IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士重工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-充電システム 図1
  • 特開-充電システム 図2
  • 特開-充電システム 図3
  • 特開-充電システム 図4
  • 特開-充電システム 図5
  • 特開-充電システム 図6
  • 特開-充電システム 図7
  • 特開-充電システム 図8
  • 特開-充電システム 図9
  • 特開-充電システム 図10
  • 特開-充電システム 図11
  • 特開-充電システム 図12
  • 特開-充電システム 図13
  • 特開-充電システム 図14
  • 特開-充電システム 図15
  • 特開-充電システム 図16
  • 特開-充電システム 図17
  • 特開-充電システム 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002656
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】充電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20231228BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20231228BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
H02J7/00 302A
H02J7/00 303C
H02J7/00 X
H01M10/48 P
H01M10/44 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101987
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石橋 達也
(72)【発明者】
【氏名】大久保 優介
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA04
5G503BA01
5G503BB01
5G503EA05
5G503FA06
5H030AA09
5H030AS08
5H030BB01
5H030FF41
(57)【要約】
【課題】シンプルな方法で、給電可能な時間を算出する充電システムを得る。
【解決手段】本発明の一実施の形態に係る充電システムは、蓄電装置を有する給電システムから、蓄電池への充電動作を制御する充電制御部と、蓄電池への充電電力を複数回検出する検出部と、それぞれが、給電システムから蓄電池への充電電力の時間変化を示すデータを含む複数の充電データを取得する取得部と、複数の充電データのそれぞれの近似曲線を算出する算出部と、複数の充電データに基づいて算出された複数の近似曲線に基づいて、検出部が検出した複数の充電電力を用いて、給電システムが給電可能な給電可能時間を推定する推定部とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置を有する給電システムから、蓄電池への充電動作を制御する充電制御部と、
前記蓄電池への充電電力を複数回検出する検出部と、
それぞれが、前記給電システムから前記蓄電池への充電電力の時間変化を示すデータを含む複数の充電データを取得する取得部と、
前記複数の充電データのそれぞれの近似曲線を算出する算出部と、
前記複数の充電データに基づいて算出された複数の前記近似曲線に基づいて、前記検出部が検出した複数の前記充電電力を用いて、前記給電システムが給電可能な給電可能時間を推定する推定部と
を備えた充電システム。
【請求項2】
前記推定部は、
前記複数の充電データに基づいて算出された複数の前記近似曲線に基づいて、前記検出部が検出した複数の前記充電電力を用いて、充電電力の変化を示す充電曲線を推定し、
前記充電曲線に基づいて前記給電可能時間を推定し、
前記充電曲線に基づいて、前記蓄電装置の蓄電池残量をさらに推定する
請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記複数の充電データは、所定の期間内に生成されたデータである
請求項1または請求項2に記載の充電システム。
【請求項4】
前記複数の充電データは、前記給電システムから、前記蓄電池と異なる、前記蓄電池と同じ品種の他の蓄電池への充電電力の時間変化を示すデータをさらに含む
請求項1または請求項2に記載の充電システム。
【請求項5】
前記複数の充電データを記憶する記憶部と、
前記検出部が検出した前記充電電力の時間変化を示すデータに基づいて充電データを生成し、生成した充電データを前記記憶部に登録する登録部と
をさらに備えた
請求項1または請求項2に記載の充電システム。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の蓄電池を充電する充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、しばしば蓄電池が搭載される。特許文献1には、SOC(State Of Charge)に基づいて放電可能時間を推定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-221016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、プラグイン電気自動車や、プラグインハイブリッド車のように、蓄電池を搭載し、給電スタンドにてこの蓄電池を充電可能な車両が開発されている。このような給電スタンドには、給電用の蓄電池を備え、給電するための電力を一時的に蓄えるものがある。給電スタンドの蓄電池のSOCが低い場合には、車両に対して給電可能な時間が短くなる。よって、シンプルな方法で、給電可能な時間を算出することが望まれる。
【0005】
シンプルな方法で、給電可能な時間を算出することができる充電システムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施の形態に係る充電システムは、充電制御部と、検出部と、取得部と、算出部と、推定部とを備えている。充電制御部は、蓄電装置を有する給電システムから、蓄電池への充電動作を制御するように構成される。取得部は、蓄電池への充電電力を複数回検出するように構成される。取得部は、それぞれが、給電システムから蓄電池への充電電力の時間変化を示すデータを含む複数の充電データを取得するように構成される。算出部は、複数の充電データのそれぞれの近似曲線を算出するように構成される。推定部は、記複数の充電データに基づいて算出された複数の近似曲線に基づいて、検出部が検出した複数の充電電力を用いて、給電システムが給電可能な給電可能時間を推定するように構成される。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施の形態に係る充電システムによれば、シンプルな方法で、給電可能な時間を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第1の実施の形態に係る充電システムの一構成例を表すブロック図である。
図2図1に示した車両における、電力を受電する装置の一構成例を表すブロック図である。
図3図1に示した記憶部に記憶された複数の充電データの一例を表す説明図である。
図4図1に示した充電システムの一動作例を表すフローチャートである。
図5図4に示した推定処理の一例を表すフローチャートである。
図6図5に示した推定処理の一例を表す説明図である。
図7図5に示した推定処理の一例を表す他の説明図である。
図8図5に示した推定処理の一例を表す説明図である。
図9図5に示した推定処理の一例を表す他の説明図である。
図10】第1の実施の形態の変形例に係る推定処理の一例を表すフローチャートである。
図11】第2の実施の形態に係る充電システムの一構成例を表すブロック図である。
図12図11に示した車両における、電力を受電する装置の一構成例を表すブロック図である。
図13】第2の実施の形態に係る推定処理の一例を表すフローチャートである。
図14】第3の実施の形態に係る充電システムの一構成例を表すブロック図である。
図15図14に示した車両における、電力を受電する装置の一構成例を表すブロック図である。
図16図14に示したサーバの一構成例を表すブロック図である。
図17図16に示した記憶部に記憶された複数の充電データの一例を表す説明図である。
図18】第3の実施の形態に係る推定処理の一例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
3.第3の実施の形態
【0010】
<1.第1の実施の形態>
[構成例]
図1は、第1の実施の形態に係る充電システム1の一構成例を表すものである。充電システム1は、車両19の蓄電池を充電するように構成される。充電システム1には、系統電源8および太陽光発電装置9に接続される。系統電源8は、例えばいわゆる商用電源であり、交流電力を充電システム1に供給するように構成される。太陽光発電装置9は、太陽光に基づいて発電することにより直流電力を生成し、この直流電力を充電システム1に供給するように構成される。充電システム1は、給電スタンド10と、車両19とを有している。
【0011】
給電スタンド10は、車両19に対して直流電力を給電するように構成される。給電スタンド10は、パワーコンディショナ11と、蓄電装置12と、給電装置13とを有している。
【0012】
パワーコンディショナ11は、系統電源8から供給された交流電力をAC/DC変換により直流電力に変換し、変換された直流電力を蓄電装置12に供給するように構成される。また、パワーコンディショナ11は、太陽光発電装置9から供給された直流電力をDC/DC変換により変換し、変換された直流電力を蓄電装置12に供給するようになっている。
【0013】
蓄電装置12は、蓄電池を有し、パワーコンディショナ11から供給された直流電力を一時的に蓄えるように構成される。そして、蓄電装置12は、パワーコンディショナ11から供給された直流電力および蓄電装置12に蓄えられた直流電力を、給電装置13に供給するようになっている。
【0014】
給電装置13は、蓄電装置12から供給された直流電力を、給電ケーブル100を介して車両19に供給するように構成される。
【0015】
このように、給電スタンド10は、蓄電装置12を備え、蓄電装置12に蓄えられた直流電力を車両19に供給する。これにより、給電スタンド10では、例えば、系統電源8や太陽光発電装置9から供給される電力が不充分である場合でも、蓄電装置12に蓄えられた直流電力で補うことにより、車両19に対して効果的に直流電力を供給することができる。例えば、複数の車両に同時に給電を行う場合には、系統電源8や太陽光発電装置9から供給される電力が不充分であることがあり得る。給電スタンド10では、この場合でも、系統電源8や太陽光発電装置9から供給された電力、および蓄電装置12に蓄えられた電力の両方を利用して、車両19に対して効果的に直流電力を供給することができるようになっている。
【0016】
車両19は、自動車などの車両であり、この例ではプラグイン電気自動車である。なお、これに限定されるものではなく、プラグインハイブリッド車であってもよい。
【0017】
図2は、車両19における、給電スタンド10から供給された電力を受電する装置の一構成例を表すものである。車両19は、蓄電池ユニット20と、通信部29と、制御部30と、記憶部40とを有している。
【0018】
蓄電池ユニット20は、蓄電池21と、電力センサ22とを有している。蓄電池21は、給電スタンド10から給電ケーブル100を介して供給された直流電力を蓄えるとともに、蓄えられた電力を、車両19のインバータ(図示せず)に供給するように構成される。車両19は、このインバータがモータを駆動することにより、車両19を走行させる駆動力を生成するようになっている。電力センサ22は、給電スタンド10から蓄電池21への充電電力を検出するように構成される。蓄電池ユニット20は、制御部30からの制御信号に基づいて、蓄電池21への充電動作を行うようになっている。
【0019】
通信部29は、給電ケーブル100を介して、給電スタンド10と通信を行うように構成される。通信部29は、例えば、給電スタンド10と通信を行うことにより、給電スタンド10を識別するための給電スタンド識別子を取得するようになっている。
【0020】
制御部30は、蓄電池ユニット20の受電動作を制御するように構成される。制御部30は、例えば、1または複数のマイクロコントローラ、および1または複数のメモリを含んで構成される。制御部30は、充電制御部31と、充電データ取得部32と、近似曲線算出部33と、推定部34と、充電データ登録部35とを有している。
【0021】
充電制御部31は、給電スタンド10から蓄電池ユニット20の蓄電池21への充電動作を制御するように構成される。
【0022】
充電データ取得部32は、記憶部40から充電データDTを取得するように構成される。
【0023】
図3は、記憶部40に記憶された複数の充電データDTの一例を表すものである。充電データDTは、車両19が充電動作を行った充電日時と、車両19に給電した給電スタンド10の給電スタンド識別子と、充電電力の時間変化についてのデータとを含んでいる。充電電力の時間変化についてのデータは、この例では、充電開始時、および充電開始から10分ごとの充電電力のデータを含む。
【0024】
例えば、給電装置13は、蓄電装置12のSOCに応じた給電電力で車両19に対して給電を行う。よって、車両19における充電電力は、蓄電装置12のSOCが高い場合には高く、蓄電装置12のSOCが低い場合には低い。また、蓄電装置12のSOCは、給電を続けることにより徐々に低下していくので、給電電力は時間の経過に応じて徐々に低下する。よって、車両19における充電電力は、充電時間の経過に応じて徐々に低下する。
【0025】
なお、この例では、給電スタンド10は、蓄電装置12を有するようにしたが、蓄電装置を有しない給電スタンドもあり得る。このような給電スタンドには、系統電源8から常に充分な電力が供給される。この給電スタンドは、例えば車両19に給電を行う場合に、給電電力を所定の電力に維持することができる。よって、車両19における充電電力は、一定値に維持される。
【0026】
充電データ取得部32は、記憶部40に記憶された複数の充電データDTのうちの、車両19に給電している給電スタンド10の給電スタンド識別子と同じ給電スタンド識別子を含む複数の充電データDTを取得する。そして、充電データ取得部32は、取得した複数の充電データDTを近似曲線算出部33に供給するようになっている。
【0027】
近似曲線算出部33は、充電データ取得部32が取得した複数の充電データDTのそれぞれの近似曲線を算出するように構成される。
【0028】
推定部34は、近似曲線算出部33が算出した複数の近似曲線に基づいて、電力センサ22から供給された受電電力のデータを用いて、給電スタンド10が給電可能な時間(給電可能時間T)を推定するように構成される。この給電可能時間Tは、例えば、車両19に設けられた表示装置(図示せず)により、ドライバに提示される。
【0029】
充電データ登録部35は、電力センサ22から供給された受電電力のデータに基づいて、充電データDTを生成し、生成した充電データDTを記憶部40に登録するように構成される。
【0030】
記憶部40は、不揮発性の記憶装置であり、例えば半導体メモリを用いて構成される。記憶部40は、複数の充電データDTを記憶するように構成される。
【0031】
ここで、給電スタンド10は、本開示における「給電システム」の一具体例に対応する。蓄電装置12は、本開示における「蓄電装置」の一具体例に対応する。蓄電池21は、本開示における「蓄電池」の一具体例に対応する。充電制御部31は、本開示における「充電制御部」の一具体例に対応する。電力センサ22は、本開示における「検出部」の一具体例に対応する。充電データ取得部32は、本開示における「取得部」の一具体例に対応する。近似曲線算出部33は、本開示における「算出部」の一具体例に対応する。推定部34は、本開示における「推定部」の一具体例に対応する。記憶部40は、本開示における「記憶部」の一具体例に対応する。充電データ登録部35は、本開示における「登録部」の一具体例に対応する。
【0032】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の充電システム1の動作および作用について説明する。
【0033】
(全体動作概要)
まず、図1,2を参照して、充電システム1の動作を説明する。パワーコンディショナ11は、系統電源8から供給された交流電力をAC/DC変換により直流電力に変換し、変換された直流電力を蓄電装置12に供給する。また、パワーコンディショナ11は、太陽光発電装置9から供給された直流電力をDC/DC変換により変換し、変換された直流電力を蓄電装置12に供給する。蓄電装置12は、パワーコンディショナ11から供給された直流電力を一時的に蓄える。そして、蓄電装置12は、パワーコンディショナ11から供給された直流電力および蓄電装置12に蓄えられた直流電力を、給電装置13に供給する。給電装置13は、蓄電装置12から供給された直流電力を、給電ケーブル100を介して車両19に供給する。
【0034】
車両19において、蓄電池ユニット20の蓄電池21は、給電スタンド10から給電ケーブル100を介して供給された直流電力を蓄えるとともに、蓄えられた電力を、車両19のインバータ(図示せず)に供給する。電力センサ22は、給電スタンド10から蓄電池21への充電電力を検出する。通信部29は、給電ケーブル100を介して、給電スタンド10と通信を行うことにより、給電スタンド10に固有の識別子である給電スタンド識別子を取得する。制御部30の充電制御部31は、給電スタンド10から蓄電池ユニット20の蓄電池21への充電動作を制御する。充電データ取得部32は、記憶部40に記憶された複数の充電データDTのうちの、車両19に給電している給電スタンド10の給電スタンド識別子と同じ給電スタンド識別子を含む複数の充電データDTを取得する。近似曲線算出部33は、充電データ取得部32が取得した複数の充電データDTのそれぞれの近似曲線を算出する。推定部34は、近似曲線算出部33が算出した複数の近似曲線に基づいて、電力センサ22から供給された受電電力のデータを用いて、給電スタンド10が給電可能時間(給電可能時間T)を推定する。充電データ登録部35は、電力センサ22から供給された受電電力のデータに基づいて、充電データDTを生成し、生成した充電データDTを記憶部40に登録する。記憶部40は、複数の充電データDTを記憶するように構成される。
【0035】
(詳細動作)
図4は、給電スタンド10から供給された電力に基づいて車両19の蓄電池21を充電する場合の車両19の一動作例を表すものである。例えばドライバが給電ケーブル100のプラグを車両19のインレットにセットすることにより、このフローは開始する。
【0036】
まず、車両19の通信部29は、給電スタンド10の給電装置13と通信を行うことにより給電スタンド識別子を受け取る(ステップS101)。通信部29は、この給電スタンド識別子を制御部30に供給する。
【0037】
次に、充電制御部31は、蓄電池ユニット20の蓄電池21の充電動作を開始する(ステップS102)。これにより、給電スタンド10から供給された直流電力が、蓄電池ユニット20の蓄電池21に蓄えられ始める。
【0038】
次に、蓄電池ユニット20の電力センサ22は、蓄電池21の充電電力を検出する(ステップS103)。電力センサ22は、この検出結果を制御部30に供給する。
【0039】
次に、制御部30は、電力センサ22が充電電力を3回以上検出したかどうかを確認する(ステップS104)。電力センサ22がまだ充電電力をまだ3回以上検出していない場合(ステップS104において“N”)には、処理はステップS103に戻る。これにより、制御部30は、電力センサ22が充電電力を3回検出するまで、ステップS103,S104の処理を繰り返す。制御部30は、この例では、電力センサ22が5分間隔で受電電力を検出するように制御する。これにより、電力センサ22は、充電開始時、充電開始から5分後、および充電開始から10分後の充電電力を検出する。
【0040】
ステップS104において、電力センサ22が充電電力をすでに3回以上検出した場合(ステップS104において“Y”)には、制御部30は、給電可能時間Tを推定したかどうかを確認する(ステップS105)。制御部30がすでに給電可能時間Tを推定した場合(ステップS105において“Y”)には、処理はステップS107に進む。
【0041】
ステップS105において、制御部30がまだ給電可能時間Tを推定していない場合(ステップS105において“N”)には、制御部30は、給電可能時間Tを推定する推定処理を行う(ステップS106)。
【0042】
図5は、給電可能時間Tを推定する推定処理のサブルーチンの一例を表すものである。
【0043】
まず、制御部30の充電データ取得部32は、記憶部40から、記憶されている複数の充電データDTのうちの、ステップS101において取得した、車両19に現在給電している給電スタンド10の給電スタンド識別子と同じ給電スタンド識別子を含む複数の充電データDTを取得する(ステップS201)。すなわち、図3に示したように、記憶部40には、過去に車両19に給電した様々な給電スタンドに係る複数の充電データDTが記憶されている。充電データ取得部32は、この複数の充電データDTのうち、現在給電している給電スタンド10に係る複数の充電データDTを取得する。
【0044】
次に、充電データ取得部32は、ステップS201において取得した複数の充電データDTにおける充電電力のデータをプロットする(ステップS202)。
【0045】
図6は、充電電力のデータのプロット結果を表すものである。横軸は充電開始からの経過時間を示し、縦軸は充電電力を示す。この例では、4つの充電データDTに係る、充電電力の時間変化を示している。
【0046】
次に、近似曲線算出部33は、ステップS202においてプロットした複数の充電データDTのそれぞれの近似曲線を算出する(ステップS203)。具体的には、近似曲線算出部33は、充電データDTに含まれる充電電力の時間変化のデータに基づいて、例えば2次関数などの関数を用いてフィッティング処理を行うことにより、近似曲線を算出する。
【0047】
図7は、図6に示した複数の充電データDTのそれぞれの近似曲線の一例を表すものである。近似曲線算出部33は、この例では、4つの充電データDTに含まれる充電電力の時間変化のデータに基づいて、4つの近似曲線W1~W4を算出する。近似曲線算出部33は、この近似曲線W1~W4のそれぞれにおける、充電電力がゼロになる点(外挿点EXT)を、外挿により算出する。
【0048】
次に、推定部34は、近似曲線算出部33が算出した複数の近似曲線に基づいて、電力センサ22が検出した受電電力のデータを用いて、現在行っている充電動作の充電曲線Lを推定する(ステップS204)。
【0049】
図8は、ステップS204における推定部34の動作の一例を表すものである。推定部34は、近似曲線算出部33が算出した複数の近似曲線のそれぞれを左右反転させ、外挿点EXTを基準としてプロットしなおす。そして、推定部34は、ステップS103において電力センサ22が検出した受電電力(受電電力P0,P1,P2)のデータが曲線上に並ぶような充電曲線Lを推定する。この例では、受電電力P0は充電開始時の受電電力であり、受電電力P1は充電開始から5分後の充電電力であり、受電電力P2は充電開始から10分後の充電電力である。図8の横軸方向において、受電電力P1を示す点は、受電電力P0を示す点よりも5分だけ左に位置し、受電電力P2を示す点は、受電電力P1を示す点よりも5分だけ左に位置する。図8に示したように、受電電力P0~P2の範囲において、右に位置する近似曲線の勾配は小さく、左に位置する近似曲線の勾配は大きい。推定部34は、受電電力P0,P1,P2のデータが曲線上に並ぶような充電曲線Lを推定する。この例では、これらの3つの点は近似曲線W1の線上に並ぶ。よって、この例では、近似曲線W1は、現在行っている充電動作の充電曲線Lである。充電電力は、この後、この充電曲線Lに沿って低下していくと推測される。
【0050】
図9は、ステップS204における推定部34の動作の他の一例を表すものである。この例では、受電電力P0,P1,P2の値は、図8の例よりも低い。推定部34は、このような受電電力P0,P1,P2のデータが曲線上に並ぶような充電曲線Lを推定する。この例では、推定部34は、近似曲線W3,W4に基づいて、これらの曲線の間にある充電曲線Lを推定する。このようにして推定された充電曲線Lは、この図9のグラフの原点を通る、例えば2次関数などの関数で表すことができる曲線である。充電電力は、この後、この充電曲線Lに沿って低下していくと推測される。
【0051】
このようにして、推定部34は、現在行っている充電動作の充電曲線Lを推定する。
【0052】
次に、推定部34は、ステップS204において推定した充電曲線Lに基づいて、給電可能時間Tを推定する(ステップS205)。この推定処理のサブルーチンは、図4に示したように、電力センサ22が受電電力を3回検出した直後に行われる。受電電力P2は、電力センサ22による3回目の検出結果である。よって、推定部34は、図8,9に示したように、充電曲線Lにおける受電電力P2を示す点から、グラフの原点までの時間に基づいて、給電可能時間Tを推定することができる。
【0053】
このようにして、推定処理のサブルーチンは終了する。例えば、車両19の表示装置(図示せず)は、推定された給電可能時間Tをドライバに提示する。
【0054】
次に、図4に示したように、充電制御部31は、充電を終了させるかどうかを確認する(ステップS107)。具体的には、充電制御部31は、例えば、充電開始から、予め設定された所定の時間が経過したかどうかを確認することにより、充電を終了させるかどうかを確認することができる。また、充電制御部31は、例えば、車両19の蓄電池21のSOCが所定のレベルに到達したかどうかを確認することにより、充電を終了させるかどうかを確認することができる。また、充電制御部31は、例えば、ドライバが充電終了の操作を行ったかどうかを確認することにより、充電を終了させるかどうかを確認することができる。充電を終了させない場合(ステップS107において“N”)には、処理はステップS103に戻る。これ以降、電力センサ22は、充電が終了するまで、ステップS103において、例えば10分経過する度に充電電力を検出する。
【0055】
ステップS107において、充電を終了させる場合(ステップS107において“Y”)には、充電データ登録部35は、今回の充電動作に係る充電データDTを生成する(ステップS108)。具体的には、充電データ登録部35は、今回の充電動作を開始した日時と、ステップS101において受け取った給電スタンド識別子と、ステップS103において検出した10分毎の充電電力のデータとを含む充電データDTを生成する。
【0056】
そして、充電データ登録部35は、この充電データDTを記憶部40に登録する(ステップS109)。
【0057】
以上で、この処理は終了する。
【0058】
このように、充電システム1では、蓄電装置12を有する給電スタンド10から蓄電池21への充電動作を制御する充電制御部31と、蓄電池21への充電電力を複数回検出する電力センサ22と、それぞれが、給電スタンド10から蓄電池21への充電電力の時間変化を示すデータを含む複数の充電データDTを取得する充電データ取得部32と、複数の充電データDTのそれぞれの近似曲線を算出する近似曲線算出部33と、複数の充電データDTに基づいて算出された複数の近似曲線に基づいて、電力センサ22が検出した複数の受電電力を用いて、給電スタンド10が給電可能な給電可能時間Tを推定する推定部34とを設けるようにした。例えば、推定部34は、複数の充電データDTに基づいて算出された複数の近似曲線に基づいて、電力センサ22が検出した複数の受電電力を用いて、その後の充電電力の変化を示す充電曲線Lを推定し、この充電曲線Lに基づいて給電可能時間を推定することができる。これにより、充電システム1では、シンプルな方法で、給電可能な時間を算出することができる。その結果、充電システム1では、例えばドライバの利便性を高めることができる。
【0059】
すなわち、給電スタンドは、給電スタンドに設けられた蓄電池のSOCについての情報を車両に供給しないことが多い。この場合には、車両は、給電スタンドに設けられた蓄電池のSOCを把握できないので、給電スタンドがどのくらいの電力を給電できるかを把握することができない。よって、例えば、車両の蓄電池を充電しているときに、給電スタンドの蓄電池のSOCが充分に低くなってしまい、給電スタンドが強制的に給電を終了することがあり得る。また、例えば、ドライバが、充電のための課金操作を行った直後に、給電スタンドが強制的に給電を終了した場合には、料金が無駄になる可能性もあり得る。
【0060】
一方、充電システム1では、車両19の制御部30は、給電可能時間Tを推定することができる。これにより、例えば、ドライバは、給電スタンド10が充分に給電を行うことができるかどうかを把握することができる。例えば、ドライバは、給電スタンド10が充分に給電を行うことができない場合には、近くの他の給電スタンド10に向かうことができる。例えば、ドライバは、給電スタンド10が充分に給電を行うことができる場合には、蓄電池21を充電している期間に、他の用事を済ますことができ、時間を有効に利用することができる。また、例えば、ドライバは、給電可能時間Tに基づいて、充電のための課金操作を行うタイミングを決めることができるので、料金が無駄にならないようにすることができる。
【0061】
また、充電システム1では、充電データ取得部32は、給電スタンド10から蓄電池21への充電電力の時間変化を示すデータを含む複数の充電データDTを取得するようにした。すなわち、この複数の充電データDTは、1つの給電スタンド10から、自車両である車両19の蓄電池21への充電電力の時間変化についてのデータを含む。充電システム1では、この複数の充電データDTに基づいて、給電可能時間Tを推定するので、例えば様々な給電スタンドに係る充電データDTや、様々な車両に係る充電データDTを用いないため、給電可能時間Tの推定精度を高めることができる。
【0062】
また、充電システム1では、電力センサ22は、充電電力を3回検出し、推定部34は、この3回分の受電電力のデータを用いて充電曲線Lを推定し、この充電曲線Lに基づいて給電可能時間Tを推定するようにした。これにより、充電システム1では、給電可能時間Tの推定精度を高めることができる。すなわち、給電スタンド10の蓄電装置12のSOCが高い場合には、受電電力は線形的に変化し得るが、蓄電装置12のSOCが低くなると、充電電力は、例えば図7に示したように、線形的に低下するのではなく、急激に低下する。推定部34は、この3回分の受電電力のデータを用いて充電曲線Lを推定するので、この受電電力の急激な変化を利用して、より高い精度で、充電曲線Lを推定することができる。その結果、充電システム1では、給電可能時間Tの推定精度を高めることができる。
【0063】
[効果]
以上のように本実施の形態では、蓄電装置を有する給電スタンドから蓄電池への充電動作を制御する充電制御部と、蓄電池への充電電力を複数回検出する電力センサと、それぞれが、給電スタンドから蓄電池への充電電力の時間変化を示すデータを含む複数の充電データを取得する充電データ取得部と、複数の充電データのそれぞれの近似曲線を算出する近似曲線算出部と、複数の充電データに基づいて算出された複数の近似曲線に基づいて、電力センサが検出した複数の受電電力を用いて、給電スタンドが給電可能な給電可能時間を推定する推定部とを設けるようにした。例えば、推定部は、複数の充電データに基づいて算出された複数の近似曲線に基づいて、電力センサが検出した複数の受電電力を用いて、その後の充電電力の変化を示す充電曲線を推定し、この充電曲線に基づいて給電可能時間を推定することができる。これにより、シンプルな方法で、給電可能な時間を算出することができる。
【0064】
[変形例1-1]
上記実施の形態では、推定部34は、充電曲線Lに基づいて給電可能時間Tを推定したが、これに限定されるものではなく、例えば、さらに、この充電曲線Lに基づいて、給電スタンド10における蓄電装置12のSOCを推定してもよい。具体的には、推定部34は、例えば、充電曲線L(例えば図8)の充電電力を、所定値である給電電圧で除算することにより、充電電流の曲線を求め、この充電電流の曲線における充電電流を、給電可能時間Tにわたって積分することにより、蓄電装置12の蓄電池残量を算出することができる。このようにして、推定部34は、給電スタンド10における蓄電装置12のSOCを推定することができる。
【0065】
[変形例1-2]
上記実施の形態では、図5に示したように、制御部30は、車両19に給電している給電スタンド10の給電スタンド識別子と同じ給電スタンド識別子を含む複数の充電データDTに基づいて、給電可能時間Tを推定したが、これに限定されるものではない。以下に、本変形例について詳細に説明する。
【0066】
図10は、本変形例に係る推定処理の一例を表すものである。
【0067】
まず、充電データ取得部32は、記憶部40から、記憶されている複数の充電データDTのうちの、車両19に給電している給電スタンド10の給電スタンド識別子と同じ給電スタンド識別子を含み、かつ充電日時が過去30日以内である複数の充電データDTを取得する(ステップS211)。すなわち、記憶部40には、過去の長い期間において登録された複数の充電データDTが記憶されている。充電データ取得部32は、この複数の充電データDTのうち、充電日時が過去30日以内である複数の充電データDTを取得する。
【0068】
次に、充電データ取得部32は、ステップS211において取得した複数の充電データDTにおける充電電力のデータをプロットし(ステップS202)、近似曲線算出部33は、ステップS202においてプロットされた複数の充電データDTのそれぞれの近似曲線を算出し(ステップS203)、推定部34は、近似曲線算出部33が算出した複数の近似曲線に基づいて、電力センサ22が検出した受電電力のデータを用いて、現在行っている充電動作の充電曲線Lを推定し(ステップS204)、推定部34は、ステップS204において推定した充電曲線Lに基づいて、給電可能時間Tを推定する(ステップS205)。
【0069】
本変形例に係る充電システム1では、車両19に給電している給電スタンド10の給電スタンド識別子と同じ給電スタンド識別子を含み、かつ所定の期間内(例えば過去30日以内)に生成された複数の充電データDTに基づいて給電可能時間Tを推定するようにした。これにより、給電可能時間Tの推定精度を高めることができる。すなわち、給電スタンド10の蓄電装置12の特性は、時間が経つにつれて変化し得る。本変形例に係る充電システム1では、所定の期間内(過去30日以内)に生成された充電データDTに基づいて、給電可能時間Tを推定するので、蓄電装置12の特性の経時変化が給電可能時間Tの推定精度に与える影響を抑えることができる。よって、給電可能時間Tの推定精度を高めることができる。
【0070】
[その他の変形例]
また、これらの変形例のうちの2以上を組み合わせてもよい。
【0071】
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態に係る充電システム2について説明する。本実施の形態は、車両は、自らの充電データDTに加え、車車間通信により他の車両から供給された充電データDTを利用して、給電可能時間Tを推定するものである。なお、上記第1の実施の形態に係る充電システム1と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0072】
図11は、第2の実施の形態に係る充電システム2の一構成例を表すものである。充電システム2は、給電スタンド50と、車両59A,59Bとを有している。
【0073】
給電スタンド50は、蓄電装置52と、給電装置53A,53Bとを有している。
【0074】
蓄電装置52は、上記第1の実施の形態に係る蓄電装置12と同様に、蓄電池を有し、パワーコンディショナ11から供給された直流電力を一時的に蓄えるように構成される。そして、蓄電装置52は、パワーコンディショナ11から供給された直流電力および蓄電装置52に蓄えられた直流電力を、給電装置53A,53Bに供給するようになっている。
【0075】
給電装置53Aは、蓄電装置52から供給された直流電力を、給電ケーブル100Aを介して車両59Aに供給するように構成される。給電装置53Bは、蓄電装置52から供給された直流電力を、給電ケーブル100Bを介して車両59Bに供給するように構成される。
【0076】
車両59A,59Bは、上記第1の実施の形態に係る車両19と同様に、この例ではプラグイン電気自動車である。車両59A,59Bは、互いに、車車間通信COM1を行うことができるように構成される。
【0077】
図12は、車両59Aにおける、給電スタンド50から供給された電力を受電する装置の一構成例を表すものである。なお、車両59Bについても同様である。車両59Aは、車車間通信部61と、制御部70とを有している。
【0078】
車車間通信部61は、車両59Aの近くの他の車両との間で、車車間通信COM1を行うように構成される。車車間通信部61は、近くの他の車両と車車間通信COM1を行うことにより、車種を識別するための車種識別子や、充電データDTのやりとりを行うようになっている。
【0079】
制御部70は、充電データ管理部76を有している。充電データ管理部76は、記憶部40に記憶された充電データDTを車車間通信部61に送信させ、あるいは、車車間通信部61が受信した充電データDTを記憶部40に記憶させるように構成される。
【0080】
給電スタンド50から供給された電力に基づいて車両59Aの蓄電池21を充電する場合の車両59Aの動作は、上記第1の実施の形態の場合(図4)と同様である。以下に、給電可能時間Tを推定する推定処理(図4におけるステップS106)について説明する。この例では、車両59Bは、例えば給電ケーブル100Bを介して給電装置53Bに接続され、蓄電池21の充電動作を行っている。
【0081】
図13は、車両59Aの制御部70における、給電可能時間Tを推定する推定処理のサブルーチンの一例を表すものである。
【0082】
まず、車車間通信部61は、充電データ管理部76からの指示に基づいて、車両59Bと車車間通信COM1を行うことにより、車両59Bの車種識別子を取得する(ステップS221)。
【0083】
次に、充電データ管理部76は、車両59Bの車種識別子に基づいて、車両59Aの車種および車両19Bの車種が同一であるかどうかを確認する(ステップS222)。車種が同一でない場合(ステップS222において“N”)には、処理はステップS201に進む。
【0084】
ステップS222において、車両59Aの車種および車両59Bの車種が同一である場合(ステップS222において“Y”)には、車車間通信部61は、充電データ管理部76からの指示に基づいて、車両59Bと車車間通信COM1を行うことにより、車両59Bの記憶部40に記憶された複数の充電データDTを取得し、これらの充電データDTを記憶部40に登録する(ステップS223)。これにより、車両59Aの記憶部40には、車両59Aに係る充電データDTおよび車両59Bに係る充電データDTが記憶される。
【0085】
そして、充電データ取得部32は、記憶部40から、記憶されている複数の充電データDTのうちの、車両59Aに給電している給電スタンド50の給電スタンド識別子と同じ給電スタンド識別子を含む複数の充電データDTを取得する(ステップS201)。次に、充電データ取得部32は、ステップS201において取得した複数の充電データDTにおける充電電力のデータをプロットし(ステップS202)、近似曲線算出部33は、ステップS202においてプロットされた複数の充電データDTのそれぞれの近似曲線を算出し(ステップS203)、推定部34は、近似曲線算出部33が算出した複数の近似曲線に基づいて、電力センサ22が検出した受電電力のデータを用いて、現在行っている充電動作の充電曲線Lを推定し(ステップS204)、推定部34は、ステップS204において推定した充電曲線Lに基づいて、給電可能時間Tを推定する(ステップS205)。
【0086】
このように、充電システム2では、車両59Aの車種と車両59Bの車種が同じである場合に、給電スタンド50から車両59Aの蓄電池21への充電電力の時間変化を示すデータと、給電スタンド50から車両59Bの蓄電池21への充電電力の時間変化を示すデータとを含む複数の充電データDTに基づいて給電可能時間Tを推定するようにした。これにより、給電可能時間Tの推定精度を高めることができる。すなわち、車両59Aの車種と車両59Bの車種が同じである場合には、車両59Aの蓄電池21の品種と、車両59Bの蓄電池21の品種は、互いに同じである。この場合には、車両59Aに係る充電動作の特性と、車両59Bの充電動作の特性とは、互いに同じである。充電システム2では、車両59Aにより生成された複数の充電データDTに加え、車両59Bにより生成された複数の充電データDTにも基づいて給電可能時間Tを推定する。これにより、充電システム2では、給電可能時間Tを推定する際に使用する充電データDTのデータ数が増えるので、給電可能時間Tの推定精度を高めることができる。
【0087】
以上のように本実施の形態では、給電スタンドから車両59Aの蓄電池への充電電力の時間変化を示すデータと、給電スタンドから車両59Bの蓄電池への充電電力の時間変化を示すデータとを含む複数の充電データに基づいて給電可能時間を推定するようにしたので、給電可能時間の推定精度を高めることができる。その他の効果は、上記第1の実施の形態の場合と同様である。
【0088】
[変形例2]
上記実施の形態に係る充電システム2に、上記第1の実施の形態の各変形例を適用してもよい。
【0089】
<3.第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態に係る充電システム3について説明する。本実施の形態は、サーバが、複数の車両の充電データDTを利用して、給電可能時間Tを推定するものである。なお、上記第1の実施の形態に係る充電システム1と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0090】
図14は、第3の実施の形態に係る充電システム3の一構成例を表すものである。充電システム3は、給電スタンド10と、車両79と、サーバ110とを備えている。車両79は、サーバ110との間で通信COM2を行うようになっている
【0091】
図15は、車両79における、給電スタンド10から供給された電力を受電する装置の一構成例を表すものである。車両79は、蓄電池ユニット20と、通信部29と、無線通信部81と、制御部90とを有している。無線通信部81は、例えば、LTE(Long Term Evolution)、5G、無線LAN(Local Area Network)などの無線通信を用いて基地局(図示せず)と通信を行うことにより、この基地局を介してサーバ110との間で通信COM2を行うように構成される。制御部90は、充電制御部31を有している。
【0092】
図16は、サーバ110の一構成例を表すものである。サーバ110は、通信部120と、処理部130と、記憶部140とを有している。
【0093】
通信部120は、無線通信の基地局を介して、車両79との間で通信COM2を行うように構成される。
【0094】
処理部130は、サーバ110における様々な処理を行うように構成される。処理部130は、例えば、1または複数のマイクロコントローラ、および1または複数のメモリを含んで構成される。処理部130は、充電データ取得部132と、近似曲線算出部133と、推定部134と、充電データ登録部135とを有している。
【0095】
充電データ取得部132は、上記第1の実施の形態に係る充電データ取得部32と同様に、記憶部140から充電データDTを取得するように構成される。
【0096】
図17は、記憶部140に記憶された複数の充電データDTの一例を表すものである。充電データDTは、車両を識別するための車両識別子と、車種を識別するための車種識別子と、その車両が充電動作を行った充電日時と、その車両に給電した給電スタンド10の給電スタンド識別子と、充電電力の時間変化についてのデータとを含んでいる。このように、記憶部140には、様々な車両に係る複数の充電データDTが記憶される。
【0097】
充電データ取得部132は、記憶部140に記憶された複数の充電データDTのうちの、車両79に給電している給電スタンド10の給電スタンド識別子と同じ給電スタンド識別子を含み、かつ車両79の車種識別子と同じ車種識別子を含む複数の充電データDTを取得する。そして、充電データ取得部132は、取得した複数の充電データDTを近似曲線算出部133に供給するようになっている。
【0098】
近似曲線算出部133は、上記第1の実施の形態に係る近似曲線算出部33と同様に、充電データ取得部132が取得した複数の充電データDTのそれぞれの近似曲線を算出するように構成される。
【0099】
推定部134は、上記第1の実施の形態に係る推定部34と同様に、近似曲線算出部133が算出した複数の近似曲線に基づいて、電力センサ22から供給された受電電力のデータを用いて、給電スタンド10が給電可能な時間(給電可能時間T)を推定するように構成される。
【0100】
記憶部140は、不揮発性の記憶装置であり、例えばハードディスクドライブや半導体メモリを用いて構成される。記憶部140は、複数の充電データDTを記憶するように構成される。
【0101】
次に、給電スタンド10から供給された電力に基づいて車両79の蓄電池21を充電する場合の充電システム3の一動作例について説明する。この動作は、上記第1の実施の形態の場合(図4)と同様であるので、以下に、この図4を参照して説明する。
【0102】
まず、例えばドライバが給電ケーブル100のプラグを車両79のインレットにセットすると、車両79の通信部29は、給電スタンド10の給電装置13と通信を行うことにより給電スタンド識別子を受け取る(ステップS101)。通信部29は、この給電スタンド識別子を制御部90に供給する。
【0103】
次に、車両79の充電制御部31は、蓄電池ユニット20の蓄電池21の充電動作を開始する(ステップS102)。これにより、給電スタンド10から供給された直流電力が、蓄電池ユニット20の蓄電池21に蓄えられ始める。
【0104】
次に、蓄電池ユニット20の電力センサ22は、蓄電池21の充電電力を検出する(ステップS103)。電力センサ22は、この検出結果を制御部90に供給する。
【0105】
次に、制御部90は、電力センサ22が充電電力を3回以上検出したかどうかを確認する(ステップS104)。電力センサ22がまだ充電電力をまだ3回以上検出していない場合(ステップS104において“N”)には、処理はステップS103に戻る。これにより、制御部30は、電力センサ22が充電電力を3回検出するまで、ステップS103,S104の処理を繰り返す。
【0106】
ステップS104において、電力センサ22が充電電力をすでに3回以上検出した場合(ステップS104において“Y”)には、制御部90は、サーバ110が、給電可能時間Tを推定したかどうかを確認する(ステップS105)。サーバ110がすでに給電可能時間Tを推定した場合(ステップS105において“Y”)には、処理はステップS107に進む。
【0107】
ステップS105において、サーバ110がまだ給電可能時間Tを推定していない場合(ステップS105において“N”)には、サーバ110は、通信COM2による車両79からの指示に基づいて、給電可能時間Tを推定する推定処理を行う(ステップS106)。
【0108】
図18は、本実施の形態に係る、給電可能時間Tを推定する推定処理のサブルーチンの一例を表すものである。
【0109】
まず、車両79の無線通信部81は、制御部90からの指示に基づいて、通信COM2を行うことにより、ステップS101において受け取った給電スタンド識別子、車両79の車種識別子、およびステップS103において検出した電力センサ22の3回分の検出結果を、サーバ110に対して送信する(ステップS231)。サーバ110の通信部120は、これらのデータを受信し、受信したデータを処理部130に供給する。
【0110】
次に、処理部130の充電データ取得部132は、記憶部140から、記憶されている複数の充電データDTのうちの、ステップS231において取得した車両79に現在給電している給電スタンド10の給電スタンド識別子と同じ給電スタンド識別子を含み、かつ、ステップS231において取得した車両79の車種識別子と同じ車種識別子を含む複数の充電データDTを取得する(ステップS232)。
【0111】
次に、充電データ取得部132は、ステップS232において取得した複数の充電データDTにおける充電電力のデータをプロットし(ステップS202)、近似曲線算出部133は、ステップS202においてプロットした複数の充電データDTのそれぞれの近似曲線を算出し(ステップS203)、推定部134は、近似曲線算出部133が算出した複数の近似曲線に基づいて、ステップS231において取得した電力センサ22が検出した受電電力のデータを用いて、現在行っている充電動作の充電曲線Lを推定する(ステップS204)し、推定部134は、ステップS204において推定した充電曲線Lに基づいて、給電可能時間Tを推定する(ステップS205)。
【0112】
そして、サーバ110の通信部120は、処理部130からの指示に基づいて、通信COM2を行うことにより、ステップS205において推定された給電可能時間Tのデータを車両79に送信する(ステップS236)。車両79の無線通信部81は、このデータを受信し、受信したデータを制御部90に供給する。
【0113】
このようにして、推定処理のサブルーチンは終了する。例えば、車両79の表示装置(図示せず)は、推定された給電可能時間Tをドライバに提示する。
【0114】
次に、図4に示したように、充電制御部31は、充電を終了させるかどうかを確認する(ステップS107)。充電を終了させない場合(ステップS107において“N”)には、処理はステップS103に戻る。
【0115】
ステップS107において、充電を終了させる場合(ステップS107において“Y”)には、充電データ登録部135は、今回の充電動作に係る充電データDTを生成する(ステップS108)。具体的には、まず、車両79の無線通信部81は、制御部90からの指示に基づいて、通信COM2を介して、今回の充電動作を開始した日時と、ステップS101において受け取った給電スタンド識別子と、ステップS103において検出した10分毎の充電電力のデータとを、サーバ110に送信する。サーバ110の通信部120は、これらの情報を受信する。サーバ110の充電データ登録部135は、これらの情報と含む充電データDTを生成する。
【0116】
そして、充電データ登録部135は、この充電データDTを記憶部140に登録する(ステップS109)。
【0117】
以上で、この処理は終了する。
【0118】
このように、充電システム3では、サーバ110が、複数の車両の充電データDTを利用して、給電可能時間Tを推定するようにした。これにより、給電可能時間Tを推定する際に使用する充電データDTのデータ数が増えるので、給電可能時間Tの推定精度を高めることができる。
【0119】
以上のように本実施の形態では、サーバが、複数の車両の充電データDTを利用して、給電可能時間Tを推定するようにしたので、給電可能時間の推定精度を高めることができる。その他の効果は、上記第1の実施の形態の場合と同様である。
【0120】
[変形例3-1]
上記実施の形態では、サーバ110が近似曲線算出部133および推定部134を有するようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、車両79が、近似曲線算出部133および推定部134の機能のうちの一部を有してもよい。
【0121】
[変形例3-2]
上記実施の形態に係る充電システム3に、上記第1の実施の形態の各変形例を適用してもよい。
【0122】
以上、いくつかの実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0123】
例えば、上記実施の形態では、例えば、図4のステップS103,S104において、電力センサ22は5分間隔で受電電力を検出したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、5分よりも短い時間間隔で受電電力を検出してもよいし、5分よりも長い時間間隔で受電電力を検出してもよい。
【0124】
例えば、上記実施の形態では、例えば、充電データDTは、10分毎の充電電力のデータを含むようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、10分よりも短い時間間隔の充電電力のデータを含んでもよいし、10分よりも長い時間間隔の充電電力のデータを含んでもよい。
【0125】
例えば、上記実施の形態では、充電システム1,3(図1,14)は、1台の車両に対して給電を行うようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、充電システム2(図11)と同様に、複数台の車両に対して給電を行うようにしてもよい。
【0126】
例えば、上記実施の形態では、本技術を車両に適用したが、これに限定するものではなく、蓄電池を有する様々な装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0127】
1~3…充電システム、8…系統電源、9…太陽光発電装置、10,50…給電スタンド、11…パワーコンディショナ、12,52…蓄電装置、13,53A,53B…給電装置、19,59A,59B,79…車両、20…蓄電池ユニット、21…蓄電池、22…電力センサ、29…通信部、30,70,90…制御部、31…充電制御部、32,132…充電データ取得部、33,133…近似曲線算出部、34,134…推定部、35,135…充電データ登録部、40,140…記憶部、61…車車間通信部、76…充電データ管理部、81…無線通信部、100,100A,100B…給電ケーブル、110…サーバ、120…通信部、130…処理部、COM1…車車間通信、COM2…通信、DT…充電データ、EXT…外挿点、L…充電曲線、T…給電可能時間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18