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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026665
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】読取装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20240220BHJP
   G06K 7/14 20060101ALI20240220BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20240220BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
G06K7/10 444
G06K7/14 039
H04N23/60
H04N5/222 100
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024001459
(22)【出願日】2024-01-09
(62)【分割の表示】P 2019130580の分割
【原出願日】2019-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯坂 仁志
(57)【要約】
【課題】本発明が解決しようとする課題は、撮像部が保持体に保持された使用状態でも保持体から外れた状態の使用状態でも、効率的に読取対象の情報を効率的に読み取ることができる読取装置を提供することである。
【解決手段】実施形態の読取装置は、撮像部のカートへの着脱状態を検出する検出部の出力に応じて、撮像部の撮像に係る設定条件を変更可能とする設定変更部と、撮像部が撮像した画像に含まれる情報を読み取る制御を行う読取制御部と、を備えたものである。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部の保持体への着脱状態を検出する検出部と、
前記検出部の出力に応じて、前記撮像部の撮像に係る設定条件を変更可能とする設定変更部と、
前記撮像部が撮像した画像に含まれる情報を読み取る制御を行う読取制御部と、
を備えたことを特徴とする読取装置。
【請求項2】
前記設定変更部は、前記検出部の出力により前記撮像部が前記保持体に装着されていないと判定された場合に、前記撮像部の設定条件を読取距離が遠くなるよう変更可能とする
ことを特徴とする請求項1に記載の読取装置。
【請求項3】
前記撮像部の設定条件の変更指示を受け付ける受付部を更に備え、
前記設定変更部は、前記検出部の出力により前記撮像部が前記保持体に装着されていないと判定された状態で前記受付部が変更指示を受け付けた場合に、前記撮像部の設定条件を変更することを特徴とする請求項1または2に記載の読取装置。
【請求項4】
前記設定変更部は、前記撮像部の焦点距離、照明の輝度、シャッタースピード、カメラゲインの少なくとも何れかを変更可能とすることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1つに記載の読取装置。
【請求項5】
撮像部が撮像した画像の情報を読み取る読取装置を制御するコンピュータを、
前記撮像部の保持体への着脱状態を検出する検出部の出力に応じて、前記撮像部の撮像に係る設定条件を変更可能とする設定変更部と、
前記撮像部が撮像した画像に含まれる情報を読み取る制御を行う読取制御部と、
して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、読取装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばバーコード等の画像を撮像する撮像部を、保持体である置台に固定した状態でも、置台から外して手で持った状態でも使用できるようにした読取装置が知られている。(特許文献1)
【0003】
このような読取装置の撮像部を置台に固定して使用する場合は、読取対象を撮像部に近づけて読取対象の画像を撮像してその情報を読み取る。この使い方では、例えば、使用者は撮像部を持つ必要がないので、両手を使って次々に読取対象の画像を撮像して情報を読み取ることができる等の利点がある。一方、撮像部を置台から外した状態で使用する場合は、撮像部を手で持って読取対象に向けることによって画像を撮像して情報を読み取る。この使い方では、例えば、重量の重い読取対象の情報を読み取るときには使用者は重い読取対象を持たずに情報を読み取ることができるという利点がある。
【0004】
上記読取装置は使用者が使用する状況に応じて使い方を選択できる点で優れているといえるが、それぞれの使用状態において効率的に読み取りを行うことに関しては何ら考慮されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、効率的に読み取りを行うことが可能な読取装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の読取装置は、撮像部の保持体への着脱状態を検出する検出部と、前記検出部の出力に応じて、前記撮像部の撮像に係る設定条件を変更可能とする設定変更部と、前記撮像部が撮像した画像に含まれる情報を読み取る制御を行う読取制御部と、を備えたものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る読取装置をカートに装着した状態の斜視図である。
図2図2は、読取装置の着脱構成を示す図である。
図3図3は、読取装置を適用したPOSシステムを示す図である。
図4図4は、読取装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図5図5は、読取装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
図6図6は、撮像部の設定条件を示す図である。
図7図7は、POSシステムのデータやり取りを示すチャート図である。
図8図8は、読取装置の設定変更処理の流れを示すフローチャートである。
図9図9は、読取装置がカートに装着された使用状態を示す斜視図である。
図10図10は、読取装置がカートから外された使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の読取装置について図面を参照して説明する。実施形態の読取装置は、カートを用いたPOS(Point of Sales)システムに適用したものである。また、読取装置は、商品に付されたバーコードを撮像して当該商品を特定するための情報を読取るものである。しかしながら、読取装置の形態は任意であり、これらに限られるものではない。
【0009】
まず、読取装置1が装着された状態のカート2について説明する。カート2は、読取装置1を着脱可能に保持する保持体を構成するものであって、スーパーマーケットなどの店舗内で利用される手押し車であり、顧客が購入する商品を搭載して運搬可能である。図1に示すように、カート2は、ハンドル3、カゴ載置部4、キャスター5、バッテリホルダ6、支持部材7を備える。また、カート2は、図示しない取付部によりタブレット端末8を着脱可能に取り付ける。
【0010】
読取装置1は、読取窓1A、ボタンからなる指示部1Bと握り部(図示せず)をそれぞれ備えている。読取窓1Aは、ハンドル3を把持した顧客が位置する側に向けて形成されている。後述する撮像部は、読取窓1Aを介して読取対象(この実施形態では商品に付されたバーコード)の画像を撮像する。指示部1Bの機能については後述する。握り部は、カート2から外した読取装置1を顧客が持つために設けられている。
【0011】
ハンドル3は、顧客が把持してカート2を移動させるためのもので左右に一対形成されている。カゴ載置部4は、ハンドル3よりも前方に位置して形成され、顧客が購入する商品を収納するカゴKを載置するものである。キャスター5は、カート2の4本の脚にそれぞれ回転自在に取り付けられている。バッテリホルダ6は、読取装置1に電源を供給するバッテリ10を保持する。バッテリ10と読取装置1とは伸縮可能な電源線L1を介して接続されている。支持部材7は、一対のハンドル3、3間に位置するフレーム2Aに一体的に取り付けられていて、読取装置1を着脱可能に保持する。読取装置1が支持部材7に保持されることで、後述する撮像部がカート2に装着され、読取装置1が支持部材7から外されることで、撮像部がカート2から外される。
【0012】
次に、図2を参照して、カート2が読取装置1を着脱可能に保持するための構成について説明する。フレーム2Aに取り付けられた支持部材7は、左右方向の中央部かつ前後方向の両端部に位置する一対の凹部7A、7Aを有している。また、支持部材7は、その上面に凸部7Bを有している。詳細は後述するが、この凸部7Bは、読取装置1がカート2に保持されているか否かを検出するために設けられている。
【0013】
一方、読取装置1は、その下部に前後方向にスライド可能な一対のスライド体1D、1Dを備えている。スライド体1D、1Dは、支持部材7の凹部7A、7Aに着脱可能に嵌り合うものである。また、スライド体1D、1Dは、図示しないバネにより常時は互いに接近する方向に付勢されており、握り部に設けられたボタン(図示せず)を操作することで互いに離反する方向に移動する。図中1F、1Fは、スライド体1D、1Dの互いに接近する側の端部に形成された斜面である。
【0014】
読取装置1は、その下面に凹部1Eを備えている。凹部1Eは、スライド体1D、1Dが凹部7A、7Aに嵌り合うことにより読取装置1が支持部材7に保持された状態で、凸部7Bを受け入れる。読取装置1は、撮像部のカート2への着脱状態を検出する検出部9を備えている。9Aは、検出部9の操作子で、図示しないバネにより常時は凹部1E内に突出するように付勢され、凸部7Bに押圧されると上方に移動して検出部9のスイッチをオンする。図2に示すように読取装置1が支持部材7に保持された状態では、操作子9Aが検出部9のスイッチをオンする。これにより検出部9は、読取装置1が支持部材7に保持されて、撮像部がカート2に装着されていることを検出する。
【0015】
この状態から使用者が上述した図示しないボタンを操作すると、スライド体1D、1Dは、互いに離反する方向に移動して凹部7A、7Aから外れる。この状態で、使用者は、読取装置1を上方に移動させることにより、読取装置1を支持部材7から取り外すことができる。読取装置1とカート2との保持が解除された状態、すなわち撮像部がカートに装着されていない状態で、操作子9Aは、凸部7Bからの押圧が解除されて下方に移動し、検出部9のスイッチをオフにする。検出部9は、上記のようにして撮像部を有する読取装置1のカート2への着脱状態を検出する。検出部9は、上記した構成に限るものではなく、光学的に読取装置1のカート2への着脱状態を検出するもの等、この種の検出部として公知の構成を広く採用することが可能である。なお、読取装置1を支持部材7に保持させるには、使用者は、読取装置1を上方から支持部材7側に移動させればよい。このようにすることで、スライド体1Dは、斜面1Fが支持部材7の角部に当接することで押し広げられた後、凹部7Aと嵌り合って図2に示す状態となる。
【0016】
次に、カート2を用いたPOSシステム全体について図3を参照に説明する。読取装置1とバッテリホルダ6に保持されるバッテリ10とは、電源線L1で接続されている。また、読取装置1とタブレット端末8とは、例えばUSB(Universal Serial Bus)等の接続線L2で接続されている。読取装置1とタブレット端末8とは、接続線L2を介して相互に通信可能かつ情報の送受信が可能である。タブレット端末8と会計装置15とは、例えば無線LAN(Local Area Network)あるいは近距離無線通信等の通信回線Mで接続されている。会計装置15とタブレット端末8とは、通信回線Mを介して相互に通信可能であり、情報の送受信が可能である。
【0017】
読取装置1は、商品に付されたバーコード等の画像を撮像してこの画像からシンボル(商品を特定するための情報)を読み取る。以下においては、バーコードの画像を撮像してシンボルを読み取ることを、読取装置1がシンボルを読み取るという。読取装置1は読み取ったシンボルをタブレット端末8に送信する。
【0018】
タブレット端末8は、シンボルとそのシンボルが付された商品を特定する商品コードとを対応づけて記憶したテーブルと、当該商品コードに対応付けて当該商品の商品情報(商品名、商品の価格等)を記憶した商品マスタとを備えている。タブレット端末8は、読取装置1が読み取ったシンボルを受信して、売上登録処理を実行する。売上登録処理とは、受信したシンボルに基づいて、上記テーブル、商品マスタを参照して当該商品の商品情報をメモリに記憶する処理をいう。また、タブレット端末8は、売上登録処理によって記憶した商品情報を会計装置15に送信する。
【0019】
会計装置15は、受信した商品情報に基づき会計処理を実行する。会計処理とは、商品情報に基づいて、取引に係る合計金額や税額の表示、顧客から預かった預り金に基づいて釣銭を計算して表示する処理、商品情報や決済情報(合計金額、預り金額、釣銭額等)を印字したレシートを発行する処理等をいう。
【0020】
次に読取装置1のハードウェアについて図4を参照して説明する。読取装置1は、CPU(Central Processing Unit)31、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)33、メモリ部34等を備えている。CPU31は制御主体となる。ROM32は各種プログラムを記憶する。RAM33はプログラムや各種データを展開する。メモリ部34は各種プログラムを記憶する。CPU31、ROM32、RAM33、メモリ部34は、互いにバス35を介して接続されている。CPU31とROM32とRAM33とメモリ部34とが、制御部300を構成する。すなわち、制御部300は、CPU31がROM32やメモリ部34に記憶されRAM33に展開された制御プログラムに従って動作することによって、読取装置1の制御処理を実行する。
【0021】
RAM33は、バーコード部331を備える。バーコード部331は、後述する撮像部が撮像したバーコードの画像から読み取ったシンボルを記憶する。
【0022】
メモリ部34は、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disc Drive)、フラッシュメモリ等で構成されており、電源を遮断しても記憶内容を維持する。メモリ部34は、制御プログラム部341を備える。制御プログラム部341は読取装置1を制御するための制御プログラムを記憶する。
【0023】
制御部300は、バス35とコントローラ36を介して、指示部1B、検出部9、表示部41、撮像部42と接続されている。指示部1Bは、使用者が撮像部42の撮像に係る設定条件の変更を指示する。表示部41は、読取装置1の使用者(顧客)に対し、各種の情報を表示する。撮像部42は、読取窓1Aを介して商品に付されたバーコードの画像を撮像する。撮像部42の撮像に係る設定条件、例えば、焦点距離、照明の輝度、シャッタースピード、カメラゲイン(イメージセンサーが光を感じる能力の強さ)は、変更することができる。
【0024】
また、制御部300は、バス35を介して、電源供給部43に接続する。電源供給部43は、電源線L1を介してバッテリ10と接続する。また、制御部300は、バス35を介して、通信I/F44と接続する。通信I/F44は、接続線L2を介して、タブレット端末8と相互に情報の送受信が可能である。
【0025】
次に、読取装置1の機能構成について、図5を参照して説明する。読取装置1は、制御プログラム部341に記憶されRAM33に展開された制御プログラムに従うことで、撮像部42で撮像した画像に含まれる情報を読み取り、この情報をタブレット端末8に送信する。
【0026】
読取制御部301は、撮像部42で撮像した画像に含まれる情報であるバーコードのシンボルを読み取る制御を行うとともに、読み取ったシンボルをバーコード部331に記憶する。データ送信部302は、バーコード部331に記憶されているシンボルをタブレット端末8に送信する。
【0027】
検出信号受付部303は、検出部9からの信号を受け付ける。検出部9は、操作子9Aが支持部材7の凸部7Bに押圧されていない場合(読取装置1が支持部材7に保持装着されていない状態)に検出信号受付部303に対して信号を出力する。指示部1Bは、使用者によってボタンが押圧された場合に指示信号受付部304に対して信号を出力する。指示信号受付部304は、指示部1Bからの信号を受け付け、リセット信号が入力されるまで受付状態を維持する。このリセット信号は、検出信号受付部303が検出部9から信号を受け付けていない状態、すなわち読取装置1が支持部材7に装着されている状態のときに検出信号受付部303から出力される。
【0028】
設定変更部305は、検出部9の出力に応じて撮像部42の撮像に係る設定条件を変更可能とする。詳細には、設定変更部305は、検出信号受付部303が検出部9から信号を受け付けると、読取装置1が支持部材7に保持されておらず、撮像部42がカート2に装着されていないと判定し、上述した撮像部42の撮像に係る設定条件を変更可能とする。ここで、設定条件を変更可能とするとは、検出信号受付部303が検出部9から信号を受け付けることのみを条件として設定条件を変更する場合と、検出信号受付部303が検出部9から信号を受け付けることに加えて他の条件も満たされたときに設定条件を変更する場合と、を含む。実施形態では、後者の例を採用している。すなわち、設定変更部305は、検出信号受付部303が検出部9から信号を受け付けた状態で、指示信号受付部304が指示部1Bから信号を受け付けることを条件として、撮像部42の撮像に係る設定条件を変更する。
【0029】
具体的な設定条件は第6図に示すようになっている。検出信号受付部303が検出部9から信号を受け付けていない状態、すなわち読取装置1がカート2に保持されていると認められる状態では、撮像部42は、第1設定条件で撮像を行う。第1設定条件では、第2設定条件に対して、1.撮像部42が有する照明の輝度値が低い、2.撮像部42のシャッタースピードが高い、3.撮像部42のカメラゲイン(感度)が低い、4.撮像部42の焦点距離が近い、状態にそれぞれ設定されている。第1設定条件は、読取距離が10センチメートル程度に設定されており、撮像部42は、読取窓1Aから10センチメートルの位置を中心としたある範囲に存在する読取対象物を撮像できる。読取距離とは、撮像部42が読取対象物を撮像することができる読取窓1Aからの距離である。実施形態では、上記1.~4.の設定項目は、読取対象物が読取窓1Aから10センチメートル程度の場所に存在する場合に適した値にそれぞれ設定されている。
【0030】
そして、設定変更部305は、検出信号受付部303及び指示信号受付部304が信号を受け付けると、撮像部42の設定条件を第2設定条件に変更する。第2設定条件は、第1設定条件に対して、1.撮像部42が有する照明の輝度値を高くする、2.撮像部42のシャッタースピードを低くする、3.撮像部42のカメラゲイン(感度)を高くする、4.撮像部42の焦点距離を遠くする、よう設定されている。この実施形態においては、より好ましい例として、第2設定条件は、すべての設定項目について第1設定条件と異なっている。しかしながら、第2設定条件は、例えば照明の輝度値のみを第1設定条件と異ならせるようにしてもよい。第2設定条件は、読取距離が30センチメートル程度に設定されており、撮像部42は、読取窓1Aから30センチメートルの位置を中心としたある範囲に存在する読取対象物を撮像できる。実施形態では、上記1.~4.の設定項目は、読取対象物が読取窓1Aから30センチメートル程度に存在する場合に適した値にそれぞれ設定されている。
【0031】
次に、顧客が買い物をしたときのPOSシステムの処理について図7を参照して説明する。まず、顧客が購入しようとする商品に付されたバーコードの画像を撮像部42が撮像すると、読取装置1は、撮像した画像からシンボルを読み取る。そして、読取装置1は、読み取ったシンボルをタブレット端末8に送信する。読取装置1によるシンボルのタブレット端末8への送信は、顧客が商品に付されたバーコードを撮像する毎に行われる。
【0032】
タブレット端末8は、受信したシンボルに基づき上述した売上登録処理を行う。顧客がタブレット端末8に対して会計処理の実行を指示する操作を行うと、タブレット端末8は、売上登録処理を行った商品の商品情報を会計装置15に送信する。会計装置15は、タブレット端末8から受信した商品情報に基づき会計処理を実行する。
【0033】
続いて、読取装置1の制御部300の制御について、図8を参照して説明する。読取制御部301は、撮像部42が撮像した画像に基づいたシンボルの読み取りがあるか否かを判断する(S11)。シンボルの読み取りがあると、読み取ったシンボルをバーコード部331に記憶し(S12)、これをデータ送信部302によりタブレット端末8に送信する(S13)。
【0034】
一方、S11でシンボルの読み取りがないと判断されると、設定変更部305は、検出信号受付部303が検出部9から検出信号を受け付けたかを判断する(S14)。検出信号受付部303が検出信号を受け付けていないと判断される場合、設定変更部305は、撮像部42の設定条件を図6に示す第1設定条件に設定されているか否かを判断する(S15)。第1設定条件である場合にはS11に戻る。S15で撮像部42の設定条件が第1設定条件でない場合、設定変更部305は、S16で撮像部42の設定条件を第1設定条件に設定しS11に戻る。
【0035】
S14で、検出信号受付部303が検出信号を受け付けた場合、設定変更部305は、指示信号受付部304に指示部1Bから信号が入力されているか判断し(S17)、入力されていない場合、S11に戻る。また、S17で指示信号受付部304に指示部1Bから信号が入力されていると判断した場合、設定変更部305は、撮像部42の設定条件を第2設定条件に設定し(S18)、S11に戻る。
【0036】
上記の設定変更部305による処理によって、読取装置1がカート2に保持されている状態では、撮像部42の設定条件は第1設定条件に設定される。また、読取装置1がカート2に保持されておらず、かつ、指示部1Bが操作されると、撮像部42の設定条件は第2設定条件に設定される。このように、設定変更部305は、検出信号受付部303への入力、言い換えれば検出部9の出力に応じて撮像部42の撮像条件を変更可能としている。
【0037】
次に、読取装置1の使用方法等について図9図10を参照して説明する。図9は、読取装置1がカート2に保持された使用状態を示すものである。顧客は、商品が置かれた陳列棚から購入する商品を手に取って当該商品に付されたバーコードを読取窓1Aに接近させる。撮像部42は、バーコードを撮像する。読取制御部301は、撮像した画像から当該商品を特定するための情報であるシンボルを読み取る制御を行う。ところで、この使用状態では、顧客は、商品を手に持って自由な位置に移動させることができるので、通常バーコードのシンボルを読み取るための動作として、読取窓1Aから近い場所(例えば、読取窓1Aから10センチメートル程度の位置)にバーコードを位置させることが多い。
【0038】
読取装置1はカート2に保持されていることから、検出部9からの信号は、検出信号受付部303に入力されない。したがって、設定変更部305は、図7に示す処理に基づいて、撮像部402の撮像条件を第1設定条件に設定する。第1設定条件は、撮像部42が読取窓1Aから10センチメートル程度の位置(以下、第1読取位置という)を中心としたある範囲に存在する読取対象物を撮像するための設定条件である。
【0039】
撮像部42は、商品に付されたバーコードが第1読取位置に位置するとバーコードの画像を撮像し、音や光などを用いて撮像完了を顧客に報知する。上述したとおり、読取装置1がカート2に保持されている状態では、顧客は、バーコードの読み取りにあたって、商品を第1読取位置に位置させることが多い。一方、撮像部42の撮像に係る設定条件は第1読取位置を中心としたある範囲を撮像するように設定されている。したがって、顧客は格別に意識することなく、通常の動作を行えば、撮像部42による撮像を行うことができる。このため、読取装置1の読取効率が良好である。仮に、通常の動作で顧客がバーコードを第1読取位置に配置させなかった場合、顧客は、バーコードの位置を第1読取位置に位置させてシンボルの読み取りを行うことができる。
【0040】
続いて、図10を参照して、読取装置1がカート2から取り外されて使用される場合について説明する。例えば、顧客が重量の重い商品を購入する場合、カート2に保持された状態の読取装置1でシンボルの読み取りを行おうとすると、重い商品を持ちながら読み取りを行わなければならず労力を要する。このような場合は、読取装置1をカートから外して使用することで、容易にシンボルの読み取りを行うことができる。
【0041】
図10は、読取装置1がカート2から外された状態で使用される一例として、ペットボトル飲料が複数収納された箱の商品を購入する例を示した図である。このような場合、顧客は、商品が重いのでカート2に保持された状態の読取装置1を使用することなく、まずカート2の下段に商品を載置する。そして、顧客は、読取装置1をカート2から取り外し、指示部1Bを操作した後、読取窓1Aを箱に付されたバーコードBCに向けてシンボルの読み取りを行う。このような使用方法では、顧客と商品とが離れているので、顧客は、バーコードから離れた場所(例えば、読取窓1Aから30センチメートル程度の位置)に読取窓1Aを位置させることが多い。
【0042】
読取装置1はカート2に保持されていないことから、検出信号受付部303は、検出部9から信号を受け付ける。さらに、顧客が指示部1Bを操作すると指示信号受付部304は、信号を受け付ける。したがって、設定変更部305は、図8に示す処理に基づいて、撮像部402の撮像条件を第2設定条件に設定する。第2設定条件は、撮像部42が読取窓1Aから30センチメートル程度の位置(以下、第2読取位置という)を中心としたある範囲に存在する読取対象物を撮像するための設定条件である。
【0043】
撮像部42は、商品に付されたバーコードが第2読取位置に位置するとバーコードの画像を撮像し、音や光などを用いて撮像完了を顧客に報知する。上述したとおり、読取装置1がカート2に保持されていない状態では、顧客は、シンボルの読み取りにあたって、商品を第2読取位置に位置させることが多い。一方、撮像部42の撮像に係る設定条件は第2読取位置を中心としたある範囲を撮像するように設定されている。したがって、顧客は格別に意識することなく、通常の動作を行えば、撮像部42による撮像を行うことができる。このため、読取装置1がカートに保持されて使用される場合と同様に、シンボルの読取効率が良好となる。仮に、通常の動作で顧客がバーコードを第2読取位置に配置させなかった場合、顧客は、バーコードの位置を第2読取位置に位置させてシンボルの読み取りを行うことができる。
【0044】
上記のとおり実施形態の読取装置1は、撮像部42を備えた読取装置1のカート2への着脱状態を検出する検出部9の出力に応じて、撮像部42の設定条件を変更可能としている。このため、読取装置1をカート2に装着した状態及びカート2から外した状態のいずれにおいても、撮像部42の設定条件を顧客の通常の動作に合致したものに設定することができる。したがって、上記いずれの状態でも効率的にバーコードを撮像でき、結果としてシンボルの読み取り効率を良好とすることができる。特に、読取装置1をカート2から外した場合に読取距離が遠くなるように設定条件を変更したので、上記のように使用される、カート2を用いたPOSシステムに適したものとなっている。
【0045】
また、設定変更部305は、検出部9から検出信号受付部303への入力があったのみでは撮像部42の設定条件の変更は行わず、指示部1Bから指示信号受付部304への入力もあって初めて設定条件の変更を行う。このため、仮に、検出部9が読取装置1のカートへの装着を検出できないような不完全な状態で、読取装置1がカート2に支持されている場合でも、適切な設定条件とすることができる。具体的には、上記の不完全な保持状態の場合、顧客は読取装置1をカート2に保持させているという認識で読取装置1を使用する。この状態では、顧客は、読取距離が短い第1読取位置にバーコードを位置させるよう動作する。一方、設定変更部305は、検出信号受付部303への入力があるにも関わらず、顧客の動作に合致するよう撮像部42の設定条件を第1設定条件としている。したがって、読取装置1が不完全な状態でカート2に保持されている場合であっても、効率的に読み取りを行うことができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0047】
例えば、実施形態では、読取装置1をカート2に用いたPOSシステムに適用した例で説明したが、POS端末が設置されたPOSシステムに適用することも可能である。また、読取装置1は、バーコードを撮像するものでなく商品そのものの画像を撮像してシンボルを読み取るものでもよい。さらにはPOSシステムに限らず、撮像部が読取対象を撮像してその情報を読み取る装置であって、保持体に装着された状態と保持体から外された状態のいずれの状態でも使用可能な装置に各種読取装置に適用可能である。
【0048】
また、設定変更部305は、読取装置1がカート2に装着されていないと判定した場合、撮像部42の設定条件を読取距離が遠くなるよう変更可能とした。しかしながら、これは、実施形態のカート2を用いたPOSシステムに適用する場合に適した設定であり、読取装置1を適用するシステムの使用に応じた設定を行うことができる。例えば、実施形態とは逆に、読取装置1がカート2に装着されていないと判定した場合に、撮像部42の設定条件を読取距離が近くなるよう変更可能とすることも可能である。
【0049】
また、実施形態では、読取装置1全体をカート2に対して着脱可能としたが、撮像部42のみを着脱可能としてもよい。さらに、実施形態においては、読取装置1を上記のとおり動作させるプログラムを予め読取装置1が備えているものとして説明したが、読取装置1で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供するように構成しても良い。
【符号の説明】
【0050】
1 読取装置
2 カート(保持体)
9 検出部
42 撮像部
301 読取制御部
305 設定変更部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】
【特許文献1】特開2016-162100号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-01-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部のカートへの着脱状態を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果が、前記撮像部が前記カートに装着されていないことを示す場合に、前記撮像部が前記カートに装着されている場合と比較して、前記撮像部の前記設定条件の一部である読取距離が遠くなるよう変更する設定変更部と、
前記撮像部が撮像した画像に含まれる情報を読み取る制御を行う読取制御部と、
を備えたことを特徴とする読取装置。
【請求項2】
前記カートは、左右に一対形成される当該カートを移動させるためのハンドルと、一対の前記ハンドル間に位置するフレームに設けられた支持部とを有し、
前記撮像部は、前記支持部に着脱自在に取り付けられ、前記ハンドルを保持する顧客が位置する方向に向けて形成された読取窓を介して読取対象の画像を撮像する請求項1に記載の読取装置。
【請求項3】
前記撮像部の設定条件の変更指示を受け付ける受付部を更に備え、
前記設定変更部は、前記検出部の出力により前記撮像部が前記カートに装着されていないと判定された状態で前記受付部が変更指示を受け付けた場合に、前記撮像部の設定条件を変更することを特徴とする請求項1または2に記載の読取装置。
【請求項4】
前記設定変更部は、前記撮像部の焦点距離、照明の輝度、シャッタースピード、カメラゲインの少なくとも何れかを変更可能とすることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1つに記載の読取装置。
【請求項5】
撮像部が撮像した画像の情報を読み取る読取装置を制御するコンピュータを、
前記撮像部のカートへの着脱状態を検出する検出部の検出結果が、前記撮像部が前記カートに装着されていないことを示す場合に、前記撮像部が前記カートに装着されている場合と比較して、前記撮像部の前記設定条件の一部である読取距離が遠くなるよう変更する設定変更部と、
前記撮像部が撮像した画像に含まれる情報を読み取る制御を行う読取制御部と、
して機能させるためのプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
実施形態の読取装置は、撮像部のカートへの着脱状態を検出する検出部と、前記検出部の検出結果が、前記撮像部が前記カートに装着されていないことを示す場合に、前記撮像部が前記カートに装着されている場合と比較して、前記撮像部の前記設定条件の一部である読取距離が遠くなるよう変更する設定変更部と、前記撮像部が撮像した画像に含まれる情報を読み取る制御を行う読取制御部と、を備えたものである。