(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026839
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】浮揚移動台及び浮揚移動台用プログラム
(51)【国際特許分類】
B64U 10/14 20230101AFI20240220BHJP
B64U 20/87 20230101ALI20240220BHJP
B64U 101/70 20230101ALN20240220BHJP
B64U 101/60 20230101ALN20240220BHJP
B64U 101/30 20230101ALN20240220BHJP
【FI】
B64U10/14
B64U20/87
B64U101:70
B64U101:60
B64U101:30
【審査請求】有
【請求項の数】35
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024005787
(22)【出願日】2024-01-18
(62)【分割の表示】P 2022152076の分割
【原出願日】2014-11-27
(71)【出願人】
【識別番号】514228217
【氏名又は名称】みこらった株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 將洋
(72)【発明者】
【氏名】佐古 曜一郎
(57)【要約】
【課題】所定の作業を行う作業者の作業の補助を行う、使い勝手の良い浮揚移動台を提供する。
【解決手段】浮揚して空中を移動すると共に、空中においてホバーリングするための空中飛行機構部と、物品を載置する、あるいは載置されている物品を取り出すことが可能な載置台と、高温雰囲気を検出するための温度センサと、温度センサのセンサ出力に基づいて、点火されているコンロの上空及び/又は近傍に移動するのを回避又は禁止するように前記空中飛行機構部を制御する制御手段とを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の作業を行う作業者の作業の補助を行う浮揚移動台であって、
浮揚して空中を移動すると共に、空中においてホバーリングするための空中飛行機構部と、
物品を載置する、あるいは載置されている前記物品を取り出すことが可能な載置台と、
高温雰囲気を検出するための温度センサと、
前記温度センサのセンサ出力に基づいて、点火されているコンロの上空及び/又は近傍に移動するのを回避又は禁止するように前記空中飛行機構部を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする浮揚移動台。
【請求項2】
浮揚して空中を移動すると共に、空中においてホバーリングするための空中飛行機構部と、物品を載置する、あるいは載置されている物品を取り出すことが可能な載置台と、高温雰囲気を検出するための温度センサとを備え、所定の作業を行う作業者の作業の補助を行う浮揚移動台が備えるコンピュータを、
前記温度センサのセンサ出力に基づいて、点火されているコンロの上空及び/又は近傍に移動するのを回避又は禁止するように前記空中飛行機構部を制御する制御手段、
として機能させるための浮揚移動台用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、浮揚して、使用者の近傍において種々の物品を載置する台として使用することを可能とする浮揚移動台及び浮揚移動台用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、天井に備え付けられている照明器具の蛍光管などの蛍光灯器具を、作業者が一人で交換したりする場合には、従来、作業者は、踏み台などに上り、交換する必要がある旧い蛍光管などを蛍光灯器具から取り外し、一旦、踏み台から降りて、当該旧い蛍光管(蛍光灯または蛍光ランプ)などをいずれかの場所に置く。そして、その後、作業者は、新品の蛍光管などの部品を持って再び踏み台などに上り、当該新品の部品などを蛍光灯器具に装着するようにする。したがって、作業者は、踏み台などの上り下りを繰り返さなければならず、面倒であった。
【0003】
アシスト者が居れば、作業者は、そのアシスト者に、旧い蛍光管などを手渡し、また、新品の蛍光管などを手渡してもらうことができるので、踏み台などの上り下りを繰り返さなくても、交換作業をすることができる。しかし、常にアシスト者が存在するとは限らないので、上述の問題は残る。
【0004】
そこで、踏み台の他に、載置台を用意しておき、交換する旧い蛍光管など及び新しい蛍光管などを、その載置台に置くことで、作業者が、踏み台を上り下りする回数を最小限で済ますことができる。
【0005】
しかし、そのような載置台は、天井の高さに応じた高さであって、かつ、作業者にとって適切な高さであるのが望ましいが、そのような高さの載置台は中々存在しない。このため、載置台を利用する場合であっても、作業者は、載置台が低すぎたりしたときには、交換する旧い蛍光管などを置いたり、新しい蛍光管などを取り上げたりするために、踏み台を途中まで下り、再度、登ったりしないと、蛍光管を破損させることなく作業をすることは困難となり、やはり作業効率が悪く、煩わしい作業となるという問題がある。
【0006】
この問題を解決するものとしては、例えば特許文献1(特開2006-20866号公報)に記載されているような昇降可能な載置台を用いることが考えらえる。すなわち、特許文献1の昇降可能な載置台の高さを、予め、作業者が自分にとって適切と思われる高さに調整しておく方法である。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の昇降可能な載置台を用いる方法は、作業者用の踏み台の設置スペースの他に、当該載置台の設置スペースも必要となり、そのような設置スペースが確保できない状況では利用できない。また、事前に天井の高さや作業者に合わせて載置台の高さを最適な高さに調整しておく必要があるが、当該事前の高さ調整は、実際に踏み台に乗って、載置台の高さを確認しながら調整する必要があり、比較的厄介である。さらに、作業を引き続いて行う場合には、作業者は、踏み台の移動だけでなく、載置台も移動させなければならず、厄介であった。
【0008】
また、例えば、キッチンにおいて調理を行う場合、調理を行う者は、通常、野菜や肉などの具材を下ごしらえする場所と、コンロやオーブンなどの調理器具のある場所などは、予め定まった場所などを移動しながら調理作業を行う。さらに、鍋やフライパンなどの調理用容器を置いてある場所や、調味料などが置いてある場所も定まっている場合には、具材を下ごしらえする場所や調理器具のある場所と、それらの場所との間でも、移動する必要がある。更に、例えばレシピ本などを見ながら調理をしようとする場合には、上記のような複数の場所に加えて、調理作業の確認をするためにレシピ本などを見る作業がさらに加わる。
【0009】
しかし、具材を下ごしらえする場所と、コンロやオーブンなどの調理器具のある場所などは、動かすことができないので致し方ないが、鍋やフライパンなどの調理用容器や、調味料、更にレシピ本などは、載置台において移動することも可能であり、そのようにする調理者もある。
【0010】
この場合に、載置台は、可動輪などが付いていて、移動可能となっている場合には、調理者が適宜に移動させることも可能であるが、調理者の両手が塞がっている場合には、調理者の移動と共に、載置台を移動させることはできない。このため、移動可能な載置台があったとしても、調理者の作業に応じて載置台をも、調理者の移動に伴って適切に移動させることは中々困難である。
【0011】
また、建築現場などにおいて、高所で作業をしている作業者が、低所にある必要な道具や資材を受け取りたい場合や、同じ高所であっても離れた場所で作業をしている作業者から道具を借りたり、資材を受け取りたい場合には、従来は、要求している高所に存在している作業者に、他の作業者が、道具や資材を投げ渡したり、わざわざ要求した作業者が居る高所に移動して手渡したりしている。
【0012】
しかし、高所に居る作業者が、投げ渡された道具や資材を受け取り損ねた場合には、それら道具や資材が落下して、非常に危険であると共に、高所に居る作業者自身も受け取る所作のために、バランスを崩して、落下してしまう事故が多発している。また、他の作業者が、要求している作業者が居る高所に移動して手渡すのでは、当該他の作業者に本来の作業以外の行動を強いることになると共に、非効率的であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
以上説明したように、従来は、載置台を利用すると作業の負荷を軽減することができたが、上述したような問題点が残っていた。また、建築現場など、載置台を利用できないような環境もあった。
【0015】
この発明は、以上の点に鑑み、上記の問題点を一掃することができる浮揚移動台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するために、この発明は、
所定の作業を行う作業者の作業の補助を行う浮揚移動台であって、
浮揚して空中を移動すると共に、空中においてホバーリングするための空中飛行機構部と、
物品を載置する、あるいは載置されている前記物品を取り出すことが可能な載置台と、
高温雰囲気を検出するための温度センサと、
前記温度センサのセンサ出力に基づいて、点火されているコンロの上空及び/又は近傍に移動するのを回避又は禁止するように前記空中飛行機構部を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする浮揚移動台を提供する。
【0017】
上述の構成のこの発明の浮揚移動台においては、制御手段は、温度センサのセンサ出力に基づいて、点火されているコンロの上空及び/又は近傍に移動するのを回避又は禁止するように空中飛行機構部を制御する。
【発明の効果】
【0018】
この発明による浮揚移動台によれば、点火状態にあるコンロの上空及び/又は近傍に移動するのを回避又は禁止するようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】この発明による浮揚移動台の第1の実施形態の機構的構成例を示す図である。
【
図2】この発明による浮揚移動台の第1の実施形態の駆動制御装置部の構成例を示すブロック図である。
【
図3】この発明による浮揚移動台の第1の実施形態の動作例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【
図4】この発明による浮揚移動台の第1の実施形態の動作例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【
図5】この発明による浮揚移動台の第1の実施形態の利用態様の一例を説明するための図である。
【
図6】この発明による浮揚移動台の第1の実施形態の利用態様の他の一例を説明するための図である。
【
図7】この発明による浮揚移動台の第1の実施形態の利用態様のさらに他の一例を説明するための図である。
【
図8】この発明による浮揚移動台の第2の実施形態の駆動制御装置部の構成例を示すブロック図である。
【
図9】この発明による浮揚移動台の第2の実施形態の動作例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【
図10】この発明による浮揚移動台の第2の実施形態の動作例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【
図11】この発明による浮揚移動台の第2の実施形態の利用態様の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1の実施形態]
以下、この発明による浮揚移動台の第1の実施形態を、図を参照しながら説明する。
【0021】
この実施形態の浮揚移動台1は、自律して空中を飛行して移動可能な飛行体の構成である。
図1(A)は、この実施形態の浮揚移動台1を、その上方から見た図であり、また、
図1(B)は、この実施形態の浮揚移動台1を、正面側方から見た図である。
【0022】
この実施形態の浮揚移動台1は、いわゆるクワッドコプターの構造の空中飛行機構部2と、駆動制御ユニット3とを備える。空中飛行機構部2は、駆動制御ユニット3により駆動制御される。
図1に示すように、空中飛行機構部2は、駆動制御ユニット3から延びる4本のアーム4A,4B,4C,4Dの先端に、回転翼(ローター)機構5A,5B,5C,5Dが取り付けられて構成されている。
【0023】
回転翼機構5A,5B,5C,5Dは、モータ駆動部51A,51B,51C,51Dのそれぞれにより回転翼シャフト(図示は省略)を回転駆動することにより、回転翼52A,52B,52C,52Dを回転駆動するように構成されている。モータ駆動部51A,51B,51C,51Dは、駆動制御ユニット3からの駆動制御信号により回転速度及び回転方向が制御される。モータ駆動部51A,51B,51C,51Dや駆動制御ユニット3は、バッテリー(図示は省略)を回転駆動用の電源や駆動制御用の電源として用いている。後述するカメラ、マイクロフォン、各種センサ、制御部などもバッテリーから電源を供給される。バッテリーは、例えば、充電可能な二次電池が用いられる。また、太陽電池を用いてもよい。
【0024】
この例においては、駆動制御ユニット3からの駆動制御信号によって、モータ駆動部51A,51B,51C,51Dのそれぞれが独立に制御されることにより、飛行体である浮揚移動台1は、離陸、着陸、上昇(真上、斜め上)、下降(真下、斜め下)、右旋回、左旋回、前進、後進、右シフト、左シフトなどの各種移動動作をすることができるようにされていると共に、鉛直方向に対する傾き角などの姿勢制御及びホバーリング位置の位置制御ができるようにされている。
【0025】
そして、この実施形態の浮揚移動台1においては、駆動制御ユニット3と一体的に、後述するカメラ、無指向性マイクロフォンや各種センサなどが取り付けられると共に、制御部を含む駆動制御装置部10を内蔵する筐体6が形成されている。筐体6は、この例では、全体として箱型の形状に構成されている。
【0026】
筐体6には、2個の脚部7A,7Bが互いに対向するように取り付けられている。この例では、脚部7A,7Bは、台形形状に成形されたパイプ部材からなり、
図1(B)に示すように、着地面8において、安定して浮揚移動台1を保持するように形成されている。脚部の形状や部材はこれに限らず、種々考えられる。例えば、筐体6の四隅に4本の脚部が円柱形上に成形された木材や金属材料であってもよい。また、着地面8での移動を容易にするため、脚部に可動輪を装着してもよい。
【0027】
そして、この例においては、
図1(A),(B)に示すように、駆動制御ユニット3の筐体6の上面にはカメラCM1と無指向性マイクロフォンMCとが設けられている。また、筐体6の4側面には、
図1(A)及び(B)に示すように、カメラCM2~CM5がそれぞれ設けられる。さらに、筐体6の底面には、
図1(B)に示すように、カメラCM6が設けられる。
【0028】
カメラCM1~CM6の光軸(撮影方向に対応)は、カメラCM1~CM6のそれぞれの取り付け面に直交する方向となり、それぞれ光軸方向を中心として所定の画角範囲が撮影可能となる。
【0029】
そして、回転翼52A,52B,52C,52Dの上方の、当該回転翼52A,52B,52C,52Dの回転の邪魔にならない位置には、物品を載置する載置台9が、筐体6の上面から植立されている4本の支持脚9A,9B,9C,9Dに固定されることにより支持されて設けられている。この載置台9は、この例では、上方が開口とされ、断面がコの字形状の籠型に構成されている。この載置台9は、籠の底面及び側面がメッシュ状に穴が形成されたものとされて、回転翼52A,52B,52C,52Dの回転により生じる空気の流れにできるだけ影響しないようなものとされている。
【0030】
また、図示は省略するが、載置台9に載せられる物品を照らしたりして、暗い所でも作業ができるよう、筐体6の上面にLED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)ライトが設けられている。
【0031】
筐体6内には、駆動制御装置部10が設けられている。
図2は、この実施形態の浮揚移動台1における駆動制御装置部10の構成例を示すブロック図である。なお、
図2ではバッテリーを省略した。
【0032】
図2に示すように、この実施形態における駆動制御装置部10は、マイクロコンピュータ(
図2ではマイコンと省略)からなる制御部101に対して、システムバス100を通じて、空中飛行駆動部102、ジャイロセンサ103、地磁気センサ104、重力センサ105、高度センサ106、障害物センサ107、温度センサ108、重量センサ109、移動空間メモリ110、現在位置検出部111、飛行駆動信号生成部112、位置姿勢制御信号生成部113、カメラCM1~CM6、無指向性マイクロフォン(
図2では無指向性マイクと省略)MC、画像認識部114、音声認識部115、アラーム報知部116、学習部117、予測部118、操作部119、のそれぞれが接続されて構成されている。制御部101は、浮揚移動台1の全体を制御する主制御手段を構成する。
【0033】
空中飛行駆動部102は、制御部101の制御に従って、空中飛行機構部2の回転翼機構5A,5B,5C,5Dのモータ駆動部51A,51B,51C,51Dのそれぞれに、駆動制御信号を供給する。
【0034】
ジャイロセンサ103は、浮揚移動台1の飛行中における加速度変化を検出するもので、浮揚移動台1の飛行進行方向やその速度、また、姿勢を検出するために用いられる。地磁気センサ104は、浮揚移動台1が、東西南北のどの方位に向いているか、及び、どの方位に飛行移動しているかを検出するために用いられる。
【0035】
重力センサ105は、重力方向(垂直方向)を検出するためのもので、例えば加速度センサからなり、浮揚移動台1の載置台9の底面を水平に保つようにする制御のために用いられる。
【0036】
高度センサ106は、浮揚移動台1が当該時点で位置している高度を検出するためのもので、例えば気圧センサからなる。
【0037】
障害物センサ107は、光や赤外線、あるいは超音波などを発して、追従対象者や壁などの障害物からの反射波を検出することで、障害物の存在を検出すると共に、光や赤外線、あるいは超音波などを発してから、反射波を受信するまでの時間を検出して、その時間から、検出した障害物までの距離を算出することができるものとされている。この実施形態では、障害物センサ107は、浮揚移動台1が、使用される室内や室外の空間において、追従対象者、追従対象者以外の人やペットなどの動物、壁やタンス、ベッド、机、庭木などの障害物に対する衝突を回避して飛行するように制御されるために用いられる。
【0038】
また、この実施形態では、この障害物センサ107は、追従対象者との間に所定距離、例えば40cm程度を保って、浮揚移動台1がホバーリング制御される際にも用いられる。なお、この時には、カメラCM1~CM6のうちの追従対象者を撮影するカメラからの撮影画像情報も併せて用いられるものである。
【0039】
温度センサ108は、浮揚移動台1がキッチンで使用されることを想定し、浮揚移動台1が点火状態にあるコンロなどに近づかないようにするために、高温雰囲気を検出するために用いられる。なお、浮揚移動台1を点火状態にあるコンロなどに近づけないように制御する場合には、カメラCM1~CM6の内のカメラによって、コンロの点火状態の撮影画像情報も併せて使用されるものである。
【0040】
重量センサ109は、載置台9に載せられた物品の重量を検出したり、載置台9から物品が取り上げられた後の重量変化を検出したりするためのものである。この実施形態では、載置台9に物品が載せられたときに重量センサ109で検出された当該物品の重量は、カメラCM1で撮影された、当該載置台9に載せられた物品の載置台9の底面上の載置位置と対応付けられて記憶される。この実施形態では、後述するように、この重量センサ109で検出される物品の重量に応じたホバーリングの高さ位置の制御が行われる。
【0041】
移動空間メモリ110には、浮揚移動台1が使用される室内に関する空間情報が記憶される。この実施形態の浮揚移動台1の制御部101のメモリには、パノラマ写真用のアプリケーションプログラム(例えばPhotosynth)が格納されており、事前に、浮揚移動台1が、使用される室内を飛行して、カメラCM1~CM6の全てあるいは一部を用いて、室内を360度の範囲で撮影する。そして、制御部101は、パノラマ写真用のアプリケーションプログラムを用いて、その撮影した撮影画像情報から室内の3D画像情報を生成し、当該生成した3D画像情報を移動空間メモリ110に記憶する。
【0042】
この場合に、移動空間メモリ110には、使用されるキッチンなどの室の縦、横、高さの情報も予め記憶される。さらに、梁やパイプスペース、柱など、使用される室の構造情報も予め記憶してもよい。
【0043】
現在位置検出部111は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機を備え、浮揚移動台1の現在位置の緯度、経度、高度を検出する。より正確な位置情報を得るために、携帯電話基地局からの電波や、Wi-Fi(Wireless Fidelity(登録商標))通信のアクセスポイントからの電波を用いて現在位置を検出するようにしてもよい。また、カメラCM1~CM6の全てあるいは一部を用いて、浮揚移動台1の周囲を撮影し、その撮影した撮影画像情報と移動空間メモリ110に記憶された3D画像情報を比較して画像認識することで、3D画像空間における相対位置を把握し、現在位置を検出するようにしてもよい。移動後の現在位置を検出するためには、現在位置検出部111は、ジャイロセンサ103、地磁気センサ104、高度センサ106をも使用する。
【0044】
飛行駆動信号生成部112は、制御部101の制御の下に、以下のような処理動作を実行する。
【0045】
先ず、制御部101からの起動命令に基づいて空中浮揚飛行を開始するときには、まず、追従対象者を見つけ出すようにするための飛行駆動信号を生成する。この場合に、浮揚移動台1が使用される移動空間が、移動空間メモリ110に記憶されている移動空間であるときには、現在位置検出部111で検出された現在位置の位置情報と、移動空間メモリ110に記憶されている移動空間の情報とから、追従対象者を探索するように移動するための飛行駆動信号を生成するために、移動方向及び移動距離を計算する。
【0046】
そして、飛行駆動信号生成部112は、計算した方向及び距離に基づくと共に、ジャイロセンサ103、地磁気センサ104、重力センサ105、高度センサ106、障害物センサ107、温度センサ108などの情報を用い、さらに、カメラCM1~CM6からの撮影画像を参照しながら、追従対象者を検出するように移動するための飛行駆動信号を生成する。
【0047】
この飛行駆動信号は、4個の回転翼機構5A~5Dのモータ駆動部51A~51Dのそれぞれを駆動する信号からなる。生成された飛行駆動信号は、空中飛行駆動部102を通じて、空中飛行機構部2のモータ駆動部51A~51Dのそれぞれに供給される。空中飛行機構部2は、この飛行駆動信号を受けて、回転翼52A~52Dのそれぞれを回転駆動して、追従対象者を検出するように、空中飛行による移動を行う。
【0048】
浮揚移動台1が追従対象者を検出すると、制御部101の制御に従って、飛行駆動信号生成部112は、追従対象者の特定の身体的部位、この例では追従対象者の下顎の位置を基準にした高さ位置において、追従対象者から所定距離離れた状態で、載置台9の水平状態を保ってホバーリングするようにする飛行駆動信号を生成し、空中飛行駆動部102を通じて、空中飛行機構部2に供給するようにする。なお、ホバーリングする高さ位置の制御用の信号の生成は、後述するように、位置姿勢制御信号生成部113が行う。
【0049】
そして、追従対象者が移動すると、制御部101の制御に従って、飛行駆動信号生成部112は、追従対象者の移動に合わせて追従移動するようにする飛行駆動信号を生成し、空中飛行駆動部102を通じて、空中飛行機構部2に供給するようにする。この移動の際には、浮揚移動台1は、ジャイロセンサ103、地磁気センサ104、重力センサ105、高度センサ106、障害物センサ107、温度センサ108などの情報を用い、さらに、カメラCM1~CM6からの撮影画像を参照しながら、障害物との衝突を避け、また、飛行すべきでないところを避けながら、追従対象者の移動に合わせて追従移動する。したがって、この移動中には、浮揚移動台1においては、高さ位置の保持及び追従対象との厳密な所定距離の離間は、考慮されない。
【0050】
そして、追従対象者が移動を停止すると、浮揚移動台1は、追従対象者との前述の関係、すなわち、追従対象者から所定距離離れた状態で、かつ、追従対象者の下顎の位置を基準にした高さ位置でホバーリングするようにする飛行駆動信号を生成し、空中飛行駆動部102を通じて、空中飛行機構部2に供給するようにする。
【0051】
なお、飛行駆動信号生成部112は、上述したような移動時及びホバーリングする際には、温度センサ108のセンサ出力に基づいて、火が点いているコンロの上空などを避けて移動したり、ホバーリングしたりするように、飛行駆動信号を生成する。
【0052】
そして、制御部101から終了命令(着陸命令)が発せられると、飛行駆動信号生成部112は、追従対象者との前述の関係を解除して、所定の場所、あるいは現在位置の近傍であって、着陸可能な任意の場所に、移動して着陸するようにする飛行駆動信号を生成し、空中飛行駆動部102を通じて、空中飛行機構部2に供給するようにする。
【0053】
位置姿勢制御信号生成部113は、制御部101の制御の下において、ジャイロセンサ103、地磁気センサ104、重力センサ105、高度センサ106、重量センサ109、並びにカメラCM1~CM6の撮影画像に基づいて、浮揚移動台1の高さ位置制御及び載置台9の底面の水平状態維持制御のための信号を生成する。
【0054】
位置姿勢制御信号生成部113は、浮揚移動台1の載置台9に物品が載置されていることをカメラCM1~CM5の撮像画像により検知したときに、制御部101の制御の下において、ホバーリングをしているときのみではなく、浮揚飛行で移動しているときにも、重力センサ105のセンサ出力を用いて、載置台9の底面を水平に保つようにするための姿勢制御信号を生成する。
【0055】
そして、位置姿勢制御信号生成部113は、基準の高さ位置の一例として、この例では、カメラCM2~CM5のいずれかで撮影された追従対象者の顔画像の下顎の高さ位置を検出して、その高さ位置に一時的にホバーリングした後、その高さ位置から例えば20cm下方の高さ位置において、ホバーリングするようにする位置姿勢制御信号を生成する。なお、この高さ位置は、後述するように、追従対象者による所作(ジェスチャー)や音声による命令により、調整可能とされている。
【0056】
そして、追従対象者を中心として水平方向のホバーリング位置としては、追従対象者の左斜め前方あるいは右斜め前方とする。しかし、追従作業者の本来の作業(蛍光管の交換作業や調理作業)の邪魔になるのであれば、邪魔にならない位置とするようにする。
【0057】
位置姿勢制御信号生成部113は、また、追従対象者による浮揚移動台1の載置台9への物品の載置、あるいは載置台9からの物品の取り出しの際における前述したホバーリング高さ位置の補正のための位置姿勢制御信号の生成を、制御部101の制御を元に行う。
【0058】
カメラCM1~CM6のそれぞれは、動画の撮影画像情報をシステムバス100に出力する。カメラCM1~CM6のそれぞれからシステムバス100に送出される撮影画像情報には、いずれのカメラからの撮影画像情報であるかを識別するための識別情報が付加されている。なお、カメラCM1~CM6のそれぞれからの撮影画像情報は、動画の撮影画像情報ではなく、所定時間間隔、例えば0.5秒間隔の静止画の撮影画像情報としてもよい。
【0059】
無指向性マイクロフォンMCは、追従対象者が発する命令語の音声情報を収音するためのものである。図示は省略するが、この実施形態の浮揚移動台1においては、無指向性マイクロフォンMCで収音された音響情報の内、人の会話音声の帯域(例えば200Hz~4KHz)の音響情報のみが、バンドパスフィルターを通して、システムバス100に送出される。
【0060】
また、無指向性マイクロフォンMCで収音される、追従対象者の手をたたく音や指を鳴らす音を利用することもできる。この場合、浮揚移動台1は、無指向性マイクロフォンMCで収音された呼び出し者や追従対象者の手をたたく音や指を鳴らす音に反応し、飛行移動する。なお、一般に、手をたたく音は、0~2KHz、指を鳴らす音は2~4KHzに周波数パワーのピークがあるので、その帯域をバンドパスフィルターを通して、システムバス100に送出し、手をたたく音や指を鳴らす音を認識してもよい。
【0061】
画像認識部114は、カメラCM1~CM6からの撮影画像情報から認識すべき画像認識対象の画像情報を記憶する画像メモリ114Mを備えている。この実施形態では、浮揚移動台1が追従移動すべき追従対象者として、予め、1~複数の者の顔画像を画像メモリ114Mの登録者記憶エリアに登録することができるように構成されている。
【0062】
そして、この実施形態の浮揚移動台1は、顔画像が登録されている追従対象者の一覧を自動的に作成し、当該浮揚移動台1の利用開始に先立ち、その追従対象者の一覧を、図示を省略した表示部に表示するようにする。利用者は、この追従対象者の一覧から、操作部119を通じて、浮揚移動台1の追従対象者を選択指定することが可能とされている。表示部を設けるのではなく、各追従対象者を対応付けることができる複数個のボタンを設けておき、その複数個のボタンのいずれかを操作することで、追従対象者を選択するようにすることもできる。
【0063】
また、この実施形態では、追従対象者を選定しないで浮揚移動台1を起動することもでき、その場合には、浮揚移動台1の近傍に居る者を追従対象者として判定し、カメラCM2~CM5のいずれかにより、その追従対象者の顔画像を撮影して、画像メモリ114Mの追従対象者記憶エリアに記憶し、その後は、終了命令があるまで、当該追従対象者記憶エリアに記憶されている者の顔画像を追従対象者の顔画像として、上述した追従移動の制御を行うようにする。
【0064】
また、この実施形態では、追従対象者は、その所作(ジェスチャー)により、浮揚移動台1に、「少し高さを下げろ」、「少し高さを上げろ」、「載置台9を回転させろ」、「(追従対象者を中心とした)ホバーリング位置を右に変更しろ」、「(追従対象者を中心とした)ホバーリング位置を左に変更しろ」、を制御命令することができるようにしている。画像メモリ114Mには、当該制御命令記憶エリアが設けられており、その制御命令記憶エリアには、前述した制御命令と、それに対応する所作(ジェスチャー)の画像との対応情報が記憶されている。なお、追従対象者が浮揚移動台1を軽く触れることを、図示は省略するが、静電容量式のタッチセンサなどで検出し、追従対象者の触れる位置や圧力の方向で、上下や左右を制御することができるようにしてもよい。
【0065】
制御部101は、カメラCM1~CM6の撮影画像情報を監視して、画像認識部114において、追従対象者により、画像メモリ114Mの制御命令記憶エリアに記憶されている所作と同じ所作(または近似した所作)がなされたか否かを判別するようにする。そして、制御部101は、追従対象者により、画像メモリ114Mの制御命令記憶エリアに記憶されている制御命令の所作と同じ所作(または近似した所作)がなされたと判別したときには、その所作に対応する制御命令を、画像メモリ114Mの制御命令記憶エリアから取得して、当該取得した制御命令に応じた動作を浮揚移動台1が行うように、空中飛行機構部2に制御信号を供給する。
【0066】
また、この実施形態では、追従対象者の発する音声により、浮揚移動台1に、前述したような制御命令をすることができるようにしている。
【0067】
音声認識部115は、この追従対象者による音声の制御命令を認識するためのものであり、前述した制御命令と、それに対応する上記フレーズの音声情報との対応情報が記憶されている音声メモリ115Mを備えている。
【0068】
制御部101は、無指向性マイクロフォンMCで収音した音声情報を監視して、音声認識部115において、追従対象者により、音声メモリ115Mの制御命令記憶エリアに記憶されている制御命令の音声フレーズと同じフレーズ(または近似したフレーズ)が発声されたか否かを判別するようにする。そして、制御部101は、追従対象者により、音声メモリ115Mの制御命令記憶エリアに記憶されている制御命令と同じ音声フレーズ(または近似したフレーズ)が発声されたと判別したときには、その音声フレーズに対応する制御命令を、画像メモリ114Mの制御命令記憶エリアから取得して、当該取得した制御命令に応じた動作を浮揚移動台1が行うように、空中飛行機構部2に制御信号を供給する。
【0069】
この場合に、制御部101は、「少し高さを下げろ」という命令があったときには、例えば現在の高さ位置から、例えば2cm下げるように制御し、「少し高さを上げろ」という命令があったときには、例えば現在の高さ位置から、例えば2cm上げるように制御する。また、「載置台9を回転させろ」という命令があったときには、制御部101は、載置台9の水平状態を保ったまま、載置台9の中心位置を中心にして、例えば90度~180度回転させるように制御する。載置台9自身が回転する機構(図示は省略)になっている場合は、載置台9を回転させるように制御し、載置台9が回転せず、浮揚移動台1の筐体6に固定されている場合は、浮揚移動台1自身が回転などの位置制御をすることで、載置台9の位置を制御する。
【0070】
また、「(追従対象者を中心とした)ホバーリング位置を右に変更しろ」、「(追従対象者を中心とした)ホバーリング位置を左に変更しろ」という命令があったときには、制御部101は、浮揚移動台1の追従対象者に対する左右の位置を、現在の状態とは異なる側に変更するように制御する。音声の命令としては、その他「ちょっと来て」、「こっちだよ」、「離れて」等があってもよい。
【0071】
アラーム報知部116は、浮揚移動台1の載置台9に載置される物品の重量が、浮揚移動台1でホバーリングを保持することができないほどの重量(重量オーバー)である場合に、追従対象者に、その旨を、例えばブザー音などの音声アラームとして、図示を省略したスピーカを通じて報知する。あるいは、「重量オーバーです。」などの音声メッセージを音声アラームとしてスピーカにより放音して報知するようにしてもよい。重量オーバーであるかどうかは、重量センサ109により検出される重量に基づいてなされる。なお、重量オーバーになる前の少し軽い状態でも、これ以上の載置は危険である旨を音声アラームで報知してもよい。
【0072】
また、画像メモリ114Mに、重量オーバーとなる物品の画像情報を予め登録しておき、その登録されている物品が載置台9に載置されようとしたことを、画像認識部114で認識されたときに、その載置前に、アラーム報知部116により、「重量オーバーです。」「重量オーバーの危険があります。」などの音声メッセージを音声アラームとしてスピーカにより放音して報知するようにしてもよい。
【0073】
また、画像メモリ114Mに、飲み物や液体の物品の画像情報を予め登録しておき、その登録されている物品が載置台9に載置されようとしたことを、画像認識部114で認識されたときに、アラーム報知部116により、その載置前に「液体がこぼれる恐れがあります。」などの音声メッセージを音声アラームとしてスピーカにより放音して報知するようにしてもよい。
【0074】
なお、アラーム報知部116は、インジケータ(図示は省略)や表示部(図示は省略)の点灯や点滅、あるいはメッセージの表示であってもよい。
【0075】
学習部117は、浮揚移動台1の過去の利用履歴の情報(履歴情報)を記憶する履歴メモリ117Mを備える。この場合に、履歴情報は、カメラCM1~CM6で撮影された追従対象者の画像情報からなり、その利用場所の位置情報と、浮揚移動台1を利用した追従対象者の顔画像情報と共に履歴メモリ117Mに記憶される。追従対象者が、画像メモリ114Mに登録されている利用者であるときには、登録されている追従対象者の識別情報も併せて記憶される。
【0076】
これにより、浮揚移動台1の利用開始時に、追従対象者として、登録された利用者が選択されたときには、その追従対象者による過去の利用履歴の情報が、学習部117において参照可能となる。また、浮揚移動台1の利用開始時に、追従対象者として登録されている利用者が選択されないときには、カメラCM2~CM5のいずれかで追従対象者が認定されたときに、その顔画像と、履歴メモリ117Mに記憶されている顔画像とは一致したときには、その一致した顔画像の追従対象者の過去の履歴情報が学習部117において参照となる。
【0077】
学習部117は、履歴メモリ117Mに記憶されている当該追従対象者の過去の利用履歴を学習することで、当該追従対象者の使い勝手を学習し、その学習結果に基づいて、浮揚移動台1を制御する。例えば、過去の利用履歴を参照した結果、追従対象者の利き手が判明したら、浮揚移動台1は、追従対象者の利き手側においてホバーリングするようにする。また、例えば、キッチンにおける調理作業において、野菜などの具材を切断した後には、それを皿に盛り、利き手でない方の手で浮揚移動台1の載置台9に載せるようにする性向があると、学習により判明したときには、そのような状況が、当該利用時のカメラCM2~CM5のいずれかの撮像画像情報から予測されたときには、浮揚移動台1は、先回りして利き手と反対側に移動して、ホバーリングして待つようにする。
【0078】
予測部118は、当該浮揚移動台1の利用時におけるカメラCM2~CM5のいずれかの撮像画像情報から予測される事項に応じた制御を浮揚移動台1に対して行う。
【0079】
すなわち、浮揚移動台1が空中にホバーリングしているときに、追従対象者によって載置台9に物品が載せられることが予想されたときに、その載せられる物品の重量分による下降を、できるだけ少ない下降量で済むように制御するようにする。この場合に、履歴メモリ117Mに、浮揚移動台1に載せられた物品の重量センサ109で計測された重量を、カメラCM1~CM6により撮影された当該物品の画像情報と共に記憶しておき、その記憶された物品と同じ物品が、浮揚移動台1に載置されようとしているときには、当該物品の重量は既知であるので、浮揚移動台1は、当該物品が載せられても、できるだけ下降しないように補正することが、容易にできる。
【0080】
また、前述したように、浮揚移動台1から物品が取り上げられたときには、取り上げられた物品の載置台9の底面上の載置位置と対応付けられて記憶されている重量として認定できるので、予測部118は、当該認定した重量に基づいて、浮揚移動台1が、できるだけ少ない上昇量で済むように制御するようにする。
【0081】
予測部118は、また、追従利用者の行為から、次の行為が予測できるときには、その予測した行為に応じた最適なホバーリング位置に移動するなど、浮揚移動台1を、追従対象者の行為に先回りして、最適の制御を行うことができるようにする。
【0082】
操作部119は、浮揚移動台1の飛行開始起動や、移動空間情報の作成及び移動空間メモリ110への記憶指示、その他の操作指示を使用者が入力するためのものである。さらに、この実施形態の浮揚移動台1は、履歴メモリ117Mに記憶される過去の履歴について、その使用場所や利用目的に応じたモードを利用者が設定可能とされている。例えば、利用場所がキッチンであれば、キッチンモード、利用目的が蛍光管の交換であれば、蛍光管交換モード、利用目的が洗濯物を干す場合には洗濯物干しモード、洗濯物を取り込む場合には、洗濯物取り込みモードなどが設定可能とされる。
【0083】
そして、この実施形態の浮揚移動台1は、設定されたモードの一覧を自動的に作成し、当該浮揚移動台1の利用開始に先立ち、そのモードの一覧を、図示を省略した表示部に表示するようにする。利用者は、このモードの一覧から、操作部119を通じて、利用開始しようとする場所や目的に応じて選択することが可能とされている。表示部を設けるのではなく、各モードを対応付けることができる複数個のボタンを設けておき、その複数個のボタンのいずれかを操作することで、モードを選択するようにすることもできる。そして、操作部119を通じてモードの選択がなされたときには、学習部117は、そのモードに対応する履歴情報を参照して得た学習結果を、浮揚移動台1の制御に利用するようにする。
【0084】
なお、
図2において、飛行駆動信号生成部112、位置姿勢制御信号生成部113、画像認識部114、音声認識部115、アラーム報知部116、学習部117、予測部118は、制御部101が、ソフトウエア処理機能として実現することもできる。
【0085】
[浮揚移動台1の動作例]
次に、この第1の実施形態の浮揚移動台1の処理動作例を、
図3及び
図4のフローチャートを参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、制御部101が、飛行駆動信号生成部112、位置姿勢制御信号生成部113、画像認識部114、音声認識部115、アラーム報知部116、学習部117、予測部118の各部の処理機能をソフトウエア処理機能として実現した場合として説明する。なお、浮揚移動台1の載置台9には、その利用開始前に作業に必要な物品を予め載せておいてもよいし、利用開始後に、作業に必要な物品を載せてもよい。
【0086】
先ず、制御部101は、開始命令を受けたか否か判別する(ステップS101)。この開始命令は、操作部119を通じた操作により入力されてもよいし、また、音声による命令あるいは所作(ジェスチャー)による命令であってもよい。なお、追従対象者となる利用者は、開始命令をする前に、前述したキッチンモード、蛍光管交換モード、洗濯物干しモード、洗濯物取り込みモードなどのいずれかを選択設定しておくことができる。また、追従対象者となる利用者は、自分の顔画像が登録されている場合には、自分を追従対象者として選択設定しておくこともできる。
【0087】
このステップS101で、開始命令を受けてはいないと判別したときには、制御部101は、当該ステップS101を繰り返し、開始命令を受けるのを待つ。そして、ステップS101で、開始命令を受けたと判別したときには、制御部101は、空中飛行機構部2を制御して、離陸して上方へ移動し、追従対象者の探索を行う(ステップS102)。
【0088】
そして、制御部101は、追従対象者の探索飛行を行いながら、追従対象者を認定することができたか否か判別し(ステップS103)、認定することができてはいないと判別したときには、ステップS102に戻って、追従対象者の探索移動を継続する。ステップS103で、追従対象者を認定することができたと判別したときには、制御部101は、前述したように、認定した追従対象者に対して所定の距離間隔を隔てた位置において、高さ基準の例としての追従対象者の下顎の位置から20cm下がった高さ位置において、載置台9の水平を保った状態でホバーリングする(ステップS104)。
【0089】
この場合に、開始命令に先立ち、追従対象者が選択されていない場合には、制御部101は、近傍に存在する利用者を追従対象者として探索して認定する。そして、カメラCM2~CM5のいずれか、または複数個により撮影し認定した追従対象者の顔画像を、当該回の追従対象者として画像メモリ114Mの一時格納エリアに格納する。また、開始命令に先立ち、追従対象者が選択指定されている場合には、制御部101は、当該選択された追従対象者の画像メモリ114Mに記憶されている顔画像と一致する追従対象者を探索して認定する。そして、選択された追従対象者の画像メモリ114Mに記憶されている顔画像を、当該回の追従対象者として画像メモリ114Mの一時格納エリアに格納する。制御部101は、当該回の追従移動においては、画像メモリ114Mの一時格納エリアに格納された顔画像と一致する者を、追従対象者として常に把握するようにする。
【0090】
ステップS104の次には、制御部101は、カメラCM1~CM5の撮影画像情報に基づいて、載置台9に載置されている物品が取り上げられたか否か判別し(ステップS105)、取り上げられたと判別したときには、前述したように、その物品が取り上げられたことによる重量変化に応じた高さ位置の変化を是正する高さ位置補正制御をする(ステップS106)。
【0091】
ステップS105で、載置台9に載置されている物品が取り上げられてはいないと判別したときには、制御部101は、カメラCM1~CM5の撮影画像情報に基づいて、物品が載置台9に載置されたか否か判別し(ステップS107)、載置されたと判別したときには、ステップS106に進み、前述したように、その物品が載置されたことによる重量変化に応じた高さ位置の変化を是正する高さ位置補正制御をする(ステップS106)。
【0092】
ステップS106の後には、制御部101は、処理を
図4のステップS119に進め、追従対象者からの所作(ジェスチャー)あるいは音声による終了命令を受けたか否か判別し、終了命令を受けてはいないと判別したときには、処理をステップS105に戻し、このステップS105以降の処理を繰り返す。
【0093】
ステップS107で、物品が載置台9に載置されてはいないと判別したときには、制御部101は、カメラCM2~CM5の撮影画像情報や障害物センサ107のセンサ出力に基づいて、追従対象者が移動したか否か判別する(ステップS108)。ステップS108で、追従対象者が移動したと判別したときには、制御部101は、載置台9の底面の水平状態を維持して、追従対象者の移動に追従するように移動するように空中飛行機構部2を制御する(ステップS109)。そして、制御部101は、処理を
図4のステップS119に進め、追従対象者からの所作(ジェスチャー)あるいは音声による終了命令を受けたか否か判別し、終了命令を受けてはいないと判別したときには、処理をステップS105に戻し、このステップS105以降の処理を繰り返す。
【0094】
また、ステップS108で、追従対象者は移動してはいないと判別したときには、制御部101は、ホバーリングする高さ位置の変更命令を受けたか否か判別し(
図4のステップS111)、受けたと判別したときには、前述したように、ホバーリングする高さ位置を命令に従って下げたり、上げたり制御する(ステップS112)。このステップS112の後には、制御部101は、処理をステップS119に進め、追従対象者からの所作(ジェスチャー)あるいは音声による終了命令を受けたか否か判別し、終了命令を受けてはいないと判別したときには、処理をステップS105に戻し、このステップS105以降の処理を繰り返す。
【0095】
ステップS111で、ホバーリングする高さ位置の変更命令を受けてはいないと判別したときには、制御部101は、載置台9の回転命令を受けたか否か判別し(ステップS113)、受けたと判別したときには、前述したように、回転命令に従って載置台9の底面を、水平状態を保ってその中心位置を中心として回転させるように制御する(ステップS114)。このステップS114の後には、制御部101は、処理をステップS119に進め、追従対象者からの所作(ジェスチャー)あるいは音声による終了命令を受けたか否か判別し、終了命令を受けてはいないと判別したときには、処理をステップS105に戻し、このステップS105以降の処理を繰り返す。
【0096】
ステップS113で、載置台9の回転命令を受けてはいないと判別したときには、制御部101は、ホバーリングする高さ位置の基準である追従対象者の身体的部位の例である下顎の高さ位置が、上または下に変位したか否かを判別する(ステップS115)。この場合に判別される上または下の変位量は、浮揚移動台1がホバーリングする高さ位置を変更する必要があると考えられるような有意の変位量とされる。
【0097】
このステップS115で、追従対象者の身体的部位の例である下顎の高さ位置が、上または下に変位したと判別したときには、制御部101は、その変位が開始してから予め定められた所定時間、例えば5秒以上経過したか否か判別し(ステップS116)、所定時間以上経過してはいないと判別したときには、載置台9の現在の高さ位置を維持することとし(ステップS117)、その後、処理をステップS115に戻す。
【0098】
ステップS116で、追従対象者の身体的部位の例である下顎の高さ位置の有意な上または下への変位が所定時間以上継続していると判別したときには、制御部101は、ホバーリングする高さ位置を、当該追従対象者の身体的部位の例である下顎の高さ位置の変位に応じて上げたり、下げたり制御する(ステップS118)。
【0099】
このステップS115からステップS118までの処理は、追従対象者が、しゃがんだり、伸び上がったりして、下顎の位置が上下に変位したときに、それが短時間であれば、追従することなく、元の高さ位置でのホバーリングする状態で待機し、それが所定時間以上に亘るときには、その下顎の位置の変位に応じて、浮揚移動台1がホバーリングする高さ位置を変更するようにする処理である。これは、追従対象者の短時間の下顎の変化は、載置台9の高さ位置の変更を要求するものではないと考えられるので、浮揚移動台1の高さ位置の無駄な変更制御を避けるための処理である。
【0100】
このステップS118の後には、制御部101は、処理をステップS119に進め、追従対象者からの所作(ジェスチャー)あるいは音声による終了命令を受けたか否か判別し、終了命令を受けてはいないと判別したときには、処理をステップS105に戻し、このステップS105以降の処理を繰り返す。
【0101】
ステップS115で、追従対象者の身体的部位の例である下顎の高さ位置が、上または下に変位していないと判別したときには、制御部101は、処理をステップS119に進め、追従対象者からの所作(ジェスチャー)あるいは音声による終了命令を受けたか否か判別し、終了命令を受けてはいないと判別したときには、処理をステップS105に戻し、このステップS105以降の処理を繰り返す。
【0102】
そして、ステップS119で、追従対象者からの終了命令を受けたと判別したときには、制御部101は、追従対象者に対する追従制御を終了して、浮揚移動台1を着陸させるように制御する(ステップS120)。以上で、浮揚移動台1の1回の処理動作を終了する。
【0103】
[第1の実施形態の浮揚移動台1の利用態様(モード)例]
<調理モード>
図5は、第1の実施形態の浮揚移動台1の利用態様(モード)の一例としての調理モードでの、浮揚移動台1が行う動作の様子を説明するための図である。この
図5は、この例の調理モードが実行される場所(移動空間)として、家庭におけるキッチンを想定したものである。
【0104】
図5の例では、浮揚移動台1の載置台9には、レシピ本201が載置されていると共に、醤油、塩、胡椒などの種々の調味料202が載置されている。これらレシピ本201や調味料202は、追従対象者の例である主婦203が、浮揚移動台1の載置台9に、飛行開始命令をする前に載置する、あるいは、ホバーリング状態となった後に、載置するようにする。
【0105】
そして、追従対象者の例である主婦203が、浮揚移動台1に対して開始命令をすると、浮揚移動台1は、主婦203から適宜の距離だけ離れた状態で、上述した高さ位置においてホバーリングする状態となる。
図5は、その状態を示している。なお、主婦203は、開始命令をする前に、自分の顔画像が登録されている場合には、追従対象者として自分を選択することができると共に、調理モードが履歴として設定されている場合には、それを選択指定することができる。さらに、レシピに応じた好適な対応が履歴として設定されている場合には、調理予定のレシピを選択指定することができるようにしてもよい。
【0106】
追従対象者の例である主婦203が、キッチンシンク204、調理台205、コンロ206の間を移動するのに追従して、浮揚移動台1は移動する。その際に、浮揚移動台1は、載置台9の底面の水平状態は常に維持すると共に、高さ位置も維持して移動する。そして、浮揚移動台1は、温度センサ108でのセンサ出力に基づいて、点火されているコンロ206の上空に移動することは回避する。また、浮揚移動台1は、学習部117や予測部118により、主婦203の行動や動作を予測して、主婦203の左側でホバーリングしたり、右側でホバーリングしたり、そのホバーリング位置を適宜変更する。
【0107】
また、主婦203が引き出し207や戸棚208から物品を取りだしたりするために、腰をかがめたり、しゃがんだときには、それに対応して、浮揚移動台1は、ホバーリングする高さ位置を変更する。したがって、主婦203は、当該腰をかがめたり、しゃがんだりしたまま、取り出した物品を浮揚移動台1の載置台9に載置することが容易にできる。なお、しゃがんだときのホバーリングする高さ位置も、立っているときと同様、追従対象者の下顎の位置を基準にすることができる。また、下顎の位置から20cm下がった高さ位置ではなく、例えば下顎の位置から10cm下がった高さ位置にするなど、姿勢に応じた高さ位置制御をしてもよい。
【0108】
また、主婦203は、適宜、自分の都合に合わせて所作(ジェスチャー)や音声による命令により、浮揚移動台1の高さ位置を変えたり、自分の左側と右側との位置を変えたり指示することができる。また、調味料202が載置台9の底面において、主婦203から遠い側に置かれているときに、載置台9を回転させるように命令することで、自分に近い方にすることができて便利である。この場合、載置台9に載せられている物品をカメラCM1~CM5の撮像画像で画像認識させることにより、「お醤油取って」と言えば、調味料202の内の醤油が一番近くになるよう、また「レシピ本こちらに向けて」と言えば、レシピ本201を主婦203の読みやすい向きに、載置台9を回転させるように命令することもできる。なお、レシピ本201については載置台9とは別の専用架台を設け、レシピ本201のみ回転できるようにしてもよい。なお、レシピ本201を見る場合は、筐体6の上面に設けられたLEDライト(図示は省略)でレシピ本201を照らすことで、暗くなっても、影になっても、レシピ本をしっかり見ながら調理をすることができる。
【0109】
以上のようにして、主婦は、調理作業において、浮揚移動台1の載置台9にレシピ本201を載せて置いたり、必要な調味料202を事前に載せておいたりすることで、調理作業中に自分の移動に追従して浮揚移動台1が移動するので、レシピ本201をその都度見ながらの調理作業が容易に可能になると共に、浮揚移動台1の載置台9に載せてある調味料202を、その場その場で、適宜適切に選択使用することが可能になるという効果を奏する。もちろん、載置台9には、レシピ本201、調味料202に限らず、食材や調理器具などを置いてもよい。
【0110】
<洗濯物干しモード及び洗濯物取り込みモード>
図6は、第1の実施形態の浮揚移動台1の利用態様(モード)の一例としての洗濯物干しモードでの、浮揚移動台1が行う動作の様子を説明するための図である。この
図6は、この例の洗濯物干しモードが実行される場所(移動空間)として、家庭における洗濯物干し場を想定したものである。
【0111】
追従対象者の例である主婦203は、洗濯の終了した洗濯物を洗濯機から取り出して、洗濯物籠210に入れ、その洗濯が終了した洗濯物が入れられている洗濯物籠210を、浮揚移動台1の載置台9に載せる。そして、主婦203は、浮揚移動台1に対して、音声や所作(ジェスチャー)により開始命令をする。この例においても、追従対象者の例である主婦203は、浮揚移動台1の載置台9に、飛行開始命令をする前に、自分の顔画像が登録されている場合には、追従対象者として自分を選択することができると共に、洗濯物干しモードが履歴として設定されている場合には、それを選択指定することができる。
【0112】
開始命令を検知すると、浮揚移動台1は、追従対象者の例である主婦203から適宜の距離だけ離れた状態で、上述した高さ位置においてホバーリングする状態となる。そして、主婦203が洗濯物干し場に移動すると、浮揚移動台1は、洗濯物籠210を載置した状態で、主婦203に追従して、洗濯物干し場に移動する。
図6は、その状態を示している。
【0113】
洗濯物干し場においては、主婦203は、浮揚移動台1の載置台9に載置されている洗濯物籠210の中から洗濯物211を取り出して、物干し竿212にかけて干す作業をする。この時、浮揚移動台1の制御部101は、学習部117により、例えば、主婦203はいつも自分の右側に洗濯物籠210を位置させていることを検知したときには、ホバーリング位置を主婦203の右側とするように制御する。そして、洗濯物干し作業の進行に応じて主婦203が移動したときには、浮揚移動台1も、それに追従して移動するようにする。
【0114】
洗濯物干し作業が終了すると、主婦203は、洗濯物干し場から、室内の例えば洗濯機のある場所に戻る。すると、浮揚移動台1は、その移動に追従してくるので、主婦203は、当該浮揚移動台1に対して終了命令をする。すると、浮揚移動台1は、着陸して動作を終了する。主婦203は、浮揚移動台1の載置台9から、洗濯物が空になった洗濯物籠210を降ろして、作業を終了する。
【0115】
洗濯物取り込みモードは、主婦203が、洗濯物を干す作業の代わりに洗濯物を取り込んで洗濯物籠210に入れて室内に移動する動作となるので、浮揚移動台1は、上述と同様の動作をするものである。
【0116】
以上のように、洗濯物干しモード及び洗濯物取り込みモードのいずれにおいても、浮揚移動台1は、洗濯物籠210の運搬、洗濯物籠210からの洗濯物の取り出しの際の補助、洗濯物籠210への乾いた洗濯物の取り込み際の補助、の役割を果たすので、主婦203にとっては、洗濯物干し及び洗濯物取り込みの作業が楽になり、非常に使い勝手が良いというメリットがある。
【0117】
<蛍光管交換モード>
図7は、第1の実施形態の浮揚移動台1の利用態様(モード)の一例としての蛍光管交換モードでの、浮揚移動台1が行う動作の様子を説明するための図である。この
図7は、この例の蛍光管交換モードが実行される場所(移動空間)として、家庭における、例えば居間を想定したものである。
【0118】
追従対象者の例である家人221は、交換のための新品の蛍光管222、点灯管(グロー球)223、豆球224などを、浮揚移動台1の載置台9に載せておく。そして、家人221は、浮揚移動台1に対して、音声や所作(ジェスチャー)により開始命令をする。この例においても、追従対象者の例である家人221は、浮揚移動台1の載置台9に、飛行開始命令をする前に、自分の顔画像が登録されている場合には、追従対象者として自分を選択することができると共に、蛍光管交換モードが履歴として設定されている場合には、それを選択指定することができる。
【0119】
開始命令を検知すると、浮揚移動台1は、追従対象者の例である家人221から適宜の距離だけ離れた状態で、上述した高さ位置においてホバーリングする状態となる。そして、家人221が、脚立225を登っていくと、浮揚移動台1は、この例では、10秒程度遅れた状態で、高さ位置を、家人221の移動に従って変える。そして、家人221が、蛍光管の交換作業を行う高さ位置に到達して、それより上への移動を停止すると、浮揚移動台1も、家人221に追従するようにして、家人221の高さ基準の例となる身体的部位である下顎の位置から20cm下のところで、ホバーリングする。
図7は、その状態を示している。このとき、浮揚移動台1の制御部101は、学習部117により、例えば、家人221はいつも自分の左側に浮揚移動台1を位置させていることを検知したときには、ホバーリング位置を当該家人221の左側とするように制御する。また、この位置で、家人221は、浮揚移動台1のホバーリング高さ位置や、自分を中心とした水平方向位置を、所作(ジェスチャー)や音声による命令により、調整することができる。
【0120】
この状態で、家人221は、図示を省略した蛍光灯器具から旧い蛍光管226を取り外し、それを浮揚移動台1の載置台9に載せた後、新品の蛍光管222を取り上げて、蛍光灯器具に取り付ける作業をする。続いて、点灯管223の交換作業、豆球224の交換作業などを必要に応じて行う。
【0121】
交換作業を終了すると、家人221は、脚立225を降りる。そのとき、家人は何も所持している必要はない。この家人221の脚立225を降りる移動に伴って、若干(10秒)の遅れで、浮揚移動台1も下降移動する。
【0122】
こうして、蛍光管交換作業を終了して、脚立225を降りた家人221は、浮揚移動台1に対して終了命令をする。すると、浮揚移動台1は、着陸して動作を終了する。家人221は、浮揚移動台1の載置台9から、旧い蛍光管226、旧いグロー球(図示せず)、旧い豆球(図示せず)などを降ろして、作業を終了する。
【0123】
以上のようにして、作業者である家人221は、旧い蛍光管226を外して浮揚移動台1の載置台9に置き、当該浮揚移動台1の載置台9に載置されている新品の蛍光管222を取り上げて照明器具に取り付けるように作業することができ、非常に便利である。
【0124】
そして、この例の蛍光管交換モードにおいては、蛍光管の交換作業者は、新品の蛍光管222、グロー球223、豆球224など、交換に必要な物品を予め浮揚移動台1の載置台9に載せておいて、脚立225を登るだけで、蛍光管の交換作業を行う高さ位置に、浮揚移動台1を移動させることができる。そして、交換作業が終わったら、交換作業者は脚立225を降りるだけで、浮揚移動台1も降下させることができる。
【0125】
したがって、交換作業者が、脚立225を登るときには、新品の蛍光管222を持って登り、脚立225を降りる際には、交換後の旧い蛍光管226を持って降りる、というような従来の作業はなくなり、安全性が向上する。
【0126】
以上の浮揚移動台1の動作モードは一例であり、これらに限られるものではなく、その他種々の利用態様が可能であることは言うまでもない。例えば、蛍光管の交換でなく、LED電球や白熱電球の交換であってもよい。また、エアコンのフィルターの交換、冷蔵庫や食器棚の上部の整理や清掃にも利用できる。さらに、クリスマスツリーなどの飾り付け、部屋の高い位置の装飾などにも利用できる。
【0127】
[第2の実施形態]
上述した第1の実施形態の浮揚移動台1は、業務用でも用いられるが、主として家庭用の場合であり、常に追従対象者の声をマイクロフォンで収音できたり、追従対象者の所作(ジェスチャー)をカメラでとらえたりすることができる環境で利用する場合であった。第2の実施形態は、工事現場や建築現場など、追従対象者から、より離れた場所に所在するため、追従対象者の声をマイクロフォンで収音できなかったり、追従対象者の所作(ジェスチャー)をカメラでとらえることができなかったりする場合でも、浮揚移動台を呼び出して、当該追従対象者に追従移動させるようにすることできるようにする場合である。
【0128】
第2の実施形態の浮揚移動台1Aは、機構的な構成は、
図1に示した第1の実施形態の浮揚移動台1と同様とすることができる。ただし、第2の実施形態の浮揚移動台1Aは、第1の実施形態の家庭内で使用されるものよりも、より大型のものとして、より重量の重い物品も載置可能とすることができるようにする。したがって、第2の実施形態の浮揚移動台1Aの機構的な構成は、大きさが第1の実施形態の浮揚移動台1と異なるほかは、ほぼ同様とすることができるので、その詳細な機構的構成の図示は省略する。
【0129】
この第2の実施形態の浮揚移動台1Aの駆動制御装置部10Aの構成例を、
図8に示す。この
図8の構成例において、
図2に示した第1の実施形態の浮揚移動台1の駆動制御装置部10と同一部分には、同一参照符号を付与して、その詳細な説明は省略する。
【0130】
図8に示すように、この第2の実施形態の浮揚移動台1Aの駆動制御装置部10Aにおいては、システムバス100に対して、通信部120が接続されることと、当該通信部120を用いた通信を制御する機能をも備える制御部101Aを備える点が異なるのみで、その他は、第1の実施形態の浮揚移動台1の駆動制御装置部10と同様である。そして制御部101Aは、第1の実施形態の浮揚移動台1の駆動制御装置部10の制御部101の機能は、全て備える上に、通信部120を用いた通信を制御する機能をも備える制御部101Aを備えるものである。
【0131】
そして、第2の実施形態においては、浮揚移動台1Aの通信部120と通信を行う外部携帯装置121が用いられる。この外部携帯装置121は、自装置の現在位置を検出する機能を有すると共に、浮揚移動台1Aの通信部120と通信を行う機能(ソフトウエアアプリケーション)を備えるもので、スマートフォンと呼ばれる携帯電話端末を用いることができる。このスマートフォンを外部携帯装置121として用いる場合には、当該スマートフォンに、事前に、浮揚移動台1Aの通信部120と通信を行う機能のアプリケーションプログラムをインストールするようにする。
【0132】
この場合に、外部携帯装置121と、浮揚移動台1Aの通信部120との通信は、例えば、Bluetooth(登録商標)規格の近距離通信や、Wi-Fi(登録商標)通信などを用いることができる。
【0133】
そして、第2の実施形態では、この通信により、外部携帯装置121から浮揚移動台1Aを起動及び呼び出しができるようにする。外部携帯装置121からの呼び出しの際の呼び出し信号には、当該外部携帯装置121の高さ位置を含む現在位置の情報が含まれる。
【0134】
そして、浮揚移動台1Aは、その呼び出し信号に含まれる位置情報を検知して、その位置情報で示される位置に飛来して、その位置に居る追従対象者に追従して移動するようにする。
【0135】
また、第2の実施形態では、浮揚移動台1Aは、他の追従対象者に追従している状態においても呼び出して、その時に追従している追従対象者の許可を受けた上で、呼び出し要求した者が、自分に追従させることができるように構成されている。
【0136】
[第2の実施形態の浮揚移動台1Aにおける主要な処理動作]
図9及び
図10は、第2の実施形態の浮揚移動台1Aにおける、上述した外部携帯装置121からの呼び出しの際の処理動作の流れの例を示すフローチャートである。この
図9及び
図10においても、
図3及び
図4の例と同様に、制御部101Aが、制御部101と同様に、必要な各部の処理機能をソフトウエア機能として実現する場合として説明する。
【0137】
先ず、制御部101Aは、外部携帯装置121からの呼び出し信号を受信したか否か判別し(ステップS201)、呼び出し信号を受信してはいないと判別したときには、このステップS201を繰り返して、呼び出し信号の受信を待つ。
【0138】
ステップS201で、呼び出し信号を受信したと判別したときには、制御部101Aは、追従対象者に対して追従している状態であるか否か判別する(ステップS202)。このステップS202で、追従対象者に対して追従している状態であると判別したときには、例えば図示を省略したスピーカにより、当該他の者による呼び出しがあった旨を通知する(ステップS203)。
【0139】
次に、制御部101Aは、この通知に対する追従対象者の所作(ジェスチャー)や音声による呼び出し許可、あるいは不許可の応答を判別する(ステップS204)。このステップS204で、他者の呼び出しが不許可とされたと判別したときには、制御部101Aは、通信部120を通じて、呼び出し者に、他の者が「使用中」を通知し(ステップS205)、その時の追従対象者に対する追従状態を維持する(ステップS206)。
【0140】
次に、制御部101Aは、他者から呼び出し信号を受信したか否か判別し(ステップS207)、受信してはいないと判別したときには、処理をステップS206に戻して、その時の追従対象者に対する追従状態を維持する。
【0141】
また、ステップS207で、他者から呼び出し信号を受信したと判別したときには、処理をステップS203に戻し、このステップS203以降の処理を繰り返す。
【0142】
そして、ステップS202で、追従対象者が存在していないと判別したとき、また、ステップS204で、他者の呼び出しが許可されたと判別したときには、制御部101Aは、受信した呼び出し信号に含まれる、高さ位置の情報を含む位置情報を抽出して、呼び出し者の位置を認識する(
図10のステップS211)。
【0143】
そして、制御部101Aは、浮揚移動台1Aを、呼び出し者の位置まで飛行移動させるように制御する(ステップS212)。そして、呼び出し者の位置まで飛行移動したら、制御部101Aは、当該位置に存在している追従対象者を認識して、当該認識した追従対象者との間に所定の距離間隔を維持し、かつ、当該追従対象者の高さ基準である下顎の位置を検出し、その下顎の位置から20cm下の高さ位置でホバーリングするように制御する(ステップS213)。そして、更に、制御部101Aは、浮揚移動台1Aを、当該認識した追従対象者が移動したときに追従移動するようにする追従状態にする(ステップS214)。
【0144】
次に、制御部101Aは、他者からの呼び出し信号を受信したか否か判別し(ステップS215)、呼び出し信号を受信してはいないと判別したときには、処理をステップS214に戻して、追従対象者に対する追従状態を維持する。
【0145】
そして、ステップS215で、他者からの呼び出し信号を受信したと判別したときには、制御部101Aは、処理をステップS203に戻し、このステップS203以降の処理を繰り返す。
【0146】
[第2の実施形態の浮揚移動台1Aの利用態様の例]
以上のような構成を備えることで、第2の実施形態の浮揚移動台1Aは、例えば
図11に示すような利用態様が可能となる。
【0147】
図11の例は、多層階の建物の工事現場において、足場231が組まれており、上層階の足場231に居る作業者232が、例えば鋸などの道具を、下層階の足場231で作業している作業者233に貸して(または渡して)くれるように頼む場合である。この場合に、下層階で作業をしている作業者233は、その時に、浮揚移動台1Aを自分が利用しており、浮揚移動台1Aは、作業者233を追従対象者としているとする。
【0148】
この例では、上層階の作業者232と下層階の作業者233との間で声が届く場合には、両者の間で、上述したような、鋸の貸し借り(または受け渡し)の伝達をする。もしも、声が届かないときには、トランシーバや携帯電話端末により伝達をしてもよい。この伝達を受けた下層階の作業者233は、自分に追従している浮揚移動台1Aの載置台9に、要求された、鋸を載せる。
【0149】
そして、上層階の足場に居る作業者232は、自分が所持している外部携帯装置121により、浮揚移動台1Aに対して、自分の位置の情報(高さ位置を含む)を含む呼び出し信号を送信する。すると、当該呼び出し信号を受信した浮揚移動台1Aは、下層階の足場231の追従対象者である作業者233に対して、スピーカにより他者による呼び出しを通知する。
【0150】
そこで、下層階の作業者233は、浮揚移動台1Aに対して、例えば音声で「OK」と発音する、あるいは、手で「OK」マークを作ってジェスチャーで示すなどの応答をする。これを受けた浮揚移動台1Aは、下層階の作業者233による許可を受けたと判断して、当該下層階の作業者233に対する追従状態を解除する。
【0151】
そして、浮揚移動台1Aは、呼び出し信号に含まれる上層階の足場231の作業者232の位置情報を抽出して、当該作業者232の位置を認識し、その位置に飛行して移動する。そして、浮揚移動台1Aは、作業者232を新たな追従対象者として認識し、当該認識した追従対象者の基準高さ位置に基づく高さ位置にホバーリングすると共に、当該認識した追従対象者の移動に追従して移動する追従状態にする。
【0152】
したがって、上層階の足場231の作業者232は、浮揚移動台1Aの載置台9に載置されている鋸を載置台9から取り出して利用し、利用後は、載置台9に戻すことができる。そして、作業者232は、適宜移動すると、浮揚移動台1Aが追従移動するので、その移動した位置においても、載置台9に載置されている鋸を取り上げて利用することができる。
【0153】
上述の例では、作業者233に対する追従状態を完全に解除して、作業者232に追従状態を移したが、一時的な解除を可能とすることもできる。この場合、作業者233が作業者232に鋸を貸与する(または渡す)際に追従状態を一時的に解除し、作業者232が鋸の作業を終え、鋸を返却する際に、追従状態を復帰する。
【0154】
[第2の実施形態の変形例]
上述の第2の実施形態の説明においては、呼び出しをした者の位置情報は、呼び出し信号に含め、浮揚移動台1Aは、当該位置情報により特定される位置に移動するようにした。しかし、浮揚移動台1Aが、呼び出しをした者の位置に移動する方法としては、これに限られるものではなく、呼び出し信号に含まれる情報に基づいて、呼び出しをした者の位置に移動することができるものである。
【0155】
例えば、工事現場や建築現場などでは、現場作業者は、IDカードやネームタグを装着することが最近は多くなっている。そこで、現場作業者が装着するIDカードやネームタグなどに、各現場作業者についてユニークなID情報(識別情報)を発生するRFID(Radio Frequency IdentificationまたはRadio Frequency Identifier)を組み込んでおくと共に、呼び出し信号に、IDカードやネームタグに組み込まれたRFIDに記憶されている各現場作業者についてユニークなID情報を含めるようにする。浮揚移動台1Aは、この呼び出し信号に含まれているID情報を検出するID情報検出手段を備え、このID情報検出手段で、呼び出し信号に含まれているID情報と同一のID情報を発生するIDカードやネームタグを検出するようにすることで、呼び出しをした者の位置に移動するようにする。
【0156】
以上の浮揚移動台1Aの建物の工事現場での利用態様は一例であり、建物の工事現場に限られるものではなく、その他種々の利用態様が可能であることは言うまでもない。例えば、電柱での点検作業や各種工事、また、駅構内や工場などでの種々の装置の点検、消耗品交換、修理などの各種作業などで利用できる。
【0157】
さらに、果樹園などにおいて、ミカン、リンゴ、ブドウ、サクランボ、モモなどの果物の収穫作業にも利用できる。その場合には、浮揚移動台は、上方向を撮影方向とするカメラCM1や追従対象者を撮影するカメラ(カメラCM2~CM5のいずれか)の撮影画像に基づいて、追従対象者が収穫する果物の下に位置するように移動制御するようにしてもよい。
【0158】
[その他の実施形態又は変形例]
上述の実施形態では、浮揚移動台の筐体及び載置台は、全体として箱型の形状に構成されていたが、これに限らず、各々円筒型の形状や半球型の形状などの種々の形状とすることができる。また、載置台の大きさは回転翼機構の外側部と略同一の大きさで構成されていたが、これに限らず、回転翼機構の外側部より小さいものや大きいものでもよい。さらに載置台を交換可能にし、用途に応じて適切な載置台を用いることもできる。
【0159】
また、上述の実施形態では、載置台は、籠の底面及び側面がメッシュ状に穴が形成されたものとされていたが、それに限らず、回転翼の回転により生じる空気の流れに影響が少ない構成であればよい。
【0160】
さらに、上述の実施形態では、載置台は浮揚移動台の上部に設けられていたが、下部にぶら下げる形にすることもできる。
【0161】
また、上述の実施形態では、ホバーリングの高さ位置を決定する際に、追従対象者の特定の身体的部位として、下顎の位置を基準にしたが、下顎に限らず、肩の位置や目、耳、鼻、口の位置、肘の位置などを基準にしてもよい。さらに、追従対象者の身体的部位に限らず、追従対象者が着ている洋服の襟、第一ボタン、胸ポケットなどの特定の箇所の位置を基準にすることもできる。また、追従対象者が身につけているピアスやイヤリング、ネックレスのペンダントトップ、ブローチなどの装身具の位置を基準にすることもできる。また、官公庁、事業所、工場、事務所、工事現場などでは、従業者や作業者などは、社員証やIDカード、ネームタグ、ネームプレートや、社章や徽章などの装着物を身につけることもあるが、これらの社員証やIDカード、ネームタグ、ネームプレートの位置や、社章や徽章の位置などを基準にしてもよい。もちろん、これらの基準とする位置を、浮揚移動台に、事前に登録できるようにしてもよい。
【0162】
さらに、追従対象者が車椅子などの移動体を利用している場合、着座している車椅子のアームの位置は、追従対象者に関連して位置が定まるので、この車椅子のアームの位置をホバーリングの高さ位置を決定する際の基準とすることができる。歩行などが困難で車椅子を利用している追従対象者にとって、浮揚移動台が車椅子の傍に追従してくれることは極めて便利である。
【0163】
また、道路交通上、危険のないエリアでは、車椅子に限らず、自転車などの利用時にも適用できる。この場合、追従対象者が着座している運転席の自転車のハンドルの位置を基準としてもよい。また、追従対象者がデスクに向かい、椅子に着座して仕事をしている場合、デスクの上面や椅子のアームなどの位置を基準としてもよい。
【0164】
また、上述の実施形態では、空中飛行機構部2は、4個の回転翼機構を有するヘリコプター型の機構部の例で説明したが、回転翼機構の数は3個以下でも5個以上でもよい。さらに、ヘリコプター型の機構部に限らず、飛行機型の機構部など、ホバーリングが可能な機構部であれば適用可能である。
【0165】
また、上述の実施形態では、カメラの数は6個、マイクロフォンは無指向性マイクロフォンの1個であったが、数が限定されないことはもちろんである。また、カメラやマイクロフォンを設ける位置も種々考えられる。さらに、マイクロフォンは無指向性マイクロフォンに限定されることなく、指向性マイクロフォンを用いて追従対象者や特定の方向などの声や音を収音してもよい。カメラについても、標準的なカメラでもよいし、広角カメラ、魚眼カメラ、360度カメラでもよい。また、接写カメラ、望遠カメラであってもよい。もちろん、これらのカメラを併用してもよい。
【0166】
その他、浮揚移動台は、その機構上、種々の変形例が考えられることはもちろんである。
【符号の説明】
【0167】
1,1A…浮揚移動台、2…空中飛行機構部、3…駆動制御ユニット、6…筐体、9…載置台、10,10A…駆動制御装置部、101,101A…制御部、CM1~CM6…カメラ
【手続補正書】
【提出日】2024-01-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の作業を行う作業者の作業の補助を行う浮揚移動台であって、
浮揚して空中を移動すると共に、空中においてホバーリングするための空中飛行機構部と、
物品を載置する、あるいは載置されている前記物品を取り出すことが可能な載置台と、
高温雰囲気を検出するための温度センサと、
前記温度センサのセンサ出力に基づいて、点火されているコンロの上空及び/又は近傍に移動するのを回避又は禁止するように前記空中飛行機構部を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする浮揚移動台。
【請求項2】
1または複数個のカメラと、
前記制御手段は、前記1または複数個のカメラからの前記コンロの点火状態の撮影画像情報も併せて使用して、前記点火されているコンロの上空及び/又は近傍に移動するのを回避又は禁止するように前記空中飛行機構部を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の浮揚移動台。
【請求項3】
前記作業者が調理の作業を行う場合の補助を行う調理作業補助モードを備え、
前記制御手段は、前記調理作業補助モードの開始命令を検知した場合に、前記作業者の移動に従って移動するように前記空中飛行機構部を制御する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の浮揚移動台。
【請求項4】
前記作業者の音声を認識する音声認識手段を備え、
前記制御手段は、前記音声認識手段で認識された前記作業者の音声に基づいて前記開始命令を検知する
ことを特徴とする請求項3に記載の浮揚移動台。
【請求項5】
1または複数個のカメラと、
前記1または複数個のカメラの撮影画像から前記作業者の所作を認識する画像認識手段を備え、
前記制御手段は、前記画像認識手段で認識された前記作業者の所作に基づいて前記開始命令を検知する
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の浮揚移動台。
【請求項6】
前記移動に従って移動すべき前記作業者として登録されている対象者の一覧を提示する一覧提示手段と、
前記一覧提示手段により提示されている前記対象者の一覧から、一人の対象者の選択指定を受け付ける手段と、
を備えることを特徴とする請求項3~請求項5のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項7】
1または複数個のカメラと、
前記作業者の顔画像を記憶する顔画像記憶部と、
前記顔画像記憶部に記憶されている前記作業者の顔画像を用いて、前記1または複数個のカメラの撮像画像から前記作業者の顔画像を認識する顔画像認識手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記認識した前記顔画像に基づいて、前記作業者の移動に従って移動するように前記空中飛行機構部を制御する
ことを特徴とする請求項3~請求項6のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項8】
前記調理作業補助モードにおける、前記作業者の過去の利用履歴を記憶する履歴記憶部と、
前記履歴記憶部に記憶されている前記利用履歴に基づいて、前記作業者の利き手を判断する判断手段と、
前記制御手段は、前記判断手段における前記作業者の利き手の判断結果に基づいて、前記作業者の右側か左側のいずれかにおいて、前記作業者の近傍でホバーリングするように前記空中飛行機構部を制御する
ことを特徴とする請求項3~請求項7のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項9】
前記調理作業補助モードにおける、レシピに応じた過去の利用履歴を記憶する履歴記憶部と、
前記履歴記憶部に記憶されている前記利用履歴の中から、開始しようとする前記料理作業で料理予定のレシピの利用履歴を選択指定する選択指定手段と、
前記選択指定された前記レシピに応じた過去の利用履歴を参照して前記作業者の使い勝手を学習する学習手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記開始しようとする前記料理作業においては、前記学習手段の学習結果に基づいて、前記空中飛行機構部を制御する
ことを特徴とする請求項3~請求項8のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項10】
1または複数個のカメラと、
前記1または複数個のカメラからの撮影画像情報から前記作業者に関連して特定される位置を認識する位置認識手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記位置認識手段の認識結果に基づいて、前記作業者に関連して特定される位置の近傍でホバーリングするように前記空中飛行機構部を制御する
ことを特徴とする請求項1~請求項9のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項11】
前記位置認識手段で認識した前記作業者に関連して特定される位置は、前記作業者と所定の距離を維持する位置及び/または前記作業者に関連して特定される高さ位置である
ことを特徴とする請求項10に記載の浮揚移動台。
【請求項12】
前記位置認識手段で認識した前記作業者に関連して特定される位置は、前記作業者に関連して特定される部位または箇所を基準にした高さ位置である
ことを特徴とする請求項10または請求項11に記載の浮揚移動台。
【請求項13】
前記作業者に関連して特定される部位または箇所は、前記作業者の特定の身体的部位、前記作業者が着ている洋服の特定の箇所、前記作業者が身につけている装身具や装着物の位置、または、前記作業者が着座している場合の特定の箇所のいずれかである
ことを特徴とする請求項12に記載の浮揚移動台。
【請求項14】
前記作業者の前記特定の身体的部位の高さ位置が変化した場合に、前記制御手段は、ホバーリング高さ位置を前記作業者の姿勢変化に応じて変更するように前記空中飛行機構部を制御する
ことを特徴とする請求項13に記載の浮揚移動台。
【請求項15】
前記作業者に関連して特定される位置は、事前に登録されている
ことを特徴とする請求項10~請求項14のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項16】
前記載置台の水平状態を保つように姿勢制御するための1または複数のセンサを備え、
前記制御手段は、前記1または複数のセンサの検知出力を用いて、前記作業者に関連して特定される位置の近傍で前記載置台の水平状態を保ってホバーリングするように前記空中飛行機構部を制御する
ことを特徴とする請求項10~請求項15のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項17】
前記1または複数個のカメラの撮影画像について画像認識をする画像認識手段を備え、
前記制御手段は、前記画像認識手段の認識結果に基づいて、前記作業者の姿勢に応じた高さ位置でホバーリングするように前記空中飛行機構部を制御する
ことを特徴とする請求項10~請求項16のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項18】
前記作業者の音声によるホバーリングの高さ位置の変更命令及び/または水平方向位置の変更命令を認識する音声認識手段を備え、
前記制御手段は、前記音声認識手段で認識された前記音声によるホバーリングの前記高さ位置の変更命令及び/または前記水平方向位置の変更命令に応じて、ホバーリングの高さ位置及び/または水平方向位置を変更するように前記空中飛行機構部を制御する
ことを特徴とする請求項10~請求項17のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項19】
前記1または複数個のカメラの撮影画像から前記作業者の所作によるホバーリングの高さ位置の変更命令及び/または水平方向位置の変更命令を認識する画像認識手段を備え、
前記制御手段は、前記画像認識手段で認識された前記作業者の所作によるホバーリングの前記高さ位置の変更命令及び/または前記水平方向位置の変更命令に応じて、ホバーリングの高さ位置及び/または水平方向位置を変更するように前記空中飛行機構部を制御する
ことを特徴とする請求項10~請求項18のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項20】
前記1または複数個のカメラの撮影画像から、前記作業者の所作による、ホバーリングの状態において前記載置台を水平状態を保って回転させる回転命令を、認識する画像認識手段と、
前記画像認識手段で認識された前記作業者の所作による前記回転命令に応じて、前記載置台を水平状態を保って回転させるように制御する手段と、
を備えることを特徴とする請求項10~請求項19のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項21】
前記作業者の音声による、ホバーリングの状態において前記載置台を水平状態を保って回転させる回転命令を、認識する音声認識手段と、
前記音声認識手段で認識された前記音声による前記回転命令に応じて、前記載置台を水平状態を保って回転させるように制御する手段と、
を備えることを特徴とする請求項10~請求項20のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項22】
前記制御手段は、前記1または複数個のカメラからの撮影画像情報に基づいて前記作業者の行為を予測した場合には、前記予測した行為に応じてホバーリングの位置及び/または状態を制御する
ことを特徴とする請求項10~請求項21のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項23】
ホバーリングの位置を前記作業者の右側か左側のいずれかに指示する前記作業者の音声を認識する音声認識手段を備え、
前記制御手段は、前記音声認識手段で認識された前記作業者の音声に応じて、ホバーリングの位置を、前記作業者の右側か左側のいずれかに制御する
ことを特徴とする請求項10~請求項22のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項24】
前記1または複数個のカメラの撮影画像からホバーリングの位置を前記作業者の右側か左側のいずれかに指示する前記作業者の所作を認識する画像認識手段を備え、
前記制御手段は、前記画像認識手段で認識された前記作業者の所作に応じて、ホバーリングの位置を、前記作業者の右側か左側のいずれかに制御する
ことを特徴とする請求項10~請求項23のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項25】
前記載置台に載置された物品または載置される物品の画像情報と、前記物品が液体を含む物品であることを対応付けて記憶する記憶手段と、
前記1または複数個のカメラの撮影画像から前記記憶手段に記憶されている前記液体を含む物品が前記載置台に載置されたことまたは載置されようとしていることを画像認識した場合に、アラームまたはメッセージを報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする請求項10~請求項24のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項26】
前記載置台に載置されるとホバーリングを保持できない重量オーバーになる物品の画像情報を記憶する記憶手段と、
前記1または複数個のカメラの撮影画像から前記記憶手段に記憶されている重量オーバーになる物品が前記載置台に載置されたことまたは載置されようとしていることを画像認識した場合に、重量オーバーを報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする請求項10~請求項25のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項27】
前記作業者の前記載置台への接触及び/または押圧を検出する接触検出手段と、
前記接触検出手段の検出結果に基づいてホバーリングの高さ位置の変更命令及び/または水平方向位置の変更命令を認識する位置変更命令認識手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記接触検出手段で認識された前記接触及び/または押圧によるホバーリングの前記高さ位置の変更命令及び/または前記水平方向位置の変更命令に応じて、ホバーリングの高さ位置及び/または水平方向位置を変更するように前記空中飛行機構部を制御する
ことを特徴とする請求項10~請求項26のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項28】
インジケータ及び/または表示部と、
前記載置台に載置された物品または載置される物品の画像情報と、前記物品が液体を含む物品であることを対応付けて記憶する記憶手段と、
を備え、
前記1または複数個のカメラの撮影画像から前記記憶手段に記憶されている前記液体を含む物品が前記載置台に載置されたことまたは載置されようとしていることを画像認識した場合に、前記インジケータ及び/または表示部を点灯または点滅させる、あるいは前記表示部にメッセージを表示させる
ことを特徴とする請求項10~請求項27のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項29】
前記載置台に載置された物品、あるいは前記載置台から取り出された物品の重量を検知するための重量センサと、
前記重量センサの検知結果に基づいて前記載置台に載置される物品の重量が、前記ホバーリングを保持できない重量オーバーの状態または重量オーバーの危険がある状態を検知する状態検知手段と、
前記状態検知手段で前記重量オーバーの状態または重量オーバーの危険がある状態が検知された場合に、前記重量オーバーの状態または重量オーバーの危険がある状態を報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする請求項10~請求項28のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項30】
前記載置台は形状及び/または大きさが複数種類あり、かつ、交換可能である
ことを特徴とする請求項1~請求項29のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項31】
マイクロフォンを備え、
前記制御手段は、前記マイクロフォンで収音した音から検出した、前記作業者の手をたたく音または指を鳴らす音に反応して飛行移動するように前記空中飛行機構部を制御する
ことを特徴とする請求項1~請求項30のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項32】
前記載置台は、前記浮揚移動台の上部及び/または下部に設けられている
ことを特徴とする請求項1~請求項31のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項33】
前記載置台に載置された物品、あるいは前記載置台から取り出された物品の重量を検知するための重量センサを備え、
前記制御手段は、ホバーリングをしている状態において前記載置台に物品が載置された場合、あるいは前記載置台から物品が取り出された場合に、前記重量センサにより検知された前記物品の重量に基づいて、前記物品の重量によるホバーリングの前記高さ位置の変化を補正するように前記空中飛行機構部を制御する
ことを特徴とする請求項1~請求項32のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項34】
前記載置台に載置された物品、あるいは前記載置台から取り出された物品の重量を検知するための重量センサを備え、
前記制御手段は、ホバーリングをしている状態において前記載置台に物品が載置された場合、あるいは前記載置台から物品が取り出された場合に、前記重量センサにより検知された前記物品の重量に基づいて、前記物品が前記載置台に載置されたときの前記物品の重量に応じた前記載置台の下降量を少なくする、あるいは前記物品が前記載置台から取り出された場合の前記物品の重量に応じた前記載置台の上昇量を少なくするように前記空中飛行機構部を制御する
ことを特徴とする請求項1~請求項33のいずれかに記載の浮揚移動台。
【請求項35】
浮揚して空中を移動すると共に、空中においてホバーリングするための空中飛行機構部と、物品を載置する、あるいは載置されている物品を取り出すことが可能な載置台と、高温雰囲気を検出するための温度センサとを備え、所定の作業を行う作業者の作業の補助を行う浮揚移動台が備えるコンピュータを、
前記温度センサのセンサ出力に基づいて、点火されているコンロの上空及び/又は近傍に移動するのを回避又は禁止するように前記空中飛行機構部を制御する制御手段、
として機能させるための浮揚移動台用プログラム。