(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026757
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】印刷用液体容器
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
B41J2/175 131
B41J2/175 153
B41J2/175 141
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024003715
(22)【出願日】2024-01-15
(62)【分割の表示】P 2020052325の分割
【原出願日】2020-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】林 雅洋
(57)【要約】
【課題】タンクなどに接続するだけで気液置換が円滑に継続され、且つ単純な構造の印刷用液体容器を提供する。
【解決手段】ボトル130は、貯留室154の開口を区画する第3側壁153を有するボトル本体131と、第3側壁153から突出するボトルキャップ132と、を備える。ボトルキャップ132は、第3側壁153の内面と液密に当接する周面173Aと、周面173Aよりも底壁150に近い位置にある基面180と、第1流路181及び第2流路182と、を有する。第1流路181は、基面180に位置する開口183を通じて貯留室154と連通し、開口184を通じて外部と連通している。第2流路182は、基面180に位置する開口185を通じて貯留室154と連通し、開口186を通じて外部と連通している。ノズル161の先端部が鉛直下方に向いた姿勢のとき、開口183,185が同じ高さにあり、且つ、開口184,186が同じ高さにある。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷用液体を貯留する貯留室の開口を区画する口部を有する本体と、
上記口部から突出するノズルと、を備えており、
上記ノズルは、上記口部の内面と液密に当接する側周面と、当該側周面よりも上記本体の底面に近い位置にある基面と、第1流路及び第2流路と、を有しており、
上記第1流路は、上記基面に位置する第1開口を通じて上記貯留室と連通し、上記ノズルの先端部に位置する第2開口を通じて外部と連通しており、
上記第2流路は、上記基面に位置する第3開口を通じて上記貯留室と連通し、上記ノズルの先端部に位置する第4開口を通じて外部と連通しており、
上記ノズルの先端部が鉛直下方に向いた姿勢のとき、上記第1開口と上記第3開口とが同じ高さにあり、且つ、上記第2開口と上記第4開口とが同じ高さにある印刷用液体容器。
【請求項2】
上記ノズルは、上記側周面より上記先端部に近い位置から突出する鍔部を有しており、
上記鍔部は、上記口部と当接する請求項1に記載の印刷用液体容器。
【請求項3】
上記ノズルは、上記鍔部から上記先端部と反対側へ延びており、上記側周面を有する係合部を有しており、
上記係合部は、上記本体の口部に挿入される請求項2に記載の印刷用液体容器。
【請求項4】
上記基面は円形であり、
上記第1開口及び上記第3開口は円形であり、
上記基面の周縁と上記第1開口又は上記第3開口との最短長さは、上記第1開口の内径及び上記第3開口の内径よりも大きい請求項1から3のいずれかに記載の印刷用液体容器。
【請求項5】
上記口部内に位置しており、第5開口及び第6開口を有するゲート板を更に具備しており、
上記ゲート板は、上記ノズルの基面と当接しており、
上記ノズルは、第1位置と、第2位置と、に移動可能であり、
上記第1位置において、上記第1開口及び上記第3開口は、上記第5開口及び上記第6開口とそれぞれ印刷用液体を流通可能に連通し、
上記第2位置において、上記第1開口及び上記第3開口は、上記第5開口及び上記第6開口とそれぞれ印刷用液体を流通不能に位置が異なる請求項1から4のいずれかに記載の印刷用液体容器。
【請求項6】
上記口部は円筒形状であり、
上記ノズルは、上記口部内で回転することによって上記第1位置と上記第2位置とに移動する請求項5に記載の印刷用液体容器。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の印刷用液体容器と、印刷用液体を貯留する内部空間を有するタンクと、を備える液体供給装置であって、
上記タンクは、上記内部空間と外部とを連通する挿入口部を有しており、
上記挿入口部は、水平方向及び鉛直方向と交差する傾斜方向に沿って、先端を上向きとして延びており、
上記印刷用液体容器は、上記ノズルが上記挿入口部に挿入されることによって、上記本体の上記貯留室から上記タンクの上記内部空間へ印刷用液体を流出可能に接続される液体供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷用液体が貯留される印刷用液体容器に関する。
【背景技術】
【0002】
タンクに貯留されたインクが消費される度に、タンクに接続されたボトルからインクを逐次タンクへ供給することによって、タンクに貯留されたインクの液面を一定に保つことができる構成として、いわゆるチキンフィード方式でボトルからタンクへインクが供給されるインク供給装置が開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示されたインク供給装置では、ボトルは、上方からタンクに接続される。タンクは、大気と連通する空気導入部4を備える。ボトルは、インク流出用パイプ2及び空気流入用パイプ3を備えている。ボトルがタンクに接続された状態において、ボトルとタンクは、インク流出用パイプ2及び空気流入用パイプ3を通じて連通している。タンク内のインクが消費されてインクの液面が空気流入用パイプ3の先端部3aよりも低くなると、空気が空気導入部4からタンクに入り込み、タンクに入り込んだ空気が空気流入用パイプ3を通じてボトルに入り込む。そして、ボトルに入り込んだ空気の体積分のインクがボトルからインク流出用パイプ2を通じてタンクへ供給される。インクの液面が空気流入用パイプ3の先端部3aに達すると、インクの供給は停止される。このようにして、タンク内のインクの液面が一定に維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたインク供給装置では、インク流出用パイプ2が空気流入用パイプ3よりも長く、インク流出用パイプ2の蓋部1aからの突出長が、空気流入用パイプ3の蓋部1aからの突出長よりも長くなっている。これにより、ボトルの蓋部1a周辺の構造が複雑となっており、ボトルの蓋部1a周辺が破損し易い。また、ボトルがタンクに接続された状態で、インク流出用パイプ2及び空気流入用パイプ3と、タンクとの隙間を液密及び気密にシールするための構造が複雑化してしまう。
【0006】
他方、インク流出用パイプ2の蓋部1aからの突出長と、空気流入用パイプ3の蓋部1aからの突出長とが同程度であれば、ボトルからインクを供給するときに、インク流出用パイプ2と空気流入用パイプ3との高低差、すなわち水頭圧に差が生じにくく、気液が置換されつつインクの流出が円滑に継続されないおそれがある。
【0007】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、タンクなどに接続するだけで気液置換が円滑に継続され、且つ単純な構造の印刷用液体容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明に係る印刷用液体容器は、印刷用液体を貯留する貯留室の開口を区画する口部を有する本体と、上記口部から突出するノズルと、を備える。上記ノズルは、上記口部の内面と液密に当接する側周面と、当該側周面よりも上記本体の底面に近い位置にある基面と、第1流路及び第2流路と、を有する。上記第1流路は、上記基面に位置する第1開口を通じて上記貯留室と連通し、上記ノズルの先端部に位置する第2開口を通じて外部と連通している。上記第2流路は、上記基面に位置する第3開口を通じて上記貯留室と連通し、上記ノズルの先端部に位置する第4開口を通じて外部と連通している。上記ノズルの先端部が鉛直下方に向いた姿勢のとき、上記第1開口と上記第3開口とが同じ高さにあり、且つ、上記第2開口と上記第4開口とが同じ高さにある。
【0009】
基面に第1開口及び第2開口がそれぞれ位置しているので、基面において印刷用液体が残留しにくい。また、第1流路及び第2流路の各流路長が比較的長くできるので、貯留室において気液が置換されつつ、印刷用液体が円滑にノズルを通じて外部へ流出する。
【0010】
(2) 好ましくは、上記ノズルは、上記側周面より上記先端部に近い位置から突出する鍔部を有しており、上記鍔部は、上記口部と当接する。
【0011】
鍔部と口部との当接によって、ノズルが本体に確実に位置決めされる。また、口部周りの寸法を小さくできる。
【0012】
(3) 好ましくは、上記ノズルは、上記鍔部から上記先端部と反対側へ延びており、上記側周面を有する係合部を有しており、上記係合部は、上記本体の口部に挿入される。
【0013】
(4) 好ましくは、上記基面は円形であり、上記第1開口及び上記第3開口は円形であり、上記基面の周縁と上記第1開口又は上記第3開口との最短長さは、上記第1開口の内径及び上記第3開口の内径よりも大きい。
【0014】
(5) 好ましくは、上記印刷用液体容器は、上記口部内に位置しており、第5開口及び第6開口を有するゲート板を更に具備しており、上記ゲート板は、上記ノズルの基面と当接しており、上記ノズルは、第1位置と、第2位置と、に移動可能であり、上記第1位置において、上記第1開口及び上記第3開口は、上記第5開口及び上記第6開口とそれぞれ印刷用液体を流通可能に連通し、上記第2位置において、上記第1開口及び上記第3開口は、上記第5開口及び上記第6開口とそれぞれ印刷用液体を流通不能に位置が異なる。
【0015】
印刷用液体容器が、ノズルの先端部が鉛直下方に向いた姿勢にされても、ノズルから液体が流出することがない。
【0016】
(6) 好ましくは、上記口部は円筒形状であり、上記ノズルは、上記口部内で回転することによって上記第1位置と上記第2位置とに移動する。
【0017】
ノズルを第1位置及び第2位置に移動することが容易である。
【0018】
(7) 本発明は、上記印刷用液体容器と、印刷用液体を貯留する内部空間を有するタンクと、を備える液体供給装置であって、上記タンクは、上記内部空間と外部とを連通する挿入口部を有しており、上記挿入口部は、水平方向及び鉛直方向と交差する傾斜方向に沿って、先端を上向きとして延びており、上記印刷用液体容器は、上記ノズルが上記挿入口部に挿入されることによって、上記本体の上記貯留室から上記タンクの上記内部空間へ印刷用液体を流出可能に接続される液体供給装置として捉えられてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、タンクなどに接続するだけで気液置換が円滑に継続され、且つ単純な構造の印刷用液体容器が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】
図2は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
【
図3】
図3は、タンクセット99の前方分解斜視図である。
【
図4】
図4は、タンクセット99及びボトル130の斜視図である。
【
図6】
図6は、ボトル130の断面形状を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、ボトルキャップ132の斜視図である。
【
図8】
図8は、ボトルキャップ132の断面形状を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、装着状態におけるインクタンク100の前部及びボトル130の縦断面図である。
【
図11】
図11は、変形例におけるボトル130の断面形状を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、変形例におけるボトル本体131を示す斜視図である。
【
図13】
図13(A)は、変形例におけるボトルキャップ132が第1位置にあるときのボトル本体131及びボトルキャップ132の断面図であり、
図13(B)は、変形例におけるボトルキャップ132が第2位置にあるときのボトル本体131及びボトルキャップ132の断面図である。
【
図14】
図14は、変形例におけるボトルキャップ132の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。換言すれば、向きは方向の一成分である。さらに、複合機10が使用可能に水平面に設置された姿勢(
図1の姿勢であって、「使用姿勢」と表記することがある。)を基準として上下方向7が定義され、複合機10の開口13が設けられている面を前面として前後方向8が定義され、複合機10を前面から見て左右方向9が定義される。本実施形態では、使用姿勢において、上下方向7が鉛直方向に相当し、前後方向8及び左右方向9が水平方向に相当し、前後方向8及び左右方向9は直交している。
【0022】
[複合機10の全体構成]
図1に示されるように、複合機10(液体供給装置の一例)は、概ね直方体形状である。複合機10は、インクジェット記録方式で用紙12(
図2参照)に画像を記録するプリンタ部11を下部に有している。プリンタ部11は、筐体14を備えている。筐体14は、前壁229に開口13が形成された本体34と、本体34に支持された開閉蓋230とを備える。
【0023】
図2に示されるように、筐体14の本体34の内部には、給送部15と、給送トレイ20と、排出トレイ21と、搬送ローラ部54と、記録部24と、排出ローラ部55と、プラテン42と、タンクセット99(
図3及び
図4参照)とが配置されている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。
【0024】
図1及び
図2に示されるように、用紙12が収容される給送トレイ20は、開口13を通じて前後方向8に沿ってユーザによって複合機10に対して挿抜される。排出トレイ21は、排出された用紙12を支持する。給送部15は、給送トレイ20に支持された用紙12を搬送経路65へ給送する。
【0025】
搬送経路65は、プリンタ部11の後部において上方に延びつつ前方にUターンし、記録部24とプラテン42との間の空間を経て排出トレイ21に至る経路である。プラテン42は、用紙12を下方から支持するものである。搬送経路65内における用紙12の搬送向き16は、
図2において一点鎖線の矢印で示されている。
【0026】
搬送ローラ部54は、搬送経路65に給送された用紙12を搬送向き16に搬送して記録部24とプラテン42の間へ送る。排出ローラ部55は、記録部24によって画像記録された用紙12を搬送向き16に搬送して排出トレイ21へ送る。
【0027】
記録部24は、搬送向き16における搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間に配置されている。記録部24は、搬送経路65を挟んでプラテン42と上下方向7に対向配置されている。記録部24は、左右方向9に移動可能なキャリッジ23と、記録ヘッド39とを備えている。
【0028】
キャリッジ23からは、インクチューブ32(
図4参照)が延出されている。インクチューブ32は、タンクセット99(
図3及び
図4参照)及び記録ヘッド39を接続するものである。インクチューブ32は、タンクセット99の各インクタンク100に貯留されたインク(印刷用液体の一例)を記録ヘッド39に供給する。インクタンク100は、タンクの一例である。各色(ブラック、マゼンタ、シアン、イエロー)のインクが流通する4本のインクチューブ32が、各インクタンク100に対応して設けられている。
【0029】
図2に示されるように、キャリッジ23は、記録ヘッド39を搭載している。記録ヘッド39の下面には、複数のノズル40が配置されている。キャリッジ23が移動する過程において、プラテン42に支持されている用紙12に向けて記録ヘッド39がインク滴を吐出する。これにより、用紙12に画像が記録される。
【0030】
図1に示されるように、本体34には、開閉蓋230が取り付けられている。本体34における開閉蓋230の奥に、収容空間が形成されている。開閉蓋230は、収容空間を閉塞する閉位置(
図1に示される位置)と、収容空間を開放する開位置との間を回動可能である。開閉蓋230が開位置のとき、インクタンク100及び保持部材110(
図3及び
図4参照)のそれぞれの一部が外部から視認可能である。
【0031】
[タンクセット99]
図3及び
図4に示されるタンクセット99は、本体34の収容空間に収容されている。タンクセット99は、記録ヘッド39に供給されるインクを貯留するものである。タンクセット99は、異なる色のインクをそれぞれ貯留する4つのインクタンク100と、保持部材110とを備える。なお、タンクセット99は、保持部材110を備えていなくてもよい。
【0032】
[インクタンク100]
図3及び
図4に示されるように、インクタンク100は、全体として、左右方向9に沿った寸法が短く、上下方向7及び前後方向8それぞれに沿った寸法が左右方向9に沿った寸法よりも長い扁平の直方体形状である。また、前後方向8の寸法は、上下方向7の寸法よりも長い。なお、インクタンク100の側面が開口しているが、この開口した側面はフィルムによって封止されている。
【0033】
インクタンク100は、インクを貯留する貯留室111(内部空間の一例)内のインクがインクタンク100の外部から視認可能な程度の透光性を有する樹脂で形成されている。
【0034】
インクタンク100は、立壁102及び傾斜壁106を備えている。立壁102及び傾斜壁106は、貯留室111の前側を区画している。立壁102は、上下方向7及び左右方向9に拡がっている。傾斜壁106は、立壁102の上端から上方へ向かうにしたがって後方へ向かうように延びている。なお、インクタンク100を構成する各壁のうち、少なくとも立壁102が透光性を有する樹脂で形成されていればよく、立壁102以外の他の壁は透光性を有していなくてもよい。
【0035】
各インクタンク100の立壁102は、保持部材110の開口81(
図3参照)及び開閉蓋230の開口232(
図1参照)を介して、複合機10の外部に露出している。このような構成であることにより、各インクタンク100の立壁102は、開閉蓋230が閉位置であっても、複合機10の外部から視認可能であり、ユーザは各インクタンク100に貯留されたインクの残量を確認可能である。
【0036】
図3に示されるように、各インクタンク100の立壁102には、第1目印146と第2目印147とが形成されている。
【0037】
第1目印146は、左右方向9に延びている。第1目印146の上下方向7の位置は、複合機10が使用姿勢において、貯留が許容される最大量のインクが貯留室111に貯留されたときの、当該インクの液面と同じ高さである。つまり、第1目印146は、貯留が許容される最大量のインクが貯留室111に貯留されたときの、当該インクの液面と高さを示す。
【0038】
第2目印147は、左右方向9に延びている。第2目印147は、第1目印146よりも下方に位置している。第2目印147の上下方向7の位置は、複合機10が使用姿勢において、インクの補充が必要となる最小量のインクが貯留室111に貯留されたときの、当該インクの液面と同じ高さである。
【0039】
なお、第1目印146及び第2目印147の高さは、上述した高さに限らない。また、インクタンク100は、第1目印146及び第2目印147を有していなくてもよい。
【0040】
インクタンク100は、大気連通孔98を有する。大気連通孔98は、貯留室111とインクタンク100の外部とを連通している。つまり、大気連通孔98は、貯留室111を大気に連通している。
【0041】
図3に示されるように、インクタンク100の傾斜壁106には、貯留室111にインクを注入するための貫通孔112(挿入口部の一例)が形成されている。開閉蓋230が開位置のとき、貫通孔112は、開口22を介して複合機10の外部に露出する。
【0042】
貫通孔112は、傾斜壁106を貫通している。貫通孔112は、後方へ向かうにしたがって下方へ向かうよう傾斜方向に沿って、先端を上向きとして延びている。傾斜方向は、上下方向7、前後方向8、及び左右方向9に対して傾斜した方向である。貫通孔112の一端は、貯留室111と連通している。貫通孔112の他端は、インクタンク100の外部と連通している。つまり、貫通孔112は、貯留室111とインクタンク100の外部とを連通している。
【0043】
貫通孔112は、傾斜方向に沿った視線において円形状であり、傾斜壁106に形成されており傾斜壁106の外面から突出した環状リブ109の円周面状の内周面114によって区画されている(
図10参照)。なお、貫通孔112の形状は、後述するノズル161に形状に応じて決定される。
【0044】
後述するように、ボトル130(印刷用液体容器の一例、
図4参照)のノズル161が貫通孔112に挿入されることによって、ボトル130がインクタンク100と接続される(
図4及び
図10参照)。ボトル130とインクタンク100によってシステム5が構成される。ボトル130がインクタンク100と接続されることにより、ボトル130内のインクがインクタンク100の貯留室111へ流出可能となる。ボトル130がインクタンク100と接続されるタイミングは、例えば、インクタンク100の貯留室111に貯留されたインクの残量が少なくなったとき、具体的には貯留室111に貯留されたインクの液面が第2目印147以下の高さとなったときである。もちろん、上記以外のタイミングで、ボトル130がインクタンク100に接続されてもよい。
【0045】
[保持部材110]
図3及び
図4に示されるように、保持部材110は、4つのインクタンク100を、前後方向8の前方から、左右方向9に沿って一列に並んだ状態で保持するものである。保持部材110は、インクタンク100を保持した状態において、インクタンク100の前部を覆っている。
【0046】
保持部材110は、開口81、82を有している。各インクタンク100の立壁102に形成された第1目印146及び第2目印147が、保持部材110の開口81及び開閉蓋230の開口232を介してプリンタ部11の外部に露出可能である。各インクタンク100の貫通孔112が、開口82を介して保持部材110の外部に露出可能である。
【0047】
[ボトル130]
図5に示されるボトル130は、インクを貯留するものである。
図5に示されるように、ボトル130は、ボトル本体131と、ボトル本体131に対して着脱可能なボトルキャップ132と、ボトルキャップ132に対して着脱可能なノズルキャップ133とを備えている。ボトル本体131が、本体の一例である。ボトルキャップ132が、ノズルの一例である。
【0048】
以下の説明において、ボトルキャップ132がボトル本体131に装着され、ノズルキャップ133がボトルキャップ132に装着された状態、つまり
図5及び
図6に示される装着状態において、ボトル本体131からボトルキャップ132が突出する向きを第1向き134と規定する(
図6参照)。また、装着状態において、第1向き134と逆向きを第2向き135と規定する(
図6参照)。また、装着状態において、概ね円柱形状であるボトル130の軸方向(第1向き134、第2向き135に沿った方向)周りの方向を、周方向136と規定する。
【0049】
[ボトル本体131]
図5及び
図6に示されるように、ボトル本体131は、底壁150と、第1側壁151と、第2側壁152と、第3側壁153とを備える。
【0050】
底壁150は、概ね円形状の壁である。第1側壁151は、底壁150の外縁から第1向き134に延びた円筒形状の壁である。第2側壁152は、第1側壁151における第1向き134の端部から、ボトル本体131を縮径する方向に傾斜しつつ第1向き134に延びている。第3側壁153は、第2側壁152における第1向き134の端部から第1向き134に延びた円筒形状の壁である。第3側壁153が、口部の一例である。
【0051】
図6に示されるように、底壁150、第1側壁151、第2側壁152、及び第3側壁153によって区画された空間が、貯留室154である。貯留室154にインクが貯留される。
【0052】
第3側壁153は、第1向き134の端部に開口155を有している。貯留室154は、開口155を通じてボトル本体131の外部と連通している。
【0053】
第3側壁153は、その外周面に雄ネジ156を有している。第3側壁153は、その内周面の第1向き134の端部に、当該内周面に沿って延びた円環リブ157を有している。
【0054】
本実施形態において、ボトル本体131は、概ね円柱形状であるが、別の形状(例えば四角柱形状など)であってもよい。ボトル本体131のうち少なくとも第1側壁151は、可撓性を有する。これにより、第1側壁151は変形可能である。第1側壁151が変形することによって、貯留室154の体積が変化する。
【0055】
[ボトルキャップ132]
図7に示されるように、ボトルキャップ132は、単体の部材である。
図5及び
図6に示されるように、ボトルキャップ132は、ボトル本体131に着脱可能である。なお、ボトルキャップ132は、ボトル本体131に一体に構成されていてもよい。
【0056】
図7及び
図8に示されるように、ボトルキャップ132は、キャップ本体160と、ノズル161と、環状突起162と、リブ163とを備える。
【0057】
[キャップ本体160]
キャップ本体160は、底壁164と、側壁165とを備える。底壁164は、概ね円形状の壁である。側壁165は、底壁164の外縁から第2向き135に延びた概ね円筒形状の壁である。底壁164が、鍔部の一例である。
【0058】
図8に示されるように、側壁165は、その内周面166に雌ネジ167を有している。雌ネジ167は、ボトル本体131の雄ネジ156と螺合可能である(
図6参照)。雄ネジ156と雌ネジ167が螺合することによって、ボトルキャップ132がボトル本体131に装着される(
図6及び
図7参照)。
【0059】
図7に示されるように、底壁164は、その外面168から第1向き134に突出した凸部169を有している。凸部169は、環状突起162の外周面191の周囲に位置しており、外周面191と当接している。凸部169は、側面視において概ね三角形状である。
【0060】
図8に示されるように、底壁164の内面172からは、第2向き135に係合部173が突出している。すなわち、底壁164は、係合部173の周面173A(側周面の一例)より先端部に近い。
図6に示されるように、係合部173は、装着状態において、ボトル本体131に開口155を通じて第3側壁153の内側へ挿入されており、周面173Aが、第3側壁153の円環リブ157に液密に当接している。これにより、貯留室154内のインクが開口155を通じて流出することが防止される。このとき、キャップ本体160の底壁164は、第3側壁153の先端に当接している。
【0061】
図7に示されるように、側壁165は、その外周面174にマーク175を有している。マーク175は、ボトルキャップ132を第2向き135に沿った視線で視た場合に、後述する第1流路181に対して後述する第2流路182の反対の位置と、第2流路182に対して第1流路181の反対の位置とに設けられている。本実施形態では、ボトルキャップ132を第2向き135に沿った視線で視た場合に、2つのマーク175、第1流路181、及び第2流路182は、一直線上に位置しており、且つ、2つのマーク175が第1流路181及び第2流路182を挟んでいる。
【0062】
なお、2つのマーク175、第1流路181、及び第2流路182は、一直線上に位置していなくてもよい。また、本実施形態において、マーク175は、第1向き137を指す矢印形状であるが、マーク175の形状は矢印形状に限らない。また、ボトルキャップ132は、マーク175を有していなくてもよい。
【0063】
図7に示されるように、側壁165は、その外周面174に、第1向き134に沿って延びた複数のリブ176を有している。リブ176は、マーク175が設けられた箇所及びその周辺部以外に設けられている。リブ176が設けれられていることによって、ユーザが外周面174を把持したときに、ユーザの手が滑り難くなる。
【0064】
[ノズル161]
図7及び
図8に示されるように、ノズル161は、キャップ本体160の底壁164の外面168から第1向き134に突出している。つまり、装着状態において、ノズル161は、ボトル本体131からキャップ本体160を介して第1向き134に突出している。
【0065】
ノズル161は、底壁164から第1向き134に突出するとともに、底壁164から第2向き135に突出している。なお、本実施形態において、ノズル161において、底壁164から第2向き135に突出した部分が係合部173である(
図6及び
図8参照)。
【0066】
ノズル161は、概ね円柱形状である。ノズル161は、円周面状の外周面177を有している。
図8に示されるように、外周面177の一部である外周面178は、ノズル161を縮径する方向に傾斜しつつ第1向き134に延びている。なお、ノズル161は、円柱形状以外、例えば四角柱形状であってもよい。
【0067】
図6及び
図8に示されるように、ノズル161は、第1流路181及び第2流路182を有する。
【0068】
第1流路181及び第2流路182は、ノズル161を第1向き134に沿って貫通している。なお、本実施形態において、第1流路181及び第2流路182は第1向き134に沿って延びているが、これに限らず、例えば第1流路181及び第2流路182は湾曲していてもよい。第1流路181のインクの流通方向に沿った長さは、第2流路182のインクの流通方向に沿った長さと同一である。本実施形態において、インクの流通方向は、第1流路181及び第2流路182が貫通されている方向、つまり第1向き134である。なお、第1流路181のインクの流通方向に沿った長さは、第2流路182のインクの流通方向に沿った長さと異なっていてもよい。
【0069】
第1流路181及び第2流路182は、同じ形状且つ同じ大きさである。換言すると、第1流路181の断面形状及び断面積は、第2流路182の断面形状及び断面積と同一である。本実施形態において、第1流路181及び第2流路182の断面形状は共に円形状であり、当該円の面積は同一である。なお、第1流路181及び第2流路182の断面形状は円形状以外の形状であってもよい。また、第1流路181の断面形は、第2流路182の断面形状と異なっていてもよいし、第1流路181の断面積は第2流路182の断面積と異なっていてもよい。
【0070】
装着状態において、第1流路181の一端は、開口183(第1開口の一例)を通じて貯留室154と連通している。第1流路181の他端は、開口184(第2開口の一例)を通じてノズル161の外部と連通している。装着状態において、第2流路182の一端は、開口185(第3開口の一例)を通じて貯留室154と連通している。第2流路182の他端は、開口186(第4開口の一例)を通じてノズル161の外部と連通している。本実施形態において、貯留室154とボトル本体131の外部とは、第1流路181及び第2流路182のみによって連通している。
【0071】
開口183、185は、係合部173において第2向き135を向く面である基面180に形成されている。基面180は、装着状態において、貯留室154の第1向き134の端部を区画している。開口183、185は、円形状である。なお、開口183、185は、円形状以外の形状であってもよい。また、基面180には、開口183,185の周囲に僅かに突出する凸片180Aが形成されている。
【0072】
図9に示されるように、基面180の周縁180Bと開口183又は開口185との最短長さD1は、開口183の内径D2及び開口185の内径D3よりも大きい。なお、本実施形態では、基面180の周縁180Bと開口183との最短長さD1と、基面180の周縁180Bと開口183との最短長さD1とは同じであるが、これらは異なっていてもよい。また、内径D2と内径D3とは同じであるが、これらは異なっていてもよい。
【0073】
基面180は、装着状態においてノズル161の先端部が鉛直下方に向いた姿勢のとき、貯留室154の下端を区画する。ノズル161の先端部が鉛直下方に向いた姿勢とは、
図6において、第1向き134が鉛直下方となるようなノズル161の姿勢である。
【0074】
図7及び
図8に示されるように、開口184、186は、ノズル161の第1向き134の端部を構成する先端面179に形成されている。つまり、開口184、186は、同一面上に形成されている。
【0075】
開口184、186は、円形状である。なお、開口184、186は、円形状以外の形状であってもよい。また、開口184、186が形成されるのは、ノズル161の先端部であればよく、先端面179に限らない。ノズル161の先端部は、例えばノズル161のうち先端面179及び外周面177で構成される部分である。
【0076】
ノズル161の先端部が鉛直下方に向いた姿勢のとき(開口184、186が鉛直下方に向いた姿勢のとき)、開口183は、開口185と同じ高さにあり、開口184は、開口186と同じ高さにある。
【0077】
図7に示されるように、ノズル161は、その外周面177に、凹部187を有している。凹部187は、ノズル161の基端部近傍から先端部近傍に亘って第1向き134に延びている。本実施形態において、凹部187は2箇所に形成されているが、凹部187は1箇所または3箇所以上に形成されていてもよい。また、本実施形態において、凹部187はノズル161の基端部近傍から先端部近傍に亘って延びているが、凹部187は、少なくとも、ノズル161がインクタンク100の貫通孔112に挿入された状態(
図13に示された状態)において、インクタンク100の内部(貯留室111)から外部に亘って延びていればよい。なお、ノズル161は、凹部187を有していなくてもよい。
【0078】
図7及び
図8に示されるように、ノズル161は、その先端部に凹部188を有している。凹部188は、先端面179と、先端面179の外縁部から第1向き134に突出した円環リブ189の内周面とで区画されている。つまり、先端面179は、ノズル161の先端(円環リブ189の先端)から凹んでいる。円環リブ189は、凹部188を拡径する方向に傾斜しつつ第1向き134に延びている。
【0079】
[環状突起162]
図7及び
図8に示されるように、環状突起162は、底壁164の外面168から第1向き134に突出している。環状突起162は、ノズル161の周囲から突出している。つまり、ボトルキャップ132を第2向き135に沿って視た場合、環状突起162は、ノズル161を囲んでいる。これにより、環状突起162とノズル161と底壁164とによって、周方向136に延びた溝193が形成されている。
【0080】
環状突起162の突出長は、ノズル161の突出長より短い。つまり、環状突起162の第1向き134の端は、ノズル161の第1向き134の端よりも第2向き135にある。
【0081】
[リブ163]
図7及び
図8に示されるように、リブ163は、ノズル161の外周面177から突出している。リブ163は、ノズル161の基端から先端へ向けて第1向き134に沿って延びている。リブ163の第2向き135の端は、底壁164に至っている。リブ163の第1向き134の端は、環状突起162よりも第1向き134にある。リブ163は、周方向136において間隔を空けて複数設けられている。複数のリブ163は、ノズル161の中心(円柱形状の軸中心)に対して放射状に突出している。
【0082】
[ボトル130のインクタンク100との接続]
図4及び
図10に示されるように、ボトル130のノズル161がインクタンク100の貫通孔112に挿入されることによって、ボトル130がインクタンク100に接続される。以下、ボトル130がインクタンク100に接続されたときのボトル130の姿勢は、接続姿勢とも称される。
【0083】
ボトル130のノズル161がインクタンク100の貫通孔112に挿入されるとき、マーク175が鉛直上方を向くようにボトル130の姿勢が調整されることによって、開口184、186が貯留室111に位置するときに開口184、186の一方が他方より上方にある状態とすることができる。本実施形態では、接続姿勢において、開口186が開口184より上方にある。
【0084】
図10に示されるように、ボトル130が接続姿勢のとき、ノズル161の外周面177が貫通孔112の内周面114と当接している。また、ボトル130が接続姿勢のとき、リブ163がインクタンク100の環状リブ109に当接している。ボトル130が接続姿勢のとき、開口184、186は、大気連通孔98より下方にある。
【0085】
貫通孔112の内径は、ノズル161のうち接続姿勢において貫通孔112内にある部分の外径よりも僅かに大きい。これにより、接続姿勢において、ボトル130は自重によってボトル本体131が下方に且つノズル161の先端が上方に移動するように回転する。回転したボトル130のノズル161は、位置P1及び位置P2の2箇所において貫通孔112の内周面114と当接する。
【0086】
位置P1は、内周面114の貯留室111側の縁部である。ノズル161の外周面177が下方から当該縁部に当接する。位置P2は、内周面114の外部側の縁部である。ノズル161の外周面177が上方から当該縁部に当接する。これにより、ノズル161は貫通孔112と係合する。その結果、ボトル130は、接続姿勢に維持される。
【0087】
ボトル130が接続姿勢のとき、第1側壁151は、位置P1及び位置P2よりも上方に位置する。
【0088】
ノズル161は凹部187を有している(
図7参照)。ボトル130が接続姿勢のとき、凹部187のノズル161先端側の端部は貯留室111内にあり、凹部187のノズル161基端側の端部はインクタンク100の外部にある。これにより、貯留室111とインクタンク100の外部とは、凹部187を介して連通している。つまり、接続姿勢のとき、インクタンク100は、大気連通孔98に加えて凹部187によっても大気と連通している。
【0089】
以下、ボトル130が接続姿勢のときにおけるボトル130からインクタンク100へのインクの供給が説明される。以下の説明では、ボトル130からインクタンク100へのインクの供給は、所謂チキンフィード方式で行われる。
【0090】
図4及び
図10に示されるように、ボトル130がインクタンク100へ接続されて、開口184、186がインクタンク100の貯留室111内に位置するようになると、貯留室154と貯留室111とが第1流路181及び第2流路182を通じて連通する。これにより、貯留室154に貯留されたインクが、開口183を介して第1流路181へ流通し、開口184から貯留室111へ流通する。また、インクの流通に際して、空気が大気連通孔98から貯留室111に入り込み、第2流路182を介して貯留室154に流入する。ここで、貯留室154から貯留室111へ流通するインクの体積と、貯留室111から貯留室154へ流通する空気の体積とは、ほぼ同じである。このようにして、いわゆる気液置換が行われる。ボトル130の貯留室154内のインクがすべてインクタン100の貯留室111へ流出すると、気液置換が終了する。
【0091】
[実施形態の作用効果]
本実施形態に係るボトル130によれば、基面180に開口183,185がそれぞれ位置しているので、基面180においてインクが残留しにくい。また、第1流路181及び第2流路182の各流路長が比較的長くできるので、気液が置換されつつインクが円滑に第1流路181及び第2流路182を通じて外部へ流出する。
【0092】
[変形例1]
前述された実施形態では、ボトルキャップ132は、底壁164及び側壁165を有しており、側壁165に形成された雌ネジ167が、ボトル本体131の第3側壁153に形成された雄ネジ156と螺合することによって、ボトルキャップ132がボトル本体131に組み付けられているが、ボトルキャップ132は、側壁165を有していなくてもよい。その場合、底壁164から第2向き135に突出する係合部173が、ボトル本体131の第3側壁153の内側に挿入され、底壁164が第3側壁153の先端に当接することによって、ボトルキャップ132がボトル本体131の所定の位置に組み付けられる。このような変形例1の構成によれば、底壁164は、第3側壁153より外側へ突出する必要がないので、ボトルキャップ132の底壁164の外径を小さくできる。
【0093】
[変形例2]
また、
図11に示されるように、ボトル本体131は、第3側壁153の内側に位置するゲート板115を有していてもよい。以下、前述された実施形態と異なる構成が詳細に説明される。なお、前述された実施形態と同じ参照符号が付された部材は同様の構成である。
【0094】
図12に示されるように、ボトル本体131の第3側壁153の内周面には、内側へ突出するC字形状の凸部116が位置する。凸部116は、第3側壁153において、係合部173の基面180よりも第2向き135に位置する。凸部116は、第3側壁153の内周面に沿って延びており、全周に亘って連続しておらず、第3側壁153の内周面の一部において凸部116が位置しない箇所がある。凸部116が位置しない箇所には、ゲート板115の縁部から第2向き135に突出するキー117(
図13参照)が嵌まり込む。これにより、凸部116と当接するゲート板115が軸線周りに回転しない。
【0095】
図14に示されるように、係合部173の基面180に開口する開口183,185は、円形ではなく扇形である。換言すれば、開口183,185は、円形の基面180の中心近くにおいて径方向に沿った幅が狭く、中心から離れるにつれて径方向に沿った幅が次第に広くなる形状である。開口183,185の各幅は、基面180の径方向全周の1/4よりも小さい。開口183,185は、基面180の中心に対して点対称な形状である。
【0096】
ゲート板115は、第3側壁153の内径と同等の外径を有する円盤形状である。図 10に示されるように、ゲート板115は、開口118,119を有する。開口118,119は、基面180の開口183,185と同じ形状及び配置である。すなわち、開口118,119は、ゲート板115において第2向き135を向く面の中心に対して点対称な形状である。開口118,119が、第5開口、第6開口の一例である。
【0097】
ゲート板115は、第3側壁153の内側に位置して、凸部116に支持されている。ゲート板115において第1向き134を向く面は、係合部173の基面180に当接している。すなわち、ゲート板115は、第3側壁153の内側において、凸部116と係合部173とに挟み込まれている。なお、本変形例においては、係合部173の基面180に凸片180Aは形成されていない。ゲート板115と凸部116との当接箇所、及びゲート板115と係合部173との当接箇所は、液密である。したがって、ボトル本体131の貯留室154に貯留されているインクは、開口118,119以外の箇所からボトル本体131の外側へ流出しない。
【0098】
図11に示されるように、ボトル本体131の第3側壁153の外周面には雄ネジ156が形成されていない。また、ボトルキャップ132の側壁165の内周面には雌ネジ167が形成されていない。したがって、ボトルキャップ132の係合部173がボトル本体131の第3側壁153の内側に挿入された状態で、ボトルキャップ132はボトル本体131に対して軸線周りに回転可能である。つまり、係合部173が第3側壁153の内で回転する。
【0099】
図13(A)に示される第1位置において、ゲート板115の開口118,119と、基面180の開口183,185とがほぼ重なって連通する。これにより、貯留室154に貯留されたインクが、第1流路181及び第2流路を通じた気液置換により、外部へ流出可能となる。
【0100】
図13(B)に示される第2位置に置いて、ゲート板115の開口118,119と、基面180の開口183,185とがほぼ重ならない。これにより、第1流路181及び第2流路がゲート板115によりインクが流出不能に閉じられる。したがって、ボトル130が、ノズル161の先端部が鉛直下方に向いた姿勢にされても、貯留室154に貯留されたインクがノズル161を通じて外部へ流出しない。
【0101】
[その他の変形例]
上記実施形態では、第1流路181及び第2流路182の断面形状は円形状であり、各開口183、184、185、186も円形状であった。しかし、第1流路181、第2流路182、及び各開口183、184、185、186の形状は、上記実施形態と異なる形状であってもよい。例えば、各開口183、184、185、186の断面形状は半円形状であって、各面に形成されている2つの開口が合わさって円形状となってもよい。
【0102】
上記実施形態では、ノズル161は、2つの流路(第1流路181及び第2流路182)を有していたが、ノズル161は、3つ以上の流路を有していてもよい。
【0103】
インクタンク100において、貫通孔112は傾斜壁106以外に形成されていてもよい。例えば、貫通孔112は、インクタンク100の上壁に形成されており、鉛直方向に沿って延びていてもよい。この場合、ノズル161は上方から貫通孔112に挿入される。
【0104】
上記実施形態では、インクを液体の一例として説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、インクに代えて、印刷時にインクに先立って記録用紙に吐出される前処理液、或いは記録ヘッド39のノズル40の乾燥を防止するために記録ヘッド39のノズル40近傍に噴霧される水等が、印刷用液体の一例であってもよい。
【符号の説明】
【0105】
10・・・複合機(液体供給装置)
100・・・インクタンク(タンク)
111・・・貯留室(内部空間)
112・・・貫通孔(挿入口部)
115・・・ゲート板
118・・・開口(第5開口)
119・・・開口(第6開口)
130・・・ボトル(印刷用液体容器)
131・・・ボトル本体(本体)
132・・・ボトルキャップ(ノズル)
153・・・第3側壁(口部)
154・・・貯留室
155・・・開口
164・・・底壁(鍔部)
173・・・係合部
173A・・・周面(側周面)
180・・・基面
181・・・第1流路
182・・・第2流路
183・・・開口(第1開口)
184・・・開口(第2開口)
185・・・開口(第3開口)
186・・・開口(第4開口)
【手続補正書】
【提出日】2024-02-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留室に印刷用液体を貯留する印刷用液体容器であって、
上記貯留室と連通する2つの開口が位置する円形の基面を有するノズルを備えており、
上記基面において、上記ノズルの中心から上記2つの開口のうちの一方の開口の中心までの距離は、上記ノズルの中心から上記2つの開口のうちの他方の開口の中心までの距離と異なる、印刷用液体容器。
【請求項2】
上記基面の周縁と上記一方の開口との最短長さは、上記基面の周縁と上記他方の開口との最短長さと異なる、請求項1に記載の印刷用液体容器。
【請求項3】
上記一方の開口は円形であり、
上記他方の開口は円形であり、
上記一方の開口の内径は、上記他方の開口の内径と異なる、請求項1または2に記載の印刷用液体容器。
【請求項4】
上記一方の開口は円形であり、
上記他方の開口は円形であり、
上記基面の周縁と上記一方の開口または上記他方の開口との最短長さは、上記一方の開口の内径および上記他方の開口の内径よりも大きい請求項1から3のいずれかに記載の印刷用液体容器。
【請求項5】
上記ノズルは、第1流路を有しており、
上記第1流路は、上記一方の開口としての第1開口を通じて上記貯留室と連通しており、上記ノズルの先端部に位置する第2開口を通じて外部と連通している、請求項1から4のいずれかに記載の印刷用液体容器。
【請求項6】
上記ノズルは、第2流路を有しており、
上記第2流路は、上記他方の開口としての第3開口を通じて上記貯留室と連通しており、上記ノズルの先端部に位置する第4開口を通じて外部と連通している、請求項5に記載の印刷用液体容器。
【請求項7】
上記ノズルの先端部が鉛直下方に向いた姿勢のとき、上記第1開口と上記第3開口とが同じ高さにあり、且つ、上記第2開口と上記第4開口とが同じ高さにある、請求項6に記載の印刷用液体容器。
【請求項8】
上記貯留室の開口を区画する口部を有する本体を備えており、
上記ノズルは、
上記口部の内面と液密に当接する側周面と、
上記口部から突出する突出部と、を有しており、
上記基面は、上記側周面よりも上記本体の底面に近い位置にある、請求項1から7のいずれかに記載の印刷用液体容器。
【請求項9】
上記ノズルは、上記側周面より上記ノズルの先端部に近い位置から突出する鍔部を有しており、
上記鍔部は、上記口部と当接する請求項8に記載の印刷用液体容器。
【請求項10】
上記ノズルは、上記鍔部から上記先端部と反対側へ延びており、上記側周面を有する係合部を有しており、
上記係合部は、上記本体の口部に挿入される請求項9に記載の印刷用液体容器。
【請求項11】
上記口部内に位置しており、第5開口及び第6開口を有するゲート板を更に具備しており、
上記ゲート板は、上記ノズルの上記基面と当接しており、
上記ノズルは、第1位置と、第2位置と、に移動可能であり、
上記第1位置において、上記一方の開口としての第1開口及び上記他方の開口としての第3開口は、上記第5開口及び上記第6開口とそれぞれ印刷用液体を流通可能に連通し、
上記第2位置において、上記第1開口及び上記第3開口は、上記第5開口及び上記第6開口とそれぞれ印刷用液体を流通不能に位置が異なる請求項8から10のいずれかに記載の印刷用液体容器。
【請求項12】
上記口部は円筒形状であり、
上記ノズルは、上記口部内で回転することによって上記第1位置と上記第2位置とに移動する請求項11に記載の印刷用液体容器。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の印刷用液体容器と、印刷用液体を貯留する内部空間を有するタンクと、を備える液体供給装置であって、
上記タンクは、上記内部空間と外部とを連通する挿入口部を有しており、
上記挿入口部は、水平方向及び鉛直方向と交差する傾斜方向に沿って、先端を上向きとして延びており、
上記印刷用液体容器は、上記ノズルが上記挿入口部に挿入されることによって、上記貯留室から上記タンクの上記内部空間へ印刷用液体を流出可能に接続される液体供給装置。