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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026609
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】硬化性樹脂組成物、及び硬化体
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/48 20060101AFI20240220BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20240220BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20240220BHJP
   C09J 4/00 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
C08F2/48
C08F2/44 C
C09J201/00
C09J4/00
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023223024
(22)【出願日】2023-12-28
(62)【分割の表示】P 2020553381の分割
【原出願日】2019-10-21
(31)【優先権主張番号】P 2018199057
(32)【優先日】2018-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207756
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100129746
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 滋郎
(72)【発明者】
【氏名】玉川 智一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 徹
(72)【発明者】
【氏名】結城 彰
(72)【発明者】
【氏名】木田 拓身
(72)【発明者】
【氏名】徐 坤
(72)【発明者】
【氏名】萩原 康平
(57)【要約】
【課題】被着体間のギャップを一定に保持しつつ、被着体の剥がれを生じにくくする。
【解決手段】本発明の硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合性化合物を含む硬化性樹脂組成物であって、硬化性樹脂組成物をエアディスペンサーで塗布後、LEDランプで365nmの紫外線を1000mJ/cm照射し、25℃、50%RH環境下で16時間経過した時、線幅に対する塗布高さの比が0.6以上となり、かつLEDランプで365nmの紫外線を1000mJ/cm照射した後に0.03MPaで荷重を作用させ、その荷重前後の厚さ変化率が40%以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジカル重合性化合物を含む硬化性樹脂組成物であって、
前記硬化性樹脂組成物をエアディスペンサーで塗布後、LEDランプで365nmの紫外線を1000mJ/cm照射し、25℃、50%RH環境下で16時間経過した時、線幅に対する塗布高さの比が0.6以上となり、かつ
LEDランプで365nmの紫外線を1000mJ/cm照射した後に0.03MPaで荷重を作用させ、その荷重前後の厚さ変化率が40%以下である、硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記硬化性樹脂組成物の硬化物の貯蔵弾性率が、500MPa以下である、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
湿気硬化性樹脂を含有する、請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
コーンプレート型粘度計を用いて25℃、1rpmの条件で測定した粘度が、100Pa・s以上1000Pa・s以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
チクソトロピーインデックスが、1.7以上5.0以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
充填剤を含有する請求項1~5のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
電子機器用接着剤に使用される請求項1~6のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物の硬化体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性樹脂組成物、及びその硬化体に関し、例えば、電子機器用接着剤として使用される硬化性樹脂組成物、及びその硬化体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体チップ等の電子部品では、高集積化、小型化が要求されており、例えば、接着剤層を介して複数の薄い半導体チップを接合して半導体チップの積層体とすることがある。また、携帯電話、携帯ゲーム機等、各種表示素子付きモバイル機器が普及している現代において、表示素子を小型化することが求められており、表示素子の小型化の手法として、画像表示部を狭額縁化することが行われている(以下、「狭額縁設計」ともいう)。小型半導体チップの積層や狭額縁設計においては、ディスペンサーなどを用いて細い線幅とした接着剤により、接着する技術が要求される。
【0003】
半導体チップの積層体は、例えば、一方の半導体チップ上に接着剤を塗布した後、光照射により半硬化し、その半硬化物を介して他方の半導体チップを積層し半導体チップ間を仮接着し、その後、接着剤を全硬化させ、チップ間を接合する方法等により製造されている。同様に、狭額縁設計でも、塗布した接着剤を半硬化した後に全硬化させる方法が検討されている。半導体チップの積層用途、狭額縁設計用途における接着剤としては、光湿気硬化性樹脂組成物の使用が検討されている。
【0004】
接着剤として使用される光湿気硬化性樹脂組成物としては、例えば、特許文献1に開示されるように、ラジカル重合性不飽和基含有化合物、湿気硬化性ウレタンプレポリマー、及び揺変性付与剤を含むラジカル硬化性ウレタン樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、樹脂組成物が揺変性付与剤を所定量含むことで、基材との密着性が良好となり、また、樹脂だれなども防止されることが示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-18621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば、携帯電話などにおける筐体の接着として、従来の光湿気硬化性樹脂組成物を用いた場合、接着剤と筐体との間で、剥がれが生じるという問題がある。また、塗布された接着剤は、光硬化後の例えば半硬化状態(すなわち、Bステージ状態)において、荷重が付与されたときに被着体間のギャップを一定に保持する必要がある。
【0007】
そこで、本発明は、貼り合わせ時に、被着体間のギャップを一定に保持しつつ、被着体の剥がれを生じにくくすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、検討の結果、携帯電話等に用いられる筐体は微小な歪みがあって凸凹があることがあり、接着剤はその凸凹に沿って塗布されるため、貼り合わせ時に空洞が生じることを見出した。そして、本発明者らは、さらに検討を進めた結果、光硬化後の厚さ変化率が少なく、かつディスペンサーにて塗布しかつ硬化した後、その硬化体が特定の形状を有するように配合を調整することで、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[8]を提供する。
[1]ラジカル重合性化合物を含む硬化性樹脂組成物であって、
前記硬化性樹脂組成物をエアディスペンサーで塗布後、LEDランプで365nmの紫外線を1000mJ/cm照射し、25℃、50%RH環境下で16時間経過した時、線幅に対する塗布高さの比が0.6以上となり、かつ
LEDランプで365nmの紫外線を1000mJ/cm照射した後に0.03MPaで荷重を作用させ、その荷重前後の厚さ変化率が40%以下である、硬化性樹脂組成物。
[2]前記硬化性樹脂組成物の硬化物の貯蔵弾性率が、500MPa以下である、上記[1]に記載の硬化性樹脂組成物。
[3]湿気硬化性樹脂を含有する、上記[1]又は[2]に記載の硬化性樹脂組成物。
[4]コーンプレート型粘度計を用いて25℃、1rpmの条件で測定した粘度が、100Pa・s以上1000Pa・s以下である、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
[5]チクソトロピーインデックスが、1.7以上5.0以下である、上記[1]~[4]のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
[6]充填剤を含有する上記[1]~[5]のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
[7]電子機器用接着剤に使用される上記[1]~[6]のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
[8]上記[1]~[7]のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物の硬化体。
【発明の効果】
【0009】
本発明の硬化性樹脂組成物によれば、被着体間のギャップを一定に保持しつつ、接着剤と被着体の間の空洞を少なくして、被着体の剥がれを生じにくくする。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
[硬化性樹脂組成物]
本発明の硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合性化合物を含む硬化性樹脂組成物であり、以下の第1及び第2の要件をいずれも満たすものである。
第1の要件:硬化性樹脂組成物をエアディスペンサーで塗布後に、LEDランプで365nmの紫外線を1000mJ/cm照射し、さらに、25℃、50%RH環境下で16時間経過した時、線幅に対する塗布高さの比(以下、アスペクト比ともいう)が0.6以上となる。
第2の要件:硬化性樹脂組成物に対して、LEDランプで365nmの紫外線を1000mJ/cm照射した直後に0.03MPaで荷重を作用させ、その荷重前後の厚さ変化率が40%以下である。
なお、第1の要件におけるエアディスペンサーの塗布条件は、以下のとおりである。
クリアランス1.0mm、ノズル内径0.4mm、吐出圧力0.38MPa、塗布速度1.0mm/秒、塗布長さ25mm
また、第2の要件の測定において、硬化性樹脂組成物は幅1mm、厚さ0.2mmで塗布され、かつ厚さ変化率は25℃環境下で測定される。
【0011】
本発明では、上記第1の要件に示すように、塗布し、かつ硬化した後のアスペクト比が高くなるものである。塗布硬化後のアスペクト比が高くなると、被着体が歪んだりして微小な凸凹を有していて、硬化性樹脂組成物がその凸凹に追従した場合でも、被着体との間の空洞が少なくなり、それにより、被着体の剥がれが生じにくくなる。空洞をより少なくする観点からアスペクト比は、0.60以上が好ましく、0.70以上がより好ましく、0.80以上がさらに好ましい。
また、アスペクト比は、特に限定されないが、貼り合わせ後の被着体間のキャップ間を一定距離に保ちやすくする観点から、1.0以下が好ましい。
【0012】
上記第1の要件で示した塗布条件は、狭額縁設計などにおいて、接着剤を塗布するときの標準的な塗布条件を想定したものであり、上記した第1の要件の塗布条件で塗布し、かつ硬化した後の硬化性樹脂組成物の形状は、塗布し硬化した後の標準的な接着剤の形状を示す。したがって、硬化性樹脂組成物の配合を、上記した第1の要件となるように調整することで、狭額縁設計などにおいて接着剤と被着体の間の空洞を少なくすることができる。
【0013】
また、本発明では、上記のように、アスペクト比を大きくすると、一般的に、硬化性樹脂組成物は、被着体間において圧縮される傾向にあり、被着体間のギャップを一定距離以上に保つことが難しくなることがあるが、上記第2の要件のように、厚さ変化率を40%以下とすることで、ギャップを一定距離以上に保持できるようになる。
ギャップ保持性を良好にする観点から、厚さ変化率は30%以下が好ましく、20%以下がより好ましい。また、厚さ変化率は、ギャップ保持性の観点から、小さければ小さいほどよく、0%以上であればよいが、被着体間の接着性や密着性などを確保する観点から、3%以上が好ましく、7%以上がより好ましい。
本発明では、後述するように、例えば、硬化性樹脂組成物に含有される、ラジカル重合性化合物の種類及びその配合量、及びフィラーの配合量などを調整することで、上記した第1及び第2の要件を満たすように調整できる。
【0014】
なお、上記第1の要件で示すように、アスペクト比の測定において、硬化性樹脂組成物は、光照射されている。したがって、アスペクト比の測定時において、硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合性化合物が重合することで光硬化される。また、光照射後に、所定時間放置されているので、硬化性樹脂組成物は、後述するように湿気硬化性である場合には、さらに湿気によっても硬化されることになる。
一方で、第2の要件における厚さ変化率は、光照射した直後に測定されている。したがって、後述する湿気硬化性である場合であっても、光硬化されるが湿気硬化されないいわゆるBステージ状態にある硬化性樹脂組成物の厚さ変化率が測定される。
【0015】
(貯蔵弾性率)
本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物の25℃における貯蔵弾性率は、500MPa以下であることが好ましい。硬化物の貯蔵弾性率が500MPa以下であると、被着体に作用される衝撃などを吸収しやすくなる。また、貼り合わせ時の空洞も少なくしやすくなる。衝撃吸収性の観点、及び貼り合わせ時の空洞を低減する観点から、上記貯蔵弾性率は、100MPa以下がより好ましく、50MPa以下がさらに好ましく、10MPa以下がよりさらに好ましい。また、硬化物に対して、一定の機械強度などを付与する観点から、上記貯蔵弾性率は、好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは1MPa以上である。
なお、貯蔵弾性率は、硬化性樹脂組成物を水銀ランプで3000mJ/cm照射させ、その後、3日間、23℃、50RH%の環境下に放置することにより得た硬化物に対して測定して求める。なお、貯蔵弾性率の測定方法の詳細は、後述する実施例で示すとおりである。
【0016】
(粘度)
本発明の硬化性樹脂組成物の粘度は、100Pa・s以上1000Pa・s以下であることが好ましい。粘度を上記範囲内とすると、硬化性樹脂組成物を被着体に塗布したときに、作業性及び塗布性が良好となり、さらには、上記したアスペクト比を高くしやすくなる。また、ディスペンサーで塗布したときに細い線幅で塗布しやすくなる。これら観点から、粘度は、200Pa・s以上がより好ましく、300Pa・s以上がさらに好ましく、また、800Pa・s以下がより好ましく、600Pa・s以下がさらに好ましい。
なお、本明細書において、粘度とは、コーンプレート型(E型)粘度計を用いて測定した、1rpm、25℃における粘度である。
【0017】
(TI値)
本発明の硬化性樹脂組成物は、チキソトロピーインデックス(TI値)が1.7以上であることが好ましい。TI値が1.7以上であると、塗布時に流動性が高くなる一方で、塗布後に流動性を低下させることが可能になるので、塗布性を良好にしつつ、上記したアスペクト比を大きくできる。そのような観点から、TI値は2.0以上がより好ましく、2.5以上がさらに好ましく、よりさらに好ましくは3.0以上である。
また、実用性の観点から、TI値は、5.0以下が好ましく、4.7以下がより好ましく、4.5以下がさらに好ましい。
なお、本明細書において上記チクソトロピーインデックス(TI値)とは、コーンプレート型粘度計を用いて25℃、1rpmの条件で測定した粘度を、コーンプレート型粘度計を用いて25℃、10rpmの条件で測定した粘度で除した値を意味する。
上記した貯蔵弾性率、粘度、及びTI値は、以下で詳述するように、ラジカル重合性化合物及び湿気硬化性樹脂に使用する各成分の種類及び量、充填剤などの添加剤の種類及び量などを適宜変更することで調整できる。
【0018】
本発明の硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合性化合物に加えて、湿気硬化性樹脂を含有することが好ましい。ここで、硬化性樹脂組成物は、湿気硬化性樹脂を含有することで、光照射及び湿気により硬化する光湿気硬化性樹脂組成物となる。硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合性化合物に加えて、湿気硬化性樹脂を含有することで、加熱しなくても硬化できる。そのため、硬化性樹脂組成物を硬化するとき、接着部または接着部周辺の電子部品が加熱により損傷などすることを防止できる。また、湿気硬化性樹脂を有することで、全硬化後の接着力を高くしやすくなる。
光湿気硬化性樹脂組成物は、例えばまず光硬化することで、Bステージ状態にして比較的低い接着力(タック性)を付与し、その後、さらに空気中などに放置することで、湿気により硬化させて、十分な接着力を有する硬化物にすることが可能になる。これにより、被着体間を仮接着した後に、本接着することが可能である。
【0019】
<ラジカル重合性化合物>
硬化性樹脂組成物に含有されるラジカル重合性化合物としては、光重合性を有するラジカル重合性化合物であればよく、分子中にラジカル重合性官能基を有する化合物であれば特に限定されない。なかでも、ラジカル重合性官能基として不飽和二重結合を有する化合物が好適であり、特に(メタ)アクリロイル基を有する化合物(以下、「(メタ)アクリル化合物」ともいう)が好適である。
【0020】
(メタ)アクリル化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル化合物、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、ウレタン(メタ)アクリレートは、残存イソシアネート基を有さないものである。
また、本明細書において、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基又は(メタ)アクリロイル基を意味し、「(メタ)アクリレート」はアクリレート又はメタクリレートを意味し、他の類似する用語も同様である。
【0021】
上記(メタ)アクリル酸エステル化合物は、単官能でもよいし、2官能でもよいし、3官能以上であってもよい。
(メタ)アクリル酸エステル化合物のうち単官能のものとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4-tert-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の脂環式構造を有する(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルエチレンーブチルアミド、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのアルコキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリオキシエチレン系(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0022】
また、(メタ)アクリル酸エステル化合物は、芳香環を有してもよく、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、2-フェニルエチル(メタ)アクリレート等のフェニルアルキル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のフェノキシアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。さらには、フルオレン骨格、ビフェニル骨格などの複数のベンゼン環を有する(メタ)アクリレートであってもよく、具体的には、フルオレン型(メタ)アクリレート、エトキシ化o-フェニルフェノールアクリレートなどが挙げられる。
また、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのフェノキシポリオキシエチレン系(メタ)アクリレートなども挙げられる。
さらには、芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、N-アクリロイルオキシエチルフタルイミド等のフタルイミドアクリレート類も挙げられる。
【0023】
さらに、単官能の(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アルコキシ化テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート、3-エチル-3-オキセタニルメチル(メタ)アクリレート等の複素環式構造を有する(メタ)アクリレート、各種イミド(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、N-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート等も挙げられる。
また、上記した各種イミド(メタ)アクリレートとしては、上記したフタルイミドアクリレート類、N-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミドなどのヘキサヒドロフタルイミド類以外にも、(メタ)アクリルオキシスクシンイミドなどのスクシンイミドアクリレート類、マレイミド(メタ)アクリレートなどのマレイミドアクリレート類、その他、イミド基と(メタ)アクリロイル基を有する各種のアクリルイミド類が挙げられる。
【0024】
(メタ)アクリル酸エステル化合物のうち2官能のものとしては、例えば、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、カーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエーテルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0025】
また、(メタ)アクリル酸エステル化合物のうち3官能以上のものとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0026】
上記(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、単官能の(メタ)アクリル酸エステル化合物が好ましく、それらの中でも、後述するように、脂環式構造、芳香環を有するものが好ましい。脂環式構造を有する(メタ)アクリレートの好適な例としては、4-tert-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、N-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等のヘキサヒドロフタルイミド類などが挙げられる。また、芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物の好適な例としては、フェノキシアルキル(メタ)アクリレート、フタルイミドアクリレート類などが挙げられる。
また、単官能の(メタ)アクリル酸エステル化合物は、イミド基を有する(メタ)アクリレートを含有することも好ましい。イミド基を有する(メタ)アクリレートとしては、上記のとおりヘキサヒドロフタルイミドアクリレート類、フタルイミドアクリレート類以外にも、スクシンイミドアクリレート類、マレイミドアクリレート類、及びアクリルイミド類なども挙げられる。
【0027】
上記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸と反応したものなどが挙げられる。ここで、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸の反応は、常法に従って塩基性触媒の存在下などで行うとよい。エポキシ(メタ)アクリレートは、単官能でも、2官能などの多官能でもよいが、多官能が好ましい。
上記エポキシ(メタ)アクリレートを合成するための原料となるエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、2,2’-ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スルフィド型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アルキルポリオール型エポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂、グリシジルエステル化合物、ビスフェノールA型エピスルフィド樹脂等が挙げられる。
【0028】
上記エポキシ(メタ)アクリレートのうち市販されているものとしては、例えば、EBECRYL860、EBECRYL3200、EBECRYL3201、EBECRYL3412、EBECRYL3600、EBECRYL3700、EBECRYL3701、EBECRYL3702、EBECRYL3703、EBECRYL3800、EBECRYL6040、EBECRYL RDX63182(いずれもダイセル・オルネクス社製)、EA-1010、EA-1020、EA-5323、EA-5520、EACHD、EMA-1020(いずれも新中村化学工業社製)、エポキシエステルM-600A、エポキシエステル40EM、エポキシエステル70PA、エポキシエステル200PA、エポキシエステル80MFA、エポキシエステル3002M、エポキシエステル3002A、エポキシエステル1600A、エポキシエステル3000M、エポキシエステル3000A、エポキシエステル200EA、エポキシエステル400EA(いずれも共栄社化学株式会社製)、デナコールアクリレートDA-141、デナコールアクリレートDA-314、デナコールアクリレートDA-911(いずれもナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
【0029】
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、イソシアネート化合物に、水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を、反応させたものを使用することができる。ここで、イソシアネート化合物と(メタ)アクリル酸誘導体の反応には、触媒として触媒量のスズ系化合物などを使用するとよい。ウレタン(メタ)アクリレートは、単官能でも、2官能などの多官能でもよいが、2官能が好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートを得るために使用するイソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート(MDI)、水添MDI、ポリメリックMDI、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート等のポリイソシアネート化合物が挙げられる。
また、イソシアネート化合物としては、ポリオールと過剰のイソシアネート化合物との反応により得られる鎖延長されたポリイソシアネート化合物も使用することができる。ここで、ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールプロパン、カーボネートジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール等が挙げられる。
【0030】
上記水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ポリエチレングリコール等の二価のアルコールのモノ(メタ)アクリレートや、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン等の三価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート又はジ(メタ)アクリレートや、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート等のエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0031】
上記ウレタン(メタ)アクリレートのうち市販されているものとしては、例えば、M-1100、M-1200、M-1210、M-1600(いずれも東亞合成社製)、EBECRYL230、EBECRYL270、EBECRYL8402、EBECRYL8411、EBECRYL8412、EBECRYL8413、EBECRYL8804、EBECRYL8803、EBECRYL8807、EBECRYL9270、EBECRYL210、EBECRYL4827、EBECRYL6700、EBECRYL220、EBECRYL2220(いずれもダイセル・オルネクス社製)、アートレジンUN-9000H、アートレジンUN-9000A、アートレジンUN-7100、アートレジンUN-1255、アートレジンUN-330、アートレジンUN-3320HB、アートレジンUN-1200TPK、アートレジンSH-500B(いずれも根上工業社製)、U-2HA、U-2PHA、U-3HA、U-4HA、U-6H、U-6LPA、U-6HA、U-10H、U-15HA、U-122A、U-122P、U-108、U-108A、U-324A、U-340A、U-340P、U-1084A、U-2061BA、UA-340P、UA-4100、UA-4000、UA-4200、UA-4400、UA-5201P、UA-7100、UA-7200、UA-W2A(いずれも新中村化学工業社製)、AI-600、AH-600、AT-600、UA-101I、UA-101T、UA-306H、UA-306I、UA-306T(いずれも共栄社化学株式会社製)、CN-902、CN-973、CN-9021、CN-9782、CN-9833(いずれもアルケマ社製)等が挙げられる。
【0032】
ラジカル重合性化合物としては、上述した以外のその他のラジカル重合性化合物も適宜使用することができる。その他のラジカル重合性化合物としては、例えば、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-(メタ)アクリロイルモルホリン、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド化合物、スチレン、α-メチルスチレン、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニル-ε-カプロラクタム等のビニル化合物等が挙げられる。
【0033】
本発明では、ラジカル重合性化合物としては、上記した中でも比較的低粘度のものを使用することが好ましく、例えば、単官能の(メタ)アクリル酸エステル化合物を使用することが好ましい。低粘度のものを使用すると、後述するように、充填剤の含有量を比較的多くしても、硬化性樹脂組成物の粘度を低粘度にすることができ、塗布性が良好となる。
以上の観点から、上述したように、単官能の(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、芳香環、及び脂環式構造の少なくともいずれかを有するものが好ましく、芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物と、脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物を併用することも好ましい。芳香環、及び脂環式構造の少なくともいずれかを有する単官能の(メタ)アクリル酸エステル化合物の含有量は、ラジカル重合性化合物全量基準で、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上がより好ましい。特に制限されないが、上限は100質量%であることが好ましい。
また、上記の通り、ラジカル重合性化合物がイミド基を有する(メタ)アクリレートを含有する場合、イミド基を有する(メタ)アクリレートの含有量は、ラジカル重合性化合物全量基準で、5質量%以上であることが好ましく、12質量%以上がより好ましく、24質量%以上であることがさらに好ましい。また、イミド基を有する(メタ)アクリレートの含有量は、ラジカル重合性化合物全量基準で、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。なお、イミド基を有する(メタ)アクリレートは、芳香環を有してもよいし、脂環式構造を有してもよいし、いずれも有しなくてもよいが、単官能が好ましい。
【0034】
<湿気硬化性樹脂>
本発明で使用する湿気硬化性樹脂としては、例えば、湿気硬化性ウレタン樹脂、加水分解性シリル基含有樹脂、湿気硬化性シアノアクリレート樹脂等が挙げられ、湿気硬化性ウレタン樹脂、加水分解性シリル基含有樹脂が好ましく、なかでも、湿気硬化性ウレタン樹脂が好ましい。
湿気硬化性ウレタン樹脂は、イソシアネート基を有する。湿気硬化性ウレタン樹脂は、分子内のイソシアネート基が空気中又は被着体中の水分と反応して硬化する。湿気硬化性ウレタン樹脂は、1分子中にイソシアネート基を1個のみ有していてもよいし、2個以上有していてもよい。なかでも、分子の主鎖両末端にイソシアネート基を有することが好ましい。
【0035】
湿気硬化性ウレタン樹脂は、1分子中に2個以上の水酸基を有するポリオール化合物と、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物とを反応させることにより得ることができる。
上記ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応は、通常、ポリオール化合物中の水酸基(OH)とポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基(NCO)のモル比で[NCO]/[OH]=2.0~2.5の範囲で行われる。
【0036】
湿気硬化性ウレタン樹脂の原料となるポリオール化合物としては、ポリウレタンの製造に通常用いられている公知のポリオール化合物を使用することができ、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリアルキレンポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。これらのポリオール化合物は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、多価カルボン酸とポリオールとの反応により得られるポリエステルポリオール、ε-カプロラクトンを開環重合して得られるポリ-ε-カプロラクトンポリオール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールの原料となる上記多価カルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5-ナフタル酸、2,6-ナフタル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボン酸、ドデカメチレンジカルボン酸等が挙げられる。
ポリエステルポリオールの原料となるポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール等が挙げられる。
【0037】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラヒドロフランの開環重合物、3-メチルテトラヒドロフランの開環重合物、及び、これら若しくはその誘導体のランダム共重合体又はブロック共重合体、ビスフェノール型のポリオキシアルキレン変性体等が挙げられる。
ここで、ビスフェノール型のポリオキシアルキレン変性体は、ビスフェノール型分子骨格の活性水素部分にアルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド等)を付加反応させて得られるポリエーテルポリオールである。該ポリエーテルポリオールは、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。上記ビスフェノール型のポリオキシアルキレン変性体は、ビスフェノール型分子骨格の両末端に、1種又は2種以上のアルキレンオキシドが付加されていることが好ましい。
ビスフェノール型としては特に限定されず、A型、F型、S型等が挙げられ、好ましくはビスフェノールA型である。
【0038】
ポリアルキレンポリオールとしては、例えば、ポリブタジエンポリオール、水素化ポリブタジエンポリオール、水素化ポリイソプレンポリオール等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリヘキサメチレンカーボネートポリオール、ポリシクロヘキサンジメチレンカーボネートポリオール等が挙げられる。
【0039】
湿気硬化性ウレタン樹脂の原料となるポリイソシアネート化合物としては、芳香族ポリイソシアネート化合物、脂肪族ポリイソシアネート化合物が好適に用いられる。
芳香族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートの液状変性物、ポリメリックMDI、トリレンジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、なかでも、全硬化後の接着力を高くできる観点から、ジフェニルメタンジイソシアネート及びその変性物が好ましい。
ポリイソシアネート化合物は、単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
【0040】
湿気硬化性ウレタン樹脂は、下記式(1)で表される構造を有するポリオール化合物を用いて得られたものが好ましい。下記式(1)で表される構造を有するポリオール化合物を用いることにより、接着性に優れる硬化性樹脂組成物、及び、柔軟で伸びがよい硬化物を得ることができ、ラジカル重合性化合物との相溶性に優れるものとなる。また、貯蔵弾性率を上記した所望の範囲内に調整しやすくなる。
なかでも、プロピレングリコール、テトラヒドロフラン(THF)化合物の開環重合化合物、又は、メチル基等の置換基を有するテトラヒドロフラン化合物の開環重合化合物からなるポリエーテルポリオールを用いたものが好ましい。また、テトラヒドロフラン化合物の開環重合化合物がより好ましく、ポリテトラメチレンエーテルグリコールが特に好ましい。
【0041】
【化1】
式(1)中、Rは、水素原子、メチル基、又は、エチル基を表し、lは、0~5の整数、mは、1~500の整数、nは、1~10の整数である。lは、0~4であることが好ましく、mは、50~200であることが好ましく、nは、1~5であることが好ましい。なお、lが0の場合とは、Rと結合した炭素が直接酸素と結合している場合を意味する。
上記した中では、nとlの合計が1以上であることがより好ましく、3~6がさらに好ましい。また、Rは水素原子、メチル基であることがより好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0042】
本発明で使用する加水分解性シリル基含有樹脂は、分子内の加水分解性シリル基が空気中又は被着体中の水分と反応して硬化する。
加水分解性シリル基含有樹脂は、1分子中に加水分解性シリル基を1個のみ有していてもよいし、2個以上有していてもよい。なかでも、分子の主鎖両末端に加水分解性シリル基を有することが好ましい。
なお、上記加水分解性シリル基含有樹脂として、イソシアネート基を有するものを含まない。
【0043】
加水分解性シリル基は、下記式(2)で表される。
【化2】
式(2)中、Rは、それぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数6以上20以下アリール基、炭素数7以上20以下のアラルキル基、又は、-OSiR (Rは、それぞれ独立に、炭素数1以上20以下の炭化水素基である)で示されるトリオルガノシロキシ基である。また、式(2)中、Xは、それぞれ独立に、ヒドロキシ基又は加水分解性基である。さらに、式(2)中、aは、1~3の整数である。
【0044】
上記加水分解性基は特に限定されず、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基等が挙げられる。なかでも、活性が高いことから、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基が好ましい。また、加水分解性が穏やかで取扱いやすいことから、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基がさらに好ましい。また、安全性の観点からは、反応により脱離する化合物がそれぞれエタノール、アセトンである、エトキシ基、イソプロペノキシ基が好ましい。
【0045】
上記ヒドロキシ基又は上記加水分解性基は、1個のケイ素原子に対して、1~3個の範囲で結合することができる。上記ヒドロキシ基又は上記加水分解性基が1個のケイ素原子に対して2個以上結合する場合には、それらの基は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0046】
上記式(2)におけるaは、硬化性の観点から、2又は3であることが好ましく、3であることが特に好ましい。また、保存安定性の観点からは、aは、2であることが好ましい。
また、上記式(2)におけるRとしては、例えば、メチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基、トリメチルシロキシ基、クロロメチル基、メトキシメチル基等があげられる。なかでも、メチル基が好ましい。
【0047】
上記加水分解性シリル基としては、例えば、メチルジメトキシシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリス(2-プロペニルオキシ)シリル基、トリアセトキシシリル基、(クロロメチル)ジメトキシシリル基、(クロロメチル)ジエトキシシリル基、(ジクロロメチル)ジメトキシシリル基、(1-クロロエチル)ジメトキシシリル基、(1-クロロプロピル)ジメトキシシリル基、(メトキシメチル)ジメトキシシリル基、(メトキシメチル)ジエトキシシリル基、(エトキシメチル)ジメトキシシリル基、(1-メトキシエチル)ジメトキシシリル基、(アミノメチル)ジメトキシシリル基、(N,N-ジメチルアミノメチル)ジメトキシシリル基、(N,N-ジエチルアミノメチル)ジメトキシシリル基、(N,N-ジエチルアミノメチル)ジエトキシシリル基、(N-(2-アミノエチル)アミノメチル)ジメトキシシリル基、(アセトキシメチル)ジメトキシシリル基、(アセトキシメチル)ジエトキシシリル基等が挙げられる。
【0048】
加水分解性シリル基含有樹脂としては、例えば、加水分解性シリル基含有(メタ)アクリル樹脂、分子鎖末端又は分子鎖末端部位に加水分解性シリル基を有する有機重合体、加水分解性シリル基含有ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
加水分解性シリル基含有(メタ)アクリル樹脂は、主鎖に加水分解性シリル基含有(メタ)アクリル酸エステルおよび/または(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰り返し構成単位を有することが好ましい。
【0049】
加水分解性シリル基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル、(メタ)アクリル酸3-(トリエトキシシリル)プロピル、(メタ)アクリル酸3-(メチルジメトキシシリル)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(トリメトキシシリル)エチル、(メタ)アクリル酸2-(トリエトキシシリル)エチル、(メタ)アクリル酸2-(メチルジメトキシシリル)エチル、(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルメチル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルメチル、(メタ)アクリル酸(メチルジメトキシシリル)メチル等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ヘプチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸n-ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。
【0050】
加水分解性シリル基含有(メタ)アクリル樹脂を製造する方法としては、具体的には例えば、国際公開第2016/035718号に記載されている加水分解性ケイ素基含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体の合成方法等が挙げられる。
上記分子鎖末端又は分子鎖末端部位に加水分解性シリル基を有する有機重合体は、主鎖の末端及び側鎖の末端の少なくともいずれかに加水分解性シリル基を有する。
上記主鎖の骨格構造は特に限定されず、例えば、飽和炭化水素系重合体、ポリオキシアルキレン系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体等が挙げられる。
【0051】
上記ポリオキシアルキレン系重合体としては、例えば、ポリオキシエチレン構造、ポリオキシプロピレン構造、ポリオキシブチレン構造、ポリオキシテトラメチレン構造、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体構造、ポリオキシプロピレン-ポリオキシブチレン共重合体構造を有する重合体等が挙げられる。
上記分子鎖末端又は分子鎖末端部位に加水分解性シリル基を有する有機重合体を製造する方法としては、具体的には例えば、国際公開第2016/035718号に記載されている、分子鎖末端又は分子鎖末端部位のみに架橋性シリル基を有する有機重合体の合成方法が挙げられる。また、上記分子鎖末端又は分子鎖末端部位に加水分解性シリル基を有する有機重合体を製造する他の方法としては、例えば、国際公開第2012/117902号に記載されている反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体の合成方法等が挙げられる。
【0052】
上記加水分解性シリル基含有ポリウレタン樹脂を製造する方法としては、例えば、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させてポリウレタン樹脂を製造する際に、さらに、シランカップリング剤等のシリル基含有化合物を反応させる方法等が挙げられる。具体的には例えば、特開2017-48345号公報に記載されている加水分解性シリル基を有するウレタンオリゴマーの合成方法等が挙げられる。
【0053】
上記シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシ-エトキシ)シラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメチルジメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。なかでも、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランが好ましい。これらのシランカップリング剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0054】
また、湿気硬化性ウレタン樹脂は、イソシアネート基と加水分解性シリル基の両方を有していてもよい。イソシアネート基と加水分解性シリル基の両方を有する湿気硬化性ウレタン樹脂は、まず、上記した方法にてイソシアネート基を有する湿気硬化性ウレタン樹脂を得て、さらに該湿気硬化性ウレタン樹脂にシランカップリング剤を反応させることで製造することが好ましい。
なお、イソシアネート基を有する湿気硬化性ウレタン樹脂の詳細は上記したとおりである。なお、湿気硬化性に反応させるシランカップリング剤としては、上記で列挙したものから適宜選択して使用すれば良いが、イソシアネート基との反応性の観点からアミノ基又はメルカプト基を有するシランカップ剤を使用することが好ましい。好ましい具体的としては、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメチルジメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0055】
さらに、湿気硬化性樹脂は、ラジカル重合性官能基を有していてもよい。湿気硬化性樹脂が有していてもよいラジカル重合性官能基としては、不飽和二重結合を有する基が好ましく、特に反応性の面から(メタ)アクリロイル基がより好ましい。なお、ラジカル重合性官能基を有する湿気硬化性樹脂は、上記したラジカル重合性化合物には含まず、湿気硬化性樹脂として扱う。
【0056】
湿気硬化性樹脂は、上記した各種の樹脂から適宜選択して1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。2種以上併用する場合には、例えば、ウレタン樹脂を2種以上併用することが好ましく、加水分解性シリル基含有湿気硬化性ウレタン樹脂と、上記した、ウレタン結合とイソシアネート基とを有する湿気硬化性ウレタン樹脂とを併用することが好ましい。
【0057】
湿気硬化性樹脂の重量平均分子量は特に限定されないが、好ましい下限は800、好ましい上限は30000である。重量平均分子量がこの範囲であると、硬化性組成物の貯蔵弾性率、粘度などを上記した範囲内に調整しやすくなる。
湿気硬化性樹脂の重量平均分子量のより好ましい下限は2000、より好ましい上限は25000、さらに好ましい下限は2500、さらに好ましい上限は20000である。なお、本明細書において上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定を行い、ポリスチレン換算により求められる値である。GPCによってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定する際のカラムとしては、Shodex LF-804(昭和電工社製)が挙げられる。また、GPCで用いる溶媒としては、テトラヒドロフランが挙げられる。
【0058】
硬化性樹脂組成物において、ラジカル重合性化合物と、湿気硬化性樹脂の合計含有量は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは60質量部以上、より好ましくは75質量部以上、さらに好ましくは80質量部以上である。また、合計含有量は、硬化性樹脂組成物全量に対して、100質量部以下であればよいが、好ましくは98質量部以下、さらに好ましくは95質量部以下である。ラジカル重合性化合物と、湿気硬化性樹脂の合計含有量を所定範囲内とすると、アスペクト比、厚さ変化率などを上記した範囲内に調整しやすくなる。
なお、本発明においては、硬化性樹脂組成物は、湿気硬化性樹脂を含有しないこともあるが、そのような場合、上記合計含有量とは、ラジカル重合性化合物単独の含有量を意味することになる。
【0059】
硬化性樹脂組成物が湿気硬化性樹脂を含有する場合、ラジカル重合性化合物に対する湿気硬化性樹脂の質量比は、0.3以上6以下が好ましく、0.5以上4以下が好ましく、0.75以上3以下がより好ましい。
本発明においては、ラジカル重合性化合物及び湿気硬化性樹脂の配合量を上記範囲内とすることで、Bステージ状態において、一定の硬さが付与され、厚さ変化率を上記した範囲内に調整しやすくなる。また、湿気硬化により全硬化時の接着力を高めやすくなり、かつ上記した貯蔵弾性率も所望の範囲内に調整しやすくなる。
【0060】
また、本発明においては、上記したように硬化物の貯蔵弾性率を低くするためには、硬化物において、弾性率が低くなる成分を含有させるとよい。そのような成分の具体的としては、ラジカル重合性化合物として、フェノキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、ポリエーテルアクリレートウレタンアクリレートなどが挙げられる。また、湿気硬化性樹脂としては、ポリエーテルポリオール由来の湿気硬化性ウレタン樹脂が挙げられる。本発明では、ラジカル重合性化合物又は湿気硬化性樹脂のいずれか一方が、これら弾性率が低くなる成分を含有するとよいが、両方が、弾性率が低くなる成分を含有してもよい。
【0061】
(充填剤)
本発明の硬化性樹脂組成物は、充填剤を含有することが好ましい。充填剤を含有することにより、本発明の硬化性樹脂組成物のTI値、粘度を上記した範囲内に調整しやすくなる。また、塗布後の形状保持性が良好となり、アスぺクト比を大きくできる。
充填剤としては、粒子状のものを使用すればよい。充填剤の一次粒子径は、好ましくは1nm以上100nm以下である。充填剤の一次粒子径がこの範囲であることにより、得られる硬化型樹脂組成物の塗布性が良好となる。また、塗布後の形状保持性に優れ、上記したアスペクト比を高くしやすくなる。充填剤の一次粒子径は、より好ましくは3nm以上80nm以下、更に好ましくは5nm以上50nm以下である。
なお、上記充填剤の一次粒子径は、NICOMP 380ZLS(PARTICLE SIZING SYSTEMS社製)等の粒度分布測定装置を用いて、上記充填剤を溶媒(水、有機溶媒等)に分散させて測定することができる。
【0062】
充填剤としては、無機充填剤が好ましく、例えば、シリカ、タルク、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸カルシウム等が挙げられる。なかでも、得られる光湿気硬化型樹脂組成物が紫外線透過性に優れるものとなることから、シリカが好ましい。
【0063】
充填剤は、疎水性表面処理がなされていることが好ましい。疎水性表面処理により、得られる硬化型樹脂組成物が塗布後の形状保持性が良好となり、上記したアスペクト比を大きくしやすくなる。疎水性表面処理としては、シリル化処理、アルキル化処理、エポキシ化処理等が挙げられる。なかでも、アスペクト比を大きくする観点から、シリル化処理が好ましく、トリメチルシリル化処理がより好ましい。
【0064】
充填剤を疎水性表面処理する方法としては、例えば、シランカップリング剤等の表面処理剤を用いて、充填剤の表面を処理する方法等が挙げられる。
例えば、上記トリメチルシリル化処理シリカは、例えば、シリカをゾルゲル法等の方法で合成し、シリカを流動させた状態でヘキサメチルジシラザンを噴霧する方法、アルコール、トルエン等の有機溶媒中にシリカを加え、更に、ヘキサメチルジシラザンと水とを加えた後、水と有機溶媒とをエバポレーターで蒸発乾燥させる方法等により作製することができる。
【0065】
充填剤の含有量は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、例えば5質量部以上であり、好ましくは8質量部以上である。8質量部以上とすることで、作業性及び塗布性の観点からラジカル重合性化合物や湿気硬化性樹脂として上記低粘度のものを使用しつつ、塗布後の形状安定性も良好となり、上記したアスペクト比が大きくなりやすい。これら観点から、上記充填剤の含有量は、9質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましい。
また、塗布性、接着性などの観点から、充填剤の含有量は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、25質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、16質量部以下がさらに好ましい。
充填剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0066】
(光ラジカル重合開始剤)
本発明の硬化性樹脂組成物は、光硬化性を確保するために、光ラジカル重合開始剤を含有することが好ましい。光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、α-アミノアルキルフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノンなどのアセトフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、チタノセン系化合物、オキシムエステル系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、チオキサントン等が挙げられる。これらの中では、タック値、及び貯蔵弾性率を所定の範囲内に調整しやすくする観点から、アセトフェノン系化合物が好ましく、α-アミノアルキルフェノンがより好ましい。
上記光ラジカル重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、IRGACURE184、IRGACURE369、IRGACURE379、IRGACURE379EG、IRGACURE651、IRGACURE784、IRGACURE819、IRGACURE907、IRGACURE2959、IRGACURE OXE01、ルシリンTPO(いずれもBASF社製)、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル(いずれも東京化成工業社製)等が挙げられる。
【0067】
硬化性樹脂組成物における光ラジカル重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性化合物100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上10質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上5質量部以下である。光ラジカル重合開始剤の含有量がこの範囲内であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が光硬化性及び保存安定性に優れたものとなる。また、上記範囲内とすることで、光ラジカル重合化合物が適度に硬化され、上記した貯蔵弾性率、アスペクト比、厚さ変化率を所定の範囲内に調整しやすくなる。
【0068】
(湿気硬化促進触媒)
硬化性樹脂組成物は、上記湿気硬化性樹脂の湿気硬化反応を促進させる湿気硬化促進触媒を含有してもよい。湿気硬化促進触媒を使用することにより、硬化性樹脂組成物は、湿気硬化性がより優れたものとなり、接着力をより高いものとすることが可能になる。
湿気硬化促進触媒としては、具体的には例えば、ジラウリル酸ジn-ブチルスズ、ジ酢酸ジn-ブチルスズ、オクチル酸スズ等のスズ化合物、トリエチルアミン、U-CAT651M(サンアプロ社製)、U-CAT660M(サンアプロ社製)、U-CAT2041(サンアプロ社製)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、2,6,7-トリメチル-1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等のアミン化合物、オクチル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛等の亜鉛化合物、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト等を用いることができる。
湿気硬化促進触媒の含有量は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下が好ましく、0.1質量部以上7質量部以下がより好ましい。湿気硬化促進触媒の含有量がこの範囲内であることにより、硬化性樹脂組成物の保存安定性等を悪化させることなく、湿気硬化反応を促進させる効果が優れたものとなる。
【0069】
(カップリング剤)
硬化性樹脂組成物は、カップリング剤を含有してもよい。カップリング剤を含有することで、接着力を向上させやすくなる。カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、ジルコネート系カップリング剤等が挙げられる。なかでも、接着性を向上させる効果に優れることから、シランカップリング剤が好ましい。上記カップリング剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
カップリング剤の含有量は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、0.05質量部以上5質量部以下が好ましく、0.2質量部以上3質量部以下がより好ましい。カップリング剤の含有量がこれら範囲内とすることで、各種物性に影響を及ぼすことなく、接着力を向上させられる。
また、硬化性樹脂組成物は、上記で述べた成分以外にも、ワックス粒子、イオン液体、着色剤、発泡粒子、膨張粒子、反応性希釈剤などのその他の添加剤を含有していてもよい。
【0070】
本発明の硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、溶剤により希釈されていてもよい。硬化性樹脂組成物が溶剤により希釈される場合、硬化性樹脂組成物の質量部は、固形分基準であり、すなわち、溶剤を除いた質量部を意味する。
【0071】
本発明の硬化性樹脂組成物を製造する方法としては、混合機を用いて、ラジカル重合性化合物、湿気硬化性樹脂、及び、必要に応じて配合される、光ラジカル重合開始剤、充填剤などのその他の添加剤とを混合する方法等が挙げられる。混合機としては、例えば、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリーミキサー(遊星式撹拌装置)、ニーダー、3本ロール等が挙げられる。
【0072】
[硬化性樹脂組成物の使用方法]
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化され、硬化体として使用されるものである。本発明の硬化性樹脂組成物は、少なくとも光照射により光硬化されるものである。本発明の硬化性樹脂組成物は、例えば、被着体間に配置された状態で、硬化されることで被着体間を接合できる。この際、一方の被着体に塗布し、その後、塗布された硬化性樹脂組成物を介して、他方の被着体を一方の被着体に重ね合わせるとよい。
【0073】
また、光湿気硬化型である場合には、光照射により光硬化して例えばBステージ状態(半硬化状態)にして、その後、さらに、湿気により硬化して全硬化させるとよい。ここで、光湿気硬化型の硬化性樹脂組成物は、被着体間に配置させ、その被着体間を接合させる場合には、一方の被着体に塗布し、その後、光照射により光硬化させ、例えばBステージ状態にし、その光硬化した硬化性樹脂組成物の上に他方の被着体を重ね合わせ、被着体間を適度な接着力(初期接着力)で仮接着させるとよい。その後、Bステージ状態の硬化性樹脂組成物は、湿気硬化性樹脂を湿気により硬化させることで、全硬化させ、硬化性樹脂組成物を介して重ね合わせた被着体間が十分な接着力で接合される。
【0074】
被着体への硬化性樹脂組成物の塗布は、ディスペンサーで行うことが好ましい。ディスペンサーとしては、エアディスペンサー、ジェットディスペンサー、モノポンプディスペンサー、スクリューディスペンサー、ハンドガンディスペンサーなどが挙げられるが、特に限定されない。
また、光硬化時に照射する光は、ラジカル重合性化合物が硬化する光であれば特に限定されないが、紫外線が好ましい。また、硬化性樹脂組成物は、湿気により全硬化させるときには、大気中に所定時間放置すればよい。
【0075】
本発明の硬化性樹脂組成物は、好ましくは電子機器用接着剤に使用される。したがって、被着体は、特に限定されないが、好ましくは、電子機器を構成する各種部品である。電子機器を構成する各種部品としては、電子部品、又は電子部品が取り付けられる基板などであり、より具体的には、表示素子に設けられる各種の電子部品、電子部品が取り付けられる基板、半導体チップなどが挙げられる。被着体の材質としては、金属、ガラス、プラスチック等のいずれでもよい。また、被着体の形状としては、特に限定されず、例えば、フィルム状、シート状、板状、パネル状、トレイ状、ロッド(棒状体)状、箱体状、筐体状等が挙げられる。
【0076】
例えば、本発明の硬化性樹脂組成物は、電子機器内部などにおいて、例えば基板と基板とを接着して組立部品を得るために使用される。このようにして得られた組立部品は、第1の基板と、第2の基板と、本発明の硬化体を有し、第1の基板の少なくとも一部が、第2の基板の少なくとも一部に硬化体を介して接合される。なお、第1の基板及び第2の基板は、好ましくは、それぞれ少なくとも1つの電子部品が取り付けられている。
【0077】
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、狭額縁用途で使用されることが好ましい。例えば、スマートフォンなどの携帯電話、携帯ゲーム機等の各種表示素子付きモバイル機器では、細幅の四角枠状(すなわち、狭額縁)のベースの上に、接着剤が塗布されて、その接着剤を介して表示パネル、タッチパネルなどが組み付けられるが、本発明では、その接着剤として、硬化性樹脂組成物を使用するものである。
さらに、本発明の硬化性樹脂組成物は、半導体チップ用途で使用することが好ましい。本発明の硬化性樹脂組成物は、半導体チップの用途では、例えば、半導体チップ同士を接合するために使用される。
【0078】
半導体チップや、狭額縁用途などでは、接着剤を例えば0.2~2mm、好ましくは0.3~1.0mmの細幅に塗布する必要があるが、本発明の硬化性樹脂組成物は、上記した各種特性(TI値、粘度など)を有することで、そのような細幅に塗布することが可能になる。また、細幅に塗布しても、第1の要件を満たすことで、硬化性樹脂組成物と被着体の間の空洞等が少なくなるので、被着体の剥がれなどが生じにくくなる。さらに、第2の要件を満たすことで、硬化性樹脂組成物は荷重が掛けられても厚さが大きく変化することがないので、被着体間のギャップを一定に維持することが可能になる。
【実施例0079】
本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【0080】
本実施例において、各種物性の測定、及び評価は以下のように行った。
<粘度、及びTI値>
粘度は、コーンプレート型粘度計(商品名TVE-35、東機産業社製)を用いて1rpm、25℃の条件で測定した。また、TI値は、同じコーンプレート型粘度計を用いて、25℃、1rpmの条件で測定した粘度を、25℃、10rpmの条件で測定した粘度で除した値である。
【0081】
<貯蔵弾性率>
硬化性樹脂組成物を、幅3mm、長さ30mm、厚み1mmのテフロン(登録商標)型に流し込み、硬化させることで硬化体を得る。硬化性樹脂組成物の硬化は、水銀ランプで3000mJ/cm照射することによって光硬化させ、その後、3日間、23℃、50RH%の環境下に放置することにより湿気硬化させることで行った。
得られた硬化体を用いて動的粘弾性測定装置(IT計測制御社製、商品名「DVA-200」)により、-100℃~150℃の範囲で動的粘弾性を測定し、室温(25℃)における貯蔵弾性率を求める。測定条件は、変形モードが引っ張り、設定ひずみが1%、測定周波数が1Hz、昇温速度が5℃/minである。
【0082】
<アスペクト比>
エアディスペンサー(「SHOTMASTER200DS」、武蔵エンジニアリング社製)を用いてポリカーボネート基板(商品名「ユーピロン GSH2010LR-Y082 GF10%」、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)に50℃に加温した樹脂を塗布した。塗布条件は、クリアランスが1.0mm、ノズル内径が0.4mm、吐出圧力が0.38MPa、速度1.0mm/秒、塗布長さ25mmで行った。
塗布を完了した5秒後の硬化性樹脂組成物にLEDランプ(商品名「EXECURE H-1VC2」、HOYA CANDEO OPTRONICS社製、ヘッドユニットは「H-1VH-01」を使用)で365nmの紫外線を1000mJ/cm照射した。次いで、25℃、50%RHの環境下で16時間放置後、レーザー顕微鏡(商品名「VK-X200」、キーエンス社製)により樹脂硬化物の幅(最大幅)と高さ(最大高さ)を測定し、硬化物の幅に対する高さの比をアスペクト比として算出した。
【0083】
<厚さ変化率>
アルミニウム基板(長さ72mm、幅52mm、厚み2mm)を用意し、その基板の外縁部に沿うように全周にわたって基板の一方の面上に硬化性樹脂組成物を塗布した。硬化性樹脂組成物の塗布は、線幅が1mm、厚さ0.2mmになるようにした。次に、その塗布された硬化性樹脂組成物に、LEDランプで365nmの紫外線を1000mJ/cm照射して光硬化させた。その後、光硬化した硬化性樹脂組成物の上に、25℃の環境下でアルミニウム基板と同じサイズのガラス基板を重ねて280gの重りを作用させることで0.03MPaの荷重をかけて、厚さ変化率を測定した。ガラス基板を重ねる前の硬化性樹脂組成物の厚さをA、ガラス基板を重ねて重り280gを作用させた10秒後の硬化性樹脂組成物の厚さをBとすると、(A-B)/A×100により厚さ変化率を測定した。また、ギャップ形成性の評価として、厚さ変化率が30%以下である場合をAA、30%超40%以下である場合をA、40%超である場合をBとして評価した。
なお、硬化性樹脂組成物の厚さは、デジタルマイクロスコープ(商品名「KH-7800」、ハイロックス社製)により観察して測定した。
【0084】
<貼り合わせ時の空洞>
アルミニウム基板(長さ72mm、幅52mm、厚み2mm)を用意し、その基板に外周が70mm×48mmとなるように硬化性樹脂組成物を塗布した。硬化性樹脂組成物の塗布は、線幅が0.4mmになるようにした。次に、その塗布された硬化性樹脂組成物に、LEDランプで365nmの紫外線を1000mJ/cm照射して光硬化させた。その後、光硬化した硬化性樹脂組成物の上に、アルミニウム基板と同じサイズのガラス基板を重ねて200gの重りを10秒間作用させた。この試験片をデジタルマイクロスコープ(商品名「KH-7800」、ハイロックス社製)で観察し、空洞が一つでもあればB、なければAとした。
【0085】
湿気硬化性ウレタン樹脂Aは、以下の合成例1に従って作製した。
[合成例1]
ポリオール化合物として100質量部のポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱化学社製、商品名「PTMG-2000」)と、0.01質量部のジブチル錫ジラウレートとを500mL容のセパラブルフラスコに入れ、真空下(20mmHg以下)、100℃で30分間撹拌し、混合した。その後常圧とし、ポリイソシアネート化合物としてジフェニルメタンジイソシアネート(日曹商事社製、商品名「Pure MDI」)26.5質量部を入れ、80℃で3時間撹拌して反応させ、湿気硬化性ウレタン樹脂(重量平均分子量2700)を得た。
【0086】
湿気硬化性ウレタン樹脂Bは、以下の合成例2に従って作製した。
[合成例2]
ポリオール化合物として100質量部のポリカプロラクトン(ダイセル社製、商品名「プラクセルH1P」)と、0.01質量部のジブチル錫ジラウレートとを500mL容のセパラブルフラスコに入れ、真空下(20mmHg以下)、100℃で30分間撹拌し、混合した。その後常圧とし、ポリイソシアネート化合物としてジフェニルメタンジイソシアネート(日曹商事社製、商品名「Pure MDI」)5.3質量部を入れ、80℃で3時間撹拌して反応させ、湿気硬化性ウレタン樹脂(重量平均分子量12000)を得た。
【0087】
各実施例、比較例で使用した、湿気硬化性ウレタン樹脂以外の成分は、以下のとおりであった。
単官能アクリレート1:フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学社製、「ライトアクリレートPO-A」)
単官能アクリレート2:イソボルニルアクリレート(ダイセル・オルネクス社製、「IBOAB」)
単官能アクリレート3:N-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド(東亜合成社製、「アロニックスM-140」)
光ラジカル重合開始剤:2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1(BASF社製、「IRGACURE369」)
湿気硬化促進触媒:U-CAT660M(サンアプロ社製)
充填剤:トリメチルシリル化処理シリカ(日本アエロジル社製、「R812」、一次粒子径7nm)
【0088】
[実施例1~6、比較例1~3]
表1に記載された配合比に従い、各材料を、遊星式撹拌装置(シンキー社製、「あわとり練太郎」)にて温度50℃で撹拌した後、セラミック3本ロールにて温度50℃で均一に混合して実施例1~6、比較例1~3の硬化性樹脂組成物を得た。
【0089】
【表1】
【0090】
以上の実施例1~6に示すように、硬化性樹脂組成物は、塗布して硬化した後のアスペクト比が0.6以上となることで、貼り合わせ時の空洞を少なくすることができたため、剥がれなどが生じにくくなる。また、荷重を掛けても、厚さ変化率が小さいので、アスペクト比が大きいにもかかわらず、被着体間に一定のギャップを形成しやすくなる。
それに対して、比較例1~3においては、硬化性樹脂組成物は、塗布して硬化した後のアスペクト比が小さいので、貼り合わせ時の空洞を少なくできずに、剥がれが生じやすかった。