(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026536
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】監視装置、監視システム、プログラムおよび侵入者特定情報取得方法
(51)【国際特許分類】
G08B 25/04 20060101AFI20240220BHJP
G08B 25/10 20060101ALI20240220BHJP
G08B 13/22 20060101ALI20240220BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20240220BHJP
H04M 11/04 20060101ALI20240220BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240220BHJP
【FI】
G08B25/04 E
G08B25/10 D
G08B13/22
H04M11/00 301
H04M11/04
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023219736
(22)【出願日】2023-12-26
(62)【分割の表示】P 2019222230の分割
【原出願日】2019-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000202361
【氏名又は名称】綜合警備保障株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栢木 伊久二
(72)【発明者】
【氏名】小野 浩司
(57)【要約】
【課題】妨害電波を利用しない構成で、侵入者の特定に利用できる情報を提供する。
【解決手段】監視領域の侵入者を検知する警報装置から侵入警報を受信した場合、携帯端末を管理する携帯キャリア網管理装置に対し、前記警報装置の設置場所を中心とする所定距離範囲内の地域に存在する携帯端末の情報の開示要求を送信する侵入者特定情報取得手段と、前記開示要求の応答として前記携帯キャリア網管理装置から受信した前記携帯端末の情報を監視対象の携帯端末の情報として記憶する監視対象携帯端末情報記憶手段と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域の侵入者を検知する警報装置から侵入警報を受信した場合、前記警報装置の設置場所を中心とする所定距離範囲内の地域に存在する携帯端末の情報を、前記携帯端末の情報の開示要求の送信に応じて携帯端末を管理する携帯キャリア網管理装置から受信する侵入者特定情報取得手段と、
前記開示要求の応答として前記携帯キャリア網管理装置から受信した前記携帯端末の情報を監視対象の携帯端末の情報として記憶する監視対象携帯端末情報記憶手段と、
前記監視対象携帯端末情報記憶手段により記憶した携帯端末の情報に基づいて、携帯端末を所持する者の特定の行動を検出する特定行動検出手段と、
を備えることを特徴とする監視装置。
【請求項2】
前記特定行動検出手段は、
前記警報装置から警備開始信号または警備解除信号を受信した場合に、前記警報装置の設置場所を中心とする所定距離範囲内の地域に存在する携帯端末の情報の開示要求を前記携帯キャリア網管理装置に送信し、
該開示要求に応じて前記携帯キャリア網管理装置から受信した携帯端末の情報を、受信した時刻とともに対応付けて前記監視対象携帯端末情報記憶手段によって記憶し、
前記監視対象携帯端末情報記憶手段により記憶した携帯端末の情報および受信した時刻に基づいて、携帯端末を所持する者の特定の行動を検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記特定行動検出手段は、
所定の距離範囲の地域に所定の時間以上滞在し、かつ、滞在時間帯と、該地域が設置場所である前記警報装置の前記警備開始信号を受信した時刻または前記警備解除信号を受信した時刻と、の間に一定以上の相関関係がある携帯端末を抽出し、
該抽出された携帯端末を所持する者の特定の行動を検出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記特定行動検出手段は、
所定の距離範囲の地域に所定の時間以上滞在し、かつ、一定以上の通信が発生しており、かつ、滞在時間帯と、該地域が設置場所である前記警報装置の前記警備開始信号を受信した時刻または前記警備解除信号を受信した時刻と、の間に一定以上の相関関係がある携帯端末を抽出し、
該抽出された携帯端末を所持する者の特定の行動を検出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の監視装置。
【請求項5】
前記特定行動検出手段は、
前記監視対象携帯端末情報記憶手段によって記憶した前記携帯端末の情報に含まれる位置情報、通信状況および受信した時刻に基づいて、所定の距離範囲の地域に所定の時間以上滞在し、かつ、一定以上の通信が発生していない携帯端末を、該携帯端末を所持する者が放棄したものとして検出し、
前記検出された携帯端末の所有者情報の開示要求を、前記携帯キャリア網管理装置に送信し、
前記携帯キャリア網管理装置から前記携帯端末の所有者情報を受信した場合に、該受信した前記携帯端末の所有者情報を、前記侵入警報に係る情報として関係機関へ通報する、
ことを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項6】
監視領域の侵入者を検知する侵入検知手段が侵入者を検知した場合、侵入警報を送信する警報装置と、
前記警報装置から侵入警報を受信した場合、前記警報装置の設置場所を中心とする所定距離範囲内の地域に存在する携帯端末の情報を取得する侵入者特定情報取得手段と、
取得した前記携帯端末の情報を監視対象の携帯端末の情報として記憶する監視対象携帯端末情報記憶手段と、
前記監視対象携帯端末情報記憶手段により記憶した携帯端末の情報に基づいて、携帯端末を所持する者の特定の行動を検出する特定行動検出手段と、
を備えることを特徴とする監視システム。
【請求項7】
監視装置を制御するコンピュータを、
監視領域の侵入者を検知する警報装置から侵入警報を受信した場合、前記警報装置の設置場所を中心とする所定距離範囲内の地域に存在する携帯端末の情報を、前記携帯端末の情報の開示要求の送信に応じて携帯端末を管理する携帯キャリア網管理装置から受信する侵入者特定情報取得手段と、
前記開示要求の応答として前記携帯キャリア網管理装置から受信した前記携帯端末の情報を監視対象の携帯端末の情報として記憶する監視対象携帯端末情報記憶手段と、
前記監視対象携帯端末情報記憶手段により記憶した携帯端末の情報に基づいて、携帯端末を所持する者の特定の行動を検出する特定行動検出手段と、
として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
監視システムにおける侵入者特定情報取得方法であって、
監視装置が、監視領域の侵入者を検知する警報装置から侵入警報を受信した場合、前記警報装置の設置場所を中心とする所定距離範囲内の地域に存在する携帯端末の情報を取得する侵入者情報取得特定ステップと、
監視装置が、取得した前記携帯端末の情報を監視対象の携帯端末の情報として記憶する監視対象携帯端末情報記憶ステップと、
前記監視対象携帯端末情報記憶ステップにより記憶した携帯端末の情報に基づいて、携帯端末を所持する者の特定の行動を検出する特定行動検出ステップと、
を含むことを特徴とする侵入者特定情報取得方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視装置、監視システム、プログラムおよび侵入者特定情報取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、留守宅への侵入者を検知すると妨害電波を発生・停止し、侵入者の携帯電話を「圏外」から「圏内」とすることにより、携帯電話から自動的に携帯番号やID等の情報を通知させ、その情報を近くの基地局を経由して受領することで侵入者を特定する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の技術によれば、携帯電話を「圏外」にするためには妨害電波を発生させることになるが、住宅地などではその範囲を限定するのは難しく、周辺の住宅にまで影響を及ぼす恐れがある。また、特許文献1に開示の技術によれば、留守宅への侵入者を想定しているため、コンビニエンスストアに対する強盗などを特定するのは難しかった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、妨害電波を利用しない構成で、侵入者の特定に利用できる情報を取得する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、監視領域の侵入者を検知する警報装置から侵入警報を受信した場合、前記警報装置の設置場所を中心とする所定距離範囲内の地域に存在する携帯端末の情報を、前記携帯端末の情報の開示要求の送信に応じて携帯端末を管理する携帯キャリア網管理装置から受信する侵入者特定情報取得手段と、前記開示要求の応答として前記携帯キャリア網管理装置から受信した前記携帯端末の情報を監視対象の携帯端末の情報として記憶する監視対象携帯端末情報記憶手段と、前記監視対象携帯端末情報記憶手段により記憶した携帯端末の情報に基づいて、携帯端末を所持する者の特定の行動を検出する特定行動検出手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかる監視装置、監視システム、プログラムおよび侵入者特定情報取得方法は、妨害電波を利用しない構成で、侵入者が所持している可能性がある携帯端末を特定することができ、侵入者の特定に利用できる情報を提供することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態にかかる監視システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、監視装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、監視装置の侵入者特定情報取得処理にかかる機能の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、侵入者特定情報取得処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、端末追跡処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、侵入者の下見行動の検出処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、放棄端末の検出処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、携帯キャリア網管理装置が開示要求に応答不可である場合における処理概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、監視装置、監視システム、プログラムおよび侵入者特定情報取得方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる監視システム1の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、監視システム1は、警報装置2と、監視装置3と、携帯キャリア網管理装置4と、を備えている。警報装置2と、監視装置3と、携帯キャリア網管理装置4とは、電話回線、無線ネットワーク、インターネットなどのネットワーク6で接続された構成となっている。
【0011】
警報装置2は、警備先に設けられる。監視装置3は、監視センタに設けられる。携帯キャリア網管理装置4は、携帯端末5を運用する通信キャリアの施設に設けられる。
【0012】
通信キャリア網管理装置4は、通信キャリアが携帯端末5に対して通信サービスを提供するために配置する複数の携帯基地局7と接続されている。さらに、携帯基地局7を中心とする所定の距離範囲内に、携帯端末5との無線通信が可能な通信エリアが構成され、通信エリア内に存在する携帯端末5は、自己の端末IDと自己の位置情報(通信可能な携帯基地局の位置情報、または自己に内蔵されたGPS(Global Positioning System)などの位置情報取得手段が取得した自己の位置情報等)を通信キャリア網管理装置4に登録するとともに、携帯基地局7を通して通信キャリアが提供する通信サービス(インターネット接続、電話サービス等)を利用することができる。
【0013】
また、携帯キャリア網管理装置4は、携帯端末5に係る様々な情報(加入者情報(顧客名)、加入者が所有する携帯端末5の情報(端末ID、位置情報、通信状況など))を記憶する。また、監視装置3から、所定の条件に該当する携帯端末5の情報の開示要求を受信した場合に、該条件に該当する携帯端末5の情報を監視装置3に送信する。
【0014】
警報装置2は、警備先の監視領域への侵入者を検知して、侵入警報を監視装置3に送信するものである。監視装置3は、警報装置2からの該侵入警報を受信すると、待機中の警備員に監視領域へ向かう旨の指示を出すとともに、必要に応じて警察や消防などの関係機関に通報する。
【0015】
ここで、警報装置2について詳述する。
図2は、警報装置2の構成例を示す図である。
図2に示すように、警報装置2は、監視領域に設置された複数の侵入検知手段であるセンサ2a~2nと、設定入力・表示部20と、入出力制御部21と、制御部22と、通信制御部23と、自己の識別情報である警報装置IDを記憶する警報装置ID記憶部24と、を備えている。
【0016】
センサ2a~2nは、例えば、赤外線の受光量の変化をもとに人を検知する赤外センサ、赤外線などが遮られることで人を検知する遮断センサ、電磁波の乱れで人を検知する気配センサ、マグネットにより扉の開閉を検知するマグネットセンサ、およびカメラが撮像した画像の画像認識により人や人の不審な行動を検知する画像センサなどの、監視領域への侵入者を検知する各種センサである。
【0017】
設定入力・表示部20は、各種設定画面等を表示する液晶画面や操作ボタン等を備えており、初期設定画面や警備モード設定画面を液晶画面に表示して、利用者による警報装置2の初期設定の入力や、警報装置2に対する種々の警備モードの設定入力をおこなう警備モード切替手段である。ここで、警備モードとは、監視領域において、侵入者が検知された場合に監視センタの監視装置3などの通報先に侵入者を検知した旨の通報を行うか否か、警報装置2の動作を決定するモードである。具体的には、警備状態モードおよび警備解除状態モードなどがある。
【0018】
警備状態モードは、センサ2a~2nが侵入者を検知したことにより検知信号を出力した際、警報装置2が侵入者を検知した旨の侵入警報を監視センタの監視装置3に通報する状態の警備モードである。
【0019】
警備解除状態モードは、センサ2a~2nが侵入者を検知したことにより検知信号を出力しても、警報装置2が、監視センタの監視装置3への通報を行わない状態の警備モードである。
【0020】
これらの各状態は、利用者による設定入力・表示部20からの操作によって設定される。
【0021】
警報装置2は、設定入力・表示部20が警備解除状態モードを警備状態モードに切り替える操作(警備をセットする操作)を受け付けた場合、監視装置3に対して、警報装置IDとともに警備開始信号を送信する。
【0022】
また、警報装置2は、設定入力・表示部20が警備状態モードを警備解除状態モードに切り替える操作(警備を解除する操作)を受け付けた場合、監視装置3に対して、警報装置IDとともに警備解除信号を送信する。
【0023】
入出力制御部21は、設定入力・表示部20の入出力制御と、センサ2a~2nの入力制御により種々のデータの入出力を制御する処理部である。通信制御部23は、ネットワーク6を介して接続される警報装置2と監視装置3との間における通信を制御するものであり、具体的にはネットワークボードなどが該当する。制御部22は、警報装置2の制御主体となるものである。
【0024】
すなわち、警報装置2は、センサ2a~2nが侵入者を検知した場合、警備状態モードであることを条件として、侵入警報を監視装置3に送信する。より詳細には、警報装置2は、侵入警報とともに、警報装置ID記憶部24に記憶された自己の識別情報である警報装置IDを監視装置3に送信する。
【0025】
次に、監視装置3について詳述する。監視装置3は、一般的なOS(Operating System)等が搭載された情報処理装置(コンピュータ)により実現できる。
【0026】
ここで、
図3は監視装置3のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3に示すように、本実施の形態の監視装置3は、装置全体を制御するCPU(Central Processing Unit)等の制御部101と、各種データや各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の主記憶部102と、各種データや各種プログラムを記憶するHDD(Hard Disk Drive)やCD(Compact Disc)ドライブ装置等の補助記憶部103と、これらを接続するバス104を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成により実現可能である。CPUは、現在時刻を計る計時機能を有する。
【0027】
また、制御部101には、情報を表示する表示部105と、ユーザの指示入力を受け付けるキーボードやマウス等の操作入力部106と、警報装置2や携帯キャリア網管理装置4とネットワーク6を介した通信を制御する通信I/F(interface)107とがバス104により各々接続される。
【0028】
本実施の形態の監視装置3で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0029】
また、本実施の形態の監視装置3で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の監視装置3で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0030】
また、本実施の形態の監視装置3で実行されるプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0031】
次に、監視装置3のCPUがプログラムに従って実行する各種の演算処理のうち、本実施の形態の特長的な処理である監視処理を実現する機能について以下に説明する。
【0032】
図4は、監視装置3の監視処理にかかる機能の一例を示すブロック図である。
【0033】
図4に示すように、監視装置3は、侵入者特定情報取得手段30と、警報装置情報記憶手段31と、監視対象携帯端末情報記憶手段32と、特定行動検出手段33と、を備える。
【0034】
警報装置情報記憶手段31は、警報装置2の設置場所(住所)を、警報装置IDと対応付けて予め補助記憶部103などに記憶する。
【0035】
また、警報装置情報記憶手段31は、監視装置3が警報装置2から警報装置IDと警備開始信号を受信した場合、該警備開始信号を受信した時刻を、該受信した警報装置IDと対応付けて、補助記憶部103などに記憶する。また、監視装置3が警報装置2から警報装置IDと警備解除信号を受信した場合、該警備解除信号を受信した時刻を、該受信した警報装置IDと対応付けて、補助記憶部103などに記憶する。
【0036】
侵入者特定情報取得手段30は、警報装置2から侵入警報を受信した場合、携帯キャリア網管理装置4に対し、警報装置2の設置場所を中心とする所定距離範囲内の地域に存在する携帯端末5の情報の開示要求を送信する。
【0037】
監視対象携帯端末情報記憶手段32は、開示要求の応答として携帯キャリア網管理装置4から受信した携帯端末5の情報を受信した時刻とともに対応付けて補助記憶部103などに記憶する。
【0038】
特定行動検出手段33は、監視対象携帯端末情報記憶手段32により補助記憶部103などに記憶した携帯端末5の情報を分析して、該携帯端末5を所持する者の特定の行動(例えば、侵入者の下見行動)を検出する。
【0039】
(侵入者の特定に利用できる情報の取得)
続いて、監視処理において侵入者の特定に利用できる情報(侵入者特定情報)を取得する処理である侵入者特定情報取得処理について説明する。
【0040】
本実施の形態の監視装置3における侵入者特定情報取得処理は、概略的には、警備先において妨害電波を利用しない構成で、侵入者が所持する携帯端末5の特定に利用できる情報を取得する処理である。なお、侵入者が携帯端末5を所持しており、かつ、携帯キャリア網管理装置4は開示要求に応答可であることを前提としている。
【0041】
ここで、
図5は侵入者特定情報取得処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
図5に示すように、監視装置3の侵入者特定情報取得手段30は、警報装置2から警報装置IDおよび侵入警報を受信すると、該受信した警報装置IDに基づいて、警報装置情報記憶手段31により補助記憶部103などに記憶した該警報装置2の設置場所を検索する(ステップS1)。
【0042】
次に、監視装置3の侵入者特定情報取得手段30は、検索した警報装置2の設置場所を中心とする所定距離範囲内の地域に存在することなどの条件に該当する携帯端末5の情報の開示要求を、携帯キャリア網管理装置4に対して送信する(ステップS2)。ここで、条件とは、時刻、警報装置2の設置場所(住所)、距離範囲などである。
【0043】
携帯キャリア網管理装置4は、監視装置3から、警報装置2の設置場所を中心とする所定距離範囲内の地域に存在する携帯端末5の情報の開示要求を受信した場合に、自己が記憶している携帯端末5の情報を検索する。そして、携帯キャリア網管理装置4は、開示要求の条件に該当する携帯端末5の情報を監視装置3に送信する。
【0044】
監視装置3の侵入者特定情報取得手段30は、携帯キャリア網管理装置4から送信された携帯端末5の情報を受信する(ステップS3)。
【0045】
続いて、監視装置3の侵入者特定情報取得手段30は、携帯キャリア網管理装置4から受信した携帯端末5の情報を、監視対象の携帯端末の情報として監視対象携帯端末情報記憶手段32によって補助記憶部103などに記憶する(ステップS4)。
【0046】
具体的には、監視装置3の侵入者特定情報取得手段30は、例えば「A町1番地」を住所とする警備先に設置された警報装置2から侵入警報を受信した場合、「A町1番地を中心とする半径100mの範囲内」に存在する携帯端末5の情報の開示を携帯キャリア網管理装置4に要求する。そして、監視装置3の侵入者特定情報取得手段30は、該当する携帯端末5の情報を取得する。取得した携帯端末5の情報は、侵入者が所持している可能性がある携帯端末5の候補に関する情報として扱う。
【0047】
以上のように、本実施の形態の監視システム1は、侵入警報が発生した場所の周囲に存在している携帯端末5の情報(加入者情報、端末情報(端末ID)、位置情報、通信状況(通信時刻)など)の開示を携帯キャリア網管理装置4に要求し、取得した情報(加入者情報、端末情報(端末ID)、位置情報、通信状況(通信時刻)など)を侵入者が所持している可能性がある携帯端末5の特定や追跡に用いる。
【0048】
(侵入警報時の端末追跡)
続いて、監視処理における侵入警報時の端末追跡処理について説明する。
【0049】
本実施の形態の監視装置3における侵入警報時の端末追跡処理は、上述の侵入者特定情報取得処理によって特定された侵入者が所持する携帯端末5を追跡する処理である。
【0050】
ここで、
図6は端末追跡処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
図6に示すように、監視装置3の侵入者特定情報取得手段30は、所定の追跡時間間隔毎に、受信した携帯端末の情報に対応する携帯端末5を対象として、携帯キャリア網管理装置4への開示要求の送信を行う(ステップS11)。
【0051】
また、監視装置3の侵入者特定情報取得手段30は、携帯キャリア網管理装置4から受信した携帯端末の情報および受信した時刻を監視対象携帯端末情報記憶手段32によって補助記憶部103などに記憶する(ステップS12)。
【0052】
監視装置3の侵入者特定情報取得手段30は、所定の追跡時間間隔毎に、ステップS11~S12の処理を繰り返す。
【0053】
以上のような端末追跡処理によって、監視対象の携帯端末5について、侵入警報発生時点からの軌跡を取得し、侵入者が所持している可能性がある携帯端末5の特定に用いる。
【0054】
(侵入者の下見行動の検出)
続いて、監視処理における侵入者の下見行動の検出処理について説明する。
【0055】
本実施の形態の監視装置3における侵入者の下見行動の検知処理は、侵入者は予め侵入先の生活状況を下見し、かつ、携帯端末5を所持する可能性が高い、という前提の下に行う処理である。
【0056】
ここで、
図7は侵入者の下見行動の検出処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【0057】
図7に示すように、監視装置3の特定行動検出手段33は、警報装置2から警報装置IDとともに警備開始信号または警備解除信号を受信した場合に、警報装置情報記憶手段31によって補助記憶部103などに記憶した、該警報装置2の設置場所を中心とする所定距離範囲内の地域に存在する携帯端末5の情報の開示要求を携帯キャリア網管理装置4に送信する(ステップS21)。
【0058】
携帯キャリア網管理装置4は、監視装置3から、警報装置2の設置場所を中心とする所定距離範囲内の地域に存在する携帯端末5の情報の開示要求を受信した場合に、自己が記憶している携帯端末5の情報を検索する。そして、携帯キャリア網管理装置4は、開示要求の条件に該当する携帯端末5の情報を監視装置3に送信する。
【0059】
監視装置3の特定行動検出手段33は、携帯キャリア網管理装置4から送信された携帯端末5の情報を受信する(ステップS22)。
【0060】
続いて、監視装置3の特定行動検出手段33は、携帯キャリア網管理装置4から受信した携帯端末5の情報を、受信した時刻に対応付けて監視対象携帯端末情報記憶手段32によって補助記憶部103などに記憶する(ステップS23)。
【0061】
そして、監視装置3の特定行動検出手段33は、監視対象携帯端末情報記憶手段32が補助記憶部103などに記憶した携帯端末5の情報および受信した時刻に基づいて、該携帯端末5を所持する者の特定の行動(下見行動)を検出する(ステップS24)。
【0062】
具体的には、監視装置3の特定行動検出手段33は、携帯端末5の位置情報と、該位置情報に対応する受信した時刻と、警報装置情報記憶手段31が補助記憶部103などに記憶する警報装置2の設置場所と、警備開始信号および警備解除信号を受信した時刻と、に基づいて、所定の距離範囲の地域に所定の時間以上滞在し、かつ、該滞在時間帯と、該地域が設置場所である警報装置2の警備開始信号を受信した時刻または警備解除信号を受信した時刻と、の間に一定以上の相関関係がある携帯端末5を抽出する。例えば、滞在時間帯と警備開始信号または警備解除信号を受信した時刻とが重なる場合に、相関関係がある、と判断する。
【0063】
侵入者は、下見行動において侵入先(警備先)が不在となる時間帯を調べると考えられ、侵入先(警備先)の警備のセット時、または解除時には、侵入先(警備先)の近辺に侵入者が存在して、様子を見ているものと考えられる。
【0064】
このような考えに基づき、以上のようにして、監視装置3は、携帯キャリア網管理装置4に開示要求して取得した、警備先の警備セット・解除時点で警備先の住所周辺に存在する携帯端末5の情報を抽出し、警備先と対応付けて予め蓄積しておく。そして、監視装置3は、警報装置2から侵入警報を受信した時点で携帯キャリア網管理装置4に開示要求して取得した、警備先の住所周辺に存在する携帯端末5の情報と、予め蓄積しておいた携帯端末5の情報とを参照し、侵入者が下見行動時および侵入時に所持していた可能性がある携帯端末5を検出する。検出した携帯端末5の情報は、侵入者が所持している可能性がある携帯端末5の特定に用いる。
【0065】
(放棄端末の検出)
続いて、監視処理における放棄端末の検出処理について説明する。
【0066】
本実施の形態の監視装置3における放棄端末の検出処理は、侵入者が逃走時に、自己が所持する携帯端末5の位置情報を用いて関係機関等によって追跡されることを免れるために該携帯端末5を放棄(置き去り)した場合、その携帯端末5の位置情報は変化せず、かつ、通話や通信がほぼ発生しないと考えられる、という前提の下に行う処理である。
【0067】
ここで、
図8は放棄端末の検出処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
図8に示すように、監視装置3の特定行動検出手段33は、
図6のステップS11~S12を繰り返す端末追跡処理によって取得し、監視対象携帯端末情報記憶手段32によって補助記憶部103などに記憶した携帯端末5の情報に含まれる、位置情報、通信状況および該携帯端末5の情報を受信した時刻に基づいて、所定の距離範囲の地域に所定の時間以上滞在し、かつ、一定以上の通信が発生していない携帯端末5の中で、侵入者が放棄した可能性がある携帯端末5を抽出する(ステップS31)。
【0068】
次に、監視装置3の特定行動検出手段33は、検出された携帯端末5の所有者情報の開示要求を、携帯キャリア網管理装置4に送信する(ステップS32)。
【0069】
携帯キャリア網管理装置4は、監視装置3から携帯端末5の所有者情報の開示要求を受信した場合に、該当する携帯端末5の所有者情報を監視装置3に送信する。
【0070】
監視装置3の特定行動検出手段33は、携帯キャリア網管理装置4から携帯端末5の所有者情報を受信する(ステップS33)。
【0071】
監視装置3の特定行動検出手段33は、携帯キャリア網管理装置4から受信した携帯端末5の所有者情報を、侵入警報に係る侵入者の特定に利用できる情報(侵入者特定情報)として関係機関へ通報する(ステップS34)。
【0072】
以上のようにして、監視装置3は、侵入警報が発生した場合に、その発生場所近辺に存在する携帯端末5を追跡し、その位置情報と通信状況から、放棄端末を検出したら、その所有者が侵入者である可能性があると判断し、その所有者情報を携帯キャリア網管理装置4に照会して入手し、関係機関へ情報提供する。
【0073】
このように本実施の形態によれば、妨害電波を利用しない構成で、侵入者が所持している可能性がある携帯端末を特定することができ、侵入者の特定に利用できる情報(侵入者特定情報)として関係機関に提供することができる。
【0074】
なお、本実施の形態においては、携帯キャリア網管理装置4が開示要求に応答可であることを前提として説明したが、これに限るものではない。ここで、
図9は携帯キャリア網管理装置4が開示要求に応答不可である場合における処理概要を示す図である。
図9に示すように、携帯キャリア網管理装置4が開示要求に応答不可である場合、携帯キャリア網管理装置4が、監視装置3の各機能のうち、侵入者特定情報取得手段30、監視対象携帯端末情報記憶手段32、特定行動検出手段33、および各機能で使用する図示しない補助記憶部を監視装置3に代わって備え、監視装置3は警備装置情報記憶手段31および該機能で使用する図示しない補助記憶部を備える。さらに、監視装置3は、警報装置2から警報装置IDとともに警備開始信号、警備解除信号、侵入警報のいずれかを受信すると、警報装置情報記憶手段31が、受信した警報装置IDに対応付けて予め記憶されている該警報装置の設置場所の住所を検索し、該検索した住所および受信した警報または信号の内容を携帯キャリア網管理装置4に通知するように構成する。
【0075】
このような構成とすることによって、通信キャリアの施設側から監視センタ側へ、携帯端末5の情報を開示することなく、携帯キャリア網管理装置4において、侵入者が所持している可能性がある携帯端末5の候補に関する情報を取得することができる。また、監視装置3が関係機関に対して、侵入警報を受信した警報装置2の設置場所(住所)を情報提供することにより、関係機関は、情報提供された設置場所(住所)に基づいて、通信キャリア側に対して、侵入者の特定に利用できる情報(侵入者特定情報)を照会し、侵入者が所持している可能性がある携帯端末5の候補に関する情報を取得することができる。
【0076】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
【0077】
第2の実施形態は、侵入者の下見行動の検出において、通信の有無で侵入者が所持している可能性がある携帯端末5と放置されている携帯端末5を識別する点が、第1の実施形態と異なる。以下、第2の実施形態の説明では、第1の実施形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施形態と異なる箇所について説明する。
【0078】
(侵入者の下見行動の検出)
図8に示すステップS24において、監視装置3の特定行動検出手段33は、監視対象携帯端末情報記憶手段32が補助記憶部103などに記憶する携帯端末5の位置情報、通信状況および対応する受信した時刻、および警報装置情報記憶手段31が補助記憶部103などに記憶する警報装置2の設置場所、および警備開始信号および警備解除信号を受信した時刻に基づいて、所定の距離範囲の地域に所定の時間以上滞在し、かつ、一定以上の通信が発生しており、かつ、該地域が設置場所である警報装置2の警備開始信号を受信した時刻または警備解除信号を受信した時刻と、一定以上の相関関係がある携帯端末5を抽出する。
【0079】
侵入者は、下見中においても、自己が所持する携帯端末5を操作して通話、メール送受信等を行う可能性がある。一方、現場付近に放置されている携帯端末5(例えば現場付近に居住する第三者が在宅中に机上に放置した、自己が所有する携帯端末5など)であれば、その可能性は低い。よって、携帯端末5の通信状況(通話有無、通信量等)も併せて調べれば、それぞれを区別することができる。
【0080】
本発明によれば、警備先が住宅である場合に、該住宅の留守中に検知した侵入者の特定に利用できる情報が取得できる。
【0081】
また、本発明によれば、警備先がコンビニエンスストア等、営業中の店舗である場合に、該店舗で検知した強盗や万引きなどの犯人の特定に利用できる情報が取得できる。この場合、センサ2a~2nとして、店舗に設置したカメラが撮像した画像の画像認識により人の不審行動(例えば強盗が店舗の従業員を脅す行為や、来店した客が店舗にある商品を万引きする行為など)を検知する画像センサを用いる構成として、営業中の警備モードを警備状態モードに設定できる構成としてもよい。また、センサ2a~2nを、店舗の従業員による非常時の操作を受け付けると検知信号を出力する非常押しボタンに置き換え、営業中の警備モードを警備状態モードに設定できる構成としてもよい。このような構成とすることにより、コンビニエンスストアにおける強盗や万引きなどが発生した場合においても、強盗に襲われたことや、万引きが発生したことを契機として侵入警報(検知信号)が発生した場合に、強盗や万引きなどの犯人が所持している可能性がある携帯端末を特定することができ、強盗や万引きなどの犯人の特定に利用できる情報として関係機関に提供することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 監視システム
2 警報装置
3 監視装置
4 携帯キャリア網管理装置
30 侵入者特定情報取得手段
31 警報装置情報記憶手段
32 監視対象携帯端末情報記憶手段
33 特定行動検出手段