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特開2024-26485カテーテルアセンブリ、及び関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026485
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】カテーテルアセンブリ、及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20240220BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
A61M25/06 502
A61M25/00 530
A61M25/06 512
A61M25/00 622
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023217243
(22)【出願日】2023-12-22
(62)【分割の表示】P 2020557344の分割
【原出願日】2019-04-15
(31)【優先権主張番号】62/659,332
(32)【優先日】2018-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】591002131
【氏名又は名称】ベー・ブラウン・メルズンゲン・アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】B.BRAUN MELSUNGEN AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】メン・ムン・チョン
(72)【発明者】
【氏名】ジャリード・ケン・ジーン・ング
(57)【要約】      (修正有)
【課題】カテーテルチューブが可撓性を保ったままキンクに耐性を有するカテーテルチューブを備えたIVC、及び関連した方法を提供する。
【解決手段】静脈カテーテルデバイス又は装置(100)がカテーテルハブ(110)、キンクに耐性を有するカテーテルチューブ(150)、及びニードルハブを含む。カテーテルチューブ(150)は、内腔(156)、外側外周、及び内腔と外側外周の間に、又は外側表面と内側表面の間に壁厚みを有するカテーテル本体を含む。カテーテル本体は、2つの異なる硬さ特性を有する2つの異なる材料から作られる少なくとも2つの異なる部分を有してもよい。第一の部分は第一の材料から作られてもよく、第二の部分は第二の材料から作られてもよく、第二の材料の硬さは第一の材料の硬さよりも大きくてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルアセンブリ(100)であって、
取り付けられるカテーテルチューブ(150)を有するカテーテルハブ(110)と、
ニードルハブ(103)に取り付けられるニードル先端(102)を備えるニードル(101)を含み、
前記ニードル(101)は、前記ニードル先端(102)が前記カテーテルチューブ(150)の遠位開口部(149)から遠位に突き出るように前記カテーテルチューブ(150)を通って突き出て、
前記カテーテルチューブ(150)は、
外側表面(158)、及び内側表面(137)を備える壁と、
前記外側表面(158)と前記内側表面(137)との間の壁厚みと、
前記内側表面(137)によって画定される内腔(156)と、
を有するカテーテル本体(151)を含み、
前記カテーテル本体(151)は、
第一の硬さ特性を備える第一の材料で形成される前記壁厚みの第一の部分(152)と、
第二の硬さ特性を備える第二の材料で形成される前記壁厚みの第二の部分(155)と、
を含み、
前記第一の部分(152)は、前記カテーテル本体(151)及び前記内腔(156)の前記内側表面(137)の少なくとも一部を形成する内面、及び前記カテーテル本体(151)の前記外側表面(158)の少なくとも一部を形成する外面を有し、
前記第二の部分(155)は、内面及び外面を有し、
前記第二の材料の前記第二の硬さ特性は、前記第一の材料の前記第一の硬さ特性よりも大きく、
前記第二の部分(155)は、前記カテーテルチューブ(150)の前記壁厚み内に埋め込まれ、又は前記カテーテルチューブ(150)の前記壁厚み内に埋め込まれず、
前記第二の部分(155)が前記カテーテルチューブ(150)の前記壁厚み内に埋め込まれないとき、
(i)前記第二の部分(155)の前記内面が前記カテーテル本体(151)及び前記内腔(156)の前記内側表面(137)の別の部分を形成する、
(ii)前記第二の部分(155)の前記外面が前記カテーテル本体(151)の前記外側表面(158)の別の部分を形成する、
又は
(iii)前記第二の部分(155)の前記内面が前記カテーテル本体(151)及び前記内腔(156)の前記内側表面(137)の別の部分を形成し、前記第二の部分(155)の前記外面が前記カテーテル本体(151)の前記外側表面(158)の別の部分を形成する、
カテーテルアセンブリ。
【請求項2】
前記第二の部分(155)が、前記カテーテルチューブ(150)の長さに沿って概して一定な幅の断面プロフィールを有する、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項3】
前記カテーテル本体(151)の長さが1.4センチメートルから6.4センチメートル、又は8センチメートルから12センチメートルである、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項4】
前記カテーテルチューブ(150)の遠位端がテーパを有する、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項5】
前記第一の材料がポリウレタン(PUR)を含み、前記第二の硬さ特性よりも低い硬さ特性を有する、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項6】
前記第一の材料がフッ化エチレンプロピレン(FEP)を含み、前記第二の硬さ特性よりも低い硬さ特性を有する、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項7】
前記第一の材料がポリエーテルブロックアミド(PEBA)を含み、前記第二の硬さ特性よりも低い硬さ特性を有する、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項8】
前記第二の材料が硫酸バリウム(BaSO)である、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項9】
前記第二の材料がフッ化エチレンプロピレン(FEP)である、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項10】
前記第一の部分(152)及び前記第二の部分(155)が、前記カテーテル本体(151)の前記遠位開口部(149)から、又はその近傍から前記カテーテル本体(151)の近位端に向かって延びる、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項11】
前記カテーテル本体(151)は、前記第一の硬さ特性よりも大きい硬さ特性をそれぞれが備え、間隔を開けたスパイン(155)の3つのストリップを有する、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項12】
前記第二の部分(155)が第一のスパインであり、前記第一のスパインから離れた第二のスパインをさらに含む、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項13】
前記ニードル先端(102)の遠位に移動し前記ニードル先端(102)を覆うように構成される面を有するニードルガード(104)をさらに含む、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項14】
カテーテルアセンブリ(100)を形成する方法であって、
前記方法は、
取り付けられるカテーテルチューブ(150)を有するカテーテルハブ(110)を形成するステップと、
ニードル先端(102)を有し、前記ニードル先端(102)が前記カテーテルチューブ(150)の遠位開口部(149)から遠位に突き出るように前記カテーテルチューブ(150)を通って突き出るニードル(101)を備えるニードルハブ(103)を形成するステップと、を含み、
前記カテーテルチューブ(150)は、
外側表面(158)、及び内側表面(137)を備える壁と、
前記外側表面(158)と前記内側表面(137)との間の壁厚みと、
前記内側表面(137)によって画定される内腔(156)と、
を有するカテーテル本体(151)を含み、
前記カテーテル本体(151)は、
第一の硬さ特性を備える第一の材料で形成される前記壁厚みの第一の部分(152)と、
第二の硬さ特性を備える第二の材料で形成される前記壁厚みの第二の部分(155)と、
を含み、
前記第一の部分(152)は、前記カテーテル本体(151)及び前記内腔(156)の前記内側表面(137)の少なくとも一部を形成する内面、及び前記カテーテル本体(151)の前記外側表面(158)の少なくとも一部を形成する外面を有し、
前記第二の部分(155)は、内面及び外面を有し、
前記第二の材料の前記第二の硬さ特性は、前記第一の材料の前記第一の硬さ特性よりも大きく、
前記第二の部分(155)は、前記カテーテルチューブ(150)の前記壁厚み内に埋め込まれ、又は前記カテーテルチューブ(150)の前記壁厚み内に埋め込まれず、
前記第二の部分(155)が前記カテーテルチューブ(150)の前記壁厚み内に埋め込まれないとき、
(i)前記第二の部分(155)の前記内面が前記カテーテル本体(151)及び前記内腔(156)の前記内側表面(137)の別の部分を形成する、
(ii)前記第二の部分(155)の前記外面が前記カテーテル本体(151)の前記外側表面(158)の別の部分を形成する、
又は
(iii)前記第二の部分(155)の前記内面が前記カテーテル本体(151)及び前記内腔(156)の前記内側表面(137)の別の部分を形成し、前記第二の部分(155)の前記外面が前記カテーテル本体(151)の前記外側表面(158)の別の部分を形成する、
方法。
【請求項15】
キンクに対する耐性を有するカテーテルチューブ(150)を備えるカテーテルアセンブリ(100)を使用する方法であって、
前記方法は、カテーテルチューブ(150)を静脈(130)に設置するステップを含み、
前記カテーテルチューブ(150)はカテーテルハブ(110)に取り付けられ、
前記カテーテルチューブ(150)は、
外側表面(158)、及び内側表面(137)を備える壁と、
前記外側表面(158)と前記内側表面(137)との間の壁厚みと、
前記内側表面(137)によって画定される内腔(156)と、
を有するカテーテル本体(151)を含み、
前記カテーテル本体(151)は、
第一の硬さ特性を備える第一の材料で形成される前記壁厚みの第一の部分(152)と、
第二の硬さ特性を備える第二の材料で形成される前記壁厚みの第二の部分(155)と、
を含み、
前記第一の部分(152)は、前記カテーテル本体(151)及び前記内腔(156)の前記内側表面(137)の少なくとも一部を形成する内面、及び前記カテーテル本体(151)の前記外側表面(158)の少なくとも一部を形成する外面を有し、
前記第二の部分(155)は、内面及び外面を有し、
前記第二の材料の前記第二の硬さ特性は、前記第一の材料の前記第一の硬さ特性よりも大きく、
前記第二の部分(155)は、前記カテーテルチューブ(150)の前記壁厚み内に埋め込まれ、又は前記カテーテルチューブ(150)の前記壁厚み内に埋め込まれず、
前記第二の部分(155)が前記カテーテルチューブ(150)の前記壁厚み内に埋め込まれないとき、
(i)前記第二の部分(155)の前記内面が前記カテーテル本体(151)及び前記内腔(156)の前記内側表面(137)の別の部分を形成する、
(ii)前記第二の部分(155)の前記外面が前記カテーテル本体(151)の前記外側表面(158)の別の部分を形成する、
又は
(iii)前記第二の部分(155)の前記内面が前記カテーテル本体(151)及び前記内腔(156)の前記内側表面(137)の別の部分を形成し、前記第二の部分(155)の前記外面が前記カテーテル本体(151)の前記外側表面(158)の別の部分を形成する、
方法。
【請求項16】
カテーテルアセンブリ(100)であって、
取り付けられるカテーテルチューブ(150)を有するカテーテルハブ(110)と、
ニードルハブ(103)に取り付けられるニードル先端(102)を備えるニードル(101)を含み、
前記ニードル(101)は、前記ニードル先端(102)が前記カテーテルチューブ(150)の遠位開口部(149)から遠位に突き出るように前記カテーテルチューブ(150)を通って突き出て、
前記カテーテルチューブ(150)は、
外側表面(158)、及び内側表面(137)を備える壁と、
前記外側表面(158)と前記内側表面(137)との間の壁厚みと、
前記内側表面(137)によって画定される内腔(156)と、
を有するカテーテル本体(151)を含み、
前記カテーテル本体(151)は、
第一の部分(152)及び第二の部分(155)を含み、
前記第一の部分(152)は、第一の硬さ特性を備え、
前記第二の部分(155)は、第二の硬さ特性を備え、
前記第二の硬さ特性は、前記第一の硬さ特性よりも大きい、
カテーテルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して静脈カテーテル(intravenous catheter:IVC)デバイス、装置、及び周辺及び中央の静脈カテーテルアセンブリを含むアセンブリに関し、特にカテーテルチューブが可撓性を保ったままキンク(kinking)に耐性を有することを補助するために硬化された領域をそれぞれ含むカテーテルチューブを備えたIVC、及び関連した方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IVCは、患者に流体を注入すること、患者から血液を採血すること、又は患者の血管システムの様々なパラメータをモニタすることを含む様々な注入療法(infusion therapy)に広く使用される医療用の侵襲性デバイスである。患者の脈管構造(vasculature)へのアクセスは、通常カテーテルチューブを挿入することにより達成され、静脈穿刺(venipuncture)として知られる。IVカテーテルアセンブリのカテーテルチューブは、全ての入院患者の大部分に入院中に挿入され、多くの救急の場合にも頻繁に主導される。
【0003】
IVCの挿入手順は4つの基本ステップを含む。(1)医療従事者がニードルとカテーテルチューブの両方を患者の静脈に挿入し、(2)ニードル先端の静脈への挿入後、医療従事者が指で押すことによりカテーテルチューブが患者の静脈内へ前進され、(3)医療従事者が、患者の挿入箇所の皮膚に圧力をかけてカテーテルチューブを通る血流を遅らせる又は止めながら、ハブ端(先端と反対側)を掴んでニードルを引き抜き、(4)医療従事者が次にカテーテルチューブの露出した端部又はカテーテルハブを患者の皮膚にテープ止めし、それを患者の静脈に投与されるべき流体源に接続する。
【0004】
カテーテルチューブの一部は患者内に留まるため、患者の快適さ及び安全性は、カテーテルチューブの可撓性、サイズ(例えば直径)、及び材料の選択に影響され得る。より長いカテーテルチューブを備えたIVCが必要な状況では、限られた直径での余剰の長さは、カテーテルチューブが静脈穿刺の後静脈に深く進むときのカテーテルチューブのキンクを防ぐために、より大きい直径のカテーテルチューブ、又はより硬いカテーテルチューブを必要とする。より大きい直径のカテーテルチューブは挿入箇所において、より大きい穴及びより大きいニードルを必要とし、大きいニードルを使用することは痛みと不快さを増すこととなり得る。加えて、挿入箇所におけるより大きい穴は感染リスク及び傷が塞がるまでの回復時間を増大させる。より大きい直径のカテーテルチューブはまた、静脈の内直径の、より大きい部分を塞ぎ得る。カテーテルチューブの硬さ(折れ曲がりにくさ:stiffness)が増大すると、静脈穿刺後にカテーテルチューブを望ましい位置に送るときに静脈弁及び静脈壁を傷つけやすくなる。加えて、より硬いカテーテルチューブは挿入箇所において不快さ及び痛みを加え得て、さらなる合併症及び回復の遅れを患者に与え得る。
【発明の概要】
【0005】
静脈カテーテルアセンブリ及びカテーテルチューブの様々な態様には多くの特徴があるが、そのいずれもが単独では望ましい効果をもたらさない。下の特許請求の範囲で示される本実施形態のスコープを限定することなく、そのより顕著な特徴がここで簡単に説明される。
【0006】
本開示の態様は、少なくとも1つのスパイン(spine)を有する少なくとも1つのカテーテルチューブを含む静脈カテーテルアセンブリ、及び静脈カテーテルアセンブリを形成するための関連する方法を含む。静脈カテーテルアセンブリは、ニードルデバイスの、又はオーバーザニードル(over-the-needle:留置針式)カテーテルアセンブリの、部品又はサブアセンブリであってもよい。
【0007】
ここで説明されるカテーテルチューブは、ここで説明されるカテーテルハブと共に使用可能であり、ここで説明されるカテーテルアセンブリの一部を形成してもよい。
【0008】
スパインとは、硬化材(stiffener)と理解され得て、スパインを含むことによりチューブ本体の部分が硬くなり、カテーテルチューブのキンクの防止又は制限ができる。スパインは、断面プロフィールが、楕円形、正方形、丸形、台形、多角形、又は不規則な形などの、規則的な部分、又は不規則な部分を有する表面を有するストリップを有してもよい。スパインは、カテーテルチューブの全長に延び得る長さを有してもよく、又はカテーテルチューブの遠位開口部から若干リセスするなど、カテーテルチューブの全長よりも短くてもよい。
【0009】
カテーテルチューブは、第一の可撓性部分及び第二の可撓性部分を含むカテーテル本体を含んでもよく、第二の可撓性部分は、第一の可撓性部分よりも硬い。
【0010】
本開示の別の態様は、カテーテルチューブが取り付けられたカテーテルハブ、ニードル先端がニードルハブに取り付けられ、カテーテルチューブの遠位開口部からニードル先端が遠位に突き出る状態でカテーテルチューブ通って突き出るニードル、を含むカテーテル装置であり、カテーテルチューブは、外側表面、内側表面、外側表面と内側表面の間の壁厚み(wall thickness)、及び内側表面によって画定される内腔、を備える壁を有するカテーテル本体含んでもよい。
【0011】
カテーテル本体は、第一の硬さ特性を有する第一の材料から形成される壁厚みの第一の部分、及び第二の硬さ特性を有する第二の材料から形成される壁厚みの第二の部分を含んでもよく、第一の部分はカテーテル本体及び内腔の内面の少なくとも一部を形成する内面を有し、第二の部分は内面及び外面を有する。
【0012】
第二の材料の第二の硬さ特性は、第一の材料の第一の硬さ特性よりも大きくてもよい。
【0013】
第二の部分は、カテーテルチューブの壁厚みの中に埋め込まれてもよく、又は埋め込まれなくてもよい。第二の部分が、カテーテルチューブの壁厚みの中に埋め込まれるとき、第二の部分の外面又は外部表面が、カテーテルチューブの壁厚みによって囲まれる、又は第一の部分によって囲まれると理解されたい。第二の部分が、カテーテルチューブの壁厚みの中に埋め込まれないとき、第二の部分の外部表面、内部表面、又は外部表面及び内部表面の両方が、露出してカテーテルチューブの壁厚みによって覆われず、又は第一部分によっても覆われないと理解されたい。
【0014】
第二の部分が、カテーテルチューブの壁厚みの中に埋め込まれないとき、(i)第二の部分の内面は、カテーテル本体及び内腔の内面の別の部分を形成する、(ii)第二の部分の外面はカテーテル本体の外部表面の別の部分を形成する、又は(iii)第二の部分の内面はカテーテル本体及び内腔の内面の別の部分を形成し、第二の部分の外面はカテーテル本体の外部表面の別の部分を形成する。
【0015】
第二の部分は、カテーテルチューブの長さに沿って、幅が概して一定である断面プロフィールを有してもよい。第二の部分の材料が第一の部分の材料より硬いとき、第二の部分は、スパイン又は硬化材でもよい。
【0016】
第二の部分はまた、縦に、又はカテーテルチューブの長さに沿って延びる面を有してもよい。
【0017】
カテーテル本体の長さは、約1.4センチメートルから約6.4センチメートル、又は約8センチメートルから約12センチメートルでもよい。
【0018】
カテーテルチューブの遠位端はテーパを有してもよい。
【0019】
第一の材料はポリウレタン(PUR)を含んでもよく、第二の硬さ特性よりも低い硬さ特性を有してもよい。
【0020】
材料は、フッ化エチレンプロピレン(FEP)を含んでもよく、第二の硬さ特性よりも低い硬さ特性を有してもよい。
【0021】
第一の材料はポリエーテルブロックアミド(PEBA)を含んでもよく、第二の硬さ特性よりも低い硬さ特性を有してもよい。
【0022】
第二の材料は、硫酸バリウム(BaSO)でもよい。
【0023】
代わりに第二の材料は、PEEK又はPROPELL(登録商標)から作られてもよい。
【0024】
さらに別の例において、第二の部分、又はスパインを作るために使われる第二の材料は、次炭酸ビスマス(BiCO)、又はオキシ塩化ビスマス(BiOCl)でもよい。
【0025】
第二の材料は、フッ化エチレンプロピレン(FEP)であって、第一の材料がより低い硬さ特性を有してもよい。第一の材料はPURでもよい。
【0026】
第一の部分及び第二の部分は、カテーテル本体の遠位開口部から、又はその近傍からカテーテル本体の近位端に向かって延びてもよい。
【0027】
カテーテル本体は、カテーテル本体を形成するために使われる第一の硬さ特性よりも大きい硬さ特性をそれぞれが備え、間隔を開けたスパインの、3つのストリップを有してもよい。
【0028】
第二の部分は、第一のスパインでもよく、チューブ本体は第一のスパインから離れた第二のスパインをさらに含んでもよい。
【0029】
第二の部分は、カテーテルチューブの長さに沿って、遠位端から近位端へ幅が増大する断面プロフィールを有してもよい。
【0030】
ニードル先端をカバーするように構成される面を有するニードルガードがカテーテルハブに設けられてもよい。例えば、ニードルガードは、使用準備済み状態において、ニードルの横の位置にある面を有し得て、ニードルガードの面は、ニードルの穿刺事故防止のためにニードル先端を覆う保護位置においてニードル先端の遠位に可動である。
【0031】
ニードルガードは、使用準備済み状態においてカテーテルハブの内側空洞に位置してもよい。
【0032】
ニードルガードは、近位壁、及び近位壁から遠位に延びる2つのアームを含んでもよい。2つのアームは、使用準備済み状態及び保護位置において互いに交差してもよい。
【0033】
第二の部分は2つ又はそれ以上の、間隔を有するスパインを含んでもよい。
【0034】
2つ又はそれ以上の、間隔を有するスパインは、カテーテルチューブの壁厚み内に埋め込まれてもよい。
【0035】
2つ又はそれ以上の、間隔を有するスパインは、カテーテルチューブの壁厚み内に埋め込まれなくてもよい。
【0036】
少なくとも1つのスパインは、カテーテルチューブの壁厚み内に埋め込まれてもよく、少なくとも1つのスパインは、カテーテルチューブの壁厚み内に埋め込まれなくてもよい。
【0037】
ここで説明されるカテーテルチューブは、カテーテル留置(catheterization)のためのオーバーザニードルアセンブリと共に使用可能であり、チューブ本体の残りの部分よりも硬い少なくとも1つのストリップ又はスパインをチューブ本体に利用することによりキンクを低減又は最小化でき、少なくとも1つのスパインを備えたチューブ本体の使用は、X線を使用しないとき、又はカテーテルチューブの目視検出が必要ではない、又は要求されないときに実行可能である。
【0038】
ここで説明されるカテーテルチューブは、カテーテル留置のためのオーバーザニードルアセンブリと共に使用可能であり、標準的なカテーテルチューブ本体よりも長いチューブ本体長さのチューブ本体の残りの部分よりも硬い少なくとも1つのストリップ又はスパインをチューブ本体に利用することによりキンクを低減又は最小化できる。例えば、ここで説明される少なくとも1つのスパインを備えるカテーテルチューブを備えるカテーテルチューブ本体は、約8センチメートルから約12センチメートルの長さを有し得て、これは約1.4センチメートルから約6.4センチメートルの長さを有する標準的なチューブ本体よりも長い。しかし、ここで説明される少なくとも1つのスパインを備えるカテーテルチューブを備えるカテーテルチューブ本体は、約1.4センチメートルから約6.4センチメートルの標準的なチューブ本体長さを有してもよい。
【0039】
本発明の態様は、カテーテルアセンブリを形成する方法をさらに含む。方法は、取り付けられたカテーテルチューブを有するカテーテルハブを形成するステップと、ニードル先端を有し、カテーテルチューブの遠位開口部からニードル先端が遠位に突き出る状態でカテーテルチューブ通って突き出るニードルを備えるニードルハブを形成するステップと、を含んでもよい。
【0040】
カテーテルチューブは、外側表面、及び内側表面を備える壁と、外側表面と内側表面との間の壁厚みと、内側表面によって画定される内腔と、を有するカテーテル本体を含んでもよい。
【0041】
本発明の態様は、耐キンク特性を有するカテーテルチューブを備えるカテーテルアセンブリを使用する方法をさらに含む。使用方法は、カテーテルチューブを静脈内に設置するステップを含んでもよく、カテーテルチューブはカテーテルハブに取り付けられ、カテーテルチューブは外側表面を備える壁、内面、外側表面と内面との間の壁厚み、及び内面によって画定される内腔を有するカテーテル本体を含む。
【0042】
準備済み状態の静脈カテーテルデバイス又は装置は、静脈穿刺のためにカテーテルチューブの遠位端から遠位に延びるニードルのニードル先端を有してもよい。本開示全体において、カテーテルデバイス又は装置の用語は、オーバーザニードルカテーテルデバイス、又はニードルデバイスと同じ意味で使用される。
【0043】
カテーテルデバイス又は装置は、ニードルハブに接続されるニードル先端を有するニードルを含んでもよく、カテーテルハブは、内側空洞を画定するハブ本体を含み、カテーテルチューブはカテーテルハブから遠位に延びる。
【0044】
ニードルハブは、カテーテルハブの近位端と直接結合可能である、又は接触してもよい。別の例において、ニードルハブはカテーテルハブの近位端と中間ハブ(図示せず)によって間接的に結合してもよい。例えば、米国特許第8591468号の図13及び14に示される第三のハブは、カテーテルハブとニードルハブとの間に配置されてもよく、ニードルハブはカテーテルハブから離れている。米国特許第8591468号(’468特許)の内容は、全ての目的においてここに参照の上援用される。
【0045】
準備済み状態において、患者の静脈内にカテーテルチューブを設置するまえに、ニードル先端を備えるニードルは、カテーテルチューブの内腔又は穴を通って突き出てもよい。ニードル先端は、静脈穿刺の際、患者の皮膚の逆側向き又は上向きのベベルを有してもよい。ニードル先端の上向きベベルは、患者の皮膚に面する下部から離れるカテーテルハブ本体の上部と同様の方法で方向づけられてもよい。
【0046】
ニードルは、カテーテルチューブの内腔を通って突き出てもよく、カテーテルチューブの遠位端の遠位開口部とシールを形成し、静脈穿刺が無事終了後、カテーテルチューブとニードルの外側との間の環状空間に血液が流れることを防止してもよい。
【0047】
カテーテルチューブの遠位端は、内側にテーパしてもよく、開口部はニードルの周りにぴったり嵌合し、ニードル及びカテーテルチューブが一緒に患者に挿入されるにあたり、ニードルの静脈への挿入中にカテーテルチューブが皮膚、及び静脈壁などの組織に引っかかることはない。
【0048】
ニードルが患者の静脈壁を穿刺し静脈に入るとき、ニードルを通して血液がニードルハブに流れ込むかもしれない。血液は、ニードルハブの内側空洞、及び/又は血液収集デバイスもしくはニードルハブの近位端に位置するベントプラグに流れ込み得る。これは、一次フラッシュバック(primary flashback)と呼ばれ、静脈に適切に入ったことの指標として使われる。
【0049】
ニードルガードは、カテーテルハブの内側空洞内に位置してもよい。一例において、ニードルガードは、ニードル上でスライド可能でニードルに取り付けられ、ニードル先端を覆う、クリップ式でもよい。上に説明したように、任意で、ニードルガードはニードルハブとカテーテルハブとの間に位置する第三のハウジングに置かれてもよい。
【0050】
別の例において、ニードルガードは、格納可能式でもよく、ばねを使って、又は使わずにニードル及びニードル先端を保護ハウジング内に格納する。さらに別の例において、ニードルガードは、バレル(barrel)又はシース(sheath)をニードル先端へ移動させるタイプのものである。ニードルガードがクリップ式の場合、ニードルガードの開口部を画定する輪郭と係合するための、ひだ(crimp)や隆起(bulge)などのプロフィールの変更がニードル先端の近位に組み入れられてもよい。別の例において、ニードルガードが遠位方向にニードルから外れることを防止するために、プロフィール変更ではなく、テザー(tether)を使用し得る。例示的なカテーテルアセンブリは、米国特許第8333735号に示され、その内容は参照の上ここに援用される。
【0051】
さらに別の例において、バルブ及びバルブオープナがカテーテルハブ内に配置されてもよく、静脈穿刺後にニードル及びニードルハブをカテーテルハブから除去した後に血液がハブ本体の近位開口部から流出することを制限する。バルブは、1つ又はそれ以上のフラップを画定する1つ又はそれ以上のスリットを有してもよい。バルブオープナは、遠位にバルブ内へ移動可能で、雄のルアー先端をカテーテルハブに挿入してバルブオープナを遠位方向に押すことによりバルブを開く。バルブ及びバルブオープナの態様は、既に参照した米国特許第8333735号に記載されている。バルブ及びバルブオープナは、米国特許出願公開第2018/0214673号にも記載され、その内容はここに参照の上援用される。
【0052】
カテーテルハブは、カテーテルハブの上部に位置するタブを含んでもよい。タブは、ニードル及びニードルハブの挿入及び/又は除去の際のレバレッジ(leverage)として使用できる。タブは、カテーテルハブの「上部」に位置してもよいが、この用語は、患者に対して使用されるときに皮膚の逆の方向のことであると理解されたい。位置合わせスロット(registration slot)がカテーテルハブのタブと逆側に位置してもよい。位置合わせスロットは、ニードルハブ上のリブ(rib)又は突起を受け、ニードル及びニードルハブのカテーテルハブに対する位置合わせ及び方向づけを容易にするように構成されてもよい。位置合わせスロットは、カテーテルハブの外部ねじに置かれてもよい。タブが省略される場合、上部は患者の皮膚の逆を向く部分と理解されたい。
【0053】
カテーテルハブは、ハブ本体、及びハブ本体の壁面によって画定される内側空洞を有してもよい。カテーテルハブはさらに、ハブ本体の内側空洞と流体連通するカテーテルチューブを含んでもよい。
【0054】
カテーテルチューブは、ハブ本体の遠位部分に、金属ブッシングなどの従来の手段で取り付けられてもよい。金属ブッシングは、楔として機能し、カテーテルチューブの近位端をハブ本体に固定してもよい。別の実施形態において、カテーテルチューブは、ハブ本体の内側空洞及びハブ本体の側部から延びる流体ポートと連通してもよい。
【0055】
通常は円筒構成にある可撓性バルブは、カテーテルハブ内に位置してもよく、流体ポートが組み入れられる場合、流体ポートを通る流体の流れを制御する。流体ポートは、ハブ本体の軸からある角度で、又はハブ本体の軸と直角に延びてもよい。ハブ本体は、近位部分に近位の入口を有してもよく、雄注入ライン、注射器、又は雄ルアーアダプタなどの雄ルアー先端を受ける雌ルアーテーパを備える。近位部分はまた、雄ルアーロック接続具(fitting)、又は注射器先端のねじとしっかりと係合するための、ルアーロックとも呼ばれる外部ねじを含んでもよい。
【0056】
カテーテルハブはまた、ハブ本体(ハブ本体の近位部分と遠位部分の間)に位置し、ニードルデバイスを患者の静脈に挿入するとき、ニードルデバイスを把持すること及び/又はガイドすることを補助するタブを含んでもよい。ここから、カテーテルハブ又はハブ本体の上部とは、タブが位置する場所のことであると理解されたい。さらに、上部とは、高さ位置が、患者の皮膚と接触するように構成される一対のウィングの上、又ハブ下部の上にあるカテーテルハブ、カテーテルデバイス、又はハブ本体の部分のことを意味すると理解されたい。
【0057】
使用準備済み状態にあるニードルデバイスは、上に面したニードル先端のベベルを有するべきであり、カテーテルハブがベベルの直ぐ上を延びる場合のカテーテルハブの上部と類似した方向で、患者の皮膚から逆を向いて配置される。タブは、患者の皮膚と穿刺場所に対するニードルデバイスの方向決めの基準点として使用できる。
【0058】
ニードルのベベルが、タブが位置するカテーテルハブの上部と同じ上向き方向に沿って向いているため、タブの位置は、ニードルデバイスを患者の静脈に挿入するとき、及び静脈穿刺の後カテーテルハブを患者に取り付けて固定するとき、ベベル位置の指標として使用できる。
【0059】
タブは、エッジが滑らかな長方形でもよい。しかし、ユーザが押すときレバレッジポイントを提供するために十分な剛性があれば、タブはあらゆる形状及び厚みを有してもよい。タブの把持又は保持を補助するために溝又は小さい突起をタブ表面に形成してもよい。タブの位置はまた、チューブ本体の上部などのカテーテルチューブの硬化した領域を指示するために使用されてもよい。
【0060】
一対のウィングがハブ本体の横に延びて、カテーテルハブを患者に対して支持するための追加の面を提供してもよい。いくつかの実施形態において、カテーテルハブはまた、ハブ本体の内側空洞内に、又はハブ本体の近位入口に隣接して位置する隔壁又はバルブ(図示せず)を備え、カテーテルハブの流体の流れを制限もしくは限定してもよい。
【0061】
カテーテルチューブは、外側又は外面及び内側又は内面が内腔又はカテーテル内腔を画定するカテーテル本体又はチューブ本体を含んでもよい。カテーテル内腔は、カテーテルハブの内側空洞と連通するなど、カテーテルハブと流体連通してもよい。チューブ本体は、外側表面と内側表面との間に壁厚みを有してもよい。
【0062】
カテーテル内腔の直径は、ニードルを取り囲み、静脈穿刺の後、流体を望ましい流量で患者へ、及び/又は患者から送るために十分大きくてもよい。遠位端に近いところのカテーテル内腔の内直径は、ニードルの直径よりも若干大きい。カテーテル本体は、遠位端又はカテーテル本体の遠位先端においてテーパ部を有してもよく、近位端は、例えば金属ブッシング又は接着剤などのその他の取り付け手段により間接又は直接カテーテル本体と連結してもよい。
【0063】
カテーテル本体は、カテーテル本体の外面又は外境界と内側表面との間に壁厚みを有してもよく、カテーテル内腔を画定する。壁厚みは、テーパ部近傍でカテーテル本体の長さに沿って一定であり、テーパ部においてカテーテル本体の遠位端に向かって減少してもよい。言い換えれば、カテーテル本体の外面直径は、カテーテル本体の長さに沿って、テーパ部近傍では実質的に等しく、テーパ部ではカテーテル本体の遠位端に向かって減少してもよい。
【0064】
遠位の内腔開口部又は遠位開口部が、カテーテル本体の遠位端で画定される。一実施形態において、遠位の内腔開口部の直径は、カテーテル内腔の名目上の直径よりも小さく、遠位端の遠位開口部はニードルの周りとぴったり嵌合する。遠位端はニードルシャフトの周りにシールを有してもよい。遠位内腔開口部は、ニードルの直径よりも若干小さくてもよく、ニードルとの間にシールが形成される。静脈穿刺の後、ニードルが取り外されるとき、又はベベルの少なくとも一部が内腔内に位置するように近位に動くとき、遠位の内腔開口部とニードルとの間のシールは停止されてもよく、血液がカテーテル内腔に流れ込むことを可能とし、カテーテルチューブが正しく静脈に侵入し患者の血管系へのアクセスが得られたことが示される。これは、二次フラッシュバック(secondary flashback)として知られる。
【0065】
カテーテル本体は、共に接続してチューブ状の構造を形成する、第一の材料で形成される第一の部分、及び第二の材料で形成される第二の部分を含んでもよい。少なくとも第一の部分及び第二の部分により形成されるカテーテル本体のチューブ状の構造は、均一な外側表面及び均一な内側表面を有してもよい。第一の材料及び第二の材料の両方は、可撓性でもよい。しかし、2つを比較すると、第二の材料は、第一の材料よりも硬くてもよい。例えば、第二の材料は、第一の材料の硬さ特性よりも高い硬さ特性値を有してもよい。
【0066】
第一の材料から作られる第一の部分と第二の材料から作られる第二の部分の両方は、それぞれ凹型の内面及び凸型の外面を有する弓型構造を形成してもよい。しかし、第一及び第二の部分の側部はいかなる形状を有してもよく、第一の部分及び第二の部分の全体の形状は、弓型の内面及び外面を有すること以外はいかなる形状を有してもよい。
【0067】
第一の部分の長さ及び第二の部分の長さは、カテーテルチューブの軸に平行に延びてもよい。第一の部分の側部は第二の部分の側部と接続してもよく、協力してカテーテルチューブを形成する。すなわち、第一の材料から作られる第一の部分と、第一の材料とは異なる第二の材料から作られる第二の部分の両方は、並んで長軸方向に延びてもよく、カテーテルチューブの軸と平行に延びる。
【0068】
第一の部分の凹型の内面及び第二の部分の凹型の内面は、一緒にカテーテル内腔を形成してもよく、第一の部分の凸型の外面及び第二の部分の凸型の外面は、一緒にカテーテル本体の外面又は外側境界を形成してもよい。
【0069】
別の例において、本発明のカテーテルチューブを一緒に形成する複数の第一の部分及び複数の第二の部分があってもよい。
【0070】
いくつかの実施形態において、第二の材料で作られた第二の部分の凹型の内面及び第二の部分の凸型の面のみがカテーテル内腔、及びカテーテル本体の外面をそれぞれ形成し、第一の材料で作られた第一の部分は第二の部分の内面及び外面内、例えば壁厚みの中に埋め込まれる。別の実施形態において、第一の材料で作られた第一の部分の凹型の内面及び第一の部分の凸型の面のみがカテーテル内腔、及びカテーテル本体の外面をそれぞれ形成し、第二の材料で作られた第二の部分は第一の部分の内面及び外面内、例えば壁厚みの中に埋め込まれる。
【0071】
第二の材料から作られる第二の部分は、第一の材料から作られる第一の部分の硬さよりも大きい硬さ(k)を有してもよい。したがって、カテーテルチューブは、第一の部分及び第二の部分の両方を有するが、第二の部分は、カテーテルチューブの、他の部分又は第二の材料で形成されないカテーテルチューブの部分よりも、より硬い領域を形成する。カテーテル本体の、より硬い領域が第二の部分により形成される結果、カテーテル本体全体の硬さは、第一の材料から全体が作られたカテーテルチューブと比較して、増大する。したがって、硬さに比例するカテーテル本体の弾性係数、又はヤング率(E)も、硬化された領域を持たない、又はカテーテル本体全体が同じ第一の材料から作られ、比較的硬い材料のストリップを1つも有さないカテーテル本体よりも大きい。
【0072】
第二の部分の形状もカテーテル本体の全体としての硬さに影響する。例えば、カテーテル本体の全体としての硬さは、第二の部分の慣性モーメントの増大により増大し得る。一例において、慣性モーメントの増大はスパインの断面積の増大によって、又はスパインの形状の変化によって達成され得る。第二の部分の硬さが増大すると、カテーテルチューブ全体の弾性係数が増大する。繰り返すと、第二の部分の硬さは、第二の部分の形状及び/又は幅を変えることによって増大し得る。
【0073】
カテーテル本体の硬さの増大によれば、カテーテルチューブを曲げるために、より大きい力が必要となり得て、キンクの可能性が減少する。したがって、カテーテルチューブの第一の部分を作る第一の材料よりも硬い第二の材料で作られる第二の部分を含むカテーテル本体の増大した硬さにより、比較的長いカテーテルチューブの使用が可能となりつつ、カテーテル本体の直径は、第二の部分がない第一の部分のみのカテーテル本体のカテーテルチューブと近い又は同じ大きさに維持できる。
【0074】
いくつかの例において、カテーテルチューブのチューブ本体を形成するために第二の部分を第一の部分に組み入れることにより、カテーテルチューブの長さは、標準的なカテーテルチューブと比較して長くすることができ、約8センチメートルから約12センチメートルの範囲であり得る。任意に、第一の部分152及び第二の部分155を有する本開示のカテーテルチューブは、より短いカテーテルチューブ又は例えば約1.4センチメートルから約6.4センチメートルの長さのカテーテルチューブなどの標準的な長さのカテーテルチューブにも使用可能である。
【0075】
第一の部分の第一の材料よりも硬い第二の材料で作られた第二の部分を利用することにより、第一の部分がより柔らかく、より柔軟で、硬さが低い材料で作られることが可能となり、接触により静脈壁の内面を損傷する可能性が減る。
【0076】
いくつかの例において、カテーテル本体の高さ位置に関して、第一の部分はカテーテル本体の下部を形成してもよく、第二の部分は上部を形成してもよい。この構成は、浅い静脈穿刺などの、あるカテーテル留置に有用かもしれない。
【0077】
第一の堅さ(hardness)を有する第一の材料で作られる第一の部分及び第二の堅さを有する第二の材料で作られる第二の部分を有する本発明のカテーテルチューブは、チューブのキンクを制限又は防止するために、単一の材料で全体が形成される標準的なカテーテルチューブと比べて比較的長いカテーテルチューブを作るために使われてもよく、及び/又はカテーテルチューブのX線や画像撮影を容易にすることなく患者の静脈にアクセスするために使われてもよい。第二の部分を形成するための第二の材料は、第二の材料の1つのストリップでもよく、又は2つ又はそれ以上の、間隔を有するストリップを含んでもよい。各ストリップは、表面及び断面を含んでもよい。断面は規則的な形状でも不規則な形状でもよい。
【0078】
第一の部分の第一の材料よりも硬い第二の材料から作られる第二の部分は、スパイン又はカテーテルスパインと呼ばれてもよい。上述のとおり、スパイン、すなわち比較的硬い特性の第二の材料から作られる第二の部分は、もし発生した場合カテーテル内腔内の流体の流れをブロックし得るカテーテルチューブのキンクを防止又は抵抗する補助をしてもよい。例えば、静脈穿刺の後、キンクしたカテーテルチューブは、患者への点滴液の流れをブロック又は遅延し得る。したがって、キンク耐性のあるカテーテルチューブを使用することが望ましい。第一の材料を有する第一の部分及び第一の材料よりも硬い第二の材料を有する第二の部分を備える本開示のカテーテルチューブは、キンクに対する耐性を有する。
【0079】
一例において、スパイン、又は第二の部分の第二の材料は、一定の断面プロフィールを有し、カテーテルハブのタブと同じ側のカテーテル本体の上部に沿って長軸方向に延びる。つまり、例示的な実施形態は、実質的に一定の断面プロフィールを有し、カテーテルチューブの近位端とカテーテルチューブの遠位端との間を延びる細いストリップとして形成されるスパインを含む。
【0080】
いくつかの実施形態において、スパインは、カテーテル本体の長さに沿って一定の断面プロフィールを有さない細いストリップを形成する。
【0081】
別の実施形態において、スパインはカテーテル本体の長さに沿って変化する断面プロフィールを有する。例えば、カテーテルチューブの遠位部分には比較的細い断面プロフィールが提供され得て、断面プロフィールは長さが近位方向に延びるにつれて幅が増大してもよい。さらに、スパインはテーパする側壁を有する代わりに、側壁は直線、テーパ付き、波状、外にテーパ、などと様々でもよい。
【0082】
第一の部分は、カテーテルスパインの側部と連結し、カテーテル本体の継ぎ目がなく滑らかな外面を一緒に形成する。これにより、カテーテルチューブを静脈内の望む位置に入れる際にカテーテルチューブが組織を引っかける又は切断することの防止が可能となる。第一の部分及びカテーテルスパインはまた、一緒に継ぎ目がないカテーテル内腔又は内面を形成してもよい。例えば、スパインは、カテーテルチューブのチューブ本体の継ぎ目がない内面及び外面が形成されるために、第一の部分と同時押し出しされてもよい。
【0083】
一実施形態において、スパインはカテーテル本体の上側又は上部と同様に上を向く。言い換えれば、高さにおいて、スパインがカテーテル本体又はカテーテルチューブの上部を形成し、第一の部分が残りの部分、又は少なくともカテーテル本体の下部を形成してもよい。
【0084】
カテーテル本体のスパインの断面プロフィールは、カテーテル本体の弧の約25から約180度を占めてもよく、第一の部分がカテーテル本体の残りの部分を占めてもよい。カテーテル本体内のスパインの占有率は、カテーテル本体の外直径及びカテーテル本体全体としての望ましい硬さに依存して変わってもよい。言い換えれば、スパインの断面プロフィールの幅及び形状は硬さを決定し得て、その結果によりカテーテル本体の望ましい長さが決定され得る。
【0085】
カテーテルチューブの硬さを増大させるために、例えば、カテーテルチューブを形成するために使用される残りの材料よりも硬いなど、カテーテルチューブに使用される通常の材料よりも硬いようにスパインの材料が選択されてもよい。スパインのために選択される比較的硬い材料は、カテーテルチューブ全体を形成するために使用されてもよいが、カテーテルチューブの一部のみに使用され、残りの部分は通常の又は従来のカテーテルチューブ材料を使用されて形成されるほうが、より望ましい。
【0086】
一例において、カテーテルチューブの本体は、少なくとも2つの異なる材料が使用されて、チューブ本体全長の50%以上などのチューブ本体の長さが形成される。一例において、スパインの材料は、標準的な単材料カテーテル本体に使用されるフッ化エチレンプロピレン(FEP)コポリマ材料よりも硬くあるべきである。第一の部分に使用可能な別の例示的な材料は、ポリウレタン(PUR)である。いくつかの例において、スパインを形成するための第二の部分がFEPから作られ、チューブ本体の残りの部分を形成するための第一の部分がPURで作られてもよい。
【0087】
特定の例において、硫酸バリウム(BaSO)が使用されてチューブ本体のスパインを形成してもよい。したがって、内腔を備えるチューブ本体を有するカテーテルチューブは、FEP又はPUR材料をBaSO材料と共に使用して形成されてもよく、BaSO材料が、チューブ本体に縦に延びるスパイン又は第二の部分を形成するために使用され、FEP又はPUR材料が、第一の部分と呼ばれるカテーテルチューブのチューブ本体の残りの部分を形成してもよい。
【0088】
第一の部分は、ポリウレタン(PUR)又はFEPを含み得る、より柔らかい通常のカテーテル材料から作られてもよい。一例において、BaSO材料には、効果的な量のポリエーテルブロックアミド(PEBA)又はその他の似たポリマ材料が混ぜられ、FEP又はPUR材料との結合を促進するなど、第一の材料との結合を促進する。スパインを形成するために使用される第二の部分の材料が第一の部分を形成するために使用される材料よりも高い硬さを有しさえすれば、あらゆる適切な生体適合性材料を第二の部分に使用してもよい。
【0089】
カテーテルチューブは、同時押し出し製造法で製造されてもよい。スパインを形成するために使用される第二の材料は、チューブ本体の内面及び外面の中に埋め込まれてもよく、又はチューブ本体の外側表面、内側表面、又は内側及び外側の表面の少なくとも一部を形成するために同時押し出しされてもよい。
【0090】
さらに別の例において、チューブ本体は、本発明のカテーテルチューブの態様におけるカテーテルチューブのチューブ本体を形成するために、第一の部分を形成する材料とともに形成される複数のスパイン、又は複数の間隔を開けた第二の部分を有してもよい。
【0091】
複数のスパインは、チューブ本体の内面及び外面の中に埋め込まれてもよく、又は埋め込まれなくてもよく、又はチューブ本体の内面及び外面の中に埋め込まれるスパインと埋め込まれないスパインとがあってもよい。
【0092】
1つ又はそれ以上の、スパインのストリップが組み入れられて増大したカテーテルチューブのチューブ本体の硬さは、より長いカテーテルチューブの使用を可能とする。カテーテル本体は、少なくともスパインによって占められるセクション又は場所に沿って、より硬く作られてもよく、曲がりやキンクの可能性が減少する。第一及び第二の部分を有するカテーテル本体の下部は、第一の部分を形成するためのより柔らかい材料及び第二の部分のスパインを形成するために比較的硬い材料で作られ得るから、カテーテル本体の下部と静脈の内壁組織との間の接触による怪我の可能性が低減され得る。
【0093】
スパインがチューブ本体の上部に沿って形成され、チューブ本体の下部に沿って第一の部分がより柔軟な材料又は硬さが低い材料で形成されるカテーテルハブと共に使用されるカテーテルチューブについては、静脈穿刺の後、カテーテルチューブはニードルをカテーテルチューブから取り外して静脈内に進めることができる。カテーテルチューブを進める際、チューブ本体の遠位先端は、静脈の内壁に遭遇するかもしれない。内壁からの反力がカテーテルチューブの前進に反抗し、静脈壁によりカテーテルチューブにかけられる。カテーテルチューブにかけられる反力は、カテーテルチューブを曲げ得て、曲げの角度を増大させ得る。
【0094】
反力は、カテーテル本体の下部を上向きに曲げ得て、その結果、下部が引張状態となり、カテーテル本体の第二の部分又はスパインなどの上部が少なくともやや圧縮状態となり得る。しかし、本発明の態様においてチューブ本体に1つ又はそれ以上のスパインが組み入れられるとき、カテーテルチューブはより硬いから、上向きの曲がりはスパインの硬さにより制限され、完全に上を向いてしまい、静脈壁の反対側に接触したり、キンクしたりなど、上向きに曲がりすぎずにカテーテルチューブの遠位先端がより遠くまで進むことが可能となる。
【0095】
典型的なカテーテルチューブについては、静脈の内壁と遭遇するときの曲がりが大きすぎる場合、カテーテルチューブは急な曲がり又はキンクを形成し得て、その結果、カテーテル内腔内の流体の流れを低減又は停止させる。本開示のスパインを組み入れることなどによってカテーテルチューブの硬さ又はヤング率が増大すると、カテーテルチューブを曲げるためにより大きい力が必要とされ、カテーテルチューブに形成されるキンクの可能性が下がる。カテーテルチューブの硬さは、スパインの断面プロフィールの幅及び形状を変化させること、又はチューブ本体に使用されるスパインの数を減らすこと、又はその両方により調節可能である。
【0096】
さらに別の例において、第二の部分と第一の部分との相対的硬さは、材料の選択に基づいて選択可能である。材料は、第一の部分の材料と比較して第二の部分の材料が、第二の材料の硬さ対第一の材料の硬さの比の値として約1.05から1.8を有するように選択されてもよい。さらに別の例において、比の値としての硬さ値が、第二の材料の硬さ対第一の材料の硬さの比の値として約1.8以上となるように選択されてもよい。例えば、第二の材料の硬さがヤング率(E)3.7MPaの値を有してもよく、第一の材料の硬さがヤング率(E)2.46MPaの値を有してもよく、第二の材料の硬さ対第一の材料の硬さの比率は1.5である。
【0097】
一実施形態において、スパインの断面プロフィールの幅は、カテーテル本体の遠位先端の近傍からカテーテル本体の近位端に向かって、縦に概して一定で延びてもよい。スパインは、カテーテル本体の近位端ぎりぎりまで延びてもよく、延びなくてよい。別の実施形態において、スパインは、遠位端のテーパ部の極近傍のポイントなどの、カテーテル本体又はチューブの遠位端のポイントから、又は遠位開口部から始まりカテーテル本体又はチューブの近位端まで延びるとき、増大する又は変化する幅又は断面プロフィールを有してもよい。断面幅が増大する実施形態において、チューブ本体の硬さはチューブ本体の遠位端からチューブ本体の近位端に向かって増大する。さらに別の例において、スパインの最も遠位のポイントは、テーパ部近傍から、及びテーパ部の最高数ミリメートルまで近傍で始まってもよい。
【0098】
スパインの位置に加えて、スパインの形状もカテーテルチューブの硬さに影響し得る。一例において、スパインは弓型の構造を有する。スパインの弓型構造及びカテーテルチューブの全体としての円筒形により、カテーテルチューブが縦方向に直線構造で延びることが可能となる。スパイン及びカテーテルチューブの硬さは、スパインの内面よりもスパインの外面に沿ってより大きい幅を有する弓型スパインの断面プロフィールを増大させることにより増大し得る。スパインの断面プロフィールの幅が増大すると、弓型スパインの高さも増大し、スパインの慣性モーメントが劇的に増大する。
【0099】
比較のため、カテーテルチューブの4分の1のセクションを平らな面に置き、カテーテルチューブの2分の1のセクションを平らな面に置くことと比較すると、2分の1のセクションのほうが高い。したがって、スパインの断面プロフィールの幅を増大することにより、高さも増大する。慣性モーメントの増大も、スパインの硬さを増大させる。簡単に言えば、カテーテルチューブの硬さは、スパインの形状によって調節可能である。例えば、カテーテルチューブは、スパインが第一の幅の断面プロフィールを有するときの第一の硬さを有し得て、またカテーテルチューブは、断面プロフィールの形状を第一の幅より大きい第二の幅に変えることにより第二の硬さを有し得る。さらに別の例において、弓型スパインの2つの側壁の角度を変えることにより、硬さが増大し得る。例えば、図4のスパインの側壁を見ると、側壁は、外側表面から内側表面に延びるとき外にテーパしてもよく、内側弓型表面は、外側弓型表面よりも広い。
【0100】
カテーテルチューブは、第一の部分の壁厚み内に埋め込まれる1つ又はそれ以上のスパインを含んでもよい。1つの、2つの、3つの、又は3つより多いスパインが考えられる。2つのスパイン又はそれ以上などの1つ以上の埋め込みスパインが組み入れられるとき、スパインは互いに等間隔で配置されてもよく、又は異なる間隔で配置されてもよい。スパインはカテーテル内腔及びカテーテル本体の外面から離れて置かれてもよい。埋め込まれるスパインはチューブ本体の内面と外面との間に囲まれてもよく、又は包まれてもよい。
【0101】
カテーテルチューブは、1つ又はそれ以上の埋め込まれるスパイン、及び1つ又はそれ以上の埋め込まれないスパインなどの両方のタイプのスパインを有してもよい。
【0102】
スパインの形状は、楕円、円形、長方形、又はいかなる規則的又は不規則な形状でもよい。スパインは縦に延び、カテーテル本体の近位端と遠位端の間に延びてもよく、近位及び遠位端の、最も近位端及び最も遠位端も含む。埋め込まれるスパインの材料は、埋め込まれないスパインを形成するために使用される材料と同じ材料、又はそれより柔らかい材料でもよい。埋め込まれないスパインは、チューブ本体の外側表面に沿って、チューブ本体の内側表面に沿って、又はそれらの両方で露出する面を有する。
【0103】
第一の部分の材料は、チューブ本体内に埋め込まれ、互いに間隔が開けられチューブ本体の内側表面及び外側表面の中に全体が入る表面を有するスパインと、チューブ本体内に埋め込まれず、少なくとも1つの表面がチューブ本体の外側表面に沿って、チューブ本体の内側表面に沿って、又はそれらの両方で露出するスパイン、との両方の材料よりも柔らかくてもよい。
【0104】
一例において、埋め込まれないスパインはBaSOから作られ、第一の部分はポリウレタンから作られる。代わりに、第一の部分はシリコーンから作られる。さらに別の例において、第一の部分はポリエチレンから作られる。さらに別の例において、第一の部分はテフロン/PTFEからなどの化合物から作られる。
【0105】
チューブ本体に埋め込まれるスパインはBaSOから作られてもよい。BaSOが使用される場合、スパインの材料は、効果的な量のPEBAと混ぜられ、第一の部分の材料との結合が容易となる。BaSOは、カテーテルチューブの硬さを増大させるために十分な特性を有し、X線での可視性も提供する。本開示の態様は、単一の材料から、又は均一に混合された化合物から作られたチューブ本体と比較して、キンクを制限又は防止し、延伸したチューブ本体の製造を可能とする開示されるカテーテルチューブの使用法に関する。
【0106】
いくつかの例において、スパインを形成又は作成するために使用される比較的硬い材料は、PEEK又はPROPELL(登録商標)である。さらに別の例において、第二の部分又はスパインを作るために使用される第二の材料は、次炭酸ビスマス(BiCO)、又はオキシ塩化ビスマス(BiOCl)である。
【0107】
カテーテルチューブのチューブ本体を形成するために、第二の部分の複数のストリップが第一の部分に組み入れられるとき、第二の部分の複数のストリップは、同じ材料から、又は異なる材料から作られてもよい。例えば、2つの埋め込まれるスパイン及び1つの埋め込まれないスパインを備えるカテーテルチューブの実施形態において、BaSOが使用されて埋め込まれないスパインが作られ、BiCOが使用されて埋め込まれるスパインが作られてもよい。
【0108】
スパインは、カテーテルチューブ全体の硬さを増大させ得る。スパインは埋め込まれるタイプ、又は埋め込まれないタイプ、又はそれらの両方であり得る。いくつかの例において、チューブ本体は、2つ又はそれ以上の埋め込まれるスパイン及び2つ又はそれ以上の埋め込まれないスパインなどの、複数のスパインのタイプを有してもよい。組み入れられるとき、1つ又はそれ以上のスパインは、カテーテルチューブのより硬い領域がチューブ本体の上部に沿うように配置されるべきである。スパインはまた、遠位先端及びカテーテル本体のテーパ部から離れて位置してもよく、確かにカテーテル本体の遠位先端は、より柔らかい第一の部分であり続ける。カテーテルチューブは同時押し出し工程で作られてもよい。
【0109】
一例において、3つの埋め込まれるスパインがBaSO材料から作られてもよく、X線での可視性及び光学的透明性のために使用されてもよい。埋め込まれないスパインは、チューブ本体の硬さを増大させるために埋め込まれるスパインよりも、チューブ本体の上部に沿って、より大きい胴回り又は幅を有するなど、比較的大きくてもよい。この構成は、ここで別途説明される比較的硬い上部を備える類似したカテーテル本体の有利点全てを有する。
【0110】
カテーテルチューブは、第一の部分によって互いに間隔が開けられる2つの埋め込まれないスパインを含んでもよい。埋め込まれないスパイン、又はチューブ本体を形成するために使用される材料と異なる硬さ特性を有する材料のストリップは、露出する内側表面、外側表面、又は露出する内側及び外側の両面を有すると理解されたい。
【0111】
2つの埋め込まれないスパインは、チューブ本体を通過する正中線(median line)に沿って位置するなど、カテーテル本体の上部から離れて位置してもよい。そのような実施形態において、より柔らかい第一の材料はカテーテル本体の上部及びカテーテル本体の下部の両方において組み入れられる。したがって、カテーテルチューブを進める際に静脈壁の内面と接触し得るカテーテル本体の下部は、第一の材料で作られるより柔らかい第一の部分であり、静脈壁の怪我又は損傷の可能性が低減される。
【0112】
カテーテル本体の上部から離れて位置する2つの埋め込まれないスパインの実施形態において、2つのスパインの内側凹面、及び第一の部分の内側凹面、及び2つのスパインの外側凸面、及び第一の部分の外側凸面は、一緒にカテーテルチューブの外面を形成してもよい。一実施形態において、第二の部分のスパインは、BaSO材料から作られてもよく、第一の部分はポリウレタン材料から作られてもよい。任意で、効果的な量のPEBAがBaSO材料に組み入れられて結合を容易にしてもよい。
【0113】
少なくとも1つのスパインが、チューブ本体の残りの部分より硬さが増大した材料から作られ、カテーテルチューブの下部から離れて位置するカテーテルチューブの優位点は、静脈穿刺の後、カテーテルチューブを進める際に静脈壁の内面と接触し得る柔らかい下部を維持したまま得られる、曲げ及びキンクに対するより強い耐性を含む。スパインの堅さ及び硬さは、カテーテルデバイス又は装置の必要性及び応用に従って構成されてもよく、長いカテーテルチューブ用のみではなく標準的な長さのオーバーザニードルカテーテルに使用されてもよい。
【0114】
より大きい利点は、本願発明の教示を比較的長いカテーテルチューブと関連して使うときに得ることができる。さらに、カテーテルチューブの増大した硬さは、ブロックされない内腔などの開存性(patency)を確かにし、感染又は静脈炎(phlebitis)の防止、及び痛みの低減ができる。増大した硬さの別の利点は、本発明のカテーテルチューブがガイドワイヤ無しで静脈に深く入れる能力であるが、ガイドワイヤを使用することもできる。本発明のカテーテルチューブは、キンク耐性を有するチューブであり、2つの異なる硬さ特性を有する2つの異なる材料から作られる第一及び第二の部分を有し、2つのうちより柔らかい材料が静脈壁の怪我を低減又は防止するように特に配置される。例えば、より柔らかい材料は、高さにおいてカテーテル本体の下部又は底部に沿って配置されてもよい。
【0115】
本発明の態様に係るカテーテルチューブは、第一の材料で作られる第一のセクション又は部分、及び第二の材料で作られる第二のセクション又は部分を含んでもよい。チューブ本体は、外側表面及び内側表面を有してもよく、内腔を画定する。本実施形態において、第二の部分は、第一の部分の内側表面と外側表面との間の壁厚み内に埋め込まれるなど、第一の部分に埋め込まれるストリップでもよい。スパインとも呼ばれ得る第二の部分は、第一の部分に完全に包まれる表面を有してもよい。第一の部分は、PUR又はPEBAから作られてもよく、第二の部分は、FEPから作られてもよい。別の例において、第一の部分は、FEP、PUR、又はPEBAから作られ、第二の部分は、BaSOから作られてもよい。第二の部分は、高さにおいてチューブ本体の上部に沿って配置されてもよい。
【0116】
本発明のさらなる態様に係るカテーテルチューブは、第一の材料で作られる第一のセクション又は部分、及び第二の材料で作られる第二のセクション又は部分を含んでもよい。チューブ本体は、外側表面及び内側表面を有してもよく、内腔を画定する。本実施形態において、第二の部分は、第一の部分の内側表面と外側表面との間の壁厚み内に埋め込まれるなど、第一の部分に埋め込まれる3つの間隔を開けたストリップを含んでもよい。スパインとも呼ばれ得る第二の部分の3つのストリップは、第一の部分に完全に包まれる表面をそれぞれ有してもよい。第一の部分は、PUR又はPEBAから作られてもよく、第二の部分は、FEPから作られてもよい。さらに別の例において、第一の部分は、FEP、PUR、又はPEBAから作られ、3つのスパインなどの第二の部分は、BaSOから作られてもよい。第二の部分、すなわち3つのスパインは、チューブ本体の上部に沿ってチューブ本体の中心を通る正中線の上側に配置されてもよい。
【0117】
カテーテルチューブが少なくとも2つの異なる材料から作られる少なくとも2つの異なる部分を有するオーバーザニードルカテーテルデバイスの作成方法、及び使用方法が本発明のスコープに含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
本デバイス、システム、方法のこれらの特徴及び優位点が、詳細な説明、特許請求の範囲、及び添え付けの図面を参照して理解されると共に明確となる。
【0119】
図1図1は、本開示の実施形態に係るオーバーザニードルカテーテルデバイス又は装置の断面図である。
図2図2は、本開示の実施形態に係るカテーテルアセンブリ又はハブの模式的な正面図である。
図3図3は、カテーテルハブの図1の線3-3における模式的断面図であり、カテーテルハブは本開示の実施形態に係るカテーテルチューブを含む。
図4図4は、カテーテルチューブの図3の線4-4における模式的断面図であり、カテーテルチューブは第一の本体及び第二の本体を含む。
図5図5は、図1のカテーテルチューブの一部の模式的斜視図である。
図6図6は、図5のカテーテルチューブの一部の模式的プロフィール図である。
図7図7は、静脈穿刺後の、静脈内のカテーテルチューブの模式図である。
図8図8は、静脈穿刺後の、静脈内のカテーテルチューブの模式図である。
図9図9は、本開示の別の実施形態に係るカテーテルチューブの模式的な断面図である。
図10図10は、本開示のさらに別の実施形態に係るカテーテルチューブの模式的な断面図である。
図11図11は、本開示の別の実施形態に係るカテーテルチューブの模式的な端面断面図である。
図12図12は、本開示の別の実施形態に係るさらに別のカテーテルチューブの模式的な端面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0120】
添え付け図面と関連して以下に開示される詳細の説明は、本願デバイス、システム、及び方法の態様に係り提供される硬くされた領域を備えるカテーテルチューブを有する静脈カテーテルデバイス、装置、及びアセンブリの実施形態を説明することを意図しており、本願デバイス、システム、及び方法が構築又は利用されうる唯一の形態を示すことは意図していない。説明は、図示された実施形態の本願デバイス、システム、及び方法の実施形態の特徴、及びそれらを構築及び利用するステップを開示する。しかし、同じ又は同等の機能及び構造は、異なる実施形態によっても達成可能であって、それらも本開示の精神及び範囲に含まれることが意図されていることは明らかである。ここで他に表示されるとおり、似た符号は、似た又は同様の部品又は特徴を指すことを意図している。
【0121】
図1は、静脈カテーテルデバイス又は装置100の断面図であり、ニードル先端102が静脈穿刺のために遠位端から突き出た準備済み状態が示される。本開示全体において、静脈カテーテルデバイス又は装置100の用語はまた、オーバーザニードルカテーテルデバイス、カテーテルアセンブリ、又はニードルデバイスとしても同じ意味で使われる。カテーテルデバイス、アセンブリ、又は装置100は、ニードルハブ103に接続した、ニードル先端102を有するニードル101、内側空洞112を画定するハブ本体111を含むカテーテルハブ110、及びカテーテルハブ110から遠位に延びるカテーテルチューブ150を含む。カテーテルチューブは、従来の口輪(ferrule)又は金属ブッシングを使用してカテーテルハブ103に取り付けられてもよい。ニードルハブ103は、カテーテルハブ110の近位端に直接連結して、又は接触して示される。別の例において、ニードルハブ103は、中間ハブ(図示せず)によって、間接的にカテーテルハブ110の近位端に連結してもよい。例えば、米国特許第8591468号(特許’468)の図13及び14に示される第三のハブがカテーテルハブとニードルハブの間に配置され、ニードルハブがカテーテルハブから間隔を有してもよい。’468特許の内容は、全ての目的においてここに参照の上援用される。
【0122】
カテーテルチューブ150を患者の静脈に配置する前の準備済み状態において、ニードル先端102を備えるニードル101は、カテーテルチューブ150の内腔又は穴156を通って突き出る。ニードル先端102は、患者の皮膚から離れる方向又は上向きのベベル付きで示される。ニードル先端102の上向きベベルは、カテーテルハブ本体の上部と同じように、患者の皮膚に面する下部から離れる方向を向く。
【0123】
ニードル101は、カテーテルチューブ150の内腔156を通って突き出て、カテーテルチューブ150の遠位端の遠位開口部149とシールを形成し、静脈穿刺が無事終了後、カテーテルチューブ150とニードル101の外側との間の環状空間に血液が流れることを防止する。カテーテルチューブ150の遠位端の遠位開口部149は、内側にテーパしてもよく、開口部はニードルの周りにぴったり嵌合し、ニードル101及びカテーテルチューブ150が一緒に患者に挿入されるにあたり、ニードル101の静脈への挿入中にカテーテルチューブ150が皮膚、及び静脈壁などの組織に引っかかることはない。ニードル101が患者の静脈壁を穿刺し静脈に入るとき、ニードル101を通して血液がニードルハブ103に流れ込むかもしれない。血液は、ニードルハブ103の内側空洞106、及び/又は血液収集デバイスもしくはニードルハブ103の近位端に位置するベントプラグ107に流れ込み得る。これは、一次フラッシュバックと呼ばれ、静脈に適切に入ったことの指標として使われる。
【0124】
ニードルガード104は、カテーテルハブ110の内側空洞112内に位置してもよい。一例において、ニードルガード104は、ニードル101上でスライド可能でニードル101に取り付けられ、ニードル先端102を覆う、クリップ式でもよい。例えば、ニードルガード104は、図1の使用準備済み状態において、ニードルの横の位置にある面を有し得て、面は、ニードルの穿刺事故防止のためにニードル先端を覆う保護位置においてニードル先端の遠位に可動である。任意で、ニードルガード104は、’468特許を参照して上述したとおり、ニードルハブとカテーテルハブとの間に位置する第三のハウジングに置かれるなど、カテーテルハブの実質的に外側に位置してもよい。別の例において、ニードルガードは、格納可能式でもよく、ばねを使って、又は使わずにニードル101及びニードル先端102を保護ハウジング内に格納する。ニードルガードがクリップ式の場合、ニードルガード104の開口部を画定する輪郭と係合するための、ひだ、や隆起などのプロフィール105の変化がニードル先端102の近位に組み入れられてもよい。別の例において、ニードルガードが遠位方向にニードルから外れることを防止するために、プロフィール変更ではなく、テザーを使用し得る。例示的なカテーテルアセンブリは、米国特許第8333735号に示され、その内容は参照の上ここに援用される。
【0125】
さらに別の例において、バルブ及びバルブオープナがカテーテルハブ110内に配置されてもよく、静脈穿刺後にニードル及びニードルハブをカテーテルハブから除去した後に血液がハブ本体の近位開口部から流出することを制限する。バルブは、1つ又はそれ以上のフラップを画定する1つ又はそれ以上のスリットを有してもよい。バルブオープナは、遠位にバルブ内へ移動可能で、雄のルアー先端をカテーテルハブに挿入してバルブオープナを遠位方向に押すことによりバルブを開く。バルブ及びバルブオープナの態様は、既に参照した米国特許第8333735号に記載されている。
【0126】
図2は、図1のカテーテルハブ110をニードル101及びニードルハブ103を省いて示す正面図であり、遠位端又はカテーテルチューブの端部から、カテーテルハブの近位端の方を見ている。カテーテルハブ110は、カテーテルハブ110の上部に位置するタブ114を含む。タブ114は、ニードル及びニードルハブの挿入及び/又は除去の際のレバレッジとして使用できる。タブ114は、高さにおいてカテーテルハブの「上部」に位置して示され、図3を参照して下により詳細に説明される。位置合わせスロット90がカテーテルハブのタブ114と逆側に位置する。位置合わせスロット90は、ニードルハブ上のリブ又は突起を受け、ニードル及びニードルハブのカテーテルハブに対する位置合わせ及び方向づけを容易にするように構成される。位置合わせスロット90は、カテーテルハブの外部ねじに置かれてもよい。
【0127】
図3は、カテーテルハブ110の図2の線3-3における模式的断面図である。カテーテルハブ110は、壁及びハブ本体の内壁表面によって画定される内側空洞112を備えるハブ本体111を有する。カテーテルハブ110は、ハブ本体111の内側空洞112と流体連通するカテーテルチューブ150をさらに含む。図示のとおり、カテーテルチューブ150は、ハブ本体111の遠位部分116に、金属ブッシング120などの従来の手段で取り付けられる。金属ブッシング120は、楔として機能し、カテーテルチューブ150の近位端をハブ本体111に固定する。別の実施形態において、カテーテルチューブ150は、ハブ本体111の内側空洞112、及びハブ本体111の側部から延びる流体ポートと連通してもよい。通常は円筒構成にある可撓性バルブは、カテーテルハブ内に位置してもよく、流体ポートが組み入れられる場合、流体ポートを通る流体の流れを制御する。流体ポートは、ハブ本体111の軸からある角度で、又はハブ本体111の軸と直角に延びてもよい。ハブ本体111は、近位の入口又は近位開口部113を近位部分115に有する。開口部113の近位部分は、雄注入ライン、注射器、又は雄ルアーアダプタなどの雄ルアー先端を受ける雌ルアーテーパを有してよい、又は組み入れてもよい。近位部分115はまた、雄ルアーロック接続具、又は注射器先端のねじとしっかりと係合するための、ルアーロックとも呼ばれる外部ねじ92を含んでもよい。
【0128】
カテーテルハブ110はまた、ハブ本体111(ハブ本体111の近位部分115と遠位部分116の間)に位置し、ニードルデバイスを患者の静脈に挿入するとき、ニードルデバイスを把持すること及び/又はガイドすることを補助するタブ114を含んでもよい。ここから、カテーテルハブ又はハブ本体111の上部とは、タブ114が位置する場所のことであると理解されたい。タブ114が省略される場合、上部とは、上方向、又は患者の皮膚から離れる方向を向く部分と理解されたい。さらに、上部又は上向きとは、高さ位置が、患者の皮膚と接触するように構成される一対のウィング125(図1)の上、又ハブ下部の上にあるカテーテルハブ、カテーテルデバイス、又はハブ本体の部分のことを意味すると理解されたい。
【0129】
図1に示されるように、使用準備済み状態にあるニードルデバイスにおいて、ニードル先端102のベベルは、カテーテルハブがベベルの直ぐ上を延びる場合のカテーテルハブ110の上部の方向及び患者の皮膚から離れる方向などの、上向きである。タブ114は、患者の皮膚と穿刺場所に対するニードルデバイスの方向決めの基準点として使用できる。ニードルのベベルが、タブ114が位置するカテーテルハブの上部と同じ上向き方向に沿って向いているため、タブの位置は、ニードルデバイスを患者の静脈に挿入するとき、及び静脈穿刺の後カテーテルハブ110を患者に取り付けて固定するとき、ベベル位置の指標として使用できる。図示されるように、タブ114はエッジが滑らかな長方形である。エッジの1つ又はそれ以上に組み入れられる波状面があってもよい。しかし、タブ114は、あらゆる形状及び厚みを有してもよい。タブ114の把持又は保持を補助するために溝又は小さい突起をタブ表面に形成してもよい。図4-6を参照して下にさらに説明されるように、タブ114の位置はまた、カテーテルチューブ150の硬化した領域を指示するために使用されてもよい。
【0130】
一対のウィング125(図1)がハブ本体111の横に延びて、カテーテルハブ110を患者に対して支持するための追加の面を提供してもよい。いくつかの実施形態において、カテーテルハブ110はまた、ハブ本体111の内側空洞112内に、又はハブ本体111の近位入口113に隣接して位置する隔壁又はバルブ(図示せず)を備え、カテーテルハブ110の流体の流れを制限もしくは限定してもよい。
【0131】
図1及び2の参照を続け、図4-6も参照すると、カテーテルチューブ150は、カテーテルハブと流体連通する内腔又はカテーテル内腔156を画定する外側又は外面158及び内側又は内面137を備えるカテーテル本体又はチューブ本体151を含む。本実施形態のカテーテルチューブ150、及び本出願のその他のチューブは、ここで説明される他のカテーテルハブと使用可能である。
【0132】
チューブ本体151は、外側表面158と内側表面との間に壁厚みを有する。カテーテル内腔156の直径は、ニードル101を取り囲み、静脈穿刺の後、流体を望ましい流量で患者へ、及び/又は患者から送るために十分大きい。図示されるように、遠位端又は遠位開口部149に近いところのカテーテル内腔156の内直径は、ニードル101の直径よりも若干大きい。カテーテル本体151は、遠位端又はカテーテル本体の遠位先端においてテーパ部157を有し、近位端は、例えば金属ブッシング120又は接着剤などのその他の取り付け手段により間接又は直接ハブ本体111と連結してもよい。
【0133】
カテーテル本体又はチューブ本体151は、カテーテル本体151の外面又は外境界158と内側表面との間に壁厚みを有してもよく、カテーテル内腔156を画定する。壁厚みは、テーパ部157近傍でカテーテル本体151の長さに沿って一定であり、テーパ部157においてカテーテル本体151の遠位端の遠位開口部149に向かって減少してもよい。言い換えれば、カテーテル本体の外面直径は、カテーテル本体の長さに沿って、テーパ部近傍では実質的に等しく、テーパ部ではカテーテル本体の遠位端の遠位開口部149に向かって減少してもよい。
【0134】
遠位の内腔開口部又は遠位開口部154が、カテーテル本体151の遠位端で画定される。一実施形態において、遠位の内腔開口部154の直径は、カテーテル内腔156の名目上の直径よりも小さく、遠位端149の遠位開口部154はニードルの周りとぴったり嵌合する。遠位端はニードルシャフトの周りにシールを有してもよい。図示されるように、遠位内腔開口部154は、ニードルの直径よりも若干小さく、ニードルとの間にシールが形成される。静脈穿刺の後、ニードルが取り外されるとき、又はベベルの少なくとも一部がチューブ本体151の内腔156の中にあるように近位に動くとき、遠位の内腔開口部154とニードルとの間のシールは、停止されてもよく、血液がカテーテル内腔156に流れ込むことを可能とし、カテーテルチューブ150が正しく静脈に侵入し患者の血管系へのアクセスが得られたことが示される。これは、二次フラッシュバックとして知られる。
【0135】
カテーテル本体151は、共に接続してチューブ状の構造を形成する、第一の材料で形成される第一の部分152、及び第二の材料155で形成される第二の部分を含む。少なくとも第一の部分152及び第二の部分155により形成されるカテーテル本体のチューブ状の構造は、均一な外側表面及び均一な内側表面を有してもよい。第一の材料及び第二の材料の両方は、可撓性でもよい。しかし、2つを比較すると、第二の材料は、第一の材料よりも硬くてもよい。例えば、第二の材料は、第一の材料の硬さ特性よりも高い硬さ特性値を有してもよい。したがって、本発明の態様に係るカテーテル本体151は、カテーテル本体151の残りの部分よりも、上部に沿って、又はカテーテル本体の上向き方向により硬くてもよく、又は硬さ特性の値がより大きくてもよい。
【0136】
図示されるように、第一の材料から作られる第一の部分152と第二の材料から作られる第二の部分155の両方は、それぞれ凹型の内面及び凸型の外面を有する弓型構造を形成する。しかし、第一及び第二の部分の側部はいかなる形状を有してもよく、第一の部分及び第二の部分の全体の形状は、弓型の内面及び外面を有すること以外はいかなる形状を有してもよい。第一の部分152の長さ及び第二の部分155の長さは、カテーテルチューブ150の軸に平行に延びる。第一の部分152の側部は第二の部分155の側部と接続し、協力してカテーテルチューブ150を形成する。すなわち、第一の材料から作られる第一の部分152と、第一の材料とは異なる第二の材料から作られる第二の部分155の両方は、並んで長軸方向に延び、カテーテルチューブ150の軸と平行に延びる。第一の部分152の凹型の内面及び第二の部分155の凹型の内面は、一緒に接続してカテーテル内腔156を形成し、第一の部分152の凸型の外面及び第二の部分155の凸型の外面は、一緒にカテーテル本体151の外面又は外側境界158を形成する。別の例において、本発明のカテーテルチューブを一緒に形成する複数の第一の部分及び複数の第二の部分があってもよい。
【0137】
いくつかの実施形態において、第二の材料で作られた第二の部分155の凹型の内面及び第二の部分155の凸型の面のみがカテーテル内腔156、及びカテーテル本体151の外面をそれぞれ形成し、第一の材料で作られた第一の部分152は第二の部分155の内面及び外面内、例えば壁厚みの中に埋め込まれる。別の実施形態において、第一の材料で作られた第一の部分152の凹型の内面及び第一の部分152の凸型の面のみがカテーテル内腔156、及びカテーテル本体151の外面をそれぞれ形成し、第二の材料で作られた第二の部分155は第一の部分152の内面及び外面内、例えば壁厚みの中に埋め込まれる。
【0138】
第二の材料から作られる第二の部分155は、第一の材料から作られる第一の部分152の硬さよりも大きい硬さ(k)を有し、第二の部分はチューブ本体151の上部に沿って又は上向きに位置する。したがって、カテーテルチューブ150は、第一の部分152及び第二の部分155の両方を有するが、第二の部分155は、カテーテルチューブの、他の部分又は第二の材料で形成されないカテーテルチューブの部分よりも、より硬い領域を形成する。カテーテル本体151の、第二の部分155で形成され、より硬い領域の結果、カテーテル本体151全体の硬さは、第一の材料から全体が作られたカテーテルチューブと比較して、増大する。したがって、硬さに比例するカテーテル本体151の弾性係数、又はヤング率(E)も、硬化された領域を持たないカテーテル本体よりも大きい。
【0139】
第二の部分155の形状もカテーテル本体151の全体としての硬さに影響する。例えば、カテーテル本体の全体としての硬さは、第二の部分155の慣性モーメントの増大により増大し得る。一例において、慣性モーメントの増大はスパインの断面積の増大によって、又はスパインの形状の変化によって達成され得る。第二の部分155の硬さが増大すると、カテーテルチューブ150全体の弾性係数が増大する。繰り返すと、第二の部分155の硬さは、第二の部分の形状及び/又は幅を変えることによって増大し得る。
【0140】
カテーテル本体151の硬さの増大によれば、カテーテルチューブ150を曲げるために、より大きい力が必要となり得て、キンクの可能性が減少する。したがって、カテーテルチューブ150の第一の部分152を作る第一の材料よりも硬い第二の材料で作られる第二の部分155を含むカテーテル本体151の増大した硬さにより、比較的長いカテーテルチューブ150の使用が可能となりつつ、カテーテル本体の直径は、第二の部分がない第一の部分のみのカテーテル本体のカテーテルチューブと近く又は同じに維持できる。一例において、第二の部分は、チューブ本体151の上部に沿って又は上向きに位置してもよい。
【0141】
いくつかの例において、カテーテルチューブのチューブ本体を形成するために第二の部分155を第一の部分152に組み入れることにより、カテーテルチューブの長さは、標準的なカテーテルチューブを比較して長くすることができ、約8センチメートルから約12センチメートルの範囲であり得る。任意に、第一の部分152及び第二の部分155を有する本開示のカテーテルチューブは、より短いカテーテルチューブ又は例えば約1.4センチメートルから約6.4センチメートルの長さのカテーテルチューブなどの標準的な長さのカテーテルチューブにも使用可能である。
【0142】
図7及び8を参照して下に説明されるように、第一の部分152の第一の材料よりも硬い第二の材料で作られた第二の部分155を利用して、2セットの縦のエッジに沿って接続する少なくとも2つの弓型部分を有するカテーテルチューブ本体を形成することにより、第一の部分152がより柔らかく、より柔軟で、硬さが低い材料で作られることが可能となり、接触により静脈壁の内面を損傷する可能性が減る。いくつかの例において、カテーテル本体151の高さ位置において、第一の部分152は下部を形成してもよく、第二の部分155はカテーテル本体151の、上部を形成してもよい。第一の堅さを有する第一の材料で作られる第一の部分及び第二の堅さを有する第二の材料で作られる第二の部分を有する本発明のカテーテルチューブは、チューブのキンクを制限又は防止するために、単一の材料で全体が形成される標準的なカテーテルチューブと比べて比較的長いカテーテルチューブを作るために使われてもよく、及び/又はカテーテルチューブのX線や画像撮影を容易にすることなく患者の静脈にアクセスするために使われてもよい。第二の部分を形成するための第二の材料は、第二の材料の1つのストリップでもよく、又は2つ又はそれ以上の、間隔を有するストリップを含んでもよい。各ストリップは、表面及び断面を含んでもよい。断面は規則的な形状でも不規則な形状でもよい。キンクに対する耐性は、チューブ本体がより柔らかく、硬さが低い単一の材料のみからつくられる場合と比較して、より高い弾性係数又はヤング率(E)、及び/又はより高い慣性モーメントを有する、より硬い材料によるものでもよい。
【0143】
第一の部分152の第一の材料よりも硬い第二の材料から作られる第二の部分155は、スパイン又はカテーテルスパイン155と呼ばれてもよい。上述のとおり、スパイン155、すなわち比較的硬い特性の第二の材料から作られる第二の部分155は、もし発生した場合カテーテル内腔156内の流体の流れをブロックし得るカテーテルチューブ150のキンクを防止又は抵抗する補助をしてもよい。例えば、静脈穿刺の後、キンクしたカテーテルチューブは、患者への点滴液の流れをブロックし得る。したがって、キンク耐性のあるカテーテルチューブを使用することが望ましい。第一の材料を有する第一の部分及び第一の材料よりも硬い第二の材料を有する第二の部分を備える本開示のカテーテルチューブは、キンクに対する耐性を有する。
【0144】
図3-5に示されるように、一例において、スパイン155、又は第二の部分の第二の材料は、一定の断面プロフィールを有し、上述のように図3のカテーテルハブ110のタブ114と同じ側のカテーテル本体151の上部に沿って、又はカテーテルチューブの水平な正中面の上で、長軸方向に延びる。つまり、カテーテルチューブの例示的な実施形態は、実質的に一定の断面プロフィールを有し、カテーテルチューブ150の近位端とカテーテルチューブ150の遠位端との間を延びる細いストリップとして形成されるスパイン155を含む。いくつかの例において、スパイン155はカテーテルチューブの弓型外部の一部、及びカテーテルチューブ150の弓型内部の一部を形成する。いくつかの実施形態において、スパイン155は、カテーテル本体151の長さに沿って一定の断面プロフィールを有さない細いストリップを形成する。別の実施形態において、スパイン155はカテーテル本体151の長さに沿って変化する断面プロフィールを有する。例えば、カテーテルチューブの遠位部分には比較的細い断面プロフィールが提供され得て、断面プロフィールは長さが近位方向に延びるにつれて幅が増大してもよい。さらに、スパイン155はテーパする側壁を有する代わりに、側壁は直線、テーパ付き、波状、外にテーパ、などと様々でもよい。
【0145】
第一の部分152は、第二の部分のカテーテルスパイン155の側部と連結し、カテーテル本体151の継ぎ目がなく滑らかな外面158、及びカテーテル本体の内側表面を一緒に形成する。これにより、カテーテルチューブ150を静脈内の望む位置に入れる際にカテーテルチューブ150が組織を引っかける又は切断することの防止が可能となる。第一の部分152及びカテーテルスパイン155はまた、一緒にカテーテルチューブの内面に沿った、継ぎ目がないカテーテル内腔156を形成してもよい。例えば、スパイン155は、第一の部分152と同時押し出しされてもよく、継ぎ目がない内面及び外面が形成される。
【0146】
上述のように、一実施形態において、スパイン155はカテーテル本体151の上側又は上部と同様に上方向又は上部に沿った方向を向く。言い換えれば、高さにおいて、スパイン155がカテーテル本体又はカテーテルチューブ151の上部を形成し、第一の部分152が残りの部分、又は少なくともカテーテル本体151の下部を形成してもよい。図4に示されるように、カテーテル本体151のスパイン又は第二の部分155の断面プロフィールは、カテーテル本体151の弧の約25から約180度を占めてもよく、第一の部分152がカテーテル本体151の残りの部分を占めてもよい。カテーテル本体151内のスパイン155の占有率は、カテーテル本体151の外直径及びカテーテル本体151全体としての望ましい硬さに依存して変わってもよい。言い換えれば、スパイン155の断面プロフィールの幅及び形状は硬さを決定し得て、その結果カテーテル本体151の望ましい長さを決定し得る。
【0147】
カテーテルチューブ151の硬さを増大させるために、例えば、カテーテルチューブに使用される通常の材料よりも硬いようにスパイン155の材料が選択されてもよい。スパインのために選択される比較的硬い材料は、カテーテルチューブ全体を形成するために使用されてもよく、又はカテーテルチューブの一部のみに使用され、残りの部分は通常の又は従来のカテーテルチューブ材料を使用されて形成されてもよい。一例において、カテーテルチューブの本体は、少なくとも2つの異なる材料が使用されてチューブ本体の、チューブ本体全長の50%以上などの長さが形成される。一例において、スパイン155の材料は、標準的な単材料カテーテル本体に使用されるフッ化エチレンプロピレン(FEP)コポリマ材料よりも硬いべきである。第一の部分152に使用可能な別の例示的な材料は、ポリウレタン(PUR)である。いくつかの例において、第二の部分がFEPから作られ、第一の部分がPURで作られてもよい。
【0148】
特定の例において、硫酸バリウム(BaSO)を使用してスパインを形成してもよい。したがって、内腔を備えるチューブ本体を有するカテーテルチューブは、FEP又はPUR材料をBaSO材料と共に使用して形成されてもよく、BaSO材料が、チューブ本体に縦に延びるスパイン又は第二の部分を形成するために使用され、FEP又はPUR材料が、第一の部分152と呼ばれるチューブ本体の残りの部分を形成してもよい。第一の部分152は、ポリウレタン(PUR)又はFEPを含み得る、より柔らかい通常のカテーテル材料から作られてもよい。一例において、BaSO材料には、効果的な量のポリエーテルブロックアミド(PEBA)又はその他の似たポリマ材料が混ぜられ、FEP又はPUR材料との結合を促進するなど、第一の材料との結合を促進する。スパインを形成するために使用される第二の部分155の材料が第一の部分152を形成するために使用される材料よりも高い硬さ特性を有しさえすれば、あらゆる適切な生体適合性材料を第二の部分に使用してもよい。
【0149】
カテーテルチューブ150は、同時押し出し製造法で製造されてもよい。スパイン155を形成するために使用される第二の材料は、チューブ本体151(図11及び12に示される)の内面及び外面の中に埋め込まれてもよく、又はチューブ本体の外側表面、内側表面、又は内側及び外側の表面の少なくとも一部を形成するために同時押し出しされてもよい(図9及び10に示される)。さらに別の例において、チューブ本体151は、本発明のカテーテルチューブの態様に係るチューブ本体を形成するために、第一の部分の中に、又は中に包まれて形成される複数のスパイン、又は複数の間隔を開けた第二の部分を有してもよい。図9に示されるように、複数のスパインは、チューブ本体の内面及び外面の中に埋め込まれてもよく、又は埋め込まれなくてもよく、又はチューブ本体の内面及び外面の中に埋め込まれるスパインと埋め込まれないスパインとがあってもよい。
【0150】
1つ又はそれ以上の、スパイン155のストリップが組み入れられて増大したカテーテルチューブのチューブ本体151の硬さは、より長いカテーテルチューブ150の使用を可能とする。カテーテル本体151は、少なくともスパイン155によって占められるセクション又は場所に沿って、より硬く作られてもよく、曲がりやキンクの可能性が減少する。第一151及び第二155の部分を有するカテーテル本体151の下部は、第一の部分152を形成するためのより柔らかい材料、及び第二の部分のスパイン155を形成するために比較的硬い材料で作られ得るから、カテーテル本体151の下部と静脈の内壁組織との間の接触による怪我の可能性が低減され得る。
【0151】
ここで図7及び8を参照し、特にスパイン155がチューブ本体151の上部に沿って形成され、第一の部分152が下部に沿ってより柔軟な材料又は硬さが低い材料で形成されるとき、静脈穿刺の後、カテーテルチューブ150はニードルをカテーテルチューブ150から取り外して静脈内に進めることができる。カテーテルチューブ150を進める際、チューブ本体151の遠位先端149は、静脈130の内壁又は静脈壁135に遭遇するかもしれない。静脈の内壁135からの反力がカテーテルチューブ150の前進に反抗し、静脈壁135によりカテーテルチューブ150にかけられる。図8に示されるように、カテーテルチューブ150にかけられる反力は、カテーテルチューブ150を曲げ得て、曲げの角度を増大させ得る。より具体的には、反力は、カテーテル本体151の下部を上向きに曲げ得て、その結果、下部が引張状態となり、カテーテル本体151の第二の部分又はスパイン151などの上部が少なくともやや圧縮状態となり得る。しかし、本発明の態様においてチューブ本体に1つ又はそれ以上のスパイン155が組み入れられるとき、カテーテルチューブ150はより硬いから、上向きの曲がりはスパインの硬さにより制限され、実質的に又は完全に上を向いてしまい、静脈壁135の反対側に接触したり、キンクしたりなど、上向きに曲がりすぎずにカテーテルチューブ150の遠位先端がより遠くまで進むことが可能となる。
【0152】
典型的なカテーテルチューブについては、曲がりが大きすぎる場合、カテーテルチューブは急な曲がり又はキンクを形成し得て、その結果、カテーテル内腔内の流体の流れを低減又は停止させる。本開示のスパイン155を組み入れることなどによってカテーテルチューブ150の硬さ又はヤング率が増大すると、カテーテルチューブ150を曲げるためにより大きい力が必要とされ、カテーテルチューブ150に形成されるキンクの可能性が下がる。カテーテルチューブ150の硬さは、スパイン155の断面プロフィールの幅及び形状を変化させること、又はチューブ本体に使用されるスパインの数を減らすこと、又はその両方により調節可能である。さらに別の例において、第二の部分と第一の部分の相対的硬さは、材料の選択に基づいて選択可能である。材料は、第一の部分の材料と比較して第二の部分の材料が、第二の材料の硬さ対第一の材料の硬さの比として約1.05から1.8を有するように選択されてもよい。さらに別の例において、比としての硬さ値が、第二の材料の硬さ対第一の材料の硬さの比として約1.8以上となるように選択されてもよい。
【0153】
一実施形態において、スパイン155の断面プロフィールの幅は、カテーテル本体151の遠位先端の近傍からカテーテル本体151の近位端に向かって、縦に概して一定で延びてもよい。スパイン155は、カテーテル本体151の近位端ぎりぎりまで延びてもよく、延びなくてよい。別の実施形態において、スパイン155は、遠位端のテーパ部の極近傍のポイントなどの、カテーテル本体又はチューブ151の遠位端のポイントから、又は遠位開口部から始まりカテーテル本体又はチューブ151の近位端まで延びるとき、増大する、又は変化する幅又は断面プロフィールを有してもよい。断面幅が増大する実施形態において、チューブ本体の硬さはチューブ本体の遠位端からチューブ本体151の近位端にむかって増大する。さらに別の例において、スパイン155の最も遠位のポイントは、テーパ部近傍から、及び最高数ミリメートルまでテーパ部157近傍で始まってもよい。
【0154】
スパイン155の位置に加えて、スパイン155の形状もカテーテルチューブ150の硬さに影響し得る。図4-5に示されるように、一例において、スパイン155は弓型の構造を有する。スパイン155の弓型構造及びカテーテルチューブ150の円筒形の全体により、カテーテルチューブ150が縦方向に直線構造で延びることが可能となる。スパイン及びカテーテルチューブの硬さは、スパインの内面よりもスパインの外面に沿ってより大きい幅を有する弓型スパイン155の断面プロフィールを増大させることにより増大してもよい。スパイン155の断面プロフィールの幅が増大すると、弓型スパイン155の高さも増大し、スパイン155の慣性モーメントが劇的に増大する。
【0155】
比較のため、カテーテルチューブの4分の1のセクションを平らな面に置き、カテーテルチューブの2分の1のセクションを平らな面に置くことと比較すると、2分の1のセクションのほうが高い。したがって、スパインの断面プロフィールの幅を増大することにより、高さも増大する。慣性モーメントの増大も、スパイン155の硬さを増大させる。簡単に言えば、カテーテルチューブ150の硬さは、スパイン155の形状によって調節可能である。例えば、カテーテルチューブは、スパインが第一の幅の断面プロフィールを有するときの第一の硬さを有し得て、またカテーテルチューブは、断面プロフィールの形状を第一の幅より大きい第二の幅に変えることにより第二の硬さを有し得る。さらに別の例において、弓型スパイン155の2つの側壁の角度を変えることにより、硬さが増大し得る。例えば、図4のスパイン155の側壁を見ると、側壁は、外側表面から内側表面に延びるとき外にテーパしてもよく、内側弓型表面は、外側弓型表面よりも広い。
【0156】
図9は、カテーテル本体151を有するカテーテルチューブ150の別の実施形態を、端面からみた断面図で示す。図9のカテーテルチューブ150は、図2-6に図示されるカテーテルチューブ150と類似しているが、図9のカテーテルチューブ150はさらに1つ又はそれ以上の第一の部分152の壁厚み内に埋め込まれるスパイン153を含む。3つのスパイン153が埋め込まれて示され、チューブ本体と共に、1つ、2つ、又は3つ以上のスパインの使用が考えられる。1つ以上の埋め込みスパイン153が組み入れられるとき、スパイン153は互いに等間隔で配置されてもよく、又は異なる間隔で配置されてもよい。スパイン153はカテーテル内腔156及びカテーテル本体151の外面158から離れて置かれてもよい。図示されるように、埋め込まれるスパイン153はチューブ本体151の内面と外面との間に囲まれてもよく、又は包まれてもよい。したがって、本発明の態様は、チューブ本体を備えるカテーテルチューブを含んでもよく、スパイン又は第二の部分は、チューブ本体の第一の部分から延びる又は流れる外側表面、内側表面、又は外側及び内側の両面を備え、第二のスパインはチューブ本体151の第一の部分の内面及び外面の間に囲まれてもよく、又は包まれてもよい。追加のスパインが、スパインを形成するために使用される材料よりも硬さが低い材料から作られるチューブ本体の第一の部分によって囲まれてもよく、又は包まれてもよい。
【0157】
スパイン153の形状は、楕円、円形、長方形、又はいかなる規則的又は不規則な形状でもよい。スパイン153は縦に延び、カテーテル本体151の近位端と遠位端の間に延びてもよく、近位及び遠位端の、最も近位端及び最も遠位端も含む。埋め込まれるスパイン153の材料は、埋め込まれないスパイン155を形成するために使用される材料と同じ材料、又はそれより柔らかい材料でもよい。埋め込まれないスパイン155は、チューブ本体の外側表面に沿って、チューブ本体の内側表面に沿って、又はそれらの両方で露出する面を有する。
【0158】
チューブ本体内に埋め込まれ、互いに間隔が開けられチューブ本体151の内側表面及び外側表面の中に全体が入る表面を有するスパイン153と、チューブ本体151内に埋め込まれず、少なくとも1つの表面がチューブ本体の外側表面に沿って、チューブ本体の内側表面に沿って、又はそれらの両方で露出するスパイン155、との両方の材料よりも、第一の部分152の材料は柔らかくてもよい。一例において、埋め込まれないスパイン155はBaSOから作られ、第一の部分152はポリウレタンから作られる。代わりに、第一の部分152はシリコーンから作られる。さらに別の例において、第一の部分はポリエチレンから作られる。さらに別の例において、第一の部分はテフロン/PTFEからなどの化合物から作られる。
【0159】
チューブ本体151に埋め込まれるスパイン153はBaSOから作られてもよい。BaSOが使用される場合、スパインの材料は、効果的な量のPEBAと混ぜられ、第一の部分152の材料との結合が容易となる。BaSOは、カテーテルチューブの硬さを増大させるために十分な特性を有し、X線での可視性も提供する。本開示の態様は、単一の材料から、又は均一に混合された化合物から作られたチューブ本体と比較して、キンクを制限又は防止し、延伸したチューブ本体の製造を可能とする開示されるカテーテルチューブの使用法に向けられる。
【0160】
いくつかの例において、スパイン155を形成又は作成するために使用される比較的硬い材料は、PEEK又はPROPELL(登録商標)である。さらに別の例において、第二の部分又はスパインを作るために使用される第二の材料は、次炭酸ビスマス(BiCO)、又はオキシ塩化ビスマス(BiOCl)である。
【0161】
カテーテルチューブのチューブ本体151を形成するために、第二の部分155の複数のストリップが第一の部分152に組み入れられるとき、第二の部分の複数のストリップは、同じ材料から、又は異なる材料から作られてもよい。例えば、2つの埋め込まれるスパイン153及び1つの埋め込まれないスパイン155を備えるカテーテルチューブの実施形態において、BaSOが使用されて埋め込まれないスパインが作られ、BiCOが使用されて埋め込まれるスパインが作られてもよい。
【0162】
スパインは、カテーテルチューブ150全体の硬さを増大させ得る。スパインは埋め込まれるタイプ153、又は埋め込まれないタイプ155、又はそれらの両方であり得る。いくつかの例において、チューブ本体151は、2つ又はそれ以上の埋め込まれるスパイン153及び2つ又はそれ以上の埋め込まれないスパイン155などの、複数のスパインのタイプを有してもよい。組み入れられるとき、1つ又はそれ以上のスパインは、カテーテルチューブのより硬い領域がチューブ本体の上部に沿うように配置されるべきである。スパイン153はまた、遠位先端及びカテーテル本体151のテーパ部154から離れて位置してもよく、カテーテル本体151の遠位先端は、より柔らかい第一の部分152であり続ける。カテーテルチューブは同時押し出し工程で作られてもよい。
【0163】
一例において、図9の3つの埋め込まれるスパイン153がBaSO材料から作られてもよく、X線での可視性及び光学的透明性のために使用されてもよい。埋め込まれないスパイン155は、チューブ本体の上部に沿って、チューブ本体の硬さを増大させるために埋め込まれるスパイン153よりも、より大きい胴回り又は幅を有するなど、比較的大きくてもよい。この構成は、ここで別途説明される比較的硬い上部を備える類似したカテーテル本体の有利点全てを有する。
【0164】
図10は、カテーテル本体151を有するカテーテルチューブ150の別の実施形態を、端面からみた断面図で示す。図10のカテーテル本体151は、図2-6に図示されるカテーテル本体151と類似しているが、図10のカテーテル本体151は、第一の部分152によって互いに間隔が開けられた2つの埋め込まれないスパイン155を含む。埋め込まれないスパイン、又はチューブ本体を形成するために使用される材料と異なる硬さ特性を有する材料のストリップは、露出する内側表面、外側表面、又は露出する内側及び外側の両面を有すると理解されたい。図10の実施形態は図2-6の実施形態よりも多くのスパインを有すると言うことができる。
【0165】
図示されるように、2つのスパイン155は、カテーテル本体151の上部ではなく、チューブ本体を通る水平の正中線に沿って位置している。柔らかい第一の材料152は、カテーテル本体151の上部及びカテーテル本体151の下部の両方で組み入れられる。したがって、カテーテルチューブ150を進める際に静脈壁135の内面と接触し得るカテーテル本体151の下部は、第一の材料で作られるより柔らかい第一の部分152であり、静脈壁135の怪我又は損傷の可能性が低減される。図10の実施形態において、2つのスパイン155の内側凹面及び第一の部分152の内側凹面が一緒にカテーテル内腔156を形成し、2つのスパイン155の外側凸面及び第一の部分152の外側凸面が一緒にカテーテルチューブの外側表面を形成する。一実施形態において、スパイン155は、BaSO材料から作られてもよく、第一の部分152はポリウレタン材料から作られてもよい。任意で、効果的な量のPEBAがBaSO材料に組み入れられて結合を容易にしてもよい。
【0166】
チューブ本体の残りの部分を形成する材料と比較して、硬さが増大したスパインを備え、カテーテルチューブ150の下部から離れて位置するカテーテルチューブ150の優位点は、静脈穿刺の後、カテーテルチューブ150を進める際に静脈壁の内面と接触し得る柔らかい下部を維持したまま得られる、曲げ及びキンクに対するより強い耐性を含む。スパイン155の堅さ及び硬さは、カテーテルデバイス又は装置100の必要性及び応用に従って構成されてもよく、長いカテーテルチューブ用のみではなく標準的な長さのオーバーザニードルカテーテルに使用されてもよい。
【0167】
より大きい利点は、本願発明の教示を比較的長いカテーテルチューブ150と関連して使うときに得られる。さらに、カテーテルチューブの増大した硬さは、ブロックされない内腔などの開存性を確かにし、感染又は静脈炎の防止、及び痛みの低減ができる。増大した硬さの別の利点は、本発明のカテーテルチューブがガイドワイヤ無しで静脈に深く入れる能力であり、ガイドワイヤを使用することもできる。本発明のカテーテルチューブ150は、キンク耐性を有するチューブであり、2つの異なる硬さ特性を有する2つの異なる材料から作られる少なくとも2つの第一及び第二の部分を有し、2つのうちより柔らかい材料が静脈壁135の怪我を低減又は防止するように特に配置される。例えば、より柔らかい材料は、カテーテル本体の下部又は底部に沿って配置されてもよい。
【0168】
ここで図11を参照すると、本発明のさらなる態様にしたがって提供されるチューブ本体151を有するカテーテルチューブ150が示される。本カテーテルチューブ150は、ここで他に説明されるカテーテルチューブと類似しており、第一の材料で作られる第一の部分又はセクション152及び第二の材料で作られる第二の部分又はセクション153を含む。チューブ本体151は、外側表面158及び内側表面137を有し、内腔156を画定する。本実施形態において、第二の部分又はセクション153は、第一の部分152に埋め込まれるストリップである。スパインとも呼ばれ得る第二の部分153は、第一の部分152に完全に包まれる表面を有する。第一の部分152は、PUR又はPEBA材料から作られてもよく、第二の部分153は、FEP材料から作られてもよい。別の例において、第一の部分152は、FEP、PUR、又はPEBA材料から作られ、第二の部分153は、BaSO材料から作られてもよい。図示されるように、第二の部分153は、高さにおいてチューブ本体151の上部に沿って配置される。
【0169】
ここで図12を参照すると、本発明のさらなる態様にしたがって提供されるチューブ本体151を有するカテーテルチューブ150が示される。本カテーテルチューブ150は、ここで他に説明されるカテーテルチューブと類似しており、第一の材料で作られる第一の部分又はセクション152及び第二の材料で作られる第二の部分又はセクション153を含む。チューブ本体151は、外側表面158及び内側表面137を有し、内腔156を画定する。本実施形態において、第二の部分153は、第一の部分152に埋め込まれる3つの間隔を開けたストリップを含む。スパインとも呼ばれ得る第二の部分153の3つのストリップは、第一の部分152に完全に包まれる表面をそれぞれ有する。第一の部分152は、PUR又はPEBAから作られてもよく、3つのスパインなどの第二の部分153は、FEPから作られてもよい。さらに別の例において、第一の部分152は、FEP、PUR、又はPEBAから作られ、3つのスパインなどの第二の部分153は、BaSOから作られてもよい。図示されるように、第二の部分153は、チューブ本体151の上部に沿ってチューブ本体の中心を通る正中線163の上側に配置されてもよい。
【0170】
カテーテルチューブが少なくとも2つの異なる材料から作られる少なくとも2つの異なる部分を有するオーバーザニードルカテーテルデバイスの作成方法、及び使用方法が本発明のスコープに含まれる。
【0171】
静脈カテーテルアセンブリ、及び第一の部分及び1つ又はそれ以上のスパインであり得る第二の部分を有するカテーテルチューブを含むその構成部品の実施形態がここに具体的に説明され図示されたが、多くの修正及び変更が当業者には明らかである。例えば、スパインを備える様々な静脈カテーテルアセンブリ及びカテーテルチューブは、他のスパイン特性などを組み入れてもよい。さらに、1つの静脈カテーテルアセンブリの特定の実施形態について説明された特徴が、静脈カテーテルアセンブリの機能に互換性がある別の実施形態に含まれるように適合可能であることは明らかであり考慮されている。例えば、埋め込まれるスパインを備えるカテーテルチューブは、埋め込まれない構成の別の実施形態で使用され得る。したがって、開示されたデバイス、システム、及び方法の原理に従って構成された静脈カテーテルアセンブリ及びその構成部品は、ここで説明された特定の実施形態以外でも実施可能であり得ることは明らかである。本開示は、下の特許請求の範囲でも定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-01-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルアセンブリ(100)であって、
取り付けられるカテーテルチューブ(150)を有するカテーテルハブ(110)と、
ニードルハブ(103)に取り付けられるニードル先端(102)を備えるニードル(101)を含み、
前記ニードル(101)は、前記ニードル先端(102)が前記カテーテルチューブ(150)の遠位開口部(149)から遠位に突き出るように前記カテーテルチューブ(150)を通って突き出て、
前記カテーテルチューブ(150)は、
外側表面(158)、及び内側表面(137)を備える壁と、
前記外側表面(158)と前記内側表面(137)との間の壁厚みと、
前記内側表面(137)によって画定される内腔(156)と、
を有するカテーテル本体(151)を含み、
前記カテーテル本体(151)は、
第一の硬さ特性を備える第一の材料で形成される前記壁厚みの第一の部分(152)と、
第二の硬さ特性を備える第二の材料で形成される前記壁厚みの第二の部分(155)と、
を含み、
前記第一の部分(152)は、前記カテーテル本体(151)及び前記内腔(156)の前記内側表面(137)の少なくとも一部を形成する内面、及び前記カテーテル本体(151)の前記外側表面(158)の少なくとも一部を形成する外面を有し、
前記第二の部分(155)は、内面及び外面を有し、
前記第二の材料の前記第二の硬さ特性は、前記第一の材料の前記第一の硬さ特性よりも大きく、
前記第二の部分(155)は、前記カテーテルチューブ(150)の前記壁厚み内に埋め込まれ、又は前記カテーテルチューブ(150)の前記壁厚み内に埋め込まれず、
前記第二の部分(155)が前記カテーテルチューブ(150)の前記壁厚み内に埋め込まれないとき、
(i)前記第二の部分(155)の前記内面が前記カテーテル本体(151)及び前記内腔(156)の前記内側表面(137)の別の部分を形成する、
(ii)前記第二の部分(155)の前記外面が前記カテーテル本体(151)の前記外側表面(158)の別の部分を形成する、
又は
(iii)前記第二の部分(155)の前記内面が前記カテーテル本体(151)及び前記内腔(156)の前記内側表面(137)の別の部分を形成し、前記第二の部分(155)の前記外面が前記カテーテル本体(151)の前記外側表面(158)の別の部分を形成する、
カテーテルアセンブリ。
【外国語明細書】