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特開2024-26537移動体装置、情報処理方法及び情報処理用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026537
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】移動体装置、情報処理方法及び情報処理用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20240220BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
G01C21/34
G09B29/10 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023219744
(22)【出願日】2023-12-26
(62)【分割の表示】P 2022159666の分割
【原出願日】2018-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】吉田 徹也
(72)【発明者】
【氏名】嶋崎 大樹
(72)【発明者】
【氏名】谷田部 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】亀本 佳孝
(57)【要約】
【課題】管理下にある車両の移動を、既定の指定ルートを用いて厳密に管理することが可能な移動体装置を提供する。
【解決手段】管理者の管理下にある車両の移動を案内するナビゲーション装置NVにおいて、車両が移動すべき地点を示す地点情報、又は車両が移動すべき地点を含む経路を示す経路情報の少なくともいずれか一方を取得し、取得した経路情報を用いた経路上の車両の移動の案内中は、経路情報に対応した経路以外の車両が移動すべき移動路を提示しないようする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理者の管理下にある移動体の移動を案内する移動体装置において、
前記移動体が移動すべき地点を示す地点情報、又は前記移動体が移動すべき地点を含む第1経路を示す第1経路情報の少なくともいずれか一方を取得する取得手段を備え、
前記取得した第1経路情報を用いた前記移動体の移動の案内中は、前記第1経路以外の当該移動体が移動すべき移動路を提示しないことを特徴とする移動体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、移動体装置、情報処理方法及び情報処理用プログラムの技術分野に属する。より詳細には、管理者の管理下にある移動体の移動を案内する移動体装置及び当該移動体装置において実行される情報処理方法並びに当該情報処理用のプログラムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動すべき目的地までのルートを探索し、当該探索されたルートに沿った案内を行うナビゲーション装置が広く知られている。このようなナビゲーション装置の一例を示す先行技術文献として、例えば下記特許文献1が挙げられる。
【0003】
この特許文献1に記載されている技術では、車両の移動速度が基準速度以上の場合は、ルートの再探索を禁止する構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-232836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されている技術を含む先行技術では、予め設定した指定ルート上のみを移動するように車両を管理することについては、全く考慮されていない。よってこの場合は、管理下にある車両の移動を、既定の指定ルートに従って厳密に管理することができないという問題点があった。
【0006】
そこで本願は、上記の問題点に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、管理下にある車両の移動を、既定の指定ルートを用いて厳密に管理することが可能な移動体装置及び当該移動体装置において実行される情報処理方法並びに当該情報処理用のプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、管理者の管理下にある移動体の移動を案内する移動体装置において、前記移動体が移動すべき地点を示す地点情報、又は前記移動体が移動すべき地点を含む第1経路を示す第1経路情報の少なくともいずれか一方を取得する取得手段を備え、前記取得した第1経路情報を用いた前記移動体の移動の案内中は、前記第1経路以外の当該移動体が移動すべき移動路を提示しないように構成される。
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項12に記載の発明は、管理者の管理下にある移動体の移動を案内する移動体装置であって、取得手段を備える移動体装置において実行される情報処理方法であって、前記移動体が移動すべき地点を示す地点情報、又は前記移動体が移動すべき地点を含む第1経路を示す第1経路情報の少なくともいずれか一方を前記取得手段により取得する取得工程を含み、前記取得した第1経路情報を用いた前記移動体の移動の案内中は、前記第1経路以外の当該移動体が移動すべき移動路を提示しないように構成される。
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項13に記載の発明は、管理者の管理下にある移動体の移動を案内する移動体装置に搭載されたコンピュータを、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の移動体装置として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る移動体装置の概要構成を示すブロック図である。
図2】実施例に係る情報処理システムの概要構成を示すブロック図である。
図3】実施例に係る処理サーバ等の概要構成を示すブロック図であり、(a)は当該処理サーバの概要構成を示すブロック図であり、(b)は実施例に係るナビゲーション装置の概要構成を示すブロック図である。
図4】実施例に係る情報処理を示すフローチャートである。
図5】実施例に係る情報処理においてナビゲーション装置に表示される画面例等を示す図であり、(a)は当該画面例(I)を示す図であり、(b)は当該画面例(II)を示す図であり、(c)は実施例に係る電子メールの内容を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本願を実施するための形態について、図1を用いて説明する。なお図1は、実施形態に係る移動体装置の概要構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、実施形態に係る移動体装置Sは、管理者の管理下にある移動体の移動を案内する移動体装置Sであって、取得手段1を備える。
【0013】
この構成において取得手段1は、移動体が移動すべき地点を示す地点情報、又は移動体が移動すべき地点を含む第1経路を示す第1経路情報の少なくともいずれか一方を取得する。
【0014】
そして移動体装置Sは、取得した第1経路情報を用いた移動体の移動の案内中は、第1経路以外の当該移動体が移動すべき移動路を提示しない。
【0015】
以上説明したように、実施形態に係る移動体装置Sの動作によれば、取得した第1経路情報を用いた移動の案内中は当該第1経路以外の当該移動体が移動すべき移動路を提示しないので、当該移動体の移動を、第1経路情報を用いて厳密に管理することができる。
【実施例0016】
次に、上述した実施形態に対応する具体的な実施例について、図2乃至図5を用いて説明する。なお以下に説明する実施例は、複数の車両にそれぞれ搭載されているナビゲーション装置と、当該複数の車両の移動を管理する管理者の管理者装置と、実施例に係る処理サーバと、がインターネット等のネットワークを介して接続されてなる情報処理システムに対して本願を適用した場合の実施例である。このとき上記車両が、実施形態に係る移動体の一例に相当する。
【0017】
また、図2は実施例に係る情報処理システムの概要構成を示すブロック図であり、図3は実施例に係る処理サーバ等の概要構成を示すブロック図であり、図4は実施例に係る情報処理を示すフローチャートであり、図5は当該情報処理においてナビゲーション装置に表示される画面例等を示す図である。このとき図2及び図3では、図1に示した実施形態に係る移動体装置Sにおける各構成部材に対応する実施例の構成部材それぞれについて、当該移動体装置Sにおける各構成部材と同一の部材番号を用いている。
【0018】
図2に示すように、実施例に係る情報処理システムSSは、複数の車両の移動を管理する管理者に使用される管理者装置Mと、当該複数の車両にそれぞれ搭載されたナビゲーション装置NV1、ナビゲーション装置NV2、…、ナビゲーション装置NVn(nは自然数)と、処理サーバSVと、が、上記ネットワークNWを介してデータの授受が可能に接続されて構成されている。なお以下の説明において、ナビゲーション装置NV1、ナビゲーション装置NV2、…、ナビゲーション装置NVnについて共通の事項を説明する場合、これらを纏めて「ナビゲーション装置NV」と称する。
【0019】
この構成において、管理者装置Mを使用する管理者は、実施例に係るナビゲーション装置NVが搭載されている車両の実施例に係る移動態様を管理する任を負う。このとき当該移動態様とは、各車両が立ち寄るべき地点や、当該地点に立ち寄る際に経由すべき経路をいう。そして、管理者による管理の態様としては、以下の二つがある。
【0020】
即ち第一の管理態様は、各車両が立ち寄るべき(換言すれば経由すべき)地点及び目的地をそれぞれ示す地点情報の一覧を各車両に送信し、各車両においては、当該地点情報により示される各地点を経由して目的地に到達するためのルートを探索させ、当該探索結果に基づいて車両を移動させる管理態様である。この第一の管理態様の場合、管理者としては各車両が移動すべき(即ち経由すべき)地点を指示するのみであり、各地点を経由して移動するためのルート自体は各車両に搭載されているナビゲーション装置NVの探索結果によることになる。この第一の管理態様を、以下「登録コース管理」と称する。
【0021】
一方第二の管理態様は、各車両が立ち寄るべき地点及び目的地を指定するだけでなく、当該各地点を経由して移動するための経路まで管理者が指定する管理態様である。このとき、当該管理者が各車両の移動について指定する移動のための経路を、以下「指定ルート」と称する。そして第二の管理態様の下では、各車両に搭載されているナビゲーション装置NVのそれぞれで独自にルートが探索されることはなく、また、仮に当該指定ルートを逸脱する事態が車両において発生した場合でも、元の指定ルートに戻るための新たなルートの探索や、目的地までの他のルートの再探索(いわゆるリルート探索)が各ナビゲーション装置NVで実行されることはない。この第二の管理態様を、以下「指定ルートコース管理」と称する。
【0022】
以上の管理を行うため、管理装置Mは上記地点情報の一覧又は上記指定ルートを示す情報の少なくともいずれか一方を生成し、処理サーバSVを経由してこれらを各ナビゲーション装置NVに送信する。そして処理サーバSVは、当該地点情報の一覧又は上記指定ルートを示す情報の少なくともいずれか一方に基づく各車両(換言すれば、各ナビゲーション装置NV)の移動態様を検出等することで、管理者による上記移動態様の管理が実現されるように機能する。なお以下の説明では、上記指定ルートを示す情報を「指定ルート情報」と称する。また各ナビゲーション装置NVは、上記地点情報の一覧又は上記指定ルート情報の少なくともいずれか一方を受信したら、当該少なくともいずれか一方に基づいて移動するように車両を案内すると共に、例えば指定ルートコース管理において指定ルートを逸脱するような事態が発生した場合は、当該逸脱の事態が発生したこと等を処理サーバSV経由で管理者装置Mに報告する。
【0023】
次に、実施例に係る情報処理システムSSに含まれる処理サーバSV及び各ナビゲーション装置NVそれぞれの構成について、図3を用いて説明する。
【0024】
図3(a)に示すように、実施例に係る処理サーバSVは、インターフェース10と、CPU、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等からなる処理部11と、液晶ディスプレイ等からなるディスプレイ12と、マウス及びキーボード等からなる操作部13と、HDD(Hard Disc Drive)又はSSD(Solid State Drive)等からなる記録部14と、により構成されている。
【0025】
この構成においてインターフェース10は、処理部11の制御の下、ネットワークNWを介した各ナビゲーション装置NVのそれぞれ及び管理者装置Mとの間のデータの授受を制御する。一方操作部13は、当該操作部13において処理サーバSVの使用者により行われた操作に対応した操作信号を処理部11に出力する。そして処理部11は、記録部14に記録されている諸データを用いて、上記操作信号に基づき、実施例に係る処理サーバSVとしての情報処理を統括制御する。このとき、当該記録部14に記録されている諸データとしては、例えば、各車両を他の車両から識別するための車両ID(例えば車番等)に関連付けられた上記地点情報の一覧又は上記指定ルート情報が含まれている他、実施例に係る処理サーバSVとしての情報処理を実行するためのプログラム等が含まれている。そして、処理部11による実施例に係る情報処理の実行に必要な情報は、ディスプレイ12を介して上記使用者に提示される。また処理部11は、インターフェース10を介して管理者装置M及び各ナビゲーション装置NVのそれぞれとの間で必要なデータを授受しつつ、処理サーバSVとしての上記実施例に係る情報処理を実行する。
【0026】
一方図3(b)に示すように、実施例に係る各ナビゲーション装置NVはそれぞれ、インターフェース1と、CPU、RAM及びROM等からなる処理部2と、液晶ディスプレイ等からなるディスプレイ3と、リモコン及び操作ボタン等からなる操作部4と、HDD又はSSD等からなる記録部5と、例えばGPS(Global Positioning System)センサ及び自立センサ或いは撮像カメラ等からなるセンサ部6と、スピーカ7と、により構成されている。このとき、インターフェース1が実施形態に係る取得手段1の一例に相当し、処理部2が本願に係る「判定手段」の一例、「搭乗者通知手段」の一例、「管理者宛通知手段」の一例、「復帰判定手段」の一例、「復帰通知手段」の一例、「経路生成手段」の一例及び「到達通知手段」の一例にそれぞれ相当する。また、操作部4が本願に係る「選択手段」の一例に相当する。
【0027】
この構成においてインターフェース1は、処理部2の制御の下、ネットワークNWを介した処理サーバSVとの間のデータの授受を制御する。一方操作部4は、当該操作部4においてナビゲーション装置NVが搭載されている車両の搭乗者(その運転者を含む)により行われた操作に対応した操作信号を処理部2に出力する。そして処理部2は、記録部5に記録されている諸データを用いて、上記操作信号に基づき、実施例に係る処理サーバSVとしての情報処理を統括制御する。このとき、当該記録部5に記録されている諸データとしては、例えば、ナビゲーション装置NVが搭載されている車両の移動を案内する際にディスプレイ3に表示される地図のための地図データの他、当該ナビゲーション装置NV(換言すれば当該車両)に関連付けられて処理サーバSV経由で取得された上記地点情報の一覧又は上記指定ルート情報が含まれている。更に記録部5には、実施例に係るナビゲーション装置NVとしての情報処理を実行するためのプログラム等も記録されている。そして、処理部2による実施例に係る情報処理の実行に必要な情報は、ディスプレイ3による表示又はスピーカ7を介した音声により上記搭乗者に提示される。また処理部2は、インターフェース1を介して処理サーバSVとの間で必要なデータを授受しつつ、ナビゲーション装置NVとしての上記実施例に係る情報処理を実行する。
【0028】
次に、上述した構成を備える情報処理システムSSに含まれる主として処理サーバSV及び各ナビゲーション装置NVにより実行される実施例に係る情報処理について、具体的に図4及び図5を用いて説明する。
【0029】
対応するフローチャートを図4に示すように、当該処理サーバSVとしての実施例に係る情報処理は、例えば、処理サーバSVとしての電源スイッチがオンとされたタイミングで開始される。そして当該情報処理開始後、先ず処理サーバSVの処理部11は、その移動対応を管理する車両に送信すべき上記地点情報の一覧及び上記指定ルート情報を、ネットワークNWを介して管理者装置Mから取得する。その後処理部11は、当該取得した地点情報の一覧及び指定ルート情報を含む実施例に係るコースデータを生成し、当該移動態様の管理の対象となる車両に搭載されているナビゲーション装置NVに対してネットワークNWを介して送信する(ステップS20)。その後処理部11は、後述する出発地経由データの当該ナビゲーション装置NVからの送信を監視する(ステップS21)。
【0030】
一方、ナビゲーション装置NVとしての実施例に係る情報処理は、例えば、当該ナビゲーション装置NVとしての電源スイッチがオンとされたタイミングで開始される。そして当該情報処理開始後、ナビゲーション装置NVの処理部2は、処理サーバSVから上記コースデータが送信されて来たか否かを監視する(ステップS1。上記ステップS20参照。)。ステップS1の監視において当該コースデータが送信されていない場合(ステップS1:NO)、処理部2はそのままステップS1の監視を継続する。一方ステップS1の監視において、コースデータが送信されて来たら(ステップS1:YES)、処理部2は次に、ナビゲーション装置NVが搭載されている車両の搭乗者により、上記登録コース管理の下で当該車両が移動するか、或いは上記指定ルートコース管理の下で当該車両が移動するか、の選択操作が例えば操作部4を介して行われたか否かを監視する(ステップS2)。
【0031】
ここで、当該ステップS2の選択として当該搭乗者は、例えば管理者装置Mを使用する管理者に別途連絡を取り、自身が運転する車両が登録コース管理の下で移動すべきか、又は指定ルートコース管理の下で移動すべきか、を確認する。そして当該搭乗者は、当該確認の結果に基づいてステップS2としての選択操作を行う。
【0032】
ステップS2の監視において、登録コース管理が選択された場合(ステップS2:登録コース)、処理部2は次に、当該登録コース管理のための上記地点情報の一覧に含まれている地点情報により示される地点を経由して目的地に到達するためのルートを、ナビゲーション装置NV独自に探索し(ステップS3)、その後、例えば従来と同様の案内処理の方法による当該車両の移動案内を開始する(ステップS4)。その後処理部2は、ステップS3で探索されたルートにおける出発地を通過したか否か(換言すれば、移動を開始したか否か)を監視する(ステップS5)。ステップS5の監視において未だ当該出発地を経由していない場合(ステップS5:NO)、処理部2はステップS4に戻って当該出発地までの案内を継続する。一方ステップS5の監視において当該出発地を経由した場合(ステップS5:YES)、処理部2は、当該出発地を経由した旨(換言すれば、地点情報の一覧により示される各地点への移動を開始した旨)を示す出発地経由データを生成し、ネットワークNWを介して処理サーバSVに送信する(ステップS6)。この出発地経由データには、当該出発地を経由した車両を識別するための識別データと、当該経由時刻を示す時刻データと、が少なくとも含まれている。その後処理部2は、後述するステップS13に移行する。
【0033】
他方、ステップS2の監視において、指定ルートコース管理が選択された場合(ステップS2:指定ルートコース)、処理部2は次に、ナビゲーション装置NV自体を、上記リルート探索を禁止するモードに移行させる(ステップS7)。このとき処理部2は、ステップS2において指定ルートコース管理が選択されたことをもってリルート探索を禁止するモードに移行させてもよいし、又はステップS1で取得した指定ルート情報の中にリルート探索を禁止する禁止フラグが含まれていた場合は、当該禁止フラグの確認をもってリルート探索を禁止するモードに移行させてもよい。このとき前者の場合は処理部2が独自にリルート探索を禁止するモードに移行させることとなり、一方後者の場合は処理サーバSVからの指示によりリルート探索を禁止するモードに移行させられることとなる。
【0034】
ステップS7でリルート探索を禁止するモードに移行させたら、次に処理部2は、ナビゲーション装置NVが搭載されている車両の現在位置をセンサ部6からの現在位置データ等に基づいて検出する。そして処理部2は、検出された現在位置と指定ルートにおける出発地とが異なる場合は、実施例に係る出発地指標を、上記指定ルート及び上記現在位置が含まれる範囲の地図と共にディスプレイ3に表示する。
【0035】
ここで、ステップS8で表示される出発地指標について例示すると、例えば図5(a)に示すように、上記現在位置を示す現在位置マークPSと、出発地STを含む指定ルートOR(図5(a)では太破線で示されている)と、を含む地図MPがディスプレイ3に表示されている状態において、例えば、道路の形状等には無関係の簡易的な直線である出発地指標G(図5(a)では一点鎖線で例示されている)が表示される。この出発地指標Gは、指定ルートコース管理下にある車両の現在位置から見た、指定ルートORの出発地STの位置を簡易的に示す指標である。また出発地指標Gのディスプレイ3における表示色は、指定ルートORのディスプレイ3における表示色と異ならせて表示するのが好ましい。更に出発地指標Gとしては、図5(a)に例示する直線状の出発地指標Gの他に、現在位置から見た出発地STの方向を示す矢印により当該出発地STの方向を示すように構成してもよいし、スピーカ7を介した音声により当該出発地STの方向を示すように構成してもよい。ここで、指定ルートコース管理下にあるナビゲーション装置NVの処理部2としては、上記現在位置から出発地STまでのルート探索や、当該探索されたルートを用いた案内は行われず、よって当該車両の搭乗者は、例えば出発地指標Gと共に表示されている地図MPを参照しながら出発地STまで車両を移動させる。
【0036】
ステップS8で出発地指標Gを表示させたら、次に処理部2は、当該車両が上記出発地STを通過したか否か(換言すれば、指定ルート上の移動を開始したか否か)を監視する(ステップS9)。ステップS9の監視において未だ当該出発地STを経由していない場合(ステップS9:NO)、処理部2はステップS8に戻って上記出発地指標Gの表示を継続する。一方ステップS9の監視において当該出発地STを経由した場合(ステップS9:YES)、処理部2は、当該出発地STを経由した旨(換言すれば、指定ルート上の移動を開始した旨)を示す出発地経由データを生成し、ネットワークNWを介して処理サーバSVに送信する(ステップS10)。この出発地経由データには、当該出発地を経由した車両を識別するための識別データと、当該経由時刻を示す時刻データと、が少なくとも含まれている。その後処理部2は、上記指定ルートに沿った車両の移動案内を開始する(ステップS11)。
【0037】
次に処理部2は、指定ルート上の移動において、指定ルートコース管理下にある車両が指定ルートを逸脱したか否かを監視する(ステップS12)。このステップS12として処理部2は、センサ部6からの上記現在位置データに基づいて当該逸脱の有無を監視する。このとき処理部2は、当該車両の現在位置が指定ルート外となったことを検出したとしても直ちに指定ルート逸脱の判定は行わず、例えば、現在位置が指定ルート外となった状態が一定時間(例えば1分)以上継続されるか、又は現在位置が指定ルートから一定距離(例えば200メートル)離れたことが検出された場合に初めて、指定ルートからの逸脱が発生したと判定する。
【0038】
ステップS12の監視において、指定ルートからの逸脱が発生していない場合(ステップS12:NO)、処理部2は次に、指定ルートコース管理下にある車両が指定ルートに含まれている経由地に到着したか否かを監視する(ステップS13)。ステップS13の監視において未だ当該経由地に到着していない場合(ステップS13:NO)、処理部2はステップS11に戻って上述した処理を繰り返す。一方ステップS13の監視において当該経由地に到着した場合(ステップS13:YES)、処理部2は、当該経由地に到着した旨を示す経由地到着データを生成し、ネットワークNWを介して処理サーバSVに送信する(ステップS14)。この経由地到着データには、当該経由地に到着した車両を識別するための識別データと、当該到着時刻を示す時刻データと、が少なくとも含まれている。
【0039】
次に処理部2は、指定ルートコース管理下にある車両が指定ルートに含まれている目的地に到着したか否かを監視する(ステップS15)。ステップS15の監視において未だ当該目的地に到着していない場合(ステップS15:NO)、処理部2はステップS11に戻って上述した処理を繰り返す。一方ステップS15の監視において当該目的地に到着した場合(ステップS15:YES)、処理部2は、当該目的地に到着した旨を示す目的地到着データを生成し、ネットワークNWを介して処理サーバSVに送信する(ステップS16)。この目的地到着データには、当該目的地に到着した車両を識別するための識別データと、当該到着時刻を示す時刻データと、が少なくとも含まれている。
【0040】
その後処理部2は、例えばナビゲーション装置NVの電源スイッチがオフとされた等の理由によりナビゲーション装置NVとしての実施例に係る情報処理を終了するか否かを判定する(ステップS17)。ステップS17の判定において、当該情報処理を継続する場合(ステップS17:NO)、処理部2は上記ステップS1に戻って上述した処理を繰り返す。一方ステップS17の判定において当該情報処理を終了する場合(ステップS17:YES)、処理部2はそのまま当該情報処理を終了する。
【0041】
一方、ステップS12の監視において、指定ルートからの逸脱が発生したと判定された場合(ステップS12:YES)、処理部2は次に、当該指定ルートを逸脱した場合の処理を行う(ステップS18)。ここでステップS18として処理部2は、以下の(i)及び(ii)の処理を行う。
(i)ナビゲーション装置NVが搭載されている車両の搭乗者に対するメッセージ出力
(ii)指定ルートコース管理下にある車両が指定ルートを逸脱した旨の指定ルート外データの、ネットワークNWを介した処理サーバSVへの送信
このとき上記(i)の処理として処理部2は、例えば図5(b)に例示するようなメッセージMGを、指定ルートから逸脱した車両の現在位置を示す現在位置マークPS等と共にディスプレイ3に表示する。この場合に処理部2は、例えば当該逸脱した旨の警告音をスピーカ7から放音しつつメッセージMGを表示してもよい。更に当該メッセージMGの表示は、予め設定された時間(例えば5分)ごとに繰り返して行われる。
【0042】
一方上記(ii)の処理として処理部2は、指定ルートを逸脱した車両を識別するための識別データと、当該逸脱した時刻及び位置をそれぞれ示すデータと、を含む上記指定ルート外データを処理サーバSVに送信する。
【0043】
そして、上記(i)の処理を受けた当該車両の搭乗者は、例えば管理者装置Mを使用する管理者に別途連絡を取り、指定ルートへの戻り方やそれ以外の取るべき行動について指示を仰ぐことになる。
【0044】
その後処理部2は、当該車両が指定ルート上に復帰したか否かを、例えばセンサ部6からの現在位置データ等に基づいて監視し(ステップS19)、当該復帰がされていない場合は(ステップS19:NO)、上記ステップS18に戻って上記(i)の処理を継続する。このとき処理部2は、上記指定ルート外データの処理サーバSVへの送信は、一回のみ行ってもよいし、二回以上繰り返してもよい。一方ステップS19の判定において、当該車両が指定ルート上に復帰した場合(ステップS19:YES)、処理部2は上記ステップS13に移行して、当該ステップS13以降の処理を行う。
【0045】
他方、処理サーバSVの処理部11は、上記ステップS21の監視において、上記出発地経由データ(ステップS6又はステップS10参照)がナビゲーション装置NVから送信されていない場合(ステップS21:NO)、当該監視を継続する。一方出発地経由データが送信されて来た場合(ステップS21:YES)、処理部11は、当該出発地経由データを送信してきた車両を識別するための識別データと、当該経由時刻を示すデータと、を少なくとも含ませて、管理者装置Mに対して当該出発地経由を報告する(ステップS22)。この報告は、ネットワークNWを介して行われる。
【0046】
次に処理部11は、上記経由地到着データ(ステップS14参照)のナビゲーション装置NVからの送信を監視する(ステップS23)。ステップS23の監視において、経由地到着データがナビゲーション装置NVから送信されていない場合(ステップS23:NO)、処理部11は当該監視を継続する。一方経由地到着データが送信されて来た場合(ステップS23:YES)、処理部11は、当該経由地到着データを送信してきた車両を識別するための識別データと、当該到着時刻を示すデータと、を少なくとも含ませて、管理者装置Mに対して当該経由地到着を報告する(ステップS24)。この報告も、ネットワークNWを介して行われる。
【0047】
一方処理部11は、上記ステップS23の監視と並行して、上記指定ルート外データ(ステップS18参照)のナビゲーション装置NVからの送信を監視する(ステップS25)。ステップS25の監視において、指定ルート外データがナビゲーション装置NVから送信されていない場合(ステップS25:NO)、処理部11は当該監視を継続する。一方指定ルート外データが送信されて来た場合(ステップS25:YES)、処理部11は、当該指定ルート外データを送信してきた車両を識別するための識別データと、指定ルートを逸脱した時刻及び位置をそれぞれ示すデータと、を少なくとも含ませて、管理者装置Mに対して当該指定ルートの逸脱を報告する(ステップS26)。この報告も、ネットワークNWを介して行われるが、一回の指定ルート外データの受信につき当該報告は一回のみ行われる。また当該報告は、例えば図5(c)に例示する内容を含む電子メールMLを管理者装置MにネットワークNWを介して送信する形式で行われるのが好ましい。
【0048】
その後処理部11は、上記目的地到着データ(ステップS16参照)のナビゲーション装置NVからの送信を監視する(ステップS27)。ステップS27の監視において、目的地到着データがナビゲーション装置NVから送信されていない場合(ステップS27:NO)、処理部11は当該監視を継続する。一方目的地到着データが送信されて来た場合(ステップS27:YES)、処理部11は、当該目的地到着データを送信してきた車両を識別するための識別データと、当該到着時刻を示すデータと、を少なくとも含ませて、管理者装置Mに対して当該目的地到着を報告する(ステップS28)。この報告も、ネットワークNWを介して行われる。
【0049】
その後処理部11は、例えば処理サーバSVの電源スイッチがオフとされた等の理由により処理サーバSVとしての実施例に係る情報処理を終了するか否かを判定する(ステップS29)。ステップS29の判定において、当該情報処理を継続する場合(ステップS29:NO)、処理部11は上記ステップS20に戻って上述した処理を繰り返す。一方ステップS29の判定において当該情報処理を終了する場合(ステップS29:YES)、処理部11はそのまま当該情報処理を終了する。
【0050】
以上それぞれ説明したように、実施例に係る情報処理システムSSの動作によれば、取得した指定ルート情報を用いた指定ルートOR上の移動の案内中は当該指定ルートOR以外の車両が移動すべき他の道路を提示しないので(図4ステップS7参照)、当該車両の移動を、指定ルートORを用いて厳密に管理することができる。
【0051】
また、管理下にある車両の現在位置が指定ルートOR外にあると判定された場合に(図4ステップS12:YES参照)、車両が移動すべき他の道路を提示しないので、現在位置が指定ルートOR外となったときに確実に車両が移動すべき他の道路を提示しないように構成することができる。
【0052】
更に、車両の現在位置が指定ルートOR外である状態が既定時間継続されたことを検出した場合に、当該現在位置が当該指定ルートOR外であると判定するので、確実に指定ルートOR外にあることを判定することができる。
【0053】
更にまた、管理下にある車両の現在位置が指定ルートOR外にあると判定されたとき、当該指定ルートOR外にある旨を搭乗者に通知するので(図4ステップS18参照)、当該搭乗者に指定ルートOR外にある旨を確実に認識させることができる。
【0054】
また、現在位置が指定ルートOR外にある旨の搭乗者への通知を既定時間ごとに繰り返すので、より確実に搭乗者に指定ルートOR外にある旨を認識させることができる。
【0055】
更に、現在位置が指定ルートOR外にある旨を管理者宛てに通知(報告)するので(図4ステップS18及びステップS26参照)、当該管理者に指定ルートOR外にある旨を確実に認識させることができる。
【0056】
更にまた、現在位置が指定ルートOR外にある旨の管理者への通知を一回行う場合は、複数の車両を管理下におく管理者の負担を軽減しつつ、当該管理者に指定ルートOR外にある旨を認識させることができる。
【0057】
また、現在位置が指定ルートORの出発地STに到達した旨を管理者宛てに通知するので(図4ステップS10参照)、当該管理者に指定ルートORの出発地STへの復帰を確実に認識させることができる。
【0058】
更に、登録コース管理による移動と、指定ルートコース管理による移動と、が選択可能であるので(図4ステップS1参照)、より柔軟に車両の移動を管理することができる。
【0059】
なお上述した実施例に係る指定ルートコース管理下において、実施例に係る出発地指標Gを表示しつつ(図4ステップS8及び図5(a)参照)、又は当該出発地指標Gを表示させずに、車両の現在位置から指定ルートの出発地STまでのルートをナビゲーション装置NVにおいて探索し、その探索結果に基づいて当該出発地STまで車両を案内するように構成してもよい。この場合には、現在位置から出発地STの位置までのルートを探索するので、例えば指定ルートORの出発地STが現在位置から見て遠方にある場合でも、確実に当該出発地STに到達することができる。なおこのとき、上記現在位置から出発地STまでのルートの表示色と、指定ルートORの表示色と、を異ならせるように構成してもよい。この場合には、どの地点から指定ルートORに進入するのかを、車両の搭乗者が判別し易くなる。
【0060】
また上述した実施例に係る指定ルートコース管理下において、一旦当該指定ルートを逸脱した車両が元の指定ルートに復帰した場合(図4ステップS19:YES)、その旨を処理サーバSV経由で管理者装置Mに報告するように構成してもよい。この場合には、管理者に指定ルートOR上への復帰を確実に認識させることができる。
【0061】
更にまた、図4にそれぞれ示したフローチャートに相当するプログラムを、光ディスク又はハードディスク等の記録媒体に記録しておき、或いはインターネット等のネットワークを介して取得しておき、これを汎用のマイクロコンピュータ等に読み出して実行することにより、当該マイクロコンピュータ等を実施例に係る処理部2又は処理部11として機能させることも可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 取得手段(インターフェース)
2、11 処理部
NV1、NV2、NVn ナビゲーション装置
SV 処理サーバ
M 管理者装置
S 移動体装置
OR 指定ルート
PS 現在位置マーク
ML 電子メール
図1
図2
図3
図4
図5