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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026578
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】真空ガラス
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/08 20060101AFI20240220BHJP
   C03B 27/04 20060101ALI20240220BHJP
   E06B 3/663 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
C03C27/08 Z
C03B27/04
E06B3/663 L
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023221170
(22)【出願日】2023-12-27
(62)【分割の表示】P 2020541259の分割
【原出願日】2019-09-04
(31)【優先権主張番号】P 2018166297
(32)【優先日】2018-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004008
【氏名又は名称】日本板硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】竹内 昭人
(72)【発明者】
【氏名】中澤 達洋
(72)【発明者】
【氏名】皆合 哲男
(57)【要約】
【課題】強度の高い真空ガラスを提供する。
【解決手段】真空ガラス1は、表面圧縮応力値が80MPa以上に風冷強化された第1ガラス板と、第1ガラス板に減圧層を介して対面する、表面圧縮応力値が80MPa以上に風冷強化された第2ガラス板20と、減圧層をシールするように、第1ガラス板の外周縁部と第2ガラス板の外周縁部とを接合する外周シール部31と、を備え、外周シール部31は、液相線温度が300℃以下のハンダを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面圧縮応力値が80MPa以上に風冷強化された第1ガラス板と、
前記第1ガラス板に減圧層を介して対面する、表面圧縮応力値が80MPa以上に風冷強化された第2ガラス板と、
前記減圧層をシールするように、前記第1ガラス板の外周縁部と前記第2ガラス板の外周縁部とを接合する外周シール部と、を備え、
前記外周シール部は、液相線温度が300℃以下のハンダを含む真空ガラス。
【請求項2】
前記第1ガラス板及び前記第2ガラス板は、
各々、主面に直交する方向から視て、第1方向に延びる2つの辺と、前記第1方向に直交する第2方向に延びる2つの辺とを有する略矩形形状であり、
外力が加えられていない状態で、前記第1方向から視て、前記第2方向の両端において、前記第2方向の外側に向かうほど互いに離れるように反っている請求項1に記載の真空ガラス。
【請求項3】
前記ハンダは、Znを含む請求項1に記載の真空ガラス。
【請求項4】
前記第1ガラス又は前記第2ガラスの何れか一方の表面には、Low-E膜が形成されている請求項1から3のいずれかに記載の真空ガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
2枚のガラス板の間に減圧層が形成された複層ガラスは、真空ガラスとも呼ばれ、断熱性に優れる。真空ガラスの製造工程においては、減圧層を確保するために2枚のガラス板の外周縁部がシールされる。このときに使用されるシール材は、特許文献1にも示されるように、典型的にはガラスフリットである。外周縁部のシールは、溶融させたガラスフリットを2枚のガラス板の外周縁部に沿って塗布し、その後、再凝固させることにより行われる。
【0003】
ところで、強化ガラスと呼ばれる強度の高いガラス板の製造方法の1つに、風冷強化法がある。風冷強化法は、特許文献2にも示されるとおり、ガラス板を約600℃~700℃程度の高温に加熱し、その後、その表面に空気を吹き付けて急冷する方法である。このとき、ガラス板の表面に圧縮層が形成されることにより、ガラス板の強度が高められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-231939号公報
【特許文献2】特開2017-48110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、風冷強化されたガラス板を用いて、真空ガラスを製造することを検討した。しかし、このとき、風冷強化された2枚のガラス板の外周縁部をガラスフリットでシールしようとすると、風冷強化により高められたガラス板の強度が低下してしまう。なぜなら、ガラスフリットの融点は、低融点ガラスフリットと呼ばれるものであったとしても依然として高く、外周縁部のシール時に、ガラスフリットの溶融時の熱で、ガラス板が再度高温に加熱されてしまうためである。よって、風冷強化されたガラス板を使用しても、結局、強度の高い真空ガラスを製造することが困難である。
【0006】
本発明は、強度の高い真空ガラスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る真空ガラスの特徴構成は、表面圧縮応力値が80MPa以上に風冷強化された第1ガラス板と、前記第1ガラス板に減圧層を介して対面する、表面圧縮応力値が80MPa以上に風冷強化された第2ガラス板と、前記減圧層をシールするように、前記第1ガラス板の外周縁部と前記第2ガラス板の外周縁部とを接合する外周シール部と、を備え、前記外周シール部は、液相線温度が300℃以下のハンダを含む点にある。
【0008】
他の特徴構成は、前記第1ガラス板及び前記第2ガラス板は、各々、主面に直交する方向から視て、第1方向に延びる2つの辺と、前記第1方向に直交する第2方向に延びる2つの辺とを有する略矩形形状であり、外力が加えられていない状態で、前記第1方向から視て、前記第2方向の両端において、前記第2方向の外側に向かうほど互いに離れるように反っている点にある。
【0009】
他の特徴構成は、前記ハンダは、Znを含む点にある。
【0010】
他の特徴構成は、前記第1ガラス又は前記第2ガラスの何れか一方の表面には、Low-E膜が形成されている点にある。
【発明の効果】
【0011】
本発明の以上の観点によれば、風冷強化された2枚のガラス板の外周縁部が、液相線温度が300℃以下のハンダによりシールされる。これにより、ガラス板の外周縁部を低温環境下でシールすることができ、風冷強化されたガラス板が過度に再加熱されることがない。よって、風冷強化されたガラス板の強度の低下が抑制され、強度の高い真空ガラスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る真空ガラスの正面図。
図2図1のII-II線断面図。
図3】風冷強化を行うための設備の模式図。
図4A】風冷強化されたガラス板の反りの態様を説明する図。
図4B】風冷強化されたガラス板の反りの別の態様説明する図。
図5】ガラス板の両端の反り形状の測定方法を説明する図。
図6A】10枚のガラス板の長辺1の両端の反り形状を測定したグラフ。
図6B図6Aと同じ10枚のガラス板の長辺2の両端の反り形状を測定したグラフ。
図7A】2枚のガラス板を対面させるパターン1を示す図。
図7B】2枚のガラス板を対面させるパターン2を示す図。
図7C】2枚のガラス板を対面させるパターン3を示す図。
図8】ハンダ供給装置によるハンダ付けの工程を説明する図。
図9A】風冷強化されたガラス板を300℃に加熱した後、破砕試験を行った結果を示す図。
図9B】風冷強化されたガラス板を350℃に加熱した後、破砕試験を行った結果を示す図。
図10A】様々な加熱温度に対する、厚さ4.6mmの強化ガラス板の強化の緩和と加熱時間との関係を示す図。
図10B】様々な加熱温度に対する、厚さ9.5mmの強化ガラス板の強化の緩和と加熱時間との関係を示す図。
図11A】Low-E膜を有さない5枚の強化ガラス板の端部の反り量を測定した結果を示すグラフ。
図11B】Low-E膜を有する2枚の強化ガラス板の端部の反り量を測定した結果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る真空ガラス及びその製造方法について説明する。
【0014】
<1.真空ガラスの全体構成>
図1に、本発明の一実施形態に係る真空ガラス1の正面図を示し、図2に、その側方断面図を示す。真空ガラス1の用途は特に限定されないが、本実施形態では建材用であり、建物の窓ガラスやドアガラスとして使用される。これらの図に示すとおり、真空ガラス1は、2枚のガラス板10及び20を含むガラス構造体である。ガラス板10及び20は、減圧層3を介して対面しており、それぞれの主面どうしが平行となるように配置される。以下、ガラス板10(以下、第1ガラス板10ということがある)の外側を向く側面(主面)を第1面T1と呼び、第1ガラス板10の内側(減圧層3側)を向く側面(主面)を第2面T2と呼ぶ。また、ガラス板20(以下、第2ガラス板20ということがある)の内側(減圧層3側)を向く側面(主面)を第3面T3と呼び、第2ガラス板20の外側を向く側面(主面)を第4面T4と呼ぶ。なお、これに限定されないが、建物に設置される場合には、第1ガラス板10が屋外側に配置され、第2ガラス板20が屋内側に配置される。
【0015】
第1ガラス板10及び第2ガラス板20は、正面視において、第1方向D1に延びる2つの辺と、これに直交する第2方向D2に延びる2つの辺とを有する略矩形形状である。正面視とは、ガラス板10及び20をそれぞれの主面に直交する方向から見ることを言う。第1方向D1は、図1の左右方向に対応し、第2方向D2は、図1の上下方向に対応する。
【0016】
第1ガラス板10と第2ガラス板20とは、主面の面積が略同一であり、厚み方向D3に広がるそれぞれのエッジ面10a及び20aが概ね面一となるように配置される。厚み方向D3とは、ガラス板10及び20の主面T1~T4に直交する方向(図2の横方向)である。エッジ面10aは、第1面T1の外周縁と第2面T2の外周縁とを接続するようにこれらの間を延びる面であり、エッジ面20aは、第3面T3の外周縁と第4面T4の外周縁とを接続するようにこれらの間を延びる面である。
【0017】
第1ガラス板10と第2ガラス板20との間には、両者の内側を向く面である第2面T2及び第3面T3上において、多数の略同じ厚みのスペーサ30が配置されている。スペーサ30は、第1方向D1及び第2方向D2に一定の間隔を空けて、正面視において格子の頂点に対応する位置に配列されている。スペーサ30の配列間隔は、好ましくは5~100mmであり、より好ましくは5~80mmであり、さらに好ましくは5~60mmである。そして、これらのスペーサ30により、第1ガラス板10の第2面T2(より正確には、後述する低放射率膜11)と第2ガラス板20の第3面T3との間には、スペーサ30の厚みに相当する一定の厚みの減圧層3が確保される。減圧層3は、標準大気圧から減圧されており、典型的には1.33Pa以下であり、真空層とも呼ばれる。このような実質的に真空状態にある減圧層3は、真空ガラス1の屋外側及び屋内側との間での熱の伝導及び対流を抑制し、これにより屋内側の熱を屋外側に逃がさず、真空ガラス1に高い断熱性能を付与する。
【0018】
本実施形態の第1ガラス板10は、Low-Eガラスであり、第2面T2上には実質的にその全面に亘って、低放射率膜(Low-E膜)11が積層されている。低放射率膜11は、熱の放射を抑制し、真空ガラス1のさらなる断熱性能の向上に寄与する。低放射率膜11の成膜方法としては、形成される低放射率膜11の性能の高さに鑑みると、スパッタリング法が選択されることが好ましいが、これに限らず、例えば、CVD(化学蒸着)法を選択することもできる。
【0019】
また、第1ガラス板10と第2ガラス板20との間には、両ガラス板10及び20の外周縁部に沿って全周に亘って、外周シール部31が配置されている。外周シール部31は、減圧層3の実質的な真空状態を確保するための部材であり、両ガラス板10及び20の間の減圧層3をシールするように第1ガラス板10の外周縁部と第2ガラス板20の外周縁部とを接合する。外周シール部31は、主としてハンダからなり、金属製である。ここで使用されるハンダの液相線温度は、300℃以下であることが好ましく、250℃以下であることがより好ましく、200℃以下であることがさらに好ましい。ここで、液相線温度とはハンダが完全に溶解する温度を示し、例えば示差走査熱量測定(DSC)により測定することができる。
【0020】
本実施形態の外周シール部31は、上記のとおりハンダを含む。外周シール部31は、ハンダを保護するための保護膜をさらに含むことができる。保護膜は、例えば、樹脂製である。ハンダは、無鉛ハンダであることが好ましい。例えば、Sn及びZnを含有する無鉛ハンダを使用することができる。さらに、無鉛ハンダは、Ag、Ti及びAlの少なくとも1つを含有することが好ましい。Snの含有量は、90.0%以上であることが好ましい。Znの含有量は、0.001~10%であることが好ましい。また、Agの含有量は、0~6.0%であることが好ましく、0~3.5%であることがより好ましい。Tiの含有量は、0~3.0%であることが好ましい。Alの含有量は、0~3.0%であることが好ましく、0~1.0%であることがより好ましい。無鉛ハンダは、Bi、Si及びSbの少なくとも1つを合計10%以下の範囲で含有することが好ましい。また、Siの含有量は、0~1.0%であることが好ましく、0~0.1%であることがより好ましい。また、無鉛ハンダは、Inを含有することが好ましい。無鉛ハンダは、Fe、Ni、Co、Ga、Ge及びPの少なくとも1つを含有することが好ましく、その含有量は合計1.0%以下であることが好ましい。
【0021】
第1ガラス板10及び第2ガラス板20は、いずれも風冷強化された強化ガラスであり、本実施形態では、フロートガラス板を風冷強化したものである。すなわち、ガラス板10及び20は、フロートガラス板を約600℃~700℃程度の高温に加熱し、その後、その表面に空気を吹き付けて急冷することにより製造される。これにより、ガラス板10及び20の表面に圧縮力が発生するとともに、内部に引張力が発生し、ガラス板10及び20の強度が高められる。なお、これに限定されないが、典型的には、JIS(日本工業規格)R3206に基づいて破砕試験を行ったときに、50×50mmの正方形の領域内の破片数が40個以上となるものを、強化ガラスと呼ぶことができる。
【0022】
図9A及び図9Bは、日本板硝子株式会社製の風冷強化されたガラス板(TP3)を2種類の温度で熱処理したサンプルに対し、破砕試験を行った結果を示している。このときの熱処理としては、サンプルを配置した空間を、室温から開始して10℃/分の速度で温度上昇するように加熱し、T℃になったところで温度を30分間維持し、その後放冷して室温に戻す処理を実施した。サンプルの大きさは、300mm×300mm×3mmとした。図9Aは、T=300℃の結果を表しており、図9Bは、T=350℃の結果を表している。図9A及び図9Bからは、風冷強化されたガラス板を300℃に加熱した場合の強化の緩和の程度は、350℃に加熱した場合に比べて非常に小さいことが分かった。
【0023】
図10A及び図10BはNovotny.V及びKavka.J.により発表された論文 (“Stress relaxation in toughened glass”(強化ガラスにおける応力の緩和)、“Glass Technology”(ガラステクノロジー)、第18巻、第5号、148~151頁、1977年10月)に掲載されたグラフである。ただし、横軸の0.1に沿った線は、説明のため、出願人が追加したものである。図10A及び図10Bは、それぞれ厚みが4.6mm、9.5mmの強化ガラス板についての、様々な加熱温度に対する強化の緩和の進行を示すグラフである。横軸は、加熱時間(時間)、縦軸は、初期応力に対する現在の応力の比(以下、応力比という)を示しており、縦軸の応力比の値が小さい程、強化が緩和されていることを意味する。これらのグラフは、例えば、0.1時間程度の加熱時間であれば、加熱温度が300℃以下の場合、強化の緩和が起きないことを示している。他方、0.1時間程度の加熱時間であっても、ガラス板の外周縁部をシールする従来のシール材の融点のように、500℃以上の加熱温度であれば、強化の緩和が起こり得ることを示している。
【0024】
以上のことから、外周シール部31に使用されるハンダの液相線温度は、300℃以下であることが好ましいことが確認された。この場合、ガラス板10及び20の外周縁部を300℃以下でシールすることができ、ガラス板10及び20が過度に再加熱されることがなく、風冷強化されたガラス板10及び20の強度の低下を効果的に抑制することができる。
【0025】
第1ガラス板10、第2ガラス板20、減圧層3、低放射率膜11の厚み(ばらつきが存在する場合には、平均の厚み)をそれぞれ、d1、d2、d3、d4とする。d1~d4の値は用途に応じて適宜選択することができるが、0.3mm≦d1≦15mmであることが好ましく、0.5mm≦d1≦12mmであることがより好ましく、1mm≦d1≦10mmであることがさらに好ましい。d2についても同様であり、d1とd2は同じ値とすることもできるし、異なる値とすることもできる。また、0.03mm≦d3≦1mmであることが好ましく、0.05mm≦d3≦0.5mmであることがより好ましく、0.1mm≦d3≦0.3mmであることがさらに好ましい。また、50nm≦d4≦600nmであることが好ましく、50nm≦d4≦500nmであることがより好ましく、50nm≦d4≦400nmであることさらに好ましい。d1~d4が以上の数値範囲を満たすとき、真空ガラス1の薄型化を図りつつ、断熱性能を容易に高めることができる。
【0026】
図1に示すように、第2ガラス板20の1つのコーナーの近傍には、貫通孔15が形成されている。貫通孔15は、シール材によりシールされている。貫通孔15は、減圧層3を形成するべく、ガラス板10及び20間の空間の真空引きに使用され、その後、シールされる。貫通孔15をシールするシール材としては、例えば、ハンダを用いることができ、このとき、無鉛ハンダを用いることが好ましい。なお、貫通孔15は、第1ガラス板10に形成されてもよい。
【0027】
<2.製造方法>
次に、真空ガラス1の製造方法について説明する。まず、最終的に第1ガラス板10及び第2ガラス板20へと加工される、所定の形状にカットされたフロートガラス板2を用意する。ここでは、2種類のフロートガラス板2が用意され、一方のフロートガラス板2(以下、2aで示すことがある)は、一方の主面に低放射率膜11が形成されており、最終的に第1ガラス板10となる。他方のフロートガラス板2(以下、2bで示すことがある)には、低放射率膜11は形成されておらず、ガラスの表面が露出しており、最終的に第2ガラス板20となる。また、フロートガラス板2bには、真空引きのための貫通孔15が形成されている。
【0028】
次に、これらのフロートガラス板2を風冷強化する。図3は、風冷強化を行うための設備の模式図である。フロートガラス板2は、多数のローラー40aを含むローラーコンベア40上を搬送される。このとき、フロートガラス板2aは、低放射率膜11を上側に向けてローラーコンベア40上に載置される。フロートガラス板2は、まず、ローラーコンベア40に乗って加熱炉45内に導入され、ここで所定の時間、高温環境下に晒され、約600℃~700℃まで加熱される。その後、こうして高温に加熱されたフロートガラス板2は、ローラーコンベア40に乗って冷却炉46内に導入される。冷却炉46内では、所定の時間、ローラーコンベア40上のフロートガラス板2の表面に対し、その上方及び下方からノズル48を介して空気が吹き付けられ、フロートガラス板2が急冷される。これにより、フロートガラス板2の表面に圧縮力が発生する一方で、内部には引張力が発生し、その結果、フロートガラス板2の強度が高められる。なお、本実施形態では、ローラーコンベア40は、フロートガラス板2の加熱中及び冷却中、それぞれ加熱炉45及び冷却炉46内においてフロートガラス板2を往復動させる。
【0029】
図2に示すとおり、真空ガラス1に含まれるガラス板10及び20は、いずれも実質的に平板状である。しかしながら、以上のとおり風冷強化されたフロートガラス板2は、外力が加えられていない状態では、図4A及び図4Bに示すように、第1方向D1から視て第2方向D2の両端が反った形状である。すなわち、加熱及び急冷の工程を経ることで、ガラス板2の両端に反りが生じる。なお、以上に説明したような設備で風冷強化が行われる場合、反りの指向性は、ローラーコンベア40の搬送方向に依存し、搬送方向に平行な方向が第2方向D2となり、第1方向D1は搬送方向に直交する。
【0030】
また、以上に説明したような設備で風冷強化が行われる場合、フロートガラス板2のローラー40aに接していない面(図3での上面)は、ローラー40aに接する面(図3での下面)に対し、汚れが付着し難い。ここでいう汚れとは、典型的には、油等の有機的な汚れである。図4A及び図4Bにおいては、フロートガラス板2の点線で示されている面が、ローラー40aに接していない面である。発明者らの研究によると、ガラス板2は、主として第2方向D2の両端において同じ方向に反る傾向にある。図4Aでは、ローラー40aに接していない面を上面としたときに、第2方向D2の両端が上に向かって反っており、図4Bでは、ローラー40aに接していない面を上面としたときに、第2方向D2の両端が下に向かって反っている。いずれのタイプのガラス板2が製造されるかは、ガラス板2や風冷強化の設備の仕様(例えば、ガラス板2のサイズや、ローラー40aのサイズ及び間隔)等に依存する傾向にある。
【0031】
本発明者らは、以上の傾向を実験により確認した。本発明者らは、同じ風冷強化の設備において、上記した方法で風冷強化された10枚のフロートガラス板を製造し、これらのガラス板の両端の反りの形状を測定した。両端の反りの形状の測定は、以下のとおりに行った。図5は、両端の反りの形状の測定方法を説明する図である。金属定盤上にガラス板をローラーに接していない面を上に向けて載置した。そして、ガラス板の第2方向D2に延びる2辺に沿って走るレールを設置し、このレールに沿ってレーザー変位計(キーエンス社製のLK-G30)を同2辺に平行に走査させた。測定の原点及び走査方向を図5に示す。原点は、走査方向に対してはガラス板のエッジに合わせ、走査方向に垂直な方向については、エッジ上だと測定エラーが生じるため、これを回避するためにガラス板のエッジから5mm内側とした。ガラス板の第2方向D2の長さは900mmであった。測定ピッチは20mmとし、測定点は、原点から5mm、25mm、45mm、・・・、865mm、885mm、895mmの位置とした。レーザー変位計による走査は、ガラス板の上方から行い、原点での金属定盤と変位計との距離dを測定し、さらにレーザー変位計を走らせながら各測定点で、レーザー変位計からガラス板の上面までの距離dを測定した。また、別途、ガラス板の厚みhを測定した。厚みhは、ガラス板の四隅の板厚を測定し、その平均値とした。そして、変位量(金属定盤とガラス板の下面との距離)dを、d=d-(h+d)として算出した。
【0032】
変位量dに基づく両端の反りの形状の測定結果を、図6A及び図6Bに示す。図6Aは、10枚のLow-E膜を有するガラス板の第2方向D2に沿う一方の辺(図5の長辺1)の変位量dを測定したグラフであり、図6Bは、同ガラス板の第2方向D2に沿う他方の辺(図5の長辺2)の変位量dを測定したグラフである。図6A及び図6Bに対応する10枚のガラス板からは、図4Aのタイプ、すなわち、第2方向D2の両端が上に向かって反る傾向が確認された。なお、本発明者らは、風冷強化の条件によっては、図4Bのような反りの傾向が現れることも確認した。また、ここでは、Low-E膜を有するガラス板で検証したが、Low-E膜を有さない通常のフロートガラス板であっても同様に、図4A及び図4Bのような反りの傾向が現れることを確認した。
【0033】
図11Aは、Low-E膜を有さない5枚の強化ガラス板G1~G5の端部の反り量dを測定した結果を示し、図11Bは、Low-E膜を有する2枚の強化ガラス板H1及びH2の端部の反り量dを測定した結果を示す。強化ガラス板G1~G5、H1及びH2は、全てフロートガラス板であり、700℃で5分間加熱し、風冷強化したものである。強化ガラス板H1及びH2のLow-E膜は、約85nmに形成された。強化ガラス板G1~G5及びH1及びH2のサイズは、以下の通りであった。
【表1】
【0034】
図11A及び図11Bの実験では、ガラス板の端部の反り量dとともに、ガラス板の端部からの反り開始位置dも測定した。図11A及び図11Bは、反り量dと反り開始位置dとの関係をプロットしたグラフである。d及びdは、図4A及び図4Bに示すように定義され、図5を参照して説明した測定装置を用いて測定した。より具体的には、金属定盤上にガラス板を載置し、第2方向D2に延びるレールを用意し、このレールに沿って第2方向D2にレーザー変位計(キーエンス社製のLK-G30)を走らせながら、測定ピッチを20mmとして、各測定点でレーザー変位計からガラス板の上面までの距離dを測定した。ただし、第2方向D2の測定ピッチは、ガラス板のエッジから最初の測定点と4つ目の測定点までは、2mmとした。また、第2方向D2に沿った以上の走査を、第1方向D1に20mmの間隔をあけながら繰り返し行い、これにより、距離dを、ガラス板上で20mm×20mm間隔で格子状に測定した。また、第1方向D1については、ガラス板のエッジに沿った走査は行わず、ガラス板の第1方向D1のエッジから5mm内側を第2方向D2に走査し、そこからD1方向に20mmの間隔をあけながら、繰り返し第2方向D2の走査を行った。レーザー変位計による走査は、ガラス板の上方から行った。
【0035】
そして、第2方向D2に沿った各走査時に測定される一連の距離dの値を、走査方向に沿って順に確認してゆき、距離dの値の変化量が最初に0になった位置、距離dの値が最初に増加から減少に転じた位置、又は距離dの値が最初に減少から増加に転じた位置を、反り開始位置dとした。例えば、第2方向D2に沿って、最初の測定点から60mmの測定点までは、距離dが単調に増加しているが、最初の測定点から80mmの測定点で初めて距離dが増加から減少に転じたとする。この場合、反り開始位置d=80mmとなる。一方、反り量dは、エッジにおいて測定された距離dと、反り開始位置dで測定された距離dとの差分として定義される。
【0036】
図11A及び図11Bの結果からは、Low-E膜の有無にかかわらず、強化ガラス板の端部に反りが生じ得ることが確認された。ただし、Low-E膜がない方が、ガラス板の端部の反り量dが大きくなり、Low-E膜があった方が、ガラス板の端部の反りの割合d/dが大きくなることが確認された。また、反り量dは、測定点におけるバラツキを考慮しても、概ね0.6mm以内収まることが分かった。
【0037】
また、図11A及び図11Bの実験では、強化ガラス板G1~G5、H1及びH2にハンダを用いて外周シール部を形成した。この加熱の前後で、強化ガラス板G1~G5、H1及びH2の表面圧縮応力値(平均)を計測したところ、加熱の前後で変化がなく、それぞれ99MPa、100MPa、80MPa、90MPa、98MPa、98MPa、99MPaであった。よって、ハンダによる加熱では、強化ガラス板の強化は緩和されないことも確認した。
【0038】
製造方法の説明に戻ると、風冷強化の後、第1ガラス板10となるフロートガラス板2aと、第2ガラス板20となるフロートガラス板2bとを、両者の間に最終的に減圧層となる空間が形成されるように対面させる。具体的には、図8に示す作業台54の上にガラス板2aを低放射率膜11を上に向けて載置し、ガラス板2aの上面にスペーサ30を所定のパターンで配列する。そして、その上から、ガラス板2bを載置する。ガラス板2を対面させるパターンの好ましい態様としては、図7A図7Cの3つのパターンが考えられる。なお、図7A図7Cにおいても、図4A及び図4Bと同様、フロートガラス板2の点線で示されている面が、風冷強化の工程でローラー40aに接していない面である。
【0039】
図7Aは、フロートガラス板2がその第2方向D2の両端において同じ方向に反っているパターン(以下、パターン1という)である。図7Bは、フロートガラス板2がその第2方向D2の両端において、第2方向D2の外側に向かうほど互いに離れるように反っているパターン(以下、パターン2という)である。図7Cは、フロートガラス板2がその第2方向D2の両端において、第2方向D2の外側に向かうほど互いに近づくように反っているパターン(以下、パターン3という)である。なお、図4A図4B及び図7A図7Cに示すガラス板2の反りは、説明を分かりやすくするために強調して記載しているが、ガラス板2の厚みに対する反り量は、実際にはこれらの図よりも小さく、目視においてはガラス板2は実質的に平面状であるとも言える。よって、ガラス板2がいずれのパターンに属するかは、以下のとおり判断することができる。
【0040】
まず、図5を参照して説明した測定方法と同様に、原点から第2方向D2に沿って20mmの測定ピッチで、ガラス板の変位量dを測定する。そして、図6A及び図6Bに示されるようなグラフ領域内で、これらの変位量dの測定点を通る折れ線グラフを描画する。そして、原点から第2方向D2に沿って折れ線グラフ上に最初に現れる極小点又は極大点(以下、極点という)を特定し、極点が原点から100mm以内にある場合には、原点から極点までの区間において折れ線グラフが外側に向かうほど上に向かっているか、下に向かっているかを判断する。そして、上に向かっている場合には、ガラス板の第2方向に沿って原点側の端部が上に向かって反っていると判断し、下に向かっている場合には、同端部が下に向かって反っていると判断する。一方、極点が原点から100mm以内にない場合には、原点から100mmの区間において折れ線グラフが外側に向かうほど上に向かっているか、下に向かっているかを判断する。そして、上に向かっている場合には、ガラス板の第2方向に沿って原点側の端部が上に向かって反っていると判断し、下に向かっている場合には、同端部が下に向かって反っていると判断する。なお、ここでいう極点は、その前後で折れ線グラフの傾きの正負が入れ替わる点である。また、第2方向に沿って原点と反対側のガラス板の端部においても同様に、以上の折れ線グラフの当該端部から100mmの区間に注目して、当該端部が上に向かって反っているか、下に向かって反っているかを判断する。そして、以上のようにして、第2方向に沿ったガラス板の両端部の反りの方向を特定し、これに基づいて、反りのパターンを特定する。
【0041】
図7Aのパターン1では、同図中の上側のガラス板2が、低放射率膜11が形成されているガラス板2aである。すなわち、低放射率膜11は、最終的に減圧層3に対面するように配置されるため、これが内側を向くように配置される。パターン1では、第2方向D2の両端が同じ方向に曲がっているため、これらの端部においてガラス板2a及び2b間の間隔が概ね一定である。よって、後述するハンダ付けの工程において、2枚のガラス板2の間にハンダの導入板を挿入し易く、同工程が容易となる。これにより、安定した接着強度が得られる。
【0042】
しかし、ガラス板の端部における反り量が多くなると、接着強度が低下し得る。そこで、図7Aのパターン1では、ハンダの導入板を挿入し易くし、かつ、安定した接着強度を担保するという観点から、反り量は、0.1mm以上、かつ、0.6mm以下であることが好ましい。なお、ここでいう反り量は、上述した変位量dとして測定することができる。
【0043】
また、図7Aのパターン1の形態で、一方のガラス板にのみLow-E膜を形成した真空ガラスを製造してもよい。この場合、先述のとおり、Low-E膜を有する場合は、ガラス板の端部における反り量が小さくなるため、ハンダの導入板を挿入し易く、かつ、安定した接着強度を担保することができる。
【0044】
図7Bのパターン2では、いずれのガラス板2がガラス板2aであってもよい。パターン2では、第2方向D2の両端においてガラス板2a及び2b間の空間が開いている。よって、後述するハンダ付けの工程において、2枚のガラス板2の間にハンダの導入板を挿入し易く、同工程が容易となる。この効果に鑑みると、パターン2は、Low-E膜を有さない、すなわち、端部の反り量が大きくなる(図11Aの結果参照)ガラス板2a及び2bから真空ガラス1を構成する場合に好ましく採用することができる。また、図7Bの例では、ガラス板2a及び2bにおいて汚れの付着の少ない面(ローラー40aに接していない面)がともに内側を向いているため、後述する真空引きの工程において同工程を阻害する汚れがなく、同工程の制御が容易となる。しかしながら、ガラス板2a及び2bのいずれか又は両方において、風冷強化の工程でローラー40aに接していない面が外側を向いていてもよい。この場合であっても、ハンダ付けの工程において、2枚のガラス板2の間にハンダの導入板を挿入し易く、同工程が容易となる。
【0045】
上記の通り、ガラス板の端部における反り量が多くなると、接着強度が低下し得る。そこで、図7Bのパターン2では、ハンダの導入板を挿入し易くし、かつ、安定した接着強度を担保するという観点から、反り量は、0.1mm以上、かつ、0.6mm以下であることが好ましい。なお、ここでいう反り量も、上述した変位量dとして測定することができる。
【0046】
図7Bのパターン2の形態で、一方のガラス板にのみLow-E膜を形成した真空ガラスを製造してもよい。この場合、先述のとおり、Low-E膜を有する場合は、ガラス板の端部における反り量が小さくなるため、ハンダの導入板を挿入し易く、かつ、安定した接着強度を担保することができる。特に接着強度を担保するという観点からは、このような真空ガラスは、両方のガラス板にLow-E膜がない場合に比して優れている。
【0047】
図7Cのパターン3でも、いずれのガラス板2がガラス板2aであってもよい。パターン3では、第2方向D2の両端においてガラス板2a及び2b間の空間が閉じている。よって、後述するハンダ付けの工程において、ガラス板2a及び2bの間に形成されたハンダの外周シール部31が剥がれにくくなる点で優れている。この効果に鑑みると、パターン3は、Low-E膜を有する、すなわち、端部の反りの割合d/dが大きくなる(図11Bの結果参照)ガラス板2a及び2bから真空ガラス1を構成する場合に好ましく採用することができる。また、図7Cの例では、ガラス板2a及び2bにおいて汚れの付着の少ない面(ローラー40aに接していない面)がともに内側を向いているため、後述する真空引きの工程において同工程を阻害する汚れがなく、同工程の制御が容易となる。しかしながら、ガラス板2a及び2bのいずれか又は両方において、風冷強化の工程でローラー40aに接していない面が外側を向いていてもよい。この場合であっても、外周シール部31が剥がれにくい点で優れる。なお、パターン3の形態で、ガラス板の端部における反り量が大きくなり過ぎ、ガラス板の端部が干渉し得る場合には、減圧層の厚みを調整し、このような事態を回避できるような値に設定すればよい。
【0048】
ガラス板2a及び2bを対面させるように配置した後、ガラス板2a及び2b間の空間をシールするように、ガラス板2a及び2bの外周縁部どうしをハンダにより接合する。このとき、図8に示すようなハンダ供給装置50が使用される。ハンダ供給装置50は、溶融したハンダを溜める貯蔵容器51と、貯蔵容器51の底面に形成された孔と連通し、同孔から溶融したハンダを送り出す吐出管52とを有する。貯蔵容器51には、ハンダの溶融状態を維持するためのヒーター51aが設けられている。吐出管52の先端部は、ガラス板2a及び2bの外周縁部において両者の間の空間に位置合わせされており、吐出管52の先端部の内部には、導入板53が挿入されている。導入板53は、ハンダをガラス板2a及び2b間に案内しながら導入する部材である。導入板53は、吐出管52から突出しており、突出した部分は、ガラス板2a及び2b間の空間に挿入される。なお、導入板53の先端部は、変形可能な蛇腹形状とすることができる。この場合、導入板53の先端部でガラス板2a及び2bの表面を擦りつつハンダ付けを行うことででき、接合強度を高めることができる。よって、導入板53の先端部の厚みをd5とするとき、d5>d3(減圧層3の厚み)であってもよい。貯蔵容器51及び吐出管52を支持するハウジング55は、ガラス板2a及び2bが載置される作業台54の上に同じく載置され、作業台54上をガラス板2a及び2bの外周縁部に沿って移動する。この移動を補助するために、ハウジング55の下部に設けられた溝に対応するレール56が、作業台54上に設けられている。
【0049】
続いて、ガラス板2a及び2b間の空間を、真空引きし、減圧する。より具体的には、ガラス板2aの貫通孔15を覆うように、ガラス板2a上に排気カップを取り付ける。そして、この排気カップに接続されたロータリポンプやターボ分子ポンプ等のポンプにより、ガラス板2a及び2b間の空間内の気体分子を貫通孔15を介して吸引する。その後、貫通孔15にシール材としてのハンダを滴下させて、貫通孔15の近傍のガラス板2aの表面とハンダとを接着させる。これにより、貫通孔15がシールされ、ガラス板2a及び2b間に減圧層3が形成される。
【0050】
ガラス板2a及び2bの反りは、真空引きの工程を経ることで解消ないし緩和され、実質的に平板状の第1ガラス板10及び第2ガラス板20が形成される。以上により、風冷強化された一対のガラス板10及び20を有する真空ガラス1が製造される。
【0051】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0052】
例えば、上記実施形態では、ガラス板10をLow-E膜を有するガラス板としたが、Low-E膜を有さない通常のフロートガラス板としてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 真空ガラス
10 第1ガラス板
11 低放射率膜(Low-E膜)
20 第2ガラス板
3 減圧層
31 外周シール部
D1 第1方向
D2 第2方向
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B