(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002651
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】光コネクタ
(51)【国際特許分類】
G02B 6/38 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
G02B6/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101979
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139365
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 武雄
(72)【発明者】
【氏名】青山 紗也佳
(72)【発明者】
【氏名】外川 翔也
【テーマコード(参考)】
2H036
【Fターム(参考)】
2H036KA03
2H036QA03
2H036QA13
2H036QA16
2H036QA17
2H036QA19
2H036QA31
2H036QA43
2H036QA44
2H036QA55
(57)【要約】
【課題】光ファイバケーブルを挿入するためのスリットが形成された四角筒状のハウジングを備えた光コネクタにおいて、使い難いという印象をなくし、または減らすことができるようにする。
【解決手段】光コネクタであるジャック2のハウジング7は、ハウジング7の前側部分に形成され、内部に相手光コネクタの雄型接続部が挿入されて接続される雌型接続部8と、ハウジング7の後ろ側部分に形成され、ハウジング7を把持する部分である四角筒状の把持部9と、ハウジング7の内部に形成され、フェルール3を収容するフェルール収容部と、ハウジング7の後端側部分に形成され、フェルール3が取り付けられた光ファイバケーブル91を挿通させるケーブル挿通部と、ハウジング7の周壁の角部に形成され、光ファイバケーブル91をハウジング7内に挿入するためのスリット14を備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバケーブルに取り付けられたフェルールを収容する筒状のハウジングを備えた光コネクタであって、
前記ハウジングは、
前記ハウジングの軸方向一側部分に形成され、前記軸方向一側に開口し、内部に相手光コネクタの一部が挿入されて接続される接続部と、
前記ハウジングの軸方向他側部分に形成され、前記ハウジングを把持する部分である把持部と、
前記ハウジングの内部に形成され、前記フェルールを収容するフェルール収容部と、
前記ハウジングの軸方向他端側部分に形成され、前記軸方向他側に開口し、前記フェルールが取り付けられた前記光ファイバケーブルを挿通させるケーブル挿通部と、
前記ハウジングの周壁に形成され、前記ハウジングの周壁を前記ハウジングの軸方向に貫いて伸長し、前記光ファイバケーブルを前記ハウジング内に挿入するためのスリットとを備え、
前記把持部は四角筒状に形成され、
前記スリットは前記把持部の角部を通っていることを特徴とする光コネクタ。
【請求項2】
前記把持部の外周面は、第1の平面と、前記把持部の外周面において前記第1の平面が配置された部分の反対側の部分に配置された第2の平面と、前記第1の平面の幅方向一側の縁部と前記第2の平面の幅方向一側の縁部との間に配置された第3の平面と、前記第1の平面の幅方向他側の縁部と前記第2の平面の幅方向他側の縁部との間に配置された第4の平面とを有し、前記スリットは、前記第1の平面と前記第4の平面との境界部分、前記第3の平面と前記第1の平面との境界部分、前記第2の平面と前記第3の平面との境界部分、または前記第4の平面と前記第2の平面との境界部分において開口していることを特徴とする請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項3】
前記相手光コネクタに設けられたロック突部が挿入され、前記ロック突部と共に、当該光コネクタと前記相手光コネクタとを互いに抜け止めするバヨネット式のロック機構を構成するロック穴が前記接続部の周壁に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の光コネクタ。
【請求項4】
前記接続部は円筒状に形成され、前記接続部の周壁には2つの前記ロック穴が形成され、前記2つのロック穴は前記接続部の周壁において180度異なる2箇所にそれぞれ配置され、前記各ロック穴は前記接続部の周壁に沿って周方向に略90度伸長し、前記各ロック穴の周方向一端部にはロック解除部が形成され、前記各ロック穴の周方向他端部にはロック部が形成され、前記各ロック穴内において前記ロック突部が前記ロック解除部に位置するときには前記光コネクタと前記相手光コネクタとが抜け止め解除状態となり、前記各ロック穴内において前記ロック突部が前記ロック部に位置するときには前記光コネクタと前記相手光コネクタとが抜け止め状態となり、
当該光コネクタを軸方向一側から見たとき、前記接続部の周方向において、前記2つのロック穴のうち、一方のロック穴の位置は当該一方のロック穴の前記ロック部が前記把持部の前記第1の平面の幅方向中央に位置するように定められ、かつ他方のロック穴の位置は当該他方のロック穴の前記ロック部が前記把持部の前記第2の平面の幅方向中央に位置するように定められ、または、当該光コネクタを軸方向一側から見たとき、前記接続部の周方向において、前記2つのロック穴のうち、一方のロック穴の位置は当該一方のロック穴の前記ロック部が前記把持部の前記第3の平面の幅方向中央に位置するように定められ、かつ他方のロック穴の位置は当該他方のロック穴の前記ロック部が前記把持部の前記第4の平面の幅方向中央に位置するように定められていることを特徴とする請求項3に記載の光コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送路の形成に用いられる光コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
光コネクタは、2本の光ファイバケーブル同士を接続して光伝送路を形成するコネクタである。2本の光ファイバケーブル同士を接続するときには、一方の光ファイバケーブルの先端部に一の光コネクタを取り付け、他方の光ファイバケーブルの先端部に他の光コネクタを取り付け、一の光コネクタと他の光コネクタとを互いに接続する。以下、2本の光ファイバケーブル同士を接続するに当たり、一方の光ファイバケーブルの先端部に取り付ける一の光コネクタを「光コネクタ」といい、他方の光ファイバケーブルの先端部に取り付ける他の光コネクタを「相手光コネクタ」という。
【0003】
光コネクタは、光ファイバケーブルが取り付けられたフェルールを収容するハウジングを備えている。ハウジングは例えば樹脂材料により筒状に形成され、ハウジングの先端側部分には、相手光コネクタと接続される接続部が形成されている。ハウジングの基端側部分には、光コネクタを相手光コネクタに接続するときに作業者がハウジングを指で把持する把持部が形成されている。
【0004】
また、光コネクタのハウジングの中には、ハウジングの先端側の開口がフェルールの最大外径よりも大きい直径を有し、ハウジングの基端側の開口が光ファイバケーブルの外径よりも大きく、かつフェルールの最大外径よりも小さい直径を有しているものがある。このようなハウジングにおいては、作業者は、光コネクタを組み立てるときに、フェルールを、ハウジングの先端側の開口からハウジング内に挿入して、ハウジング内に配置することができる。
【0005】
また、光コネクタのハウジングの中には、周壁にスリットが形成されているものがある。特開平1-116604号公報(特許文献1)に記載された光コネクタにおいては、ハウジング(ツマミ)の周壁にスリットが形成されている。スリットはハウジングの先端から基端にかけて伸長している。ハウジングの周壁にスリットが形成されることによって、ハウジングの周壁の一部が切断された状態となっている。また、スリットの幅は、光ファイバケーブルの外径よりも大きく、かつフェルールの最大外径よりも小さい値に設定されている。光ファイバケーブルが取り付けられた状態のフェルールをハウジング内に配置するとき、作業者は、まず、フェルールが取り付けられた光ファイバケーブルをスリットに通してハウジング内に挿入し、次に、その光ファイバケーブルが取り付けられたフェルールをハウジングの先端側の開口からハウジング内に挿入する。ハウジングにスリットが形成されていることにより、作業者は、光ファイバケーブルが取り付けられた状態のフェルールをハウジング内に容易に配置することができる。
【0006】
ところで、光コネクタは小型であるゆえ、光コネクタのハウジングは小さく、かつ軽い。そのため、上記特開平1-116604号公報に記載された光コネクタのように、ハウジング(ツマミ)が円筒状に形成されている場合には、光コネクタが分解された状態であるときに、ハウジングが転がって作業用のテーブルから床に落下し、ハウジングに床上の埃が付いてしまい、またはハウジングが紛失してしまうといったことが起こり易い。この点、特開2017-187571号公報(特許文献2)には、四角筒状のハウジングを備えた光コネクタが記載されている。四角筒状のハウジングは、円筒状のハウジングと比較して転がり難い。それゆえ、ハウジングを四角筒状に形成することにより、ハウジングが転がって落下するといったことを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平1-116604号公報
【特許文献2】特開2017-187571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特開2017-187571号公報に記載された光コネクタにおいては、ハウジングが四角筒状に形成され、かつハウジングの周壁にスリットが形成されている。そのスリットは、同公報の
図8に示されているように、四角筒状のハウジングの周壁を構成する4つの板状の壁部のうちの1つの壁部の幅方向中央部に形成されている。
【0009】
スリットが四角筒状のハウジングの壁部の幅方向中央部に形成されている場合、次のような問題がある。
【0010】
図14(A)および14(B)は、上記特開2017-187571号公報に記載された光コネクタのハウジングと同じ形状のハウジング182を備えた光コネクタ181を作業者が把持する様子を示している。
図14(A)または14(B)に示すように、光コネクタ181を相手光コネクタに接続するとき、作業者は、光コネクタ181のハウジング182を例えば親指と人差し指で把持する。このとき、
図14(A)に示すように、作業者の親指および人差し指のいずれもが、光コネクタ181の四角筒状のハウジング182においてスリット183が形成されていない壁部の外面に当たる場合と、
図14(B)に示すように、作業者の親指(または人差し指)が、光コネクタ181のハウジング182においてスリット183が形成されている壁部の外面に当たる場合がある。
【0011】
作業者の親指(または人差し指)が、
図14(B)に示すように、光コネクタ181のハウジング182においてスリット183が形成されている壁部の外面に当たった場合、作業者の親指(または人差し指)が、当該壁部の外面においてスリット183が開口している部分に当たる。ハウジング182の壁部の外面においてスリット183が開口している部分は、スリット183が開口していることによって凸凹している。それゆえ、作業者の親指(または人差し指)がハウジング182の壁部の外面においてスリット183が開口している部分に当たった場合には、作業者は、違和感を覚え、光コネクタ181に対し、使い難いという印象を持つことがある。
【0012】
また、作業者の親指(または人差し指)がハウジング182の壁部の外面においてスリット183が開口している部分に当たった場合、作業者は、スリット183の開口部を指で触れたことによって、スリット183を介してハウジング182内にゴミが入ってしまうのではないかという不安を覚えることがある。このような不安から、作業者は、光コネクタ181に対し、使い難いという印象を持つことがある。
【0013】
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、光ファイバケーブルを挿入するためのスリットが形成された四角筒状のハウジングを備え、かつ使い難いという印象をなくし、または減らすことができる光コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明は、光ファイバケーブルに取り付けられたフェルールを収容する筒状のハウジングを備えた光コネクタであって、前記ハウジングは、前記ハウジングの軸方向一側部分に形成され、前記軸方向一側に開口し、内部に相手光コネクタの一部が挿入されて接続される接続部と、前記ハウジングの軸方向他側部分に形成され、前記ハウジングを把持する部分である把持部と、前記ハウジングの内部に形成され、前記フェルールを収容するフェルール収容部と、前記ハウジングの軸方向他端側部分に形成され、前記軸方向他側に開口し、前記フェルールが取り付けられた前記光ファイバケーブルを挿通させるケーブル挿通部と、前記ハウジングの周壁に形成され、前記ハウジングの周壁を前記ハウジングの軸方向に貫いて伸長し、前記光ファイバケーブルを前記ハウジング内に挿入するためのスリットとを備え、前記把持部は四角筒状に形成され、前記スリットは前記把持部の角部を通っていることを特徴とする。
【0015】
また、上記本発明の光コネクタにおいて、前記把持部の外周面は、第1の平面と、前記把持部の外周面において前記第1の平面が配置された部分の反対側の部分に配置された第2の平面と、前記第1の平面の幅方向一側の縁部と前記第2の平面の幅方向一側の縁部との間に配置された第3の平面と、前記第1の平面の幅方向他側の縁部と前記第2の平面の幅方向他側の縁部との間に配置された第4の平面とを有し、前記スリットは、前記第1の平面と前記第4の平面との境界部分、前記第3の平面と前記第1の平面との境界部分、前記第2の平面と前記第3の平面との境界部分、または前記第4の平面と前記第2の平面との境界部分において開口していることが好ましい。
【0016】
また、上記本発明の光コネクタにおいて、前記相手光コネクタに設けられたロック突部が挿入され、前記ロック突部と共に、当該光コネクタと前記相手光コネクタとを互いに抜け止めするバヨネット式のロック機構を構成するロック穴が前記接続部の周壁に形成されていることとしてもよい。この場合、前記接続部は円筒状に形成され、前記接続部の周壁には2つの前記ロック穴が形成され、前記2つのロック穴は前記接続部の周壁において180度異なる2箇所にそれぞれ配置され、前記各ロック穴は前記接続部の周壁に沿って周方向に略90度伸長し、前記各ロック穴の周方向一端部にはロック解除部が形成され、前記各ロック穴の周方向他端部にはロック部が形成され、前記各ロック穴内において前記ロック突部が前記ロック解除部に位置するときには前記光コネクタと前記相手光コネクタとが抜け止め解除状態となり、前記各ロック穴内において前記ロック突部が前記ロック部に位置するときには前記光コネクタと前記相手光コネクタとが抜け止め状態となり、当該光コネクタを軸方向一側から見たとき、前記接続部の周方向において、前記2つのロック穴のうち、一方のロック穴の位置は当該一方のロック穴の前記ロック部が前記把持部の前記第1の平面の幅方向中央に位置するように定められ、かつ他方のロック穴の位置は当該他方のロック穴の前記ロック部が前記把持部の前記第2の平面の幅方向中央に位置するように定められ、または、当該光コネクタを軸方向一側から見たとき、前記接続部の周方向において、前記2つのロック穴のうち、一方のロック穴の位置は当該一方のロック穴の前記ロック部が前記把持部の前記第3の平面の幅方向中央に位置するように定められ、かつ他方のロック穴の位置は当該他方のロック穴の前記ロック部が前記把持部の前記第4の平面の幅方向中央に位置するように定められていることとしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、光ファイバケーブルを挿入するためのスリットが形成された四角筒状のハウジングを備えた光コネクタにおいて、使い難いという印象をなくし、または減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1の実施形態の光コネクタを含む光コネクタ装置を示す外観図である。
【
図2】
図1中の切断線II-IIに沿って切断した光コネクタ装置を示す断面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態の光コネクタの外観を示す斜視図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態の光コネクタを分解した状態を示す斜視図である。
【
図5】
図2と同じ位置で切断した本発明の第1の実施形態の光コネクタのハウジングの断面図である。
【
図6】(A)は本発明の第1の実施形態の光コネクタのハウジングを前から見た状態を示す外観図であり、(B)は
図5中の切断線VI-VIに沿って切断した本発明の第1の実施形態の光コネクタのハウジングを示す断面図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態の光コネクタのハウジングの前部の外観を示す斜視図である。
【
図9】相手光コネクタを分解した状態を示す斜視図である。
【
図10】本発明の第1の実施形態の光コネクタと相手光コネクタとの接続方法を示す説明図である。
【
図11】作業者が本発明の第1の実施形態の光コネクタを把持する様子を示す説明図である。
【
図12】(A)は
図6(B)と同じ位置で切断した本発明の第2の実施形態の光コネクタのハウジングを示す断面図であり、(B)は
図6(B)と同じ位置で切断した本発明の第3の実施形態の光コネクタのハウジングを示す断面図であり、(C)は
図6(B)と同じ位置で切断した本発明の第4の実施形態の光コネクタのハウジングを示す断面図である。
【
図13】(A)は
図6(B)と同じ位置で切断した第1の比較例の光コネクタのハウジングを示す断面図であり、(B)は
図6(B)と同じ位置で切断した第2の比較例の光コネクタのハウジングを示す断面図であり、(C)は
図6(B)と同じ位置で切断した第3の比較例の光コネクタのハウジングを示す断面図であり、(D)は
図6(B)と同じ位置で切断した第4の比較例の光コネクタのハウジングを示す断面図である。
【
図14】作業者が従来技術の光コネクタを把持する様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照しながら説明する。
【0020】
(光コネクタ装置)
図1は本発明の第1の実施形態の光コネクタを含む光コネクタ装置1を示している。
図2は、
図1中の切断線II-IIに沿って切断した光コネクタ装置1の断面を
図1中の下から見た状態を示している。光コネクタ装置1は、光ファイバ同士を接続して光伝送路を形成する装置である。光コネクタ装置1は、ジャック型の光コネクタ2(以下、これを「ジャック2」という。)、およびプラグ型の光コネクタ31(以下、これを「プラグ31」という。)を備えている。ジャック2が本発明の光コネクタの第1の実施形態に当たる。また、プラグ31が本発明の第1の実施形態の光コネクタに接続される相手方の光コネクタである相手光コネクタに当たる。ジャック2およびプラグ31は互いに着脱可能である。これにより、光ファイバケーブル91の光ファイバ92と光ファイバケーブル95の光ファイバ96とを容易に接続することができ、また、必要に応じて両者を容易に分離することができる。
【0021】
(ジャック)
図3はジャック2を右上前から見た状態を示している。
図4はジャック2を分解した状態を示している。
図5はジャック2のハウジング7の断面を示している。
図5中のハウジング7の断面の位置(切断位置)は、
図2中の光コネクタ装置1の断面の位置と同じである。また、
図5中の二点鎖線はハウジング7に収容される部品を示している。
図6(A)はハウジング7を前から見た状態を示し、
図6(B)は
図5中の切断線VI-VIに沿って切断したハウジング7の断面を前(
図5中の左)から見た状態を示している。
図7はジャック2の前側部分を左上前から見た状態を示している。また、ジャック2の説明において、上(Ud)、下(Dd)、前(Fd)、後(Bd)、左(Ld)、右(Rd)の方向を示す際には、
図3~7中に描いた矢印に従う。
【0022】
ジャック2は、フェルール3およびハウジング7を備えている。
【0023】
フェルール3は光ファイバケーブル91の先端側部分に取り付けられる。光ファイバケーブル91は、単心の光ファイバ心線であり、光ファイバ92、光ファイバ92の外周側を覆う一次被覆93、および一次被覆93の外周側を覆う二次被覆94を有している(
図2を参照)。
【0024】
フェルール3は、
図4に示すように、キャピラリ4およびキャピラリ支持部5を有している。キャピラリ4は、光ファイバ92を支持し、かつ位置決めする部材であり、例えばジルコニア等のセラミック、ガラス、またはニッケル等により形成されている。キャピラリ4は円柱状に形成され、その中心には、
図2に示すように、小径の孔が軸方向に貫通している。キャピラリ支持部5は、キャピラリ4を支持する部材である。キャピラリ支持部5は、例えばステンレス鋼またはニッケル等の金属により、円筒状に形成されている。キャピラリ支持部5の前端部にキャピラリ4が取り付けられている。また、キャピラリ支持部5の前端側部分にはフランジ部6が形成されている。すなわち、キャピラリ支持部5の前端側部分はキャピラリ支持部5の他の部分と比較して直径が大きくなっており、その直径が大きくなった部分がフランジ部6である。
【0025】
光ファイバケーブル91の先端側部分は、その先端の一次被覆93および二次被覆94が除去された状態でフェルール3に取り付けられる。
図2に示すように、光ファイバケーブル91の先端側部分において、一次被覆93および二次被覆94が除去された部分(光ファイバ92が露出した部分)は、キャピラリ4を貫通している孔内に配置される。また、光ファイバケーブル91の先端側部分において、一次被覆93および二次被覆94が除去されていない部分は、キャピラリ支持部5の中心に形成された孔内に配置される。また、キャピラリ4の先端面(前端面)は、例えばドーム形状に鏡面研磨されており、その中心部には光ファイバ92の端面が露出している。
【0026】
ジャック2のハウジング7は、フェルール3を収容する部材であり、例えば樹脂材料により筒状に形成されている。
図3に示すように、ハウジング7の前側部分(軸方向一側部分)には雌型接続部8が形成されている。雌型接続部8は、ジャック2とプラグ31との接続時に、プラグ31の雄型接続部42が挿入される部分である。雌型接続部8は円筒状に形成され、ハウジング7の前端面において前方に開口している。また、雌型接続部8の内径は、雄型接続部42が雌型接続部8内に嵌合されるように、雄型接続部42の外径と略等しい値(雄型接続部42の外径よりも僅かに大きい値)に設定されている。また、雌型接続部8の内径は、ジャック2の組立時に、フェルール3をハウジング7内に挿入して、フェルール収容部11内に配置することができるように、フェルール3の最大外径(フランジ部6の外径)よりも大きい値に設定されている。なお、雌型接続部8は「接続部」の具体例である。
【0027】
また、ハウジング7の後ろ側部分(軸方向他側部分)には把持部9が形成されている。把持部9は、ジャック2とプラグ31との接続時に、作業者等が指でハウジング7を把持する部分である。把持部9は、外観上、四角筒状に形成されている。具体的には、把持部9は、横断面の外周側の形状が四角形(例えば正方形)であり、横断面の内周側の形状が円形の筒状に形成されている。
【0028】
把持部9の外周面は、上面9A、下面9B、左面9Cおよび右面9Dを有している。
図6(B)に示すように、把持部9の外周面において、上面9Aが配置された部分の反対側の部分に配置された面が下面9Bであり、上面9Aの左側(幅方向一側)の縁部と下面9Bの左側の縁部との間に配置された面が左面9Cであり、上面9Aの右側(幅方向他側)の縁部と下面9Bの右側の縁部との間に配置された面が右面9Dである。上面9A、下面9B、左面9Cおよび右面9Dはそれぞれ、上面9Aと右面9Dとの境界部分、左面9Cと上面9Aとの境界部分、下面9Bと左面9Cとの境界部分、および右面9Dと下面9Bとの境界部分を除いて平面である。左面9Cと上面9Aとの境界部分、下面9Bと左面9Cとの境界部分、および右面9Dと下面9Bとの境界部分にはR面がそれぞれ形成されている。また、上面9Aと右面9Dとの境界部分には、後述するスリット14が開口している。また、上面9A、下面9B、左面9Cおよび右面9Dはそれぞれ長方形である。なお、上面9Aが「第1の平面」の具体例であり、下面9Bが「第2の平面」の具体例であり、左面9Cが「第3の平面」の具体例であり、右面9Dが「第4の平面」の具体例である。
【0029】
また、
図5に示すように、ハウジング7の内周側であって雌型接続部8の後ろ側には、フェルール収容部11が形成されている。フェルール収容部11はフェルール3が収容される部分である。フェルール収容部11の横断面の形状は円形である。また、フェルール収容部11の後ろ側部分の内径がフェルール収容部11の前側部分の内径よりも小さくなっており、フェルール収容部11の前側部分と後ろ側部分との間には段部12が形成されている。フェルール収容部11の前側部分の内径はフランジ部6の外径よりも大きい値に設定されている。本実施形態において、フェルール収容部11の前側部分の内径は雌型接続部8の内径と等しい。また、フェルール収容部11の後ろ側部分の内径は、フランジ部6の外径よりも小さく、かつキャピラリ支持部5においてフランジ部6よりも後ろ側部分の外径よりも大きい値に設定されている。
【0030】
また、ハウジング7の内周側であってフェルール収容部11の後ろ側にはケーブル挿通部13が形成されている。ケーブル挿通部13は、フェルール3に取り付けられた光ファイバケーブル91を挿通させる部分である。ケーブル挿通部13は、ハウジング7の後端側部分(軸方向他端側部分)に配置され、ハウジング7の後端面において後方に開口している。また、ケーブル挿通部13の横断面形状は円形であり、ケーブル挿通部13の内径はフェルール収容部11の後ろ側部分の内径と等しい。
【0031】
また、
図3に示すように、ハウジング7の周壁において右上側の角部には、光ファイバケーブル91をハウジング7内に挿入するためのスリット14が形成されている。スリット14は、ハウジング7の周壁の右上側の角部を径方向に貫通している。また、スリット14は、ハウジング7の周壁の右上側の角部を、ハウジング7の前端から後端にかけて前後方向に貫いて直線状に伸長している。スリット14が形成されていることにより、ハウジング7の周壁の右上側の角部が切断された状態となっている。また、スリット14は、光ファイバケーブル91の直径よりも大きく、かつフェルール3のフランジ部6の外径よりも小さい幅を有している。また、スリット14は把持部9の右上側の角部を通っている。また、スリット14は把持部9の上面9Aと右面9Dとの境界部分において開口している。
【0032】
また、ハウジング7において、雌型接続部8の周壁には2つのロック穴15が形成されている。これらロック穴15は、プラグ31のハウジング41に形成されたロック突部51と共に、互いに接続されたジャック2とプラグ31とを互いに抜け止めするバヨネット式のロック機構を構成するものである。各ロック穴15は、
図3に示すように、雌型接続部8の前後方向略中間部に配置されている。また、各ロック穴15は、
図5に示すように、雌型接続部8の周壁を径方向に貫通している。
【0033】
また、2つのロック穴15は、
図6(B)に示すように、雌型接続部8の周壁において180度異なる2箇所にそれぞれ配置されている。また、各ロック穴15は、雌型接続部8の周壁に沿って周方向に略90度伸長している。また、
図6(B)および
図7に示すように、各ロック穴15の周方向一端部にはロック解除部16が形成され、各ロック穴15の周方向他端部にはロック部17が形成されている。ロック解除部16はロック突部51を後述する挿入溝19を介してロック穴15に出入りさせる部分である。ロック穴15内においてロック突部51がロック解除部16に位置するときには、ジャック2とプラグ31とが抜け止め解除状態、すなわち挿抜自在な状態となる。ロック部17はロック突部51をロック穴15内に保持させる部分である。ロック穴15内においてロック突部51がロック部17に位置するときには、ジャック2とプラグ31とが抜け止め状態、すなわち引き抜き不能な状態となる。
【0034】
また、
図6(B)に示すように、ジャック2を前(軸方向一側)から見たとき、雌型接続部8の周方向において、一方のロック穴15の位置は、一方のロック穴15のロック部17が把持部9の上面9Aの左右方向中央(幅方向中央)に位置するように定められている。すなわち、ジャック2を前から見たとき、一方のロック穴15は、雌型接続部8の周壁の最左部から最上部にかけて伸長しており、一方のロック穴15のロック部17は雌型接続部8の最上部に位置している。その結果、一方のロック穴15のロック部17の位置は、把持部9の上面9Aの左右方向中央の位置と合致している。また、ジャック2を前から見たとき、雌型接続部8の周方向において、他方のロック穴15の位置は、他方のロック穴15のロック部17が把持部9の下面9Bの左右方向中央(幅方向中央)に位置するように定められている。すなわち、他方のロック穴15は、雌型接続部8の周壁の最右部から最下部にかけて伸長しており、他方のロック穴15のロック部17は雌型接続部8の最下部に位置している。その結果、他方のロック穴15のロック部17の位置は、把持部9の下面9Bの左右方向中央の位置と合致している。
【0035】
また、各ロック穴15の幅(前後方向の長さ)は、ロック突部51がロック穴15のロック解除部16に円滑に出入りすることができ、また、ロック突部51がロック穴15内をロック穴15に沿って周方向に移動するようにロック突部51の移動方向を規制することができ、また、ロック突部51がロック穴15内を円滑に移動することができるように、ロック突部51の直径よりも所定量大きい値に設定されている。
【0036】
また、
図1または
図7に示すように、各ロック穴15の周方向他端側部分の前側の内面には、当該内面から後方に突出したストッパ部18が形成されている。ストッパ部18は、ロック穴15内の周方向他端部(ロック部17)に移動したロック突部51を係止することにより、ロック突部51をロック穴15内の周方向他端部に保持する機能を有している。
【0037】
また、
図6(A)に示すように、ハウジング7において、雌型接続部8の内周面には2つの挿入溝19が形成されている。これら挿入溝19は、ジャック2とプラグ31との接続時に、プラグ31のロック突部51をジャック2のロック穴15に案内する通路として機能する。各挿入溝19は雌型接続部8の内周面に開口し、各挿入溝19の前端は雌型接続部8の前端面に開口している。また、2つの挿入溝19は、雌型接続部8の内周面において180度異なる2箇所にそれぞれ配置されている。また、雌型接続部8の周方向において、2つの挿入溝19の位置は、2つのロック穴15のロック解除部16の位置に対応している。また、一方の挿入溝19の後端は一方のロック穴15のロック解除部16と連通し、他方の挿入溝19の後端は他方のロック穴15のロック解除部16と連通している。ロック突部51は挿入溝19内を通ってロック穴15に出入りすることができる。
【0038】
ジャック2は例えば次のように組み立てることができる。まず、光ファイバケーブル91の先端側部分にフェルール3を取り付ける。次に、当該光ファイバケーブル91を、スリット14を通してハウジング7内に挿入しつつ、当該光ファイバケーブル91に取り付けられたフェルール3をハウジング7の前方からハウジング7内に挿入する。
【0039】
(プラグ)
図8はプラグ31を右上前から見た状態を示している。
図9はプラグ31を分解した状態を示している。また、プラグ31の説明において、上(Ud)、下(Dd)、前(Fd)、後(Bd)、左(Ld)、右(Rd)の方向を示す際には、
図8および9中に描いた矢印に従う。
【0040】
プラグ31は、フェルール33、スリーブ37、コイルばね39、およびハウジング41を備えている。ハウジング41は、ハウジング本体52および蓋体53を有している。
【0041】
フェルール33は光ファイバケーブル95の先端側部分に取り付けられる。光ファイバケーブル95は、上記光ファイバケーブル91と同じく、単心の光ファイバ心線であり、光ファイバ96、一次被覆97、および二次被覆98を有している(
図2を参照)。また、フェルール33は、ジャック2のフェルール3と同様に、キャピラリ34およびキャピラリ支持部35を有しており、キャピラリ支持部35の前端側部分にはフランジ部36が形成されている。また、光ファイバケーブル95のフェルール33への取付方法は、ジャック2における光ファイバケーブル91のフェルール3への取付方法と同じである。また、フェルール33のキャピラリ34の先端面(前端面)は、例えばドーム形状に鏡面研磨されており、その中心部には光ファイバ96の端面が露出している。
【0042】
スリーブ37は、プラグ31のフェルール33のキャピラリ34の先端側部分とジャック2のフェルール3のキャピラリ4の先端側部分とが互いに向かい合うようにそれぞれ挿入されることにより、フェルール33が取り付けられた光ファイバケーブル95の光ファイバ96の軸位置と、フェルール3が取り付けられた光ファイバケーブル91の光ファイバ92の軸位置とを互いに一致させる機能を有している。スリーブ37は、例えばジルコニア等のセラミック、またはリン青銅もしくはニッケル等の金属により円筒状に形成されている。スリーブ37の内径は、スリーブ37内に挿入されたキャピラリ4、34の径方向における位置ずれを高精度に抑制することができるように、キャピラリ4、34の外径と略等しい値に設定されている。また、スリーブ37は、いわゆる割りスリーブであり、その周壁の一部にスリット38が形成されている(
図9を参照)。なお、スリーブ37として、スリットが形成されていないものを用いてもよい。
【0043】
プラグ31のハウジング41は、フェルール33、スリーブ37およびコイルばね39を収容する部材であり、例えば樹脂材料により筒状に形成されている。
図8に示すように、ハウジング41の前側部分には雄型接続部42が形成され、ハウジング41の後ろ側部分には把持部43が形成されている。雄型接続部42は、ジャック2とプラグ31との接続時に、ジャック2のハウジング7の雌型接続部8内に挿入される部分であり、円筒状に形成されている。把持部43は、ジャック2とプラグ31との接続時に、作業者等が指でハウジング41を把持する部分である。把持部43は、その横断面の外周側の形状が四角形(例えば正方形)であり、横断面の内周側の形状が円形である筒状に形成されている。
【0044】
また、ハウジング41の内周側には、
図2に示すように、ハウジング41の前端から後端に向かって、挿入部44、スリーブ収容部45、フェルール収容部46、およびケーブル挿通部47が順次形成されている。挿入部44は、ジャック2のフェルール3のキャピラリ4の先端側部分が挿入される部分である。挿入部44は、ハウジング41の前端面において前方に開口している。スリーブ収容部45は、スリーブ37が収容される部分である。フェルール収容部46は、フェルール33およびコイルばね39が収容される部分である。ケーブル挿通部47は、フェルール33に取り付けられた光ファイバケーブル95を挿通させる部分である。ケーブル挿通部47は、ハウジング41の後端面において後方に開口している。
【0045】
また、ハウジング41の前端側部分の内周側には、スリーブ収容部45内に収容されたスリーブ37の前方への移動を規制するスリーブ移動規制部48が形成されている。ハウジング41において、挿入部44の内径がスリーブ収容部45の内径よりも小さくなっており、挿入部44とスリーブ収容部45との境界部分には段部が形成されている。その段部がスリーブ移動規制部48である。スリーブ37の前端がスリーブ移動規制部48に当たることによって、スリーブ37がスリーブ収容部45内から前方に抜け出ることが防止される。
【0046】
また、フェルール収容部46の前端側には、フェルール収容部46内に収容されたフェルール33の前方への移動を規制するフェルール移動規制部49が形成されている。ハウジング41において、スリーブ収容部45の内径がフェルール収容部46の内径よりも小さくなっており、スリーブ収容部45とフェルール収容部46との間が前に向かって漸次縮径している。その漸次縮径した部分がフェルール移動規制部49である。フェルール33のフランジ部36の前部がフェルール移動規制部49に当たることによって、フェルール収容部46内に収容されたフェルール33の前方への移動が制限される。
【0047】
また、フェルール収容部46の後端側には、フェルール収容部46内に収容されたコイルばね39の後端部を接触させるばね接触面50が形成されている。ハウジング41において、ケーブル挿通部47の内径がフェルール収容部46の内径よりも小さくなっており、フェルール収容部46とケーブル挿通部47との境界部分には段部が形成されている。その段部の前面がばね接触面50である。
【0048】
また、雄型接続部42の前後方向略中間部の外周面には2つのロック突部51が設けられている。これらロック突部51は、ジャック2のハウジング7に形成されたロック穴15と共に、互いに接続されたジャック2とプラグ31とを互いに抜け止めするバヨネット式のロック機構を構成するものである。各ロック突部51は雄型接続部42の外周面から径方向に突出している。また、各ロック突部51は雄型接続部42の前後方向中間部よりも若干前寄りの位置に配置されている。また、2つのロック突部51は、雄型接続部42の外周面において180度異なる2箇所にそれぞれ配置されている。
【0049】
また、ハウジング41は、
図9に示すように、ハウジング41の前部を形成するハウジング本体52と、ハウジング41の後部を形成する蓋体53とに分割することができる。すなわち、ハウジング41は、ハウジング本体52の後部に蓋体53を結合することにより形成される。ハウジング41をハウジング本体52と蓋体53とに分割する分割位置は、ハウジング41においてフェルール収容部46が形成されている位置に設定されている。また、蓋体53の前端部には雄型結合部54が形成され、雄型結合部54には係止突起55が形成されている。また、ハウジング本体52の後端は開口しており、ハウジング本体52の後端部には係止穴56が形成されている。蓋体53は、雄型結合部54がハウジング本体52の後端部に挿入され、係止突起55が係止穴56に係止されることにより、ハウジング本体52と結合する。
【0050】
また、ハウジング本体52の後ろ側部分の右側の周壁にはスリット57が形成されている。スリット57はハウジング本体52の後端部を拡径可能にする機能を有している。蓋体53の雄型結合部54がハウジング本体52の後端部内に押し込まれたとき、スリット57が開き、ハウジング本体52の後端部が拡径する。これにより、係止突起55が係止穴56内に入り込むことができる。
【0051】
また、蓋体53の周壁の上部の左右方向中間部にはスリット58が形成されている。スリット58は、当該周壁を前後方向に貫いて伸長し、光ファイバケーブル95の直径よりも大きい幅を有している。
【0052】
プラグ31は例えば次のように組み立てることができる。まず、コイルばね39に光ファイバケーブル95を通す。次に、光ファイバケーブル95の先端側部分にフェルール33を取り付ける。次に、ハウジング41がハウジング本体52と蓋体53とに分割された状態において、スリーブ37をハウジング本体52の後方からハウジング本体52内に挿入し、スリーブ収容部45内に挿入する。次に、光ファイバケーブル95に取り付けられたフェルール33を、ハウジング本体52の後方からハウジング本体52内に挿入し、フェルール33のキャピラリ34の先端側部分をスリーブ37内に挿入する。次に、コイルばね39をハウジング本体52の後方からハウジング本体52内に挿入し、フェルール33のキャピラリ支持部35の後ろ側部分の外周側に配置する。次に、光ファイバケーブル95を、蓋体53のスリット58を通して蓋体53内に入れつつ、蓋体53の雄型結合部54をハウジング本体52の後端部内に押し入れて(圧入して)、ハウジング本体52と蓋体53とを結合させる。
【0053】
(ジャックとプラグとの接続)
図10(A)、10(B)および10(C)はジャック2とプラグ31との接続方法を示している。ジャック2とプラグ31とを接続するとき、作業者は、例えば、ジャック2のハウジング7の把持部9を左手の親指と人差し指で把持し、プラグ31のハウジング41の把持部43を右手の親指と人差し指で把持する。そして、作業者は、
図10(A)に示すように、プラグ31の各ロック突部51とジャック2の各挿入溝19との位置を合わせつつ、プラグ31とジャック2とを向かい合わせ、プラグ31の雄型接続部42をジャック2の雌型接続部8内に
図10(A)中の矢印A方向に挿入する。これにより、各ロック突部51が挿入溝19内に入り、ジャック2のフェルール3のキャピラリ4の先端側部分がプラグ31の挿入部44内に入る。さらに、挿入部44内に入ったキャピラリ4の先端側部分が、プラグ31のハウジング41のスリーブ収容部45内に収容されたスリーブ37の一端側からスリーブ37内に入る。そして、当該キャピラリ4の先端が、スリーブ37の他端側からスリーブ37内に既に挿入されているプラグ31のフェルール33のキャピラリ34の先端に突き当たる。
【0054】
続いて、作業者がプラグ31の雄型接続部42をジャック2の雌型接続部8内へ押し込むと、ジャック2のフェルール3のキャピラリ支持部5のフランジ部6の後面6Aが、ジャック2のハウジング7の段部12の前面12Aに当たる。また、プラグ31のフェルール33のキャピラリ34がジャック2のフェルール3のキャピラリ4により押され、プラグ31のフェルール33がプラグ31のフェルール収容部46内において後退する。プラグ31のフェルール33が後退することによって、プラグ31のフェルール収容部46内に収容されたコイルばね39の前端部がフェルール33のキャピラリ支持部35のフランジ部36の後面36Aに接触し、かつコイルばね39の後端部がプラグ31のハウジング41のばね接触面50に接触する。さらに、コイルばね39が、後退するフェルール33のキャピラリ支持部35のフランジ部36の後面36Aに押されて収縮する。収縮したコイルばね39のばね力により、プラグ31のフェルール33のキャピラリ34の先端面において露出している光ファイバ96の端面と、ジャック2のフェルール3のキャピラリ4の先端面において露出している光ファイバ92の端面とが互いに接触し、互いに押し付けられ、互いに密着する。その結果、光ファイバ92と光ファイバ96との間にフィジカルコンタクトが形成される。
【0055】
また、作業者がプラグ31の雄型接続部42をジャック2の雌型接続部8内へ押し込むことにより、各ロック突部51が挿入溝19内をジャック2の後端側に向かって移動し、
図10(B)に示すように、ロック穴15のロック解除部16内に入る。そして、コイルばね39の収縮量が最大となる前に、各ロック突部51がロック穴15のロック解除部16の後ろ側の内面に突き当たる。各ロック突部51がロック穴15のロック解除部16の後ろ側の内面に突き当たったとき、作業者は、プラグ31をジャック2に対して、
図10(B)中の矢印B方向に、およそ60度回転させる。これにより、各ロック突部51が、ロック穴15内をロック解除部16からロック部17に向かって矢印B方向に移動する。
【0056】
そして、ロック穴15内を移動する各ロック突部51は、
図10(C)に示すように、ストッパ部18を越えてロック部17に達する。各ロック突部51がロック部17に達した後、作業者がプラグ31の雄型接続部42をジャック2の雌型接続部8内へ押し込む力を緩めると、コイルばね39のばね力により、各ロック突部51がロック部17内においてジャック2の前端側へ移動する。これにより、各ロック突部51がストッパ部18に係止され、ジャック2とプラグ31とが抜け止めされ、固定される。また、この状態において、コイルばね39の収縮状態は維持されており、その結果、コイルばね39のばね力により光ファイバ92と光ファイバ96とのフィジカルコンタクトは保持されている。
【0057】
なお、ジャック2とプラグ31とを分離させ、光ファイバ92と光ファイバ96との接続を解除するときには、作業者は、プラグ31をジャック2に対して矢印B方向と反対の方向に、およそ60度回転させる。これにより、各ストッパ部18によるロック突部51の係止が解除され、各ロック突部51がロック穴15のロック解除部16内に移動する。その後、作業者は、ジャック2からプラグ31を引き抜く。これにより、各ロック突部51が挿入溝19内を通ってロック穴15外に出ると共に、プラグ31の雄型接続部42がジャック2の雌型接続部8外に出る。
【0058】
以上説明した通り、本発明の第1の実施形態のジャック2においては、光ファイバケーブル91をハウジング7内に挿入するためのスリット14が、ハウジング7の周壁の右上側の角部に形成されている。また、スリット14は、把持部9の右上側の角部を通り、把持部9の上面9Aと右面9Dとの境界部分において開口している。これにより、作業者が例えば親指と人差し指でジャック2のハウジング7の把持部9を把持したとき、作業者の親指(または人差し指)がハウジング7の把持部9の周壁の外面においてスリット14が開口している部分に当たり難くなる。
【0059】
すなわち、ジャック2のハウジング7の把持部9を親指と人差し指で把持するときに、把持部9において親指と人差し指が当たる場所の組み合わせとして、(a)左面9Cと右面9D、(b)上面9Aと下面9B、(c)左上角部と右下角部、(d)左下角部と右上角部の4つの組み合わせが考えられる。これらの組み合わせのうち、作業者が容易にかつ安定した状態で把持部9を把持することができる場所の組み合わせは、左面9Cと右面9D、および上面9Aと下面9Bである。それゆえ、作業者は、ジャック2のハウジング7の把持部9を親指と人差し指で把持するとき、通常、把持部9において、左面9Cと右面9D、または上面9Aと下面9Bを把持する。
図11(A)は、作業者がジャック2のハウジング7の把持部9における左面9Cと右面9Dを左手の親指と人差し指で把持した状態を示している。
図11(B)は、作業者がジャック2のハウジング7の把持部9における上面9Aと下面9Bを左手の親指と人差し指で把持した状態を示している。本実施形態のジャック2においては、スリット14が把持部9の右上側の角部を通り、スリット14の開口部が把持部9の上面9Aと右面9Dとの境界部分に位置しているので、
図11(A)および11(B)に示すように、作業者が把持部9の左面9Cと右面9Dを把持した場合でも、作業者が把持部9の上面9Aと下面9Bを把持した場合でも、作業者の親指(または人差し指)がスリット14の開口部に当たらない。
【0060】
このように、本実施形態のジャック2によれば、作業者がジャック2のハウジング7の把持部9を親指と人差し指で把持するとき、作業者の親指(または人差し指)がスリット14の開口部に当たり難くなるようにすることができる。それゆえ、作業者がジャック2のハウジング7の把持部9を把持するときに違和感を覚えることをなくし、または減らすことができる。また、作業者がジャック2のハウジング7の把持部9を把持するときに、親指(または人差し指)がスリットの開口部に触れることによってスリットを介してハウジング内にゴミが入ってしまうのではないかという不安を抱くことをなくし、または減らすことができる。したがって、本実施形態のジャック2によれば、作業者が、ジャック2に対し、使い難いという印象を持つことをなくし、または減らすことができる。
【0061】
図12(A)は本発明の第2の実施形態のジャックのハウジング61の断面を示し、
図12(B)は本発明の第3の実施形態のジャックのハウジング71の断面を示し、
図12(C)は本発明の第4の実施形態のジャックのハウジング81の断面を示している。
図12(A)~(C)におけるハウジング61、71、81の断面の位置(切断位置)は、
図6(B)に示すハウジング7の断面の位置と同じである。本発明の第2の実施形態のジャックのハウジング61においては、
図12(A)に示すように、スリット14がハウジング61の周壁の左上側の角部に形成され、スリット14が把持部9の左面9Cと上面9Aとの境界部分において開口している。また、これに伴い、本発明の第2の実施形態のジャックのハウジング61は、後述するように、各ロック穴15(ロック解除部16およびロック部17)の配置につき、本発明の第1の実施形態のジャック2のハウジング7と異なっている。本発明の第2の実施形態のジャックのハウジング61は、スリット14および各ロック穴15の配置を除き、本発明の第1の実施形態のジャック2のハウジング7と同様に構成されている。また、発明の第3の実施形態のジャックのハウジング71においては、
図12(B)に示すように、スリット14がハウジング71の周壁の左下側の角部に形成され、スリット14が把持部9の下面9Bと左面9Cとの境界部分において開口している。発明の第3の実施形態のジャックのハウジング71は、スリット14の配置を除き、本発明の第1の実施形態のジャック2のハウジング7と同様に構成されている。また、本発明の第4の実施形態のジャックのハウジング81においては、
図12(C)に示すように、スリット14がハウジング81の周壁の右下側の角部に形成され、スリット14が把持部9の右面9Dと下面9Bとの境界部分において開口している。また、これに伴い、本発明の第4の実施形態のジャックのハウジング81は、後述するように、各ロック穴15(ロック解除部16およびロック部17)の配置につき、本発明の第1の実施形態のジャック2のハウジング7と異なっている。本発明の第4の実施形態のジャックのハウジング81は、スリット14および各ロック穴15の配置を除き、本発明の第1の実施形態のジャック2のハウジング7と同様に構成されている。ハウジング61、71、81をそれぞれ有する本発明の第2~4の実施形態のジャックによれば、本発明の第1の実施形態のジャック2と同様に、作業者がジャックのハウジング61、71、81の把持部9を親指と人差し指で把持するとき、作業者の親指(または人差し指)がスリット14の開口部に当たり難くなるようにすることができる。したがって、作業者が、ジャックに対し、使い難いという印象を持つことをなくし、または減らすことができる。
【0062】
また、本発明の第1の実施形態のジャック2のハウジング7においては、プラグ31の2つのロック突部51と共に、ジャック2とプラグ31とを互いに抜け止めするバヨネット式のロック機構を構成する2つのロック穴15が、円筒状に形成された雌型接続部8の周壁に形成されている。そして、ジャック2を前から見たとき、雌型接続部8の周方向において、一方のロック穴15の位置は、一方のロック穴15のロック部17が把持部9の上面9Aの左右方向中央(幅方向中央)に位置するように定められ、他方のロック穴15の位置は、他方のロック穴15のロック部17が把持部9の下面9Bの左右方向中央(幅方向中央)に位置するように定められている。これにより、作業者は、ジャック2とプラグ31との接続時に、プラグ31のロック突部51がジャック2のロック穴15のロック部17内に位置し、ジャック2とプラグ31とが抜け止め状態になっていることを視覚的に容易にかつ確実に確認することができる。その結果、作業者は、ジャック2に対し、使い易いという印象を持つようになる。
【0063】
例えば、ジャック2とプラグ31との接続時に、作業者は、
図11(A)に示すように、ジャック2のハウジング7の把持部9の左面9Cと右面9Dを左手の親指と人差し指で把持し、また、プラグ31のハウジング41の把持部43の左面と右面を右手の親指と人差し指で把持し、
図10(A)~(C)に示すように、各ロック突部51をロック穴15のロック解除部16内に入れて、プラグ31を
図10(B)中の矢印B方向に回転させて、各ロック突部51をロック穴15のロック解除部16からロック部17へ移動させる。本実施形態のジャック2においては、ジャック2を前から見たとき、一方のロック穴15のロック部17が把持部9の上面9Aの左右方向中央(幅方向中央)に位置しているので、一方のロック突部51が一方のロック穴15のロック部17に移動したとき、当該ロック突部51の位置は、
図10(C)に示すように、把持部9の上面9Aの左右方向中央に対応する位置となる。一般に、人間は、長方形の平面の幅方向中央の位置を直感的に容易に、かつ、かなり高い精度で認識することができる。把持部9の上面9Aは長方形である。それゆえ、作業者は、上面9Aの左右方向中央の位置を直感的に容易にかつ高精度に認識することができる。したがって、作業者は、上面9Aの直前を左から右へ移動する一方のロック突部51が、上面9Aの左右方向中央に対応する位置に移動したことを直感的に容易にかつ高精度に認識することができる。すなわち、作業者は、一方のロック突部51が一方のロック穴15のロック部17に移動したことを直感的に容易にかつ高精度に認識することができる。そして、作業者は、一方のロック突部51が一方のロック穴15のロック部17に移動したことを認識することによって、ジャック2とプラグ31とが抜け止め状態になっていることを確認することができる。この点は、作業者がジャック2のハウジング7の把持部9の上面9Aと下面9Bを左手の親指と人差し指で把持し、また、プラグ31のハウジング41の把持部43の上面と下面を右手の親指と人差し指で把持してジャック2とプラグ31との接続した場合においても同じである。このように、本実施形態のジャック2によれば、作業者は、ジャック2とプラグ31との接続時に、把持部9の上面9A、下面9B、左面9Cまたは右面9Dの幅方向中央とロック突部51との位置関係(両者が合致していること)を目で確認することによって、ジャック2とプラグ31とが抜け止め状態になっていることを容易にかつ確実に認識することができる。
【0064】
図12(A)に示す本発明の第2の実施形態のジャックのハウジング61、および
図12(C)に示す本発明の第4の実施形態のジャックのハウジング81においては、ハウジング61(または81)を前から見たとき、一方のロック穴15は、雌型接続部8の周壁の最下部から最左部にかけて伸長しており、一方のロック穴15において、ロック解除部16は雌型接続部8の概ね最下部に位置し、ロック部17は雌型接続部8の最左部に位置している。その結果、一方のロック穴15のロック部17の位置は、把持部9の左面9Cの左右方向中央の位置と合致している。また、他方のロック穴15は、雌型接続部8の周壁の最上部から最右部にかけて伸長しており、他方のロック穴15において、ロック解除部16は雌型接続部8の概ね最上部に位置し、ロック部17は雌型接続部8の最右部に位置している。その結果、他方のロック穴15のロック部17の位置は、把持部9の右面9Dの左右方向中央の位置と合致している。また、
図12(B)に示す本発明の第3の実施形態のジャックのハウジング71においては、本発明の第1の実施形態のジャック2のハウジング7と同様に、ハウジング71を前から見たとき、一方のロック穴15は、雌型接続部8の周壁の最左部から最上部にかけて伸長しており、一方のロック穴15のロック部17は雌型接続部8の最上部に位置しており、その結果、一方のロック穴15のロック部17の位置は、把持部9の上面9Aの左右方向中央の位置と合致している。また、他方のロック穴15は、雌型接続部8の周壁の最右部から最下部にかけて伸長しており、他方のロック穴15のロック部17は雌型接続部8の最下部に位置しており、その結果、他方のロック穴15のロック部17の位置は、把持部9の下面9Bの左右方向中央の位置と合致している。ハウジング61、71、81をそれぞれ有する本発明の第2~4の実施形態のジャックによっても、本発明の第1の実施形態のジャック2と同様に、ジャック2とプラグ31とが抜け止め状態になっていることを視覚的に容易にかつ確実に確認することができるという効果が得られる。
【0065】
上述したように、本発明の第1および第3の実施形態のジャックのハウジング7、71においては、ハウジング7(または71)を前から見たとき、ロック穴15のロック部17の位置が把持部9の上面9Aまたは下面9Bの左右方向中央(幅方向中央)の位置と合致している。また、本発明の第2および第4の実施形態のジャックのハウジング61、81においては、ハウジング61(または81)を前から見たとき、ロック穴15のロック部17の位置が把持部9の左面9Cまたは右面9Dの上下方向中央(幅方向中央)の位置と合致している。これらの構成は、スリット14がハウジング7、61、71、81の周壁の角部に形成されていることによって実現可能となる。この点につき、4つの比較例をあげて説明する。
【0066】
図13(A)は第1の比較例のジャックのハウジング111の断面を示し、
図13(B)は第2の比較例のジャックのハウジング121の断面を示している。また、
図13(C)は第3の比較例のジャックのハウジング131の断面を示し、
図13(D)は第4の比較例のジャックのハウジング141の断面を示している。ハウジング111、121、131、141は、スリット164の配置および各ロック穴165の配置を除き、本発明の第1の実施形態のジャック2のハウジング7と同様に構成されている。また、
図13(A)~(D)におけるハウジング111、121、131、141の断面の位置(切断位置)は、
図6(B)に示すハウジング7の断面の位置と同じである。
【0067】
図13(A)に示す第1の比較例のジャックのハウジング111においては、スリット164がハウジング111の周壁の上部の左右方向中央に形成されている。また、
図13(B)に示す第2の比較例のジャックのハウジング121においては、スリット164がハウジング121の周壁の左部の上下方向中央に形成されている。また、
図13(C)に示す第3の比較例のジャックのハウジング131においては、スリット164がハウジング131の周壁の下部の左右方向中央に形成されている。また、
図13(D)に示す第4の比較例のジャックのハウジング141においては、スリット164がハウジング141の周壁の右部の上下方向中央に形成されている。
【0068】
また、ハウジング111、121、131、141のそれぞれにおいて、雌型接続部158の周壁には2つのロック穴165が形成され、これらロック穴165は雌型接続部158の周壁において180度異なる2箇所にそれぞれ配置され、各ロック穴165は雌型接続部158の周壁に沿って周方向に略90度伸長している。また、各ロック穴165の周方向一端部にはロック解除部166が形成され、各ロック穴15の周方向他端部にはロック部167が形成されている。また、雌型接続部158の周方向において、各ロック穴165の位置は、ロック穴165がスリット164と重ならないように設定されている。
図13(A)に示す第1の比較例のジャックのハウジング111においては、各ロック穴165が、ハウジング111の周壁の上部の左右方向中央に形成されたスリット164と重ならないようにするために、一方のロック穴165が雌型接続部158の周壁の左下部から左上部にかけての部分に形成され、他方のロック穴165が雌型接続部158の周壁の右上部から右下部にかけての部分に形成されている。その結果、一方のロック穴165のロック部167の位置も、他方のロック穴165のロック部167の位置も、把持部159の上面159Aの左右方向中央の位置、下面159Bの左右方向中央の位置、左面159Cの上下方向中央の位置、および右面159Dの上下方向中央の位置のいずれの位置にも合致していない。この点は、
図13(C)に示す第3の比較例のジャックのハウジング131においても同様である。また、
図13(B)に示す第2の比較例のジャックのハウジング121においては、各ロック穴165が、ハウジング121の周壁の左部の左右方向中央に形成されたスリット164と重ならないようにするために、一方のロック穴165が雌型接続部158の周壁の左上部から右上部にかけての部分に形成され、他方のロック穴165が雌型接続部158の周壁の右下部から左下部にかけての部分に形成されている。その結果、一方のロック穴165のロック部167の位置も、他方のロック穴165のロック部167の位置も、把持部159の上面159Aの左右方向中央の位置、下面159Bの左右方向中央の位置、左面159Cの上下方向中央の位置、および右面159Dの上下方向中央の位置のいずれの位置にも合致していない。この点は、
図13(D)に示す第4の比較例のジャックのハウジング141においても同様である。
【0069】
このように、スリット164がジャックのハウジングの周壁の上部または下部の左右方向中央に形成され、または、スリット164がジャックのハウジングの周壁の左部または右部の上下方向中央に形成されている場合には、一方のロック穴165のロック部167の位置も、他方のロック穴165のロック部167の位置も、把持部159の上面159Aの左右方向中央の位置、下面159Bの左右方向中央の位置、左面159Cの上下方向中央の位置、および右面159Dの上下方向中央の位置のいずれの位置にも合致しない。以上の説明からわかる通り、本発明の第1~4の実施形態のように、スリット14をジャックのハウジングの周壁の角部に形成することによって、ロック穴15のロック部17の位置を把持部9の上面9Aまたは下面9Bの左右方向中央の位置と合致させ、または、ロック穴15のロック部17の位置を把持部9の左面9Cまたは右面9Dの上下方向中央の位置と合致させることが可能になるのである。
【0070】
なお、本発明は、相手光コネクタと接続される接続部の周壁に、ロック穴ではなく、ロック突部が形成された光コネクタにも適用することができる。この場合には、スリットをハウジングの周壁の角部に形成し、接続部の外周面から径方向外向きに突出する2つのロック突部を接続部の外周面において180度異なる2箇所にそれぞれ形成し、当該光コネクタを前から見たとき、一方のロック突部の位置が把持部の上面の左右方向中央(または左面の上下方向中央)の位置に合致し、かつ他方のロック突部の位置が把持部の下面の左右方向中央(または右面の上下方向中央)の位置に合致するように、接続部の周方向における2つのロック突部の配置を設定する。
【0071】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う光コネクタもまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1 光コネクタ装置
2 ジャック(光コネクタ)
3 フェルール
7、61、71、81 ハウジング
8 雌型接続部(接続部)
9 把持部
9A 上面(第1の平面)
9B 下面(第2の平面)
9C 左面(第3の平面)
9D 右面(第4の平面)
11 フェルール収容部
13 ケーブル挿通部
14 スリット
15 ロック穴
16 ロック解除部
17 ロック部
31 プラグ(相手光コネクタ)
51 ロック突部
91、95 光ファイバケーブル