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特開2024-2648熱交換器、及びその熱交換器を備える空気調和装置の室内機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002648
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】熱交換器、及びその熱交換器を備える空気調和装置の室内機
(51)【国際特許分類】
   F28F 1/32 20060101AFI20231228BHJP
   F28F 21/08 20060101ALI20231228BHJP
   F24F 1/0067 20190101ALI20231228BHJP
【FI】
F28F1/32 Z
F28F21/08 A
F24F1/0067
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101976
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】中野 寛之
【テーマコード(参考)】
3L051
【Fターム(参考)】
3L051BE05
(57)【要約】
【課題】本開示が解決しようとする課題は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の伝熱管を用いた熱交換器において、捻じれ等によって損傷しないように、熱交換器全体の剛性を向上させ、熱交換器全体の強度を適正に保持することである。
【解決手段】室内熱交換器20では、第1熱交換部21と第2熱交換部22との間に鋼またはステンレス製の剛性の高い補強部材24が配置されることによって、室内熱交換器20全体の剛性が向上し、捻じれ等が抑制される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフィン(211、221)、および前記フィンを貫通するアルミニウムまたはアルミニウム合金製の複数の伝熱管(212、222)を有し、互いに隣接するように配置された第1熱交換部(21)および第2熱交換部(22)と、
前記第1熱交換部(21)と前記第2熱交換部(22)との間に配置される鋼またはステンレス製の補強部材(24)と、
を備える、
熱交換器(20)。
【請求項2】
前記補強部材(24)は、前記第1熱交換部(21)と前記第2熱交換部(22)との隙間を覆うように配置される、
請求項1に記載の熱交換器(20)。
【請求項3】
前記第1熱交換部(21)および前記第2熱交換部(22)の長手方向の端部が固定される側板(25)をさらに備え、
前記補強部材(24)の端部が、前記側板(25)に固定される、
請求項1または請求項2に記載の熱交換器(20)。
【請求項4】
前記側板(25)は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製である、
請求項3に記載の熱交換器(20)。
【請求項5】
前記補強部材(24)は、前記側板(25)にネジ固定される固定片(241)を有する、
請求項3に記載の熱交換器(20)。
【請求項6】
前記固定片(241)および前記側板(25)のいずれか一方が凹部(241a)を有し、他方が前記凹部(241a)に嵌まる爪(25a)を有する、
請求項5に記載の熱交換器(20)。
【請求項7】
前記補強部材(24)は、折り曲げ部(242)を有する、
請求項1または請求項2に記載の熱交換器(20)。
【請求項8】
前記補強部材(24)は、前記第1熱交換部(21)または前記第2熱交換部(22)の使用時の姿勢における上端の平坦面に対向する平面部(242a)を有する、
請求項1または請求項2に記載の熱交換器(20)。
【請求項9】
前記伝熱管(212、222)と、前記平面部(242a)との最短距離は、2mm以上に設定されている、
請求項8に記載の熱交換器(20)。
【請求項10】
前記第1熱交換部(21)および前記第2熱交換部(22)と前記補強部材(24)との間に介在する発泡樹脂材(26)をさらに備える、
請求項1または請求項2に記載の熱交換器(20)。
【請求項11】
前記第1熱交換部(21)と前記第2熱交換部(22)との最短距離は、10mmから30mmの範囲に設定されている、
請求項1または請求項2に記載の熱交換器(20)。
【請求項12】
前記補強部材(24)の長手方向と直交する幅方向の寸法は、前記第1熱交換部(21)と前記第2熱交換部(22)との最短距離の2.0倍から4.0倍の範囲に設定されている、
請求項1または請求項2に記載の熱交換器(20)。
【請求項13】
前記補強部材(24)の板厚は、前記伝熱管(212、222)の板厚よりも大きく設定されている、
請求項1または請求項2に記載の熱交換器(20)。
【請求項14】
請求項1または請求項2に記載の熱交換器(20)を備える、
空気調和装置の室内機(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
アルミニウムまたはアルミニウム合金製の伝熱管を用いた熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍機器に使用される熱交換器には伝熱管として銅管が広く使用されているが、近年の銅価格の高騰により、代替の管材として、例えば特許文献1(特開2009-63216号公報)に開示されているような、アルミニウムまたはアルミニウム合金が検討されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の伝熱管は銅管に比べて強度が弱い。それゆえ、捻じれ等によって損傷しないように、熱交換器全体の剛性を向上させ、熱交換器全体の強度を適正に保持する、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の熱交換器は、第1熱交換部および第2熱交換部と、第1熱交換部と第2熱交換部との間に配置される補強部材とを備える。第1熱交換部および第2熱交換部は、複数のフィン、およびフィンを貫通するアルミニウムまたはアルミニウム合金製の複数の伝熱管を有し、互いに隣接するように配置されている。補強部材は、鋼またはステンレス製である。
【0005】
この熱交換器では、第1熱交換部と第2熱交換部との間に剛性の高い補強部材が配置されることによって、熱交換器全体の剛性が向上し、捻じれ等が抑制される。
【0006】
第2観点の熱交換器は、第1観点の熱交換器であって、補強部材が、第1熱交換部と第2熱交換部との隙間を覆うように配置される。
【0007】
この熱交換器では、特に強度が低い隙間に、補強部材が当該隙間を覆うように配置されることによって、隙間部分を補強することができる。
【0008】
第3観点の熱交換器は、第1観点または第2観点の熱交換器であって、側板をさらに備える。側板は、第1熱交換部および第2熱交換部の長手方向の端部を固定する。補強部材の端部が、側板に固定される。
【0009】
この熱交換器では、第1熱交換部、第2熱交換部および補強部材が側板に固定されるので、互いの位置ずれが抑制される。
【0010】
第4観点の熱交換器は、第3観点の熱交換器であって、側板がアルミニウムまたはアルミニウム合金製である。この熱交換器では、その軽量化が図られる。
【0011】
第5観点の熱交換器は、第3観点または第4観点の熱交換器であって、補強部材が、固定片を有する。固定片は、側板にネジ固定される。この熱交換器では、補強部材の取り付けが強固になる。
【0012】
第6観点の熱交換器は、第5観点の熱交換器であって、固定片および側板のいずれか一方が凹部を有し、他方が凹部に嵌まる爪を有する。この熱交換器では、凹部と爪との嵌合により、位置決めが容易になる。
【0013】
第7観点の熱交換器は、第1観点から第6観点のいずれか1つの熱交換器であって、補強部材が、折り曲げ部を有する。
【0014】
この熱交換器では、補強部材に折り曲げ部を形成する際の折り曲げによって、補強部材の強度が増加する。
【0015】
第8観点の熱交換器は、第1観点から第7観点のいずれか1つの熱交換器であって、補強部材が、平面部を有する。平面部は、第1熱交換部または第2熱交換部の使用時の姿勢における上端の平坦面に対向する。
【0016】
この熱交換器では、熱交換部と補強部材とが面と面とで対向しているので、両者が互いに接触しても熱交換部が損傷し難い。
【0017】
第9観点の熱交換器は、第8観点の熱交換器であって、伝熱管と平面部との最短距離は、2mm以上に設定されている。
【0018】
この熱交換器では、伝熱管と平面部との最短距離は、2mm以上に設定されていることによって、補強部材と伝熱管との干渉が抑制され、仮に干渉しても伝熱管を損傷させない。
【0019】
第10観点の熱交換器は、第1観点から第9観点のいずれか1つの熱交換器であって、発泡樹脂材をさらに備える。発泡樹脂材は、第1熱交換部および第2熱交換部と補強部材との間に介在する。
【0020】
この熱交換器では、発泡樹脂材が第1熱交換部および第2熱交換部と補強部材との間に介在することによって、補強部材と熱交換部との直接的な接触が回避される。また、発泡樹脂材が熱交換部と接触しても、熱交換部の変形は防止される。
【0021】
第11観点の熱交換器は、第1観点から第10観点のいずれか1つの熱交換器であって、第1熱交換部と第2熱交換部との最短距離が、10mmから30mmの範囲に設定されている。
【0022】
第12観点の熱交換器は、第1観点から第11観点のいずれか1つの熱交換器であって、補強部材の長手方向と直交する幅方向の寸法は、第1熱交換部と第2熱交換部との最短距離の2.0倍から4.0倍の範囲に設定されている。
【0023】
第13観点の熱交換器は、第1観点から第12観点のいずれか1つの熱交換器であって、補強部材の板厚が、伝熱管の板厚よりも大きく設定されている。
【0024】
第14観点の空気調和装置の室内機は、第1観点から第13観点のいずれか1つの熱交換器を備える。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本開示の一実施形態に係る熱交換器を備える空気調和装置の構成図である。
図2】室内ユニットの外観斜視図である。
図3】室内ユニットの部分縦断面図である。
図4】室内熱交換器20の頂上部分の周辺の拡大図である。
図5図4から側板を取り外した図である。
図6図4のA-A線における断面図である。
図7図4のB-B線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本開示に係る熱交換器について、図面を参照しつつ詳述する。なお、以下の実施形態は、本開示の具体例であって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0027】
(1)空気調和装置100の全体構成
図1は、本開示の一実施形態に係る熱交換器が搭載された空気調和装置100の概略構成図である。図1において、空気調和装置100は、屋外に設置される室外ユニット1と、室内の壁面に設置される室内ユニット2とで構成されたセパレートタイプの空気調和装置である。
【0028】
室外ユニット1と室内ユニット2とは、冷媒配管Pi1,Pi2によって接続されており、これによって、蒸気圧縮式の冷媒回路10が形成されている。空気調和装置100は、冷媒運転または暖房運転を行い、室内ユニット2が設置された室内を冷房または暖房する。
【0029】
(2)室外ユニット1の構成
室外ユニット1は、圧縮機11、四路切換弁12、室外熱交換器13、膨張機構14、液側閉鎖弁15、ガス側閉鎖弁16、および室外ファン17を有している。
【0030】
(2-1)圧縮機11
圧縮機11は、低圧のガス冷媒を吸入して圧縮し、高圧のガス冷媒にして吐出する。圧縮機11として、ロータリ式、スクロール式等の容積式の圧縮要素が圧縮機モータM11によって駆動される密閉式圧縮機が採用されている。圧縮機11は、容量可変自在なタイプの圧縮機である。
【0031】
(2-2)四路切換弁12
四路切換弁12は、冷房運転と暖房運転との切換時に、冷媒の流れの方向を切り換える。四路切換弁12は、冷房運転時には、圧縮機11の吐出側と室外熱交換器13のガス側とを接続するとともに、ガス側閉鎖弁16と圧縮機11の吸入側とを接続する(図1における四路切換弁12の実線を参照)。
【0032】
暖房運転時には、四路切換弁12は、圧縮機11の吐出側とガス側閉鎖弁16とを接続するとともに、室外熱交換器13のガス側と圧縮機11の吸入側とを接続する(図1における四路切換弁12の破線を参照)。
【0033】
(2-3)室外熱交換器13
室外熱交換器13は、冷房運転時には冷媒の放熱器として機能し、暖房運転時には冷媒の蒸発器として機能する。室外熱交換器13は、複数のフィンと、フィンに挿入された複数の伝熱管とを有し、室外ファン17によって供給された室外空気と伝熱管内を流れる冷媒との間で熱交換を行わせる。
【0034】
(2-4)膨張機構14
膨張機構14は、電動膨張弁である。膨張機構14は、冷房運転時には、室外熱交換器13において放熱した高圧の液冷媒を室内熱交換器20に送る前に減圧する。暖房運転時には、膨張機構14は、室内熱交換器20において放熱した高圧の液冷媒を室外熱交換器13に送る前に減圧する。
【0035】
(2-5)閉鎖弁15,16
液側閉鎖弁15には、冷媒配管Pi1の接続口が接続される。また、ガス側閉鎖弁16には、冷媒配管Pi2の接続口が接続される。室外ユニット1内部において、液側閉鎖弁15は、配管を介して膨張機構14に接続されている。ガス側閉鎖弁16は、配管を介して四路切換弁12に接続されている。
【0036】
(2-6)室外ファン17
室外ファン17は、外気を室外ユニット1内に吸入して室外熱交換器13に供給した後に、当該空気を室外ユニット1の外に排出する。室外ファン17としては、例えばプロペラファンが採用されている。室外ファン17は、室外ファンモータM17によって回転駆動される。
【0037】
(3)室内ユニット2の構成
図2は、室内ユニット2の外観斜視図である。また、図3は、室内ユニット2の部分縦断面図である。図2および図3において、室内ユニット2は、本体フレーム31、室内熱交換器20、室内ファン27、およびフィルタ29を有している。室内熱交換器20、室内ファン27、およびフィルタ29は、本体フレーム31内に配置されている。
【0038】
(3-1)本体フレーム31
本体フレーム31は、室内ユニット2の外殻を形成する。また、図3に示すように、本体フレーム31は、空気の吸込口32aa,32daおよび吹出口32dbを有している。また、本体フレーム31は、本体ケーシング32、および底フレーム35を有している。
【0039】
(3-1-1)本体ケーシング32
本体ケーシング32は、図2に示すように、横方向に細長い箱状の形状を有している。本体ケーシング32は、図2および図3に示すように、天面板32a、前面板32bおよび背面板32cによって立体空間を形成している。
【0040】
天面板32aは本体ケーシング32の天面を構成し、前面板32bは本体ケーシング32の正面を構成する。前面板32bは、その上端が天面板32aの一部分に回動自在に支持され、ヒンジ式に動作することができる。背面板32cは、本体ケーシング32の背面を構成している。背面板32cが、室内の壁面に設置された取り付け板(図示せず)にビス止め等によって取り付けられ、それによって、室内ユニット2が室内の壁面に設置されることとなる。
【0041】
本体ケーシング32の天面板32aには、その前側から後側にかけて天面吸込口32aaが設けられている。
【0042】
本体ケーシング32の下面32dは、底フレーム35の底部分35aによって構成されている。下面32dには、下面吸込口32daと、吹出口32dbとが形成されている。
【0043】
下面吸込口32daは、吹出口32dbよりも壁側に設けられており、吸込流路33aによって本体ケーシング32の内部と繋がっている。
【0044】
吹出口32dbは、室内ユニット2の正面側に設けられている。吹出口32dbは、吹出流路33bによって本体ケーシング32の内部と繋がっている。
【0045】
吸込流路33aは、下面吸込口32daから底フレーム35の流路形成部分35bに沿って形成されている。吹出流路33bは、吹出口32dbから底フレーム35の流路形成部分35bに沿って形成されている。
【0046】
また、吹出口32db付近には、図2および図3に示すように、水平フラップ34が取り付けられている。水平フラップ34は、本体ケーシング32に対して回動自在に取り付けられている。水平フラップ34は、フラップ用モータ(図示せず)によって駆動される。水平フラップ34は、吹出口32dbを開閉することができる。さらに、水平フラップ34は、吹出口32dbから吹き出された空気がユーザの所望する方向へと案内されるように、空気の吹き出し方向を変更する。
【0047】
(3-1-2)底フレーム35
図3に示すように、底フレーム35は、底部分35aと流路形成部分35bとを構成する。
【0048】
底部分35aは、本体ケーシング32の下面32dの少なくとも一部を構成する。底部分35aは、室内ユニット2の外部に露出している。
【0049】
流路形成部分35bは、本体ケーシング32の内部に位置する。流路形成部分35bは、底部分35aの一端から上方に延びており、且つ室内ファン27の形状に沿って湾曲している。
【0050】
(3-2)室内熱交換器20
室内熱交換器20は、本体ケーシング32内部において、底フレーム35の流路形成部分35bに取り付けられている。室内熱交換器20は、冷房運転時には、冷媒の蒸発器として機能し、暖房運転時には、冷媒の放熱器として機能する。
【0051】
図3に示すように、室内熱交換器20は、側面視において両端が下方に向いて屈曲する逆V字型の形状を有している。室内ファン27は、室内熱交換器20の下方に位置している。
【0052】
(3-3)室内ファン27
室内ファン27は、クロスフローファンである。室内ファン27によって、空気が各吸込口32aa,32daを介して本体ケーシング32内に吸い込まれる。吸い込まれた空気は、室内熱交換器20を通過する際に室内熱交換器20内を流れる冷媒と熱交換する。熱交換後の空気は、吹出口32dbを介して本体ケーシング32内から室内に吹き出される。室内ファン27は、室内ファンモータM27によって回転駆動される。
【0053】
(4)室内熱交換器20の詳細構成
図3に示すように、室内熱交換器20は、第1熱交換部21、第2熱交換部22および第3熱交換部23を有している。
【0054】
第1熱交換部21は、上端が後方へ傾倒した姿勢で、室内ファン27の上方から前部上方を覆うように配置されている。第2熱交換部22は、上端が前方へ傾倒した姿勢で、室内ファン27の上方から後部上方を覆うように配置されている。
【0055】
第2熱交換部22の上端と、第1熱交換部21の上端とは相対しており、それによって、逆V字型の頂上部分Tが形成されている。
【0056】
第3熱交換部23は、第1熱交換部21の下方に配置されており、第3熱交換部23の上端は第1熱交換部21の下端に近接している。第3熱交換部23は、室内ファン27の前方を覆うように配置されている。
【0057】
各熱交換部21,22,23は、複数のフィン211,221,231と、複数の伝熱管212,222,232とを含んでいる。複数のフィン211,221,231、および複数の伝熱管212,222,232は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製である。
【0058】
図4は、室内熱交換器20の頂上部分Tの周辺の拡大図である。また、図5は、図4から側板を取り外した図である。図4および図5において、室内熱交換器20は、頂上部分Tに配置される補強部材24と、第1熱交換部21、第2熱交換部22および第3熱交換部23を固定する側板25と、補強部材24に貼付される断熱部材26とをさらに有している。
【0059】
(4-1)側板25
側板25は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の板状の部材である。図4に示すように、側板25は、第1熱交換部21、第2熱交換部22および第3熱交換部23の各端面にネジ固定されることによって、室内熱交換器20の形状および姿勢が維持される。
【0060】
図6は、図4のA-A線における断面図である。図6において、側板25には、切り起し加工によって爪25aが形成されている。爪25aは、図6正面視において、側板25に対して鉛直上方に切り起こされた後、側板25に対して平行に折り曲げられている。この爪25aは、補強部材24を側板25に固定する際に使用される。
【0061】
また、図7は、図4のB-B線における断面図である。図7において、側板25は、板厚方向に貫通する第1穴25bを有している。第1穴25bは、補強部材24を側板25にネジ固定する際に使用される。本実施形態では、第1穴25bを成形する際に、バーリング加工によって側板25を隆起させて第1穴25bの有効長さを延長している。
【0062】
(4-2)補強部材24
第1熱交換部21と第2熱交換部22との最短距離は、10mmから30mmの範囲に設定されており、図3に示すように、第1熱交換部21と第2熱交換部22とによって形成される頂上部分Tに隙間が存在する。
【0063】
当該隙間は、吸込口32aaのすぐ内側であって、吸込口32aaと室内ファン27との間に位置しており、空気が通り易いので熱交換性能の低下要因となる。それゆえ、空気の通過を抑止するシール機能と、室内熱交換器20全体の強度を向上させる補強機能とを兼ね合わせた、補強部材24がこの隙間を塞ぐように取り付けられている。
【0064】
補強部材24の長手方向と直交する幅方向の寸法は、第1熱交換部21と第2熱交換部22との最短距離の2.0倍から4.0倍の範囲に設定されている。
【0065】
補強部材24は、頂上部分Tに沿って上方から被せられるため、頂上部分Tの形状に合う断面形状となっている。頂上部分Tの隙間は室内熱交換器20の長手方向に沿って存在し、補強部材24も室内熱交換器20の長手方向の長さと略同じ長さの細長い形状である。また、補強部材24は、鋼またはステンレス製である。補強部材24の板厚は、伝熱管212、222の板厚よりも大きく設定されており、本実施形態では約2mmである。
【0066】
補強部材24は、図4に示すように、本体プレート240と、本体プレート240の端部から板厚方向に沿って延びる固定片241と、本体プレート240の幅方向に沿って延びる折り曲げ部242とを有している。折り曲げ部242は、本体プレート240に対して平行でない平面を含む。
【0067】
(4-2-1)本体プレート240
図4に示すように、本体プレート240は、第1熱交換部21と第2熱交換部22とにかけわたされた架橋部分である。本体プレート240は、第1熱交換部21と第2熱交換部22との間の隙間を覆うための十分な幅を有している。
【0068】
(4-2-2)固定片241
固定片241は、本体プレート240の長手方向の端面から側板25に沿って片持ち梁状に突出する部位である。図4および図6に示すように、固定片241は、予め側板25に設けられている爪25aと噛み合う凹部241aを有している。
【0069】
さらに、図7に示すように、固定片241は、予め側板25に設けられている第1穴25bに対応する位置に、第1穴25bよりも少し大きめの第2穴241bを有している。固定片241の凹部241aと側板25の爪25aとが噛み合うと、固定片241の第2穴241bと側板25の第1穴25bとが同心上に重なる。
【0070】
第2穴241bと第1穴25bとが重なった状態で、第2穴241bから第1穴25bに向かってタッピングネジScを回転させて挿入することによって、固定片241が側板25に固定される。その結果、補強部材24と側板25とが一体となる。
【0071】
(4-2-3)折り曲げ部242
図4および図5に示すように、本体プレート240の幅方向の端部から第1熱交換部21および第2熱交換部22それぞれに向かって折り曲げ部242が延びている。
【0072】
第1熱交換部21側の折り曲げ部242は、第1熱交換部21の上端面の形状に沿って山型に折り曲げられている。同様に、第2熱交換部22側の折り曲げ部242は、第2熱交換部22の上端面の形状に沿って山型に折り曲げられている。
【0073】
折り曲げ部242は、第1熱交換部21および第2熱交換部22の上端の平坦面と対向する平面部242aを有している。平面部242aと伝熱管212,222との最短距離は2mm以上確保されている。さらに、第1熱交換部21および第2熱交換部22の上端と平面部242aとの間には断熱部材26が介在している。それゆえ、補強部材24と伝熱管212,222とが干渉することはない。
【0074】
たとえ、補強部材24と伝熱管212,222とが干渉しても、平面部242aと伝熱管212,222の周面との干渉であるので、伝熱管212,222の損傷は避けられる。
【0075】
(4-3)断熱部材26
断熱部材26は、補強部材24の内側(室内熱交換器20側)に、補強部材24の長手方向に沿って貼付されている。断熱部材26として、発泡ポリスチレンまたは発泡ウレタンが採用される。
【0076】
冷房運転時、室内熱交換器20は蒸発器として機能するので、例えば、断熱部材26が無い場合、補強部材24は内側(室内熱交換器20側)から外側に向かって冷却される。補強部材24の外側は、水分を含んだ室内空気に触れるので、その水分が凝縮して補強部材24の外表面に結露が生じる。
【0077】
断熱部材26が、補強部材24の内側(室内熱交換器20側)に貼付されることによって、補強部材24の内側(室内熱交換器20側)から外側に向かって冷却されることが抑制されるので、結露を防止、または抑制することができる。
【0078】
補強部材24が頂上部分Tに配置されることによって、吸込口32aa,32daから第1熱交換部21および第2熱交換部22へと向かう空気流のうち、頂上部分T付近へ向かう空気流が補強部材24によって遮断される。
【0079】
その結果、空気が第1熱交換部21および第2熱交換部22を迂回することなく室内ファン27へ流れるので、室内熱交換器20の熱交換能力を維持することができる。
【0080】
上記の通り、本実施形態に係る室内熱交換器20は、伝熱管212,222,232として、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の管を採用しており、室内熱交換器20全体としての強度を向上させるために、頂上部分Tに鋼またはステンレス製の補強部材24を配置した。補強部材24は、室内熱交換器20全体の強度を向上させるとともに、第1熱交換部21および第2熱交換部22を迂回して頂上部分Tに進入しようとする空気を遮断して、熱交換性能の低下を防止する。
【0081】
(5)特徴
(5-1)
室内熱交換器20では、第1熱交換部21と第2熱交換部22との間に鋼またはステンレス製の剛性の高い補強部材24が配置されることによって、室内熱交換器20全体の剛性が向上し、捻じれ等が抑制される。
【0082】
(5-2)
室内熱交換器20では、補強部材24が第1熱交換部21と第2熱交換部22との隙間を覆うように配置される。補強部材24によって、空気が第1熱交換部21と第2熱交換部22との隙間を通過することが抑制される。
【0083】
(5-3)
室内熱交換器20では、第1熱交換部21、第2熱交換部22および補強部材24が側板25に固定されるので、互いの位置ずれが抑制される。
【0084】
(5-4)
室内熱交換器20では、側板25がアルミニウムまたはアルミニウム合金製であるので、室内熱交換器20の軽量化が図られる。
【0085】
(5-5)
室内熱交換器20では、補強部材24が、固定片241を有している。固定片241は、側板25にネジ固定される。室内熱交換器20では、補強部材24の取り付けが強固になる。
【0086】
(5-6)
室内熱交換器20では、固定片241が凹部241aを有し、側板25が凹部241aに嵌まる爪25aを有している。凹部241aと爪25aとの嵌合により、位置決めが容易になる。
【0087】
(5-7)
室内熱交換器20では、補強部材24が、折り曲げ部242を有している。折り曲げ部242は、補強部材24の長手方向と直交する幅方向に沿って延び且つ板厚方向に屈曲する。補強部材24に折り曲げ部242を形成する際の折り曲げによって、さらに強度が増加する。
【0088】
(5-8)
室内熱交換器20では、補強部材24の平面部242aが、第1熱交換部21または第2熱交換部22の使用時の姿勢における上端の平坦面に対向している。平面部242aと第1熱交換部21または第2熱交換部22の上端とが面と面とで対向しているので、両者が互いに接触しても各熱交換部は損傷し難い。
【0089】
(5-9)
室内熱交換器20では、伝熱管212,222と補強部材24の平面部242aとの最短距離は、2mm以上に設定されているので、補強部材24と伝熱管212,222との干渉が抑制され、仮に干渉しても伝熱管を損傷させない。
【0090】
(5-10)
室内熱交換器20では、断熱部材26が、第1熱交換部21および第2熱交換部22と、補強部材24との間に介在するので、補強部材24への結露が抑制される。
【0091】
(5-11)
室内熱交換器20では、第1熱交換部21と第2熱交換部22との最短距離が、10mmから30mmの範囲に設定されている。
【0092】
(5-12)
室内熱交換器20では、補強部材24の長手方向と直交する幅方向の寸法は、第1熱交換部21と第2熱交換部22との最短距離の2.0倍から4.0倍の範囲に設定されている。
【0093】
(5-13)
室内熱交換器20では、補強部材24の板厚が、伝熱管212,222の板厚よりも大きく設定されている。
【0094】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0095】
2 室内ユニット(室内機)
20 室内熱交換器(熱交換器)
21 第1熱交換部
22 第2熱交換部
24 補強部材
25 側板
25a 爪
26 断熱部材(発泡樹脂材)
100 空気調和装置
211 フィン
221 フィン
212 伝熱管
222 伝熱管
241 固定片
241a 凹部
242 折り曲げ部
242a 平面部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0096】
【特許文献1】特開2009-63216号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7