(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026856
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】禁忌判定システム、禁忌判定プログラム、禁忌病名データベース
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20240220BHJP
【FI】
G16H20/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024006095
(22)【出願日】2024-01-18
(62)【分割の表示】P 2019182263の分割
【原出願日】2019-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】521180566
【氏名又は名称】株式会社DB Studio
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】羽賀 伸吾
(72)【発明者】
【氏名】難波 芳樹
(72)【発明者】
【氏名】世良 庄司
(72)【発明者】
【氏名】古賀 淳
(57)【要約】
【課題】薬品の禁忌病名の判定精度を高めることのできる禁忌判定システム、禁忌判定プログラム、禁忌病名データベースを提供すること。
【解決手段】患者の病名を示す患者病名情報に、前記患者に処方される薬品に対応して予め設定された判定用病名を示す判定用病名情報が含まれているか否かを判定する第1判定処理を実行可能な第1処理部と、前記第1処理部による判定結果に基づいて、予め設定された特定処理を実行可能な第2処理部と、を備え、前記薬品及び前記判定用病名情報の組み合わせのうち前記判定用病名情報が同じで前記薬品が異なる組み合わせについて、前記組み合わせごとに前記第1判定処理の実行の有無又は前記特定処理の内容が変更可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の病名を示す患者病名情報に、前記患者に処方される薬品に対応して予め設定された判定用病名を示す判定用病名情報が含まれているか否かを判定する第1判定処理、及び、前記患者病名情報に、前記薬品に対応する前記判定用病名情報のうち予め設定された一のグループに属する複数の前記判定用病名情報の全てが含まれているか否かを判定する第3判定処理のいずれかを、当該薬品と当該判定用病名との組み合わせが前記グループに属するか否かに応じて選択して実行する第1処理部と、
前記第1処理部による判定結果に基づいて、報知処理を含む予め設定された特定処理を実行する第2処理部と、
を備え、
前記薬品及び前記判定用病名情報の組み合わせのうち前記判定用病名情報が同じで前記薬品が異なる組み合わせについて、前記グループに属さない前記組み合わせは当該組み合わせごとに前記第1判定処理の実行の有無又は前記特定処理の内容が登録されており、前記グループに属する前記組み合わせは当該組み合わせごとに前記第3判定処理の実行の有無又は前記特定処理の内容が登録されており、
前記薬品及び前記判定用病名情報の組み合わせが前記グループに属する場合は、前記第1処理部が前記薬品と前記一のグループに属する複数の前記判定用病名情報との組み合わせに対応して登録された前記第3判定処理の実行の有無が全て実行有りである場合にのみ当該第3判定処理を実行し、又は、前記第2処理部が前記一のグループに属する複数の前記判定用病名情報と前記薬品との全ての組み合わせに対応して登録された前記特定処理の内容に応じて当該特定処理の内容を決定する、
禁忌判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬品及び病名の組み合わせについての禁忌を判定可能な禁忌判定システム、禁忌判定プログラム、及びこれらで用いられる禁忌病名データベースに関する。
【背景技術】
【0002】
病院等の医療機関では、診察記録及び処方内容が電子カルテシステムなどに入力されることにより処方データが発行され、前記処方データに基づいて薬品が調剤される。その後、前記処方データに基づいて調剤された薬品は患者に対して使用される。なお、前記処方データに基づく薬品の調剤前に、前記処方データの適否を自動的に判断する処方チェックが実行可能なシステムが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特に、薬品の添付文書には、当該薬品に適さない患者の病名が禁忌病名として記載されていることがある。そこで、前記処方チェックにおいて、患者の病名と薬品の禁忌病名とに基づいて、患者への薬品の処方の適否を判定する禁忌病名チェックが行われることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記禁忌病名について、同種類の病名であっても当該病名についての原因、部位、程度、性別、又は年齢などの修飾語が異なる場合には、異なる表現が用いられることがある。例えば、禁忌病名の種類が同種類の「腎障害」であっても、添付文書に記載される禁忌病名が「重篤な腎障害」である薬品と、添付文書に記載される禁忌病名が単に「腎障害」である薬品とが存在することがある。
【0006】
しかしながら、医療機関で用いられるシステム上では、病名を識別するための識別情報として、例えば厚生労働省で定められたレセ電算コード又は医療機関で定められた標準病名コードなどの特定のコードが用いられることがある。そして、前記システム上において用いられる前記識別情報で識別可能な病名(以下、「判定用病名」と称する)は、前記禁忌病名とは表現が異なることがある。具体的に、前記判定用病名では、当該判定用病名の修飾語が考慮されていない場合があり、例えば上述のように修飾語の異なる「重篤な腎障害」と「腎障害」とが同一の判定用病名で表現されることがある。
【0007】
そのため、前記禁忌病名チェックでは、禁忌病名の修飾語が考慮されず、当該禁忌病名の判定精度が低下するおそれがある。例えば、前記禁忌病名チェックで患者の病名が判定用病名の「腎障害」と一致する場合に禁忌と判定されるように設定されている場合、患者の病名が「腎障害」であれば、禁忌病名が「重篤な腎障害」である薬品と、禁忌病名が「腎障害」である薬品とのいずれの場合にも禁忌と判定されることがある。この場合、本来は修飾語が「重篤な」である場合のみを禁忌と判定すればよい薬品についても禁忌と判定されることになり、ユーザーによる無駄な確認作業などの手間が生じる。
【0008】
本発明の目的は、薬品の禁忌病名の判定精度を高めることのできる禁忌判定システム、禁忌判定プログラム、禁忌病名データベースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る禁忌判定システムは、患者の病名を示す患者病名情報に、前記患者に処方される薬品に対応して予め設定された判定用病名を示す判定用病名情報が含まれているか否かを判定する第1判定処理を実行可能な第1処理部と、前記第1処理部による判定結果に基づいて、予め設定された特定処理を実行可能な第2処理部と、を備え、前記薬品及び前記判定用病名情報の組み合わせのうち前記判定用病名情報が同じで前記薬品が異なる組み合わせについて、前記組み合わせごとに前記第1判定処理の実行の有無又は前記特定処理の内容が変更可能である。
【0010】
本発明に係る禁忌判定システムは、患者の病名を示す患者病名情報に、前記患者に処方される薬品に対応して予め設定された判定用病名を示す判定用病名情報のうち一のグループに属する複数の前記判定用病名情報から予め選択された一部の前記判定用病名情報が含まれているか否かを判定する第2判定処理を実行可能な第1処理部と、前記第1処理部による判定結果に基づいて、予め設定された特定処理を実行可能な第2処理部と、
を備え、前記薬品及び前記一部の判定用病名情報の組み合わせごとに前記第2判定処理の実行の有無又は前記特定処理の内容が変更可能である。
【0011】
本発明に係る禁忌判定システムは、患者の病名を示す患者病名情報に、前記患者に処方される薬品に対応して予め設定された判定用病名を示す判定用病名情報のうち一のグループに属する複数の前記判定用病名情報が全て含まれているか否かを判定する第3判定処理を実行可能な第1処理部と、前記第1処理部による判定結果に基づいて、予め設定された特定処理を実行可能な第2処理部と、を備え、前記薬品及び前記グループの組み合わせごとに前記第3判定処理の実行の有無又は前記特定処理の内容が変更可能である。
【0012】
本発明に係る禁忌判定プログラムは、プロセッサーに、患者の病名を示す患者病名情報に、前記患者に処方される薬品に対応して予め設定された判定用病名を示す判定用病名情報が含まれているか否かを判定する第1判定処理を実行する第1ステップと、前記第1ステップによる判定結果に基づいて、予め設定された特定処理を実行可能な第2ステップと、を実行させるための禁忌判定プログラムであって、前記薬品及び前記判定用病名情報の組み合わせのうち前記判定用病名情報が同じで前記薬品が異なる組み合わせについて、前記組み合わせごとに前記第1判定処理の実行の有無又は前記特定処理の内容が変更可能である。
【0013】
本発明に係る禁忌判定プログラムは、プロセッサーに、患者の病名を示す患者病名情報に、前記患者に処方される薬品に対応して予め設定された判定用病名を示す判定用病名情報のうち一のグループに属する複数の前記判定用病名情報から予め選択された一部の前記判定用病名情報が含まれているか否かを判定する第2判定処理を実行する第1ステップと、前記第1ステップによる判定結果に基づいて、予め設定された特定処理を実行可能な第2ステップと、を実行させるための禁忌判定プログラムであって、前記薬品及び前記一部の判定用病名情報の組み合わせごとに前記第2判定処理の実行の有無又は前記特定処理の内容が変更可能である。
【0014】
本発明に係る禁忌判定プログラムは、プロセッサーに、患者の病名を示す患者病名情報に、前記患者に処方される薬品に対応して予め設定された判定用病名を示す判定用病名情報のうち一のグループに属する複数の前記判定用病名情報が全て含まれているか否かを判定する第3判定処理を実行する第1ステップと、前記第1ステップによる判定結果に基づいて、予め設定された特定処理を実行可能な第2ステップと、を実行させるための禁忌判定プログラムであって、前記薬品及び前記グループの組み合わせごとに前記第3判定処理の実行の有無又は前記特定処理の内容が変更可能である。
【0015】
本発明に係る禁忌病名データベースは、プロセッサーが、患者の病名を示す患者病名情報に、前記患者に処方される薬品に対応して予め設定された判定用病名を示す判定用病名情報が含まれているか否かを判定する判定処理を実行し、前記判定処理の判定結果に基づいて、予め設定された特定処理を実行する際に用いられる禁忌病名データベースであって、前記薬品及び前記判定用病名情報の組み合わせのうち前記判定用病名情報が同じで前記薬品が異なる組み合わせについて、前記組み合わせごとに前記判定処理の実行の有無又は前記特定処理の内容が設定可能であり、前記プロセッサーが、前記禁忌病名データベースに基づいて、前記薬品及び前記判定用病名情報の組み合わせごとに前記判定処理の実行の有無又は前記特定処理の内容を変更可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、薬品の禁忌病名の判定精度を高めることのできる禁忌判定システム、禁忌判定プログラム、禁忌病名データベースが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る禁忌判定システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る禁忌判定システムで用いられる禁忌病名マスターのデータ構造の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る禁忌判定システムで実行される禁忌病名設定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る禁忌判定システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る禁忌判定システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る禁忌判定システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る禁忌判定システムで実行される禁忌病名判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る禁忌判定システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係る禁忌判定システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に係る禁忌判定システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態に係る禁忌判定システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0019】
[調剤支援システム10]
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る調剤支援システム10は、調剤支援装置1、クライアント端末2、調剤機器3、及びプリンター4を備える。前記調剤支援システム10は、薬剤師による調剤業務を支援するために用いられるシステムであり、本発明に係る禁忌判定システムの一例である。なお、本実施形態において、前記調剤支援システム10のユーザーは、例えば薬剤師、医師、看護師、又は医療スタッフなどである。
【0020】
前記調剤支援システム10において、前記調剤支援装置1、前記クライアント端末2、前記調剤機器3、及び前記プリンター4は、通信網5を介して無線又は有線で通信可能に接続される。前記通信網5は、LAN、WAN、インターネット、又はイントラネットなどである。
【0021】
また、前記調剤支援装置1には、処方データ及び患者データ等を前記調剤支援装置1に入力する電子カルテシステム、オーダーリングシステム、又はレセプトシステムなどの上位システム6が前記通信網5を介して接続される。なお、前記調剤支援装置1が前記上位システム6から前記処方データ及び前記患者データなどを読み出す構成であってもよい。そして、前記調剤支援装置1は、前記処方データに基づいて前記調剤機器3で薬品を調剤するための調剤用データを当該調剤機器3に送信する。
【0022】
前記処方データには、例えば患者名、患者ID、処方ID、処方発行日、薬品識別情報(薬品コード、薬品名)、投与量、用法、担当医師、診療科、患者病名情報、病棟などの情報が含まれる。前記患者データには、例えば患者名、患者ID、患者病名情報、性別、年齢、飲酒有無、喫煙有無、アレルギーなどの情報が含まれる。また、前記処方データは、前記患者データの一部又は全部を含むものであってもよい。なお、前記処方データに、前記患者データの一部である前記患者病名情報などの情報が含まれる場合、又は、前記調剤支援システム10において前記患者病名情報がユーザー操作によって入力される場合には、前記患者データが前記上位システム6から前記調剤支援装置1に入力されなくてもよい。
【0023】
前記患者病名情報は、患者に発現している病気又は外傷などの患者病名を識別するための識別情報の一例であって、前記調剤支援システム10では、前記患者病名情報として、厚生労働省で定められたレセ電算コード及び当該レセ電算コードが示す標準病名が用いられる。本実施形態における「病名」には、病気の名称に限らず外傷の名称も含まれる。なお、一の患者に対応する前記患者病名が複数存在する場合、前記患者病名情報には複数の前記患者病名の情報が含まれる。また、前記患者病名情報は、前記レセ電算コード又は前記標準病名のいずれか一方であってもよい。なお、前記患者病名情報は、前記上位システム6又は前記調剤支援システム10で患者に対応付けて登録される。また、前記調剤支援システム10では、前記レセ電算コードに代えて、医療機関で定められた標準病名コードが用いられてもよい。
【0024】
[調剤機器3]
前記調剤機器3各々は、前記調剤支援システム10が使用される病院又は薬局等の医療機関において、薬品の調剤作業で使用される。例えば、前記調剤機器3各々は、錠剤分包機、散薬分包機、水剤分注機、PTPシート払出装置、又は混注装置などである。例えば、前記錠剤分包機は、複数種類の錠剤が収容された複数の薬品カセットを有し、前記調剤支援装置1から入力される調剤用データに従って、前記薬品カセットから錠剤を払い出して1服用分ごとに分包紙で包装する分包動作を実行する。前記散薬分包機は、前記調剤支援装置1から入力される調剤用データに従って、投入された散薬を1服用分ごとに分包紙で包装する分包動作を実行する。前記水剤分注機は、複数種類の水剤が収容された複数の薬瓶を有しており、前記調剤支援装置1から入力される調剤用データに従って、前記薬瓶から必要量の水剤を払い出す。前記PTPシート払出装置は、予め錠剤が包装されたPTPシート又はヒートシールが収容された複数のシートカセットを有し、前記調剤支援装置1から入力される調剤用データに従って、前記シートカセットから前記PTPシート又は前記ヒートシールを払い出す。前記混注装置は、前記調剤支援装置1から入力される調剤用データに従って、抗癌剤などの薬品を輸液に注入する混注作業をロボットアームで自動的に実行する。
【0025】
[プリンター4]
前記プリンター4は、前記調剤支援装置1又は前記クライアント端末2から前記通信網5を介して入力される印刷データに含まれる情報を紙などのシートに印刷するカラープリンター又はモノクロプリンターである。
【0026】
[調剤支援装置1]
前記調剤支援装置1は、制御部11、記憶部12、通信I/F13、表示装置14、操作装置15、及びドライブ装置16などを備えるパーソナルコンピュータである。なお、前記調剤支援装置1は、前記調剤支援システム10が使用される病院等の医療機関の外部に設けられてもよい。また、前記調剤支援装置1は、スマートフォン又はタブレット端末などのモバイル端末であってもよい。
【0027】
前記通信I/F13は、前記通信網5を介して前記クライアント端末2、前記調剤機器3、及び前記プリンター4などの外部機器との間で、予め定められた通信プロトコルに従って無線又は有線でデータ通信を実行するネットワークカード等を有する通信インターフェースである。
【0028】
前記表示装置14は、前記制御部11からの制御指示に従って各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示部である。前記操作装置15は、前記調剤支援装置1に各種の情報を入力するためにユーザーによって操作される操作部である。具体的に、前記操作装置15は、前記表示装置14に表示される各種の操作画面における入力操作を受け付けるキーボード及びマウス(ポインティングデバイス)を含む。また、前記操作装置15は、前記表示装置14に表示される各種の操作画面に対するタッチ操作を受け付けるタッチパネル、又は音声認識により各種情報の入力を受け付ける音声入力装置を含むものであってもよい。
【0029】
前記ドライブ装置16は、本発明に係る禁忌判定プログラムを含む調剤支援プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体161から前記調剤支援プログラムを読み取ることが可能である。前記禁忌判定プログラムは、後述の禁忌病名設定処理(
図4)及び禁忌病名判定処理(
図7参照)などの各種の処理を前記制御部11に実行させるための制御プログラムである。なお、前記禁忌病名設定処理は、後述の禁忌病名マスターD11を設定するための処理であり、前記禁忌病名判定処理は、後述の禁忌病名マスターD11に基づいて患者への薬品の処方の適否を判定するための処理である。
【0030】
前記記録媒体161は、CD、DVD、BD、又はUSBメモリなどであり、前記ドライブ装置16は、CDドライブ、DVDドライブ、BDドライブ、又はUSBポートなどである。そして、前記調剤支援装置1では、前記制御部11により、前記ドライブ装置16を用いて前記記録媒体161から読み取られた前記調剤支援プログラムが前記記憶部12にインストールされる。
【0031】
前記制御部11は、CPU、ROM、RAM、及びEEPROMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは揮発性の記憶部、前記EEPROMは不揮発性の記憶部である。前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、前記制御部11は、前記CPUを用いて、前記ROM、前記EEPROM、又は前記記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムに従って各種の処理を実行する。
【0032】
前記記憶部12は、前記制御部11によって実行される各種の制御プログラム及び各種のデータが記憶されるハードディスク又はSSD等の不揮発性の記憶部である。具体的に、前記記憶部12には、プログラム記憶部121、情報記憶部122、及びマスター記憶部123が含まれる。
【0033】
前記プログラム記憶部121は、前記禁忌判定プログラムが記憶される記憶領域である。前記情報記憶部122は、前記上位システム6から取得する前記処方データ及び前記患者データ等の各種の情報が記憶される記憶領域である。前記マスター記憶部123は、薬品マスター、病名マスター、患者マスター、及び禁忌病名マスターD11などの各種のマスター情報が記憶される記憶領域である。例えば、前記薬品マスターには、各種の薬品について、薬品コード(YJコード等)、薬品名、JANコード、RSSコード、薬瓶コード、剤形、単位、比重、薬品種、配合変化、賦形薬品、注意事項などの情報が含まれる。なお、前記薬品マスターには、前記薬品各々について当該薬品の添付文書の内容も含まれる。また、前記病名マスターには、病気又は外傷などを示す病名を識別するための情報として、前記レセ電算コード及び前記標準病名が登録されている。
【0034】
前記患者マスターは、患者各々に対応する患者情報が記憶されるデータベースである。前記患者情報には、例えば患者名、患者ID、前記患者病名情報、性別、年齢、飲酒有無、喫煙有無、及びアレルギーなどが含まれる。前記制御部11は、前記上位システム6から取得する前記処方データ又は前記患者データ等に基づいて、前記患者マスターを適宜更新することが可能である。具体的に、前記制御部11は、前記上位システム6から取得した患者の前記処方データ又は前記患者データに含まれる前記患者病名情報を当該患者に対応する前記患者病名情報として前記患者マスターに登録する。また、前記制御部11は、前記調剤支援装置1又は前記クライアント端末2に対するユーザー操作に基づいて、前記患者マスターの前記患者病名情報などを編集することも可能である。
【0035】
前記禁忌病名マスターD11は、薬品が処方される患者に発現している病気又は外傷などの病名(疾患名)に基づいて、当該患者への当該薬品の処方が適切であるか否かを判定するために用いられる禁忌病名データベースの一例である。前記制御部11は、前記調剤支援装置1又は前記クライアント端末2に対するユーザー操作に基づいて、前記禁忌病名マスターD11を編集することも可能である。ここに、
図2は、前記禁忌病名マスターD11の一例を示す図である。
【0036】
図2に示されるように、前記禁忌病名マスターD11では、後述の判定手法として設定可能な内容に対応する属性を示す設定属性と、当該薬品を識別するための薬品識別情報と、当該薬品についての禁忌を判定するための情報として予め設定された判定用病名を示す判定用病名情報とが対応付けて記憶される。なお、前記判定用病名は、前記調剤支援システム10において薬品と病名との組み合わせについての禁忌を判定するための情報として用いられるものであり、添付文書に記載されている禁忌病名とは名称が異なることがある。本実施形態において、前記判定用病名情報は、前記レセ電算コード及び前記標準病名を含む。即ち、本実施形態では、前記判定用病名として前記標準病名が用いられる。なお、前記判定用病名情報は、前記判定用病名を識別可能な情報であればよく、前記レセ電算コード又は前記標準病名のいずれか一方であってもよい。例えば、前記判定用病名情報は、前記禁忌病名マスターD11の作成時又は更新時に、前記薬品各々の添付文書に記載された禁忌病名などに基づいて登録される。なお、
図2では、前記禁忌病名マスターD11において前記設定属性ごとにデータが分類されている場合を例に挙げているが、前記禁忌病名マスターD11において前記設定属性が異なるデータが混在するデータ構造であってもよい。また、前記設定属性の項目が省略されており、前記設定属性ごとに対応する前記禁忌病名マスターD11が個別に記憶されていてもよい。
【0037】
また、前記禁忌病名マスターD11では、前記禁忌病名判定処理における判定手法を決定するための設定情報として、前記薬品識別情報と前記判定用病名情報との組み合わせごとに、チェック対象フラグと、チェックレベルと、チェックグループとが対応付けて記憶される。即ち、前記禁忌病名マスターD11では、前記薬品識別情報が示す薬品ごとに、当該薬品と前記判定用病名との組み合わせに対応する前記設定情報が登録されている。
【0038】
前記判定用病名情報には、病名が同種類であって当該病名の修飾語が異なる複数の禁忌病名の情報が統合された情報が含まれることがある。具体的に、前記修飾語には、「重篤な」、「進行性の」のような病気の程度を示す情報、「アレルギー性」、「細菌性」、「遺伝性」のような原因を示す情報、「足関節」、「顔面」のような部位を示す情報、「若年性」、「青年性」、「老年性」のような患者の年齢を示す情報、「女性」、「男性」のような患者の性別を示す情報などである。例えば、
図2に示されるように、「薬品M1」の添付文書などに禁忌病名として「腎障害」が記載されており、「薬品M2」の添付文書などに禁忌病名として「重篤な腎障害」が記載されていることがあるが、これらの禁忌病名に対応する前記判定用病名が「腎障害」に統合されることがある。なお、
図2では、前記禁忌病名マスターD11について、薬品の添付文書などに記載された当該薬品の禁忌病名の原文の一例が参考に記載されているが、当該禁忌病名の原文の情報は、前記禁忌病名マスターD11に含まれていても含まれていなくてもよい。また、ここでは、「重篤な腎障害」及び「腎障害」に対応する前記判定用病名が、修飾語の「重篤な」を除いた病名である「腎障害」と同じ名称に設定されている場合を例に挙げているが、これに限らない。例えば、前記判定用病名が、修飾語を除く病名部分の名称と同じでなくてもよい。
【0039】
前記チェック対象フラグは、前記薬品及び前記判定用病名情報の組み合わせについて、前記禁忌病名判定処理における第1判定処理又は第2判定処理の実行の有無を示す情報である。前記第1判定処理は、前記薬品に対応する前記判定用病名情報が前記患者病名情報に含まれているか否かを判定する処理である。即ち、前記第1判定処理では、前記判定用病名情報が示す前記判定用病名が、前記患者病名情報に含まれるいずれかの前記患者病名と一致するか否かが判定される。前記第2判定処理は、前記薬品に対応する前記判定用病名情報のうち一のグループに属する複数の前記判定用病名情報から予め選択された一部の前記判定用病名情報が前記患者病名情報に含まれているか否かを判定する処理である。即ち、前記第2判定処理では、同一の前記グループに属する複数の前記判定用病名情報から予め選択された一部の前記判定用病名情報が示す前記判定用病名が、前記患者病名情報に含まれるいずれかの前記患者病名と一致するか否かが判定される。なお、本実施形態において、前記グループとは、前記薬品の添付文書などにおいて、一連の禁忌病名として記載されたものであり、例えば禁忌病名が「脳血管障害急性期で高度呼吸機能低下」である場合は、前記判定用病名の「脳血管障害」及び「呼吸不全」が一つの前記グループであり、禁忌病名が「凝固障害を伴う肝疾患」である場合は、前記判定用病名の「凝固障害」及び「肝疾患」が一つの前記グループである。即ち、前記薬品の添付文書などにおいて、「肝障害」、「腎障害」のように単に複数の禁忌病名が記載されている場合、そのうち任意の複数の禁忌病名の単位は前記グループではない。
【0040】
前記チェックレベルは、前記禁忌病名判定処理において前記第1判定処理又は前記第2判定処理の判定結果に基づいて実行される特定処理の内容を区別するための情報である。具体的に、前記特定処理では、前記チェックレベルが「高」に設定されている場合には、「病名禁忌」が表示され、前記チェックレベルが「低」に設定されている場合には、「病名注意」が表示されることにより、報知レベルの異なる報知処理が行われる。例えば、「病名禁忌」は前記調剤支援システム10で許容できない「エラー」に分類され、「病名注意」は前記禁忌病名判定処理において「エラー」ではなく確認を要することで許容される「注意事項」に分類されたものである。なお、本実施形態において前記チェックレベルは「高」、「低」の2段階であるが、他の実施形態として、前記チェックレベルが3段階以上であってもよい。
【0041】
前記チェックグループは、前記判定用病名情報のうち一のグループに属する複数の前記判定用病名情報の全てが前記患者病名情報に含まれているか否かを判定する第3判定処理の実行の有無を判断するために用いられる情報である。即ち、前記第3判定処理では、同一の前記グループに属する複数の前記判定用病名情報が示す全ての前記判定用病名が、前記患者病名情報に含まれるいずれかの前記患者病名と一致するか否かが判定される。また、前記第3判定処理の実行の有無は、前記チェックグループだけでなく、前記チェック対象フラグにも基づいて判断される。具体的に、前記禁忌病名判定処理では、前記チェックグループに同一のグループ識別情報が登録された複数の前記判定用病名情報のグループであって当該複数の判定用病名情報の前記チェック対象フラグが全て「有」に設定されている場合に当該複数の判定用病名情報を対象として前記第3判定処理が実行されることになる。なお、後述の禁忌病名判定処理では、前記薬品に対応する前記チェックグループに前記グループ識別情報が登録されていない場合には、必要に応じて前記第1判定処理又は前記第2判定処理が実行されることになる。
【0042】
また、前記禁忌病名判定処理において前記第3判定処理が実行される場合には、前記特定処理において、判定対象の前記グループに属する前記判定用病名各々に対応して設定される前記チェックレベルに基づいて前記特定処理の内容が決定される。具体的には、前記判定対象の前記グループに属する前記判定用病名各々に対応する前記チェックレベルが全て「高」である場合には前記特定処理として「病名禁忌」が表示され、前記判定対象の前記グループに属する前記判定用病名各々に対応する前記チェックレベルの少なくとも1つが「低」である場合には前記特定処理として「病名注意」が表示されることが考えられる。なお、他の実施形態として、前記チェックレベルとは別に、前記第3判定処理が実行される場合、即ち前記チェックグループが設定可能な後述の設定属性Cについては当該第3判定処理における前記特定処理の内容を区別するためのグループチェックレベルが設定可能であってもよい。この場合、例えば前記グループチェックレベルとして「高」が設定されている場合には前記特定処理として「病名禁忌」が表示され、前記グループチェックレベルとして「低」が設定されている場合には前記特定処理として「病名注意」が表示される。なお、他の実施形態として、前記第3判定処理が実行される場合には前記チェックレベルに関係なく前記特定処理において「病名禁忌」が表示されてもよい。
【0043】
前記設定属性は、前記禁忌病名判定処理(
図7参照)における判定手法として設定可能な内容を区別するために予め設定される属性である。具体的に、本実施形態では、前記薬品及び前記判定用病名情報の組み合わせに対応する前記設定属性として、3つの設定属性A、B、Cのいずれかが設定される場合を例に挙げて説明する。
【0044】
前記設定属性Aは、前記薬品及び前記判定用病名情報の組み合わせごとに、前記禁忌病名判定処理における前記第1判定処理の実行の有無の設定及び前記禁忌病名判定処理における特定処理の内容の設定が可能な属性である。特に、前記薬品及び前記判定用病名情報の組み合わせのうち前記判定用病名情報が同じで前記薬品が異なる組み合わせについて、前記組み合わせごとに前記第1判定処理の実行の有無又は前記特定処理の内容が変更可能である。例えば、
図2に示されるように、前記設定属性Aに属する薬品のうち、添付文書などに記載される禁忌病名が「腎障害」である「薬品M1」と、添付文書などに記載される禁忌病名が修飾語の「進行性の」を含む「進行性の腎障害」である「薬品M4」とについて、前者の「薬品M1」及び「腎障害」の組み合わせについては前記チェック対象フラグを「有」に設定し、後者の「薬品M4」及び「腎障害」の組み合わせについては前記チェック対象フラグを「無」に設定することが可能である。また、
図2に示されるように、前記設定属性Aに属する薬品のうち、添付文書などに記載される禁忌病名が「腎障害」である「薬品M1」と、添付文書などに記載される禁忌病名が修飾語の「重篤な」を含む「重篤な腎障害」である「薬品M2」とについて、前者の「薬品M1」及び「腎障害」の組み合わせについては前記チェックレベルを「高」に設定し、後者の「薬品M2」及び「腎障害」の組み合わせについては前記チェックレベルを「低」に設定することが可能である。
【0045】
前記設定属性Bは、前記薬品と当該薬品に対応する前記判定用病名情報のうち一のグループに属する複数の前記判定用病名情報から予め選択された一部の前記判定用病名情報との組み合わせごとに、前記禁忌病名判定処理における前記第2判定処理の実行の有無の設定及び前記禁忌病名判定処理における特定処理の内容の設定が可能な属性である。なお、本実施形態では、前記薬品に対応する前記判定用病名情報のうち一のグループに属する複数の前記判定用病名情報から予め選択された一つの前記判定用病名情報のみについて前記第2判定処理が実行可能である場合について説明するが、前記判定用病名情報各々について前記第2判定処理が実行可能であってもよい。具体的に、前記薬品に対応する前記判定用病名情報のうち一のグループに属する複数の前記判定用病名情報について前記チェック対象フラグを「有」に設定することが可能であってもよい。
【0046】
例えば、
図2に示されるように、前記設定属性Bに属する薬品のうち、添付文書などに記載される禁忌病名が「脳血管障害急性期で高度呼吸機能低下」である「薬品M11」が存在する場合に、当該薬品に対応する前記判定用病名情報の一のグループには「脳血管障害急性期」、「高度呼吸機能低下」が含まれる。なお、前記禁忌病名である「脳血管障害急性期」は前記判定用病名では「脳血管障害」に分類され、前記禁忌病名である「高度呼吸機能低下」は前記判定用病名では「呼吸不全」に分類される。この場合、前記禁忌病名マスターD11では、「薬品M11」及び「脳血管障害」の組み合わせについては前記チェック対象フラグを「無」に設定し、「薬品M11」及び「呼吸不全」の組み合わせについては前記チェック対象フラグを「有」に設定することが可能である。また、
図2に示されるように、前記禁忌病名マスターD11では、前記判定用病名情報と前記薬品との組み合わせごとに、前記チェックレベルが「高」又は「低」に設定可能である。なお、前記チェック対象フラグが「有」に設定されている前記判定用病名情報と前記薬品との組み合わせのみについて、前記チェックレベルが「高」又は「低」に設定可能であってもよい。
【0047】
前記設定属性Cは、前記薬品及び前記グループの組み合わせごとに、前記禁忌病名判定処理における前記第3判定処理の実行の有無の設定及び前記禁忌病名判定処理における特定処理の内容の設定が可能な属性である。例えば、
図2に示される例では、前記設定属性Cに属する前記薬品及び前記グループの組み合わせ各々にグループ識別情報が設定されている。一方、前記設定属性Cに属する薬品のうち、添付文書などに記載される禁忌病名が「凝固障害を伴う肝疾患」である「薬品M21」と、添付文書などに記載される禁忌病名が「疾患I3を伴う疾患I4」である「薬品M23」とが存在する場合に、前者の「薬品M21」と「血液凝固異常」及び「肝疾患」を含むグループとの組み合わせについては前記チェックグループにグループ識別情報を設定し、「薬品M23」と「疾患I3」及び「疾患I4」を含むグループとの組み合わせについては前記チェックグループにグループ識別情報を設定しないことも可能である。
【0048】
また、
図2に示されるように、前記設定属性Cに属する薬品として、添付文書などに記載される禁忌病名が「疾患I1を伴う疾患I2」である「薬品M22」について、前記チェックグループにグループ識別情報を設定すると共に、「疾患I1」及び「疾患I2」各々に対応する前記チェック対象フラグを「無」に設定することも可能である。なお、前記チェックグループに前記グループ識別情報が設定された場合に前記チェック対象フラグが「有」に自動設定されてもよい。さらに、
図2に示されるように、前記設定属性Cでは、前記判定用病名情報と前記薬品との組み合わせごとに、前記チェックレベルが「高」又は「低」に設定可能である。なお、前記チェックグループに前記グループ識別情報が設定されている前記薬品と前記判定用病名情報との組み合わせのみについて、前記チェックレベルが「高」又は「低」に設定可能であってもよい。
【0049】
ところで、前記調剤支援システム10上では、病名を識別するための識別情報として、例えば厚生労働省で定められた電算コード又は医療機関で定められた標準病名コードなどの特定のコードが用いられることがある。そして、前記調剤支援システム10上において用いられる前記識別情報で識別可能な判定用病名は、前記禁忌病名とは表現が異なることがある。具体的に、前記判定用病名では、病名についての原因、部位、程度、性別、又は年齢などの修飾語が考慮されていない場合があり、例えば上述のように修飾語の異なる「重篤な腎障害」と「腎障害」とが同一の判定用病名で表現されることがある。そのため、前記禁忌病名判定処理では、禁忌病名の修飾語が考慮されず、当該禁忌病名の判定精度が低下するおそれがある。例えば、前記禁忌病名判定処理で患者の病名が判定用病名の「腎障害」と一致する場合に禁忌と判定されるように設定されている場合、患者の病名が「腎障害」であれば、禁忌病名が「重篤な腎障害」である薬品と、禁忌病名が「腎障害」である薬品とのいずれの場合にも禁忌と判定されることがある。この場合、本来は修飾語が「重篤な」である場合のみを禁忌と判定すればよい薬品についても禁忌と判定されることになり、ユーザーによる無駄な確認作業などの手間が生じる。これに対し、以下に説明するように、本実施形態に係る前記調剤支援システム10では、薬品の禁忌病名の判定精度を高めることが可能である。
【0050】
具体的に、前記調剤支援装置1の前記制御部11は、第1処理部111、第2処理部112、第1設定処理部113、第2設定処理部114、第3設定処理部115などの各種の処理部を含む。具体的に、前記制御部11は、前記禁忌判定プログラムに従って各種の処理を実行することにより前記各種の処理部として機能する。また、前記各種の処理部のいずれか一又は複数がASIC又はDSPなどの電子回路であってもよい。
【0051】
前記第1処理部111は、患者の病名(患者病名)を示す前記患者病名情報に、前記患者に処方される薬品に対応して予め設定された判定用病名を示す前記判定用病名情報が含まれているか否かを判定する前記第1判定処理を実行可能である。具体的に、前記第1処理部111は、前記第1判定処理において、前記患者マスター又は前記処方データと前記禁忌病名マスターD11とに基づいて、前記患者病名情報に前記判定用病名情報が含まれているか否かを判定する。但し、前記第1処理部111は、前記薬品及び前記判定用病名情報の組み合わせのうち前記判定用病名情報が同じで前記薬品が異なる組み合わせについて、前記組み合わせごとに前記第1判定処理の実行の有無を、前記禁忌病名マスターD11のチェック対象フラグの設定に基づいて変更することが可能である。
【0052】
また、前記第1処理部111は、前記薬品に対応する前記判定用病名情報のうち一のグループに属する複数の前記判定用病名情報から予め選択された一部の前記判定用病名情報が前記患者病名情報に含まれているか否かを判定する前記第2判定処理を実行することも可能である。具体的に、前記第1処理部111は、前記第2判定処理において、前記患者マスター又は前記処方データと前記禁忌病名マスターD11とに基づいて、前記患者病名情報に前記一部の判定用病名情報が含まれているか否かを判定する。但し、前記第1処理部111は、前記薬品及び前記判定用病名情報の組み合わせごとに前記第2判定処理の実行の有無を、前記禁忌病名マスターD11のチェック対象フラグの設定に基づいて変更することが可能である。特に、本実施形態では、前記第1処理部111は、一つの前記グループに属する複数の前記判定用病名情報のうちいずれか一つのみについて前記第2判定処理を実行することが可能である。
【0053】
さらに、前記第1処理部111は、前記薬品に対応する前記判定用病名情報のうち一のグループに属する複数の前記判定用病名情報が全て前記患者病名情報に含まれているか否かを判定する第3判定処理を実行することも可能である。具体的に、前記第1処理部111は、前記第3判定処理において、前記患者マスター又は前記処方データと前記禁忌病名マスターD11とに基づいて、前記患者病名情報に、前記グループに属する複数の前記判定用病名情報が全て含まれているか否かを判定する。但し、前記第1処理部111は、前記薬品及び前記グループの組み合わせごとに前記第3判定処理の実行の有無を、前記禁忌病名マスターD11のチェックグループの設定に基づいて変更することが可能である。
【0054】
前記第2処理部112は、前記第1処理部111による判定結果に基づいて、予め設定された特定処理を実行可能である。具体的に、前記特定処理は、前記第1処理部111による判定結果の報知処理である。また、前記第2処理部112は、前記判定結果を報知する際の報知内容を、前記禁忌病名マスターD11のチェックレベルに基づいて「病名禁忌」又は「病名注意」のいずれかに変更することが可能である。なお、前記特定処理は、前記報知処理に限らず、例えば前記処方データについての前記調剤機器3による調剤動作の実行の可否を変更する処理、又は、前記処方データについての疑義照会を前記上位システム6に自動送信するか否かを変更する処理などであってもよい。
【0055】
前記第1設定処理部113は、前記薬品及び前記判定用病名情報の組み合わせごとに対応する前記第1判定処理の実行の有無及び前記特定処理の内容をユーザー操作に応じて設定することが可能である。前記第2設定処理部114は、前記薬品及び前記一部の判定用病名情報の組み合わせごとに対応する前記第2判定処理の実行の有無及び前記特定処理の内容をユーザー操作に応じて設定可能である。前記第3設定処理部115は、前記薬品及び前記グループの組み合わせごとに対応する前記第3判定処理の実行の有無及び前記特定処理の内容をユーザー操作に応じて設定可能である。なお、前記第1設定処理部113、前記第2設定処理部114、又は前記第3設定処理部115は、前記第1判定処理、前記第2判定処理、又は前記第3判定処理の実行の有無と前記特定処理の内容とのいずれか一方のみを設定可能であってもよい。
【0056】
[クライアント端末2]
前記クライアント端末2は、制御部21、記憶部22、通信I/F23、表示装置24、操作装置25、及びドライブ装置26などを備えるパーソナルコンピュータである。前記クライアント端末2各々は、前記調剤支援システム10が使用される医療機関に配置され、ユーザーによって操作される操作端末である。なお、前記クライアント端末2は、スマートフォン又はタブレット端末などのモバイル端末であってもよい。
【0057】
前記制御部21は、CPU、ROM、RAM、及びEEPROMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは揮発性の記憶部、前記EEPROMは不揮発性の記憶部である。前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、前記制御部21は、前記CPUを用いて、前記ROM、前記EEPROM、又は前記記憶部22に予め記憶された各種の制御プログラムに従って各種の処理を実行する。
【0058】
前記記憶部22は、前記制御部21によって実行される各種の制御プログラム及び各種のデータが記憶されるハードディスク又はSSD等の不揮発性の記憶部である。具体的に、前記記憶部22には、オペレーティングシステム(OS)及びブラウザソフトなどの制御プログラムが記憶されるプログラム記憶部221が含まれる。前記ブラウザソフトは、前記通信網5を介して前記調剤支援装置1にアクセスすることにより、前記表示装置24に各種の操作画面などを表示させると共に、前記操作装置25を用いた前記操作画面に対する入力操作を前記調剤支援装置1に伝達するための制御プログラムである。例えば、前記制御部21は、前記ブラウザソフトにより表示される操作画面の所定位置に、前記調剤支援装置1に対応するURL(Universal Resource Locator)などのアドレス情報が入力された場合に、該アドレス情報に基づいて前記調剤支援装置1にアクセスする。
【0059】
前記通信I/F23は、前記通信網5を介して前記調剤支援装置1、前記調剤機器3、及び前記プリンター4などの外部機器との間で、予め定められた通信プロトコルに従って無線又は有線でデータ通信を実行するネットワークカード等を有する通信インターフェースである。
【0060】
前記表示装置24は、前記制御部21からの制御指示に従って各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示部である。前記操作装置25は、前記クライアント端末2に各種の情報を入力するためにユーザーによって操作される操作部である。具体的に、前記操作装置25は、前記表示装置24に表示される各種の操作画面における入力操作を受け付けるキーボード及びマウス(ポインティングデバイス)を含む。また、前記操作装置25は、前記表示装置24に表示される各種の操作画面に対するタッチ操作を受け付けるタッチパネル、又は音声認識により各種情報の入力を受け付ける音声入力装置を含むものであってもよい。
【0061】
前記ドライブ装置26は、前記OS又は前記ブラウザソフトなどが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体261から前記OS又は前記ブラウザソフトなどを読み取ることが可能である。前記記録媒体261は、CD、DVD、BD、又はUSBメモリなどであり、前記ドライブ装置26は、CDドライブ、DVDドライブ、BDドライブ、又はUSBポートなどである。前記クライアント端末2では、前記制御部21により、前記ドライブ装置26を用いて前記記録媒体261から読み取られた前記OS又は前記ブラウザソフトなどが前記記憶部22の前記プログラム記憶部221にインストールされる。
【0062】
そして、本実施形態では、前記調剤支援装置1及び前記クライアント端末2によりサーバークライアントシステムが構成されており、前記調剤支援装置1が前記クライアント端末2のユーザー操作に応じて各種の情報の入力、表示、及び印刷などの処理を実行する場合について説明する。即ち、前記クライアント端末2は、前記調剤支援装置1の操作端末として利用され、以下に説明する「表示」、「操作」、及び「入力」などは、前記クライアント端末2の前記表示装置24及び前記操作装置25を用いて行われる。
【0063】
なお、本実施形態では、前記調剤支援装置1単体が本発明に係る禁忌判定システムとして動作するが、前記クライアント端末2単体を本発明に係る禁忌判定システムとして捉えてもよい。例えば、前記クライアント端末2に、前記禁忌判定プログラムの一部又は全部がインストールされており、前記クライアント端末2の前記制御部21が、前記調剤支援装置1から必要な情報を適宜取得して、本実施形態で説明する前記調剤支援装置1と同様の処理を実行することも考えられる。また、前記調剤支援装置1及び前記クライアント端末2が協働して本実施形態で説明する前記調剤支援装置1と同様の処理を実行してもよい。
【0064】
[禁忌病名設定処理]
次に、
図3を参照しつつ、前記調剤支援装置1の前記制御部11によって実行される禁忌病名設定処理について説明する。例えば、前記禁忌病名設定処理は、前記クライアント端末2において、前記調剤支援装置1に対する前記禁忌病名マスターD11の編集要求操作が行われた場合に前記制御部11によって実行される。
【0065】
<ステップS10>
ステップS10において、前記制御部11は、当該禁忌病名設定処理の処理対象となる薬品(以下、編集対象薬品と称する)を選択するためのユーザー操作を受け付ける。例えば、前記制御部11は、前記薬品マスター又は前記禁忌病名マスターD11に基づいて、当該薬品マスター又は当該禁忌病名マスターD11に登録されている薬品のリストを、前記編集対象薬品の選択候補として前記表示装置24に表示させ、当該リストから前記編集対象薬品を選択するための操作を受け付ける。
【0066】
<ステップS11>
ステップS11において、前記制御部11は、前記ステップS10で選択された前記編集対象薬品に対応する前記判定用病名情報であって、当該禁忌病名設定処理の処理対象となる一又は複数の前記判定用病名情報(以下、編集対象病名情報と称する)を選択するためのユーザー操作を受け付ける。例えば、前記制御部11は、前記病名マスター又は前記禁忌病名マスターD11に基づいて、前記標準病名又は前記判定用病名情報のリストを、前記編集対象病名情報の選択候補として表示装置24に表示させ、当該リストから前記編集対象病名情報を選択するための操作を受け付ける。
【0067】
なお、前記制御部11は、前記禁忌病名マスターD11に基づいて、前記編集対象薬品に対応する前記判定用病名情報として複数の前記判定用病名情報の組み合わせが登録されている場合には、当該複数の判定用病名情報の組み合わせのリストを、前記編集対象病名情報の選択候補として表示装置24に表示させ、当該リストから前記編集対象病名情報を選択するための操作を受け付けてもよい。例えば、前記制御部11は、前記禁忌病名マスターD11において一のグループとして登録された複数の前記判定用病名情報の組み合わせについては、当該グループ単位で前記編集対象病名情報を選択候補として表示装置24に表示させ、当該リストから前記グループを選択するための操作を受け付けてもよい。また、前記制御部11は、選択された前記編集対象病名情報が前記禁忌病名マスターD11に登録されておらず前記病名マスターに登録されている場合には、当該編集対象病名情報に対応するレコードを前記編集対象薬品と対応付けて前記禁忌病名マスターD11に追加する。
【0068】
<ステップS12>
ステップS12において、前記制御部11は、前記禁忌病名マスターD11に基づいて、前記編集対象薬品及び前記編集対象病名情報の組み合わせに対応する前記設定属性が前記設定属性Aであるか否かを判定する。ここで、前記設定属性が前記設定属性Aであると判定されると(S12:Yes)、処理がステップS13に移行し、前記設定属性が前記設定属性Aでないと判定されると(S12:No)、処理がステップS14に移行する。
【0069】
<ステップS13>
ステップS13において、前記制御部11は、前記編集対象薬品及び前記編集対象病名情報の組み合わせについて、前記チェック対象フラグ及び前記チェックレベルの設定操作を受け付ける。ここに、係るステップS13の設定処理は、前記制御部11の前記第1設定処理部113によって実行される。
【0070】
例えば、前記制御部11は、
図4に示される第1設定画面P11を前記表示装置24に表示させる。前記第1設定画面P11では、前記編集対象薬品及び前記編集対象病名情報に対応する「薬品名」及び「判定用病名」の情報が表示されている。また、前記制御部11は、前記第1設定画面P11及び後述の第2設定画面P12、第3設定画面P13などの設定画面に、前記編集対象薬品に対応する前記添付文書に記載されている禁忌病名を前記薬品マスターに基づいて表示してもよい。そして、前記制御部11は、前記第1設定画面P11を用いたユーザー操作に応じて、前記編集対象薬品及び前記編集対象病名情報に対応する前記チェック対象フラグ及び前記チェックレベルの設定操作を受け付け可能である。前記第1設定画面P11では、前記チェック対象フラグを「有」又は「無」に変更するためのプルダウンメニュー領域A11と、前記チェックレベルを「高」又は「低」に変更するためのプルダウンメニュー領域A12とが表示される。そして、前記制御部11は、前記プルダウンメニュー領域A11及びA12の操作に応じて前記チェック対象フラグ及び前記チェックレベルの設定を受け付ける。その後、前記制御部11は、前記第1設定画面P11における登録キーK11の操作に応じて、当該第1設定画面P11における設定内容を確定させ、当該設定内容を前記禁忌病名マスターD11に反映させる。
【0071】
<ステップS14>
ステップS14において、前記制御部11は、前記禁忌病名マスターD11に基づいて、前記編集対象薬品及び前記編集対象病名情報の組み合わせに対応する前記設定属性が前記設定属性Bであるか否かを判定する。ここで、前記設定属性が前記設定属性Bであると判定されると(S14:Yes)、処理がステップS15に移行し、前記設定属性が前記設定属性Bでないと判定されると(S14:No)、処理がステップS16に移行する。
【0072】
<ステップS15>
ステップS15において、前記制御部11は、前記第2判定処理における判定対象となる前記判定用病名の指定操作と、前記編集対象薬品及び前記編集対象病名情報の組み合わせについての前記チェック対象フラグ及び前記チェックレベルの設定操作とを受け付ける。ここに、係るステップS15の設定処理は、前記制御部11の前記第2設定処理部114によって実行される。
【0073】
例えば、前記制御部11は、
図5に示される第2設定画面P12を前記表示装置24に表示させる。前記第2設定画面P12では、前記編集対象薬品及び当該編集対象薬品に対応する一のグループに属する複数の前記編集対象病名情報に対応する「薬品名」及び「判定用病名」の情報が表示されている。また、前記第2設定画面P12では、前記第1設定画面P11と同様に前記プルダウンメニュー領域A11及びA12が表示されている。
【0074】
そして、前記第2設定画面P12では、複数の前記編集対象病名情報のうち一部の前記編集対象病名情報を択一的に選択するためのラジオボタン領域A13が表示される。前記制御部11は、前記ラジオボタン領域A13のユーザー操作に応じて一部の前記編集対象病名情報を選択する。その後、前記制御部11は、前記第2設定画面P12の前記プルダウンメニュー領域A11及びA12を用いたユーザー操作に応じて、前記編集対象薬品及び前記一部の編集対象病名情報の組み合わせに対応する前記チェック対象フラグ及び前記チェックレベルの設定操作を受け付け可能である。その後、前記制御部11は、前記第2設定画面P12における前記登録キーK11の操作に応じて、当該第2設定画面P12における設定内容を確定させ、当該設定内容を前記禁忌病名マスターD11に反映させる。なお、前記制御部11は、前記ラジオボタン領域A13で表示されている複数の前記編集対象病名情報のうち選択されなかった前記編集対象病名情報については前記チェック対象フラグを「無」に設定する。また、後述の第3設定画面P12のように複数の前記編集対象病名ごとに前記プルダウンメニュー領域A11及びA12が表示され、当該編集対象病名ごとに前記チェック対象フラグ及び前記チェックレベルが設定可能であってもよい。
【0075】
<ステップS16>
ステップS16において、前記制御部11は、前記禁忌病名マスターD11に基づいて、前記編集対象薬品及び前記編集対象病名情報の組み合わせに対応する前記設定属性が前記設定属性Cであるか否かを判定する。ここで、前記設定属性が前記設定属性Cであると判定されると(S16:Yes)、処理がステップS17に移行し、前記設定属性が前記設定属性Cでないと判定されると(S16:No)、当該禁忌病名設定処理が終了する。
【0076】
<ステップS17>
ステップS17において、前記制御部11は、前記編集対象薬品及び前記編集対象病名情報の組み合わせについて、前記チェック対象フラグ、前記チェックレベル、前記チェックグループの設定操作を受け付ける。ここに、係るステップS17の設定処理は、前記制御部11の前記第3設定処理部115によって実行される。
【0077】
例えば、前記制御部11は、
図6に示される第3設定画面P13を前記表示装置24に表示させる。前記第3設定画面P13では、前記編集対象薬品及び当該編集対象薬品に対応する一のグループに属する複数の前記編集対象病名情報に対応する「薬品名」及び「判定用病名」の情報が表示されている。また、前記第3設定画面P13では、前記編集対象病名情報ごとに対応して前記プルダウンメニュー領域A11及びA12が表示されている。そして、前記制御部11は、前記第3設定画面P13の前記プルダウンメニュー領域A11及びA12を用いたユーザー操作に応じて、前記編集対象薬品及び前記編集対象病名情報の組み合わせごとに対応する前記チェック対象フラグ、前記チェックレベルの設定操作を受け付け可能である。なお、他の実施形態として、前記第3設定画面P13において、前記編集対象薬品及び前記編集対象病名情報の組み合わせごとに対応する前記チェック対象フラグ、前記チェックレベルの設定操作が受け付け可能でなく、前記編集対象薬品及び前記編集対象病名情報の複数の組み合わせについて一括して前記チェック対象フラグ、前記チェックレベルの設定操作が受け付け可能であってもよい。
【0078】
また、前記第3設定画面P13には、複数の前記編集対象病名情報の併発を考慮するか否かを設定するためのプルダウンメニュー領域A14が表示される。そして、前記制御部11は、前記プルダウンメニュー領域A14の操作に応じて、複数の前記編集対象病名情報の併発の判断の有無の選択を受け付ける。
【0079】
その後、前記制御部11は、前記第3設定画面P13における前記登録キーK11の操作に応じて、当該第3設定画面P13における設定内容を確定させ、当該設定内容を前記禁忌病名マスターD11に反映させる。特に、前記制御部11は、複数の前記編集対象病名情報の併発に対応する前記プルダウンメニュー領域A14の操作に応じて、複数の前記編集対象病名情報の併発の判断の有無が「有」に設定された場合には、当該複数の編集対象病名情報に任意の前記グループ識別情報を割り当て、当該グループ識別情報を当該編集対象病名情報各々に対応する「チェックグループ」の情報として登録する。なお、前記制御部11は、ユーザーによる任意の前記グループ識別情報の入力操作を受け付けてもよい。
【0080】
このように、前記禁忌病名設定処理では、前記薬品及び前記判定用病名情報との組み合わせごとに対応する前記設定属性に応じて、前記判定手法について設定可能な範囲が異なり、例えば前記設定属性A又は前記設定属性Bに属する薬品と前記判定用病名情報との組み合わせについては前記チェックグループを設定することができない。
【0081】
[禁忌病名判定処理]
次に、
図7を参照しつつ、前記調剤支援装置1の前記制御部11によって実行される禁忌病名判定処理について説明する。例えば、前記禁忌病名判定処理は、前記調剤支援装置1が前記処方データを受信したタイミング、前記調剤支援装置1が前記処方データについて調剤開始指示を前記調剤機器3に送信する前のタイミング、又は前記処方データについての前記禁忌病名判定処理の実行要求操作がユーザーによって行われたタイミングなどの任意のタイミングで前記制御部11によって実行される。以下、当該禁忌病名判定処理の対象となる前記処方データを対象処方データと称する。なお、前記禁忌病名判定処理は、例えば「相互作用」、「重複(同薬効、同薬品、同成分)」、「投与量」、「配合変化」、「禁忌病名」などの各種のチェック項目について前記対象処方データの適否を判定する処方チェック処理の一部として実行されるが、ここでは前記禁忌病名判定処理のみについて説明し、前記処方チェック処理において他のチェック項目についての適否を判定する処理の説明を省略する。
【0082】
また、本実施形態では、前記患者病名情報が前記対象処方データ又は前記患者マスターの少なくとも一方に含まれており、前記制御部11は、前記対象処方データ又は前記患者マスターから前記患者病名情報を取得可能であるとする。また、前記対象処方データ及び前記患者マスターの両方に前記患者病名情報が含まれる場合、前記制御部11は、前記対象処方データ又は前記患者マスターのうち更新日が新しい方の前記患者病名情報を取得してもよく、前記患者マスターよりも優先して前記対象処方データに含まれる前記患者病名情報を取得してもよい。なお、前記制御部11は、前記対象処方データの患者について前記患者病名情報が取得できない場合に、当該患者病名情報の入力を促すための表示画面を表示し、ユーザー入力に応じて前記患者病名情報を取得してもよい。
【0083】
<ステップS20>
ステップS20において、前記制御部11は、当該ステップS20が実行される毎に、前記対象処方データに処方薬品として含まれる薬品から、当該禁忌病名判定処理の処理対象となる薬品(以下、判定対象薬品と称する)を一つずつ順に選択する。
【0084】
<ステップS21>
ステップS21において、前記制御部11は、当該ステップS21が実行される毎に、前記禁忌病名マスターD11において前記判定対象薬品に対応付けて登録されている一又は複数の前記判定用病名情報から、当該禁忌病名判定処理の判定対象となる前記判定用病名情報(以下、対象判定用病名情報と称する)を順に選択する。なお、本実施形態では、先に前記判定用病名情報が選択されて当該判定用病名情報が前記患者病名情報に含まれるか否かが判定される場合について説明するが、前記患者病名情報が先に選択されて当該患者病名情報が前記判定対象薬品の前記判定用病名情報に含まれるか否かが判定されてもよい。
【0085】
<ステップS22>
ステップS22において、前記制御部11は、前記禁忌病名マスターD11に基づいて、前記判定対象薬品及び前記対象判定用病名情報の組み合わせに対応する前記チェックグループに前記グループ識別情報が設定されているか否かを判定する。ここで、前記チェックグループに前記グループ識別情報が設定されていると判断されると(S22:Yes)、処理がステップS221に移行し、前記チェックグループに前記グループ識別情報が設定されていないと判断されると(S22:No)、処理がステップS24に移行する。
【0086】
<ステップS221>
ステップS221において、前記制御部11は、前記チェックグループに属する全ての前記判定用病名情報に対応する前記チェック対象フラグが「有」に設定されているか否かを判定する。ここで、全ての前記チェック対象フラグが「有」に設定されていると判定されると(S221:Yes)、処理がステップS23に移行し、いずれかの前記チェック対象フラグが「無」に設定されていると判定されると(S221:No)、処理がステップS29に移行する。
【0087】
<ステップS23>
ステップS23において、前記制御部11は、同じ前記グループ識別情報が前記チェックグループに設定されている一のグループに属する複数の前記対象判定用病名情報が、前記対象処方データに対応する患者の前記患者病名情報に全て含まれているか否かを判定する前記第3判定処理を実行する。即ち、前記制御部11は、同一の前記グループに属する複数の前記対象判定用病名情報が示す全ての前記判定用病名が、前記患者病名情報に含まれるいずれかの前記患者病名と一致するか否かを判定する。この場合、前記ステップS21で選択された前記対象判定用病名情報と同一の前記グループに属する他の前記判定用病名情報も既に前記対象判定用病名情報として選択されたものとして、前記ステップS21及び後述のステップS29の判定が実行される。なお、前記第3判定処理は本発明に係る第1ステップの一例であり、前記制御部11の第1処理部111によって実行される。ここで、複数の前記対象判定用病名情報が前記患者病名情報に全て含まれていると判定されると(S23:Yes)、処理がステップS26に移行し、複数の前記対象判定用病名情報のうち前記患者病名情報に含まれていないものが存在すると判定されると(S23:No)、処理がステップS29に移行する。なお、前述したように、本実施形態では、先に前記グループに属する複数の前記判定用病名が選択されており、前記第3判定処理において複数の前記判定用病名情報が前記患者病名情報に全て含まれるか否かが判定される場合について説明する。一方、他の実施形態として、前記患者病名情報に含まれる患者病名各々が先に選択されて、当該患者病名各々が前記判定対象用病名のいずれかに該当するか否かが判定された後、前記第3判定処理において、前記患者病名情報に、前記グループに属する複数の前記判定用病名情報が全て含まれていたか否かが判定されてもよい。
【0088】
<ステップS24>
ステップS24において、前記制御部11は、前記禁忌病名マスターD11に基づいて、前記判定対象薬品及び前記対象判定用病名情報の組み合わせに対応する前記チェック対象フラグが「有」に設定されているか否かを判定する。ここで、前記チェック対象フラグが「有」に設定されていると判定されると(S24:Yes)、処理がステップS25に移行し、前記チェック対象フラグが「無」に設定されていると判定されると(S24:No)、処理がステップS29に移行する。
【0089】
<ステップS25>
ステップS25において、前記制御部11は、前記患者病名情報に前記対象判定用病名情報が含まれているか否かを判定する判定処理を実行する。より具体的に、前記制御部11は、前記判定対象薬品に対応する前記対象判定用病名情報がグループに属するものではない場合には、当該判定用病名情報が前記患者病名情報に含まれているか否かを判定する第1判定処理を実行する。即ち、前記制御部11は、前記第1判定処理において、前記判定用病名情報が示す前記判定用病名が、前記患者病名情報に含まれるいずれかの前記患者病名と一致するか否かを判定することになる。一方、前記制御部11は、前記判定対象薬品に対応する前記対象判定用病名情報が一のグループに属する複数の前記対象判定用病名情報の一部である場合には、その一部の前記対象判定用病名情報が前記患者病名情報に含まれているか否かを判定する第2判定処理を実行する。即ち、前記制御部11は、前記第2判定処理において、同一の前記グループに属する複数の前記判定用病名情報から予め選択された一部の前記判定用病名情報が示す前記判定用病名が、前記患者病名情報に含まれるいずれかの前記患者病名と一致するか否かを判定することになる。なお、前記第1判定処理及び前記第2判定処理は本発明に係る第1ステップの一例であり、前記制御部11の第1処理部111によって実行される。ここで、前記患者病名情報に前記対象判定用病名情報が含まれると判定されると(S25:Yes)、処理がステップS26に移行し、前記患者病名情報に前記対象判定用病名情報が含まれないと判定されると(S25:No)、処理がステップS29に移行する。なお、前述したように、本実施形態では、先に前記判定用病名情報が選択されており、前記判定処理において当該判定用病名情報が前記患者病名情報に含まれるか否かが判定される場合について説明するが、前記患者病名情報が先に選択されており、前記判定処理において当該患者病名情報が前記判定対象薬品の前記判定用病名情報に含まれるか否かが判定されてもよい。
【0090】
<ステップS26>
ステップS26において、前記制御部11は、前記禁忌病名マスターD11に基づいて前記チェックレベルが「高」であるか否かを判定する。具体的に、前記ステップS23における前記第3判定処理において前記患者病名情報に複数の前記対象判定用病名情報が全て含まれると判定されると判定された場合には、全ての前記対象判定用病名情報に対応する前記チェックレベルが「高」であるか否かが判定される。また、前記ステップS25における前記第1判定処理又は前記第2判定処理において前記患者病名情報に前記対象判定用病名情報が含まれると判定されると判定された場合には、当該対象判定用病名情報に対応する前記チェックレベルが「高」であるか否かが判定される。ここで、前記チェックレベルが「高」であると判定されると(S26:Yes)、処理がステップS27に移行し、前記チェックレベルが「低」であると判定されると(S26:No)、処理がステップS28に移行する。例えば、前記ステップS23における前記第3判定処理が実行された場合には、全ての前記対象判定用病名情報に対応する前記チェックレベルが「高」である場合に処理がステップS27に移行し、前記対象判定用病名情報のいずれかに対応する前記チェックレベルが「低」である場合には処理がステップS28に移行することになる。
【0091】
<ステップS27>
ステップS27において、前記制御部11は、後述のステップS31で、患者に前記第1処理部111による判定結果として報知される予め設定された第1態様の報知情報を設定する。具体的に、前記制御部11は、前記第1態様の報知情報として、前記判定対象薬品について「病名禁忌」が発生している旨を示す情報を前記記憶部12に記憶させる。例えば、前記報知情報には、前記判定結果が病名禁忌である旨の情報、「病名禁忌」の原因となった前記判定対象薬品、前記判定用病名情報、前記患者病名情報などの情報が含まれる。また、前記制御部11は、前記薬品マスターに基づいて、前記判定対象薬品に対応する前記添付文書に記載されている禁忌病名を含む前記報知情報を設定してもよい。
【0092】
<ステップS28>
ステップS28において、前記制御部11は、後述のステップS31で、患者に前記第1処理部111による判定結果として報知される予め設定された第2態様の報知情報を設定する。具体的に、前記制御部11は、前記第2態様の報知情報として、前記判定対象薬品について「病名注意」が発生している旨を示す情報を前記記憶部12に記憶させる。例えば、前記報知情報には、前記判定結果が病名注意である旨の情報、「病名注意」の原因となった前記判定対象薬品、前記判定用病名情報、前記患者病名情報などの情報が含まれる。また、前記制御部11は、前記薬品マスターに基づいて、前記判定対象薬品に対応する前記添付文書に記載されている禁忌病名を含む前記報知情報を設定してもよい。このように、前記ステップS26~S28では、後述のステップS31において前記判定結果として報知される前記報知情報が、前記チェックレベルに基づいて変更される。
【0093】
<ステップS29>
ステップS29において、前記制御部11は、前記判定対象薬品に対応する全ての前記判定用病名情報についての処理が終了したか否かが判断される。具体的には、前記ステップS21で前記判定対象薬品に対応する全ての前記判定用病名情報が前記対象判定用病名情報として選択されたか否かが判定される。ここで、全ての前記判定用病名情報についての処理が終了したと判定されると(S29:Yes)、処理がステップS30に移行する。一方、全ての前記判定用病名情報についての処理が終了していないと判定されると(S29:No)、処理が前記ステップS21に戻されて、次の前記判定用病名情報が前記対象判定用病名情報として選択され、前記ステップS22以降の処理が実行される。なお、他の実施形態として、前記禁忌病名マスターD11において一組の前記薬品と前記判定用病名情報との組み合わせについての前記判定手法が、前記設定属性B及び前記設定属性Cの両方にそれぞれ登録可能であってもよく、この場合、前記制御部11は、前記ステップS23における前記第3判定処理と前記ステップS25における前記第2判定処理とが共に実行されてもよい。
【0094】
<ステップS30>
ステップS30において、前記制御部11は、前記対象処方データに含まれる全ての前記処方薬品についての処理が終了したか否かが判断される。具体的には、前記ステップS20で前記対象処方データに含まれる全ての前記処方薬品が前記判定対象薬品として選択されたか否かが判定される。ここで、全ての前記処方薬品についての処理が終了したと判定されると(S30:Yes)、処理がステップS31に移行する。一方、全ての前記処方薬品についての処理が終了していないと判定されると(S30:No)、処理が前記ステップS20に戻されて、次の前記処方薬品が前記判定対象薬品として選択され、前記ステップS21以降の処理が実行される。
【0095】
<ステップS31>
ステップS31において、前記制御部11は、前記第1処理部111による判定結果を報知するための報知処理が実行される。なお、前記報知処理は、本発明における特定処理の一例である。具体的に、前記制御部11は、前記判定結果を前記表示装置24に表示させることによりユーザーに報知する。特に、前記制御部11は、前記報知結果として、前記ステップS27又は前記ステップS28で設定された前記第1態様の報知情報又は前記第2態様の報知情報を報知する。即ち、前記制御部11は、前記判定結果の報知内容を、前記薬品及び前記判定用病名情報の組み合わせに応じて変更することが可能である。なお、前記判定結果の報知手法は表示に限らず、前記判定結果が前記プリンター4による印刷によってユーザーに報知されてもよく、前記判定結果が予め設定された携帯端末等に送信されることによってユーザーに報知されてもよい。
【0096】
ここに、
図8~
図11は、前記表示装置24に前記判定結果が表示される場合の報知画面P21の一例を示す図である。なお、前記報知画面P21には、前記判定結果を参照した後、ユーザーによる「承認」、「疑義予定」、「疑義照会」などの対応を受け付けるための各種の操作キーが表示される。また、前記報知画面P21には、前記処方チェック処理に含まれる他のチェック項目の判定結果などが表示されてもよいが、ここでは説明を省略する。さらに、前記制御部11は、
図8~
図11に示される前記報知画面P21に、前記判定対象薬品に対応する前記添付文書に記載されている禁忌病名を前記薬品マスターに基づいて表示してもよい。
【0097】
図8の前記報知画面P21は、前記第1判定処理又は前記第2判定処理によって前記患者病名情報に前記判定用病名情報が含まれると判定された場合であって、前記判定対象薬品及び前記判定用病名情報の組み合わせに対応する前記チェックレベルが「高」に設定されている場合の判定結果を示すものである。この場合、前記報知画面P21には、前記判定結果として「病名禁忌」が表示され、エラーメッセージとして「患者の病名が、「薬品M1」の禁忌病名である「腎障害」と一致します。」のような「病名禁忌」のエラーが発生している旨を報知するメッセージが表示される。
【0098】
また、
図9の前記報知画面P21は、前記第1判定処理又は前記第2判定処理によって前記患者病名情報に前記判定用病名情報が含まれると判定された場合であって、前記判定対象薬品及び前記判定用病名情報の組み合わせに対応する前記チェックレベルが「低」に設定されている場合の判定結果を示すものである。この場合、前記報知画面P21には、前記判定結果として「病名注意」が表示され、確認メッセージとして「患者病名が、「薬品M2」の禁忌病名である「重篤な腎障害」と一致する可能性があるため注意が必要です。」のような「病名注意」の確認事項が発生している旨を報知するメッセージが表示される。
【0099】
このように、本実施形態に係る前記調剤支援システム10では、前記患者病名情報に前記判定用病名情報が含まれる場合であっても、当該判定用病名情報と前記判定対象薬品との組み合わせごとに、前記特定処理の内容が変更可能である。例えば、一つの前記判定用病名情報として統合された程度等を示す修飾語の異なる禁忌病名について、当該禁忌病名と前記薬品との対応関係に基づいて前記特定処理の内容を変更することが可能であり、禁忌病名についての判定精度を高めることができる。これにより、例えば病名禁忌が無駄に報知されず、ユーザーによる無駄な確認作業などの手間が省減される。
【0100】
また、本実施形態に係る前記調剤支援システム10では、前記判定対象薬品について、複数の前記判定用病名情報を含む一つのグループの中で一部の前記判定用病名情報のみについて病名禁忌又は病名注意の有無を判定し、他の前記判定用病名情報については病名禁忌又は病名注意の有無を判定しないことが可能である。これにより、例えば前記グループに含まれる全ての前記判定用病名情報について個別に病名禁忌又は病名注意の有無が判定される場合に比べて、病名禁忌又は病名注意などが無駄に報知されず、ユーザーによる無駄な確認作業などの手間が省減される。
【0101】
図10の前記報知画面P21は、前記第3判定処理によって前記患者病名情報に一のグループに属する複数の前記判定用病名情報が全て含まれると判定された場合であって、全ての前記判定対象薬品及び前記判定用病名情報の組み合わせに対応する前記チェックレベルが「高」に設定されている場合の判定結果を示すものである。この場合、前記報知画面P21には、前記判定結果として「病名禁忌」が表示され、エラーメッセージとして「患者病名の組み合わせが、「薬品M21」の禁忌病名である「血液凝固異常」、「肝疾患」の組み合わせと一致します。」のような「病名禁忌」のエラーが発生している旨を報知するメッセージが表示される。
【0102】
また、
図11の前記報知画面P21は、前記第3判定処理によって前記患者病名情報に一のグループに属する複数の前記判定用病名情報が全て含まれると判定された場合であって、いずれかの前記判定対象薬品及び前記判定用病名情報の組み合わせに対応する前記チェックレベルが「低」に設定されている場合の判定結果を示すものである。この場合、前記報知画面P21には、前記判定結果として「病名注意」が表示され、確認メッセージとして「患者病名の組み合わせが、「薬品M21」の禁忌病名である「血液凝固異常」、「肝疾患」の組み合わせと一致する可能性があるため注意が必要です。」のような「病名注意」の確認事項が発生している旨を報知するメッセージが表示される。
【0103】
このように、本実施形態に係る前記調剤支援システム10では、前記判定対象薬品について、複数の前記判定用病名情報を含む一つのグループ単位で病名禁忌又は病名注意の有無を判定する前記第3判定処理において、当該グループ単位で病名禁忌又は病名注意の有無を判定するか否かが変更可能である。これにより、例えば前記グループに含まれる一部の前記判定用病名情報のみが前記患者病名情報に含まれる場合に病名禁忌又は病名注意と判定する場合に比べて、病名禁忌又は病名注意などが無駄に報知されず、ユーザーによる無駄な確認作業などの手間が省減される。
【0104】
なお、
図8~
図11に示されるように、前記報知画面P21では、前記禁忌病名判定処理による判定結果が「病名禁忌」である場合と「病名注意」である場合とに応じて、前記判定結果の表示領域の背景色又は文字色などの表示態様が異なっていてもよい。
【0105】
ところで、前記制御部11は、前記禁忌病名判定処理において、前記ステップS23が実行されない場合又は前記ステップS23で前記患者病名情報に全ての前記判定用病名情報が含まれていると判定されない場合で、且つ、前記ステップS25が実行されない場合又は前記ステップS25で前記患者病名情報に前記判定用病名情報が含まれていると判定されなかった場合には、前記ステップS31において、病名禁忌及び病名注意が発生していない旨を報知結果として前記報知画面P21に表示すること、又は、前記判定結果を報知しないこと(前記報知画面P21を表示させないこと)が考えられる。
【0106】
また、本実施形態では、前記禁忌病名マスターD11において、前記薬品及び前記判定対象病名情報の組み合わせごとに対応する前記判定手法が個別に設定可能な構成を例に挙げて説明した。一方、他の実施形態として、前記調剤支援システム10において、前記禁忌病名マスターD11と前記判定手法の例外を定める例外マスターとが前記記憶部12に記憶されており、これらのマスターが前記禁忌病名判定処理で用いられる構成であってもよい。具体的に、前記禁忌病名マスターD11には、前記薬品各々に対応して基本となる前記判定手法が予め登録されている。一方、前記制御部11は、ユーザー操作に応じて、前記禁忌病名マスターD11に登録されている前記薬品及び前記判定対象病名情報の組み合わせのうち、任意の組み合わせについて例外となる前記判定手法の設定操作を受け付け、当該判定手法の内容を前記例外マスターに登録する。そして、前記制御部11は、前記禁忌病名判定処理において、前記例外マスターに登録されている前記薬品と前記判定対象病名情報との組み合わせについては当該例外マスターに登録されている前記判定手法に従って処理を実行し、前記例外マスターに登録されていない前記薬品及び前記判定対象病名情報の組み合わせについては前記禁忌病名マスターD11に登録されている前記判定手法に従って処理を実行する。これにより、例えば、従来使用されていた前記禁忌病名マスターD11を利用しつつ、前記薬品及び前記判定用病名情報の組み合わせごとに判定処理の実行の有無及び前記特定処理の内容などを変更することが可能である。
【0107】
また、本実施形態では、本発明に係る禁忌判定システムとして、薬剤師による調剤業務を支援するために用いられる前記調剤支援システム10を例に挙げて説明した。一方、前記調剤支援システム10に代えて、医師などのユーザーの操作に応じて患者の診察記録及び処方内容などを電子カルテに登録可能な電子カルテシステムが本願発明に係る禁忌判定システムであってもよい。この場合、前記電子カルテシステムに含まれるコンピュータなどの制御部が、患者に対応する診察記録又は処方内容を前記電子カルテに登録するためのユーザー操作が行われた場合に、当該患者に対応する前記処方データを処理対象として前記禁忌病名判定処理(
図7)を実行する。
【0108】
[禁忌判定処理の他の例]
前記禁忌病名判定処理では、前記薬品に対応する前記チェックグループに前記グループ識別情報が登録されていない場合に、必要に応じて前記第1判定処理又は前記第2判定処理が実行される場合について説明した。一方、他の実施形態として、前記禁忌病名判定処理において、前記薬品に対応する前記チェックグループに前記グループ識別情報が登録されている場合であっても、必要に応じて前記第1判定処理又は前記第2判定処理が実行可能な構成であってもよい。具体的には、前記ステップS221において、いずれかの前記チェック対象フラグが「無」に設定されていると判定されると(S221:No)、処理がステップS24に移行することが考えられる。そして、前記ステップS24において、前記判定用病名情報について前記チェック対象フラグが「有」に設定されていると判定された場合には(S24:Yes)、前記ステップS25において、当該判定用病名情報が前記患者病名情報に含まれるか否かの判定が実行される判定処理が実行される。なお、この場合には、前記ステップS26では、前記患者病名情報に含まれると判定された前記判定用病名情報に対応する前記チェックレベルに基づいて処理が分岐される(S26:Yes又はNo)。また、この場合には、前記ステップS21で選択された前記対象判定用病名情報と同一の前記グループに属する他の前記判定用病名情報は前記対象判定用病名情報として選択されていないものとして、その後の前記ステップS21及び後述のステップS29の判定が実行される。これにより、前記チェックグループが設定されている場合であっても、必要に応じて前記判定用病名情報各々について個別に禁忌の判定を行うことが可能である。
【0109】
[外用剤部位判定機能]
ところで、前記禁忌病名判定処理で処理対象となる前記判定対象薬品は、患者の特定の部位に対して塗布又は貼付される外用剤である場合も考えられる。この場合、前記外用剤を使用する部位によって病名禁忌又は病名注意の有無の判断が異なる場合がある。例えば、外用剤が処方される患者に発現している疾患が「手」についての「第2度深在性以上の熱傷」である場合のように、特定の損傷部位についてのみ疾患が発現している場合を考える。この場合、前記外用剤に対応する前記判定対象病名情報が「第2度深在性以上の熱傷」であれば、前記外用剤の使用目的が前記損傷部位でない場合であっても、病名禁忌又は病名注意と判断されることになる。
【0110】
そのため、前記外用剤については、前記判定用病名情報に基づく病名禁忌又は病名注意の判定時に当該外用剤の使用部位を考慮することが必要となる場合がある。そこで、前記調剤支援システム10は、薬品のうち特定の部位についてのみ病名禁忌又は病名注意を判定すればよい特定の外用剤については、当該特定の外用剤に対応する前記判定用病名情報に基づく病名禁忌又は病名注意の判定時に、当該特定の外用剤の使用部位を考慮することが可能な外用剤部位判定機能を備えることが考えられる。具体的に、前記禁忌病名マスターD11では、前記特定の外用剤及び前記判定用病名情報の組み合わせについて部位確認フラグが設定可能であることが考えられる。例えば、前記判定用病名情報が、前記外用剤の使用部位に応じて病名禁忌又は病名注意の判定結果が同じになる「脳出血」などの病名である場合には、その旨を示す「0」が前記部位確認フラグとして設定される。一方、前記判定用病名情報が、前記外用剤の使用部位に応じて病名禁忌又は病名注意の判定結果が異なることのある「第2度深在性以上の熱傷」又は「帯状疱疹」などの病名である場合には、その旨を示す「1」が前記部位確認フラグとして設定される。
【0111】
そして、前記ステップS26において、前記制御部11は、前記チェックレベルが「高」であっても、前記部位確認フラグが「1」である場合には、処理を前記ステップ28に移行させることが考えられる。この場合、前記ステップS28では、前記外用剤について患者の使用部位によっては病名禁忌に該当する旨のメッセージが表示されるように前記報知情報が設定される。これにより、前記外用剤の使用目的が前記損傷部位でない場合には病名禁忌と判定しないことが可能となり、ユーザーによる無駄な確認作業などの手間が省減される。
【0112】
また、前記患者マスター又は前記処方データ等に登録された前記患者病名情報に損傷部位が登録されており、前記処方データに前記外用剤の使用部位が登録されている場合には、前記制御部11が、前記患者病名情報及び前記判定用病名情報に基づいて、前記損傷部位及び前記使用部位が一致する場合に病名禁忌と判定し、前記損傷部位及び前記使用部位が一致しない場合に病名禁忌と判定しないことも考えられる。
【符号の説明】
【0113】
1 :調剤支援装置
11:制御部
12:記憶部
13:通信I/F
14:表示装置
15:操作装置
16:ドライブ装置
2 :クライアント端末
21:制御部
22:記憶部
23:通信I/F
24:表示装置
25:操作装置
26:ドライブ装置
3 :調剤機器
4 :プリンター
10:調剤支援システム