(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026615
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】スリップ防止靴カバー
(51)【国際特許分類】
A43B 3/16 20220101AFI20240220BHJP
B29D 35/04 20100101ALI20240220BHJP
【FI】
A43B3/16 C
A43B3/16 A
B29D35/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023223454
(22)【出願日】2023-12-28
(62)【分割の表示】P 2021075586の分割
【原出願日】2021-04-28
(31)【優先権主張番号】16/862,526
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521185262
【氏名又は名称】ユーエー トーマス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トーマス エム. マクナット
(72)【発明者】
【氏名】ブンチャー トモゴル
(72)【発明者】
【氏名】ノッパドール ポルブンディ
(72)【発明者】
【氏名】デイブ ナラシマーン
(72)【発明者】
【氏名】スダーシャーン ナラシマーン
(57)【要約】
【課題】 靴カバーは、硫黄架橋剤および硫黄直鎖を生成する可溶性硫黄であるS8硫黄環を触媒的に分解するジチオカルバミン酸亜鉛を含む促進剤の低減された量を含む天然ラテックス製品である。
【解決手段】 初期加硫組成物中に存在する界面活性剤は、天然ポリイソプレン粒子を湿潤させ、小サイズ硫黄をこれらの粒子内部に浸透させ、それにより、粒子を初期加硫する。ラテックスエマルジョンは、後加硫硬化サイクル中、粒子間架橋する促進剤を含む後加硫組成物も有する。浸漬された天然ポリイソプレン製品を、粒子間および粒子内領域の両方において実質的に均一に硬化し、高架橋密度、二重結合の一様な分布ならびに境界または元の粒子における亜鉛偏析を確実に示す。天然ゴム薄膜は、靴カバーの低弾性率と共に、高い引張強さ、引張弾性率、引裂強さ、伸びを示す。靴カバーの底面をエッチして、スリップ防止面を得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ポリイソプレンラテックス靴カバー製品であって、前記天然ポリイソプレンラテックス靴カバー製品は:
a.硫黄の鎖に触媒的に分解され、1つ以上の界面活性剤の使用によって天然ラテックス粒子中に組み込まれた可溶性硫黄の添加によって初期加硫された天然ポリイソプレン粒子と;
b.凝固剤被覆靴カバー浸漬型に適用されたラテックス浴を形成し、それにより、第一天然ラテックス層を形成する前記天然ポリイソプレンと;
c.第一ラテックス層被覆浸漬型をより厚くより高粘度天然ラテックス中に浸漬して、前記靴カバーの底部の接地部分上にのみより厚い第二ラテックス層を形成していることと;
d.前記第二ラテックス層を、別々の並流を形成する非極性溶媒および極性溶媒のゆっくり流れ並流する層流中でエッチングし、極性溶媒は、天然ラテックスコーティングを溶解して平行溝を形成し、非極性溶媒は、天然ラテックスコーティングを攻撃せず、前記溝を囲むように突条部を形成していることと;
e.第一天然ラテックス層上にエッチングされた第二天然ラテックス層を有する前記第一ラテックス層被覆浸漬型を、ポリマー溶液に浸漬し、110℃、120℃および130℃に設定された3つのオーブンに通過させて、前記ラテックス層および耐摩耗性ポリマーコーティングを硬化していることと;
それによって、前記靴カバーの底部の突条部と結合されたエッチングされた溝を備えた前記天然ポリイソプレンラテックス靴カバー製品は、いずれもの油または水を前記靴カバーの後方に誘導して、増強された摩擦を提供して、使用者が着用した靴上の前記靴カバーの弾性伸縮性によって本質的に保持された前記靴カバーのスリップを防止していることと、
を含む、天然ポリイソプレンラテックス靴カバー製品。
【請求項2】
前記第一天然ラテックス層は、200~350ミクロン厚である、請求項1に記載の天然ポリイソプレンラテックス製品。
【請求項3】
前記第二天然ラテックス層は、800~1200ミクロン厚である、請求項1に記載の天然ポリイソプレンラテックス製品。
【請求項4】
前記非極性溶媒は、トルエンである、請求項1に記載の天然ポリイソプレンラテックス製品。
【請求項5】
前記非極性溶媒は、ベンゼンである、請求項1に記載の天然ポリイソプレンラテックス製品。
【請求項6】
前記極性溶媒は、エチルアルコールである、請求項1に記載の天然ポリイソプレンラテックス製品。
【請求項7】
前記極性溶媒は、適用された前記厚いラテックス層を凝固する働きをする酢酸である、請求項1に記載の天然ポリイソプレンラテックス製品。
【請求項8】
天然ポリイソプレンラテックス靴カバー製品の製造方法であって、前記方法は:
a.硫黄の鎖に触媒的に分解され、1つ以上の界面活性剤の使用によって天然ラテックス粒子に組み込まれた可溶性硫黄の添加によって、天然ポリイソプレン粒子を初期加硫することと;
b.凝固剤被覆靴カバー浸漬型を、適用された天然ポリイソプレンラテックス浴中に適
用し、それにより、第一天然ラテックス層を形成することと;
c.より厚くより高粘度天然ラテックス中に前記第一ラテックス層被覆浸漬型を浸漬して、より厚い第二ラテックス層を形成することと;
d.前記第二ラテックス層を、別々の並流を形成する非極性溶媒および極性溶媒のゆっくり流れ並流する層流中でエッチングし、極性溶媒は、天然ラテックスコーティングを溶解して平行溝を形成し、非極性溶媒は、天然ラテックスコーティングを攻撃せず、前記溝を囲むように突条部を形成することと;
e.第一天然ラテックス層上のエッチングされた第二天然ラテックス層を有する浸漬型を、ポリマー溶液中に浸漬することと;
f.第一および第二天然ラテックスコーティングを有する前記ポリマー溶液被覆浸漬型を、110℃、120℃および130℃に設定された3つのオーブンを通過させて、前記ラテックス層および前記耐摩耗性ポリマーコーティングを硬化することと;
それによって、前記靴カバーの底部の突条部と結合されたエッチングされた溝を備えた前記天然ポリイソプレンラテックス靴カバー製品は、いずれもの油または水を前記靴カバーの後方に誘導して、増強された摩擦を提供して、使用者が着用した靴上の前記靴カバーの弾性伸縮性によって本質的に保持された前記靴カバーのスリップを防止することと、
を含む、方法。
【請求項9】
前記可溶性硫黄は、高レベルのS8硫黄環を含む、請求項8に記載の天然ポリイソプレン製品の製造方法。
【請求項10】
前記初期加硫組成物促進剤は、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDEC)またはジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDBC)およびこれらの組合せから成る群から選択される、請求項8に記載の天然ポリイソプレン製品の製造方法。
【請求項11】
前記界面活性剤は、カプリル酸カリウム、ポリオキシエチレンセチル/ステアリルエーテル、アルキルアリールスルホネート、アルキルスルホネート、オレフィンスルホネート、アルコールスルホネートおよび/またはこれらの組合せを含む、請求項8に記載の天然ポリイソプレン製品の製造方法。
【請求項12】
前記アルキルアリールスルホネートは、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)である、請求項8に記載の天然ポリイソプレン製品の製造方法。
【請求項13】
前記アルキルスルホネートは、オレフィンスルホネートである、請求項8に記載の天然ポリイソプレン製品の製造方法。
【請求項14】
前記アルコールスルホネートは、ラウリルスルホン酸ナトリウムである、請求項8に記載の天然ポリイソプレン製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増強されたトラクションを有する天然ラテックス靴カバーの製造ならびに水性ラテックスエマルジョンから薄いラテックス製品に浸漬成形された天然ラテックスの制御された初期加硫粒子を使用する改良された粒子間および粒子内結合を用いたその方法に関する。靴カバーは、エッチングにより製造されたスリップ防止微細構造を有する靴底を有する天然ゴムから製造され、靴底の急速な摩耗を防止するアクリルコーティングによりさらにカバーされている。オーバーシューズは、常用の魅力的な靴上に容易に着用することができ、前記魅力的な靴を湿気や泥に暴露することを防止する、高伸縮性天然ゴム体が組み込まれている。オーバーシューズ体を成形するために使用される天然ラテックスは、硫黄および他の促進剤である架橋剤の量を低減し、ほんの110℃~130℃の低温において加硫して、約800%の伸びを提供する。
【背景技術】
【0002】
天然ラテックス靴カバーは、その低コストおよび容易に製造できることによって、加硫天然ゴムから通常製造される。天然ゴムは、ヘベア・ブラジリエンシスの木によってラテックス状に産生され、固有の特性を有する。これらの特性は、天然ゴムを、バリア保護製品の製造に特に有用にしている。天然ゴムの固有の特性の中でも、その高レベルの立体規則性があり、それを構成するポリマーは、ほぼ例外なくcis-1,4-イソプレン単位から成る鎖であることを意味する。さらに、天然ゴムラテックスは、高分子量および広い分子量分布を有する高分岐鎖ポリマーである。ベースとなるラテックスのこれらの特性は、強度および弾性の固有の組合せを有する加硫ゴム薄膜製品をもたらす。しかしながら、天然ポリイソプレンは、一部の感受性のある個体において皮膚アレルギー反応を引き起こすことが示されているタンパク質も含有する。
【0003】
浸漬成形法では、天然ポリイソプレンを含む加工品の大多数は、凝固剤浸漬法を使用したポリイソプレン製手袋の開発に注目されてきた。この種の方法では、手袋形状の成形は、先ず、ラテックス処方物を不安定化することが分かっている溶液に浸漬する。次いで、この凝固剤層を乾燥した後、成形品を配合ラテックス処方物の浴に浸漬する。凝固された湿ったラテックスゲルを通常水中に浸出して残界面活性剤を除去した後、ゴム薄膜の架橋を完了するために比較的高温において乾燥する。
【0004】
ゴム製品の製造において加硫または硫黄架橋剤を使用することは、周知である。硫黄架橋剤の有効性は、ジチオカルバメート、チアゾール類、グアニジン類、チオウレア類、アミン類、ジスルフィド類、チウラム類、ザンテート類およびスルホンアミド類を含む従来の促進剤によって向上される。ポリイソプレンゴム製造における加硫剤の使用は、D’Sidockyらの米国特許第5,744,552号およびRauchfussらの米国特許第6,114,469号に開示されている。
【0005】
Stevensonの米国特許第4,695,609号は、キサントゲンポリスルフィドおよびザンテート化合物のゴム100重量部当たり0.4重量部未満のニトロソ化可能物質を含有する加硫可能なゴム組成物を開示している。このゴム組成物は、ジヒドロカルビルキサントゲンポリスルフィドおよびヒドロカルビルキサントゲン酸金属塩およびジヒドロカルビルザンテート類から選択されるザンテートを含有する。水性ラテックスエマルジョン品目#9Eは、硫黄、酸化亜鉛およびジエチルジチオカルバミン酸亜鉛を含有し、4日のみ安定であり、ほんの22.4MPaの破断点引張強さ、および830%の伸びを有する。
【0006】
Stevensonの米国特許第5,254,635号は、ジベンジルチウラムスルフィドを含有するゴム組成物を開示している。テトラベンジルチウラムジスルフィドなどのジベンジルチウラムスルフィドは、ジヒドロカルビルキサントゲンポリスルフィドおよび/またはザンテートと配合され、有害なニトロソ化可能物質を生じない120~180℃において天然ゴムを架橋する組成物を提供する。しかしながら、この天然ラテックス組成物は硫黄を含まず、低レベルの立体規則性を有する合成cis-1,4-ポリイソプレンの粒子内領域と架橋しない。したがって、天然ポリイソプレンラテックスのためのこれらの架橋剤の使用は、特性の劣る均一でない製品をもたらすだろう。
【0007】
Munnらの米国特許第6,221,447号は、エネルギー印加により収縮するゴム製品および低アレルギー性ゴム状製品を開示している。この特許は、第二形状から収縮し、熱印加するとその元の形状および大きさになる低アレルギー性ゴム製品の製造を記載している。実施例は、使用中に個別使用者に適合するように収縮するだろうポリイソプレン製品を含む。この製品を製造するために使用される硬化パッケージは、過酸化物および/または硫黄などの薬剤から成る。
【0008】
Crepeauらの米国特許第6,391,326号は、安定なエマルジョン、製造方法、およびエラストマー薄膜の成形などの応用を開示している。エラストマー薄膜の製造のための安定なエマルジョンは、(1)非極性または僅かに極性な有機溶媒に溶解し、分散されたエラストマーを含有する相A、(2)相Aと混和することができる溶液中または極性溶媒中に分散されたポリマーを含有する相B、ならびに(3)ブロックポリマーおよびグラフトポリマーから成る群から選択される分散剤を含む。10μの径を有する相Bの液滴は、相A中に形成する。Crepeauらは、「フロック」形成に対するポロイソプレン水性ラテックスエマルジョンの安定化法を教示も示唆もしていない。
【0009】
米国特許第6,618,861号は、2.0百分率(「phr」)のテトラメチルチウラムスルフィド(「TMTD」)、0.2phrの2-メルカプトベンゾチアゾール亜鉛(「ZMBT」)、0.2phrのジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(「ZDBC」)、0.2phrの1,3-ジフェニル-2-チオウレアおよび0.2phrのジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(「ZDEC」)の促進剤系を含むポリイソプレンラテックス化合物に関する。しかしながら、硬化後、この促進剤系は、約1,900psiの引張強さしか提供しない。
【0010】
Dzikowiczの米国特許第6,653,380号および同第7,048,977号は、改良された引裂抵抗を有するラテックス薄膜化合物を開示している。方法は、ラテックス化合物に酸化防止剤と共に酸化防止相乗剤の添加することによって、ラテックス製品の引裂抵抗、引張強さ、およびエージング特性を増強する。ラテックス化合物は、ポリマー、安定化系、薄膜表面調整剤ならびに活性化剤、架橋剤および促進剤を含む硬化系を含む。酸化防止相乗剤としては、2-メルカプトベンゾイミダゾール(MBI)、2-メルカプトトルイミダゾール(MTI)、2-メルカプトベンゾイミダゾール亜鉛(ZMBI)および2-メルカプトトルイミダゾール亜鉛(ZMTI)が挙げられる。生成されたラテックス製品は、手袋であってよいが、糸、風船および他のラテックス関連製品を挙げることもできる。酸化防止剤の添加と共に使用されるラテックスは、ポリイソプレンラテックスを初期加硫しない。
【0011】
Wangらの米国特許第6,828,387号は、ポリイソプレン製品およびこの製造方法を開示している。この方法は、天然ゴムラテックスを使用する溶媒ベース方法のものと同様な引張強さ特性を示すポリイソプレン製品を製造する。方法は、硫黄、酸化亜鉛およびジチオカルバメート、チアゾール、およびグアニジン化合物を含む促進剤組成物と相乗性のラテックスを組合せ、硫黄、酸化亜鉛および促進剤組成物の3つ全ては、硬化前段
階において存在する必要がある。好ましい実施形態では、促進剤組成物は、カゼイン酸ナトリウムなどの主に牛乳タンパク質塩である安定化剤と共に、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDEC)、2-メルカプトベンゾチアゾール亜鉛(ZMBT)、およびジフェニルグアニジン(DPG)を含む。ポリイソプレンラテックス(通常、固形分60%)および安定化剤(例えば、カゼイン酸ナトリウム)は、環境温度(約20~25℃)において配合される。一定時間混合後、混合物は固形分40%まで水に希釈される。次いで、Wingstay Lが添加され、混合物は約15分間撹拌される。この時点で、pHを約8.5~9.0の範囲まで調製することができる。酸化亜鉛が添加され、次いで、硫黄および促進剤化合物は添加される。方法によって製造されたエラストマーポリイソプレン製品は、凝固剤被覆浸漬型上に浸漬された外科手術用手袋である。水性ラテックスエマルジョンは、最低限に安定でしかなく、最大で8日間安定である。得られた外科手術用手袋製品の引張強さは、約3,000psiまたは20.6MPaしかない。促進剤はラテックスエマルジョンに添加されるが、8日間まで低温に維持される。この水性ラテックス組成物の安定性は、Stevenson(米国特許第4,695,609号)のものより優れるが、製造方法のためにはまだ不充分である。
【0012】
Dzikowiczの米国特許第7,041,746号は、合成ポリイソプレンラテックスのための促進剤系を開示している。この促進剤系は、ジチオカルバメートおよびチオウレアを含み、低硬化温度において約3,000psi~約5,000psiの引張強さを有する合成ポリイソプレン薄膜を製造することができる。これらの促進剤はポリイソプレン粒子を初期加硫すると示されておらず、製造されたラテックス製品は300%伸びにおいて1.5MPaの非常に低い弾性率および20.6~34.4MPaの引張強さを有する。
【0013】
米国特許出願公開第2002/0173563(A1)号は、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(「ZDEC」)、2-メルカプトベンゾチアゾール亜鉛(「ZMBT」)、およびジフェニルグアニジン(「DPG」)を含む促進剤系の使用を含む、ラテックスからの浸漬された製品の製造方法を記載している。ZMBTと共にZDECは、天然ゴムラテックスのための一般的な促進剤系である。DPGの添加のみで、この促進剤系が3,000psi(20MPa)を超える引張強さを有する硬化薄膜を得ることを可能とする。
【0014】
Attrillらの英国特許出願公開第2,436,566号は、ポリイソプレンラテックスの初期加硫を最小限にすることを開示している。このポリイソプレンラテックスの製造方法は、配合成分と共に合成ポリイソプレンラテックスを配合すること、および初期加硫を最小限にするように低温においてラテックスを養生することを含む。コンドームの浸漬も、通常、15℃~20℃未満の低温において行われる。初期加硫されていないことは、製造された環の強さを確認することによって検証され、初期加硫物緩和弾性率は、初期加硫されていないことを示す0.1MPa未満の値を有する。ラテックスエマルジョンは、ジチオカルバメートなどの促進剤を含有してよい。’566特許出願は、ラテックス製品の浸漬前の初期加硫から離れて教示している。
【0015】
Larsonらの米国特許出願公開第2014/0196320号は、軟性クリートを備えたスリップ防止オーバーシューズおよび自然面のグリップ方法を開示している。このスリップ防止オーバーシューズは、トラクション増強のために曲線を付けて作られた外側帯ならびに該曲線を付けて作られた外側帯の内側に配置された第一グリップパッドおよび第二グリップパッドを備える。ウェブ構造は、第一グリップパッドおよび第二グリップパッドを、曲線を付けて作られた外側帯と連結する。複数のグリップデバイスは、自然面上のトラクション増強のために、第一グリップパッドおよび第二グリップパッドと結合している。グリップデバイスは、本体、本体の第一端部から延在するボタン、本体の周辺を囲むように配置された複数のスパイク、および本体の第二端部から延在する中心スパイクを
備える。くびれ部は、ボタンおよびスパイク間の本体を囲むように配置される。スパイクは、トラクションアーム、該トラクションアームに沿って形成された複数の端部および該トラクションアームに沿った第一端部と第二端部との間の凹んだ面を備える。スリップ防止要素はクリートを有し、天然ゴム靴カバーから形成されていない。
【0016】
Austinの米国特許出願公開第2019/0053575号は、オーバーシューズを開示している。様々な種類のフットウェアの上に履くことができる快適なオーバーシューズは、軟性で弾力のある靴底およびオーバーシューズをブーツまたは他のフットウェアを取り外し可能に取り付けるための手段を備える。靴底は、軟性で概して平面な内側壁を、該内側壁の上面中形成されたおよびこれから延在する複数の中空庇面体と共に備える。複数の三放射線支持部材は、内壁の底部から延在し、各庇面体の底面を囲むように間隔をおいて配置されている。オーバーシューズを履いている人が多数の不規則な形状を有する面を横切って歩く場合、オーバーシューズの靴底が面と接触するとき、特定の庇面体および支持部材は圧縮され、屈折され、および/または応力を受ける可能性がある。これは、使用者の足の衝撃を緩和し、非常に快適な歩行体験を提供する。本明細書に記載されているように構築されたオーバーシューズが砂利などの硬質な物体と接触する場合、物体の大きさおよび物体と衝突する靴底の特定部分もしくは領域に応じて、靴底は物体に順応し、これを「吸収」するかあるいは使用者が感じる衝撃を弱める。これらの形状は、オーバーシューズの底部に適用された天然ゴムコーティングを使用して形成されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、使用可能なエマルジョン寿命を提供して凝集もフロックもしない安定な天然ポリイソプレンラテックスエマルジョン組成物に浸漬型を浸漬することから製造される高伸長伸縮性靴カバーが求められている。組成物は、最終製品において粒子内および粒子間架橋を達成しなければならない。かかる組成物は、凝固剤の存在下、製品の浸漬成形を可能とし、その結果、増強された強度および改良された伸縮性を有するより薄く連続した欠陥のない層を備える製品を得ることができる。かかる製品は、時間経過によっても劣化せず、その物理的完全性を維持するであろう。本発明の目的は、かかる組成物、ならびにスリップ防止靴カバーを浸漬成形するためにかかる組成物を製造および使用する方法、およびそのように製造された製品、を提供することである。これらおよび他の目的および利点、ならびに更なる本発明の特徴は、本明細書に提供されている詳細な説明から明らかになるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、硝酸カルシウム凝固剤を使用して初期加硫天然ラテックスエマルジョンに靴形状の浸漬型を浸漬して、このように製造された靴カバーを硬化することによって硬化されたラテックス製品を提供する。
本発明は、エッチング法により形成された一連の溝および介在突条部によって、靴カバーの接地部分においてトラクションが増強された天然ラテックス靴カバーの製造に関する。エッチングは、靴カバー底面における溝を形成する天然ラテックスコーティングを溶解する1つ以上の極性溶媒と混合された非極性溶媒を含むエッチング溶液を含む。非極性溶媒は、トルエン、ベンゼンおよび極性溶媒とのその不混和性によっていくつかの並流を形成する他の非極性溶媒から選択される。いくつかの非極性溶媒は公知であるが、非極性溶媒の密度は、極性溶媒と作用して下記に詳述するように別々の流れを形成するのに重要な因子である。靴カバーは、エッチングにより製造されたスリップ防止微細構造を有する靴底を有する天然ゴムから製造され、靴底の急速な摩耗を防止するアクリルコーティングによりさらにカバーされている。オーバーシューズは、靴を湿気や泥に暴露することを防止する、常用の魅力的な靴上に容易に着用することができる高伸縮性天然ゴム体を混合している。オーバーシューズ体を成形するために使用される天然ラテックスは、硫黄および他
の促進剤である架橋剤の量を低減し、ほんの110℃~130℃の低温において初期加硫して、約800%の伸びを提供する。
1.靴の幅の約20%の幅を有する狭い浸漬型を浸漬し、先ず、硝酸カルシウム凝固剤コーティングで被覆し、乾燥し、次いで、50~55%の総固形分を有する促進剤または架橋剤を最小限に使用して天然ゴム重量(phr)の3~4%の硫黄しか有しない天然ゴムラテックスに、22~25℃で浸漬することによって、靴カバーを製造する。靴カバーの弾性伸縮性は、靴の両側から靴カバーが広がることを可能とし、靴カバーは、約3MPaの使用者が着用された靴を捕捉する。
2.次に、天然ゴムコーティングと共に浸漬型を、靴の接地する足部分のみを浸漬して、靴カバーの底部により厚いラテックスコーティングを製造する。
3.次に、より厚い第二ラテックスコーティングと共に浸漬型の底部分を、テクスチャー加工およびエッチング槽に浸漬して、靴カバーの靴底をテクスチャー加工する。テクスチャー加工槽は、好ましくは、トルエン(92重量%)、エチルアルコール(4重量%)および酢酸(4重量%)を有する。トルエンは非極性溶媒であり、第二ラテックスコーティングに混合された酢酸、アルコールまたは水などの極性溶媒と相互作用も溶解もしない。これらの3成分をエッチング槽に混合する場合、エチルアルコールおよび酢酸の極性溶媒は、不混和性液滴を形成し、非極性溶媒であるトルエン流と分離された流れを形成する。第二ラテックスコーティングと共に浸漬型を、穏やかに流れるエッチング槽溶液に浸漬する場合、非極性トルエン溶媒と、極性エチルアルコール流および酢酸流との並流パターンを形成する。平行な極性溶媒の流れは、ラテックスコーティングを溶解して、溝のラインを形成し、一方、非極性トルエンの流れは、溝間に突条部を形成する。同時に、極性溶媒流中の酢酸は凝固剤として機能し、たとえ、第二ラテックス層がまだ架橋していなくても、溝および溝間の突条部部分の両方を凝固および安定化する。極性溶媒の流れのエッチング作用は、溝および突条部の両方を生じる。第二ラテックス浸漬し、漸進的に温度を上昇する3つの隣接する加熱ステーションにおいて約110℃~130℃の低温でテクスチャー加工し、それにより、天然ゴムコーティングを硬化後に、この天然ラテックスゴムは硬化される。硬化されたラテックス薄膜は、極めて伸縮性であり、通常、800%の伸びを有する。
【0019】
処理で使用されるラテックスエマルジョン中のラテックス粒子を、ラテックス粒子の細隙内への硫黄の組込みによって初期加硫する。天然ラテックス粒子内への硫黄の組込みを、1)S8環構造を有する可溶性硫黄の高含有率を有する硫黄エマルジョンを使用し;2)ジチオカルバミン酸亜鉛の触媒活性によって、前記環構造を分裂または分解して、その結果、ラテックスエマルジョン中の天然ポリイソプレン粒子への容易に移入するようにしたラテックスエマルジョン中の直鎖硫黄を得て;3)カプリル酸カリウム界面活性剤およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)界面活性剤を使用して、ラテックスエマルジョン中のポリイソプレン粒子を湿潤させて、それにより、硫黄捕捉されたジチオカルバミン酸亜鉛に加えて硫黄鎖を前記粒子への浸透に利用可能とし;4)20℃~30℃の範囲の選択された処理温度において充分な時間を可能として、前記合成ポリイソプレン粒子に硫黄を漸進的に浸透させ;5)クロロホルム指数試験により硫黄浸透および初期加硫を検証し、ポリイソプレン粒子はもはや粘着性ではないが、2.5~3.0のクロロホルム指数を有する乾燥クラムの形態であること、によって行う。ジチオカルバミン酸亜鉛は、ジチオカルバメートの亜鉛錯体であり、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛が挙げられる。加えて、天然ポリイソプレンラテックスエマルジョンは、加硫または硬化サイクル中における粒子間領域を硬化するために、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム(SDBC)、テトラベンジルチウラムジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲン、テトラエチルチウラムジスルフィド、キサントゲンスルフィドなどの他の架橋剤を有する。ラテックスエマルジョンに添加される硫黄中に存在する無定形硫黄またはポリ硫黄などの不溶性硫黄は、後加硫硬化温度において可溶性になり、ジチオカルバミン酸亜鉛促進剤と反応して後加硫硬化中
に粒子間領域を硬化し、浸透された硫黄を含む初期加硫天然ポリイソプレン粒子も完全に硬化する。したがって、初期加硫促進剤パッケージおよび後加硫促進剤パッケージを使用するこの方法を使用して、800%以下の伸びを有する極めて伸縮性である実質的に均一な硬化天然ラテックス靴カバー薄膜を製造する。
【0020】
このように製造された製品は、この初期加硫方法のインプリントを有するいくつかの際立った特徴を有する。ラテックスの天然ポリイソプレン薄膜を改良された架橋密度で硬化するので、架橋間の分子量は、より低い値を示す。ジチオカルバミン酸の亜鉛錯体は硫黄のS8環を触媒的に分解するので、触媒として、引き続き使用することが可能であり、その大きな分子サイズによって天然ポリイソプレンを容易に浸透しない。ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛の分子サイズは、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛より大きい分子サイズを有するジエチルジチオカルバミン酸亜鉛より大きい。ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛およびジフェニルジチオカルバミン酸亜鉛はさらにより大きい分子であり、天然ポリイソプレンラテックス粒子への浸透に抵抗するだろう。したがって、ラテックスエマルジョン中の天然ラテックス粒子の初期加硫のためのジチオカルバミン酸の好ましい亜鉛錯体は、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDBC)またはジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDEC)である。元の天然ポリイソプレン粒子の各々を取り囲む亜鉛含有化合物の蓄積があり、この微細構造的特徴は、電子顕微鏡を用いてマイクロプローブ元素分析によって容易に観察することができる。製造された天然ポリイソプレン薄膜は、通常、許容可能な引張強さ、許容可能な引張弾性率ならびに粒子間および粒子内領域の両方を通過する亀裂面での破断点伸びを有し、粒子内領域および粒子間領域は、製造された天然ラテックス薄膜内において実質的に同等の強度であることを示している。
【0021】
天然ポリイソプレン靴カバーの製造方法は、初期加硫組成物である天然ラテックスエマルジョンの使用を含む。好ましくは、天然ポリイソプレン粒子は、cis-1,4-ポリイソプレンであり、約0.2~2マイクロメートルの範囲の径を有し、ラテックスエマルジョンの水性媒体中で維持される。初期加硫組成物は、通常、S8硫黄環構造を破壊するジチオカルバミン酸亜鉛促進剤により分解されたS8環構造からの可溶性硫黄の高含有率を有する硫黄を有する。オクタン酸のカリウム塩としても公知であるカプリル酸カリウムおよびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)を含む界面活性剤の組合せを使用して、分解された硫黄分子をラテックスへ送達する。天然ラテックスエマルジョン中の天然ラテックス粒子の初期加硫は、概して20℃~30℃の範囲であるラテックスエマルジョンの温度に応じて9時間~2日の時間にわたって起こる。天然ラテックス粒子の初期加硫の程度を、クロロホルム指数試験によってモニターし、初期加硫硫黄が粒子内に組み込まれるとき、ラテックス粒子は粘着感(指数1)~より少ない粘着感(指数3)に進行する。後加硫組成物は、ラテックスエマルジョン温度においては不溶性であるが、加硫温度または硬化温度においては可溶性である無定形硫黄またはポリ硫黄を含んでよい。合成水性ラテックスエマルジョン中の他の促進剤としては、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDEC)、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム(SDEC)、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム(SDBC)およびジイソプロピルキサントゲンポリスルフィド(DXP)が挙げられるが、これらに限定されない。酸化亜鉛を、活性化剤として添加してもよい。
【0022】
典型的な天然ポリイソプレンラテックスエマルジョン組成物は、乾燥ゴム100重量部(phr)に対して提供される。硫黄架橋剤は、0.6~1.8重量%の範囲であり;ZDECおよび/またはZDBC促進剤は、0.3~1.0重量%であり;SDBC促進剤は、0.05~0.5重量%の範囲であり;DXP促進剤は、0.2~0.8重量%の範囲であり;反応性酸化亜鉛活性化剤は、0~0.5重量%の範囲であり;カプリル酸カリウム界面活性剤は、0.1~0.5重量%の範囲であり;SDBS界面活性剤は、0.1~0.35重量%の範囲であり;ポリオキシエチレンセチル/ステアリルエーテル界面活
性剤は、0.1~0.5重量%の範囲であり;Winsgtay Lまたはp-クレゾール&ジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物である酸化防止保存剤は、0.3~1重量%の範囲であり;水酸化アンモニウムは、0~0.36重量%の範囲である。上記に示したように、合成ポリイソプレンラテックス組成物の初期加硫組成物としては、可溶性硫黄、ZDECおよび/またはZDBC促進剤、カプリル酸カリウム界面活性剤およびSDBS界面活性剤およびポリオキシエチレンセチル/ステアリルエーテル界面活性剤が挙げられる。後加硫組成物としては、特に不溶性である硫黄、SDBC促進剤、DXP促進剤、ZDECおよび/またはZDBCが挙げられる。初期加硫組成物は、水性天然ポリイソプレンエマルジョン中の天然ポリイソプレンラテックス粒子へ硫黄の利用可能性を提供し、その後、加硫硬化サイクル中に天然ポリイソプレンの粒子全体を架橋する。後加硫組成物は、天然ポリイソプレンの粒子間領域の架橋能を提供し、それにより、高品質な実質的に一様に硬化されたポリイソプレン製品を保証する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1aおよび
図1bは、本発明に記載の靴カバーを製造するために使用される浸漬型の2つの図である。
図1aは、約3mm~8mmの幅しかないアルミニウム合金浸漬型の狭く薄い浸漬型を示し、製造された靴カバーは、収縮する場合、靴を弾性的に捕捉して靴への靴カバーを固定するように伸長する。
図1bは、靴カバー浸漬型がラテックス浴中に挿入される領域を示すアルミニウム合金浸漬型の別の図を示す。
【
図2】米国特許第6,673,871号に公開されている天然ラテックスゴムの引張強さ対伸び特性を図示する。天然ゴム薄膜は、最低引張応力および最高伸びを示す。明らかに、天然ゴム薄膜は、使用者が履く靴をグリップしながら、靴に対する低負荷を印加するので、靴カバーに最も適している。
【
図3】靴カバーの製造方法のフローチャートを図示する。浸漬型は、先ず、前に製造された靴カバーをはぎ取り、酸洗浄剤で洗浄し、硝酸カルシウム凝固剤で被覆して、オーブン内で乾燥する。凝固剤被覆浸漬型を、減少された量の硫黄および最小量の促進剤を有する天然ゴムラテックス#1に浸漬する。凝固剤コーティングはラテックスを不安定化し、浸漬型上に天然ゴム薄膜の薄膜を形成する。次に、靴カバーの底部と接触している接地部を、より高密度天然ゴムラテックス中に浸漬して、靴カバーの底部により厚いコーティングを形成する。このより厚いコーティングは、靴カバーを着用する場合に底部における引裂きを防止する。次に、より厚い靴カバー底部を、その中に含有される液体のほぼ線状の流れを有するテクスチャー加工浴に浸漬する。浴は、92重量%のトルエン、4重量%の酢酸および4重量%のエチルアルコールを含有し、これらの液体は、トルエンとのその不混和性によって別々の流れを形成する。エチルアルコールおよび酢酸は、天然ゴムのより厚いコーティングから水を抽出し、天然ゴムラテックスを溶解して、溝を形成する。同時に、天然ラテックスエマルジョンの不安定化剤である酢酸は、凝固し、ラテックスコーティングを安定化させて、さらなる溶解を防止する。トルエン流は、天然ゴムラテックスコーティングを攻撃せず、コーティングに突条部を形成する。靴カバーを着用している人が歩いて摩擦を強めるとき、突条部および溝は、接地部上に存在するいずれもの水、油または脂肪を靴カバーの後部へ誘導する。次に、靴カバーの底部を、アクリルポリマーコーティングで被覆して、摩耗特性を増強する。次に、複数のコーティングを有する靴カバーを、3つの連続したオーブンで加熱し、110℃、120℃および130℃に維持して、天然ゴムおよびポリマーコーティングを硬化して一体の容易に着用する靴カバーを製造する。
【
図4】靴カバーの底部の床との接触面上に形成された突条部および溝の写真である。
【
図5】靴カバーの底部の床との接触面上に形成された溝および突条部のエッチングの微細構造を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、硫黄のS8環などの可溶性硫黄がカプリル酸カリウムおよびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)界面活性剤との組合せでジチオカルバミン酸の亜鉛錯体によって触媒されて、ラテックス組成物中に初期加硫天然ポリイソプレン粒子を生成することの発見に基づいている。このラテックス組成物は、凝固剤被覆または凝固剤フリー浸漬型を組成物中に浸漬することによって、ラテックス薄膜製品の製造を可能とする。界面活性剤パッケージは、天然ポリイソプレン粒子アグロメレーションおよびフロキュレーションを抑制する。ラテックス浸漬薄膜は、架橋される天然ポリイソプレン粒子を有し、粒子間領域を、加硫硬化中に架橋して、粒子内架橋結合および粒子間架橋結合の両方を生成する。得られた製品は、高品質および均一なラテックス薄膜を含む。
【0025】
ラテックス安定化組成物は、水性媒体中で相互に分離した天然ポリイソプレンの粒子を保持するものである。ポリイソプレン粒子は互いに接触しないので、ポリイソプレン粒子は、アグロメレートもフロックも生成することができない。一旦粒子がアグロメレートを生成し始めると、粒子はファンデルワールス力によって決して分離しない可能性があるので、このことは重要である。好ましくは、ラテックス安定化組成物は、少なくとも1つの界面活性剤を含む界面活性剤パッケージを含む。アニオン性界面活性剤が好ましく、1ヶ月をはるかに超え、かつ、2ヶ月以下またはそれ以上の期間安定に維持することができるものが特に好ましい。かかる界面活性剤の例は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)である。他の例としては、他のアルキルアリールスルホネート、アルキルスルホネート(例えば、C14オレフィンスルホネート、商品名Calsoft AOS-40で販売されている(Pilot Chem. Co.、ニュージャージー州レッドバンク))、オレフィンスルホネート、およびアルコールスルホネート(例えば、ラウリルスルホン酸ナトリウム)が挙げられるが、これらに限定されない。SDBSまたは別のアルキルアリールスルホネートは、好ましくは、ポリイソプレンの乾燥重量に対して、約0.1~0.35重量%の量で存在する。SDBSまたは別のアルキルアリールスルホネートを、カプリル酸カリウム、ポリオキシエチレンセチル/ステアリルエーテル、および同様のものなどの1つ以上の他の界面活性剤と組み合わせることができる。例えば、SDBSまたは別のアルキルアリールスルホネートを、単独またはポリオキシエチレンセチル/ステアリルエーテルと更に組み合わせて、カプリル酸カリウムと組み合わせることができる。SDBSまたは別のアルキルアリールスルホネートを、1つ以上の他の界面活性剤と組み合わせて使用する場合、好ましくは、各界面活性剤は、ポリイソプレンの乾燥重量に対して、約0.05~1.2重量%の量で存在し、界面活性剤パッケージの総量は、ポリイソプレンの乾燥重量に対して、約0.4~1.2重量%である。SDBSまたは別のアルキルアリールスルホネートをカプリル酸カリウムおよびポリオキシエチレンセチル/ステアリルエーテルと組み合わせて使用する場合、好ましくは、ポリオキシエチレンセチル/ステアリルエーテルは、ポリイソプレンの乾燥重量に対して、約0.1~0.5重量%の量で存在する。
【0026】
上記の観点から、本発明は、3.0のクロロホルム指数を有する界面活性剤安定化初期加硫天然ポリイソプレンラテックス組成物を提供する。クロロホルム指数試験は、室温においてラテックスおよびクロロホルムの同体積を配合して、混合物を3分間放置することによって、水性ラテックスエマルジョン中の天然ラテックス粒子の初期加硫の程度を測定する。クロロホルムはラテックスを凝固し、得られた軟度を数値的に等級付けする。凝固ゴムの軟度は、ラテックスの初期加硫の程度を示す。ラテックスがより初期加硫されるとき、凝固ゴムは、より大きくその厚さを失い、より脆くなる。等級2.5は小さい塊が形成していることを示し、等級3.0は塊が粘着性でないことを示し、等級3.5は塊が粘着性でないだけでなく、塊が容易に崩壊することを示し、等級4.0は乾燥した塊が形成し、天然ラテックス粒子が高度に初期加硫されている証拠を示す。初期加硫をモニターして、天然ラテックスエマルジョンがいつでも浸漬する状態であることを保証する。
【0027】
初期加硫組成物は、ジチオカルバミン酸亜鉛および可溶性硫黄と共に、カプリル酸カリウムおよびSDBSまたは別のアルキルアリールスルホネート界面活性剤を含む。界面活性剤と共にラテックスエマルジョンは、天然ポリイソプレン粒子を湿潤させ、ジチオカルバミン酸亜鉛の触媒作用は、可溶性S8分子の環を分解して、合成ポリイソプレンの可溶性硫黄初期加硫粒子の直鎖を形成する。後加硫組成物は、硫黄および加硫硬化中に粒子間架橋を引き起こす他の促進剤を有する。かかる架橋は、より大きな強度および伸び特性および架橋密度を有するより均一なラテックス薄膜をもたらす。
【0028】
硫黄は、好ましくは、ポリイソプレンの乾燥重量に対して、約0.8~1.8重量%の量で天然ポリイソプレンラテックスエマルジョン中に存在する。酸化亜鉛を使用する場合、ポリイソプレンの乾燥重量に対して、約0~0.5重量%の量で存在するのが好ましいが、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛またはジブチルジチオカルバミン酸亜鉛を使用する場合、ポリイソプレンの乾燥重量に対して、好ましくは約0.3~1.0重量%またはより好ましくは約0.3~0.45重量%の量で存在する。
【0029】
適切な湿潤剤の例としては、アニオン性、例えば、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、およびカプリル酸カリウムである脂肪酸の塩(例えば、ナトリウム塩またはカリウム塩)が挙げられるが、これらに限定されない。カプリル酸カリウムを、短鎖脂肪酸の塩、SDBSおよびポリオキシエチレンセチル/ステアリルエーテルと共に有利に使用する。カプリル酸カリウムを、ポリイソプレンの乾燥重量に対して、約0.1~0.5重量%の量で使用する。
【0030】
初期加硫組成物成分のポリイソプレン粒子への浸透は、ポリイソプレン粒度および粒度分布の強い関数である。通常、より小さな粒子は、より大きな表面積を有し、初期加硫組成物の成分はより迅速にこれらの小粒子へ浸透する。しかしながら、これらのより小さな粒子はより大きな粒子より速く初期加硫化する傾向にあるので、これらのより大きな表面積はより大きな粒子内領域をもたらす。より大きな粒子はより小さな粒子の凝集塊である可能性があり、初期加硫化し難い。より大きな粒子はより小さな表面積を有し、初期加硫組成物成分はよりゆっくりとこれらの大きな粒子に浸透する。より小さな表面は、より小さい粒子内領域をもたらす。したがって、天然ポリイソプレン粒子の大きさおよび大きさの範囲分布を選択して、初期加硫粒子内架橋と後加硫粒子間架橋とのバランスをとる最適な強度特性を得るとき、微妙なバランスがある。上記に示されているように、約0.2~2マイクロメートルの範囲の粒子は、最適な結果を提供する。初期加硫組成物成分の天然ポリイソプレン粒子への浸透は、拡散過程それ自体の関数であり、時間の線形関数であり、温度の指数関数であり、熱活性化過程を反映している。したがって、初期加硫工程中の数℃の温度上昇は、初期加硫速度を著しく増大させる。例えば、室温における初期加硫は、約3~5日から、大きければ約9日まで要するが、高温、例えば、約50~70℃における初期加硫は約3~7時間しか要しない。しかしながら、薄膜の極限強さ特性不良をもたらすような大きな凝集塊の周辺でのみ初期加硫が起こることを避けるために、通常、より迅速な早期硬化を避ける:これは表面硬化反応であり、カプリル酸カリウムの使用は粒子中への硬化剤の移動を促進して、初期加硫速度を加速することを実証した。
【0031】
好ましくは、後加硫組成物は、単独または界面活性剤とさらに組み合わせて、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム(SDBC)、硫黄、チウラム化合物、および/またはキサントゲン化合物を含む。適切なキサントゲンの例としては、ジイソプロピルキサントゲンポリスルフィド(DXP)、ジイソプロピルキサントゲン、テトラエチルチウラムジスルフィド、およびキサントゲンスルフィドが挙げられるが、これらに限定されない。DXPは、好ましいキサントゲンである。存在する場合、キサントゲンは、ポリイソプレンの乾燥重量に対して、約0.05~0.5重量%の量で存在する。チウラム化合物の例は、テトラベンジルチウラムジスルフィドである。存在する場合、テトラベンジルチウラムジ
スルフィドは、ポリイソプレンの乾燥重量に対して、約0.1~0.75重量%の量で存在する。後加硫組成物は、高温(例えば、110~130℃)における活性化時に粒子間架橋を引き起こすものである。加えて、この後加硫硬化は、天然ポリイソプレン粒子と浸透された硫黄との架橋も硬化する。かかる架橋は、より大きな強度および伸び特性を有するより均一なラテックス薄膜をもたらす。
【0032】
方法は、アルキルアリールスルホネート(例えば、SDBS)、アルキルスルホネート(例えば、オレフィンスルホネート)およびアルコールスルホネート(例えば、ラウリルスルホン酸ナトリウム)から成る群から選択される少なくとも1つの界面活性剤など、少なくとも1つの界面活性剤を含む界面活性剤パッケージを含むものなど、ラテックス安定化組成物を添加することを含む。SDBSが存在する場合、ポリイソプレンの乾燥重量に対して、約0.1~0.35重量%の量で存在することが好ましい。SDBSを、単独またはポリオキシエチレンセチル/ステアリルエーテルと共に、カプリル酸カリウムと配合することができる。好ましい界面活性剤パッケージは、SDBS、カプリル酸カリウム、およびポリオキシエチレンセチル/ステアリルエーテルを含む。ポリオキシエチレンセチル/ステアリルエーテルが存在する場合、ポリイソプレンの乾燥重量に対して、約0.1~0.5重量%の量で存在することが好ましい。ラテックス安定化組成物の添加次第、エマルジョンを、例えば、約1日間撹拌し、ポリイソプレン粒子が互いに接触しないようにしておく。
【0033】
次いで、方法は、初期加硫組成物を添加して、天然ポリイソプレンラテックスエマルジョン(a)ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛およびジブチルジチオカルバミン酸亜鉛ならびにこれらの組合せから選択されるジチオカルバミン酸亜鉛;(b)好ましくはS8高含有率の硫黄および(c)湿潤剤を配合する工程を含む。湿潤剤は、好ましくは、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、またはカプリル酸カリウムなどの脂肪酸塩である。水性ラテックスエマルジョンを、約20~25℃で約3~4日間または約50~70℃で約3~7時間撹拌し、イソプロパノール指数試験を使用することによって、合成ポリイソプレン粒子への初期加硫剤の浸透を定期的に検査する。この順序を適用する理由は、ポリイソプレンラテックスはZDBCまたはZDECにより触媒された硫黄との周辺反応のせいでフロックおよび「表面硬化」する傾向が内在するからである。これは、堅く結合された粒子が生じないように防止しなければならない。界面活性剤の存在および硫黄の開裂したS8鎖の生成は、硫黄の粒子への拡散を可能とする。
【0034】
方法は、SDBC、反応性酸化亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム、テトラベンジルチウラムジスルフィドなどのチウラムおよびキサントゲンから成る群から選択される促進剤と共に、天然ポリイソプレンラテックスエマルジョンに後加硫組成物を添加する工程をさらに含む。反応性酸化亜鉛が存在する場合、ポリイソプレンの乾燥重量に対して、約0~0.5重量%の量で存在することが好ましい。チウラムは、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィドであり得、存在する場合、ポリイソプレンの乾燥重量に対して、約0.75重量%以下の量で存在することが好ましい。キサントゲンは、DXP、ジイソプロピルキサントゲン、またはキサントゲンスルフィドであり得る。キサントゲンが存在する場合、ポリイソプレンの乾燥重量に対して、約0.2~0.8重量%の量で存在することが好ましい。このように製造された組成物は、25℃において約60日まで安定であり、製造ラインで使用することができる。
【実施例0035】
下表1は、初期加硫挙動を示す組成物の例を示す。
【0036】
【0037】
したがって、本発明は、天然ポリイソプレンラテックス製品の製造方法をさらに提供する。浸漬型は、当技術分野において公知であるいずれもの適切な浸漬型であり得る。本発明の組成物は、靴カバー用の浸漬型上に層状にするために特に有用である。方法は、凝固剤被覆浸漬型を、50~55%の固形分、フォードカップ#4を用いて18~22秒の粘度を有する上記初期加硫天然ポリイソプレン水性ラテックスエマルジョン組成物に浸漬して、浸漬型の面上で相互に接触する初期加硫天然ポリイソプレンの個別粒子を含む200~350ミクロンの厚さを有するラテックス膜の薄膜を形成することを含む。
【0038】
ラテックス薄膜の第一層は粘性が低くなく、200~350ミクロンの典型的厚さになった後、靴カバーの底部を、50~55%の固形分およびフォードカップ#6を用いて25~30秒の粘度を有するより高密度の天然ポリイソプレンエマルジョンに浸漬して、靴カバーの底部において約800~1200ミクロンのより厚いラテックス層を形成する。底部におけるラテックス層のこの増強された厚さは、靴カバーを着用するときの引裂きを防止する。方法は、トルエンのエチルアルコールおよび酢酸との不混和性によって3つの分離した流れを形成するトルエン、エチルアルコール、酢酸のエッチング溶液を用いて、天然ラテックスのより厚い層をエッチングすることをさらに含む。この後、靴カバー全体をポリマー溶液に浸漬する。薄膜を、例えば、約110~130℃まで、約8~15分間加熱することによって、天然ゴム薄膜を後加硫する。この時間の間に、粒子間領域は架橋される。粒子内領域もさらに架橋し、より均一なラテックス製品を製造する。次いで、方法は、浸漬型からラテックス薄膜を剥離することを含む。
【0039】
図1は、靴カバーを浸漬するために使用される浸漬型を、2つの図:
図1aおよび
図1bに示す。
図1aは、浸漬型の側面図であり、
図1bは、浸漬型の前面図である。浸漬型は、着用される場合の靴カバーの幅の約20%である。靴カバーは、使用者が着用する靴をカバーして広がらなければならない。
【0040】
図2は、天然ラテックスゴムおよびニトリルゴムに関する伸びに対する負荷を示す。明らかに、天然ラテックスは、800%の伸びと共に破断前最長の伸びを有する。これは、その低弾性率のせいで使用者が着用する靴に対する最も低い負荷にも当てはまる。
【0041】
図3は、靴カバーの製造のプロセスフローチャートを図示する。方法は、前に製造され
た靴カバーを剥離することから始まる。硝酸浴に浸漬型を浸漬し、次いで、2つの酸浴に浸漬し、次いで、硝酸カルシウム凝固剤浴に浸漬する。次いで、浸漬型をオーブン内で乾燥して、乾燥凝固剤コーティングを形成する。次いで、20~25℃において約50~55%総固形分を有する天然ゴムラテックス#1に浸漬する。ラテックスの粘度は、フォードカップ#4を用いて約18~22秒である。形成されたラテックス層の厚さは、約200~350ミクロンである。ラテックス層被覆浸漬型を、前浸出槽に浸漬する。次に、ラテックス被覆浸漬型を、50~55%固形分を有し、フォードカップ#6を用いて約25~30秒である第二ラテックス槽において、靴カバーの接地部分を作製する深さまで浸漬する。第二ラテックス浸漬は、通常800~1200ミクロンの天然ラテックス層のより厚い層を作製する。靴カバーの底部のより厚い層を、テクスチャー加工浴においてエッチングし、該浴は、トルエン、エチルアルコールおよび酢酸の遅い流れの溶液を有し、トルエン、エチルアルコールおよび酢酸の不混和性によって分離流を形成する。エチルアルコールおよび酢酸の流れは、天然ラテックス第二のより厚いコーティングをエッチングして、溝を作製する。トルエンはラテックス層を攻撃せず、アルコールおよび酢酸のエッチング作用によって形成された溝と結合する突条部を形成する。次に、エッチングされた第二ラテックス層を2つの槽において前浸出し、次いで、ポリマーコーティング槽に浸漬して、硬化次第、靴カバーの底部の第二ラテックス層が摩耗しないように保護するようになる。被覆靴カバーを、110℃、120℃および130℃の温度の3つのオーブンに順次通過させる。天然ラテックス層の低温硬化により、ラテックス層の弾性率は低く、ラテックスの伸縮性は800%を超え、伸縮して、靴に対して大きな負荷量を印加しないで使用者が着用する靴を捕捉することができる。
【0042】
図4は、靴カバーの底部半分の写真である。図の上部では、溝の周囲にほとんど平行な突条部がある。突条部は、その間に存在する溝から約5mm離れた間隔を置いて配置されている。ほとんど平行な突条部を有する靴カバーの半値幅は、約60mmである。突条部と結合された溝は、着用された場合の靴カバーが前方向に動くように上げて歩くとき、油または水を靴の後方に誘導する働きをする。
【0043】
図5は、溝および突条部の約40倍の光学顕微鏡写真である。図は、その間に溝を有する2つの突条部を示す。突条部の上部は線状に見える。
【0044】
本明細書に記載されている出版物、特許出願、および特許を含む全ての参考文献は、あたかも各参考文献は参照することによって個別および詳細に組み入れられることが示され、本明細書にその全文が記載されているのと同程度まで参照することによって本明細書に組み入れられる。
【0045】
本発明を説明する文脈において(特に、次のクレームの文脈において)用語「a」、「an」、「the」および同様の表現の使用は、本明細書で他の意味に示されない限り、または文脈と明らかに矛盾する場合を除き、単数および複数の両方を包含すると解釈されるものとする。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書で他の意味に示されない限り、単に、範囲内にある各別々の値を個別に表現する簡潔な方法の役割をする目的にすぎず、各別々の値は、あたかも本明細書に個別に記載されているように本明細書に組み入れられている。本明細書に記載されている全ての方法を、本明細書で他の意味に示されない限り、または文脈と明らかに矛盾する場合を除き、いずれもの適切な順序で行うことができる。本明細書に提供されているいずれかおよび全ての実施例、または例示的文言(例えば、「などの(such as)」)の使用は、単に、本明細書をより良く例証する目的にすぎず、別段にクレームされない限り、本発明の範囲を限定することを提起するものではない。本明細書において、本発明の実践に不可欠のクレームされていない要素を示すと解釈されるべき文言はない。