(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026748
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】エラーが発生しにくい金属固定材料フィードスルー
(51)【国際特許分類】
B60R 21/264 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
B60R21/264
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024003600
(22)【出願日】2024-01-12
(62)【分割の表示】P 2020570825の分割
【原出願日】2019-07-15
(31)【優先権主張番号】102018005733.0
(32)【優先日】2018-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr. 10, 55122 Mainz, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス プファイファー
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート ハートル
(72)【発明者】
【氏名】ラインハート ランフトル
(72)【発明者】
【氏名】オンドレイ ロウセック
(72)【発明者】
【氏名】西脇 進
(72)【発明者】
【氏名】ローベアト ヘットラー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コネクタ上へのまたはコネクタ内への最終製品の差込みの際により確実に組み立てることができる点で優れている、導体を備えた金属固定材料フィードスルーを提供する。
【解決手段】エアバッグおよび/またはシートベルトプリテンショナのイグナイタ用の金属固定材料フィードスルーであって、ガラスのまたはガラスセラミックの固定材料内で基体の貫通孔内に融着された少なくとも1つの金属ピンを有していて、金属は後加熱された状態で存在しており、固定材料と金属ピンとの間の境界面と、固定材料と基体の貫通孔の内面との間の別の境界面と、を有している金属固定材料フィードスルーにおいて、少なくとも1つの金属ピンは、少なくともそのコア領域で、特殊鋼を、好適にはクロム含有の特殊鋼を含んでおり、この特殊鋼は、所定の熱膨張係数α
金属ピンを有していることを特徴とする、金属固定材料フィードスルー。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアバッグおよび/またはシートベルトプリテンショナのイグナイタ用の金属固定材料フィードスルーであって、ガラスのまたはガラスセラミックの固定材料(10)内で基体(1)の貫通孔(4)内に融着された少なくとも1つの金属ピン(5)を有している金属固定材料フィードスルーにおいて、
前記少なくとも1つの金属ピン(5)は、少なくともそのコア領域で、EN10020の規格に基づく特殊鋼から成っており、前記特殊鋼は、1.00±0.03mmの金属ピン直径および11.68±0.02mmの金属ピン長さを有する標準寸法に換算された前記少なくとも1つの金属ピン(5)が、0.13mm未満の、好適には0.15mm未満の、特に好適には0.18mm未満のまたは0.20mm未満の、極めて特に好適には0.24mm未満の、特に0.01~0.26mmの範囲にある、最大弾性撓みWmaxを有するように、選択されていることを特徴とする、
金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項2】
前記特殊鋼は、3N~4Nの範囲の機械的負荷のもとで、最大0.21mmの変位が、特に弾性的な変位が生じるように選択されている、
請求項1記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの金属ピンの機械的負荷0.25%(ひずみ)は、450MPaを超える、好適には480MPaを超える、または500MPaを超える、特に好適には450MPa~700MPaの応力に相当する、
請求項1または2記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項4】
前記貫通孔(4)の前記ガラス材料からの前記金属ピンの抜去力は、250Nより高く、特に250N~400Nであり、好適には300N~380Nである、
請求項1から3までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項5】
前記基体(1)は、金属、特に鋼、ステンレス鋼、特殊鋼、チタン、チタン合金、マグネシウム、マグネシウム合金、アルミニウム合金、アルミニウム、またはAlSiCから成っている、かつ/または、これらを実質的に含んでいる、
請求項1から4までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの金属ピン(5)の前記特殊鋼は、EN10020の規格に基づく合金特殊鋼であって、特に好適にはクロム含有の特殊鋼であって、特に好適には前記特殊鋼は、フェライト系特殊鋼および/または析出硬化系特殊鋼のグループから選択されている、
請求項1から5までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの金属ピンの前記特殊鋼は、好適にはクロム含有の特殊鋼は、温度650℃での熱膨張係数α金属ピンが、9~15の、好適には11.0×10-6/K~14.0×10-6/Kの、好適には11.5×10-6/K~14.0×10-61/Kの、特に11×10-6/K~13.5×10-61/Kの、特に好適には11.5×10-6/K~12.5×10-61/Kの範囲にあるように選択されている、
請求項1から6までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項8】
前記ガラスのまたはガラスセラミックの固定材料は、前記固定材料のTgまでの温度で、4×10-61/K~10.6×10-61/Kの範囲の熱膨張係数αガラスを有している、
請求項1から7までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項9】
前記基体は、前記ガラスの熱膨張係数αガラスよりも少なくとも2×10-61/K、好適には10×10-61/K高い、好適には11×10-61/K~18×10-61/Kの範囲にある熱膨張係数α基体を有している、
請求項1から8までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの金属ピン(5)は、少なくとも1つの曲げ点(50)を有しており、好適には前記金属ピン(5)は、前記貫通孔(4)内における前記金属ピン(5)の領域と、当該領域の反対側にある前記金属ピンの端部における接続領域と、の軸線のオフセットSが生じるように曲げられている、
請求項1から9までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項11】
少なくとも1つの別の金属ピン(6)は、前記基体(1)に導電接続されていて、特にろう接(7)または溶接により、接続されている、
請求項1から10までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項12】
前記基体に導電接続された前記金属ピン(6)は、少なくともそのコア領域で、非特殊鋼から、特にNiFeから成っており、前記金属ピン(6)は、溶接により前記基体に接続されていて、好適には前記金属ピン(6)は、焼きなましされていない状態で存在している、
請求項1から11までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項13】
前記別の金属ピン(6)は、少なくとも1つの曲げ点(60)を有しており、好適には前記別の金属ピン(6)は、前記基体に接続された前記金属ピン(6)の領域と、当該領域の反対側にある前記金属ピンの端部における接続領域と、の軸線のオフセットが生じるように曲げられている、
請求項11記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項14】
前記貫通孔(4)内でガラス封止された前記少なくとも1つの金属ピン(5)および/または前記基体(1)に導電接続された前記金属ピン(6)は、ニッケルコーティングされていて、好適にはニッケル層は、
-ガラス封止された前記金属ピン(5)の、少なくとも前記ニッケル層の領域上に金層が設けられている領域、特に前記金属ピン(5)の端部の接続領域、
-ガラス封止された前記金属ピン(5)の、前記固定材料に接触している領域、
-前記基体に導電接続された前記金属ピン(6)の、少なくとも前記ニッケル層の領域上に金層が設けられている領域、特に前記金属ピン(6)の端部の接続領域、
-前記基体に導電接続された前記金属ピン(6)の、前記金属ピン(6)が金属性のろう材料(7)によって前記基体に接続されている領域、
のグループおよびこれらのグループの組み合わせから選択された、前記金属ピン(5,6)の領域に存在している、
請求項1から13までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項15】
前記貫通孔(4)内でガラス封止された前記少なくとも1つの金属ピン(5)および/または前記基体(1)に導電接続された前記金属ピン(6)は、金コーティングされていて、好適には金層は、少なくとも、前記各金属ピンの、前記基体内にかつ/または前記基体の表面に位置する端部とは反対側に位置する、前記金属ピン(5)および/または前記基体に導電接続された金属ピン(6)の接続領域に存在している、
請求項1から14までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項16】
エアバッグおよび/またはシートベルトプリテンショナのイグナイタ用の金属固定材料フィードスルーであって、ガラスのまたはガラスセラミックの固定材料(10)内で基体(1)の貫通孔(4)内に融着された少なくとも1つの金属ピン(5)を有している金属固定材料フィードスルーにおいて、
前記少なくとも1つの金属ピン(5)は、少なくともそのコア領域でEN10020の規格に基づく特殊鋼から成っており、温度650℃での熱膨張係数α金属ピンは、9~15の、好適には11.0×10-6/K~14.0×10-6/Kの、好適には11.5×10-6/K~14.0×10-61/Kの、または11×10-6/K~13.5×10-61/Kの、特に好適には11.5×10-6/K~12.5×10-61/Kの範囲にあることを特徴とする、
金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項17】
前記ガラスのまたはガラスセラミックの固定材料は、前記固定材料のTgまでの温度で、4×10-61/K~10.6×10-61/Kの範囲の熱膨張係数αガラスを有している、
請求項16記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項18】
前記基体は、前記ガラスの熱膨張係数αガラスよりも少なくとも2×10-61/K、好適には10×10-61/K高い、好適には11×10-61/K~18×10-61/Kの範囲にある熱膨張係数α基体を有している、
請求項16または17記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項19】
前記少なくとも1つの金属ピン(5)の前記特殊鋼は、EN10020の規格に基づく合金特殊鋼であって、特に好適にはクロム含有の特殊鋼であって、特に好適には前記特殊鋼は、フェライト系特殊鋼および/または析出硬化系特殊鋼のグループから選択されている、
請求項16から18までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項20】
前記少なくとも1つの金属ピン(5)の前記特殊鋼は、クロム合金鋼であって、またはクロム当量を有しており、前記クロム当量は、%Cr+%Mo+1.5×%Si+0.5×%Nbである、
請求項16から19までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項21】
前記少なくとも1つの金属ピン(5)の前記特殊鋼は、10重量%~30重量%の、好適には12重量%~28重量%のクロム含有量またはクロム当量を有している、
請求項16から20までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項22】
前記貫通孔(4)の前記ガラス材料からの前記金属ピンの抜去力は、250Nより高く、特に250N~400Nであり、好適には300N~380Nである、
請求項16から21までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項23】
前記基体(1)は、金属、特に鋼、ステンレス鋼、特殊鋼、チタン、チタン合金、マグネシウム、マグネシウム合金、アルミニウム合金、アルミニウム、またはAlSiCから成っている、かつ/または、これらを実質的に含んでいる、
請求項16から22までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項24】
前記少なくとも1つの金属ピン(5)は、少なくともそのコア領域で、EN10020の規格に基づく特殊鋼から成っており、前記特殊鋼は、1.00±0.03mmの金属ピン直径および11.68±0.02mmの金属ピン長さを有する標準寸法に換算された前記少なくとも1つの金属ピン(5)が、0.13mm未満の、好適には0.15mm未満の、特に好適には0.18mm未満のまたは0.20mm未満の、極めて特に好適には0.24mm未満の、特に0.01~0.26mmの範囲にある、最大弾性撓みWmaxを有するように、選択されている、
請求項16から23までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項25】
前記少なくとも1つの金属ピン(5)は、少なくとも1つの曲げ点(50)を有しており、好適には前記金属ピン(5)は、前記貫通孔(4)内における前記金属ピン(5)の領域と、当該領域の反対側にある前記金属ピンの端部における接続領域と、の軸線のオフセットSが生じるように曲げられている、
請求項16から24までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項26】
少なくともそのコア領域で、請求項1から25までのいずれか1項記載の材料から成る少なくとも1つの別の金属ピン(6)は、前記基体(1)に導電接続されていて、特にろう接(7)または溶接により、接続されている、
請求項16から25までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項27】
前記基体に導電接続された前記金属ピン(6)は、少なくともそのコア領域で、非特殊鋼から、特にNiFeから成っており、前記金属ピン(6)は、溶接により前記基体に接続されていて、好適には前記金属ピン(6)は、焼きなましされていない状態で存在している、
請求項16から26までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項28】
前記別の金属ピン(6)は、少なくとも1つの曲げ点(60)を有しており、好適には前記別の金属ピン(6)は、前記基体に接続された前記金属ピン(6)の領域と、当該領域の反対側にある前記金属ピンの端部における接続領域と、の軸線のオフセットが生じるように曲げられている、
請求項26または27記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項29】
前記貫通孔(4)内でガラス封止された前記少なくとも1つの金属ピン(5)および/または前記基体(1)に導電接続された前記金属ピン(6)は、ニッケルコーティングされていて、好適にはニッケル層は、
-ガラス封止された前記金属ピン(5)の、少なくとも前記ニッケル層の領域上に金層が設けられている領域に、特に前記金属ピン(5)の端部の接続領域、
-ガラス封止された前記金属ピン(5)の、前記固定材料に接触している領域、
-前記基体に導電接続された前記金属ピン(6)の、少なくとも前記ニッケル層の領域上に金層が設けられている領域に、特に前記金属ピン(6)の端部の接続領域、
-前記基体に導電接続された前記金属ピン(6)の、前記金属ピン(6)が金属性のろう材料(7)によって前記基体に接続されている領域、
のグループおよびこれらのグループの組み合わせから選択された、前記金属ピン(5,6)の領域に存在している、
請求項16から28までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項30】
前記貫通孔(4)内でガラス封止された前記少なくとも1つの金属ピン(5)および/または前記基体(1)に導電接続された前記金属ピン(6)は、金コーティングされていて、好適には金層は、少なくとも、前記各金属ピンの、前記基体内にかつ/または前記基体の表面に位置する端部とは反対側に位置する、前記金属ピン(5)および/または前記基体に導電接続された金属ピン(6)の接続領域に存在している、
請求項16から29までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項31】
エアバッグおよび/またはシートベルトプリテンショナのイグナイタ用の金属固定材料フィードスルーであって、ガラスのまたはガラスセラミックの固定材料(10)内で基体(1)の貫通孔(4)内に融着された少なくとも1つの金属ピン(5)と、火薬に面していて、特に点火ブリッジ(9)を取付け可能な、または点火ブリッジ(9)が取り付けられている上面と、前記上面とは反対側の下面と、を有している、金属固定材料フィードスルーにおいて、
前記少なくとも1つの金属ピン(5)と前記基体(1)とは、適合性のある材料組み合わせから成っており、点火ブリッジ(9)が取り付けられている場合に、かつ/または、前記基体の表面が導電性の膜で被覆されている場合に、前記基体の前記表面でアノード反応および/またはカソード反応は発生しないように、または僅かな範囲でしか発生しないように形成されていることを特徴とする、
金属固定材料フィードスルー。
【請求項32】
前記少なくとも1つの金属ピン(5)と前記基体(1)とは、電気化学ポテンシャルを有しており、前記金属ピン(5)と前記基体(1)との前記電気化学ポテンシャルの差の絶対値は、最大0.3Vであり、好適には金属ピン(5)と基体(1)との電気化学ポテンシャルは、実質的に同じである、
請求項31記載の金属固定材料フィードスルー。
【請求項33】
前記金属ピン(5)と前記基体(1)との前記電気化学ポテンシャルの差の絶対値は、0.1V~0.0Vの、好適には0.05V~0.0Vの範囲にある、
請求項31または32記載の金属固定材料フィードスルー。
【請求項34】
海水に対する前記金属ピン(5)および/または前記基体(1)の前記電気化学ポテンシャルの差の絶対値は、最大0.36Vであり、特に0.36V~0.0Vの範囲にある、
請求項31から33までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー。
【請求項35】
前記少なくとも1つの金属ピン(5)は、少なくともそのコア領域で、ならびに前記基体は、少なくともその上面で、EN10020の規格に基づく特殊鋼から成っている、
請求項31から34までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー。
【請求項36】
前記金属ピンおよび前記基体の前記特殊鋼は、前記金属ピン(5)および前記基体(1)の前記特殊鋼が、その表面でパッシベーション膜を、好適には吸収性の水膜に対向して形成するように選択されている、
請求項31から35までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー。
【請求項37】
前記少なくとも1つの金属ピン(5)は、少なくともそのコア領域で、EN10020の規格に基づく特殊鋼から成っており、温度650℃でのその熱膨張係数α金属ピンが、9~15の、好適には11.0×10-6/K~14.0×10-6/Kの、好適には11.5×10-6/K~14.0×10-61/Kの、または11×10-6/K~13.5×10-61/Kの、特に好適には11.5×10-6/K~12.5×10-61/Kの範囲にある、エアバッグのイグナイタのための、請求項31から36までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー。
【請求項38】
前記ガラスのまたはガラスセラミックの固定材料は、前記固定材料のTgまでの温度で、4×10-61/K~10.6×10-61/Kの範囲の熱膨張係数αガラスを有している、
請求項31から37までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー。
【請求項39】
前記基体は、前記ガラスの熱膨張係数αガラスよりも少なくとも2×10-61/K、好適には10×10-61/K高い、好適には11×10-61/K~18×10-61/Kの範囲にある熱膨張係数α基体を有している、
請求項31から38までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー。
【請求項40】
前記少なくとも1つの金属ピン(5)の前記特殊鋼は、EN10020の規格に基づく合金特殊鋼であって、特に好適にはクロム含有の特殊鋼であって、特に好適には前記特殊鋼は、フェライト系特殊鋼および/または析出硬化系特殊鋼のグループから選択されている、
請求項31から39までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー。
【請求項41】
前記貫通孔(4)の前記ガラス材料からの前記金属ピンの抜去力は、250Nより高く、特に250N~400Nであり、好適には300N~380Nである、
請求項31から40までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項42】
前記基体(1)は、金属、特に鋼、ステンレス鋼、特殊鋼、チタン、チタン合金、マグネシウム、マグネシウム合金、アルミニウム合金、アルミニウムから成っていて、またはこれらを実質的に含んでいて、好適には前記基体(1)は、少なくともほぼ、タイプ316、317、302、304、321、317、430、410、および/または416の特殊鋼から成っている、
請求項31から41までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項43】
前記少なくとも1つの金属ピン(5)は、少なくともそのコア領域で、EN10020の規格に基づく特殊鋼から成っており、1.00±0.03mmの金属ピン直径および11.68±0.2mmの金属ピン長さを有する標準寸法に換算された前記少なくとも1つの金属ピン(5)は、0.13mm未満の、好適には0.15mm未満の、特に好適には0.18mm未満のまたは0.20mm未満の、極めて特に好適には0.24mm未満の、特に0.01~0.26mmの範囲にある、最大弾性撓みWmaxを有している、
請求項31から42までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項44】
前記基体に導電接続された前記金属ピン(6)は、少なくともそのコア領域で、非特殊鋼から、特にNiFeから成っており、前記金属ピン(6)は、溶接により前記基体に接続されていて、好適には前記金属ピン(6)は、焼きなましされていない状態で存在している、
請求項31から43までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項45】
前記貫通孔(4)内でガラス封止された前記少なくとも1つの金属ピン(5)および/または前記基体(1)に導電接続された前記金属ピン(6)は、ニッケルコーティングされていて、好適にはニッケル層は、
-ガラス封止された前記金属ピン(5)の、少なくとも前記ニッケル層の領域上に金層が設けられている領域に、特に前記金属ピン(5)の端部の接続領域に、
-ガラス封止された前記金属ピン(5)の、前記固定材料に接触している領域に、
-前記基体に導電接続された前記金属ピン(6)の、少なくとも前記ニッケル層の領域上に金層が設けられている領域に、特に前記金属ピン(6)の端部の接続領域に、
-前記基体に導電接続された前記金属ピン(6)の、前記金属ピン(6)が金属性のろう材料(7)によって前記基体に接続されている領域、
のグループおよびこれらのグループの組み合わせから選択された、前記金属ピン(5,6)の領域に存在している、
請求項31から44までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項46】
前記貫通孔(4)内でガラス封止された前記少なくとも1つの金属ピン(5)および/または前記基体(1)に導電接続された前記金属ピン(6)は、金コーティングされていて、好適には金層は、少なくとも、前記各金属ピンの、前記基体内にかつ/または前記基体の表面に位置する端部とは反対側に位置する、前記金属ピン(5)および/または前記基体に導電接続された金属ピン(6)の接続領域に存在している、
請求項31から45までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【請求項47】
請求項2から15または請求項17から30または請求項32から46の少なくとも1項と組み合わされている、請求項1または16または31記載の金属固定材料フィードスルー(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、高圧にさらすことのできる装置のための、好適にはエアバッグまたはシートベルトプリテンショナのイグナイタのような人員保護装置のための、金属固定材料フィードスルーであって、固定材料、好適にはガラス材料またはガラスセラミック材料内に融着された少なくとも1つの金属ピンを有している、金属固定材料フィードスルーに関する。
【背景技術】
【0002】
金属固定材料フィードスルーは、従来技術により様々な構成で公知である。
【0003】
金属固定材料フィードスルーは、固定材料、特にガラス、ガラスセラミック、またはプラスチックと金属との真空密な融着を含む。この場合、金属は電気的な導体として機能する。
【0004】
この場合、代表的な例として、米国特許第5345872号明細書または米国特許第3274937号明細書が参照される。このような形式のフィードスルーは、電子工学および電子技術において広く使用されている。融着のために使用される材料、特にガラスは、この場合、絶縁体として機能する。典型的な金属固定材料フィードスルーは、金属的な内部導体がガラス材料内に取り付けられように構成されており、この場合、ガラス材料は、外側の金属部分内に、リング状またはプレート状のエレメントから形成されるいわゆる基体内に融着される。
【0005】
このような形式の金属固定材料フィードスルーの好適な使用例としては、例えば点火装置が当てはまる。このような点火装置は、とりわけ、自動車のエアバッグまたはシートベルトプリテンショナのために使用される。この場合、金属固定材料フィードスルーは点火装置の構成部分である。点火装置全体は、金属固定材料フィードスルーの他に、点火ブリッジ、爆薬、ならびに点火機構を密に取り囲む金属カバーを含む。フィードスルーは、1つまたは2つまたは3つ以上の金属ピンを貫通ガイドすることができる。金属性のピンを備えた特に好適な実施形態では、ケーシングは、アース上にあり、好適な2極構成では、アースは一方のピン上に位置している。
【0006】
米国特許出願公開第2006/0222881号明細書、米国特許出願公開第2004/0216631号明細書、欧州特許出願公開第1455160号明細書、米国特許出願公開第2007/0187934号明細書、ならびに米国特許第1813906号明細書により、特にエアバッグまたはシートベルトプリテンショナのイグナイタ用の金属固定材料フィードスルーが公知であり、この金属固定材料フィードスルーは、金属ピン用の貫通孔が基体から打ち抜かれていることを特徴とする。米国特許出願公開第2007/0187934号明細書によれば、基体の製作の際には、1mm~5mmの、好適には1.5mm~3.5mmの、特に1.8mm~3.0mmの、極めて特に好適には2.0mm~2.6mmの範囲の厚さを有する帯材料から、基体Dの全厚さを貫通する開口が、打抜き加工プロセスにより打ち抜かれる。
【0007】
基体は一般的にヘッダーとも呼ばれる。
【0008】
国際公開第2012/110242号により公知のフィードスルーでは、内部に導体がガラス封止されている基体がケーシング内に、溶接、ろう接、プレス嵌め、圧着、または収縮嵌めにより、気密に取り付けられる。ケーシング部分および/または基体、好適には実質的にリング状の基体は、国際公開第2012/110242号では、材料として、金属、特に軽金属、例えばチタン、チタン合金、マグネシウム、マグネシウム合金、アルミニウム合金、アルミニウム、AlSiCを含んでおり、しかしながら鋼、ステンレス鋼、または特殊鋼も含んでいる。
【0009】
固定材料内の金属ピンは、上記範囲にある基体の厚さ全体Dにわたって、基体に打ち抜かれた貫通孔内に挿入される、特にガラス封止される。ガラス封止は、まず金属ピンを固定材料、例えばガラス栓内に融着することにより行われる。その後、金属ピンをガラス材料と共に貫通孔内に挿入し、金属ピン、ガラス材料、および基体を加熱し、冷却後、金属、好適には基体の金属が、固定材料、例えばガラス栓上で収縮するようにする。
【0010】
基体の膨張係数は、固定材料の膨張係数よりも大きいので、冷却後、圧縮型ガラス金属封止が、特に気密な圧縮型ガラス金属封止が形成される。
【0011】
気密とは、本願では、ヘリウム漏れが1×10-8mbar l/秒未満であると理解されたい。
【0012】
冷却後および後の熱サイクル後も作動状態において持続的にシールされている継続的な圧縮型ガラス金属封止を製作するために、従来技術では、特にエアバッグおよび/またはシートベルトプリテンショナのような人員保護装置のイグナイタでは、関与する材料の熱膨張係数が互いに所定の比率を有していなければならないということを前提としている。圧縮型ガラス金属封止では、ガラス体とも呼ばれるガラス材料上に基体を収縮嵌めすべきであるので、基体の熱膨張係数は、ガラス材料の熱膨張係数よりも大きくなければならない。冷却されたときに、ガラス封止された金属ピンがガラス材料からはずれてはならないので、公知の手段では、金属ピンも、ガラス材料よりも小さい熱膨張係数を有している。したがって、人員保護装置のイグナイタで、基体の材料として特殊鋼が使用される場合には、通常、ニッケル鉄もしくはニッケル鉄合金から成る金属ピンが、ガラス材料内に封止される。
【0013】
さらに、米国特許出願公開第2007/0187934号明細書による2つ以上のピンを備えたフィードスルーでは貫通孔が偏心的に配置されている。
【0014】
米国特許出願公開第2007/0187934号明細書による、金属板材料からの基体の打抜きは欠点を有している。1つの欠点は、帯材料から、例えば金属板から、基体を打抜く際に、所定の割合の材料廃棄物が生じることにある。
【0015】
独国特許出願公開第102010045624号明細書により、基体をワイヤ材料から冷間変形加工法により製作し、基体に開放領域を設けることが提案されており、これにより、冷間変形加工法によって製作された基体からも貫通孔を打ち抜くことができる。
【0016】
独国特許出願公開第102006056077号明細書には、特にエアバッグまたはシートベルトプリテンショナのための花火技術的な保護装置が示されており、この装置は、基体に設けられた貫通孔を備えていて、この貫通孔は基体に打抜き加工により設けられる。
【0017】
金属固定材料フィードスルーについてのさらなる文献は、例えば欧州特許出願公開第1491848号明細書、欧州特許出願公開第1455160号明細書、欧州特許出願公開第1813906号明細書、欧州特許出願公開第2431703号明細書、または独国特許出願公開第102006004036号明細書である。
【0018】
特に、2つの金属ピンを備えた金属固定材料フィードスルーでは、少なくとも1つの金属ピンを取り付ける貫通孔が、多くの場合は偏心的に配置されている。偏心的な貫通孔は、効率的な大量生産では欠点を有する恐れがある。
【0019】
金属固定材料フィードスルーに関する上記全ての出願からは、特に金属ピンがガラス材料内にガラス封止された後、確実な後加工を、例えば組み立てを可能にするピン材料は公知にされていない。国際公開第2012/110245号に開示されたピン材料、特にNiFeは、自動化された製造装置における効率的な大量生産で、かつ/または例えばイグナイタのための金属固定材料フィードスルーのさらなる加工および/または最終製品の組み立ての際に、例えばコネクタへ差し込むときに曲がる傾向があり、極端な場合には破断する恐れがあり、これにより例えば、望ましくない欠陥品が生じる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
そこで本発明の課題は、従来技術の欠点を回避し、効率的な大量生産でより僅かな欠陥品率で製作することができ、かつ/または、例えばコネクタ上へのまたはコネクタ内への最終製品の差込みの際により確実に組み立てることができる点で優れている、導体を備えた金属固定材料フィードスルーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明によればこの課題は、少なくとも1つの金属ピンを備えた金属固定材料フィードスルーにおいて、少なくとも1つの金属ピンが、少なくともそのコア領域で、EN10020の規格に基づく特殊鋼から成っており、この金属ピンは、この特殊鋼が、1.00±0.03mmの金属ピン直径、および11.68±0.2mmの金属ピン長さを有する標準寸法に換算された金属ピンが、0.13mm未満の、好適には0.15mm未満の、好適には0.18mm未満の、特に0.20mm未満の、極めて特に好適には0.21mm未満の、最大弾性撓みを有するように、選択されていることを特徴とする、金属固定材料フィードスルーにより解決される。極めて好適には、最大弾性撓みは、0.01~0.26mmの範囲にある。
【0022】
弾性撓みとは、本発明の概念では、機械的負荷が取り去られると、金属ピンが、少なくともほぼ再び元の形状に戻る、金属ピンの撓みを意味する。この場合、少なくともほぼ塑性変形は生じない、または換言すると、金属ピンの材料は、上記負荷範囲では弾性変形の範囲にある。
【0023】
金属ピン長さとは、ガラス封止の下面からの金属ピンの突出を測定したものであり、したがって、ガラス封止の長さおよび/またはヘッダーの厚さは関係ない。
【0024】
本発明によれば金属ピンは、ガラスのまたはガラスセラミックの材料内で、基体の貫通孔内に融着されているので、金属ピンはガラス封止の際に、通常、600℃以上の温度に、特に650℃以上に加熱される。その後、金属ピンは再び冷却される。これにより、金属ピンの特殊鋼は、ガラス封止後、加熱後の冷却状態で存在しているので、これは一般的に焼きなまし状態、または英語で「annealed」と言われる。焼きなましされた特殊鋼の材料特性は、未加工状態、すなわち焼きなましされていない状態とは大きく異なる。
【0025】
金属ピンは、内実の材料として、またはコーティングされた内実の材料として存在してよい。コーティングされた金属ピンの場合は、金属ピンのコア領域は内実の材料と言われ、すなわち、コーティングによって取り囲まれた特殊鋼材料である。
【0026】
本発明は、特殊鋼ピンが、特に焼きなましされた状態で、僅かな可撓性により優れているという利点を有している。これは特殊鋼ピンを塑性変形させるためには、従来使用されているニッケル鉄ピンの場合よりも大きな機械的負荷が必要であることを意味する。または換言すると、塑性変形以下の機械的負荷が加えられた場合には、特殊鋼ピンは弾性変形可能なままである。これにより、生産ラインで特殊鋼ピンの変形の可能性が減少するので、とりわけ製造プロセスが良好になる。同様に、例えばコーティングまたは端部の研磨といった後加工において、例えば工具のより正確な位置決めを行うことができる。曲げられていない、すなわち目標寸法から逸れていない金属ピンを、コネクタ等に差し込むこともより簡単になる。
【0027】
3N~4Nの範囲の標準的な負荷テストの際に、金属ピンが最大0.21mmの変位を示すように、すなわち変位が0.21mm未満であるように、特殊鋼が選択されているならば特に好適である。このような僅かな変位の場合には、金属ピンの弾性撓みもしくは弾性変形しか行われないので、金属ピンは再び出発状態に戻される。
【0028】
このために標準的な負荷テストは、1.00±0.03mmの寸法および11.68±0.02mmの金属ピン長さを有した金属ピンに、ピン軸線に対して垂直に上記機械的負荷を加え、特に弾性曲げの限界に到達する限界値Wmaxまで、変位を測定するように構成されている。金属ピンが他の寸法を有している場合は、標準負荷テストの寸法で対応する金属ピンを製作するか、または変位を相応に計算しなければならない。
【0029】
本発明による金属ピンが、少なくとも1つの金属ピンの機械的負荷0.25%(ひずみ)が、450MPaを超える、好適には480MPaを超える、または500MPaを超える、特に好適には450MPa~700MPaの応力に相当するように選択されているならば特に好適である。応力が高いと、可撓性が低く、すなわち塑性変形の境界も高くなるが、高い応力を有する材料は、後加工が困難であり、特に研削がより困難であるので、これらの範囲が特に好適である。これらの範囲は、特殊鋼から成る焼きなましされた金属ピンの方が、従来技術により公知であるようなニッケル鉄製の焼きなましされた金属ピンよりも高い。
【0030】
驚くべきことに、ピン材料として特殊鋼を使用する場合、貫通孔のガラス材料からの金属ピンの抜去力は、250Nより高く、特に250N~400Nであり、好適には300N~380Nであることが確認された。これは、ガラス封止された、ひいては焼きなましされた特殊鋼金属ピンは、圧縮型ガラス金属封止の圧力により良好に抵抗できるほど硬いためであると推測される。換言しわかりやすく言うと、基体が、上述したように、冷却の際に、貫通孔内のガラス体上で収縮すると、圧力はガラス体を介して金属ピンへとかけられる。金属ピンが柔らかいと、この圧力に屈して、ガラス体におけるクランプ作用は、より硬い金属ピンの場合よりも弱くなる可能性がある。この場合、クランプ作用は、抜去力に関する重要な側面である。
【0031】
好適な実施形態では、特殊鋼金属ピンが基体内へガラス封止されており、この基体も、金属、特に鋼、ステンレス鋼、特殊鋼、チタン、チタン合金、マグネシウム、マグネシウム合金、アルミニウム合金、アルミニウム、またはAlSiCから成っていてよい。
【0032】
特に好適には、基体の材料としては、金属ピンの、特に固定材料内に配置される金属ピンの材料ためのものと同じ材料クラスが使用され、すなわち特殊鋼金属ピンと特殊鋼基体、もしくはチタン金属ピンとチタンまたはチタン合金基体、またはそれらの逆等となる。発明者らは、同じ材料クラスの選択により、生じ得る電気化学的な腐食を抑制することができることを認識しており、このことは、特にクリーニングおよび/または電気メッキの際の生産プロセスにとって好適であり得、さらに最終製品、例えばイグナイタの長期の耐用期間にも貢献することができる。
【0033】
少なくとも1つの金属ピン(5)の特殊鋼が、EN10020の規格に基づく合金特殊鋼であって、特に好適にはクロム含有の特殊鋼であるならば特に好適である。
【0034】
好適には、特殊鋼は、
-フェライト系特殊鋼、
-析出硬化系特殊鋼、
のグループから選択されている。
【0035】
場合によってはマルテンサイト系特殊鋼も考えられる。
【0036】
特殊鋼は、熱膨張係数の上述した比を有していないので、特殊鋼製のガラス封止された金属ピンによって、継続的に安定的なフィードスルーが得られることは驚くべきことである。すなわち、通常は、特殊鋼の熱膨張係数は、ガラス封止のために使用される固定材料、特にガラス材料および/またはガラスセラミック材料の熱膨張係数よりも大きい。実際にこの比に該当するニッケル鉄ピンによる抜去力よりもさらに大きな抜去力が達成可能であるということは、発明者の功績であり、事前に予見はされていなかった。
【0037】
この場合も特に好適な範囲が存在している。すなわち特殊鋼が、温度650℃での熱膨張係数α金属ピンまたはCTE(P)が、9.0×10-6/K~15.0×10-6/Kの、好適には11.0×10-6/K~14.0×10-6/Kの、好適には、11.5×10-6/K~14.0×10-6/Kの、または11.0×10-6/K~13.5×10-6/Kの、特に好適には、11.5×10-6/K~12.5×10-6/Kの範囲にあるように選択されているならば、好適である。
【0038】
好適な実施形態では、ガラスのまたはガラスセラミックの固定材料は、この固定材料の、特にガラス材料および/またはガラスセラミック材料のTgまでの温度で、4×10-61/K~10.6×10-61/Kの範囲の熱膨張係数αガラスを有している。好適には、熱膨張のこの状態は、特に、特殊鋼の熱膨張の上記状態と組み合わせられる。
【0039】
基体が、固定材料の熱膨張係数αガラスよりも少なくとも2×10-61/K、好適には10×10-61/K高い熱膨張係数α基体を有しているならばさらに好適であり、好適には、α基体は11×10-61/K~18×10-61/Kの範囲にある。特殊鋼および固定材料の熱膨張係数の上記状態の一方との、または特に両方との組み合わせでまさに、特に好適には、安定的なフィードスルーが、特に圧縮型ガラス金属封止が達成される。
【0040】
金属ピン用の特殊鋼は、好適には、フェライト系特殊鋼、マルテンサイト系特殊鋼、または析出硬化系特殊鋼のグループから選択することができる。フェライト系特殊鋼は、特に効率的に製作され、かつ/または特に効率的に製造装置に供給されるので、特に好適である。
【0041】
好適な実施形態では、少なくとも1つの金属ピンが少なくとも1つの曲げ点を有している。好適には金属ピンは、貫通孔内におけるこの金属ピンの領域と、当該領域の反対側にある金属ピンの端部における接続領域との軸線のオフセットSが生じるように曲げられている。これにより、基体の中央に配置された貫通孔を特に良好に実現することができる。
【0042】
さらに、曲げられた金属ピンは、特にS字型に曲げられた金属ピンは、金属ピンのための材料として本発明による特殊鋼が使用される場合に、コネクタに組付ける際に、一種のばね機能を提供することができ、これにより、コネクタへの差込みの際に、例えば、プラスチックホルダから金属スリーブが押し出されるような、コネクタシステムが損傷する可能性が減じられる。さらに、機械的な負荷のピークは、フィードスルーのガラス材料によって持ちこたえられる。
【0043】
曲げられた金属ピンの製作は、本発明による特殊鋼によっては、これまで使用されていたNiFe鋼よりも困難である。何故ならば、曲げは焼きなまし後に行われ、上述したような硬度に基づき明らかであるように、焼きなましされた特殊鋼は、より大きな力を加えることでしか塑性変形されないからである。
【0044】
好適には、金属固定材料フィードスルーは、基体に導電接続されている、特にろう接または溶接により、接続されている少なくとも1つの別の金属ピンを有している。これにより、基体と第2の金属ピンとの直接的な電気的コンタクトが形成されるので、基体における第2の貫通孔を省くことができる。
【0045】
好適な実施形態では、基体に導電接続された金属ピンは、少なくともそのコア領域で、非特殊鋼から、特にNiFeから成っており、この金属ピンは、溶接により基体に接続されている。好適には、この場合、この金属ピンは、少なくとも、溶接の際に加熱された溶接接続の領域を除いて、焼きなましされていない状態で存在している。このような材料選択は、上述したように、未加工状態の非特殊鋼は、焼きなましされた特殊鋼よりも機械的に耐荷重性があるという利点を有している。したがって、このような実施形態は、最良の機械的強度値を有している。しかしながら、溶接接続を製作するのは、第2の金属ピンを基体にろう接するよりも手間がかかる。
【0046】
好適な実施形態では、この別の金属ピンも少なくとも1つの曲げ点を有している。好適にはこの別の金属ピンは、この金属ピンの、基体に接続された領域と、当該領域の反対側にあるこの金属ピンの端部における接続領域との軸線のオフセットが生じるように曲げられている。
【0047】
金属のろう材による特殊鋼製の金属ピンのろう接を最良にするために、貫通孔内にガラス封止される少なくとも1つの金属ピンおよび/または基体に導電接続される金属ピンは、好適にはニッケルコーティングを有している。好適には、ニッケルコーティングは、少なくともガラス封止の領域に、かつ/またはガラス封止される金属ピンの頭部面の領域に、かつ/または基体と導電接続された領域に設けられている。ニッケルコーティングに対して付加的にまたは代替的に、金層も設けられていてよい。
【0048】
特に好適には、金層は少なくとも所定の領域でニッケル層上に設けられている。
【0049】
したがって特に、ニッケルコーティングは、
-ガラス封止された金属ピンの、少なくともニッケル層の領域上に金層が設けられている領域で、特にこの金属ピンの端部の接続領域で、
かつ/または
-ガラス封止された金属ピンの、固定材料に接触している領域で、
かつ/または
-基体に導電接続された金属ピンの、少なくともニッケル層の領域上に金層が設けられている領域で、特に金属ピンの端部の接続領域で、
かつ/または
-基体に導電接続された金属ピンの、この金属ピンが金属性のろう材料によって基体に接続されている領域で、
可能である。
【0050】
確実な電気的接続を保証するために、貫通孔内でガラス封止される少なくとも1つの金属ピンおよび/または基体に導電接続される金属ピンは、好適には少なくとも所定の領域で金コーティングされている。好適には、金層は、少なくとも接続領域にかつ/または基体に導電接続される金属ピンの接続領域に設けられている。接続領域とは特に、金属ピンが例えばコネクタシステムに挿入される領域、および/またはコネクタシステムのコンタクトに接触する領域である。
【0051】
できるだけ簡単に加工できる、もしくは組み立てられる、金属ピンを備えた金属固定材料フィードスルーを提供するために、このような形式の金属固定材料フィードスルーでは、金属ピンは、焼きなましされた状態で、11.68mmの金属ピン長さLを有するテストシステムで、終端点Lで垂直に負荷をかけた際に、2.2Nを超える力Fmaxで破損するように設計されている。金属ピンはさらに、焼きなましされた状態で、11.68mmの金属ピン長さLを有するテストシステムで、終端点Lで垂直に負荷をかけた際に、0.15mmを超える、特に0.15mm~0.4mmの最大変位Wmaxまでは弾性変形可能であるように設計することができる。したがって、Wmaxは、弾性変形の限界値である。Wmaxを超える負荷がかけられた場合には、塑性変形が、すなわち金属ピンの持続的な曲げが行われる。
【0052】
実際の金属ピンが、上記テストシステムとは異なる寸法を有している場合には、比較のためにこの金属ピンをテストシステムの寸法で製作する、かつ/またはその測定結果を、テストシステムの寸法に対応するように換算する。
【0053】
特殊鋼から成る本発明による金属ピンは、ガラス封止後、600℃もしくは650℃への加熱後、NiFeピンよりも著しく高い硬さを有している。これは、NiFeは高温によって軟化するが、特殊鋼は軟化しないことに起因する。したがって、特殊鋼では、融着後、例えばNiFeよりも50%高いピンの負荷が可能である。
【0054】
特殊鋼から成る金属ピンを備えた金属固定材料フィードスルーは、金属ピンの極めて高い機械的安定性によって優れている。高い機械的安定性は、組付けおよび後加工の際の金属ピンの曲げを、特に持続的なまたは塑性的な曲げを阻止する。ピン材料としての特殊鋼の使用は、例えばNiFe材料から成るピンよりも、機械的安定性が著しく高められることを保証する。
【0055】
さらに、エアバッグまたはシートベルトプリテンショナのイグナイタのための金属固定材料フィードスルーにおける本発明による金属ピンは、予期せぬことであったが、250Nを超える、特に250N~400Nの、好適には300N~380Nの極めて高い抜去力を有していることにより優れている。これは当業者にとっては驚くべきことであった。何故ならば、特殊鋼から成るピンの熱膨張係数は、650℃で11.0×10-6/K~13.5×10-6/Kの範囲にあり、したがって、ガラス材料および金属固定材料フィードスルーの周囲の金属とは異なる範囲にあるので、比較的低い抜去力が予想されており、これにより特殊鋼から成る金属ピンの使用は不利であると思われていたからである。このような比較的高い抜去力は、選択されたピン材料に基づき、ガラス材料におけるピンの改善された化学的付着に起因すると思われる。
【0056】
さらなる実施形態では、少なくとも1つの金属ピンの特殊鋼は、焼きなましされた状態で弾性変形から塑性変形への移行点が、未加工状態での弾性変形から塑性変形への移行点の50%よりも低い特殊鋼のグループから選択されている。
【0057】
このような選択により、金属ピンは、固定材料、特にガラス材料内への取付け後、次いで少なくとも600℃もしくは650℃への基体の加熱による金属固定材料フィードスルーの基体の開口内への装着後、往々にして生じる機械的な負荷のもとで、金属ピンが塑性変形し得るほどは軟化しないことが保証される。焼きなましされた金属ピンの弾性変形から塑性変形への移行点が大幅に減じられたことにより、金属ピンの強度が、ひいては機械的安定性が著しく減じられることとなる。
【0058】
未加工状態のフェライト系特殊鋼における弾性変形から塑性変形への移行点は、600MPaの応力のところに位置していて、600℃への加熱により応力ひずみグラフで500MPaまで低下するが、NiFeでは、700MPaの移行点が、600℃への加熱により応力ひずみグラフで300MPaまで低下する。これは、NiFe鋼は、焼きなましされていない状態では、本発明による特殊鋼よりもはるかに機械的に安定であることを意味する。しかしながら、焼きなましされた状態では、特殊鋼は機械的により耐荷重性があり、特に比較的高い負荷まで、弾性変形可能である。
【0059】
特殊鋼は焼きなましされた状態では、NiFeほどは軟化しないので、NiFeと比較して特殊鋼の機械的にさらに加工するのは困難である。このことは、例えば金属ピンのS字型の曲げを形成すべき場合の困難な曲げ特性に、ならびに金属ピンの端部の成形、例えば研削または曲率半径を有する部分のエンボス加工の成形に関するより難しい加工に現れている。とりわけ、熱膨張係数の適合しない状態と困難になる後加工により、当業者は、金属ピンの材料としてNiFeの代わりに特殊鋼を使用することを思いとどまってきた。
【0060】
従来の材料、例えばNiFeに対する、ピン材料としての特殊鋼の利点は、特殊鋼から成る基体に組み合わせた場合、ブリッジワイヤが接続された状態でまたは導電膜により被覆された状態で、実際にガルバニック腐食が生じないということにある。これは、特殊鋼製の基体と特殊鋼製の金属ピンとの間の電気化学ポテンシャルの差が僅かであることに起因する。金属ピン、特にガラス封止された金属ピンと、基体との電気化学ポテンシャルの差の絶対値は、最大でも0.3Vまでであるように努められる。すなわち、金属ピン、特にガラス封止された金属ピンと、基体との電気化学ポテンシャルの差の絶対値は、好適には0~0.3Vの範囲にある。これにより、実際にはガルバニック腐食が生じないようにすることができる。これに対して、NiFeピンを使用する場合には、NiFeピンから、例えばオーステナイト系特殊鋼から成る基体の材料へと電子が移動して、ガルバニック腐食が生じる。例えばフェライト系特殊鋼を金属ピンのための材料として使用する場合、金属ピンと、オーステナイト系特殊鋼から成る基体との電気的ポテンシャルは実質的に同じ大きさであり、NiFeピンとは異なりガルバニック腐食は生じない。
【0061】
さらに本発明により、基体および/または金属ピンのための材料の選択を、海水に対する電気化学ポテンシャルに基づき好適に行うことができることも記載されている。作動状態では、特に長期の保管期間または作動期間にわたっては、フィードスルーの表面に形成される膜が、海水と同様の腐食性を有する可能性があるので、海水に対するこのポテンシャルは、電気化学的腐食作用に対する耐性を判断するために適した基準である。
【0062】
このような本発明によるコンセプトにしたがって、基体および/または少なくとも1つの金属ピン、特に固定材料内に位置する金属ピンの選択のための材料は特に、海水に対する電気化学ポテンシャルの絶対値が最大でも0.36Vである、すなわち相応に、0~0.36Vの範囲にある特殊鋼である。
【0063】
ピン材料としての特殊鋼は、基体の材料としての特殊鋼に対して、極めて僅かな電気化学ポテンシャル差しか有していないので、エアバッグおよび/またはシートベルトプリテンショナのイグナイタ用の金属固定材料フィードスルーであって、ガラスのまたはガラスセラミックの固定材料内で基体の貫通孔内に融着された少なくとも1つの金属ピンを有しており、少なくとも1つの金属ピンと基体とが、適合性のある材料組み合わせから成っており、点火ブリッジが取り付けられている状態では、基体の表面でアノード反応および/またはカソード反応は発生しないようになっており、この場合、フィードスルーの表面は、点火ブリッジを取り付けるべき側として規定されていて、下面は電気的接続部の側として、すなわち金属ピンが突出している金属固定材料フィードスルーの側として規定されている、金属固定材料フィードスルーを提供することができる。
【0064】
少なくとも1つの金属ピンと基体とが実質的に同じ電気化学ポテンシャルを有しているならば、これにより、点火ブリッジが取り付けられている状態で、水面上の吸収性の水膜を介して、電子が点火ブリッジを介して流れることはないので、特に好適である。好適には、基体と特殊鋼ピンとの電気化学ポテンシャルにおける差の絶対値は、単に0.3V~0.0Vであり、すなわち、基体は例えば0.07Vのポテンシャルを、金属ピンは0.02Vのポテンシャルを有していて、これにより差は0.05Vであり、したがって、金属ピンから基体へ、点火ブリッジを介してかつ/または導電膜を介して電子の流れは事実上生じない。
【0065】
特殊鋼内のCrの割合が、10重量パーセント~30重量パーセントの範囲に、好適には15重量パーセント~25重量パーセントの範囲にあると特に好適である。したがって、例えば、クロムの割合が20重量パーセントである場合は、0~40℃で約10×10-6/Kである極めて低い線膨張係数が達成される。40℃での低い熱膨張係数は、通常600℃もしくは650℃のガラス封止温度における低い熱膨張係数にも関連する。
【0066】
特殊鋼製の金属ピンのろう接を可能にするために、金属ピンに、上述したように、少なくとも所定の領域で、Ni層および/または金層が設けられている。この場合、ニッケル層を金層の下に設けることもできる。ニッケル中間層なしで特殊鋼に直接金メッキすることもできる。
【0067】
驚くべきことに、金属ピンの材料として特殊鋼を使用する場合には、ガラス材料からの金属ピンの抜去力は250N~400Nの、好適には300N~380Nの範囲にあることが確認された。このような抜去力は、予期せぬことに、例えばNiFe金属ピンの場合よりも約50%大きい。
【0068】
金属ピンが、焼きなましされた状態で、11.68mmの金属ピン長さLを有するテストシステムで、終端点Lで垂直に負荷をかけた際に、2.2Nを超える力Fmaxで破損するように設計されているならば、かつ/または金属ピンが、後加熱された状態で、11.68mmの金属ピン長さLを有するテストシステムで、終端点Lで垂直に負荷をかけた際に、0.15mmを超える、特に0.15mm~0.4mmの最大変位Wmaxで破損するように設計されているならば、金属固定材料フィードスルーは、特に安定的な金属ピンを有する。金属ピンのための材料として特殊鋼が、特にクロム含有の特殊鋼が使用されるならば特に、このように安定的な金属ピンが形成される。
【0069】
650℃で11.0~13.5×10-6/Kを有するこの鋼の熱膨張係数が、10.6~6.1×10-6/Kの範囲にあるガラスの膨張係数よりも著しく高いので、これまで当業者は、例えばエアバッグイグナイタでの使用のために、圧縮型ガラスフィードスルーにおいて特殊鋼を使用することは思いとどまってきた。発明者らは驚くべきことに、ガラス金属フィードスルーでは、十分なシール性を提供するために、導体の熱膨張は、使用されるガラスの熱膨張よりも高くてはならないと規定している従来技術に反して、ガラスの熱膨張係数よりも上の、導体の大きな熱膨張係数にもかかわらず、金属ピンの膨張係数がガラスの膨張係数よりも大きい場合でも、基体からガラスへのポジティブな接合圧が加えられるならば、密なガラス封止が提供されることを発見した。接合圧が30MPaよりも大きいならば、好適には50MPaよりも大きいならば、特に100MPaよりも大きいならば、特に好適である。このような接合圧では、確実なガラス封止が得られる。接合圧は、基体からガラス材料への移行部の個所における圧力である。この圧力は、圧縮型ガラス金属封止では通常、貫通孔の内壁からガラス体へと垂直に作用する。この圧力は、基体からのガラス体の抜去力に関する重要なファクタである。
【0070】
外側の導体としての基体から十分な予荷重がガラスに加えられるならば、高い接合圧が提供される。ガラスと内側の導体との間のこの場合に生じる接合圧は、融着後、フィードスルーの冷却の際に生じる。この接合圧が、極めてポジティブである場合、すなわち30MPaよりも大きい、もしくは50MPaよりも大きい、特に100MPaよりも大きい場合には、ガラスと金属との間の移行部は維持され、すなわちガラスから金属ピンへの移行部は閉じられ、ひいては金属ピンの膨張係数がガラスの膨張係数よりも大きいにもかかわらず密閉される。
【0071】
接合圧は、ガラスと周囲の金属とのひずみの差に直接依存している。さらに、ジオメトリへの依存も考えられる。特に有利には、貫通孔の外側の基体の面積が、貫通孔自体の面積よりも大きくなくてはならない。接合圧は面圧である。接合圧は、第1の物体を第2の物体へと押す単位面積当たりの力によって表される。
【0072】
必要な接合圧をもたらすために、基体の膨張係数とガラスの熱膨張係数との差は、少なくとも2ppm/Kであり、好適には少なくとも4ppm/Kであり、この場合、膨張係数α基体は、ガラスの膨張係数αガラスよりも高い。特に好適な実施形態では、金属ピンの膨張係数が、ガラスの膨張係数αガラスよりも1.1倍大きいように、金属ピンの膨張係数α金属ピンが選択される。特に好適な実施形態では、膨張係数は、1.1αガラス~2.2αガラスの範囲にある。
【0073】
基体からガラス材料に必要な圧力を加え、シール性を保証するために、基体は、ニッケルを含有しない、化学的に耐性のあるステンレス鋼(特殊鋼)から成っている。
【0074】
外側の導体であってもよい基体が、良好な溶接可能性により優れているオーステナイト系特殊鋼であると好適である。
【0075】
まっすぐな金属ピンの他、金属固定材料フィードスルーの金属ピンはまっすぐに形成されておらず、曲げられていてもよい。
【0076】
金属固定材料フィードスルーの固定材料は、ガラス材料またはガラスセラミック材料である。使用されるガラス材料の膨張係数αガラスは、4×10-6/K~10.6×10-6/Kの、好適には6.1×10-6/K~10.6×10-6/Kの範囲にある。
【0077】
金属ピンがガラス封止されている、金属固定材料フィードスルーの基体は、例えば欧州特許出願公開第1813906号明細書、欧州特許出願公開第1455160号明細書、または欧州特許出願公開第2431703号明細書に記載されているような開口を、様々な形式で有していてよい。欧州特許出願公開第2431703号明細書に記載されているような冷間変形加工は1つの可能性であり、この場合、開口は基体に打抜き加工により設けられる。
【0078】
エアバッグおよびシートベルトプリテンショナのイグナイタで使用されるような、圧縮型ガラスフィードスルーでは、基体の材料は、膨張係数α基体が、ガラス材料の膨張係数よりも大きいように選択されているので、ガラス材料に圧力が加えられ、これにより圧縮型ガラス金属封止が行われる。圧縮型ガラス金属封止では、膨張係数α=18.3×10-6/Kのオーステナイト系特殊鋼から成る基体が好適である。
【0079】
本発明のさらなる態様は、ガルバニック腐食が僅かな範囲でしか生じない、特にエアバッグおよび/またはシートベルトプリテンショナのイグナイタ用の金属固定材料フィードスルーを提供することにある。この態様は、フィードスルーの少なくとも1つの金属ピンと基体とが、適合性のある材料組み合わせから成っており、点火ブリッジが取り付けられている状態で、または表面が導電膜で被覆されている状態で、基体の表面でのアノード反応および/またはカソード反応は発生しない、または僅かな範囲でしか発生しないように形成されていることにより解決される。
【0080】
少なくとも1つの金属ピンと基体とは、電気化学ポテンシャルを有しており、金属ピンと基体との電気化学ポテンシャルの差の絶対値は、最大0.3Vであるならば、特に好適である。好適には、金属ピンと基体との電気化学ポテンシャルは実質的に同じである。特に、金属ピンと基体との電気化学ポテンシャルの差の絶対値は、0.1V~0.0Vの、好適には0.05V~0.0Vの範囲にある。海水に対する金属ピンおよび/または基体の電気化学ポテンシャルの差の絶対値は、好適には最大0.36Vであり、特に0.36V~0.0Vの範囲にある。
【0081】
少なくとも1つの金属ピン(5)は、特に少なくともそのコア領域で、ならびに基体は少なくともその上面で、EN10020の規格に基づく特殊鋼から成っている。
【0082】
さらなる実施形態では、金属ピンおよび基体の特殊鋼は、金属ピンおよび基体の特殊鋼が、その表面でパッシベーション膜を、好適には吸収性の水膜に対向して形成するように選択されている。
【0083】
少なくとも1つの金属ピンは、少なくともそのコア領域でEN10020の規格に基づく特殊鋼から成っており、温度650℃でのその熱膨張係数α金属ピンは、9~15の、好適には11.0×10-6/K~14.0×10-6/Kの、好適には、11.5×10-6/K~14.0×10-61/Kの、または11×10-6/K~13.5×10-61/Kの、特に好適には11.5×10-6/K~12.5×10-61/Kの範囲にある。
【0084】
ガラスのまたはガラスセラミックの固定材料は、好適にはこの固定材料のTgまでの温度で、4×10-61/K~10.6×10-61/Kの範囲の熱膨張係数αガラスを有している。
【0085】
基体は、ガラスの熱膨張係数αガラスよりも少なくとも2×10-61/K、好適には10×10-61/K高い、好適には11×10-61/K~18×10-61/Kの範囲にある熱膨張係数α基体を有しているならば特に好適である。
【0086】
少なくとも1つの金属ピン(5)の特殊鋼は、特にEN10020の規格に基づく合金特殊鋼であって、特に好適にはクロム含有の特殊鋼であって、特に好適には特殊鋼は、フェライト系特殊鋼および/または析出硬化系特殊鋼のグループから選択されている。貫通孔(4)のガラス材料からの金属ピンの抜去力は、好適には250Nよりも高く、特に250N~400Nであり、好適には300N~380Nである。
【0087】
特に、基体は、金属、特に鋼、ステンレス鋼、特殊鋼、チタン、チタン合金、マグネシウム、マグネシウム合金、アルミニウム合金、アルミニウムから成っている、またはこれらを実質的に含んでいる。極めて特に好適には、基体は少なくともほぼ、タイプ316、317、302、304、321、317、430、410、および/または416の特殊鋼から成っている。
【0088】
金属ピンは、特に1.00±0.03mmの金属ピン直径および11.68±0.2mmの金属ピン長さを有する標準寸法に換算されて、0.13mm未満の、好適には0.15mm未満の、特に好適には0.18mm未満のまたは0.20mm未満の、極めて特に好適には0.24mm未満の、特に0.01~0.26mmの範囲にある、最大弾性撓みWmaxを有している。
【0089】
基体に導電接続された金属ピンは、特に少なくともそのコア領域で、非特殊鋼から、特にNiFeから成っており、この金属ピンは、溶接により基体に接続されている。
【0090】
本発明のさらなる構成では、貫通孔内にガラス封止される少なくとも1つの金属ピン(5)および/または基体に導電接続される金属ピン(6)は、ニッケルコーティングされていてよい。好適には、ニッケル層は、
-ガラス封止された金属ピンの、少なくともニッケル層の領域上に金層が設けられている領域に、特に金属ピンの端部の接続領域、
-ガラス封止された金属ピンの、固定材料に接触している領域、
-基体に導電接続された金属ピンの、少なくともニッケル層の領域上に金層が設けられている領域に、特に金属ピンの端部の接続領域、
-基体に導電接続された金属ピンの、金属ピンが金属性のろう材料によって基体に接続されている領域、
のグループおよびこれらのグループの組み合わせから選択された、金属ピンの領域に存在している。
【0091】
代替的にまたは付加的に、貫通孔内にガラス封止される少なくとも1つの金属ピンおよび/または基体に導電接続される金属ピンは、金コーティングされていてよい。好適には、金層は、各金属ピンの、基体内にかつ/または基体表面に位置する端部の反対側に位置する、金属ピンのかつ/または基体に導電接続される金属ピンの少なくとも接続領域に設けられている。
【0092】
以下に本発明を、図面および実施例につき詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【
図1a】エアバッグイグナイタ内に装着された本発明によるフィードスルーを示す図である。
【
図1b】本発明による金属ピンを備えた、例えば欧州特許出願公開第2270417号明細書による金属固定材料フィードスルーを示す図である。
【
図2】曲げ剛性を検出するためのテスト構造を示す図である。
【
図3a】従来技術による、金属固定材料フィードスルーにおけるガラス、基体、および金属ピンの膨張係数を示す図である。
【
図3b】本発明による、金属固定材料フィードスルーにおけるガラス、基体、および金属ピンの膨張係数を示す図である。
【
図4】加熱されたおよび加熱されていないNiFeと特殊鋼(AISI430)の応力・ひずみ曲線を示す図である。
【
図5】開口および開口内にガラス封止された金属ピンと共にケーシング構成部分を示す平面図である。
【
図6】NiFe/特殊鋼から成る金属ピンの抜去力を示す図である。
【
図7】Crの割合に対する特殊鋼の膨張係数の依存性を示す図である。
【
図9】特殊鋼におけるクロム当量およびニッケル当量を示す図である。
【
図10a】ブリッジワイヤを備えた金属固定材料フィードスルーのヘッドを示す図である。
【
図10b】従来技術による電気化学ポテンシャルの差に基づく化学反応を示す図である。
【
図10c】本発明による電気化学ポテンシャルの差に基づく化学反応を示す図である。
【
図11】材料の選択に応じた電気化学ポテンシャルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0094】
図1aには、好適には、例えば欧州特許出願公開第2270417号明細書に記載されているような、エアバッグの、またはシートベルトプリテンショナのようなその他の人員保護装置のイグナイタもしくは点火装置で使用するための、金属固定材料フィードスルー1の例示的な構成が軸方向断面図で示されている。金属固定材料フィードスルーは、本発明による金属ピンとして形成されていて、金属ピンの材料として特殊鋼を含んでいる2つの金属ピン5,6を含むが、これに限定されるものではない。金属固定材料フィードスルーは、基体1を有していて、この基体には、この実施形態では、互いに平行な2つの金属ピン5,6のうちの一方が電気的に接続されている。両金属ピン5,6は、図示した実施形態では互いに平行に配置されている。この場合、一方は導体として機能し、他方はアース上に配置される。図示した例では、第1の金属ピン5が導体として機能し、金属ピン6がアースピンとして機能する。アースピン6は、基体1に、例えばろう接材料によるろう接合7によって導電接続されている。両金属ピンの幅は、通常、0.98~1.05mmの範囲にあり、好適には1.0mmである。
【0095】
金属ピンのうちの少なくとも一方は、特に導体として機能する金属ピン5は、基体1を貫通してガイドされる。金属ピン5はこのために、その長さの一部にわたって、固定材料10内に、特にガラス溶融物から冷却されて成るガラス栓内に融着されている。金属ピン5は少なくとも一方の側で、ガラス栓10の端面を越えて、通常基体の下面側で突出しており、図示した実施例では製作終了後は、ガラス栓10の、基体1の上面11と同一平面に位置する第2の端面と同一平面を成す。このために、金属ピン5は、融着中、この金属ピンがまずは基体1を越えて突出するように、貫通孔4内に配置されていてよい。融着もしくは埋込み後は、金属ピン5、および場合によっては突出し冷却された固定材料10の研磨を行うことができ、これにより、この金属ピンおよび/または固定材料は、ガラス栓10の端面および基体1の上面11と同一平面を成す。別の変化態様も考えられる。ガラス材料内への金属ピンの融着および基体内へのガラス材料の融着は通常、使用されるガラス材料に応じて、600℃または650℃以上の温度で行われる。基体の材料の熱膨張係数α基体~18.3×10-6/Kが、4×10-6/K~10.6×10-6/Kの範囲にある熱膨張係数αガラス材料を有するガラス材料よりも高いことに基づき、冷却後、基体は、一定の圧力を固定材料に、特にガラス材料に加え、圧縮型ガラス封止が行われる。しかしながら一方で、加熱により、金属ピンの機械的安定性も影響を受ける。すなわち、金属ピンは一般的に、温度作用の際に軟化される。本発明者らは、フィードスルーのために使用される場合、特殊鋼は、温度作用を受けた際、NiFeほどは著しく軟化されないことを認識した。特殊鋼は、現在フィードスルーで使用されているNiFeピンよりも著しく曲げ剛性を維持している。
【0096】
アースピン6は、図示した場合では、基体1の背面に直接、例えばろう材料7によって取り付けられる。これは通常、金属性のろう材料である。アースピン6も、ガラス封止される金属ピン5と同様に、本発明によれば、特殊鋼、好適にはCr含有の特殊鋼から成っていてもよい。
【0097】
基体1は1つの実施形態では打抜き部分として形成されていてよい。少なくとも貫通孔4が、好適には基体1の最終ジオメトリも、打抜きによって形成されるならば打抜き部品である。1つの実施形態によれば、外側の輪郭を描くジオメトリも、特に基体1の外輪郭も、剪断加工によって、好適には打抜き加工によって製作することができる。打抜き部品は、打抜き加工プロセス後のジオメトリを維持しながらさらに使用することができるが、好適にはそれにすぐ続いて行われるさらなる作業ステップで変形加工されてもよく、例えばエンボス加工または深絞りされてもよい。代替的には、欧州特許出願公開第2431703号明細書に記載されたように、冷間変形加工法によって基体全体を形成することもできる。
【0098】
ガラス栓10による金属ピン5の受容と固定のために設けられた貫通孔4は、打抜き加工プロセスにより孔の形態で形成される。その後、金属ピン5が、金属固定材料フィードスルーの基体1の背面11でガラス栓10と共に貫通孔4内に導入され、ガラス栓10と金属ピン5とを含む金属体が約600℃まで加熱され、これにより冷却プロセス後、金属は収縮し、そして、圧縮型ガラス金属封止とも呼ばれる、金属ピン5を含むガラス栓10と基体1との間の摩擦接続的な結合が形成される。基体1とガラス栓10のガラス材料との熱膨張係数が異なることに基づき、このような圧縮型ガラス金属封止を行うことができる。
【0099】
代替的な構成で、溶融状態もしくは流動状態で、固定材料10を、特にガラス溶融物を、前面から貫通孔内に導入することも考えられる。この場合、冷却中に、金属ピン5の外周と貫通孔4の内周との間の形状接続的かつ材料接続的な結合が生じる。基体1は、基体1の厚さと、貫通孔4の軸線方向に対して垂直方向の貫通孔4の最大の延在との間の比が、0.5~2.5の範囲にあるように、構成されていてよい。
【0100】
強調しておくべきことは、本発明は、ガラス材料に基づかない貫通孔4内の絶縁材料によっても展開することができるということである。
【0101】
図1aには、イグナイタ構成部品、例えばエアバッグイグナイタにおける、金属固定材料フィードスルーの取付けが示されている。イグナイタ構成部品は、内部に金属ピン5がガラス封止されている金属固定材料フィードスルーの他に、イグナイタ構成部品のための、すなわちエアバッグイグナイタのための火薬25を収容するイグナイタキャップ2を含む。火薬25は、ブリッジワイヤ9の電気インパルスによりトリガされる。ブリッジワイヤ9は、ガラス封止された金属ピン5を、アース上に配置された基体1に接続する。通常、ブリッジワイヤ9は、ブリッジワイヤ9を概略的に明示するために示している図面とは異なり、基体1および/または固定材料10の表面上に載置されている。
【0102】
図1aには、ガラス封止された金属ピンの曲げ点50も明示されており、この曲げ点により、貫通孔内でガラス封止されている金属ピン5の領域と、金属ピンの接続領域との軸線のオフセットSが生じる。このオフセットは、金属固定材料フィードスルーの金属ピンを、例えばコネクタシステムへと導入することができるように選択される。通常、両金属ピン5,6は、全体図で見て、基体1に対して両金属ピン5,6の一方の中央の配置が存在するように、配置される、かつ/または曲げられる。
【0103】
図1bには、金属ピン5,6を備えた基体1を含む、イグナイタキャップ2内に装着される金属固定材料フィードスルーが断面図で示されている。
図1aと同じ構成部分には、同じ符号が付与されている。
図1aに示した実施形態とは異なり、
図1bの構成では、金属ピン6も曲げ点60を有しているので、基体1に接続された金属ピンの領域と、反対側の端部における金属ピンの接続領域との軸線のオフセットが存在する。
図1bには、基体1と金属ピン5との間のブリッジワイヤ9が明確に示されている。
図1aの打抜き加工された基体とは異なり、
図1bの基体は、欧州特許出願公開第2431703号明細書のように冷間変形加工された基体であり、開放領域17を有している。欧州特許出願公開第2431703号明細書のように開放領域17を設けた後、冷間変形加工された基体から開口10が打ち抜かれる。
【0104】
図2には、金属ピンの曲げ強さを検出するための測定装置もしくはテストシステムが示されている。
図2には、長さL=11.68mm、直径1.0mmの緊定された金属ピン300が示されていて、このピンに、符号110で示された、単位ニュートン(N)の力Fが作用する。
【0105】
図2に示したようにテストシステムもしくは測定装置では、ピンが緊定されている壁を符号400で示していて、長さLのピンを符号300で示していて、無負荷状態にある金属ピンの終端点を符号301で示している。曲げられた、すなわち負荷されたピンは符号310で示されていて、曲げられたピンの終端点は符号302で示されている。終端点301と302との差は、最大変位W
maxを示している。
【0106】
未加工状態のNiFe金属ピンでは、6.380Nの力を加えると、0.345mmの撓みが生じる。より大きな力およびより大きな撓みでは、弾性変形は、不可逆的な塑性変形へと移行する。6.380Nを超える力および/または0.345mmを超える曲げの塑性変形の場合には、ピンが破損する恐れもある。
【0107】
NiFeピンが、例えば650℃のガラス封止温度に加熱された場合、冷却(焼きなまし)後に、この金属ピンに僅か1.933Nの力を加えただけで、撓みは0.105mmとなる。焼きなましされた状態では、1.933Nを超える力および0.105mmを超える撓みで、未加工状態に関して上述したように、弾性変形が塑性変形へと移行する。力の負荷に関するこのような考察は、NiFeピンが加熱により、機械的安定性を著しく失うことを示している。
【0108】
これとは異なり、特殊鋼、例えばフェライト系特殊鋼、特にAISI430を使用する場合、未加工状態では4.976Nの力および0.269mmを超える撓みWmaxで初めて塑性変形が生じ、焼きなまし状態では3.984Nの力および/または0.216mmの撓みWmaxを超えると塑性変形が生じる。このことは、例えば650℃での熱処理後に、テストシステムにおいてフェライト系特殊鋼(AISI430)の機械的安定性および/または得られる最大撓み可能性は、NiFe47ピンの場合よりも約100%高いことを示している。
【0109】
上記のWmaxの値はこれらの例では、金属ピンの弾性的な曲げがまだ存在する境界値を表している。この例において機械的負荷が上記境界値を超えると、勿論、曲げは、Wmaxの上記値を超えて行われるが、これは塑性変形であり、すなわち不可逆的である。
【0110】
このことは実際には、例えば650℃の温度でのガラス封止プロセスにより、極めて著しく軟化するNiFe47ピンとは異なり、特殊鋼ピンは著しく曲げ剛性的であることを意味している。したがって、特殊鋼により、加熱後、すなわち焼きなまし状態で、11.68mmの金属ピン長さLを備えたテストシステムにおいて、最終点における垂直方向の負荷が、2.5Nを超える、好適には3Nを超える、特に好適には3.2Nまたは3.5Nを超える、この例では3.984Nの力Fmaxで初めて塑性変形が生じるように、金属ピンを設計することができる材料が提供される。
【0111】
このことは、上記のテストシステムにおける最大の弾性的な曲げ可能性および/または変位Wmaxが好適には0.15mm超であり、特に0.15mm~0.3mmおよび/または0.4mmの範囲にあることも意味している。
【0112】
これにより、後加工における機械的負荷のもと、特に組み立ての際に曲げ力がかけられた際に、金属ピンが損傷されるという恐れは、本発明により著しく減じられる。
【0113】
図3aおよび
図3bには、従来のフィードスルーと本発明によるフィードスルーとにおける膨張係数の差が示されている。
【0114】
図3aには、従来の金属固定材料フィードスルーにおける膨張係数が示されている。この場合、CTE(H)は基体もしくはヘッダーの膨張係数α
基体を、CTE(G)は固定材料の膨張係数α
ガラスを、CTE(P)は固定材料内に配置されている金属ピンの膨張係数α
金属ピンを示している。
図3aから明らかであるように、圧縮型ガラス金属封止を提供するために、基体の膨張係数(CTE(H))は、固定材料の、特にガラスの膨張係数(CTE(G))よりも著しく大きい。例えば、基体の材料としてオーステナイト系特殊鋼を使用する場合、基体の膨張係数(CTE(H))は18.3×10
-6/Kの範囲にある。α
ガラスとも呼ばれる、ガラス材料の膨張係数(CTE(G))は、通常4×10
-6/K~10.6×10
-6/Kの範囲にあり、これにより基体の膨張係数CTE(H)よりも著しく低い。従来技術では、金属ピンの膨張係数CTE(P)は、たとえ僅かであっても、周囲のガラス材料の膨張係数よりも常に低かった。これまでは、そうでないと熱変動の際に金属ピンがガラスから外れる恐れがあるため、耐久性のある固定材料フィードスルーを達成するためにそうである必要があるとの前提であった。したがってこれまでは、特に非特殊鋼、とりわけNiFeから成る金属ピンがこのような用途のために使用されてきた。
【0115】
図3bには、特殊鋼から成る金属ピンを備えた本発明によるフィードスルーの膨張係数が示されている。
図3bからわかるように、金属ピンの膨張係数(CTE(P))は、基体の膨張係数(CTE(H))よりは低いが、固定材料の膨張係数(CTE(G))よりは高くなっている。特殊鋼は、11.0~13.5×10
-6/Kの範囲の熱膨張係数を有しているが、固定材料、例えばガラスの膨張係数は、通常、単に、4×10
-6/K~10.6×10
-6/Kの範囲に、特に6.1×10
-6/K~10.6×10
-6/Kの範囲にあり、すなわち金属ピンの膨張係数よりも低い。したがって、金属ピンの膨張係数は、
図3aに示されたような従来技術とは異なり、ガラス材料の膨張係数よりも高いが、膨張係数α
基体もしくはCTE(H)を有する基体からガラスへとポジティブな接合圧が加えられるならば、本発明による、α
金属ピン>α
ガラスである特殊鋼から成る金属ピンにとっても十分なシール性と圧縮型ガラス金属封止とを提供することができる。基体からガラス材料および金属ピンへと高い接合圧が加えられると、ガラスと金属との間の移行部、特にガラスから金属ピンへの移行部は閉じられたまま、シール性が保証される。特に、気密封止も達成することができる。平面図で見て、貫通孔の面積を差し引いた基体の面積が、貫通孔の面積の少なくとも1.2倍に相当するならば、好適には十分に高い接合圧に達することができる。
【0116】
図4には、本発明による特殊鋼ピンに関する応力(Stress)・ひずみ(Strain)曲線、およびこれとの比較としてNiFeピン(NiFe47)の応力・ひずみ曲線が示されている。
図4から明らかにわかるように、NiFeピンは、特にフェライト系特殊鋼から成る特殊鋼ピン(AISI430)と比較して、ガラス封止のために必要であるような例えば650℃までの加熱後、著しく安定性を失い、脆弱になる。したがって、フェライト系特殊鋼AISI430では、約0.25%のひずみのところにある、弾性変形から塑性変形への移行点は、未加工材料の場合の約600MPaの応力から、焼きなましされた材料の場合の500MPaの応力へと単にシフトする。すなわち移行点における応力は約20%しか減少しない。これに対し、NiFe金属ピンの場合、加熱時に約0.25%のひずみのところにある、弾性変形から塑性変形への移行点は、700MPaの応力から200MPaの応力へとシフトし、すなわち未加工材料の移行点は、焼きなましされた材料の移行点よりも3.5倍高い。このことは、金属ピンが熱処理された、特に焼きなましされた状態で存在するシステムのためのピン材料としては、NiFeよりも特殊鋼材料が有利であることを示している。このことは、未処理状態の、すなわち熱処理されていない状態のNiFe金属ピンの強度が、特殊鋼ピンよりも著しく高いので、これまでの非特殊鋼ピンが、説明した適切な熱膨張の他に、このような理由からも適していると思われるという前提があるので、さらに注目に値する。
【0117】
図5には、ケーシング構成部分が平面図で示されており、ケーシング構成部分は開口1000を含み、この開口内にピン1020が挿入されてガラス材料1010内でガラス封止されている。さらに
図5には、ガラス材料から金属ピンへの接合圧P1と、基体もしくはケーシング構成部分からガラス材料への接合圧P2とが記載されている。本発明によれば、金属ピンの膨張係数がガラス材料の膨張係数よりも高い場合に、十分なシール性のためには、基体もしくはケーシング構成部分の十分な圧縮予荷重がガラスへと加えられなければならない。これは特に、上述したジオメトリ規定が保持されていれば達成される。
【0118】
図6により驚くべきことに、特殊鋼ピンでは、これまで使用されてきたニッケル含有の鉄材料(NiFe47)から成る金属ピンよりも、最大50%も大きな抜去力を、特殊鋼材料の使用により達成できることがわかる。
図6に示したように、NiFe47の抜去力は、コーティングされていない材料については単に207.7Nであり、ニッケルコーティングされたNiFe47ピンの抜去力は225.2Nである。
【0119】
驚くべきことに、特にフェライト系特殊鋼のステンレス材料から成る本発明による金属ピンによって、著しく高い抜去力を達成することができる。これは、説明したように、特殊鋼ピンの熱膨張係数の状態がどちらかと言えば望ましくないので、特に驚くべきことである。フェライト系特殊鋼AISI446について、ニッケルコーティングなしで、331.2Nの抜去力が達成され、ニッケルコーティングされると、358.1Nの抜去力が達成される。特殊鋼AISI430の場合、抜去力は幾分低くなる。この場合、抜去力は、ニッケルコーティングなしでは317.5N、ニッケルコーティングされると327.3Nである。このことは、特殊鋼製の金属ピンは、従来のNiFe金属ピンよりも、高い機械的強度によってだけではなく、高い抜去力によっても優れていることを示している。したがって特殊鋼から成る金属ピンの改善された抜去力は、金属ピンの材料が、加熱後、NiFeピンの材料よりも硬さを維持するので、特殊鋼は、ヘッダーがガラスを介して金属ピンに伝達する接合圧に対して、より大きな力で対抗することができ、いわば殆ど押し込まれないということに基づいていると推測することができる。
【0120】
1つ以上の金属ピンへのニッケルコーティングまたは金コーティングまたはニッケルコーティング上への金コーティングにより、高い抜去力が提供されるだけでなく、金属ピンに簡単にコンタクトできるようにするためにも役立つ。
【0121】
図7には、金属ピンで使用されているような特殊鋼の熱膨張係数αもしくはCTE(P)に対する、特殊鋼におけるクロム含有量の影響が示されている。0~40℃における線膨張係数が、ppm/℃で、すなわち×10
-6/Kで、0~60重量パーセントのクロム含有量に関して示されている。
図7からわかるように、約20重量パーセントのクロム含有量を含む特殊鋼AISI443については、9.9×10
-6/Kの熱膨張係数が得られる。全般的に、CTEは、クロム含有量に依存していることがわかる。
図7によれば、CTEの局所的な最小値は、約20重量%のクロム含有量のところで達せられることがわかる。すなわち、金属ピンにとって特に好適な特殊鋼は、そのクロム含有量が、CTEの局所的な最小値周辺の領域にあり、特に10重量パーセントのクロム含有量~30重量パーセントの範囲にあり、特に好適には14重量パーセント~28重量パーセントのクロム含有量の範囲にあるように選択される。特殊鋼SUS430、AISI443、およびSUH446は、この範囲内にあり、金属ピンの材料として特に有利に使用可能である。AISI446およびAISI430も同様である。
【0122】
後述するように、このようなクロム含有量もしくはクロム当量を有する材料は、電気化学ポテンシャルに関する利点も有している。
【0123】
図9には、マルテンサイト系およびオーステナイト系特殊鋼のクロム当量およびニッケル当量が示されている。
【0124】
クロムの他に、モリブデン、シリコン、およびニオブの割合も考慮した、クロム当量が、マルテンサイト系特殊鋼およびフェライト系特殊鋼に関して記載されている。クロム当量は、10~30重量パーセントの範囲に、特に12重量パーセント~28重量パーセントの範囲にある。本発明の考えにおいて特に好適な範囲は、
図9に、破線でマーキングされている。
【0125】
概して、本発明による特殊鋼は、クロム合金鋼を含む、またはクロム合金鋼である、または所定のクロム当量を有していて、この場合、クロム当量は、%Cr+%Mo+1.5×%Si+0.5×%Nbであると言うことができる。クロム当量は、通常、シェフラーとデロングの実験式にしたがって、オーステナイト系特殊鋼合金のフェライト形成元素全体の指標を示す。クロム当量の特に好適な範囲は、
図9で取り囲まれた範囲である。
【0126】
図10aには、本発明による金属固定材料フィードスルーのヘッド部分が示されており、
図10b~
図10cには、従来技術および本発明における異なる電気化学ポテンシャルに基づく、金属固定材料フィードスルーの領域における電気化学反応の概略図が示されている。
【0127】
図10aにはまず、
図1aおよび
図1bに示したような、本発明によるガラス金属固定材料フィードスルーのヘッド部分が示されている。
図1aおよび
図1bと同じ構成部分には、同じ符号が付与されている。
図10aにより、基体1の表面に、導電性の膜、例えば水膜200が形成されることがあり、これにより、基体と金属ピンとの電気化学ポテンシャルが異なる場合には、金属ピンからアースへの、この場合基体1への電子の流れが発生し、これにより金属ピンおよび/または基体の、ならびに/または固定材料、例えばガラス材料の酸化が生じる可能性があることがわかる。金属ピンから基体への電子の流れは、ブリッジワイヤ9を介して行われる。導電性の膜200は、特に冒頭で述べた形式のフィードスルーの長期使用で発生する可能性があり、フィードスルーの長期使用およびフィードスルーへの腐食作用に大きく影響を及ぼす。電子は、ブリッジワイヤ9を介して金属ピン500のヘッドから基体501へと、または場合によっては電位差に応じて他の方向へと流れる。基体と金属ピンとの間の絶縁材料は、通常、非導電性の固定材料、好適にはガラスまたはガラスセラミック材料である。内部に金属的な導体が封止されているガラスもしくはガラスセラミック材料は符号10で示されている。開口を通ってガイドされる金属ピンは、符号5で示され、ろう接材料7によって基体にろう接される金属ピンは符号6で示されている。
【0128】
図10bには、電気化学ポテンシャルの差に起因する、金属ピンから基体への電子の流れが示されている。これは従来技術に相当する。したがって、非特殊鋼、特にNiFeから成る金属ピンと基体との電気化学ポテンシャルの差は、従来技術では0.3Vを超える。電気化学ポテンシャルのこのような差に基づき、金属ピンおよび基体の上に導電層が存在する場合には、例えば水膜200が存在する場合には、鉄がFe
2+へと変換されて、2つの電子が放出され、既存の電気接続に基づき基体に移動する。水が存在している場合、酸素によって、
図10bに示されたように、2OH
-が生じ、すなわち水膜はますます塩基性になり、金属ピンの材料は酸化してFe
2+となる。
図10aと同様の符号が、
図10bでも同様に付与されている。したがって、500は金属ピンの領域を、501は基体の領域を示している。金属ピンから基体への電子の流れは、ブリッジワイヤ9を介して行われ、または反応が進むにつれて導電性の膜がますます塩基性となるならば、導電性の膜200を介してさえも行われる。膜200の塩基性の増大は、金属への、さらにはガラス材料への腐食作用を強化する恐れがある。特殊鋼製の基体の上の層5110は、特殊鋼上に形成され、特に酸素を含むことができるパッシベーション層である。ピン材料としてNiFeが使用されている場合は、このパッシベーション層5110と非特殊鋼製の、特にNiFe製の金属ピンとの間に局所的なセルが形成され得ることが観察される。ピン材料としてのNiFeと、基体の材料としての例えばAISI304Lとの間の電気化学ポテンシャル差は0.38Vである。この場合、電気化学的な腐食が生じる恐れがある。
【0129】
したがって、従来技術では金属ピンは腐食する恐れがあるが、本発明によれば金属ピンは領域500で、符号501を付与された基体とほぼ同じ電気化学ポテンシャルを有しているので、腐食はもはや生じず、または少なくとも著しく抑制される。
図10cに示したように、基体および金属ピンに、導電性の膜200が、特に水膜が設けられたとしても、金属ピンから基体への電子の流れは生じない。基体の、そして特に金属ピンの表面5110は、酸素を含み得るがそれ以上は酸化しない、特殊鋼上に形成されたパッシベーション層である。特に、ますます塩基性となる水膜も生じない。
【0130】
ガラス封止される金属ピンの材料としてAISI430が、基体の材料としてAISI304が使用される場合には、電気化学ポテンシャル差の絶対値は0.02Vである。この場合、電気化学的腐食作用は少なくとも極めて著しく抑制される。
【0131】
前述した図面と同じ構成部分には、同じ符号が付与されている。好適には、本発明による構成部分において基体と特殊鋼ピンとの電気化学ポテンシャルにおける差の絶対値は、単に0.3V~0.0V、好適には0.1V~0.0V、特に好適には、0.05V~0.0Vである。
【0132】
図11には、金属ピンのために、かつ/または基体のためにも選択可能な材料、特に特殊鋼の電気化学ポテンシャルの状態が示されている。説明したように、良好な耐食性を得るためには、基体と、固定材料中の金属ピンとの相応の材料組み合わせが重要である。選択の際には、できるだけ小さいポテンシャル差が生じるように努められる。しかしながら基体の材料は他の要件も満たさなければならない。特に基体は、金属キャップ2に、特にレーザ溶接によって溶接可能でなければならない。特に基体が打抜き加工されるまたは冷間成形される場合には、基体の製造法も1つの態様である。基体を冷間成形する場合には、所定の銅の割合が有利となり得る。
【0133】
金属ピン5,6を、特に固定材料内に配置された金属ピン5を選択する場合には、そして基体の材料の選択のためにも、
図11に特殊鋼(stainless Steel)として挙げられた材料が特に好適である。それらは、特殊鋼タイプ(AISI)316、317、302、304、321、317、430、410、および/または416である。これら全ては、海水に対して僅かな電気化学ポテンシャル差を、特に0.4V未満の、好適には0.36V未満の絶対値を有しており、これは、説明したように、フィードスルー全体のためにガルバニック腐食作用に対する耐性を決定するための良好な尺度である。
【0134】
したがって、一方では、特に金属ピンを曲げる際の比較的高い機械的安定性によりかつ/または金属ピンの比較的高い抜去力により優れており、好適には、特に不利な利用条件下での比較的低い腐食性によっても優れている、金属固定材料フィードスルーが、本発明により初めて提供される。
【0135】
改善された機械的安定性により、組み立てエラーを減じることができ、このことは確実性の改善および/または不良品の低減につながる。改善された耐食性により、長期の安定が得られ、ひいては本発明によるフィードスルーが装着されている装置の確実性が得られる。全体として、本発明によるフィードスルーを含む物体の製造の効率ならびにその安全性を高めることができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアバッグおよび/またはシートベルトプリテンショナのイグナイタ用の金属固定材料フィードスルーであって、ガラスのまたはガラスセラミックの固定材料(10)内で基体(1)の貫通孔(4)内に融着された少なくとも1つの金属ピン(5)を有している金属固定材料フィードスルーにおいて、
前記少なくとも1つの金属ピン(5)は、少なくともそのコア領域で、EN10020の規格に基づく特殊鋼から成っており、前記特殊鋼は、1.00±0.03mmの金属ピン直径および11.68±0.02mmの金属ピン長さを有する標準寸法に換算された前記少なくとも1つの金属ピン(5)が、0.15mmより大きい最大弾性撓みW
max
を有するように、選択されており、
前記少なくとも1つの金属ピン(5)の前記特殊鋼は、温度650℃での熱膨張係数α
基体
が、9×10
-6
/K~15×10
-6
/Kの範囲にあるように選択されており、
前記少なくとも1つの金属ピン(5)は、少なくとも1つの曲げ点(50)を有し、
前記金属ピン(5)の曲げはS字状であり、
前記貫通孔(4)内の前記金属ピン(5)の領域と、前記金属ピン(5)の反対側の端部の接続領域との軸方向のオフセット(S)があるように、前記金属ピン(5)の曲げが設計されていることを特徴とする、
金属固定材料フィードスルー。
【請求項2】
前記特殊鋼は、3N~4Nの範囲の機械的負荷のもとで、最大0.21mmの変位が生じるように選択されている、
請求項1記載の金属固定材料フィードスルー。
【請求項3】
前記少なくとも1つの金属ピン(5)の機械的負荷0.25%(ひずみ)は、450MPaを超える応力に相当する、
請求項1または2記載の金属固定材料フィードスルー。
【請求項4】
前記貫通孔(4)内の前記固定材料(10)からの前記金属ピン(5)の抜去力は、250Nより高い、
請求項1から3までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー。
【請求項5】
前記基体(1)は、金属から成っている、かつ/または、これらを実質的に含んでいる、
請求項1から4までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー。
【請求項6】
前記少なくとも1つの金属ピン(5)の前記特殊鋼は、EN10020の規格に基づく合金特殊鋼である、
請求項1から5までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー。
【請求項7】
前記ガラスのまたはガラスセラミックの固定材料(10)は、前記固定材料のTgまでの温度で、4×10
-6
/K~10.6×10
-6
/Kの範囲の熱膨張係数α
ガラス
を有している、
請求項1から6までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー。
【請求項8】
前記基体(1)は、前記ガラスの熱膨張係数αガラスよりも少なくとも2×10
-6
/Kの高い熱膨張係数αを有している、
請求項1から7までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー。
【請求項9】
前記金属固定材料フィードスルーは、圧縮型ガラスフィードスルーとして設計されており、
この場合、前記基体(1)は、前記ガラスのまたはガラスセラミックの固定材料(10)に30MPaよりも大きい接合圧を加える、請求項8記載の金属固定材料フィードスルー。
【請求項10】
前記貫通孔(4)内でガラス封止された前記少なくとも1つの金属ピン(5)は、ニッケルおよび/または金でコーティングされている、請求項1から9までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー。
【請求項11】
少なくとも1つの別の金属ピン(6)は、前記基体(1)に導電接続されている、
請求項1から10までのいずれか1項記載の金属固定材料フィードスルー。
【請求項12】
前記基体(1)に導電接続された前記別の金属ピン(6)は、少なくともそのコア領域で、非特殊鋼から成っており、前記別の金属ピン(6)は、溶接により前記基体(1)に接続されている、
請求項11記載の金属固定材料フィードスルー。
【請求項13】
前記別の金属ピン(6)は、少なくとも1つの曲げ点(60)を有している、
請求項11記載の金属固定材料フィードスルー。
【請求項14】
前記基体(1)に導電接続された前記別の金属ピン(6)は、ニッケルコーティングされている、
請求項11記載の金属固定材料フィードスルー。
【請求項15】
前記基体(1)に導電接続された前記別の金属ピン(6)は、金コーティングされている、
請求項11記載の金属固定材料フィードスルー。
【外国語明細書】