスペクト比(AR)が高まり、このためリンクが隣にあるストラットまたは頂部と接触したときにねじれる可能性が高まる。
【0108】
[0100]一例では、93ミクロン(μm)の肉厚を有する薄肉スキャフォールドのマーカリンクのアスペクト比(AR)は、例えば、米国特許出願第2010/0004735号明細書に記載されているような、158ミクロン(μm)のより大きい肉厚を有するスキャフォールドのARと比較すると、同じ体積のマーカ材料が93ミクロンのマーカ構造と158ミクロンのマーカ構造の両方で保持される場合、約4.5である(AR=ts/t=419ミクロン(μm)/93ミクロン(μm)=4.5)。すべての厚さが158ミクロン(μm)であるスキャフォールドでは、ARは約2である(AR=ts/t=322/158)。よって、同じ体積のマーカ材料で、肉厚を158ミクロン(μm)から93ミクロン(μm)に薄くした場合、ARは2.5倍増加する。このアスペクト比の大幅な増加を考慮すると、マーカリンクがクリンプ中に隣にあるストラットまたは頂部と接触するときにマーカリンクがねじれる傾向、および/またはストラットがマーカリンクとオーバーラップ/アンダーラップする傾向が理解できることが理解されよう。
【0109】
[0101]クリンプ中にはスキャフォールドのバーアームの角度が減少し、隣にあるバーアームストラットがw頂部のリンクの方へ自然に移動することが知られている。このクリンプ事象では、w頂部の「外側半径」とその中心点(通常はリンクの外側に位置する)が、スキャフォールドストラットのクリンプのし方を誘導する上で重要な役割を果たす。事実、この外側半径の中心点は、ストラットの初期挙動を誘導し、マーカリンク機構の方へのストラット移動の程度を制限する枢動点として作用する傾向がある。この第2の点では、ストラットとマーカリンク機構との間で生じるMBOLは、この外側半径および枢動点の位置と密接に関連している。マーカリンク20と薄肉スキャフォールド設計とを有するw頂部の場合、w頂部の中心点は最初にマーカ構造21領域内に位置決めされた。したがって、クリンプ中には、ストラットの閉鎖挙動は運動的に制限されず、その結果、マーカリンクとのオーバーラップ/アンダーラップが頻繁に発生することになった。MBOL発生率を低減させるためには、マーカ構造21を有するW頂部の中心点をマーカ構造21外の領域に移動させることができる。したがって、クリンプ中に、w頂部のストラットがマーカ構造21の方へ移動するときに、ストラットは、押し込まれ、滑って、w頂部および/またはリンクのねじれを誘起するオーバーラップまたはアンダーラップ状態になるのを回避するはずである。
【0110】
[0102]図4に、別の実施形態によるスキャフォールド、すなわちスキャフォールド400の端部分の部分平面図を示す。左側または遠位端部分402(すなわち図4の左側)は、正弦波状リング412a、312bおよび312cを含み、リング412aが最も外側のリングである。リング412bとリング312cとは、2つのリンク334とマーカリンク20とによって結合されている。リング312cとリング312dとは、軸線A-Aに対して平行に延在する3つのリンク334によって結合されている。右側または近位端部分404(すなわち図4の右側)は、正弦波状リング312d、412bおよび312fを含み、リング312fが最も外側のリングである。リング312dとリング412bとは、3つのリンク334によって結合されている。リング412bとリング312fとは、2つのリンク334とマーカリンク20とによって結合されている。よって、スキャフォールド400は、最も外側のリンクと隣にあるリングとの間に延在し、最も外側のリングを隣にあるリングと結合するマーカリンク20を有する。スキャフォールド400は、リンク334によって互いに相互連結された15、18、または20のリング312を有しうる。
【0111】
[0103]スキャフォールド400は、以下を除いて、スキャフォールド300について前述したのと同じ特徴を有する。リング412aおよびリング412bは正弦波状であり、(リング312aおよび312eの場合と同様に)W頂部414およびY頂部416によって隣にあるリングに結合されているが、マーカ20の近くのリング412aおよびリング412bのリング構造は、上述したように、スキャフォールドが最小の理論上のクリンプ直径(D-min)までクリンプされたときのストラットのオーバーラップを回避するために変更されている。
【0112】
[0104]図4Aおよび図4Cを参照すると、図4のセクションIVAおよびセクションIVBにおけるスキャフォールド400の拡大図がそれぞれ示されている。前述したオーバーラップを回避するために、リング412aとリング412bとのマーカにおけるw頂部のストラット部分間の間隔が増やされている。この変更は、図面においてw頂部414で示されている。延長された頂部(軸線B-Bに沿って)は、オーバーラップを回避するようにストラット430とマーカ構造21a、21bとの間により多くの間隔を提供する(結果として得られるこの変更を伴ったクリンプ形状が図4Dに示されている)。w頂部414は、マーカリンク20と関連付けられていない頂部309とは対照的に、マーカ20近くのスキャフォールド構造を以下の(1)、(2)および(3)の少なくとも1つの方法で変更している。
(1)頂部の平坦な、すなわち湾曲していない表面部分B1は、他のw頂部309の平坦な表面部分B2を上回ってB-Bの方向に増え、これは例えば、非マーカリンク幅(tL)よりも約200%大きいマーカリンクの最大幅(ts)に対して約350%~約400%の増加である。
(2)w頂部414(山)から隣にあるu頂部407(谷)までの距離は、リング312bのy頂部316(山)から隣にあるu頂部307(谷)までの距離、および/またはリング312のいずれかの、w頂部309(山)またはy頂部310(山)から隣にあるu頂部307(谷)までの距離と比較して増える。これは、図において、それぞれ、リング412とリング312の山中心から谷中心までの長さを測定した距離X412と距離X312とを比較することによって示されている。距離X412は、非マーカリンク幅(tL)より約200%大きいマーカリンク最大幅(ts)のX312よりも約15%大きい。
(3)山414から隣にある山407までの距離は山407から山409までの距離よりも大きく、すなわち、L1は図4AのL2よりも長く、例えば、L1はL2よりも約10%長く、かつ/またはL1は、リング312a、312b、312d、312fの任意の隣にある山と、非マーカリンク幅(tL)より約200%大きいマーカリンク最大幅(ts)の任意の隣にある山との間の距離よりも約5%長い。
【0113】
[0105]リング412aの特徴は、マーカリンク20の近傍内のリング412bに等しく当てはまる。図4Bに、リング412aがスキャフォールド300からリング312a上に点線で示されている部分302の図を示す。マーカリンク20とストラット430との間に付加された間隔は、図面の「間隔の増加」によって表されている。この図面では、マーカリンクのy頂部とw頂部との間にそれぞれ延在する正弦波状リング部分(X412、X312)の半周期の差も確認できる。また、リング412aの特徴は、w頂部414について対称である。したがって、上述した(1)、(2)および(3)のうちの少なくとも1つの変更は、w頂部414の両側に当てはまる。
【0114】
[0106]MBOLまたはオーバーラップを回避するスキャフォールド400について示されている「間隔の増加」に関連したスキャフォールド400の別の態様によれば、オーバーラップを回避するようにスキャフォールドマーカリンクを作製し、リングを連結するいくつかの実施形態では、マーカ要素、リベットまたはビーズが穴内に据え込まれるときの構造21a、21bの変形を考慮に入れることも有益である。
【0115】
[0107]図4Dに、スキャフォールドがD-minまでクリンプされているクリンプ状態のスキャフォールド400の一部分を示す。図に示すように、マーカリンク20におけるw頂部414のストラット部分430a、430bの間の付加された間隔は、スキャフォールドが理論上最小のクリンプ直径、D-minまでクリンプされたときにオーバーラップもアンダーラップも生じない。具体的には、図4Dには、マーカリンク20へのW頂部414連結を有するリング412に変更を加えることにより、マーカ構造の上下隣にあるストラットおよび/またはU頂部は、スキャフォールドがD-minまでクリンプされるときにマーカ構造の最大幅(ts)以上である距離だけ分離されることが示されている。リング412を有するスキャフォールドがD-minまでクリンプされたときにオーバーラップは生じない。マーカリンクは、スキャフォールドが約D-minまでクリンプされたときに、どこでも、頂部とストラットとの間にある。
【0116】
[0108]スキャフォールド300に類似した薄肉スキャフォールドがシミュレートされた石灰化蛇行解剖モデルをたどったときに、ストラットが持ち上げられ、その経路に沿って障害物に引っかかったことによる遠位端リングのひずみが観察されたことが判明している。加えて、マーカ構造21および穴22が変形/伸張し、その結果としてマーカ材料が脱落する可能性もあった。この薄肉スキャフォールドからのマーカ材料の分離の懸念に対処するために、マーカリンクを延長し、かつ/または構造21を隣にあるY頂部もしくはw頂部に連結するリンク部分の幅を狭めることによって、マーカリンクの曲げ柔軟性をより高くすることができる。この変更の結果として、マーカ構造21の隣にあるヒンジ領域がより柔軟になり、それによって変形が構造21から離れた点に局在化されて、マーカ穴22が著しい変形から保護される。またこの変更により、スキャフォールドの遠位端および/または近位端もより柔軟に、バルーンに順応するようになり、それによって、標的部位まで導入される間にストラットが持ち上げられ、障害物に引っかかる可能性が低減される。
【0117】
[0109]図5に、スキャフォールドの別の実施形態、すなわちスキャフォールド500の拡大図を示す。図5の図は、図4のセクションIVCと同じであり、スキャフォールド500は、リング412aとリング312bとを結合するマーカリンクおよびリング412bとリング312fとを結合するマーカリンクが変更されていることを除いて、スキャフォールド400のすべての特徴を有する。マーカリンク520は、付加リンク520bが付加されている、すなわち、マーカ構造21bの右側の既存のリンク(マーカリンク20参照)が延長されているという点で、マーカリンク20とは異なる。この付加または延長されたマーカリンク部分は、マーカ20が使用される場合と比較して距離A12の増加をもたらす。また、距離A12は、マーカリンクによって結合されていないリング、例えば図5のリング312bとリング312cとを隔てる距離A23よりも長い。マーカリンク20と置き換えられる同じ変更マーカリンク520が、リング412bとリング312fとの間に延在するマーカリンクに対してなされる。マーカリンク520は、(近位端と遠位端の両方で)スキャフォールド300のマーカリンク20と置き換えられてもよい。このような場合、リンク520を有するスキャフォールド400に関して論じたのと同じ特徴が、リンク520を有するスキャフォールド300にも当てはまる。
【0118】
[0110]リンク20をマーカリンク520で置き換えると、スキャフォールドがクリンプされ、バルーン拡張され、または蛇行した血管をたどるときに、マーカ構造21によって保持される放射線不透過性材料がスキャフォールドから脱落し、または分離する傾向がより少ないことが判明した。保持が改善される理由は、スキャフォールドが変形されるときの、またはリング312bのy頂部316がリング412aのw頂部に対して移動するときのリンク上のひずみエネルギー分布を考察することによって理解されよう。
【0119】
[0111]リング312bの頂部316がリング412aの頂部414に対して半径方向外側もしくは内側に移動し、または頂部が軸線B-Bに沿って反対方向に移動する場合には、マーカリンク20は変形する。この変形の結果として生じるリンク20のひずみエネルギーのかなりの部分は、構造21の左右のリンク部分が比較的短く厚いため、マーカ構造21a、21bにおいて保持される(よって、マーカリンクのこの部分には変形がほとんどなく、したがってここで保持されるひずみエネルギーは少ない)。荷重はリング移動が強いられるときにマーカリンクに沿ったどこかで反作用されなければならない(すなわち、リングの移動は、強制された変位または圧倒的な力によって、例えば、スキャフォールド上でクリンパのあごが閉じることによって発生するため、リングは、リンク剛性に関係なく、規定の大きさだけ相互に対して移動することになる)ので、ひずみエネルギーの大部分は、頂部の近くの短くて太いリンク部分よりも変形しやすいマーカ構造21において保持される。この変形は、マーカ材料が位置している穴の形状を変更し、結果として保持力が失われることになりうる。マーカ20のリンク部分を延長することによって、またはリンク20の構造21の左側と右側とのリンク部分の長さを表すリンク520aよりも著しく長いリンク520bを付加することによって、構造21において保持されるひずみエネルギーはむしろ減り、リンク520bによって保持されるひずみエネルギーがより多くなる。その結果、これらの荷重事象中にマーカ穴22がその形状を保持するので、マーカ材料がスキャフォールドのクリンプ中または屈曲中に脱落する傾向が少なくなる。言い換えれば、リンクの変形の大部分は細長い部分520bで生じ、そのため穴22はその形状を保持することができる。加えて、リンク520bはリンクの柔軟性を高め、それによって、リング312bまたはリング312fが、それぞれ、リング412aとリング412bとに対してより容易に動きやすくなる。この態様は、カテーテルが緻密な血管系の周りを送られるときに遠位端リングがフレア状に広がり、またはバルーンから突出する問題を回避するのに有利である(前述の目的(iv))。また、図7に関連して論じるマーカ720も、同様に目的(iv)および目的(iii)に対処することにも留意されたい。
【0120】
[0112]一例によれば、y頂部316を形成するリンク520bは、w頂部414を形成するリンク部分520aの厚さ(tm1)より約60%小さい厚さ(tm2)を有する。加えて、長さA12は、付加リンク部分520bを有するリンク520を収容するように、長さA23より約27%長い。
【0121】
[0113]導入システムにクリンプされた薄肉スキャフォールドにシミュレートされた石灰化蛇行解剖モデルをたどらせたときに、ストラットがその経路に沿って障害物に引っかかったことによる遠位端リングのひずみが観察された。ストラットの引っかかりの可能な原因を理解するために、薄肉スキャフォールドを同じ形態の導入システムにクリンプし、顕微鏡下で観察される解剖モデルに存在したのと同様の屈曲状態に置いた。バルーンは、屈曲部の内側湾曲部では圧縮されており、屈曲部の外側湾曲部では張力を受けていることが観察された。張力下では、バルーンは伸張して曲線に順応した。マーカリンクと関連付けられたw頂部が屈曲部の外側湾曲部に偶発的に位置決めされた場合、w頂部は、遠位端部15aで下にある湾曲したバルーン材料に順応するのではなく、外側にフレア状に広がる(図6B参照)。スキャフォールドのw頂部分は、マーカ材料および構造21により剛性であるため、まっすぐのままである。
【0122】
[0114]図6に、別の実施形態によるスキャフォールド、すなわちスキャフォールド600の端部分の部分平面図を示す。左側または遠位端部分602(すなわち図6の左側)は、正弦波状リング312a、412bおよび312cを含み、リング312aが最も外側のリングである。右側または近位端部分604(すなわち図6の右側)は、正弦波状リング312d、412bおよび312fを含み、リング312fが最も外側のリングである。図6から理解できるように、遠位端部分602は、近位端部分604とは異なる。スキャフォールド300またはスキャフォールド400に対するこの変更は、バルーンカテーテル上に取り付けられたスキャフォールドが血管系内の急な曲がり角を送られるときの順応しない遠位の最も外側の端リングの発生に対処するためになされるものである。
【0123】
[0115]スキャフォールド600の近位端部分604は、スキャフォールド300およびスキャフォールド400とそれぞれ関連付けられた近位端部分304または近位端部分404と同じである。遠位端部分602は、遠位端部分302または遠位端部分402から以下のように変更される。
【0124】
[0116](遠位)マーカリンク20またはマーカリンク520は、最も外側の遠位リング312fと内側リング412bとの間に位置する(近位)マーカリンク20または520とは対照的に、内側遠位端リング412aと内側遠位端リング312cの間に位置する。遠位端602へのこの変更は、以下の理由(a)および理由(b)の少なくとも一方により望ましい。
(a)遠位端バルーンとの順応性の向上:マーカリンク20は、リンク634、または、それについては、リンク334よりも曲げ剛性が高く、このため結果としてバルーン遠位端からの遠位の最も外側のリングの分離をもたらしうる。マーカリンク構造を変更することが望ましくない場合、または(例えば、所望の体積の放射線不透過性材料を保持するのに十分な表面積を提供するために構造が必要とされるために)それが実現できない場合、最も外側のリング312aを内側リング412aに連結するリンクの曲げ剛性を大幅に低減させることは、マーカリンク20を内側リングの間に移動させることによって達成されうる。そうすれば最も外側の2つのリング312a間の曲げ剛性を劇的に減少させることができること(目的(iv))が対応される。
(b)マーカ保持構造のひずみの減少:スキャフォールドが急な曲がり角を送られるときに、スキャフォールドが屈曲するために最も大きいひずみを受けるのは最も外側のリングである。隣にある内側リングに対して最も外側のリングの曲げ剛性を低くすることが望ましくないスキャフォールドの実施形態では(例えば、どちらもより柔軟にするために連結リンクが延長される場合に起こりうる、最も外側のリングの半径方向の剛性の減少を回避すること、または薬物被覆もしくは血管支持のためにリング間の間隔拡大を回避することが重要な場合)、マーカリンク20を内側リング間の位置に移動することによって、マーカ材料を脱落させる可能性のあるリンク20にかかる曲げひずみが回避され、または軽減される。すなわち、(カテーテルが急転回するときに生じる)スキャフォールドの曲げひずみは、内側リング間よりも最も外側のリングと隣にある内側リングとの間の方が大きいため、(マーカリンク構造を変更する必要なく)リンク20を内側リング間に配置することによって、マーカ構造21にかかる曲げひずみが減少する。目的(ii)および目的(iii)が満たされる。
【0125】
[0117]またスキャフォールド600は、最も外側のリングを内側リングに連結するのに使用されるリンクタイプ、すなわち、リング312aをリング412aに連結するリンク634によっても、スキャフォールド300およびスキャフォールド400と異なる。最も外側の遠位リング312aは、内側リングを連結するリンクストラット334よりも曲げ柔軟性が著しく高い3つの非線形リンクストラット634でリング412aと結合されている。これもまた、遠位端にスキャフォールド600パターンを使用する理由(a)に寄与する。
【0126】
[0118]非線形リンクストラットは様々な形状を取りうるが、例えばD-minクリンププロファイルのようなクリンプに十分な間隔を提供するなどのいくつかの制約を伴う。図6に示されるタイプは、短い直線リンク部分と長い直線リンク部分とによってそれぞれのy頂部とw頂部とにそれぞれ連結されたU字形の中間部分636を有する。部分636をw頂部に連結するリンク部分632aは、(後で説明するように)クリンプ中にリングストラットに十分な隙間を提供するために、y頂部に連結するリンク部分632bよりも長い。この隙間が設けられているため、リンク部分632aによって形成されるw頂部309は、クリンプ状態でU字形部分636がストラット330に干渉することも、ストラット330がU字形部分636とオーバーラップすることもなく、D-minまでクリンプされうる。
【0127】
[0119]図6Aを参照すると、スキャフォールド600のクリンプ側面プロファイルが示されている。リンク634の長い直線リンク部分632aと、短い直線リンク部分632bとが、U字形の中間部分636と共に示されている。長さA12(軸線A-Aに関して測定された長さ)は、ほぼU字形部分636の長さ分だけ長さA23を上回り、または部分632aと部分632bの長さの和は、リングのストラット幅を減じたA23にほぼ等しい。一例では、長さA12は長さA23より約40%長い。
【0128】
[0120]他の実施形態では、U字形部分636は、部分632aと632bとの間の領域により小さい慣性モーメントを有するリンク、U字形部分を置き換えるS字形の切り欠き部分、または狭められた部分で置き換えられうる。これらのリンクタイプの例は、米国特許出願第2014/0039604号明細書の、図14B図14C図14D図14E、および図14F、ならびに付随する段落[0223]~[0229]に記載されている。「非線形」リンクストラットとは、これらのリンクのいずれかを意味する。
【0129】
[0121]図6Bは、シャフト2とバルーン15にクリンプされたスキャフォールド10とを有するバルーンカテーテルを含む医療用具の変形した遠位端を示す画像である。この図から分かるように、カテーテルが(ガイドワイヤー上をたどる際に)急な曲がり角を誘導されるとき、バルーンの遠位端とシャフトとは転回の角度に順応するが、スキャフォールドの遠位端7は順応しない。より具体的には、最も外側のリング5は、遠位端から外側にフレア状に広がり、または突出している。この突出構造5は、血管系の壁に引っかかる可能性がある。バルーンの遠位端に対するスキャフォールドのこの向きに伴う最も差し迫った懸念は、(過度の曲げひずみにより)リング5が血管系に引っかかり、スキャフォールドを損傷することによって引き起こされうる損傷である。起こりうる損傷については前述した。第1に、マーカリンク構造が変形され、マーカ材料の脱落をもたらす可能性がある。第2に、ひずみは、リング5の破壊、またはリング5内での破損または亀裂伝播をもたらす可能性がある。
【0130】
[0122]この問題への1つの解決策は、端リングの曲げ剛性を高めて、血管閉塞により、フレア状に広がった、または突出したスキャフォールド端部に空間が生じるようにすることである。例えば、端リングをより厚くし、または最も外側のリングと内側リングとの間の連結リンクの数を増やすこともできるであろう。しかしながら好ましいのは、そうではなく、スキャフォールド端部がバルーン遠位端により順応するようにリングの剛性を下げることである。また、前述の理由により、マーカリンクにかかる荷重を制限することも好ましい。スキャフォールド600(または以下のスキャフォールド700)はこの必要を満たす。
【0131】
[0123]図6Cは、カテーテルが血管系において同様の急転回を行う際のバルーン15の遠位端15aに取り付けられたスキャフォールド遠位端602の画像である。図示のように、内側リング(リング312b)に対するリング312aの曲げ剛性を低減させることによって、端リング312aはバルーン遠位端15aの形状に順応する。端リング312aは、スキャフォールド5の場合のようにフレア状に広がったり突出したりしない。リンク632は、クリンプされたスキャフォールドが屈曲部に配置されたときに屈曲部が遠位端リングに及ぼすはずの圧縮および張力に適応するヒンジとして働く。
【0132】
[0124]またバルーン遠位部との遠位端スキャフォールド順応性は、曲げ柔軟性がより高くなるようにマーカリンク構造を変更することによっても達成されうる。実際には、本考察にしたがってマーカリンクによって形成されたw頂部は、マーカリンク314と関連付けられたw頂部における剛性を大幅に低減させることができる。その場合薄肉スキャフォールド設計は、前述のフレアリング問題なしで、マーカリンクを最も外側のリングに連結させることができる。
【0133】
[0125]図7に、別の実施形態によるスキャフォールド、すなわちスキャフォールド700の端部分の部分平面図を示す。左側または遠位端部分702(すなわち図7の左側)は、正弦波状リング312a、312bおよび312cを含み、リング312aが最も外側のリングである。右側または近位端部分704(すなわち図7の右側)は、正弦波状リング312d、412bおよび312fを含み、リング312fが最も外側のリングである。図7から理解できるように、遠位端部分702は、近位端部分704とは異なる。スキャフォールド300またはスキャフォールド400に対するこの変更は、やはり、バルーンカテーテル上に取り付けられたスキャフォールドが血管系内の急な曲がり角を送られるときの順応しない遠位の最も外側の端リングの発生に対処するためになされるものである。
【0134】
[0126]スキャフォールド700の近位端部分704は、スキャフォールド300および400とそれぞれ関連付けられた近位端部分304または404と同じである。さらに、遠位端部分702は、以下を除いて、遠位端部分602におけるスキャフォールド600の特性のいくつかを共有する。
【0135】
[0127]スキャフォールド600の場合の、内側リンク間に位置するマーカリンク20または520とは対照的に、マーカリンク720(図2B)は、最も外側のリング312aと内側リング312bとの間に位置する。スキャフォールド700のマーカリンクも、先の実施形態のマーカリンクとは異なる。マーカリンク720は、マーカリンク20またはリンク520の場合のように水平ではなく、垂直に向けられたマーカ構造21を有する。すなわち、マーカ構造21aは、軸線A-Aではなく軸線B-Bに沿ってマーカ構造21bからオフセットされている。一方の端部で構造21を連結してw頂部314を形成する長い直線リンク部分732aと、y頂部316を形成する反対側の端部の短いリンク732bとがある。
【0136】
[0128]スキャフォールド遠位端部分702の最も外側のリング312aは、1つのマーカリンク720とスキャフォールド600に使用される2つの非線形リンク634とによって内側リング312bに連結されている。結合された内側リングは、マーカリンク720によってもリンク634によっても連結されていない。リンク334が使用されている。マーカリンク720は、マーカリンク20とは対照的に、部分732aの長さのために曲げ柔軟性がより高く、蛍光透視下でスキャフォールドの端部をより容易に位置決めできるように最も外側のリングと隣にある内側リングとの間に好都合に配置されている。加えて、マーカ720が使用される場合、以下の利点機能指向1または複数が存在する。第1に、マーカは、カテーテルが血管系内の急な曲がり角を送られるときに最も外側のリングがより容易にバルーンに順応するように、より柔軟である。この意味で、マーカ720はマーカ520と同じいくつかの利点を有する(目的(ii)および目的(iii))。また、マーカリンクによって形成されたw頂部を有するリングのクリンプを可能にするためにリング構造に変更を加える必要がない。構造21がリング構造21に干渉しないので、リング312aをD-minまでクリンプすることができる(目的(i))。
【0137】
[0129]図6Aおよび図7Aには、マーカ720およびリンク634に近いスキャフォールド700のクリンプ状態と、リング間の長さA12、A23とが示されている。これらの図から分かるように、マーカおよびリンクの部分732aおよび部分632aは、それぞれ、U字形部分636からもマーカ構造21からも干渉なしに、外側リング312aがD-minまでクリンプすることを可能にする長さを有する。これらの図から分かるように、穴22とU字形構造636とを有する構造21は、左側のリングのW頂部の隣にあるU頂部と、右側のリングのY頂部の隣にあるU頂部との間にある。
【0138】
[0130]図7Bを参照すると、図7のセクションVIIの拡大図が示されている。図示のように、部分732aと部分732bとのそれぞれの長さは、c1とc2とである。部分632aと部分632bとの長さもまたc1とc2とである。スキャフォールド700の長さA12および長さA23も示されている(長さA12、長さA23、長さc1および長さc2は、スキャフォールド600の部分632aおよび部分632bの長さとリング間隔にも当てはまる)。長さc1と長さc2との和は、A12からU字形部分636の長さと頂部の幅とを減じたものと等しい。いくつかの実施形態では、A12はA23より約40%大きく、c1はc2より約36%長い。長さc1は、スキャフォールドがクリンプ状態にあるときには、隣にある頂部の谷と部分732aまたは部分632aによって形成されるw頂部との間の距離から、頂部314またはストラット330の幅を減じたものにほぼ等しい(図6A図7A参照)。マーカ構造は、マーカリンクによって形成されたW頂部の隣にあるU頂部の右側に位置する。
【0139】
[0131]図7Cは、カテーテルが血管系において同様に急転回を行う際のバルーン15の遠位端15aに取り付けられたスキャフォールド遠位端702の画像である。図示のように、内側リング(リング312b)に対するリング312aの曲げ剛性を低減させることによって、端リング312aはバルーン遠位端15aの形状に順応する。端リング312aは、スキャフォールド5の場合のようにフレア状に広がったり突出したりしない。
【0140】
[0132]表2に、図示のスキャフォールドの実施形態に対応する作製されたスキャフォールドの例と関連付けられる寸法を示す(エントリが「-」である場合、それは左隣の欄と同じ値を意味する。よって、スキャフォールド400のtm2の値は217であり、スキャフォールド500およびスキャフォールド700の長さB1は、それぞれ、374および78である)。
【表2】
【0141】
[0133]表2を参照すると、上記の例から理解され、スキャフォールド300に関してスキャフォールド400、500、600、700と比較して前述したように、クリンプおよび/または蛇行した動脈を通したスキャフォールドの導入に関連する必要に応じて、それぞれ、波長、1/2波長、マーカリンク厚さ、長さ、および方向付け、非マーカリンクのタイプおよび長さ、リング間隔、およびマーカリンクにおける頂部幅が変更されている。これらの関係は、クリンプ状態にせよ、クリンプ形態の前にせよ、薄肉スキャフォールドに適用される。よって、クリンプされたスキャフォールドを参照する場合、上記の関係も当てはまる。スキャフォールド300とは異なるスキャフォールド400および/またはスキャフォールド500の特徴をスキャフォールド600およびスキャフォールド700に組み込むことができることも理解されたい。あるいは、スキャフォールド400および/またはスキャフォールド500の特徴が、スキャフォールド600およびスキャフォールド700のパターンに含まれない場合もある。
【0142】
[0134]以下の考察は、主に目的(ii):マーカ構造21a、21bによって提供されるスキャフォールド穴に放射線不透過性材料を固定すること、を満たすことに関するものである。前述したように、薄肉スキャフォールドでは、円筒形の穴の壁との摩擦係合によってマーカ穴にマーカ材料を確実に保持することができないことが発見されている。目的(ii)を満足させるために、好ましい実施形態では、放射線不透過性材料は、その他の目的(i)、(iii)または(iv)のいずれも妨げずに、リベット様のマーカ材料体をマーカ構造20、520または720に据え込むことによって、スキャフォールド300、400、500、600または700のいずれかに固定される。マーカの取り付けおよび固定は、いくつかの実施形態では、(据え込み工程で発生する変形以外の)いかなるポリマー、接着剤の追加も円筒形の穴の再成形も含まない。好ましい実施形態では、マーカが穴に配置された後に薬剤ポリマー被覆が施される。
【0143】
[0135]円筒形の穴のための球形のマーカ25の代わりに、リベット形状のマーカが使用される。図8Aおよび図8Bに、リベット形状のマーカ27の側面図および上面図を示す。頭部28は、リベット27の反管腔側面27aまたは管腔側面27bを含みうる。図面において、頭部28は、反管腔側面27aを含んでいる。組み立てのために頭部28をリベット27の管腔側面部分とした方が好ましいであろう。というのは、そうすれば、スキャフォールドが、マンドレルと、スキャフォールドの反管腔側面に外部から適用されるツール(ピンなど)によって変形されたリベットの先端部分との上に配置されうるからである。リベット27は頭部径d1を有し、シャンク27cの直径d2は穴22径とほぼ等しい。頭部28の高さはh2であり、これは、頭部28がストラット部分21aの反管腔側面22aを越えて延在することになる量である。望ましくはないが、約25ミクロン(μm)を越えて延在しない、すなわち、反管腔側面22aから約5~10ミクロン(μm)から約25ミクロン(μm)までの頭部28、またはストラットの厚さの約25%以下の量だけ延在する頭部の突出も許容されうる。リベットの先端部の変形についても管腔側面22bを越える同程度の突出が許容されうる。
【0144】
[0136]図9を参照すると、穴22内のリベットが示されている。変形した先端部27b’によりリベット27が穴22に固定される。全体の高さh1は、好ましくは、ストラットの厚さ(t)の約40%または約10%~40%以下であり、先端部の高さは、頭部の高さh2とほぼ同じか、頭部の高さh2と比較して5~20ミクロン(μm)以内の寸法である。
【0145】
[0137]リベット27は、頭部28がストラット部分21aの管腔側面22b上に載置されるように、まずリベット27をスキャフォールドの内腔側から穴22に挿入することによって、ストラット部分21aの穴22に取り付けられうる。スキャフォールドは次いで、締り嵌めマンドレル上を摺動される。マンドレル表面が頭部28に押し付けられた状態で、ツール(ピンなど)を使用して先端部27bを変形させて図9の変形した先端部27b’を生じさせる。いくつかの実施形態では、頭部28がストラット部分21aの反管腔側面22a上に載置されるように、リベット27がまず反管腔側から穴22に挿入されうる。頭部28が反管腔側面に対して施されたツールまたは平坦面によって所定の位置に保持された状態で、先端部27bは、内腔に挿入され、または反管腔側面の隣接する位置からスキャフォールドパターンを貫通させたツール、ピン、またはマンドレルによって変形される。いくつかの実施形態では、リベット27は中実体(図8A図8B)であっても中空体であってもよく、例えば、シャンクは中空管であり、開口はリベットの頭部28を貫通して延在する。
【0146】
[0138]いくつかの実施形態では、リベットは、中空または中実の円筒形管であり、既製の頭部28がない。これらの実施形態では、管(中実または中空)は、まず穴内に嵌合され、次いで、締め付け工具を使用してリベットの頭部および先端部分が形成されうる。好ましい実施形態によれば、放射線不透過性マーカをリベットとして作製し、リベットをスキャフォールドに取り付けるための方法と、このようなマーカが取り付けられたスキャフォールドとがある。まず、ビーズからリベット形状のマーカを作製するために方法について説明する。
【0147】
[0139]上述したように、マーカの頭部および先端部分は、リベットに外力が加えられた場合や、クリンプ中またはバルーン拡張中にリンク構造が変形した場合や、スキャフォールドが血管系において急転回を行う場合などに、マーカを所定の位置に保持するのに寄与する。しかしながら、いくつかの実施形態では、図9のリベット27’の先端部分、例えば先端部27b’が存在しない。代わりに、リベットのシャンク部分は、台形形状もしくは円錐台形状になるように、または端部が拡大されるように変形される(例えば、図15Aに示されるリベット137’)。このタイプのマーカは、スキャフォールドがマーカを保持するリンクまたはストラットを変形させる外力を受けると、ストラットまたはリンクの穴から押し出されないよう抵抗力を増すことが判明している。
【0148】
[0140]リベットを形成するためのビーズの適切なサイズを選択することが望ましい。いくつかの実施形態によれば、使用すべきビーズサイズ、すなわちビーズ体積は、リベットが取り付けられるスキャフォールド構造のストラットの厚さ(t)、穴径(D2)、穴間の距離(D1)および周縁の厚さ(D2)に依存する(例えば、図2Aまたは図2Bの穴22を有するリンクストラット)。原材料は、球形または円筒形であってもよい。放射線不透過性材料で作られた原料は、市販の供給源から得ることができる。
【0149】
[0141]本開示によれば、原料ビーズはスキャフォールド穴22に取り付けるためのリベットマーカを作製するのに使用される。好ましい実施形態では、リベットマーカは、好ましくは約100ミクロン(μm)未満の厚さ(t)を有する薄肉のストラットまたはリンクのスキャフォールド穴に取り付けられまたは係合される。リベット作製工程およびスキャフォールドへの取り付けのステップは、6ステップの工程として要約されうる。
【0150】
[0142]ステップ1:原材料の中から、所望の範囲内の直径または体積、すなわち、D0、D1、D2およびt(図2B)の各寸法に従ってスキャフォールドに取り付けるのに適した直径または体積を有するマーカビーズを選択する。所望の直径または体積を有するマーカビーズの選択、またはロットからの小さすぎるビーズの除去は、網篩を使用して行われうる。1組のビーズが網篩上で篩い分けられる。最小の直径または体積を有さないビーズは、網篩の開口を通って落下する。不要なビーズを除去し、または適切なサイズのビーズを選択するのに当技術分野で公知の代替の方法が使用されてもよい。
【0151】
[0143]ステップ2:ステップ1から選択されたビーズをダイプレート上に置く。
【0152】
[0144]ステップ3:ビーズをダイプレートに押し込むことによってビーズからリベットを冷間成形する。周囲温度に近い温度で、(例えば、プレート、マンドレル頭部、ピンまたはテーパ付きラムヘッドを使用して)ビーズをダイに押し通すことによって、ビーズを成形し直して、ダイの形状と、ビーズを受けるダイの体積に対するビーズの体積とによって定義されるリベットにする。
【0153】
[0145]ステップ4:形成されたリベットをダイプレートから取り外す。形成されたリベットは、全長約190~195ミクロン(μm)、直径約300~305ミクロン(μm)を有し、真空管を有するツールを使用して取り外される。空気圧は、リベットをグリップし、またはリベットを先端から離すように調整される。リベットは、リベットの頭部の上に真空管の開口を配置し、管内の空気圧を下げて頭部を(圧力の差によって)管先端に付着させ、または吸引させ、リベットをダイから持ち上げることによってダイから取り外される。
【0154】
[0146]ステップ5:リベットを管の先端に付着させたままで、リベットをスキャフォールドの穴の上方に位置決めするように移動し、同じツールを使用してリベットを穴に配置し、次いでツール内の空気圧を周囲の空気圧まで上げる。リベットはツールから離れる。
【0155】
[0147]ステップ6:リベットおよび/または穴を変形させて係合、または穴からのマーカの脱落に対する抵抗力を強化する、例えば図14A図14C
【0156】
[0148]ステップ1~ステップ6によれば、非球形ビーズの取扱いの問題が克服されることが理解されよう。例えば、上記ステップ1~ステップ6では、リベットが球形ビーズから形成された後に再度方向付けする必要がなく、球形ビーズを位置合わせし、穴に配置できるように球形ビーズを方向付けるという問題が克服される。
【0157】
[0149]図16A図16Bおよび図16Cを参照すると、形成されたリベット127’(または137’)を、真空ツール350を使用してダイ200(または205)からスキャフォールドストラット穴22に移すことと関連付けられるステップが示されている。理解されるように、形成された放射線不透過性マーカ127’は極めて小さく、すなわちその最大寸法が1ミリメートル未満であり、よって、穴22に配置するためのマーカ127’の取扱いおよび方向付けは、シャンクを穴に対して適正に向ける必要があるために、(穴に球の配置するのとは対照的に)複雑である。このため、据え込みまたは鍛造工程は、ツール250を用いて穴200からリベット127’を取り外すこと、図16A、リベット127’をツールに付着させたままで向きを維持すること、図16B図16C、および次いでリベット127’を穴22aに配置すること、図16C、によるスキャフォールド穴への配置と組み合わされる。
【0158】
[0150]図10および図11Aを参照すると、本開示による、ダイ200とダイ200を使用して形成されたマーカ127との第1の実施形態がそれぞれ示されている。ダイは、上面201と、上端201から下端まで延在する貫通穴とを有する平板である。穴は、上端直径dp2と、dp2未満である下端直径dp1とを有する。穴202は全体にわたって円形であることが好ましいが、他の実施形態では、穴は厚さtp全体にわたって矩形または六角形であってもよく、この場合、dp1およびdp2は(直径ではなく)穴を横切る長さまたは大きさである。また板200は、高さtpを有する。テーパ角は、式tanФ=(1/2(dp2-dp1)/tp)によってdp2およびdp1に関係し、好ましい実施形態では、φは1~5度、5~10度、3~5または2~4度である。ダイ200の形状は、図18Aに示されるように、円錐台形のシャンクを生成する。原料ビーズ(図示せず)が穴202内に部分的に位置するように、ビーズが開口202の上端に配置される。次いで、ビーズが穴202に押し込まれるように、平板、マンドレルまたはピン(「ラムヘッド」)がビーズの頂部に押し込まれる。ビーズは、ラムヘッドが表面201から距離約HHになるまで、穴に押し込まれる。前述の形成工程から形成されたリベット127は、シャンク高さSHの全体、または実質的な部分にわたってテーパ角Фを有し、シャンク形状は円錐台形である。リベット全体の高さはHRであり、頭部厚さはHHであり、頭部径はHDである。いくつかの実施形態では、角度Фは、シャンクが円筒として扱われるように、またはФがほぼゼロになるように、十分に小さくてもよい。
【0159】
[0151]図12および図13Aを参照すると、本開示による、ダイ205とダイ205を使用して形成されたマーカ137との第2の実施形態がそれぞれ示されている。ダイは、上面206と、上端301から下端まで延在する穴とを有する平板である。穴は全体を通して一定の直径dcb1を有する。上端206には座ぐりが形成される。座ぐり径はdcb2である。穴207は全体にわたって円形であることが好ましいが、他の実施形態では穴207は長方形または六角形であってもよく、この場合、dcb1は(直径ではなく)穴を横切る長さまたは大きさである。ダイ205の形状は、図13Aに示すように、段付きの円筒形状を有するリベットまたは頭部を有する円筒形シャンクを生成する。原料ビーズ(図示せず)が穴207内に部分的に位置するように、ビーズが開口207の上端に配置される。次いで、ビーズが穴207に押し込まれるように、ラムヘッドがビーズの頂部に押し込まれる。ビーズは、ラムヘッドが表面206から距離約HHになるまで、穴に押し込まれる。前述の形成工程から形成されたリベット137は、図13Aに示す形状を取る。リベット全体の高さはSH+HHであり、頭部厚さはHHであり、シャンク高さはSHであり、頭部径はHDである。
【0160】
[0152]以下の表3および表4に、図2Aに示すようなリンク穴22内に固定するためのリベットのリベット寸法の例を提供する。この例では、リンクの厚さは100ミクロン(μm)であり、D0、D1およびD2のミクロン(μm)単位の値は、それぞれ、241、64および64である。
【0161】
[0153]ダイ200の寸法tp、dp2およびdp1の値は、178、229および183である。ダイ200を使用して得られた形成されたリベットの寸法を表3に示す。結果から理解できるように、シャンク長さ(または高さ)はリンク厚さの150%より大きく、リベット頭部径(HD)は穴22径よりも著しく大きい。シャンクの下部分は、リベットの先端部分を形成するために利用される。HD、SD、およびSLの平均値および標準偏差は、測定されたそれぞれ「n」サンプルのリベットに基づくものである。
【表3】
【0162】
[0154]ダイ205の寸法dcb2および寸法dcb1の値は、305および203である。ダイ300を使用して得られた形成されたリベットの寸法を表4に示す。HD、SD、HHおよびSLの平均値および標準偏差は、測定されたそれぞれ「n」サンプルのリベットに基づくものである。
【表4】
【0163】
[0155]表3および表4において、「据え込み後のO.D.リベット頭部径」とは、リベットマーカがスキャフォールド穴に押し込まれた後のリベットマーカ頭部の外径を指す。
【0164】
[0156]次に、スキャフォールド穴22にリベット127、137のどちらかを取り付けるための工程の例について考察する。いくつかの実施形態によれば、リベットシャンクは、スキャフォールドの反管腔側または外側から穴22に配置され、そのため頭部は反管腔側面22aに位置する。リベットは代わりに穴の管腔側から配置されてもよい。リベットは、シャンクの最大部分が管腔側または反管腔側からそれぞれ延在するように、しっかりと穴に押し込まれる。
【0165】
[0157]リベット127は、穴22内に配置された後、頭部の反対側が据え込み工程を施される。図11Bを参照すると、穴22内の変形したリベット127’の断面が示されている。リベット127’は、表面22aから量h2だけ延在する頭部127a’を有する。長さh2は、約25ミクロン(μm)、25~50ミクロン(μm)、または5~50ミクロン(μm)であってもよい。同じ寸法が、リンクの反対側の表面(例えば管腔側面)から延在する先端部127b’にも当てはまる。頭部127a’の直径が先端部より大きくてもよく、先端部127b’径が頭部127a’径より大きくてもよい。先端部分は、据え込みによってリンク表面から突出した延長シャンク長さから形成されている。先端部127b’は据え込みによって形成される。例えば、リベット127は、シャンク長さのかなりの部分、例えばストラット厚さの50%が管腔側から延在するように、表面22a(反管腔側)から配置される。スキャフォールドの内腔を通して円筒形のマンドレル(図示せず)が配置される。このマンドレルは、スキャフォールドの内径よりわずかに小さい外径を有し、先端部127b’を形成する据え込み表面を提供する。マンドレルは、管腔側面から延在するシャンク部分の上を前後に転動される。この動作により、シャンク材料が穴の周りで平坦化されて、先端部分127b’が生成される。得られたリベット127’は、少なくとも一部は、リベットを穴の反管腔側の方へ押そうとする先端部分127b’の抵抗力と、リベットを穴22の管腔側の方へ押そうとする頭部分127a’の抵抗力とによって、所定の位置に固定される。図示のように、シャンクの変形により、表面22b上に配置されたフランジを有する先端部127b’が生成される。フランジは、頭部のように円形であってよく、頭部127a’のフランジの半径方向長さよりも大きい、または小さいフランジ半径方向長さを有していてもよい。
【0166】
[0158]図15Aおよび図15Bを参照すると、リベット137からリベット137’を生成するのに段付きマンドレルがラムヘッドと共に使用されている。リベットは、例えば、図12のダイ205を使用するときの略円筒形状から、図15A図15Cに示す形状に再形成されたシャンク137’を有する。このシャンク形状は、約5~15度、5~9度、または約3~8度の大きさのテーパ角θにより特徴付けられうる。穴22のリベットのいくつかの実施形態によるシャンクは円錐台形状であり、頭部137a’の反対側または遠位のシャンク端部、すなわち端部137b’は、頭部137a’の近位または頭部137a’に最も近いシャンク部分よりも大きく、または大きい直径を有する。変形したシャンク22’は、管腔側または反管腔側の開口の他方に最も近いシャンク径S1より大きい穴22’の管腔側または反管腔側の開口の一方に最も近いシャンク径S2を有していてよく、すなわちS2>S1である。いくつかの実施形態によれば、図15Aに示すように、円筒形の穴22も、表面22aの穴開口より大きい表面22bの開口を有する穴22’に変形される。いくつかの実施形態によれば、リベット137がスキャフォールドに取り付けられるときに穴22およびリベット137が変形される。
【0167】
[0159]図15Aに示す構造は、スキャフォールド穴22にリベットマーカを取り付ける第2の工程によって作製されうる。第1の工程とは対照的に、シャンク先端部分が穴開口から突出している表面全体にわたってツールが転動されない。代わりに、シャンク先端部は、金属マンドレルの表面とすることができる非コンプライアント表面に直接押し込まれる。リベットは、リベットをマンドレル表面に押し込む、マンドレルの表面とラム234の頭部との間の圧縮力によって変形される。変形したリベット127’を生成する第1の工程は、対照的に、硬い表面を転動させてシャンクに入れることと頭部127aに対する拘束との組み合わせによって形成され、これにより先端部127bが据え込まれる間にリベット頭部が表面22aに対して保持される。第2の工程の下では、力の作用線は完全にリベットの軸線に沿ったものであり、またはリベット頭部に対して垂直である。その結果、シャンクの先端部分からフランジも周縁もほとんど、または全く形成されずに、シャンク部分がならされ、または広げられ、穴が変形することになる。
【0168】
[0160]次に第2の工程について、図14A図14Cを参照してさらに詳細に説明する。スキャフォールド400は、段付きのマンドレル230上に配置される。このマンドレルは、第1の外径と、第1の外径より小さい第2の外径とを有する。マーカ137を保持するスキャフォールド部分は、マンドレル230の小さい直径の部分の上に配置される。マンドレル230の大きい直径の部分はスキャフォールドの隣接する部分を保持する。マンドレル230の小さい直径の部分は表面230aを有し、大きい直径の部分は表面230bを有する。図14B図14Cに示すように、ラム234は、マーカ137を保持するスキャフォールド部分230aをマンドレル表面230aに力F(図14B)で押し込み、これによりスキャフォールド端が表面230aの方へ距離「d」だけ偏向する(図14A)。スキャフォールドが表面230aに到達した後、ラム234は、(頭部137aを直接押すことによって)引き続きマーカを保持するスキャフォールド部分を押し込んで、図15Aに示されるように変形したマーカ137’および穴22’を生成する。選択される表面230aは、滑らかであり、または据え込み中に材料の流れを妨げることになる溝、点食、へこみその他の(円筒の表面以外の)表面の不規則性がないものであってもよい。好ましい実施形態では、マンドレル表面は、リベットマーカ137に押し込まれた頭部234の表面と比較して滑らかである。すなわち、頭部234と表面137a’との間の摩擦係数(Mu)は、マンドレル230の表面230aと表面137b’との間のMuより大きい。
【0169】
[0161]図15Bに示される変形したシャンク137’および穴22’の形状は、これまで考えられていたよりも大きい押出し力を生じた(「押出し力」とは、マーカを穴から取り外すのに必要な力を意味する)。実際、予想外に、変形したリベット137’および穴22’は、頭部137a’の有無に関わらず、50%大きい厚さを有するリンクに嵌合されたマーカよりも大きい脱落に対する抵抗力を有することが発見された。例えば、厚さ100ミクロン(μm)のストラットの穴22’の側面22aからリベット137’を押し出すのに必要な最小脱落力の試験は、米国特許出願第2007/0156230号明細書(図8A図8B、または球が貯蔵時により多く円筒形に変形して、表面対面の接触が最大まで増加した場合)に従って、約50%大きい厚さを有するストラットの穴(158ミクロン(μm)対100ミクロン(μm))について取り付けられたマーカを押し出すのに必要な脱落力よりも高かった。表4に示すとおりである。
【表5】
【0170】
[0162]スキャフォールドAはマーカとの接触のためにより多くの表面積を有し、よって脱落に抵抗するより大きい摩擦力を有するにもかかわらず、スキャフォールドBにはより大きい押出し力がある。この結果が示しているのは、図15Aの変形したリベットマーカおよび穴をもたらす据え込み工程で生じる変形が、押出し力に大きな影響を及ぼすことである(注:表4で報告されている重量グラム押出し力はスキャフォールドBの管腔側22bに加えられた)。50%大きい肉厚を考慮すると、スキャフォールドAはより大きい脱落力を有していたはずである(スキャフォールドAとスキャフォールドBとに同じビーズ材料、ビーズ体積およびポリ(L-ラクチド)スキャフォールド材料)。より大きい脱落力は、ストラット22の開口22aよりも著しく大きい下側部分137b’を本質的に生み出す変形したシャンクおよび穴の形状によって説明することができる。よって、脱落力は、(材料と穴の壁との間の摩擦力を本質的に克服しさえすればよいだけではなく)穴22’の22a側からマーカを脱落させるために、開口22a’および/またはシャンク部分137b’を変形させるのに十分なほど大きくなければならない。
【0171】
[0163]図15Bの形状137’は、リベットが穴22の内側に位置している間にリベットを変形させる据え込み工程によって形成されうる。リベットは、据え込みする前にはリベット27、リベット127またはリベット137の形状および/または特性を有しうる。先端部分137b’の近くで据え込み中にリベット材料が横方向に流れる(せん断流)ことにより、リベット材料が拡張すると共に、ストラット穴が開口22b’により近づく(拡大する)。これにより、リベットのシャンクおよび穴の台形様の、または円錐台形状が形成される。図14A図14Cの据え込み工程では、(一方側での転動運動ではなく)リベットの対称軸線とほぼ同一直線上の等しい反対の力を加える。(リベットではなく)代わりに円筒形または球が穴22に配置され、据え込み面230aと先端部137bとの間に、据え込み面234と頭部137aとの間の摩擦係数(COF)とほぼ同じCOFが存在したが、それ以外は図14A図14Cと同じ据え込み工程であった場合、その結果は、米国特許出願第2007/0156230号明細書の示される形状のような、より対称な変形したマーカ、例えば、COFに応じて押し潰された円筒形や樽形のマーカになったと考えられる。この結果は、Kajtoch, J Strain in the Upsetting Process, Metallurgy and Foundry Engineering, Vol.33, 2007, No.1(2より大きい細長比のための得られる形状にラムとインゴットとの間の摩擦係数が及ぼす影響を論じている)を読めば理解できる。穴に押し込まれた放射線不透過性材料の形状、例えばリベット137対球(スキャフォールドA)なども一要因である。一方の側に頭部が存在することにより、シャンクがストラット中央平面軸線の周りに非対称形状を形成することになる。リベット形状と摩擦係数差と組み合わせが好ましい結果を生んだと考えられる。
【0172】
[0164]好ましい実施形態では、表面137aを押し付ける頭部234のより粗い表面と比較して、滑らかなマンドレル230表面230aが表面137bを押し付ける。好ましい実施形態では、反管腔側の摩擦係数は0.17より大きい、すなわちMu>0.17であったが、管腔側の摩擦係数は0.17未満、すなわちMu<0.17であった。上述したように、摩擦係数の差の影響は、それぞれの据え込み頭部と接する端部付近のせん断流または後の材料流れに対する拘束によって説明することができる。摩擦係数が十分に低い場合には、表面積は、比較的一定に保持されるのではなく、横方向に拡大する。よって、Muは管腔側では小さいので、反管腔側よりも横方向の流れが多い。結果は、リベット形状の使用と組み合わされた場合、例えば、固定角度θを有するシャンクと考えられうる、図15A図15Bに示すような、開示の円錐台形状になると考えられる。
【0173】
[0165]マーカ配置の後のスキャフォールドのための加熱ステップがあってもよい。いくつかの実施形態では、この加熱ステップは、ポリマーの老化作用を除去する、クリンプ前のスキャフォールドポリマーの回復工程に対応しうる。
【0174】
[0166]クリンプ工程前の熱回復(TGを上回るが、ポリマースキャフォールドの融解温度(Tm)を下回る生体吸収性スキャフォールドの熱処理を含む)は、ポリマースキャフォールドの物理的老化を反転させ、または除去することができ、(例えば、スキャフォールドの山での)クリンプによる損傷および/またはマーカの脱落件数を低減させうる。
【0175】
[0167]いくつかの実施形態によれば、スキャフォールドをバルーンにクリンプする直前およびマーカの配置後に、スキャフォールドを熱処理し、機械的にひずませ、または溶剤処理して、ポリマー老化の回復または消去を誘導する。回復は、ポリマーを老化の少ない状態または未老化の状態にさえも戻すことによって、物理的老化によって生じた物理特性の変化を消去し、または反転させる。物理的老化はポリマーを熱力学的平衡状態に近づけ、回復は材料を熱力学的平衡状態から遠ざける。したがって、回復によりポリマーの性質を、物理的老化によって生じるのとは反対の方向に変えることができる。例えば、回復は、ポリマーの密度を減少させ(比体積を増加させ)、ポリマーの破断点伸びを増加させ、ポリマーのモジュラスを減少させ、エンタルピーを増加させ、またはそれらの任意の組み合わせを生じさせうる。
【0176】
[0168]いくつかの実施形態によれば、回復は、前に処理されたポリマーの物理的老化の反転または消去のために望ましい。しかしながら、回復は、前の処理ステップの記憶を除去、反転、または消去することを意図したものではない。したがって、回復はスキャフォールドや管を訓練することも、スキャフォールドや管に記憶を与えることもない。記憶とは、前の処理ステップによって提供された一過性のポリマー鎖構造および一過性のポリマー特性を指しうる。これには、本明細書に記載されている管にポリマー鎖の二軸延伸を誘導することによってスキャフォールドを形成するための管を半径方向に強化する処理ステップが含まれる。
【0177】
[0169]クリンプ中のマーカスキャフォールドの完全性または脱落に対する抵抗力に関して、加熱ステップは、クリンプがマーカの脱落を引き起こす事例を減らすのに役立つことが判明している。いくつかの実施形態によれば、スキャフォールド穴22内に保持されたマーカの前述の実施形態のいずれも、マーカが穴に配置された後、クリンプの直前、例えばクリンプ後24時間以内の加熱ステップを含むことができる。スキャフォールドは、加熱後にマーカを穴22内により良好に保持できることが判明している。機械的ひずみ、例えば限られた半径方向拡張、または熱回復(短時間の間、スキャフォールド温度を、スキャフォールドポリマーの耐荷重部分のガラス転移温度(TG)を上回って上昇させる)は、クリンプ後および/またはクリンプ状態からのバルーン拡張後のスキャフォールドの構造完全性に有益な効果を有しうる。
【0178】
[0170]特に、これらのひずみ誘起工程は、穴が図15A図15Bに関連して上述したように変形されるときにマーカを取り囲む穴22寸法に有益な影響を及ぼす傾向がある。
【0179】
[0171]いくつかの実施形態によれば、マーカ配置後のスキャフォールドは、ポリマーのガラス転移温度を約20度または30度上回る温度まで10~20分間にわたって加熱される。より好ましくは、スキャフォールドの耐荷重構造(例えば、ポリマー管または材料シートから作製された部分)はポリ(L-ラクチド)を含むポリマーであり、その温度を、マーカ配置後10~20分間にわたって約80~85°Cまで上げる。
【0180】
[0172]いくつかの実施形態によれば、マーカの配置後にスキャフォールドの温度を上げると、穴22の部分が、マーカの穴内への嵌合を改善するように再成形されることが判明している。図15Cを参照すると、リベットマーカ137が第2の工程に従って穴22に配置された後、穴形状が変形して端部137b”にリップまたは縁部140が生成され、これにより、回復ステップで処理されないスキャフォールドマーカ構造よりも大きい脱落への抵抗力が生成されうる。リップ140の表面140aは、力が端部22b’に向けられたときに、マーカの脱落をより強く妨げる。
【0181】
[0173]薄肉スキャフォールドの所望のクリンププロファイルを達成する前述の目的に従い、以下の必要を満たす、バルーンにそのようなスキャフォールドをクリンプするための方法がある:
構造完全性:スキャフォールドがバルーンにクリンプされるとき、またはバルーンによって拡張されるときのスキャフォールドの構造完全性に対する損傷を回避すること。
移植部位への安全な導入:移植部位への移送中のバルーンからのスキャフォールドの脱落または分離を回避すること。
拡張の均一性:構造的障害や疲労寿命の低下につながりうるスキャフォールドリングの不均一な拡張を回避すること。
【0182】
[0174]米国特許出願第2014/0096357号明細書で以前報告されたように、スキャフォールドは、延性が高い金属製のステントほど弾性がない。したがって、上記の必要すべてを満たすための必要は、特に、クリンプ中またはバルーン拡張中により容易に破損する可能性のある薄肉スキャフォールドについてのものである。
【0183】
[0175]図17A図17Bに、本開示による薄肉スキャフォールド300、400、500、600または700についてのバルーンカテーテル(図3D)にクリンプするためのクリンプ工程と関連付けられるステップを示す。このクリンプ工程は、D-minまでクリンプされたスキャフォールドの上記の必要すべてを満たすことができることが判明している。この例では、3.5mmスキャフォールドを3.0mmセミコンプライアントPEBAXバルーンにクリンプするためのクリンプ工程が説明されている。図17Bには、グラフ形式の図17Aの流れのクリンプ部分の流れ、すなわち、クリンプ工程のほぼ全体にわたって約20~70psi(または完全膨張もしくは過膨張したバルーン圧力まで1気圧)のバルーン圧力が加えられた場合の、スキャフォールド径対時間のグラフが示されている。例えば、バルーン圧力を、ステップA~ステップGでは70psiに維持し、次いで、期間G~Hにわたって、圧力を50psi(または1気圧)まで減少(または収縮)させる。バルーン圧力は、点Hで除去する。ステップH~ステップJでは、低横断プロファイルを達成し、またはD-minまでクリンプし、バルーンの損傷を回避するという目的で、バルーン圧力を使用しない。
【0184】
[0176]図17Aには、必要に応じた、クリンプの3つの可能な方法が示されている。第1に、バルーンAとバルーンBの2つのバルーンを使用する。バルーンBは(1または複数の)クリンプ前のステップに使用され、(導入システムと共に使用される)バルーンAは最終クリンプに使用される。第2に、アラインメント確認検査を含むクリンプ工程全体でただ1つのバルーンを使用する(バルーンA)。この場合には、スキャフォールド内径は、完全膨張または過膨張したバルーンAよりも大きい。よって、クリンプ前にバルーン上でずれが生じうる。第3に、最終アラインメント確認検査なしのクリンプ工程全体でただ1つのバルーンを使用する(バルーンA)。この場合、導入システム用のバルーンは、スキャフォールド内径の内径とほぼ等しい完全膨張または過膨張した状態を有する。
【0185】
[0177]ステージI:バルーンカテーテルの完全膨張バルーン上に支持されたスキャフォールドを、クリンプ頭部内に配置する。膨張し、この状態でスキャフォールドを支持しているときのバルーンは、実質的にすべての折り目が除去されている。好ましい実施形態では、カテーテルのバルーン(すなわち、最終製品、ステント導入システムで使用されるバルーン)は、ステージI~ステージIIに使用される。他の実施形態では、(以下で詳述するように)ステージIとステージIIとに第2のより大きいバルーンを使用することが好ましい場合がある。クリンパのブレードを加熱して、スキャフォールドの温度をクリンプ温度まで上昇させる。好ましい実施形態では、クリンプ温度は、ポリマーのガラス転移温度(TG)の下限とTG間の15度との間である。
【0186】
[0178]スキャフォールドがクリンプ温度に達した後、クリンパのアイリスが閉じて、スキャフォールド内径(ID)を、完全膨張または過膨張したバルーンの外径(OD)よりもわずかに小さい径まで縮小させる(例えば、約3.2mmの直径まで膨張したPEBAX3.0mmのセミコンプライアントバルーンでは3.45mmから約3.05mm)。この例では、3.0mmバルーンサイズ、またはバルーンAサイズ(例えば、3.0mmバルーン)までの直径縮小にバルーンBが使用されるはずである。
【0187】
[0179]ステージII:クリンパのあごを直径3.05mmに保持し、クリンプ温度で第2の休止期間にわたってこの直径に維持する。ステージIIの後、スキャフォールドは、そのクリンプ前直径の約90%を有する。
【0188】
[0180]前述のステップI~ステップIIでは、スキャフォールド径を、ステント導入システムの完全膨張バルーン(すなわちバルーンA)のサイズまで縮小する。最初のアラインメント検査(クリンプ前)時には、スキャフォールド内径は、バルーンの完全膨張直径よりも大きかった(例えば、スキャフォールド径は、3.0mm~3.2mmの直径を有するバルーンの完全膨張直径の約109%~116%)ので、スキャフォールドがバルーンサイズまでクリンプされる間に(バルーンに対して)長手方向にずれる可能性がある。この可能性を考慮して、スキャフォールドをクリンパから取り外し、近位および遠位のバルーンマーカに対するバルーン上のスキャフォールドのアラインメントを検査する。
【0189】
[0181]「最終アラインメント確認」ステップ:スキャフォールドをバルーン上で調整する必要があるとき、技術者はスキャフォールドを所定の位置に移動させるために手動調整を行う。しかしながら、これらの微調整を、スキャフォールドが完全膨張バルーン上に載置されており、バルーンの外径よりわずかに小さい内径を有する間に行うことは困難であることが判明している。この必要に対処するために、再アラインメントをより行いやすくするようにバルーン圧力をわずかに下げ、またはバルーンを一時的に収縮させる。スキャフォールドがバルーンマーカ間で適正に再度位置合わせされると、スキャフォールドおよび完全膨張バルーンをクリンパに戻す。スキャフォールド内径とバルーンサイズがほぼ等しくなったので、カテーテルのバルーンへのスキャフォールドの最終的なクリンプを開始することができる。スキャフォールドがバルーンに対してそれ以上長手方向に動かないようにするために、ステージIIIの開始前にスキャフォールド径をバルーンの完全膨張直径よりわずかに小さくすることが好ましい。上述したように、2つのバルーンを使用する場合、バルーンBをバルーンAで置き換え、バルーンAに対してアラインメントを行い、スキャフォールドをバルーンBの最終直径までクリンプする。
【0190】
[0182]ステージIII:スキャフォールドとバルーンとをクリンパに戻す。あごは、(アラインメント検査中に発生する反跳を考慮して)ステージIIとほぼ同じか、またはそれよりわずかに大きい直径まで閉じる。クリンパのあごを第3の休止期間にわたってこの直径で保持し、この時間は、スキャフォールドがクリンプ温度に戻るのに必要な時間としうる。
【0191】
[0183]次いで、アイリス径を、バルーンが加圧されず、ランダムに分布した折り目を有していた場合のバルーンのODとほぼ等しい、またはそれよりわずかに小さいIDまで縮小させる。すなわち、ほぼすべて既製の折り目がランダムな折り目で置き換えられるようにバルーンが加圧されてから収縮された場合のバルーンのおおよそのODまでスキャフォールドをクリンプされる。例えば、アイリス径は、3.5mmスキャフォールドの場合、約1.78mmまで縮小される。この直径縮小の後、スキャフォールドODは、ステージIIIでのその直径の約60%であり、その開始ODまたはクリンプ前ODの約50%である。
【0192】
[0184]ステージIV:スキャフォールドODをその開始直径の約50%まで縮小させた後、クリンパのあごを第3の休止期間にわたってこの直径で保持する。好ましい実施形態では、バルーン圧力は、この休止中にわずかに減少する。例えば、3.0mmのセミコンプライアントPEBAXバルーンでは、ステージIVの休止中に圧力は70psiから50psiまで減少する。この減少は、より低い横断プロファイルを達成し、かつ/またはバルーン材料を過伸展から保護するために好ましい。
【0193】
[0185]段階IVの休止期間の後、バルーンを収縮させ、または大気圧に戻させ、クリンパのアイリスを、最終クリンプOD、例えば1.01mmまたはそのクリンプ前ODの約30%まで縮小させる。このバルーン収縮は、アイリス径が最終クリンプ径まで縮小される間、またはその直前に、バルーンに加圧ガスを供給する弁を開くことによって行われうる。
【0194】
[0186]次いで、クリンパのあごを、クリンプ温度を維持して(すなわち、スキャフォールド温度がTG未満15度からほぼTGの間にある)、またはクリンプ温度を維持せずに、約170秒の休止期間、または100~200秒にわたって最終クリンプ径で保持する。この最終休止期間は、クリンプされたスキャフォールドをクリンパから取り外すときのスキャフォールド反跳の量を減少させることを意図したものである。170秒の休止の直後に、スキャフォールドを取り外し、スキャフォールドに保持シースを被せて、反跳をさらに低減させる。最終段階のクリンプ後に漏れ試験を行ってもよい。
【0195】
[0187](上記の例に示されるように)直径縮小および休止期間を通して比較的一定の圧力を維持するために、バルーン用の補助圧力源を設けることが必要な場合がある。実際、一実施形態では、直径縮小中にバルーンに圧力降下が生じたことが判明した。この圧力降下に対処するために、二次圧力源を使用して、直径縮小中に休止期間中と同じ圧力を維持した。
【0196】
[0188]クリンプステップ全体にわたってバルーンを選択的に加圧する好ましいクリンプ工程の前述の例は、バルーンの起こりうる過伸展を最小化すると同時に3つの利点を提供することが期待される。第1の利点は、スキャフォールドバルーン保持が増加することである。クリンプステップの大部分を通してバルーンで比較的大きい圧力を維持することにより、クリンプがバルーン加圧なしで、またはスキャフォールドの直径が実質的に縮小された後に初めて行われる場合よりも、バルーン材料がスキャフォールドにより多く押し込まれることになるため、より多くのバルーン材料がスキャフォールドのストラットの間に配置されるはずである。加えて、直径縮小の前に折り目を実質的に除去することにより、バルーン材料がよりコンプライアントになることも期待される。よって、より多くのバルーン材料を、スキャフォールドがクリンプされているときにスキャフォールドとカテーテルシャフトとの間に押し込まれるのではなく、ストラット間に延在することができる。
【0197】
[0189]バルーン加圧の第2の利点は、バルーンが拡張されるときのクリンプされたスキャフォールドのより均一な拡張である。バルーンが最初から膨張している場合、クリンプが行われる前に、取り付けられたスキャフォールド内でバルーンが展開するのに利用可能な最大空間がある場合、バルーン材料は、クリンプ後にカテーテルシャフトの周囲により均一に配置される。好ましい実施形態では、バルーンは完全に膨張し、すべての既製の折り目が確実に除去されるようにクリンプ前に少なくとも10秒間わたってこの膨張状態に保持される。スキャフォールドが部分的にクリンプされた後にバルーンが膨らまされる(よって、バルーンが完全に展開するのに利用可能な空間があまり残らない)場合のように、バルーンが部分的にのみ拡張され、折り目線またはバルーン記憶がバルーン圧力によって除去されない場合、折り目または部分的な折り目があるために、クリンプ中にバルーン材料のずれまたは変位が生じ、それによって、クリンプ後のカテーテルシャフトの周囲のバルーン材料の分布がより不均一になると考えられる。
【0198】
[0190]第3の利点は、ストラットの強度損失、亀裂または破損をもたらしうる、面外ねじれまたはスキャフォールドストラットのオーバーラップの回避である。上述したように、スキャフォールドを膨張したバルーンでクリンパ内に支持することにより、ストラットがアラインメントからずれようとする傾向が抑制または最小化されると考えられる。
【0199】
[0191]前述の利点は、バルーン圧力が選択的に制御されるクリンプ工程においてバルーン材料が過剰に伸張される危険なしで達成されうる。図3Bを参照すると、提供される圧力範囲は20~70psiである。この圧力範囲の上限は、例で使用したバルーンの場合には完全膨張バルーンを形成し、最初の3ステージにわたって維持されうる。続いてステージIVでバルーン圧力が50psiおよび20psiに下げられる。いくつかの試験により、ステージIVの開始まで、またはクリンプされたスキャフォールドが元のスキャフォールド径の約1/2に達し、続いて圧力がわずかに低下した後に、一定の一貫した完全膨張バルーン圧力を維持することにより、ステント保持、均一な拡張、低横断プロファイル、均一なクリンプおよびバルーン材料への損傷回避の良好なバランスが提供されることが判明した。
【0200】
[0192]上述したように、クリンプには3つの可能な方法がある。バルーンAとバルーンBの2つのバルーンを使用する。バルーンBはクリンプ前のステップ(a)に使用され、(導入システムと共に使用される)バルーンAは最終クリンプに使用される。第2に、アラインメント確認検査を含むクリンプ工程全体でただ1つのバルーンを使用する(バルーンA)。この場合には、スキャフォールド内径は、完全膨張または過膨張したバルーンAよりも大きい。よって、クリンプ前にバルーン上でずれが生じうる。第3に、最終アラインメント確認検査なしのクリンプ工程全体でただ1つのバルーンを使用する(バルーンA)。この場合、導入システム用のバルーンは、スキャフォールド内径の内径とほぼ等しい完全膨張または過膨張した状態を有する。これらの異なる実施形態について以下でさらに説明する。
【0201】
[0193]いくつかの実施形態では、工程は、図17A図17Bの例によって上述したように説明されるが、以下の例外を有する。2つのバルーンを使用する。すなわち、好ましい実施形態の上記例のようにバルーンAのみではなく、カテーテルのバルーン(バルーンA)に加えて、犠牲バルーンまたは2次バルーン(バルーンB)を使用する。バルーンBは、バルーンAよりも大きい公称膨張バルーン直径を有し、またはバルーンAよりも大きい直径まで過膨張させることができるバルーンである。バルーンBは、ステージIおよびステージIIに使用される。バルーンBは、スキャフォールドの元の内径と同じかまたはわずかに大きい完全膨張直径を有するように選択される。この代替の実施形態の1つの利点は、(ステージIで隙間があるため、バルーンAがスキャフォールドの半径方向の支持をほとんどまたは全く提供できない上記の例とは対照的に)スキャフォールドがクリンプ工程を通してバルーンによって支持されることである。ステージIIの後、スキャフォールドはクリンパから取り外され、バルーンBはバルーンAで置き換えられる。その後、クリンプ工程は前述のように続行される。
【0202】
[0194]本発明の図示の実施形態の上記の説明は、要約書に記載されているものを含めて、網羅的であることも、本発明を開示通りの形態に限定することを意図したものではない。本発明の特定の実施形態およびその例が、説明のために本明細書に記載されているが、当業者は理解するように、本発明の範囲内で様々な改変が可能である。
【0203】
[0195]これらの改変は、本発明に対して上記の詳細な説明に照らして行うことができる。特許請求の範囲で使用される用語は、本発明を本明細書で開示される特定の実施形態だけに限定するものと解釈されるべきではない。

図1
図2
図2A
図2B
図2C
図3
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図6A
図6B
図6C
図7
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
【外国語明細書】