(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026551
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】物流管理装置、物流管理方法及び物流管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20240101AFI20240220BHJP
B65G 1/137 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
G06Q10/08
B65G1/137 A
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023220287
(22)【出願日】2023-12-27
(62)【分割の表示】P 2023035673の分割
【原出願日】2019-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】319007240
【氏名又は名称】株式会社日立インダストリアルプロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹田 真司
(57)【要約】
【課題】所望の時間帯における機器等の作業効率を時間比率で表示する。
【解決手段】本発明の物流管理装置は、物品を搬送する複数の搬送車のログの情報に基づいて、前記搬送車が物品の搬送を目的とする作業を行っていた状態であった時間の情報と、前記物品の搬送を目的とする作業以外の所定の作業を行っていた状態であった時間の情報と、を取得するログ収集部と、前記ログ収集部の取得した情報に基づいて、前記複数の搬送車が所定の期間のうち前記物品の搬送を目的とする作業を行った時間に関する指標である搬送車作業率と、前記複数の搬送車が前記所定の期間のうち前記物品の搬送を目的とする作業及び前記所定の作業を行った間に関する指標である搬送車稼働率と、を出力する表示処理部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する複数の搬送車のログの情報に基づいて、前記搬送車が物品の搬送を目的とする作業を行っていた状態であった時間の情報と、前記物品の搬送を目的とする作業以外の所定の作業を行っていた状態であった時間の情報と、を取得するログ収集部と、
前記ログ収集部の取得した情報に基づいて、前記複数の搬送車が所定の期間のうち前記物品の搬送を目的とする作業を行った時間に関する指標である搬送車作業率と、前記複数の搬送車が前記所定の期間のうち前記物品の搬送を目的とする作業及び前記所定の作業を行った時間に関する指標である搬送車稼働率と、を出力する表示処理部と、
を備えることを特徴とする物流管理装置。
【請求項2】
前記表示処理部は、前記複数の搬送車に含まれる個々の搬送車の作業効率に関する情報を出力可能であること
を特徴とする請求項1に記載の物流管理装置。
【請求項3】
前記作業効率に関する情報は、前記所定の期間において、前記個々の搬送車が前記物品の搬送を目的とする作業を行っていた時間に関する情報と、前記所定の作業のために稼働していた時間に関する情報と、を含むこと
を特徴とする請求項2に記載の物流管理装置。
【請求項4】
前記物品の搬送を目的とする作業は、搬送する物品の位置へ移動する迎えの状態を含み、
前記表示処理部は、さらに、前記個々の搬送車が前記迎えの状態であった時間に関する情報を出力すること
を特徴とする請求項2に記載の物流管理装置。
【請求項5】
さらに前記表示処理部は、前記個々の搬送車が前記所定の期間において作業を行っていた時間に関する情報と前記個々の搬送車が前記所定の期間において待機していた時間に関する情報とを出力すること
を特徴とする請求項2に記載の物流管理装置。
【請求項6】
前記所定の作業は、前記搬送車の充電を行うことを含むこと
を特徴とする請求項1に記載の物流管理装置。
【請求項7】
前記所定の作業は、前記搬送車が待機場所に移動する作業を含むこと
を特徴とする請求項1に記載の物流管理装置。
【請求項8】
前記搬送車は、前記物品に対して作業を行うステーションへ前記物品を搬送するものであり、
前記ログ収集部は、前記ステーションのログに基づいて、前記ステーションが第1の状態であった時間の情報を取得し、
前記表示処理部は、前記ステーションで前記所定の期間のうち作業が行われていた時間に関する指標であるステーション作業率を出力すること
を特徴とする請求項1に記載の物流管理装置。
【請求項9】
前記表示処理部は、前記所定の期間において少なくとも1度稼働した前記ステーションの数が、複数の前記ステーションの全数に占める比率を出力すること
を特徴とする請求項8に記載の物流管理装置。
【請求項10】
前記表示処理部は、前記所定の期間のうち、前記ステーションが、前記搬送車が当該ステーションへ到着するまで待機していた時間に関する指標を表示すること
を特徴とする請求項8に記載の物流管理装置。
【請求項11】
前記搬送車は、物品を格納する棚を搬送するものであり、
前記表示処理部は、所定の時間帯の出庫作業における物品の種類の総数と当該出庫作業における前記棚の総数との比率に関する指標であるヒット率を出力すること
を特徴とする請求項8に記載の物流管理装置。
【請求項12】
前記表示処理部は、前記搬送車作業率及び前記搬送車稼働率の時系列推移の情報を出力すること
を特徴とする請求項1に記載の物流管理装置。
【請求項13】
前記搬送車は、物品を格納する棚、パレット、タンク、籠、収納庫の少なくともいずれかを搬送するものであること
を特徴とする請求項1に記載の物流管理装置。
【請求項14】
物品を搬送する複数の搬送車のログの情報に基づいて、前記搬送車が物品の搬送を目的とする作業を行っていた状態であった時間の情報と、前記物品の搬送を目的とする作業以外の所定の作業を行っていた状態であった時間の情報と、を取得するログ収集部と、
前記ログ収集部の取得した情報に基づいて、前記複数の搬送車が所定の期間のうち前記物品の搬送を目的とする作業を行った時間に関する指標と、前記複数の搬送車が所定の期間のうち前記所定の作業を行った時間に関する指標と、を出力する表示処理部と、
を備えることを特徴とする物流管理装置。
【請求項15】
前記所定の作業は、前記搬送車の充電を行うことを含むこと
を特徴とする請求項14に記載の物流管理装置。
【請求項16】
前記所定の作業は、前記搬送車が待機場所に移動する作業を含むこと
を特徴とする請求項14に記載の物流管理装置。
【請求項17】
さらに前記表示処理部は、前記搬送車が前記所定の期間において作業を行っていた時間に関する情報と前記搬送車が前記所定の期間において待機していた時間に関する情報とを出力すること
を特徴とする請求項14に記載の物流管理装置。
【請求項18】
物流管理装置のログ収集部は、
物品を搬送する複数の搬送車のログの情報に基づいて、前記搬送車が物品の搬送を目的とする作業を行っていた状態であった時間の情報と、前記物品の搬送を目的とする作業以外の所定の作業を行っていた状態であった時間の情報と、を取得し、
前記物流管理装置の表示処理部は、
前記ログ収集部の取得した情報に基づいて、前記複数の搬送車が所定の期間のうち前記物品の搬送を目的とする作業を行った時間に関する指標である搬送車作業率と、前記複数の搬送車が前記所定の期間のうち前記物品の搬送を目的とする作業及び前記所定の作業を行った時間に関する指標である搬送車稼働率と、を出力すること
を特徴とする物流管理方法。
【請求項19】
物流管理装置のログ収集部は、
物品を搬送する複数の搬送車のログの情報に基づいて、前記搬送車が物品の搬送を目的とする作業を行っていた状態であった時間の情報と、前記物品の搬送を目的とする作業以外の所定の作業を行っていた状態であった時間の情報と、を取得し、
前記物流管理装置の表示処理部は、
前記ログ収集部の取得した情報に基づいて、前記複数の搬送車が所定の期間のうち前記物品の搬送を目的とする作業を行った時間に関する指標と、前記複数の搬送車が所定の期間のうち前記所定の作業を行った時間に関する指標と、を出力すること
を特徴とする物流管理方法。
【請求項20】
コンピュータを、
物品を搬送する複数の搬送車のログの情報に基づいて、前記搬送車が物品の搬送を目的とする作業を行っていた状態であった時間の情報と、前記物品の搬送を目的とする作業以外の所定の作業を行っていた状態であった時間の情報と、を取得するログ収集部と、
前記ログ収集部の取得した情報に基づいて、前記複数の搬送車が所定の期間のうち前記物品の搬送を目的とする作業を行った時間に関する指標である搬送車作業率と、前記複数の搬送車が前記所定の期間のうち前記物品の搬送を目的とする作業及び前記所定の作業を行った時間に関する指標である搬送車稼働率と、を出力する表示処理部と、
して機能させるための物流管理プログラム。
【請求項21】
コンピュータを、
物品を搬送する複数の搬送車のログの情報に基づいて、前記搬送車が物品の搬送を目的とする作業を行っていた状態であった時間の情報と、前記物品の搬送を目的とする作業以外の所定の作業を行っていた状態であった時間の情報と、を取得するログ収集部と、
前記ログ収集部の取得した情報に基づいて、前記複数の搬送車が所定の期間のうち前記物品の搬送を目的とする作業を行った時間に関する指標と、前記複数の搬送車が所定の期間のうち前記所定の作業を行った時間に関する指標と、を出力する表示処理部と、
して機能させるための物流管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流管理装置、物流管理方法及び物流管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
注文に係る物品を迅速に届けるためのインフラ施設の1つとして、物流センタが存在する。物流センタでは、メーカ等から受け取られた物品が一旦保管される。その後注文が発生すると、注文に係る物品が物流センタから取り出され、梱包されたうえで顧客あて発送される。
【0003】
物流センタは、前記した一連の各工程(受け取り、保管、取り出し、梱包、発送)を実行するため、多くの種類の物流設備を備えている。したがって、物流設備の作業効率を正確に認識し向上させることが物流センタを運営する企業にとって重要な経営戦略となる。
【0004】
特許文献1の物流設備表示システムは、倉庫内におけるラック、スタッカクレーン、入出庫ステーション等の設備のレイアウト図を表示する。各設備を示す図形は、その設備の状態情報(正常、異常、故障又は停止のいずれか)によって色分けされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の物流設備表示システムは、ある時点において、倉庫の各設備が正常に稼働しているか否かを一覧するためには有効である。しかしながら、当該物流設備表示システムは、各設備の状態情報を時系列で認識するという観点を有していない。したがって、各設備の作業効率を時間比率で認識するには別途方策が必要であった。
そこで、本発明は、所望の時間帯における機器等の作業効率を時間比率で表示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の物流管理装置は、物品を搬送する複数の搬送車のログの情報に基づいて、前記搬送車が物品の搬送を目的とする作業を行っていた状態であった時間の情報と、前記物品の搬送を目的とする作業以外の所定の作業を行っていた状態であった時間の情報と、を取得するログ収集部と、前記ログ収集部の取得した情報に基づいて、前記複数の搬送車が所定の期間のうち前記物品の搬送を目的とする作業を行った時間に関する指標である搬送車作業率と、前記複数の搬送車が前記所定の期間のうち前記物品の搬送を目的とする作業及び前記所定の作業を行った時間に関する指標である搬送車稼働率と、を出力する表示処理部と、を備えることを特徴とする。
その他の手段については、発明を実施するための形態のなかで説明する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、所望の時間帯における機器等の作業効率を時間比率で表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
以降、本発明を実施するための形態(“本実施形態”という)を、図等を参照しながら詳細に説明する。本実施形態は、メーカ等から物品を入庫した物流センタが、注文に応じて物品を出庫する例である。しかしながら、本発明は、例えばメーカ等が自社内で部品を保管・管理する場合にも適用可能である。
【0011】
(物流センタのレイアウト)
図1は、物流センタのレイアウトの斜視図である。物流センタは、保管スペース2を有する。保管スペース2内には、複数の棚3が縦横方向に整然と格子状に配置されている。棚3は、2×6個又は1×6個の棚3からなる“島”を形成している。保管スペース2内には、複数の搬送車4が存在する。搬送車4は、棚3の下部に入り込んで棚3を搬送する。保管スペース2の周辺の任意の箇所に、搬送車4に給電するための複数の充電器5が存在する。保管スペース2の外縁に接して複数のステーション6が存在する。ステーション6において、作業員7又は作業ロボット8が、物品の入庫作業及び出庫作業を行う。棚以外にも、パレット、タンク、籠、収納庫等が使用されてもよい。
【0012】
図2は、棚3の斜視図である。棚3は、正方形の平面及び4本の脚を有する。
図2では、そのうち1本が隠れている。棚3は、上段、中段及び下段を有する。各段は、左、中央及び右の格納箱を有する。結局、棚3は、9箇所の格納箱を有することになる。上段、中段及び下段にそれぞれ、U、M及びLの符号をあて、左、中央及び右にそれぞれ、L、C及びRの符号をあてる。すると、例えば上段左の格納箱は、“UL”と表記される。
【0013】
図3は、棚3の正面図である。棚3は、下段の下に空間を有する。搬送車4は、当該空間に入り込むことができる。さらに、搬送車4は、棚3を持ち上げた状態で搬送することができる。
【0014】
(物流管理装置)
図4は、物流管理装置1の構成を説明する図である。物流管理装置1は、一般的なコンピュータであり、中央制御装置11、キーボード等の入力装置12、ディスプレイ等の出力装置13、主記憶装置14、補助記憶装置15及び通信装置16を有する。これらの装置は、バスで相互に接続されている。補助記憶装置15は、搬送車情報31、充電器情報32、作業員情報33、ステーション情報34及び注文情報35(詳細後記)を格納している。
【0015】
主記憶装置14におけるログ収集部21及び表示処理部22は、プログラムである。以降において、“○○部は、”と動作主体を記した場合、それは、中央制御装置11が補助記憶装置15から各プログラムを読み出し、主記憶装置14にロードしたうえで各プログラムの機能(詳細後記)を実現することを意味する。物流管理装置1の補助記憶装置15は、物流管理装置1から独立した構成となっていてもよい。
【0016】
物流管理装置1は、有線又は無線のネットワーク9(構内専用回線を含む)を介して、1又は複数の搬送車4、1又は複数の充電器5、1又は複数のステーション設備41、及び、搬送車・充電器制御装置42と通信可能に接続されている。
【0017】
搬送車4は、駆動輪を回転させる電動機、棚3を持ち上げる荷役台の高さを調節する電動機、これらの電動機に給電する蓄電池、センサ、及び、車載コンピュータを有する(図示せず)。センサは、床面に配置されている床マーカを読み取ることによって、自身の現在位置を取得する。床マーカには、床面を格子状に分割する縦横のマス目の2次元座標値が記憶されている。なお、搬送車4は、床マーカを用いることなく、周囲の環境情報等に基づいた地図情報に基づいて動作してもよい。センサは、棚3の任意の箇所に記載されている棚ID(詳細後記)を読み取ることもできる。また、センサは、搬送車周辺の障害物を検知することもできる。
【0018】
車載コンピュータは、リアルタイムで又は要求に応じて、自身の状態(詳細後記)を含む様々なデータを搬送車・充電器制御装置42に送信し、搬送車・充電器制御装置42から搬送指示を受信する。車載コンピュータは、受信した搬送指示に基づき電動機を操作することによって、駆動輪の回転方向及び回転速度を調節し、荷役台の高さを調節する。
【0019】
充電器5は、搬送車4と電気的に接続する給電プラグ、センサ及びマイクロコンピュータを有する(図示せず)。給電プラグは、搬送車4の蓄電池に対して給電する。センサは、搬送車4に付されている搬送車IDを読み取り、給電プラグの接触不良等の異常を検知する。マイクロコンピュータは、リアルタイムで又は要求に応じて、自身の状態を含む様々なデータを搬送車・充電器制御装置42に送信し、搬送車・充電器制御装置42から充電指示を受信する。マイクロコンピュータは、受信した充電指示に基づき、給電プラグを操作することによって、搬送車4に対して給電する。
【0020】
ステーション設備41は、ステーション6(
図1)のそれぞれに配置されるステーション制御用の任意の設備である。例えば、ステーション6に作業ロボット8が配置される場合、ステーション設備41は、作業ロボット8そのものである。ステーション6に作業員7が配置される場合、ステーション設備41は、作業員に具体的な作業指示を与える任意の装置(ディスプレイ、棚間口面の案内枠、作業員が携帯する端末装置等)である。いずれにしても、ステーション設備41は、リアルタイムで又は要求に応じて、自身又は作業員の状態を含む様々なデータを物流管理装置1に送信し、物流管理装置1から作業指示を受信する。ステーション設備41又は作業員7は、受信した作業指示に基づき、入庫、出庫等の作業を行う。
【0021】
前記した搬送指示、充電指示及び作業指示は、物流管理装置1によって生成される。搬送車・充電器制御装置42は、物流管理装置1と一体化された構成となっていてもよい。説明の単純化のために、以降では、物流管理装置1は、搬送車・充電器制御装置42の機能を併せ持つものとする。なお、“物流センタを構成する複数の機器”には、搬送車4、充電器5及びステーション設備41が該当する。
【0022】
(搬送車情報)
図5は、搬送車情報31の一例である。搬送車情報31においては、搬送車ID欄101に記憶された搬送車IDに関連付けて、状態欄102には状態が、開始/終了欄103にはフラグが、時刻欄104には時刻が、位置欄105には位置が、曲がり角位置欄106には曲がり角位置が、取得データ欄107には取得データが記憶されている。
【0023】
搬送車ID欄101の搬送車IDは、搬送車を一意に特定する識別子である。
状態欄102の状態は、搬送指示中で物流管理装置1が搬送車に指示する具体的な作業、動作、又は、搬送車が自発的に検知した事象の内容である。このような状態は、この分野では“イベント”と呼ばれることもある。
【0024】
開始/終了欄103のフラグは、状態が開始したことを示す“開始”、又は、状態が終了したことを意味する“終了”のいずれかである。
時刻欄104の時刻は、状態が開始又は終了した時点の年月日時分秒である。
位置欄105の位置は、その時刻において、搬送車が存在しているマス目の2次元座標値である。#は、同じ又は異なる値を省略的に示している。
【0025】
曲がり角位置欄106の曲がり角位置は、搬送車が移動する方向を変化させた位置の2次元座標値である。曲がり角位置は、移動を伴う状態の“終了”のレコードのみに記憶される。1つのレコードに複数の曲がり角位置が記憶される場合もある。物流管理装置1は、位置(欄105)及び曲がり角位置(欄106)を辿ることによって、搬送車の走行距離を算出する。
取得データ欄107の取得データは、搬送車がその状態中に取得した任意のデータである。取得データは、多くの場合、状態の開始時刻及び終了時刻以外の計測情報である。
【0026】
図5を見ると、例えば以下のことがわかる。
・2018年11月1日10時00分00秒から10時11分00秒まで、搬送車A001は“引当外作業”を行った。“引当”は、“棚を搬送することを目的とする”との意味を有する。よって、“引当外”は、“棚を搬送することを目的としない”との意味を有する。ここでの“引当外作業”は、“充電位置に行く”との意味を有する。
・10時11分00秒から10時21分00秒まで、搬送車A001は“充電”を受けた。
【0027】
・10時21分00秒から10時22分00秒まで、搬送車A001は“引当外作業”を行った。ここでの“引当外作業”は、“待機位置に行く”との意味を有する。
・このうち10時21分20秒から10時21分25秒まで、搬送車A001は、“バーコード読み飛ばし”を検知した。ここでのバーコードは、床マーカのバーコードである。このとき、搬送車A001は、警報を発している。
・“バーコード読み飛ばし”を検知したのと同じタイミングで、搬送車A001は、異常を検知した。このとき、搬送車A001は、メッセージ“障害物あり”を発している。例えば、床上にこぼれた液体が床マーカを隠している可能性がある。
・10時22分00秒から10時30分00秒まで、搬送車A001は所定の待機位置で“待機”した。
【0028】
・10時30分00秒から10時32分00秒まで、搬送車A001は“引当作業”を行った。
・このうち10時30分00秒から10時31分00秒まで、搬送車A001は、“迎え”を行った。“迎え”は、“目的の物品を格納する棚の位置まで棚を持ち上げることなく走行する”との意味を有する。
・10時31分00秒から10時31分05秒まで、搬送車A001は、“荷役台上昇”を行った。“荷役台上昇”は、“棚を荷役台で持ち上げる”との意味を有する。このとき搬送車A001は、棚の重量を計測している。
・10時31分05秒から10時31分10秒まで、搬送車A001は、“ずれ”が所定の閾値以上になっているのを検知した。ここでの“ずれ”は、指示された走行線と実際の走行線との距離である。このとき搬送車A001は、当該距離を計測している。
【0029】
・10時31分20秒から10時31分25秒まで、搬送車A001は、“荷役台回転”を行った。“荷役台回転”は、“棚を持ち上げている荷役台を回転する”との意味を有する。このとき搬送車A001は、回転角度を計測している。
・10時31分35秒から10時31分40秒まで、搬送車A001は、“荷役台下降”を行った。“荷役台下降”は、“棚を降ろす”との意味を有する。
・10時31分40秒から10時32分00秒まで、搬送車A001は、“戻り”を行った。“戻り”は、“待機位置に戻る”との意味を有する。
【0030】
・10時32分00秒から11時00分00秒まで、搬送車A001は、所定の待機位置で“待機”した。
・このうち10時40分00秒から10時41分00秒まで、搬送車A001は、“通信断”を検知した。“通信断”とは、“搬送車が物流管理装置からの通信を受信できない”との意味を有する。
・11時00分00秒から11時30分00秒まで、搬送車A001は、“オフライン”の状態であった。“オフライン”は、“物流管理装置が搬送車への通信を発信できない”との意味を有する。
【0031】
(充電器情報)
図6は、充電器情報32の一例である。充電器情報32においては、充電器ID欄111に記憶された充電器IDに関連付けて、状態欄112には状態が、開始/終了欄113にはフラグが、時刻欄114には時刻が、搬送車ID欄115には搬送車IDが、取得データ欄116には取得データが記憶されている。
【0032】
充電器ID欄111の充電器IDは、充電器を一意に特定する識別子である。
状態欄112の状態は、充電指示中で物流管理装置1が充電器に指示する具体的な作業、動作、又は、充電器が自発的に検知した事象の内容である。
開始/終了欄113のフラグは、
図5のフラグと同じである。
時刻欄114の時刻は、
図5の時刻と同じである。
搬送車ID欄115の搬送車IDは、
図5の搬送車IDと同じであるが、ここでは特に、充電を受けている搬送車の搬送車IDである。
取得データ欄116の取得データは、充電器がその状態中に取得した任意のデータである。
【0033】
図6を見ると、例えば以下のことがわかる。
・2018年11月1日10時00分00秒から10時30分00秒まで、充電器B001は、いずれの搬送車に対しても充電することなく待機した。
・10時30分00秒から10時40分00秒まで、充電器B001は、搬送車A011に対し充電した。
・10時40分00秒から11時00分00秒まで、充電器B001は、待機した。
【0034】
・11時00分00秒から11時10分00秒まで、充電器B001は、搬送車A012に対し充電した。
・このうち11時05分00秒から11時05分05秒までに、充電器B001は、異常を検知した。このとき、充電器B001は、“給電プラグ接触不良”を取得している。
・11時10分00秒から12時00分00秒まで、充電器B001は、“オフライン”の状態であった。“オフライン”は、“物流管理装置が充電器への通信を発信できない”との意味を有する。
【0035】
(作業員情報)
図7は、作業員情報33の一例である。作業員情報33においては、作業員ID欄121に記憶された作業員IDに関連付けて、状態欄122には状態が、開始/終了欄123にはフラグが、時刻欄124には時刻が、処理行数欄125には処理行数が、物品ID×数量欄126には物品ID及び数量が記憶されている。
【0036】
作業員ID欄121の作業員IDは、作業員を一意に特定する識別子である。
状態欄122の状態は、作業指示中で物流管理装置1が作業員に指示する具体的な作業の内容である。
開始/終了欄123のフラグは、
図5のフラグと同じである。
時刻欄124の時刻は、
図5の時刻と同じである。
【0037】
処理行数欄125の処理行数は、作業指示の処理行数(指示内容のデータ量)である。処理行数が大きいほど、作業員が行うべき作業が、質的に複雑である、及び/又は、量的に多い(詳細後記)。#は、異なる値を省略的に示している。
物品ID×数量欄126の物品IDは、作業対象となる物品の種類を特定する識別子であり、数量は、その物品の数量である。本実施形態の作業員は、ステーション6において、物品を入庫(棚に格納)又は出庫(棚から取り出し)する。棚の格納箱ごとに異なる種類の物品が格納されている。
【0038】
図7を見ると、例えば以下のことがわかる。
・2018年11月1日10時00分00秒から10時01分00秒まで、作業員C001は、あるステーションにおいて待機した(作業指示を待っていた)。
・10時01分00秒から10時01分20秒まで、作業員C001は、“出庫作業”を行った。この作業に係る作業指示の処理行数は“#”であった。作業員C001は、作業指示に基づき、少なくとも物品D001を10個出庫する作業を行った。
【0039】
・10時01分20秒から10時01分45秒まで、作業員C001は、当該ステーションにおいて待機した。
・10時01分45秒から10時03分30秒まで、作業員C001は、“出庫作業”を行った。この作業に係る作業指示の処理行数は“#”であった。作業員C001は、作業指示に基づき、少なくとも物品D003を15個出庫する作業を行った。
【0040】
・10時03分30秒から10時05分20秒まで、作業員C001は、当該ステーションにおいて待機した。
・10時05分20秒から10時06分50秒まで、作業員C001は、“出庫作業”を行った。この作業に係る作業指示の処理行数は“#”であった。作業員C001は、作業指示に基づき、少なくとも物品D003を8個出庫する作業を行った。
【0041】
・10時06分50秒から10時30分00秒まで、作業員C001は、当該ステーションにおいて待機した。
・10時30分00秒から11時10分00秒まで、作業員C001は、“入庫作業”を行った。この作業に係る作業指示の処理行数は“#”であった。作業員C001は、作業指示に基づき、少なくとも物品D012を300個入庫する作業を行った。
【0042】
(ステーション情報)
図8は、ステーション情報34の一例である。ステーション情報34においては、ステーションID欄131に記憶されたステーションIDに関連付けて、状態欄132には状態が、開始/終了欄133にはフラグが、時刻欄134には時刻が、処理行数欄135には処理行数が、棚ID欄136には棚IDが、物品ID×数量欄137には物品ID及び数量が記憶されている。
【0043】
ステーションID欄131のステーションIDは、ステーション設備41(例えば、作業ロボット8)を一意に特定する識別子である。
状態欄132の状態は、作業指示中で物流管理装置1がステーション設備に指示する具体的な作業の内容である。
開始/終了欄133のフラグは、
図5のフラグと同じである。
時刻欄134の時刻は、
図5の時刻と同じである。
処理行数欄135の処理行数は、
図7の処理行数と同じである。#は、異なる値を省略的に示している。
【0044】
棚ID欄136の棚IDは、棚3を一意に特定する識別子である。物流管理装置1がヒット率(詳細後記)を算出する際、ここでの棚IDを使用する。
物品ID×数量欄137の物品ID及び数量は、
図7の物品ID及び数量と同じである。
【0045】
図8を見ると、例えば以下のことがわかる。
・2018年11月1日10時00分00秒から10時10分00秒まで、ステーション設備E001は、“待機(引当待ち)”を行った。ここでの“引当待ち”は、“特定の作業を行うべきステーションとして、自身が指定されるのを待っている”との意味を有する。
・10時10分00秒から10時12分00秒まで、ステーション設備E001は、“待機(迎車又は棚搬送)”を行った。ここでの“迎車”とは、“自身が待機している間、指定された搬送車が目的の物品を格納する棚の位置まで棚を持ち上げることなく走行している”との意味を有する。“棚搬送”とは、“自身が待機している間、当該搬送車が目的の物品を格納する棚を持ち上げたまま搬送している”との意味を有する。
【0046】
・10時12分00秒から10時32分00秒まで、ステーション設備E001は、“入庫作業”を行った。この作業に係る作業指示の処理行数は“#”であった。ステーション設備E001は、作業指示に基づき、少なくとも棚F001に対して、少なくとも物品D021を200個入庫する作業を行った。
・10時32分00秒から10時35分00秒まで、ステーション設備E001は、“待機(引当待ち)”を行った。
・10時35分00秒から10時36分00秒まで、ステーション設備E001は、“待機(迎車又は棚搬送)”を行った。
【0047】
・10時36分00秒から11時10分00秒まで、ステーション設備E001は、“出庫作業”を行った。この作業に係る作業指示の処理行数は“#”であった。ステーション設備E001は、作業指示に基づき、少なくとも棚F002から、少なくとも物品D031を2個出庫する作業を行った。
・このうち10時40分00秒から10時41分00秒まで、ステーション設備E001は、“待機(安全センサ検知)”を行った。“安全センサ検知”は、例えば“ステーションのライトカーテンが何者かに遮られた”との意味を有する。つまり、この間、ステーション設備E001は、出庫作業を中断した。
・11時10分00秒から11時15分00秒まで、ステーション設備E001は、“待機(引当待ち)”を行った。
【0048】
(作業員情報とステーション情報の関係)
作業員情報33(
図7)及びステーション情報34(
図8)は、いずれもステーションにおける作業の流れを記憶したものである。その違いは、前者の場合、ステーションに作業員7がいる一方、後者の場合、ステーションに作業ロボット8がいるということに過ぎない。作業員情報33(
図7)に、棚ID欄があってもよいし、作業員情報33の状態欄122の待機が、ステーション情報34(
図8)のように、“引当待ち”、“迎車又は棚搬送”で細分化されていてもよい。
【0049】
(注文情報)
図9は、注文情報35の一例である。注文情報35においては、注文ID欄141に記憶された注文IDに関連付けて、注文先名称欄142には注文先名称が、物品ID欄143には物品IDが、数量欄144には数量が、時刻欄145には時刻が、処理行数欄146には処理行数が記憶されている。
注文ID欄141の注文IDは、注文先からの注文を一意に特定する識別子である。注文とは、物品の購入申し込みである。
【0050】
注文先名称欄142の注文先名称は、注文先の名称である。
物品ID欄143の物品IDは、
図7の物品IDと同じであるが、ここでは特に注文に係る物品を特定する。
数量欄144の数量は、注文に係る物品の数量である。
時刻欄145の時刻は、物流管理装置1が注文を受け付けた年月日時分秒である。
処理行数欄146の処理行数は、
図7の処理行数と同じである。#は、異なる値を省略的に示している。
【0051】
図9から明らかなように、1つの注文は、1又は複数の数量からなる1又は複数の種類の物品を対象としている。そして、ステーション設備8又は作業員7は、注文に係る物品を1又は複数の棚から取り出す(出庫する)。物流管理装置1は、例えば物品販売サイトの運営者のサーバ等から受信したデータを、注文情報35として補助記憶装置15に記憶する。
【0052】
(注文情報と処理行数との関係)
処理行数は、例えば1つの注文を構成するデータのデータ量である。端的な例として、処理行数は、1つの注文を構成するレコードの数であってもよい。この例では、注文G001の処理行数は“2”であり、注文G002の処理行数は“3”であり、注文G003の処理行数は“1”である。注文に係る物品の種類が多いほど処理行数は多くなる。このことは、出庫時の作業負担が大きくなることを意味する。物流管理装置1は、1種類の物品に対応する処理行数“1”に対して、物品の数量に基づく重みを乗算してもよいし、物品の重量に基づく重みを乗算してもよい。このような処理行数は、進捗した作業量を示す指標となる。ここでは注文に起因する出庫の処理行数についての例を説明した。処理行数は、入庫等他の作業についても定義される(図示省略)。
【0053】
(処理手順)
図10は、処理手順のフローチャートである。以降、フローチャートの説明中で、適宜各情報(
図5~
図9及び各表示画面(
図11~
図16)を参照する。
ステップS201において、物流管理装置1のログ収集部21は、機器のログを取得する。具体的には、ログ収集部21は、補助記憶装置15及び各機器に記憶されているすべてのログを取得する。
【0054】
ここでの“各機器”とは、搬送車4、充電器5及びステーション設備41を含む。ステーション設備41は、作業ロボット8、及び、作業員7に具体的な作業指示を与える任意の装置(作業員が携帯する端末装置、ディスプレイ、棚間口面の案内枠等)を含む。なお、ログとは、各機器の動作履歴であり、機器の状態を示すデータにその状態の開始時刻及び終了時刻が付されたものである。ログは、物流管理装置1が各機器に送信した指示の中に、又は、各設備が自発的に物流管理装置1に送信したデータの中に記憶されている。
【0055】
ステップS202において、ログ収集部21は、機器のログを時系列に並べる。具体的には、ログ収集部21は、ステップS201において取得したログを、機器ごとに時系列に並べる。
ステップS203において、ログ収集部21は、搬送車情報31等を作成する。具体的には、ログ収集部21は、ステップS202において機器ごとに時系列に並べたログに基づいて、搬送車情報31(
図5)、充電器情報32(
図6)、作業員情報33(
図7)及びステーション情報34(
図8)を作成し、これらを補助記憶装置15に記憶する。ログ収集部21は、ある状態の終了時刻から開始時刻を減算することによって、当該状態の継続時間を取得できる。
【0056】
ステップS204において、ログ収集部21は、注文情報35(
図9)を受け付ける。具体的には、ログ収集部21は、例えば物品販売サイトの運営者のサーバ等から受信したデータを、注文情報35として補助記憶装置15に記憶する。
ここまでの段階で、ログ収集部21は、ステップS203において作成した各情報及びステップS204において受け付けた注文情報35に基づき、物流センタを構成する複数の機器の状態、及び、状態の継続時間を、機器ごとに取得することになる。
【0057】
ステップS205において、物流管理装置1の表示処理部22は、画面選択タグ群51(
図11)を表示する。具体的には、表示処理部22は、6つのタグを有する画面選択タグ群51を出力装置13に表示する。6つのタグは、“ダッシュボード”、“ステーション効率”、“搬送車効率”、“充電効率”、“作業者”及び“搬送車メンテナンス”である。そして、表示処理部22は、ユーザがそのうちの1つのタグを選択するのを受け付ける。説明の都合上、ユーザがこの順序でタグを1つずつ選択するものとする。
【0058】
ステップS206において、表示処理部22は、ダッシュボード画面52(
図11)を表示する。具体的には、表示処理部22は、出力装置13に、ダッシュボード画面52を表示する。表示処理部22は、ステップS203において作成した各情報及びステップS204において受け付けた注文情報35に基づき、ダッシュボード画面52に以下の数値等を表示する。
【0059】
欄52aは、現在日の作業開始時刻及び作業終了時刻、並びに、現在時刻における進捗率及び終了予定時刻を表示する。作業開始時刻及び作業終了時刻は、ユーザによって予め設定されたデータである。進捗率は、現在時刻までに生成された現在日に実行するべき出庫についての処理行数のうち、実際に実行済みのものが占める比率である。終了予定時刻は、現在時刻においてすべての出庫作業が終了すると見込まれる時刻である。
【0060】
欄52bは、以下の値を表示する。
・進捗率:欄52aの進捗率と同じ値
・行数:現在時刻までに生成された、現在日に実行するべきすべての作業についての処理行数のうち、実際に実行済みのものが占める比率
・行数/ステーション:現在時刻までに生成された、現在日に実行するべき入庫作業及び出庫作業についての処理行数のうち、実際に実行済みのものが占める比率(特定のステーションの数値であってもよいし、ステーション全体の数値であってもよい。)
【0061】
・稼働ステーション:ステーションの全数のうち、作業開始時刻から現在時刻までに少なくとも1度稼働したステーションの数が占める比率
・ステーション作業率:作業開始時刻から現在時刻までの経過時間のうち、ステーションにて出庫作業が行われた時間が占める比率(特定のステーションの数値であってもよいし、ステーション全体の数値であってもよい。)
・搬送車稼働率:作業開始時刻から現在時刻までの経過時間のうち、搬送車が“引当作業”、“引当外作業”又は“充電”を行った時間の合計が占める比率(特定の搬送車の数値であってもよいし、搬送車全体の数値であってもよい。)
・搬送車作業率:作業開始時刻から現在時刻までの経過時間のうち、搬送車が“引当作業”を行った時間の合計が占める比率(特定の搬送車の数値であってもよいし、搬送車全体の数値であってもよい。)
【0062】
欄52cは、以下の値をグラフ表示する。
・全体:欄52aの進捗率と同じ値
・バッチ2:現在時刻より所定の時間(例えば60分)だけ遡及した時点における進捗率
・バッチ3:現在時刻より所定の時間(例えば120分)だけ遡及した時点における進捗率
【0063】
欄52dは、以下の値をグラフ表示する。なお、グラフの横軸は時間であり、縦軸は物品の数量である。
・入庫予測:原点と“[入庫終了予測時刻,入庫予測数量]”とを結ぶ線分
・出庫予測:原点と“[出庫終了予測時刻,出庫予測数量]”とを結ぶ線分
・入庫:実際に入庫された物品の時系列の累積数量
・出庫:実際に出庫された物品の時系列の累積数量
【0064】
欄52eは、以下の値をグラフ表示する。なお、グラフの横軸は時間であり、縦軸は行数(左目盛)、回数及びステーションの数(右目盛)である。
・行数/h:1時間に実行された作業を指示する処理行数の時系列の累積値
・ピック数/h:1時間に実行された出庫作業の回数の時系列の累積値
・稼働ステーション数:1時間のうちに少なくとも1回作業を行ったステーションの数の時系列の累積値
【0065】
欄52fは、以下の値をグラフ表示する。なお、グラフの横軸は時間であり、縦軸は作業率又は稼働率である。
・ステーション作業率:欄52bのステーション作業率の時系列推移
・搬送車稼働率:欄52bの搬送車稼働率の時系列推移
・搬送車作業率:欄52bの搬送車作業率の時系列推移
【0066】
ステップS207において、表示処理部22は、ステーション効率画面53(
図12)を表示する。具体的には、第1に、表示処理部22は、出力装置13に、ステーション効率画面53を表示し、ユーザが欄53aに任意の指定時間帯を入力するのを受け付ける。
図12の例では、指定時間帯の長さは、“1時間=60分”である。
第2に、表示処理部22は、ステップS203において作成したステーション情報34に基づき、ステーション効率画面53に以下の数値をステーションIDごとに表示する。
【0067】
・ステーション稼働率:指定時間帯の長さのうち、作業時間と作業待機時間の合計が占める比率
・ヒット率:指定時間帯の出庫作業における、物品の種類の総数を棚の総数で除算した比率
・平均ピック時間:指定時間帯における、出庫作業の開始時刻から終了時刻までの時間の平均値
【0068】
・総処理行数:指定時間帯における、処理行数の合計
・作業時間:指定時間帯における、“入庫作業”及び“出庫作業”の開始時刻から終了時刻までの時間の累計値
・作業待機時間:指定時間帯における、“待機(引当待ち)”及び“待機(迎車又は棚搬送)”の開始時刻から終了時刻までの時間の累計値
・棚搬送回数:指定時間帯における、棚IDの総数
【0069】
第3に、表示処理部22は、指定時間帯のうち、“入庫作業”、“出庫作業”、“待機(安全センサ感知)”、“待機(迎車又は棚搬送)”及び“待機(引当待ち)”に対応する時間をそれぞれにつき合計する。そして、表示処理部22は、各合計時間が指定時間帯の長さに占める比率を、“ステーション稼働分布”として、円グラフ、帯グラフ等で表示する。
【0070】
ステップS208において、表示処理部22は、搬送車効率画面54(
図13)を表示する。具体的には、第1に、表示処理部22は、出力装置13に、搬送車効率画面54を表示し、ユーザが欄54aに任意の指定時間帯を入力するのを受け付ける。
図13の例では、指定時間帯の長さは、“1時間=60分”である。
第2に、表示処理部22は、ステップS203において作成した搬送車情報31に基づき、搬送車効率画面54に以下の数値を搬送車IDごとに表示する。
【0071】
・稼働率:指定時間帯の長さのうち、引当作業時間と引当外作業時間の合計が占める比率
・作業時間:指定時間帯における、引当作業時間と引当外作業時間との合計
・迎車時間:指定時間帯における、“迎え”の開始時刻から終了時刻までの時間の累計値(迎車時間は、引当作業時間の内数である。)
・引当作業時間:指定時間帯における、“引当作業”の開始時刻から終了時刻までの時間の累計値
・引当外作業時間:指定時間帯における、“引当外作業”の開始時刻から終了時刻までの時間の累計値
【0072】
・待機時間:指定時間帯における、“待機”の開始時刻から終了時刻までの時間の累計値
・充電時間:指定時間帯における、“充電”の開始時刻から終了時刻までの時間の累計値
第3に、表示処理部22は、“引当作業時間”、“引当外作業時間”、“待機時間”、“オフライン時間”及び“充電時間”が指定時間帯の長さに占める比率を“搬送車稼働分布”として、円グラフ、帯グラフ等で表示する。なお、“オフライン時間”は、
図13に数値としては表示されていない。
【0073】
ステップS209において、表示処理部22は、充電効率画面55(
図14)を表示する。具体的には、第1に、表示処理部22は、出力装置13に、充電効率画面55を表示し、ユーザが欄55aに任意の指定時間帯を入力するのを受け付ける。
図14の例では、指定時間帯の長さは、“1時間=60分”である。
第2に、表示処理部22は、ステップS203において作成した充電器情報32に基づき、充電効率画面55に以下の数値を充電器IDごとに表示する。
【0074】
・充電時間:指定時間帯における、“充電”の開始時刻から終了時刻までの時間の累計値
・待機時間:指定時間帯における、“待機”の開始時刻から終了時刻までの時間の累計値
・オフライン時間:指定時間帯における、“オフライン”の開始時刻から終了時刻までの時間の累計値
・異常回数:指定時間帯における、“異常検知”の回数
第3に、表示処理部22は、“充電時間”、“待機時間”及び“オフライン時間”が指定時間帯の長さに占める比率を“充電効率”として、円グラフ、帯グラフ等で表示する。
【0075】
ステップS210において、表示処理部22は、作業員画面56(
図15)を表示する。具体的には、第1に、表示処理部22は、出力装置13に、作業員画面56を表示し、ユーザが欄56aに任意の指定時間帯を入力するのを受け付ける。
図15の例では、指定時間帯の長さは、“24時間=1440分”である。
第2に、表示処理部22は、ステップS203において作成した作業員情報33に基づき、作業員画面56に以下の数値を作業員IDごとに表示する。
【0076】
・作業時間:指定時間帯における、“入庫作業”及び“出庫作業”の開始時刻から終了時刻までの時間の累計値
・行数:指定時間帯において行った出庫作業の処理行数の合計
・ピース数:指定時間帯において出庫した物品の数量又は種類の数の合計
・生産性:指定時間帯における、処理行数を作業時間で除算した値
【0077】
ステップS211において、表示処理部22は、搬送車メンテナンス画面57(
図16)を表示する。具体的には、第1に、表示処理部22は、出力装置13に、搬送車メンテナンス画面57を表示する。
第2に、表示処理部22は、ステップS203において作成した搬送車情報31に基づき、搬送車メンテナンス画面57に以下の評価数値を搬送車IDごとに表示する。評価数値は、全部で10種類ある。これらの評価数値は、基準時点(例えば前回メンテナンス時点)から現在時刻までの期間における数値である。
【0078】
・運転時間:引当作業時間と引当外作業時間の合計
・走行距離:搬送車の位置及び曲がり角位置を辿ることによって求めた距離
・荷役台回転回数:“荷役台回転”の回数
・上昇回数:“荷役台上昇”の回数
・下降回数:“荷役台下降”の回数
・充電回数:“充電”の回数
・バーコード読み飛ばし回数:“バーコード読み飛ばし”の回数
・ずれ量:“ずれ検知”における取得データ(○cm)の合計
・通信断回数:“通信断”の回数
・異常回数:“異常検知”の回数
【0079】
第3に、表示処理部22は、各搬送車の評価数値に対し所定の閾値を適用し、閾値以上であった評価数値のうち、最も閾値から乖離している評価数値を第1の態様で強調表示し、その他を第2の態様で強調表示する処理を、評価数値の種類ごとに繰り返す。
図16においては、第1の態様は、二重斜め線ハッチングであり、第2の態様は、一重斜め線ハッチングである。
図16では、説明の単純化のために、評価数値の種類のうち運転時間及び充電回数を除くものについて、閾値以上である評価数値が2つずつあったものとする。
【0080】
第4に、表示処理部22は、総合判定の欄に、以下の規則に従い“C”、“B”又は“A”を表示する。
〈規則1〉第1の態様の強調表示が少なくとも1つある搬送車に対して“C”を表示する。
〈規則2〉第1の態様の強調表示がなく、第2の態様の強調表示が少なくとも1つある搬送車に対して“B”を表示する。
〈規則3〉第1の態様の強調表示がなく、第2の態様の強調表示もない搬送車に対して“A”を表示する。
【0081】
図16を全体的に見ると、例えば以下のことがわかる。
・最も緊急にメンテナンスを行うべき搬送車は、A002、A008、A015及びA016である。
・搬送車A002については、評価数値“走行距離”、“荷役台回転回数”、“上昇回数”及び“下降回数”が他の搬送車に比して大きい。よって、例えば車輪等の走行系及び荷役台の駆動系を重点的にメンテナンスするべきである。
【0082】
・搬送車A008については、評価数値“通信断回数”が他の搬送車に比して大きい。よって、例えばアンテナを重点的にメンテナンスするべきである。
・搬送車A015については、評価数値“バーコード読み飛ばし回数”が他の搬送車に比して大きい。よって、例えばセンサの光学系を重点的にメンテナンスするべきである。
・搬送車A016については、評価数値“ずれ量”及び“異常回数”が他の搬送車に比して大きい。よって、例えば左右バランスを重点的にメンテナンスするべきである。
その後、処理手順を終了する。
【0083】
(変形例)
前記では、個々の機器又は作業員ごとに様々な数値を表示する例を説明した。しかしながら、物流管理装置1の表示処理部22は、ユーザが、複数の機器又は作業員を、複数の群に分類するのを受け付けた場合は、作業効率を示す比率等の数値(
図11~
図16の各数値)を群ごとに表示することもできる。ここでの群とは、例えば、同種の機器、同じ組織に属する作業員、物流センタ内の同じ領域に属する機器又は作業員、等である。
【0084】
さらに、物流管理装置1の表示処理部22は、ユーザが、多くの状態の候補のうちから任意の状態を指定するのを受け付けた場合は、受け付けた状態ごとに、作業効率を示す比率等の数値を表示することもできる。例えば、物流管理装置1は、“入庫作業又は出庫作業”を受け付けた場合、ある種類の個々の機器、又は、その種類の機器の群が、“入庫作業又は出庫作業”を行っていた時間が指定時間帯に占める比率を表示する。
【0085】
前記では、物流管理装置1が状態の開始時刻及び終了時刻以外の計測情報を表示する例として、ずれ量(
図16)を記載した。しかしながら、物流管理装置1は、これ以外にも、棚の重量、荷役台の回転角度等、各機器のセンサが計測し得る任意の計測情報を機器ごと又は機器の群ごとに表示することができる。
【0086】
(本実施形態の効果)
本実施形態の物流管理装置の効果は以下の通りである。
(1)物流管理装置は、ある時間帯のある状態の時間比率を表示できる。
(2)物流管理装置は、状態の開始時間及び終了時間に基づき、状態の継続時間を正確に取得できる。
(3)物流管理装置は、状態の時間比率を、複数の機器からなる群ごとに表示できる。
(4)物流管理装置は、特に注目する状態をユーザに選択させることができる。
(5)物流管理装置は、時間比率を時系列で表示できる。
(6)物流管理装置は、メンテナンスに必要な計測情報を表示できる。
【0087】
なお、本発明は前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 物流管理装置
2 保管スペース
3 棚
4 搬送車(機器)
5 充電器(機器)
6 ステーション(機器)
7 作業員
8 作業ロボット(ステーション設備、機器)
9 ネットワーク
11 中央制御装置
12 入力装置
13 出力装置
14 主記憶装置(記憶部)
15 補助記憶装置(記憶部)
16 通信装置
21 ログ収集部
22 表示処理部
31 搬送車情報
32 充電器情報
33 作業員情報
34 ステーション情報
35 注文情報