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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026835
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】身体温冷装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/00 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
A61F7/00 310J
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024005634
(22)【出願日】2024-01-17
(62)【分割の表示】P 2019141693の分割
【原出願日】2019-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 龍之介
(72)【発明者】
【氏名】阿部 裕也
(72)【発明者】
【氏名】段 彦昭
(57)【要約】
【課題】ペルチェ素子に発生する不具合を防止する。
【解決手段】身体温冷装置は、利用者の頸部に対向する中央プレート33を温度調節する中央ペルチェ素子54と、外部から隔離された第1水冷用流路71と第2水冷用流路72とが形成される中央水冷ブロック55とを備えている。中央水冷ブロック55は、第1水冷用流路71と第2水冷用流路72とが屈曲しない形成され、第1水冷用流路71と第2水冷用流路72を流れる冷却水が中央ペルチェ素子54に熱的に接触するように、中央ペルチェ素子54に固定されている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の頸部に対向するプレートを温度調節するペルチェ素子と、
外部から隔離された流路が形成される水冷ブロックとを備え、
前記水冷ブロックは、前記流路が屈曲しないように形成され、前記流路を流れる熱媒体が前記ペルチェ素子に熱的に接触するように、前記ペルチェ素子に固定される
身体温冷装置。
【請求項2】
前記水冷ブロックは、
前記流路と前記ペルチェ素子との間に配置される導熱板と、
前記導熱板とともに前記流路を形成する水冷ブロック本体とを有し、
前記導熱板を形成する第1材料の熱伝導率は、前記水冷ブロック本体を形成する第2材料の熱伝導率より大きい
請求項1に記載の身体温冷装置。
【請求項3】
前記プレートと異なる他のプレートを温度調節する他のペルチェ素子と、
他の流路が形成され、前記他の流路を流れる熱媒体が前記他のペルチェ素子に熱的に接触するように、前記他のペルチェ素子に固定される他の水冷ブロックと、
前記他の流路を流れた熱媒体を前記流路に供給する管内流路が形成される管
とをさらに備える請求項1または請求項2に記載の身体温冷装置。
【請求項4】
前記水冷ブロックは、前記管を前記水冷ブロックに連結するコネクタをさらに有し、
前記コネクタは、前記管内流路を前記流路に接続するコネクタ内流路が形成され、
前記コネクタ内流路の径は、前記流路の径より大きい
請求項3に記載の身体温冷装置。
【請求項5】
前記水冷ブロックは、突起をさらに有し、
前記突起は、前記ペルチェ素子が前記水冷ブロックに固定されるときに、前記ペルチェ素子に接触する
請求項2に記載の身体温冷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、身体温冷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ペルチェ素子を用いて利用者の頸動脈を冷却または加熱することにより、利用者の体温を調節する体温調節システムが知られている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-100489号公報
【特許文献2】特開2011-83498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ペルチェ素子は、一方の面を冷却するときに、他方の面が発熱する。このため、従来、ペルチェ素子の発熱する面は、冷却水に曝すことにより、冷却されている。しかしながら、ペルチェ素子は、通電部を備えており、水に濡れることにより不具合が発生する恐れがある。
【0005】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、ペルチェ素子に発生する不具合を防止する身体温冷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による身体温冷装置は、利用者の頸部に対向するプレートを温度調節するペルチェ素子と、外部から隔離された流路が形成されるブロックとを備えている。前記ブロックは、前記流路が屈曲しないように形成され、前記流路を流れる熱媒体が前記ペルチェ素子に熱的に接触するように、前記ペルチェ素子に固定されている。
【発明の効果】
【0007】
開示の身体温冷装置は、ペルチェ素子に発生する不具合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施例1の身体温冷装置を説明する模式図である。
図2図2は、実施例1の身体温冷装置の頸部冷暖部を示す斜視図である。
図3図3は、実施例1の身体温冷装置の頸部冷暖部を示す上面図である。
図4図4は、実施例1の身体温冷装置の頸部冷暖部を示す背面図である。
図5図5は、実施例1の身体温冷装置の頸部冷暖部の内部を示す上面図である。
図6図6は、中央温調部を示す斜視図である。
図7図7は、中央水冷ブロックを示す斜視図である。
図8図8は、中央水冷ブロック本体を示す平面図である。
図9図9は、中央温調部を示す断面図である。
図10図10は、左側温調部を示す斜視図である。
図11図11は、左側水冷ブロックを示す斜視図である。
図12図12は、左側水冷ブロック本体を示す斜視図である。
図13図13は、頸部冷暖部に設けられる配管と配線とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願が開示する実施形態にかかる身体温冷装置について、図面を参照して説明する。なお、以下の記載により本開示の技術が限定されるものではない。また、以下の記載においては、同一の構成要素に同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
【実施例0010】
図1は、実施例1の身体温冷装置1を説明する模式図である。身体温冷装置1は、電源部2とコントローラ部3とラジエタ部5と頸部冷暖部6とを備えている。電源部2は、充電型バッテリであり、コントローラ部3に接続され、コントローラ部3に電力を供給する。コントローラ部3は、ラジエタ部5に接続され、ラジエタ部5を介して頸部冷暖部6に接続されている。コントローラ部3は、入力装置7を備えている。コントローラ部3は、電源部2から供給される電力をラジエタ部5と頸部冷暖部6とに供給する。コントローラ部3は、さらに、入力装置7を介して入力された情報に基づいてラジエタ部5と頸部冷暖部6とを制御する。
【0011】
身体温冷装置1は、利用者の頸部を冷却したり加熱したりすることができるが、以下では、利用者の頸部を冷却する場合で説明する。ラジエタ部5は、いわゆる液冷型ラジエータであり、熱媒体である冷却水を送るポンプ(図示せず)と、冷却水を空冷する熱交換器(図示せず)とを備えている。ラジエタ部5は、コネクタ8を介して頸部冷暖部6に着脱可能に接続されている。ラジエタ部5は、コントローラ部3に制御されることにより、コントローラ部3を介して電源部2から供給される電力を用いて、コネクタ8を介して頸部冷暖部6から流出する冷却水を空冷し、その空冷された冷却水を頸部冷暖部6にコネクタ8を介して供給する。頸部冷暖部6は、コントローラ部3に制御されることにより、コネクタ8を介して供給される冷却水と電力とを用いて利用者の体温を調節し、コネクタ8を介して冷却水をラジエタ部5に排出する。
【0012】
図2は、実施例1の身体温冷装置1の頸部冷暖部6を示す斜視図である。頸部冷暖部6は、屈曲した帯状に形成されている。頸部冷暖部6の内部には、格納空間が形成されている。図3は、実施例1の身体温冷装置1の頸部冷暖部6を示す上面図である。図4は、実施例1の身体温冷装置1の頸部冷暖部6を示す背面図である。頸部冷暖部6は、左側ケース22と右側ケース23と中央ケース24と左側蛇腹部25と右側蛇腹部26とを備えている。左側ケース22と右側ケース23と中央ケース24と左側蛇腹部25と右側蛇腹部26とは、それぞれ、樹脂から形成されている。左側ケース22は、概ね筒状に形成され、帯状の頸部冷暖部6の一端部を形成している。右側ケース23は、概ね筒状に形成され、帯状の頸部冷暖部6の他端部を形成している。中央ケース24は、概ね筒状に形成され、帯状の頸部冷暖部6の中央部を形成し、左側ケース22と右側ケース23との間に配置されている。
【0013】
左側蛇腹部25は、屈曲可能な筒状に形成されている。左側蛇腹部25は、左側蛇腹部25の内部が左側ケース22の内部と中央ケース24の内部とに接続されるように、左側ケース22と中央ケース24との間に配置されている。左側蛇腹部25の一端は、左側ケース22に接合され、左側蛇腹部25の他端は、中央ケース24に接合されている。右側蛇腹部26は、屈曲可能な筒状に形成されている。右側蛇腹部26は、右側蛇腹部26の内部が右側ケース23の内部と中央ケース24の内部とに接続されるように、右側ケース23と中央ケース24との間に配置されている。右側蛇腹部26の一端は、右側ケース23に接合され、右側蛇腹部26の他端は、中央ケース24に接合されている。
【0014】
頸部冷暖部6は、図5に示されているように、左側プレート31と右側プレート32と中央プレート33と左側連結シート34と右側連結シート35とをさらに備えている。図5は、実施例1の身体温冷装置1の頸部冷暖部6の内部を示す上面図である。左側プレート31は、金属アルミニウムに例示される金属から形成され、屈曲した帯状に形成されている。左側プレート31は、1枚の金属板が塑性変形されることにより作製される。左側プレート31を形成する金属の熱伝導率は、左側ケース22と右側ケース23と中央ケース24と左側蛇腹部25と右側蛇腹部26とを形成する樹脂の熱伝導率より大きい。左側プレート31は、先端側平坦部分36と中央側平坦部分37と屈曲部分38とを備えている。先端側平坦部分36は、頸部対向面41と温調部取付面42とが形成されている。温調部取付面42は、先端側平坦部分36のうちの頸部対向面41が形成される側の反対側に形成されている。先端側平坦部分36は、温調部取付面42が平面に沿うように、平坦に形成されている。
【0015】
中央側平坦部分37は、平坦である板状に形成されている。中央側平坦部分37の長さは、先端側平坦部分36の長さより短い。屈曲部分38は、先端側平坦部分36と中央側平坦部分37との間に配置され、頸部対向面41が形成されている側が内側となるように、屈曲している。左側プレート31は、図2に示されているように、左側プレート31のうちの頸部対向面41が形成される側の面が左側ケース22の外部に露出するように、配置され、左側ケース22に固定されている。
【0016】
右側プレート32は、左側プレート31と同様に、図5に示されているように、金属から形成され、屈曲した帯状に形成されている。右側プレート32は、先端側平坦部分43と中央側平坦部分44と屈曲部分45とを備えている。先端側平坦部分43は、頸部対向面46と温調部取付面47とが形成されている。温調部取付面47は、先端側平坦部分43のうちの頸部対向面46が形成される側の反対側に形成されている。先端側平坦部分43は、温調部取付面47が平面に沿うように、平坦に形成されている。
【0017】
中央側平坦部分44は、平坦である板状に形成されている。中央側平坦部分44の長さは、先端側平坦部分43の長さより短い。屈曲部分45は、先端側平坦部分43と中央側平坦部分44との間に配置され、頸部対向面46が形成されている側が内側になるように、屈曲している。右側プレート32は、右側プレート32のうちの頸部対向面46が形成される側の面が右側ケース23の外部に露出するように、配置され、右側ケース23に固定されている。
【0018】
中央プレート33は、金属から形成され、屈曲した帯状に形成されている。中央プレート33は、頸部対向面48と温調部取付面49とが形成されている。中央プレート33は、温調部取付面49が平面に沿うように、中央の一部が平坦に形成されている。中央プレート33は、頸部対向面48が形成されている側が内側になるように、屈曲している。中央プレート33は、中央プレート33のうちの頸部対向面48が形成される側の面が中央ケース24の外部に露出するように、配置され、中央ケース24に固定されている。
【0019】
左側連結シート34は、樹脂から形成され、屈曲した帯状に形成されている。左側連結シート34の一端は、左側プレート31の中央側平坦部分37に熱的に接触し、中央側平坦部分37に固定されている。左側連結シート34の他端は、中央プレート33の一端に熱的に接触し、中央プレート33の一端に固定されている。このとき、左側プレート31は、移動可能に左側連結シート34を介して中央プレート33に支持されている。左側連結シート34は、左側プレート31が中央プレート33に対して予め定められた位置から移動したときに、弾性変形し、左側プレート31がその位置に向かって移動するように、弾性力を左側プレート31に与える。
【0020】
右側連結シート35は、左側連結シート34を形成する樹脂と同じ樹脂から形成され、屈曲した帯状に形成されている。右側連結シート35の一端は、右側プレート32の中央側平坦部分44に熱的に接触し、中央側平坦部分44に固定されている。右側連結シート35の他端は、中央プレート33の他端に熱的に接触し、中央プレート33の他端に固定されている。このとき、右側プレート32は、移動可能に右側連結シート35を介して中央プレート33に支持されている。右側連結シート35は、右側プレート32が中央プレート33に対して予め定められた位置から移動したときに、弾性変形し、右側プレート32がその位置に向かって移動するように、弾性力を右側プレート32に与える。
【0021】
左側連結シート34と右側連結シート35とを形成する樹脂は、温度が低くなるほど、固くなり、変形し難くなる特性を有している。左側連結シート34と右側連結シート35とを形成する樹脂は、さらに、ねじられる変形に対してせん断し難い特性を有している。
【0022】
頸部冷暖部6は、左側温調部51と右側温調部52と中央温調部53とをさらに備えている。左側温調部51は、板状に形成され、左側ケース22の内部のうちの左側プレート31の温調部取付面42の側に配置されている。左側温調部51は、左側ケース22に覆われている。右側温調部52は、板状に形成され、右側ケース23のうちの右側プレート32の温調部取付面47の側に配置されている。右側温調部52は、右側ケース23に覆われている。中央温調部53は、板状に形成され、中央ケース24のうちの中央プレート33の温調部取付面49の側に配置されている。中央温調部53は、中央ケース24に覆われている。
【0023】
図6は、中央温調部53を示す斜視図である。中央温調部53は、中央ペルチェ素子54と中央水冷ブロック55とを備えている。中央ペルチェ素子54は、正方形状である板状に形成されている。中央ペルチェ素子54により形成される正方形の一辺の長さは、たとえば、20mmである。中央ペルチェ素子54は、温度調節面56が形成されている。中央ペルチェ素子54は、第1端子57と第2端子58とを備えている。中央ペルチェ素子54は、第1端子57と第2端子58とに予め定められた冷却用電圧が印加されるときに、温度調節面56を冷却し、温度調節面56が形成されている側の反対側の放熱面を加熱する。
【0024】
中央水冷ブロック55は、流路形成部分61と複数のコネクタ62と位置合わせ用突起63(「突起」に対応)とを備えている。流路形成部分61は、概ね直方体状に形成されている。複数のコネクタ62の各々は、筒状に形成されている。位置合わせ用突起63は、屈曲した帯状に形成され、中央ペルチェ素子54の端面に対向するように、すなわち、中央ペルチェ素子54を囲むように、配置されている。
【0025】
図7は、中央水冷ブロック55を示す斜視図である。流路形成部分61は、導熱板64と中央水冷ブロック本体65とを備えている。導熱板64は、金属銅に例示される金属(「第1材料」に対応)から形成され、正方形状である板状に形成されている。中央水冷ブロック本体65を形成する材料(「第2材料」に対応)は、たとえば、樹脂であり、導熱板64を形成する金属と異なり、複数のコネクタ62を形成する材料と同じであり、位置合わせ用突起63を形成する材料と同じである。このとき、中央水冷ブロック本体65を形成する材料の比重は、導熱板64を形成する金属の比重より小さい。さらに、導熱板64を形成する金属の熱伝導率は、中央水冷ブロック本体65を形成する材料の熱伝導率より大きい。中央水冷ブロック本体65は、箱状に形成されている。
【0026】
図8は、中央水冷ブロック本体65を示す平面図である。中央水冷ブロック本体65は、分離用流路壁66と第1屈曲用流路壁67と第2屈曲用流路壁68とを備えている。分離用流路壁66は、中央水冷ブロック本体65により形成される内部空間に配置され、中央水冷ブロック本体65に固定されている。分離用流路壁66は、中央水冷ブロック本体65により形成される内部空間を第1水冷用流路71と第2水冷用流路72とに分離している。第1屈曲用流路壁67は、第1水冷用流路71に配置されている。第1屈曲用流路壁67は、第1水冷用流路71を屈曲させている。第2屈曲用流路壁68は、第2水冷用流路72に配置されている。第2屈曲用流路壁68は、第2水冷用流路72を屈曲させている。
【0027】
複数のコネクタ62のうちの左側コネクタ73の内部には、円柱状に形成されるコネクタ内流路74が形成されている。左側コネクタ73は、コネクタ内流路74が第1水冷用流路71の一端に接続されるように、中央水冷ブロック本体65に接合されている。複数のコネクタ62のうちの左下側コネクタ75の内部には、円柱状に形成されるコネクタ内流路76が形成されている。左下側コネクタ75は、コネクタ内流路76が第1水冷用流路71の他端に接続されるように、中央水冷ブロック本体65に接合されている。
【0028】
複数のコネクタ62のうちの右側コネクタ77の内部には、円柱状に形成されるコネクタ内流路78が形成されている。右側コネクタ77は、コネクタ内流路78が第2水冷用流路72の一端に接続されるように、中央水冷ブロック本体65に接合されている。複数のコネクタ62のうちの右下側コネクタ79の内部には、円柱状に形成されるコネクタ内流路80が形成されている。右下側コネクタ79は、コネクタ内流路80が第2水冷用流路72の他端に接続されるように、中央水冷ブロック本体65に接合されている。
【0029】
図9は、中央温調部53を示す断面図である。第1水冷用流路71と第2水冷用流路72とは、中央水冷ブロック本体65に導熱板64が取り付けられることにより、外部から隔離されている。左側コネクタ73のコネクタ内流路74の径は、中央温調部53の厚さ方向における第1水冷用流路71の幅より大きい。同様に、左下側コネクタ75のコネクタ内流路76の径は、中央温調部53の厚さ方向における第1水冷用流路71の幅より大きい。右側コネクタ77のコネクタ内流路78の径は、中央温調部53の厚さ方向における第2水冷用流路72の幅より大きい。同様に、右下側コネクタ79のコネクタ内流路80の径は、中央温調部53の厚さ方向における第2水冷用流路72の幅より大きい。
【0030】
位置合わせ用突起63の一部は、中央ペルチェ素子54が中央水冷ブロック55に取り付けられるときに、中央ペルチェ素子54の端面の一部に接触する。中央ペルチェ素子54の温度調節面56は、中央プレート33の温調部取付面49に密着している。中央ペルチェ素子54の温度調節面56が形成される側の反対側の放熱面は、導熱板64に密着している。中央温調部53は、図示されていない伝熱グリスをさらに備えている。伝熱グリスは、温調部取付面49と温度調節面56との間に充填され、中央ペルチェ素子54の放熱面と導熱板64との間に充填されている。伝熱グリスは、温調部取付面49と温度調節面56との間に形成される微細な隙間を埋めることにより、中央ペルチェ素子54から中央プレート33に冷熱が伝達される熱抵抗を低減する。伝熱グリスは、さらに、中央ペルチェ素子54の放熱面と導熱板64との間に形成される微細な隙間を埋めることにより、中央ペルチェ素子54から導熱板64に熱が伝達される熱抵抗を低減する。
【0031】
中央水冷ブロック55は、第1水冷用流路71と第2水冷用流路72とが外部から隔離されるように、複数のコネクタ62と位置合わせ用突起63と中央水冷ブロック本体65とから形成される部材に導熱板64が取り付けられることにより作製される。中央温調部53は、中央ペルチェ素子54の端面が位置合わせ用突起63に対向するように、中央ペルチェ素子54が中央水冷ブロック55に取り付けられることにより、作製される。中央温調部53は、中央水冷ブロック55に位置合わせ用突起63が設けられていることにより、中央ペルチェ素子54を中央水冷ブロック55に適切に取り付ける作業を容易化することができる。
【0032】
図10は、左側温調部51を示す斜視図である。左側温調部51は、左側ペルチェ素子81と左側水冷ブロック82とを備えている。左側ペルチェ素子81は、正方形状である板状に形成されている。左側ペルチェ素子81は、中央ペルチェ素子54より大きく、左側ペルチェ素子81により形成される正方形の一辺の長さは、たとえば、30mmである。左側ペルチェ素子81は、温度調節面83が形成されている。左側ペルチェ素子81は、第1端子84と第2端子85とを備えている。左側ペルチェ素子81は、第1端子84と第2端子85とに予め定められた冷却用電圧が印加されるときに、温度調節面83を冷却し、温度調節面83が形成されている側の反対側の放熱面を加熱する。左側ペルチェ素子81の温度調節面83から吸熱される熱量は、左側ペルチェ素子81が中央ペルチェ素子54より大きいことにより、中央ペルチェ素子54の温度調節面56から吸熱される熱量より大きい。
【0033】
左側水冷ブロック82は、流路形成部分86と第1コネクタ87と第2コネクタ88と位置合わせ用突起89(「突起」に対応)とを備えている。流路形成部分86は、概ね直方体状に形成されている。第1コネクタ87は、筒状に形成されている。第2コネクタ88は、筒状に形成されている。位置合わせ用突起89は、屈曲した帯状に形成され、左側ペルチェ素子81の端面に対向するように、左側ペルチェ素子81を囲むように、配置されている。
【0034】
図11は、左側水冷ブロック82を示す斜視図である。流路形成部分86は、導熱板91と左側水冷ブロック本体92とを備えている。導熱板91は、金属銅に例示される金属(「第1材料」に対応)から形成され、正方形状である板状に形成されている。左側水冷ブロック本体92を形成する材料(「第2材料」に対応)は、たとえば、樹脂であり、導熱板91を形成する金属と異なり、第1コネクタ87と第2コネクタ88とを形成する材料と同じであり、位置合わせ用突起89を形成する材料と同じである。このとき、左側水冷ブロック本体92を形成する材料の比重は、導熱板91を形成する金属の比重より小さい。さらに、導熱板91を形成する金属の熱伝導率は、左側水冷ブロック本体92を形成する材料の熱伝導率より大きい。左側水冷ブロック本体92は、箱状に形成されている。
【0035】
図12は、左側水冷ブロック本体92を示す斜視図である。左側水冷ブロック本体92により形成される箱の内部には、水冷用流路93が形成されている。左側水冷ブロック本体92は、屈曲用流路壁94を備えている。屈曲用流路壁94は、左側水冷ブロック本体92により形成される箱の内部に配置されている。屈曲用流路壁94は、水冷用流路93を屈曲させている。
【0036】
第1コネクタ87の内部には、円柱状に形成されるコネクタ内流路95が形成されている。第1コネクタ87は、コネクタ内流路74が水冷用流路93の一端に接続されるように、左側水冷ブロック本体92に接合されている。第2コネクタ88の内部には、円柱状に形成されるコネクタ内流路96が形成されている。第2コネクタ88は、コネクタ内流路96が水冷用流路93の他端に接続されるように、左側水冷ブロック本体92に接合されている。
【0037】
水冷用流路93は、左側水冷ブロック本体92に導熱板91が取り付けられることにより、外部から隔離されている。第1コネクタ87のコネクタ内流路95の径は、左側温調部51の厚さ方向における水冷用流路93の幅より大きい。第2コネクタ88のコネクタ内流路96の径は、左側温調部51の厚さ方向における水冷用流路93の幅より大きい。
【0038】
位置合わせ用突起89は、左側ペルチェ素子81が左側水冷ブロック82に取り付けられるときに、左側ペルチェ素子81の端面に対向するように配置されている。左側ペルチェ素子81の温度調節面83は、伝熱グリスを介して中央プレート33の温調部取付面49に密着している。左側ペルチェ素子81の温度調節面83が形成される側の反対側の放熱面は、伝熱グリスを介して導熱板91に密着している。
【0039】
左側水冷ブロック82は、水冷用流路93が外部から隔離されるように、第1コネクタ87と第2コネクタ88と位置合わせ用突起89と左側水冷ブロック本体92とから形成される部材に導熱板91が取り付けられることにより作製される。左側温調部51は、左側ペルチェ素子81の端面が位置合わせ用突起89に対向するように、左側ペルチェ素子81が左側水冷ブロック82に取り付けられることにより、作製される。左側温調部51は、左側水冷ブロック82に位置合わせ用突起89が設けられていることにより、左側ペルチェ素子81を左側水冷ブロック82に適切に取り付ける作業を容易化することができる。
【0040】
図13は、頸部冷暖部6に設けられる配管と配線とを示す図である。右側温調部52は、左側温調部51と同様に形成されている。すなわち、右側温調部52は、右側ペルチェ素子101と右側水冷ブロック102とを備えている。右側ペルチェ素子101は、左側ペルチェ素子81と同様に形成され、第1端子103と第2端子104とを備え、第1端子103と第2端子104とに予め定められた冷却用電圧が印加されることにより、右側プレート32を冷却する。右側水冷ブロック102は、左側水冷ブロック82と同様に形成され、内部に水冷用流路が形成され、第1コネクタ105と第2コネクタ106とを備えている。
【0041】
頸部冷暖部6は、第1管111と第2管112と第3管113と第4管114と第5管115とをさらに備えている。第1管111は、屈曲可能なパイプから形成され、内部に管内流路が形成されている。第1管111の一端は、中央温調部53の左下側コネクタ75に接続されている。第1管111の他端は、ラジエタ部5のコネクタ8に接続されている。第2管112は、屈曲可能なパイプから形成され、内部に管内流路が形成されている。第2管112の一端は、中央温調部53の左側コネクタ73に接続されている。第2管112の他端は、左側温調部51の第1コネクタ87に接続されている。第3管113は、屈曲可能なパイプから形成され、内部に管内流路が形成されている。第3管113の一端は、左側温調部51の第2コネクタ88に接続されている。第3管113の他端は、右側温調部52の第1コネクタ105に接続されている。第4管114は、屈曲可能なパイプから形成され、内部に管内流路が形成されている。第4管114の一端は、右側温調部52の第2コネクタ106に接続されている。第4管114の他端は、中央温調部53の右側コネクタ77に接続されている。第5管115は、屈曲可能なパイプから形成され、内部に管内流路が形成されている。第5管115の一端は、中央温調部53の右下側コネクタ79に接続されている。第5管115の他端は、ラジエタ部5のコネクタ8に接続されている。
【0042】
頸部冷暖部6は、第1電線116と第2電線117と第3電線118と第4電線119とをさらに備えている。第1電線116の一端は、中央温調部53の中央ペルチェ素子54の第2端子58に電気的に接続されている。第1電線116の他端は、ラジエタ部5のコネクタ8に接続されている。第2電線117の一端は、中央温調部53の中央ペルチェ素子54の第1端子57に電気的に接続されている。第2電線117の他端は、左側温調部51の左側ペルチェ素子81の第1端子84に電気的に接続されている。第3電線118の一端は、左側温調部51の左側ペルチェ素子81の第2端子85に電気的に接続されている。第3電線118の他端は、右側温調部52の右側ペルチェ素子101の第1端子103に電気的に接続されている。第4電線119の一端は、右側温調部52の右側ペルチェ素子101の第2端子104に電気的に接続されている。第4電線119の他端は、ラジエタ部5のコネクタ8に接続されている。すなわち、中央ペルチェ素子54と左側ペルチェ素子81と右側ペルチェ素子101とは、電気的に直列に接続されている。
【0043】
身体温冷装置1は、身体温冷装置1を用いて利用者の体温を調節するときに、利用者が着用する衣服に保持される。頸部冷暖部6は、さらに、利用者のうちの予め定められた位置に取り付けられる。すなわち、頸部冷暖部6は、左側ケース22と右側ケース23との間の距離が利用者の首の幅より大きくなるように変形した状態で、首の周囲を囲むように、配置される。頸部冷暖部6は、さらに、利用者の首の後に中央プレート33の頸部対向面48が対向するように、配置される。頸部冷暖部6は、さらに、利用者の首の皮膚のうちの左頸動脈を覆う左頸動脈部分に左側プレート31の頸部対向面41が対向し、皮膚のうちの右頸動脈を覆う右頸動脈部分に右側プレート32の頸部対向面46が対向するように、配置される。このとき、左側連結シート34と右側連結シート35とは、左側プレート31と右側プレート32とが首を挟むように、左側プレート31と右側プレート32とに弾性力を与える。頸部冷暖部6は、左側連結シート34と右側連結シート35との弾性力により、左側プレート31の頸部対向面41を左劇動脈部分に適切に対向させ、右側プレート32の頸部対向面46を右頸動脈部分に適切に対向させることができる。
【0044】
身体温冷装置1は、入力装置7が操作されることにより起動する。コントローラ部3は、身体温冷装置1が起動された後に、第1電線116と第4電線119とに予め定められた電圧を印加し、ラジエタ部5を介して頸部冷暖部6に電力を供給する。中央ペルチェ素子54と左側ペルチェ素子81と右側ペルチェ素子101とは、第1電線116と第4電線119とに電圧が印加されることにより、それぞれ、冷却用電圧が印加される。中央ペルチェ素子54は、冷却用電圧が印加されたときに、中央プレート33を冷却し、中央プレート33に対向する温度調節面56の反対側の放熱面が発熱する。左側ペルチェ素子81は、冷却用電圧が印加されたときに、左側プレート31を冷却し、左側プレート31に対向する温度調節面83の反対側の放熱面が発熱する。右側ペルチェ素子101は、冷却用電圧が印加されたときに、右側プレート32を冷却し、右側プレート32に対向する温度調節面の反対側の放熱面が発熱する。
【0045】
身体温冷装置1は、左側プレート31と右側プレート32とが冷却されることにより、利用者の頸動脈を冷却することができる。利用者は、頸動脈が冷却されることにより、頸動脈を流れる血液が適切に冷却され、体温が低下する。身体温冷装置1は、さらに、中央プレート33が冷却されることにより、利用者の頸部の後部を冷却することができる。頸部の後部の血流量は、頸部のうちの頸動脈付近の血流量より小さく、頸部の後部の発熱量は、頸部のうちの頸動脈付近の発熱量より小さい。中央ペルチェ素子54の大きさは、左側ペルチェ素子81の大きさより小さく、右側ペルチェ素子101の大きさより小さい。このため、中央ペルチェ素子54の吸熱量は、左側ペルチェ素子81の吸熱量より小さく、右側ペルチェ素子101の吸熱量より小さい。よって、身体温冷装置1は、頸部の後部の温度が低下しすぎることを防止し、利用者に不快感を与えることを防止することができる。
【0046】
身体温冷装置1は、左側プレート31と右側プレート32と中央プレート33とが冷却されることにより、左側連結シート34と右側連結シート35とを冷却する。頸部冷暖部6は、左側連結シート34と右側連結シート35とが冷却されることにより、変形し難くなる。このため、身体温冷装置1は、利用者の頸部が冷却されている最中に、頸部冷暖部6を利用者の頸部に適切に保持することができる。
【0047】
コントローラ部3は、頸部冷暖部6に電力が供給されているときに、ラジエタ部5を制御することにより、コネクタ8を介して頸部冷暖部6から排出される冷却水を空冷し、その空冷された冷却水を頸部冷暖部6にコネクタ8を介して供給する。頸部冷暖部6の配管は、ラジエタ部5から供給された冷却水を中央水冷ブロック55に供給する。中央水冷ブロック55は、冷却水が第1水冷用流路71を流れることにより、中央ペルチェ素子54の放熱面を冷却し、冷却水は加熱される。頸部冷暖部6の配管は、中央水冷ブロック55の第1水冷用流路71を流れた冷却水を左側水冷ブロック82に供給する。左側水冷ブロック82は、冷却水が水冷用流路93を流れることにより、左側ペルチェ素子81の放熱面を冷却し、冷却水は加熱される。頸部冷暖部6の配管は、左側水冷ブロック82の水冷用流路93を流れた冷却水を右側水冷ブロック102に供給する。右側水冷ブロック102は、冷却水が右側水冷ブロック102の内部の水冷用流路を流れることにより、右側ペルチェ素子101の放熱面を冷却し、冷却水は加熱される。頸部冷暖部6の配管は、右側水冷ブロック102の内部の水冷用流路を流れた冷却水を中央水冷ブロック55に再度供給し、冷却水を第2水冷用流路72に流す。中央水冷ブロック55は、冷却水が第2水冷用流路72を流れることにより、中央ペルチェ素子54の放熱面を冷却し、冷却水は加熱される。頸部冷暖部6の配管は、コネクタ8を介して、第2水冷用流路72を流れた冷却水をラジエタ部5に排出する。
【0048】
中央ペルチェ素子54は、中央水冷ブロック55により中央ペルチェ素子54の放熱面が冷却されることにより、中央プレート33を冷却する効率が向上する。左側ペルチェ素子81は、左側水冷ブロック82により左側ペルチェ素子81の放熱面が冷却されることにより、左側プレート31を冷却する効率が向上する。右側ペルチェ素子101は、右側水冷ブロック102により、右側ペルチェ素子101の放熱面が冷却されることにより、右側プレート32を冷却する効率が向上する。
【0049】
このとき、頸部冷暖部6は、中央水冷ブロック55が冷却水を中央ペルチェ素子54に直接接触させないことにより、中央ペルチェ素子54に不具合が発生することを防止することができる。頸部冷暖部6は、さらに、左側水冷ブロック82が冷却水を左側ペルチェ素子81に直接接触させないことにより、左側ペルチェ素子81に不具合が発生することを防止することができる。頸部冷暖部6は、さらに、右側水冷ブロック102が冷却水を右側ペルチェ素子101に直接接触させないことにより、右側ペルチェ素子101に不具合が発生することを防止することができる。
【0050】
身体温冷装置1は、利用者の頸部を加熱することもできる。コントローラ部3は、利用者の頸部を加熱するときに、中央ペルチェ素子54と左側ペルチェ素子81と右側ペルチェ素子101とに加熱用電圧が印加されるように、第1電線116と第4電線119とに予め定められた電圧を印加し、ラジエタ部5を介して頸部冷暖部6に電力を供給する。加熱用電圧の極性は、冷却用電圧の極性と反対である。中央ペルチェ素子54は、加熱用電圧が印加されたときに、中央プレート33を加熱し、中央プレート33に対向する温度調節面56の反対側の放熱面が吸熱する。左側ペルチェ素子81は、加熱用電圧が印加されたときに、左側プレート31を加熱し、左側プレート31に対向する温度調節面83の反対側の放熱面が吸熱する。右側ペルチェ素子101は、加熱用電圧が印加されたときに、右側プレート32を加熱し、右側プレート32に対向する温度調節面の反対側の放熱面が吸熱する。身体温冷装置1は、左側プレート31と右側プレート32とが加熱されることにより、利用者の頸動脈を加熱することができる。利用者は、頸動脈が加熱されることにより、頸動脈を流れる血液が適切に加熱され、体温が上昇する。身体温冷装置1は、さらに、中央プレート33が加熱されることにより、利用者の頸部の後部を加熱することができる。
【0051】
コントローラ部3は、頸部冷暖部6に電力が供給されているときに、ラジエタ部5を制御することにより、コネクタ8を介して頸部冷暖部6から排出される冷却水を外気と熱交換し、その熱交換された冷却水を頸部冷暖部6にコネクタ8を介して供給する。頸部冷暖部6から排出される冷却水は、頸部冷暖部6で吸熱されて温度が下がっている。冷却水は、ラジエタ部5で外気と熱交換されることにより、温度が上昇する。頸部冷暖部6の配管は、ラジエタ部5から供給された冷却水を中央水冷ブロック55に供給する。中央水冷ブロック55は、冷却水が第1水冷用流路71を流れることにより、中央ペルチェ素子54の放熱面を加熱し、冷却水は冷却される。頸部冷暖部6の配管は、中央水冷ブロック55の第1水冷用流路71を流れた冷却水を左側水冷ブロック82に供給する。左側水冷ブロック82は、冷却水が水冷用流路93を流れることにより、左側ペルチェ素子81の放熱面を加熱し、冷却水は冷却される。頸部冷暖部6の配管は、左側水冷ブロック82の水冷用流路93を流れた冷却水を右側水冷ブロック102に供給する。右側水冷ブロック102は、冷却水が右側水冷ブロック102の内部の水冷用流路を流れることにより、右側ペルチェ素子101の放熱面を加熱し、冷却水が冷却される。頸部冷暖部6の配管は、右側水冷ブロック102の内部の水冷用流路を流れた冷却水を中央水冷ブロック55に再度供給し、冷却水を第2水冷用流路72に流す。中央水冷ブロック55は、冷却水が第2水冷用流路72を流れることにより、中央ペルチェ素子54の放熱面を加熱し、冷却水は冷却される。頸部冷暖部6の配管は、コネクタ8を介して、第2水冷用流路72を流れた冷却水をラジエタ部5に排出する。
【0052】
[実施例1の身体温冷装置1の効果]
実施例1の身体温冷装置1は、利用者の頸部に対向する中央プレート33を温度調節する中央ペルチェ素子54と、外部から隔離された第1水冷用流路71と第2水冷用流路72とが形成される中央水冷ブロック55とを備えている。中央水冷ブロック55は、第1水冷用流路71と第2水冷用流路72を流れる冷却水が中央ペルチェ素子54に熱的に接触するように、中央ペルチェ素子54に固定されている。身体温冷装置1は、中央ペルチェ素子54が冷却水に接触することを防止することができ、中央ペルチェ素子54に不具合が発生することを防止することができる。その不具合としては、短絡が例示される。
【0053】
また、実施例1の身体温冷装置1の中央水冷ブロック55は、導熱板64と、導熱板64とともに第1水冷用流路71と第2水冷用流路72とを形成する中央水冷ブロック本体65とを備えている。導熱板64は、第1水冷用流路71と中央ペルチェ素子54との間に配置され、第2水冷用流路72と中央ペルチェ素子54との間に配置されている。導熱板64を形成する材料の熱伝導率は、中央水冷ブロック本体65を形成する材料の熱伝導率より大きい。身体温冷装置1は、導熱板64が、中央水冷ブロック本体65を形成する樹脂から形成されている場合に比較して、中央ペルチェ素子54と冷却水との間の熱交換の性能を向上させることができ、利用者の頸部を適切に温度調節することができる。
【0054】
また、実施例1の身体温冷装置1の中央水冷ブロック本体65を形成する材料の比重は、導熱板64を形成する材料の比重より小さい。このとき、身体温冷装置1は、中央水冷ブロック本体65が、導熱板64を形成する金属から形成されている場合に比較して、中央水冷ブロック55を軽量化することができ、利用者の体温を快適に低下させることができる。
【0055】
ところで、実施例1の身体温冷装置1の導熱板64の材料は、中央水冷ブロック本体65の材料と異なっているが、中央水冷ブロック本体65の材料と同じでもよい。身体温冷装置1は、導熱板64の材料が中央水冷ブロック本体65の材料と同じ場合でも、第1水冷用流路71と第2水冷用流路72とが中央水冷ブロック55の外部と隔離されていることにより、中央ペルチェ素子54が冷却水に接触することを防止することができる。
【0056】
また、実施例1の身体温冷装置1の第1水冷用流路71と第2水冷用流路72とは、屈曲している。身体温冷装置は、中央ペルチェ素子54と冷却水との間の伝熱性能を向上させることができ、利用者の頸部を適切に温度調節することができる。
【0057】
ところで、実施例1の身体温冷装置1の第1水冷用流路71と第2水冷用流路72とは、屈曲しているが、屈曲していなくてもよい。身体温冷装置1は、中央水冷ブロック55に第1屈曲用流路壁67と第2屈曲用流路壁68とが設けられていない場合でも、中央ペルチェ素子54が冷却水に接触することを防止することができる。
【0058】
また、実施例1の身体温冷装置1は、左側ペルチェ素子81と右側ペルチェ素子101と左側水冷ブロック82と右側水冷ブロック102と配管とを備えている。左側ペルチェ素子81は、中央プレート33と異なる他の左側プレート31を温度調節する。右側ペルチェ素子101は、左側プレート31と中央プレート33と異なる右側プレート32を温度調節する。左側水冷ブロック82は、水冷用流路93が形成されている。左側ペルチェ素子81は、水冷用流路93を流れる冷却水が左側ペルチェ素子81に熱的に接触するように、左側水冷ブロック82に固定されている。右側水冷ブロック102は、水冷用流路が形成されている。右側ペルチェ素子101は、水冷用流路を流れる冷却水が右側ペルチェ素子101に熱的に接触するように、右側水冷ブロック102に固定されている。その配管は、中央水冷ブロック55の第1水冷用流路71を流れた冷却水を左側水冷ブロック82の水冷用流路93と右側水冷ブロック102の水冷用流路とに供給する。身体温冷装置1は、配管が屈曲可能であるときに、頸部のうちの適切な複数の位置に複数のペルチェ素子をそれぞれ配置することができる。身体温冷装置1は、中央ペルチェ素子54と左側ペルチェ素子81と右側ペルチェ素子101とを適切な複数の位置にそれぞれ配置することにより、利用者の頸部を適切に温度調節することができる。
【0059】
また、実施例1の身体温冷装置1の中央水冷ブロック55は、中央水冷ブロック本体65と複数の管とを連結する複数のコネクタ62をさらに備えている。複数のコネクタ62には、第1管111の管内流路と第2管112の管内流路と第4管114の管内流路と第5管115の管内流路とを第1水冷用流路71または第2水冷用流路72に接続するコネクタ内流路74、76、78、80がそれぞれ形成されている。コネクタ内流路の径は、それぞれ、第1水冷用流路71と第2水冷用流路72との厚さより大きい。このとき、身体温冷装置1は、冷却水の流路抵抗を低減することができ、中央ペルチェ素子54を適切に放熱させることができ、利用者の頸部を適切に温度調節することができる。
【0060】
ところで、実施例1の身体温冷装置1のコネクタ内流路74、76、78、80の径は、第1水冷用流路71と第2水冷用流路72との厚さより大きいが、その厚さより小さくてもよい。身体温冷装置1は、コネクタ内流路74、76、78、80の径が第1水冷用流路71と第2水冷用流路72との厚さより小さい場合でも、中央ペルチェ素子54が冷却水に接触することを防止することができる。
【0061】
また、実施例1の身体温冷装置1の中央水冷ブロック55は、位置合わせ用突起63をさらに備えている。位置合わせ用突起63は、中央ペルチェ素子54が中央水冷ブロック55に固定されるときに、中央ペルチェ素子54に接触する。身体温冷装置1は、中央ペルチェ素子54を中央水冷ブロック55に適切に位置合わせすることができ、中央ペルチェ素子54を中央水冷ブロック55に適切に固定することができる。
【0062】
ところで、実施例1の身体温冷装置1の中央水冷ブロック55は、位置合わせ用突起63が設けられているが、位置合わせ用突起63が省略されてもよい。身体温冷装置1は、位置合わせ用突起63が省略された場合でも、中央ペルチェ素子54が冷却水に接触することを防止することができる。
【0063】
ところで、実施例1の身体温冷装置1の頸部冷暖部6は、左側温調部51と右側温調部52と中央温調部53との複数の温調部が設けられているが、1つの温調部のみが設けられていてもよい。身体温冷装置1は、1つの温調部のみが設けられている場合でも、ペルチェ素子が冷却水に接触することを防止することができる。
【0064】
以上、実施例を説明したが、前述した内容により実施例が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、実施例の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0065】
1 :身体温冷装置
6 :頸部冷暖部
31 :左側プレート
32 :右側プレート
33 :中央プレート
41 :頸部対向面
42 :温調部取付面
46 :頸部対向面
47 :温調部取付面
48 :頸部対向面
49 :温調部取付面
51 :左側温調部
52 :右側温調部
53 :中央温調部
54 :中央ペルチェ素子
55 :中央水冷ブロック(水冷ブロック)
56 :温度調節面
61 :流路形成部分
62 :複数のコネクタ
63 :位置合わせ用突起(突起)
64 :導熱板
65 :中央水冷ブロック本体
66 :分離用流路壁
67 :第1屈曲用流路壁
68 :第2屈曲用流路壁
71 :第1水冷用流路
72 :第2水冷用流路
73 :左側コネクタ
74 :コネクタ内流路
75 :左下側コネクタ
76 :コネクタ内流路
77 :右側コネクタ
78 :コネクタ内流路
79 :右下側コネクタ
80 :コネクタ内流路
81 :左側ペルチェ素子
82 :左側水冷ブロック(水冷ブロック)
83 :温度調節面
86 :流路形成部分
87 :第1コネクタ
88 :第2コネクタ
89 :位置合わせ用突起(突起)
91 :導熱板
92 :左側水冷ブロック本体
93 :水冷用流路
94 :屈曲用流路壁
95 :コネクタ内流路
96 :コネクタ内流路
101 :右側ペルチェ素子
102 :右側水冷ブロック(水冷ブロック)
105 :第1コネクタ
106 :第2コネクタ
111 :第1管
112 :第2管
113 :第3管
114 :第4管
115 :第5管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13