(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026739
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】TPP1配合物及びCLN2疾患を治療するための方法
(51)【国際特許分類】
A61K 38/48 20060101AFI20240220BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240220BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240220BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240220BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20240220BHJP
C12N 9/48 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
A61K38/48
A61K47/02
A61P25/00
A61P27/02
A61P3/00
C12N9/48 ZNA
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024003133
(22)【出願日】2024-01-12
(62)【分割の表示】P 2021131875の分割
【原出願日】2016-05-05
(31)【優先権主張番号】62/158,789
(32)【優先日】2015-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/300,171
(32)【優先日】2016-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506136483
【氏名又は名称】バイオマリン ファーマシューティカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ダブリュー. レスター
(72)【発明者】
【氏名】サイード モシャシャエー
(72)【発明者】
【氏名】オーガスタス オー. オカマフェ
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ エー. オニール
(57)【要約】
【課題】髄腔内、脳室内、または眼球内投与のための配合物およびキットを提供すること。
【解決手段】組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)を含む配合物、およびそれを含むキットが開示される。神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患の症状の予防および治療におけるrhTPP1の使用方法も開示される。本配合物および方法は、CLN2疾患の進行を止める上で有効であり、CLN2またはCLN2の家族歴を有する対象を治療するために使用することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
2016年2月26に出願された米国仮特許出願第62/300,171号、及び2015年5月8日に出願された米国仮特許出願第62/158,789号の米国特許法第119条(e)の下での利益が本明細書で主張され、各出願の開示内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、コンピュータ読取り可能な形式での配列表(49443_SeqListing.txt;8,137バイト;2016年4月11日作成)を本開示の別の部分として含み、その全体が参照により組み込まれる。
【0003】
発明の分野
本開示は、組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1を含む配合物ならびに神経セロイドリポフスチン症疾患及び関連する生理学的な症状の治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0004】
神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患は、TPP1遺伝子における突然変異によって引き起こされる、リソソーム酵素のトリペプチジルペプチダーゼ-1(TPP1)の欠損によって特徴付けられる稀な遺伝病である。CLN2疾患は、10万人の生児出生当たり0.5人の推定出現率で、常染色体劣性障害として遺伝する。TPP1の不在下では、酵素によって通常代謝されるリソソーム蓄積物質は多くの臓器に蓄積し、中枢神経系における蓄積は、CLN2疾患に典型的な神経変性症状につながる。CLN2疾患の未治療の疾患の進行はよく特徴付けられており、北米及び欧州の独立した患者集団からの自然歴データによって裏付けられるように、疾患の自然歴は著しく一貫性がありかつ予測可能である。
【0005】
CLN2疾患は、主に「古典的な」後期乳児表現型を有する。CLN2疾患を有する子供は、典型的には、最初の症状が現れる約3歳まで正常に発育する。最も一般的には、CLN2患者は、初発の非誘発発作を有し、正常な言語マイルストーンの獲得が遅れ始めるであろう。3歳までには、全ての患者は、例えば、発作、痴呆、運動機能喪失、運動障害、失明、不器用さ、運動失調、及び認知低下を含む疾患の1つ以上の徴候を示す。臨床症状の発症から、疾患の経過は急速かつ侵攻性であり、一般的には2~4年以内に言語、認知、歩行、細かい運動、眼球機能及び視力を完全に喪失するという結果をもたらし、患者を運動不能にし、口がきけない状態にし、また盲目にする。患者は死亡するまで植物状態のままであり、これは、通常、6~12歳の年齢で起こる。
【0006】
CLN2疾患の重篤度を評価する上での2つの定量的評価尺度が、専門臨床医によって開発されており、自然歴研究で採用されている。これらは(1)ハンブルグ尺度(Steinfeld et al.,Am J Med Genet.2002;112(4):347-54)、及び(2)ワイルコーネル医科大学(Weill Cornell Medical College)(WCMC)尺度(Worgall et al.,Neurology.2007;69(6):521-35)である。2つの尺度の構造及び評価方法は類似している。両方の尺度は、CLN2患者において以前に達成された重要な神経学的マイルストーンの喪失を、進行中の減退の基本的なマイルストーンを表す疾患評価尺度で失われた各単位で測定する。
【0007】
未治療のCLN2罹患児の疾患経過の解析は、疾患発症後、彼らが毎年平均2.1のマイルストーン事象が喪失される状態で(つまり、疾患評価尺度で失われた2.1点)、予想されるように3年間で全ての言語と歩行を喪失するということが示されている。1年目が理解可能な言語能力の喪失及び失調症歩行への進行によって特徴付けられ、2年目は歩行及び理解できる言語の喪失によって特徴付けられ、3年目はあらゆる歩行運動またはコミュニケーションの喪失によって特徴付けられるように、言語の減退は、通常、歩行運動に先行する。
【0008】
組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)は、CLN2疾患の有望な治療法として開発されている。rhTPP1タンパク質は、酵素活性を有しないチモーゲン(酵素前駆体)として細胞培養中で産生される。酵素前駆体は、リソソームへの取り込みの際に、酸性pHで(及びリソソームプロテアーゼにより)で自己活性化される。成熟した天然TPP1タンパク質はリソソームセリンプロテアーゼであり、高度に保存されたSer-Glu-Asp(SED)触媒トライアドによって特徴付けられるセドリシン(セリン-カルボキシルペプチダーゼ)ファミリーの唯一の既知の哺乳動物のメンバーである。rhTPP1上の触媒トライアドは、S456、E253、及びD341によって形成される。この酵素の主な活性は、広範な基質特異性を有するトリペプチジルエキソペプチダーゼとしてのものである。酵素のその基質に対する活性は、タンパク質基質のN末端からのトリペプチドの連続的な放出につながる(Oyama et al.,J Biochem.2005;138(2):127-34)。二次的に、3のpH最適値でのかなり弱いエンド型タンパク質分解活性も報告されている(Lin et al.J Biol Chem.2001;276(3):2249-55)。
唯一のCLN2の市販されている療法は、対症療法薬及び支持療法であり、現在のところ、CLN2の避けがたい進行を遅らせるかもしくは停止させる承認された治療選択肢はなく、疾患の有害作用を逆転させるものは非常に少ない(Mole,S.E.,and Williams,R.E.,2010,GeneReviews;Chang et al.,in The Neuronal Ceroid Lipofuscinoses(Batten Disease);2011,Oxford Univ Press)。これらの子供の運動機能、言語能力及び/または視力能力の保持は、患者及び両親/介護者にとって臨床的に有意義な利益であろう。したがって、疾患に関連する生理学的機能の低下を軽減または防止するCLN2に対する新規治療が必要とされる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Steinfeld et al.,Am J Med Genet.2002;112(4):347-54
【非特許文献2】Worgall et al.,Neurology.2007;69(6):521-35
【非特許文献3】Oyama et al.,J Biochem.2005;138(2):127-34
【非特許文献4】Lin et al.J Biol Chem.2001;276(3):2249-55
【非特許文献5】Mole,S.E.,and Williams,R.E.,2010,GeneReviews
【非特許文献6】Chang et al.,in The Neuronal Ceroid Lipofuscinoses(Batten Disease);2011,Oxford Univ Press
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患の治療のための、及び該疾患の発症に関連する1つ以上の生理学的症状の治療または予防のための、組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)含む配合物、キット、方法、及び医学的利用を対象とする。一態様では、本開示は、脳室内、髄腔内、または眼内投与のための、rhTPP1を含む配合物を提供する。任意に、rhTPP1は、配列番号1または配列番号2のアミノ酸、またはその断片を、例えば、配合物中に約30mg/mLの濃度で含む。配合物は、約6.5のpHを有することができる。配合物は、約0.01mg/mL~約1mg/mLの濃度の塩化カリウム、約0.01mg/mL~約1mg/mLの濃度の塩化マグネシウム六水和物、約0.01mg/mL~約1mg/mLの濃度の塩化カルシウム二水和物、約0.01mg/mL~約1mg/mLの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、約0.01mg/mL~約1mg/mLの濃度の一塩基性リン酸ナトリウム一水和物、約1mg/mL~約20mg/mLの濃度の塩化ナトリウムのいずれか、または上記のいずれかもしくは全ての組み合わせを含むことができる。任意に、配合物は、約5℃で、例えば、少なくとも約6ヶ月間、防腐剤を含まず、及び/または安定である。一実施形態では、配合物は、約30mg/mLの濃度のrhTPP1、約0.11mg/mLの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、約0.08mg/mLの濃度の一塩基性リン酸ナトリウム一水和物、約8.77mg/mLの濃度の塩化ナトリウム、約0.22mg/mLの濃度の塩化カリウム、約0.16mg/mLの濃度の塩化マグネシウム六水和物、及び約0.21mg/mLの濃度の塩化カルシウム二水和物を含む。
【0011】
別の態様では、本開示は、CLN2疾患、またはCLN2疾患に関連する1つ以上の症状を治療する方法であって、約300mgの用量のrhTPP1を含む約10mLの組成物を、治療を必要とする対象に投与することを含み、組成物が、対象に、約4時間にわたって投与される、方法を提供する。本開示はまた、対象におけるCLN2疾患、またはCLN2疾患に関連する1つ以上の症状の治療で使用するためのrhTPP1を含む組成物であって、約300mgの用量のrhTPP1を含む約10mLの組成物を含み、この用量が、対象に、約4時間にわたって投与されるべきものである、組成物を提供する。本開示はまた、CLN2疾患、またはCLN2疾患に関連する1つ以上の症状を治療するための医薬品の製造におけるrhTPP1の使用であって、この医薬品が、約300mgの用量のrhTPP1を含む約10mLの組成物を含み、この用量が、対象に、約4時間にわたって投与されるべきものである、使用を提供する。一態様において、rhTPP1を含む組成物は、カテーテルを介して対象に投与される。組成物の投与の後に、任意に、フラッシング液を最大約5mLの量で、好ましくは約3mLの量で、より好ましくは約2mLの量で投与することによってカテーテルを洗い流すことが続く。本開示はまた、CLN2疾患の1つ以上の症状の発症を予防または遅延させる方法であって、約300mgの用量のrhTPP1を含む約10mLの組成物を、予防または遅延を必要とする対象に投与することを含み、任意に、この対象が、CNL2疾患の家族歴を有し、この組成物が、対象に、約4時間にわたって投与される、方法も提供する。一態様において、rhTPP1を含む組成物は、カテーテルを介して対象に投与される。組成物の投与の後に、任意に、フラッシング液を最大約5mLの量で、好ましくは約3mLの量で、より好ましくは約2mLの量で投与することによってカテーテルを洗い流すことが続く。組成物は、髄腔内、脳室内、及び/または眼球内に投与することができ、任意に隔週投与される。任意に、組成物は、脳室内または髄腔内に投与され、rhTPP1を含む組成物の投与直前に、対象から脳脊髄液を除去することなく投与される。別の実施形態では、組成物は、等容量性様式で、すなわち、患者から、その後髄腔内投与される組成物の容量とほぼ等しい規定量のCSFを除去して投与されてもよい。
【0012】
一態様では、本開示は、CLN2疾患、またはその疾患に関連する1つ以上の症状を治療する方法であって、rhTPP1を、治療を必要とする対象に、対象において生理学的機能を維持するのに、または生理学的機能の低下を遅らせるかもしくは軽減するのに有効な用量及び/または頻度で投与することを含み、生理学的機能が、言語機能、運動機能、視覚または摂食機能である、方法を提供する。本開示はまた、CLN2疾患、またはその疾患に関連する1つ以上の症状の治療で使用するためのrhTPP1を含む組成物であって、対象において生理学的機能を維持するのに、または生理学的機能の低下を遅らせるかもしくは軽減するのに有効な用量のrhTPP1を含み、生理学的機能が、言語機能、運動機能、視覚または摂食機能である、組成物を提供する。本開示はまた、CLN2疾患、またはその疾患に関連する1つ以上の症状を治療するための医薬品の製造におけるrhTPP1の使用であって、この医薬品が、対象において生理学的機能を維持するのに、または生理学的機能の低下を遅らせるかもしくは軽減するのに有効な用量のrhTPP1を含み、生理学的機能が、言語機能、運動機能、視覚または摂食機能である、使用を提供する。
【0013】
一態様では、本開示は、対象におけるCLN2疾患、または対象におけるその疾患に関連する1つ以上の症状を治療する方法であって、rhTPP1を、治療を必要とする対象に、対象において生理学的機能を改善するのに有効な用量及び/または頻度で投与することを含み、生理学的機能が、言語機能、運動機能、視覚または摂食機能である、方法を提供する。本開示はまた、対象におけるCLN2疾患、またはその疾患に関連する1つ以上の症状の治療で使用するためのrhTPP1を含む組成物であって、対象において生理学的機能を改善するのに有効な用量のrhTPP1を含み、生理学的機能が、言語機能、運動機能、視覚または摂食機能である、組成物を提供する。本開示はまた、CLN2疾患、またはその疾患に関連する1つ以上の症状を治療するための医薬品の製造におけるrhTPP1の使用であって、この医薬品が、対象において生理学的機能を改善するのに有効な用量のrhTPP1を含み、生理学的機能が、言語機能、運動機能、視覚または摂食機能である、使用を提供する。別の態様では、本開示は、対象におけるCLN2疾患、または対象におけるその疾患に関連する1つ以上の症状を治療する方法であって、rhTPP1を、治療を必要とする対象に、疾患の神経症状を予防または治療するのに有効な用量及び/または頻度で投与することを含み、神経症状が、脳体積の減少、脳内の灰白質の減少、発作、または頭蓋脳脊髄液の増加である、方法を提供する。本開示はまた、CLN2疾患、またはこの疾患に関連する1つ以上の症状の治療で使用するためのrhTPP1を含む組成物であって、疾患の神経症状を予防または治療するのに有効な用量のrhTPP1を含み、神経症状が、脳体積の減少、脳内の灰白質の減少、発作、または頭蓋内脳脊髄液の増加である、組成物を提供する。本開示はまた、CLN2疾患、またはこの疾患に関連する1つ以上の症状を治療するための医薬品の製造におけるrhTPP1の使用であって、この医薬品が、疾患の神経症状を予防または治療するのに有効な用量のrhTPP1を含み、神経症状が、脳体積の減少、脳内の灰白質の減少、発作、または頭蓋内脳脊髄液の増加である、使用を提供する。任意に、対象はCLN2疾患の家族歴を有する。
【0014】
別の態様では、本開示は、対象に治療有効用量のrhTPP1を投与することを含む、対象におけるCLN2に関連する運動/歩行機能低下を予防または軽減する方法を提供する。本開示はまた、対象におけるCLN2に関連する運動/歩行機能低下の予防または軽減で使用するための治療有効用量のrhTPP1を含む組成物を提供する。本開示はまた、対象におけるCLN2に関連する運動/歩行機能低下を予防または軽減するための医薬品の製造のための治療有効用量のrhTPP1の使用を提供する。一態様では、本方法は、例えば、歩行に対してはWCMC疾患評価尺度を、または運動に対してはハンブルグ疾患評価尺度(Hamburg disease rating scale)を用いて測定されるとき、治療前または治療中に決定された以前の評価と比較して、対象の臨床的疾患評価の低下を予防または軽減するのに有効な用量のrhTPP1を投与することを含む。
【0015】
別の態様では、本開示は、対象に治療有効用量のrhTPP1を投与することを含む、対象におけるCLN2に関連する言語機能低下を予防または軽減する方法を提供する。本開示はまた、対象におけるCLN2に関連する言語機能低下の予防または軽減で使用するための治療有効用量のrhTPP1を含む組成物を提供する。本開示はまた、対象におけるCLN2に関連する言語機能低下を予防または軽減するための医薬品の製造のための治療有効用量のrhTPP1の使用を提供する。一態様では、本方法は、例えば、言語に対するWCMC疾患評価尺度またはハンブルグ疾患評価尺度を用いて測定されるとき、治療前または治療中に決定された以前の評価と比較して、対象の臨床的疾患評価の低下を予防または軽減するのに有効な用量のrhTPP1を投与することを含む。
【0016】
別の態様では、本開示は、対象に治療有効用量のrhTPP1を投与することを含む、対象におけるCLN2に関連する視覚減退を予防または軽減する方法を提供する。本開示はまた、対象におけるCLN2に関連する視覚減退の予防または軽減で使用するための治療有効用量のrhTPP1を含む組成物を提供する。本開示はまた、対象におけるCLN2に関連する視覚減退を予防または軽減するための医薬品の製造のための治療有効用量のrhTPP1の使用を提供する。一態様では、本方法は、例えば、視覚機能に対するハンブルグ疾患評価尺度を用いて測定されるとき、治療前または治療中に決定された以前の評価と比較して、対象の臨床的疾患評価の低下を予防または軽減するのに有効な用量のrhTPP1を投与することを含む。
【0017】
別の態様では、本開示は、対象に治療有効用量のrhTPP1を投与することを含む、対象におけるCLN2に関連する脳体積低下を予防または軽減する方法を提供する。本開示はまた、対象におけるCLN2に関連する脳体積低下の予防または軽減で使用するための治療有効用量のrhTPP1を含む組成物を提供する。本開示はまた、対象におけるCLN2に関連する脳体積低下を予防または軽減するための医薬品の製造のための治療有効用量のrhTPP1の使用を提供する。一態様では、本方法は、治療前または治療中に決定された以前の体積と比較して、脳体積の減少及び/または灰白質量の減少の予防または軽減に有効な用量のrhTPP1を投与することを含む。
【0018】
一態様では、本開示は、本明細書に記載されるrhTPP1とフラッシング液とを含む配合物を含むキットを提供する。フラッシング液は、rhTPP1が省かれた状態で、本開示の配合物のいずれかを含み得る。例えば、フラッシング液は、約0.11mg/mLの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、約0.08mg/mLの濃度の一塩基性リン酸ナトリウム一水和物、約8.77mg/mLの濃度の塩化ナトリウム、約0.22mg/mLの濃度の塩化カリウム、約0.16mg/mLの濃度の塩化マグネシウム六水和物、約0.21mg/mLの濃度の塩化カルシウム二水和物を含むことができる。任意に、キットは、移植のための収容容器及びカテーテルを更に含む。任意に、キットは、延長線、インラインフィルタ、ポートニードル、少なくとも1つの(任意に2つの)注射器(複数可)、少なくとも1つ(任意に2つ)の注射針(複数可)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の要素を含んでもよい。
【0019】
上記の概要は、本発明のあらゆる態様を定義することを意図するものではなく、本開示の他の特徴及び利点は、図面を含む以下の詳細な説明から明らかになるであろう。本開示は、統一された文書として関連付けることを意図しており、特徴の組み合わせが本開示の同じ文章、段落またはセクションに一緒に見出されない場合であっても、本明細書に記載される特徴の全ての組み合わせが企図されることを理解されよう。加えて、本開示は、付加的な態様として、上記に具体的に言及された変更例よりも多少なりとも狭い範囲の本発明の全ての実施形態を含む。「a」または「an」で記載または主張される本開示の態様に関して、文脈上明確により制限された意味を必要としない限り、これらの用語は「1つ以上」を意味すると理解されたい。セット内で1つ以上として記載された要素に関して、そのセット内の全ての組み合わせが企図されることを理解されたい。本開示の態様が特徴を「含む」と記載されている場合、実施形態はまた、特徴「からなる」または「から本質的になる」ことが企図される。本開示の追加の特徴及び変更例は、本出願の全体から当業者には明らかであると思われ、そのような特徴の全ては、本開示の態様として意図される。
特定の実施形態では、例えば、以下が提供される:
(項目1)
脳室内、髄腔内、または眼球内投与のための、組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)を含む配合物。
(項目2)
前記rhTPP1が、配列番号1のアミノ酸配列またはその断片を含む、項目1に記載の配合物。
(項目3)
前記配合物が、rhTPP1を、約25mg/mL~約35mg/mLの濃度で含む、項目1または2に記載の配合物。
(項目4)
前記配合物が、約6.5のpHを有する、項目1~3のいずれか一項に記載の配合物。(項目5)
約0.01mg/mL~約1mg/mLの濃度の塩化カリウム、約0.01mg/mL~約1mg/mLの濃度の塩化マグネシウム六水和物、及び約0.01mg/mL~約1mg/mLの濃度の塩化カルシウム二水和物を更に含む、項目1~4のいずれか一項に記載の配合物。
(項目6)
約0.01mg/mL~約1mg/mLの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、約0.01mg/mL~約1mg/mLの濃度の一塩基性リン酸ナトリウム一水和物、及び約1mg/mL~約20mg/mLの濃度の塩化ナトリウムを更に含む、項目1~5のいずれか一項に記載の配合物。
(項目7)
約0.11mg/mLの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、約0.08mg/mLの濃度の一塩基性リン酸ナトリウム一水和物、約8.77mg/mLの濃度の塩化ナトリウム、約0.22mg/mLの濃度の塩化カリウム、約0.16mg/mLの濃度の塩化マグネシウム六水和物、及び約0.21mg/mLの濃度の塩化カルシウム二水和物を含む、項目1~6のいずれか一項に記載の配合物。
(項目8)
前記配合物が、防腐剤を含まない、項目1~7のいずれか一項に記載の配合物。
(項目9)
前記配合物が、約5℃で少なくとも約6ヶ月間安定である、項目1~8のいずれか一項に記載の配合物。
(項目10)
神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患を治療する方法であって、項目1~9のいずれか一項に記載の配合物を、治療を必要とする対象に投与することを含む、方法。
(項目11)
神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患の治療で使用するための、項目1~9のいずれか一項に記載の配合物を含む組成物。
(項目12)
神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患を治療するための医薬品の製造のための、項目1~9のいずれか一項に記載の前記配合物の使用。
(項目13)
神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患を治療する方法であって、約300mgの用量の組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)を含む約10mLの組成物を、治療を必要とする対象に投与することを含み、前記組成物が、前記対象に、約4時間にわたって投与される、方法。
(項目14)
神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患を治療する方法であって、組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)を、約300mgの用量で、治療を必要とする対象に投与することを含み、前記用量が、前記対象に、75mg/時以下の速度で投与される、方法。
(項目15)
神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患を治療する方法であって、組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)を、約300mgの用量で、治療を必要とする対象に投与することを含み、前記用量が、前記対象に、75mg/2.5mL/時以下の速度で投与される、方法。
(項目16)
神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患の症状を予防する方法であって、約300mgの用量の組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)を含む約10mLの組成物を、予防を必要とする対象に投与することを含み、前記組成物が、前記対象に、約4時間にわたって投与される、方法。
(項目17)
神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患の症状を予防する方法であって、組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)を、約300mgの用量で、予防を必要とする対象に投与することを含み、前記用量が、前記対象に、75mg/時以下の速度で投与される、方法。
(項目18)
神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患の症状を予防する方法であって、組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)を、約300mgの用量で、予防を必要とする対象に投与することを含み、前記用量が、前記対象に、75mg/2.5mL/時以下の速度で投与される、方法。
(項目19)
対象における神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患の治療またはCLN2疾患の症状の予防で使用するための、組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)を含む組成物であって、
i.約300mgの用量のrhTPP1を含む約10mLの組成物であって、前記用量が、前記対象に、約4時間にわたって投与される、約10mLの組成物、または
ii.約300mgの用量のrhTPP1であって、前記用量が、前記対象に、75mg/時以下の速度で投与される、約300mgの用量のrhTPP1、または
iii.約300mgの用量のrhTPP1であって、前記用量が、前記対象に、75mg/2.5mL/時以下の速度で投与される、約300mgの用量のrhTPP1を含む、組成物。
(項目20)
対象における神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患の治療またはCLN2疾患の症状の予防のための医薬品の製造のための、組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)の使用であって、前記医薬品が、
i.約300mgの用量のrhTPP1を含む約10mLの組成物であって、前記用量が、前記対象に、約4時間にわたって投与される、約10mLの組成物、または
ii.約300mgの用量のrhTPP1であって、前記用量が、前記対象に、75mg/時以下の速度で投与される、約300mgの用量のrhTPP1、または
iii.約300mgの用量のrhTPP1であって、前記用量が、前記対象に、75mg/2.5mL/時以下の速度で投与される、約300mgの用量のrhTPP1を含む、使用。
(項目21)
前記対象が、CLN2疾患の家族歴を有する、項目10~20のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目22)
前記rhTPP1が、配列番号1のアミノ酸配列またはその断片を含む、項目10~21のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目23)
前記配合物、組成物または用量が、隔週で投与される、項目10~22のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目24)
前記配合物、組成物または用量が、脳室内に投与される、項目10~23のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目25)
前記配合物、組成物または用量が、髄腔内に投与される、項目10~23のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目26)
前記配合物、組成物または用量が、眼球内に投与される、項目10~23のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目27)
前記配合物、組成物または用量が、脳室内及び眼球内に投与される、項目10~23のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目28)
前記配合物、組成物または用量が、髄腔内及び眼球内に投与される、項目10~23のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目29)
rhTPP1を含む前記配合物、組成物または用量の投与後に、フラッシング液を前記対象に投与することを更に含む、項目10~28のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目30)
約0.5mL~約5mLの前記フラッシング液を前記対象に投与することを含む、項目29に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目31)
前記フラッシング液が、約0.11mg/mLの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、約0.08mg/mLの濃度の一塩基性リン酸ナトリウム一水和物、約8.77mg/mLの濃度の塩化ナトリウム、約0.22mg/mLの濃度の塩化カリウム、約0.16mg/mLの濃度の塩化マグネシウム六水和物、及び約0.21mg/mLの濃度の塩化カルシウム二水和物を含む、項目29または30に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目32)
神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患を治療する方法であって、組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)を、治療を必要とする対象に、前記対象において生理学的機能を維持するのに、または生理学的機能の低下を遅らせるかもしくは軽減するのに有効なrhTPP1の用量で投与することを含み、前記生理学的機能が、言語機能、運動機能、視覚または摂食機能である、方法。
(項目33)
対象において神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患の治療で使用するための、組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)を含む組成物であって、前記対象において生理学的機能を維持するのに、または生理学的機能の低下を遅らせるかもしくは軽減するのに有効な用量の組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)を含み、前記生理学的機能が、言語機能、運動機能、視覚または摂食機能である、組成物。
(項目34)
対象において神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患の治療のための医薬品の製造のための、組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)の使用であって、前記医薬品が、前記対象において生理学的機能を維持するのに、または生理学的機能の低下を遅らせるかもしくは軽減するのに有効な用量のrhTPP1を含み、前記生理学的機能が、言語機能、運動機能、視覚または摂食機能である、使用。
(項目35)
rhTTP1の前記用量が、前記対象において言語機能を維持するのに、または言語機能の低下を遅らせるかもしくは軽減するのに有効である、項目32~34のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目36)
rhTPP1の前記用量が、前記対象において運動機能を維持するのに、または運動機能の低下を遅らせるかもしくは軽減するのに有効である、項目32~35のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目37)
神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患を有する対象において言語機能を維持するか、または言語機能の低下を遅らせるかもしくは軽減する方法であって、治療有効用量の組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)を前記対象に投与することを含む、方法。
(項目38)
神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患を有する対象において運動機能を維持するか、または運動機能の低下を遅らせるかもしくは軽減する方法であって、治療有効用量の組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)を前記対象に投与することを含む、方法。
(項目39)
i.神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患を有する対象において言語機能を維持するか、もしくは言語機能の低下を遅らせるかもしくは軽減することで、または
ii.神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患を有する対象において運動機能を維持するか、もしくは運動機能の低下を遅らせるかもしくは軽減することで使用するための治療有効用量の組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)を含む、組成物。
(項目40)
i.神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患を有する対象において言語機能を維持するか、もしくは言語機能の低下を遅らせるかもしくは軽減する、または
ii.神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患を有する対象において運動機能を維持するか、もしくは運動機能の低下を遅らせるかもしくは軽減する、ための医薬品の製造のための、治療有効用量の組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)の使用。
(項目41)
言語機能または運動機能の前記衰退が、ワイルコーネル医科大学(Weill Cornell Medical College)またはハンブルグ疾患評価尺度(Hamburg disease rating scale)を使用して測定されるとき、治療前または治療中に判定された以前の評価と比べて、少なくとも1点の減少である、項目32~40のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目42)
rhTPP1の前記用量が、前記対象において視覚を維持するのに、または視覚の衰退を遅らせるかもしくは軽減するのに有効である、項目32~41のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目43)
神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患を有する対象において視覚を維持するか、または視覚の衰退を遅らせるかもしくは軽減する方法であって、治療有効用量の組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)を前記対象に投与することを含む、方法。
(項目44)
神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患を有する対象において視覚の維持で、または視覚の衰退を遅らせるかもしくは軽減することで使用するための、治療有効用量の組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)を含む、組成物。
(項目45)
神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患を有する対象において視覚の維持で、または視覚の衰退を遅らせるかもしくは軽減するための医薬品の製造のための、治療有効量の組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)の、使用。
(項目46)
視覚の前記衰退が、ハンブルグ疾患評価尺度を使用して測定されるとき、ベースラインと比べて、少なくとも1点の減少である、項目42~45のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目47)
rhTPP1の前記用量が、前記対象において摂食機能を維持するのに、または摂食機能の低下を遅らせるかもしくは軽減するのに有効である、項目32~46のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目48)
摂食機能の前記衰退が、ワイルコーネル医科大学疾患評価尺度を使用して測定されるとき、ベースラインと比べて、少なくとも1点の減少である、項目47に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目49)
神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患を治療する方法であって、組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)を、治療を必要とする対象に、前記対象において生理学的機能を改善するのに有効な用量で投与することを含み、前記生理学的機能が、言語機能、運動機能、視覚または摂食機能である、方法。
(項目50)
対象において神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患の治療で使用するための、組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)を含む組成物であって、前記対象において生理学的機能を改善するのに有効な用量の組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)を含み、前記生理学的機能が、言語機能、運動機能、視覚または摂食機能である、組成物。
(項目51)
対象において神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患の治療のための医薬品の製造のための、組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)の使用であって、前記医薬品が、前記対象において生理学的機能を改善するのに有効な用量のrhTPP1を含み、前記生理学的機能が、言語機能、運動機能、視覚または摂食機能である、使用。
(項目52)
rhTPP1の前記用量が、前記対象において言語機能の改善を提供するのに有効である、項目49~51のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。(項目53)
rhTPP1の前記用量が、前記対象において運動機能の改善を提供するのに有効である、項目49~52のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。(項目54)
神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患を有する対象において言語機能及び/または運動機能を改善する方法であって、治療有効用量の組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)を前記対象に投与することを含む、方法。
(項目55)
神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患を有する対象において言語機能及び/または運動機能の改善で使用するための、治療有効用量の組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)を含む組成物。
(項目56)
神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患を有する対象において言語機能及び/または運動機能の改善で使用するための医薬品の製造のための、治療有効用量の組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)の使用。
(項目57)
言語機能または運動機能における前記改善が、ワイルコーネル医科大学またはハンブルグ疾患評価尺度を使用して測定されるとき、1点以上の増加である、項目49~56のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目58)
rhTPP1の前記用量が、視覚の改善を提供するのに有効である、項目49~57のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目59)
神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患を有する対象において視覚を改善する方法であって、治療有効用量の組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)を前記対象に投与することを含む、方法。
(項目60)
神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患を有する対象において視覚の改善で使用するための、治療有効用量の組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)を含む組成物。
(項目61)
神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患を有する対象において視覚の改善で使用するための医薬品の製造のための、治療有効用量の組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)の使用。
(項目62)
視覚における前記改善が、ハンブルグ疾患評価尺度を使用して測定されるとき、1点以上の増加である、項目58~61のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目63)
rhTPP1の前記用量が、摂食機能の改善を提供するのに有効である、項目49~62のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目64)
摂食における前記改善が、ワイルコーネル医科大学疾患評価尺度を使用して測定されるとき、1.0以上の増加である、項目63に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目65)
神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患を治療する方法であって、組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)を、治療を必要とする対象に、前記疾患の神経症状を予防または改善するのに有効な用量で投与することを含み、前記神経症状が、脳体積の減少、脳内の灰白質の減少、発作、または頭蓋内脳脊髄液の増加である、方法。
(項目66)
対象における神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患の治療で使用するための、組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)を含む組成物であって、前記疾患の神経症状を予防または改善するのに有効な用量のrhTPP1を含み、前記神経症状が、脳体積の減少、脳内の灰白質の減少、発作、または頭蓋内脳脊髄液の増加である、組成物。
(項目67)
対象における神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患の治療のための医薬品の製造のための、組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)の使用であって、前記医薬品が、前記疾患の神経症状を予防または改善するのに有効な用量のrhTPP1を含み、前記神経症状が、脳体積の減少、脳内の灰白質の減少、発作、または頭蓋内脳脊髄液の増加である、使用。
(項目68)
rhTPP1の前記用量が、前記対象において脳体積を維持するのに、または脳体積の前記減少を遅らせるかもしくは軽減するのに有効である、項目65~67のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目69)
神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患を有する対象において脳体積を維持するか、または脳体積の減少を遅らせるかもしくは軽減する方法であって、治療有効用量の組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)を前記対象に投与することを含む、方法。
(項目70)
神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患を有する対象において脳体積を維持するか、または脳体積の減少を遅らせるかもしくは軽減することで使用するための、治療有効用量の組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)を含む組成物。
(項目71)
神経セロイドリポフスチン症(CLN2)疾患を有する対象において脳体積を維持するか、または脳体積の減少を遅らせるかもしくは軽減するための医薬品の製造のための、治療有効用量の組換えヒトトリペプチジルペプチダーゼ-1(rhTPP1)の使用。
(項目72)
rhTPP1の前記用量が、前記対象の脳内の灰白質を維持するのに、または灰白質の変質を遅らせるかもしくは軽減するのに有効である、項目65~71のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目73)
rhTPP1の前記用量が、前記対象が経験する1ヶ月当たりの発作の回数を軽減するのに有効である、項目65~72のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目74)
rhTPP1の前記用量が、前記対象において頭蓋内脳脊髄液の容量を維持するのに、または頭蓋内脳脊髄液の容量の前記増加を遅らせるかもしくは軽減するのに有効である、項目65~73のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目75)
前記rhTPP1が、配列番号1のアミノ酸配列またはその断片を含む、項目32~74のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目76)
前記用量が、前記対象に約4時間にわたって投与される約300mgのrhTPP1を含む約10mLの組成物である、項目32~75のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目77)
前記用量が、前記対象に約75mg/時以下の速度で投与される約300mgのrhTPP1である、項目32~76のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目78)
前記用量が、前記対象に約75mg/2.5mL/時以下の速度で投与される約300mgのrhTPP1である、項目32~77のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目79)
前記用量が、隔週で投与される、項目32~78のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目80)
前記用量が、脳室内に投与される、項目32~79のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目81)
前記用量が、髄腔内に投与される、項目32~79のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目82)
前記用量が、前記用量のrhTPP1投与の直前に前記対象から脳脊髄液を除去することなく投与される、項目80または81に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目83)
前記用量が、眼球内に投与される、項目32~79のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目84)
前記用量が、脳室内及び眼球内に投与される、項目32~79のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目85)
前記用量が、約0.01mg/mL~約1mg/mLの濃度の塩化カリウム、約0.01mg/mL~約1mg/mLの濃度の塩化マグネシウム六水和物、及び約0.1mg/mL~約1mg/mLの濃度の塩化カルシウム二水和物を含む配合物で投与される、項目10~84のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目86)
前記用量が、約0.01mg/mL~約1mg/mLの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、約0.01mg/mL~約1mg/mLの濃度の一塩基性リン酸ナトリウム一水和物、及び約1mg/mL~約20mg/mLの濃度の塩化ナトリウムを含む配合物で投与される、項目10~85のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目87)
前記用量が、約0.11mg/mLの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、約0.08mg/mLの濃度の一塩基性リン酸ナトリウム一水和物、約8.77mg/mLの濃度の塩化ナトリウム、約0.22mg/mLの濃度の塩化カリウム、約0.16mg/mLの濃度の塩化マグネシウム六水和物、及び約0.21mg/mLの濃度の塩化カルシウム二水和物を含む配合物で投与される、項目10~86のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目88)
rhTPP1を含む前記用量の投与後に、フラッシング液を前記対象に投与することを更に含む、項目32~87のいずれか一項に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目89)
約0.5mL~約5mLの前記フラッシング液を前記対象に投与することを含む、項目88に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目90)
前記フラッシング液が、約0.11mg/mLの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、約0.08mg/mLの濃度の一塩基性リン酸ナトリウム一水和物、約8.77mg/mLの濃度の塩化ナトリウム、約0.22mg/mLの濃度の塩化カリウム、約0.16mg/mLの濃度の塩化マグネシウム六水和物、及び約0.21mg/mLの濃度の塩化カルシウムニ水和物を含む、項目88または89に記載の方法、使用するための組成物、または使用。
(項目91)
項目1~9のいずれか一項に記載の配合物と、フラッシング液とを備える、キット。
(項目92)
前記フラッシング液が、約0.11mg/mLの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、約0.08mg/mLの濃度の一塩基性リン酸ナトリウム一水和物、約8.77mg/mLの濃度の塩化ナトリウム、約0.22mg/mLの濃度の塩化カリウム、約0.16mg/mLの濃度の塩化マグネシウム六水和物、及び約0.21mg/mLの濃度の塩化カルシウム二水和物を含む、項目91に記載のキット。
(項目93)
移植用の収容容器とカテーテルとを更に備える、項目91または92に記載のキット。(項目94)
延長線、インラインフィルタ、ポート針、注射器、注射針、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の要素を更に備える、項目91~93のいずれか一項に記載のキット。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】関連するシグナルペプチドを欠くrhTPP1チモーゲンのアミノ酸配列を描写する。酵素のプロセグメントは、最初の176個のアミノ酸残基であり、成熟酵素は、位置177から開始する長さが368個のアミノ酸である。
【
図2】自然歴研究におけるCLN2疾患を有する未治療対象の臨床的進行を描写し、患者の年齢の関数として0~6のハンブルグ運動及び言語合成スコアを描写する。平均及び95%信頼区間に加えて、中央値、四分位及び10%/90%分布が示されている。
【
図3A】
図3A~3Fは、治療期間わたって蓄積された24人の患者の臨床評価を描写しており、0~6のハンブルグ運動及び言語合成スコアを描写する。白丸は、rhTPP1の最初の300mg注入時またはその前に得られたCLN2スコアを表し、黒丸はrhTPP1の最初の300mg注入後に得られたCLN2スコアを表す。集計スコア(円)及び、運動/歩行(正方形)及び言語(三角形)の集計スコアへの寄与の両方が示されている。解析の1日目は、最初の注入の日である。
【
図3B】
図3A~3Fは、治療期間わたって蓄積された24人の患者の臨床評価を描写しており、0~6のハンブルグ運動及び言語合成スコアを描写する。白丸は、rhTPP1の最初の300mg注入時またはその前に得られたCLN2スコアを表し、黒丸はrhTPP1の最初の300mg注入後に得られたCLN2スコアを表す。集計スコア(円)及び、運動/歩行(正方形)及び言語(三角形)の集計スコアへの寄与の両方が示されている。解析の1日目は、最初の注入の日である。
【
図3C】
図3A~3Fは、治療期間わたって蓄積された24人の患者の臨床評価を描写しており、0~6のハンブルグ運動及び言語合成スコアを描写する。白丸は、rhTPP1の最初の300mg注入時またはその前に得られたCLN2スコアを表し、黒丸はrhTPP1の最初の300mg注入後に得られたCLN2スコアを表す。集計スコア(円)及び、運動/歩行(正方形)及び言語(三角形)の集計スコアへの寄与の両方が示されている。解析の1日目は、最初の注入の日である。
【
図3D】
図3A~3Fは、治療期間わたって蓄積された24人の患者の臨床評価を描写しており、0~6のハンブルグ運動及び言語合成スコアを描写する。白丸は、rhTPP1の最初の300mg注入時またはその前に得られたCLN2スコアを表し、黒丸はrhTPP1の最初の300mg注入後に得られたCLN2スコアを表す。集計スコア(円)及び、運動/歩行(正方形)及び言語(三角形)の集計スコアへの寄与の両方が示されている。解析の1日目は、最初の注入の日である。
【
図3E】
図3A~3Fは、治療期間わたって蓄積された24人の患者の臨床評価を描写しており、0~6のハンブルグ運動及び言語合成スコアを描写する。白丸は、rhTPP1の最初の300mg注入時またはその前に得られたCLN2スコアを表し、黒丸はrhTPP1の最初の300mg注入後に得られたCLN2スコアを表す。集計スコア(円)及び、運動/歩行(正方形)及び言語(三角形)の集計スコアへの寄与の両方が示されている。解析の1日目は、最初の注入の日である。
【
図3F】
図3A~3Fは、治療期間わたって蓄積された24人の患者の臨床評価を描写しており、0~6のハンブルグ運動及び言語合成スコアを描写する。白丸は、rhTPP1の最初の300mg注入時またはその前に得られたCLN2スコアを表し、黒丸はrhTPP1の最初の300mg注入後に得られたCLN2スコアを表す。集計スコア(円)及び、運動/歩行(正方形)及び言語(三角形)の集計スコアへの寄与の両方が示されている。解析の1日目は、最初の注入の日である。
【
図4A】
図4A~4Iは、0~6のハンブルグ運動及び言語集計尺度での疾病評価スコアによる、治療された対象に適合させた未治療の自然歴患者(接頭辞「HAM」で示される)に対してのrhTPP1で治療された9人の患者からのCLN2スコアの変化を比較する。治療された患者の結果は、適合させた未治療の自然歴患者の破線で示されている結果と比較して、各パネルに実線で示されている。
【
図4B】
図4A~4Iは、0~6のハンブルグ運動及び言語集計尺度での疾病評価スコアによる、治療された対象に適合させた未治療の自然歴患者(接頭辞「HAM」で示される)に対してのrhTPP1で治療された9人の患者からのCLN2スコアの変化を比較する。治療された患者の結果は、適合させた未治療の自然歴患者の破線で示されている結果と比較して、各パネルに実線で示されている。
【
図4C】
図4A~4Iは、0~6のハンブルグ運動及び言語集計尺度での疾病評価スコアによる、治療された対象に適合させた未治療の自然歴患者(接頭辞「HAM」で示される)に対してのrhTPP1で治療された9人の患者からのCLN2スコアの変化を比較する。治療された患者の結果は、適合させた未治療の自然歴患者の破線で示されている結果と比較して、各パネルに実線で示されている。
【
図4D】
図4A~4Iは、0~6のハンブルグ運動及び言語集計尺度での疾病評価スコアによる、治療された対象に適合させた未治療の自然歴患者(接頭辞「HAM」で示される)に対してのrhTPP1で治療された9人の患者からのCLN2スコアの変化を比較する。治療された患者の結果は、適合させた未治療の自然歴患者の破線で示されている結果と比較して、各パネルに実線で示されている。
【
図4E】
図4A~4Iは、0~6のハンブルグ運動及び言語集計尺度での疾病評価スコアによる、治療された対象に適合させた未治療の自然歴患者(接頭辞「HAM」で示される)に対してのrhTPP1で治療された9人の患者からのCLN2スコアの変化を比較する。治療された患者の結果は、適合させた未治療の自然歴患者の破線で示されている結果と比較して、各パネルに実線で示されている。
【
図4F】
図4A~4Iは、0~6のハンブルグ運動及び言語集計尺度での疾病評価スコアによる、治療された対象に適合させた未治療の自然歴患者(接頭辞「HAM」で示される)に対してのrhTPP1で治療された9人の患者からのCLN2スコアの変化を比較する。治療された患者の結果は、適合させた未治療の自然歴患者の破線で示されている結果と比較して、各パネルに実線で示されている。
【
図4G】
図4A~4Iは、0~6のハンブルグ運動及び言語集計尺度での疾病評価スコアによる、治療された対象に適合させた未治療の自然歴患者(接頭辞「HAM」で示される)に対してのrhTPP1で治療された9人の患者からのCLN2スコアの変化を比較する。治療された患者の結果は、適合させた未治療の自然歴患者の破線で示されている結果と比較して、各パネルに実線で示されている。
【
図4H】
図4A~4Iは、0~6のハンブルグ運動及び言語集計尺度での疾病評価スコアによる、治療された対象に適合させた未治療の自然歴患者(接頭辞「HAM」で示される)に対してのrhTPP1で治療された9人の患者からのCLN2スコアの変化を比較する。治療された患者の結果は、適合させた未治療の自然歴患者の破線で示されている結果と比較して、各パネルに実線で示されている。
【
図4I】
図4A~4Iは、0~6のハンブルグ運動及び言語集計尺度での疾病評価スコアによる、治療された対象に適合させた未治療の自然歴患者(接頭辞「HAM」で示される)に対してのrhTPP1で治療された9人の患者からのCLN2スコアの変化を比較する。治療された患者の結果は、適合させた未治療の自然歴患者の破線で示されている結果と比較して、各パネルに実線で示されている。
【
図5】試験対象(正方形)と比較した、適合させた患者の治療期間に対する適合した未治療の自然歴患者(円)のベースラインからの臨床的変化の分布を描写する。
【
図6A】
図6A~6Iは、0~9のハンブルグ運動/言語/視覚集計尺度での疾病評価スコアによる、適合させた未治療の自然歴患者に対してのrhTPP1で治療された9人の患者からのCLN2スコアの変化を描写する。治療された患者の結果は、適合させた未治療の自然歴患者の破線で示されている結果と比較して、各パネルに実線で示されている。
【
図6B】
図6A~6Iは、0~9のハンブルグ運動/言語/視覚集計尺度での疾病評価スコアによる、適合させた未治療の自然歴患者に対してのrhTPP1で治療された9人の患者からのCLN2スコアの変化を描写する。治療された患者の結果は、適合させた未治療の自然歴患者の破線で示されている結果と比較して、各パネルに実線で示されている。
【
図6C】
図6A~6Iは、0~9のハンブルグ運動/言語/視覚集計尺度での疾病評価スコアによる、適合させた未治療の自然歴患者に対してのrhTPP1で治療された9人の患者からのCLN2スコアの変化を描写する。治療された患者の結果は、適合させた未治療の自然歴患者の破線で示されている結果と比較して、各パネルに実線で示されている。
【
図6D】
図6A~6Iは、0~9のハンブルグ運動/言語/視覚集計尺度での疾病評価スコアによる、適合させた未治療の自然歴患者に対してのrhTPP1で治療された9人の患者からのCLN2スコアの変化を描写する。治療された患者の結果は、適合させた未治療の自然歴患者の破線で示されている結果と比較して、各パネルに実線で示されている。
【
図6E】
図6A~6Iは、0~9のハンブルグ運動/言語/視覚集計尺度での疾病評価スコアによる、適合させた未治療の自然歴患者に対してのrhTPP1で治療された9人の患者からのCLN2スコアの変化を描写する。治療された患者の結果は、適合させた未治療の自然歴患者の破線で示されている結果と比較して、各パネルに実線で示されている。
【
図6F】
図6A~6Iは、0~9のハンブルグ運動/言語/視覚集計尺度での疾病評価スコアによる、適合させた未治療の自然歴患者に対してのrhTPP1で治療された9人の患者からのCLN2スコアの変化を描写する。治療された患者の結果は、適合させた未治療の自然歴患者の破線で示されている結果と比較して、各パネルに実線で示されている。
【
図6G】
図6A~6Iは、0~9のハンブルグ運動/言語/視覚集計尺度での疾病評価スコアによる、適合させた未治療の自然歴患者に対してのrhTPP1で治療された9人の患者からのCLN2スコアの変化を描写する。治療された患者の結果は、適合させた未治療の自然歴患者の破線で示されている結果と比較して、各パネルに実線で示されている。
【
図6H】
図6A~6Iは、0~9のハンブルグ運動/言語/視覚集計尺度での疾病評価スコアによる、適合させた未治療の自然歴患者に対してのrhTPP1で治療された9人の患者からのCLN2スコアの変化を描写する。治療された患者の結果は、適合させた未治療の自然歴患者の破線で示されている結果と比較して、各パネルに実線で示されている。
【
図6I】
図6A~6Iは、0~9のハンブルグ運動/言語/視覚集計尺度での疾病評価スコアによる、適合させた未治療の自然歴患者に対してのrhTPP1で治療された9人の患者からのCLN2スコアの変化を描写する。治療された患者の結果は、適合させた未治療の自然歴患者の破線で示されている結果と比較して、各パネルに実線で示されている。
【
図7】治療期間にわたって測定された全24人の患者についての脳脊髄液の容積(上部パネル)及び比率(下部パネル)を描写する。各線は、1人の患者を表す。
【
図8A】
図8A~8Lは、治療された患者24人の脳体積を描写する。白質の体積(上部パネル)及び比率(下部パネル)は、全脳体積(鎖線)とCSFと灰白質(点線)との差として、CSFと灰白質(点線)とCSF(実線)との差として示されている。
【
図8B】
図8A~8Lは、治療された患者24人の脳体積を描写する。白質の体積(上部パネル)及び比率(下部パネル)は、全脳体積(鎖線)とCSFと灰白質(点線)との差として、CSFと灰白質(点線)とCSF(実線)との差として示されている。
【
図8C】
図8A~8Lは、治療された患者24人の脳体積を描写する。白質の体積(上部パネル)及び比率(下部パネル)は、全脳体積(鎖線)とCSFと灰白質(点線)との差として、CSFと灰白質(点線)とCSF(実線)との差として示されている。
【
図8D】
図8A~8Lは、治療された患者24人の脳体積を描写する。白質の体積(上部パネル)及び比率(下部パネル)は、全脳体積(鎖線)とCSFと灰白質(点線)との差として、CSFと灰白質(点線)とCSF(実線)との差として示されている。
【
図8E】
図8A~8Lは、治療された患者24人の脳体積を描写する。白質の体積(上部パネル)及び比率(下部パネル)は、全脳体積(鎖線)とCSFと灰白質(点線)との差として、CSFと灰白質(点線)とCSF(実線)との差として示されている。
【
図8F】
図8A~8Lは、治療された患者24人の脳体積を描写する。白質の体積(上部パネル)及び比率(下部パネル)は、全脳体積(鎖線)とCSFと灰白質(点線)との差として、CSFと灰白質(点線)とCSF(実線)との差として示されている。
【
図8G】
図8A~8Lは、治療された患者24人の脳体積を描写する。白質の体積(上部パネル)及び比率(下部パネル)は、全脳体積(鎖線)とCSFと灰白質(点線)との差として、CSFと灰白質(点線)とCSF(実線)との差として示されている。
【
図8H】
図8A~8Lは、治療された患者24人の脳体積を描写する。白質の体積(上部パネル)及び比率(下部パネル)は、全脳体積(鎖線)とCSFと灰白質(点線)との差として、CSFと灰白質(点線)とCSF(実線)との差として示されている。
【
図8I】
図8A~8Lは、治療された患者24人の脳体積を描写する。白質の体積(上部パネル)及び比率(下部パネル)は、全脳体積(鎖線)とCSFと灰白質(点線)との差として、CSFと灰白質(点線)とCSF(実線)との差として示されている。
【
図8J】
図8A~8Lは、治療された患者24人の脳体積を描写する。白質の体積(上部パネル)及び比率(下部パネル)は、全脳体積(鎖線)とCSFと灰白質(点線)との差として、CSFと灰白質(点線)とCSF(実線)との差として示されている。
【
図8K】
図8A~8Lは、治療された患者24人の脳体積を描写する。白質の体積(上部パネル)及び比率(下部パネル)は、全脳体積(鎖線)とCSFと灰白質(点線)との差として、CSFと灰白質(点線)とCSF(実線)との差として示されている。
【
図8L】
図8A~8Lは、治療された患者24人の脳体積を描写する。白質の体積(上部パネル)及び比率(下部パネル)は、全脳体積(鎖線)とCSFと灰白質(点線)との差として、CSFと灰白質(点線)とCSF(実線)との差として示されている。
【
図9A】
図9A及び9Bは、rhTPP1で治療した患者及び未治療の自然歴患者のCLN2スコアの平均変化を描写する。
図9Aは、300mgのrhTPP1で48週間治療した23人の患者(点線)及び41人の対象の未治療の自然歴コホート(実線)についてのCLN2スコアを描写する。
図9Bは、300mgのrhTPP1で48週間治療した23人の患者のベースラインからのCLN2スコアの変化を描写する。
【
図9B】
図9A及び9Bは、rhTPP1で治療した患者及び未治療の自然歴患者のCLN2スコアの平均変化を描写する。
図9Aは、300mgのrhTPP1で48週間治療した23人の患者(点線)及び41人の対象の未治療の自然歴コホート(実線)についてのCLN2スコアを描写する。
図9Bは、300mgのrhTPP1で48週間治療した23人の患者のベースラインからのCLN2スコアの変化を描写する。
【
図10A】
図10A~10Lは、治療期間にわたって蓄積された24人の患者の臨床評価を描写しており、0~12の組み合わせたハンブルグ(左パネル)の運動(正方形)、言語(三角形)、発作(十字)、及び視覚(菱形)の合成スコア、及び、0~12の組み合わせたWCMC(右パネル)の歩行(正方形)、言語(三角形)、ミオクローヌス(十字)、摂食(菱形)合成スコアを示している。白丸は、rhTPP1の最初の300mg注入時またはその前に得られた集計CLN2スコアを表し、一方黒丸は、rhTPP1の最初の300mg注入後に得られた集計CLN2スコアを表す。
【
図10B】
図10A~10Lは、治療期間にわたって蓄積された24人の患者の臨床評価を描写しており、0~12の組み合わせたハンブルグ(左パネル)の運動(正方形)、言語(三角形)、発作(十字)、及び視覚(菱形)の合成スコア、及び、0~12の組み合わせたWCMC(右パネル)の歩行(正方形)、言語(三角形)、ミオクローヌス(十字)、摂食(菱形)合成スコアを示している。白丸は、rhTPP1の最初の300mg注入時またはその前に得られた集計CLN2スコアを表し、一方黒丸は、rhTPP1の最初の300mg注入後に得られた集計CLN2スコアを表す。
【
図10C】
図10A~10Lは、治療期間にわたって蓄積された24人の患者の臨床評価を描写しており、0~12の組み合わせたハンブルグ(左パネル)の運動(正方形)、言語(三角形)、発作(十字)、及び視覚(菱形)の合成スコア、及び、0~12の組み合わせたWCMC(右パネル)の歩行(正方形)、言語(三角形)、ミオクローヌス(十字)、摂食(菱形)合成スコアを示している。白丸は、rhTPP1の最初の300mg注入時またはその前に得られた集計CLN2スコアを表し、一方黒丸は、rhTPP1の最初の300mg注入後に得られた集計CLN2スコアを表す。
【
図10D】
図10A~10Lは、治療期間にわたって蓄積された24人の患者の臨床評価を描写しており、0~12の組み合わせたハンブルグ(左パネル)の運動(正方形)、言語(三角形)、発作(十字)、及び視覚(菱形)の合成スコア、及び、0~12の組み合わせたWCMC(右パネル)の歩行(正方形)、言語(三角形)、ミオクローヌス(十字)、摂食(菱形)合成スコアを示している。白丸は、rhTPP1の最初の300mg注入時またはその前に得られた集計CLN2スコアを表し、一方黒丸は、rhTPP1の最初の300mg注入後に得られた集計CLN2スコアを表す。
【
図10E】
図10A~10Lは、治療期間にわたって蓄積された24人の患者の臨床評価を描写しており、0~12の組み合わせたハンブルグ(左パネル)の運動(正方形)、言語(三角形)、発作(十字)、及び視覚(菱形)の合成スコア、及び、0~12の組み合わせたWCMC(右パネル)の歩行(正方形)、言語(三角形)、ミオクローヌス(十字)、摂食(菱形)合成スコアを示している。白丸は、rhTPP1の最初の300mg注入時またはその前に得られた集計CLN2スコアを表し、一方黒丸は、rhTPP1の最初の300mg注入後に得られた集計CLN2スコアを表す。
【
図10F】
図10A~10Lは、治療期間にわたって蓄積された24人の患者の臨床評価を描写しており、0~12の組み合わせたハンブルグ(左パネル)の運動(正方形)、言語(三角形)、発作(十字)、及び視覚(菱形)の合成スコア、及び、0~12の組み合わせたWCMC(右パネル)の歩行(正方形)、言語(三角形)、ミオクローヌス(十字)、摂食(菱形)合成スコアを示している。白丸は、rhTPP1の最初の300mg注入時またはその前に得られた集計CLN2スコアを表し、一方黒丸は、rhTPP1の最初の300mg注入後に得られた集計CLN2スコアを表す。
【
図10G】
図10A~10Lは、治療期間にわたって蓄積された24人の患者の臨床評価を描写しており、0~12の組み合わせたハンブルグ(左パネル)の運動(正方形)、言語(三角形)、発作(十字)、及び視覚(菱形)の合成スコア、及び、0~12の組み合わせたWCMC(右パネル)の歩行(正方形)、言語(三角形)、ミオクローヌス(十字)、摂食(菱形)合成スコアを示している。白丸は、rhTPP1の最初の300mg注入時またはその前に得られた集計CLN2スコアを表し、一方黒丸は、rhTPP1の最初の300mg注入後に得られた集計CLN2スコアを表す。
【
図10H】
図10A~10Lは、治療期間にわたって蓄積された24人の患者の臨床評価を描写しており、0~12の組み合わせたハンブルグ(左パネル)の運動(正方形)、言語(三角形)、発作(十字)、及び視覚(菱形)の合成スコア、及び、0~12の組み合わせたWCMC(右パネル)の歩行(正方形)、言語(三角形)、ミオクローヌス(十字)、摂食(菱形)合成スコアを示している。白丸は、rhTPP1の最初の300mg注入時またはその前に得られた集計CLN2スコアを表し、一方黒丸は、rhTPP1の最初の300mg注入後に得られた集計CLN2スコアを表す。
【
図10I】
図10A~10Lは、治療期間にわたって蓄積された24人の患者の臨床評価を描写しており、0~12の組み合わせたハンブルグ(左パネル)の運動(正方形)、言語(三角形)、発作(十字)、及び視覚(菱形)の合成スコア、及び、0~12の組み合わせたWCMC(右パネル)の歩行(正方形)、言語(三角形)、ミオクローヌス(十字)、摂食(菱形)合成スコアを示している。白丸は、rhTPP1の最初の300mg注入時またはその前に得られた集計CLN2スコアを表し、一方黒丸は、rhTPP1の最初の300mg注入後に得られた集計CLN2スコアを表す。
【
図10J】
図10A~10Lは、治療期間にわたって蓄積された24人の患者の臨床評価を描写しており、0~12の組み合わせたハンブルグ(左パネル)の運動(正方形)、言語(三角形)、発作(十字)、及び視覚(菱形)の合成スコア、及び、0~12の組み合わせたWCMC(右パネル)の歩行(正方形)、言語(三角形)、ミオクローヌス(十字)、摂食(菱形)合成スコアを示している。白丸は、rhTPP1の最初の300mg注入時またはその前に得られた集計CLN2スコアを表し、一方黒丸は、rhTPP1の最初の300mg注入後に得られた集計CLN2スコアを表す。
【
図10K】
図10A~10Lは、治療期間にわたって蓄積された24人の患者の臨床評価を描写しており、0~12の組み合わせたハンブルグ(左パネル)の運動(正方形)、言語(三角形)、発作(十字)、及び視覚(菱形)の合成スコア、及び、0~12の組み合わせたWCMC(右パネル)の歩行(正方形)、言語(三角形)、ミオクローヌス(十字)、摂食(菱形)合成スコアを示している。白丸は、rhTPP1の最初の300mg注入時またはその前に得られた集計CLN2スコアを表し、一方黒丸は、rhTPP1の最初の300mg注入後に得られた集計CLN2スコアを表す。
【
図10L】
図10A~10Lは、治療期間にわたって蓄積された24人の患者の臨床評価を描写しており、0~12の組み合わせたハンブルグ(左パネル)の運動(正方形)、言語(三角形)、発作(十字)、及び視覚(菱形)の合成スコア、及び、0~12の組み合わせたWCMC(右パネル)の歩行(正方形)、言語(三角形)、ミオクローヌス(十字)、摂食(菱形)合成スコアを示している。白丸は、rhTPP1の最初の300mg注入時またはその前に得られた集計CLN2スコアを表し、一方黒丸は、rhTPP1の最初の300mg注入後に得られた集計CLN2スコアを表す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の定義は、本開示の理解において熟練した医師を補助することに有用であり得る。本明細書中で他に定義されない限り、本開示において使用される科学及び技術用語は、当業者によって一般に理解される意味を有するものとする。ある値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間において、文脈がそうでないことを明らかに示さない限り、下限の1/10の単位にまでのそれぞれの介在する値、及びその言及された範囲における任意の他の言及された値または介在する値は、本発明に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、言及された範囲における何らかの特に含まれない限界に依存して、独立してより小さい範囲に含まれ得る。
【0022】
「家族歴」という用語は、例えば、兄弟姉妹、親、祖父母、曾祖父母等のCLN2疾患と診断された血縁者を有する対象を指す。
【0023】
「断片」という用語は、一態様において、配列番号1及び
図1に記載されるrhTPP1プロ酵素のアミノ酸配列の一部を含む組換えタンパク質を指す。例えば、断片は、配列番号1に記載されるアミノ酸配列の少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%を含有し得る。別の態様では、断片は、配列番号2に記載の全長(368個のアミノ酸長であり、配列番号1のアミノ酸177~544)の成熟TPP1酵素アミノ酸配列、その一部、及び/またはアミノ酸残基S456、E253、及びD341によって形成される少なくとも触媒トライアドを含む。断片は、触媒活性を保持する。例えば、断片は、トリペプチジルエキソペプチダーゼ活性を示し、及び/またはタンパク質基質のN末端からのトリペプチドを連続放出を結果としてもたらす触媒活性を示す。特定の態様では、rhTPP1プロ酵素の「断片」は、配列番号1の少なくとも500個の連続アミノ酸、配列番号1の少なくとも450個の連続アミノ酸、配列番号1の少なくとも400個の連続アミノ酸、配列番号1の少なくとも368個のアミノ酸、配列番号1の少なくとも350個のアミノ酸、または配列番号1の少なくとも300個の連続アミノ酸を含む。他の態様では、rhTPP1プロ酵素の「断片」は、配列番号2の少なくとも350個の連続アミノ酸、配列番号2の少なくとも325個の連続アミノ酸、配列番号2の少なくとも300個の連続アミノ酸、配列番号2の少なくとも275個の連続アミノ酸、配列番号2の少なくとも250個の連続アミノ酸、または配列番号2の少なくとも200個の連続アミノ酸を含む。
【0024】
「脳室内」という用語は、例えば、注入、点滴、または移植(例えば、脳室内への)を介して、脳室系への組成物の投与を指す。
【0025】
「眼球内」という用語は、例えば、注入、点滴、または移植(例えば、眼球内への)を介した眼領域への組成物の投与、または局所/眼投与(例えば、クリーム、軟膏、ゲルまたは液滴を使用した)を指す。
【0026】
「髄腔内」という用語は、例えば、注入、点滴、または移植(例えば、脊髄のくも膜下腔への)を介して、腰部への組成物の投与を指す。
【0027】
「治療的に有効な」という用語は、本発明の治療方法の結果として生じる任意の治療効果を指す。例えば、そのような効果は、適切な標的組織または器官に顕れる有益な効果であることができ、そのような有益な生理学的効果は、酵素補充療法の非存在下で測定されるその生理学的パラメータと比較される。そのような治療効果は、CLN2疾患の1つ以上の顕性または非顕性の症状の軽減または排除であってもよい。例えば、治療的に有効な治療は、本明細書に記載されるCLN2の1つ以上の生理学的機能及び/または神経学的症状を改善し、後退させ、遅延させ、予防し、または軽減する。
【0028】
「安定な」または「安定化させた」という用語は、その中のタンパク質成分が、経時的に貯蔵する際に、その物理的、機能的及び/または化学的安定性を本質的に保持するタンパク質含有配合物を指す。安定性は、選択された温度において選択された期間にわたって測定され得る。好ましくは、配合物は、室温(約30℃)または約40℃で少なくとも1カ月間安定であり、及び/または約2℃~約8℃で少なくとも1年間、好ましくは少なくとも2年間安定である。例えば、貯蔵中のタンパク質分解または凝集の程度は、タンパク質安定性の指標として使用することができる。したがって、「安定な」配合物は、タンパク質成分の約20%未満、より好ましくは約10%未満、及び最も好ましくは約5%未満が、貯蔵後の配合物中に分解または凝集形態で存在する配合物であり得る。「安定な」配合物は、新たに調製された配合物の本質的に同じ機能的または治療的特性を保持する。タンパク質安定性を測定するための様々な分析技術は当該技術分野において利用可能であり、例えば、Peptide and Protein Drug Delivery,247-301,Vincent Lee Ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,Pubs.(1991)、及びJones,A.Adv.Drug Delivery Rev.10:29-90(1993)に論評されている。
【0029】
「予防する」または「軽減する」もしくはその文法的に同等な用語は、対象のCLN2疾患の1つ以上の症状または生理学的結果の予防または軽減に関して使用される場合、治療されるCLN2対象におけるその/それらの症状の低下率が、未治療のCLN2対象において観察されるものよりも遅いことを意味する。これに関して、未治療のCLN2は、本発明の組成物でその後に治療されるのと同じ対象であってもよく、または、本明細書に開示される自然歴研究結果から観察されるとき、着目した症状(複数可)の平均低下率であってもよい。
【0030】
人体で実行する方法の特許を禁じている管轄区域では、rhTPP1またはその配合物をヒト対象に「投与する」という意味は、rhTPP1またはその配合物に関する医学的利用、例えば、本明細書に記載されるCLN2疾患の治療に使用するためのrhTPP1またはその配合物、もしくは本明細書に記載されるCLN2疾患を治療するための医薬品の製造のためのrhTPP1の使用を指す。特許可能な主題を定義する法律または規則に合致する、最も広く合理的な解釈が意図される。人体で実行する方法の特許取得を禁じていない管轄区域では、rhTPP1またはその配合物の「投与」には、人体で実行する方法及び前述の活動の両方が含まれる。
【0031】
本開示は、rhTPP1を含む配合物及びキット、及びCLN2疾患を治療するためにそれらを使用する方法を提供する。rhTPP1の投与は、カチオン非依存性マンノース6リン酸受容体(CI-MPR)によるタンパク質の細胞内取込み、及び中枢神経系全体の細胞内のリソソームへの局在化を可能とする。リソソームへの酵素取込み及びその後の活性化は、患部組織における貯蔵物質の異化作用を増加させ、リソソーム貯蔵物質の進行性蓄積を低減させ、疾患の衰退を阻止する。本開示の配合物及び方法は、現在承認されている治療のものを上回る治療効果を提供する。
【0032】
配合物
【0033】
本開示は、脳室内、髄腔内、または眼球内投与のための、rhTPP1を含む配合物を提供する。一態様では、このrhTPP1は、配列番号1またはその断片を含む。本明細書に記載される配合物及び方法において使用するために適したrhTPP1タンパク質、及びrhTPP1タンパク質を得る方法は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,302,685号及び同第8,277,800号に記載されている。
【0034】
一態様では、rhTPP1は、配列番号1のアミノ酸配列(
図1に示すアミノ酸配列のアミノ酸1-544)または触媒活性を有するその断片を含む。別の態様では、rhTPP1は、配列番号2のアミノ酸配列(
図1に示すアミノ酸配列のアミノ酸177-544)または触媒活性を有するその断片を含む。更に別の態様にでは、rhTPP1は、検出可能な酵素活性を有するか、または検出可能な酵素活性を有する(すなわち、「機能的な」)酵素の形態にインビボで処理され、配列番号1または配列番号2と少なくとも約70%の配列同一性を有する。例えば、機能的rhTPP1は、配列番号1または配列番号2と少なくとも約70%同一、少なくとも約75%同一、少なくとも約80%同一、少なくとも約85%同一、少なくとも約90%同一、少なくとも約95%同一、または少なくとも約97%同一である。一態様では、配合物は、約1mg/mL~約100mg/mL、例えば、約10mg/mL~約50mg/mL、約25mg/mL~約40mg/mL、または約30mg/mL~約60mg/mLの濃度のrhTPP1を含む液体配合物である。様々な態様では、配合物は、約1mg/mL~約100mg/mL、約5mg/mL~約80mg/mL、約10mg/mL~約50mg/mL、約20mg/mL~約40mg/mL、約25mg/mL~約35mg/mL、より具体的には、約1mg/mL、約10mg/mL、約20mg/mL、約30mg/mL、約40mg/mL、約50mg/mL、約60mg/mL、約70mg、約80mg/mL、約90mg/mL、または約100mg/mLの濃度のrhTPP1を含む。一態様では、配合物は、約5.5~約7.5、または約6.0~約7.0、例えば約5.5、約6.0、約6.5、約7.0または約7.5のpHを有する。
【0035】
一態様では、本開示のrhTPP1を含む配合物は、脳脊髄液(CSF)または眼球液中の重要な電解質のレベルを維持する1つ以上の賦形剤を更に含む。例えば、一態様では、rhTPP1またはその断片に加えて、配合物は、約0.01mg/mL~約1mg/mL、例えば約0.1mg/mL~約0.5mg、約0.2mg/mL~約0.8mg/mL、約0.2mg/mL~約0.4mg/mL、約0.15mg/mL~約0.25mg/mL、または約0.05mg/mL~約0.3mg/mLの濃度の塩化カリウムを更に含む。例えば、別の態様では、配合物は、約0.01mg/mL~約1mg/mL、例えば約0.1mg/mL~約0.5mg、約0.1mg/mL~約0.8mg/mL、約0.1mg/mL~約0.3mg/mL、約0.15mg/mL~約0.25mg/mL、または約0.05mg/mL~約0.3mg/mLの濃度の塩化マグネシウム六水和物を更に含む。別の態様では、配合物は、約0.01mg/mL~約1mg/mL、例えば約0.1mg/mL~約0.5mg/mL、約0.2mg/mL~約0.8mg/mL、約0.15mg/mL~約0.25mg/mL、約0.1mg/mL~約0.3mg/mL、または約0.05mg/mL~約0.3mg/mLの濃度の塩化カルシウム二水和物を更に含む。更に別の態様では、配合物は、上記の全てまたはいずれかの組み合わせを含む。
【0036】
別の態様では、rhTPP1を含む配合物は、1つ以上の緩衝剤を更に含む。例えば、様々な態様では、配合物は、約0.01mg/mL~約1mg/mL、例えば、約0.1mg/mL~約0.5mg/mL、約0.05mg/mL~約0.4mg/mL、または約0.1mg/mL~約0.3mg/mLの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、及び/または、約0.01mg/mL~約1mg/mL、例えば約0.01mg/mL~約0.2mg/mL、約0.05mg/mL~約0.3mg/mL、または約0.08mg/mL~約0.4mg/mLの濃度の一塩基性リン酸ナトリウム一水和物を更に含む。
【0037】
別の態様では、配合物は、約1mg/mL~約20mg/mL、例えば約1mg/mL~約10mg/mL、約5mg/mL~約15mg/mL、または約8mg/mL~約20mg/mLの濃度の塩化ナトリウムなどの等張剤を更に含む。当該技術分野において既知の他の緩衝剤及び等張剤が適切であり、本開示の配合物において使用するために日常的に使用され得る。
【0038】
一態様では、約30mg/mLのrhTPP1を含む配合物は、約0.11mg/mLの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、約0.08mg/mLの濃度の一塩基性リン酸ナトリウム一水和物、約8.77mg/mLの濃度の塩化ナトリウム、約0.22mg/mLの濃度の塩化カリウム、約0.16mg/mLの濃度の塩化マグネシウム六水和物、及び約0.21mg/mLの濃度の塩化カルシウム二水和物、及び注射用水などの希釈剤を更に含む。
【0039】
本開示のrhTPP1配合物は安定であり、品質、効力、または純度の容認できない変化なしに長期間貯蔵され得る。一態様では、配合物は、約5℃の温度(すなわち、2℃~8℃)で、少なくとも1ヶ月間、例えば、少なくとも1ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、少なくとも18ヶ月間、少なくとも24ヶ月間、またはそれ以上の期間にわたって安定である。別の態様では、配合物は、約-20℃以下の温度で、少なくとも6ヶ月間、例えば、少なくとも6ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、少なくとも18ヶ月間、少なくとも24ヶ月間、少なくとも36ヶ月間、またはそれ以上の期間にわたって安定である。別の態様では、配合物は、約-40℃以下の温度で、少なくとも6ヶ月間、例えば、少なくとも6ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、少なくとも18ヶ月間、少なくとも24ヶ月間、少なくとも36ヶ月間、またはそれ以上の期間にわたって安定である。別の態様では、配合物は、約-60℃以下の温度で、少なくとも6ヶ月間、例えば、少なくとも6ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、少なくとも18ヶ月間、少なくとも24ヶ月間、少なくとも36ヶ月間、またはそれ以上の期間にわたって安定である。
【0040】
一態様では、本開示の配合物は、防腐剤を含まず、及び/または安定剤を含まず、したがってチメロサール、フェニル水銀塩、クロルヘキシデン、フェノール、安息香酸、ソルビン酸、パラベン、アルコール、または非経口もしくは眼科用配合物に一般に見られる他の防腐剤のうちのいずれも含有しない。
【0041】
別の態様では、本発明の配合物は、1つ以上の防腐剤、安定剤、または賦形剤を含んでもよい。これに関して、髄腔内またはICV送達のためのタンパク質含有配合物に有用な、周知であり、また日常的に使用される防腐剤、安定剤及び賦形剤は、当技術分野において既知である。より具体的には、髄腔内またはICV送達に使用するための酵素含有配合物に対するそのような添加剤の例は、参照により本明細書に組み込まれる、WO2013/096899に記載されている。
【0042】
方法
【0043】
本開示は、本明細書に記載のrhTPP1を含む治療有効量の配合物を、治療を必要とする対象に投与することを含む、CLN2疾患を治療する方法を提供する。本開示はまた、本明細書に記載されるCLN2疾患の治療で使用するためのrhTPP1を含む配合物、及び本明細書に記載されるCLN2疾患を治療するための医薬品の製造におけるrhTPP1の使用を提供する。一態様では、患者のCLN2疾患の重篤度及び進行度、及びrhTPP1の投与の治療効果は、ハンブルグまたはWCMC臨床的疾患評価尺度を用いて測定することができる。ハンブルグ及びWCMCの両尺度は、4つの疾患関連ドメインからなり、これらは、3点は正常、2点は異常であるが機能的、1点は異常で著しく機能不全、及び0点は残存機能がないことを示すように、0~3点の下位尺度に関する評価で採点される。4つのドメインのうちの2つである、歩行/運動及び言語は、2つの尺度間で共通に共有され、高い固有の内容妥当性を有する。全体の各尺度は、疾患の進行及び疾患の管理の両方の関数として起こる変化を捉える。歩行、言語及び視力尺度は、疾患の進行を捉える。発作頻度、運動障害及び摂食は、治療決定、特に抗痙攣薬物適用及び経管栄養管理に依存する。臨床的進行は、6点の評価が年齢ベースで正常であることを表し、0点が完全な機能喪失を表すように、言語及び歩行下位尺度の集計値を用いて評価されることが多い。表1は、WCMC及びハンブルグCLN2疾患尺度を描写する。
【表1】
【0044】
様々な態様では、本開示は、CLN2疾患、またはCLN2疾患の1つ以上の臨床症状を治療する方法であって、治療有効量のrhTPP1を含む組成物を、治療を必要とする対象に投与することを含む、方法、対象のCLN2疾患の治療のための医薬品の製造におけるrhTPP1の使用、または対象のCLN2疾患の治療で使用するためのrhTPP1を提供する。
【0045】
本開示はまた、CLN2疾患の1つ以上の臨床症状を予防する方法であって、本明細書に記載のrhTPP1を含む配合物を、予防を必要とする対象に投与することを含み、任意に、対象はCLN2疾患の家族歴を有する、方法も提供する。様々な態様では、本開示は、CLN2疾患の1つ以上の臨床症状を予防する方法であって、治療有効量のrhTPP1を含む組成物を、予防を必要とする対象に投与することを含む、方法、対象のCLN2疾患の1つ以上の臨床症状の予防のための医薬品の製造におけるrhTPP1の使用、または対象のCLN2疾患の1つ以上の臨床症状の予防で使用するためのrhTPP1を提供し、任意で、この対象は、CLN2疾患の家族歴を有する。
【0046】
本開示は、CLN2疾患を治療する方法であって、rhTPP1を、治療を必要とする対象に、対象において生理学的機能を維持するのに、または生理学的機能の低下を遅らせるかもしくは軽減するのに有効な用量で投与することを含み、生理学的機能が、言語機能、運動機能、視覚、または摂食機能である、方法を更に提供する。本開示はまた、CLN2を有する対象において生理学的機能を維持しまたは生理学的機能の衰退を遅らせるかもしくは軽減するための医薬品の製造におけるrhTPP1の使用、及びCLN2を有する対象における生理学的機能の維持または生理学的機能の減退を遅らせるもしくは軽減することで使用するためのrhTPP1を提供し、生理学的機能が、言語機能、運動機能、視覚、または摂食機能である。
【0047】
一態様では、CLN2疾患またはCLN2疾患の家族歴を有する対象を治療する方法は、言語機能を維持するか、または言語機能の減退を遅らせるかもしくは軽減するのに有効な用量のrhTPP1を対象に投与することを含む。一態様では、言語機能の減退は、WCMCまたはハンブルグ疾患評価尺度を使用して測定するとき、治療前または治療中に決定された以前の評価と比べての少なくとも1点の減少である。WCMCとハンブルグの両尺度において、3点の評価は、正常な言語を示し、2点は(認識可能ではあるが)異常な言語を示し、1点はかろうじて理解可能/ほとんど理解できないことを示し、及び0点は理解不能または話せないことを示す。一態様では、rhTPP1の用量は、治療前または治療中に決定された以前の評価、例えば、3点、2点、または1点と同じレベルで対象の言語の評価を維持するのに有効なものである。別の態様では、rhTPP1の用量は、対象におけるCLN2に関連する言語機能の減退を遅らせるかもしくは軽減するのに有効なものであり、これは、疾患の自然な進行を考慮して予想されるものと比べての同じレベルでの長期にわたる言語機能の評価の維持、または言語機能評価におけるよりわずかな減少によって裏付けることができる。
【0048】
別の態様では、CLN2またはCLN2の家族歴を有する対象を治療する方法は、運動機能を維持するか、または運動機能の減退を遅らせるかもしくは軽減するのに有効な用量のrhTPP1を対象に投与することを含む。一態様では、運動機能の減退は、WCMCまたはハンブルグ疾患評価尺度を使用して測定するとき、治療前または治療中に決定された以前の評価と比べての少なくとも1点の減少である。WCMC尺度における歩行に関する臨床評価尺度、またはハンブルグ尺度における運動の臨床評価尺度のいずれかを使用して、運動機能を評価することができる。WCMC及びハンブルグの両尺度において、3点の評価は正常な歩行を示し、2点の評価は異常であるが独立して歩行すること、例えば頻繁に転ぶか、または明らかに不器用であることを示し、1点の評価は、補助を必要とする異常歩行、例えば、補助なしでは歩行できない、または這うだけであることを示し、及び0点の評価は、対象が歩行不可/動けない、例えば、ほとんど寝たきりの状態であることを示す。一態様では、rhTPP1の用量は、治療前または治療中に決定された以前の評価、例えば、3点、2点、または1点と同じレベルで対象の運動機能の評価を維持するのに有効なものである。別の態様では、rhTPP1の用量は、対象におけるCLN2に関連する運動機能の減退を遅らせるかもしくは軽減するのに有効なものであり、これは、疾患の自然な進行を考慮して予想されるものと比べての同じレベルでの長期にわたる運動機能評価の維持、または運動機能評価におけるよりわずかな減少によって裏付けることができる。
【0049】
更に別の態様では、CLN2またはCLN2の家族歴を有する対象を治療する方法は、視覚を維持するか、または視覚の減退を遅らせるかもしくは軽減するのに有効な用量のrhTPP1を対象に投与することを含む。一態様では、視覚の減退は、ハンブルグ疾患評価尺度を使用して測定するとき、治療前または治療中に決定された以前の評価と比べての少なくとも1点の減少である。ハンブルグスケールによると、3点の評価は、対象が所望の物体を認識し、それを捉えることを示し、2点は調整できない状態で物体を捉えることを示し、1点は対象が光に反応することを示し、及び0点は対象が視覚刺激に反応しないことを示す。一態様では、rhTPP1の用量は、治療前または治療中に決定された以前の評価、例えば、3点、2点、または1点と同じレベルで対象の視覚の評価を維持するのに有効なものである。別の態様では、rhTPP1の用量は、対象におけるCLN2に関連する視覚の減退を遅らせるかもしくは軽減するのに有効なものであり、これは、疾患の自然な進行を考慮して予想されるものと比べての同じレベルでの長期にわたる視覚の評価の維持、または視覚の評価におけるよりわずかな減少によって裏付けることができる。
【0050】
別の態様では、CLN2またはCLN2の家族歴を有する対象を治療する方法は、摂食機能を維持するか、または摂食機能の減退を遅らせるかもしくは軽減するのに有効な用量のrhTPP1を対象に投与することを含む。一態様では、摂食機能の減退は、WCMC疾患評価尺度を使用して測定するとき、治療前または治療中に決定された以前の評価と比べての少なくとも1点の減少である。WCMC尺度によれば、3点の評価は嚥下障害がないことを示し、2点は軽度の嚥下障害を示し、1点は中等度の嚥下障害を示し、及び0点は対象が胃瘻管依存であることを示す。一態様では、rhTPP1の用量は、治療前または治療中に決定された以前の評価、例えば、3点、2点、または1点と同じレベルで対象の摂食機能の評価を維持するのに有効なものである。別の態様では、rhTPP1の用量は、対象におけるCLN2に関連する摂食機能の減退を遅らせるかもしくは軽減するのに有効なものであり、これは、疾患の自然な進行を考慮して予想されるものと比べての同じレベルでの長期にわたる摂食機能の評価の維持、または摂食の評価におけるよりわずかな減少によって裏付けることができる。
【0051】
本開示は、CLN2疾患を治療する方法であって、rhTPP1を、治療を必要とする対象に、生理学的機能を改善するのに有効な用量で投与することを含み、生理学的機能が、言語機能、運動機能、視覚または摂食機能である、方法を更に提供する。本開示はまた、CLN2を有する対象において生理学的機能を改善するための医薬品の製造におけるrhTPP1の使用、またはCLN2を有する対象における生理学的機能の改善で使用するためのrhTPP1を提供し、生理学的機能が、言語機能、運動機能、視覚または摂食機能である。疾患の進行性退行性を考慮すると、対象が失われた機能を回復したことを示す、言語機能、運動機能、視覚及び/または摂食機能の改善が特に望ましいが、現在の治療選択肢で達成することは困難である。
【0052】
一態様では、CLN2疾患を有する対象を治療する方法は、言語機能を改善するのに有効な用量のrhTPP1を対象に投与することを含む。一態様では、言語機能における改善は、WCMCまたはハンブルグ疾患評価尺度を使用して測定するとき、治療前または治療中に決定された以前の評価と比べての少なくとも1点の増加である。例えば、対象は、1点もしくは2点の評価から、正常な言語への復帰を示す3点の評価まで改善することができるか、または1点の評価から2点の評価まで改善することができる。
【0053】
別の態様では、CLN2疾患を有する対象を治療する方法は、運動機能を改善するのに有効な用量のrhTPP1を対象に投与することを含む。一態様では、運動機能における改善は、WCMCまたはハンブルグ疾患評価尺度を使用して測定するとき、治療前または治療中に決定された以前の評価と比べての少なくとも1点の増加である。例えば、対象は、1点もしくは2点の評価から、正常な歩行への復帰を示す3点の評価まで改善することができるか、または1点の評価から2点の評価まで改善することができる。
【0054】
一態様では、CLN2疾患を有する対象を治療する方法は、視覚を改善するのに有効な用量のrhTPP1を対象に投与することを含む。一態様では、視覚における改善は、ハンブルグ疾患評価尺度を使用して測定するとき、治療前または治療中に決定された以前の評価と比べての少なくとも1点の増加である。例えば、対象は、1点もしくは2点の評価から3点の評価まで改善することができるか、または1点の評価から2点の評価まで改善することができる。
【0055】
別の態様では、CLN2疾患を有する対象を治療する方法は、摂食機能を改善するのに有効な用量のrhTPP1を対象に投与することを含む。一態様では、摂食機能における改善は、WCMC疾患評価尺度を使用して測定するとき、治療前または治療中に決定された以前の評価と比べての少なくとも1点の増加である。例えば、対象は、1点もしくは2点の評価から、正常な嚥下への復帰を示す3点の評価まで改善することができるか、または1点の評価から2点もしくは3点の評価まで改善することができる。
【0056】
本開示は、CLN2疾患を治療する方法であって、rhTPP1を、治療を必要とする対象に、疾患の神経症状を予防または治療するのに有効な用量で投与することを含む、方法を更に提供し、神経症状は、発作、脳体積の減少、脳内の灰白質の減少、または頭蓋内脳脊髄液(CSF)の増加である。本開示はまた、CLN2またはCLN2の家族歴を有する対象における神経症状を予防または治療するための医薬品の製造におけるrhTPP1の使用、及びCLN2またはCLN2の家族歴を有する対象における神経症状の予防または治療において使用するためのrhTPP1も提供し、神経症状は、発作、脳体積の減少、脳内の灰白質の減少、または頭蓋内CSFの増加である。
【0057】
一態様では、CLN2またはCLN2の家族歴を有する対象を治療する方法は、発作の回数を維持するか、または軽減するのに有効な用量のrhTPP1を対象に投与することを含む。一態様では、この用量は、対照が経験する1ヶ月当たりの発作の回数を軽減するのに有効なものである。別の態様では、この用量は、ハンブルグ疾患評価尺度を使用して測定するとき、治療前または治療中に決定された以前の評価と比べての少なくとも1点まで発作の評価を増加させるのに有効なものである。ハンブルグ尺度によれば、3点の評価は、3ヶ月の間に発作がないことを示し、2点は3ヶ月の間に1~2回の発作を示し、1点は、1ヶ月当たり1回の発作を示し、0点は、1ヶ月当たり1回超の発作を示す。一態様では、rhTPP1の用量は、治療前または治療中に決定された以前の評価、例えば、3点、2点、または1点と同じレベルで対象の発作の評価を維持するのに有効なものである。別の態様では、rhTPP1の用量は、対象における発作の回数を維持または軽減するのに有効なものであり、これは、疾患の自然な進行を考慮して予想されるものと比べての1ヶ月当たりの発作の回数の長期にわたる維持、または発作評価におけるよりわずかな減少によって裏付けることができる。
【0058】
別の態様では、CLN2またはCLN2の家族歴を有する対象を治療する方法は、脳体積を維持するか、または脳体積における減少を遅らせるかもしくは軽減するのに有効な用量のrhTPP1を対象に投与することを含む。脳萎縮は、疾患の進行につれて増加し、脳体積の損失及び頭蓋内CSFの容量ならびに相対的比率の関連する増加をもたらす。脳体積は、磁気共鳴映像法(MRI)、コンピュータ断層撮影法(CT/CAT)、陽電子放射断層撮影装置(PET)、単一光子放出コンピュータ断層撮影法(SPECT)、脳波検査(EEG)、脳磁図(MEG)、及び近赤外分光法(NIRS)などの撮像技術を含む当該技術分野において既知の方法を用いて測定することができる。一態様では、rhTPP1の用量は、対象における脳体積のCLN2関連減少を遅らせるかもしくは軽減するのに有効なものであり、これは、疾患の自然な進行を考慮して予想されるものと比べての脳体積の長期にわたる維持、または脳体積におけるわずかな減少によって裏付けることができる。
【0059】
別の態様では、CLN2またはCLN2の家族歴を有する対象を治療する方法は、脳内の灰白質を維持するか、または脳内の灰白質の減少を遅らせるかもしくは軽減するのに有効な用量のrhTPP1を対象に投与することを含む。脳萎縮による灰白質の損失は、疾患の進行につれて発生し、脳体積の割合と共に灰白質の減少をもたらす。脳内の灰白質の量は、当該技術分野において既知の方法、例えば、MRI、CT/CAT、PET、SPECT、EEG、MEG、及びNIRSなどの撮像技術を用いて評価することができる。一態様では、rhTPP1の用量は、対象における灰白質の減少を遅らせるかもしくは軽減するのに有効なものであり、これは、疾患の自然な進行を考慮して予想されるものと比べての灰白質体積の長期にわたる維持、または脳体積の割合につれての灰白質のわずかな減少によって裏付けることができる。
【0060】
別の態様では、CLN2またはCLN2の家族歴を有する対象を治療する方法は、頭蓋CSFの容量を維持するか、または頭蓋CSFの容量における増加を遅らせるのに有効な用量のrhTPP1を対象に投与することを含む。頭蓋CSFは、脳萎縮の結果として、総CSFの容量及び比率を増加させる。頭蓋CSFの量及び比率は、当該技術分野において既知の方法、例えば、MRI及びCT/CATなどの撮像技術を用いて評価することができる。一態様では、rhTPP1の用量は、対象における頭蓋CSFの増加を遅らせるかもしくは軽減するのに有効なものであり、これは、疾患の自然な進行を考慮して予想されるものと比べての頭蓋CSFの容量の長期にわたる維持、または総CSFの割合につれての頭蓋CSFにおけるわずかな増加によって裏付けることができる。
【0061】
上記の方法、使用するための組成物、及び使用は、以下の特徴のいずれかを、単独でまた組み合わせで更に含んでもよい。
【0062】
一態様では、本開示の方法、使用するための組成物、または使用は、rhTPP1を含む配合物、組成物または用量を、対象に、持続的に、または少なくとも約1時間にわたって、例えば、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約6時間、またはそれ以上にわたって持続して投与することを含む。別の態様では、本開示の方法または使用は、約20mg~約500mg、約30mg~約500mg、約50mg~約500mg、約100mg~約500mg、約200mg~約400mg、約250mg~約350mg、または約275mg~約325mgのrhTPP1、例えば約20mg、約30mg、約50mg、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、または約500mgのrhTPP1を含む配合物、組成物または用量を、治療を必要とする対象に投与することを含む。一態様では、本開示の方法または使用は、用量または投与事象当たり、約20mL以下、約15mL以下、約10mL以下、約7.5mL以下、または約5mL以下、例えば、約20mL、約15mL、約10mL、約9mL、約8mL、約7mL、約6mL、約5mL、約4mL、約3mL、約2mL、約1mL、または約0.5mLの容量を有する配合物、組成物または用量を投与することを含む。
【0063】
様々な態様では、本開示の方法、使用するための組成物、または使用は、rhTPP1を含む配合物、組成物または用量を、対象に、1時間当たり約2.5mL以下の配合物、組成物または用量、1時間当たり約75mg以下のrhTPP1、または1時間当たり2.5mLの配合物または組成物につき約75mgのrhTPP1の速度で投与することを含む。配合物、組成物または用量は、任意に、持続的に、または少なくとも約4時間にわたって持続して投与される。
【0064】
一態様では、本開示の方法、使用するための組成物、または使用は、rhTPP1を含む配合物、組成物または用量を、毎週またはそれ以下の頻度で、例えば、毎週、隔週、または毎月投与することを含む。より具体的には、本開示の方法、使用するための組成物、または使用は、rhTPP1を含む配合物、組成物または用量を、7日毎、8日毎、9日毎、10日毎、11日毎、12日毎、13日毎、14日毎、15日毎、16日毎、17日毎、18日毎、19日毎、20日毎、21日毎、22日毎、23日毎、24日毎、25日毎、26日毎、27日毎、28日毎、29日毎、30日毎、または31日毎に1回投与することを含む。一態様では、本配合物、組成物または用量は、脳室内に投与される。別の態様では、本配合物、組成物または用量は、髄腔内に投与される。別の態様では、本配合物、組成物または用量は、眼球内に投与される。一態様では、本配合物、組成物または用量は、脳室内または髄腔内に、ならびに眼球内に投与される。脳室内送達は、脳室送達が第3及び第4脳室への流入を可能にするCSF流の生理学のために、視床、線条体及び中脳などの脳の深部灰白構造への浸透を可能にするが、脳室からくも膜下腔までのわずかな圧力勾配に沿っての大脳半球の神経網へも滲入する。リソソーム蓄積障害を治療するための組換え酵素の髄腔内及び脳室内投与は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,442,372号に記載されている。
【0065】
本開示のrhTPP1の配合物、組成物、または用量は、単一のボーラス注射もしくは一連の注射で(例えば、脳、腰部、または目への)、または、例えば輸液ポンプもしくは他の埋め込まれた装置を使用して、持続的もしくは持続点滴として投与されてもよい。一態様では、rhTPP1の配合物、組成物、または用量は、管系、インラインフィルタ(例えば、約0.2μm)、収容容器(例えば、髄腔内または脳室内)、及びカテーテルを備える注入システムを使用して投与される。頻繁には、組成物が髄腔内または脳室内投与されるとき、脳内または髄腔内の圧力を人工的に増加させることから生じる有害な副作用を防止するために、組成物が投与される前に、投与される組成物の容量に匹敵するCSFの容量が、最初に対象から除去される。しかしながら、実施例3に記載されるように、本開示のrhTPP1の配合物、組成物、または用量は、rhTPP1の配合物、組成物、または用量の投与の直前に、対象からCSFのいかなる容量も除去されることなく投与され得ることが本明細書で裏付けられている。
【0066】
一態様では、本開示の方法または使用は、約300mgのrhTPP1を含む約10mLの配合物、組成物または用量を、CLN2を有する対象に、脳室内に約4時間にわたって、隔週で投与することを含む。
【0067】
本発明の配合物及び組成物は、それを必要としている対象に直接投与されてもよく(すなわち、非等容的に)、または前もってCSFの規定容量を対象から除去した後に投与されてもよく、この規定容量は、その後投与される組成物の容量とほぼ同じである(すなわち、等容的)。
【0068】
一態様では、本開示の方法、使用するための組成物、または使用は、rhTPP1の投与後に、フラッシング液を対象に投与することを更に含む。フラッシング液は、送達系に残存するいかなるrhTPP1も除去するために、また対象がrhTPP1の意図された用量の全てを受容することを確実にするために、rhTPP1と同じ経路を介して、また同じ送達系(例えば、注入システム)を使用して投与される。一態様では、フラッシング液は、(例えば、rhTPP1を含む組成物を投与するのに以前に使用されたものと同じカテーテルを使用して)、約0.5mL~約5mLの量で、例えば、約0.5mL、約1mL、約2mL、約3mL、または約5mLで、対象に投与される。一態様では、フラッシング液は、rhTPP1を含む配合物または組成物と同じ成分を含むが、rhTPP1は含まない。一態様では、フラッシング液は、約0.11mg/mLの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、約0.08mg/mLの濃度の一塩基性リン酸ナトリウム一水和物、約8.77mg/mLの濃度の塩化ナトリウム、約0.22mg/mLの濃度の塩化カリウム、約0.16mg/mLの濃度の塩化マグネシウム六水和物、及び約0.21mg/mLの濃度の塩化カルシウム二水和物、及び注射用水などの希釈剤を含む。
【0069】
キット
【0070】
本開示は、本明細書に記載されるrhTPP1の配合物を、患者への投与に適した用量及び形態で含むキットを更に提供する。一態様では、キットは、約30mg/mLのrhTPP1、約0.11mg/mLの濃度の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、約0.08mg/mLの濃度の一塩基性リン酸ナトリウム一水和物、約8.77mg/mLの濃度の塩化ナトリウム、約0.22mg/mLの濃度の塩化カリウム、約0.16mg/mLの濃度の塩化マグネシウム六水和物、及び約0.21mg/mLの濃度の塩化カルシウム二水和物、及び注射用水などの希釈剤を含む配合物を含む。一態様では、キットは、治療用配合物に加えて、本発明の治療用組成物の脳室内、髄腔内、及び/または眼球内投与のための使用説明書を更に含む。別の態様では、キットは、本明細書に記載されるフラッシング液を更に含む。更に別の態様では、キットは、以下の構成要素:管類、インラインフィルタ、移植用の収容容器、及びカテーテルのうちのいずれかまたは全てを含む、配合物を投与するためのシステムを更に含む。一態様では、キットは、本開示の治療用配合物が前もって組み込まれたカテーテル、収容容器、または他の装置を含んでもよい。例えば、薬学的に許容される配合物中の約100mgのrhTPP1、約200mgのrhTPP1、約300mgのrhTPP1、約400mgのrhTPP1、または約500mgのrhTPP1で前もって組み込まれたカテーテルが具体的に企図される。あるいは、キットは、再充填可能であるカテーテル、収容容器、または他の装置と、このような装置に再充填するための適切な量の酵素とを含んでもよい。
【0071】
ある特定の実施形態では、本発明のキットは、以下の構成要素:延長線(例えば、製品番号536040、Smiths Medical、Dublin OH)、インラインフィルタ(例えば、製品番号FS116、Smiths Medical)、ポートニードル(例えば、製品番号21-2737-24 Smiths Medical)、1つの注射器もしくは2つ以上の注射器(例えば、製品番号309604、Becton Dickinson,Franklin Lakes,NJ)または1つの注射針もしくは2つ以上の注射針(例えば、製品番号305196、Becton Dickinson)のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0072】
本開示は、例示のために提供され、限定することを意味するものではない以下の実施例を参照することによって、より容易に理解されるであろう。
【実施例0073】
以下の実施例は、脳室内(ICV)投与のためのrhTPP1を含む配合物及び適合させた未治療の自然歴患者と比較した、配合物のヒト患者への投与の結果を記述する。
【0074】
実施例1
脳室内投与のためのrhTPP1の配合物
rhTPP1を、遺伝子組み換えされたCHO宿主細胞株で生成し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,302,685号及びSleat et al.1997,Science 277:1802-1805に記載されるように、標準クロマトグラフィー法により精製した。rhTPP1は、リポソームへの取り込みの際に酸性pHで自己活性化される不活性の酵素前駆体として生成した。rhTPP1の酵素前駆体型は、およそ59kDaの算定された同位体平均分子量を有する。成熟酵素は、およそ46kDaの見掛けの分子量を有する。rhTPP1酵素前駆体のアミノ酸配列は、配列番号1に記載され、
図1に示されている。酵素のプロセグメントは、最初の176個のアミノ酸残基であり、成熟酵素は、位置177から開始する長さが368個のアミノ酸であり、配列番号2に記載されている。
【0075】
実施例で使用されるrhTPP1配合物は、ICV注入用の無菌溶液であった。これは、30mg/mLの濃度で配合されたrhTPP1タンパク質を含有する、透明で、無色から淡黄色の液体であった。この配合物を、フルオロポリマーでコーティングされたブチルゴム栓で密閉されアルミニウムシールでキャップされた1型透明ホウケイ酸ガラスバイアルからなる容器密閉システム内にパッケージ化した。配合物を-40℃±10℃の温度で保存し、凍結状態で供給した。配合物の目標のpH値は、pH6.5であった。
【0076】
実施例で使用されたrhTPP1配合物の組成を表2に提供する。
【表2】
【0077】
rhTPP1配合物を、重要な電解質の濃度がインビボでヒトCSFにおいて見られるものに類似するように、ヒトCSFの特徴を模倣するように注意深く設計し、この配合物は、いかなる従来の防腐剤または安定剤も賦形剤として含有しなかった。重要な安全性の問題、すなわち、重篤な副作用は、以前に予測されておらず、rhTPP1配合物の投与後に報告または観察されなかった。
【0078】
安定性試験を、ICHガイドラインに従って、また時間-温度安定性を監視するためのプロトコルにより、長期(≦-60℃)及び加速条件(5±3℃)で行った。安定性試料を、実物大のパッケージと同じ材料から構成された小スケールのボトル内で保存した。支援及び臨床バッチに収集された安定性データは、rhTPP1配合物が、≦-60℃で少なくとも36ヶ月間、及び5±3℃で少なくとも6ヶ月間安定であることを立証し、これは、配合物が、医薬品で通常見出される防腐剤及び安定剤を含まないことを考慮すると、驚くべきことであった。表3は、安定性試験の結果を示す。
【表3】
【0079】
実施例2
自然歴試験
CLN2自然歴疾患進行の定量的評価を、41人の未治療のCLN2患者のコホートで解析した。ハンブルグ臨床尺度を、疾患に冒された年齢に適した神経学的及び機能的ドメインの評価に使用した。
【0080】
未治療の自然歴CLN2対象における臨床的低下の定量的説明を
図2に示す。自然歴解析は、年齢の疾患の重症度に対する明確かつ予測可能な関係を裏付けた。運動及び言語症状の発症後、本質的に急激な線形の低下があり、ここでは、子供は平均で、毎年約2のマイルストーン事象を喪失した(毎年2.1点低下する線形速度)。大部分は予測可能な過程であったが、一部の『後期発症』事例があり、これは、コホートの集団の20%未満を占めた。これらの患者は、症状の後期発症及びより長期の軽度疾患を有する傾向にあったが、その後、通常は古典的形態よりも2~3年遅れて、急激かつ活発な低下に陥った。
【0081】
ハンブルグコホートからの定量的な臨床的進行を、WCMCからの独立した(患者及び評価者)コホート(n=49)からの臨床評価判定を重なり合わせることによって確証させた。独立したCLN2コホートの臨床的な説明は同様であるが、これは、別個の患者群の疾患進行における強固な定量的関係を確認した最初のものであった。CLN2患者の両コホートは、大多数の古典的な後期乳児発症及び進行、及び通常、3歳よりはむしろ5歳で疾患の初期兆候を有する、『後期発症』表現型を有した子供のより少数の集団を有した。運動(歩行)及び言語機能を使用する尺度は、CLN2患者の神経学的低下を再現可能に捕捉した。前述の解析に基づいて、自然試験対象のコホートを、適切な非治療の対照集団であると判定し、この未治療の自然歴集団におけるCLN2疾患の症状の低下の平均速度は、本発明の組成物の投与によって生じるCLN2疾患に罹患している対象の症状の低下の速度における任意の予防または軽減についての有効かつ有益なコンパレータとして使用され得る。
【0082】
実施例3
CLN2患者における第1相/第2相非盲検用量増加試験
本試験は、CLN2疾患を有する子供に、300mgの用量(総容量10mL)で隔週に、ICVカテーテルを通して送達された本開示のrhTPP1配合物の安全性、忍容性及び有効性を評価するための非盲検治療臨床試験であった。本試験を、低用量(30mg及び100mg)で開始して、安全性及び忍容性を評価するように設計したが、低用量が独立データ監視委員会によって安全であることが指摘されたとき、全ての患者は高い予想される治療量(300mg)まで段階的に拡大した。全ての登録患者についての試験持続期間は、300mgの安定した予想治療量でICV、隔週の48週の治療であった。主な試験目的は、CLN2疾患を有する対象に、埋め込まれたICVリザーバ及びカニューレにより投与された本開示のrhTPP1配合物の安全性及び忍容性を評価すること、及び治療の12ヶ月後に、自然歴データと比べて、CLN2疾患特異的評価尺度スコアを使用して有効性を評価することであった。試験の副次的目的は、治療の12ヶ月後に、CLN2疾患自然歴データと比べて、脳萎縮の測定値に及ぼす治療の影響を評価することであった。
【0083】
主な試験への組み入れ基準は、CLN2の診断及び少なくとも3歳の登録年齢であった。スクリーニング時に3未満のベースライン疾患評価スコアを有する(ハンブルグの0~6の集計的運動/言語尺度を使用して)患者は、本試験から除外した。3歳未満の患者は、進行曲線の水平線によって描写されるように、治療よりはむしろ年齢のために進行しない可能性が高かった。スクリーニング時に2以下のスコアを有する患者もまた、線形になりにくく、より変動的であり、病期のために治療に対して潜在的により不応性であることが考慮された。したがって、治療群は、早期かつ高度に予測可能な低下を含むように、簡潔に、年齢及びスコアによって規定された。
【0084】
登録者の平均年齢は4.0歳であり、少女が少年よりもわずかに多く、主として白人であった。スクリーニング及びベースライン時における臨床的CLN2スコアを以下の表4に示し、表4は、各試験コホートについてのハンブルグ運動/言語スコアと、スクリーニング及びベースライン時の合計とを示している。
【表4】
【0085】
全体として、治療前のCLN2スコアにおいて、より進行した疾患に向かう偏りがあった。疾患の急激な進行及び把握の難しさを考えれば、より低いスコアに向かう偏りは予期されたことであった。更に、スクリーニング時及びベースライン評価(ICVリザーバの配置の直前)に向かう期間(最大2週間)にいくらかの低下があった。3点の採点であったスクリーニング群からの4人の患者は、ベースラインにおいて点数を落とし、4点であったスクリーニング群からの2人の患者は、ベースラインで3点に落とした。6点(すなわち、極めて正常)で参入した2人の患者は、罹患した子供の兄弟姉妹であった。対象集団の素因、個体群統計、及び特徴を、以下の表5にまとめている。
【表5】
a登録患者1287-1007は、単回投与を受け、試験手順を遵守することが不可能であるため、同意を取り消した。
b自然歴集団と同様な分布
*共通遺伝子型:c.622C>T及びc.509-1G>C
【0086】
登録された全ての患者は、300mgのICVの安定な投与を隔週で受容した。コホート1は、30mg ICV隔週で≧1ヶ月間、次いで100mg ICV隔週に上昇させて≧4週にわたって暴露され、一方コホート2は、100mg ICV隔週で開始し、≧4週間暴露された。両コホート1及びコホート2を、300mg ICV隔週に上昇させて、コホート3を含む全ての後続の患者は、300mg ICV隔週の安定な投与計画で投与を開始し、≧48週持続した。300mgの用量は、ICVカテーテルを介して約4時間にわたって注入された10mL中で投与された。CSFの容量(例えば、投与されるrhTPP1配合物の量と等しい)は、注入の開始直前に除去されず、これは異例であるが、驚くべきことに、いかなる有害作用も生じなかった。300mgの用量の投与後すぐに、約2mLの量のフラッシング液を、同じICVカテーテルを介して、対象に投与した。フラッシング液は、表2の配合物と同一であったが、rhTPP1を含有しなかった。投与事象当たりの酵素の300mgのボーラス用量は、以前の髄腔内またはICV投与される酵素補充療法よりも著しく高かったので、このような高用量の薬物の投与後に観察される安全性及び有効性プロファイルは、以前には予測することができなかった。より具体的には、関連する重篤で制御し難い有害事象がない300mgのボーラス用量のrhTPP1の投与は、以前には予測することができなかった。
【0087】
結果
歩行及び言語の臨床評価に及ぼす治療の効果臨床的重症度の定量的評価のための主要な評価ツールは、ハンブルグ及びWCMC疾患評価尺度の両方に共通する歩行及び言語サブスケールの0~6点の集計であった。この尺度は、腫瘍有効性解析のためのコンパレータとして使用された、適合させた未治療の自然歴患者における予測可能な、急速かつ進行性の臨床的低下を捕捉した。
【0088】
42週を超える治療持続期間での23人の患者についての歩行/言語疾患評価スコアを、
図3A~3Fに示している。23人の患者のうち、3人の患者(1244-1001、1244-1002、及び1244-1003)は、コホート1(C1)に由来し、3人の患者(1244-1004、1244-1006、及び1287-1005)は、コホート2(C2)に由来し、3人の患者(1244-1008、1244-1009、1244-1010)は、コホート3(C3)に由来し、14人の患者(0119-1020、0146-1021、0146-1022、0146-1023、1244-1011、1244-1012、1244-1017、1244-1024、1323-1013、1323-1014、1323-1015、1323-1016、1323-1018、及び1323-1019)は、300mgの安定な投薬のみ(SBO)群に由来した。予想した通りに、言語欠損は、通常、歩行欠損よりも先に進行した。エントリースコアはランダムに分布せず、12人の患者は3点の合算エントリースコアを伴う著しい疾患進行を有し、2人の患者は6点の合算エントリースコアを有した。急速な進行及び疾患の把握を考えれば、子供は、頻繁に明らかな低下を示し、同様に彼らの兄弟姉妹も明らかな低下を示す。
【0089】
本開示のrhTPP1配合物(上記表2に表示)よる治療の後に、CLN2歩行/言語疾患評価スコアは、
図3A~3Fに示すように安定化した。23人の患者のうち11人が、治療期間にわたって低下の反転を有しなかった。4人の患者は、治療の初期に単一単位の低下を有したが、それ以降は低下の反転がなかった。2人の患者(1244-1008及び1323-1013)は、スクリーニングとベースラインとの間で3~2点の1単位まで減少したが、治療の間に評価におけるいかなる追加の喪失も経験しなかった。これらの結果に基づくと、コホート(開始用量)またはエントリースコアとは無関係に、全ての患者において明確な治療効果があった。多くの患者において、反転した評価の降下があった。例えば、患者1287-1005(
図3B)は、治療の初めの月に、歩行及び言語の両方についての機能の喪失を表す、2単位の評価の減少を有した。しかしながら、この患者は、治療の60日目には回復し、解析の440日目まで、その後、正味の変化がなかった。回復したスコアは、言語の獲得であって、単一単位の変化の臨床上の重要性を強調した。
【0090】
参入時に6点のスコアを有する2人の患者は、いずれも評価単位を失わなかった。3点のエントリースコアを有した12人の患者のうちの7人は、低下の反転を見せず、2人は最初の単一単位の低下後に安定であった。したがって、治療効果は、著しい欠損及び疾患進行を有する患者において明らかであった。
【0091】
CLN2自然歴試験において立証されたように、未治療の自然歴集団における中間値評価は、毎年2.1単位と推定された。したがって、治療群における全ての患者は、未治療の自然歴集団の予期された転帰と比べて、改善された評価を有した。
【0092】
治療された患者と適合させた未治療の自然歴患者との間の疾患経過における明確な関係を確立するために、各試験患者を、ベースラインCLN2スコア、年齢及び遺伝子型のパラメータによって、未治療の自然歴患者と適合させた。CLN2疾患において進行を予測する明確な下位集団または因子は存在しないが、これらのパラメータは、疾患の重症度を規定するために使用される最も一般的なものである。
図4A~4Iに示すように、個々の治療された患者を、ベースラインにおいて同様な歩行/言語評価スコアを有する自然歴コホートの各メンバーと比較した。試験患者を、以下のように、ベースラインCLN2スコアによって適合させ:所定のベースラインスコアを有する所定の試験患者について、同じCLN2スコアを有する1つ以上のCLN2評価を有することが報告された全ての自然歴患者を特定した。試験患者のベースラインスコアが2、3、4、または5点であるならば、このときは、時間プロファイルに対する各自然歴患者のCLN2を、これが試験患者のベースラインスコアと重なり合うように、左または右側に時間シフトさせる。自然歴患者が、試験患者のベースラインCLN2スコアと等しくする複数の評価を有するならば、このときは、複数の評価の中間時間点を、時間シフトのために使用する。試験患者のベースラインCLN2スコアが6点であるならば、この時は、自然歴患者の6点の最終スコアを時間シフトするように使用する。感度解析は、他の適合基準を使用して行い、これらの解析からの結果は、スコア適合解析と一致した。
【0093】
図4A~4Iは、適合させた、未治療の自然歴患者に対してプロットした、本開示のrhTPP1配合物で治療した対象からの結果を示す。治療された対象及び未治療の自然歴患者は、0~6単位の歩行及び言語サブスケールを総計で使用する疾患評価スコアによって適合させた。それぞれの評価を、1年の治療の期間にわたって比較した。rhTPP1を受容した対象に対して、適合させた未治療の自然歴患者群の全てのメンバーと比べて、治療効果があった。対象1244-1001(
図4A)は、120日の治療後に、3単位から2単位までの評価の減少を有したが、単位を回復し、それ以降、正味の変化はなかった。対象1244-1002(
図4B)は、3単位から4単位までの評価の増加、4単位から2単位までの減少、及び2単位から3単位までの増加を有し、その結果、試験の終了時には、1日目と比較して、疾患評価の全体的維持をもたらした。対象1244-1003(
図4C)及び1244-1010(
図4I)は、6単位の評価、すなわち、正常な運動及び言語機能を、試験全体を通して維持した。対象1244-1004(
図4D)及び1244-1009(
図4H)は、3単位の評価を、試験全体を通して維持した。対象1244-1006(
図4E)は、初期に3単位から2単位までの評価の減少を有したが、単位を回復した後に、3単位から2単位まで再び減少し、以降、正味の変化はなかった。対象1244-1008(
図4G)は、初期に3単位から2単位までの評価の減少を有し、以降、正味の変化はなかった。
【0094】
治療された対象の全てとは対照的に、それらの適合させた未治療の自然歴患者は、比較期間の終了までに3単位から0単位までの反転しない評価の減少を有し、このことは、歩行及び言語の結合した機能の完全な欠損への進行を示唆している。適合解析は、その疾患評価スコアを維持し、初期の評価の降下を有するが、その後安定化する、これらの患者に対する治療効果を裏付けている。
【0095】
最も複雑な応答(対象1287-1005)を
図4Fに示している。この患者は、試験の最初の1ヶ月に、3点のベースラインスコアから1の試験スコアまで2単位まで急激に降下したが、この患者は、単位を回復し、2点のスコアで安定化することができた。この経過の解釈は、スコア適合させた未治療の自然歴患者との比較によって、明らかにされた。臨床的進行は、18人のスコア適合させた未治療の自然歴患者のうちの15人で悪化し、同じことがちょうど2人のスコア適合させた未治療の自然歴患者で起こった(単独の未治療の自然歴適合者は評価不能であった)。未治療の患者における臨床経過は、多くの場合失われたマイルストーン間の短い時間で、大抵悪化した。失われた機能の再構築及びその後の安定化は決してなかった。したがって、最も複雑な治療プロファイルへの適合も明確な治療効果の指標であった。
【0096】
図5は、試験対象と比較した、適合患者の治療期間に対する適合させた未治療の自然歴患者のベースラインからの臨床的変化の分布を表している。先に述べたように、9人の患者のうちの7人(>75%)が、ベースラインの疾患評価尺度で変化がなかった。治療期間におけるこれらの7人の患者に対する、全ての適合させた未治療の自然歴患者は、少なくとも単一の単位低下を有したが、最も一般的には、複数の単位の低下または2単位から4単位の低下があった。例として、患者1244-1001には、1点を失った1人の適合者、2点を失った3人の適合者、及び全ての利用可能な言語/歩行疾患評価点を失った14人の適合者がいた。したがって、同一期間において、治療された患者では変化はなかったが、18人の適合させた未治療の自然歴患者のうちの14人(>75%)が、全ての歩行及び言語機能を失った。多くの適合させた未治療の自然歴患者が、全ての利用可能な評価単位を失う、3点のベースラインエントリースコアによる床効果があったが、6点のエントリースコアを有する2人の患者(患者1244-1003及び1244-1010)は、重要なことに、これらの適合者がまた、治療期間において、一部が4点及び5点の低下を示す状態で、盛んに悪化していることを示した。この観察は、未治療の自然歴適合者が言語及び独立歩行を同じ時期に大きく失い、多くが機能の完全喪失に至る状況下にあって、大部分の治療された子供が、参入時の臨床評価を保持したという実質的な治療効果の明確な臨床的裏付けであった。1点を失った残りの2人の治療患者(対象1287-1005及び1287-1006)は、治療期間において、大多数の適合者よりも良好な臨床評価をなお有した。全体で、スコア適合させた未治療の自然歴患者のうちの97%が、治療された対象よりも不良な評価を有した。
【0097】
複数の適合基準(例えば、ベースライン、年齢、及び遺伝子型)を使用することによって、比較したうちのほぼ100%が、適合させた未治療の自然歴患者と比べて、好ましい治療効果を示した。自然歴患者と比べての全ての治療患者における適合基準に対する平均治療差は、利用された適合基準に応じて1.9~2.1点の範囲であった。
【0098】
図9Aは、≧48週間治療された患者(n=21、点線)及び自然歴コホート(n=41、実線)についての運動-言語評価における平均変化を示している。治療患者についての疾患評価における平均低下は、48週にわたって0.00単位の中間値低下で、0.43(標準偏差0.839)であった。これとは対照的に、自然歴コホートについての疾患評価における平均低下は、48週にわたって1.87単位の中間値低下で、2.09(標準偏差0.966)であった。全体として、治療患者についての予期された臨床低下の79%の有意な残存(sparing)(p<0.0001)があった。
図9Bは、最初の300mgの投与前の最終の測定(ベースライン)から、≧48週での最後の300mgの投与までの患者(n=23)についての運動-言語スコアにおける変化を示している。全体として、患者の65%(23人のうち15人)が、治療中に臨床的疾患進行を改善したか、または臨床的疾患進行を有せず、患者の87%(23人のうち20人)が、自然歴試験からの未治療の対象と比べて、治療中によりよい状態であった(すなわち、-1またはそれ以上のスコアの変化を有しなかった)。これらの解析は、急激かつ予測不能に低下する未治療の自然歴群の適合させたメンバーと比べて、治療患者におけるCLN2スコアの劇的かつ臨床上有意な安定化があったという結論を一様に支援している。
【0099】
視覚の臨床評価に及ぼす治療の効果未治療のCLN2患者において、視力低下は、言語及び歩行の低下よりも遅く発生するが、一旦症状が起こると、混経過は、予測不能に急激であり、失明に進む。したがって、視覚の維持は重要な治療転帰である。視力低下は、他のサブスケールと同様な様式で0~3点のサブスケールで捕らえることができ、ここでは、3点は正常であり、0点は機能的に盲目である。治療患者の大部分について治療期間中の視覚サブスケールドメインにおける反転できない喪失はなかった。治療患者を、歩行、言語、及び視覚サブスケールの複合尺度(0~9単位)を使用して、スコア、年齢、及び遺伝子型によって未治療の自然歴対象に適合させたとき、未治療の適合させた自然歴患者が、治療群と比べて追加の点数を失うことが明らかであった。
【0100】
図6A~6Iは、0~9単位の歩行、言語及び視覚サブスケールを総計として使用する疾患評価スコアによって適合させた、適合する未治療の自然歴患者に対してプロットされた、本開示のrhTPP1配合物で治療された9人の対象からの結果を示している。対象1244-1001(
図6A)は、6点から5点までの1単位の評価の減少を有したが、その後、6のスコアへのポイントまでゆっくりと回復し、以降正味の変化はなかった。対象1244-1002(
図6B)は、5点から6点までの評価の増加、その後の6点から4点までの減少、次いで4点から5点までの増加を有し、その結果、試験の終了時には、1日目と比較して、疾患評価の全体的維持をもたらした。対象1244-1003(
図6C)及び1244-1010(
図6I)は、試験全体を通して、正常な歩行、言語及び視覚を示す9点の評価を維持し、対象1244-1004(
図6D)及び1244-1009(
図6H)は、試験全体を通して6点の評価を維持し、対象1244-1008(
図6G)は、試験全体を通して5点の評価を維持した。対象1244-1006(
図6E)は、6点から5点までの1単位の初期評価の減少を有し、その後、4点までの更なる減少を有したが、5点の評価まで単位を回復し、それ以降正味の変化はなかった。対象1287-1005(
図6F)は、6てんから4点までの評価の減少を有したが、その後、4点から5点まで増加し、また4点まで減少したが、再び単位を回復し、最終的に5点の評価となった。
【0101】
視覚サブスケールの追加は、9人の患者において治療期間にわたって何の変化ももたらさなかった。しかしながら、スコア適合させた未治療の自然歴患者は、総計スコアに対する視力低下の大幅な寄与を有した。治療患者と比べて3点を超える差を有する複数の未治療の自然歴適合者がいて、このことは、試験期間にわたる視力低下の総計スコアへの寄与を示している。視力サブスケールの追加は、したがって、治療患者と適合させた未治療の自然歴患者との間の差を増加させた。適合させた未治療の自然歴患者における疾患評価単位の反転不能な喪失はないために、疾患進行の停止及び機能の安定化に関連するrhTPP1からの治療効果の観察は、運動/歩行及び言語から視覚の臨床ドメインを含むように拡大することができる。
【0102】
総合的疾患評価に及ぼす治療の効果患者はまた、完全なハンブルグまたはWCMCスコアを含む組み合わせた12点の尺度を使用して、試験の経過にわたって評価した。12点尺度のスコアは、(1)運動/歩行、(2)言語、(3)発作/ミオクローヌス、及び(4)視覚/摂食についての患者の個々のスコアの和であった。
図10A~10Lは、0~12単位の組み合わせたハンブルグ(左パネル)及びWCMC尺度(右パネル)を使用して、本開示のrhTPP1配合物で治療した対象からの結果を示す。23人の患者のうち16人は、少なくとも1つの尺度での反転できない低下は有せず、8人は、ベースラインと比べて、治療期間の終わりに少なくとも1つの尺度において増加したスコアを有し、rhTPP1を受容する患者において全体的な治療効果を確認した。
【0103】
脳体積に及ぼす治療の効果MRIを使用して、治療患者における副次的評価項目を評価した。疾患過程は、委縮、細胞喪失、及びシグナル異常によって特徴付けられる。これらのパラメータは、個別に、または複合スコアとして、患者の年齢及び疾患評価スコアに相関する。したがって、疾患進行が委縮のMRI指標に相関するということで一般に意見が一致しており、複数のMRIパラメータが、CLN2疾患における年齢及び疾患重症度と相関することが示されている(Dyke et al.,AJNR Am J Neuroradiol.2013「:34(4):884-9);(Paniagua et al.,Clin Neuroradiol.2013;23(3):189-96)。これらの結論を支援する撮像データベースは、かなりの数の患者の横断的相関に基づいているが、患者内のMRI画像の縦断的取得はない。したがって、縦断的研究から派生したMRI解析を同様に派生した自然歴データベースに適合させるための同様な能力はない。
【0104】
治療患者の解析については、MRI取得パラメータを、試験現場において、ハードウェアプラットホームに対して標準化した。データを局所的に取得し、情報を識別するために編集し、集中画像診断サービス(central imaging core lab)に伝送した。個々の放射線医師が、患者またはベースラインとの時間的関係を分からないように、画像をランダム化した。脳体積の変化を、ランダム化された独立中央読取りから再構成した。データを解析し、治療集団にわたるベースラインに対して縦断的に比較された試験を比較した。
図7は、治療患者においてMRIで測定した脳体積の概要を示している。第脳萎縮は、頭蓋内CSFのより大きな容積及び比率をもたらす。委縮のこれらの測定値における増加は、CLN2患者の年齢及び重症度に相関する。治療患者についてのCSF容積及び比率の縦プロットは、CSFパラメータの測定の、あったとしてもわずかな変化があるように思われることを示した。全ての患者は、一定の、評点評価の安定化と一致するように見えるMRI体積を有した。
【0105】
図8A~8Lは、試料患者における脳体積の縦MRI評価を示す。CLN2患者における活発な神経変性は、灰白質のめきんでた喪失及びCSFの代償性増大によって特徴付けられる。しかしながら、評価された期間では、非常に安定な脳体積が存在し、治療患者における神経変性過程の証拠はなかった。CSF及び灰白質プロット(点線)とCSFプロット(実線)との間の差として
図8A~8Lに示した灰白質の体積は、治療患者のそれぞれに対する試験全体を通して安定であった。≧48週の治療における最終的な観察と比較した、初めの300mgの注入(ベースライン)より前の最終の測定からの総脳体積のパーセントとしての皮質灰白質の体積における変化を、以下の表6に示している。
【表6】
皮質体積の縦変化は、正常な4~12歳の年齢の子供では毎年-1%であるが、未治療のCLN2患者については毎年-12.5%である。rhTPP1による治療中に、CSF、灰白質、及び白質の体積は、比較的一定に留まり、疾患に関連する皮質体積の喪失の89%を減ずる。
【0106】
有害事象1人の患者は、プロトコルを遵守することが不可能であったために離脱した。残りの23人の患者は、試験に残り、ICV経路を介してrhTPP1医薬品による治療を許容した。死亡、治療関連の離脱、または安全性に関連する理由のための試験の中断はなかった。装置移植の影響が最小であるように、全ての患者は、手術の1週間以内に投薬された。325人の注入のうち、わずか5人(1.5%)が何らかの理由で中断し、これらの中断患者のわずか2人(0.6%)が有害事象関連の理由のためであった。本試験で観察された最も頻繁な非CLN2疾患関連の有害事象は、発熱、過敏症、及び上気道感染症であった(それぞれ、対象全体の25%で)。概ね、これらの事象は軽度であって、自然治癒し、医学的に管理された。治験責任医師が特定した過敏症事象は、周辺症状とはほとんど関連せず、解熱剤、抗ヒスタミン剤及び/またはステロイドの併用で医学的に管理した。実験室データは、周辺実験室における臨床的に関連する変化がないことを裏付けた。CSFにおいては、一部の患者が、CSFグルコースまたはタンパク質の変化を伴わない軽度の一時的な髄液細胞増殖症を有した。要約すれば、案遠征パラメータの評価は、ICV注入を介してのrhTPP1配合物による治療が、全ての患者で許容されたことを立証した。
【0107】
結論
臨床試験は、36週を超える治療暴露を行った患者が、CLN2疾患の進行における完全な停止によって特徴付けられる有意な臨床効果を有することを立証し、これは、機能の獲得が、中等度の進行及び旺盛な変性を有する患者にとって、この時間枠では予想されないため、最大の治療効果を構成した。
【0108】
この所見は、ベースライン疾患評価、年齢、及び遺伝子型を含む複数のパラメータに基づいて、患者を自然歴データベースのメンバーに適合させる場合に、よりいっそう説得力があった。この適合は、治療された対象が、rhTPP1による治療の際に疾患進行の停止を経験した同じ時期に、適合させた未治療の自然歴患者が機能の実質的喪失を経験することを明らかにした。したがって、全ての治療患者は、適合させた未治療の自然歴患者における活動的な疾患進行と比べて、疾患進行の停止を示した。未治療の自然歴集団における低下の中央値評価は、低下の各単位が生理学的機能の有意なマイルストーン喪失を表す、利用可能な自然歴データに基づいて、毎年2.1点と推定した試験に参している。患者の大部分について、2単位の維持は、持続する独立歩行及び有意な意思伝達へと移行した。
【0109】
全体として、これらの結果は、本開示のrhTPP1配合物及び治療法が、許容できる安全性/忍容性プロファイルを有することを裏付けた。有害事象のために、試験または治療を中断した対象はいなかった。1人の患者は、プロトコルを遵守することが不可能であったために、1回の治療用量投与後に離脱した。PK及び免疫原性の分析は、高いCNS送達、及びCSF中の抗体の形成がないことを明らかにした。
【0110】
上記の実施例は、本明細書に記載されるrhTPP1を含む配合物及び方法が、CLN2疾患の予防もしく治療及び/またはCLN2の1つ以上の臨床症状において有効であることを裏付けている。その臨床経過が、急速で、避けがたく、かつ不可逆的な神経変性疾患の進行によって特徴付けられる疾患において、特にそれぞれの治療施行疾患において、疾患の進行を食い止めることは、実質的かつ予想外の臨床的有用性である。
【0111】
本明細書で引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、それぞれ個々の刊行物または特許出願が参照により組み込まれることを具体的かつ個々に示されているように、参照により本明細書に組み込まれる。上記の発明は、理解の明確化のために、例証及び実施例によりいくらか詳細に記載されているが、特定の変更及び修正が添付の特許請求の範囲の趣旨または範囲から逸脱することなくなされ得ることは、本開示の教示を考慮すれば当業者には明白であろう。