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特開2024-26468液体製剤の計量分注のための分注ヘッドと分注装置およびその使用
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  • 特開-液体製剤の計量分注のための分注ヘッドと分注装置およびその使用 図1
  • 特開-液体製剤の計量分注のための分注ヘッドと分注装置およびその使用 図2a
  • 特開-液体製剤の計量分注のための分注ヘッドと分注装置およびその使用 図2b
  • 特開-液体製剤の計量分注のための分注ヘッドと分注装置およびその使用 図3
  • 特開-液体製剤の計量分注のための分注ヘッドと分注装置およびその使用 図4a
  • 特開-液体製剤の計量分注のための分注ヘッドと分注装置およびその使用 図4b
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026468
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】液体製剤の計量分注のための分注ヘッドと分注装置およびその使用
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/20 20060101AFI20240220BHJP
   B65D 47/18 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
B65D47/20 210
B65D47/18
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023216008
(22)【出願日】2023-12-21
(62)【分割の表示】P 2020565442の分割
【原出願日】2019-04-01
(31)【優先権主張番号】102018208110.7
(32)【優先日】2018-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】518338334
【氏名又は名称】エフ.ホルツァー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー ハイエック-ヒー
(72)【発明者】
【氏名】シュタインフェルト ウーテ
(72)【発明者】
【氏名】マーラー マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ホルツァー フランク
(57)【要約】
【課題】分注ヘッドの簡易さ、およびそれに関連する製造における経済的利点を提供する。
【解決手段】
本発明は、分注装置用の分注ヘッド(1)、および液体製剤の計量分注用の分注ヘッドを備えた分注装置(100)に関する。分注ヘッドは、分注ヘッドに導入されて液体製剤を分注する通路チャネル(3)を閉じることができる少なくとも1つのシーリングリップ(7a,7b)を含む特殊バルブ(6)を備える。本発明は、分注ヘッド(1)の簡易さ、およびそれに関連する製造における経済的利点によって特徴付けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体製剤(2)の計量分注のための分注装置(100)に用いる分注ヘッド(1)であって、
内面に配置された入口開口部(4)および液体製剤用の外側分注開口部(5)を有する通路チャネル(3)と、
前記入口開口部(4)の上の内部空間(8)側に配置されたバルブ体(7)を備えるバルブと、を備え、
前記入口開口部は、前記通路チャネル(3)を介して前記内部空間(8)と外部環境とを接続すると共に、前記内部空間に対して前記液体製剤(2)を可逆的に密封可能に構成され、
前記バルブ体(7)は、前記入口開口部(4)に対向する側に形成され、前記バルブ体(7)で前記入口開口部(4)を閉じたときに前記入口開口部(4)に対して前記内部空間(8)を密封する少なくとも1つのシーリングリップ(7a、7b)を有することを特徴とする分注ヘッド(1)。
【請求項2】
前記バルブ体(7)は、少なくとも2つのシーリングリップ、1つの内側シーリングリップ(7a)および1つの外側シーリングリップ(7b)を備えることを特徴とする請求項1に記載の分注ヘッド(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのシーリングリップ(7a、7b)、特に内側シーリングリップ(7a)および外側シーリングリップ(7b)が前記バルブ体(7)に同心円状に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の分注ヘッド(1)。
【請求項4】
前記バルブ体(7)および前記少なくとも1つのシーリングリップ(7a、7b)は、一体形成されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の分注ヘッド(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのシーリングリップ(7a、7b)は、0.05~1mm、好ましくは0.1~0.5mmの前記入口開口部(4)の方向の高さを有することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の分注ヘッド(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのシーリングリップ(7a、7b)は、0.05~1mm、好ましくは0.1~0.4mmの幅を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の分注ヘッド(1)。
【請求項7】
前記バルブ体(7)および前記少なくとも1つのシーリングリップ(7a、7b)は、熱可塑性プラスチックまたはエラストマープラスチック、特にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどのポリオレフィン、またはPA6、PA66、PA12などのポリアミドからから形成されることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の分注ヘッド(1)。
【請求項8】
前記バルブ(6)は、前記バルブ体(7)が固定される少なくとも1つの締結要素(9a)を有するフレーム(9b)を備え、前記フレーム(9b)は、前記分注ヘッド(1)に締結されることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の分注ヘッド(1)。
【請求項9】
前記バルブ体(7)、前記フレーム(9b)、および前記少なくとも1つの締結要素(9a)が一体形成されていることを特徴とする請求項8に記載の分注ヘッド(1)。
【請求項10】
前記分注ヘッド(1)は、前記分注ヘッドは、前記バルブ体(7)を有する記フレーム(9b)と力を伝達するように、または形状が一致するように嵌合する切り欠き部(10)を有することを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の分注ヘッド(1)。
【請求項11】
前記バルブ(6)は、前記分注ヘッド(1)の切り欠き部(10)に緩く受容され、前記切り欠き部(10)内で垂直(v)に移動可能に形成されていることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の分注ヘッド(1)。
【請求項12】
前記バルブ体(7)は、前記液体製剤(2)が前記バルブ体と前記切り欠き部(10)の境界となる壁との間を流れることができるように寸法されていることを特徴とする請求項11に記載の分注ヘッド(1)。
【請求項13】
前記切り欠き部(10)は、垂直方向において前記バルブ(6)が前記切り欠き部の外に完全に導かれることを妨げる境界(11)を有することを特徴とする請求項11または12に記載の分注ヘッド(1)。
【請求項14】
前記バルブ体(7)は、前記通路チャネル(3)に嵌入するガイド延長部(7c)を有し、当該ガイド延長部は、前記通路チャネル(3)よりも小さい断面を有することを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載の分注ヘッド(1)。
【請求項15】
前記ガイド延長部(7c)および前記バルブ体(7)は一体形成されることを特徴とする請求項14に記載の分注ヘッド(1)。
【請求項16】
液体製剤(2)の計量分注用の分注装置(100)であって、
請求項1~15のいずれか一項に記載の分注ヘッド(1)と、
フレキシブル貯蔵容器(20)と、を備え、
前記分注ヘッド(1)は、流体的に密封された状態で前記貯蔵容器(20)に設置されることを特徴とする分注装置(100)。
【請求項17】
前記フレキシブル貯蔵容器は、圧力によって作動する圧搾ボトルであることを特徴とする請求項16に記載の分注装置(100)。
【請求項18】
前記貯蔵容器(20)が、熱可塑性プラスチックおよびエラストマープラスチックを含む群から選択される材料、特にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどのポリオレフィン、またはPA6、PA66、PA12などのポリアミドから形成されることを特徴とする請求項16または17に記載の分注装置(100)。
【請求項19】
眼科製品、特に点眼剤、鼻科製品、特に点鼻剤、流体、ゲル、クリーム、ペースト、食品、および食品サプリメントの保存および/または計量分注のための、請求項16~18のいずれか一項に記載の分注装置(100)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分注装置用の分注ヘッド、および液体製剤の計量分注用の分注ヘッドを備えた分注装置に関する。ここでの分注ヘッドは、分注ヘッドに導入された液体製剤を分注するための通路を閉じることができる少なくとも1つのシーリングリップを含む特殊バルブを備える。本発明は、分注ヘッドの簡易さ、およびそれに関連する製造における経済的利点によって特徴付けられる。
【背景技術】
【0002】
国際公開公報第2018/010889号は、流体の計量分注を可能にするポンプヘッド、および、例えば、圧搾ボトルとして構成され得る計量器と、対応して構成されたポンプヘッドを含む計量器とに関する。しかし、ここで記載されているポンプヘッドは十分な感圧性がなく、計量対象となる流体の特定量の目標計量分注が困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、液体製剤の計量分注のための分注装置に用いる分注ヘッドを提供するか、または、可能な限り感圧性を有し、したがって、分注されるべき液体(特に、水溶液のような低い表面張力を有する液体)の正確に計量された量の分注を容易にする分注装置を提供することにある。分注ヘッドには、さらに、できるだけシンプルな設計のバルブが設けられる。この目的は、分注ヘッドに関する請求項1の特徴、および分注装置に関する請求項16の特徴によって達成される。分注装置の使用の可能性については、請求項19に記載される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、液体製剤の計量分注のための分注装置に用いる分注ヘッドに関するものであり、分注ヘッドは、内面に配置された入口開口部と、液体製剤用の外側分注開口部とを有する通路チャネルを備える。当該入口開口部は、通路チャネルを介して内部空間と外部環境とを接続する。また、分注ヘッドは、入口開口部の上の内部空間側に配置されたバルブ体を有するバルブを備える。当該入口開口部は、内部空間に対して液体製剤を可逆的に密封可能に設計される。バルブ体は、入口開口部に対向する側に形成され、バルブ体で入口開口部を閉じたときに入口開口部に対して内部空間を密封する少なくとも1つのシーリングリップを有する。
【0005】
このように分注ヘッドは、分注する液体製剤を内側(バルブが配置される側)から外側に分注する通路チャネルを備えている。この目的のため、分注ヘッドは、内面に配置された入口開口部と外側分注開口部とを有する通路チャネルを備える。ここで、バルブは、分注ヘッドのいくつかの作動状態において、通路チャネル(したがって、完全な通路チャネル)の入口開口部を独立して閉じることができるように構成される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、バルブ体は、少なくとも1つのシーリングリップを有し、それによって、通路チャネルの入口開口部を効果的に閉じることが可能になる。バルブ体自体は、ここでは、入口開口部に対して可動に形成されており、これにより、バルブの開状態にあっては、計量される液体製剤を入口開口部に分注し、よって、分注開口部を介して通路チャネル内および外部に分注することができる。
【0007】
したがって、本発明のバルブは、バルブ体が全く押圧されていないとき、または通路チャネルの入口開口部に分注される流体によって十分に小さな押圧力で押圧されているとき、分注される流体が、分注ヘッドと少なくとも1つのシーリングリップまたは複数のシーリングリップとの間を通過することができるようになる。バルブ体にかかる圧力が(例えば、調剤される流体を介して)増加したとき、または例示するような、圧力増加が生じたときには、少なくとも1つのシーリングリップを有するバルブ体が分注ヘッドに対して十分に強く押され、その結果、通路チャネルの入口開口部を確実に閉鎖する。通路チャネルは、この作動状態において、バルブによって閉鎖される。
【0008】
したがって、圧搾ボトルに圧力が加えられないとき、バルブは開状態となり、バルブ体の少なくとも1つのシーリングリップと分注ヘッドの壁との間に狭い間隙が存在する。但し、ここでの間隙は、本発明に従った分注ヘッドを有する計量装置が、出口開口部が下方を向くように配置されたとしても(例えば、計量装置の輸送または保管中にハンドバッグ内またはズボンポケット内でそのように配置されても)、流体が出ないような小さな寸法を有する。これは、流体の表面張力と、バルブと分注ヘッドの壁との間の距離とが小さいためである。計量される流体の分注は、計量装置の内部に存在する流体に圧力をかけることによって行われ、例えば、圧搾ボトルに圧力がかけられる。流体の分注は、バルブの閉鎖が行われるまで、定量的に行われる。バルブは、圧搾ボトルへの圧力によって閉じられ、圧力が継続しても出口通路の流体閉鎖が行われるという点で、規定された計量体積を分注した後に閉じられる。
【0009】
計量装置を下向きに収納する場合(すなわち、バルブが通路チャネルの上方に配置される場合)、計量される流体は、バルブが開いているため、通路チャネルに流入することができる。計量装置の作動時(すなわち、例えば、圧搾ボトルが押されるなどして、その中の貯蔵された流体に圧力が加えられた場合)には、通路チャネルが閉鎖するまで、流体の計量された分注がバルブを通して行われる。したがって、計量された量は、バルブの計量ストロークによって決まる。
【0010】
バルブと液体との間に空気がある場合、すなわち計量装置を上向きに保管する場合(すなわちバルブが通路チャネルの下方に配置されている場合)は、重力によって液体が貯蔵容器に逆流するため、空気のみが通路チャネル内に存在する。したがって、圧力をかけると一回分のストローク量の空気だけが出ていく。
【0011】
本発明は、特に、例えば1つのピースで形成することができ、分注ヘッドに配置することができるバルブの簡易さによって特徴付けられる。この点において、バルブのためのさらなる固定手段は必要とされないため、分注ヘッドとバルブとの双方を単一の材料から等しく生産することができ、金属や複雑な機械的構成物のような異物は不要となる。
【0012】
好ましい実施形態によれば、バルブ体は、少なくとも2つのシーリングリップ、内側シーリングリップ、および外側シーリングリップを含む。
【0013】
さらに、少なくとも1つのシーリングリップ、特に内側シーリングリップおよび外側シーリングリップが、バルブ体において同心円状に配置されていることが好ましい。同心円状の設計のため、入口開口部は、通路チャネル(任意に同様に円形)について、断面において等しく円形として形成され、例えば、確実に囲まれて内部空間に対して密封される。
【0014】
バルブ体と少なくとも1つのシーリングリップとが一体形成される場合、バルブの製造に特に有利である。
【0015】
少なくとも1つのシーリングリップは、入口開口部方向の高さが0.05~1mm、好ましくは0.1~0.5mmである場合、さらに好ましい。
【0016】
少なくとも1つのシーリングリップ(7a、7b)は、例えば、0.05~1mm、好ましくは0.1~0.4mmの幅を有することができる。
【0017】
少なくとも1つのシーリングリップが、熱可塑性プラスチックまたはエラストマープラスチック、特にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどのポリオレフィン、またはPA6、PA66、PA12などのポリアミドから形成される場合、さらに好ましい。
【0018】
バルブが、バルブ体が固定される少なくとも1つの締結要素を有し、分注ヘッドに締結されるフレームを備えることも同様に可能である。
【0019】
バルブ体、フレーム、および少なくとも1つの締結要素が一体形成されている場合、特に利点がある。
【0020】
また、先の実施形態において、分注ヘッドは、バルブ体を有するフレームと力を伝達するように、または形状が一致するように嵌合する切り欠き部を有している場合、さらに好ましい。
【0021】
さらなる好ましい実施形態では、バルブは、分注ヘッドの切り欠き部に緩く受容され、切り欠き部内で垂直に移動可能なように形成される。
【0022】
特に、上記実施形態にあっては、液体製剤がバルブ体と切り欠き部の境界となる壁との間を流れることができるようにバルブ体が寸法されているという利点がある。
【0023】
特に、バルブまたはバルブ体を固定するために、バルブ体が切り欠き部に緩く配置されている場合に好ましい。この好ましい実施形態によれば、切り欠き部は、垂直方向においてバルブが切り欠き部の外に完全に導かれることを妨げる境界を有する。
【0024】
さらに、バルブ体は、通路チャネルに嵌入するガイド延長部を有し、通路チャネルよりも小さい断面を有することが好ましい。
【0025】
ガイド延長部とバルブ体とが一体形成されれば、特に有利となりうる。
【0026】
本発明は、さらに、前記請求項の一項に記載の分注ヘッドとフレキシブル貯蔵容器とを備えた液体製剤の計量分注用の分注装置に関し、分注ヘッドは流体的に密封された状態で貯蔵容器に設置されている。
【0027】
貯蔵容器は、特に圧力によって作動可能な圧搾ボトルとして形成されている。
【0028】
貯蔵容器は、ここでは、熱可塑性プラスチックおよびエラストマープラスチックを含む群から選択される材料、特に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどのポリオレフィン、またはPA6、PA66、PA12などのポリアミドから選択することができる。
【0029】
本発明はさらに、本発明に係る上記分注装置の使用に関する。本発明に係る使用の可能性は、眼科製品(特に点眼剤)、鼻科製品(特に点鼻剤)、流体、ゲル、クリーム、ペースト、食品、および食品サプリメントの保存および/または計量分注である。
【0030】
本発明は、提示される特定の状況に限定することなく、以下の図および実施形態を参照して、より詳細に例示される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】開状態における本発明の分注ヘッドおよび分注装置の第1の実施形態を示す。
図2a】第1の実施形態に係る分注装置であって、計量された体積の分注完了後、即ちバルブの閉鎖後を示す。
図2b】均圧状態、すなわち空気流入による圧搾ボトル内の吸引力が均等である状態にある第1の実施形態に係る分注装置を示す。
図3】開状態における本発明の分注ヘッドおよび分注装置の第2の実施形態を示す。
図4a】第2の実施形態に係る分注装置であって、計量された体積の分注完了後、即ちバルブの閉鎖後を示す。
図4b】均圧状態、すなわち空気流入による圧搾ボトル内の吸引力が均等である状態にある第2の実施形態に係る分注装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、本発明に係る分注ヘッド1を備えた、本発明に係る分注装置100の第1の実施形態を示している。図1の右側には、貯蔵容器20に貯蔵された流体2の計量分注が行われている状態の分注装置100全体が示されている。貯蔵容器20は、ここでは、本発明に係る分注ヘッド1に、例えば、スナップ式または別の機械的な固定方法を介して接続されている。分注ヘッドには分注開口部5があり、そこから液体製剤2を分注することができる。分注開口部5は、通路チャネル3を介して、液体製剤2が通路チャネル3を通って内部空間8から分注開口部5の方向に移動できる入口開口部4と連通する。
【0033】
貯蔵容器20は、特に、絞り込まれ、圧力によって作動させることができる圧搾ボトルとして形成されている(図1の右側の矢印を参照)。
【0034】
セクションA(図1の左下)に、通路チャネル3の入口開口部4を可逆的に閉じることができるバルブ6の詳細な実施形態を示す。また、セクションBでは、横断面図(セクションB上部)および平面透視図(セクションB下部)により、バルブ6を選択的に示した拡大図を示す。
【0035】
ここでバルブ6は、その下側(すなわち通路チャネル3の入口開口部4に対向する側)に2つの同心のシーリングリップ7a、7bを有するバルブ体7を有する。計量した容量は、まず高圧で分注される。所定容量を分注した後、バルブ6は、増加する圧力によって閉じられる。バルブ体7は、圧搾ボトルに加えられる圧力により、特にシーリングリップ7a、7bを介して、通路チャネル3の入口開口部4に押圧される。これにより流体閉鎖がされ、バルブ体7が押圧される分注ヘッド1の壁と通路チャネル3の入口開口部4との間に、流体2に対して一時的に不通性をもつバリアが形成される。これは、定量計量分注が行われず、むしろ、圧搾ボトルの圧力が終了したときにのみ分注が停止する従来の圧搾ボトルとは異なる。このように、分注量は、圧搾ボトルにかかる圧力とは無関係に計量することができ、したがって、常に等しく計量することができる。
【0036】
図1の例示的な場合、バルブ6は、ここで、バルブ体7(その上に位置するシーリングリップ7a、7bとともに)が保持アーム9aを介してフレーム9bに締結されるように構成される。上記した部品はすべてバルブ6を形成している。このバルブ6は、このバルブ6の受入れのために設けられた分注ヘッド1内の受入れ開口部10に挿入することができ、追加の機械的手段を用いて分注ヘッド1内に固定する必要なく(例えば、分注ヘッド内およびバルブ6の受入れ開口部10の対応する寸法設計を介して)、当該受け入れ開口部内に固定することができる。
【0037】
図2aには、既に図1にも示されているように、分注装置100が示されている。見易さのため、図2には、同一構成部品の参照記号は記載していない。バルブ体7が通路チャネル3の入口開口部4に完全に押し付けられ、通路チャネル3がバルブ体7によって閉じられている状態が詳細図Iに示されている。
【0038】
図2bは、均圧の状態、すなわち、分注装置100が分注が行われた後に貯蔵状態に設定された場合を示す。このとき、分注装置は、貯蔵容器20の基部上に置かれる。圧搾ボトル20の可逆的な膨張が行われ、液体2として先に分注された体積が、通路チャネル3を介して内部空間8に流れ込む空気(詳細図IIに示す)と交換される。このように、空気を吸い込むことによって内部で均圧化が行われる。なお、圧搾ボトルの位置はここでは何の役割も果たしていない。
【0039】
図3は、代替バルブ6を有する本発明に係る分注ヘッド1の別の実施形態を示す。図3の場合、バルブ6は、2つのシーリングリップ7aおよび7bが下側に配置されるバルブ体7を有する(なお、その他の点では図1に係るバルブ6と類似する)。バルブ体7はさらにガイド延長部7cを有する。バルブ6は、分注ヘッド1の受入れ開口部10に受け入れられ、そこで垂直移動可能(矢印vで示す)とされている。受入れ開口部10は、例えば、作動状態または計量装置を圧搾ボトル20の基部上で上下逆さに配置した状態で、バルブ6が受入れ開口部10から外れないように、開口部10の突起および/またはくびれの形状で構成される境界11を有する。
【0040】
バルブ体7は、流体2が、入口開口部4の方向、または、受入れ開口部10の壁とバルブ体7の先端との間の通路チャネル3をいつでも流れることができるように、寸法決めされる。
【0041】
図3の例示的な場合に示されるガイド延長部7cは、ここでは、通路チャネル3または入口開口部4に対して水平位置にバルブ6を固定するように構成されており、これにより、シーリングリップ7a、7bを介して入口開口部4の確実な封止が常に確保されるようになっている。
【0042】
バルブ6の機能、特に入口開口部4の可逆的閉鎖のための圧力に関する機能は、他の全ての点で図1の実施形態と同一である。
【0043】
図4aは、図2aと同様に、通路チャネル3の入口開口部4がバルブ6により完全に閉鎖された状態Iの分注装置100を示す。この状態は、圧搾ボトル20に圧力がかかりバルブが後方に到達すると生じる。
【0044】
図4bは、先に分注された液体製剤2の体積を空気Lで置き換え、圧搾ボトル20が元の状態に戻った状態IIの分注装置100を示す(矢印を参照)。
図1
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
【手続補正書】
【提出日】2024-01-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体製剤(2)の計量分注のための分注装置(100)に用いる分注ヘッド(1)であって、
内面に配置された入口開口部(4)および液体製剤用の外側分注開口部(5)を有する通路チャネル(3)と、
前記入口開口部(4)の上の内部空間(8)側に配置されたバルブ体(7)を備えるバルブ(6)と、
を備え、
前記入口開口部(4)は、前記通路チャネル(3)を介して前記内部空間(8)と外部環境とを接続すると共に、前記内部空間(8)に対して前記液体製剤(2)を可逆的に密封可能に構成され、
前記バルブ体(7)は、前記入口開口部(4)に対向する側に形成され、前記バルブ体(7)で前記入口開口部(4)を閉じたときに前記入口開口部(4)に対して前記内部空間(8)を密封する少なくとも1つのシーリングリップ(7a、7b)を有することを特徴とする分注ヘッド(1)。
【請求項2】
前記バルブ体(7)は、1つの内側シーリングリップ(7a)および1つの外側シーリングリップ(7b)を含む少なくとも2つのシーリングリップを有することを特徴とする請求項1に記載の分注ヘッド(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのシーリングリップ(7a、7b)、特に内側シーリングリップ(7a)および外側シーリングリップ(7b)が前記バルブ体(7)に同心円状に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の分注ヘッド(1)。
【請求項4】
前記バルブ体(7)および前記少なくとも1つのシーリングリップ(7a、7b)は、一体形成されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の分注ヘッド(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのシーリングリップ(7a、7b)は、0.05~1mm、好ましくは0.1~0.5mmの前記入口開口部(4)の方向の高さを有することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の分注ヘッド(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのシーリングリップ(7a、7b)は、0.05~1mm、好ましくは0.1~0.4mmの幅を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の分注ヘッド(1)。
【請求項7】
前記バルブ体(7)および前記少なくとも1つのシーリングリップ(7a、7b)は、熱可塑性プラスチックまたはエラストマープラスチック、特にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどのポリオレフィン、またはPA6、PA66、PA12などのポリアミドからから形成されることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の分注ヘッド(1)。
【請求項8】
前記バルブ(6)は、前記バルブ体(7)が固定される少なくとも1つの締結要素(9a)を有するフレーム(9b)を備え、前記フレーム(9b)は、前記分注ヘッド(1)に締結されることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の分注ヘッド(1)。
【請求項9】
前記バルブ体(7)、前記フレーム(9b)、および前記少なくとも1つの締結要素(9a)が一体形成されていることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の分注ヘッド(1)。
【請求項10】
前記分注ヘッド(1)は、切り欠き部(10)を有し、当該切り欠き部(10)には、前記バルブ体(7)を有する記フレーム(9b)が力を伝達するようにまたは形状が一致するように嵌合することを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の分注ヘッド(1)。
【請求項11】
前記バルブ(6)は、前記分注ヘッド(1)の切り欠き部(10)に緩く受容され、前記切り欠き部(10)内で垂直(v)に移動可能に形成されていることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の分注ヘッド(1)。
【請求項12】
前記バルブ体(7)は、前記液体製剤(2)が前記バルブ体と前記切り欠き部(10)の境界となる壁との間を流れるように寸法決めされていることを特徴とする請求項11に記載の分注ヘッド(1)。
【請求項13】
前記切り欠き部(10)は、垂直方向において前記バルブ(6)が前記切り欠き部の外に完全に導かれることを妨げる境界(11)を有することを特徴とする請求項11または12に記載の分注ヘッド(1)。
【請求項14】
前記バルブ体(7)は、前記通路チャネル(3)に嵌入するガイド延長部(7c)を有し、当該ガイド延長部は、前記通路チャネル(3)よりも小さい断面を有することを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載の分注ヘッド(1)。
【請求項15】
前記ガイド延長部(7c)および前記バルブ体(7)は一体形成されることを特徴とする請求項14に記載の分注ヘッド(1)。
【請求項16】
液体製剤(2)の計量分注用の分注装置(100)であって、
請求項1~15のいずれか一項に記載の分注ヘッド(1)と、
フレキシブル貯蔵容器(20)と、を備え、
前記分注ヘッド(1)は、流体的に密封された状態で前記貯蔵容器(20)に設置されることを特徴とする分注装置(100)。
【請求項17】
前記フレキシブル貯蔵容器は、圧力によって作動する圧搾ボトルであることを特徴とする請求項16に記載の分注装置(100)。
【請求項18】
前記貯蔵容器(20)が、熱可塑性プラスチックおよびエラストマープラスチックを含む群から選択される材料、特にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどのポリオレフィン、またはPA6、PA66、PA12などのポリアミドから形成されることを特徴とする請求項16または17に記載の分注装置(100)