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特開2024-26861緑葉素材を含有するゼリー状飲食用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026861
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】緑葉素材を含有するゼリー状飲食用組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/52 20060101AFI20240220BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20240220BHJP
   A23L 2/38 20210101ALI20240220BHJP
   A23L 7/10 20160101ALI20240220BHJP
   A23L 29/256 20160101ALI20240220BHJP
   A23L 29/238 20160101ALI20240220BHJP
   A23L 29/269 20160101ALI20240220BHJP
【FI】
A23L2/52
A23L2/00 B
A23L2/38 J
A23L7/10 Z
A23L29/256
A23L29/238
A23L29/269
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024006252
(22)【出願日】2024-01-18
(62)【分割の表示】P 2018093298の分割
【原出願日】2018-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏哉
(72)【発明者】
【氏名】阪田 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】松下 友郁
(72)【発明者】
【氏名】高垣 欣也
(57)【要約】
【課題】
本発明が解決しようとする課題は、緑葉素材を含有しながらも外観及び食感が改善され、並びに保存後の外観及び食感の劣化をより抑制する性質を有したゼリー状飲食用組成物を提供することにある。
【解決手段】
上記目的は、緑葉素材を含有するゼリー状飲食用組成物であって、前記組成物中の不溶性食物繊維の含有量が0.5質量%以上であることを特徴とする、ゼリー状飲食用組成物などにより解決される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑葉素材を含有するゼリー状飲食用組成物であって、前記組成物中の不溶性食物繊維の含有量が1.0質量%以上であることを特徴とする、前記ゼリー状飲食用組成物。
【請求項2】
前記緑葉素材が大麦若葉末を含有する素材である、請求項1に記載のゼリー状飲食用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑葉素材を含有するゼリー状飲食用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼリーは、糖や果汁などの食品素材をゲル化剤等で凝固させた水分を多く含む固体又は半固体の食品であり、弾力のある食感や様々な形状を形成できることから嗜好性が高く、菓子や料理等に多く用いられている。また、形態や味が飲食しづらい食品や薬を摂取し易くするためにゼリーが用いられたり、食品や飲料を持ち運びやすくし、いつでも摂取できるようにするためにゼリーが用いられたりもする。例えば栄養素を効率良く摂取するために、カテキン類やミネラルを含んだゼリーなども報告されている(特許文献1及び2)。
【0003】
一方、昨今の健康ブームにより、青汁が注目されている。青汁の主原料である緑葉野菜は栄養価が高く、例えば、緑葉野菜の1つである大麦若葉は、ビタミンやミネラル、アミノ酸、葉緑素、SOD酵素、食物繊維などが豊富な素材として知られており、その食物繊維には多くの不溶性食物繊維が含まれている。不溶性食物繊維には、摂取することで腸内に溜まった不要なものを包んで外に排出する整腸作用の性質があり、機能性の栄養素としての役割を有することから、大麦若葉の粉末や青汁は便通改善に有効であることが報告されている。
【0004】
また、青汁は飲料だけでなく、青汁の成分をより飲食しやくするために、又は持ち運んで気軽にいつでも摂取するために、青汁エキスを含む青汁ゼリーが報告されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-075085号公報
【特許文献2】特開2016-039811号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】青汁ゼリー 新日配薬品 http://www.sinnippai.co.jp/product.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、非特許文献1の青汁ゼリーは、形を保持する力が弱く、離水が多いため、ゼリーの外観は良好でなく、食欲がそそるものではない。また弾力が弱いことからゼリーを喫食した際の食感も乏しく嗜好性に欠ける。さらに、このゼリーは保存することで、外観及び食感は一層劣化する。
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、緑葉素材を含有しながらも外観及び食感が改善され、並びに保存後の外観及び食感の劣化をより抑制する性質を有したゼリー状飲食用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を積み重ねたところ、驚くべきことに、緑葉素材を含有し、ゼリー状飲食用組成物中の不溶性食物繊維の含有量を多くすることで、外観及び食感が改善され、並びに保存後の外観及び食感の劣化をより抑制する性質を有したゼリーを創作することに成功した。本発明はこのような成功に基づいて完成するに至った発明である。
【0010】
したがって、本発明の一態様のゼリー状飲食用組成物によれば、以下の[1]~[3]の態様のものが提供される。
[1]緑葉素材を含有するゼリー状飲食用組成物であって、前記組成物中の不溶性食物繊維の含有量が0.5質量%以上であることを特徴とする、前記ゼリー状飲食用組成物。
[2]前記緑葉素材が大麦若葉末を含有する素材である、[1]に記載のゼリー状飲食用組成物。
[3]前記不溶性食物繊維が前記緑葉素材に由来することを特徴とする、[1]又は[2]のいずれかに記載のゼリー状飲食用組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様であるゼリー状飲食用組成物によれば、緑葉素材を含有し、不溶性食物繊維の含有量が高いゼリー状飲食用組成物を得ることができる。さらに本発明の一態様であるゼリー状飲食用組成物は、緑葉素材を含有し、ゼリー状飲食用組成物中の不溶性食物繊維の含有量が高いことで、外観及び食感が改善したゼリー状飲食用組成物であり、加えて、保存後の外観及び食感の劣化を抑制する性質を有し、保存性が改善されたゼリー状飲食用組成物である。したがって、本発明の一態様であるゼリー状飲食用組成物によれば、緑葉素材に含まれる不溶性食物繊維などの栄養素をより効率的に、より愉しく摂取することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一態様であるゼリー状飲食用組成物の詳細について説明するが、本発明の技術的範囲は本項目の事項によってのみに限定されるものではなく、本発明はその目的を達成する限りにおいて種々の態様をとり得る。
【0013】
本発明の一態様のゼリー状飲食用組成物は、緑葉素材を含有し、該ゼリー状飲食用組成物中の不溶性食物繊維の含有量は0.5質量%以上である。
【0014】
本明細書におけるゼリーとは、通常知られているとおりの意味のゼリーであれば特に限定されず、例えば、ゲル化剤で凝固した、水分を多く含む固体又は半固体を意味する。本発明のゼリー状飲食用組成物における水分量は適宜設定できるが、好ましくは組成物中の20質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上であり、特に好ましくは50質量%以上である。また、噛み応え、咀嚼しやすさ、咀嚼時の異物感等の嗜好性の観点から、99質量%以下が好ましく、より好ましくは95質量%以下であり、特に好ましくは90質量%以下である。
【0015】
ゲル化剤は、通常知られているとおりの意味のゲル化剤であれば特に限定されず、例えば、寒天、カラギーナン、ジェランガム、ファーセレラン、カードラン、サイリュードシードガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、グアーガム、ペクチン、アルギン酸、アルギン酸塩、マンナン及びタマリンドガム等の増粘多糖類並びにゼラチンなどが挙げられ、1種単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。本発明のゼリー状飲食用組成物に使用できるゲル化剤としては、食感や風味の観点から、好ましくは寒天、カラギーナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ジェランガム、タマリンドガム、ゼラチンから選ばれる1種以上、より好ましくはカラギーナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ジェランガム、タマリンドガムから選ばれる1種以上、特に好ましくはカラギーナン、ローカストビーンガム、キサンタンガムから選ばれる1種以上である。
【0016】
ゼリー状飲食用組成物中のゲル化剤の量は、ゲル化可能であれば特に限定されないが、例えば0.1~10.0質量%である。
【0017】
緑葉素材は、通常知られているとおりの意味の緑葉素材であれば、特に限定されず、例えば、緑葉野菜の茎葉の加工物を含む組成物である。本明細書では、「茎及び/又は葉」を「茎葉」とよぶ。緑葉野菜は通常知られているとおりの意味の緑葉野菜であれば特に限定されず、例えば大麦若葉、ハトムギ若葉、ケール、明日葉、クマザサ、ヨモギ、長命草、桑の葉、茶葉、ほうれん草、水菜、かぶの葉、セロリ、小松菜、大根の葉、人参の葉、ブロッコリー、しそ、春菊、パセリ、キャベツ、レタスなどが挙げられる。緑葉野菜の茎葉の加工物は、通常知られる植物体の加工物であれば特に限定されず、例えば粉砕物及びその乾燥粉末(粉砕末とも言う)、細片化物、搾汁及びその乾燥粉末(搾汁末とも言う)並びに抽出物及びその乾燥粉末(抽出末とも言う)などが挙げられるが、ゼリー状飲食用組成物にしたときの舌触りや食感及びゼリー状飲食用組成物に含まれる栄養成分の点で、粉砕末が好ましい。緑葉素材は上記に例示したものの1種類を単独で、又は2種類以上を組合せて使用することができる。
【0018】
緑葉野菜の茎葉を粉砕末にする方法は従来公知の植物体を粉砕末化する方法を用いることができる。そのような方法としては、緑葉野菜の茎葉に対して、乾燥処理及び粉砕処理を組み合わせた方法を用いることができる。乾燥処理及び粉砕処理はいずれを先に行ってもよいが、ゼリー状飲食用組成物にしたときの食感や外観の点から、乾燥処理を先に行うことが好ましい。粉砕末化は、この方法に、さらに必要に応じてブランチング処理、殺菌処理などの処理から選ばれる1種又は2種以上の処理を組み合わせてもよい。
【0019】
乾燥処理は特に限定されないが、例えば、緑葉野菜の茎葉の水分含量が10%以下、好ましくは5%以下となるように乾燥する処理が挙げられる。乾燥処理方法は、例えば、熱風乾燥、高圧蒸気乾燥、電磁波乾燥、遠赤外線乾燥、凍結乾燥などの当業者に公知の植物体を乾燥する方法により行われ得る。加熱による乾燥は、加温により緑葉野菜の茎葉が変色しない温度及び時間で行われ、例えば、乾燥温度は40℃~140℃の範囲で、数時間から数十時間である。ゼリー状飲食用組成物にしたときの食感や色の鮮やかさの点から、低温乾燥時の温度は40℃~70℃程度にて、高温乾燥時の温度は70℃~110℃程度にて行うのが好ましい。また、乾燥処理の回数は1回又は2回以上としてもよい。例えば、遠赤外線などを用いて40℃~70℃程度にて数時間~数十時間で低温乾燥処理に供した後に、80℃~100℃程度にて数時間~数十時間で高温乾燥処理に供することなどが挙げられる。
【0020】
粉砕処理は特に限定されないが、例えば、手作業やクラッシャー、ミル、ブレンダー、石臼などの粉砕用の機器や器具などを用いて、当業者が通常使用する任意の方法により緑葉野菜の茎葉を粉砕する処理が挙げられる。粉砕された緑葉野菜の茎葉は、必要に応じて篩にかけられ、例えば、ゼリー状飲食用組成物にしたときの食感、舌触りの点から、200メッシュを通過するものを緑葉野菜の茎葉の粉末として用いることが好ましく、200メッシュ以下の比率が90質量%以上であることが好ましい。また、粉砕処理の回数は1回又は2回以上としてもよく、例えば、手作業などで粗粉砕処理に供した後に、粉砕機などを用いてより細かく粉砕する微粉砕処理に供することなどが挙げられる。
【0021】
具体的な緑葉野菜の茎葉を粉砕末にする方法としては、例えば、緑葉野菜の茎葉を切断した後、ブランチング処理を行い、次いで水分含量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥し、その後粉砕する方法が挙げられる(特開2004-000210号公報を参照)。この他にも、例えば、緑葉野菜の茎葉を切断した後、ブランチング処理を行い、次いで揉捻し、その後、乾燥し、粉砕する方法(特開2002-065204号公報、特許第3428956号公報を参照);緑葉野菜の茎葉を乾燥し、粗粉砕した後、110℃以上で加熱し、さらに微粉砕する方法(特開2003-033151号公報、特許第3277181号公報を参照)などが挙げられる。
【0022】
緑葉野菜の茎葉を細片化する方法は特に限定されないが、例えば、スライス、破砕、細断などの当業者が植物体を細片化する際に通常使用する方法を用いることができる。
【0023】
緑葉野菜の茎葉を搾汁する方法は特に限定されないが、例えば、緑葉野菜の茎葉又はその細片化物を圧搾する方法、該細片化物を遠心やろ過する方法など当業者が植物体を搾汁する際に通常使用する方法を用いることができる。搾汁は、特に限定されないが従来の液体を濃縮させる方法によって必要に応じて濃縮してもよい。搾汁は、特に限定されないが例えば凍結乾燥、減圧乾燥などの従来の液体を乾燥させる方法によって乾燥させてもよい。
【0024】
緑葉野菜の茎葉の抽出物を得る方法は特に限定されないが、例えば、緑葉野菜の茎葉又はその細片化物に、エタノール、水、含水エタノール、アセトン、ヘキサン、ジクロロメタンなどの当業者が通常用いる抽出溶媒を加え、必要に応じて攪拌や加温して抽出する方法など当業者が植物体を抽出する際に通常使用する方法を用いることができる。抽出物は、特に限定されないが従来の液体を濃縮させる方法によって必要に応じて濃縮してもよい。また抽出物は、特に限定されないが例えば凍結乾燥、減圧乾燥などの従来の液体を乾燥させる方法によって乾燥させてもよい。
【0025】
不溶性食物繊維とは、食物に含まれている食物繊維の中で水に不溶であり、酵素-重量法などの当業者が用いる測定方法によって定量される植物性繊維または動物性繊維である。具体的には、例えば、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチン、キトサン、これらの誘導体が挙げられる。
【0026】
本発明のゼリー状飲食用組成物は、ゼリー状飲食用組成物中の不溶性食物繊維の含有量が高いことで、外観及び食感の点で優れ、保存時の外観及び食感の劣化を抑制する性質を有する点から、緑葉素材由来の不溶性食物繊維を含有することが好ましい。
【0027】
本発明の一態様のゼリー状飲食用組成物中の不溶性食物繊維の含有量は、噛み応えの点から、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは0.7質量%以上、特に好ましくは1.0質量%以上、とりわけ1.5質量%以上である。本発明の一態様のゼリー状飲食用組成物中の不溶性食物繊維の含有量は、咀嚼しやすさや咀嚼時の異物感の点から、好ましくは20.0質量%以下、より好ましくは15.0質量%以下、特に好ましくは10.0質量%以下である。ゼリー状飲食用組成物中の不溶性食物繊維量は、上述した方法、例えば酵素-重量法により分析することができる。
【0028】
ゼリー状飲食用組成物に含まれる緑葉素材の含有量は、特に限定されないが、外観や食感の点から、例えば、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、特に好ましくは2.0質量%以上、とりわけ3.0質量%以上である。ゼリー状飲食用組成物中の緑葉素材の含有量は、咀嚼しやすさや咀嚼時の異物感の点から、好ましくは40.0質量%以下、より好ましくは30.0質量%以下、特に好ましくは20.0質量%以下である。
【0029】
緑葉素材中の不溶性食物繊維の含有量は、特に限定されないが、好ましくは10.0質量%以上、より好ましくは20.0質量%以上、特に好ましくは30.0質量%以上である。緑葉素材中の不溶性食物繊維量は、上述した方法、例えば酵素-重量法により分析することができる。
【0030】
緑葉素材が搾汁末並びに抽出末の場合は、ゼリー状飲食用組成物中に、不溶性食物繊維を含有する植物体の乾燥粉末を併用することが好ましい。植物体としては、例えば、緑葉素材、小麦、大麦、エン麦、トウモロコシ、甜菜、サトウキビ、じゃがいも、リンゴ、オレンジ、大豆、エンドウ豆、夕顔など、特に制限はないが、外観及び食感の観点から、緑葉素材由来の粉砕末を使用することが特に好ましい。
【0031】
本発明の一態様のゼリー状飲食用組成物は、大麦若葉末を含有する緑葉素材を含有する。大麦若葉末を含有することで、ゼリー状飲食用組成物がより多くの不溶性食物繊維を含むことができる。
【0032】
大麦若葉末とは大麦若葉の茎葉の乾燥粉末であり、粉砕末、搾汁末及び抽出末が含まれる。大麦は通常知られているとおりの意味の、中央アジア原産とされ、イネ科に属する一年生又は越年生草本である大麦(Hordeum vulgare)であれば特に限定されない。大麦若葉とは、通常知られているとおりの意味の大麦若葉であれば特に限定されず、例えば、大麦の若い葉の部分を指しており、20~30cmに育った状態で収穫したものを意味する。
【0033】
ゼリー状飲食用組成物は、飲食しやすくするため、更に、甘味料を含有することができる。甘味料としては、天然又は合成の甘味料のいずれでもよく、例えば、グルコース、フルクトース、スクロース、マンニトール、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、還元麦芽糖水あめ、還元水あめ、還元乳糖、キシリトール、エリスリトール又はソルビトールなど及びこれらの任意の混合物が挙げられる。甘味料の添加量は通常のゼリーの製造に用いられる量であれば特に限定されない。
【0034】
ゼリー状飲食用組成物は、更に必要に応じてゲル化を促進又は補助するための添加剤を添加してもよい。添加剤は通常ゼリーのゲル化に用いられるものであれば特に限定されないが、例えばクエン酸、リンゴ酸、乳酸、酢酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、フィチン酸、リン酸及びこれらの塩などの酸、カルシウムイオンなどのイオン、並びにデキストリンなどの多糖類が挙げられる。添加剤の添加量は、通常のゼリーの製造に用いられる量であれば特に限定されず、例えばクエン酸ナトリウムは0.01~2.0質量%、乳酸カルシウムは0.01~0.1質量%、リン酸二水素カリウムは0.01~0.1質量%、デキストリンは0.1~2.0質量%である。
【0035】
ゼリー状飲食用組成物は、更にビタミン類、タンパク質、ミネラル類、水溶性食物繊維、乳、豆乳、野菜、果物、乳酸菌、納豆菌、酵母、麹菌、酪酸菌、着色料、酸味料、安定剤、香料などの各種添加物を添加してもよい。
【0036】
ゼリー状飲食用組成物の製造方法は、従来公知のゼリーを製造する方法であれば特に限定されず、例えば、ゲル化剤を熱水に溶解させた溶液と、緑葉素材を熱水に懸濁させた溶液とを均一になるように混合して混合溶液を作製し、該混合溶液を容器に充填し、次いで該容器を密閉して殺菌した後、放冷固化して、ゼリー状飲食用組成物を得ることができる。また、ゼリー状飲食用組成物には上記の甘味料、ゲル化を促進又は補助するための添加剤及びその他の各種添加物から選ばれる1種以上を添加してもよい。緑葉素材、甘味料、ゲル化を促進又は補助するための添加剤及び各種添加物は固体又は溶液の状態で、固体のゲル化剤又はゲル化剤を溶解させた溶液と混合させてもよい。
【0037】
ゲル化剤を溶解させる溶液の温度はゲル化剤が溶解する温度であれば特に限定されず、例えば50℃~100℃である。またゲル化剤が溶解した溶液を固化させる温度はゲル化剤が固化する温度であれば特に限定されず、例えば0℃~40℃である。また加熱又は冷却方法は、従来公知のゼリーを製造する方法で用いられる方法であれば特に限定されない。
【0038】
ゼリー状飲食用組成物を充填する容器は、従来公知のゼリーを製造する方法で用いられる容器であれば特に限定されず、例えばスティック状の包装物、プラスチックカップ、チアパック等のパウチ、金属容器、PETボトルなどが挙げられる。
【0039】
ゼリー状飲食用組成物を殺菌する方法は、従来公知のゼリーを製造する方法で用いられる方法であれば特に限定されず、ゼリー状飲食用組成物の組成、容器の種類や保存条件に合わせて、適宜選択すればよい。例えば、加圧加熱殺菌又は加熱殺菌などが挙げられる。殺菌の温度及び時間はゼリー状飲食用組成物の組成、容器の種類や保存条件に合わせて適宜選択すればよく、特に限定されないが、緑葉素材の色の劣化及びゼリーの形状の保持の点から、約90℃で15~20分間の加熱殺菌が好ましい。
【0040】
本発明のゼリー状飲食用組成物は、不溶性食物繊維を含有する緑葉素材を使用することにより、食感や外観が優れていることから嗜好性が高く、より愉しく効率的に不溶性食物繊維を摂取することができる。さらに不溶性食物繊維に加え、緑葉素材由来のビタミンやミネラル、アミノ酸、葉緑素、SOD酵素などの栄養素も同時に摂取することができ、健康面においても良好なゼリー状飲食用組成物である。また、保存後の外観及び食感の劣化を抑制する性質を有していることから、本発明のゼリー状飲食用組成物を長時間携帯することも可能であり、例えば、旅行先や乗物による移動中などでも本発明のゼリー状飲食用組成物を愉しく喫食して不溶性食物繊維やその他の栄養素を摂取することができる。これは、日常的にかつ継続的な不溶性食物繊維の摂取を可能とするものである。
【0041】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の態様をとることができる。
【実施例0042】
大麦若葉末又はアップルファイバーを含有するゼリーを製造し、その製造した各ゼリーについて官能評価を実施し、各ゼリーの外観及び食感を評価した。
【0043】
[例1.不溶性食物繊維含有ゼリーの製造]
表1に示す配合比でゼリーを製造した。表1に示す数値は質量%である。大麦若葉末として大麦若葉の粉砕末(東洋新薬株式会社製)を用いた。また、アップルファイバーは市販品を用いた。なお、大麦若葉末及びアップルファイバーは不溶性食物繊維を含む素材である。大麦若葉末に含まれる不溶性食物繊維の含有量は酵素-重量法により測定した。
【0044】
熱水にカラギーナン、ローカストビーンガム、キサンタンガムを溶解させ、溶液1を得た。また、熱水にクエン酸を除いた他の材料を懸濁し、溶液2を得た。前記溶液1と前記溶液2とを混合して混合溶液を作製し、得られた混合溶液にクエン酸を添加した後、該混合溶液全体が均一になるよう撹拌して容器に充填した。前記容器を密閉し、90℃のウォーターバスで15~20分間加熱殺菌した後、常温で1日放冷して固化させ、大麦若葉末含有ゼリー(実施例1及び2)及びアップルファイバー含有ゼリー(比較例1)を得た。大麦若葉末を用いることで、不溶性食物繊維を多く含んだゼリーを得ることができた。
【0045】
【表1】
【0046】
[例2.製造直後の不溶性食物繊維含有ゼリーの官能評価]
被験者8名に対して、実施例1及び2の大麦若葉末含有ゼリー並びに比較例1のアップルファイバー含有ゼリーの官能評価を実施した。評価項目は、外観(色(鮮やかさ)、形の保持、離水(離水のなさ))及び食感(弾力、ざらつき(舌触りのよさ)、口残り(後味のよさ)、切れやすさ)について行った。評価については下記に示すとおり、実施例1を基準の5点として、良い場合を1点、悪い場合を9点とし、各被験者が各項目に1~9点の点数を付けた。その結果として、各項目の平均点を表2に示す。
【0047】
評価 点数
良い :1点
実施例1と同じ:5点
悪い :9点
【0048】
【表2】
【0049】
表2に示すとおり、得られた実施例1及び2の大麦若葉末含有ゼリーは、色(鮮やかさ)、形の保持、離水(離水のなさ)、弾力、ざらつき(舌触りのよさ)、口残り(後味のよさ)及び切れやすさのいずれの項目においても、比較例1のゼリーと比較して高い評価であった。大麦若葉を用い、ゼリー中の不溶性食物繊維の含有量が高いことで、外観及び食感がより改善された大麦若葉末含有ゼリーを得ることができた。
【0050】
[例3.加速試験条件で保存したゼリーの官能評価]
実施例1及び2の大麦若葉末含有ゼリー並びに比較例1のアップルファイバー含有ゼリーを60℃で7日間(加速試験条件)保存した。被験者8名に対して、7日間保存後に得られた各サンプルの官能評価を実施した。各評価項目は、外観(色(鮮やかさ)、形の保持、離水(離水のなさ)、均一性)及び食感(弾力、ざらつき(舌触りのよさ)、口残り(後味のよさ)、切れやすさ)について行った。評価については下記に示すとおり、各製造直後のゼリーを基準の1点として、悪い場合を5点とし、各被験者が各項目に1~5点の点数を付けた。その結果として各項目の平均点を表3に示す。
【0051】
評価 点数
製造直後と同じ:1点
悪い :5点
【0052】
【表3】
【0053】
表3に示すとおり、60℃で7日間保存後の実施例1及び2の大麦若葉末含有ゼリーは、色(鮮やかさ)、形の保持、離水(離水のなさ)、均一性、弾力、ざらつき(舌触りのよさ)、口残り(後味のよさ)及び切れやすさのいずれの項目においても、60℃で7日間保存後の比較例1のゼリーと比較して高い評価であった。大麦若葉を用い、ゼリー中の不溶性食物繊維の含有量が高いことで、保存後の外観及び食感の劣化をより抑制する性質を有する大麦若葉末含有ゼリーを得ることができた。
【0054】
[製造例1]
表4に記載の成分からなる青汁ゼリーを製造した。得られた青汁ゼリーは外観及び食感に優れ、保存後の劣化が抑制されていた。
【0055】
【表4】
【0056】
[製造例2]
表5に記載の成分からなる青汁ゼリーを製造した。得られた青汁ゼリーは外観及び食感に優れ、保存後の劣化が抑制されていた。
【0057】
【表5】
【0058】
以上のとおり、大麦若葉末含有ゼリーは、大麦若葉を用いることで、不溶性食物繊維を多く含有したゼリーを得ることができた。さらに大麦若葉を用いることで外観及び食感が改善された大麦若葉末含有ゼリーを得ることができ、並びに保存後の外観及び食感の劣化を抑制する性質を有した大麦若葉末含有ゼリーを得ることができた。