(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026689
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
G10H 1/34 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
G10H1/34
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024001738
(22)【出願日】2024-01-10
(62)【分割の表示】P 2023131255の分割
【原出願日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】P 2019209993
(32)【優先日】2019-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】三吉 俊允
(72)【発明者】
【氏名】田之上 美智子
(57)【要約】
【課題】磁気誘導型センサを用いる操作装置の製造工程を容易化すること。
【解決手段】操作装置は、それぞれ導電体が配置された第1基板および第2基板を含み、前記第1基板と前記第2基板との距離を測定するための磁気誘導型センサと、操作者によって操作可能な操作子と、前記第1基板の第1面から突出する容量素子と、前記第1基板の前記第1面側に設けられ、前記操作子と一体に移動する第1部材と、を備え、前記第1基板および前記第2基板のそれぞれに配置される導電体のうちの少なくとも一方はコイルを含み、前記第1基板の前記第1面は第1領域及び第2領域に区分され、前記第1領域において、前記第1部材は前記第1基板に接し、前記第2領域において、前記第1部材は前記第1基板から離隔している。
【選択図】
図44
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ導電体が配置された第1基板および第2基板を含み、前記第1基板と前記第2基板との距離を測定するための磁気誘導型センサと、
操作者によって操作可能な操作子と、
前記第1基板の第1面から突出する容量素子と、
前記第1基板の前記第1面側に設けられ、前記操作子と一体に移動する第1部材と、
を備え、
前記第1基板および前記第2基板のそれぞれに配置される導電体のうちの少なくとも一方はコイルを含み、
前記第1基板の前記第1面は第1領域及び第2領域に区分され、
前記第1領域において、前記第1部材は前記第1基板に接し、
前記第2領域において、前記第1部材は前記第1基板から離隔している操作装置。
【請求項2】
それぞれ導電体が配置された第1基板および第2基板を含み、前記第1基板と前記第2基板との距離を測定するための磁気誘導型センサと、
操作者によって操作可能な操作子と、
前記第1基板の第1面から突出する容量素子と、
前記第1基板の前記第1面側に設けられた第1部材と、
前記操作子に連動する第2部材と、
を備え、
前記第1部材は、前記第2部材と一体に移動し、
前記第1基板および前記第2基板のそれぞれに配置される導電体のうちの少なくとも一方はコイルを含み、
前記第1基板の前記第1面は第1領域及び第2領域に区分され、
前記第1領域において、前記第1部材は前記第1基板に接し、
前記第2領域において、前記第1部材は前記第1基板から離隔している操作装置。
【請求項3】
前記第1基板に前記コイルが設けられ、
前記コイルは前記容量素子に接続されている、請求項1又は2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記第1基板と対向する前記第1部材の面には凹部が設けられており、
前記凹部は前記第2領域と重なる位置に設けられている、請求項1又は2に記載の操作装置。
【請求項5】
前記第1部材には貫通孔が設けられており、
前記貫通孔は前記第2領域と重なる位置に設けられている、請求項1又は2に記載の操作装置。
【請求項6】
前記第1部材は、前記第1基板の第1方向に位置し、
前記第1部材は、
前記第1基板と接する第2面と、
前記第2面から前記第1方向に延びる側壁と、を有し、
前記側壁は、前記第1領域と前記第2領域との間に設けられている、請求項1乃至5のいずれか一に記載の操作装置。
【請求項7】
前記容量素子は、前記側壁によって囲まれている、請求項6に記載の操作装置。
【請求項8】
前記第1基板に対する平面視において、前記コイルの少なくとも一部は前記第2領域と重なっている、請求項1乃至7のいずれか一に記載の操作装置。
【請求項9】
前記第1部材は、第1嵌合部を備え、
前記第1基板は、前記第1嵌合部に嵌め合わされる第2嵌合部を備える、請求項1乃至8のいずれか一に記載の操作装置。
【請求項10】
前記第1基板に対する平面視において、
前記第1基板は基準線に対して線対称な形状を有し、
前記第1嵌合部及び前記第2嵌合部は、それぞれ複数設けられ、
複数の前記第1嵌合部及び前記第2嵌合部は、前記基準線に対して線対称ではない位置に設けられている、請求項9に記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演奏操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子鍵盤楽器などにおいては、鍵の押下を検出し、検出結果に基づいて音信号を生成する。押鍵の検出は、接触式のセンサまたは非接触式のセンサによって実現される。このような非接触センサには距離センサとして用いることができるセンサもあるため、鍵の押下量を連続的に測定することができる。これにより、鍵の動きを精度よく発音に反映することができ、また、アフタータッチの検出にも用いることができる。
【0003】
非接触式のセンサには、例えば、光学センサが含まれる。光学センサは磁気誘導型センサに比べて、外部から侵入した光の影響を受けたり、汚れの影響を受けたりする。例えば、電子鍵盤楽器では可動部分においてグリスが用いられている。このグリスが飛散することで、光センサが汚れる場合がある。また、このようなセンサは、音源を搭載したアコースティックピアノなどにおいても用いられる場合がある。アコースティックピアノの場合には、演奏時に筐体の一部(例えば屋根板)を開けることもあり、外光の影響を受ける場合がある。
【0004】
このような影響を受けない非接触式のセンサとして、例えば、磁気誘導型センサがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
磁気誘導型のセンサは非接触式であるため、コイルが配置される基板の一方は、押鍵に伴って移動する部分に取り付ける必要があるため、各鍵に対応して取り付けられる。鍵盤楽器では多くの鍵が用いられるため、鍵盤楽器の製造工程において、各鍵に基板を取り付ける作業の効率化が求められる。
【0007】
本発明の目的の一つは、磁気誘導型センサを用いる演奏操作装置の製造工程を容易化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、距離センサ、操作子および保持部を備える演奏操作装置が提供される。前記距離センサは、それぞれ導電体が配置された第1基板および第2基板を含み、前記第1基板と前記第2基板との距離を測定する。前記操作子は、操作者によって操作可能である。前記保持部は、前記操作子と前記第2基板との間において前記第1基板を保持し、前記操作子と一体に移動する。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、距離センサ、操作子および保持部を備える演奏操作装置が提供される。前記距離センサは、それぞれ導電体が配置された第1基板および第2基板を含み、前記第1基板と前記第2基板との距離を測定する。前記操作子は、操作者によって操作可能である。前記第1部材は、前記操作子に連動する。前記保持部は、前記第1部材と前記第2基板との間において前記第1基板を保持し、前記第1部材と一体に移動する
。
【0010】
前記操作子と前記保持部とは同一材料であってもよい。
【0011】
前記第1部材と前記保持部とは同一材料であってもよい。
【0012】
前記第1部材は、弾性変形する部分を含み、前記操作子からの力を受けて前記第1部材が弾性変形することによって、前記第1基板と前記第2基板との距離が変化してもよい。この場合、操作子から第1部材が力を受けるのは、直接受けてもよいし、他部材を介して間接的に受けるものでもよい。
【0013】
前記保持部は、前記第1基板を着脱可能に保持してもよい。
【0014】
前記保持部は、弾性体を含み、前記弾性体が第1状態であるときに前記保持部が前記第1基板を保持し、前記弾性体が前記第1状態よりも弾性変形をした第2状態であるときに前記保持部による前記第1基板の保持が解除されてもよい。
【0015】
前記保持部は、第1板部および第2板部を含み、前記第1板部と前記第2板部とは位置関係を変更可能であり、前記第1板部と前記第2板部とによって前記第1基板を挟んだ第1状態であるときに前記保持部が当該第1基板を保持し、前記第1状態よりも前記第1板部と前記第2板部とが離れた第2状態であるときに前記保持部による前記第1基板の保持が解除されてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一実施形態によれば、磁気誘導型センサを用いる演奏操作装置の製造工程を容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態における鍵盤装置を説明する図である。
【
図2】本発明の第1実施形態における鍵盤装置の内部構造(離鍵時)を説明する図である。
【
図3】本発明の第1実施形態における鍵盤装置の内部構造(白鍵の押鍵時)を説明する図である。
【
図4】本発明の第1実施形態におけるアクティブ回路基板を説明する図である。
【
図5】本発明の第1実施形態におけるパッシブ回路基板を説明する図である。
【
図6】本発明の第1実施形態におけるパッシブ回路基板が取り外された基板ホルダを説明する図である。
【
図7】本発明の第1実施形態におけるパッシブ回路基板が取り付けられた基板ホルダを説明する図である。
【
図8】本発明の第1実施形態における固定部材が取り外された基板ホルダを下方から見た図である。
【
図9】本発明の第1実施形態における基板ホルダの断面(切断線Ac1-Ac2)を説明する図である。
【
図10】本発明の第1実施形態における基板ホルダの断面(切断線Bc1-Bc2)を説明する図である。
【
図11】本発明の第1実施形態における固定部材が取り付けられた基板ホルダの断面(切断線Bc1-Bc2)を説明する図である。
【
図12】本発明の第2実施形態におけるパッシブ回路基板が取り外された基板ホルダを説明する図である。
【
図13】本発明の第2実施形態におけるパッシブ回路基板が取り付けられた基板ホルダを説明する図である。
【
図14】本発明の第3実施形態におけるパッシブ回路基板が取り外された基板ホルダを説明する図である。
【
図15】本発明の第3実施形態における基板ホルダにパッシブ回路基板を配置した状態を説明する図である。
【
図16】本発明の第3実施形態における基板ホルダにパッシブ回路基板を配置した状態における断面(切断線Cc1-Cc2)を説明する図である。
【
図17】
図16において蓋部を閉じることによってパッシブ回路基板を基板ホルダに取り付けた状態における断面を説明する図である。
【
図18】本発明の第4実施形態におけるパッシブ回路基板が取り外された基板ホルダを説明する図である。
【
図19】本発明の第4実施形態における基板ホルダの断面(切断線Dc1-Dc2)を説明する図である。
【
図20】本発明の第4実施形態におけるパッシブ回路基板を説明する図である。
【
図21】本発明の第4実施形態におけるパッシブ回路基板が取り付けられた基板ホルダを説明する図である。
【
図22】本発明の第5実施形態におけるパッシブ回路基板を説明する図である。
【
図23】本発明の第5実施形態における基板ホルダの断面(
図19に対応)を説明する図である。
【
図24】本発明の第6実施形態における鍵盤装置の内部構造(離鍵時)を説明する図である。
【
図25】本発明の第6実施形態における鍵盤装置の内部構造(白鍵の押鍵時)を説明する図である。
【
図26】本発明の第6実施形態におけるパッシブ回路基板が取り付けられた基板ホルダを説明する図である。
【
図27】本発明の第7実施形態における鍵盤装置の内部構造(離鍵時)を説明する図である。
【
図28】本発明の第7実施形態における鍵盤装置の内部構造(白鍵の押鍵時)を説明する図である。
【
図29】本発明の第7実施形態におけるパッシブ回路基板が取り付けられた基板ホルダを説明する図である。
【
図30】本発明の第7実施形態におけるパッシブ回路基板が取り付けられた基板ホルダの内側を説明する図(基板ホルダを下方から見た図)である。
【
図31】本発明の第7実施形態における基板ホルダの断面(切断線Ec1-Ec2)を説明する図である。
【
図32】本発明の第8実施形態におけるパッシブ回路基板が取り付けられた基板ホルダの内側を説明する図(基板ホルダを下方から見た図)である。
【
図33】本発明の第8実施形態における基板ホルダの断面(切断線Fc1-Fc2)を説明する図である。
【
図34】本発明の第9実施形態におけるパッシブ回路基板が取り付けられた基板ホルダを説明する図である。
【
図35】本発明の第10実施形態における鍵盤装置の内部構造(離鍵時)を説明する図である。
【
図36】本発明の第10実施形態における基板ホルダの取付位置を説明する図である。
【
図37】本発明の第10実施形態における基板ホルダの取付位置の別の例を説明する図である。
【
図38】本発明の第11実施形態における鍵盤装置の内部構造(離鍵時)を説明する図である。
【
図39】本発明の第11実施形態における基板ホルダの取付位置を説明する図である。
【
図40】本発明の第11実施形態における基板ホルダを別の形態で取り付けた例を説明する図である。
【
図41】本発明の第12実施形態におけるパッシブ回路基板が取り付けられた基板ホルダを説明する図である。
【
図42】本発明の第12実施形態における基板ホルダの断面(切断線Gc1-Gc2)を説明する図である。
【
図43】本発明の第13実施形態におけるパッシブ回路基板が取り付けられた基板ホルダを説明する図である。
【
図44】本発明の第13実施形態における基板ホルダの断面(切断線Hc1-Hc2)を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態における鍵盤装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字の後にA、B等を付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なったり、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。
【0019】
<第1実施形態>
第1実施形態では、電子鍵盤楽器として用いられる鍵盤装置について説明する。この鍵盤装置によれば、磁気誘導型センサによって押鍵動作を検出することができる。押鍵動作は、例えば、押鍵により移動する鍵の位置または鍵の姿勢として検出される。以下、鍵盤装置について詳細を説明する。
【0020】
[1.鍵盤装置の概要]
図1は、本発明の第1実施形態における鍵盤装置を説明する図である。鍵盤装置1は、電子鍵盤楽器であって、この例では電子ピアノである。鍵盤装置1は、鍵10、筐体50、スピーカ60、音源部80および操作部90を備える。以下の説明においては、説明の便宜上、鍵盤装置1に対して、演奏者がいる側(筐体50に対して鍵10が存在する側)を前側、演奏者とは反対側を後側として定義する。また、左右、上下についても、演奏者から見た場合の方向として定義する。
【0021】
複数の鍵10は、一方向に並んで配置されている。ここで、複数の鍵10が並ぶスケール方向を左右方向D1という。以下の説明において、左右を区別する場合に、左方向をD1a、右方向をD1bという。左右方向D1に対して直交する方向を前後方向D2という。鍵盤装置1を上方から見た場合には、鍵10の長手方向は、前後方向D2と同じである。以下の説明において、前後を区別する場合に、前方向をD2a、後方向をD2bという。左右方向D1と前後方向D2との双方に直交する方向を上下方向D3という(
図2参照)。上下方向D3は、鍵盤装置1が平置きされた場合に、概ね鉛直方向に対応する。すなわち、鍵盤装置1が水平に平置きされた状態では、左右方向D1および前後方向D2は、水平面内の方向である。以下の説明において、上下を区別する場合に、上方向をD3a、下方向をD3bという。
【0022】
鍵10は、筐体50に対して回動することができる。鍵10の長手方向と前後方向D2とが一致する状態が、鍵10の回動範囲に含まれる。筐体50には、スピーカ60、押鍵量測定部70、音源部80および操作部90が配置されている。演奏者(操作者)が鍵10を操作すると、鍵盤装置1における発音機能によってスピーカ60から音が発生する。
操作部90は、操作ボタン、タッチセンサおよびスライダなどの装置であり、発生する音の種類(音色)および音量の変更ための指示を受け付け、入力操作に応じた信号を音源部80に出力する。なお、鍵盤装置1は、外部装置と信号の入出力をするためのインターフェイスを含んでいてもよい。インターフェイスとしては、例えば、外部装置に音信号を出力する端子、MIDIデータの送受信をするためのケーブル接続端子などである。
【0023】
押鍵量測定部70は、複数の鍵10のそれぞれに対して配置された磁気誘導型のセンサを含む。各鍵10に対応するセンサは、それぞれ、鍵10の回動範囲における位置(押下量)を検出する。押鍵量測定部70は、複数の鍵10のいずれかを特定する鍵情報と、特定された鍵10の押下量に対応する押下量情報とを音源部80に出力する。押下量情報は、鍵10の押下量そのものの値を示してもよいし、押下量の変化から算出した速度など、押下量から算出される値であればよく、さらに、これらを組み合わせた情報であってもよい。この押鍵量測定部70と鍵10との組み合わせは、入力装置の一例となる。押鍵量測定部70における詳細の構成については後述する。
【0024】
音源部80は、鍵10への演奏操作に応じて音信号を生成する信号処理回路である。具体的には、音源部80は、押鍵量測定部70から出力された情報に基づいて音信号を生成し、生成した音信号をスピーカ60に出力する。スピーカ60は、音源部80から出力された音信号を増幅して出力することによって、音信号に応じた音を発生する。
【0025】
[2.鍵盤装置1の内部構造]
続いて、鍵盤装置1の内部構造について説明する。ここでは、左右方向D1を法線に有する面(前後方向D2および上下方向D3を含む面)で鍵盤装置1を切断した場合の断面を模式的に示す
図2および
図3を用いて説明する。
【0026】
図2は、本発明の第1実施形態における鍵盤装置の内部構造(離鍵時)を説明する図である。
図3は、本発明の第1実施形態における鍵盤装置の内部構造(白鍵の押鍵時)を説明する図である。鍵10のうち、白鍵10wに対応する構成について示し、黒鍵10bに対応する構成については、白鍵10wに対応する構成と同様であるため、黒鍵10bの位置のみ示し、その他の構成を省略している。
【0027】
フレーム20は、筐体50に固定され、左右方向D1に並んだ複数の鍵10を支持する。フレーム20は、この例では樹脂材料で形成されている。フレーム20は、鍵ガイド部201、鍵支持部203、リブ部205および基板保持部207を含む。
【0028】
鍵ガイド部201は、鍵10の前端部下方において、鍵10と摺動する部材によって鍵10の左右方向D1への移動を規制する。鍵支持部203は、鍵10の後端部分に配置された弾性部105を支持する。弾性部105が上下方向に変形することにより、鍵10の自由端側が鍵支持部203を中心に回動する。このとき、鍵10は、鍵ガイド部201によって左右方向D1への移動を規制されているため、左右方向D1を軸に回動する。リブ部205は、前後方向D2および上下方向D3を含む面(左右方向D1を法線に有する面)を持つ板状の部材である。複数のリブ部205が、左右方向D1に並んで配置されている。複数のリブ部205の各々は、鍵ガイド部201、鍵支持部203、基板保持部207のそれぞれに接続されている。
【0029】
基板保持部207は、アクティブ回路基板700を保持する板状部材である。この例では、基板保持部207の上面側(鍵10側)には、アクティブ回路基板700が配置されている。鍵10の下面側(基板保持部207側)には、基板ホルダ170が固定されている。基板ホルダ170(保持部)は、以下に説明するようにしてパッシブ回路基板750を保持する。
【0030】
アクティブ回路基板700とパッシブ回路基板750とは、後述するように、磁気誘導型センサを構成する要素であって、押鍵量測定部70に含まれる構成要素である。パッシブ回路基板750とは各鍵10に対応して設けられている。アクティブ回路基板700は、この例では、複数の鍵10に対応して設けられていているが、各鍵10に対応して設けられていてもよい。
【0031】
負荷部30(第1部材)は、それぞれの鍵10に対応して配置されている。負荷部30と鍵10とは、負荷部30の鍵接続部301(摺動部307)において結合して互いに接続されることによって連動する。負荷部30は、鍵接続部301、軸受303および錘部305を含む。軸受303は、フレーム20に設けられた軸部に対応して設けられている。鍵接続部301は、軸受303に対して錘部305とは反対側に配置されている。鍵接続部301の一端に設けられた摺動部307は、鍵10の下方に設けられた負荷接続部103に対して摺動する。負荷部30は、軸受303よりも錘部305側に存在する重心を有する。そのため、負荷部30は、鍵10が押下されていないときには、錘部305が下部ストッパ351に載置され、鍵10をレスト位置に保持する(離鍵時に相当)。下部ストッパ351および上部ストッパ353は、フレーム20に支持されている。
【0032】
図2の状態において鍵10が押下されると、
図3に示すように、鍵10の回動に連動して負荷部30が軸受303を中心に回動することで錘部305が上方に移動し、上部ストッパ353に衝突してさらなる移動が規制される。このとき、
図3に示すようにアクティブ回路基板700とパッシブ回路基板750とが近づく。上述した押鍵量測定部70が出力する押下量情報は、アクティブ回路基板700とパッシブ回路基板750との距離(すなわち、アクティブ回路基板700とパッシブ回路基板750との相対的な位置関係)に応じた情報である。なお、鍵盤装置1には、負荷部30が設けられなくてもよい。この場合には、鍵10の押下範囲を規制する構成を設ければよい。
【0033】
[3.押鍵量測定部70の構造]
押鍵量測定部70は、上述したように、アクティブ回路基板700およびパッシブ回路基板750を含む。アクティブ回路基板700は、供給された電力により磁場を形成するためのコイル(以下、アクティブコイルという)を含む。コイル(以下、パッシブコイルという)を含むパッシブ回路基板750がこの磁場を移動すると、磁気結合によりパッシブコイルの位置に応じてアクティブ回路770(
図4参照)が反共振し、すなわちアクティブ回路770の回路特性が変化し、アクティブ回路基板700から得られる信号の出力が変化する。したがって、アクティブ回路基板700から得られた信号によれば、アクティブ回路基板700とパッシブ回路基板750との距離を測定することができる。このように、押鍵量測定部70は、距離センサを含む。以下、押鍵量測定部70の各構成について詳述する。
【0034】
[3-1.アクティブ回路基板700の構造]
図4は、本発明の第1実施形態におけるアクティブ回路基板を説明する図である。アクティブ回路基板700は、複数のアクティブ回路770、マルチプレクサ709および各種配線(接地配線708のほか、クロック信号線、選択信号線、入力信号線、出力信号線等)を含むプリント基板である。また、アクティブ回路基板700は、図示しない信号処理回路を含む。複数のアクティブ回路770のそれぞれは、各鍵10に対応して設けられている。アクティブ回路770とマルチプレクサ709とを接続する2本の配線は、信号入力部703aおよび信号出力部703bに相当する。
【0035】
アクティブ回路770は、アクティブコイル701(導電体)、キャパシタ706a、706b、抵抗体707a、707bを含む。アクティブコイル701は、基板上に形成
され、基板の上面側(鍵10側)に形成された配線701aと、基板の下面側(基板保持部207側)に設けられた配線701bとを含む。
図4においては、基板の下面側に配置された構成が破線で示されている。互いに接続された配線701aと配線701bによって、2つのコイル(第1コイル701xおよび第2コイル701y)が直列に接続されたアクティブコイル701が形成されている。
【0036】
第1コイル701xと第2コイル701yとは、前後方向D2に沿って並んで配置され、巻回方向が互いに逆方向になっている。ここでいう巻回方向が逆方向であることは、構造上として配線が逆方向に巻かれていることを意味するのではなく、互いに回路への通電時に電流が逆方向に流れるように巻かれていることをいう。これは以下の他の実施形態および変形例等においても同様である。そのため、アクティブコイル701によって形成される磁束は、第1コイル701xから出てすぐに第2コイル701yを通過するように形成される。
【0037】
アクティブコイル701の両端の間には、キャパシタ706a、706bが直列に接続されている。キャパシタ706aとキャパシタ706bとの間には、接地配線708が接続されている。接地配線708は、各アクティブ回路770に対して共通に設けられている。キャパシタ706aと信号入力部703aとの間には、抵抗体707aが接続され、キャパシタ706bと信号出力部703bとの間には、抵抗体707bが接続されている。
【0038】
マルチプレクサ709を介して信号入力部703aに交流信号が入力されると、アクティブコイル701が入力信号に応じた磁場を形成し、アクティブコイル701とパッシブコイル751とが磁気結合をすることによって、信号出力部703bから出力される信号が変調される。変調された信号は、マルチプレクサ709を介して図示しない信号処理回路に出力されて、押下量情報に変換される。信号処理回路は、マルチプレクサ709が取得した信号に対応する鍵10の鍵情報および押下量情報を出力する。
【0039】
[3-2.パッシブ回路基板750の構造]
図5は、本発明の第1実施形態におけるパッシブ回路基板を説明する図である。
図5に示すパッシブ回路基板750の面750aは、
図2において下方向D3bに向いている面であり、面750bは、上方向D3aに向いている面である。パッシブ回路基板750は、パッシブコイル751(導電体)およびキャパシタ756を含むプリント基板である。パッシブコイル751は、基板上に形成され、アクティブコイル701と同様に、互いに巻回方向が逆の2つのコイル751x、751yを含む。コイル751xとコイル751yとは、面750aと面750bとを貫通する孔751xt1、751xt2、751yt1、751yt2を介して接続されている。ここでいう巻回方向が逆方向であることは、構造上として配線が逆方向に巻かれていることを意味するのではなく、互いに回路において誘導電流が発生したときにその電流が逆方向に流れるように巻かれていることをいう。これは以下の他の実施形態及び変形例等においても同様である。また、パッシブコイル751の両端の間(コイル751xとコイル751yとの間)には、キャパシタ756が直列に接続されている。この例では、パッシブ回路基板750の表面(パッシブコイル751が形成されている面)は、概ね、鍵10の上面(操作面)と平行である。また、キャパシタ756は、面750aに配置されている。以下に説明する各実施形態おけるパッシブ回路基板についても、特に断りがない限り、上記パッシブ回路基板750の構成と共通である。
【0040】
[4.基板ホルダ170の構造]
続いて、鍵10に固定され、パッシブ回路基板750を保持する基板ホルダ170の構造について、
図6から
図11を用いて説明する。
【0041】
図6は、本発明の第1実施形態におけるパッシブ回路基板が取り外された基板ホルダを説明する図である。
図7は、本発明の第1実施形態におけるパッシブ回路基板が取り付けられた基板ホルダを説明する図である。
図8は、本発明の第1実施形態における固定部材が取り外された基板ホルダを下方から見た図である。
図9は、本発明の第1実施形態における基板ホルダの断面(切断線Ac1-Ac2)を説明する図である。
図10は、本発明の第1実施形態における基板ホルダの断面(切断線Bc1-Bc2)を説明する図である。
図11は、本発明の第1実施形態における固定部材が取り付けられた基板ホルダの断面(切断線Bc1-Bc2)を説明する図である。各図に示す基板ホルダ170の上方向D3aには、鍵10が配置されている。言い換えれば、鍵10の下方向D3bの面に基板ホルダ170が接続されている。
【0042】
鍵10と基板ホルダ170とは、固定部材190により固定されている。固定部材190は、金属によって形成されている。固定部材190は、金属に限らず、樹脂などの他の材料で形成されてもよい。これは、以下の他の実施形態、変形例においても同様である。
【0043】
基板ホルダ170は、この例では樹脂で形成され、射出成形によって製造される。基板ホルダ170は、一部が開口された略直方体形状を有している。一部が開口しているのは、射出成形の製造における制限によるためであるとともに、以下に説明する構成の機能を実現するためでもある。なお、基板ホルダ170の製造方法は、射出成形に限らず、切削などの他の手法で製造されてもよい。これは、以下の他の実施形態、変形例においても同様である。
【0044】
基板ホルダ170の上方向D3a(鍵10側)には、板状の底面部179が配置されている。底面部179の中央部分には、溝部1795cが配置されている。溝部1795cは、底面部179のうち前後方向D2に沿って薄くなった部分である。前後方向D2における溝部1795cの両端には、底面部179を貫通する貫通孔1795a、1795bが配置されている。
図6、
図11に示すように、固定部材190は、長手を有する板状部材190c、板状部材190cの長手方向両端において、同じ方向かつ略垂直に曲げられた鍵埋込部分190a、190bを含む。板状部材190cは溝部1795cに沿って配置され、鍵埋込部分190a、190bは、それぞれ貫通孔1795a、1795bを通過して、鍵10に埋め込まれ、鍵10に固定されている。底面部179のうち溝部1795cにおける薄くなった部分が板状部材190cと鍵10とに挟まれることによって、鍵10と基板ホルダ170とが固定される。鍵10と基板ホルダ170との位置関係が固定されることによって、基板ホルダ170は鍵10と一体に移動する。
【0045】
底面部179の左方向D1aには、弾性部1775aを介して隆起部177aが配置されている。弾性部1775aは、底面部179により片持ちで支持されることで弾性体として機能する。隆起部177aは、底面部179に対して下方向D3bに隆起している。隆起部177aは、弾性部1775aが弾性変形をすることにより、上下方向D3に移動することができる。底面部179の右方向D1bには、弾性部1775bを介して隆起部177bが配置されている。弾性部1775bは、底面部179により片持ちで支持されることで弾性体として機能する。隆起部177bは、底面部179に対して下方向D3bに隆起している。隆起部177bは、弾性部1775bが弾性変形をすることにより、上下方向D3に移動することができる。この例では、隆起部177aと隆起部177bとは、溝部1795cを挟むように配置されている。
【0046】
底面部179の左方向D1aの端部には、下方向D3bに向けて延在する側面部171aが配置されている。底面部179の右方向D1bの端部には、下方向D3bに向けて延在する側面部171bが配置されている。底面部179の後方向D2bの端部には、下方
向D3bに向けて延在する側面部178が配置されている。側面部171a、171b、178は、底面部179に対して略垂直になっている部分を含む板状部材である。
【0047】
側面部171aの下方向D3bの端部かつ前後方向の両端部には、右方向D1bに向けて延在する蓋部172a、173aがそれぞれ配置されている。蓋部172a、173aは、底面部179と略平行な板状部材である。蓋部172aは、上方向D3a側の面(基板ホルダ170内部側の面)において、線状突出部1725aが配置されている。線状突出部1725aは、前後方向D2に沿って配置されている。蓋部173aは、上方向D3a側の面(基板ホルダ170内部側の面)において、線状突出部1735aが配置されている。線状突出部1735aは、前後方向D2に沿って配置されている。
【0048】
側面部171bの下方向D3bの端部かつ前後方向の両端部には、左方向D1aに向けて延在する蓋部172b、173bがそれぞれ配置されている。蓋部172b、173bは、底面部179と略平行な板状部材である。蓋部172bは、上方向D3a側の面(基板ホルダ170内部側の面)において、線状突出部1725bが配置されている。線状突出部1725bは、前後方向D2に沿って配置されている。蓋部173bは、上方向D3a側の面(基板ホルダ170内部側の面)において、線状突出部1735bが配置されている。線状突出部1735bは、前後方向D2に沿って配置されている。
【0049】
底面部179の前方向D2aの端部には、弾性部1755を介して隆起部175が配置されている。弾性部1755は、底面部179により片持ちで支持されることで弾性体として機能する。隆起部175は、底面部179に対して下方向D3bに隆起し、下方向D3bに向かうほど前後方向D2の長さが短くなっている。隆起部175は、後方向D2b側の面(基板ホルダ170内部側の面)において、底面部179に対して略垂直になっている部分を含む。隆起部175に対して上方向D3aに力Fが加わるようにすると、弾性部1755が弾性変形をすることにより、隆起部175が上方向D3aに移動する。基板ホルダ170の前方向D2aには、開口部170aが形成されている。隆起部175が上方向D3aに移動することで、パッシブ回路基板750を基板ホルダ170の内部に挿入することができる大きさの開口部170aが確保される。
【0050】
パッシブ回路基板750が開口部170aから基板ホルダ170の内部に挿入されていくと、パッシブ回路基板750が隆起部177a、177bを上方向D3aに移動させ、最終的には、パッシブ回路基板750が側面部178に接触する。この状態になると隆起部175は元の位置に戻る。この過程において、パッシブ回路基板750に配置されているキャパシタ756は、蓋部172aと蓋部172bとの間を通過する。そのため、キャパシタ756が面750aから突出した形状であっても、パッシブ回路基板750の挿入において障害にならない。なお、隆起部175は、パッシブ回路基板750の端面または端縁と接していることによって、完全に元の位置に戻らなくてもよい。すなわち、パッシブ回路基板750によって弾性部1755が上方向D3aの力Fを受けている状態が続いていてもよいが、少なくとも開口部170aをパッシブ回路基板750が通過できない程度までは隆起部175の位置が戻る。
【0051】
パッシブ回路基板750は、基板ホルダ170に収まった状態で、その側面部171aと側面部171bとによって左右方向D1の位置が決められ、側面部178と隆起部175とによって前後方向D2の位置が決められる。パッシブ回路基板750に移動させられた隆起部177a、177bは、それぞれ弾性部1775a、1775bの復元力によって元の位置に戻ろうとする。そのため、隆起部177a、177bは、パッシブ回路基板750に対して下方向D3bへ力を加えることになり、パッシブ回路基板750は、線状突出部1725a、1725b、1735a、1735bに押しつけられる。これによって、パッシブ回路基板750は、上下方向D3の位置が決められる。このようにして、パ
ッシブ回路基板750は、基板ホルダ170に保持される。
【0052】
なお、左右方向D1および前後方向D2においてパッシブ回路基板750の位置に一定の許容範囲があったとしても、基板ホルダ170においてパッシブ回路基板750が上下方向D3から挟まれる状態になる。したがって、パッシブ回路基板750は基板ホルダ170の内部で保持されている状態ではほとんど動かない。
【0053】
一方、パッシブ回路基板750が基板ホルダ170に保持されている状態において、力Fを加えて弾性部1755を弾性変形させて隆起部175を上方向D3aに移動させることによって開口部170aを拡げる。これによって基板ホルダ170によるパッシブ回路基板750の保持が解除される。このように、パッシブ回路基板750が基板ホルダ170に保持されているときの弾性部1755の状態(第1状態)よりも、弾性部1755がさらに弾性変形をしている状態(第2状態)において、パッシブ回路基板750の保持が解除される。この状態で、パッシブ回路基板750を開口部170a側にスライドさせることで、基板ホルダ170からパッシブ回路基板750を取り外すことができる。
【0054】
以上のとおり、本発明の第1実施形態における鍵盤装置1によれば、押鍵量測定部70において磁気誘導型センサを用いて鍵10の押下量を測定することができる。パッシブ回路基板750は、それぞれの鍵10に対して設ける必要がある。この例において、鍵10に固定された基板ホルダ170は、弾性部1755を弾性変形させることでパッシブ回路基板750を保持したり保持を解除したりすることができ、すなわち、パッシブ回路基板750を着脱可能に保持する。したがって、基板ホルダ170にパッシブ回路基板750を取り付けたり取り外したりすることが容易に実現され、その結果、鍵盤装置1の製造工程が容易化されたり、メンテナンス性を向上させることができる。
【0055】
<第2実施形態>
第1実施形態では、鍵10と基板ホルダ170とは別々の構成であり、固定部材190を介して、互いに位置関係が固定されている。第2実施形態では、鍵10と一体に形成された基板ホルダ170Aについて、
図12、
図13を用いて説明する。この例では鍵10と基板ホルダ170Aとは、射出成形により一体に形成され、同一材料である。
【0056】
図12は、本発明の第2実施形態におけるパッシブ回路基板が取り外された基板ホルダを説明する図である。
図13は、本発明の第2実施形態におけるパッシブ回路基板が取り付けられた基板ホルダを説明する図である。基板ホルダ170Aは、鍵10と連続して構成され、基板ホルダ170と類似した構成を含む。側面部171Aa、171Ab、178A、蓋部172Aa、172Abについては、基板ホルダ170における対応する構成と類似しているため、それらの説明を省略する。基板ホルダ170Aにおいては、開口部170Aaの構成が基板ホルダ170における開口部170aとは異なっている。
【0057】
側面部171Aaの前方向D2aの端部かつ上方向D3aの端部には、右方向D1bに向けて延在する弾性部1755Aaを介して隆起部175Aaが配置されている。弾性部1755Aaは、側面部171Aaにより片持ちで支持されることで弾性体として機能する。隆起部175Aaは、弾性部1755Aaに対して上方向D3aに隆起している。隆起部175Aaは、後方向D2b側の面(基板ホルダ170A内部側の面)において、底面部179Aに対して略垂直になっている部分を含む。隆起部175Aaに対して下方向D3bに力Fを加えると、弾性部1755Aaが弾性変形をすることにより、隆起部175Aaが下方向D3bに移動する。
【0058】
側面部171Abの前方向D2aの端部かつ上方向D3aの端部には、左方向D1aに向けて延在する弾性部1755Abを介して隆起部175Abが配置されている。弾性部
1755Abは、側面部171Abにより片持ちで支持されることで弾性体として機能する。隆起部175Abは、弾性部1755Abに対して上方向D3aに隆起している。隆起部175Abは、後方向D2b側の面(基板ホルダ170A内部側の面)において、底面部179Aに対して略垂直になっている部分を含む。隆起部175Abに対して下方向D3bに力Fを加えると、弾性部1755Abが弾性変形をすることにより、隆起部175Abが下方向D3bに移動する。
【0059】
基板ホルダ170Aの前方向D2aには、開口部170Aaが形成されている。隆起部175Aa、175Abが下方向D3bに移動することで、パッシブ回路基板750を基板ホルダ170Aの内部に挿入することができる大きさの開口部170Aaが確保される。パッシブ回路基板750が開口部170Aaから基板ホルダ170Aの内部に挿入されていくと、パッシブ回路基板750が側面部178Aに接触する。この状態になると隆起部175Aa、175Abは元の位置に戻る。この過程において、パッシブ回路基板750に配置されているキャパシタ756は、隆起部175Aaと隆起部175Abとの間を通過する。なお、隆起部175Aa、175Abは、パッシブ回路基板750の端面または端縁と接していることによって、完全に元の位置に戻らなくてもよい。すなわち、パッシブ回路基板750によって弾性部1755Aa、1755Abが上方向D3aの力Fを受けている状態が続いていてもよいが、少なくとも開口部170Aaをパッシブ回路基板750が通過できない程度までは隆起部175Aa、175Abの位置が戻る。
【0060】
パッシブ回路基板750は、基板ホルダ170Aに収まった状態で、その側面部171Aaと側面部171Abとによって左右方向D1の位置が決められ、側面部178Aと隆起部175Aa、175Abとによって前後方向D2の位置が決められ、底面部179Aと蓋部172Aa、172Abとによって上下方向D3の位置が決められる。このようにして、パッシブ回路基板750は、基板ホルダ170Aに保持される。なお、第1実施形態と同様に、弾性部1775aおよび隆起部177aに相当する構成が基板ホルダ170Aに設けられてもよい。また、蓋部172Aa、172Abの上方向D3aの面に突出部を設けることによって、突出部からパッシブ回路基板750に対して上方向D3aへの力が加わるようにしてもよい。この場合、パッシブ回路基板750が保持されているときに、蓋部172Aa、172Abが下方向D3bに弾性変形するような状態になれば、この構成を実現することができる。
【0061】
隆起部175Aa、175Abを下方向D3bに移動させた状態で、パッシブ回路基板750を開口部170Aa側にスライドさせることで、基板ホルダ170Aからパッシブ回路基板750を取り外すことができる。このようにして、基板ホルダ170Aは、パッシブ回路基板750を着脱可能に保持する。
【0062】
このように、基板ホルダ170Aは、鍵10と一体に形成されて、特に鍵10と基板ホルダ170Aとが射出成形により一体に形成される場合には、製造上の制限によって一部の形状に制限を受けるものの第1実施形態における固定部材190が存在しなくてもよい。
【0063】
<第3実施形態>
第3実施形態では、蓋の開閉によってパッシブ回路基板750を着脱可能に保持する基板ホルダ170Bについて、
図14から
図17を用いて説明する。
【0064】
図14は、本発明の第3実施形態におけるパッシブ回路基板が取り外された基板ホルダを説明する図である。
図15は、本発明の第3実施形態における基板ホルダにパッシブ回路基板を配置した状態を説明する図である。
図16は、本発明の第3実施形態における基板ホルダにパッシブ回路基板を配置した状態における断面(切断線Cc1-Cc2)を説
明する図である。
図17は、
図16において蓋部172Bを閉じることによってパッシブ回路基板を基板ホルダに取り付けた状態における断面を説明する図である。基板ホルダ170Bは、この例では樹脂で形成され、射出成形によって製造される。基板ホルダ170Bは、一部が開口された略直方体形状を有し、その一面が開閉可能な蓋構造を有している。
【0065】
基板ホルダ170Bの上方向D3a(鍵10側)には、板状の底面部179Bが配置されている。底面部179Bの前方向D2aには底面部179Baが配置され、後方向D2bには底面部179Bbが配置されている。底面部179Baは貫通孔1795Baを備え、底面部179Bbは貫通孔1795Bbを備える。これらの貫通孔1795Ba、1795Bbは、基板ホルダ170Bを鍵10に固定するための固定部材を配置するために用いられてもよく、例えば、第1実施形態における貫通孔1795a、1795bと同様の機能を有していてもよい。
【0066】
底面部179Bの左方向D1aの端部には、側面部171Baが配置されている。底面部179Bの右方向D1bの端部には、側面部171Bbが配置されている。底面部179Bの前方向D2aの端部には、側面部174Bが配置されている。底面部179Bの後方向D2bの端部には、側面部178Bが配置されている。側面部171Ba、171Bb、174B、178Bは、底面部179に対して略垂直になっている部分を含む板状部材である。側面部174Bには、隆起部175Baが配置されている。隆起部175Baは、側面部174Bに対して前方向D2aに隆起している。側面部178Bの下方向D3bの端部には、ヒンジ部1725Bを介して、板状の蓋部172Bが配置されている。蓋部172Bには、略中央部分に切り欠き部172Baが形成されている。蓋部172Bの端部のうち、ヒンジ部1725Bと反対側の端部には、係合部175Bbが配置されている。
【0067】
蓋部172Bは、底面部179Bに対してヒンジ部1725Bを中心軸として回動することができる。すなわち、蓋部172Bと底面部179Bとの位置関係は変更可能である。蓋部172Bを開けた状態においてパッシブ回路基板750を底面部179B上に配置し、蓋部172Bを閉じる方向Cに移動させる。このとき、係合部175Bbに対し蓋部172Bから遠ざける方向に力Fが加えられることで、係合部175Bbは隆起部175Baを通過し、隆起部175Baの上方向D3a側に移動する。これによって蓋部172Bが閉まることで、パッシブ回路基板750が2つの板状部材に挟まった状態、すなわち蓋部172Bと底面部179Bとに挟まった状態(第1状態)となる。この状態においてパッシブ回路基板750が基板ホルダ170Bによって保持された状態となる。このとき、パッシブ回路基板750におけるキャパシタ756は、切り欠き部172Baによって蓋部172Bとの接触が回避されている。
【0068】
パッシブ回路基板750は、基板ホルダ170Bに収まった状態で、その側面部171Baと側面部171Bbとによって左右方向D1の位置が決められ、側面部178Bと側面部174Bとによって前後方向D2の位置が決められ、底面部179Bと蓋部172Bとによって上下方向D3の位置が決められる。このようにして、パッシブ回路基板750は、基板ホルダ170Bに保持される。なお、第1実施形態と同様に、弾性部1775aおよび隆起部177aに相当する構成が基板ホルダ170Bに設けられてもよい。なお、蓋部172Bとパッシブ回路基板750との間に弾性体または不織布等が挟まれるようにして、蓋部172Bからパッシブ回路基板750に対して上方向D3aへの力を加え、基板ホルダ170Bがより強くパッシブ回路基板750を保持するようにしてもよい。
【0069】
係合部175Bbが力Fを受ける状態で蓋部172Bを開け、蓋部172Bと底面部179Bとが離れた状態(第2状態)では、パッシブ回路基板750の保持が解除された状
態となる。このようにして、基板ホルダ170Bは、パッシブ回路基板750を着脱可能に保持する。
【0070】
<第4実施形態>
第4実施形態では、スナップフィットによりパッシブ回路基板750を着脱可能に保持する基板ホルダ170Cについて、
図18から
図21を用いて説明する。
【0071】
図18は、本発明の第4実施形態におけるパッシブ回路基板が取り外された基板ホルダを説明する図である。
図19は、本発明の第4実施形態における基板ホルダの断面(切断線Dc1-Dc2)を説明する図である。
図20は、本発明の第4実施形態におけるパッシブ回路基板を説明する図である。
図21は、本発明の第4実施形態におけるパッシブ回路基板が取り付けられた基板ホルダを説明する図である。基板ホルダ170Cは、この例では樹脂で形成され、射出成形によって製造される。
【0072】
基板ホルダ170Cの上方向D3a(鍵10側)には、板状の底面部179Cが配置されている。底面部179Cの前方向D2aには底面部179Caが配置され、後方向D2bには底面部179Cbが配置されている。底面部179Caは貫通孔1795Caを備え、底面部179Cbは貫通孔1795Cbを備える。これらの貫通孔1795Ca、1795Cbは、基板ホルダ170Cを鍵10に固定するための固定部材を配置するために用いられてもよく、例えば、第1実施形態における貫通孔1795a、1795bと同様の機能を有していてもよい。底面部179Cの略中央部には、弾性部1775Cを介して隆起部177Cが配置されている。弾性部1775Cは、底面部179Cにより片持ちで支持されることで弾性体として機能する。隆起部177Cは、底面部179Cに対して下方向D3bに隆起している。底面部179Cは、後方向D3bの端部において薄くなった溝部179Cc、179Cdが配置されている。
【0073】
底面部179Cの前方向D2aの端部には、下方向D3bに向けて延在する側面部174Ca、弾性部1755Cおよび側面部174Cbが左右方向D1に沿って順に配置されている。側面部174Ca、174Cb、弾性部1755Cは、底面部179Cに対して略垂直になっている部分を含む板状部材である。弾性部1755Cの下方向D3bの端部には、隆起部175Cが配置されている。弾性部1755Cは、底面部179Cにより片持ちで支持されることで弾性体として機能する。隆起部175Cは、弾性部1755Cに対して後方向D2bに隆起している。隆起部175は、上方向D1a側の面において、底面部179に対して略平行になっている部分を含む。
【0074】
底面部179Cの後方向D2bの端部には、下方向D3bに向けて延在する側面部178Cが配置されている。側面部178Cは、前方向D2aに向けて突出するガイド部178Caが配置されている。ガイド部178Caは上下方向D3および前後方向D2に拡がる板状部材である。側面部178Cの下方向D3bの端部には、前方向D2aに向けて延在する蓋部173Cが配置されている。蓋部173Cは、底面部179Cと略平行な板状部材である。
【0075】
図20に示すように、パッシブ回路基板750Cは、切り欠き部7508Cが形成されている。切り欠き部7508Cとガイド部178Caとは対応した形状である。パッシブ回路基板750Cが基板ホルダ170Cに取り付けられるときには、まず、
図19に示すように、ガイド部178Caが切り欠き部7508Cに挿入されるようにパッシブ回路基板750Cを基板ホルダ170Cに配置する。その後、隆起部175Cに対して前方向D2aに力Fが加わるようにすると、弾性部1755Cが弾性変形をすることにより、隆起部175Cが前方向D2aに移動する。そして、パッシブ回路基板750Cを底面部179C側に力Fcによって押し込むことによって、パッシブ回路基板750Cが基板ホルダ
170Cに嵌め込まれる。
【0076】
パッシブ回路基板750Cは、基板ホルダ170Cのガイド部178Caと切り欠き部7508Cとの嵌め合わせ(特にガイド部178Caと切り欠き部7508Cとの左右方向D1における接触)により左右方向D1の位置が決められ、ガイド部178Ca(または側面部178C)と側面部174Ca、174Cbとによって前後方向D2の位置が決められる。パッシブ回路基板750Cによって上方向D3a側に移動させられた隆起部177Cは、それぞれ弾性部1775Cの復元力によって元の位置に戻ろうとする。そのため、隆起部177Cは、パッシブ回路基板750Cに対して下方向D3bへ力を加えることになり、パッシブ回路基板750Cは、蓋部173Cおよび隆起部177Cに押しつけられる。これによって、パッシブ回路基板750Cは、上下方向D3の位置が決められる。このようにして、パッシブ回路基板750Cは、基板ホルダ170Cに保持される。
【0077】
一方、パッシブ回路基板750Cが基板ホルダ170Cに保持されている状態において、力Fを加えて弾性部1755Cを弾性変形させて隆起部175Cを前方向D2aに移動させることによって基板ホルダ170Cによるパッシブ回路基板750Cの保持が解除される。このように、パッシブ回路基板750Cが基板ホルダ170Cに保持されているときの状態よりも弾性部1755Cが弾性変形をしている状態において、パッシブ回路基板750Cの保持が解除される。
【0078】
<第5実施形態>
第5実施形態では、2つの切り欠き部7505D、7508Dが形成されたパッシブ回路基板750Dとこれを保持する基板ホルダ170Dについて、
図22、
図23を用いて説明する。
【0079】
図22は、本発明の第5実施形態におけるパッシブ回路基板を説明する図である。パッシブ回路基板750Dにおける切り欠き部7508Dは、第4実施形態における切り欠き部7508Cと同じである。切り欠き部7505Dは、切り欠き部7508Dに対向する位置に形成されている。
【0080】
図23は、本発明の第5実施形態における基板ホルダの断面(
図19に対応)を説明する図である。基板ホルダ170Dは、基板ホルダ170Cとほぼ同じ構成を有しているが、基板ホルダ170Cにおける側面部174Ca、174Cbが存在せず、また、隆起部175Cの底面部179C側において、弾性部1755Cから突出するガイド部1758Dが配置されている。同じ構成には第4実施形態における基板ホルダ170Cと同じ符号を付している。ガイド部1758Dは、切り欠き部7505Dと対応した形状であり、パッシブ回路基板750Dが基板ホルダ170Dに保持されている状態において、ガイド部1758Dは、切り欠き部7505Dにはめ込まれる。
【0081】
この例では、パッシブ回路基板750Dが基板ホルダ170Dに保持されている状態において、パッシブ回路基板750Dは、ガイド部178Caと切り欠き部7508Dとの嵌め合わせ(特にガイド部178Caと切り欠き部7508Dとの左右方向D1における接触)、およびガイド部1758Dと切り欠き部7505Dとの嵌め合わせ(特にガイド部1758Dと切り欠き部7505Dとの左右方向D1における接触)により左右方向D1の位置が決められ、ガイド部178Ca(または側面部178C)とガイド部1758D(または弾性部1755C)とによって前後方向D2の位置が決められる。パッシブ回路基板750Dの上下方向D3の位置については、第4実施形態と同じようにして決められる。このようにして、パッシブ回路基板750Dは、基板ホルダ170Dに保持される。
【0082】
一方、パッシブ回路基板750Dが基板ホルダ170Dに保持されている状態において、力Fを加えて弾性部1755Dを弾性変形させて隆起部175Dを前方向D2aに移動させることによって基板ホルダ170Dによるパッシブ回路基板750Dの保持が解除される。このように、パッシブ回路基板750Dが基板ホルダ170Dに保持されているときの状態よりも弾性部1755Cが弾性変形をしている状態において、パッシブ回路基板750Dの保持が解除される。
【0083】
<第6実施形態>
第6実施形態では、鍵10ではなく、鍵10に連動する部材に固定される基板ホルダ170Eを含む鍵盤装置1Eについて、
図24から
図26を用いて説明する。ここでは、鍵10に連動する部材として、負荷部30の鍵接続部301を例示する。
【0084】
図24は、本発明の第6実施形態における鍵盤装置の内部構造(離鍵時)を説明する図である。
図25は、本発明の第6実施形態における鍵盤装置の内部構造(白鍵の押鍵時)を説明する図である。鍵盤装置1Eにおいては、基板ホルダ170Eは、鍵接続部301の下面側に固定されている。そのため、アクティブ回路基板700が配置される基板保持部207Eが鍵接続部301の下方に配置されている。
図24の状態において鍵10が押下されると、
図25に示すように、鍵10の回動に連動して負荷部30が回動することで錘部305が上方に移動し、上部ストッパ353に衝突してさらなる移動が規制される。このとき、
図25に示すように、鍵接続部301が下方に移動し、アクティブ回路基板700とパッシブ回路基板750Dとが近づく。ここでは、回動時に移動量が少なくなる位置として、回動の中心に近い位置に基板ホルダ170Eが配置されているが、用途に応じて回動の中心から離れた位置に基板ホルダ170Eが配置されるようにしてもよい。
【0085】
なお、パッシブ回路基板750Dはアクティブ回路基板700との角度に関し、離鍵時と押鍵時との差は、パッシブ回路基板750Dを鍵10に取り付けた第1実施形態よりも大きくなる。この角度の変化が大きくても、パッシブコイル751を通過する磁束の量が変わるため、パッシブコイル751とアクティブコイル701との位置関係が第6実施形態のようになっていても問題はない。
【0086】
図26は、本発明の第6実施形態におけるパッシブ回路基板が取り付けられた基板ホルダを説明する図である。この例では、基板ホルダ170Eは、第5実施形態における基板ホルダ170Dに相当する構成をそのまま適用した。ここでは、さらに基板ホルダ170Eと鍵接続部301とは射出成形により一体に形成され、同一の材料で形成されている。基板ホルダ170Eと基板ホルダ170Dとは同様の構成であるため、基板ホルダ170Eには第5実施形態で示したパッシブ回路基板750Dが取り付けられる。基板ホルダ170Eにおける底面部179E、側面部178E、蓋部173E、ガイド部178Ea、弾性部1755E、隆起部175Eは、基板ホルダ170Dにおける底面部179C、側面部178C、蓋部173C、ガイド部178Ca、弾性部1755C、隆起部175Dにそれぞれ対応する。
【0087】
<第7実施形態>
第7実施形態では、鍵10および負荷部30以外に取り付けられた基板ホルダ170Fを含む鍵盤装置1Fについて
図27から
図31を用いて説明する。
【0088】
図27は、本発明の第7実施形態における鍵盤装置の内部構造(離鍵時)を説明する図である。
図28は、本発明の第7実施形態における鍵盤装置の内部構造(白鍵の押鍵時)を説明する図である。鍵盤装置1Fにおいては、基板ホルダ170Fは、鍵接続部301の下方において、アクティブ回路基板700を覆うように基板保持部207Eに配置されている。基板ホルダ170Fは、ゴム等の弾性体で形成されたドーム状の構造体であり、
その一部にパッシブ回路基板750Fを保持する機構を有する。
図27の状態において鍵10が押下されると、
図28に示すように、鍵10の回動に連動して負荷部30が回動することで錘部305が上方に移動し、上部ストッパ353に衝突してさらなる移動が規制される。このとき、鍵接続部301が下方に移動する途中で、鍵接続部301が基板ホルダ170Fに接触する。
【0089】
鍵接続部301は、さらに下方に移動することによって、基板ホルダ170Fを変形させる。基板ホルダ170Fを変形させることにより、基板ホルダ170Fに保持されたパッシブ回路基板750Fが、アクティブ回路基板700に近づく。鍵10が元の位置に戻って
図27に示す状態になると、基板ホルダ170Fは、自身の復元力により元の形状に戻り、パッシブ回路基板750Fがアクティブ回路基板700から離れる。このように、押鍵範囲の一部において、鍵10の動きに伴って基板ホルダ170Fの形状が変化する。したがって、基板ホルダ170Fは、鍵10に連動する部材ともいえる。続いて、基板ホルダ170Fについて説明する。
【0090】
図29は、本発明の第7実施形態におけるパッシブ回路基板が取り付けられた基板ホルダを説明する図である。
図30は、本発明の第7実施形態におけるパッシブ回路基板が取り付けられた基板ホルダの内側を説明する図(基板ホルダを下方から見た図)である。
図31は、本発明の第7実施形態における基板ホルダの断面(切断線Ec1-Ec2)を説明する図である。基板ホルダ170Fは、ベース部170Fz、ベース部170Fzから上方向D3aに拡がるドーム形状を形成する部分を含む。ドーム形状を形成する部分は、下部側面部170Fy、上部側面部170Fxおよび上面部170Ftを含む。上部側面部170Fxには、内面側に突出する蓋部172Fa、172Fbが配置されている。
【0091】
ベース部170Fzは、4つの角部のそれぞれに対応して、下方向D3bに突出する突出部1705Fzが配置されている。この突出部1705Fzは、アクティブ回路基板700に設けられた孔部THに嵌め込まれる。これによって、アクティブ回路基板700に対する基板ホルダ170F(パッシブ回路基板750F)の位置が決められる。
【0092】
パッシブ回路基板750Fは、上部側面部170Fxの形状に沿った外周を有し、上述した実施形態におけるパッシブ回路基板750とは異なり、長方形の角部に相当する部分が、円弧状に形成されている。パッシブ回路基板750Fは、上面部170Ftと蓋部172Fa、172Fbとに挟まれることによって、基板ホルダ170Fに保持される。パッシブ回路基板750Fは剛性を有する構造体であるから、蓋部172Fa、172Fbより上面部170Ft側においては、基板ホルダ170Fは、弾性体であってもパッシブ回路基板750Fの影響により形状が保持され、ほとんど変形しない。したがって、鍵接続部301が基板ホルダ170Fを変形させるときには、主に下部側面部170Fyが変形して、上面部170Ftがアクティブ回路基板700の方に近づく。
【0093】
パッシブ回路基板750Fを基板ホルダ170Fに取り付けたり取り外したりするときには、蓋部172Fa、172Fbを外側に拡げるように力Fを加えることによって基板ホルダ170Fを変形させ、パッシブ回路基板750Fが通過できる程度まで、開口部170Faを拡張することができる。すなわち、蓋部172Faと蓋部172Fbとの間の間隙をパッシブ回路基板750Fが通ることで、基板ホルダ170Fに取り付けたり取り外したりすることができる。
【0094】
なお、基板ホルダ170Fは、各鍵10に対応して設けられる。隣接する基板ホルダ170Fのベース部170Fzが接続されていてもよい。
【0095】
<第8実施形態>
第8実施形態では、第7実施形態のような基板ホルダ170Fを射出成形により形成するときに、射出成形の金型にパッシブ回路基板750Fも入れて形成した基板ホルダ170Gについて、
図32、
図33を用いて説明する。
【0096】
図32は、本発明の第8実施形態におけるパッシブ回路基板が取り付けられた基板ホルダの内側を説明する図である。
図33は、本発明の第8実施形態における基板ホルダの断面(切断線Fc1-Fc2)を説明する図である。基板ホルダ170Gは、基板ホルダ170Fと同様に、射出成形により形成された弾性体である。この例では、射出成形の際にパッシブ回路基板750Fが弾性体に取り込まれるため、基板ホルダ170Gは、パッシブ回路基板750Fを着脱可能にはならない。基板ホルダ170Gにおける上面部170Gt、上部側面部170Gx、下部側面部170Gy、ベース部170Gzおよび突出部1705Gzは、基板ホルダ170Fにおける上面部170Ft、上部側面部170Fx、下部側面部170Fy、ベース部170Fzおよび突出部1705Fzにそれぞれ対応する。
【0097】
一方、基板ホルダ170Gでは、上部側面部170Gxの内面側に配置される蓋部172Gの構成が、基板ホルダ170Fの蓋部172Faとは異なる。蓋部172Gには、貫通孔172Gpが形成されている。貫通孔172Gpは必ず形成される必要は無いが、この例では、パッシブ回路基板750Fのキャパシタ756が露出されるようになっている。射出成形の条件によっては、材料の伸縮により樹脂がキャパシタ756に応力を与えてしまう場合がある。この例のように、キャパシタ756を露出させる貫通孔172Gpが蓋部172Gに形成されることによって、このような応力による影響を避けることができる。一方、このような貫通孔172Gpは、できるだけ小さい方がパッシブ回路基板750Fの保持のためには望ましい。なお、射出成形時には、パッシブ回路基板750Fの位置が変化しないようにするために、パッシブ回路基板750Fを複数のピン等により外側から支持しておくことが望ましい。この場合、例えば、上面部170Ft、上部側面部170Fxにおいて、ピンが配置された部分に対応する形状の貫通孔が残ることになる。ただし、上述した貫通孔172Gpを含め、全ての貫通孔は、パッシブ回路基板750Fが通過できない大きさであることが望ましい。
【0098】
このように、基板ホルダ170Gとパッシブ回路基板750Fとを一体に形成することによって、基板ホルダ170Gはパッシブ回路基板750Fを着脱可能に構成することはできないが、基板ホルダ170Gごと交換をすることが効率的な場合には効果的である。
【0099】
<第9実施形態>
第9実施形態では、第8実施形態における基板ホルダ170Gを、第6実施形態における基板ホルダ170Eに代えて適用したときの基板ホルダ170Hについて、
図34を用いて説明する。
【0100】
図34は、本発明の第9実施形態におけるパッシブ回路基板が取り付けられた基板ホルダを説明する図である。この例では、鍵接続部301の下面側に基板ホルダ170Hが配置されている。基板ホルダ170Hと鍵接続部301とは射出成形により一体に形成される。このときパッシブ回路基板750についても、金型に入れて基板ホルダ170Hとまとめて形成される。第8実施形態の基板ホルダ170Gと同様に、基板ホルダ170Hの下面部170Haには、貫通孔1705Haが形成されている。パッシブ回路基板750のキャパシタ756は、貫通孔1705Haによって基板ホルダ170Hから露出されている。また、側面部170Hb、170Hcには、貫通孔1705Hb、1705Hcが形成されている。貫通孔1705Hb、1705Hcは、射出成形の際にパッシブ回路基板750を支持するピンが配置されていたために形成された孔である。
【0101】
<第10実施形態>
磁気誘導型センサはアコースティックピアノにおいても用いることができる。第10実施形態では、基板ホルダ170を用いたグランドピアノ1Jについて、
図35から
図37を用いて説明する。
【0102】
図35は、本発明の第10実施形態における鍵盤装置の内部構造(離鍵時)を説明する図である。
図36は、本発明の第10実施形態における基板ホルダの取付位置を説明する図である。この例では、基板ホルダ170は、グランドピアノ1Jのハンマシャンク305Jに固定部材190Jによって取り付けられる。固定部材190Jは、ハンマシャンク305Jの軸周りを囲む形状である。
図36に示すハンマシャンク305Jのように、その断面(長手方向に垂直な断面)において、外縁が円ではない場合には、その外縁形状に合わせた内面形状を有する固定部材190Jを用いることで、軸周りの回転を避けることもできる。固定部材190Jは、ハンマシャンク305Jに接着されてもよい。なお、第1実施形態で説明した固定部材190をハンマシャンク305Jに差し込んで、基板ホルダ170をハンマシャンク305Jに固定してもよい。
【0103】
アクティブ回路基板700は、フレーム20Jに固定された基板保持部207Jに配置されている。なお、この例では、基板保持部207Jの下面側にアクティブ回路基板700が配置されているが、基板保持部207Jが樹脂製の構造体であれば、基板保持部207Jの上面側に配置されてもよい。また、基板ホルダ170は、ハンマシャンク305Jの別の位置に取り付けられてもよい。
【0104】
図37は、本発明の第10実施形態における基板ホルダの取付位置の別の例を説明する図である。
図37に示す例では、ハンマシャンク305Jのうちハンマローラ309Jが取り付けられた部分の反対側の面に、基板ホルダ170が取り付けられている。この面は、ハンマシャンク305Jにおいて比較的広い範囲の平面を有する部分である。そのため、基板ホルダ170を配置しやすい。
【0105】
なお、基板ホルダ170は、ハンマシャンク305J以外にもジャック307Jに取り付けられてもよいし、鍵10Jに取り付けられてもよい。ジャック307Jに基板ホルダ170が取り付けられる場合には、フレーム20Jにアクティブ回路基板700を配置してもよい。このとき、アクティブ回路基板700は、その面の法線がジャック307Jの方を向くように直立して配置されてもよい。また、鍵10Jに基板ホルダ170が取り付けられる場合には、棚板50Jにアクティブ回路基板700が配置されてもよい。
【0106】
<第11実施形態>
第11実施形態では、基板ホルダ170を用いたアップライトピアノ1Kについて、
図38から
図40を用いて説明する。
【0107】
図38は、本発明の第11実施形態における鍵盤装置の内部構造(離鍵時)を説明する図である。
図39は、本発明の第11実施形態における基板ホルダの取付位置を説明する図である。この例では、基板ホルダ170は、アップライトピアノ1Kのハンマシャンク305Kに固定部材190Kによって取り付けられる。固定部材190Kは、ハンマシャンク305Kの軸周りを囲む形状である。ハンマシャンク305Kは、円柱形状である。そこで、基板ホルダ170がハンマシャンク305Kを中心軸に回転してしまわないように、ハンマシャンク305Kを支持するバット311Kの一部と基板ホルダ170とを、領域CAにおいて接触させる。固定部材190Jは、ハンマシャンク305Jに接着されてもよい。なお、第1実施形態で説明した固定部材190を、領域CAにおいてバット311Kに差し込んで固定してもよい。
【0108】
アクティブ回路基板700は、図示しないフレームに固定された基板保持部207Kに配置されている。また、基板ホルダ170は、ハンマシャンク305Kに別の形態で取り付けられてもよい。
【0109】
図40は、本発明の第11実施形態における基板ホルダを別の形態で取り付けた例を説明する図である。この例では、第1実施形態で説明した固定部材190をハンマシャンク305Kに差し込んで、基板ホルダ170をハンマシャンク305Kに固定している。このとき、基板ホルダ170とハンマシャンク305Kとの間を埋めるための補助部材195Mが配置されてもよい。
【0110】
<第12実施形態>
第12実施形態では、第6実施形態のように鍵接続部301と一体に形成された基板ホルダ170Eに対し別の構成によってパッシブ回路基板750Nを保持する基板ホルダ170Nについて、
図41および
図42を用いて説明する。
【0111】
図41は、本発明の第12実施形態におけるパッシブ回路基板が取り付けられた基板ホルダを説明する図である。
図42は、本発明の第12実施形態における基板ホルダの断面(切断線Gc1-Gc2)を説明する図である。
図41は、基板ホルダ170Nを下方から見た場合の図である。基板ホルダ170Nは、鍵接続部301の下方に配置されている。
【0112】
基板ホルダ170Nにおける底面部179N、側面部178N、蓋部173Nおよびガイド部178Naは、
図26に示す基板ホルダ170Eにおける底面部179E、側面部178E、蓋部173Eおよびガイド部178Eaにそれぞれ対応する。基板ホルダ170Nに取り付けられるパッシブ回路基板750Nにおける切り欠き部7508Nは、
図22に示すパッシブ回路基板750Dにおける切り欠き部7508Dに対応する。
【0113】
一方、基板ホルダ170Nは、基板ホルダ170Eが弾性部1755Eおよび隆起部175Eを備える代わりに、雄ネジ175Nおよび雌ネジ1795Nを備える。雌ネジ1795Nは、底面部179Nに形成されている。パッシブ回路基板750Nは、パッシブ回路基板750Dが切り欠き部7505Dを備える代わりに、開口部7505Nを備える。雄ネジ175Nが雌ネジ1795Nに締結された状態では、雄ネジ175Nは開口部7505Nを貫通し、雄ネジ175Nの頭部がパッシブ回路基板750Nの面750Naに接触する。
【0114】
この状態において、パッシブ回路基板750Nは、雄ネジ175Nの頭部と底面部179Nとに挟まれて上下方向D3の位置が決められ、側面部178Eと雄ネジ175Nの軸部とによって前後方向D2の位置が決められ、ガイド部178Naと切り欠き部7508Nとの嵌め合わせ(特にガイド部178Naと切り欠き部7508Nとの左右方向D1における接触)により左右方向D1の位置が決められる。雄ネジ175Nが雌ネジ1795Nから取り外されることによって、基板ホルダ170Nによるパッシブ回路基板750Nの保持が解除される。
【0115】
<第13実施形態>
第12実施形態では、第12実施形態における基板ホルダ170Nに対し別の構成によってパッシブ回路基板750Pを保持する基板ホルダ170Pについて、
図43および
図44を用いて説明する。
【0116】
図43は、本発明の第13実施形態におけるパッシブ回路基板が取り付けられた基板ホルダを説明する図である。
図44は、本発明の第13実施形態における基板ホルダの断面
(切断線Hc1-Hc2)を説明する図である。基板ホルダ170Pは、鍵接続部301の下方に配置されている。
【0117】
基板ホルダ170Pにおける雄ネジ175Pbおよび雌ネジ1795Pbは、基板ホルダ170Nにおける雄ネジ175Nおよび雌ネジ1795Nにそれぞれ対応する。基板ホルダ170Pに取り付けられるパッシブ回路基板750Pにおける開口部7505Pbは、パッシブ回路基板750Nにおける開口部7505Nに対応する。
【0118】
基板ホルダ170Pは、基板ホルダ170Nが側面部178N、蓋部173Nおよびガイド部178Naを備える代わりに、雄ネジ175Paおよび雌ネジ1795Paを備える。パッシブ回路基板750Pは、パッシブ回路基板750Nが切り欠き部7508Nを備える代わりに、開口部7505Paを備える。この例では、基板ホルダ170Pは、底面部179Pから下方に突出する突起部1755Pa、1755Pbを備える。パッシブ回路基板750Pは、突起部1755Pa、1755Pbが挿入される開口部7555Pa、7555Pbを備える。
【0119】
この例では、開口部7505Paは、一部がパッシブ回路基板750Pの端部に到達して、開口部7505Paの一部がパッシブ回路基板750Pに囲まれていない構成であるが、全体が囲まれる位置に開口部7505Paが形成されていてもよい。開口部7505Paの一部がパッシブ回路基板750Pに囲まれていない場合には、囲まれていない部分の大きさが雄ネジ175Paの軸の径よりも小さいこと、すなわち、開口部7505Paの内から外へ雄ネジ175Paの軸が通過できないようになっていることが好ましい。
【0120】
雄ネジ175Paが雌ネジ1795Paに締結され、雄ネジ175Pbが雌ネジ1795Pbに締結された状態では、雄ネジ175Pa、175Pbは開口部7505Pa、7505Pbをそれぞれ貫通し、雄ネジ175Pa、175Pbのそれぞれの頭部がパッシブ回路基板750Pの面750Pbに接触する。突起部1755Pa、1755Pbが、開口部7555Pa、7555Pbをそれぞれ貫通する。突起部1755Paは、開口部7555Paの内部に侵入していれば、開口部7555Paを貫通していなくてもよい。突起部1755Pbについても同様である。
【0121】
この状態において、パッシブ回路基板750Pは、雄ネジ175Pa、175Pbのそれぞれの頭部と底面部179Pとに挟まれて上下方向D3の位置が決められ、突起部1755Pa、1755Pbとによって左右方向D1および前後方向D2の位置が決められる。突起部1755Pa、1755Pbが無い場合には、パッシブ回路基板750Pは、雄ネジ175Paの軸部および175Pbの軸部によって左右方向D1および前後方向D2の位置が決められてもよい。突起部1755Pa、1755Pb、雄ネジ175Pa、175Pbのうち、2つの構成によって、左右方向D1および前後方向D2の位置が決められてもよい。上下方向D3の位置が決めるためには、少なくとも、雄ネジ175Pa、175Pbのいずれかが存在すればよい。
【0122】
雄ネジ175Paが雌ネジ1795Paから取り外され、雄ネジ175Pbが雌ネジ1795Pbから取り外されることによって、基板ホルダ170Pによるパッシブ回路基板750Pの保持が解除される。
【0123】
この例では、さらに、底面部179Pに凹部1756Pが形成されている。凹部1756Pは、パッシブ回路基板750Pのキャパシタ756Pに対応する位置に形成されている。したがって、キャパシタ756Pが底面部179P側に向くようにパッシブ回路基板750Pを配置しても、キャパシタ756Pの部分が凹部1756Pの領域に収めることができる。これによって、キャパシタ756Pに対して、他の構造物からの物理的な干渉
を防ぐことができる。
【0124】
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の一実施形態は、以下のように様々な形態に変形することもできる。また、上述した実施形態および以下に説明する変形例は、それぞれ互いに組み合わせて適用することもできる。さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。以下の説明では、特に明示がない限り第1実施形態を変形した例として説明するが、他の実施形態を変形する例として適用することもできる。
【0125】
(1)パッシブ回路基板750にはパッシブコイル751が設けられていたが、パッシブコイル751の代わりに金属板が設けられてもよい。この構成であっても、金属板に生じる渦電流によってパッシブコイル751と同様にアクティブ回路770の出力信号を変調することが実現される。すなわち、パッシブ回路基板750において、コイルに代えて、金属板等、磁場を介してエネルギを吸収できる導電体が配置されていてもよい。
【0126】
(2)第1実施形態では、アクティブコイル701がフレーム20側に配置され、パッシブコイル751が基板ホルダ170に保持されて鍵10側に配置されていた。パッシブコイル751は、電力供給等を不要とするため、可動部分を有する構造の方に設けられることが設計上容易であるが、逆の関係で配置されても実現可能である。すなわち、アクティブコイル701が鍵10側に配置され、パッシブコイル751がフレーム20側に配置されてもよい。このとき、基板ホルダ170において電力供給等を行うための構成が配置されてもよい。
【0127】
(3)アクティブコイル701とパッシブコイル751との距離は、離鍵時よりも押鍵時の方が近くなっていたが、離鍵時の方が近くなっていてもよい。この構成は、鍵10に連動する部材を介して実現してもよいし、鍵10の上面側にアクティブ回路基板700が配置されるようにしてもよい。
【0128】
(4)アクティブ回路770とパッシブ回路基板750との組は、各鍵10に対して1つずつ設けられていたが、各鍵10に対して複数の組が設けられていてもよい。例えば、第1実施形態のように鍵10の押下量を測定するセンサと、第6実施形態のように、鍵10に連動する部材の移動量を測定するセンサとによって、複数の部材の移動量を測定できるようにしてもよい。また、鍵10に複数のセンサが設けられてもよい。この場合には、それぞれのセンサにおいて押下量の測定可能な範囲が異なるようにしてもよい。また、発音タイミングと押鍵速度に関する情報が負荷部30に設けたセンサに基づいて生成され、消音タイミングに関する情報が鍵10に設けたセンサに基づいて生成されてもよい。
【0129】
(5)アクティブコイル701のコイル形状は、上述した様々な形態以外にも様々な形態を取り得る。また、アクティブコイル701は、複数のコイルを用いて実現されてもよい。パッシブコイル751についても同様である。アクティブコイル701において磁場を形成し、パッシブコイル751において磁場を介してアクティブ回路770に反共振を起こさせることができる構成であれば、アクティブコイル701およびパッシブコイル751に様々な形態が採用可能である。
【0130】
(6)アクティブ回路基板700は、鍵10に連動しないフレーム20(基板保持部207)に配置されていたが、離鍵時と押鍵時でアクティブ回路基板700とパッシブ回路基板750との位置関係が変化すれば、鍵10に連動する部材にアクティブ回路基板700が配置されてもよい。
【0131】
(7)基板ホルダ170を鍵10または鍵10に連動する部材に固定する固定部材190は、ネジ、ボルトとナットの組み合わせ、両面テープ、接着剤、タッカ、ネイラ、ホットボンドであってもよく、材料および形態は様々に取り得るが、磁場への影響を少なくするため、比透磁率が1に近い材料または樹脂等の絶縁体材料であることが望ましい。また、鍵10が木製である場合または特定の樹脂等、弾性のある材料である場合には、ダボ等を用いて圧入をすることによって基板ホルダ170と鍵10とを固定してもよい。また、基板ホルダ170を用いずに、パッシブ回路基板750を鍵10または鍵10に連動する部材に対して固定部材で直接固定してもよい。この場合であっても、固定部材は、両面テープ、接着剤、タッカ、ネイラ、ホットボンドであってもよく、材料および形態は様々に取り得るが、磁場への影響を少なくするため、比透磁率が1に近い材料または樹脂等の絶縁体材料であることが望ましい。
【0132】
(8)パッシブ回路基板750とアクティブ回路基板700とは、双方の面が略対向した位置関係であり、鍵10への操作によって、双方の面に設けられたコイルが略上下方向D3に近づいたり離れたりすることで互いの距離が変化する。押鍵量測定部70はこの距離に応じた信号を出力することによって距離センサとして機能する。一方、双方の面が鍵10の操作面に略垂直に配置されている場合であっても、押鍵量測定部70は、同じように距離センサとして機能することができる。例えば、パッシブ回路基板75とアクティブ回路基板700とのいずれの面も、左右方向D1に沿った法線を有するように配置されている場合を想定する。この場合において、左右方向D1に沿って見た場合には、鍵10が押下に伴って、パッシブ回路基板750とアクティブ回路基板700との距離が変化するとともに、双方の面が重畳する面積が変化する。このような面積の変化によってもアクティブ回路基板700からの出力信号が変化するから、押鍵量測定部70は距離センサとして機能することができる。
【0133】
(9)上述の実施形態においては、電子鍵盤楽器がスピーカ60および音源部80を備える構成や、グランドピアノおよびアップライトピアノなどのアコースティックピアノとして弦等の発音機構を具備する構成として説明したが、電子鍵盤楽器からスピーカ60および音源部80を省略した構成としてもよい。その場合、押鍵量測定部70は、鍵盤の演奏内容の記録または演奏信号を外部に出力するために利用される。
【0134】
以上の説明から理解される通り、本発明は、音源部80または発音機構に対して演奏動作に応じた操作信号を出力することで発音を制御する装置(演奏操作装置)としても特定される。上述の各実施形態に例示したように、演奏操作装置は、音源部80を備えて音信号を出力する楽器(鍵盤装置1)、および発音機構を備えて発音する楽器を含むが、これらの楽器以外にも、音信号を出力しない装置(例えばMIDIコントローラ)および自身では発音しない装置(例えば、ペダル機構)も含んでもよい。この場合、鍵およびペダルは、演奏操作のための操作子として特定される。このように、演奏操作装置は、演奏者(操作者)が手または足で操作子を操作することに応じて、音の発生およびその発生態様を変更するように制御したり、音信号を出力したりする装置を含む。
【0135】
ペダル機構に適用される場合は、操作子としてのペダルに、基板ホルダ170を固定する構造とし、基板ホルダ170に保持されたパッシブ回路基板750とペダルを操作可能に支持する支持部に設けられたアクティブ回路基板700が対向し、ペダルの操作によってパッシブ回路基板750とアクティブ回路基板700との距離(位置関係)が変化することで、操作を検出できるようにすればよい。
【符号の説明】
【0136】
1,1E,1F…鍵盤装置、1J…グランドピアノ、1K…アップライトピアノ、10,10J…鍵、10b…黒鍵、10w…白鍵、20,20J…フレーム、30…負荷部、5
0…筐体、50J…棚板、60…スピーカ、70…押鍵量測定部、80…音源部、90…操作部、103…負荷接続部、105…弾性部、170,170A,170B,170C,170D,170E,170F,170G,170H,170N,170P…基板ホルダ、170a,170Aa,170Fa,7505N,7505Pa,7505Pb,7555Pa,7555Pb…開口部、170Ft,170Gt…上面部、170Fx,170Gx…上部側面部、170Fy,170Gy…下部側面部、170Fz,170Gz…ベース部、170Ha…下面部、170Hb,170Hc,171a,171Aa,171Ab,171b,171Ba,171Bb,174B,174Ca,174Cb,178,178A,178B,178C,178E,178N…側面部、172a,172Aa,172Ab,172b,172B,172Fa,172Fb,172G,173a,173b,173C,173E,173N…蓋部、172Ba,7505D,7508C,7508D,7508N…切り欠き部、172Gp,1705Ha,1705Hb,1705Hc,1795a,1795b…貫通孔、175,175Aa,175Ab,175Ba,175C,175E,177a,177b,177C…隆起部、175Bb…係合部、175N,175Pa,175Pb…雄ネジ、1755Pa,1755Pb…突起部、178Ca,178Ea,1758D,178Na…ガイド部、179,179A,179B,179Ba,179Bb,179C,179Ca,179Cb,179E,179N,179P…底面部、179Cc,179Cd,1795c…溝部、1795N,1795Pa,1795Pb…雌ネジ、190,190J,190K…固定部材、190a,190b…鍵埋込部分、190c…板状部材、195M…補助部材、201…鍵ガイド部、203…鍵支持部、205…リブ部、207,207E,207J,207K…基板保持部、301…鍵接続部、303…軸受、305…錘部、305J,305K…ハンマシャンク、307J…ジャック、309J…ハンマローラ、311K…バット、351…下部ストッパ、353…上部ストッパ、700…アクティブ回路基板、701…アクティブコイル、701a…配線、701b…配線、701x…第1コイル、701y…第2コイル、703a…信号入力部、703b…信号出力部、706a,706b…キャパシタ、707a,707b…抵抗体、708…接地配線、709…マルチプレクサ、750,750C,750D,750F,750N,750P…パッシブ回路基板、750a,750b,750Na…面、751…パッシブコイル、751x,751y…コイル、751xt1,751xt2,751yt1,751yt2…孔、756…キャパシタ、770…アクティブ回路、1725a,1725b,1735a,1735b…線状突出部、1725B…ヒンジ部、1755,1755Aa,1755Ab,1755C,1755E,1775a,1775b,1775C…弾性部
【手続補正書】
【提出日】2024-01-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ導電体が配置された第1基板および第2基板を含み、前記第1基板と前記第2基板との距離を測定するための磁気誘導型センサと、
操作者によって操作可能な操作子と、
前記第1基板の第1面から突出する容量素子と、
前記第1基板の前記第1面側に設けられた第1部材と、
を備え、
前記第1基板および前記第2基板のそれぞれに配置される導電体のうちの少なくとも一方はコイルを含み、
前記第1基板の前記第1面は第1領域及び第2領域に区分され、
前記第1領域において、前記第1部材は前記第1基板に接し、
前記第2領域において、前記第1部材は前記第1基板から離隔している操作装置。
【請求項2】
それぞれ導電体が配置された第1基板および第2基板を含み、前記第1基板と前記第2基板との距離を測定するための磁気誘導型センサと、
操作者によって操作可能な操作子と、
前記第1基板の第1面から突出する容量素子と、
前記第1基板の前記第1面側に設けられた第1部材と、
前記操作子に連動する第2部材と、
を備え、
前記第1基板および前記第2基板のそれぞれに配置される導電体のうちの少なくとも一方はコイルを含み、
前記第1基板の前記第1面は第1領域及び第2領域に区分され、
前記第1領域において、前記第1部材は前記第1基板に接し、
前記第2領域において、前記第1部材は前記第1基板から離隔している操作装置。
【請求項3】
前記第1基板に前記コイルが設けられ、
前記コイルは前記容量素子に接続されている、請求項1又は2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記第1基板と対向する前記第1部材の面には凹部が設けられており、
前記凹部は前記第2領域と重なる位置に設けられている、請求項1又は2に記載の操作装置。
【請求項5】
前記第1部材には貫通孔が設けられており、
前記貫通孔は前記第2領域と重なる位置に設けられている、請求項1又は2に記載の操作装置。
【請求項6】
前記第1部材は、前記第1基板の第1方向に位置し、
前記第1部材は、
前記第1基板と接する第2面と、
前記第2面から前記第1方向に延びる側壁と、を有し、
前記側壁は、前記第1領域と前記第2領域との間に設けられている、請求項1乃至5のいずれか一に記載の操作装置。
【請求項7】
前記容量素子は、前記側壁によって囲まれている、請求項6に記載の操作装置。
【請求項8】
前記第1基板に対する平面視において、前記コイルの少なくとも一部は前記第2領域と重なっている、請求項1乃至7のいずれか一に記載の操作装置。
【請求項9】
前記第1部材は、第1嵌合部を備え、
前記第1基板は、前記第1嵌合部に嵌め合わされる第2嵌合部を備える、請求項1乃至8のいずれか一に記載の操作装置。
【請求項10】
前記第1基板に対する平面視において、
前記第1基板は基準線に対して線対称な形状を有し、
前記第1嵌合部及び前記第2嵌合部は、それぞれ複数設けられ、
複数の前記第1嵌合部及び前記第2嵌合部は、前記基準線に対して線対称ではない位置に設けられている、請求項9に記載の操作装置。