(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026627
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】放射性希ガス除去フィルタ、フィルタユニットおよび原子炉格納容器ベントシステム
(51)【国際特許分類】
G21F 9/02 20060101AFI20240220BHJP
G21C 9/00 20060101ALI20240220BHJP
G21C 9/004 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
G21F9/02 551A
G21C9/00 100
G21C9/004
G21F9/02 511M
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024000315
(22)【出願日】2024-01-04
(62)【分割の表示】P 2020116905の分割
【原出願日】2020-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 茂紀
(72)【発明者】
【氏名】植田 敦子
(72)【発明者】
【氏名】松崎 隆久
(57)【要約】
【課題】耐久性が向上した放射性希ガス除去フィルタ、フィルタユニットおよび原子炉格納容器ベントシステムを提供する。
【解決手段】本発明に係る放射性希ガス除去フィルタは、一般式(1)で表される構造単位を有するポリイミド膜を備える。
【化1】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される構造単位を有するポリイミド膜を備える放射性希ガス除去フィルタ。
【化1】
(一般式(1)中、
前記N
1および前記N
2はそれぞれ窒素を表し、
前記R
1は芳香族環を1つ以上有し、
前記R
1と前記N
1とで形成される第1イミド環と、前記R
1と前記N
2とで形成される第2イミド環と、を有し、さらに前記芳香族環、前記第1イミド環および前記第2イミド環の立体構造は平面的に配列せず屈曲する構造を有しており、
前記R
2は芳香族環を1つ以上有し、
nは1以上の整数を表す。)
【請求項2】
請求項1において、
前記R2が結合している第2イミド環と前記N2に結合している芳香族環とは同一平面に配列しない立体構造を有している放射性希ガス除去フィルタ。
【請求項3】
請求項1において、
前記R1は、前記芳香族環を2つ以上有しており、前記芳香族環と前記芳香族環との間がsp3炭素、スルホニル基、ケトン結合およびエーテル結合の群から選択される少なくとも一種で結合されている放射性希ガス除去フィルタ。
【請求項4】
請求項1において、
前記R2は、前記N2と結合している第1の芳香族環と、前記第1の芳香族環と結合基を介して結合している第2の芳香族環と、を有し、
前記結合基が、前記N2と結合しているCの隣の位置のCに結合している放射性希ガス除去フィルタ。
【請求項5】
請求項4において、
前記結合基が、C、SおよびOの群から選択される少なくとも一種である放射性希ガス除去フィルタ。
【請求項6】
請求項1において、
前記一般式(1)で表される構造単位を有するポリイミド膜が、一般式(2)で表される酸二無水物と、一般式(3)で表されるジアミンと、の重合物である放射性希ガス除去フィルタ。
【化2】
(一般式(2)中、前記R
3は芳香族環を1つ以上有する。)
【化3】
(一般式(3)中、前記R
4は芳香族環を1つ以上有する。)
【請求項7】
請求項1において、
原子炉格納容器の内部の気体を外部に放出して前記原子炉格納容器の内部を減圧するベントラインに設置されることを用途とする放射性希ガス除去フィルタ。
【請求項8】
請求項1から請求項7のうちのいずれか1項に記載の放射性希ガス除去フィルタと、
前記放射性希ガス除去フィルタを保持する保持部材と、
を備えるフィルタユニット。
【請求項9】
原子炉格納容器の内部の気体を外部に放出して前記原子炉格納容器の内部を減圧するベントラインと、
前記ベントラインの一部に設置された請求項8に記載のフィルタユニットと、
を備える原子炉格納容器ベントシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性希ガスを除去する放射性希ガス除去フィルタならびにこれを備えたフィルタユニットおよび原子炉格納容器ベントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電プラントに備えられた原子炉格納容器の機能の一つに、原子炉圧力容器内に配置された炉心に、万が一、溶融するような事態(以下、過酷事故)が発生し、放射性物質が原子炉圧力容器外に放出されたとしても、当該放射性物質を原子炉格納容器内に閉じ込めて外部に漏出するのを防ぐことが挙げられる。過酷事故が発生した場合でも、その後に十分な注水が行われ、かつ原子炉格納容器が冷却されれば、事故は収束する。
【0003】
しかし、万が一、蒸気の生成が継続し、原子炉格納容器の冷却が不十分な場合、原子炉格納容器が加圧される。原子炉格納容器が加圧された場合は、原子炉格納容器内の気体を大気中に放出し、原子炉格納容器を減圧する場合がある。この操作はベント操作と呼ばれている。このベント操作を行う場合は、沸騰水型原子炉では公衆の被ばくが最小限となるように、サプレッションプールのプール水によって放射性物質を除去した上で原子炉格納容器内の気体(以下、「ベントガス」と呼ぶことがある)を大気中に放出する。
【0004】
また、このベントガスからさらに放射性物質を取り除くシステムとして原子炉格納容器ベントシステムがある。特許文献1に、原子炉格納容器ベントシステムの一例が記載されている。
【0005】
特許文献1に記載の原子炉格納容器ベントシステムは、原子炉格納容器の内部の気体を外部に排出することで前記原子炉格納容器を減圧するベントラインを備えている。また、このベントシステムは、放射性物質の透過を抑制し蒸気を透過する、前記原子炉格納容器の側の前記ベントラインの端部に配置されたフィルタと、前記原子炉格納容器の内部の前記ベントラインの端部および前記フィルタを囲む保護容器と、を備えている。さらに、このベントシステムは、前記原子炉格納容器の限界圧力以下の動作圧力で開き、前記動作圧力未満で閉じ、前記フィルタを介さずに気体を外部に排出するための、前記保護容器に設置された前記ベントラインのバイパス用開閉弁と、前記保護容器に設置され、前記バイパス用開閉弁の作動圧力以下の動作圧力で開く起動弁と、を備えている。
【0006】
このベントシステムでは、ベントガスは、サプレッションプールの水でスクラビングされて、粒子状の放射性物質が除去される。また、スクラビングで除去しきれなかった粒子状の放射性物質は、金属フィルタでさらに除去される。さらに、よう素などのガス状の放射性物質は、よう素フィルタにより化学反応および吸着によって除去される。そして、放射性希ガス(例えば、クリプトンの放射性同位体のガスやキセノンの放射性同位体のガスなど)は、水蒸気を透過し希ガスを透過しない膜フィルタを用いて除去される。なお、特許文献1には、そのような膜フィルタとして、ポリイミドを主成分とした高分子膜(以下、「ポリイミド膜」と呼ぶ)が好適である旨記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
膜フィルタによる放射性希ガスの除去までを目的とした原子炉格納容器ベントシステムは、特許文献1のようにベントガスが通過するベントライン上に、水蒸気を透過し希ガスを透過しない膜フィルタを設置することで放射性希ガスを除去する。膜フィルタを透過する水蒸気と希ガスの量は、膜面積と、膜フィルタ前後でのそれぞれの気体の分圧差と、それぞれの気体に対する膜フィルタの透過率とによって決まる。
【0009】
ポリイミド膜は、耐熱性に優れるとともに、緻密な構造をしているため水蒸気の透過率に比べて希ガスの透過率が低く、選択的に水蒸気を外部に放出できるという特性を有している。しかし、ポリイミド膜は、膜材料を構成するポリイミドが一般的に酸二無水物とジアミンの2種類の原料を脱水縮合することで得られるため、水分子による加水分解反応が可逆的に引き起こされる可能性がある。
【0010】
特に、事故時に発生する水蒸気を分離する膜に使用されるポリイミドは比較的高温の水蒸気(例えば、150℃~180℃の高温の水蒸気)にさらされる可能性が高いため、加水分解が生じる可能性がある。膜フィルタを備えたフィルタユニットとしては長時間耐え得る耐久性が要求され、そのためにはできる限り加水分解の発生を抑制する必要がある。
【0011】
本発明は前記状況に鑑みてなされたものであり、耐久性が向上した放射性希ガス除去フィルタ、フィルタユニットおよび原子炉格納容器ベントシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決した本発明に係る放射性希ガス除去フィルタは、一般式(1)で表される構造単位を有するポリイミド膜を備える。
【0013】
【0014】
ただし、一般式(1)中、前記N1および前記N2はそれぞれ窒素を表し、前記R1は芳香族環を1つ以上有し、前記R1と前記N1とで形成される第1イミド環と、前記R1と前記N2とで形成される第2イミド環と、を有し、さらに前記芳香族環、前記第1イミド環および前記第2イミド環の立体構造は平面的に配列せず屈曲する構造を有しており、前記R2は芳香族環を1つ以上有し、nは1以上の整数を表す。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、耐久性が向上した放射性希ガス除去フィルタ、フィルタユニットおよび原子炉格納容器ベントシステムを提供できる。
前述した以外の課題、構成および効果は以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態に係る原子炉格納容器ベントシステムを備えた原子力発電プラントの構成を説明する概略構成図である。
【
図2】本実施形態に係るフィルタユニットの一態様を示す一部切欠き斜視図である。
【
図3】本実施形態に係るフィルタの一態様を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、適宜図面を参照して本発明に係る放射性希ガス除去フィルタ(以下、単に「フィルタ」と呼ぶことがある)、フィルタユニットおよび原子炉格納容器ベントシステムの一実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係るフィルタは、フィルタユニットおよび原子炉格納容器ベントシステムにおいて、放射性希ガスを選択的に除去する用途に特に好適に用いられる。これらのフィルタ、フィルタユニットおよび原子炉格納容器ベントシステムはいずれも原子力発電プラントにおいて、万が一、過酷事故が発生した場合に、原子炉格納容器内の気体を外部の大気中に放出して原子炉格納容器の内部を減圧する際に使用される。フィルタおよびフィルタユニットは、当該原子炉格納容器ベントシステムのベントライン(ベント配管)に設置される。
はじめに、フィルタが用いられる原子力発電プラントおよび原子炉格納容器ベントシステムについて説明し、次いで、フィルタユニットおよびフィルタについて説明する。
【0018】
[原子力発電プラントおよび原子炉格納容器ベントシステム]
参照する図面において、
図1は、本実施形態に係る原子炉格納容器ベントシステムVSを備えた原子力発電プラントNPPの構成を説明する概略構成図である。なお、
図1は、改良型沸騰水型原子炉(ABWR)に原子炉格納容器ベントシステムVSを備えた様子を示している。
【0019】
図1に示すように、原子力発電プラントNPPは、原子炉格納容器1内に、炉心2を内包する原子炉圧力容器3を有する。原子炉圧力容器3には、原子炉圧力容器3内で発生した蒸気をタービン(図示せず)に送る主蒸気管4が接続されている。
【0020】
原子炉格納容器1の内部は、鉄筋コンクリート製のダイヤフラムフロア12によってドライウェル5とウェットウェル7に区画されている。ウェットウェル7は、内部にプール水を貯めている領域を有している。このウェットウェル7内のプールは、サプレッションプール8と呼ばれている。ドライウェル5とウェットウェル7は、ベント管排気部11aを有するベント管11によって相互に連通されている。ベント管排気部11aは、ウェットウェル7内のサプレッションプール8の水面下に開口している。
【0021】
万が一、配管類の一部が損傷し、原子炉格納容器1内に蒸気が放出される配管破断事故が発生した場合、ドライウェル5の圧力が配管の破断口から流出する蒸気により上昇する。なお、当該配管破断事故は一般的にLOCAの名称で知られ、配管が通るドライウェル5で発生する。その際、ドライウェル5内に放出された蒸気は、ドライウェル5とウェットウェル7の圧力差により、ベント管11およびベント管排気部11aを通ってウェットウェル7内のサプレッションプール8内のプール水に導かれる。サプレッションプール8は、プール水で蒸気を凝縮することで蒸気の体積を大幅に減少させ、原子炉格納容器1内の圧力上昇を抑制する。この際、蒸気内に放射性物質が含まれていた場合には、サプレッションプール8内のプール水のスクラビング効果により大半の放射性物質が除去される。
【0022】
また、原子炉圧力容器3や主蒸気管4の圧力が高くなった場合も同様に蒸気をサプレッションプール8に放出して凝縮し、原子炉圧力容器3や主蒸気管4の圧力を下げる。そのための装置として、例えば、ABWRでは、原子炉格納容器1内のドライウェル5の領域、例えば、主蒸気管4の任意の箇所に、蒸気を逃がすための蒸気逃し安全弁6が設置されている。蒸気逃し安全弁6を通して放出された蒸気は、蒸気逃し安全弁排気管9を通って、最終的にクエンチャ10からサプレッションプール8内に放出され、サプレッションプール8のプール水により凝縮される。そして、前記同様、サプレッションプール8は、蒸気を凝縮して液体の水にすることで蒸気の体積を大幅に減少させ、原子炉格納容器1の圧力上昇を抑制する。また、この際も蒸気に放射性物質が含まれている場合には、前記同様、サプレッションプール8内のプール水のスクラビング効果により大半の放射性物質が除去される。
【0023】
サプレッションプール8で蒸気を凝縮し、サプレッションプール8内のプール水を残留熱除去系(図示せず)で冷却することで、原子炉格納容器1の温度上昇と圧力上昇を防止し、事故を収束させることができる。
【0024】
しかし、非常に低い可能性ではあるが、残留熱除去系が機能を喪失した場合、サプレッションプール8のプール水の温度が上昇する。プール水の温度が上昇するに伴い、原子炉格納容器1内の蒸気の分圧はプール水の温度の飽和蒸気圧まで上昇するため、原子炉格納容器1の圧力が上昇する。このような圧力上昇が起きた場合、原子炉格納容器1内に冷却水をスプレイすることで圧力上昇を抑えることができる。また、このスプレイは外部から消防ポンプなどを接続して作動させることも可能である。
【0025】
しかし、さらに非常に低い可能性ではあるが、このスプレイも作動しない場合、原子炉格納容器1の圧力は上昇する。このような原子炉格納容器1の圧力上昇が起きた場合、原子炉格納容器1内の気体を外部に放出することで原子炉格納容器1の圧力上昇を抑えることができる。この操作はベント操作と呼ばれている。ABWRでは、このベント操作をウェットウェル7内の気体7aを放出することにより行う。このようにすることで、ABWRは、サプレッションプール8内のプール水で最大限放射性物質を除去した上で、外部へ気体を放出することができる。
【0026】
ABWRには、このベント操作をする上で、外部に放出する気体7aからさらに放射性物質を取り除く装置として、前記した原子炉格納容器ベントシステムVSがある。原子炉格納容器ベントシステムVSは、原子炉格納容器1のドライウェル5とウェットウェル7とに接続されたベントライン13を有している。このベントライン13には隔離弁14と、フィルタベント装置起動弁27と、フィルタベント装置起動弁27をバイパスするラプチャディスク28とが配設されている。通常は、ウェットウェル7側の隔離弁14aは常に開いておき(
図1中、開いた状態の隔離弁14aを白抜きで図示)、ドライウェル5側の隔離弁14bは常に閉じておく(
図1中、閉じた状態の隔離弁14bを黒塗りで図示)。フィルタベント装置起動弁27は通常は閉じておくが(
図1中、閉じた状態のフィルタベント装置起動弁27を黒塗りで図示)、所定の圧力以上になった場合に開き、一旦開いた後は再度閉状態とする指示(信号)があるまで開状態を維持する。ウェットウェル7側の隔離弁14aは、このように開いておくことでサプレッションプール8内のプール水で放出ガスをスクラビングし、大半の放射性物質を除去することができる。これはABWRの安全上の特徴である。
【0027】
ラプチャディスク28は、フィルタベント装置起動弁27を起動させる圧力以上かつ原子炉格納容器1の耐圧以下で受動的に開くように設定されている。ラプチャディスク28は、フィルタベント装置起動弁27が何らかの原因で開かなかった場合に前記条件で受動的に開くので、原子炉格納容器1の減圧を適切に実施できる。なお、このラプチャディスク28は、爆破弁やその他のバルブでも構わない。
【0028】
そして、ベントライン13は、一点鎖線内の機器で構成されるフィルタベント装置15におけるフィルタ容器16の入口配管17に接続されている。この入口配管17の先端側は、フィルタ容器16内に開口している。
【0029】
フィルタ容器16内の下部側には、スクラビング用のプール水18が貯留されている。フィルタ容器16の上部側には金網状の金属フィルタ19が設置されている。この金属フィルタ19には、フィルタ容器16の出口配管20の一端が接続されている。出口配管20の他端は遮蔽壁21を貫通して遮蔽壁21外に導出されている。気体は、最終的に排気筒22への配管31を通り、排気筒22から外部に放出される。
【0030】
ベントライン13内のフィルタベント装置15に入る放出ガスには、エアロゾル状放射性物質a、放射性希ガスb、水蒸気c、水素d、窒素などのその他の気体eなどが含まれている。
フィルタベント装置15に入った放出ガスは、スクラビング用のプール水18でさらにスクラビングされることで、主にエアロゾル状放射性物質aのほとんどが除去される。さらに、金属フィルタ19と、よう素フィルタ38とにより、よう素などの気体状の放射性物質(図示せず)が除去される。
【0031】
前記の操作でほとんどの放射性物質は除去されるが、放射性希ガスbは反応性が乏しいため、ここまでに述べた構成のフィルタベント装置15のみでは除去できない。なお、ここまでに述べた構成のフィルタベント装置15から放出される出口配管20内の放出ガスには、放射性希ガスb、水蒸気c、水素d、窒素などのその他の気体eなどが含まれている。
【0032】
[フィルタユニット]
そこで、本実施形態に係る原子炉格納容器ベントシステムVSは、フィルタベント装置15の後流の出口配管20上にフィルタユニット23を設置した。このフィルタユニット23は、後述するフィルタ(例えば、後述する中空糸膜23aや膜フィルタ23hなど)と、このフィルタを保持する保持部材(例えば、後述する円筒体23cおよび端部材23d)とを備えており、放射性希ガスを選択的に除去できる。つまり、フィルタユニット23は後述するフィルタを備えているため放射性希ガスは透過させないが、水蒸気および水素は透過させることができる。従って、フィルタユニット23は、水蒸気および水素を外部に放出し、原子炉格納容器1の圧力を下げることができる。
【0033】
図2は、本実施形態に係るフィルタユニット23の一態様を示す一部切欠き斜視図である。
図2に示すように、フィルタユニット23の一例として、後述するフィルタをストロー状の中空糸膜23aに形成して内包させた中空糸膜モジュール23bを挙げることができる。中空糸膜モジュール23bは、中空糸膜23aと、これを保持する保持部材として、円筒体23cおよび円筒体23cの両端に有底円筒状の端部材23dがそれぞれ配置されている。端部材23dの底部23eの中央には、それぞれ放出ガスの入出を可能とする放出ガス入出口部23fが設けられている。中空糸膜23aは、複数本束ねたようにして中空糸膜モジュール23b内に配置されている。中空糸膜23aの両端の開口部(図示せず)近傍はそれぞれ樹脂などの固定材によって、各中空糸膜23aの開口部を塞がないように、かつ、複数本ある中空糸膜23a同士の隙間や円筒体23cとの隙間を埋めるように固められている。また、中空糸膜23aの端部の開口部(図示せず)は、放出ガス入出口部24fと対向するように設けられている。
【0034】
放出ガスは、中空糸膜23aの一方の開口部から入り、中空糸膜23aの内部を通流して他方の開口部から排出される。この際、放出ガスに含まれる水蒸気cおよび水素dは、中空糸膜23aの膜面から中空糸膜23aの外部に透過する。一方、放出ガスに含まれる放射性希ガスbおよびその他の気体eは、中空糸膜23aの膜面から透過されずに中空糸膜23aの他方の開口部から排出され、端部材23dの放出ガス入出口部23fから戻り配管24に排出される。戻り配管24に排出された放出ガス(放射性希ガスbおよびその他の気体e)は、逆止弁26を通ってドライウェル5に戻される。他方、円筒体23cの任意の箇所に通流口部23gが設けられており、中空糸膜23aの膜面を透過した水蒸気cおよび水素dは、この通流口部23gから配管31に排出され、配管31を通って排気筒22から外部に放出される。
【0035】
なお、フィルタユニット23は、原子炉格納容器1内やベント配管上のどの位置に置いても放射性希ガスを除去できるが、フィルタベント装置15の下流に置くことが好ましい。このようにすると、フィルタユニット23にエアロゾル状放射性物質aが付着してフィルタ性能が劣化したり、事故時に発生する可能性のある溶融燃料からの影響にさらされたりすることを防止できる。そのため、原子炉格納容器ベントシステムVSの信頼性が向上する。
【0036】
フィルタユニット23に用いられる中空糸膜23aは、水蒸気cおよび水素dを透過し、放射性希ガスbを透過しない。つまり、フィルタユニット23は、放射性希ガスbを除去しながら、原子炉格納容器1の加圧の原因となる水蒸気cおよび水素dを放出することができる。しかし、時間の経過とともにフィルタユニット23には透過しない放射性希ガスbが溜まり、これらの気体の分圧が高まることで水蒸気cおよび水素dの透過量が低下し、原子炉格納容器1の圧力を下げる機能が低下する。そこで、フィルタユニット23と原子炉格納容器1を戻り配管24で接続し、戻り配管24のライン上に設置したブロワ25によって、中空糸膜23aを透過しない気体を原子炉格納容器1に戻す。このようにすると、原子炉格納容器ベントシステムVSは、フィルタユニット23の蒸気透過性能を維持できる。また、原子炉格納容器ベントシステムVSは、戻り配管24のライン上に逆止弁26を設置しているので、原子炉格納容器1からフィルタベント装置15を通らずにフィルタユニット23に放射性物質を含む気体が逆流するのを防止できる。
【0037】
[放射性希ガス除去フィルタ]
フィルタユニット23に用いられるフィルタは、一般式(1)で表される構造単位を有するポリイミド膜を備える。なお、このフィルタは中空糸膜23a以外にも、
図3に示すように、シート状の膜フィルタ23hとして形成することができる。
図3は、本実施形態に係るフィルタの一態様を示す斜視図である。
【0038】
【0039】
ここで、一般式(1)中、前記N1および前記N2はそれぞれ窒素を表す。従って、一般式(1)に示すように、フィルタの構造単位は、前記N1を含むイミド構造(第1イミド環)と、前記N2を含むイミド構造(第2イミド環)とを有する。以下、第1イミド環と第2イミド環とを区別する必要がない場合は単にイミド環と称する。
【0040】
また、前記R1は芳香族環を1つ以上有し、前記R1と前記N1とで形成される第1イミド環と、前記R1と前記N2とで形成される第2イミド環とを有し、さらに前記芳香族環、前記第1イミド環および前記第2イミド環の立体構造は平面的に配列せず屈曲する構造を有する。例えば、単結合(一重結合)を行う炭素は、4本のsp3混成軌道を有する。この4本のsp3混成軌道は、互いに正四面体の頂点方向を向くように配置される。そのため、炭素を中心にした分子の骨格は、一重結合であれば109.5°の結合角で他の原子(例えば、水素や炭素)と結合する。また、窒素は、一重結合であれば窒素を頂点とする三角錐の形をとり、他の原子との結合角は約107°となる。従って、前記したように、前記芳香族環、前記第1イミド環および前記第2イミド環の立体構造は平面的に配列せず屈曲する構造を有する。
【0041】
また、前記R2は芳香族環を1つ以上有するとともに、その芳香族環のうち前記N2と結合している芳香族環は、前記N2と結合しているCの隣の位置のC(オルト位のC)のうち少なくとも一方の位置のCが置換基を有している。
【0042】
さらに、前記R2が結合している第2イミド環と前記N2に結合している芳香族環とは同一平面に配列しない立体構造を有している。前記したように、窒素は、一重結合であれば窒素を頂点とする三角錐の形をとり、他の原子との結合角は約107°となる。従って、前記したイミド環と芳香族環とは、N2とR2とが一重結合で結合される場合、通常は同一平面に配列しない立体構造をとる。
そして、nは1以上の整数を表す。
なお、一般式(1)における芳香族環はベンゼンまたはナフタレンであることが好ましい。
【0043】
前記一般式(1)で表される構造単位を有するポリイミド膜は、例えば、一般式(2)で表される酸二無水物および一般式(3)で表されるジアミンを脱水縮合させた重合物として得ることができる。
【0044】
【0045】
なお、一般式(2)中、前記R3は芳香族環を1つ以上有する。前記R3は芳香族環を複数有する場合、それらの芳香族環の立体構造は平面的に配列せず屈曲する構造を有する。この一般式(2)中のR3は、一般式(1)中のR1に該当する。
【0046】
【0047】
なお、一般式(3)中、前記R4は芳香族環を1つ以上有するとともに、その芳香族環のうちそれぞれアミノ基と結合しているCの隣の位置のCのうち少なくとも一方の位置のCが置換基を有している。この一般式(3)中のR4は、一般式(1)中のR2に該当する。
【0048】
ここで、従来のポリイミド膜は、これを構成するイミド環が、比較的高温の水蒸気によって加水分解反応を引き起こしてポリアミック酸となり、さらにはカルボン酸とアミンに分解される。これにより、材料の引張破断伸びが低下し、脆くなる。この加水分解反応は、高温の水分子に含まれるOH-の電子がイミド環の持つ電子軌道に入ることで生じると考えられる。このときの加水分解反応性は、イミド環の周りに広がる電子の空軌道エネルギー準位と、OH-の持つ最高被占軌道(HOMO)エネルギーとのエネルギー差(ギャップ)によって決まる。言い換えると、このときの加水分解反応性は、これらのエネルギーを求めることで定量的に評価することができる。エネルギー差が大きい場合、反応することでより安定化しやすいことを意味するため、加水分解反応が進行しやすいと判断できる。
【0049】
他方、酸二無水物とジアミンの組合せによってイミド環の周りに広がる電子の空軌道のエネルギー準位が高くなるほど、イミド環の周りに広がる電子の空軌道エネルギー準位とOH-のHOMOエネルギーとのエネルギー差が小さくなると考えられる。そのため、加水分解反応性が低下すると考えられ、所望の性能を満たす分子構造が得られると考えられる。
【0050】
イミド環に位置する構造の空軌道エネルギー準位は、例えば、シミュレーションによって以下のようにして求めることができる。
【0051】
(1)酸二無水物とジアミンの組合せについて、一般式(1)で表される構造単位が3つ連なった低分子鎖モデルを作成する。
【0052】
(2)作成した低分子鎖モデルについて、一般的な原子間距離および結合角、二面角を実現する立体構造を作成する。そして、分子の重なりや交差しないように任意の二面角を選び、角度を変えることで、初期と異なる構造異性体を最大で100構造生成する。
【0053】
(3)得られた各構造を初期値とし、最も構造の近いエネルギー安定化構造を計算し、エネルギーを算出する。この計算・算出は、例えば、SCM社のDFTB(Density Functional based Tight-Binding)を用い、DFTB.org/3ob-3-1パラメータを用いて構造最適化計算を行うことによって得られる。
【0054】
(4)得られた各構造のエネルギーを比較し、最小のエネルギーを取る場合の構造を最安定構造とし、分散項を考慮した密度汎関数法によるエネルギー計算を行い、分子全体のエネルギー準位を算出する。この算出は、例えば、Gaussian社のGaussian09を用い、汎関数にAPFDを、基底関数に6-31G(d,p)を用いることによって得られる。
【0055】
(5)得られたエネルギー準位の中で、空軌道のエネルギー準位が低い順から等値面値0.01としたときの軌道を計算し、軌道の広がりが3つの繰り返し構造のうち、中央にある2か所のイミド環のどちらかの直上に広がっている場合、そのエネルギー値を記録する。もし、最低空軌道がイミド環に対応していない場合は、一つ上のエネルギー準位の空軌道を同様に計算する。この操作を、目的のイミド環周りに広がる軌道が見つかるまで行う。
【0056】
(6)こうして得られた空軌道のエネルギー準位を、酸二無水物とジアミンの組み合せについて比較し、エネルギー準位の高いものほど加水分解性が低いと判断する。
【0057】
イミド環の周りに広がる電子の空軌道のエネルギー準位の高さと反応性について、一般的に知られている化学式(4)に示すBPDA-PPD(3,3′,4,4′-biphenyltetracarboxylic dianhydride-p-phenylenediamine)および化学式(5)に示すPMDA-ODA(pyromellitic dianhydride-oxydianiline)について例を挙げる。
【0058】
【0059】
【0060】
イミド環の周りに広がる電子の空軌道エネルギー準位は、化学式(4)に示すBPDA-PPDでは-68.33521kcal/mol、化学式(5)に示すPMDA-ODAでは-79.65298kcal/molであった。このことから、化学式(4)に示すBPDA-PPDの方が、化学式(5)に示すPMDA-ODAに比べて加水分解されにくいと考えられる。実際に、塩基性下における劣化耐性を調査した結果が報告されている(NASA Technical Memorandum 102726)。当該報告では、室温で48時間、pH11~14の塩基性溶媒に浸す過酷試験において、化学式(4)に示すBPDA-PPDは、引張強度がおよそ85%に低下しただけであった。これに対し、化学式(5)に示すPMDA-ODAは、pH11で引張強度が60%まで低下し、pH14に至っては分解されてしまう結果が示されている。この過酷試験の結果は、塩基性によって、つまり、水よりもOH-によって分解性が高くなることを示しているが、過熱水蒸気状態の過酷試験でも同様な傾向になると考えられる。そのため、比較的高温の水蒸気による加水分解を生じにくくし、耐久性を向上させるためには、イミド環の周りに広がる電子の空軌道エネルギー準位が高い構造とするのがよいと考えられる。
【0061】
本発明者は、前記考察に基づいてイミド環の周りに広がる電子の空軌道エネルギー準位が高くなる構造について鋭意研究した。その結果、本発明者は、イミド環の平面構造と、ジアミン側のアミノ基が結合していた芳香族環の平面構造とが、同一平面上に配列しない、ねじれた構造を有する場合に当該エネルギー準位が高くなることを見出した。
【0062】
また、本発明者は前記研究にあたり、酸二無水物の構造は平面性が低く、電子軌道が広く共役構造を取らない構造を有する際に、イミド環の周りに広がる電子の空軌道エネルギー準位が高くなることを見出した。
このような観点からすると、一般式(1)において、前記R1は、前記芳香族環を2つ以上有しており、前記芳香族環と前記芳香族環との間がsp3炭素、スルホニル基、ケトン結合およびエーテル結合の群から選択される少なくとも一種で結合されていることが好ましいといえる。この場合のR1における芳香族環と芳香族環との間をこれらで結合すれば、酸二無水物の構造はより確実に平面性が低いものとなり、電子軌道が広く共役構造を取らない構造とすることができる。
そして、これを得るための酸二無水物が、前記した一般式(2)で表される化合物であり、その具体例として、化学式(6)~(8)に示す化合物が挙げられる。
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
さらに、本発明者は前記研究にあたり、ジアミンについては、アミノ基が結合している芳香族環中のCの隣の位置(つまり、オルト位)のCに、水素原子以外の置換基がある場合にねじれた構造を取ることを見出した。前記置換基としては、メチル基以上の分子量を持つアルキル基、アルキル基中の少なくとも1つの水素がハロゲン元素に置換されたハロゲン置換アルキル基およびハロゲン元素の群から選択される少なくとも1つであることが好ましいといえる。また、置換基としては、例えば、スルホ基、ケトン基、水酸基、アミンなどを用いることもできる。これらの置換基であれば、ジアミンをより確実にねじれた構造とすることができる。ハロゲン元素としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アスタチン、テネシンが挙げられる。
また、ジアミンをねじれた構造とする観点からすると、一般式(1)において、前記R2は、前記N2と結合している第1の芳香族環と、前記第1の芳香族環と結合基を介して結合している第2の芳香族環とを有し、前記結合基が、前記N2と結合しているCの隣の位置のCに結合していることが好ましい。また、前記結合基は、C、SおよびOの群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。これらのようにすると、さらに確実にジアミンをねじれた構造とすることができる。
そして、これを得るためのジアミンが前記した一般式(3)で表される化合物であり、その具体例として、化学式(9)~(11)に示す化合物が挙げられる。
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
なお、一般式(3)で表されるジアミンについては、アミノ基が結合しているCは2つあり、これらのCについてオルト位のCはそれぞれ2か所ずつ存在する。本実施形態においては、アミノ基が結合しているCに対するオルト位のCはそれぞれいずれか一方であってもよい。そのようなジアミンとしては、例えば、化学式(12)に示す化合物が挙げられる。
【0071】
【0072】
一般式(3)で表されるジアミンは、平面性の高い構造を持つ場合であっても、前記した置換基を有するとき、イミド環の周りに広がる電子の空軌道エネルギー準位が高くなり、重合後の一般式(1)で表される構造単位を有するポリイミド膜全体の構造を安定化させる方向に働く。平面性の高い構造を持つとともに前記した置換基を有するジアミンとして、例えば、化学式(13)や化学式(14)に示す化合物が挙げられる。
【0073】
【0074】
【0075】
以上に説明したフィルムによれば、イミド環の周りに広がる電子の空軌道エネルギー準位が高く、イミド環の周りに広がる電子の空軌道エネルギー準位とOH-のHOMOエネルギーとのギャップが小さいと考えられる。そのため、本実施形態に係るフィルムは比較的高温の水蒸気と接触した場合であっても加水分解反応性が低く、耐久性が高い。従って、このフィルムを用いたフィルタユニットや当該フィルタユニットを用いた原子炉格納容器ベントシステムも耐久性が高い。
そして、本実施形態に係るフィルムを用いれば、原子炉圧力容器から原子炉格納容器内に放射性物質を含む気体が流出し、原子炉格納容器が加圧される事態が万が一発生した場合においても、原子炉格納容器から気体を放出する際に放射性希ガスを含む全ての放射性物質を除去できる。そのため、本実施形態に係るフィルム、フィルタユニットおよび原子炉格納容器ベントシステムは、原子炉格納容器の加圧を防止するとともに、外部に放射性物質が漏洩する放射性物質を最低限にできる。
【実施例0076】
耐加水分解性を定量比較するため、塩基性下における劣化耐性を調査した結果(NASA Technical Memorandum 102726)に記載されているポリイミド13種に対し、塩基性水溶液に常温で2日間浸す劣化試験を行った。ただし、KaptonとApicalは構造上同じであるため、Kaptonのみを採用した。そして、引張強度の変化を調査した結果を用い推算式を作成した。
【0077】
試験条件として、pH=11の塩基性水溶液実験を参考にし、比較する値は、劣化前後における引張強度の保持率(%)とした。ポリイミドに対し、引張強度の保持率を目的変数、分子構造から計算される9つの説明変数を用い、scikit-learnによるランダムフォレスト回帰予測を行った。9つの説明変数は以下のとおりである。
1.前述の空軌道のエネルギー準位
2~4.ハンセンの溶解度パラメータ(δP,δD,δH)(ただし、繰り返し構造が1つで、末端に現れるジアミンおよび酸無水物を除した構造に対する)
5.イミド環とそれに結合されるベンゼン環との平面のなす角の余弦
6.芳香族環数(繰り返し構造が3つを想定)
7.水素を除く全原子間結合における芳香族性結合の数の割合(ただし、繰り返し構造が3つを想定)
8.回転可能結合数(ただし、繰り返し構造が3つを想定)
9.全炭素数に対するsp3炭素の割合(ただし、繰り返し構造が3つを想定)
【0078】
実験データは13個あるため、7つを学習データ、残り6つを検証データに分割した。学習に使用されるツリーの数を1000とし、予測を行った。学習データに対する決定係数がR2=0.90、検証データに対する決定係数がR2=0.73となる予測モデルを用いた。その結果、前述の特徴を有する酸二無水物とジアミンの組合せ、例えば化学式(6)~(8)の酸二無水物および化学式(9)~(14)のジアミンのそれぞれの組合せにより作られるポリイミドに対し、引張強度は、平均で84%の保持率を示し、最大で92%の保持率を示す構造が得られると予測された。
【0079】
以上、本発明に係る放射性希ガス除去フィルタ、フィルタユニットおよび原子炉格納容器ベントシステムについて実施形態および実施例により詳細に説明したが、本発明の主旨はこれに限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。