(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002686
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】販売データ処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G07G 1/12 20060101AFI20231228BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20231228BHJP
G06Q 20/20 20120101ALI20231228BHJP
【FI】
G07G1/12 361E
G07G1/00 311D
G06Q20/20 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102035
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柿野 友成
(72)【発明者】
【氏名】竹野 唯志
【テーマコード(参考)】
3E142
5L055
【Fターム(参考)】
3E142AA01
3E142CA12
3E142EA02
3E142FA31
3E142FA33
3E142GA02
3E142GA03
3E142GA20
3E142GA35
3E142JA02
5L055AA42
(57)【要約】
【課題】値割引シールを用いた商品の値割引を動的且つ効率的に行うことが可能な販売データ処理装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】商品を識別可能な第1識別情報の入力を受け付ける第1入力受付手段と、前記商品に付された値割引の適用に係る貼付物を識別可能な第2識別情報の入力を受け付ける第2入力受付手段と、第2識別情報の各々と、所定の指標に基づき設定された値割引の適用に係る複数の変動単位と、当該変動単位毎の値引額又は割引率を示す値割引値とを関連付けた設定情報に基づいて、前記第2入力受付手段が受け付けた前記第2識別情報の貼付物又は当該貼付物が付された商品の、現在の変動単位に対応する値割引値を特定する特定手段と、前記特定手段が特定した前記値割引値に基づいて、前記第1入力受付手段が受け付けた前記第1識別情報に対応する商品の販売価格を算出する算出手段と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を識別可能な第1識別情報の入力を受け付ける第1入力受付手段と、
前記商品に付された値割引の適用に係る貼付物を識別可能な第2識別情報の入力を受け付ける第2入力受付手段と、
第2識別情報の各々と、所定の指標に基づき設定された値割引の適用に係る複数の変動単位と、当該変動単位毎の値引額又は割引率を示す値割引値とを関連付けた設定情報に基づいて、前記第2入力受付手段が受け付けた前記第2識別情報の貼付物又は当該貼付物が付された商品の、現在の変動単位に対応する値割引値を特定する特定手段と、
前記特定手段が特定した前記値割引値に基づいて、前記第1入力受付手段が受け付けた前記第1識別情報に対応する商品の販売価格を算出する算出手段と、
を備える販売データ処理装置。
【請求項2】
前記特定手段は、前記第2識別情報の各々と、当該第2識別情報の各々に対応する貼付物の運用開始日時と、当該運用開始日時からの経過時間に応じて変動する値割引値とを関連付けた前記設定情報に基づき、前記第2入力受付手段が受け付けた前記第2識別情報の前記運用開始日時から現在日時までの経過時間を算出し、算出した前記経過時間に対応する前記値割引値を特定する、
請求項1に記載の販売データ処理装置。
【請求項3】
前記特定手段は、前記第2識別情報の各々と、当該第2識別情報の各々に対応する貼付物が付された商品の在庫数と、当該在庫数に応じて変動する値割引値とを関連付けた前記設定情報に基づき、前記第2入力受付手段が受け付けた前記第2識別情報の貼付物が付された商品の現在の在庫数に対応する前記値割引値を特定する、
請求項1に記載の販売データ処理装置。
【請求項4】
前記第2識別情報の各々に対応する前記貼付物を表す画像と、前記設定情報に基づき特定された前記第2識別情報の各々に係る現在の値割引値とを関連付けた表示画面を、外部の表示装置に表示させる表示制御手段を更に備える、請求項1に記載の販売データ処理装置。
【請求項5】
前記第2入力受付手段は、前記商品を撮像した画像から前記貼付物を読み取る撮像装置、又はオペレータの操作を受け付ける操作装置から、前記第2識別情報の入力を受け付ける、請求項1に記載の販売データ処理装置。
【請求項6】
販売データ処理装置のコンピュータを、
商品を識別可能な第1識別情報の入力を受け付ける第1入力受付手段と、
前記商品に付された値割引の適用に係る貼付物を識別可能な第2識別情報の入力を受け付ける第2入力受付手段と、
第2識別情報の各々と、所定の指標に基づき設定された値割引の適用に係る複数の変動単位と、当該変動単位毎の値引額又は割引率を示す値割引値とを関連付けた設定情報に基づいて、前記第2入力受付手段が受け付けた前記第2識別情報の貼付物又は当該貼付物が付された商品の、現在の変動単位に対応する値割引値を特定する特定手段と、
前記特定手段が特定した前記値割引値に基づいて、前記第1入力受付手段が受け付けた前記第1識別情報に対応する商品の販売価格を算出する算出手段と、
して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、販売データ処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケットや量販店等の店舗では、値引や割引等の値割引の対象となる商品に、値割引値を表したシールやラベル等の貼付物(以下、値割引シールともいう)を貼付することが行われている。例えば、店舗では、製造から所定時間が経過した商品や、在庫処分の対象となった商品等に、値割引シールを貼付することが行われている。値割引シールが付された商品は、POS端末等の販売データ処理装置での会計時において、値割引シールに応じた値引額を減額した金額で購入することが可能となっている。また、従来、商品に付された値割引シールを読み取ることが可能なPOS端末が提案されている。
【0003】
ところで、従来の値割引シールを用いた値割引の方法では、例えば、時間経過や在庫数の変化に伴い値割引の値が変更となった場合、変更後の値割引値を表した新たな値割引シールに張り替えたり、重ねて貼付したりすることで対応している。しかしながら、この従来の方法では、値割引シールの貼り替え作業が発生するため煩雑であり、効率化の観点で更なる改善が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、値割引シールを用いた商品の値割引を動的且つ効率的に行うことが可能な販売データ処理装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の販売データ処理装置は、第1入力受付手段と、第2入力受付手段と、特定手段と、算出手段とを備える。第1入力受付手段は、商品を識別可能な第1識別情報の入力を受け付ける。第2入力受付手段は、前記商品に付された値割引の適用に係る貼付物を識別可能な第2識別情報の入力を受け付ける。特定手段は、第2識別情報の各々と、所定の指標に基づき設定された値割引の適用に係る複数の変動単位と、当該変動単位毎の値引額又は割引率を示す値割引値とを関連付けた設定情報に基づいて、前記第2入力受付手段が受け付けた前記第2識別情報の貼付物又は当該貼付物が付された商品の、現在の変動単位に対応する値割引値を特定する。算出手段は、前記特定手段が特定した前記値割引値に基づいて、前記第1入力受付手段が受け付けた前記第1識別情報に対応する商品の販売価格を算出する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態に係るPOSシステムの構成の一例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る電子棚札の設置例を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る商品マスタのデータ構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る値割引テーブルのデータ構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る値割引設定テーブルのデータ構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るPOS端末の機能構成の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る電子棚札の表示部に表示される画面の一例を模式的に示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る電子棚札の表示部に表示される画面の一例を模式的に示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る商品バッファの状態の一例を模式的に示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る商品バッファの状態の一例を模式的に示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態のPOS端末が実行する棚札制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、実施形態のPOS端末が実行する販売データ処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、実施形態のPOS端末が実行する商品登録処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、販売データ処理装置及びプログラムの実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、販売データ処理装置及びプログラムの一実施形態であって、その構成や仕様等を限定するものではない。本実施形態の販売データ処理装置は、スーパーマーケット等の店舗に導入された、POS(Point Of Sales)端末への適用例である。
【0008】
図1は、本実施形態に係るPOSシステム1の構成の一例を示す説明図である。POSシステム1は、電子棚札10と、サーバ装置20と、POS端末30とを有する。電子棚札10、サーバ装置20、及びPOS端末30は、図示しないアクセスポイント等を介してネットワークNに接続される。ネットワークNは、例えば、店舗に設置されたLAN(Local Area Network)等の通信網である。なお、POSシステム1に接続される電子棚札10及びPOS端末30の台数は、
図1の図示例に限定されないものとする。
【0009】
電子棚札10は、表示装置の一例である。電子棚札10は、店舗内に複数設けられる。例えば、電子棚札10は、商品を陳列するための陳列棚等に設けられる。
図2は、電子棚札10の設置例を模式的に示す図である。
図2に示すように、電子棚札10は、商品Gが陳列される棚に設けられる。一般に店舗では、同じジャンルの商品Gや同じ銘柄の商品G等をグルーピングする棚割が行われている。例えば、電子棚札10は、棚割された陳列位置毎に配置される。
【0010】
図2に示すように、電子棚札10は、LCD(Liquid Crystal Display)や電子ペーパ等の平面ディスプレイで構成される表示部11を備える。また、電子棚札10は、プロセッサ及びメモリ等で構成されるコンピュータ構成の制御部と、ネットワークNに接続するための通信インタフェースとを備える(何れも図示せず)。
【0011】
電子棚札10の制御部は、各種の情報を表示部11に表示させる。例えば、電子棚札10の制御部は、サーバ装置20又はPOS端末30からの表示指示に応じて、商品Gに付された値割引シールLに関する情報を表示部11に表示させる。
【0012】
ここで、値割引シールLは、値引き又は割引(以下、値割引ともいう)の対象となる商品に付される、値割引の適用に係る貼付物の一例である。値割引シールLは、店員等の店舗従業員により、値割引の対象となる商品に貼付される。値割引の対象となる商品は特に問わないものとするが、本実施形態では、例えば、製造から所定日時が経過した商品や、陳列棚に陳列してから所定日時が経過した商品を、値割引の対象とする形態について説明する。
【0013】
値割引シールLは、商品Gに値割引シールLを貼付する時期毎に、異なる種類(図柄)の値割引シールLが用意される。値割引シールLの図柄は特に問わず、任意の図形や文字等を使用することが可能とするが、値割引値そのものを表す文字等は図柄に含めないことが好ましい。
【0014】
図2では、商品Ga~Gc毎に、異なる図柄の値割引シールLa~Lcが貼付された例を示している。ここで、商品Ga~Gdの各々は、陳列棚に陳列された時期が異なっており、商品Ga~Gdの順に陳列された時期が新しいものとする。また、陳列された時期が古い商品Ga~Gcの順に、互いに異なる時期に値割引シールLa~Lcがそれぞれ貼付されたものとする。
【0015】
図1に戻り、サーバ装置20は、ストアコンピュータ等の情報処理装置である。サーバ装置20は、電子棚札10及びサーバ装置20と通信可能に接続され、POSシステム1に係る各種データの管理や記憶等を行う。
【0016】
具体的には、サーバ装置20は、プロセッサ及びメモリで構成されるコンピュータ構成の制御部、ネットワークNに接続するための通信インタフェース等を備える(何れも図示せず)。サーバ装置20の制御部は、電子棚札10及びPOS端末30と協働することで、POSシステム1全体の制御を行う。例えば、サーバ装置20の制御部は、POSシステム1で使用する各種のデータを記憶し管理する。また、例えば、サーバ装置20の制御部は、POS端末30からの指示に応じて、電子棚札10の表示画面を切り替えるための制御を行ったりする。
【0017】
POS端末30は、販売データ処理装置の一例である。POS端末30は、例えば店舗内の精算場所に配置される。POS端末30は、オペレータの操作に応じて、購入対象の商品を登録する商品登録処理と、登録された商品の会計処理とを実行する。
【0018】
図1に示すように、POS端末30は、CPU(Central Processing Unit)31と、ROM(Read Only Memory)32と、RAM(Random Access Memory)33とを備える。また、POS端末30は、現在日時を計時可能なRTC(Real Time Clock)等の計時装置を備える(図示せず)。
【0019】
CPU31は、プロセッサの一例であり、POS端末30の動作を統括的に制御する。ROM32は、各種プログラムを記憶する。RAM33は、プログラムや各種データを展開するワークスペースである。例えば、RAM33には、登録された商品に係る情報を記憶するための商品バッファ331が形成される。
【0020】
CPU31、ROM32、及びRAM33は、バス等を介して接続され、コンピュータ構成の制御部300を構成する。制御部300は、CPU31がROM32や記憶部36に記憶されRAM33に展開された各種のプログラムに従って動作することで、各種の処理を実行する。
【0021】
制御部300は、バス等を介して通信部34、I/O機器制御部35及び記憶部36に接続される。通信部34は、ネットワークNに接続可能な通信インタフェースである。通信部34は、ネットワークNを介して電子棚札10及びサーバ装置20等の外部装置と通信を行う。
【0022】
I/O機器制御部35は、POS端末30と外部装置40とを接続し、外部装置40を介したデータ(又は情報)の入出力を制御する。外部装置40は、例えば、表示部41、操作部42、スキャナ部43、ドロワ44、及びプリンタ45等を有する。
【0023】
表示部41は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスである。表示部41は、POS端末30の制御の下、各種の画面を表示する。例えば、表示部41は、商品の登録操作や会計操作を支援するための操作画面等を表示する。なお、表示部41は、タッチパネルを備えてもよい。
【0024】
操作部42は、各種の操作キーやポインティングデバイス等の操作装置を有し、操作者の操作を受け付ける。また、操作部42は、受け付けた操作内容をPOS端末30に出力する。例えば、操作部42は、登録操作の開始を指示する開始キー、商品コードや商品の個数等を入力するための置数キー、商品登録の終了を指示するための締めキー、客が支払った金額を確定するための確定キー等を有する。なお、操作部42は、表示部41の表示面上に設けられるタッチパネルであってもよい。
【0025】
スキャナ部43は、商品に付されたバーコード等を読み取ることが可能な読取装置である。スキャナ部43は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等の撮像素子(例えば電子カメラ)を備える撮像装置であり、撮像した画像から各種の情報を読み取る。
【0026】
例えば、スキャナ部43は、商品に付されたバーコードや二次元コード等のコードシンボルから当該商品を識別するための商品コードを読み取り、読み取った商品コードをPOS端末30に出力する。また、例えば、スキャナ部43は、商品に付された値割引シールLを読み取り、読み取った値割引シールLの画像又は当該値割引シールLを識別可能な情報をPOS端末30に出力する。
【0027】
なお、バーコードや二次元コード等のコードシンボルの読み取りのみを行う場合には、スキャナ部43は、レーザ方式で読み取りを行うバーコードスキャナを用いてもよい。
【0028】
ドロワ44は、客から受領した現金や、釣銭等に使用する現金を収納する。ドロワ44は、POS端末30から出力される駆動信号に応じて開閉動作するようになっている。
【0029】
プリンタ45は、サーマルプリンタ等の印字装置である。プリンタ45は、POS端末30の制御の下、会計処理の終了時等、取引の内容を示したレシートを印字する。
【0030】
なお、本実施形態では、POS端末30と外部装置40とを別体としたが、POS端末30と外部装置40とは一体化してもよく、一体化した装置をPOS端末(販売データ処理装置)と定義してもよい。
【0031】
記憶部36は、POS端末30の補助記憶装置であり、電源を遮断しても記憶内容を保持することが可能なHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶媒体を備える。記憶部36は、CPU31が実行することが可能な各種のプログラム、各種の設定情報等を記憶する。また、記憶部36は、商品マスタ361、値割引テーブル362及び値割引設定テーブル363等を記憶する。
【0032】
商品マスタ361は、店舗で販売される商品に関する情報を記憶するマスタファイルである。例えば、商品マスタ361は、
図3に示すデータ構成を有する。ここで、
図3は、商品マスタ361のデータ構成の一例を示す図である。
【0033】
図3に示すように、商品マスタ361は、商品コードに関連付けて、当該商品コードに対応する商品の商品名、単価等の商品情報を記憶する。ここで、商品コードは、店舗で販売される商品の種別を識別可能な第1識別情報の一例である。商品コードは、例えばJAN(Japanese Article Number)コード等を用いることができる。商品名は、商品の名称である。価格は、商品の価格である。
【0034】
値割引テーブル362は、商品に付される値割引シールLに関する情報を記憶するファイルである。例えば、値割引テーブル362は、
図4に示すデータ構成を有する。ここで、
図4は、値割引テーブル362のデータ構成の一例を示す図である。
【0035】
図4に示すように、値割引テーブル362は、使用される値割引シールLの種別毎に、IDと、シール画像と、タイプと、運用開始日時と、現在値とを関連付けた情報(以下、値割引情報ともいう)を記憶する。ここで、IDは、値割引シールLの種別を識別可能な第2識別情報の一例である。シール画像は、値割引シールLの図柄を表した画像データ、又は図柄の特徴・特性を定量的に表した特徴量である。
【0036】
タイプは、値割引シールLに適用する値割引の種別を示す情報である。本実施形態では、「D1」と「P2」との2種類のタイプを設定することが可能である。なお、「D1」は、値引額を直接指定するタイプを意味し、「P2」は、割引率を指定するタイプを意味する。
【0037】
運用開始日時には、値割引シールLによる値割引を開始する日時が設定される。例えば、運用開始日時には、値割引シールLを商品に貼付した日時が設定される。
【0038】
現在値には、値割引シールLによる現在の値割引の値(以下、値割引値ともいう)が設定される。ここで、値割引値は、タイプに応じた値が設定される。例えば、タイプ「D1」の場合には値引額が設定され、タイプ「P2」の場合には割引率が設定される。
【0039】
なお、店員等の従業員は、値割引シールLを使用する際に、当該値割引シールLに関する情報を値割引テーブル362に登録を行うものとするが、その登録方法は特に問わないものとする。例えば、従業員は、POS端末30の操作部42を介して、新たに使用する値割引シールLに関する情報を値割引テーブル362に登録してもよい。
【0040】
値割引設定テーブル363は、上述した値割引値の変動に係る設定を記憶するファイルである。例えば、値割引設定テーブル363は、
図5に示すデータ構成を有する。ここで、
図5は、値割引設定テーブル363のデータ構成の一例を示す図である。
【0041】
図5に示すように、値割引設定テーブル363は、上述したタイプ毎に、時間と、時間経過に応じた値割引値とを関連付けて記憶する。ここで、時間の項目は、値割引値の変動に係る指標と、変動単位とを指定する変動設定情報の一例であり、時間経過に伴い値割引値を変動させる際の単位時間が設定される。例えば、時間には、1日単位を意味する「1D(Day)」、1時間単位を意味する「1H(Hour)」等を設定することができる。
【0042】
続く、T0~TEの項目には、変動設定情報で指定された指標が、変動単位で変動した際に適用する値割引値がそれぞれ設定される。例えば、
図5の例の場合、値割引値の変動に係る指標が時間であるため、T0~TEには、「1D」又は「1H」の変動単位で変動した際に適用する値割引値が設定される。
【0043】
具体的には、時間に設定された単位時間が「1D」の場合、T0に設定される値割引値は、基点(運用開始日時)から0日目の値割引値に対応し、T1に設定される値割引値は、基点から1日経過後の値割引値に対応する。以降、1日経過する毎の値割引値がT2~TEに設定される。また、時間に設定された単位時間が「1H」の場合、T0に設定される値割引値は、基点(運用開始日時)からの経過時間が1時間未満の値割引値に対応し、T1に設定される値割引値は、基点からの経過時間が1時間以上で且つ2時間未満の値割引値に対応する。以降、1時間経過する毎の値割引値がT2~TEに設定される。
【0044】
なお、本実施形態では、POS端末30が商品マスタ361、値割引テーブル362及び値割引設定テーブル363の各ファイルをローカルに保持する形態としたが、これに限らず、一部又は全部のファイルを他の装置が保持する形態としてもよい。例えば、サーバ装置20が、商品マスタ361、値割引テーブル362及び値割引設定テーブル363のファイルの一部又は全部を記憶し、POS端末30は、サーバ装置20に記憶されたファイルを参照等するようにしてもよい。
【0045】
次に、
図6を参照して、POS端末30の機能構成について説明する。ここで、
図6は、POS端末30の機能構成の一例を示す図である。
【0046】
図6に示すように、POS端末30は、設定更新部301と、棚札制御部302と、第1入力受付部303と、第2入力受付部304と、値割引値特定部305と、商品登録部306と、会計処理部307とを機能構成として備える。具体的には、POS端末30の制御部300(CPU31)は、ROM32又は記憶部36に記憶されたプログラムを実行することで上述した機能構成を実現する。
【0047】
なお、本実施形態では、上述の機能構成が、プロセッサとプログラムとの協働により実現されるソフトウェア構成とするが、機能構成の一部又は全てを専用回路等で実現するハードウェア構成としてもよい。
【0048】
設定更新部301は、値割引テーブル362に設定された各IDの現在の値割引値(現在値)を、値割引設定テーブル363に基づいて更新する。具体的には、設定更新部301は、値割引テーブル362の運用開始日時に設定された日時と現在の日時とに基づいて、運用開始日時から現在日時までの経過時間を、値割引テーブル362のID毎に算出する。
【0049】
次いで、設定更新部301は、IDのタイプ、変動単位(時間)及び当該IDについて算出した経過時間の組に基づいて、当該組に対応する値割引値を値割引設定テーブル363から特定する。例えば、タイプが「D1」、時間が「1D」で且つ経過時間が36時間の場合、設定更新部301は、運用開始日時から1日が経過したと判断し、T1に設定された値割引値「20」を特定する。また、例えば、タイプが「P2」、時間が「1H」で且つ経過時間が6時間30分の場合、設定更新部301は、運用開始日時から6時間が経過したと判断し、T5に設定された値割引値「20」を特定する。
【0050】
そして、設定更新部301は、値割引設定テーブル363から特定した値割引値を、値割引テーブル362の該当するIDに関連付けられた現在値に設定することで、値割引値を更新する。ここで、設定更新部301は、値割引設定テーブル363から特定した値割引値と、値割引設定テーブル363に記憶された既存の現在値(値割引値)とが相違する場合に、特定した値割引値で更新する形態としてもよい。
【0051】
なお、設定更新部301が現在値を更新するタイミングは特に問わないものとする。例えば、設定更新部301は、所定の時間間隔(例えば30分)が経過する毎に、現在値の更新に係る処理を実行してもよい。また、例えば、設定更新部301は、値割引テーブル362の運用開始日時に基づき、当該運用開始日時から所定の時間間隔が経過する毎に、ID単位で個別に更新に係る処理を実行してもよい。
【0052】
棚札制御部302は、表示制御手段の一例である。棚札制御部302は、電子棚札10に表示する画面を制御する。例えば、棚札制御部302は、商品に付された値割引シールLの現在の値割引値を電子棚札10に表示させる。具体的には、棚札制御部302は、値割引テーブル362に設定された値割引シールLの現在値に基づき、表示内容の更新を指示する指示情報を電子棚札10に送信する。
【0053】
ここで、棚札制御部302は、シール画像と当該シール画像の現在値に設定された値割引値とを対応付けた指示情報を電子棚札10に送信してもよい。また、電子棚札10にシール画像がIDに関連付けて記憶されている場合、棚札制御部302は、IDと当該IDの現在値に設定された値割引値とを対応付けた指示情報を電子棚札10に送信してもよい。
【0054】
また、棚札制御部302は、電子棚札10の各々に直接送信する形態としてもよいし、サーバ装置20を介して電子棚札10の各々に直接送信する形態としてもよい。後者の場合、サーバ装置20は、棚札制御部302の指示情報に基づき、電子棚札10の表示を更新する。
【0055】
また、棚札制御部302は、電子棚札10の全てに同一の指示情報を送信(配信)してもよいし、電子棚札10毎に指示情報を個別に送信してもよい。後者の場合、例えば、商品に付された値割引シールLの種別に対応するIDと、当該商品の陳列棚に配置された電子棚札10の識別子(以下、棚札IDともいう)とを対応付けた棚札設定情報を予め用意する。そして、棚札制御部302は、棚札設定情報に基づき、棚札IDの電子棚札10宛に、当該棚札IDに対応付けられたIDに係る現在値を指示した指示情報を送信してもよい。
【0056】
ここで、
図7及び
図8は、電子棚札10の表示部11に表示される画面の一例を模式的に示す図である。電子棚札10の制御部は、POS端末30(又はサーバ装置20)からの指示に応じて表示部11に表示する画面を更新する。
【0057】
例えば、棚札制御部302は、
図2に示した値割引シールLa~Lcの各々について、値割引シールLaを30円引き、値割引シールLbを20円引き、値割引シールLcを10円引きとする指示情報を送信したとする。この場合、電子棚札10の制御部は、受信した指示情報に基づき、
図7に示す画面を表示部11に表示させる。
【0058】
図7に示すように、表示部11には、値割引シールLa~Lcの図柄を表すシール画像に関連付けて、当該シール画像の値割引シールLに係る値割引値が表示される。ここで、表示部11に表示される値割引値は、値割引シールLによって適用される現時点の値割引値を示すものとなる。これにより、店舗を利用する客は、表示部11に表示された値割引シールLの値割引値に基づき、値割引シールLが付された商品の購入を検討することができる。
【0059】
また、
図7の状態から時間が経過するに伴い、設定更新部301が、値割引シールLa~LcのIDに係る値割引テーブル362の現在値(値割引値)を更新したとする。この場合、棚札制御部302は、値割引テーブル362の更新に伴い、更新後の値割引値に基づいた指示情報を送信する。電子棚札10の制御部は、受信した指示情報に基づき、例えば
図8に示す画面を表示部11に表示させる。
【0060】
図8に示すように、表示部11には、値割引シールLa~Lcの各々によって適用される現時点での値割引値が表示される。
図8では、値割引シールLaが40円引き、値割引シールLbが30円引き、値割引シールLcが20円引きに更新された例を示している。つまり、値割引シールLa~Lcの各々によって適用される値割引値は、時間経過に伴い変更される。
【0061】
このように、本実施形態のPOSシステム1では、商品に付した値割引シールLを用いることで、当該値割引シールLに係る値割引値を、時間経過に伴い動的に変化させることができる。したがって、POSシステム1では、値割引シールLの貼り替えにかかる作業を省くことができるため、値割引シールLを用いた商品の値割引を動的且つ効率的に行うことができる。
【0062】
また、本実施形態のPOSシステム1によれば、店員等の従業員は、製造から時間が経過した商品や陳列棚に陳列されてから時間が経過した商品に値割引シールLを貼付することで、時間経過に応じた値割引値で当該商品を販売することができる。これにより、例えば、店舗では、時間経過が大きくなるほど値割引値を大きく設定することで、対象となる商品の販売促進を効率的に行うことができる。
【0063】
第1入力受付部303は、第1入力受付手段の一例である。第1入力受付部303は、商品を識別可能な第1識別情報(商品コード)の入力を受け付ける。例えば、第1入力受付部303は、スキャナ部43を介して読み取られた商品コードを取得することで、商品コードの入力を受け付ける。また、例えば、第1入力受付部303は、操作部42を介して手入力された商品コードを取得することで、商品コードの入力を受け付ける。
【0064】
第2入力受付部304は、第2入力受付手段の一例である。第2入力受付部304は、商品に付された値割引シールLを識別可能な第2識別情報(ID)の入力を受け付ける。例えば、第2入力受付部304は、スキャナ部43を介して読み取られた値割引シールLの画像に基づき、当該画像に対応するシール画像のIDを値割引テーブル362から取得することで、値割引シールLを識別可能なIDの入力を受け付ける。また、例えば、第2入力受付部304は、操作部42を介して手入力されたIDを取得することで、値割引シールLを識別可能なIDの入力を受け付ける。
【0065】
値割引値特定部305は、特定手段の一例である。値割引値特定部305は、第2入力受付部304が値割引シールLのIDを受け付けた場合に、当該IDに対応する現在の値割引値を特定する。具体的には、値割引値特定部305は、値割引テーブル362を参照し、第2入力受付部304が受け付けたIDの運用開始日時に設定された日時と現在の日時とに基づいて、運用開始日時から現在日時までの経過時間を算出する。
【0066】
次いで、値割引値特定部305は、第2入力受付部304が受け付けたIDのタイプ、変動単位(時間)、当該IDについて算出した経過時間との組に基づいて、当該組に対応する値割引値を値割引設定テーブル363から特定する。ここで、値割引値特定部305が行う値割引値の特定方法は、上述した設定更新部301が行う特定方法と同様である。
【0067】
なお、本実施形態では、値割引値特定部305は、第2入力受付部304が受け付けたIDに対応する値割引値を、値割引設定テーブル363を用いて特定する形態を説明したが、値割引テーブル362の現在値を用いて特定してもよい。この場合、値割引値特定部305は、第2入力受付部304が受け付けたIDに対応する現在値を値割引テーブル362から読み出し、当該現在値に設定された値割引値を特定する。また、設定更新部301と値割引値特定部305とは、同一の機能構成で実現されてもよい。
【0068】
商品登録部306は、算出手段の一例である。商品登録部306は、第1入力受付部303が入力を受け付けた商品の登録処理を実行する。具体的には、商品登録部306は、第1入力受付部303が受け付けた商品コードに対応する商品情報を商品マスタ361から取得する。次いで、商品登録部306は、商品コード及び商品情報等を関連付けて、商品バッファ331に記憶(登録)する。
【0069】
また、商品登録部306は、第1入力受付部303が商品コードを受け付けた際に、第2入力受付部304が値割引シールLのIDを受け付けた場合、この値割引シールLの値割引値に応じた金額を値引きして登録する。具体的には、商品登録部306は、値割引値特定部305が特定した値割引値に応じた値引額を商品の単価から減算し、減算した結果を当該商品の販売価格として商品バッファ331に登録する。
【0070】
例えば、商品登録部306は、値割引値特定部305が特定した値割引値のタイプが「D1」の場合、値割引値が示す値を値引額とする。また、例えば、商品登録部306は、値割引値特定部305が特定した値割引値のタイプが「P2」の場合、値割引値が示す値を100で割った値に、商品の単価を乗算した値を値引額とする。そして、商品登録部306は、商品の単価から値引額を減算した値を、その商品の販売価格として商品バッファ331に登録する。
【0071】
なお、商品コード及び値割引シールLのIDの入力タイミングは特に問わないものとするが、同一の商品に付された商品コード及び値割引シールLのIDを、一組のデータとして取り扱う構成とすることが好ましい。例えば、商品登録部306は、商品コードの入力から所定時間以内に入力されたIDを、同一商品に係る一組のデータとして取り扱ってもよい。また、商品登録部306は、IDの入力が先に行われた場合であっても、IDの入力から所定時間以内に入力された商品コードを、同一商品に係る一組のデータとして取り扱ってもよい。
【0072】
ここで、
図9及び
図10を参照して、商品登録部306が行う商品登録処理について説明する。
図9及び
図10は、商品バッファ331の状態の一例を模式的に示す図である。
【0073】
まず、第1入力受付部303が商品コード「ZZZZZ」を受け付けたとする。この場合、商品登録部306は、この商品コード「ZZZZZ」に対応する商品の商品情報を商品マスタ361から読み出す。そして、商品登録部306は、
図9に示すように、商品コード「ZZZZZ」及び商品情報とともに、商品の点数、値引額、金額等を商品バッファ331に登録する。
【0074】
ここで、点数は、同一商品コードの商品の登録点数を意味する。この状態では、商品コード「ZZZZZ」の商品が1点登録されているため、点数は「1」となっている。また、金額は、同一商品コードの商品の合計金額を意味する。また、この登録時には、値割引シールLの読み取りは行われていないため、値引額「0」が登録される。なお、商品バッファ331の「No.」は、商品の登録順序を示すものである。
【0075】
続いて、第1入力受付部303が商品コード「ZZZZZ」を受け付けるとともに、第2入力受付部304が値割引シールLのIDを受け付けたとする。この場合、商品登録部306は、先と同様に商品コード「ZZZZZ」に対応する商品の商品情報を商品マスタ361から読み出す。また、商品登録部306は、商品の単価から、値割引値特定部305が特定した値割引値に応じた値引額を減算した商品の金額を算出する。そして、商品登録部306は、
図10に示すように、商品コード「ZZZZZ」及び商品情報とともに、当該商品コードに対応する商品の点数、値引額、金額等を商品バッファ331に登録する。
【0076】
図10の状態では、商品コード「ZZZZZ」の商品は2点登録されているため、点数が「2」に更新される。また、2回目の登録時に適用された値引額「20(円)」が、1回目の値引額「0」に加算して登録される。そして、金額の項目には、1回目で登録された商品の金額「300(円)」に、2回目で登録された割引後の商品の金額「280(円)」を加算した金額「580(円)」が登録される。
【0077】
続いて、第1入力受付部303が商品コード「YYYYY」を受け付け、第2入力受付部304が値割引シールLのIDを受け付けたとすると、商品登録部306は、当該商品の登録処理を行うことで、例えば
図10の「No.2」に示す情報が商品バッファ331に登録される。
【0078】
このように、商品登録部306は、商品コードが入力される毎に、当該商品コードに対応する商品の会計に係る情報を商品バッファ331に登録する。なお、本実施形態では、同一商品コードに係る商品の登録を纏めて行う形態としたが、これに限らず、登録される商品コード毎に個別に登録する形態としてもよい。
【0079】
図6に戻り、会計処理部307は、商品登録部306で登録された商品の会計処理を実行する。具体的には、会計処理部307は、締めキーが操作されると、当該操作を受け付けるまでに商品バッファ331に登録された情報に基づいて、一取引分の商品の合計金額を算出する。
【0080】
例えば、
図10に示した商品バッファ331の状態で締めキーが操作されたとすると、会計処理部307は、「No.1」及び「No.2」の金額を合算することで、合計金額「720(円)」を算出する。次いで、会計処理部307は、ドロワ44を開状態とし、客が支払う金額(支払金額)で商品の合計金額を決済する会計処理を実行する。
【0081】
かかる会計処理では、会計処理部307は、支払金額から合計金額を減算することで釣り銭額を算出する。また、会計処理部307は、プリンタ45を制御することで、登録された商品や値引額、会計処理の内容等の取引の内訳を示したレシートをプリンタ45に印字させ、会計処理を終了する。
【0082】
以下、上述したPOS端末30が行う処理例について説明する。
【0083】
まず、
図11を参照して、POS端末30が行う電子棚札10の表示制御に係る処理について説明する。ここで、
図11は、POS端末30が実行する棚札制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0084】
まず、設定更新部301は、現在値の更新用に定められた所定時間が経過するまで待機する(ステップS11;No)。所定時間に達すると(ステップS11;Yes)、設定更新部301は、値割引設定テーブル363に登録されたIDの一つを処理対象に選択する(ステップS12)。次いで、設定更新部301は、処理対象のIDに関連付けて設定された運用開始日時から現在日時までの経過時間を算出する(ステップS13)。
【0085】
続いて、設定更新部301は、値割引テーブル362に基づき、処理対象のIDに関連付けて設定されたタイプと、ステップS13で算出した経過時間との組に対応する値割引値を特定する(ステップS14)。
【0086】
次いで、設定更新部301は、処理対象のIDに関連付けて設定された現在の値割引値(現在値)と、ステップS14で特定した値割引値とを比較し、相違するか否かを判定する(ステップS15)。ここで、相違すると判定した場合(ステップS15;Yes)、設定更新部301は、ステップS14で特定した値割引値を現在値に設定することで現在値を更新し(ステップS16)、ステップS17に移行する。また、一致すると判定した場合(ステップS15;No)、設定更新部301は、ステップS17に直ちに移行する。
【0087】
続いて、設定更新部301は、全てのIDを処理対象としたか否かを判定する(ステップS17)。未処理のIDが存在する場合(ステップS17;No)、設定更新部301は、ステップS12に処理を戻し、次のIDを処理対象に選択する。また、全てのIDを処理対象とした場合(ステップS17;Yes)、設定更新部301は、ステップS18に移行する。
【0088】
次いで、棚札制御部302は、更新後の値割引テーブル362に基づき、表示内容を更新する指示情報を電子棚札10に送信し(ステップS18)、本処理を終了する。
【0089】
次に、
図12及び
図13を参照して、POS端末30が行う商品の販売データ処理について説明する。ここで、
図12は、POS端末30が実行する販売データ処理の一例を示すフローチャートである。
【0090】
図12に示すように、POS端末30の商品登録部306は、取引の開始を指示する所定の操作に応じて、商品登録処理を実行する(ステップS21)。
図13は、商品登録処理の一例を示すフローチャートである。
【0091】
まず、商品登録部306は、第1入力受付部303と協働することで、商品コードが入力されたか否かを判定する(ステップS211)。商品コードが入力されない場合には(ステップS211;No)、商品登録部306は、ステップS213に移行する。また、商品コードが入力された場合には(ステップS211;Yes)、商品登録部306は、商品コードに対応する商品の商品情報を商品マスタ361から読み出し、商品バッファ331に商品登録を行い(ステップS212)、ステップS213に移行する。
【0092】
続いて、商品登録部306は、第2入力受付部304と協働することで、値割引シールLのIDが入力されたか否かを判定する(ステップS213)。値割引シールLのIDが入力されない場合には(ステップS213;No)、商品登録部306は、ステップS215に移行する。値割引シールLのIDが入力された場合には(ステップS213;Yes)、商品登録部306は、値割引テーブル362に設定された現在の値割引値(現在値)に基づいて、商品の単価から値引額を減算した金額を商品バッファ331に登録する値割引処理を実行し(ステップS214)、ステップS215に移行する。
【0093】
続いて、商品登録部306は、締めキーが入力されたか否かを判定する(ステップS215)。締めキーが入力されない場合には(ステップS215;No)、商品登録部306は、ステップS211に処理を戻す。また、締めキーが入力された場合には(ステップS215;Yes)、商品登録部306は、商品登録処理を終了し、
図12のステップS22に処理を移行させる。
【0094】
図12に戻り、会計処理部307は、ステップS21の商品登録処理で商品バッファ331に登録された各商品の情報に基づいて会計処理を実行し(ステップS22)、本処理を終了する。
【0095】
以上のように、本実施形態のPOS端末30は、商品を識別可能な商品コードの入力を受け付ける第1入力受付部303と、商品に付された値割引シールLを識別可能なIDの入力を受け付ける第2入力受付部304とを備える。また、POS端末30は、IDの各々と、所定の指標に基づき設定された値割引の適用に係る複数の変動単位と、当該変動単位毎の値引額又は割引率を示す値割引値とを関連付けた値割引テーブル362及び値割引設定テーブル363に基づいて、第2入力受付部304が受け付けたIDの値割引シールL又は当該値割引シールLが付された商品の、現在の変動単位に対応する値割引値を特定する。より詳細には、POS端末30は、変動単位となる指標と当該指標の値又はレンジ毎に定められた値割引値に基づいて、現在の指標の値に対応する値割引値を特定する。そして、POS端末30は、特定した値割引値に基づいて、第1入力受付部303が受け付けた商品コードに対応する商品の販売価格を算出し、商品登録及び会計処理を実行する。
【0096】
これにより、POS端末30では、商品に付された値割引シールLを用いて、当該値割引シールLに係る値割引値を、時間経過等の変動単位に伴い動的に変化させることができる。したがって、POSシステム1では、値割引シールLの貼り替えにかかる作業を省くことができるため、値割引シールLを用いた商品の値割引を動的且つ効率的に行うことができる。
【0097】
なお、上述した実施形態は、上述した各装置が有する構成又は機能の一部を変更することで、適宜に変形して実施することも可能である。そこで、以下では、上述した実施形態に係るいくつかの変形例を他の実施形態として説明する。なお、以下では、上述した実施形態と異なる点を主に説明する。具体的には、既に説明した内容と共通する点については同一の符号を付与して、詳細な説明を省略する。また、以下で説明する変形例は、個別に実施されてもよいし、適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0098】
(変形例1)
上述の実施形態では、値割引シールLによる値割引値を運用開始日時からの経過時間に応じて変動させる形態を説明したが、これに限らず、経過時間以外の指標に応じて値割引値を変動させてもよい。例えば、商品の在庫数に応じて値割引値を変動させてもよい。
【0099】
この場合、例えば、サーバ装置20は、各商品の商品コードに関連付けて、当該商品コードに対応する商品の在庫数を管理する。具体的には、サーバ装置20は、POS端末30の各々で会計された商品の商品コードに基づき、予め登録された商品コード毎の在庫数から、会計された商品の点数を減算することで在庫数を順次更新する。
【0100】
また、例えば、値割引テーブル362は運用開始日時の項目に代えて、値割引シールLによる値割引を開始する時点での商品の在庫数(以下、運用開始在庫数ともいう)を記憶する。また、運用開始在庫数を用いない構成としてもよい。
【0101】
また、値割引設定テーブル363は、時間の項目に代えて、在庫数の変動単位に係る項目を記憶する。例えば、値割引設定テーブル363は、タイプ「D1」に係る変動単位として、在庫数の値をそのまま設定可能な項目を有してもよい。また、例えば、値割引設定テーブル363は、タイプ「P2」に係る変動単位として、運用開始在庫に対する現在の在庫数の割合を設定可能な項目を有してもよい。そして、T0~TEの項目には、各タイプの変動単位に応じたレンジ毎に値割引値が設定される。
【0102】
一方は、設定更新部301及び値割引値特定部305は、サーバ装置20が管理する在庫数、値割引テーブル362及び値割引設定テーブル363に基づき、値割引シールLが付された商品の在庫数から、当該商品の現在の値割引値を特定する。具体的には、設定更新部301及び値割引値特定部305は、値割引シールLが付された商品の在庫数や運用開始在庫数、当該値割引シールLのIDに係るタイプ、変動単位等に基づき、現在の値割引値を値割引設定テーブル363から特定する。
【0103】
例えば、タイプが「D1」、変動単位が在庫数そのものを示す場合、設定更新部301及び値割引値特定部305は、現在の在庫数を包含するレンジに設定された値割引値を特定する。また、タイプが「P2」、変動単位が運用開始在庫に対する現在の在庫数の割合を示す場合、設定更新部301及び値割引値特定部305は、運用開始在庫数と現在の在庫数から算出した割合に基づき、当該割合を包含するレンジに設定された値割引値を特定する。
【0104】
本変形例のPOS端末30によれば、上述した実施形態と同様に、商品に付された値割引シールLを用いて、当該値割引シールLに係る値割引値を、商品の在庫数等の変動単位に伴い動的に変化させることができる。したがって、本変形例のPOSシステム1では、上述した実施形態と同様、値割引シールLの貼り替えにかかる作業を省くことができるため、値割引シールLを用いた商品の値割引を動的且つ効率的に行うことができる。
【0105】
また、本変形例の構成によれば、店員等の従業員は、在庫を減らしたい商品に値割引シールLを貼付することで、在庫数に応じた値割引値で当該商品を販売することができる。これにより、例えば、店舗では、在庫数が少なくなるほど値割引値を大きく設定することで、対象となる商品の販売促進を効率的に行うことができる。
【0106】
(変形例2)
上述の実施形態では、POS端末30が電子棚札10の表示を制御する構成を説明した。しかしながら、電子棚札10の表示制御は、POS端末30以外の装置が行う構成としてもよい。
【0107】
一例として、サーバ装置20の制御部が、電子棚札10の表示制御を行う構成としてもよい。この場合、サーバ装置20は、値割引テーブル362及び値割引設定テーブル363を保持するとともに、設定更新部301及び棚札制御部302の機能構成を備えることで、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。なお、POS端末30の値割引値特定部305は、サーバ装置20が保持する値割引テーブル362及び値割引設定テーブル363を参照することで、自己のPOS端末30に入力された値割引シールLのIDに対応する値割引値を特定する。
【0108】
また、他の例として、電子棚札10の制御部が、自己の電子棚札10の表示制御を行う構成としてもよい。この場合、例えば、サーバ装置20は、値割引テーブル362及び値割引設定テーブル363を保持するとともに、設定更新部301の機能構成を備える。また、電子棚札10の各々は棚札制御部302の機能構成を備え、棚札制御部302が、サーバ装置20が保持する値割引テーブル362及び値割引設定テーブル363を参照しながら、自己の表示部11に表示する画面を制御する。これにより、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0109】
(変形例3)
上述の実施形態では、POS端末30の第2入力受付部304は、操作部42又はスキャナ部43を介して、値割引シールLのIDを取得する構成としたが、IDの入力方法はこれに限らないものとする。
【0110】
例えば、値割引シールLにRFIDタグ等の無線タグが付帯され、当該無線タグに値割引シールLのIDが記憶される場合には、POS端末30の第2入力受付部304は、RFIDリーダライタ等の読取装置を介してIDを取得してもよい。この場合、読取装置は、外部装置40としてI/O機器制御部35に接続することで、POS端末30で使用することができる。
【0111】
(変形例4)
上述の実施形態では、電子棚札10の表示画面を用いて、値割引シールLの現在の値割引値等を表示する構成としたが、表示対象の装置は電子棚札10に限らないものとする。例えば、POS端末30は、店舗内に設けられたサイネージ端末等の表示装置に指示情報を送信することで、当該表示装置に値割引シールLの現在の値割引値等を表示させてもよい。
【0112】
また、POS端末30は、自己のPOS端末30に接続された表示部41等の表示装置に、値割引シールLの現在の値割引値等を表示させてもよい。
【0113】
なお、上述の実施形態の各装置で実行されるプログラムは、ROMや記憶部等に予め組み込まれた状態で提供される。上述の実施形態の各装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0114】
さらに、上述の実施形態の各装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上述の実施形態の各装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
【0115】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態やその変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0116】
1 POSシステム
10 電子棚札
20 サーバ装置
30 POS端末
301 設定更新部
302 棚札制御部
303 第1入力受付部
304 第2入力受付部
305 値割引値特定部
306 商品登録部
307 会計処理部
361 商品マスタ
362 値割引テーブル
363 値割引設定テーブル
N ネットワーク
【先行技術文献】
【特許文献】
【0117】