(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002657
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/633 20140101AFI20231228BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20231228BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20231228BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20231228BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20231228BHJP
H01M 10/651 20140101ALI20231228BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20231228BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20231228BHJP
B60L 58/18 20190101ALI20231228BHJP
B60L 58/26 20190101ALI20231228BHJP
【FI】
H01M10/633
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6556
H01M10/6568
H01M10/651
B60L50/60
B60L53/14
B60L58/18
B60L58/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101988
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石橋 達也
(72)【発明者】
【氏名】大久保 優介
【テーマコード(参考)】
5H031
5H125
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031HH06
5H031KK08
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC19
5H125BC28
5H125CD06
5H125DD02
5H125EE15
5H125FF24
(57)【要約】
【課題】蓄電池に不具合が生じにくくすることができる蓄電装置を得る。
【解決手段】本発明の一実施の形態に係る蓄電装置は、第1の蓄電池と、第1の蓄電池に冷却媒体を流す第1の流路と、第1の蓄電池を、電力装置および冷却媒体を流す第2の流路を有する外部装置の電力装置に接続するとともに、第1の流路および第2の流路が循環流路を構成するように第1の流路を第2の流路に接続するコネクタと、第1の流路に設けられ、冷却媒体の流量および流れる方向を制御するポンプと、ポンプの動作を制御する制御部とを備える。上記制御部は、コネクタを介して第1の流路および第2の流路が互いに接続した後に、冷却媒体が流れる方向を複数回切り換える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の蓄電池と、
前記第1の蓄電池に冷却媒体を流す第1の流路と、
前記第1の蓄電池を、電力装置および前記冷却媒体を流す第2の流路を有する外部装置の前記電力装置に接続するとともに、前記第1の流路および前記第2の流路が循環流路を構成するように前記第1の流路を前記第2の流路に接続するコネクタと、
前記第1の流路に設けられ、前記冷却媒体の流量および流れる方向を制御するポンプと、
前記ポンプの動作を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記コネクタを介して前記第1の流路および前記第2の流路が互いに接続した後に、前記冷却媒体が流れる方向を複数回切り換える
蓄電装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記コネクタを介して前記第1の流路および前記第2の流路が互いに接続した後の第1の期間において、前記冷却媒体の流量を第1の流量に設定し、前記第1の期間の後の第2の期間において、前記冷却媒体の流量を前記第1の流量よりも多い第2の流量に設定する
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の流路における前記冷却媒体の温度および前記第2の流路における前記冷却媒体の温度の温度差に基づいて、前記ポンプの動作パターンを決定する
請求項1または請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記蓄電装置は第1の車両に設けられ、
前記外部装置は第2の車両に設けられ、
前記電力装置は第2の蓄電池である
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項5】
第1の車両に設けられた第1の蓄電池と、
前記第1の蓄電池に冷却媒体を流す第1の流路と、
前記第1の蓄電池を、第2の蓄電池および前記第2の蓄電池に前記冷却媒体を流す第2の流路を有する第2の車両の前記第2の蓄電池に接続するとともに、前記第1の流路および前記第2の流路が循環流路を構成するように前記第1の流路を前記第2の流路に接続するコネクタと、
前記第1の流路に設けられ、前記冷却媒体の流量および流れる方向を制御するポンプと
を備えた蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力を蓄える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、例えば電動車両のように、蓄電池を有するものがある。例えば、給電装置が電動車両の蓄電池を充電する際に、給電装置と電動車両との間で、蓄電池を冷却する冷却媒体を循環させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように2つの装置を互いに接続し、冷却媒体を循環させる場合には、接続前において、双方の冷却媒体の温度が大幅に異なることがあり得る。このような場合において、蓄電池に不具合が生じにくいことが望まれる。
【0005】
蓄電池に不具合が生じにくくすることができる蓄電装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施の形態に係る第1の蓄電装置は、第1の蓄電池と、第1の流路と、コネクタと、ポンプと、制御部とを備えている。第1の流路は、第1の蓄電池に冷却媒体を流すものである。コネクタは、第1の蓄電池を、電力装置および冷却媒体を流す第2の流路を有する外部装置の電力装置に接続するとともに、第1の流路および第2の流路が循環流路を構成するように第1の流路を第2の流路に接続するものである。ポンプ14は、第1の流路に設けられ、冷却媒体の流量および流れる方向を制御するものである。制御部は、ポンプの動作を制御するものである。制御部は、コネクタを介して第1の流路および第2の流路が互いに接続した後に、冷却媒体が流れる方向を複数回切り換える。
【0007】
本開示の一実施の形態に係る第2の蓄電装置は、第1の蓄電池と、第1の流路と、コネクタと、ポンプとを備えている。第1の蓄電池は、第1の車両に設けられる。第1の流路は、第1の蓄電池に冷却媒体を流すものである。コネクタは、第1の蓄電池を、第2の蓄電池および第2の蓄電池に冷却媒体を流す第2の流路を有する第2の車両の第2の蓄電池に接続するとともに、第1の流路および第2の流路が循環流路を構成するように第1の流路を第2の流路に接続するものである。ポンプは、第1の流路に設けられ、冷却媒体の流量および流れる方向を制御するものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一実施の形態に係る第1の蓄電装置および第2の蓄電装置によれば、蓄電池に不具合が生じにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施の形態に係る蓄電装置を備えた車両の一構成例を表す説明図である。
【
図2】
図1に示した車両を他の車両に接続した一例を表す説明図である。
【
図3】
図1に示した蓄電装置の一構成例を表すブロック図である。
【
図4】
図1に示した蓄電装置の一動作例を表すフローチャートである。
【
図5】
図3に示したポンプの動作パターンを表すタイミング図である。
【
図6A】
図3に示したポンプの一動作例を表す説明図である。
【
図6B】
図3に示したポンプの一動作例を表す他の説明図である。
【
図7】変形例に係る蓄電装置の一構成例を表すブロック図である。
【
図8】
図7に示した蓄電装置の一動作例を表すフローチャートである。
【
図9】
図7に示したポンプの動作パターンを表すタイミング図である。
【
図10】
図1に示した車両を給電装置に接続した一例を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
<実施の形態>
[構成例]
図1は、一実施の形態に係る蓄電装置を備えた車両1の一構成例を表すものである。車両1は、プラグイン電気自動車や、プラグインハイブリッド車などのプラグイン車両であり、例えば他の車両の蓄電池や給電装置から供給された電力に基づいて、内蔵する蓄電池を充電することができるように構成される。車両1は、蓄電装置10を有している。
【0012】
蓄電装置10は、蓄電池ユニット11と、インレット12と、流路13と、ポンプ14と、タンク15とを有している。なお、車両1における、蓄電池ユニット11、インレット12、ポンプ14、およびタンク15の位置は、一例であり、これに限定されるものではない。
【0013】
蓄電池ユニット11は、蓄電池18(後述)を有し、直流電力を蓄えるとともに、蓄えられた電力を、車両1のインバータ(図示せず)に供給するように構成される。車両1は、このインバータがモータを駆動することにより、車両1を走行させる駆動力を生成するようになっている。蓄電池ユニット11の蓄電池18は、例えば、車両1が走行している期間では、空冷により冷却される。また、蓄電池ユニット11の蓄電池18は、例えば他の車両との間で電力のやり取りを行う場合には、流路13を流れる冷却媒体9により冷却されるようになっている。
【0014】
インレット12は、例えば他の車両に導かれたケーブル90のプラグに接続するように構成される。インレット12は、蓄電池ユニット11に接続されるとともに、冷却媒体9を流す流路13の一端および他端に接続される。
【0015】
流路13は、冷却媒体9を流すように構成される。冷却媒体9は、この例では水である。流路13には、蓄電池ユニット11、ポンプ14、およびタンク15が設けられる。流路13における、蓄電池ユニット11、ポンプ14、およびタンク15の配置は、
図1の例に限定されるものではなく、どのような配置であってもよい。なお、流路13には、このほか、例えばインバータやモータなどを設けてもよい。流路13の一端および他端はインレット12に接続される。
【0016】
ポンプ14は、冷却媒体9の流路13に設けられ、流路13に流れる冷却媒体9の向きや流量を制御するように構成される。ポンプ14は、例えば羽根を有する回転体が回転することにより、流路13に流れる冷却媒体9の向きや流量を制御するようになっている。
【0017】
タンク15は、冷却媒体9の流路13に設けられ、流路13における冷却媒体9の量を調整するように構成される。
【0018】
図2は、2台の車両1(車両1A,1B)を接続した場合の一例を表すものである。2台の車両1は、ケーブル90を介して互いに接続される。ケーブル90は、2つのプラグ91(プラグ91A,91B)と、充電ケーブル92と、冷却ケーブル93,94とを有している。
【0019】
プラグ91は、インレット12に接続するように構成される。プラグ91Aは、車両1Aのインレット12に接続され、プラグ91Bは、車両1Bのインレット12に接続される。
【0020】
充電ケーブル92は、電力を伝える電気ケーブルであり、一端は、プラグ91Aおよび車両1Aのインレット12を介して、車両1Aの蓄電池ユニット11に接続され、他端は、プラグ91Bおよび車両1Bのインレット12を介して、車両1Bの蓄電池ユニット11に接続される。
【0021】
冷却ケーブル93,94は、冷却媒体9を流すように構成される。冷却ケーブル93の一端は、プラグ91Aおよび車両1Aのインレット12を介して、車両1Aの流路13の一端に接続され、他端は、プラグ91Bおよび車両1Bのインレット12を介して、車両1Bの流路13の一端に接続される。冷却ケーブル94の一端は、プラグ91Aおよび車両1Aのインレット12を介して、車両1Aの流路13の他端に接続され、他端は、プラグ91Bおよび車両1Bのインレット12を介して、車両1Bの流路13の他端に接続される。
【0022】
このように、2台の車両1A,1Bは、ケーブル90を介して互いに接続される。これにより、車両1Aの蓄電池ユニット11および車両1Bの蓄電池ユニット11は、充電ケーブル92を介して互いに接続される。また、車両1Aの流路13および車両1Bの流路13は、冷却ケーブル93,94を介して互いに接続される。車両1Aの流路13、車両1Bの流路13、および冷却ケーブル93,94は、冷却媒体9の循環流路を構成する。
【0023】
図3は、車両1Aにおける、蓄電装置10の制御系の一例を表すものである。なお、車両1Bの構成も同様である。蓄電装置10は、蓄電池ユニット11と、車車間通信部21と、制御部22とを有している。
【0024】
蓄電池ユニット11は、蓄電池18と、蓄電制御部19とを有している。蓄電池18は、直流電力を蓄えるように構成される。蓄電制御部19は、
図2に示したように車両1Aが車両1Bに接続された場合において、蓄電池18の充放電動作を制御するように構成される。
【0025】
車車間通信部21は、車両1Bとの間で、無線通信を用いて車車間通信を行うように構成される。なお、この例では、車両1Aの蓄電装置10および車両1Bの蓄電装置10は、無線通信を用いて車車間通信を行うようにしたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、車両1Aの蓄電装置10および車両1Bの蓄電装置10は、ケーブル90を介して、有線通信を行うようにしてもよい。
【0026】
制御部22は、例えば1または複数のプロセッサ、および1または複数のメモリを用いて構成され、蓄電装置10の動作を制御するように構成される。制御部22は、車車間通信部21が受信した情報に基づいて、蓄電制御部19の動作およびポンプ14の動作を制御するようになっている。
【0027】
ここで、例えば車両1Aにおいて、蓄電装置10は、本開示における「蓄電装置」の一具体例に対応する。蓄電池18は、本開示における「第1の蓄電池」の一具体例に対応する。流路13は、本開示における「第1の流路」の一具体例に対応する。インレット12は、本開示における「コネクタ」の一具体例に対応する。ポンプ14は、本開示における「ポンプ」の一具体例に対応する。制御部22は、本開示における「制御部」の一具体例に対応する。車両1Aは、本開示における「第1の車両」の一具体例に対応する。
【0028】
例えば車両1Bにおいて、蓄電装置10は、本開示における「外部装置」の一具体例に対応する。蓄電池18は、本開示における「第2の蓄電池」の一具体例に対応する。流路13は、本開示における「第2の流路」の一具体例に対応する。車両1Bは、本開示における「第2の車両」の一具体例に対応する。
【0029】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の蓄電装置10の動作および作用について説明する。
【0030】
(全体動作概要)
まず、
図1~3を参照して、車両1Aの蓄電装置10の動作を説明する。蓄電池ユニット11の蓄電池18は直流電力を蓄える。蓄電制御部19は、
図2に示したように車両1Aが車両1Bに接続された場合において、蓄電池18の充放電動作を制御する。車車間通信部21は、車車間通信を行う。ポンプ14は、流路13に流れる冷却媒体9の向きや流量を制御する。制御部22は、車車間通信部21が受信した情報に基づいて、蓄電制御部19の動作およびポンプ14の動作を制御する。タンク15は、冷却媒体9の流路13に設けられ、流路13における冷却媒体9の量を調整する。
【0031】
(詳細動作)
図4は、車両1Aおよび車両1Bを接続した場合における、車両1Aの蓄電装置10の一動作例を表すものである。
【0032】
まず、蓄電装置10は、車両1Aがケーブル90を介して車両1Bに接続されたことを検出する(ステップS101)。具体的には、例えば、蓄電装置10は、蓄電池ユニット11が車両1Bの蓄電池ユニット11と電気的に接続されたことを検出することにより、車両1Aがケーブル90を介して車両1Bに接続されたことを検出する。
【0033】
次に、蓄電装置10は、通信を行うことにより、車両1A,1Bのどちらのポンプ14を動作させるかを決定する(ステップS102)。具体的には、車両1Aの車車間通信部21は、車両1Bの車車間通信部21と通信を行い、制御部22は、車両1Aの車車間通信部21が受信した情報に基づいて、車両1A,1Bのどちらのポンプ14を動作させるかを決定する。例えば、車両1Aの車車間通信部21は、車両1Aの蓄電池18のSOC(State Of Charge)の情報を車両1Bに送信するとともに、車両1Bから車両1Bの蓄電池18のSOCの情報を受信する。制御部22は、車両1Aの蓄電池18のSOCおよび車両1Bの蓄電池18のSOCに基づいて、どちらのポンプ14を動作させるかを決定する。例えば、車両1Aの蓄電池18のSOCが車両1Bの蓄電池18のSOCよりも高い場合には、制御部22は、車両1Aのポンプ14を動作させると判断することができる。また、例えば、車両1Bの蓄電池18のSOCが車両1Aの蓄電池18のSOCよりも高い場合には、制御部22は、車両1Bのポンプ14を動作させると判断することができる。車両1Bのポンプ14を動作させる場合(ステップS103において“N”)には、このフローは終了する。
【0034】
ステップS103において、車両1Aのポンプ14を動作させる場合(ステップS103において“Y”)には、制御部22は、ポンプ14の動作を開始させる(ステップS104)。制御部22は、ポンプ14が所定の動作パターンで動作するように、ポンプ14の動作を制御する。
【0035】
図5は、ポンプ14の動作パターンの一例を表すものである。横軸は時間を示し、縦軸はポンプ14の回転体の回転数を示す。
図6A,6Bは、冷却媒体9の流れの一例を表すものである。
【0036】
図5に示したように、この例では、タイミングt1までは、ポンプ14の回転体の回転数は0(ゼロ)である。この期間には、流路13には冷却媒体9は流れない。
【0037】
タイミングt1において、制御部22は、ポンプ14の回転体の回転数を値A1に設定する。値A1は、正の値である。この場合には、
図6Aに示したように、車両1Aのポンプ14の回転体は、この例では時計回りで回転する。これにより、冷却媒体9は、循環流路を反時計回りで流れる。
【0038】
次に、タイミングt2において、制御部22は、ポンプ14の回転体の回転数を値A2に設定する。値A2は、負の値であり、値A2の絶対値は、値A1の絶対値より大きい。この場合には、
図6Bに示したように、車両1Aのポンプ14の回転体は、この例では反時計回りで回転する。これにより、冷却媒体9は、循環流路を時計回りで流れる。例えば、タイミングt2~t3の期間における冷却媒体9の流量は、タイミングt1~t2の期間における冷却媒体9の流量よりも多い。
【0039】
次に、タイミングt3において、制御部22は、ポンプ14の回転体の回転数を値A3に設定する。値A3は、正の値であり、値A3の絶対値は、値A2の絶対値より大きい。この場合には、
図6Aに示したように、車両1Aのポンプ14の回転体は、この例では時計回りで回転する。これにより、冷却媒体9は、循環流路を反時計回りで流れる。例えば、タイミングt3~t4の期間における冷却媒体9の流量は、タイミングt2~t3の期間における冷却媒体9の流量よりも多い。
【0040】
次に、タイミングt4において、制御部22は、ポンプ14の回転体の回転数を値A4に設定する。値A4は、負の値であり、値A4の絶対値は、値A3の絶対値より大きい。この場合には、
図6Bに示したように、車両1Aのポンプ14の回転体は、この例では反時計回りで回転する。これにより、冷却媒体9は、循環流路を時計回りで流れる。例えば、タイミングt4~t5の期間における冷却媒体9の流量は、タイミングt3~t4の期間における冷却媒体9の流量よりも多い。
【0041】
このように、制御部22は、ポンプ14の回転体の回転方向を、時計回りと反時計回りとの間で複数回切り替えるとともに、ポンプ14の回転体の回転数を徐々に増加させる。これにより、車両1Aの流路13内の冷却媒体9と、車両1Bの流路13内の冷却媒体9とが徐々に混ざり合い、車両1Aの蓄電池18の温度と、車両1Bの蓄電池18の温度がほぼ同じになる。
【0042】
制御部22は、ポンプ14がこのように動作するように、ポンプ14の動作を開始させる。
【0043】
以上でこのフローは終了する。この後、車両1Aおよび車両1Bのうちの一方が他方に対して電力を供給し始める。そして、電力を供給し終えた場合には、車両1Aの制御部22は、ポンプ14の動作を停止させる。
【0044】
このように、例えば車両1Aの蓄電装置10では、蓄電池18と、蓄電池18に冷却媒体9を流す流路13と、蓄電池18を車両1Bの蓄電池18に接続するとともに、車両1Aの流路13および車両1Bの流路13が循環流路を構成するように車両1Aの流路13を車両1Bの流路13に接続するインレット12と、流路13に設けられ、冷却媒体9の流量および流れる方向を制御するポンプ14と、ポンプ14の動作を制御する制御部22とを備えるようにした。そして、制御部22は、インレット12を介して車両1Aの流路13および車両1Bの流路13が接続した後に、冷却媒体9が流れる方向を複数回切り換えるようにした。これにより、蓄電装置10では、蓄電池ユニット11の蓄電池18に不具合が生じる可能性を低減することができる。
【0045】
すなわち、車両1Aの冷却媒体9の温度と、車両1Bの冷却媒体9の温度は、大きく異なる場合があり得る。具体的には、車両1Aがしばらく走行していない場合には、車両1Aの冷却媒体9の温度は例えば0℃になり得る。また、車両1Bが走行していた場合には、車両1Bの冷却媒体9の温度は例えば60℃になり得る。このような場合において、
図2に示したように車両1Aと車両1Bとを接続し、循環流路において冷却媒体9を単一方向で流す場合には、車両1Bから車両1Aに高温の冷却媒体9が一気に流れ、車両1Aから車両1Bに低温の冷却媒体9が一気に流れ得る。この場合には、車両1Aの蓄電池18の温度が低温から高温に急激に変化し、車両1Bの蓄電池18の温度が高温から低温に急激に変化し得る。このように蓄電池18に急激な温度変化が生じた場合には、例えば蓄電池18の特性が劣化し、あるいは蓄電池18が故障するなど、蓄電池18に不具合が生じる可能性がある。また、このように蓄電池18に急激な温度変化が生じないようにするために、冷却水循環装置などを設けた場合には、コストが増大してしまう。
【0046】
一方、蓄電装置10では、制御部22は、インレット12を介して車両1Aの流路13および車両1Bの流路13が接続した後に、冷却媒体9が流れる方向を複数回切り換えるようにした。これにより、例えば、車両1Bから車両1Aに高温の冷却媒体9が一気に流れることを防ぐことができるとともに、車両1Aから車両1Bに低温の冷却媒体9が一気に流れ得ることを防ぐことができる。そして、車両1Aの流路13内の冷却媒体9と、車両1Bの流路13内の冷却媒体9は、徐々に混ざり合うようにすることができる。その結果、蓄電池18に急激な温度変化が生じる可能性を低減することができる。特に、車両1では、蓄電池18は、実際には、流路13のうちの様々な位置に設けられる可能性があるので、このように冷却媒体9が流れる方向を複数回切り換えることにより、蓄電池18に急激な温度変化が生じる可能性を低減することができる。このように、蓄電装置10では、蓄電池18に急激な温度変化が生じる可能性を低減することができるので、蓄電池18に不具合が生じる可能性を低減することができる。また、冷却水循環装置などを別に設ける必要がないので、コストを削減することができる。
【0047】
また、蓄電装置10では、制御部22は、インレット12を介して車両1Aの流路13および車両1Bの流路13が接続した後の第1の期間において、冷却媒体9の流量を第1の流量に設定し、この第1の期間の後の第2の期間において、冷却媒体9の流量を第1の流量よりも多い第2の流量に設定するようにした。これにより、蓄電装置10では、時間が経過するにつれて冷却媒体9の流量を多くすることができるので、循環流路における冷却媒体9の温度を、短い時間で効果的に平準化することができる。
【0048】
[効果]
以上のように本実施の形態では、蓄電池と、蓄電池に冷却媒体を流す流路と、蓄電池を車両1Bの蓄電池に接続するとともに、車両1Aの流路および車両1Bの流路が循環流路を構成するように車両1Aの流路を車両1Bの流路に接続するインレットと、流路に設けられ、冷却媒体の流量および流れる方向を制御するポンプと、ポンプの動作を制御する制御部とを備えるようにした。そして、制御部は、インレットを介して車両1Aの流路および車両1Bの流路が互いに接続した後に、冷却媒体が流れる方向を複数回切り換えるようにした。これにより、蓄電池に不具合が生じる可能性を低減することができる。
【0049】
本実施の形態では、制御部は、インレットを介して車両1Aの流路および車両1Bの流路が互いに接続した後の第1の期間において、冷却媒体の流量を第1の流量に設定し、この第1の期間の後の第2の期間において、冷却媒体の流量を第1の流量よりも多い第2の流量に設定するようにしたので、循環流路における冷却媒体の温度を、短い時間で効果的に平準化することができる。
【0050】
[変形例1]
上記実施の形態では、制御部22は、ポンプ14が所定の動作パターン(
図5)で動作するように、ポンプ14の動作を制御したが、これに限定されるものではない。以下に本変形例について詳細に説明する。
【0051】
図7は、車両1Aにおける蓄電装置30の一構成例を表すものである。なお、車両1Bの構成も同様である。蓄電装置30は、温度センサ31と、制御部32とを有している。温度センサ31は、車両1Aの流路13に設けられ、冷却媒体9の温度を検出するように構成される。制御部32は、車車間通信部21が受信した情報および温度センサ31の検出結果に基づいて、蓄電制御部19の動作を制御するとともにポンプ14の動作を制御するようになっている。
【0052】
図8は、車両1Aおよび車両1Bを接続した場合における、車両1Aの蓄電装置30の一動作例を表すものである。
【0053】
まず、上記実施の形態の場合と同様に、蓄電装置30は、車両1Aがケーブル90を介して車両1Bに接続されたことを検出し(ステップS101)、通信を行うことにより、車両1A,1Bのどちらのポンプ14を動作させるかを決定する(ステップS102)。車両1Bのポンプ14を動作させる場合(ステップS103において“N”)には、このフローは終了する。
【0054】
ステップS103において、車両1Aのポンプ14を動作させる場合(ステップS103において“Y”)には、蓄電装置30は、通信を行うことにより、車両1Aの冷却媒体9の温度と車両1Bの冷却媒体9の温度の温度差ΔTを算出する(ステップS113)。具体的には、車両1Aの車車間通信部21は、車両1Bの車車間通信部21と通信を行うことにより、車両1Bの温度センサ31が検出した、車両1Bの冷却媒体9の温度についての情報を受信する。そして、制御部32は、車両1Aの温度センサ31が検出した車両1Aの冷却媒体9の温度と、車車間通信部21が受信した情報に含まれる、車両1Bの冷却媒体9の温度とに基づいて、これらの温度の差の絶対値を、温度差ΔTとして算出する。
【0055】
次に、制御部32は、この温度差ΔTに基づいて、ポンプ14の動作パターンを決定する(ステップS114)。具体的には、制御部32は、温度差ΔTに基づいて、複数の動作パターンのうちの1つを、使用する動作パターンとして決定する。
【0056】
図9は、複数の動作パターンの一例を表すものである。この例では、制御部32は、3つの動作パターンPA~PCを有している。この例では、動作パターンPAは、温度差ΔTが30℃以下である場合に用いられ、動作パターンPBは、温度差ΔTが30℃より高く60℃以下である場合に用いられ、動作パターンPCは、温度差ΔTが60℃より高い場合に用いられる。
【0057】
動作パターンPAにおける、ポンプ14の回転体の回転方向の変更頻度は、動作パターンPBにおける変更頻度よりも低く、動作パターンPBにおける変更頻度は、動作パターンPCにおける変更頻度よりも低い。言い換えれば、動作パターンPAにおける、冷却媒体9が流れる方向の変更頻度は、動作パターンPBにおける変更頻度よりも低く、動作パターンPBにおける変更頻度は、動作パターンPCにおける変更頻度よりも低い。
【0058】
また、動作パターンPAにおける、ポンプ14の回転体の回転数は、動作パターンPBにおける回転数よりも早く増加し、動作パターンPBにおける回転数は、動作パターンPCにおける回転数よりも早く増加する。言い換えれば、動作パターンPAにおける、冷却媒体9の流量は、動作パターンPBにおける流量よりも早く増加し、動作パターンPBにおける流量は、動作パターンPCにおける流量よりも早く増加する。
【0059】
制御部32は、温度差ΔTに基づいて、このような3つの動作パターンPA~PCのうちの、この温度差ΔTに対応づけられた動作パターンを、使用する動作パターンとして決定する。
【0060】
そして、制御部32は、ステップS114において決定した動作パターンで、ポンプ14の動作を開始させる(ステップS104)。
【0061】
以上で、このフローは終了する。この後、車両1Aおよび車両1Bのうちの一方が他方に対して電力を供給し始める。そして、電力を供給し終えた場合には、車両1Aの制御部22は、ポンプ14の動作を停止させる。
【0062】
このように、蓄電装置30では、制御部32は、車両1Aの流路13における冷却媒体9の温度、および車両1Bの流路における冷却媒体9の温度の温度差に基づいて、ポンプ14の動作を制御するようにした。例えば、温度差ΔTが小さい場合は、動作パターンPAのように、冷却媒体9が流れる方向の変更頻度を低くするとともに、冷却媒体9の流量を早く増加させることにより、循環流路における冷却媒体9の温度を、短い時間で平準化することができる。また、例えば、温度差ΔTが大きい場合には、動作パターンPCのように、冷却媒体9が流れる方向の変更頻度を高くするとともに、冷却媒体9の流量をゆっくり増加させることにより、蓄電池18に不具合が生じないようにすることができる。
【0063】
[変形例2]
上記実施の形態では、2台の車両1を接続したが、これに限定されるものではなく、例えば、
図10に示すように、車両1と給電装置2とを接続してもよい。給電装置2は、蓄電装置40を有している。蓄電装置40は、蓄電池ユニット41と、インレット42と、流路43と、ポンプ44と、タンク45とを有している。蓄電池ユニット41は、蓄電池を有し、例えば系統電源に接続されたパワーコンディショナなどから供給された直流電力を蓄えるように構成される。インレット42は、例えば車両1に導かれたケーブル90のプラグ91Bに接続するように構成される。流路43は、冷却媒体9を流すように構成される。ポンプ44は、冷却媒体9の流路43に設けられ、流路43に流れる冷却媒体9の向きや流量を制御するように構成される。タンク45は、冷却媒体9の流路43に設けられ、流路43における冷却媒体9の量を調整するように構成される。この構成により、例えば、車両1のポンプ14または給電装置2のポンプ44は、循環流路において、冷却媒体9が流れる方向を複数回切り換える。そして、給電装置2の蓄電池ユニット41は、蓄えられた電力を、ケーブル90を介して車両1に供給する。ここで、例えば給電装置2において、蓄電装置40は、本開示における「外部装置」の一具体例に対応する。蓄電池ユニット41は、本開示における「第2の蓄電池」の一具体例に対応する。流路43は、本開示における「第2の流路」の一具体例に対応する。
【0064】
なお、この例では、給電装置2に蓄電池ユニット41を設けたが、これに限定されるものではなく、蓄電池ユニット41を設けなくてもよい。この場合には、給電装置2は、例えば系統電源に接続されたパワーコンディショナなどから供給された直流電力を、ケーブル90を介して車両1に供給することができる。
【0065】
[その他の変形例]
また、これらの変形例のうちの2以上を組み合わせてもよい。
【0066】
以上、実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0067】
例えば、上記実施の形態では、蓄電池ユニット11の蓄電池は、車両1が走行している期間では、空冷により冷却されるようにしたが、これに限定されるものではなく、流路13を流れる冷却媒体9により冷却されてもよい。この場合には、流路13は、車両1において循環流路を構成するようにすることができる。この車両1では、例えば流路13に、冷却媒体9を冷却可能なラジエータが設けられる。
【符号の説明】
【0068】
1,1A,1B…車両、10,30,40…蓄電装置、11…蓄電池ユニット、12…インレット、13…流路、14…ポンプ、15…タンク、18…蓄電池、19…蓄電制御部、21…車車間通信部、22,32…制御部、31…温度センサ、41…蓄電池ユニット、42…インレット、43…流路、44…ポンプ、45…タンク、91…プラグ、91A,91B…プラグ、92…充電ケーブル、93,94…冷却ケーブル。