(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026616
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】プローブカード収納ケース、及び、プローブカードのブリム部
(51)【国際特許分類】
G01R 1/073 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
G01R1/073 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023223755
(22)【出願日】2023-12-29
(62)【分割の表示】P 2019218627の分割
【原出願日】2019-12-03
(71)【出願人】
【識別番号】000162353
【氏名又は名称】株式会社協同
(74)【代理人】
【識別番号】100102749
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 紀一
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 守弘
(57)【要約】
【課題】従来の射出成型による樹脂製のプローブカード収納ケースは、形状誤差が大きく、収納したプローブカードが移動中に振動し、破損してしまう可能性があった。
【解決手段】本発明のプローブカード収納ケースは、合成樹脂製の一方のケース部と、該一方のケース部を塞ぐ合成樹脂製の他方のケース部とよりなり、上記一方のケース部は、底板と、該底板の外周縁部から立設した側壁部と、上記底板と上記側壁部との間を連結した複数のリブ部とよりなり、上記一方のケース部は、射出成型により成型され、また、上記他方のケース部は、天井板と、該天井板の外周縁部から垂下した側壁部と、上記天井板と上記側壁部との間を連結した複数のリブ部とよりなり、上記他方のケース部は、射出成型により一体により成型されていることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブカードを収納する合成樹脂製の一方のケース部と、該一方のケース部を塞ぐ他方のケース部とよりなり、
上記一方のケース部は、底板と、該底板の外周縁部から立設した側壁部と、上記底板と上記側壁部との間を連結した複数のリブ部とよりなり、
上記一方のケース部は、射出成型により成型されていることを特徴とするプローブカード収納ケース。
【請求項2】
プローブカードを収納する一方のケース部と、該一方のケース部を塞ぐ合成樹脂製の他方のケース部とよりなり、
上記他方のケース部は、天井板と、該天井板の外周縁部から垂下した側壁部と、上記天井板と上記側壁部との間を連結した複数のリブ部とよりなり、
上記他方のケース部は、射出成型により成型されていることを特徴とするプローブカード収納ケース。
【請求項3】
上記他方のケース部は、合成樹脂製により形成され、
該他方のケース部は、天井板と、該天井板の外周縁部から垂下した側壁部と、上記天井板と上記側壁部との間を連結した複数のリブ部とよりなり、
上記他方のケース部は、射出成型により成型されていることを特徴とする請求項1に記載のプローブカード収納ケース。
【請求項4】
上記底板に、収納されるプローブカードを載置すると共に位置決めする載置台を有し、
該載置台は、上記プローブカードを所望の高さに載置する載置面を有する合成樹脂製の載置部と、
該載置部に、該載置部に対して移動自在に設けられた、上記プローブカードに形成された一方の位置決め部に、位置決めされる他方の位置決め部が、その内周側面に形成された突出部と、
上記載置台に上記突出部を固定する固定手段とよりなり、
上記載置部は、上記底板と共に射出成型により形成されることを特徴とする請求項1または3に記載のプローブカード収納ケース。
【請求項5】
プローブカードを収納する合成樹脂製の一方のケース部と、該一方のケース部を塞ぐ他方のケース部とよりなり、
上記一方のケース部の底板に、収納されるプローブカードを載置すると共に位置決めする載置台を有し、
該載置台は、上記プローブカードを所望の高さに載置する載置面を有する合成樹脂製の載置部と、
該載置部に、該載置部に対して移動自在に設けられた、上記プローブカードに形成された一方の位置決め部に、位置決めされる他方の位置決め部が、その内周側面に形成された突出部と、
上記載置台に上記突出部を固定する固定手段とよりなり、
上記載置部は、上記底板と共に射出成型により形成されることを特徴とするプローブカード収納ケース。
【請求項6】
上記突出部の内側縁に凹部が形成され、
該凹部は、下端に折曲部が形成された、軸周りに回動自在な棒状の係合杆を有するプローブカードの取出し具の、該係合杆の折曲部の一部が挿入可能であることを特徴とする請求項4または5に記載のプローブカード収納ケース。
【請求項7】
外周縁に、半径方向内側に延びる切り欠き部を有し、
該切り欠き部は、下端に折曲部が形成された、軸周りに回動自在な棒状の係合杆を有するプローブカード取出し具の、該折曲部が挿入されることを特徴とするプローブカードのブリム部。
【請求項8】
底板と、該底板の外周縁部から立設した側壁部と、上記底板と上記側壁部との間を連結した複数のリブ部と、収納されるローブカードを所望の高さに載置する載置面を有する載置部とを樹脂により射出成型により一体に成型する第一の工程と、
上記成型された載置部に、上記プローブカードに形成された一方の位置決め部に、位置決めされる他方の位置決め部が、その内周側面に形成された突出部を載置する第二の工程と、
上記載置部の載置面に、プローブカードを載置する第三の工程と、
上記突出部を、上記プローブカードの一方の位置決め部に、上記突出部の他方の位置決め部が一致するように移動させる第四の工程と、
上記突出部を、上記載置部に上記固定手段により固定する第五の工程と、
上記載置されたプローブカードを取り出す第六の工程と
よりなることを特徴とするプローブカード収納ケースの下側ケース部の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ検査用のプローブカードを収納するケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
(1.従来の説明)
【0003】
半導体チップ(ウエハ)製造の最終検査においては、プローブカードを用いて、半導体チップの良否を測定する。該半導体チップは、非常に精度の高い品質が求められており、プローブカードのプローブ(探針)も、精度の高いものとなる。
【0004】
そして、このプローブカードを移動する際、ホコリなどから保護するために、プローブカード収納ケースが必要となる。
【0005】
図22~
図29は、従来のプローブカード1と、該プローブカード1を収納するための従来のプローブカード収納ケース2を示す。
【0006】
(1.1.プローブカード1の説明)
【0007】
上記プローブカード1は、例えば、
図23及び
図24に示すように、円板状のセラミック製のプローブカード基板3と、該プローブカード基板3の下面の中央部に設けられた多数のプローブ(探針)4と、上記セラミック製のプローブカード基板3の上面に固定された、該プローブカード基板3の補強用のスティフナー(補強材)5とよりなる。該スティフナー5は、例えば、リング状に形成され、上記該プローブカード基板3よりも大きく形成されている。
【0008】
また、上記スティフナー5の外周縁部の所望の位置に、半径方向外方に突出した板状のブリム部(突出板部)6が、所望の距離離間して複数形成される。該ブリム部6には、例えば、上記プローブカード収納ケース2に収納されたプローブカードに係合して取り出すためのプローブカード取出し具(図示せず)の雄ネジ部が螺合されるネジ孔21が設けられると共に、該ブリム部6の外周縁6aには、上記プローブカード収納ケース2に位置決めするための凹部などの一方の位置決め部7が形成されている。
【0009】
なお、上記プローブカード取出し具は、収納されたプローブカードを安定して持ち上げるために、互いに離間した、少なくとも3つの雄ネジ部を有すると共に、上記プローブカードには、該雄ネジ部に螺合されるネジ孔21を有するブリム部6が、上記雄ネジ部の位置と数に対応して設けられている。
【0010】
また、上記ブリム部6には、ネジ孔21や一方の位置決め部7を有せず、例えば、バーコードなどの識別標識などが設けられる場合もある。
【0011】
(1.2.従来のプローブカード収納ケース2の説明)
【0012】
また、上記従来のプローブカード収納ケース2は、例えば、
図25及び
図26に示すように、プローブカード挿入用の上面開口部を有する箱状の下側ケース部8と、該下側ケース部8の上面開口部を開閉自在に塞ぐ上側ケース部9とよりなる。そして、上記下側ケース部8及び上記上側ケース部9は、それぞれ形状精度を良くする関係上、アルミ製で形成され、または、合成樹脂板(プラスチック製板)を貼り合わせて形成されている。
【0013】
そして、上記下側ケース部8は、例えば、矩形板状の底板8aと、該底板8aの外周縁から立設した矩形板状の側壁部8bとよりなり、該底板8aの上面の所望の位置に、プローブカードの位置決め用の載置台10が、例えば、3箇所、所望の距離離間して、上記底板8aにネジ又は接着等により固定して設けられる。
【0014】
また、該位置決め用の載置台10は、上記プローブカード1を上記底板8aから所望の高さで載置する平坦状の載置面11を有する載置部10aと、上記載置面11の外側部分に上方に突出して形成された、内側面に、上記一方の位置決め部7に係合する、例えば凸部などの他方の位置決め部12を有する突出部10bとよりなる。
【0015】
なお、上記突出部10bの内側面は、上記ブリム部6の外周縁6aの面に合致した形状に形成されている。
【0016】
また、上記上側ケース部9は、例えば、矩形板状の天井板9aと、該天井板9aの外周縁から垂下した矩形板状の側壁部9bとよりなる。そして、上記下側ケース部8の側壁部8bの上端と、上記上側ケース部9の側壁部9bの下端とが当接することにより、上記下側ケース部8の上面開口部が、上記上側ケース部9により塞がれるようになる。
【0017】
なお、13は、上記上側ケース部9の天井板9aの下面に設けた、下方に突出した、棒状の押さえ部材を示す。そして、上記プローブカード1を収納した上記下側ケース部8に、上記上側ケース部9により塞いだ時に、上記プローブカード1のブリム部6を、上記載置台10の載置面11と上記押さえ部材13の下端により挟持することにより、上記プローブカード1を上記収納ケース2に固定できるようになる。
【0018】
なお、13aは、上記押え部材13の下端に設けた弾性部材であり、10cは、上記載置台10の上端に形成した弾性部材を示す。なお、この場合、該弾性部材10cの上面が載置面11を形成する。
【0019】
また、2aは、上記下側ケース部8の一方の側辺と、上記上側ケース部9の一方の側辺とを傾動自在に連結したヒンジ部である。
【0020】
例えば、従来のプローブカード収納ケースとしては、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
(2.従来のプローブカード収納ケースの欠点の説明)
【0023】
上記従来のプローブカード収納ケース2は、形状精度を良くする関係上、アルミ製で形成され、または、合成樹脂板(プラスチック製板)を貼り合わせて形成され、重量が重かった。
【0024】
そのため、射出成型による一体成型で、合成樹脂製のプローブカード収納ケースを形成することが提案されている。
【0025】
また、上記プローブカード1も重いため、スティフナー5を用いないプローブカード14が提案されている。
【0026】
なお、
図27~
図29は、上記スティフナー5のないプローブカード14を示す。該プローブカード14は、セラミック製のプローブカード基板3の外周縁部の所望の位置に、半径方向外方に突出した、別体で形成した複数の板状のブリム部15が、ネジ止めや接着等により固定されて形成される。
【0027】
しかしながら、例えば、射出成型により、430mm×430mm×68mm、板厚5mmの合成樹脂製のプローブカード収納ケースを作成した場合、0.2mmもの形状誤差が生じ、形状誤差が大きいため、プローブカードを正確に位置決めすることができず、使用に耐えられないものであった。
【0028】
また、上記プローブカード取出し具は、まず、下側ケース部に位置決めし、そして、該プローブカード取出し具の雄ネジ部を、収納されたプローブカードのネジ孔に螺合して固定するようにするが、下側ケース部の形状誤差が大きいと、雄ネジ部の位置と、ネジ孔の位置が一致せず、螺合できない場合があった。
【0029】
また、上記のように形成されたプローブカード収納ケース2に、スティフナーのないプローブカード14を収納した場合、正確に位置決めされないため、移動中にガタツキがあり、プローブカード基板3が振動し、プローブカード基板3が割れたり、ブリム部15が上記プローブカード基板から取れてしまうそれがあった。
【0030】
本発明は、形状誤差の少ないプローブカード収納ケースを提供することを目的とする。また、スティフナーを有しないプローブカードであっても収納できる、射出成型により成形した合成樹脂製のプローブカード収納ケースを提供することを目的とする。
【0031】
また、射出成型により成形した合成樹脂製のプローブカード収納ケースであっても、プローブカード取出し具により、収納されたプローブカードを容易に取り出せることを目的とする。
【0032】
(3.本発明の構成要件の説明)
【課題を解決するための手段】
【0033】
本発明のプローブカード収納ケースは、プローブカードを収納する合成樹脂製の一方のケース部と、該一方のケース部を塞ぐ他方のケース部とよりなり、上記一方のケース部は、底板と、該底板の外周縁部から立設した側壁部と、上記底板と上記側壁部との間を連結した複数のリブ部とよりなり、上記一方のケース部は、射出成型により成型されていることを特徴とする。
【0034】
また、本発明のプローブカード収納ケースは、プローブカードを収納する一方のケース部と、該一方のケース部を塞ぐ合成樹脂製の他方のケース部とよりなり、上記他方のケース部は、天井板と、該天井板の外周縁部から垂下した側壁部と、上記天井板と上記側壁部との間を連結した複数のリブ部とよりなり、上記他方のケース部は、射出成型により成型されていることを特徴とする。
【0035】
また、上記底板に、収納されるプローブカードを載置すると共に位置決めする載置台を有し、該載置台は、上記プローブカードを所望の高さに載置する載置面を有する合成樹脂製の載置部と、該載置部に、該載置部に対して移動自在に設けられた、上記プローブカードに形成された一方の位置決め部に、位置決めされる他方の位置決め部が、その内周側面に形成された突出部と、上記載置台に上記突出部を固定する固定手段とよりなり、上記載置部は、上記底板と共に射出成型により形成されることを特徴とする。
【0036】
また、本発明のプローブカード収納ケースは、プローブカードを収納する合成樹脂製の一方のケース部と、該一方のケース部を塞ぐ他方のケース部とよりなり、上記一方のケース部の底板に、収納されるプローブカードを載置すると共に位置決めする載置台を有し、該載置台は、上記プローブカードを所望の高さに載置する載置面を有する合成樹脂製の載置部と、該載置部に、該載置部に対して移動自在に設けられた、上記プローブカードに形成された一方の位置決め部に、位置決めされる他方の位置決め部が、その内周側面に形成された突出部と、上記載置台に上記突出部を固定する固定手段とよりなり、上記載置部は、上記底板と共に射出成型により形成されることを特徴とする。
【0037】
また、上記突出部の内側縁に凹部が形成され、該凹部は、下端に折曲部が形成された、軸周りに回動自在な棒状の係合杆を有するプローブカードの取出し具の、該係合杆の折曲部の一部が挿入可能であることを特徴とする。
【0038】
また、本発明のプローブカードのブリム部は、外周縁に、半径方向内側に延びる切り欠き部を有し、該切り欠き部は、下端に折曲部が形成された、軸周りに回動自在な棒状の係合杆を有するプローブカード取出し具の、該折曲部が挿入されることを特徴とする。
【0039】
本発明のプローブカード収納ケースの下側ケース部の製造方法は、底板と、該底板の外周縁部から立設した側壁部と、上記底板と上記側壁部との間を連結した複数のリブ部と、収納されるローブカードを所望の高さに載置する載置面を有する載置部とを樹脂により射出成型により一体に成型する第一の工程と、
上記成型された載置部に、上記プローブカードに形成された一方の位置決め部に、位置決めされる他方の位置決め部が、その内周側面に形成された突出部を載置する第二の工程と、上記載置部の載置面に、プローブカードを載置する第三の工程と、上記突出部を、上記プローブカードの一方の位置決め部に、上記突出部の他方の位置決め部が一致するように移動させる第四の工程と、上記突出部を、上記載置部に上記固定手段により固定する第五の工程と、上記載置されたプローブカードを取り出す第六の工程とよりなることを特徴とする。
【0040】
(4.本発明の効果の説明)
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、射出成型による樹脂製のプローブカード収納ケースであっても、形状誤差を少なく製作することができる。
【0042】
また、突出部を半径方向に移動自在に設けたので、収納するプローブカードを正確に位置決めすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本発明のプローブカード収納ケースの縦断側面図である。
【
図2】本発明のプローブカード収納ケースの下側ケース部の平面図である。
【
図3】本発明のプローブカード収納ケースの下側ケース部の製造方法を説明する平面図である。
【
図4】本発明のプローブカード収納ケースの下側ケース部の製造方法を説明する縦断側面図である。
【
図5】本発明のプローブカード収納ケースの下側ケース部の製造方法を説明する拡大縦断側面図である。
【
図6】本発明のプローブカード収納ケースの下側ケース部の製造方法を説明する縦断側面図である。
【
図7】本発明のプローブカード収納ケースの下側ケース部の製造方法を説明する拡大縦断側面図である。
【
図8】本発明のプローブカード収納ケースの下側ケース部の製造方法を説明する拡大平面図である。
【
図9】本発明のプローブカード収納ケースの下側ケース部の製造方法を説明する拡大縦断側面図である。
【
図10】本発明のプローブカード収納ケースの下側ケース部の製造方法を説明する縦断側面図である。
【
図11】本発明のプローブカード収納ケースの下側ケース部の製造方法を説明する拡大縦断側面図である。
【
図12】本発明のプローブカード収納ケースの下側ケース部の製造方法を説明する拡大平面図である。
【
図13】本発明のプローブカード収納ケースの下側ケース部の製造方法を説明する縦断側面図である。
【
図14】本発明のプローブカード収納ケースの下側ケース部の製造方法を説明する拡大縦断側面図である。
【
図15】本発明のプローブカード収納ケースの下側ケース部の製造方法を説明する拡大平面図である。
【
図16】本発明のプローブカード収納ケースの下側ケース部の製造方法を説明する縦断側面図である。
【
図18】本発明の他のプローブカードの平面図である。
【
図19】本発明のプローブカード取外し具の側面図である。
【
図20】本発明のプローブカード収納ケースのプローブカード取外し具の使用方法の説明用拡大平面図である。
【
図21】本発明のプローブカード収納ケースのプローブカード取外し具の使用方法の説明用拡大平面図である。
【
図22】従来のプローブカード収納ケースの縦断側面図である。
【
図25】従来のプローブカード収納ケースの縦断側面図である。
【
図26】従来のプローブカード収納ケースの下側ケース部の平面図である。
【
図29】従来のプローブカード収納ケースの縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下図面によって本発明の実施例を説明する。
【0045】
なお、特に説明しない部分は、上記従来例と同じであり、説明を省略する。
【実施例0046】
(5.1.本発明のリブ部17の説明)
【0047】
図1及び
図2は、本発明の射出成型により一体に成型したプローブカード収納ケース16を示す。該プローブカード収納ケース16においては、従来の下側ケース部8において、側壁部8bの内側面と上記底板8aの上面とを連結する、所望の距離離間した複数のリブ部17を設ける。
【0048】
また、同様に、従来の上側ケース部9において、側壁部9bの内側面と上記天井板9aの下面とを連結する、所望の距離離間した複数のリブ部17を設ける。
【0049】
従来、合成樹脂製のプローブカード収納ケースを射出成型により成型した場合、0.2mmもの成形誤差が生じ、使用に耐えられないものであったが、本発明においては、リブ部17を設けたことにより、形状誤差を小さくすることができるようになる。
【0050】
また、上記リブ部17がない場合、上側ケース部(又は下側ケース部)の側壁部厚さは、強度を高める必要性から、5mm以上とする必要があったが、リブ部17を設けることにより、4mm以下とすることができ、その結果、重量を20%以上軽量化することができるようになった。
【0051】
また、該リブ部17は、例えば、直角三角形状の板状に形成し、該リブ部17の厚さは、上記側壁部の厚さよりも薄くなるようにし、例えば、厚さが半分以下となるように形成する。
【0052】
該リブ部17を薄くすることにより、特に、半分以下とすることにより、合成樹脂製の上記下側ケース部(又は下側ケース部)を射出成型により形成した時、側壁部を形成する原料供給量よりも、リブ部を形成する原料供給量を大幅に減らすようにすることにより、原料を供給した時、上記側壁部8b側の原料供給量(供給圧)の不足による側壁部の上面が下方(又は下面が上方に)に撓むことを防止でき、形状精度を高めることができるようになる。
【0053】
(5.2.本発明の載置台18の説明)
【0054】
また、従来においては、載置部10aと突出部10bとが一体に形成された載置台10を床板8aにネジ又は接着等により固定したのに対し、本発明においては、載置台18を設け、該載置台18は、
図1~
図16に示すように、上記プローブカード1、14を、上記下側ケース部8の底板8aから所望の高さで載置する載置面19を有する載置部18aと、該載置部18aとは別体に形成した、内側面に、上記プローブカード1、14の一方の位置決め部7に係合する、例えば凸部などの他方の位置決め部12を有する突出部18bと、該突出部18bを、上記載置部18aに固定するための固定手段20とにより構成する。
【0055】
そして、合成樹脂製の載置部18aを、上記合成樹脂製の床板8aと共に射出成型により一体に成型すると共に、該突出部18bを、上記載置部18aとは別体で設け、そして、該突出部18bを、上記載置面19上に、半径方向に移動自在に設けると共に、該突出部18bを、所望の位置で、上記載置部18aに上記固定手段20により固定できるようにする。
【0056】
上記固定手段20は、例えば、上記載置部18aの載置面19の面に対して垂直方向に設けた、断面が円形状の貫通孔20aと、上記突出部18bに、垂直方向に貫通して設けた、半径方向に延びる長孔20bと、該長孔20b及び上記貫通孔20aを貫通して、その先端部にナット20cが螺合されるネジ部20dとよりなる。
【0057】
そして、上記長孔20bの上方から該長孔20b、上記貫通孔20aに挿入した上記ネジ部20dの先端部を、上記ナット20cに螺合し、まだ、強く締め付けない状態で、上記突出部18bを、上記載置部18aに対して、半径方向に移動させて、所望の場所に位置させて、そして、上記ナット20cを強く締め付けることにより、上記突出部18bが、上記ネジ部20dの頭部20eと上記載置部18aとに挟持されて、該突出部18bが、所望の位置で上記載置部18aに固定されるようになる。
【0058】
なお、上記ネジ部20dの頭部20eと、上記載置面19との間には、楕円状の孔が形成されたワッシャー(図示せず)を介在させてもよい。
【0059】
また、後述するように、上記載置台18の突出部18bの内周縁に、後述する切欠き部22に対向する位置に、半径方向外側に凹んだ凹部23を形成し、ケースに形状誤差があるような場合でも、後述する改良されたプローブカード取外し具の折れ曲った先端部を係合しやすくなる。
【0060】
(6.プローブカードのブリム部の説明)
【0061】
また、従来のプローブカード1、14のブリム部6、15において設けた、上記プローブカード取出し具に係合されるネジ孔21の代わりに、本発明のプローブカード1、14においては、
図17、
図18に示すように、上記ブリム部6、15の外周縁6a、15aに、例えば、半径方向内側に延びる長溝状の切り欠き部22を設ける。
【0062】
また、本発明においては、従来の雄ネジ部を有するプローブカード取出し具の代わりに、
図19に示すように、改良されたプローブカード取出し具24を用いる。該改良されたプローブカード取出し具24は、取出し具本体25と、該取出し具25本体に下方に垂設された、該取出し具本体25に対して、軸方向に上下スライド自在であると共に、軸周りに回動自在な、L字の棒状の係合杆26とよりなり、該係合杆26は、垂設棒16aと、該垂設棒16aの下端に、直角に折れ曲がって形成された折曲部26bとよりなる。
【0063】
そして、
図20に示すように、該改良されたプローブカード取出し具24の折曲部26bを、上記切り欠き部22の長手方向に一致するよう回動させた状態で、上記切り欠き部22の上方から下方に垂下させて、上記切り欠き部22内に貫通させて、そして、上記折曲部26bを、例えば、
図21に示すように、90度回動させることにより、上記折曲部26bが上記ブリム部6、15の下面側に位置し、これにより、上記プローブカード取出し具25を上方に持ち上げれば、上記プローブカード1、14を上方に持ち上げることができるようになる。
【0064】
上記のように、長溝よりなる切り欠き部22とすることにより、ケースに多少の形状誤差があった場合でも、プローブカード取出し具とプローブカードとを係合させることができるようになる。
【0065】
更に、上記載置台18の突出部18bの、上記切り欠き部22に対向する部分が凹状に形成されているので、ケースに多少の形状誤差がある場合でも、プローブカード取出し具の折れ曲った折曲部の一部が、上記切り欠き部内に挿入可能とすることができるようになる。
【0066】
(7.プローブカード収納ケース16の製造方法の説明)
【0067】
次に、本発明のプローブカード収納ケースの製造方法について説明する。
【0068】
まず、本発明の下側ケース部8を製造するために、底板8aと、側壁部8bと、リブ部17と、上記底板8aから所望の高さに形成された載置部18aとを形成するための金型に、熱可塑性樹脂等を射出圧を加えて押し込み、
図3及び
図4に示すように、突出部18bを有しない下側ケース部を成形する。
【0069】
なお、上記載置部18aに貫通孔20aが形成されていない場合には、
図5に示すように、別途、貫通孔20aを形成する。
【0070】
次に、
図6~
図8に示すように、別途作成された、他方の位置決め部12を有する突出部18bを、上記載置部18aの載置面19に載置する。そして、
図9に示すように、例えば、ネジ部20dを、上記載置部18aに形成した長孔20b、載置部18aの貫通孔20aに貫通させて、上記ネジ部20dの先端にナット20cを若干螺合することにより、上記載置部18aに上記突出部18bを固定手段20により仮止めする。
【0071】
なお、上記突出部18bは、後に、上記載置台上にプローブカード1、14を載置できるようにするため、半径方向外側に位置させる。
【0072】
そして、
図10~
図12に示すように、収納されるべきプローブカード1、14を、上記載置部18aの載置面19b上に載置させる。
【0073】
この時、上記突出部18bは、半径方向外側に位置しているので、該突出部18bの他方の位置決め部12は、上記プローブカードの一方の位置決め部7に嵌合(一致)していない。
【0074】
次に、
図13~
図15に示すように、上記各突出部18bを、それぞれ長孔20bに沿って、半径方向内側に移動させて、該突出部18bの他方の位置決め部12が、上記プローブカード14の一方の位置決め部7に嵌合(一致)させる。
【0075】
なお、上記プローブカード収納ケースと、上記プローブカードとが位置決めできればいいので、全ての突出部18bを半径方向に移動させる必要はなく、必要な突出部18bのみ移動させてもよい。
【0076】
そして、上記ネジ部20dに上記ナット20cを強く締め付けて、上記突出部18bが、上記ネジ部20dの頭部20eと上記載置部18aとに挟持されて、上記突出部18bが上記載置部18aに強固に固定されるようになる。
【0077】
次に、
図16に示すように、上記プローブカード1、14を上記プローブカード収納ケースから取り出すことにより、本発明の上側ケース部8を製作することができるようになる。
【0078】
また、上側ケース部9も上記と同様に形成する。
【0079】
なお、上記上側ケース部9の押え部材13は、上記上側ケース部9と一体に金型により成形してもよく、または、別体で別途、上側ケース部9に取り付けるようにしてもよい。
【0080】
また、必要に応じて、弾性部材10c、13aを設けるようにする。
【0081】
そして、上記上側ケース部8の一方の側辺と、上記下側ケース部9の一方の側辺とを、ヒンジ部2aにより、傾動自在に連結するようにする。
【0082】
なお、上記載置部18aに対する上記突出部18bの取り付けは、上記ヒンジ部2cを取り付けた後に行うようにしてもよい。
【0083】
本発明においては、合成樹脂製のプローブカード収納ケースを、射出成型により成型し、形状誤差があっても、成型後に、プローブカードと収納ケースとの位置決め設定を行うため、正確に位置決めできるプローブカード収納ケースを作成することができるようになる。
【0084】
また、載置台18において、載置部18aと、突出部18bとを別体に成形し、位置合わせの時に、プローブカードを載置した載置部18aを動かす必要がないので、プローブカード1、14の位置決めが容易で、また、上記プローブカード1、14のブリム部6、15に無理な力が働かず、該ブリム部6、15の破損等を防ぐことができるようになる。
【0085】
なお、本発明においては、スティフナー5のないプローブカード14の他、スティフナー5を有するプローブカード1も収納することができる。
また、本発明のプローブカード収納ケースは、プローブカードを収納する合成樹脂製の一方のケース部と、該一方のケース部を塞ぐ他方のケース部とよりなり、上記一方のケース部の底板に、収納されるプローブカードを載置すると共に位置決めする載置台を有し、該載置台は、上記プローブカードを所望の高さに載置する載置面を有する合成樹脂製の載置部と、該載置部に、該載置部に対して、収納されるプローブカードの半径方向に移動自在に設けられた、上記プローブカードに形成された一方の位置決め部に、位置決めされる他方の位置決め部が、その内周側面に形成された突出部と、上記載置部に、上記半径方向に移動自在に設けられた突出部を、上記収納されるプローブカードを位置決めする所望の位置で固定する固定手段とよりなり、上記突出部は、上記固定手段により固定されない場合は、上記載置部に対して、収納されるプローブカードの半径方向に移動自在であり、上記固定手段により固定された場合には、上記載置部に対して、固定されるように構成され、上記載置部は、上記底板と共に射出成型により形成されることを特徴とする。