(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026527
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】ER+乳がんのラソフォキシフェン処置
(51)【国際特許分類】
A61K 31/40 20060101AFI20240220BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240220BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240220BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240220BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20240220BHJP
【FI】
A61K31/40
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K45/00
C12N15/09 Z ZNA
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023219161
(22)【出願日】2023-12-26
(62)【分割の表示】P 2023003699の分割
【原出願日】2017-10-10
(31)【優先権主張番号】62/406,859
(32)【優先日】2016-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/502,299
(32)【優先日】2017-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/457,759
(32)【優先日】2017-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507189666
【氏名又は名称】デューク ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ケイトリン アンドレアノ
(72)【発明者】
【氏名】チン-イー チャン
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド ピー. マクドネル
(72)【発明者】
【氏名】ステファニー エル. ゲイラード
(57)【要約】
【課題】ER+乳がんのラソフォキシフェン処置の方法。
【解決手段】本開示は、女性においてエストロゲン受容体陽性(ER+)がんを、有効量のラソフォキシフェン、薬学的に許容されるその塩、またはそのプロドラッグによって処置するための方法を提供する。本開示は、内分泌耐性をもたらすエストロゲン受容体1(ESR1)遺伝子変異の検出および内分泌耐性ER+がんの処置も含む。一局面において、上記方法は、エストロゲン受容体陽性(ER+)乳がんと診断された患者を処置のために選択するステップをさらに含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願図面に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願への相互参照
この出願は、2017年5月5日に出願された米国仮出願第62/502,299号;2017年2月10日に出願された同第62/457,759号および2016年10月11日に出願された同第62/406,859号(これらの各々は、それらの全体が参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。
【0002】
2.配列表
本出願は、EFS-Webを介して提出され、その全体が参考として本明細書に援用される配列表を含む。このASCIIコピーは、2017年10月9日に作成され、33498PCT_CRF_sequencelisting.txtという名称であり、2,119バイトのサイズである。
【背景技術】
【0003】
エストロゲン受容体陽性(ER+)乳がんは、エストロゲン受容体α(ERα)を発現する乳がんの群である。およそ70%の乳がんがER+であり、したがって内分泌療法によって処置される。内分泌療法は、エストロゲンのレベルの低下またはエストロゲンシグナル伝達の遮断によってER+乳がんを有する女性の転帰に著しい改善をもたらしてきた。しかしながら、その有効性は内因性および後天性の内分泌耐性によって制限される。
【0004】
近年の研究は、ER+乳がんの進行中の内分泌耐性の潜在的駆動因子として機能的なエストロゲン受容体1(ESR1)遺伝子変異の時間的な選択に関する証拠を示した。Jeselsohnら、Clinical Cancer Research 20巻(7号):1757~1767頁(2014年)参照。ESR1、ERαをコードする遺伝子の変異は、ERαタンパク質のコンフォメーションを変化させ、ERαタンパク質とその活性化補助因子との相互作用を増加させ、ホルモンの非存在下で受容体の活性型を促進し、腫瘍細胞のホルモン処置回避を補助する。ThomasおよびGustafsson、Trends in Endocrinology and Metabolism 26巻(9号):467~476頁(2015年)参照。
【0005】
したがって、ESR1に変異を持つ腫瘍の処置に有効であり、したがって内分泌耐性を発生したまたは内分泌耐性を発生するリスクがある乳がん患者を処置するのに使用され得る新しい治療戦略を開発することが依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Jeselsohnら、Clinical Cancer Research(2014年)20巻(7号):1757~1767頁
【非特許文献2】ThomasおよびGustafsson、Trends in Endocrinology and Metabolism(2015年)26巻(9号):467~476頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、ERαタンパク質のリガンド結合ドメイン(LBD)に4つのESR1変異、Y537S、Y537N、Y537CおよびD538Gを発現するERα発現構築物を作出し、これらの発現構築物を培養中の細胞に導入した。これらの変異は、内分泌療法によって処置されたER+転移性乳がん患者で見出される。Jeselsohnら、Nature Reviews Clinical Oncology 12巻(10号):573~583頁(2015年);Jeselsohnら、Clinical Cancer Research 20巻(7号):1757~1767頁(2014年);Robinsonら、Nature Genetics45巻(12号):1446~1451頁(2013年);ThomasおよびGustafsson、Trends in
Endocrinology and Metabolism 26巻(9号):467~476頁(2015年);ならびにToyら、Nature Genetics 45巻(12号):1439~1445頁(2013年)参照。
【0008】
エストロゲン受容体応答レポーター構築物を使用して、本発明者らは、卵巣細胞系および乳がん細胞系において、野生型ERαと比較して全ての変異体が構成的に活性であることを確認した。次いで、本発明者らは、細胞をラソフォキシフェン、選択的ER調節薬(SERM)によって処置し、ラソフォキシフェンが臨床的に達成可能な濃度で、用量応答様式でERα LBD変異体の転写活性を有効に阻害することを見出した。
【0009】
実験の第2のシリーズにおいて、本発明者らは、ラソフォキシフェンが、臨床的に達成可能な濃度で、Y537SまたはD538GのいずれかのESR1変異体受容体を安定にトランスフェクトした乳がん細胞系MCF7の生存度を低下させることができることを確認した。
【0010】
したがって、第1の態様では、女性の局所進行性または転移性乳がんを処置する方法を提示する。方法は、エストロゲン受容体陽性(ER+)局所進行性または転移性乳がんと診断された患者を処置のために選択するステップ、および選択された患者に有効量のラソフォキシフェン、薬学的に許容されるその塩、またはそのプロドラッグを投与するステップを含む。
【0011】
様々な実施形態では、選択された患者は、1つまたは複数のラインの内分泌療法によって以前に処置されている。ある特定の実施形態では、患者は、複数のラインの内分泌療法によって以前に処置されている。
【0012】
一部の実施形態では、患者が以前に処置された内分泌療法は、選択的ER調節薬(SERM)である。特定の実施形態では、SERMは、タモキシフェン、ラロキシフェン、バゼドキシフェン、トレミフェン、またはオスペミフェンである。
【0013】
一部の実施形態では、患者が以前に処置された内分泌療法は、選択的ER分解薬(SERD)である。ある特定の実施形態では、SERDは、フルベストラント、RAD1901、ARN-810(GDC-0810)、またはAZD9496である。
【0014】
一部の実施形態では、患者が以前に処置された内分泌療法は、アロマターゼ阻害薬である。ある特定の実施形態では、アロマターゼ阻害薬は、エキセメスタン(Aromasin(登録商標))、レトロゾール(Femara(登録商標))、またはアナストロゾール(Arimidex(登録商標))である。
【0015】
一部の実施形態では、患者は内分泌療法後に疾患進行を有する。一部の実施形態では、患者は内分泌療法に対して耐性である。
【0016】
様々な実施形態では、患者のがんは、エストロゲン受容体1(ESR1)遺伝子のリガンド結合ドメイン(LBD)内に少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異を有する。一部の実施形態では、患者は、エストロゲン受容体1(ESR1)遺伝子のリガンド結合ドメイン(LBD)内に少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異を有することが以前に決定されている。ある特定の実施形態では、方法は、患者がエストロゲン受容体1(ESR1)遺伝子のリガンド結合ドメイン(LBD)内に少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異を有することを決定する先行ステップをさらに含む。
【0017】
一部の実施形態では、少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異は、アミノ酸D538、Y537、L536、P535、V534、S463、V392、またはE380のいずれか1つにある。
【0018】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異は、アミノ酸D538にある。一部の好ましい実施形態では、変異はD538Gである。
【0019】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異は、アミノ酸Y537にある。一部の実施形態では、変異は、Y537S、Y537N、Y537C、またはY537Qである。一部の好ましい実施形態では、変異はY537Cである。
【0020】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異は、アミノ酸L536にある。一部の実施形態では、変異は、L536RまたはL536Qである。
【0021】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異は、アミノ酸P535にある。一部の実施形態では、変異はP535Hである。
【0022】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異は、アミノ酸V534にある。一部の実施形態では、変異はV534Eである。
【0023】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異は、アミノ酸S463にある。一部の実施形態では、変異はS463Pである。
【0024】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異は、アミノ酸V392にある。一部の実施形態では、変異はV392Iである。
【0025】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異は、アミノ酸E380にある。一部の実施形態では、変異はE380Qである。
【0026】
一部の実施形態では、患者の血清エストラジオールレベルは、少なくとも0.35ng/dLである。一部の実施形態では、患者の血清エストラジオールレベルは、約0.30ng/dL~約0.35ng/dLである。一部の実施形態では、患者の血清エストラジオールレベルは、約0.25ng/dL~約0.30ng/dLである。
【0027】
様々な実施形態では、ラソフォキシフェンは、選択されたER+局所進行性または転移性乳がん患者にラソフォキシフェン酒石酸塩として投与される。様々な実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口、静脈内、経皮、膣局部、または膣リング(vaginal ring)投与によって投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口投与によって投与される。これらの実施形態の一部では、ラソフォキシフェンは、経口(os)(p.o.)で約0.5mg/日~経口で約10mg/日で投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約0.5mg/日~経口で約5mg/日で投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約1mg/日~経口で約5mg/日で投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約1mg/日で投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約5mg/日で投与される。様々な実施形態では、ラソフォキシフェンは、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、または月に1回投与される。
【0028】
ある特定の実施形態では、方法は、少なくとも1つのさらなる内分泌療法によって患者を処置するステップをさらに含む。一部の実施形態では、患者は、元々の用量でさらなる内分泌療法によって処置される。一部の他の実施形態では、患者は、元々の用量より高い用量でさらなる内分泌療法によって処置される。ある特定の実施形態では、さらなる内分泌療法は、ラソフォキシフェン以外の選択的ER調節薬(SERM)による処置である。ある特定の実施形態では、さらなる内分泌療法は、選択的ER分解薬(SERD)による処置である。ある特定の実施形態では、さらなる内分泌療法は、アロマターゼ阻害薬による処置である。
【0029】
様々な実施形態では、方法は、ER+局所進行性または転移性乳がん患者に有効量のサイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬を投与するステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、CDK4/6阻害薬は、パルボシクリブ、アベマシクリブ、またはリボシクリブである。一部の実施形態では、方法は、患者に有効量のラパマイシンの哺乳類標的(mTOR)阻害薬を投与するステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、mTOR阻害薬はエベロリムスである。一部の実施形態では、方法は、患者に有効量のホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害薬または熱ショックタンパク質90(HSP90)阻害薬を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、患者に有効量のヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)阻害薬を投与するステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、HER2阻害薬は、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))またはトラスツズマブエムタンシン(ado-trastuzumab emtansine)(Kadcyla(登録商標))である。一部の実施形態では、方法は、患者に有効量のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害薬を投与するステップをさらに含む。これらの実施形態の一部では、HDAC阻害薬は、ボリノスタット(Zolinza(登録商標))、ロミデプシン(Istodax(登録商標))、チダミド(chidamide)(Epidaza(登録商標))、パノビノスタット(Farydak(登録商標))、ベリノスタット(Beleodaq(登録商標)、PXD101)、バルプロ酸(Depakote(登録商標)、Depakene(登録商標)、Stavzor(登録商標))、モセチノスタット(MGCD0103)、アベキシノスタット(PCI-24781)、エンチノスタット(MS-275)、プラシノスタット(pracinostat)(SB939)、レスミノスタット(4SC-201)、ギビノスタット(ITF2357)、キシノスタット(JNJ-26481585)、ケベトリン(kevetrin)、CUDC-101、AR-42、テフィノスタット(CHR-2835)、CHR-3996、4SC202、CG200745、ロシリノスタット(rocilinostat)(ACY-1215)、またはスルホラファンである。一部の実施形態では、方法は、患者に有効量のチェックポイント阻害薬を投与するステップをさらに含む。これらの実施形態の一部では、チェックポイント阻害薬は、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、プログラム死-リガンド1(PD-L1)、または細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)に特異的な抗体である。ある特定の実施形態では、PD-1抗体は、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))またはニボルマブ(Opdivo(登録商標))である。ある特定の実施形態では、CTLA-4抗体はイピリムマブ(Yervoy(登録商標))である。一部の実施形態では、方法は、患者に有効量のがんワクチンを投与するステップをさらに含む。
【0030】
一部の実施形態では、患者は閉経前である。ある特定の実施形態では、患者は、局所進行性または転移性ER+/HER2-乳がんを有する。これらの実施形態の一部では、患者は、非ステロイドアロマターゼ阻害薬(AI)、フルベストラント、CDK4/6阻害薬と組み合わせたAI、またはCDK4/6阻害薬と組み合わせたフルベストラントの間、第1のホルモン処置中に進行している。
【0031】
一部の実施形態では、患者は閉経前後である。ある特定の実施形態では、患者は、局所進行性または転移性ER+/HER2-乳がんを有する。これらの実施形態の一部では、患者は、非ステロイドアロマターゼ阻害薬(AI)、フルベストラント、CDK4/6阻害薬と組み合わせたAI、またはCDK4/6阻害薬と組み合わせたフルベストラントの間、第1のホルモン処置中に進行している。
【0032】
一部の実施形態では、患者は閉経後である。ある特定の実施形態では、患者は、局所進行性または転移性ER+/HER2-乳がんを有する。これらの実施形態の一部では、患者は、非ステロイドアロマターゼ阻害薬(AI)、フルベストラント、CDK4/6阻害薬と組み合わせたAI、またはCDK4/6阻害薬と組み合わせたフルベストラントの間、第1のホルモン処置中に進行している。
【0033】
別の態様では、女性の原発性乳がんを処置する方法を提示する。方法は、エストロゲン受容体陽性(ER+)原発性乳がんと診断された患者を処置のために選択するステップ、および選択された患者に有効量のラソフォキシフェン、薬学的に許容されるその塩、またはそのプロドラッグを投与するステップを含む。
【0034】
様々な実施形態では、ラソフォキシフェンは、選択されたER+原発性乳がん患者にラソフォキシフェン酒石酸塩として投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口、静脈内、経皮、膣局部、または膣リング投与によって投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口投与によって投与される。これらの実施形態の一部では、ラソフォキシフェンは、経口で約0.5mg/日~経口で約10mg/日で投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約0.5mg/日~経口で約5mg/日で投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約1mg/日~経口で約5mg/日で投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約1mg/日で投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約5mg/日で投与される。様々な実施形態では、ラソフォキシフェンは、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、または月に1回投与される。
【0035】
様々な実施形態では、ER+原発性乳がんを処置する方法は、少なくとも1つのさらなる内分泌療法によって患者を処置するステップをさらに含む。一部の実施形態では、患者は、元々の用量でさらなる内分泌療法によって処置される。一部の他の実施形態では、患者は、元々の用量より高い用量でさらなる内分泌療法によって処置される。ある特定の実施形態では、さらなる内分泌療法は、ラソフォキシフェン以外の選択的ER調節薬(SERM)による処置である。ある特定の実施形態では、さらなる内分泌療法は、選択的ER分解薬(SERD)による処置である。ある特定の実施形態では、さらなる内分泌療法は、アロマターゼ阻害薬による処置である。
【0036】
様々な実施形態では、方法は、ER+原発性乳がん患者に有効量のサイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬を投与するステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、CDK4/6阻害薬は、パルボシクリブ、アベマシクリブ、またはリボシクリブである。一部の実施形態では、方法は、患者に有効量のラパマイシンの哺乳類標的(mTOR)阻害薬を投与するステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、mTOR阻害薬はエベロリムスである。一部の実施形態では、方法は、患者に有効量のホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害薬または熱ショックタンパク質90(HSP90)阻害薬を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、患者に有効量のヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)阻害薬を投与するステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、HER2阻害薬は、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))またはトラスツズマブエムタンシン(Kadcyla(登録商標))である。一部の実施形態では、方法は、患者に有効量のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害薬を投与するステップをさらに含む。これらの実施形態の一部では、HDAC阻害薬は、ボリノスタット(Zolinza(登録商標))、ロミデプシン(Istodax(登録商標))、チダミド(Epidaza(登録商標))、パノビノスタット(Farydak(登録商標))、ベリノスタット(Beleodaq(登録商標)、PXD101)、バルプロ酸(Depakote(登録商標)、Depakene(登録商標)、Stavzor(登録商標))、モセチノスタット(MGCD0103)、アベキシノスタット(PCI-24781)、エンチノスタット(MS-275)、プラシノスタット(SB939)、レスミノスタット(4SC-201)、ギビノスタット(ITF2357)、キシノスタット(JNJ-26481585)、ケベトリン、CUDC-101、AR-42、テフィノスタット(CHR-2835)、CHR-3996、4SC202、CG200745、ロシリノスタット(ACY-1215)、またはスルホラファンである。一部の実施形態では、方法は、患者に有効量のチェックポイント阻害薬を投与するステップをさらに含む。これらの実施形態の一部では、チェックポイント阻害薬は、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、プログラム死-リガンド1(PD-L1)、または細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)に特異的な抗体である。ある特定の実施形態では、PD-1抗体は、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))またはニボルマブ(Opdivo(登録商標))である。ある特定の実施形態では、CTLA-4抗体はイピリムマブ(Yervoy(登録商標))である。一部の実施形態では、方法は、患者に有効量のがんワクチンを投与するステップをさらに含む。
【0037】
ある特定の実施形態では、患者は閉経前である。ある特定の実施形態では、患者は閉経前後である。ある特定の実施形態では、患者は閉経後である。
【0038】
別の態様では、エストロゲン受容体陽性(ER+)乳がんのアジュバント療法の方法を提示する。方法は、ER+乳がんの一次処置を受けた患者に有効量のラソフォキシフェン、薬学的に許容されるその塩、またはそのプロドラッグをアロマターゼ阻害薬と組み合わせて投与するステップを含む。
【0039】
一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、アロマターゼ阻害薬の投与中に連続的に投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、アロマターゼ阻害薬の投与中に周期的に投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンの投薬レジメンは、アロマターゼ阻害薬の投薬レジメンとは異なる。
【0040】
様々な実施形態では、ラソフォキシフェンは、ラソフォキシフェン酒石酸塩としてアロマターゼ阻害薬と組み合わせてアジュバント療法として投与される。一部の実施形態では、アロマターゼ阻害薬は、エキセメスタン(Aromasin(登録商標))、レトロゾール(Femara(登録商標))、またはアナストロゾール(Arimidex(登録商標))である。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口、静脈内、経皮、膣局部、または膣リング投与によって投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口投与によって投与される。これらの実施形態の一部では、ラソフォキシフェンは、経口で約0.5mg/日~経口で約10mg/日で投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約0.5mg/日~経口で約5mg/日で投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約1mg/日~経口で約5mg/日で投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約1mg/日で投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約5mg/日で投与される。様々な実施形態では、ラソフォキシフェンは、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、または月に1回投与される。
【0041】
様々な実施形態では、エストロゲン受容体陽性(ER+)乳がんのアジュバント療法の方法は、少なくとも1つのさらなる内分泌療法によって患者を処置するステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、さらなる内分泌療法は、選択的ER分解薬(SERD)による処置である。
【0042】
様々な実施形態では、エストロゲン受容体陽性(ER+)乳がんのアジュバント療法の方法は、患者に有効量のサイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬を投与するステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、CDK4/6阻害薬は、パルボシクリブ、アベマシクリブ、またはリボシクリブである。一部の実施形態では、方法は、患者に有効量のラパマイシンの哺乳類標的(mTOR)阻害薬を投与するステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、mTOR阻害薬はエベロリムスである。一部の実施形態では、方法は、患者に有効量のホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害薬または熱ショックタンパク質90(HSP90)阻害薬を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、患者に有効量のヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)阻害薬を投与するステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、HER2阻害薬は、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))またはトラスツズマブエムタンシン(Kadcyla(登録商標))である。一部の実施形態では、方法は、患者に有効量のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害薬を投与するステップをさらに含む。これらの実施形態の一部では、HDAC阻害薬は、ボリノスタット(Zolinza(登録商標))、ロミデプシン(Istodax(登録商標))、チダミド(Epidaza(登録商標))、パノビノスタット(Farydak(登録商標))、ベリノスタット(Beleodaq(登録商標)、PXD101)、バルプロ酸(Depakote(登録商標)、Depakene(登録商標)、Stavzor(登録商標))、モセチノスタット(MGCD0103)、アベキシノスタット(PCI-24781)、エンチノスタット(MS-275)、プラシノスタット(SB939)、レスミノスタット(4SC-201)、ギビノスタット(ITF2357)、キシノスタット(JNJ-26481585)、ケベトリン、CUDC-101、AR-42、テフィノスタット(CHR-2835)、CHR-3996、4SC202、CG200745、ロシリノスタット(ACY-1215)、またはスルホラファンである。一部の実施形態では、方法は、患者に有効量のチェックポイント阻害薬を投与するステップをさらに含む。これらの実施形態の一部では、チェックポイント阻害薬は、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、プログラム死-リガンド1(PD-L1)、または細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)に特異的な抗体である。ある特定の実施形態では、PD-1抗体は、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))またはニボルマブ(Opdivo(登録商標))である。ある特定の実施形態では、CTLA-4抗体はイピリムマブ(Yervoy(登録商標))である。一部の実施形態では、方法は、患者に有効量のがんワクチンを投与するステップをさらに含む。
【0043】
一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、骨量(bone mass)を改善するのに十分な量およびスケジュールで投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、VVAの症状を改善するのに十分な量およびスケジュールで投与される。
【0044】
ある特定の実施形態では、患者は閉経前である。ある特定の実施形態では、患者は閉経前後である。ある特定の実施形態では、患者は閉経後である。
【0045】
別の態様では、女性の乳がん以外のがんを処置する方法を提示する。方法は、乳がん以外のエストロゲン受容体陽性(ER+)がんと診断され、エストロゲン受容体1(ESR1)遺伝子に少なくとも1つの機能獲得型変異を有する患者を処置のために選択するステップ、および選択された患者に有効量のラソフォキシフェン、薬学的に許容されるその塩、またはそのプロドラッグを投与するステップを含む。一部の実施形態では、患者は、ER+卵巣がんと診断されている。一部の他の実施形態では、患者は、ER+肺がんと診断されている。
【0046】
様々な実施形態では、ラソフォキシフェンは、乳がん以外のER+がんを有する選択された患者にラソフォキシフェン酒石酸塩として投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口、静脈内、経皮、膣局部、または膣リング投与によって投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口投与によって投与される。これらの実施形態の一部では、ラソフォキシフェンは、経口で約0.5mg/日~経口で約10mg/日で投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約0.5mg/日~経口で約5mg/日で投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約1mg/日~経口で約5mg/日で投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約1mg/日で投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約5mg/日で投与される。様々な実施形態では、ラソフォキシフェンは、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、または月に1回投与される。
【0047】
様々な実施形態では、乳がん以外のER+がんを処置する方法は、少なくとも1つのさらなる内分泌療法によって患者を処置するステップをさらに含む。一部の実施形態では、患者は、元々の用量でさらなる内分泌療法によって処置される。一部の他の実施形態では、患者は、元々の用量より高い用量でさらなる内分泌療法によって処置される。ある特定の実施形態では、さらなる内分泌療法は、ラソフォキシフェン以外の選択的ER調節薬(SERM)による処置である。ある特定の実施形態では、さらなる内分泌療法は、選択的ER分解薬(SERD)による処置である。ある特定の実施形態では、さらなる内分泌療法は、アロマターゼ阻害薬による処置である。
【0048】
様々な実施形態では、方法は、乳がん以外のER+がんを有する患者に有効量のサイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬を投与するステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、CDK4/6阻害薬は、パルボシクリブ、アベマシクリブ、またはリボシクリブである。一部の実施形態では、方法は、患者に有効量のラパマイシンの哺乳類標的(mTOR)阻害薬を投与するステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、mTOR阻害薬はエベロリムスである。一部の実施形態では、方法は、患者に有効量のホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害薬または熱ショックタンパク質90(HSP90)阻害薬を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、患者に有効量のヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)阻害薬を投与するステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、HER2阻害薬は、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))またはトラスツズマブエムタンシン(Kadcyla(登録商標))である。一部の実施形態では、方法は、患者に有効量のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害薬を投与するステップをさらに含む。これらの実施形態の一部では、HDAC阻害薬は、ボリノスタット(Zolinza(登録商標))、ロミデプシン(Istodax(登録商標))、チダミド(Epidaza(登録商標))、パノビノスタット(Farydak(登録商標))、ベリノスタット(Beleodaq(登録商標)、PXD101)、バルプロ酸(Depakote(登録商標)、Depakene(登録商標)、Stavzor(登録商標))、モセチノスタット(MGCD0103)、アベキシノスタット(PCI-24781)、エンチノスタット(MS-275)、プラシノスタット(SB939)、レスミノスタット(4SC-201)、ギビノスタット(ITF2357)、キシノスタット(JNJ-26481585)、ケベトリン、CUDC-101、AR-42、テフィノスタット(CHR-2835)、CHR-3996、4SC202、CG200745、ロシリノスタット(ACY-1215)、またはスルホラファンである。一部の実施形態では、方法は、患者に有効量のチェックポイント阻害薬を投与するステップをさらに含む。これらの実施形態の一部では、チェックポイント阻害薬は、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、プログラム死-リガンド1(PD-L1)、または細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)に特異的な抗体である。ある特定の実施形態では、PD-1抗体は、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))またはニボルマブ(Opdivo(登録商標))である。ある特定の実施形態では、CTLA-4抗体はイピリムマブ(Yervoy(登録商標))である。一部の実施形態では、方法は、患者に有効量のがんワクチンを投与するステップをさらに含む。
【0049】
ある特定の実施形態では、患者は閉経前である。ある特定の実施形態では、患者は閉経前後である。ある特定の実施形態では、患者は閉経後である。
【0050】
別の態様では、エストロゲン受容体1(ESR1)遺伝子のリガンド結合ドメイン(LBD)内に機能獲得型ミスセンス変異を獲得するリスクがある、乳がんを患っている女性患者を処置する方法を提示する。方法は、女性患者に有効量のラソフォキシフェン、薬学的に許容されるその塩、またはそのプロドラッグを投与するステップを含む。
【0051】
別の態様では、内分泌療法に対する耐性を獲得するリスクがある、乳がんを患っている女性患者を処置する方法を提示する。内分泌療法は、任意選択で、(i)選択的ER調節薬(SERM)療法、(ii)選択的ER分解薬(SERD)療法、(iii)アロマターゼ阻害薬(AI)療法、または(iv)(i)、(ii)および/もしくは(iii)の任意の組み合わせである。方法は、女性患者に有効量のラソフォキシフェン、薬学的に許容されるその塩、またはそのプロドラッグを投与するステップを含む。
【0052】
一部の実施形態では、患者は原発性乳がんを有する。これらの実施形態の一部では、原発性乳がんは局所進行性である。
【0053】
様々な実施形態では、患者は、内分泌療法によって処置されており、任意選択で、内分泌療法は、(i)選択的ER調節薬(SERM)療法、(ii)選択的ER分解薬(SERD)療法、(iii)アロマターゼ阻害薬(AI)療法、または(iv)(i)、(ii)および/もしくは(iii)の任意の組み合わせである。
【0054】
別の態様では、エストロゲン受容体陽性(ER+)原発性乳がんを患っている女性患者を処置する方法を提示する。方法は、女性患者に有効量のラソフォキシフェン、薬学的に許容されるその塩、またはそのプロドラッグを投与するステップを含む。
【0055】
一部の実施形態では、患者は、内分泌療法に対する耐性を獲得するリスクがあり、任意選択で、内分泌療法は、(i)選択的ER調節薬(SERM)療法、(ii)選択的ER分解薬(SERD)療法、(iii)アロマターゼ阻害薬(AI)療法、または(iv)(i)、(ii)および/もしくは(iii)の任意の組み合わせである。
【0056】
ある特定の実施形態では、原発性乳がんは局所進行性である。
【0057】
一部の実施形態では、患者は、内分泌療法によって処置されており、任意選択で、内分泌療法は、(i)選択的ER調節薬(SERM)療法、(ii)選択的ER分解薬(SERD)療法、(iii)アロマターゼ阻害薬(AI)療法、または(iv)(i)、(ii)および/もしくは(iii)の任意の組み合わせである。
【0058】
別の態様では、エストロゲン受容体陽性(ER+)局所進行性または転移性乳がんを患っている女性患者を処置する方法を提示する。方法は、女性患者に有効量のラソフォキシフェン、薬学的に許容されるその塩、またはそのプロドラッグを投与するステップを含む。
【0059】
様々な実施形態では、選択された患者は、1つまたは複数のラインの内分泌療法によって以前に処置されている。ある特定の実施形態では、患者は、複数のラインの内分泌療法によって以前に処置されている。
【0060】
一部の実施形態では、患者が以前に処置された内分泌療法は、選択的ER調節薬(SERM)である。ある特定の実施形態では、SERMは、タモキシフェン、ラロキシフェン、バゼドキシフェン、トレミフェン、またはオスペミフェンである。
【0061】
一部の実施形態では、患者が以前に処置された内分泌療法は、選択的ER分解薬(SERD)である。ある特定の実施形態では、SERDは、フルベストラント、RAD1901、ARN-810(GDC-0810)、またはAZD9496である。
【0062】
一部の実施形態では、患者が以前に処置された内分泌療法は、アロマターゼ阻害薬である。ある特定の実施形態では、アロマターゼ阻害薬は、エキセメスタン(Aromasin(登録商標))、レトロゾール(Femara(登録商標))、またはアナストロゾール(Arimidex(登録商標))である。
【0063】
一部の実施形態では、患者は内分泌療法後に疾患進行を有する。一部の実施形態では、患者は内分泌療法に対して耐性である。
【0064】
様々な実施形態では、患者のがんは、エストロゲン受容体1(ESR1)遺伝子のリガンド結合ドメイン(LBD)内に少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異を有する。一部の実施形態では、患者は、エストロゲン受容体1(ESR1)遺伝子のリガンド結合ドメイン(LBD)内に少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異を有することが以前に決定されている。ある特定の実施形態では、方法は、患者がエストロゲン受容体1(ESR1)遺伝子のリガンド結合ドメイン(LBD)内に少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異を有することを決定する先行ステップをさらに含む。
【0065】
一部の実施形態では、少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異は、アミノ酸D538、Y537、L536、P535、V534、S463、V392、またはE380のいずれか1つにある。
【0066】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異は、アミノ酸D538にある。一部の好ましい実施形態では、変異はD538Gである。
【0067】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異は、アミノ酸Y537にある。一部の実施形態では、変異は、Y537S、Y537N、Y537C、またはY537Qである。一部の好ましい実施形態では、変異はY537Cである。
【0068】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異は、アミノ酸L536にある。一部の実施形態では、変異は、L536RまたはL536Qである。
【0069】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異は、アミノ酸P535にある。一部の実施形態では、変異はP535Hである。
【0070】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異は、アミノ酸V534にある。一部の実施形態では、変異はV534Eである。
【0071】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異は、アミノ酸S463にある。一部の実施形態では、変異はS463Pである。
【0072】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異は、アミノ酸V392にある。一部の実施形態では、変異はV392Iである。
【0073】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異は、アミノ酸E380にある。一部の実施形態では、変異はE380Qである。
【0074】
様々な実施形態では、ラソフォキシフェンは、選択されたER+局所進行性または転移性乳がん患者にラソフォキシフェン酒石酸塩として投与される。様々な実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口、静脈内、経皮、膣局部、または膣リング投与によって投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口投与によって投与される。これらの実施形態の一部では、ラソフォキシフェンは、経口(p.o.)で約0.5mg/日~経口で約10mg/日で投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約0.5mg/日~経口で約5mg/日で投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約1mg/日~経口で約5mg/日で投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約1mg/日で投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約5mg/日で投与される。様々な実施形態では、ラソフォキシフェンは、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、または月に1回投与される。
【0075】
ある特定の実施形態では、方法は、少なくとも1つのさらなる内分泌療法によって患者を処置するステップをさらに含む。一部の実施形態では、患者は、元々の用量でさらなる内分泌療法によって処置される。一部の他の実施形態では、患者は、元々の用量より高い用量でさらなる内分泌療法によって処置される。ある特定の実施形態では、さらなる内分泌療法は、ラソフォキシフェン以外の選択的ER調節薬(SERM)による処置である。ある特定の実施形態では、さらなる内分泌療法は、選択的ER分解薬(SERD)による処置である。ある特定の実施形態では、さらなる内分泌療法は、アロマターゼ阻害薬による処置である。
【0076】
様々な実施形態では、方法は、ER+局所進行性または転移性乳がん患者に有効量のサイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬を投与するステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、CDK4/6阻害薬は、パルボシクリブ、アベマシクリブ、またはリボシクリブである。一部の実施形態では、方法は、患者に有効量のラパマイシンの哺乳類標的(mTOR)阻害薬を投与するステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、mTOR阻害薬はエベロリムスである。一部の実施形態では、方法は、患者に有効量のホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害薬または熱ショックタンパク質90(HSP90)阻害薬を投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、患者に有効量のヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)阻害薬を投与するステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、HER2阻害薬は、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))またはトラスツズマブエムタンシン(Kadcyla(登録商標))である。一部の実施形態では、方法は、患者に有効量のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害薬を投与するステップをさらに含む。これらの実施形態の一部では、HDAC阻害薬は、ボリノスタット(Zolinza(登録商標))、ロミデプシン(Istodax(登録商標))、チダミド(Epidaza(登録商標))、パノビノスタット(Farydak(登録商標))、ベリノスタット(Beleodaq(登録商標)、PXD101)、バルプロ酸(Depakote(登録商標)、Depakene(登録商標)、Stavzor(登録商標))、モセチノスタット(MGCD0103)、アベキシノスタット(PCI-24781)、エンチノスタット(MS-275)、プラシノスタット(SB939)、レスミノスタット(4SC-201)、ギビノスタット(ITF2357)、キシノスタット(JNJ-26481585)、ケベトリン、CUDC-101、AR-42、テフィノスタット(CHR-2835)、CHR-3996、4SC202、CG200745、ロシリノスタット(ACY-1215)、またはスルホラファンである。一部の実施形態では、方法は、患者に有効量のチェックポイント阻害薬を投与するステップをさらに含む。これらの実施形態の一部では、チェックポイント阻害薬は、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、プログラム死-リガンド1(PD-L1)、または細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)に特異的な抗体である。ある特定の実施形態では、PD-1抗体は、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))またはニボルマブ(Opdivo(登録商標))である。ある特定の実施形態では、CTLA-4抗体はイピリムマブ(Yervoy(登録商標))である。一部の実施形態では、方法は、患者に有効量のがんワクチンを投与するステップをさらに含む。
【0077】
一部の実施形態では、患者は閉経前である。ある特定の実施形態では、患者は、局所進行性または転移性ER+/HER2-乳がんを有する。これらの実施形態の一部では、患者は、非ステロイドアロマターゼ阻害薬(AI)、フルベストラント、CDK4/6阻害薬と組み合わせたAI、またはCDK4/6阻害薬と組み合わせたフルベストラントの間、第1のホルモン処置中に進行している。
【0078】
一部の実施形態では、患者は閉経前後である。ある特定の実施形態では、患者は、局所進行性または転移性ER+/HER2-乳がんを有する。これらの実施形態の一部では、患者は、非ステロイドアロマターゼ阻害薬(AI)、フルベストラント、CDK4/6阻害薬と組み合わせたAI、またはCDK4/6阻害薬と組み合わせたフルベストラントの間、第1のホルモン処置中に進行している。
【0079】
一部の実施形態では、患者は閉経後である。ある特定の実施形態では、患者は、局所進行性または転移性ER+/HER2-乳がんを有する。これらの実施形態の一部では、患者は、非ステロイドアロマターゼ阻害薬(AI)、フルベストラント、CDK4/6阻害薬と組み合わせたAI、またはCDK4/6阻害薬と組み合わせたフルベストラントの間、第1のホルモン処置中に進行している。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
エストロゲン受容体陽性(ER+)乳がんを患っている女性患者を処置する方法であって、
女性患者に有効量のラソフォキシフェン、薬学的に許容されるその塩、またはそのプロドラッグを投与するステップを含む、方法。
(項目2)
エストロゲン受容体陽性(ER+)乳がんと診断された患者を処置のために選択するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記患者にアロマターゼ阻害薬、CDK4/6阻害薬、mTOR阻害薬、PI3K阻害薬、HSP90阻害薬、HER2阻害薬、およびHDAC阻害薬からなる群より選択される薬剤を投与するステップをさらに含む、項目1または項目2に記載の方法。
(項目4)
ラソフォキシフェンまたはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグが、アジュバント療法として投与される、項目1から3のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
前記患者の乳がんが、内分泌療法に対して耐性である、項目1から4のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
前記患者のがんが、エストロゲン受容体1(ESR1)遺伝子のリガンド結合ドメイン(LBD)内に少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異を有する、項目1から5のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
前記患者がエストロゲン受容体1(ESR1)遺伝子のリガンド結合ドメイン(LBD)内に少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異を有することが以前に決定されている、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記患者がエストロゲン受容体1(ESR1)遺伝子のリガンド結合ドメイン(LBD)内に少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異を有することを決定する先行ステップをさらに含む、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異が、アミノ酸D538、Y537、L536、P535、V534、S463、V392、およびE380のいずれか1つにある、項目6から8のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
前記少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異が、アミノ酸D538にある、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記変異がD538Gである、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異が、アミノ酸Y537にある、項目9に記載の方法。
(項目13)
前記変異が、Y537S、Y537N、Y537C、またはY537Qである、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記変異がY537Cである、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異が、アミノ酸L536にある、項目
9に記載の方法。
(項目16)
前記変異が、L536RまたはL536Qである、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異が、アミノ酸P535にある、項目9に記載の方法。
(項目18)
前記変異がP535Hである、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異が、アミノ酸V534にある、項目9に記載の方法。
(項目20)
前記変異がV534Eである、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異が、アミノ酸S463にある、項目9に記載の方法。
(項目22)
前記変異がS463Pである、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異が、アミノ酸V392にある、項目9に記載の方法。
(項目24)
前記変異がV392Iである、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異が、アミノ酸E380にある、項目9に記載の方法。
(項目26)
前記変異がE380Qである、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記患者が内分泌療法に対する耐性を獲得するリスクがあり、任意選択で、前記内分泌療法が、(i)選択的ER調節薬(SERM)療法、(ii)選択的ER分解薬(SERD)療法、(iii)アロマターゼ阻害薬療法、または(iv)(i)、(ii)および/もしくは(iii)の任意の組み合わせである、項目1から4のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
前記患者が、エストロゲン受容体1(ESR1)遺伝子のリガンド結合ドメイン(LBD)内に機能獲得型ミスセンス変異を獲得するリスクがある、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記患者が、1つまたは複数のラインの内分泌療法によって以前に処置されている、項目27または28に記載の方法。
(項目30)
前記患者が、前記乳がんの一次療法またはアジュバント療法として以前のラインの内分泌療法を受けている、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記ER+乳がんが原発性乳がんである、項目1から30のいずれか一項に記載の方法。
(項目32)
前記ER+乳がんが局所進行性乳がんである、項目1から30のいずれか一項に記載の方法。
(項目33)
前記ER+乳がんが転移性乳がんである、項目1から30のいずれか一項に記載の方法。
(項目34)
女性において乳がん以外のがんを処置する方法であって、
a)乳がん以外のエストロゲン受容体陽性(ER+)がんを有すると診断され、エストロゲン受容体1(ESR1)遺伝子において少なくとも1つの機能獲得型変異を有する患者を処置のために選択するステップ、および
b)選択された前記患者に有効量のラソフォキシフェン、薬学的に許容されるその塩、またはそのプロドラッグを投与するステップ
を含む、方法。
【0080】
本発明のこれらのならびに他の特色、態様、および利点は、以下の説明および添付の図面に関してより理解されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【
図1】
図1Aおよび
図1Bは、Caov2卵巣癌細胞におけるESR1リガンド結合ドメイン(「LBD」)変異へのラソフォキシフェンの効果を示し、
図1Aは、変異体受容体が構成的に活性であり、17-βエストラジオール(「E2」)に応答しないことを実証し、
図1Bは、ラソフォキシフェンが用量応答様式で変異体受容体活性を阻害することを実証する。
【0082】
【
図2】
図2Aおよび
図2Bは、SKBR3乳腺癌細胞におけるESR1 LBD変異へのラソフォキシフェンの効果を示し、
図2Aは、変異体受容体が構成的に活性であり、17-βエストラジオール(E2)に応答しないことを実証し、
図2Bは、ラソフォキシフェンが用量応答様式で変異体受容体活性を阻害することを実証する。
【0083】
【
図3】
図3Aおよび
図3Bは、安定にトランスフェクトされたMCF7乳がん細胞におけるESR1 LBD変異へのラソフォキシフェンの効果を示し、
図3Aは、ラソフォキシフェンが漸増用量滴定によりY537S変異体受容体活性を阻害することを実証し、
図3Bは、ラソフォキシフェンが漸増用量滴定によりD538G変異体受容体活性を阻害することを実証する。
【発明を実施するための形態】
【0084】
内分泌療法は、ER+乳がんの処置および予防に使用されることが多い。異なる型の内分泌療法は、選択的ER調節薬(SERM)、例えばタモキシフェン;選択的ER分解薬(SERD)、例えばフルベストラント;およびアロマターゼ阻害薬(AI)を含む。内分泌療法は、ER+乳がんを有する女性の転帰に著しい改善をもたらすが、その有効性は内因性および後天性の内分泌耐性によって制限される。内分泌耐性のメカニズムに関する近年の研究は、いくつかの場合では、エストロゲン受容体1(ESR1)遺伝子変異が、構成的に活性な状態へとERαタンパク質のコンフォメーション変化をもたらし、タモキシフェン、フルベストラント、およびエストロゲン欠乏に比較的耐性であるリガンド非依存的活性を生じることを示している。Jeselsohnら、Clinical Cancer Research 20巻(7号):1757~1767頁(2014年)参照。
【0085】
ラソフォキシフェンは、非ステロイド性選択的ER調節薬(SERM)である。それは、エストロゲン受容体に高い結合親和性を有し、組織選択的エストロゲンアゴニストまたはアンタゴニストとして作用する。二重盲検、プラセボ対照、無作為化のラソフォキシフェンによる閉経後評価およびリスク低減(PEARL)試験において、ラソフォキシフェンは骨粗鬆症のリスクを低減することが見出された。Cummingsら、The New England Journal of Medicine 326巻(8号):686~696頁(2010年)参照。PEARL試験において、ラソフォキシフェンは、骨粗鬆症の閉経後の女性において、乳がんのリスクを低減することも見出された。LaCroixら、Journal of the National Cancer Institute 102巻(22号):1706~1715頁(2010年)参照。しかしながら、乳がんの処置としてのラソフォキシフェンの効果、および内分泌耐性を有するがんへのその効果は以前に決定されていない。
【0086】
ESR1遺伝子に作出した変異を有する細胞系を使用して、本発明者らは、臨床的に達成可能な濃度で、用量応答的様式でラソフォキシフェンが変異体受容体活性を阻害することを発見し、その有効性が内分泌耐性によって排除されないラソフォキシフェンを使用して、ESR1変異を有するがんを含む、ER+局所進行性または転移性乳がん、ER+原発性乳がん、および他のER+がんを処置する方法を新たに可能にした。
【0087】
6.1.処置の方法
したがって、第1の態様では、女性のがんを処置する方法であって、エストロゲン受容体陽性(ER+)がんと診断された患者を処置のために選択するステップを含む方法を本明細書において開示する。選択された患者は、有効量のラソフォキシフェン、薬学的に許容されるその塩、またはそのプロドラッグによって処置される。
【0088】
6.1.1.ER+がんを有する患者
様々な実施形態では、患者のがんの試料に対して実施した免疫組織化学(IHC)によって、患者はER+がんと診断されている。一部の実施形態では、患者は、局所進行性または転移性ER+乳がんと診断されている。一部の実施形態では、患者は、ER+原発性乳がんと診断されている。一部の実施形態では、患者は、乳がん以外のER+がんと診断されている。これらの実施形態の一部では、患者は、ER+卵巣がんと診断されている。これらの実施形態の一部では、患者は、ER+肺がんと診断されている。
【0089】
一部の実施形態では、患者のがんの細胞は、エストロゲン受容体1(ESR1)遺伝子のリガンド結合ドメイン(LBD)内に機能獲得型ミスセンス変異を獲得している。
【0090】
一部の実施形態では、患者は、内分泌療法への耐性を獲得するリスクがある。特定の実施形態では、患者は、エストロゲン受容体の発現の増加により内分泌療法への耐性を獲得するリスクがある。特定の実施形態では、患者は、エストロゲン受容体の活性化補助因子の発現の増加により内分泌療法への耐性を獲得するリスクがある。特定の実施形態では、患者は、エストロゲン受容体およびその活性化補助因子のリン酸化レベルおよび活性の増加により内分泌療法への耐性を獲得するリスクがある。特定の実施形態では、患者は、腫瘍微小環境および他の宿主関連因子の変化により内分泌療法への耐性を獲得するリスクがある。一部の好ましい実施形態では、患者は、エストロゲン受容体1(ESR1)遺伝子における変異により内分泌療法への耐性を獲得するリスクがある。
【0091】
これらの実施形態の一部では、患者が耐性を獲得するリスクがある内分泌療法は、(i)選択的ER調節薬(SERM)療法、(ii)選択的ER分解薬(SERD)療法、(iii)アロマターゼ阻害薬療法(AI)、または(iv)(i)、(ii)および/もしくは(iii)の任意の組み合わせである。
【0092】
6.1.2.内分泌療法による以前の処置
様々な実施形態では、ER+がん患者は、1つまたは複数のラインの内分泌療法によって以前に処置されている。ある特定の実施形態では、患者は、1つのラインの内分泌療法によって以前に処置されている。ある特定の他の実施形態では、患者は、複数のラインの内分泌療法によって以前に処置されている。一部の実施形態では、患者は、2つのラインの内分泌療法によって以前に処置されている。一部の実施形態では、患者は、3つのラインの内分泌療法によって以前に処置されている。一部の実施形態では、患者は、4つまたはそれよりも多くのラインの内分泌療法によって以前に処置されている。
【0093】
一部の実施形態では、患者が以前に処置された内分泌療法は、選択的ER調節薬(SERM)である。一部の実施形態では、選択的ER調節薬は、タモキシフェン、ラロキシフェン、バゼドキシフェン、トレミフェン、またはオスペミフェンから選択される。ある特定の実施形態では、選択的ER調節薬はタモキシフェンである。
【0094】
一部の実施形態では、患者が以前に処置された内分泌療法は、選択的ER分解薬(SERD)である。様々な実施形態では、選択的ER分解薬は、エストロゲン受容体に結合し、受容体のプロテアソーム分解をもたらす。一部の実施形態では、選択的ER分解薬は、フルベストラント、RAD1901、ARN-810(GDC-0810)、およびAZD9496から選択される。ある特定の実施形態では、選択的ER分解薬はフルベストラントである。
【0095】
一部の実施形態では、患者が以前に処置された内分泌療法は、アロマターゼ阻害薬(AI)である。様々な実施形態では、アロマターゼ阻害薬は、エストロゲンの産生を遮断する。一部の実施形態では、アロマターゼ阻害薬は、エキセメスタン(Aromasin(登録商標))、レトロゾール(Femara(登録商標))、およびアナストロゾール(Arimidex(登録商標))から選択される。
【0096】
一部の実施形態では、患者が以前に処置された内分泌療法は、卵巣機能抑制(ovarian suppression)である。ある特定の実施形態では、卵巣機能抑制は卵巣摘出によって達成される。ある特定の実施形態では、卵巣機能抑制は、GnRHアンタゴニストの投与によって達成される。
【0097】
ある特定の実施形態では、患者のがんは、以前の内分泌療法処置後に再発または進行している。一部の実施形態では、患者のがんは、タモキシフェン処置後に再発または進行している。一部の実施形態では、患者のがんは、フルベストラント処置後に再発または進行している。一部の実施形態では、患者のがんは、アロマターゼ阻害薬処置後に再発または進行している。これらの実施形態の一部では、患者のがんは、複数のラインの内分泌療法処置後に再発または進行している。
【0098】
一部の実施形態では、ER+がん患者は、内分泌療法によって以前に処置されていない。
【0099】
ある特定の実施形態では、患者は、ラソフォキシフェン以外の内分泌療法に対して耐性である。一部の実施形態では、患者は、内因性の内分泌耐性を有する。一部の実施形態では、患者は、後天性の内分泌耐性を有する。特定の実施形態では、患者は、エストロゲン受容体の発現の増加により内分泌療法に対して耐性である。特定の実施形態では、患者は、エストロゲン受容体の活性化補助因子の発現の増加により内分泌療法に対して耐性である。特定の実施形態では、患者は、エストロゲン受容体およびその活性化補助因子のリン酸化レベルおよび活性の増加により内分泌療法に対して耐性である。特定の実施形態では、患者は、腫瘍微小環境および他の宿主関連因子の変化により内分泌療法に対して耐性である。一部の好ましい実施形態では、患者は、エストロゲン受容体1(ESR1)遺伝子における遺伝子変異により内分泌療法に対して耐性である。
【0100】
様々な実施形態では、患者は、ラソフォキシフェン以外の、臨床用量の1つまたは複数のSERMに耐性である。これらの実施形態の一部では、患者は、臨床用量のタモキシフェンに耐性である。様々な実施形態では、患者は、臨床用量の1つまたは複数のSERDに耐性である。これらの実施形態の一部では、患者は、臨床用量のフルベストラントに耐性である。様々な実施形態では、患者は、臨床用量の1つまたは複数のアロマターゼ阻害薬に耐性である。様々な実施形態では、患者は、ラソフォキシフェン以外の、臨床用量より多い1つまたは複数のSERMに耐性である。これらの実施形態の一部では、患者は、臨床用量より多いタモキシフェンに耐性である。様々な実施形態では、患者は、臨床用量より多い1つまたは複数のSERDに耐性である。これらの実施形態の一部では、患者は、臨床用量より多いフルベストラントに耐性である。様々な実施形態では、患者は、臨床用量より多い1つまたは複数のアロマターゼ阻害薬に耐性である。
【0101】
ある特定の実施形態では、ER+がん患者は、内分泌耐性を有すると実証されていない。これらの実施形態の一部では、患者は、検出方法の制限により、内分泌耐性を有すると実証されていない。
【0102】
一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、がん処置の完了後に、ER+がん患者に投与される。これらの実施形態の一部では、ラソフォキシフェンは、潜在性の微小転移を処置するために患者に投与される。
【0103】
6.1.3.閉経状況
一部の実施形態では、ER+がん患者は閉経前である。具体的な実施形態では、患者は閉経前であり、局所進行性または転移性ER+がんを有する。特定の実施形態では、患者は閉経前であり、局所進行性または転移性ER+乳がんを有する。
【0104】
ある特定の実施形態では、ER+がん患者は閉経前後である。具体的な実施形態では、患者は閉経前後であり、局所進行性または転移性ER+がんを有する。特定の実施形態では、患者は閉経前後であり、局所進行性または転移性ER+乳がんを有する。
【0105】
典型的な実施形態では、ER+がん患者は閉経後である。具体的な実施形態では、患者は閉経後であり、局所進行性または転移性ER+がんを有する。特定の実施形態では、患者は閉経後であり、局所進行性または転移性ER+乳がんを有する。
【0106】
ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、局所進行性または転移性ER+/HER2-乳がんを有する閉経前の女性に投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、非ステロイドアロマターゼ阻害薬(AI)、フルベストラント、CDK4/6阻害薬と組み合わせたAI、またはCDK4/6阻害薬と組み合わせたフルベストラントによる第1のホルモン処置の間に進行した、局所進行性または転移性ER+/HER2-乳がんを有する閉経前の女性に投与される。
【0107】
ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、局所進行性または転移性ER+/HER2-乳がんを有する閉経前後の女性に投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、非ステロイドアロマターゼ阻害薬(AI)、フルベストラント、CDK4/6阻害薬と組み合わせたAI、またはCDK4/6阻害薬と組み合わせたフルベストラントによる第1のホルモン処置の間に進行した、局所進行性または転移性ER+/HER2-乳がんを有する閉経前後の女性に投与される。
【0108】
ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、局所進行性または転移性ER+/HER2-乳がんを有する閉経後の女性に投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、非ステロイドアロマターゼ阻害薬(AI)、フルベストラント、CDK4/6阻害薬と組み合わせたAI、またはCDK4/6阻害薬と組み合わせたフルベストラントによる第1のホルモン処置の間に進行した、局所進行性または転移性ER+/HER2-乳がんを有する閉経後の女性に投与される。
【0109】
6.1.4.ESR1遺伝子の変異
様々な実施形態では、患者はER+がんを有し、その細胞は、エストロゲン受容体α(ERα)タンパク質をコードするエストロゲン受容体1(ESR1)遺伝子において少なくとも1つの変異を有する。一部の実施形態では、変異は、エストロゲン受容体のリガンド非依存的活性をもたらす。一部の実施形態では、変異は、エストロゲン受容体のリガンド刺激活性の増強をもたらす。一部の実施形態では、変異は、内分泌療法への耐性をもたらす。一部の実施形態では、変異は、腫瘍増殖を促進する。一部の実施形態では、変異は、がんの転移活性を増強する。一部の好ましい実施形態では、変異は、ER+転移性乳がんの転移活性を増強する。
【0110】
一部の実施形態では、変異は、まれで、検出不可能な既存のクローンから生じる。一部の実施形態では、変異は、内分泌療法処置の経過中にde novoで獲得される。一部の好ましい実施形態では、変異は、乳がんの内分泌療法処置の経過中にde novoで獲得される。一部の実施形態では、変異は、複数のラインの内分泌療法処置後にde novoで獲得される。一部の実施形態では、変異は、転移性乳がんの複数のラインの内分泌療法処置後にde novoで獲得される。様々な実施形態では、変異体クローンは拡大し、逐次的なラインの内分泌療法の経過にわたって、より優勢なクローンになる。
【0111】
一部の実施形態では、ESR1遺伝子における変異はミスセンス点変異である。一部の実施形態では、ESR1遺伝子における変異は短縮型変異である。一部の実施形態では、ESR1遺伝子における変異は遺伝子増幅である。一部の実施形態では、ESR1遺伝子における変異はゲノム再編成である。
【0112】
一部の好ましい実施形態では、患者は、ESR1遺伝子のリガンド結合ドメイン(LBD)内に少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異を有するER+がんを有する。様々な実施形態では、変異のうちの少なくとも1つは、D538、Y537、L536、P535、V534、S463、V392、およびE380から選択されるアミノ酸にある(アミノ酸は、NCBI受託番号NP_000116.2のESR1タンパク質によって番号付けられる)。
【0113】
特定の実施形態では、変異は、ERαタンパク質のHelix12のアゴニストコンフォメーションの安定性を増加させる。これらの実施形態の一部では、変異は、エストロゲン受容体のその活性化補助因子への結合を増加させる。これらの実施形態の一部では、変異は、エストロゲン受容体のホルモン非依存的活性をもたらす。これらの実施形態の一部では、変異は、タモキシフェン、フルベストラント、および/またはアロマターゼ阻害薬への耐性をもたらす。
【0114】
ある特定の実施形態では、変異は、アミノ酸D538にある。ある特定の好ましい実施形態では、変異はD538Gである。
【0115】
ある特定の実施形態では、変異は、アミノ酸Y537にある。これらの実施形態の一部では、変異は、Y537S、Y537N、Y537C、またはY537Qである。ある特定の好ましい実施形態では、変異はY537Cである。
【0116】
一部の実施形態では、変異は、アミノ酸L536にある。ある特定の実施形態では、変異は、L536RまたはL536Qである。
【0117】
一部の実施形態では、変異は、アミノ酸P535にある。ある特定の実施形態では、変異はP535Hである。
【0118】
一部の実施形態では、変異は、アミノ酸V534にある。ある特定の実施形態では、変異はV534Eである。
【0119】
一部の実施形態では、変異は、アミノ酸S463にある。ある特定の実施形態では、変異はS463Pである。
【0120】
一部の実施形態では、変異は、アミノ酸V392にある。ある特定の実施形態では、変異はV392Iである。
【0121】
一部の実施形態では、変異は、アミノ酸E380にある。ある特定の実施形態では、変異はE380Qである。
【0122】
6.1.4.1.ESR1遺伝子変異の検出
様々な実施形態では、患者は、ESR1遺伝子において少なくとも1つの変異を有することが以前に決定されている。本明細書に記載の方法の一部の実施形態は、ESR1遺伝子において変異を検出するステップをさらに含む。
【0123】
一部の実施形態では、大規模並列次世代配列決定(NGS)が、患者のがんにおけるエストロゲン受容体変異を検出するために使用される。ある特定の実施形態では、全ゲノムが配列決定される。ある特定の実施形態では、がん関連遺伝子の選択された遺伝子パネルが配列決定される。ある特定の実施形態では、所与のセットの遺伝子内の全てのコードエクソンが配列決定される。ある特定の実施形態では、所与のセットの遺伝子内の公知の「ホットスポット」領域が配列決定される。しかしながら、現在の次世代配列決定技術の固有のエラー率は最大1%であり、検出の感度および特異性を制限する。一部の実施形態では、標的化配列決定が、ESR1変異の存在を検出するために使用される。標的化配列決定は、より深い配列決定を可能にするが、これもまた現在1%のエラー率によって制限される。一部の実施形態では、配列決定エラー率を低減した方法が使用される。特定の実施形態では、Safe-Sequencing System(Safe-SeqS)が使用され、これは各鋳型分子にタグ付けし、まれなバリアントの確かな同定を可能にする。Kindeら、Proceedings of the National Academy of Sciences108巻(23号):9530~9535頁(2011年)参照。特定の実施形態では、超高感度Duplex配列決定が使用され、これはDNA二本鎖の2つの鎖のそれぞれを独立してタグ付けおよび配列決定する。Schmittら、Proceedings of the National Academy of Sciences 109巻(36号):14508~14513頁(2012年)参照。一部の実施形態では、デジタルドロップレットPCRが使用され、これはDNAを数千から数百万のドロップレットに乳化し、変異体特異的プライマーによって設計された単一のDNA分子をカプセル化する。VogelsteinおよびKinzler、Proceedings of the National Academy of Sciences 96巻(16号):2322~2326頁(1999年)ならびにHuggettら、Clinical Chemistry 61巻(1号):79~88頁(2014年)参照。
【0124】
一部の実施形態では、ESR1変異の検出は、最初の診断時に行う。一部の実施形態では、変異の検出は、疾患進行、再燃、または再発時に行う。一部の実施形態では、変異の検出は、疾患進行時に行う。一部の実施形態では、変異の検出は、疾患が安定である時に行う。
【0125】
一部の実施形態では、変異の検出のために1つまたは複数の組織標本を得る。ある特定の実施形態では、組織標本は腫瘍生検材料である。ある特定の実施形態では、組織標本は、腫瘍転移の生検材料である。一部の他の実施形態では、変異の検出のために液体生検材料を得る。ある特定の実施形態では、液体生検材料は循環性腫瘍細胞(CTC)である。ある特定の他の実施形態では、液体生検材料は、血液試料からの無細胞DNAである。
【0126】
具体的な実施形態では、ESR1変異は、循環性腫瘍DNA(ctDNA)分析によってモニターされる。一部の実施形態では、ctDNA分析は、処置の過程全体を通して実施される。これらの実施形態の一部では、ctDNAは、患者の血液試料から抽出される。ある特定の実施形態では、ctDNAは、ESR1変異のデジタルPCR分析によって評価される。
【0127】
6.1.5.エストラジオールレベル
様々な実施形態では、ESR1遺伝子変異の存在に基づいて処置のために選択された患者は、血清エストラジオールレベルに基づいてさらに選択される。
【0128】
ある特定の実施形態では、ESR1遺伝子変異を有するER+がんを有する患者の血清エストラジオールレベルは、少なくとも0.20ng/dL、例えば少なくとも0.25ng/dL、少なくとも0.30ng/dL、少なくとも0.35ng/dL、少なくとも0.40ng/dL、少なくとも0.45ng/dL、少なくとも0.50ng/dL、少なくとも0.55ng/dL、少なくとも0.60ng/dL、少なくとも0.65ng/dL、少なくとも0.70ng/dL、少なくとも0.75ng/dL、少なくとも0.80ng/dL、少なくとも0.85ng/dL、少なくとも0.90ng/dL、少なくとも0.95ng/dL、または少なくとも1.0ng/dLである。
【0129】
ある特定の実施形態では、ESR1遺伝子変異を有する患者の血清エストラジオールレベルは、約0.20ng/dL~約1.0ng/dL、例えば、約0.20ng/dL~約0.25ng/dL、約0.25ng/dL~約0.30ng/dL、約0.30ng/dL~約0.35ng/dL、約0.35ng/dL~約0.40ng/dL、約0.40ng/dL~約0.45ng/dL、約0.45ng/dL~約0.50ng/dL、約0.50ng/dL~約0.55ng/dL、約0.55ng/dL~約0.60ng/dL、約0.60ng/dL~約0.65ng/dL、約0.65ng/dL~約0.70ng/dL、約0.70ng/dL~約0.75ng/dL、約0.75ng/dL~約0.80ng/dL、約0.80ng/dL~約0.85ng/dL、約0.85ng/dL~約0.90ng/dL、約0.90ng/dL~約0.95ng/dL、約0.95ng/dL~約1.0ng/dLである。
【0130】
6.1.6.アジュバント処置
様々な実施形態では、ラソフォキシフェンは、患者にアジュバント処置として投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、患者に単独でアジュバント処置として投与される。ある特定の他の実施形態では、ラソフォキシフェンは、患者に他の内分泌療法と組み合わせてアジュバント処置として投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、一次処置後に患者に投与される。これらの実施形態の一部では、ラソフォキシフェンは、がんの外科的除去または減量後に患者に投与される。
【0131】
一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、患者にアロマターゼ阻害薬(AI)と組み合わせてアジュバント療法として投与される。様々な実施形態では、アロマターゼ阻害薬は、エキセメスタン(Aromasin(登録商標))、レトロゾール(Femara(登録商標))、またはアナストロゾール(Arimidex(登録商標))である。
【0132】
様々な実施形態では、アロマターゼ阻害薬は、患者を骨関連の毒性効果にかかりやすくする。一部の実施形態では、アロマターゼ阻害薬は、患者を骨粗鬆症になりやすくする。一部の実施形態では、アロマターゼ阻害薬は、患者を骨減少症(bone loss)になりやすくする。一部の実施形態では、アロマターゼ阻害薬は、患者を骨折しやすくする。一部の実施形態では、アロマターゼ阻害薬は、患者を骨痛になりやすくする。
【0133】
様々な実施形態では、アロマターゼ阻害薬は、患者を外陰膣萎縮症(vulvovaginal atrophy)(VVA)になりやすくする。
【0134】
一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、アロマターゼ阻害薬の投与中に連続的に投与される。一部の他の実施形態では、ラソフォキシフェンは、アロマターゼ阻害薬の投与中に周期的に投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンおよびアロマターゼ阻害薬は、一緒に(同時に)投与される。一部の他の実施形態では、ラソフォキシフェンおよびアロマターゼ阻害薬は、別々に(逐次的に)投与される。
【0135】
ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンの投薬レジメンは、アロマターゼ阻害薬の投薬レジメンと異なる。これらの実施形態の一部では、ラソフォキシフェンの投薬量は、アロマターゼ阻害薬の投薬量と異なる。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンの投薬スケジュールは、アロマターゼ阻害薬の投薬スケジュールと異なる。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンの投与経路は、アロマターゼ阻害薬の投与経路と異なる。
【0136】
ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンの投薬レジメンは、アロマターゼ阻害薬の投薬レジメンと同じである。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンの投薬量は、アロマターゼ阻害薬の投薬量と同じである。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンの投薬スケジュールは、アロマターゼ阻害薬の投薬スケジュールと同じである。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンの投与経路は、アロマターゼ阻害薬の投与経路と同じである。
【0137】
一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、患者にアロマターゼ阻害薬と組み合わせてアジュバント療法として1年間投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、患者にアロマターゼ阻害薬と組み合わせてアジュバント療法として2年間投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、患者にアロマターゼ阻害薬と組み合わせてアジュバント療法として3年間投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、患者にアロマターゼ阻害薬と組み合わせてアジュバント療法として4年間投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、患者にアロマターゼ阻害薬と組み合わせてアジュバント療法として5年間投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、患者にアロマターゼ阻害薬と組み合わせてアジュバント療法として6年間投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、患者にアロマターゼ阻害薬と組み合わせてアジュバント療法として7年間投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、患者にアロマターゼ阻害薬と組み合わせてアジュバント療法として8年間投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、患者にアロマターゼ阻害薬と組み合わせてアジュバント療法として9年間投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、患者にアロマターゼ阻害薬と組み合わせてアジュバント療法として10年間投与される。一部の他の実施形態では、ラソフォキシフェンは、患者にアロマターゼ阻害薬と組み合わせてアジュバント療法として10年より長く投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、アロマターゼ阻害薬と組み合わせてアジュバント療法として、療法中に患者のがんが進行するまで投与される。
【0138】
一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、アロマターゼ阻害薬と組み合わせてアジュバント療法として投与され、乳がん患者の無病生存を増加させる。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、アロマターゼ阻害薬と組み合わせてアジュバント療法として投与され、反対側の乳がんの発生を減少させる。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、アロマターゼ阻害薬と組み合わせてアジュバント療法として投与され、がんの再発または進行を予防する。
【0139】
6.2.ラソフォキシフェン
様々な実施形態では、選択された患者は、有効量のラソフォキシフェン、薬学的に許容されるその塩、またはそのプロドラッグによって処置される。一部の好ましい実施形態では、ラソフォキシフェンは、選択された患者にラソフォキシフェン酒石酸塩として投与される。
【0140】
用語「薬学的に許容される塩」は、非毒性の薬学的に許容される塩を指す。Gould、International Journal of Pharmaceutics 33巻:201~217頁(1986年)およびBerge ら、Journal of
Pharmaceutical Sciences 66巻(1号):1~19頁(1977年)参照。しかしながら、当業者に周知の他の塩を使用することができる。代表的な有機または無機酸としては、限定はされないが、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、シュウ酸、パモ酸、2-ナフタレンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、サリチル酸、サッカリン酸(saccharinic acid)、またはトリフルオロ酢酸が挙げられる。代表的な有機または無機塩基としては、限定はされないが、塩基性塩またはカチオン塩、例えばベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、プロカイン、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛が挙げられる、
【0141】
実施形態は、本明細書に開示の化合物のプロドラッグも含む。一般に、そのようなプロドラッグは、in vivoで必要な化合物へと容易に変換できる化合物の機能誘導体である。したがって、本発明の処置の方法では、用語「投与すること」は、具体的に開示された化合物によって、または具体的に開示できないが被験体への投与後にin vivoで特定の化合物へと変換する化合物によって、記載された様々な障害の処置を包含するものとする。好適なプロドラッグ誘導体の選択および調製の従来の手順は、例えば、「Design of Prodrugs」、H. Bundgaard、Elsevier、1985年に記載される。
【0142】
化合物の結晶形態の一部は、多形として、および本発明に含まれることを意図するものとして存在し得る。さらに、化合物の一部は、水との溶媒和物(すなわち、水和物)または一般的な有機溶媒との溶媒和物を形成し得、そのような溶媒和物は一部の実施形態によって包含されることが意図される。
【0143】
本明細書に開示の化合物の調製のプロセスが立体異性体の混合物を生じる場合、これらの異性体は、分取クロマトグラフィーなど従来の技術によって分離され得る。化合物は、ラセミ形態で、または立体特異的合成または分割のいずれかによって個々のエナンチオマーもしくはジアステレオマーとして調製され得る。例えば、化合物は、標準的な技術、例えば、光学的に活性な塩基を用いる塩形成による立体異性体対の形成、続いて分別結晶化および遊離酸の再生によってそれらの構成成分のエナンチオマーまたはジアステレオマーに分割され得る。化合物は、立体異性体エステルまたはアミドの形成、続いてクロマトグラフ分離およびキラル補助剤の除去によっても分割され得る。あるいは、化合物は、キラルHPLCカラムを使用して分割され得る。全ての立体異性体、ラセミ混合物、ジアステレオマー、シス-トランス異性体、およびそれらのエナンチオマーが、一部の実施形態に包含されることを理解されたい。
【0144】
6.3.医薬組成物
エストロゲン受容体陽性(ER+)がんの処置のための方法は、治療有効量のラソフォキシフェン、薬学的に許容されるその塩、またはそのプロドラッグを投与するステップを含む。本発明のラソフォキシフェン、薬学的に許容される塩、またはプロドラッグは、医薬組成物に製剤化され得る。ラソフォキシフェン、薬学的に許容されるその塩、またはそのプロドラッグに加えて、組成物は、薬学的に許容される賦形剤、担体、緩衝液、安定剤または当業者に周知の他の材料をさらに含む。そのような材料は、非毒性であるべきであり、活性成分の効力を妨げるべきではない。担体または他の材料の正確な性質は、投与経路、例えば、経口、静脈内、経皮、膣局部、または膣リングに依存し得る。
【0145】
経口投与のための医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、散剤または液体の形態であってよい。錠剤は、固体担体、例えばゼラチンまたはアジュバントを含み得る。液体医薬組成物は、通常、液体担体、例えば水、石油、動物油、植物油、鉱油または合成油を含む。生理食塩溶液、デキストロースもしくは他の糖溶液、またはグリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコールもまた含まれ得る。
【0146】
非経口投与のため、ラソフォキシフェンは、パイロジェンフリーであり、好適なpH、等張性および安定性を有する非経口的に許容可能な水溶液の形態である。当業者は、例えば、塩化ナトリウム注射液、リンガー液、乳酸加リンガー液など等張性ビヒクルを使用して好適な溶液を十分調製することができる。保存剤、安定剤、緩衝液、抗酸化剤および/または他の添加剤が、必要に応じて含まれ得る。
【0147】
膣局部投与のための医薬組成物は、軟膏、クリーム剤、ゲル剤またはローション剤の形態であり得る。膣局部投与のための医薬組成物は、水、アルコール、動物油、植物油、鉱油または合成油を含むことが多い。炭化水素(パラフィン)、羊毛脂、みつろう、マクロゴール、乳化ろうまたはセトリミドも含まれ得る。
【0148】
組成物は、処置される状態に応じて、単独でまたは同時にもしくは逐次的に他の処置と組み合わせて投与され得る。
【0149】
6.4.処置レジメン
ER+がんの処置のため、上記のように医薬組成物の形態で有効量のラソフォキシフェンを投与する方法では、用語「処置」、「処置すること」などが本明細書において使用され、一般に、所望の薬理的および/または生理的効果を得ることを意味する。疾患、状態、もしくはその症状を完全にもしくは部分的に予防することに関して、効果は予防的であってよく、ならびに/または疾患もしくは状態および/もしくは症状などの疾患もしくは状態に起因する有害効果の部分的もしくは完全な治癒に関して治療的であってよい。本明細書で使用する場合、「処置」は、哺乳動物、特にヒトの疾患または状態の任意の処置を網羅し、(a)疾患もしくは状態になりやすい場合があるが、それを有するとはまだ診断されていない被験体での、疾患もしくは状態の発症を予防すること;(b)疾患もしくは状態を阻害すること(例えば、その発生を停止すること);または(c)疾患もしくは状態を緩和すること(例えば、疾患または状態の退縮を引き起こし、1つまたは複数の症状の改善をもたらすこと)を含む。任意の状態の改善は、標準的な方法および当技術分野で公知の技術に従って容易に評価され得る。方法によって処置される疾患の被験体の集団は、望ましくない状態または疾患を患っている被験体、ならびに状態または疾患の発生のリスクがある被験体を含む。
【0150】
用語「有効量」は、投与される場合所望の効果を産生する用量を意味する。正確な用量は、処置の目的に依存し、公知の技術を使用して当業者によって確認できる。Lloyd、The Art, Science and Technology of Pharmaceutical Compounding(1999年)参照。
【0151】
6.4.1.投与経路
様々な実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口、静脈内、経皮、膣局部、または膣リング投与によって投与される。
【0152】
一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口投与によって患者に投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約0.5mg/日~経口で約10mg/日、例えば、経口で約0.5mg/日~経口で約5mg/日、経口で約0.5mg/日~経口で約5mg/日、経口で約1mg/日~経口で約5mg/日、経口で約2mg/日~経口で約5mg/日、経口で約3mg/日~経口で約5mg/日、経口で約4mg/日~経口で約5mg/日、経口で約0.5mg/日~経口で約4mg/日、経口で約1mg/日~経口で約4mg/日、経口で約2mg/日~経口で約4mg/日、経口で約3mg/日~経口で約4mg/日、経口で約0.5mg/日~経口で約3mg/日、経口で約1mg/日~経口で約3mg/日、経口で約2mg/日~経口で約3mg/日、経口で約0.5mg/日~経口で約2mg/日、経口で約1mg/日~経口で約2mg/日、または経口で約0.5mg/日~経口で約1mg/日で投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約0.5mg/日で投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約1mg/日で投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約1.5mg/日で投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約2mg/日で投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約2.5mg/日で投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約3mg/日で投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約3.5mg/日で投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約4mg/日で投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約4.5mg/日で投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約5mg/日で投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約6mg/日で投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約7mg/日で投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約8mg/日で投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約9mg/日で投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で約10mg/日で投与される。一部の他の実施形態では、ラソフォキシフェンは、経口で10mg/日より多く投与される。
【0153】
ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンが、内分泌耐性を獲得していないがんの患者に投与される場合、ラソフォキシフェンは、内分泌耐性の予防のため、経口で0.5mg/日より少なく投与され得る。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンがアジュバント処置としてがん患者に投与される場合、ラソフォキシフェンは、内分泌耐性の予防のため、経口で0.5mg/日より少なく投与され得る。
【0154】
ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、1日に1回投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、2日に1回投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、3日に1回投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、4日に1回投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、5日に1回投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、6日に1回投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、週に1回投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、2週間に1回投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、3週間に1回投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、月に1回投与される。
【0155】
一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、膣リング投与によって患者に投与される。これらの実施形態の一部では、ラソフォキシフェンは、2週間に1回投与される。これらの実施形態の一部では、ラソフォキシフェンは、3週間に1回投与される。これらの実施形態の一部では、ラソフォキシフェンは、月に1回投与される。これらの実施形態の一部では、ラソフォキシフェンは、2ヵ月に1回投与される。これらの実施形態の一部では、ラソフォキシフェンは、3ヵ月に1回投与される。これらの実施形態の一部では、ラソフォキシフェンは、4ヵ月に1回投与される。
【0156】
一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、1年間ER+がん患者に投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、2年間患者に投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、3年間患者に投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、4年間患者に投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンは、5年間患者に投与される。一部の他の実施形態では、ラソフォキシフェンは、5年より長く患者に投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、患者のがんが療法中に進行するまで患者に投与される。
【0157】
6.4.2.組み合わせ療法
様々な実施形態では、ラソフォキシフェンは、単独でまたは他の療法と組み合わせてのいずれかで投与される。ある特定の実施形態では、ラソフォキシフェンは、少なくとも1つの他の療法と組み合わせて投与される。一部の実施形態では、ラソフォキシフェンおよび他の療法は、一緒に(同時に)投与される。一部の他の実施形態では、ラソフォキシフェンおよび他の療法は、異なる時間で(逐次的に)投与される。
【0158】
特定の実施形態では、患者が処置されるさらなる療法は、内分泌療法である。様々な実施形態では、患者は、少なくとも1つのラインのさらなる内分泌療法によって処置される。一部の他の実施形態では、患者は、1つのラインのさらなる内分泌療法によって処置される。一部の他の実施形態では、患者は、複数のラインのさらなる内分泌療法によって処置される。
【0159】
一部の実施形態では、患者は、元々の用量でさらなる内分泌療法によって処置される。一部の他の実施形態では、患者は、元々の用量よりも高い用量でさらなる内分泌療法によって処置される。ある特定の実施形態では、患者は、元々の用量よりも低い用量でさらなる内分泌療法によって処置される。
【0160】
ある特定の実施形態では、さらなる内分泌療法は、ラソフォキシフェン以外の選択的ER調節薬(SERM)による処置である。これらの実施形態の一部では、選択的ER調節薬は、タモキシフェン、ラロキシフェン、バゼドキシフェン、トレミフェン、およびオスペミフェン(ospermifene)から選択される。ある特定の実施形態では、選択的ER調節薬はタモキシフェンである。
【0161】
ある特定の実施形態では、さらなる内分泌療法は、選択的ER分解薬(SERD)による処置である。これらの実施形態の一部では、選択的ER分解薬は、フルベストラント、RAD1901、ARN-810(GDC-0810)、およびAZD9496から選択される。ある特定の実施形態では、選択的ER分解薬はフルベストラントである。
【0162】
ある特定の実施形態では、さらなる内分泌療法は、アロマターゼ阻害薬による処置である。これらの実施形態の一部では、アロマターゼ阻害薬は、エキセメスタン(Aromasin(登録商標))、レトロゾール(Femara(登録商標))、およびアナストロゾール(Arimidex(登録商標))から選択される。
【0163】
様々な実施形態では、さらなる療法は、患者への有効量の細胞周期阻害薬の投与である。ある特定の実施形態では、さらなる療法は、有効量のサイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬の投与である。一部の実施形態では、さらなる療法は、パルボシクリブ、アベマシクリブ、およびリボシクリブの群より選択されるCDK4/6阻害薬である。
【0164】
一部の実施形態では、さらなる療法は、患者への、ER転写活性とクロストークするおよびそれを活性化する経路の阻害薬の投与である。ある特定の実施形態では、さらなる療法は、ラパマイシンの哺乳類標的(mTOR)阻害薬である。具体的な実施形態では、mTOR阻害薬はエベロリムスである。これらの実施形態の一部では、エベロリムスと組み合わせたラソフォキシフェンは、単独療法としてまたはCDK4/6阻害薬との組み合わせでのいずれかで非ステロイド性AIおよび/またはフルベストラント中に進行した局所進行性または転移性乳がんを有する閉経後の女性に投与される。様々な実施形態では、さらなる療法は、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害薬または熱ショックタンパク質90(HSP90)阻害薬である。
【0165】
様々な実施形態では、さらなる療法は、患者への有効量の増殖因子阻害薬の投与である。ある特定の実施形態では、さらなる療法は、ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)阻害薬である。一部の実施形態では、HER2阻害薬はトラスツズマブ(Herceptin(登録商標))である。一部の他の実施形態では、HER2阻害薬はトラスツズマブエムタンシン(Kadcyla(登録商標))である。
【0166】
一部の実施形態では、さらなる療法は、患者に有効量のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害薬を投与することである。様々な実施形態では、HDAC阻害薬は、ボリノスタット(Zolinza(登録商標))、ロミデプシン(Istodax(登録商標))、チダミド(Epidaza(登録商標))、パノビノスタット(Farydak(登録商標))、ベリノスタット(Beleodaq(登録商標)、PXD101)、バルプロ酸(Depakote(登録商標)、Depakene(登録商標)、Stavzor(登録商標))、モセチノスタット(MGCD0103)、アベキシノスタット(PCI-24781)、エンチノスタット(MS-275)、プラシノスタット(SB939)、レスミノスタット(4SC-201)、ギビノスタット(ITF2357)、キシノスタット(JNJ-26481585)、ケベトリン、CUDC-101、AR-42、テフィノスタット(CHR-2835)、CHR-3996、4SC202、CG200745、ロシリノスタット(ACY-1215)、またはスルホラファンである。ある特定の実施形態では、患者がHER2阻害薬によって処置されていない条件で、HDAC阻害薬は、エンチノスタット(MS-275)である。ある特定の他の実施形態では、HDAC阻害薬はボリノスタット(Zolinza(登録商標))である。さらにある特定の他の実施形態では、HDAC阻害薬はロミデプシン(Istodax(登録商標))である。
【0167】
一部の実施形態では、さらなる療法は、患者に有効量のチェックポイント阻害薬を投与することである。ある特定の実施形態では、チェックポイント阻害薬は抗体である。これらの実施形態の一部では、チェックポイント阻害薬は、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、プログラム死-リガンド1(PD-L1)、または細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)に特異的な抗体である。一部の実施形態では、PD-1抗体は、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))またはニボルマブ(Opdivo(登録商標))である。一部の実施形態では、CTLA-4抗体はイピリムマブ(Yervoy(登録商標))である。
【0168】
ある特定の実施形態では、さらなる療法は、患者に有効量のがんワクチンを投与することである。
【0169】
一部の実施形態では、さらなる療法は、患者に有効量のデノスマブを投与することである。
【0170】
一部の実施形態では、さらなる療法は、患者に有効量のセロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、またはガバペンチンを投与することである。ある特定の実施形態では、SNRIはベンラファキシン(Effexor(登録商標))である。
【0171】
6.4.3.臨床エンドポイント
6.4.3.1.一次臨床エンドポイント
様々な実施形態では、方法は、ER+がん患者の無病生存を増加するのに有効な量のラソフォキシフェンを投与するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、ER+がんの再発を低減するのに有効な量でラソフォキシフェンを投与するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、ER+がんの再発までの時間を増加させるのに有効な量でラソフォキシフェンを投与するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、ER+がんの転移を低減するのに有効な量でラソフォキシフェンを投与するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、ER+がん患者の無増悪生存の期間を増加させるのに有効な量でラソフォキシフェンを投与するステップを含む。
【0172】
様々な実施形態では、方法は、ER+乳がん患者の無病生存を増加させる。ある特定の実施形態では、方法は、ER+乳がんの再発を低減する。ある特定の実施形態では、方法は、ER+乳がんの再発までの時間を増加させる。ある特定の実施形態では、方法は、ER+乳がんの骨への転移を低減する。ある特定の実施形態では、方法は、ER+乳がんの骨以外の組織への転移を低減する。ある特定の実施形態では、方法は、ER+乳がん患者の無増悪生存の期間を増加させる。
【0173】
様々な実施形態では、方法は、内分泌耐性を有するER+がん患者の無病生存を増加させる。一部の実施形態では、方法は、内分泌耐性を有する患者のがんの再発を低減する。一部の実施形態では、方法は、内分泌耐性を有する患者のがんの再発までの時間を増加させる。一部の実施形態では、方法は、内分泌耐性を有する患者のがんの転移を低減する。一部の実施形態では、方法は、内分泌耐性を有するER+がん患者の無増悪生存の期間を増加させる。
【0174】
一部の好ましい実施形態では、方法は、内分泌耐性を発生したER+局所進行性または転移性乳がんを有する患者の無病生存を増加させ、再発を低減し、再発までの時間を増加させ、転移を低減し、および/または無増悪生存の期間を増加させる。特定の実施形態では、乳がんは、本明細書で論じたESR1変異のうちの1つまたは複数の獲得によって内分泌耐性を発生している。一部の実施形態では、方法は、選択圧を低減し、処置の間のER+局所進行性または転移性乳がんにおいて内分泌耐性クローンの拡大を予防する。
【0175】
6.4.3.2.二次臨床エンドポイント
一部の実施形態では、方法は、骨粗鬆症を引き起こすまたは骨粗鬆症になりやすくする1つまたは複数の薬物によって同時に処置されている女性において、骨折および骨減少症の予防に有効である。
【0176】
一部の実施形態では、方法は、外陰膣萎縮症(VVA)を引き起こすまたは外陰膣萎縮症(VVA)になりやすくする1つまたは複数の薬物によって同時に処置されている女性において、膣pHの減少、膣潤滑の増加、および/または膣細胞成熟指数の改善に有効である。
【0177】
一部の実施形態では、方法は、性機能不全を引き起こすまたは性機能不全になりやすくする1つまたは複数の薬物によって同時に処置されている女性において、性機能不全の1つまたは複数の症状を低減する。
【0178】
一部の実施形態では、方法は、のぼせを引き起こすまたはのぼせになりやすくする1つまたは複数の薬物によって同時に処置されている女性においてのぼせを処置する。
【0179】
一部の実施形態では、方法は、関節痛、泌尿生殖器症状、骨減少症、および骨折から選択される1つまたは複数の生活の質の尺度を増加させる。
【0180】
6.5.さらなる実施形態
さらなる実施形態を、以下の番号付けした実施形態において提供する。
1.女性の局所進行性または転移性乳がんを処置する方法であって、
a)エストロゲン受容体陽性(ER+)局所進行性または転移性乳がんと診断された患者を処置のために選択するステップ;および
b)選択された患者に有効量のラソフォキシフェン、薬学的に許容されるその塩、またはそのプロドラッグを投与するステップ
を含む、方法。
2.患者が、1つまたは複数のラインの内分泌療法によって以前に処置されている、実施形態1に記載の方法。
3.患者が、複数のラインの内分泌療法によって以前に処置されている、実施形態2に記載の方法。
4.患者が以前に処置された内分泌療法が、選択的ER調節薬(SERM)である、実施形態2または実施形態3に記載の方法。
5.SERMが、タモキシフェン、ラロキシフェン、バゼドキシフェン、トレミフェン、またはオスペミフェンである、実施形態4に記載の方法。
6.患者が以前に処置された内分泌療法が、選択的ER分解薬(SERD)である、実施形態2または実施形態3に記載の方法。
7.SERDが、フルベストラント、RAD1901、ARN-810(GDC-0810)、またはAZD9496である、実施形態6に記載の方法。
8.患者が以前に処置された内分泌療法が、アロマターゼ阻害薬である、実施形態2または実施形態3に記載の方法。
9.アロマターゼ阻害薬が、エキセメスタン(Aromasin(登録商標))、レトロゾール(Femara(登録商標))、またはアナストロゾール(Arimidex(登録商標))である、実施形態8に記載の方法。
10.患者が内分泌療法後に疾患進行を有する、実施形態2から9のいずれか1つに記載の方法。
11.患者の局所進行性または転移性がんが、ラソフォキシフェン以外の内分泌療法に対して耐性である、実施形態1から10のいずれか1つに記載の方法。
12.患者の局所進行性または転移性がんが、エストロゲン受容体1(ESR1)遺伝子のリガンド結合ドメイン(LBD)内に少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異を有する、実施形態1から11のいずれか1つに記載の方法。
13.患者が、エストロゲン受容体1(ESR1)遺伝子のリガンド結合ドメイン(LBD)内に少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異を有することが以前に決定されている、実施形態12に記載の方法。
14.患者がエストロゲン受容体1(ESR1)遺伝子のリガンド結合ドメイン(LBD)内に少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異を有することを決定する先行ステップをさらに含む、実施形態13に記載の方法。
15.少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異が、アミノ酸D538、Y537、L536、P535、V534、S463、V392、およびE380のいずれか1つにある、実施形態12から14のいずれか1つに記載の方法。
16.少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異が、アミノ酸D538にある、実施形態15に記載の方法。
17.変異がD538Gである、実施形態16に記載の方法。
18.少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異が、アミノ酸Y537にある、実施形態15に記載の方法。
19.変異が、Y537S、Y537N、Y537C、またはY537Qである、実施形態18に記載の方法。
20.変異がY537Cである、実施形態19に記載の方法。
21.少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異が、アミノ酸L536にある、実施形態15に記載の方法。
22.変異が、L536RまたはL536Qである、実施形態21に記載の方法。
23.少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異が、アミノ酸P535にある、実施形態15に記載の方法。
24.変異がP535Hである、実施形態23に記載の方法。
25.少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異が、アミノ酸V534にある、実施形態15に記載の方法。
26.変異がV534Eである、実施形態25に記載の方法。
27.少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異が、アミノ酸S463にある、実施形態15に記載の方法。
28.変異がS463Pである、実施形態27に記載の方法。
29.少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異が、アミノ酸V392にある、実施形態15に記載の方法。
30.変異がV392Iである、実施形態29に記載の方法。
31.少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異が、アミノ酸E380にある、実施形態15に記載の方法。
32.変異がE380Qである、実施形態31に記載の方法。
33.患者の血清エストラジオールレベルが、少なくとも0.35ng/dLである、実施形態12から32のいずれか1つに記載の方法。
34.患者の血清エストラジオールレベルが、約0.30ng/dL~約0.35ng/dLである、実施形態12から32のいずれか1つに記載の方法。
35.患者の血清エストラジオールレベルが、約0.25ng/dL~約0.30ng/dLである、実施形態12から32のいずれか1つに記載の方法。
36.ラソフォキシフェンが、ラソフォキシフェン酒石酸塩として投与される、実施形態1から35のいずれか1つに記載の方法。
37.ラソフォキシフェンが、経口、静脈内、経皮、膣局部、または膣リング投与によって投与される、実施形態1から36のいずれか1つに記載の方法。
38.ラソフォキシフェンが、経口投与によって投与される、実施形態37に記載の方法。
39.ラソフォキシフェンが、経口で約0.5mg/日~経口で約10mg/日で投与される、実施形態38に記載の方法。
40.ラソフォキシフェンが、経口で約0.5mg/日~経口で約5mg/日で投与される、実施形態39に記載の方法。
41.ラソフォキシフェンが、経口で約1mg/日~経口で約5mg/日で投与される、実施形態40に記載の方法。
42.ラソフォキシフェンが、経口で1mg/日で投与される、実施形態40に記載の方法。
43.ラソフォキシフェンが、経口で5mg/日で投与される、実施形態40に記載の方法。
44.ラソフォキシフェンが、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、または月に1回投与される、実施形態1から43のいずれか1つに記載の方法。
45.少なくとも1つのさらなる内分泌療法によって上記患者を処置するステップをさらに含む、実施形態1から44のいずれか1つに記載の方法。
46.上記患者が、元々の用量でさらなる内分泌療法によって処置される、実施形態45に記載の方法。
47.上記患者が、元々の用量より高い用量でさらなる内分泌療法によって処置される、実施形態45に記載の方法。
48.さらなる内分泌療法が、ラソフォキシフェン以外の選択的ER調節薬(SERM)による処置である、実施形態45から47のいずれか1つに記載の方法。
49.さらなる内分泌療法が、選択的ER分解薬(SERD)による処置である、実施形態45から47のいずれか1つに記載の方法。
50.さらなる内分泌療法が、アロマターゼ阻害薬による処置である、実施形態45から47のいずれか1つに記載の方法。
51.上記患者に有効量のサイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬を投与するステップをさらに含む、実施形態1から44のいずれか1つに記載の方法。
52.上記CDK4/6阻害薬が、パルボシクリブ、アベマシクリブ、またはリボシクリブである、実施形態51に記載の方法。
53.上記患者に有効量のラパマイシンの哺乳類標的(mTOR)阻害薬を投与するステップをさらに含む、実施形態1から44のいずれか1つに記載の方法。
54.上記mTOR阻害薬がエベロリムスである、実施形態53に記載の方法。
55.上記患者に有効量のホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害薬または熱ショックタンパク質90(HSP90)阻害薬を投与するステップをさらに含む、実施形態1から44のいずれか1つに記載の方法。
56.上記患者に有効量のヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)阻害薬を投与するステップをさらに含む、実施形態1から44のいずれか1つに記載の方法。
57.上記HER2阻害薬が、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))またはトラスツズマブエムタンシン(Kadcyla(登録商標))である、実施形態56に記載の方法。
58.上記患者に有効量のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害薬を投与するステップをさらに含む、実施形態1から44のいずれか1つに記載の方法。
59.上記HDAC阻害薬が、ボリノスタット(Zolinza(登録商標))、ロミデプシン(Istodax(登録商標))、チダミド(Epidaza(登録商標))、パノビノスタット(Farydak(登録商標))、ベリノスタット(Beleodaq(登録商標)、PXD101)、バルプロ酸(Depakote(登録商標)、Depakene(登録商標)、Stavzor(登録商標))、モセチノスタット(MGCD0103)、アベキシノスタット(PCI-24781)、エンチノスタット(MS-275)、プラシノスタット(SB939)、レスミノスタット(4SC-201)、ギビノスタット(ITF2357)、キシノスタット(JNJ-26481585)、ケベトリン、CUDC-101、AR-42、テフィノスタット(CHR-2835)、CHR-3996、4SC202、CG200745、ロシリノスタット(ACY-1215)、またはスルホラファンである、実施形態58に記載の方法。
60.上記患者に有効量のチェックポイント阻害薬を投与するステップをさらに含む、実施形態1から44のいずれか1つに記載の方法。
61.上記チェックポイント阻害薬が、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、プログラム死-リガンド1(PD-L1)、または細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)に特異的な抗体である、実施形態60に記載の方法。
62.上記PD-1抗体が、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))またはニボルマブ(Opdivo(登録商標))である、実施形態61に記載の方法。
63.上記CTLA-4抗体がイピリムマブ(Yervoy(登録商標))である、実施形態61に記載の方法。
64.上記患者に有効量のがんワクチンを投与するステップをさらに含む、実施形態1から44のいずれか1つに記載の方法。
65.患者が閉経前である、実施形態1から64のいずれか1つに記載の方法。
66.患者が、局所進行性または転移性ER+/HER2-乳がんを有する、実施形態65に記載の方法。
67.患者が、非ステロイドアロマターゼ阻害薬(AI)、フルベストラント、CDK4/6阻害薬と組み合わせたAI、またはCDK4/6阻害薬と組み合わせたフルベストラントの間、第1のホルモン処置中に進行している、実施形態65に記載の方法。
68.患者が閉経前後である、実施形態1から64のいずれか1つに記載の方法。
69.患者が局所進行性または転移性ER+/HER2-乳がんを有する、実施形態68に記載の方法。
70.患者が、非ステロイドアロマターゼ阻害薬(AI)、フルベストラント、CDK4/6阻害薬と組み合わせたAI、またはCDK4/6阻害薬と組み合わせたフルベストラントの間、第1のホルモン処置中に進行している、実施形態69に記載の方法。
71.患者が閉経後である、実施形態1から64のいずれか1つに記載の方法。
72.患者が、局所進行性または転移性ER+/HER2-乳がんを有する、実施形態71に記載の方法。
73.患者が、非ステロイドアロマターゼ阻害薬(AI)、フルベストラント、CDK4/6阻害薬と組み合わせたAI、またはCDK4/6阻害薬と組み合わせたフルベストラントの間、第1のホルモン処置中に進行している、実施形態72に記載の方法。
74.女性の原発性乳がんを処置する方法であって、
a)エストロゲン受容体陽性(ER+)原発性乳がんと診断された患者を処置のために選択するステップ;および
b)選択された患者に有効量のラソフォキシフェン、薬学的に許容されるその塩、またはそのプロドラッグを投与するステップ
を含む、方法。
75.ラソフォキシフェンが、ラソフォキシフェン酒石酸塩として投与される、実施形態74に記載の方法。
76.ラソフォキシフェンが、経口、静脈内、経皮、膣局部、または膣リング投与によって投与される、実施形態74または実施形態75に記載の方法。
77.ラソフォキシフェンが、経口投与によって投与される、実施形態76に記載の方法。
78.ラソフォキシフェンが、経口で約0.5mg/日~経口で約10mg/日で投与される、実施形態77に記載の方法。
79.ラソフォキシフェンが、経口で約0.5mg/日~経口で約5mg/日で投与される、実施形態78に記載の方法。
80.ラソフォキシフェンが、経口で約1mg/日~経口で約5mg/日で投与される、実施形態79に記載の方法。
81.ラソフォキシフェンが、経口で1mg/日で投与される、実施形態79に記載の方法。
82.ラソフォキシフェンが、経口で5mg/日で投与される、実施形態79に記載の方法。
83.ラソフォキシフェンが、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、または月に1回投与される、実施形態74から82のいずれか1つに記載の方法。
84.少なくとも1つのさらなる内分泌療法によって上記患者を処置するステップをさらに含む、実施形態74から83のいずれか1つに記載の方法。
85.上記患者が、元々の用量でさらなる内分泌療法によって処置される、実施形態84に記載の方法。
86.上記患者が、元々の用量より高い用量でさらなる内分泌療法によって処置される、実施形態84に記載の方法。
87.さらなる内分泌療法が、ラソフォキシフェン以外の選択的ER調節薬(SERM)による処置である、実施形態84から86のいずれか1つに記載の方法。
88.さらなる内分泌療法が、選択的ER分解薬(SERD)による処置である、実施形態84から86のいずれか1つに記載の方法。
89.さらなる内分泌療法が、アロマターゼ阻害薬による処置である、実施形態84から86のいずれかに1つに記載の方法。
90.上記患者に有効量のサイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬を投与するステップをさらに含む、実施形態74から83のいずれかに1つに記載の方法。
91.上記CDK4/6阻害薬が、パルボシクリブ、アベマシクリブ、またはリボシクリブである、実施形態90に記載の方法。
92.上記患者に有効量のラパマイシンの哺乳類標的(mTOR)阻害薬を投与するステップをさらに含む、実施形態74から83のいずれかに1つに記載の方法。
93.上記mTOR阻害薬がエベロリムスである、実施形態92に記載の方法。
94.上記患者に有効量のホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害薬または熱ショックタンパク質90(HSP90)阻害薬を投与するステップをさらに含む、実施形態74から83のいずれかに1つに記載の方法。
95.上記患者に有効量のヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)阻害薬を投与するステップをさらに含む、実施形態74から83のいずれかに1つに記載の方法。
96.上記HER2阻害薬が、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))またはトラスツズマブエムタンシン(Kadcyla(登録商標))である、実施形態95に記載の方法。
97.上記患者に有効量のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害薬を投与するステップをさらに含む、実施形態74から83のいずれかに1つに記載の方法。
98.上記HDAC阻害薬が、ボリノスタット(Zolinza(登録商標))、ロミデプシン(Istodax(登録商標))、チダミド(Epidaza(登録商標))、パノビノスタット(Farydak(登録商標))、ベリノスタット(Beleodaq(登録商標)、PXD101)、バルプロ酸(Depakote(登録商標)、Depakene(登録商標)、Stavzor(登録商標))、モセチノスタット(MGCD0103)、アベキシノスタット(PCI-24781)、エンチノスタット(MS-275)、プラシノスタット(SB939)、レスミノスタット(4SC-201)、ギビノスタット(ITF2357)、キシノスタット(JNJ-26481585)、ケベトリン、CUDC-101、AR-42、テフィノスタット(CHR-2835)、CHR-3996、4SC202、CG200745、ロシリノスタット(ACY-1215)、またはスルホラファンである、実施形態97に記載の方法。
99.上記患者に有効量のチェックポイント阻害薬を投与するステップをさらに含む、実施形態74から83のいずれか1つに記載の方法。
100.上記チェックポイント阻害薬が、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、プログラム死-リガンド1(PD-L1)、または細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)に特異的な抗体である、実施形態99に記載の方法。
101.上記PD-1抗体が、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))またはニボルマブ(Opdivo(登録商標))である、実施形態100に記載の方法。
102.上記CTLA-4抗体がイピリムマブ(Yervoy(登録商標))である、実施形態100に記載の方法。
103.上記患者に有効量のがんワクチンを投与するステップをさらに含む、実施形態74から83のいずれか1つに記載の方法。
104.患者が閉経前である、実施形態74から103のいずれか1つに記載の方法。
105.患者が閉経前後である、実施形態74から103のいずれか1つに記載の方法。106.患者が閉経後である、実施形態74から103のいずれか1つに記載の方法。
107.エストロゲン受容体陽性(ER+)乳がんのアジュバント療法の方法であって、
ER+乳がんの一次処置を受けた患者に有効量のラソフォキシフェン、薬学的に許容されるその塩、またはそのプロドラッグをアロマターゼ阻害薬と組み合わせて投与するステップ
を含む、方法。
108.ラソフォキシフェンが、アロマターゼ阻害薬の投与中に連続的に投与される、実施形態107に記載の方法。
109.ラソフォキシフェンが、アロマターゼ阻害薬の投与中に周期的に投与される、実施形態107に記載の方法。
110.ラソフォキシフェンの投薬レジメンが、アロマターゼ阻害薬の投薬レジメンとは異なる、実施形態107から109のいずれか1つに記載の方法。
111.ラソフォキシフェンが、ラソフォキシフェン酒石酸塩として投与される、実施形態107から110のいずれか1つに記載の方法。
112.アロマターゼ阻害薬が、エキセメスタン(Aromasin(登録商標))、レトロゾール(Femara(登録商標))、またはアナストロゾール(Arimidex(登録商標))である、実施形態107から111のいずれか1つに記載の方法。
113.ラソフォキシフェンが、経口、静脈内、経皮、膣局部、または膣リング投与によって投与される、実施形態107から112のいずれか1つに記載の方法。
114.ラソフォキシフェンが、経口投与によって投与される、実施形態113に記載の方法。
115.ラソフォキシフェンが、経口で約0.5mg/日~経口で約10mg/日で投与される、実施形態114に記載の方法。
116.ラソフォキシフェンが、経口で約0.5mg/日~経口で約5mg/日で投与される、実施形態115に記載の方法。
117.ラソフォキシフェンが、経口で約1mg/日~経口で約5mg/日で投与される、実施形態116に記載の方法。
118.ラソフォキシフェンが、経口で1mg/日で投与される、実施形態116に記載の方法。
119.ラソフォキシフェンが、経口で5mg/日で投与される、実施形態116に記載の方法。
120.ラソフォキシフェンが、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、または月に1回投与される、実施形態107から119のいずれか1つに記載の方法。
121.さらなる内分泌療法によって上記患者を処置するステップをさらに含む、実施形態107から120のいずれか1つに記載の方法。
122.さらなる内分泌療法が、選択的ER分解薬(SERD)による処置である、実施形態121に記載の方法。
123.上記患者に有効量のサイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬を投与するステップをさらに含む、実施形態107から120のいずれか1つに記載の方法。
124.上記CDK4/6阻害薬が、パルボシクリブ、アベマシクリブ、またはリボシクリブである、実施形態123に記載の方法。
125.上記患者に有効量のラパマイシンの哺乳類標的(mTOR)阻害薬を投与するステップをさらに含む、実施形態107から120のいずれか1つに記載の方法。
126.上記mTOR阻害薬がエベロリムスである、実施形態125に記載の方法。
127.上記患者に有効量のホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害薬または熱ショックタンパク質90(HSP90)阻害薬を投与するステップをさらに含む、実施形態107から120のいずれか1つに記載の方法。
128.上記患者に有効量のヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)阻害薬を投与するステップをさらに含む、実施形態107から120のいずれか1つに記載の方法。
129.上記HER2阻害薬が、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))またはトラスツズマブエムタンシン(Kadcyla(登録商標))である、実施形態128に記載の方法。
130.上記患者に有効量のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害薬を投与するステップをさらに含む、実施形態107から120のいずれか1つに記載の方法。
131.上記HDAC阻害薬が、ボリノスタット(Zolinza(登録商標))、ロミデプシン(Istodax(登録商標))、チダミド(Epidaza(登録商標))、パノビノスタット(Farydak(登録商標))、ベリノスタット(Beleodaq(登録商標)、PXD101)、バルプロ酸(Depakote(登録商標)、Depakene(登録商標)、Stavzor(登録商標))、モセチノスタット(MGCD0103)、アベキシノスタット(PCI-24781)、エンチノスタット(MS-275)、プラシノスタット(SB939)、レスミノスタット(4SC-201)、ギビノスタット(ITF2357)、キシノスタット(JNJ-26481585)、ケベトリン、CUDC-101、AR-42、テフィノスタット(CHR-2835)、CHR-3996、4SC202、CG200745、ロシリノスタット(ACY-1215)、またはスルホラファンである、実施形態130に記載の方法。
132.上記患者に有効量のチェックポイント阻害薬を投与するステップをさらに含む、実施形態107から120のいずれか1つに記載の方法。
133.上記チェックポイント阻害薬が、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、プログラム死-リガンド1(PD-L1)、または細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)に特異的な抗体である、実施形態132に記載の方法。
134.上記PD-1抗体が、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))またはニボルマブ(Opdivo(登録商標))である、実施形態133に記載の方法。
135.上記CTLA-4抗体がイピリムマブ(Yervoy(登録商標))である、実施形態133に記載の方法。
136.上記患者に有効量のがんワクチンを投与するステップをさらに含む、実施形態107から120のいずれか1つに記載の方法。
137.ラソフォキシフェンが、骨量を改善するのに十分な量およびスケジュールで投与される、実施形態107から136のいずれか1つに記載の方法。
138.ラソフォキシフェンが、VVAの症状を改善するのに十分な量およびスケジュールで投与される、実施形態107から136のいずれか1つに記載の方法。
139.患者が閉経前である、実施形態107から138のいずれか1つに記載の方法。140.患者が閉経前後である、実施形態107から138のいずれか1つに記載の方法。
141.患者が閉経後である、実施形態107から138のいずれか1つに記載の方法。142.女性の乳がん以外のがんを処置する方法であって、
a)乳がん以外のエストロゲン受容体陽性(ER+)がんと診断され、エストロゲン受容体1(ESR1)遺伝子に少なくとも1つの機能獲得型変異を有する患者を処置のために選択するステップ;および
b)選択された患者に有効量のラソフォキシフェン、薬学的に許容されるその塩、またはそのプロドラッグを投与するステップ
を含む、方法。
143.患者が、ER+卵巣がんと診断されている、実施形態142に記載の方法。
144.患者が、ER+肺がんと診断されている、実施形態142に記載の方法。
145.ラソフォキシフェンが、ラソフォキシフェン酒石酸塩として投与される、実施形態142から144のいずれか1つに記載の方法。
146.ラソフォキシフェンが、経口、静脈内、経皮、膣局部、または膣リング投与によって投与される、実施形態142から145のいずれか1つに記載の方法。
147.ラソフォキシフェンが、経口投与によって投与される、実施形態146に記載の方法。
148.ラソフォキシフェンが、経口で約0.5mg/日~経口で約10mg/日で投与される、実施形態147に記載の方法。
149.ラソフォキシフェンが、経口で約0.5mg/日~経口で約5mg/日で投与される、実施形態148に記載の方法。
150.ラソフォキシフェンが、経口で約1mg/日~経口で約5mg/日で投与される、実施形態149に記載の方法。
151.ラソフォキシフェンが、経口で1mg/日で投与される、実施形態149に記載の方法。
152.ラソフォキシフェンが、経口で5mg/日で投与される、実施形態149に記載の方法。
153.ラソフォキシフェンが、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、または月に1回投与される、実施形態142から152のいずれか1つに記載の方法。
154.少なくとも1つのさらなる内分泌療法によって上記患者を処置するステップをさらに含む、実施形態142から153のいずれか1つに記載の方法。
155.上記患者が、元々の用量でさらなる内分泌療法によって処置される、実施形態154に記載の方法。
156.上記患者が、元々の用量より高い用量でさらなる内分泌療法によって処置される、実施形態154に記載の方法。
157.さらなる内分泌療法が、ラソフォキシフェン以外の選択的ER調節薬(SERM)による処置である、実施形態154から156のいずれか1つに記載の方法。
158.さらなる内分泌療法が、選択的ER分解薬(SERD)による処置である、実施形態154から156のいずれか1つに記載の方法。
159.さらなる内分泌療法が、アロマターゼ阻害薬による処置である、実施形態154から156のいずれか1つに記載の方法。
160.上記患者に有効量のサイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬を投与するステップをさらに含む、実施形態142から153のいずれか1つに記載の方法。
161.上記CDK4/6阻害薬が、パルボシクリブ、アベマシクリブ、またはリボシクリブである、実施形態160に記載の方法。
162.上記患者に有効量のラパマイシンの哺乳類標的(mTOR)阻害薬を投与するステップをさらに含む、実施形態142から153のいずれか1つに記載の方法。
163.上記mTOR阻害薬がエベロリムスである、実施形態162に記載の方法。
164.上記患者に有効量のホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害薬または熱ショックタンパク質90(HSP90)阻害薬を投与するステップをさらに含む、実施形態142から153のいずれか1つに記載の方法。
165.上記患者に有効量のヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)阻害薬を投与するステップをさらに含む、実施形態142から153のいずれか1つに記載の方法。
166.上記HER2阻害薬が、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))またはトラスツズマブエムタンシン(Kadcyla(登録商標))である、実施形態165に記載の方法。
167.上記患者に有効量のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害薬を投与するステップをさらに含む、実施形態142から153のいずれか1つに記載の方法。
168.上記HDAC阻害薬が、ボリノスタット(Zolinza(登録商標))、ロミデプシン(Istodax(登録商標))、チダミド(Epidaza(登録商標))、パノビノスタット(Farydak(登録商標))、ベリノスタット(Beleodaq(登録商標)、PXD101)、バルプロ酸(Depakote(登録商標)、Depakene(登録商標)、Stavzor(登録商標))、モセチノスタット(MGCD0103)、アベキシノスタット(PCI-24781)、エンチノスタット(MS-275)、プラシノスタット(SB939)、レスミノスタット(4SC-201)、ギビノスタット(ITF2357)、キシノスタット(JNJ-26481585)、ケベトリン、CUDC-101、AR-42、テフィノスタット(CHR-2835)、CHR-3996、4SC202、CG200745、ロシリノスタット(ACY-1215)、またはスルホラファンである、実施形態167に記載の方法。
169.上記患者に有効量のチェックポイント阻害薬を投与するステップをさらに含む、実施形態142から153のいずれか1つに記載の方法。
170.上記チェックポイント阻害薬が、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、プログラム死-リガンド1(PD-L1)、または細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)に特異的な抗体である、実施形態169に記載の方法。
171.上記PD-1抗体が、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))またはニボルマブ(Opdivo(登録商標))である、実施形態170に記載の方法。
172.上記CTLA-4抗体がイピリムマブ(Yervoy(登録商標))である、実施形態170に記載の方法。
173.上記患者に有効量のがんワクチンを投与するステップをさらに含む、実施形態142から173のいずれか1つに記載の方法。
174.患者が閉経前である、実施形態142から173のいずれか1つに記載の方法。175.患者が閉経前後である、実施形態142から173のいずれか1つに記載の方法。
176.患者が閉経後である、実施形態142から173のいずれか1つに記載の方法。177.エストロゲン受容体1(ESR1)遺伝子のリガンド結合ドメイン(LBD)内に機能獲得型ミスセンス変異を獲得するリスクがある、乳がんを患っている女性患者を処置する方法であって、女性患者に、有効量のラソフォキシフェン、薬学的に許容されるその塩、またはそのプロドラッグを投与するステップを含む、方法。
178.内分泌療法に対する耐性を獲得するリスクがある、乳がんを患っている女性患者を処置する方法であって、任意選択で、内分泌療法が、(i)選択的ER調節薬(SERM)療法、(ii)選択的ER分解薬(SERD)療法、(iii)アロマターゼ阻害薬(AI)療法、または(iv)(i)、(ii)および/もしくは(iii)の任意の組み合わせであり、女性患者に有効量のラソフォキシフェン、薬学的に許容されるその塩、またはそのプロドラッグを投与するステップを含む、方法。
179.患者が原発性乳がんを有する、実施形態177または実施形態178に記載の方法。
180.原発性乳がんが局所進行性である、実施形態179に記載の方法。
181.患者が内分泌療法によって処置されており、任意選択で、内分泌療法が、(i)選択的ER調節薬(SERM)療法、(ii)選択的ER分解薬(SERD)療法、(iii)アロマターゼ阻害薬(AI)療法、または(iv)(i)、(ii)および/もしくは(iii)の任意の組み合わせである、実施形態177から180のいずれか1つに記載の方法。
182.エストロゲン受容体陽性(ER+)原発性乳がんを患っている女性患者を処置する方法であって、女性患者に有効量のラソフォキシフェン、薬学的に許容されるその塩、またはそのプロドラッグを投与するステップを含む、方法。
183.患者が内分泌療法に対する耐性を獲得するリスクがあり、任意選択で、内分泌療法が、(i)選択的ER調節薬(SERM)療法、(ii)選択的ER分解薬(SERD)療法、(iii)アロマターゼ阻害薬(AI)療法、または(iv)(i)、(ii)および/もしくは(iii)の任意の組み合わせである、実施形態182に記載の方法。184.原発性乳がんが局所進行性である、実施形態182または実施形態183に記載の方法。
185.患者が内分泌療法によって処置されており、任意選択で、内分泌療法が、(i)選択的ER調節薬(SERM)療法、(ii)選択的ER分解薬(SERD)療法、(iii)アロマターゼ阻害薬(AI)療法、または(iv)(i)、(ii)および/もしくは(iii)の任意の組み合わせである、実施形態182から184のいずれか1つに記載の方法。
186.エストロゲン受容体陽性(ER+)局所進行性または転移性乳がんを患っている女性患者を処置する方法であって、女性患者に有効量のラソフォキシフェン、薬学的に許容されるその塩、またはそのプロドラッグを投与するステップを含む、方法。
187.患者が、1つまたは複数のラインの内分泌療法によって以前に処置されている、実施形態186に記載の方法。
188.患者が、複数のラインの内分泌療法によって以前に処置されている、実施形態186に記載の方法。
189.患者が内分泌療法後に疾患進行を有する、実施形態186から188のいずれか1つに記載の方法。
190.患者が以前に処置された内分泌療法が、選択的ER調節薬(SERM)である、実施形態186から188のいずれか1つに記載の方法。
191.SERMが、タモキシフェン、ラロキシフェン、バゼドキシフェン、トレミフェン、またはオスペミフェンである、実施形態190に記載の方法。
192.患者が以前に処置された内分泌療法が、選択的ER分解薬(SERD)である、実施形態186から188のいずれか1つに記載の方法。
193.SERDが、フルベストラント、RAD1901、ARN-810(GDC-0810)、またはAZD9496である、実施形態192に記載の方法。
194.患者が以前に処置された内分泌療法が、アロマターゼ阻害薬である、実施形態186から188のいずれか1つに記載の方法。
195.アロマターゼ阻害薬が、エキセメスタン(Aromasin(登録商標))、レトロゾール(Femara(登録商標))、またはアナストロゾール(Arimidex(登録商標))である、実施形態194に記載の方法。
196.患者が内分泌療法後に疾患進行を有する、実施形態187から195のいずれか1つに記載の方法。
197.患者の局所進行性または転移性がんが、ラソフォキシフェン以外の内分泌療法に対して耐性である、実施形態186から196のいずれか1つに記載の方法。
198.患者が、エストロゲン受容体1(ESR1)遺伝子のリガンド結合ドメイン(LBD)内に少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異を有するがん細胞を有する、実施形態186から197のいずれか1つに記載の方法。
199.患者が、エストロゲン受容体1(ESR1)遺伝子のリガンド結合ドメイン(LBD)内に少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異を有することが以前に決定されている、実施形態198に記載の方法。
200.患者がエストロゲン受容体1(ESR1)遺伝子のリガンド結合ドメイン(LBD)内に少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異を有することを決定する先行ステップ
をさらに含む、実施形態197に記載の方法。
201.少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異が、アミノ酸D538、Y537、L536、P535、V534、S463、V392、およびE380のいずれか1つにある、実施形態198から198のいずれか1つに記載の方法。
202.少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異が、アミノ酸D538にある、実施形態201に記載の方法。
203.変異がD538Gである、実施形態202に記載の方法。
204.少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異が、アミノ酸Y537にある、実施形態201に記載の方法。
205.変異が、Y537S、Y537N、Y537C、またはY537Qである、実施形態204に記載の方法。
206.変異がY537Cである、実施形態205に記載の方法。
207.少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異が、アミノ酸L536にある、実施形態201に記載の方法。
208.変異が、L536RまたはL536Qである、実施形態207に記載の方法。
209.少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異が、アミノ酸P535にある、実施形態201に記載の方法。
210.変異がP535Hである、実施形態209に記載の方法。
211.少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異が、アミノ酸V534にある、実施形態201に記載の方法。
212.変異がV534Eである。実施形態211に記載の方法。
213.少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異が、アミノ酸S463にある、実施形態201に記載の方法。
214.変異がS463Pである、実施形態213に記載の方法。
215.少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異が、アミノ酸V392にある、実施形態201に記載の方法。
216.変異がV392Iである、実施形態215に記載の方法。
217.少なくとも1つの機能獲得型ミスセンス変異が、アミノ酸E380にある、実施形態201に記載の方法。
218.変異がE380Qである、実施形態217に記載の方法。
219.ラソフォキシフェンが、ラソフォキシフェン酒石酸塩として投与される、実施形態177から218のいずれか1つに記載の方法。
220.ラソフォキシフェンが、経口、静脈内、経皮、膣局部、または膣リング投与によって投与される、実施形態177から219のいずれか1つに記載の方法。
221.ラソフォキシフェンが、経口投与によって投与される、実施形態220に記載の方法。
222.ラソフォキシフェンが、経口で約0.5mg/日~経口で約10mg/日で投与される、実施形態221に記載の方法。
223.ラソフォキシフェンが、経口で約0.5mg/日~経口で約5mg/日で投与される、実施形態222に記載の方法。
224.ラソフォキシフェンが、経口で約1mg/日~経口で約5mg/日で投与される、実施形態223に記載の方法。
225.ラソフォキシフェンが、経口で1mg/日で投与される、実施形態223に記載の方法。
226.ラソフォキシフェンが、経口で5mg/日で投与される、実施形態223に記載の方法。
227.ラソフォキシフェンが、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、または月に1回投与される、実施形態177から226のいずれか1つに記載の方法。
228.少なくとも1つのさらなる内分泌療法によって上記患者を処置するステップをさらに含む、実施形態177から227のいずれか1つに記載の方法。
229.上記患者が、元々の用量でさらなる内分泌療法によって処置される、実施形態228に記載の方法。
230.上記患者が、元々の用量より高い用量でさらなる内分泌療法によって処置される、実施形態228に記載の方法。
231.さらなる内分泌療法が、ラソフォキシフェン以外の選択的ER調節薬(SERM)による処置である、実施形態228から230のいずれか1つに記載の方法。
232.さらなる内分泌療法が、選択的ER分解薬(SERD)による処置である、実施形態228から230のいずれか1つに記載の方法。
233.さらなる内分泌療法が、アロマターゼ阻害薬による処置である、実施形態228から230のいずれか1つに記載の方法。
234.上記患者に有効量のサイクリン依存性キナーゼ4/6(CDK4/6)阻害薬を投与するステップをさらに含む、実施形態177から227のいずれか1つに記載の方法。
235.上記CDK4/6阻害薬が、パルボシクリブ、アベマシクリブ、またはリボシクリブである、実施形態234に記載の方法。
236.上記患者に有効量のラパマイシンの哺乳類標的(mTOR)阻害薬を投与するステップをさらに含む、実施形態177から227のいずれか1つに記載の方法。
237.上記mTOR阻害薬がエベロリムスである、実施形態236に記載の方法。
238.上記患者に有効量のホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害薬または熱ショックタンパク質90(HSP90)阻害薬を投与するステップをさらに含む、実施形態177から227のいずれか1つに記載の方法。
239.上記患者に有効量のヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)阻害薬を投与するステップをさらに含む、実施形態177から227のいずれか1つに記載の方法。
240.上記HER2阻害薬が、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))またはトラスツズマブエムタンシン(Kadcyla(登録商標))である、実施形態239に記載の方法。
241.上記患者に有効量のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害薬を投与するステップをさらに含む、実施形態177から227のいずれか1つに記載の方法。
242.上記HDAC阻害薬が、ボリノスタット(Zolinza(登録商標))、ロミデプシン(Istodax(登録商標))、チダミド(Epidaza(登録商標))、パノビノスタット(Farydak(登録商標))、ベリノスタット(Beleodaq(登録商標)、PXD101)、バルプロ酸(Depakote(登録商標)、Depakene(登録商標)、Stavzor(登録商標))、モセチノスタット(MGCD0103)、アベキシノスタット(PCI-24781)、エンチノスタット(MS-275)、プラシノスタット(SB939)、レスミノスタット(4SC-201)、ギビノスタット(ITF2357)、キシノスタット(JNJ-26481585)、ケベトリン、CUDC-101、AR-42、テフィノスタット(CHR-2835)、CHR-3996、4SC202、CG200745、ロシリノスタット(ACY-1215)、またはスルホラファンである、実施形態241に記載の方法。
243.上記患者に有効量のチェックポイント阻害薬を投与するステップをさらに含む、実施形態177から227のいずれか1つに記載の方法。
244.上記チェックポイント阻害薬が、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、プログラム死-リガンド1(PD-L1)、または細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)に特異的な抗体である、実施形態243に記載の方法。
245.上記PD-1抗体が、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))またはニボルマブ(Opdivo(登録商標))である、実施形態244に記載の方法。
246.上記CTLA-4抗体が、イピリムマブ(Yervoy(登録商標))である、実施形態244に記載の方法。
247.上記患者に有効量のがんワクチンを投与するステップをさらに含む、実施形態177から227のいずれか1つに記載の方法。
248.患者が閉経前である、実施形態177から247のいずれか1つに記載の方法。249.患者が局所進行性または転移性ER+/HER2-乳がんを有する、実施形態248に記載の方法。
250.患者が、非ステロイドアロマターゼ阻害薬(AI)、フルベストラント、CDK4/6阻害薬と組み合わせたAI、またはCDK4/6阻害薬と組み合わせたフルベストラントの間、第1のホルモン処置中に進行している、実施形態249に記載の方法。
251.患者が閉経前後である、実施形態177から247のいずれか1つに記載の方法。
252.患者が、局所進行性または転移性ER+/HER2-乳がんを有する、実施形態251に記載の方法。
253.患者が、非ステロイドアロマターゼ阻害薬(AI)、フルベストラント、CDK4/6阻害薬と組み合わせたAI、またはCDK4/6阻害薬と組み合わせたフルベストラントの間、第1のホルモン処置中に進行している、実施形態252に記載の方法。
254.患者が閉経後である、実施形態177から247のいずれか1つに記載の方法。255.患者が、局所進行性または転移性ER+/HER2-乳がんを有する、実施形態254に記載の方法。
256.患者が、非ステロイドアロマターゼ阻害薬(AI)、フルベストラント、CDK4/6阻害薬と組み合わせたAI、またはCDK4/6阻害薬と組み合わせたフルベストラントの間、第1のホルモン処置中に進行している、実施形態255に記載の方法。
【実施例0181】
6.6.実施例
以下は本発明を実行する具体的な実施形態の実施例である。実施例は、例示の目的のみのために提供され、いかなる場合も本発明の範囲を制限することを意図しない。使用した数字(例えば、量、温度等)に関して正確さを確実にする努力がなされたが、一部の実験的なエラーおよび誤差は当然許容される。
【0182】
本発明の実施は、他に特に示さない限り、当該分野の技量内の分子生物学、細胞生物学、生化学、遺伝学、がん生物学および薬理学の従来の方法を用いる。そのような技術は文献に完全に説明されている。
【0183】
6.6.1.
(実施例1:ESR1 LBD変異へのラソフォキシフェンの効力)
6.6.1.1.方法
6.6.1.1.1.部位特異的変異誘発
ExSite変異誘発を、Pfuウルトラtaqポリメラーゼを使用してpENTR2B ERα WT構築物に対して、以下の表1に要約したように対応するプライマーを使用して実施した。プライマーをPNKリン酸化した。PCR増幅後、産物を37℃で1時間、DpnIで消化し、続いて16℃で終夜ライゲーションした。ライゲーションした産物をDH5α細菌細胞に形質転換し、カナマイシン耐性プレート上で増殖させた。pENTRクローンを配列決定によって検証し、次いで発現分析のため、Gatewayシステム(Invitrogen)を使用してpcDNA-DESTベクターに交換した。
【表1】
【0184】
6.6.1.1.2. 細胞培養
Caov2卵巣癌細胞は、8%ウシ胎仔血清(FBS)、ピルビン酸ナトリウム(NaPyr)および非必須アミノ酸(NEAA)を補足したRPMI-1640培地(Gibco)中で増殖させ、2~3日ごとに継代した。SKBR3乳腺癌細胞は、8%ウシ胎仔血清(FBS)、ピルビン酸ナトリウム(NaPyr)および非必須アミノ酸(NEAA)を補足したDMEM培地(Gibco)中で増殖させ、2~3日ごとに継代した。細胞は、実験のための播種の1日前に8%チャコール処理済みウシ胎仔血清(CFS)、NaPyr、およびNEAAを補足したフェノールレッド不含RPMI-1640培地に置き換えた。次いで、細胞をトランスフェクションの前日に実験用96ウェルプレートのフェノールレッド不含培地中に播種した。
【0185】
6.6.1.1.3. レポーター遺伝子アッセイ
Caov2細胞に、7X-TK-ERE-TATAルシフェラーゼレポーター遺伝子(Nagelら、Endocrinology 142巻(11号):4721~4728頁(2001年))および野生型または変異体受容体のいずれかの発現構築物を、Fugeneトランスフェクション試薬(Promega)を使用してコトランスフェクトした。SKBR3細胞に、3X-TK-ERE-TATAルシフェラーゼレポーター遺伝子を同じ条件でコトランスフェクトした。pCMV-βgalをトランスフェクション効率の対照として使用し、pcDNAを3連の群あたり最終DNA濃度75ngで添加した。細胞を指定したリガンドとともにトランスフェクション後5時間処置した。処置の24時間後、細胞を溶解し、先に記載されたようにルシフェラーゼおよびβ-galアッセイを実施し(Norrisら、J Biol Chem 270巻(39号):22777~22782頁(1995年))、プレートをFusion α-FP HTプレートリーダー(PerkinElmer Life Sciences)上で読み取った。
【0186】
6.6.1.2. 結果
ERα発現構築物を作出し、転移性乳がん患者において見出される4つの異なるESR1 LBD変異、Y537S、Y537N、Y537C、およびD538Gのうち1つを発現させた。Jeselsohnら、Nature Reviews Clinical
Oncology 12巻(10号):573~583頁(2015年);Jeselsohnら、Clinical Cancer Research 20巻(7号):1757~1767頁(2014年);Robinsonら、Nature Genetics 45巻(12号):1446~1451頁(2013年);ThomasおよびGustafsson、Trends in Endocrinology and Metabolism 26巻(9号):467~476頁(2015年);ならびにToyら、Nature Genetics 45巻(12号):1439~1445頁(2013年)参照。これらの変異体の活性を、Caov2卵巣癌細胞およびSKBR3乳腺癌細胞において再構成したエストロゲン応答エレメント(ERE)-ルシフェラーゼレポーターアッセイで評価した。データの正規化は、野生型受容体の「0」データポイント(リガンド無し)に対して行った。先に報告されたように(Jeselsohnら、2014年;Robinsonら、2013年;Toyら、2013年)、研究した全ての変異体が、そのリガンド:17-βエストラジオール(E2)の非存在下で野生型(WT)ERαの活性と比較した場合に、実質的な構成的活性を示した。WT ERαは用量応答様式でE2に応答するが、変異体の転写活性はE2活性化に応答しない(
図1Aおよび
図2A)。
【0187】
ERα変異体の転写活性を阻害するラソフォキシフェンの能力を次に同じ条件下で評価した。全ての阻害曲線は、10
-9(1nM)17-βエストラジオールの存在下で行った。データの正規化は、それぞれ個々の受容体の「0」データポイント(ラソフォキシフェン無し)に対して行った。プロットは、5回の独立した実験からのデータを含み、各値は各実験からの3連の平均である。特に、ラソフォキシフェンは、用量応答様式で全ての試験したERα LBD変異体の転写活性を有効に阻害した(
図1Bおよび
図2B)。
【0188】
ラソフォキシフェンの転写IC90値も、Caov2卵巣癌細胞およびSKBR3乳腺癌細胞において、同じ条件下で評価した。Maximovら、Current Clinical Pharmacology 8巻(2号):135~155頁(2013年)参照。評価したラソフォキシフェンの転写IC90値を、以前の臨床試験で使用し、ヨーロッパで認可された用量で血液中のこれらの化合物のCmaxと比較した。Assessment Report for Fablyn、2009年(EMA)参照。計算は、0.5mgおよび1mgの理論用量でのラソフォキシフェンのCmaxを含んだ。より高い濃度でのラソフォキシフェンの可能な臨床効力を評価するために、さらなる用量(1mg)のラソフォキシフェンを含めた。Gardnerら、J Clin Pharmacol 46巻(1号):52~58頁(2006年)参照。Caov2卵巣癌細胞およびSKBR3乳腺癌細胞からの結果を表2に要約する。
【表2-1】
【表2-2】
【0189】
予想通り、WT受容体は抗エストロゲン処置に最も応答性であり、変異体のそれぞれはラソフォキシフェンの阻害作用に低減した応答を示した。重要なことに、変異体のそれぞれの薬理学は異なり、これは患者を最も適切な薬物と適合させる必要性を強調する。データは、腫瘍が卵巣および乳がん設定の両方において変異を発現する患者に、1mgの用量のラソフォキシフェンが最も有効であることを示している。
【0190】
6.6.2.
(実施例2:安定なトランスフェクタントにおけるESR1 LBD変異Y537SおよびD538Gへのラソフォキシフェンの効力)
MCF7エストロゲン受容体アルファ陽性(ER+)乳がん細胞を作出し、ドキシサイクリン(DOX)誘導性のヘマグルチニン(HA)タグ付き、リガンド結合ドメイン変異Y357SおよびD538Gを有する全長ERを安定に発現させた。変異体の導入および発現は、サンガー配列決定、RNA配列決定、およびウェスタンブロットによって確認した。
【0191】
完全培地条件で、用量応答研究を実施した。細胞を、HAタグ付き変異ERの誘導のためにDOXにより、または対照としてビヒクルにより処置し、3連で播種した。その後、5日目に、有核の生存細胞を検出するためにヘキスト色素染色、および死細胞を定量するためにヨウ化プロピジウムを用いて、Celigo装置を使用して細胞計数を実施した。処置は、ビヒクルおよび10-12Mから開始して10倍の増分で最大10-6Mまでの漸増用量のラソフォキシフェンを含んだ。処置の効力は、細胞数と反比例する。
【0192】
実施例1で同定されたER変異Y537SおよびD538Gの乳がんモデルにおけるラソフォキシフェンの抗エストロゲン活性は、漸増用量滴定により耐性を克服し、そして安定にトランスフェクトされた細胞を死滅させるラソフォキシフェンの能力によって確認した(
図3Aおよび
図3B)。
【0193】
PRISMを使用してIC50値を計算した。結果は表3に要約する。
【表3】
【0194】
結果により、ラソフォキシフェン処置がY537SおよびD538G変異に有効であるが、Y537SおよびD538G変異は、耐性を克服するのにより高い濃度を必要とすることが確認された。
【0195】
7.均等物および参照による組込み
本発明は、好ましい実施形態および様々な代替の実施形態を参照して特に示し、記載してきたが、当業者であれば、本発明の精神および範囲から逸脱することなく形態および詳細の様々な変更が可能であることが理解されよう。
【0196】
本明細書の本体内に引用された全ての参考文献、発行された特許および特許出願は、全ての目的のため、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。