(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002668
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】マーカータンパク量推定方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/48 20060101AFI20231228BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20231228BHJP
G01N 33/68 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
G01N33/48 M
G01N33/50 Q
G01N33/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102000
(22)【出願日】2022-06-24
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】593106918
【氏名又は名称】株式会社ファンケル
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】東ヶ崎 健
(72)【発明者】
【氏名】高橋 美奈子
(72)【発明者】
【氏名】枝 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】愛原 咲季
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA24
2G045CB01
2G045CB09
2G045DA36
2G045GB01
2G045GB10
2G045JA01
(57)【要約】
【課題】角層のマーカータンパク量を推定する推定方法を提供すること。
【解決手段】角層画像の細胞領域、重層剥離領域、1細胞領域の1以上を特定し、
得られる角層パラメータを説明変数、Enolase-1量、FABP5量、Polyamine量のいずれかを目的変数とする相関関係に基づいて、角層画像から角層中のマーカータンパク量を推定するマーカータンパク量推定方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
角層画像の細胞領域、重層剥離領域、1細胞領域の1以上を特定し、
下記(1)~(3)の相関関係から選ばれる1以上に基づいて、角層画像から角層中のマーカータンパク量を推定することを特徴とするマーカータンパク量推定方法。
(1)細胞領域面積、真円度、近似する4-6角形からなる群から選択される1以上の角層パラメータを説明変数、Enolase-1量を目的変数とする相関関係
(2)1細胞輝度平均値、1細胞輝度中央値、1細胞輝度最小値からなる群から選択される1以上の角層パラメータを説明変数、FABP5量を目的変数とする相関関係
(3)重層剥離面積、重層剥離率、1細胞輝度平均値、1細胞輝度中央値、1細胞輝度最大値、1細胞輝度最小値からなる群から選択される1以上の角層パラメータを説明変数、Polyamine量を目的変数とする相関関係
【請求項2】
前記(1)~(3)の相関関係から選ばれる2以上に基づいて、2種以上のマーカータンパク量を推定することを特徴とする請求項1に記載のマーカータンパク量推定方法。
【請求項3】
前記細胞領域、重層剥離領域、1細胞領域の1以上が、予め複数枚の学習用角層画像と各学習用角層画像における目視評価による細胞領域、重層剥離領域、1細胞領域の1以上とを機械学習させた機械学習モデルを用いて特定されることを特徴とする請求項1または2に記載のマーカータンパク量推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角層のマーカータンパク量の推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
角層細胞の特定タンパク質量や特定遺伝子発現量等に基づいて肌状態等を評価する方法が知られている。例えば、特許文献1には、角層中のEnolase-1の発現量から皮膚粘弾性を評価する方法、特許文献2には、正常状態と比較した皮膚試料中のFABP-5の発現上昇量からニキビ悪性化を評価する方法、特許文献3には、角層中のPolyamine量からキメ等の皮膚状態を評価する方法が提案されている。
これらのマーカータンパク質の発現量は、一般的に蛍光抗体法により求められるが、蛍光強度とタンパク質濃度との関係を求める検量線の作成、測定試料の作成と蛍光強度の測定に非常に手間がかかる。そのため、簡便なマーカータンパク量の推定方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-114517号公報
【特許文献2】特開2016-095185号公報
【特許文献3】特許第6703218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、角層のマーカータンパク量を推定する推定方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、角層の観察画像から得られる角層構造を指標として、角層のマーカータンパク量を推定できることを見出してなされたものである。
【0006】
具体的には、本発明の課題を解決するための手段は以下の通りである。
1.角層画像の細胞領域、重層剥離領域、1細胞領域の1以上を特定し、
下記(1)~(3)の相関関係から選ばれる1以上に基づいて、角層画像から角層中のマーカータンパク量を推定することを特徴とするマーカータンパク量推定方法。
(1)細胞領域面積、真円度、近似する4-6角形からなる群から選択される1以上の角層パラメータを説明変数、Enolase-1量を目的変数とする相関関係
(2)1細胞輝度平均値、1細胞輝度中央値、1細胞輝度最小値からなる群から選択される1以上の角層パラメータを説明変数、FABP5量を目的変数とする相関関係
(3)重層剥離面積、重層剥離率、1細胞輝度平均値、1細胞輝度中央値、1細胞輝度最大値、1細胞輝度最小値からなる群から選択される1以上の角層パラメータを説明変数、Polyamine量を目的変数とする相関関係
2.前記(1)~(3)の相関関係から選ばれる2以上に基づいて、2種以上のマーカータンパク量を推定することを特徴とする1.に記載のマーカータンパク量推定方法。
3.前記細胞領域、重層剥離領域、1細胞領域の1以上が、予め複数枚の学習用角層画像と各学習用角層画像における目視評価による細胞領域、重層剥離領域、1細胞領域の1以上とを機械学習させた機械学習モデルを用いて特定されることを特徴とする1.または2.に記載のマーカータンパク量推定方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明のマーカータンパク量推定方法は、角層構造から得られる数値を指標とするものであり、非常に容易に、かつ精度良く、角層中のマーカータンパク量を推定することができる。本発明の推定方法で推定されたマーカータンパク量を指標として、肌状態等を評価することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、角層画像の細胞領域、重層剥離領域、1細胞領域の1以上を特定し、
下記(1)~(3)の相関関係から選ばれる1以上に基づいて、角層画像から角層中のマーカータンパク量を推定するマーカータンパク量推定方法に関する。
(1)細胞領域面積、真円度、近似する4-6角形からなる群から選択される1以上の角層パラメータを説明変数、Enolase-1量を目的変数とする相関関係
(2)1細胞輝度平均値、1細胞輝度中央値、1細胞輝度最小値からなる群から選択される1以上の角層パラメータを説明変数、FABP5量を目的変数とする相関関係
(3)重層剥離面積、重層剥離率、1細胞輝度平均値、1細胞輝度中央値、1細胞輝度最大値、1細胞輝度最小値からなる群から選択される1以上の角層パラメータを説明変数、Polyamine量を目的変数とする相関関係
【0009】
Enolase-1は、分子質量47,038Daの細胞内タンパク質である。Enolaseは、正式名称をホスホピルビン酸ヒドラターゼ(Phosphopyruvate hydratase)といい、解糖系に関わる重要な酵素である。ヒトには5種類のホスホピルビン酸ヒドラターゼのアイソザイムが存在し、Enolase-1はその1種(α-エノラーゼ)である。
FABP5(Fatty acid binding protein-5)は、分子質量15,033Daの細胞内タンパク質である。FABP5は、主に表皮に存在するタンパク質であり、乾癬(表皮の規則的な肥厚と不全角化を特徴とする)の組織で発現が上昇することから同定された。FABP5は、脂肪酸(オレイン酸)や疎水性のリガンドと結合する細胞内タンパク質で、脂肪酸の取り込み、輸送、代謝、さらに細胞の増殖や分化などに関与している。
Polyamine(ポリアミン)は、体内でアミノ酸から合成される2つ以上のアミノ基を持つ物質である。ポリアミンは、全ての動物やヒトの細胞内で成長期に盛んに合成されており、細胞増殖時の核酸合成時にRNAと強く結合し、RNA構造を変化させ、成長期の多岐にわたる段階でタンパク質合成促進を行っている。また、ポリアミンは、抗炎症作用、抗酸化作用、糖化抑制、寿命延長など様々な機能を有している。
【0010】
画像を得るための角層の採取方法は、バイオプシー、テープストリッピング法のいずれであってもよいが、被験者の負担が少ないため、テープストリッピング法が好ましい。テープストリッピング法は、粘着性テープを皮膚に貼り付けた後、剥がして皮膚の表層を回収する方法である。
【0011】
テープストリッピング法で採取した角層細胞は、透過光観察(微分干渉法、位相差法、暗視野観察法などを含む)または反射光観察により撮像し、細胞の形態を観察する。角層細胞は、無染色の状態で観察することが好ましいが、必要に応じて染色することもできる。
細胞の観察は、細胞観察が可能な顕微鏡を用いて行うことができ、例えば、キーエンス株式会社製のデジタルマイクロスコープVHX-5000、AnMo Electronics Corporation社製のデジタルマイクロスコープコープDino-Lite等を用いることができる。
観察条件は、細胞の詳細が確認できるものであれば制限されないが、例えば、1.0μm/pixel以上の解像度で約20万画素以上の条件等が挙げられる。
【0012】
撮像した角層画像を、画像処理システムを用いて画像処理し、角層画像の細胞領域、重層剥離領域、1細胞領域の1以上を特定する。そして、この特定した細胞領域、重層剥離領域、1細胞領域の1以上に基づいて、推定するマーカータンパクの種類等に応じて、細胞領域面積、重層剥離面積、重層剥離率、真円度、近似する4-6角形、1細胞輝度平均値、1細胞輝度中央値、1細胞輝度最大値、1細胞輝度最小値からなる群から選択される1以上を数値化する。角層画像は、カラー画像を用いてもよく、画像処理によりグレースケールにした画像を用いてもよく、両方を用いることもできる。
【0013】
細胞領域面積とは、角層画像中の角層細胞領域の面積の総和である。
重層剥離面積とは、角層が2層以上重なって剥離した領域の面積である。
重層剥離率とは、「細胞領域面積」に対する「重層剥離面積」の割合(重層剥離面積/細胞領域面積)である。
真円度とは、個々の角層細胞の領域の正円度合い(4π×(面積)/(周長の2乗)により算出される。)の1画像における全細胞で平均した値である。
近似する4-6角形とは、個々の角層細胞形状の重心を中心として、角層細胞両領域内に正4-6角形を配置し、正4-6角形からはみ出した領域の面積が最小となるように角度と大きさを調整し、はみ出した領域の面積が最小となった際の、はみ出した領域の面積を角層細胞面積で割り返し、正n角形(nは4~6)の中でこの値が最小となるnを近似するn角形とし、角層画像内の個々の角層細胞のnを全細胞で平均した値である。
【0014】
1細胞輝度平均値とは、角層画像内の個々の角層細胞の細胞領域内の平均輝度値を全細胞で平均した値である。
1細胞輝度中央値とは、角層画像内の個々の角層細胞の細胞領域内の輝度値中央値を全細胞で平均した値である。
1細胞輝度最大値とは、角層画像内の個々の角層細胞の細胞領域内の輝度の最大値を全細胞で平均した値である。
1細胞輝度最小値とは、角層画像内の個々の角層細胞の細胞領域内の輝度の最小値を全細胞で平均した値である。
以下、細胞領域面積、重層剥離面積、重層剥離率、真円度、近似する4-6角形、1細胞輝度平均値、1細胞輝度中央値、1細胞輝度最大値、1細胞輝度最小値からなる群から選択される1以上を数値化したものを角層パラメータ値ともいう。
【0015】
画像処理システムによる数値化は、公知の画像処理システムを用いて行うことができ、例えば、上記したデジタルマイクロスコープに付属の画像処理ソフトウェアや、市販の画像処理ソフトウェア等を用いることができる。また、予め複数枚の学習用角層画像と、各学習用角層画像における、目視評価による細胞領域(細胞が存在している領域)、目視評価による重層剥離領域(角層が2層以上重なって剥離した領域)、目視評価による1細胞領域(1つ1つの細胞の領域)の1以上を機械学習させた機械学習モデルを備える画像処理システムを用いることもできる。この機械学習モデルに数値化したい角層画像を入力し、この角層画像の細胞領域、重層剥離領域、1細胞領域の1以上を出力し、機械学習モデルが出力した細胞領域、重層剥離領域、1細胞領域に基づいて角層パラメータ値(細胞領域面積、重層剥離面積、重層剥離率、真円度、近似する4-6角形、1細胞輝度平均値、1細胞輝度中央値、1細胞輝度最大値、1細胞輝度最小値)を算出することで、目視評価に基づく角層パラメータ値と同等の角層パラメータ値を迅速に算出することができる。さらに、機械学習モデルを備える画像処理システムが出力した角層領域、重層剥離領域、1細胞領域の1以上を、人が目視で修正して角層パラメータ値を求めることもできる。
【0016】
この数値化した角層パラメータ値を指標として角層中のマーカータンパク量を推定する方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、角層パラメータ値を単回帰分析してもよく、重回帰分析してもよい。重回帰分析は、線形重回帰分析でもよく非線形重回帰分析でもよい。また、細胞領域面積、重層剥離面積、重層剥離率、真円度、近似する4-6角形、1細胞輝度平均値、1細胞輝度中央値、1細胞輝度最大値、1細胞輝度最小値以外の他のパラメータを重回帰分析の説明変数に含めてもよい。
【実施例0017】
<機械学習用サンプル>
女性412名(18~87才、平均46.8才)について、テープストリッピング法により、顔から角層細胞を採取した。
採取した角層細胞は、無染色の状態で、デジタルマイクロスコープ(キーエンス株式会社、VHX-5000)を用いて、8bit(RGBカラー)、0.41μm/pixelの解像度、1600x1200pixelの画素数で、撮影を行った。撮影は各サンプル2~3視野ずつ撮影を行い機械学習として用いた。
【0018】
画像アノテーション用ソフトウェア Labelmeを用いて、細胞領域、重層剥離領域、1細胞領域を目視により特定し、学習用角層画像を得た。
各学習用角層画像と、目視評価による細胞領域、重層剥離領域、1細胞領域を機械学習させ、細胞領域、重層剥離領域、1細胞領域を出力可能な機械学習モデルを得た。
【0019】
<サンプル>
女性227名(28~87才、平均47.2才)について、テープストリッピング法により、顔から角層細胞を採取した。一人当たり、3~5枚のサンプルを採取し、合計966枚のサンプルを得た。
試料調製方法は、機械学習用サンプルと同じである。
サンプル画像を、機械学習モデルを備えた画像処理装置により解析し、各角層画像の細胞領域面積、重層剥離面積、重層剥離率、真円度、近似する4-6角形、1細胞輝度平均値、1細胞輝度中央値、1細胞輝度最大値、1細胞輝度最小値を数値化し、角層パラメータ値を求めた。
さらに、1細胞面積、1細胞周囲長、1細胞に概説する長方形の面積と長短辺比、1細胞輝度最標準偏差についても数値化し、角層パラメータ値を求めた。
【0020】
1細胞面積とは、角層画像内の個々の角層細胞の面積を全細胞で平均した値である。
1細胞周囲長とは、角層画像内の個々の角層細胞の周囲長を全細胞で平均した値である。
1細胞に外接する長方形面積とは、角層画像内の個々の角層細胞全体を覆う最小面積の長方形の面積を全細胞で平均した値である。
1細胞に外接する長方形の長短辺比とは、角層画像内の個々の角層細胞全体を覆う最小面積の長方形の長辺と短辺の比(長辺/短辺)を全細胞で平均した値である。
1細胞輝度標準偏差とは、角層画像内の個々の角層細胞の細胞領域内の輝度の標準偏差を求めた値である。
【0021】
なお、966枚のサンプルについて、目視評価による細胞領域と重層剥離領域を、それぞれ機械学習モデルを備えた画像処理装置により解析した細胞領域と重層剥離領域とを比較した結果、目視評価による細胞領域面積/機械学習モデルを備えた画像処理装置により解析した細胞領域面積=95%、目視評価による重層剥離領域面積/機械学習モデルを備えた画像処理装置により解析した重層剥離領域面積=86%であり、目視評価による細胞領域、重層剥離領域と、機械学習モデルを備えた画像処理装置により解析した細胞領域、重層剥離領域は、同等であった。
【0022】
<マーカータンパク量(Enolase-1、FABP5)の測定>
・皮膚角層からの抽出
ガラスビーズとRIPAバッファー(#89900/Thermo SCIETIFIC)500μlの入ったチューブに角層を採取した角層チェッカーを入れ、3分間ビーズ破砕法にて振とうし、角層タンパクを抽出した。
【0023】
・マーカータンパク量の測定
96well plate(COSTAR/#3590)に、PBS(-)(WAKO/#16219321)に希釈した固層化抗体(表1)を100μl/well分注し、20℃で一晩インキュベートし固定化した。
wash buffer(0.05%Tween2含有 PBS)300μlで3回洗浄後、Reagent Diluent(R&D systems/#890803)を200μl/wellを添加し、25℃で1時間ブロッキング操作を行った。
再度洗浄後、角層抽出サンプル100μl/wellを添加し、37℃で約2時間反応させた。また、各バイオマーカーの精製タンパク抗原(表1)を濃度勾配をつけて添加して反応させ、検量線とした。
【0024】
次いで洗浄後、検出用抗体(表1)を0.5μg/mlになるようにWash Bufferで希釈した溶液を100μl/well添加し、37℃で1時間反応させた。
反応終了後wellを洗浄し、次いで、Streptavidin-HRP(R&D Systems/#890803)をwash bufferで200倍に希釈し、これを100μl/well添加し、25℃で30分反応させた。
【0025】
反応終了後wellを洗浄し、TMB試薬(Promega/#G7431)100μl/wellにて発色させ(25℃、15分)、1N硫酸により反応を停止させた後、SPECTRA MAX 190(Molecular Device)を用いて450nmの吸光度を測定した。
前記の作成済み検量線から、各試料のマーカータンパク量を算出した。なお各マーカータンパク量は、角層抽出液中の総タンパク量で補正し、単位タンパク量あたりの量で表した。なお、総タンパク量は、BCAタンパク質アッセイ(BCA Protein Assay kit、Thermo fisher scientific社)により測定した。
【0026】
【0027】
<マーカータンパク量(Polyamine)の測定>
テープストリッピング法により採取した角層細胞を、剥離面を上方にして透明板に貼り付け、ポリアミンと特異的に結合し、赤色蛍光を発する試薬(フナコシ株式会社、Polyamine RED)を滴下して一定時間静置した。水で洗浄し、乾燥させた後、蛍光顕微鏡を用いて励起光560nm、蛍光光580nmの観察条件で蛍光撮像を行った。取得した蛍光画像より、1画像当たりの平均輝度値をポリアミン量として数値化した。
【0028】
「単回帰分析」
各角層パラメータ値と、マーカータンパク量とを単回帰分析した。相関が認められたものについて、相関係数r、p値、単回帰直線の式(Y=aX+b、Xが各角層パラメータ値、Yがマーカータンパク量)を表2に示す。
【表2】
【0029】
表2に示すように、本発明の(1)~(3)に記載された各角層パラメータ値は、(1)~(3)のそれぞれに記載されたマーカータンパク量と相関(|r|≧0.2)を有していた。
【0030】
「重回帰分析」
各マーカータンパクについて、相関が認められた複数の角層パラメータ値を説明変数として、重回帰分析した。重回帰直線の式(Y=a
1X
1+a
2X
2+・・・+a
nX
n+b、Xnが各角層パラメータ値、Yがマーカータンパク量)を表3に示す。
【表3】
【0031】
表3に示すように、重回帰分析により、より高い相関が認められた。
【0032】
さらに、マーカータンパク量との相関が認めらなかった角層パラメータを含めた14個の角層パラメータ値を説明変数として、重回帰分析した。重回帰直線の式(Y=a1X1+a2X2+・・・+a14X14+b、Xnが各角層パラメータ値、Yがマーカータンパク量)を表4に示す。
【0033】
【0034】
本発明の(1)~(3)に記載の各層パラメータ値と、他のパラメータ値を組み合わせることにより、より高い相関が認められた。