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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026656
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】画像表示装置及び画像表示方法
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/50 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
B60Q1/50 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024001303
(22)【出願日】2024-01-09
(62)【分割の表示】P 2022112249の分割
【原出願日】2018-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002332
【氏名又は名称】弁理士法人綾船国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤田 明
(57)【要約】
【課題】
自動運転車両が無人状態である場合に、自動運転車両の円滑な走行に資する。
【解決手段】
検出部730が、撮影部910から送られた撮影画像の解析処理を行って、車両CRの進行方向における人の有無を検出する。そして、検出部730は、当該検出結果を、人に関する情報として逐次、表示制御部750へ送る。表示制御部750は、車両CRが無人状態であり、かつ、車両CRが停止状態の場合に、検出部730から送られた人に関する情報に基づいて、車両CRの進行方向に人が存在すると判定したときに、車両CRの搭乗者を模した画像を、スクリーン955に表示される制御を行う。これにより、車両CRの進行方向に存在する人は、車両が有人車両であって、車両の搭乗者からに車両CRから離れるように注意されると想像して、当該人が車両CRから離れることを促すことができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律走行可能な車両に配置される画像表示装置であって、
前記車両が無人状態の場合に、前記車両の搭乗者を模した、前記車両の外部の人が視認可能な画像を表示させる表示制御部を、備えることを特徴とする画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置、画像表示方法及び画像表示プログラム、並びに、当該画像表示プログラムが記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運転者による運転操作を必要としない無人運転車両の実用化に向けての開発が進められている。こうした無人運転車両に関する技術の一つとして、車両外における人対策を行うものがあり、当該対策を行うための様々な技術が提案されている。
【0003】
かかる提案技術の一つとして、自動運転車両が人物を認識した場合に、当該人物に対して、自動運転車両によって認識されていることを通知するものがある(特許文献1参照:以下、「従来例」と呼ぶ)。この従来例の技術では、カメラによって撮影された撮影画像から、自動運転車両の周辺に存在する人物の検出処理を行う。そして、当該検出処理により人物が検出された場合には、当該人物に向けてレーザ光を照射したり、音を出力したりするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-159881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自動運転車両は、進行方向に人物を検出した場合には、当該人物との衝突を回避するための減速制御を行い、当該人物の付近で停車する。そして、無人運転の自動運転車両の実用化が開始され、自動運転車両が一般に普及するまでは、例えば、自動運転車両に興味のある者は、自動運転車両の進行方向に留まり、動かないことも想定される。こうした場合に、自動運転車両が無人状態のときには、搭乗者がいないため、自動運転車両の進行方向に留まって動かない者に対して、その場から動くことの要求や注意等を行えない。このため、自動運転車両が発進できず、円滑な走行が妨げられる。しかしながら、従来例の技術では、こうした事態に対処するための何等の提案もなされていない。
【0006】
このため、自動運転車両が無人状態である場合に、自動運転車両の円滑な走行に資することができる技術が望まれている。かかる要請に応えることが、本発明が解決すべき課題の一つとして挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、自律走行可能な車両に配置される画像表示装置であって、前記車両が無人状態の場合に、前記車両の搭乗者を模した、前記車両の外部の人が視認可能な画像を表示させる表示制御部を、備えることを特徴とする画像表示装置である。
【0008】
請求項6に記載の発明は、自律走行可能な車両に配置され、表示制御部を備える画像表示装置において使用される画像表示方法であって、前記車両が無人状態の場合に、前記表示制御部が、前記車両の搭乗者を模した、前記車両の外部の人が視認可能な画像を表示させる表示制御工程を、備えることを特徴とする画像表示方法である。
【0009】
請求項7に記載の発明は、画像表示装置が有するコンピュータに、請求項6に記載の画像表示方法を実行させる、ことを特徴とする画像表示プログラムである。
【0010】
請求項8に記載の発明は、画像表示装置が有するコンピュータにより読み取り可能に、請求項7に記載の画像表示プログラムが記録されている、ことを特徴とする記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施例に係る画像表示装置の構成を概略的に示すブロック図である。
図3図2の表示ユニットにおける投影ユニット、ハーフミラー及びスクリーンの配置関係を説明するための図である。
図4図2の画像表示装置による、搭乗者を模した画像の表示制御処理を説明するためのフローチャートである。
図5】スクリーンに表示される運転者を模した画像を、車両の外部から見たときの様子を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を、図1を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
[構成]
図1には、一実施形態に係る画像表示装置700の構成がブロック図にて示されている。画像表示装置700は、自律走行可能な車両CR内に配置される。本実施形態では、車両CRには、画像表示装置700に加えて、撮影部910と、車速検出部920と、表示部950とが配置され、これらが画像表示装置700に接続されている。また、車両CRには、不図示の自動運転装置が配置されている。
【0014】
上記の撮影部910は、車両CRの進行方向を含む撮影視野で、車両CRの少なくとも前方を撮影するカメラを備えて構成されている。撮影部910による撮影結果(撮影画像)は、画像表示装置700へ送られる。なお、不図示ではあるが、撮影部910による撮影結果は、自動運転装置へも送られ、自動運転装置による自動運転制御で活用されるようになっている。
【0015】
上記の車速検出部920は、車両CRの車速を検出する。車速検出部920による検出結果は、車速情報として、画像表示装置700へ送られる。なお、不図示ではあるが、車速検出部920による検出結果は、自動運転装置へも送られ、自動運転装置による自動運転制御で活用されるようになっている。
【0016】
上記の表示部950は、本実施形態では、投影部951と、スクリーン955とを備えている。
【0017】
投影部951は、映像プロジェクタを備えて構成されている。投影部951は、画像表示装置700から送られた表示画像データを受ける。そして、投影部951は、当該表示画像データに対応する画像を、スクリーン955に投影表示する。
【0018】
スクリーン955は、本実施形態では、前方座席の背もたれ部の前側に配置される。当該スクリーン955は、投影部951が投影した画像を、車両CRの外部の人に対して視認可能に表示する。
【0019】
上記の自動運転装置は、走行計画及び走行環境に応じて、車両CRの発進、加減速、操舵、停止等を制御する。当該自動運転装置は、進行方向に障害物が存在する場合には、走行を行わないように制御する。
【0020】
<画像表示装置700の構成>
上記の画像表示装置700の構成について、説明する。
【0021】
画像表示装置700は、図1に示されるように、記憶部710と、検出部730とを備えている。また、画像表示装置700は、表示制御部750を備えている。
【0022】
上記の記憶部710は、不揮発性の記憶素子を備えて構成される。当該記憶部710には、車両CRの搭乗者を模した画像データが記憶される。記憶部710には、表示制御部750がアクセス可能となっている。
【0023】
車両CRの搭乗者を模した画像データは、車両CRの外部の前方に存在する人が当該車両CRを見ていた場合に、当該人の視界に入らない状態から視界に入る状態へと遷移する動画のデータとなっている。
【0024】
上記の検出部730は、撮影部910から送られた撮影画像を受ける。そして、検出部730は、当該撮影画像の解析処理を行って、車両CRの前方に存在する人に関する情報を検出する。検出部730による検出結果は、表示制御部750へ送られる。検出部730による処理の詳細については、後述する。
【0025】
上記の表示制御部750は、検出部730から送られた人に関する情報を受ける。また、表示制御部750は、車速検出部920から送られた車速情報を受ける。引き続き、表示制御部750は、車両CRが無人状態であり、かつ、車両CRが停止状態の場合に、当該人に関する情報に基づいて、車両CRの前方において、人の検出が所定時間に亘って継続していると判定したときに、記憶部710内の画像データを読み取って、表示画像データを生成する。そして、表示制御部750は、当該表示画像データを表示部950へ送る。表示制御部750による処理の詳細については、後述する。
【0026】
ここで、所定時間は、車両CRの外部の前方に存在する人が、車両CRに対する興味や走行妨害等の理由で、車両CRの前方から動かないといった事態を判断するとの観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。また、本実施形態では、搭乗者が車両CR内に存在していることを示す入力が、不図示の入力部に対して行われていない否かを判定することにより、表示制御部750は、車両CRが無人状態であるか否かを判定するようになっている。
【0027】
[動作]
上記のように構成された画像表示装置700の動作について、検出部730及び表示制御部750による処理に主に着目して説明する。
【0028】
前提として、撮影部910は、動作を開始しており、撮影結果(撮影画像)を逐次、画像表示装置700へ送っているものとする。また、車速検出部920は、動作を開始しており、検出された車速情報を逐次、画像表示装置700へ送っているものとする。
【0029】
<人に関する情報の検出処理>
人に関する情報の検出処理に際しては、検出部730が、撮影部910から送られた撮影画像を解析して、画像中における人の有無を検出する。そして、検出部730は、当該検出結果を、人に関する情報として逐次、表示制御部750へ送る。
【0030】
<搭乗者を模した画像の表示制御処理>
搭乗者を模した画像の表示制御処理に際しては、表示制御部750が、まず、搭乗者が車両CR内に存在していることを示す入力が入力部に対して行われていないか否かを判定することにより、車両CRが無人状態であるか否かの無人状態判定処理を行う。当該無人状態判定処理の結果が否定的であった場合には、表示制御部750は、無人状態判定処理を繰り返す。
【0031】
無人状態判定処理の結果が肯定的であった場合には、表示制御部750は、車速検出部920から送られた車速情報に基づいて、車両CRが停止状態であるか否かの停止状態判定処理を行う。当該停止状態判定処理の結果が否定的であった場合には、停止状態判定処理を終了し、上述した無人状態判定処理を再度開始する。
【0032】
一方、停止状態判定処理の結果が肯定的であった場合には、表示制御部750は、検出部730から送られた人に関する情報が「人が存在する」旨の情報であるか否かの存在判定処理を行う。当該存在判定処理の結果が否定的であった場合には、存在判定処理を終了し、上述した無人状態判定処理を再度開始する。
【0033】
存在判定処理の結果が肯定的であった場合には、表示制御部750は、検出部730から送られた新たな人に関する情報に基づいて、「人が存在する」状態が所定時間に亘って継続しているか否かの継続判定処理を行う。当該継続判定処理の結果が否定的であった場合には、継続判定処理を終了し、上述した無人状態判定処理を再度開始する。
【0034】
一方、継続判定処理の結果が肯定的であった場合には、表示制御部750は、記憶部710内の画像データを読み取って、表示画像データを生成する。そして、表示制御部750は、当該表示画像データを表示部950へ送る。この結果、車両CRの外部の前方に存在する人が当該車両CRを見ていた場合に、当該人の視界に入らない状態から視界に入る状態へと遷移する、車両CRの搭乗者を模した画像が、スクリーン955に表示される。
【0035】
引き続き、表示制御部750は、検出部730から送られた新たな人に関する情報が「人が存在しない」旨の情報であるか否かの不存在判定処理を行う。当該不存在判定処理の結果が否定的であった場合には、表示制御部750は、車両CRの搭乗者を模した画像をスクリーン955に表示させた状態を維持して、不存在判定処理を繰り返す。
【0036】
一方、不存在判定処理の結果が肯定的になると、表示制御部750は、スクリーン955に表示させる、車両CRの搭乗者を模した画像の表示を終了して、上述した無人状態判定処理を再度開始する。
【0037】
以上説明したように、本実施形態では、検出部730が、撮影部910から送られた撮影画像の解析処理を行って、車両CRの進行方向における人の有無を検出する。そして、検出部730は、当該検出結果を、人に関する情報として逐次、表示制御部750へ送る。表示制御部750は、車両CRが無人状態であり、かつ、車両CRが停止状態の場合に、検出部730から送られた人に関する情報に基づいて、車両CRの進行方向に人が存在すると判定したときに、車両CRの搭乗者を模した画像を、スクリーン955に表示される制御を行う。
【0038】
これにより、車両CRの進行方向に存在する人は、車両CRが有人車両であって、搭乗者から、車両CRから離れるように注意されると想像して、当該人が車両CRから離れることを促すことができる。したがって、本実施形態によれば、自動運転車両が無人状態である場合に、自動運転車両のスムーズな発進に資することができる。
【0039】
また、上記の実施形態では、車両CRの進行方向に人が存在し、かつ、当該人の検出が所定時間に亘って継続した場合に、車両CRの搭乗者を模した画像を、スクリーン955に表示される制御を行う。このため、車両CRの進行方向に人が存在する人が、自動運転車両に興味を持って、走行妨害等のためにその場に留まっているかを、合理的に判定することができる。そして、人の検出が所定時間に亘って継続した場合にのみに、車両CRの搭乗者を模した画像を、スクリーン955に表示されるため、画像表示に使用する電力消費量を抑制することができる。
【0040】
また、上記の実施形態では、車両CRの搭乗者を模した画像は、車両CRの外部の前方に存在する人が当該車両CRを見ていた場合に、当該人の視界に入らない状態から視界に入る状態へと遷移する動画にしている。ここで、車両CRの搭乗者を模した画像を、車両CRの外部の前方に存在する人の視界に入らない状態で、突然表示した場合には、車両CRの進行方向に人が存在する人が違和感を覚える可能性がある。このため、本実施形態では、車両CRの進行方向に人が存在する人に対して、違和感を少なくする態様で、有人車両であることを想像させることができる。
【0041】
[実施形態の変形]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0042】
例えば、上記の実施形態では、車両CRの外部の前方に存在する人が当該車両CRを見ていた場合に、当該人の視界に入らない状態から視界に入る状態へと遷移する、搭乗者を模した動画を表示するようにした。これに対し、搭乗者を模した静止画像を表示するようにしてもよい。
【0043】
また、上記の実施形態では、車両の進行方向が車両の前方であるとして、車両の前方に存在する人を検出するようにした。これに対し、車両の進行方向は、車両の前方に加えて車両の後方であってもよい。この場合には、撮影部の構成を、車両の前方を撮影するカメラと、車両の後方を撮影するカメラとにして、車両の後方を撮影するカメラにより、車両の後方に存在する人を検出するようにすればよい。
【0044】
また、この場合には、スクリーンを、前方座席の背もたれ部の前側に配置するとともに、例えば、前方座席の背もたれ部の後側に配置する。また、この場合には、スクリーンに表示する車両の搭乗者を模した画像として、上述した実施形態の動画(第1の動画)に加えて、車両の外部の後方に存在する人が当該車両の後方を見ていた場合に、当該人の視界に入らない状態から視界に入る状態へと遷移する動画(第2の動画:例えば、運転者が座席から後ろを振り返る動画)を用意する。そして、車両の後方に存在する人を検出したときには、前方座席の背もたれ部の後側に配置したスクリーンに、第2の動画を表示するようにすればよい。
【0045】
また、上記の実施形態では、車両の搭乗者を模した画像を、前方座席の背もたれ部に配置されたスクリーンに投影するようにした。これに対し、車両のガラス(例えば、フロントガラス)に透明のスクリーンを配置し、当該スクリーンに、車両CRの搭乗者を模した画像を投影するようにしてもよい。
【0046】
また、上記の実施形態では、映像プロジェクタが画像をスクリーンに投影する方法で、搭乗者を模した画像を表示するようにしたが、例えば、液晶ディスプレイに搭乗者を模した画像を表示するようにしてもよい。
【0047】
また、上記の実施形態では、カメラ画像に基づいて、車両の進行方向側における人を検出するようにした。これに対し、公知のLidar(Light Detection and Ranging)の測定技術に基づいて、車両の進行方向側における人を検出するようにしてもよい。
【0048】
なお、上記の実施形態における画像表示装置の検出部及び表示制御部の一部又は全部を、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)等を備えた演算部としてのコンピュータとして構成し、予め用意されたプログラムを当該コンピュータで実行することにより、これらの要素の機能の一部又は全部の機能を果たすようにしてもよい。このプログラムはハードディスク、CD-ROM、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、当該コンピュータによって記録媒体からロードされて実行される。また、このプログラムは、CD-ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配信の形態で取得されるようにしてもよい。
【実施例0049】
以下、本発明の一実施例を、図2図5を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0050】
[構成]
図2には、一実施例に係る画像表示装置100の概略的な構成がブロック図にて示されている。画像表示装置100は、上述した一実施形態に係る画像表示装置700(図1参照)の一態様となっている。
【0051】
画像表示装置100は、自律走行可能な車両CR内に配置される。本実施例では、当該車両CRには、撮影ユニット210と、車速検出ユニット220と、表示ユニット250とが配置され、これらが画像表示装置100に接続されている。また、車両CRには、不図示の自動運転装置が配置されている。
【0052】
上記の撮影ユニット210は、本実施例では、車両CRの進行方向を含む撮影視野で、車両CRの少なくとも前方を撮影するカメラを備えて構成されている。撮影ユニット210による撮影結果(撮影画像)は、画像表示装置100へ送られる。なお、不図示ではあるが、撮影ユニット210による撮影結果は、自動運転装置へも送られ、自動運転装置による自動運転制御で活用されるようになっている。すなわち、撮影ユニット210は、上述した実施形態の撮影部910の機能を果たすようになっている。
【0053】
上記の車速検出ユニット220は、車速センサ等と備えて構成されており、車両CRの車速を検出する。車速検出ユニット220による検出結果は、車速情報として画像表示装置100へ送られる。なお、不図示ではあるが、車速検出ユニット220による検出結果は、自動運転装置へも送られ、自動運転装置による自動運転制御で活用されるようになっている。すなわち、車速検出ユニット220は、上述した実施形態の車速検出部920の機能を果たすようになっている。
【0054】
上記の表示ユニット250は、本実施例では、投影ユニット251と、ハーフミラー253と、スクリーン255とを備えている。ここで、投影ユニット251、ハーフミラー253及びスクリーン255の配置関係が、図3に示されている。
【0055】
投影ユニット251は、映像プロジェクタを備えて構成され、前方座席のフットレスト付近に配置される。当該投影ユニット251は、画像表示装置100から送られた表示画像データを受ける。そして、投影ユニット251は、当該表示画像データに対応する画像光をハーフミラー253に向けて照射する。
【0056】
ハーフミラー253は、フロントウインドウの上部に配置される。当該ハーフミラー253は、映像プロジェクタから照射された画像光を反射させる。こうして反射された画像光は、スクリーン255に向けて進行する。
【0057】
スクリーン255は、本実施例では、前方座席の背もたれ部の前側に配置されている。当該スクリーン255は、投影ユニット251が投影し、ハーフミラー253で反射された画像光を受けて、車両CRの外部の人に対して視認可能な画像を表示する。
【0058】
すなわち、表示ユニット250は、上述した実施形態の表示部950の機能を果たすようになっている。
【0059】
上記の自動運転装置は、走行計画及び走行環境に応じて、車両CRの発進、加減速、操舵、停止等を制御する。当該自動運転装置は、進行方向に障害物が存在する場合には、走行を行わないように制御する。
【0060】
<画像表示装置100の構成>
次に、上記の画像表示装置100の構成について、説明する。
【0061】
図2には、一実施例に係る画像表示装置100の概略的な構成がブロック図にて示されている。画像表示装置100は、図2に示されるように、処理制御ユニット110と、記憶ユニット120とを備えている。
【0062】
上記の処理制御ユニット110は、画像表示装置100の全体を統括制御するとともに、様々な処理を実行する。当該処理制御ユニット110は、演算手段としての中央処理装置(CPU)及びその周辺回路を備えて構成されている。処理制御ユニット110が様々なプログラムを実行することにより、画像表示装置100としての各種機能が実現されるようになっている。こうした機能の中には、上述した実施形態における検出部730及び表示制御部750の機能も含まれている。かかる処理制御ユニット110が実行する処理の詳細については、後述する。
【0063】
なお、処理制御ユニット110が実行するプログラムは、ハードディスク、CD-ROM、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、当該記録媒体からロードされて実行される。また、このプログラムは、CD-ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配信の形態で取得されるようにしてもよい。
【0064】
上記の記憶ユニット120は、ハードディスク装置等の不揮発性の記憶装置を備えて構成され、画像表示装置100において利用される様々な情報データが記憶される。こうした情報データには、車両CRの搭乗者を模した画像データ等が含まれている。記憶ユニット120には、処理制御ユニット110がアクセスできるようになっている。すなわち、記憶ユニット120は、上述した実施形態の記憶部710の機能を果たすようになっている。
【0065】
上記の車両CRの搭乗者を模した画像データは、車両CRの外部の前方に存在する人が当該車両CRを見ていた場合に、当該人の視界に入らない状態から視界に入る状態へと遷移する搭乗者の動画の画像データとなっている。
【0066】
[動作]
以上のようにして構成された画像表示装置100の動作について、処理制御ユニット110による、搭乗者を模した画像の表示制御処理に主に着目して説明する。
【0067】
前提として、撮影ユニット210は、動作を開始しており、撮影結果(撮影画像)を逐次、画像表示装置100へ送っているものとする。また、車速検出ユニット220は、動作を開始しており、検出された車速情報を逐次、画像表示装置100へ送っているものとする。
【0068】
搭乗者を模した画像の表示制御処理に際しては、図4に示されるように、まず、ステップS11において、処理制御ユニット110が、搭乗者が車両CR内に存在していることを示す入力が不図示の入力ユニットに対して行われていないか否かを判定することにより、車両CRが無人状態であるか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS11:N)には、ステップS11の処理が繰り返される。
【0069】
ステップS11における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS11:Y)には、処理はステップS12へ進む。ステップS12では、処理制御ユニット110が、車速検出ユニット220から送られた車速情報に基づいて、車両CRが停止状態であるか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS12:N)には、処理はステップS11へ戻る。
【0070】
ステップS12における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS12:Y)には、処理はステップS13へ進む。ステップS13では、処理制御ユニット110が、撮影ユニット210から送られた撮影画像を解析して、画像中における人の有無を検出する。
【0071】
引き続き、ステップS14において、ステップS13の画像解析により、人が検出されたか否かを判定する。この判定の結果が肯定的であった場合(ステップS14:Y)には、処理はステップS15へ進む。ステップS15では、処理制御ユニット110が、前回の撮影画像の解析で、人が未検出であったか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS15:N)には、処理は、後述するステップS17へ進む。
【0072】
ステップS15における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS15:Y)には、処理はステップS16へ進む。なお、ステップS13の画像解析が、画像の表示制御処理における最初の画像解析であった場合には、ステップS15における判定の結果は肯定的となる。ステップS16では、処理制御ユニット110が、時間計測を開始する。この後、処理はステップS17へ進む。
【0073】
ステップS17では、処理制御ユニット110が、時間計測を開始してから所定時間が経過したか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS17:N)には、処理はステップS13へ戻る。
【0074】
ステップS17における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS17:Y)には、処理はステップS18へ進む。ステップS18では、処理制御ユニット110が、記憶ユニット120内の画像データを読み取って、表示画像データを生成する。そして、処理制御ユニット110は、当該表示画像データを表示ユニット250の投影ユニット251へ送る。この結果、車両CRの外部の前方に存在する人が当該車両CRを見ていた場合に、当該人の視界に入らない状態から視界に入る状態へと遷移する、車両CRの搭乗者を模した画像が、スクリーン255に表示される。この後、処理はステップS13へ戻る。
【0075】
一方、上述したステップS14における判定の結果が否定的であった場合(ステップS14:N)には、処理はステップS19へ進む。ステップS19では、処理制御ユニット110が、車両CRの搭乗者を模した画像が表示中であるか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS19:N)には、処理はステップS11へ戻る。
【0076】
ステップS19における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS19:N)には、処理はステップS20へ進む。ステップS20では、処理制御ユニット110が、車両CRの搭乗者を模した画像の表示を消去する制御を行う。そして、処理はステップS11へ戻る。
【0077】
ここで、図5には、ステップS18における処理によりスクリーン255に表示される、車両CRの搭乗者(男性)を模した画像を、車両CRの外部から見たときの様子の例が示されている。
【0078】
以上説明したように、本実施例では、処理制御ユニット110が、撮影ユニット210から送られた撮影画像の解析処理を行って、車両CRの進行方向における人の有無を検出する。そして、処理制御ユニット110は、車両CRが無人状態であり、かつ、車両CRが停止状態の場合に、撮影画像の解析処理の結果に基づいて、車両CRの進行方向に人が存在すると判定したときに、車両CRの搭乗者を模した画像を、スクリーン255に表示される制御を行う。
【0079】
これにより、車両CRの進行方向に存在する人は、車両CRが有人車両であって、搭乗者から、車両CRから離れるように注意されると想像して、当該人が車両CRから離れることを促すことができる。したがって、本実施例によれば、自動運転車両が無人状態である場合に、自動運転車両のスムーズな発進に資することができる。
【0080】
また、上記の実施例では、車両CRの進行方向に人が存在し、かつ、当該人の検出が所定時間に亘って継続した場合に、車両CRの搭乗者を模した画像を、スクリーン255に表示される制御を行う。このため、車両CRの進行方向に人が存在する人が、自動運転車両に興味を持って、走行妨害等のためにその場に留まっているかを、合理的に判定することができる。そして、人の検出が所定時間に亘って継続した場合にのみに、車両CRの搭乗者を模した画像を、スクリーン255に表示されるため、画像表示に使用する電力消費量を抑制することができる。
【0081】
また、上記の実施例では、車両CRの搭乗者を模した画像は、車両CRの外部の前方に存在する人が当該車両CRを見ていた場合に、当該人の視界に入らない状態から視界に入る状態へと遷移する動画にしている。ここで、車両CRの搭乗者を模した画像を、車両CRの外部の前方に存在する人の視界に入らない状態で、突然表示した場合には、車両CRの進行方向に人が存在する人が違和感を覚える可能性がある。このため、本実施例では、車両CRの進行方向に人が存在する人に対して、違和感を少なくする態様で、有人車両であることを想像させることができる。
【0082】
[実施例の変形]
本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0083】
例えば、上記の実施例では、スクリーンに表示する搭乗者を男性にした。これに対し、車両の進行方向に存在する人の性別、年齢、国籍等の属性に応じて、スクリーンに表示する搭乗者の属性を変えるようにしてもよい。
【0084】
また、車両の外部の進行方向に存在する人の属性(子どもを除く)と同じ属性の搭乗者を、スクリーンに表示するようにしてもよい。これにより、車両の外部に存在する人に対して、必要以上の威圧感を与えないようにすることができるとともに、軽視されることを防止することができる。
【0085】
また、上記の実施例では、図3及び図5に示されるような車両について、本発明を適用したが、トラック車両や重機車両等の他の車両に、本発明を適用してもよいことは勿論である。
【0086】
また、上記の実施例では、運転席に着座する者を模した画像を表示するようにしたが、助手席や後部座席に着座する者を模した画像を表示するようにしてもよい。
【0087】
また、上記の実施例では、車両の進行方向に人が存在すると判定したときに、車両の搭乗者を模した画像を表示するようにしたが、当該表示とともに、例えば、「はやくその場から動きなさい」等の音声出力を行うようにしてもよい。
【0088】
また、上記の実施例では、車両の搭乗者を模した画像を、前方座席の背もたれ部に配置されたスクリーンに投影するようにした。これに対し、車両のガラス(例えば、フロントガラス)に透明のスクリーンを配置し、当該スクリーンに、車両の搭乗者を模した画像を投影するようにしてもよい。また、当該画像をホログラムディスプレイ等に表示させることで、立体的に車両の搭乗者を外部の人に視認させるようにしてもよい。
【0089】
また、外部の人に車両の搭乗者を視認させる際には、上述のようにスクリーンに画像を投影する以外に、所謂プロジェクションマッピング技術を利用して、例えば人型の立体構造物を前方座席に配置し、当該立体構造物に搭乗者を模した画像を投影するようにしてもよい。なお、この場合は、当該立体構造物は座席に収納可能に構成しておくことが望ましい。
【0090】
また、ディスプレイ等に、搭乗者を模した画像を表示する際には、外部の人が存在する方向に応じて、当該画像をアフィン変換等により画像変換することにより、外部の人が存在する方向から見て、搭乗者を模した画像を違和感なく視認できる構成にしてもよい。なお、当該アフィン変換等を行わないときは、搭乗者を模した画像を違和感なく視認できる方向に外部の人が存在する場合にのみ、当該画像を表示するようにしてもよい。例えば、外部の人が車両の正面に存在する場合に、搭乗者を模した画像を当該外部の人が違和感なく視認できる画像のみを表示可能なときには、外部の人が車両に対し正面に存在することを検出した場合にのみ、当該画像を表示するようにしてもよい。
【0091】
また、上記の実施例については、上述した実施形態に対する変形と同様の変形を適宜施すことができる。
【符号の説明】
【0092】
100 … 画像表示装置
110 … 処理制御ユニット(検出部、表示制御部)
700 … 画像表示装置
730 … 検出部
750 … 表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5