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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026876
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】線維芽細胞結合物質およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20240220BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240220BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240220BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240220BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20240220BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240220BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240220BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240220BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 5/40 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 5/14 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 31/704 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 33/243 20190101ALI20240220BHJP
   A61K 47/55 20170101ALI20240220BHJP
   A61K 38/21 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/62 Z
C07K16/28
C07K19/00
C07K16/18
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61P35/00
A61P31/00
A61P37/02
A61P43/00 105
A61P35/02
A61K45/00
A61P25/28
A61P25/00
A61P3/10
A61P13/12
A61P1/04
A61P17/00
A61P25/08
A61P1/16
A61P5/40
A61P5/14
A61P21/00
A61P27/16
A61P37/06
A61P7/06
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P21/04
A61P7/00
A61K31/704
A61K33/243
A61K47/55
A61K38/21
A61K39/395 N
A61K39/395 U
【審査請求】有
【請求項の数】103
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024006557
(22)【出願日】2024-01-19
(62)【分割の表示】P 2020564042の分割
【原出願日】2019-02-05
(31)【優先権主張番号】62/626,453
(32)【優先日】2018-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520292534
【氏名又は名称】オリオニス バイオサイエンシーズ,インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】518275408
【氏名又は名称】ブイアイビー ブイゼットダブリュー
(71)【出願人】
【識別番号】516003702
【氏名又は名称】ユニバーシテイト ヘント
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】クレイ,ニコライ
(72)【発明者】
【氏名】タヴェルニエ,ジャン
(72)【発明者】
【氏名】カウウェルス,アンジェ
(57)【要約】
【課題】線維芽細胞に関連する疾患を治療するための組成物および方法の提供。
【解決手段】F2線維芽細胞を標的とするターゲティング部分を含む線維芽細胞結合物質であって、F2線維芽細胞を含む疾患微小環境を直接的または間接的に変化させる、線維芽細胞結合物質、ならびに治療薬または診断薬としてのそれらの使用。
【選択図】図14A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
F2線維芽細胞を標的とするターゲティング部分を含む線維芽細胞結合物質であって、前記F2線維芽細胞を含む疾患微小環境を直接的または間接的に変化させる、線維芽細胞結合物質。
【請求項2】
前記F2線維芽細胞を直接的または間接的に極性化する、請求項1に記載の線維芽細胞結合物質。
【請求項3】
FAPマーカーを標的とする、請求項1または2に記載の線維芽細胞結合物質。
【請求項4】
線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)を標的としかつ3つの相補性決定領域(CDR1、CDR2、およびCDR3)を含む少なくとも1つのターゲティング部分を含み、
(a)CDR1が、1~5個のアミノ酸置換、欠失、または挿入を伴い配列番号95のアミノ酸配列または配列番号87~94もしくは配列番号96~115のいずれか1つを有するアミノ酸配列または配列番号87~115のいずれか1つを有するアミノ酸配列を含み、
(b)CDR2が、1~5個のアミノ酸置換、欠失、または挿入を伴い配列番号121のアミノ酸配列または配列番号116~120もしくは配列番号122~144のいずれか1つを有するアミノ酸配列または配列番号116~144のいずれか1つを有するアミノ酸配列を含み;および
(c)CDR3が、1~5個のアミノ酸置換、欠失、または挿入を伴い配列番号152のアミノ酸配列または配列番号145~151もしくは配列番号153~175のいずれか1つを有するアミノ酸配列または配列番号145~175のいずれか1つを有するアミノ酸配列を含む、
請求項3に記載の線維芽細胞結合物質。
【請求項5】
前記ターゲティング部分が、完全長抗体、単一ドメイン抗体、組換え重鎖のみの抗体(VHH)、単鎖抗体(scFv)、サメ重鎖のみの抗体(VNAR)、マイクロタンパク質、darpin、アンチカリン、アドネクチン、アプタマー、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)、ペプチド模倣分子、受容体に対する天然リガンド、または合成分子である、請求項1~4のいずれか1項に記載の線維芽細胞結合物質。
【請求項6】
前記ターゲティング部分が、単一ドメイン抗体である、請求項4に記載の線維芽細胞結合物質。
【請求項7】
前記ターゲティング部分が、VHH、ヒト化VHH、またはラクダ化VHHを含む、請求項6に記載の線維芽細胞結合物質。
【請求項8】
前記ターゲティング部分が、配列番号58、または配列番号2~42、46~57、もしくは59~86のいずれか1つとの少なくとも90%の配列類似性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の線維芽細胞結合物質。
【請求項9】
1種または複数のシグナル伝達物質をさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の線維芽細胞結合物質。
【請求項10】
前記シグナル伝達物質が、インターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子、およびそれらの改変型の1種または複数から選択される、請求項9に記載の線維芽細胞結合物質。
【請求項11】
前記シグナル伝達物質が、配列番号176または177との少なくとも95%の同一性を有しかつ配列番号176もしくは177を基準にして位置144~154でまたは配列番号176もしくは177を基準にして位置L15、A19、R22、R23、L26、F27、L30、L30、K31、D32、R33、H34、D35、Q40、H57、E58、Q61、F64、N65、T69、L80、Y85、Y89、D114、L117、R120、R125、K133、K134、R144、A145、A145、M148、R149、S152、L153、およびN156の1つもしくは複数で変異を有するアミノ酸配列を含む変異体インターフェロンアルファ2(IFN-α2)である、請求項10に記載の線維芽細胞結合物質。
【請求項12】
前記変異体IFN-α2が、位置R149、M148、またはL153で1つまたは複数の変異を有する、請求項11に記載の線維芽細胞結合物質。
【請求項13】
前記変異が、配列番号176または177を基準にしてL15A、A19W、R22A、R23A、L26A、F27A、L30A、L30V、K31A、D32A、R33K、R33A、R33Q、H34A、D35A、Q40A、H57Y、E58N、Q61S、F64A、N65A、T69A、L80A、Y85A、Y89A、D114R、L117A、R120A、R125A、K133A、K134A、R144A、A145G、A145M、M148A、R149A、S152A、L153A、およびN156Aの1つまたは複数、場合によりM148A、R149A、またはL153Aである、請求項12に記載の線維芽細胞結合物質。
【請求項14】
1つまたは複数の追加のターゲティング部分を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の線維芽細胞結合物質。
【請求項15】
前記1つまたは複数の追加のターゲティング部分が、腫瘍抗原を認識するまたは機能的に調節する、請求項14に記載の線維芽細胞結合物質。
【請求項16】
前記1つまたは複数の追加のターゲティング部分が、免疫細胞上の抗原を認識するまたは機能的に調節する、請求項14に記載の線維芽細胞結合物質。
【請求項17】
前記免疫細胞が、T細胞、B細胞、樹状細胞、マクロファージ、好中球、およびNK細胞から選択される、請求項16に記載の線維芽細胞結合物質。
【請求項18】
細胞傷害性T細胞を腫瘍細胞にまたは腫瘍微小環境に動員する、請求項1~17のいずれかに記載の線維芽細胞結合物質。
【請求項19】
前記1つまたは複数の追加のターゲティング部分が、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、OX40L、OX40、CD20、XCR1、およびClec9Aを認識するまたは機能的に調節する、請求項14に記載の線維芽細胞結合物質。
【請求項20】
実質的にFAPの活性を機能的に調節することなくFAPを認識するまたは結合する、請求項1~19のいずれかに記載の線維芽細胞結合物質。
【請求項21】
線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)を標的としかつ3つの相補性決定領域(CDR1、CDR2、およびCDR3)を含む少なくとも1つのターゲティング部分を含む線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)結合物質であって、
(a)CDR1が、1~5個のアミノ酸置換、欠失、または挿入を伴い配列番号95のアミノ酸配列または配列番号87~94もしくは配列番号96~115のいずれか1つを有するアミノ酸配列または配列番号87~115のいずれか1つを有するアミノ酸配列を含み、
(b)CDR2が、1~5個のアミノ酸置換、欠失、または挿入を伴い配列番号121のアミノ酸配列または配列番号116~120もしくは配列番号122~144のいずれか1つを有するアミノ酸配列または配列番号116~144のいずれか1つを有するアミノ酸配列を含み;および
(c)CDR3が、1~5個のアミノ酸置換、欠失、または挿入を伴い配列番号152のアミノ酸配列または配列番号145~151もしくは配列番号153~175のいずれか1つを有するアミノ酸配列または配列番号145~175のいずれか1つを有するアミノ酸配列を含む、
線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)結合物質。
【請求項22】
前記ターゲティング部分が、単一ドメイン抗体、組換え重鎖のみの抗体(VHH)、単鎖抗体(scFv)、サメ重鎖のみの抗体(VNAR)、マイクロタンパク質、darpin、アンチカリン、アドネクチン、アプタマー、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2、ペプチド模倣分子、受容体に対する天然リガンド、または合成分子である、請求項21に記載のFAP結合物質。
【請求項23】
前記ターゲティング部分が、単一ドメイン抗体である、請求項21に記載のFAP結合物質。
【請求項24】
前記ターゲティング部分が、VHH、ヒト化VHH、またはラクダ化VHHを含む、請求項23に記載のFAP結合物質。
【請求項25】
前記ターゲティング部分が、配列番号58または配列番号2~42、46~57、もしくは59~86のいずれか1つとの少なくとも90%の配列類似性を有するアミノ酸配列を含む、請求項21~24のいずれか1項に記載のFAP結合物質。
【請求項26】
1種または複数のシグナル伝達物質を含む、請求項21~25のいずれか1項に記載のFAP結合物質。
【請求項27】
前記シグナル伝達物質が、インターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子、およびそれらの改変型の1種または複数から選択される、請求項26に記載のFAP結合物質。
【請求項28】
前記シグナル伝達物質が、配列番号176または177との少なくとも95%の同一性を有しかつ配列番号176もしくは177を基準にして位置144~154でまたは配列番号176もしくは177を基準にして位置L15、A19、R22、R23、L26、F27、L30、L30、K31、D32、R33、H34、D35、Q40、H57、E58、Q61、F64、N65、T69、L80、Y85、Y89、D114、L117、R120、R125、K133、K134、R144、A145、A145、M148、R149、S152、L153、およびN156の1つもしくは複数で変異を有するアミノ酸配列を含む変異体インターフェロンアルファ2(IFN-α2)である、請求項27に記載のFAP結合物質。
【請求項29】
前記変異体IFN-α2が、位置R149、M148、またはL153で1つまたは複数の変異を有する、請求項28に記載のFAP結合物質。
【請求項30】
前記変異が、配列番号176または177を基準にしてL15A、A19W、R22A、R23A、L26A、F27A、L30A、L30V、K31A、D32A、R33K、R33A、R33Q、H34A、D35A、Q40A、H57Y、E58N、Q61S、F64A、N65A、T69A、L80A、Y85A、Y89A、D114R、L117A、R120A、R125A、K133A、K134A、R144A、A145G、A145M、M148A、R149A、S152A、L153A、およびN156A、場合によりM148A、R149A、またはL153Aである、請求項29に記載のFAP結合物質。
【請求項31】
1つまたは複数の追加のターゲティング部分を含む、請求項21~30のいずれか1項に記載のFAP結合物質。
【請求項32】
前記1つまたは複数の追加のターゲティング部分が、腫瘍抗原を認識するまたは機能的に調節する、請求項31に記載のFAP結合物質。
【請求項33】
前記1つまたは複数の追加のターゲティング部分が、免疫細胞上の抗原を認識するまたは機能的に調節する、請求項32に記載のFAP結合物質。
【請求項34】
前記免疫細胞が、T細胞、B細胞、樹状細胞、マクロファージ、好中球、およびNK細胞から選択される、請求項33に記載のFAP結合物質。
【請求項35】
細胞傷害性T細胞を腫瘍細胞にまたは腫瘍微小環境に動員する、請求項21~34のいずれか1項に記載のFAP結合物質。
【請求項36】
前記1つまたは複数の追加のターゲティング部分が、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、OX40L、OX40、CD20、XCR1、およびClec9Aを認識するまたは機能的に調節する、請求項31に記載のFAP結合物質。
【請求項37】
実質的にFAPの活性を機能的に調節することなくFAPを認識するまたは結合する、請求項21~36のいずれかに記載のFAP結合物質。
【請求項38】
少なくとも1つのターゲティング部分および1種のシグナル伝達物質、
を含むキメラタンパク質であって、
前記ターゲティング部分が、疾患関連の線維芽細胞を標的とし、かつ
前記キメラタンパク質が、前記疾患関連の線維芽細胞の機能および/または前記疾患関連の線維芽細胞を含む疾患微小環境を直接的または間接的に変化させる、
キメラタンパク質。
【請求項39】
前記疾患関連の線維芽細胞を直接的または間接的に極性化する、請求項38に記載のキメラタンパク質。
【請求項40】
前記疾患関連の線維芽細胞が、癌、感染症、免疫異常、自己免疫疾患、線維性疾患、および心臓血管疾患から選択される疾患に関連する、請求項38または39に記載のキメラタンパク質。
【請求項41】
前記ターゲティング部分が、F2線維芽細胞を標的とする、請求項38~40のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項42】
前記ターゲティング部分が、FAP結合物質である、請求項38~41いずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項43】
前記FAP結合物質が、3つの相補性決定領域(CDR1、CDR2、およびCDR3)を含み、
(a)CDR1が、1~5個のアミノ酸置換、欠失、または挿入を伴い配列番号95のアミノ酸配列または配列番号87~94もしくは配列番号96~115のいずれか1つを有するアミノ酸配列または配列番号87~115のいずれか1つを有するアミノ酸配列を含み、
(b)CDR2が、1~5個のアミノ酸置換、欠失、または挿入を伴い配列番号121のアミノ酸配列または配列番号116~120もしくは配列番号122~144のいずれか1つを有するアミノ酸配列または配列番号116~144のいずれか1つを有するアミノ酸配列を含み;および
(c)CDR3が、1~5個のアミノ酸置換、欠失、または挿入を伴い配列番号152のアミノ酸配列または配列番号145~151もしくは配列番号153~175のいずれか1つを有するアミノ酸配列または配列番号145~175のいずれか1つを有するアミノ酸配列を含む、
請求項42に記載のキメラタンパク質。
【請求項44】
前記ターゲティング部分が、完全長抗体、単一ドメイン抗体、組換え重鎖のみの抗体(VHH)、単鎖抗体(scFv)、サメ重鎖のみの抗体(VNAR)、マイクロタンパク質、darpin、アンチカリン、アドネクチン、アプタマー、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)、ペプチド模倣分子、受容体に対する天然リガンド、または合成分子である、請求項38~43のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項45】
前記ターゲティング部分が、単一ドメイン抗体である、請求項44に記載のキメラタンパク質。
【請求項46】
前記ターゲティング部分が、VHH、ヒト化VHH、またはラクダ化VHHを含む、請求項45に記載のキメラタンパク質。
【請求項47】
前記ターゲティング部分が、配列番号58または配列番号2~42、46~57、もしくは59~86のいずれか1つとの少なくとも90%の配列類似性を有するアミノ酸配列を含む、請求項38~46のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項48】
前記FAP結合物質が、1種または複数のシグナル伝達物質を含む、請求項38~47のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項49】
前記シグナル伝達物質が、インターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子、およびそれらの改変型の1種または複数から選択される、請求項48に記載のキメラタンパク質。
【請求項50】
前記シグナル伝達物質が、配列番号176または177との少なくとも95%の同一性を有しかつ配列番号176もしくは177を基準にして位置144~154でまたは配列番号176もしくは177を基準にして位置L15、A19、R22、R23、L26、F27、L30、L30、K31、D32、R33、H34、D35、Q40、H57、E58、Q61、F64、N65、T69、L80、Y85、Y89、D114、L117、R120、R125、K133、K134、R144、A145、A145、M148、R149、S152、L153、およびN156の1つもしくは複数で変異を有するアミノ酸配列を含む変異体インターフェロンアルファ2(IFN-α2)である、請求項48に記載のキメラタンパク質。
【請求項51】
前記変異体IFN-α2が、位置R149、M148、またはL153で1つまたは複数の変異を有する、請求項50に記載のキメラタンパク質。
【請求項52】
前記変異が、配列番号176または177を基準にしてL15A、A19W、R22A、R23A、L26A、F27A、L30A、L30V、K31A、D32A、R33K、R33A、R33Q、H34A、D35A、Q40A、H57Y、E58N、Q61S、F64A、N65A、T69A、L80A、Y85A、Y89A、D114R、L117A、R120A、R125A、K133A、K134A、R144A、A145G、A145M、M148A、R149A、S152A、L153A、およびN156A、場合によりM148A、R149A、またはL153Aである、請求項51に記載のキメラタンパク質。
【請求項53】
前記FAP結合物質が、1つまたは複数の追加のターゲティング部分を含む、請求項38~52のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項54】
前記1つまたは複数の追加のターゲティング部分が、腫瘍抗原を認識するまたは機能的に調節する、請求項53に記載のキメラタンパク質。
【請求項55】
前記1つまたは複数の追加のターゲティング部分が、免疫細胞上の抗原を認識するまたは機能的に調節する、請求項53に記載のキメラタンパク質。
【請求項56】
前記免疫細胞が、T細胞、B細胞、樹状細胞、マクロファージ、好中球、およびNK細胞から選択される、請求項55に記載のキメラタンパク質。
【請求項57】
細胞傷害性T細胞を腫瘍細胞にまたは腫瘍微小環境に動員する、請求項38~56のいずれかに記載のキメラタンパク質。
【請求項58】
前記1つまたは複数の追加のターゲティング部分が、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA4、OX40L、OX40、CD20、XCR1、およびClec9Aを認識するまたは機能的に調節する、請求項53に記載のキメラタンパク質。
【請求項59】
実質的にFAPの活性を機能的に調節することなくFAPを認識するまたは結合する、請求項38~58のいずれかに記載のキメラタンパク質。
【請求項60】
(a)線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)を標的としかつ配列番号58または配列番号2~42、46~57、もしくは59~86のいずれか1つと少なくとも90%配列類似性を有するアミノ酸配列、あるいは3つの相補性決定領域(CDR1、CDR2、およびCDR3)を含む少なくとも1つのターゲティング部分であって、
(i)CDR1が、1~5個のアミノ酸置換、欠失、または挿入を伴い配列番号95のアミノ酸配列または配列番号87~94もしくは配列番号96~115のいずれか1つを有するアミノ酸配列または配列番号87~115のいずれか1つを有するアミノ酸配列を含み、
(ii)CDR2が、1~5個のアミノ酸置換、欠失、または挿入を伴い配列番号121のアミノ酸配列または配列番号116~120もしくは配列番号122~144のいずれか1つを有するアミノ酸配列、または配列番号116~144のいずれか1つを有するアミノ酸配列を含み;および
(iii)CDR3が、1~5個のアミノ酸置換、欠失、または挿入を伴い配列番号152のアミノ酸配列または配列番号145~151もしくは配列番号153~175のいずれか1つを有するアミノ酸配列または配列番号145~175のいずれか1つを有するアミノ酸配列を含む、
少なくとも1つのターゲティング部分と;
(b)配列番号176または177のアミノ酸配列を有する野生型IFN-α2に比較して改善された安全性を付与する1つまたは複数の変異を有するヒトIFN-α2である、改変シグナル伝達物質、
を含み、
前記ターゲティング部分と前記改変シグナル伝達物質が、場合により1つまたは複数のリンカーで連結される、
キメラタンパク質。
【請求項61】
前記改変ヒトIFN-α2が、配列番号176または177中の位置R33、R120、R144、A145、M148、R149、およびL153で1つまたは複数の変異を含む、請求項60に記載のキメラタンパク質。
【請求項62】
前記改変ヒトIFN-α2が、配列番号176または177においてR33A、R120E、R144X A145X、M148A、R149A、およびL153Aから選択される1つまたは複数の変異を含み、Xが、A、S、T、Y、L、およびIから選択され、かつXが、G、H、Y、K、およびDから選択される、請求項60に記載のキメラタンパク質。
【請求項63】
前記改変ヒトIFN-α2が、R149A変異を含む、請求項60に記載のキメラタンパク質。
【請求項64】
(a)線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)を標的としかつ配列番号58または配列番号2~42、46~57、もしくは59~86のいずれか1つと少なくとも90%配列類似性を有するアミノ酸配列、あるいは3つの相補性決定領域(CDR1、CDR2、およびCDR3)を含む少なくとも1つのターゲティング部分であって、
(i)CDR1が、1~5個のアミノ酸置換、欠失、または挿入を伴い配列番号95のアミノ酸配列または配列番号87~94もしくは配列番号96~115のいずれか1つを有するアミノ酸配列または配列番号87~115のいずれか1つを有するアミノ酸配列を含み、
(ii)CDR2が、1~5個のアミノ酸置換、欠失、または挿入を伴い配列番号121のアミノ酸配列または配列番号116~120もしくは配列番号122~144のいずれか1つを有するアミノ酸配列または配列番号116~144のいずれか1つを有するアミノ酸配列を含み;および
(iii)CDR3が、1~5個のアミノ酸置換、欠失、または挿入を伴い配列番号152のアミノ酸配列または配列番号145~151もしくは配列番号153~175のいずれか1つを有するアミノ酸配列または配列番号145~175のいずれか1つを有するアミノ酸配列を含む、
少なくとも1つのターゲティング部分と;
(b)配列番号178のアミノ酸配列を有する野生型IFN--βに比較して改善された安全性を付与する1つまたは複数の変異を有する改変ヒトIFN-βである、改変シグナル伝達物質、
を含み、
前記ターゲティング部分と前記改変シグナル伝達物質が、場合により1つまたは複数のリンカーで連結される、
キメラタンパク質。
【請求項65】
前記改変ヒトIFN--βが、配列番号178の位置W22、R27、L32、R35、V148、L151、R152、およびY155で1つまたは複数の変異を含む、請求項64に記載のキメラタンパク質。
【請求項66】
前記改変ヒトIFN--βが、配列番号178のW22G、R27G、L32A、L32G、R35A、R35G、V148G、L151G、R152A、R152Gから選択される1つまたは複数の変異を含む、請求項65に記載のキメラタンパク質。
【請求項67】
請求項1~20のいずれか1項に記載の線維芽細胞結合物質をコードする組換え核酸。
【請求項68】
請求項21~37のいずれか1項に記載のFAP結合物質をコードする組換え核酸。
【請求項69】
請求項38~66のいずれか1項に記載のキメラタンパク質をコードする組換え核酸。
【請求項70】
請求項67、68、または69に記載の核酸を含む宿主細胞。
【請求項71】
前記線維芽細胞結合物質が、癌、感染症、免疫異常、線維性疾患、および自己免疫疾患の1つまたは複数を有する患者における使用に適する、請求項1~20のいずれか1項に記載の線維芽細胞結合物質。
【請求項72】
前記FAP結合物質が、癌、感染症、免疫異常、線維性疾患、および自己免疫疾患の1つまたは複数を有する患者における使用に適する、請求項21~37のいずれか1項に記載のFAP結合物質。
【請求項73】
前記キメラタンパク質が、癌、感染症、免疫異常、線維性疾患、および自己免疫疾患の1つまたは複数を有する患者における使用に適する、請求項38~66のいずれか1項に記載のキメラタンパク質。
【請求項74】
癌を治療または予防するための方法であって、
(a)線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)を標的としかつ配列番号58または配列番号2~42、46~57、もしくは59~86のいずれか1つと少なくとも90%配列類似性を有するアミノ酸配列、あるいは3つの相補性決定領域(CDR1、CDR2、およびCDR3)を含む少なくとも1つのターゲティング部分であって、
(i)CDR1が、1~5個のアミノ酸置換、欠失、または挿入を伴い配列番号95のアミノ酸配列または配列番号87~94もしくは配列番号96~115のいずれか1つを有するアミノ酸配列または配列番号87~115のいずれか1つを有するアミノ酸配列を含み、
(ii)CDR2が、1~5個のアミノ酸置換、欠失、または挿入を伴い配列番号121のアミノ酸配列または配列番号116~120もしくは配列番号122~144のいずれか1つを有するアミノ酸配列または配列番号116~144のいずれか1つを有するアミノ酸配列を含み;および
(iii)CDR3が、1~5個のアミノ酸置換、欠失、または挿入を伴い配列番号152のアミノ酸配列または配列番号145~151もしくは配列番号153~175のいずれか1つを有するアミノ酸配列または配列番号145~175のいずれか1つを有するアミノ酸配列を含む、
少なくとも1つのターゲティング部分と;
(b)またはヒトIFN-α2またはヒトIFN-βである、シグナル伝達物質であって、かつ前記ターゲティング部分と前記改変シグナル伝達物質が、場合により1つまたは複数のリンカーで連結される、シグナル伝達物質、
を含むキメラタンパク質の有効量をそれを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項75】
前記シグナル伝達物質が、改変される、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記改変シグナル伝達物質が、配列番号176もしくは177のアミノ酸配列を有する野生型IFN-α2に比較して改善された安全性を付与する1つもしくは複数の変異を有する改変ヒトIFN-α2であるか、または前記改変シグナル伝達物質が、配列番号178のアミノ酸配列を有する野生型IFN--βに比較して改善された安全性を付与する1つもしくは複数の変異を有する改変ヒトIFN--βである、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
前記改変ヒトIFN-βが、場合により配列番号178のW22G、R27G、L32A、L32G、R35A、R35G、V148G、L151G、R152A、R152Gから選択される、配列番号178の位置W22、R27、L32、R35、V148、L151、R152、およびY155で1個または複数の変異を含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記改変ヒトIFN-α2が、配列番号176または177の位置L15、A19、R22、R23、L26、F27、L30、L30、K31、D32、R33、H34、D35、Q40、H57、E58、Q61、F64、N65、T69、L80、Y85、Y89、D114、L117、R120、R125、K133、K134、R144、A145、A145、M148、R149、S152、L153、およびN156で1つまたは複数の変異を含む、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
前記改変ヒトIFN-α2が、配列番号176または177中のR33A、R120E、R144X A145X、M148A、R149A、およびL153Aから選択される1つまたは複数の変異を含み、Xが、A、S、T、Y、L、およびIから選択され、かつXが、G、H、Y、K、およびDから選択される、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記改変ヒトIFN-α2が、R149A変異を含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記癌が、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳および中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、結腸および直腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部の癌、胃癌(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、ヘパトーマ、上皮内腫瘍、腎臓癌または腎性癌(kidney or renal cancer)、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、および肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽腫、口腔癌(唇、舌、口内、および咽頭)、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系癌、唾液腺癌腫、肉腫、皮膚癌、扁平上皮細胞癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮または子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)を含む)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽細胞NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL、巨大腫瘤病変NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、毛様細胞性白血病、慢性骨髄芽球性白血病、ならびに他の癌腫および肉腫、および移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫(例えば脳腫瘍に関連するもの)、およびメグズ症候群に関連する異常血管増殖の1種または複数から選択される、請求項74~80のいずれかに記載の方法。
【請求項82】
ドキソルビシン、シスプラチン、ダウノルビシン、およびエピルビシンなどの、DNA挿入剤、化学療法剤を投与することをさらに含む、請求項74~81のいずれかに記載の方法。
【請求項83】
前記キメラタンパク質が、免疫細胞を腫瘍または腫瘍微小環境に直接的または間接的に動員する、請求項74~82のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
自己免疫および/または神経変性疾患を治療または予防するための方法であって、
(a)線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)を標的としかつ配列番号58または配列番号2~42、46~57、もしくは59~86のいずれか1つと少なくとも90%配列類似性を有するアミノ酸配列、あるいは3つの相補性決定領域(CDR1、CDR2、およびCDR3)を含む、少なくとも1つのターゲティング部分であって、
(i)CDR1が、1~5個のアミノ酸置換、欠失、または挿入を伴い配列番号95のアミノ酸配列または配列番号87~94もしくは配列番号96~115のいずれか1つを有するアミノ酸配列または配列番号87~115のいずれか1つを有するアミノ酸配列を含み、
(ii)CDR2が、1~5個のアミノ酸置換、欠失、または挿入を伴い配列番号121のアミノ酸配列または配列番号116~120もしくは配列番号122~144のいずれか1つを有するアミノ酸配列または配列番号116~144のいずれか1つを有するアミノ酸配列を含み;および
(iii)CDR3が、1~5個のアミノ酸置換、欠失、または挿入を伴い配列番号152のアミノ酸配列または配列番号145~151もしくは配列番号153~175のいずれか1つを有するアミノ酸配列または配列番号145~175のいずれか1つを有するアミノ酸配列を含む、
少なくとも1つのターゲティング部分と;
(b)またはヒトIFN-α2またはヒトIFN-βである、シグナル伝達物質であって、かつ前記ターゲティング部分と前記改変シグナル伝達物質が、場合により1つまたは複数のリンカーで連結される、シグナル伝達物質、
を含むキメラタンパク質の有効量をそれを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項85】
前記シグナル伝達物質が、改変される、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記改変シグナル伝達物質が、配列番号176もしくは177のアミノ酸配列を有する野生型IFN-α2に比較して改善された安全性を付与する1つもしくは複数の変異を有する改変ヒトIFN-α2であるかまたは前記改変シグナル伝達物質が、配列番号178のアミノ酸配列を有する野生型IFN--βに比較して改善された安全性を付与する1つもしくは複数の変異を有する改変ヒトIFN--βである、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記改変ヒトIFN--βが、配列番号178の位置W22、R27、L32、R35、V148、L151、R152、およびY155で1つまたは複数の変異を含む、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記改変ヒトIFN-βが、配列番号178のW22G、R27G、L32A、L32G、R35A、R35G、V148G、L151G、R152A、R152Gから選択される1つまたは複数の変異を含む、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記改変ヒトIFN-α2が、配列番号176または177中の位置L15、A19、R22、R23、L26、F27、L30、L30、K31、D32、R33、H34、D35、Q40、H57、E58、Q61、F64、N65、T69、L80、Y85、Y89、D114、L117、R120、R125、K133、K134、R144、A145、A145、M148、R149、S152、L153、およびN156で1つまたは複数の変異を含む、請求項86に記載の方法。
【請求項90】
前記改変ヒトIFN-α2が、配列番号176または177中のR33A、R120E、R144X A145X、M148A、R149A、およびL153Aから選択される1つまたは複数の変異を含み、Xが、A、S、T、Y、L、およびIから選択され、かつXが、G、H、Y、K、およびDから選択される、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記改変ヒトIFN-α2が、R149A変異を含む、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記自己免疫疾患および/または神経変性疾患が、多発性硬化症、糖尿病、ループス、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎、ギラン・バレー症候群、強皮症、グッドパスチャー症候群、ウェゲナー肉芽腫症、自己免疫性てんかん、ラスムッセン脳炎、原発性硬化性胆管炎、硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎、アジソン病、橋本甲状腺炎、線維筋痛症、メニエール症候群(Menier’s syndrome)、移植拒絶反応(例えば、同種移植片拒絶の防止)、悪性貧血、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、紅斑性狼瘡、重症筋無力症、ライター症候群、およびグレーブス病から選択される、請求項84に記載の方法。
【請求項93】
前記自己免疫疾患および/または神経変性疾患が、多発性硬化症である、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記キメラタンパク質が、前記患者において免疫抑制をもたらす、請求項84~93のいずれか1項に記載の方法。
【請求項95】
線維性疾患を治療または予防するための方法であって、
(a)線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)を標的としかつ配列番号58または配列番号2~42、46~57、もしくは59~175のいずれか1つと少なくとも90%配列類似性を有するアミノ酸配列、あるいは3つの相補性決定領域(CDR1、CDR2、およびCDR3)を含む少なくとも1つのターゲティング部分であって、
(i)CDR1が、1~5個のアミノ酸置換、欠失、または挿入を伴い配列番号95のアミノ酸配列または配列番号87~94もしくは配列番号96~115のいずれか1つを有するアミノ酸配列または配列番号87~115のいずれか1つを有するアミノ酸配列を含み、
(ii)CDR2が、1~5個のアミノ酸置換、欠失、または挿入を伴い配列番号121のアミノ酸配列または配列番号116~120もしくは配列番号122~144のいずれか1つを有するアミノ酸配列または配列番号116~144のいずれか1つを有するアミノ酸配列を含み;および
(iii)CDR3が、1~5個のアミノ酸置換、欠失、または挿入を伴い配列番号152のアミノ酸配列または配列番号145~151もしくは配列番号153~175のいずれか1つを有するアミノ酸配列または配列番号145~175のいずれか1つを有するアミノ酸配列を含む、
少なくとも1つのターゲティング部分と;
(b)またはヒトIFN-α2またはヒトIFN-βである、シグナル伝達物質であって、かつ前記ターゲティング部分と前記改変シグナル伝達物質が、場合により1つまたは複数のリンカーで連結される、シグナル伝達物質、
を含む、
キメラタンパク質の有効量をそれを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項96】
前記シグナル伝達物質が、改変される、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記改変シグナル伝達物質が、配列番号176もしくは177のアミノ酸配列を有する野生型IFN-α2に比較して改善された安全性を付与する1つもしくは複数の変異を有する改変ヒトIFN-α2であるかまたは前記改変シグナル伝達物質が、配列番号178のアミノ酸配列を有する野生型IFN--βに比較して改善された安全性を付与する1つもしくは複数の変異を有する改変ヒトIFN--βである、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記改変ヒトIFN--βが、配列番号178の位置W22、R27、L32、R35、V148、L151、R152、およびY155に1つまたは複数の変異を含む、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記改変ヒトIFN-βが、配列番号178のW22G、R27G、L32A、L32G、R35A、R35G、V148G、L151G、R152A、R152Gから選択される1つまたは複数の変異を含む、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記改変ヒトIFN-α2が、配列番号176または177中の位置L15、A19、R22、R23、L26、F27、L30、L30、K31、D32、R33、H34、D35、Q40、H57、E58、Q61、F64、N65、T69、L80、Y85、Y89、D114、L117、R120、R125、K133、K134、R144、A145、A145、M148、R149、S152、L153、およびN156で1つまたは複数の変異を含む、請求項97に記載の方法。
【請求項101】
前記改変ヒトIFN-α2が、配列番号176または177中のR33A、R120E、R144X A145X、M148A、R149A、およびL153Aから選択される1つまたは複数の変異を含み、Xが、A、S、T、Y、L、およびIから選択され、かつXが、G、H、Y、K、およびDから選択される、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記改変ヒトIFN-α2が、R149A変異を含む、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記繊維性疾患が、肝線維症、肺線維症、原発性硬化性胆管炎(PSC)、慢性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪肝(NASH)、C型肝炎感染、アルコール性肝疾患、肝障害、肝硬変、および骨髄異形成症候群から選択される、請求項95~102のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年2月5日出願の米国特許仮出願第62/626,453号の利益および優先権を主張する。この内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明の技術は、一部は、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)を結合する結合物質および治療薬および診断薬としてのそれらの使用に関する。
【0003】
電子申請したテキストファイルの説明
本明細書と共に電子申請された次記のテキストファイルの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる:配列リストのコンピュータ可読形式コピー(ファイル名:ORN-035PC_ST25、作成日付:2019年1月28日、ファイルサイズ:636KB)。
【背景技術】
【0004】
線維芽細胞は、他の細胞との動的相互作用に参加する。それらは、サイトカイン、脂質メディエーターおよび成長因子などの多種多様な免疫調節因子を発現する。その上、線維芽細胞は、数多くの表面および細胞内の受容体、ならびに外因性シグナルへの応答に必須の分子機構を提示する。線維芽細胞が炎症を開始し得るという事実を考慮すると、線維芽細胞は、「専門的な」免疫系の延長と見なすことができる。線維芽細胞は、数多くの正常なおよび病的な過程に参加する。異常な線維芽細胞に関連することが知られる例示的疾患としては、癌、心臓血管疾患、および自己免疫疾患が挙げられる。
【0005】
線維芽細胞は、健常な組織の構造および機能を調節し、急性炎症後の組織修復に一過的に参加し、癌を含む慢性炎症状態の際に異常な刺激の役割を担う。癌関連線維芽細胞(CAF)は、腫瘍微小環境を調節し、腫瘍促進的または腫瘍阻害的な様式のいずれかで新生物細胞の挙動に影響を及ぼす。CAFは、重要な間質成分であり、主としてタンパク質分解酵素、成長因子およびサイトカインを放出することにより、腫瘍微小環境を調節すること、および腫瘍細胞の挙動に影響を及ぼすことにおいて、重要な役割を果たす。複数の試験は、間質の癌促進性および治療耐性が線維芽細胞の活性に起因し得ることを示している。
【0006】
したがって、異常な線維芽細胞に関連する疾患を治療するため、例えばCAF機能または線維性疾患を調節することにより癌を治療するための、改善された治療法の必要性が残されている。
【発明の概要】
【0007】
ある態様では、本発明の技術は、F2線維芽細胞を標的とする線維芽細胞結合物質に関する。いくつかの実施形態では、線維芽細胞結合物質は、F2線維芽細胞を含む疾患微小環境(例えば、F2線維芽細胞を含む腫瘍微小環境)を直接的または間接的に変化させる。いくつかの実施形態では、線維芽細胞結合物質は、F2線維芽細胞を直接的または間接的に極性化する。いくつかの実施形態では、線維芽細胞結合物質は、FAPマーカーを標的とする。いくつかの実施形態ではて、線維芽細胞結合物質は、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)ターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、FAPターゲティング部分は、単一ドメイン抗体(VHH)である。いくつかの実施形態では、線維芽細胞結合物質は、シグナル伝達物質、例えば、限定されないが、活性を弱めるように改変され得るインターフェロン、インターロイキン、および腫瘍壊死因子をさらに含む。いくつかの実施形態では、線維芽細胞結合物質は、目的とする他の標的(例えば、抗原または受容体)に結合する追加のターゲティング部分を含む。別の実施形態では、目的とする他の標的(例えば、抗原または受容体)は、線維芽細胞上に存在する。いくつかの実施形態では、目的とする他の標的(例えば、抗原または受容体)は、癌間質中の線維芽細胞上に存在する。いくつかの実施形態では、本発明の線維芽細胞結合物質は、免疫細胞(例えば、樹状細胞)を、作用の部位(例えば、非限定的例であるが、腫瘍微小環境など)に直接的または間接的に動員し得る。いくつかの実施形態では、本発明のFAP結合物質は、腫瘍間質中の免疫細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ)により、または線維芽細胞により直接、抗原(例えば、抗原または受容体)の提示を促進する。
【0008】
別の態様では、本発明の技術は、FAPに特異的に結合する少なくとも1つのターゲティング部分を有するFAP結合物質を有する治療組成物に関する。いくつかの実施形態では、これらのFAP結合物質は、FAPに結合するが、FAPを機能的に調節しない(例えば、部分的にまたは完全に中和しない)。したがって、いくつかの実施形態では、本発明のFAP結合物質は、例えば、FAP発現細胞にFAPを介してシグナル伝達させつつそのFAP発現細胞を目的の部位に直接または間接的に動員するのに使用される(すなわち、FAP結合物質の結合は、目的の部位でのFAPシグナル伝達を低減せず排除しない)。反対に、いくつかの実施形態では、本発明のFAP結合物質は、FAP発現細胞にFAPを介するシグナル伝達をさせずに、そのFAP発現細胞を目的の部位に直接的または間接的に動員するのに使用される(すなわち、FAP結合物質の結合は、目的の部位でのFAPシグナル伝達を低減または排除する)。いくつかの実施形態では、FAPターゲティング部分は、単一ドメイン抗体(VHH)である。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、シグナル伝達物質、例えば、限定されないが、活性を弱めるように改変され得るインターフェロン、インターロイキン、および腫瘍壊死因子をさらに含む。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、目的とする他の標的(例えば、抗原または受容体)に結合する追加のターゲティング部分を含む。別の実施形態では、目的とする他の標的(例えば、抗原または受容体)は、線維芽細胞上に存在する。いくつかの実施形態では、目的とする他の標的(例えば、抗原または受容体)は、癌間質中の線維芽細胞上に存在する。いくつかの実施形態では、本発明のFAP結合物質は、免疫細胞、(例えば、樹状細胞)を、作用の部位(例えば、非限定的例であるが、腫瘍微小環境など)に直接的にまたは間接的に動員し得る。いくつかの実施形態では、本発明のFAP結合物質は、腫瘍間質中の免疫細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ)により、または線維芽細胞により直接、抗原(例えば、抗原または受容体)の提示を促進する。
【0009】
別の態様では、本発明のFAP結合物質は、癌、感染症、免疫異常、ならびに他の疾患および障害などの種々の疾患または障害の治療のための方法に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、B16腫瘍を接種されたマウスにおける腫瘍成長に及ぼすFAP-AFN(実施例2に記載)での処置の影響を示すグラフである。未処置マウス(対照)は、PBSで処置された。腫瘍成長曲線の右側の数は、示された日付に完全に腫瘍のなかったマウスの数を示す。
図2図2は、FAP-AFNまたはPBSで処置されたマウスの血液学的データを示すグラフである(好中球(ne)、リンパ球(ly)、および血小板(plt)は、K/μlで;赤血球(rbc)は、M/μlで、平均血小板容積(mpv)はfLで表されている)。試験されたパラメータは、好中球数(「ne」)、リンパ球数(「ly」)、赤血球数(「rbc」)、血小板(「plt」)、および平均血小板容積(「mpv」)である。
図3A図3Aは、B16-mCD20クローンを接種されたマウスの腫瘍成長に及ぼす、FAP-AFN(実施例2に記載)のみ、FAP-AFNとドキソルビシン(FAP+dox)、およびFAP-AFNと組換えマウスTNF(FAP+TNF)での処置の影響を比較するグラフである。未処置マウス(対照)は、PBSで処置された。腫瘍成長曲線の右側の数は、示された日付に完全に腫瘍のなかったマウスの数を示す。
図3B図3Bは、B16-mCD20クローンを接種されたマウスの腫瘍成長に及ぼす、FAP-AFN(実施例2に記載)のみ、FAP-AFNと抗PD-L1 sdAb(FAP+PD-L1)、およびFAP-AFNと抗PD-L1 sdAbと抗CTLA4 Ab+抗OX40Ab(FAP+PD-L1+TregD)での処置の影響を比較するグラフである。未処置マウス(対照)は、PBSで処置された。腫瘍成長曲線の右側の数は、示された日付に完全に腫瘍のなかったマウスの数を示す。
図4図4は、B16-mCD20クローンを接種されたマウスの腫瘍成長に及ぼす、FAP-AFN(実施例2に記載)のみ、およびFAP結合物質を有する二重特異性組成物(FAP-PD-L1-Q124R)での処置の影響を比較するグラフである。未処置マウス(対照)は、PBSで処置された。腫瘍成長曲線の右側の数は、示された日付に完全に腫瘍のなかったマウスの数を示す。
図5A-D】図5A~Dは、B16-mCD20クローンを接種されたマウスの腫瘍成長に及ぼす、単一特異性組成物(nnClec:図5B)および二重特異性組成物(nnClec-PD-L1;図5CまたはnnClec-FAP;図5D)での処置の影響を示すグラフである。未処置マウス(対照)は、PBSで処置された(図5A)。
図6A-D】図6A~Dは、B16-mCD20クローンを接種されたマウスの腫瘍成長に及ぼす、ドキソルビシンと組み合わされた単一特異性組成物(nnClec Dox;図6B)およびドキソルビシンと組み合わされた二重特異性組成物(nnClec-PD-L1 Dox;図6CまたはnnClec-FAP Dox;図6D)での処置の影響を示すグラフである。未処置マウス(対照)は、PBSで処置された(図6A)。腫瘍成長曲線の右側の数は、示された日付に完全に腫瘍のなかったマウスの数を示す。
図7A-D】図7A~Dは、B16-mCD20クローンを接種されたマウスの腫瘍成長に及ぼす、TNFと組み合わされた単一特異性組成物(nnClec TNF;図7B)およびTNFと組み合わされた二重特異性組成物(nnClec-PD-L1 TNF;図7CまたはnnClec-FAP TNF;図7D)での処置の影響を示すグラフである。未処置マウス(対照)は、PBSで処置された(図7A)。腫瘍成長曲線の右側の数は、示された日付に完全に腫瘍のなかったマウスの数を示す。
図8A-D】図8A~Dは、B16-mCD20クローンを接種されたマウスの腫瘍成長に及ぼす、Absと組み合わされた単一特異性組成物(nnClec Abs;図8B)およびAbsと組み合わされた二重特異性組成物(nnClec-PD-L1 Abs;図8CまたはnnClec-FAP Abs;図8D)での処置の影響を示すグラフである。未処置マウス(対照)は、PBSで処置された(図8A)。腫瘍成長曲線の右側の数は、示された日付に完全に腫瘍のなかったマウスの数を示す。
図9A-E】図9A~Eは、単一特異性組成物(nnClec)のみ、もしくは少なくとも1種の追加の治療薬(すなわち、ドキソルビシン、TNF、Abs)と組み合わされた単一特異性組成物(nnClec)、または二重特異性組成物(nnClec-PD-L1またはnnClec-FAP)のみ、もしくは少なくとも1種の追加の治療薬(すなわち、ドキソルビシン、TNF、Abs)と組み合わされた二重特異性組成物(nnClec-PD-L1またはnnClec-FAP)で処置されたマウスからの血液学的データを示すグラフである(リンパ球(LY;図9A)、単球(MO;図9B)、好中球(PMN;図9C)および血小板(PLT;図9E)は、K/μlで、赤血球(rbc;図9D)は、M/μlで表されている)。図9A~Eのそれぞれでは、ヒストグラムの順序は、凡例に列挙された物質を左から右に順に並べている(すなわち、図9Aでは、左から右に向かって「PBS」、「nnClec9A-Q124A」、「nnClec9A-Q124A+dox」などである)。
図10図10は、ヒトFAPの組換えHisタグ細胞外ドメインに特異的な41種の異なるVHHのヌクレオチド配列(配列番号844~884)を示す。
図11図11は、ヒトFAPの組換えHisタグ細胞外ドメインに特異的な41種の異なるヒトVHHのアミノ酸配列(配列番号2~42)を示す。VHH中のCDR(すなわち、CDR1、2および3)は、それに応じて標識される。例えば最上の配列2HFA44は、配列番号2であり、最下の配列2HFA50は、配列番号42である。
図12図12は、蛍光活性化細胞選別(FACS)を利用して実行されたFAP VHH結合分析を示す。FAP VHHペリプラズム抽出物を、ヒトFAPまたは空ベクター(MOCK)で一過的にトランスフェクトされたHEK293T細胞に適用した。結合を、蛍光標識された抗His Abを用いてFACSで測定し、FAPトランスフェクト細胞とMOCKトランスフェクト細胞との平均蛍光強度(MFI)の差としてプロットした。
図13A-B】図13AおよびBは、FAP VHH AFNの生物活性を示す。HL116またはHL166-hFAP細胞を、系列希釈された野生型IFN-a2(左)またはFAP VHH AFN(右)で6時間刺激した。平均ルシフェラーゼ活性(±STDEV)をプロットする。
図14A-B】図14AおよびBは、B16BL6細胞株を接種されたマウスの腫瘍成長に及ぼす、FAP-WTmIFN-のみ、またはドキソルビシンと組み合わされたFAP-WTmIFN-(図14A)、およびFAP-AFNのみ、またはドキソルビシンと組み合わされたFAP-AFN(図14B)の影響を示す。対照マウスは、PBSで処置された。平均腫瘍サイズ(+SEM)をプロットする。
図15A-B】図15AおよびBは、B16BL6細胞株を接種されたマウスの体重に及ぼす、FAP-WTmIFN-のみ、またはドキソルビシンと組み合わされたFAP-WTmIFN-(図15A)、およびFAP-AFNのみ、またはドキソルビシンと組み合わされたFAP-AFN(図15B)の影響を示す。対照マウスは、PBSで処置された。7日目の平均体重変化(+SEM)をプロットする。
図16A-F】図16A~Fは、FAP-WTmIFN-のみ、またはドキソルビシンAFNと組み合わされたFAP-WTmIFN-、およびFAP-AFNのみ、またはドキソルビシンと組み合わされたFAP-AFNで処置されたマウスからの血液学的データを示す:リンパ球(図16A)、単球(図16B)、好中球(PMN;図16C)および血小板(図16E)は、K/μlで、赤血球(RBC;図16D)はM/μlで、平均血小板容積(mpv)は、fLで(図16F)表される。
図17図17は、MC38細胞株を接種されたマウスの腫瘍成長に及ぼすFAP-AFNのみ、またはドキソルビシンと組み合わされたFAP-AFNの影響を示す。対照マウスは、PBSで処置された。平均腫瘍サイズ(+SEM)をプロットする。
図18図18は、MC38細胞株を接種されたマウスの体重に及ぼすFAP-AFNのみ、またはドキソルビシンと組み合わされたFAP-AFNの影響を示す。対照マウスは、PBSで処置された。7日目の平均体重変化(+SEM)をプロットする。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の技術は、一部は、線維芽細胞を認識し、かつそれに結合する物質(例えば、非限定的例であるが、VHHなどの抗体)の発見に基づいている。いくつかの実施形態では、本発明の線維芽細胞結合物質は、1つまたは複数のターゲティング部分および/または1種または複数のシグナル伝達物質を有するキメラまたは融合タンパク質の一部である。
【0012】
いくつかの実施形態では、線維芽細胞結合物質は、F2線維芽細胞を標的とする。いくつかの実施形態では、線維芽細胞結合物質は、F2線維芽細胞を含む疾患微小環境(例えば、F2線維芽細胞を含む腫瘍微小環境)を直接的にまたは間接的に変化させる。いくつかの実施形態では、線維芽細胞結合物質は、F2線維芽細胞をF1線維芽細胞に直接的または間接的に極性化する。
【0013】
F2線維芽細胞(単数または複数)は、腫瘍形成促進性(pro-tumorigenic)(または腫瘍促進性)癌関連線維芽細胞(CAF)(別名、II型CAF)を指す。F1線維芽細胞(単数または複数)は、腫瘍抑制性CAF(別名、I型CAF)を指す。極性化は、細胞の表現型を変化させること、例えば腫瘍形成性F2線維芽細胞を腫瘍抑制性F1線維芽細胞に変化させることを指す。
【0014】
いくつかの実施形態では、線維芽細胞結合物質は、FAPマーカーを標的とする。いくつかの実施形態では、線維芽細胞結合物質は、FAPターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、線維芽細胞結合物質のFAPターゲティング部分は、本明細書に開示の任意のFAPターゲティング部分である。
【0015】
いくつかの実施形態では、線維芽細胞結合物質は、配列番号2~42または46~86のいずれか1つと少なくとも90%の配列類似性を有するアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、線維芽細胞結合物質は、配列番号58と少なくとも90%の配列類似性を有するアミノ酸配列を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、線維芽細胞結合物質は、1種または複数のシグナル伝達物質をさらに含む。いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質は、インターフェロン、インターロイキン、および腫瘍壊死因子の1種または複数から選択され、これらのいずれかが任意に改変される。
【0017】
いくつかの実施形態では、1種または複数のシグナル伝達物質をさらに含む線維芽細胞結合物質は、F2線維芽細胞を含む疾患微小環境(例えば、F2線維芽細胞を含む腫瘍微小環境)を直接的または間接的に変化させる。いくつかの実施形態では、1種または複数のシグナル伝達物質をさらに含む線維芽細胞結合物質は、F2線維芽細胞をF1線維芽細胞に直接的または間接的に極性化する。
【0018】
いくつかの実施形態では、線維芽細胞結合物質は、1つまたは複数の追加のターゲティング部分をさらに含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の追加のターゲティング部分は、腫瘍抗原を認識し、任意にそれを機能的に調節する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の追加のターゲティング部分は、免疫細胞上の抗原を認識し、任意にそれを機能的に調節する。
【0019】
いくつかの実施形態では、免疫細胞は、T細胞、B細胞、樹状細胞、マクロファージ、好中球、およびNK細胞から選択される。
【0020】
いくつかの実施形態では、線維芽細胞結合物質は、細胞傷害性T細胞を腫瘍細胞または腫瘍環境に動員する。
【0021】
いくつかの実施形態では、線維芽細胞結合物質は、実質的にFAPの活性を機能的に調節することなく、FAPを認識し結合する。
【0022】
別の態様では、本発明の技術は、一部は、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)を認識し、それに結合する物質(例えば、非限定的例であるが、VHHなどの抗体)の発見に基づいている。いくつかの実施形態では、本発明のFAP結合物質は、1つまたは複数のターゲティング部分および/または1種または複数のシグナル伝達物質とのキメラまたは融合タンパク質の一部である。いくつかの実施形態では、これらのFAP結合物質は、FAPに結合するが、FAPを機能的に調節しない。
【0023】
いくつかの実施形態では、これらのFAP結合物質は、免疫細胞を結合し治療作用の必要な部位(例えば、腫瘍または腫瘍微小環境)に直接的にまたは間接的に動員し得る。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、効果的な抗腫瘍免疫応答を誘発するための腫瘍抗原提示を強化する。
【0024】
いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、腫瘍抗原提示を調節する。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、免疫応答を調節して自己免疫を回避するか低減させる。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、免疫抑制をもたらす。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、患者において、Tregの、CD8+T細胞および/またはCD4+T細胞に対する比率を高める。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、患者中の自己反応性T細胞の低減に関する。
【0025】
いくつかの実施形態では、本発明の技術は、FAP結合物質を含む医薬組成物、および線維性疾患を含む種々の疾患の治療におけるそれらの使用を提供する。いくつかの実施形態では、本発明の技術は、FAP結合物質を含む医薬組成物、および癌、自己免疫疾患、および/または神経変性疾患を含む、種々の疾患の治療におけるそれらの使用を提供する。
【0026】
いくつかの実施形態では、本発明のFAP結合物質は、癌関連線維芽細胞(CAF)を標的とするために用いられる。例えば種々の実施形態では、本発明のFAP結合物質は、例えば癌、例えば癌腫などの上皮由来の癌の治療において、腫瘍間質中の線維芽細胞を標的とする。CAFは、内皮細胞、脂肪細胞、炎症細胞および免疫細胞を含む腫瘍環境内に頻繁に見出される悪性上皮細胞、細胞外マトリックス(ECM)および数多くの非癌性細胞の間で起こる動的および互恵的な相互作用を調節することにおける中核であるため、本発明のFAP結合物質は、重要な抗腫瘍療法(例えば、本明細書の他の箇所に記載される改変サイトカインおよび/または追加のターゲティング部分)を目的の部位に送達する方法を提供する。種々の実施形態では、本発明のFAP結合物質は、活性化線維芽細胞と、管形成に関与する内皮細胞(EC)と、腫瘍の成長に順応するように常にリモデリングされる細胞外マトリックス(ECM)とで構成される間質微小環境を標的とする。したがって、例えば任意に追加のターゲティング部分を含む、サイトカインを有するキメラの状況では、本発明のFAP結合物質は抗腫瘍シグナルを、腫瘍発達に重要である間質微小環境に送達できる。種々の実施形態では、FAP結合物質は、癌関連線維芽細胞、MSC、選択された癌細胞および内皮細胞などの、原発腫瘍または転移における腫瘍ニッチ形成に重要な細胞の膜を標的とするために用いられる。
【0027】
FAP結合物質
線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)は、セリンプロテアーゼファミリーに属する170kDaの黒色腫膜結合ゼラチナーゼである。FAPは、上皮癌の反応性間質線維芽細胞、創傷治癒の肉芽組織、ならびに骨および軟組織肉腫の悪性腫瘍細胞の中で選択的に発現される。FAPは、発達、組織修復、および上皮発癌の際の線維芽細胞増殖または上皮-間葉相互作用の制御に関与すると考えられる。
【0028】
いくつかの実施形態では、本発明のFAP結合物質は、FAPに特異的に結合できるタンパク質ベースの物質である。いくつかの実施形態では、本発明のFAP結合物質は、FAPの機能的調節(例えば、部分的または完全な中和)なしに特異的にFAPに結合できるタンパク質ベースの物質である。
【0029】
いくつかの実施形態では、本発明の技術のFAP結合物質は、FAP上に存在するエピトープを認識する抗原認識ドメインを有するターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、抗原認識ドメインは、FAP上に存在する1個または複数の線形エピトープを認識する。本明細書で使用される場合、線形エピトープは、FAP上に存在するアミノ酸の任意の連続配列を指す。別の実施形態では、抗原認識ドメインは、FAP上に存在する1個または複数の立体構造エピトープを認識する。本明細書で使用される場合、立体構造エピトープは、抗原認識ドメインにより認識され得る特徴および/または形状および/または三次構造を備えた3次元表面を形成する1個または複数のアミノ酸の部分(これは不連続であってよい)を指す。
【0030】
いくつかの実施形態では、本発明の技術のFAP結合物質は、ヒトFAPの完全長型および/または成熟型および/またはアイソフォームおよび/またはスプライスバリアントおよび/またはフラグメントおよび/または任意の他の天然のまたは合成の類似体、バリアント、または変異体に結合し得る。いくつかの実施形態では、本発明の技術のFAP結合物質は、モノマー、ダイマー、ヘテロダイマー、マルチマーおよび会合型を含む任意の型のヒトFAPに結合し得る。ある実施形態では、FAP結合物質は、モノマー型のFAPに結合する。別の実施形態では、FAP結合物質は、ダイマー型のFAPに結合する。さらなる実施形態では、FAP結合物質は、グリコシル化型のFAPに結合し、これはモノマーであってもダイマーであってもよい。
【0031】
ある実施形態では、本発明のFAP結合物質は、ヒトFAP上に存在する1個または複数のエピトープを認識する抗原認識ドメインを有するターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、ヒトFAPは、下記のアミノ酸配列を含む:
MKTWVKIVFGVATSAVLALLVMCIVLRPSRVHNSEENTMRALTLKDILNGTFSYKTFFPNWISGQEYLHQSADNNIVLYNIETGQSYTILSNRTMKSVNASNYGLSPDRQFVYLESDYSKLWRYSYTATYYIYDLSNGEFVRGNELPRPIQYLCWSPVGSKLAYVYQNNIYLKQRPGDPPFQITFNGRENKIFN-GIPDWVYEEEMLPTKYALWWSPNGKFLAYAEFNDKDIPVIAYSYYGDEQYPRTINIPYPKAGAKNPVVRIFIIDTTYPAYVGPQEVPVPAMIASSDYYFSWLTWVTDERVCLQWLKRVQNVSVLSICDFREDWQTWDCPKTQEHIEESRTGWAGGFFVSRPVFSYDAISYYKIFSDKDGYKHIHYIKDTVENAIQITSGKWEAINIFRVTQDSLFYSSNEFEEYPGRRNIYRISIGSYPPSKKCVTCHLRKERCQYYTASFSDYAKYYALVCYGPGIPISTLHDGRTDQEIKILEENKELENALKNIQLPKEEIKKLEVDEITLWYKMILPPQFDRSKKYPLLIQVYGGPCSQSVRSVFAVNWISYLASKEGMVIALVDGRGTAFQGDKLLYAVYRKLGVYEVEDQITAVRKFIEMGFIDEKRIAIWGWSYGGYVSSLALASGTGLFKCGIAVAPVSSWEYYASVYTERFMGLPTKDDNLEHYKNSTVMARAEYFRNVDYLLIHGTADDNVHFQNSAQIAKALVNAQVDFQAMWYSDQNHGLSGLSTNHLYTHMTHFLKQCFSLSD(配列番号1)。
【0032】
いくつかの実施形態では、本発明のFAP結合物質は、特異的結合ができるターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、抗体またはその誘導体などの抗原認識ドメインを有するターゲティング部分を含む。ある実施形態では、FAP結合物質は、抗体であるターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、2つの重鎖および2つの軽鎖を含む完全長マルチマータンパク質である。それぞれの重鎖は、1つの可変領域(例えば、V)および少なくとも3つの定常領域(例えば、CH、CHおよびCH)を含み、それぞれの軽鎖は、1つの可変領域(V)および1つの定常領域(C)を含む。可変領域は抗体の特異性を決定する。それぞれの可変領域は、4つの比較的保存されたフレームワーク領域(FR)により挟まれた、相補性決定領域(CDR)としても知られる、3つの高頻度可変領域を含む。3つのCDRは、CDR1、CDR2、およびCDR3と呼ばれ、抗体の結合特異性に寄与する。いくつかの実施形態では、抗体はキメラ抗体である。いくつかの実施形態では、抗体はヒト化抗体である。
【0033】
いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、特定の抗体誘導体または抗体フォーマットであるターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、本発明のFAP結合物質は、次のターゲティング部分を含む:単一ドメイン抗体、組換え型の重鎖のみで構成される抗体(重鎖抗体)(VHH)、単鎖抗体(scFv)、サメの重鎖のみで構成される抗体(VNAR)、マイクロタンパク質(システインノットタンパク質、ノッチン)、DARPin;テトラネクチン;アフィボディ;トランスボディ;アンチカリン;アドネクチン;アフィリン;アフィマー;ミクロボディ;アプタマー;alterase;プラスチック抗体;フィロマー;ストラドボディ;マキシボディ;エビボディ;フィノマー;アルマジロリピートタンパク質(armadillo repeat protein);クニッツドメイン、アビマー、アトリマー、プロボディ、イムノボディ、トリオマブ、トロイボディ、ペプボディ、ワクシボディ、ユニボディ;デュオボディ、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)、ペプチド模倣分子、または合成分子。これらは、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,417,130号、米国特許出願公開第2004/132094号、米国特許第5,831,012号、米国特許出願公開第2004/023334号、米国特許第7,250,297号、米国特許第6,818,418号、米国特許出願公開第2004/209243号、米国特許第7,838,629号、米国特許第7,186,524号、米国特許第6,004,746号、米国特許第5,475,096号、米国特許出願公開第2004/146938号、米国特許出願公開第2004/157209号、米国特許第6,994,982号、米国特許第6,794,144号、米国特許出願公開第2010/239633号、米国特許第7,803,907号、米国特許出願公開第2010/119446号、および/または米国特許第7,166,697号に記載されている。Storz MAbs.2011 May-Jun;3(3):310-317、も参照されたい。
【0034】
いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、VHHなどの、単一ドメイン抗体であるターゲティング部分を含む。VHHは、例えば、ラクダ類、サメなどのVHH抗体を産生する生物から誘導されるか、またはVHHは設計されたVHHであってもよい。VHHは、天然起源の重鎖抗体の特有の構造および機能特性を含む、抗体由来の治療用タンパク質である。VHH技術は、軽鎖を欠くラクダ類由来の完全に機能的な抗体に基づいている。これらの重鎖抗体は、単一可変ドメイン(VH)および2つの定常ドメイン(CH2およびCH3)を含む。VHHは、NANOBODYまたはNANOBODIESの商標で市販される。
【0035】
ある実施形態では、FAP結合物質はVHHを含む。いくつかの実施形態では、VHHは、ヒト化VHHまたはラクダ化VHHである。
【0036】
いくつかの実施形態では、VHHは、完全ヒトVドメイン、例えば、HUMABODY(Crescendo Biologics,Cambridge,UK)を含む。いくつかの実施形態では、完全ヒトVドメイン、例えば、HUMABODYは、一価、二価、または三価である。いくつかの実施形態では、完全ヒトVドメイン、例えば、HUMABODYは、単一特異性、二重特異性、または三重特異性などの単一特異性または多重特異性である。例示的な完全ヒトVドメイン、例えば、HUMABODIESは、例えば、国際公開第2016/113555号および国際公開第2016/113557号に記載されている。これらの全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、ヒトVHH FAP結合物質は、下記の配列から選択されるアミノ酸配列を含む:
2HFA44:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGGFDSRNAMGWYRQAPGKRREWVATITSDGRTNYADSVKARFTISRDNSKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCNAAPPIFGSWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号2);
2HFA52:
QVQLQESGGGLVRAGGSLRLSCAASGTFDSRNAMGWYRQAPGKRREWVATITTDGRTNYADSVKARFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCNAAPPIFGSWGQGTQ VTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号3);
2HFA11:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGSFDSRNAMGWYRQAPGKRREWVATITTDGRTNYADSVKARFTVSRDNAKNTVYLQMNSLKPDDTAVYYCNAAPPIFN-SWGQGT QVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号4);
2HFA4:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGSIDIRNAMGWYRQAPGTRREWVATITTDGRTNYADSVKARFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCNLAPPIFGSWGQGTQ VTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号5);
2HFA46:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGSIDSRNTMGWYRQAPGKRREWVATITTGGRTNYADSVKARFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCNLAPPIFN-SWGQGTQ VTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号6);
2HFA10:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCTVAESIDVRNAMGWYRQAPGKRREWVATITTGGRTNYADSVKARFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCNAAPPILNSWGQGT QVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号7);
2HFA38:
QVQLQESGGGLVRVGGSLRLSCAVSGSFDSRNSMGWYRQAPGKRREWVATITSGSRTNYADSVKARFTISRDNAKNTVYLQMDSLKPEDTAVYYCNAAPPIFN-SWGQG TQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号8);
2HFA20:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAVSGRLFSANTMGWYRQAPGKRRELVATILSSGSTNYADSVKGRFTISRDDAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCNLAPPPEGYWGQG TQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号9);
2HFA5:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAVSGRLFSANTMGWYRQAPGKRRELVATILSSGSTNYADSVKGRFTISRDDGKNTVYLQMNSLKPDDTAVYYCNFAPPPEGYWGQG TQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号10);
2HFA19:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGSIFVGNAMGWYRQALGNQRELVAGITSDGTTYYPDSVKGRFTISRDNDKNTIYLQMNSLKPEDTAVYYCNLWPPRIGFASWGQG TQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号11);
2HFA2:
QVQLQESGGGLVQTGGSLRLSCAASGSIFVGNAMGWYRQALGNQRELVAGITSDGTTYYPDSVKGRFTISRDNDKNTIYLQMNSLKPEDTAVYYCNLWPPRIGFASWGQG TQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号12);
2HFA41:
QVQLQESGGGLVRAGGSLRLSCAASGSIFVGNAMGWYRQALGNQRELVAGITSDGTTYYPDSVKGRFTISRDNDKNTIYLQMNSLKPEDTAVYYCNLWPPRIGFASWGQG TQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号13);
2HFA42:
QVQLQESGGGLVQTGGSLRLSCAASGSIFVGNAMGWYRQALGNQRELVAGITSDGTTYYPDSVKGRFTISRDNDKNTIYLQMNSLKPEDTAVYYCNLWPPRIGFASWGQG TQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号14);
2HFA12:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGSISMLNSMGWYRQALGKQREFVAGITSGGRTNYADSVKGRFAISRDNDKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCNTWPPRIAFDSWGQG TQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号15);
2HFA24:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGSIFSSNAMGWYRQAAGKRRELVAGIRSDGNTNYVDSVKGRFTISRDRAKNTVYLQMTSLKPEDTAVYYCNYWPPPLRQGGDYAYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号16);
2HFA67:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCVVSGSFDSRNAMAWYRQALGKERVWVAGIISDGSTNYADAVKGRFTISRDNDKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCNAWPPRIGLGSWGQG TQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号17);
2HFA29:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGTMSSINAMGWYRQAPGKQRELVAGILSDGTTKYVESVKGRFTISRDNAKNTVHLQMNSLKVEDTAVYYCNFFPPPVPASWGQG TQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号18);
2HFA51:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAVSGIISSMNAMGWYRQAPGKRRELVAGLGSGVSTTYADAVKGRFTISRDNAKNTLYLQMNSLKPEDTAVYYCNRWPPPYDYWGQG TQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号19);
2HFA63:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCVVSGTILSSNSMGWYRQAPGKRRELVASISTDGSTNYADSVKGRFTISRDNAKSTVFLQMNSLKPEDTAVYYCNFHPPVVRDWGDTYWGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH QG(配列番号20);
2HFA62:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASRSIFSIGTMGWYRQAPGKRRELVAFITVDHNTYYTDSVKGRFTISTENDKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCNRAPPSTDGDRWGQG TQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号21);
2HFA26:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRTFSTYAMGWFRQAPGKERELVAAISNGGSAYYADSVKGRFTISRDNARNTVYLQTNSLKPEDTAVYYCAARRGSAYYTNRIDWPYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号22);
2HFA25:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRTFSSYAMGWFRQAPGKERELVAAISNGGSAYYADSVKGRFTISRDNARNTVYLQTNSLKPEDTAVYYCAARRGSAYYTNRIDWPYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号23);
2HFA1:
QVQLQESGGGLVEAEGSLRLSCIASGRTFGTYAMGWFRQAPGKERELVAAISSGGSAYYADSVKGRFTISRDNARNTVYLQTNSLKPEDTAVYYCAARRGSAYYTNRIDWPYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号24);
2HFA3:
QVQLQESGGGLVEAEGSLRLSCIASGRTFGTYAMGWFRQAPGKERELVAAISTGGSTYYADSVKGRFTISRDNARNTVYLQTNSLKPEDTAVYYCAARRGSAYYTNHVDWPYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号25);
2HFA7:
QVQLQESGGGLVEAEGSLRLSCAASGRTFGSYAMGWFRQAPGKSRELVAAISSGGTTYYADSVKGRFTISRDNARNTVYLQTNSLKPEDTAVYYCAARTGSAYYTNRIDWPYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号26);
2HFA31:
QVQLQESGGGLVEAEGSLRLSCAASGRTFGSYAMGWFRQAPGKSRELVAAISSGGTTYYADSVKGRFTISRDNARNTVYLQTNSPKPEDTAVYYCAARTGSAYYTNRIDWPYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号27);
2HFA6:
QVQLQESGGGLVEAEGSLRLSCAASGRTFGTYALAWFRQAPGKSRELVAAISSGGSTYYADSVKGRFTISRDNARNTVYLQTNSLKPEDTAVYYCAAKTGSAYYTNRIDWPYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号28);
2HFA53:
QVQLQESGGGLVEAEGSLRLSCAASGRAFGSYAMGWFRQAPGLERELVAAISSGGTTYYADSVKGRFTISRDNARNTVYLQTNSLKPEDTAVYYCAARTGGAAYTRRIDWPYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号29);
2HFA9:
QVQLQESGGGLVEAEGSLRLSCAASGRTFGSYAMGWFRQAAGKERELVAAISAGGSTLYADNVKGRFTISRDNARNTVYLLSNSLKPEDTAVYYCAARRGSAYYTNHIDWPYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号30);
2HFA73:
QVQLQESGGGLVQPGGSLRLSCAASGRTFGSYAMGWFRQAAGKERELVAAISAGGSTLYADNVKGRFTISRDNARNTVYLLSNSLKPEDTAVYYCAARRGSAYYTNHIDWPYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号31);
2HFA55:
QVQLQESGGGLVEAEGSLRLSCAASGRTFGSYAMGWFRQAPGKERELVAAISSGGSTLYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAARSGGAYYTARVDWPYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号32);
2HFA71:
QVQLQESGGGLVEAEGSLRLSCAASGRTFGSYAMGWFRQAPGKERELVAAISSGGSTLYAGSVKGRFTISKDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAARSGGAYYTARVDWPYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号33);
2HFA60:
QVQLQESGGGLVEAEGSPRLSCAASGRTFGSYAMGWFRQAPGKERELVAAISSGGITYYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAARSGSAYYTTRVDWPYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号34);
2HFA65:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGNIDSIASMGWYRQAPGKQRELVAAISVGGSTYYADSVKGRFTISRDNARNTVYLQTNSLKPEDTAVYYCAARRGSAYYTSRIDWPYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号35);
2HFA49:
QVQLQESGGGLVQAEGSLRLSCAASGRTFGSYAMGWFRQAPGKERELVAGISSGGITNYAHSVKGRFTISRDIDKNTVFLQMNSLKPEDTAVYYCAARSGGAYYTSRVDWPYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号36);
2HFA57:
QVQLQESGGGLVXAGGSLRLSCAASGRTFSDYAMGWFRQAPGKEREFIAGISWGGSSTYYADSVKGRFTISRDNAKNTMYLQMNSLKPEDTAVYYCAARLSGVSRSDRPYDYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号37);
2HFA23:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRTFSMYAIGWFRQAPGKERELVASISSGGSTNYADSVKGRFTISRDNAEKTVYLQMMSLEPEATGVYYCAARDGSALYTAHSDWDYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号38);
2HFA36:
QVQLQESGGGLVQPGDSLRLSCAASERTFSMYAIGWFRQAPGKERELVAGISSGGSTNYADSVKGRFTISRDNPKKTVYLQMMSLEPEDTGVYYCAARSGSAYFSGRYYWNYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号39);
2HFA14:
QVQLQESGGGLVQAGDSLRLSCAASGRTFSSYVMGWFRQVPGKQRELVAAITSGLSTYYADSLKGRFTISRDNAKNTMYLQMNSLKLEDTAVYYCAAREGGGIWTSSTQYDYWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号40);
2HFA43:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCVASGTIFSSGAMAMGWYRQAPGKQREWVAGITGSRTTTYADSVKGRFTISRDNAENTVFLQMNNLKSEDTAVYYCNLWPPSRPDHWGQGTQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号41);および
2HFA50:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCVASGTISSGAMGWYRQVPGKQREWVAGITGSRTTMYTESVKGRFTISRDNAENTVFLQMNNLKSEDTAVYYCNLWPPSRPDYWGQG TQVTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH(配列番号42)。
【0038】
種々の例示的実施形態では、FAP結合物質は、末端ヒスチジンタグ配列(すなわち、HHHHHH;配列番号43)のない、上記に提供された配列のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含む。
【0039】
種々の例示的実施形態では、FAP結合物質は、HAタグ(すなわち、YPYDVPDYGS;配列番号44)のない、上記に提供された配列のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含む。
【0040】
種々の例示的実施形態では、FAP結合物質は、AAAリンカー(すなわち、AAA)のない、上記に提供された配列のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含む。
【0041】
種々の例示的実施形態では、FAP結合物質は、AAAリンカー、HAタグ、および末端ヒスチジンタグ配列(すなわち、AAAYPYDVPDYGSHHHHHH;配列番号45)のない、上記に提供された配列のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含む。
【0042】
限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、ヒトVHH FAP結合物質は、下記の配列から選択されるアミノ酸配列を含む:
2HFA44:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGGFDSRNAMGWYRQAPGKRREWVATITSDGRTNYADSVKARFTISRDNSKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCNAAPPIFGSWGQGTQVTVSS(配列番号46);
2HFA52:
QVQLQESGGGLVRAGGSLRLSCAASGTFDSRNAMGWYRQAPGKRREWVATITTDGR-TNYADSVKARFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCNAAPPIFGSWGQGTQVTVSS(配列番号47);
2HFA11:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGSFDSRNAMGWYRQAPGKRREWVATITTDGRTNYADSVKARFTVSRDNAKNTVYLQMNSLKPDDTAVYYCNAAPPIFN-SWGQGT QVTVSS(配列番号48);
2HFA4:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGSIDIRNAMGWYRQAPGTRREWVATITTDGRTNYADSVKARFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCNLAPPIFGSWGQGTQ VTVSS(配列番号49);
2HFA46:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGSIDSRNTMGWYRQAPGKRREWVATITTGGRTNYADSVKARFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCNLAPPIFN-SWGQGTQ VTVSS(配列番号50);
2HFA10:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCTVAESIDVRNAMGWYRQAPGKRREWVATITTGGRTNYADSVKARFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCNAAPPILNSWGQGT QVTVSS(配列番号51);
2HFA38:
QVQLQESGGGLVRVGGSLRLSCAVSGSFDSRNSMGWYRQAPGKRREWVATITSGSRTNYADSVKARFTISRDNAKNTVYLQMDSLKPEDTAVYYCNAAPPIFN-SWGQG TQVTVSS(配列番号52);
2HFA20:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAVSGRLFSANTMGWYRQAPGKRRELVATILSSGSTNYADSVKGRFTISRDDAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCNLAPPPEGYWGQG TQVTVSS(配列番号53);
2HFA5:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAVSGRLFSANTMGWYRQAPGKRRELVA TILSSGSTNYADSVKGRFTISRDDGKNTVYLQMNSLKPDDTAVYYCNFAPPPEGYWGQG TQVTVSS(配列番号54);
2HFA19:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGSIFVGNAMGWYRQALGNQRELVAGITSDGTTYYPDSVKGRFTISRDNDKNTIYLQMNSLKPEDTAVYYCNLWPPRIGFASWGQG TQVTVSS(配列番号55);
2HFA2:
QVQLQESGGGLVQTGGSLRLSCAASGSIFVGNAMGWYRQALGNQRELVAGITSDGTTYYPDSVKGRFTISRDNDKNTIYLQMNSLKPEDTAVYYCNLWPPRIGFASWGQG TQVTVSS(配列番号56);
2HFA41:
QVQLQESGGGLVRAGGSLRLSCAASGSIFVGNAMGWYRQALGNQRELVAGITSDGTTYYPDSVKGRFTISRDNDKNTIYLQMNSLKPEDTAVYYCNLWPPRIGFASWGQGTQVTVSS(配列番号57);
2HFA42:
QVQLQESGGGLVQTGGSLRLSCAASGSIFVGNAMGWYRQALGNQRELVAGITSDGTTYYPDSVKGRFTISRDNDKNTIYLQMNSLKPEDTAVYYCNLWPPRIGFASWGQGTQVTVSS(配列番号58);
2HFA12:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGSISMLNSMGWYRQALGKQREFVAGITSGGRTNYADSVKGRFAISRDNDKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCNTWPPRIAFDSWGQG TQVTVSS(配列番号59);
2HFA24:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGSIFSSNAMGWYRQAAGKRRELVAGIRSDGNTNYVDSVKGRFTISRDRAKNTVYLQMTSLKPEDTAVYYCNYWPPPLRQGGDYAYWGQGTQVTVSS(配列番号60);
2HFA67:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCVVSGSFDSRNAMAWYRQALGKERVWVAGIISDGSTNYADAVKGRFTISRDNDKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCNAWPPRIGLGSWGQGTQVTVSS(配列番号61);
2HFA29:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGTMSSINAMGWYRQAPGKQRELVAGILSDGTTKYVESVKGRFTISRDNAKNTVHLQMNSLKVEDTAVYYCNFFPPPVPASWGQGTQVTVSS(配列番号62);
2HFA51:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAVSGIISSMNAMGWYRQAPGKRRELVAGLGSGVSTTYADAVKGRFTISRDNAKNTLYLQMNSLKPEDTAVYYCNRWPPPYDYWGQGTQVTVSS(配列番号63);
2HFA63:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCVVSGTILSSNSMGWYRQAPGKRRELVASISTDGSTNYADSVKGRFTISRDNAKSTVFLQMNSLKPEDTAVYYCNFHPPVVRDWGDTYWGTQVTVSS QG(配列番号64);
2HFA62:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASRSIFSIGTMGWYRQAPGKRRELVAFITVDHNTYYTDSVKGRFTISTENDKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCNRAPPSTDGDRWGQG TQVTVSS(配列番号65);
2HFA26:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRTFSTYAMGWFRQAPGKERELVAAISNGGSAYYADSVKGRFTISRDNARNTVYLQTNSLKPEDTAVYYCAARRGSAYYTNRIDWPYWGQGTQVTVSS(配列番号66);
2HFA25:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRTFSSYAMGWFRQAPGKERELVAAISNGGSAYYADSVKGRFTISRDNARNTVYLQTNSLKPEDTAVYYCAARRGSAYYTNRIDWPYWGQGTQVTVSS(配列番号67);
2HFA1:
QVQLQESGGGLVEAEGSLRLSCIASGRTFGTYAMGWFRQAPGKERELVAAISSGGSAYYADSVKGRFTISRDNARNTVYLQTNSLKPEDTAVYYCAARRGSAYYTNRIDWPYWGQGTQVTVSS(配列番号68);
2HFA3:
QVQLQESGGGLVEAEGSLRLSCIASGRTFGTYAMGWFRQAPGKERELVAAISTGGSTYYADSVKGRFTISRDNARNTVYLQTNSLKPEDTAVYYCAARRGSAYYTNHVDWPYWGQGTQVTVSS(配列番号69);
2HFA7:
QVQLQESGGGLVEAEGSLRLSCAASGRTFGSYAMGWFRQAPGKSRELVAAISSGGTTYYADSVKGRFTISRDNARNTVYLQTNSLKPEDTAVYYCAARTGSAYYTNRIDWPYWGQGTQVTVSS(配列番号70);
2HFA31:
QVQLQESGGGLVEAEGSLRLSCAASGRTFGSYAMGWFRQAPGKSRELVAAISSGGTTYYADSVKGRFTISRDNARNTVYLQTNSPKPEDTAVYYCAARTGSAYYTNRIDWPYWGQGTQVTVSS(配列番号71);
2HFA6:
QVQLQESGGGLVEAEGSLRLSCAASGRTFGTYALAWFRQAPGKSRELVAAISSGGSTYYADSVKGRFTISRDNARNTVYLQTNSLKPEDTAVYYCAAKTGSAYYTNRIDWPYWGQGTQVTVSS(配列番号72);
2HFA53:
QVQLQESGGGLVEAEGSLRLSCAASGRAFGSYAMGWFRQAPGLERELVAAISSGGTTYYADSVKGRFTISRDNARNTVYLQTNSLKPEDTAVYYCAARTGGAAYTRRIDWPYWGQGTQVTVSS(配列番号73);
2HFA9:
QVQLQESGGGLVEAEGSLRLSCAASGRTFGSYAMGWFRQAAGKERELVAAISAGGSTLYADNVKGRFTISRDNARNTVYLLSNSLKPEDTAVYYCAARRGSAYYTNHIDWPYWGQGTQVTVSS(配列番号74);
2HFA73:
QVQLQESGGGLVQPGGSLRLSCAASGRTFGSYAMGWFRQAAGKERELVAAISAGGSTLYADNVKGRFTISRDNARNTVYLLSNSLKPEDTAVYYCAARRGSAYYTNHIDWPYWGQGTQVTVSS(配列番号75);
2HFA55:
QVQLQESGGGLVEAEGSLRLSCAASGRTFGSYAMGWFRQAPGKERELVAAISSGGSTLYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAARSGGAYYTARVDWPYWGQGTQVTVSS(配列番号76);
2HFA71:
QVQLQESGGGLVEAEGSLRLSCAASGRTFGSYAMGWFRQAPGKERELVAAISSGGSTLYAGSVKGRFTISKDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAARSGGAYYTARVDWPYWGQGTQVTVSS(配列番号77);
2HFA60:
QVQLQESGGGLVEAEGSPRLSCAASGRTFGSYAMGWFRQAPGKERELVAAISSGGITYYADSVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAARSGSAYYTTRVDWPYWGQGTQVTVSS(配列番号78);
2HFA65:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGNIDSIASMGWYRQAPGKQRELVAAISVGGSTYYADSVKGRFTISRDNARNTVYLQTNSLKPEDTAVYYCAARRGSAYYTSRIDWPYWGQGTQVTVSS(配列番号79);
2HFA49:
QVQLQESGGGLVQAEGSLRLSCAASGRTFGSYAMGWFRQAPGKERELVAGISSGGITNYAHSVKGRFTISRDIDKNTVFLQMNSLKPEDTAVYYCAARSGGAYYTSRVDWPYWGQGTQVTVSS(配列番号80);
2HFA57:
QVQLQESGGGLVXAGGSLRLSCAASGRTFSDYAMGWFRQAPGKEREFIAGISWGGSSTYYADSVKGRFTISRDNAKNTMYLQMNSLKPEDTAVYYCAARLSGVSRSDRPYDYWGQGTQVTVSS(配列番号81);
2HFA23:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRTFSMYAIGWFRQAPGKERELVASISSGGSTNYADSVKGRFTISRDNAEKTVYLQMMSLEPEATGVYYCAARDGSALYTAHSDWDYW GQGTQVTVSS(配列番号82);
2HFA36:
QVQLQESGGGLVQPGDSLRLSCAASERTFSMYAIGWFRQAPGKERELVAGISSGGSTNYADSVKGRFTISRDNPKKTVYLQMMSLEPEDTGVYYCAARSGSAYFSGRYYWNYWGQGTQVTVSS(配列番号83);
2HFA14:
QVQLQESGGGLVQAGDSLRLSCAASGRTFSSYVMGWFRQVPGKQRELVAAITSGLSTYYADSLKGRFTISRDNAKNTMYLQMNSLKLEDTAVYYCAAREGGGIWTSSTQYDYWGQGTQVTVSS(配列番号84);
2HFA43:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCVASGTIFSSGAMAMGWYRQAPGKQREWVAGITGSRTTTYADSVKGRFTISRDNAENTVFLQMNNLKSEDTAVYYCNLWPPSRPDHWG QGTQVTVSS(配列番号85);および
2HFA50:
QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCVASGTISSGAMGWYRQVPGKQREWVAGITGSRTTMYTESVKGRFTISRDNAENTVFLQMNNLKSEDTAVYYCNLWPPSRPDYWGQG TQVTVSS(配列番号86)。
【0043】
限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、ヒトVHH FAP結合物質は、図10の配列(すなわち、配列番号844~884)から選択されるヌクレオチド配列によりコードされる。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、AAAリンカー、HAタグおよび末端ヒスチジンタグ配列のない、図10の配列のいずれか1つから選択されるヌクレオチド配列を含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、4つの「フレームワーク領域」またはFRと、3つの「相補性決定領域」またはCDRとを有する単一アミノ酸鎖を含むVHHであるターゲティング部分を含む。本明細書で使用される場合、「フレームワーク領域」または「FR」は、CDRの間に位置する可変ドメイン中の領域を指す。本明細書で使用される場合、「相補性決定領域」または「CDR」は、抗原性標的に特異的に結合できるアミノ酸配列を含むVHH中の可変領域を指す。
【0045】
いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、少なくとも1つのCDR1、CDR2、および/またはCDR3配列を含む可変ドメインを有するVHHを含む。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、少なくとも1つのFR1、FR2、FR3、および/またはFR4配列を含む可変領域を有するVHHを含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、ヒトFAP結合物質は、下記から選択されるCDR1配列を含む:
GGFDSRNAMG(配列番号87);GTFDSRNAMG(配列番号88);GSFDSRNAMG(配列番号89);GSIDIRNAMG(配列番号90);GSIDSRNTMG(配列番号91);ESIDVRNAMG(配列番号92);GSFDSRNSMG(配列番号93);GRLFSANTMG(配列番号94);GSIFVGNAMG(配列番号95);GSISMLNSMG(配列番号96);GSIFSSNAMG(配列番号97);GSFDSRNAMA(配列番号98);GTMSSINAMG(配列番号99);GIISSMNAMG(配列番号100);GTILSSNSMG(配列番号101);RSIFSIGTMG(配列番号102);GRTFSTYAMG(配列番号103);GRTFSSYAMG(配列番号104);GRTFGTYAMG(配列番号105);GRTFGSYAMG(配列番号106);GRTFGTYALA(配列番号107);GRAFGSYAMG(配列番号108);GNIDSIASMG(配列番号109);GRTFSDYAMG(配列番号110);GRTFSMYAIG(配列番号111);ERTFSMYAIG(配列番号112);GRTFSSYVMG(配列番号113);GTIFSSGAMAMG(配列番号114);およびGTISSGAMG(配列番号115)。
【0047】
いくつかの実施形態では、ヒトFAP結合物質は、下記から選択されるCDR2配列を含む:
TITSDGRTN(配列番号116);TITTDGRTN(配列番号117);TITTGGRTN(配列番号118);TITSGSRTN(配列番号119);TILSSGSTN(配列番号120);GITSDGTTY(配列番号121);GITSGGRTN(配列番号122);GIRSDGNTN(配列番号123);GIISDGSTN(配列番号124);GILSDGTTK(配列番号125);GLGSGVSTT(配列番号126);SISTDGSTN(配列番号127);FITVDHNTY(配列番号128);AISNGGSAY(配列番号129);AISSGGSAY(配列番号130);AISTGGSTY(配列番号131);AISSGGTTY(配列番号132);AISSGGSTY(配列番号133);AISAGGSTL(配列番号134);AISSGGSTL(配列番号135);AISSGGITY(配列番号136);AISVGGSTY(配列番号137);GISSGGITN(配列番号138);GISWGGSSTY(配列番号139);SISSGGSTN(配列番号140);GISSGGSTN(配列番号141);AITSGLSTY(配列番号142);GITGSRTTT(配列番号143);およびGITGSRTTM(配列番号144)。
【0048】
いくつかの実施形態では、ヒトFAP結合物質は、下記から選択されるCDR3配列を含む:
NAAPPIFGS(配列番号145);NAAPPIFN-S(配列番号146);NLAPPIFGS(配列番号147);NLAPPIFN-S(配列番号148);NAAPPILNS(配列番号149);NLAPPPEGY(配列番号150);NFAPPPEGY(配列番号151);NLWPPRIGFAS(配列番号152);NTWPPRIAFDS(配列番号153);NYWPPPLRQGGDYAY(配列番号154);NAWPPRIGLGS(配列番号155);NFFPPPVPAS(配列番号156);NRWPPPYDY(配列番号157);NFHPPVVRDWGDTY(配列番号158);NRAPPSTDGDR(配列番号159);AARRGSAYYTNRIDWPY(配列番号160);AARRGSAYYTNHVDWPY(配列番号161);AARTGSAYYTNRIDWPY(配列番号162);AAKTGSAYYTNRIDWPY(配列番号163);AARTGGAAYTRRIDWPY(配列番号164);AARRGSAYYTNHIDWPY(配列番号165);AARSGGAYYTARVDWPY(配列番号166);AARSGSAYYTTRVDWPY(配列番号167);AARRGSAYYTSRIDWPY(配列番号168);AARSGGAYYTSRVDWPY(配列番号169);AARLSGVSRSDR-PYDY(配列番号170);AARDGSALYTAHSDWDY(配列番号171);AARSGSAYFSGRYYWNY(配列番号172);AAREGGGIWTSSTQYDY(配列番号173);NLWPPSRPDH(配列番号174);およびNLWPPSRPDY(配列番号175)。
【0049】
いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、配列番号2~42または46~86から選択される任意のアミノ酸配列との少なくとも90%の同一性を有する。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、配列番号2~42または46~86から選択される任意のアミノ酸配列との約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%の同一性を有する。
【0050】
いくつかの実施形態では、例えばFAP結合物質は、配列番号87~175から選択される任意のアミノ酸配列中に最大5個の置換、欠失または挿入を有する。例えばFAP結合物質は、例えば配列番号87~115からの、CDR1の選択された任意のアミノ酸配列中に最大5個の置換、欠失または挿入(例えば、合計1個、2個、3個、4個または5個のアミノ酸置換、欠失または挿入)を含む。同様に、別の実施形態では、FAP結合物質は、例えば配列番号116~144からの、CDR2の選択された任意のアミノ酸配列中に最大5個の置換、欠失または挿入(例えば、合計1個、2個、3個、4個または5個のアミノ酸置換、欠失または挿入)を含む。同様に、別の実施形態では、FAP結合物質は、例えば配列番号145~175からの、CDR3の選択された任意のアミノ酸配列中に最大5個の置換、欠失または挿入(例えば、合計1個、2個、3個、4個または5個のアミノ酸置換、欠失または挿入)を含む。アミノ酸置換は、ペプチド配列中の1つまたは複数のアミノ酸残基の、別の残基(単数または複数)での置換を指す。アミノ酸欠失は、ペプチド配列からの1つまたは複数のアミノ酸残基の除去を指す。アミノ酸挿入は、ペプチド配列への1つまたは複数のアミノ酸残基の付加を指す。
【0051】
種々の例示的実施形態では、ネズミFAP結合物質は、シブロツズマズ(sibrotuzumab)のアミノ酸配列との少なくとも90%の同一性を有する。
【0052】
いくつかの実施形態では、本発明の技術は、本明細書に記載の本発明の技術のFAP結合物質の任意の天然のまたは合成の類似体、変異体、バリアント、アレル、同族体およびオーソログ(本明細書では、ひとまとめにして「類似体」と呼ぶ)の使用を意図する。いくつかの実施形態では、FAP結合物質のアミノ酸配列は、アミノ酸類似体、アミノ酸誘導体、またはその他の非古典的アミノ酸をさらに含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、本明細書で開示のFAP配列のいずれか1つに少なくとも60%同一である配列を含むターゲティング部分を含む。例えば、FAP結合物質は、本明細書で開示のFAP配列のいずれかに、少なくとも約60%、少なくとも約61%、少なくとも約62%、少なくとも約63%、少なくとも約64%、少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも約67%、少なくとも約68%、少なくとも約69%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%同一(例えば、本明細書で開示の配列のいずれか1つとの約60%、または約61%、または約62%、または約63%、または約64%、または約65%、または約66%、または約67%、または約68%、または約69%、または約70%、または約71%、または約72%、または約73%、または約74%、または約75%、または約76%、または約77%、または約78%、または約79%、または約80%、または約81%、または約82%、または約83%、または約84%、または約85%、または約86%、または約87%、または約88%、または約89%、または約90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、約99%または約100%の配列同一性)である配列を含むターゲティング部分を含み得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、本明細書で開示の配列のいずれか1つに関して1個または複数のアミノ酸変異を有するアミノ酸配列を含むターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、本明細書で開示の配列のいずれか1つに関して1個、または2個、または3個、または4個、または5個、または6個、または7個、または8個、または9個、または10個、または15個、または20個のアミノ酸変異を有するアミノ酸配列を含むターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、1個または複数のアミノ酸変異は、置換、挿入、欠失、および短縮化から独立に選択され得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、アミノ酸変異は、アミノ酸置換であり、保存的および/または非保存的置換を含み得る。
【0056】
「保存的置換」は、例えば、関与するアミノ酸残基の極性、電荷、サイズ、溶解度、疎水性、親水性、および/または両親媒特性における類似性に基づいて行われ得る。20種の天然アミノ酸は、次の6つの標準的アミノ酸グループに分類できる:(1)疎水性:Met、Ala、Val、Leu、Ile;(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr;Asn、Gln;(3)酸性:Asp、Glu;(4)塩基性:His、Lys、Arg;(5)鎖配向に影響を与える残基:Gly、Pro;および(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0057】
本明細書で使用される場合、「保存的置換」は、あるアミノ酸の、上記6つの標準的アミノ酸グループの同じグループ内に記載の別のアミノ酸による交換として定義される。例えば、AspのGluによる交換は、そのように改変されたポリペプチド中で1つの負電荷を保持する。さらに、グリシンおよびプロリンは、それらのa-ヘリックスを破壊する能力に基づいて相互に置換され得る。
【0058】
本明細書で使用される場合、「非保存的置換」は、あるアミノ酸の、上記6つの標準的アミノ酸グループ(1)~(6)の異なるグループに記載の別のアミノ酸による交換として定義される。
【0059】
いくつかの実施形態では、置換は、非古典的アミノ酸も含む。例示的な非古典的アミノ酸としては、限定されないが、セレノシステイン、ピロールリジン、N-ホルミルメチオニンβ-アラニン、GABAおよびδ-アミノレブリン酸、4-アミノ安息香酸(PABA)、共通アミノ酸のD-異性体、2,4-ジアミノ酪酸、α-アミノイソ酪酸、4-アミノ酪酸、Abu、2-アミノ酪酸、γ-Abu、ε-Ahx、6-アミノヘキサン酸、Aib、2-アミノイソ酪酸、3-アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、ホモシトルリン、システイン酸、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β-アラニン、フルオロアミノ酸、βメチルアミノ酸などのデザイナーアミノ酸、C α-メチルアミノ酸、N α-メチルアミノ酸、およびアミノ酸類似体一般が挙げられる。
【0060】
いくつかの実施形態では、1個または複数のアミノ酸変異は、ターゲティング部分のCDR(例えば、CDR1、CDR2またはCDR3領域)の中にある。別の実施形態では、1個または複数のアミノ酸変異は、ターゲティング部分のフレームワーク領域(FR)(例えば、FR1、FR2、FR3、またはFR4領域)の中にある。
【0061】
アミノ酸配列の改変は、任意の当該技術分野において、周知の技術、例えば、部位特異的変異誘発またはPCRベース変異誘発を用いて実現され得る。このような技術は、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,Plainview,N.Y.,1989 and Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York,N.Y.,1989に記載されている。
【0062】
いくつかの実施形態では、変異は、FAPに特異的に結合する本発明のFAP結合物質の能力を実質的に低下させない。いくつかの実施形態では、変異は、FAPに特異的に結合する本発明のFAP結合物質の能力を実質的に低下させず、かつFAPを機能的に調節する(例えば、部分的にまたは完全に中和する)こともない。
【0063】
いくつかの実施形態では、ヒトFAPの完全長および/または成熟型および/またはアイソフォームおよび/またはスプライスバリアントおよび/またはフラグメントおよび/またはモノマーおよび/またはダイマー型および/または任意のその他の天然のまたは合成類似体、バリアント、または変異体(モノマー、ダイマー型を含む)に対する本発明の技術のFAP結合物質の結合親和性は、平衡解離定数(K)により特徴付けられる。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、ヒトFAPの完全長および/または成熟型および/またはアイソフォームおよび/またはスプライスバリアントおよび/またはフラグメントおよび/または任意の他の天然のまたは合成の類似体、バリアント、または変異体(モノマーおよび/またはダイマー型を含む)に約1μM、約900nM、約800nM、約700nM、約600nM、約500nM、約400nM、約300nM、約200nM、約100nM、約90nM、約80nM、約70nM、約60nM、約50nM、約40nM、約30nM、約20nM、約10nM、または約5nM、または約1nM未満のKで結合するターゲティング部分を含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、目的の抗原、すなわち、FAPを結合するが機能的に調節(例えば、部分的にまたは完全に中和)しないターゲティング部分を含む。例えば、いくつかの実施形態では、FAP結合物質のターゲティング部分は、単に抗原を標的とするが、抗原が有する生物学的作用を実質的に機能的に調節(例えば、部分的にまたは完全に阻害するまたは中和する)しない。いくつかの実施形態では、FAP結合物質のターゲティング部分は、その生物活性にとって重要な抗原部位(例えば、抗原の活性部位)から物理的に離れたエピトープを結合する。
【0065】
顕著な機能調節のないこのような結合は、本発明のFAP結合物質がエフェクター抗原を介して必要な部位に活性免疫細胞を直接的にまたは間接的に動員するために用いられる方法を含む、本発明の技術のいくつかの実施形態で使用される。例えば、いくつかの実施形態では、本発明のFAP結合物質は、腫瘍を縮小させるまたは取り除く方法において、腫瘍細胞にFAPを介して直接的または間接的に樹状細胞を動員するために使用され得る(例えば、FAP結合物質は、抗FAP抗原認識ドメインを有するターゲティング部分および腫瘍抗原または受容体に対する認識ドメイン(例えば、抗原認識ドメイン)を有するターゲティング部分を含み得る)。このような実施形態では、樹状細胞を直接的または間接的に動員するがFAP活性を機能的に調節または中和しないことが望ましい。これらの実施形態では、FAPシグナル伝達は、腫瘍を縮小させるまたは取り除く作用の重要な部分である。
【0066】
いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、樹状細胞による抗原提示を強化する。例えば、いくつかの実施形態では、本発明のFAP結合物質は、腫瘍細胞にFAPを介して樹状細胞を直接または間接的に動員し、その後、そこで腫瘍抗原が取り込まれ、強力な体液性および細胞傷害性T細胞応答の誘導のために、樹状細胞上に提示される。
【0067】
他の実施形態では(例えば、癌、自己免疫または神経変性疾患の治療に関連して)、FAP結合物質は、目的の抗原、すなわち、FAPを結合し中和するターゲティング部分を含む。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の方法は、例えば、免疫応答を低減させるために、FAPシグナル伝達または発現を阻害または低減し得る。
【0068】
本発明のFAP結合物質を含む治療薬
シグナル伝達物質とのキメラおよび融合体
いくつかの実施形態では、本発明の技術のFAP結合物質は、1種または複数のシグナル伝達物質とのキメラまたは融合タンパク質の一部である。したがって、本発明の技術は、例えば、FAPに対するターゲティング部分および1種または複数のシグナル伝達物質を含むキメラまたは融合タンパク質を提供する。
【0069】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質は、1つまたは複数のその受容体に対する低減された親和性または活性を有するように改変され、それによりキメラまたは融合タンパク質の活性の減弱化(アゴニズムまたはアンタゴニズムを含む)を可能にし、および/または非特異的シグナル伝達または望ましくない隔離を防止する。いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質は野生型の形態で拮抗性であり、そのアンタゴニスト活性を弱める1個または複数の変異を有する。いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質は、1個または複数の変異に起因して拮抗性であり、例えば、アゴニストシグナル伝達物質はアンタゴニストシグナル伝達物質に変換され、このような変換されたシグナル伝達物質は、場合により、そのアンタゴニスト活性を弱める1個または複数の変異も有する(例えば、国際公開第2015/007520号に記載のように、この特許の全内容は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0070】
したがって、いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質は、1個または複数の改変(例えば、変異)を有する改変された(変異した)型のシグナル伝達物質である。いくつかの実施形態では、変異は改変シグナル伝達物質が、非変異型、すなわち、野生型形態のシグナル伝達物質に比べて(例えば、野生型形態と改変(例えば、変異)形態での同じシグナル伝達物質を比較して)、低減された結合親和性、低減された内在性活性、および低減された特定の生物活性の1つまたは複数などの1つまたは複数の弱められた活性を有することを可能にする。いくつかの実施形態では、結合または親和性を弱めるまたは低減する変異は、結合または活性を実質的に低下または除去する変異を含む。いくつかの実施形態では、結合または親和性を弱めるまたは低減する変異は、結合または活性を実質的に低下または除去する変異とは異なる。結果として、いくつかの実施形態では、変異は、シグナル伝達物質が、非変異型、すなわち、野生型シグナル伝達物質に比べて(例えば、野生型形態と改変(例えば、変異)形態での同じシグナル伝達物質を比較して)、向上した安全性、例えば、低減された全身毒性、低減された副作用、および低減されたオフターゲット効果を有することを可能にする。
【0071】
本明細書に記載のように、物質は、1個または複数の改変、例えば、変異により、向上した安全性を有し得る。いくつかの実施形態では、向上した安全性は、本キメラタンパク質がより低い毒性(例えば、全身性毒性および/または組織/器官関連毒性);および/または低減されたまたは実質的に除去された副作用;および/または高められた耐容性、低減されたまたは実質的に除去された有害事象;および/または低減されたまたは実質的に除去された;および/または拡大された治療濃度域をもたらすことを意味する。
【0072】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質は、1つまたは複数のその受容体に対する結合親和性または活性を低減する1個または複数の変異を有するように改変される。いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質は、受容体に対する結合親和性または活性を実質的に低減または除去する1個または複数の変異を有するように改変される。いくつかの実施形態では、野生型シグナル伝達物質により与えられる活性は、受容体に対するアゴニズム(例えば、治療の部位での細胞効果の活性化)である。例えば、野生型シグナル伝達物質は、その受容体を活性化し得る。このような実施形態では、変異は、受容体に対する活性化作用を低減または除去するように改変されたシグナル伝達物質をもたらす。例えば、変異は、標的細胞に低減された活性化シグナルを送るように改変されたシグナル伝達物質をもたらし得る、または活性化シグナルが除去され得る。いくつかの実施形態では、野生型シグナル伝達物質により与えられる作用は、受容体に対するアンタゴニズム(例えば、治療の部位での細胞効果の遮断または抑制)である。例えば、野生型シグナル伝達物質は、受容体をアンタゴナイズするまたは阻害し得る。これらの実施形態では、変異は、受容体に対するアンタゴナイズ活性を低減または除去するように改変されたシグナル伝達物質をもたらす。例えば、変異は、標的細胞に低減された阻害シグナルを送るように改変されたシグナル伝達物質をもたらし得る、または阻害シグナルが除去され得る。いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質は、1個または複数の変異に起因して拮抗性であり、例えば、アゴニストシグナル伝達物質はアンタゴニストシグナル伝達物質に変換され(例えば、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2015/007520号に記載のように)かつ、このような変換されたシグナル伝達物質は、場合により、1つまたは複数のその受容体に対するその結合親和性または活性を低減する、または1個または複数のその受容体に対し結合親和性または活性を実質的に低減または除去する1個または複数の変異も有する。
【0073】
いくつかの実施形態では、受容体に対し低減された親和性または活性は、本明細書に記載の1つまたは複数のターゲティング部分(例えば、FAPに対するターゲティング部分)との結合により回復可能である。他の実施形態では、受容体に対し低減された親和性または活性は、1つまたは複数のターゲティング部分の活性により実質的に回復可能でない。
【0074】
いくつかの実施形態では、本発明の技術のキメラタンパク質は、それらのシグナル伝達物質が受容体に対する結合親和性または活性を弱めるまたは除去する変異を有するという理由で、オフターゲット効果を低減させる。いくつかの実施形態では、副作用におけるこの低減は、例えば、野生型シグナル伝達物質と比べて観察される。いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質は、標的細胞に対し活性である。理由は、ターゲティング部分(単数または複数)が、実質的な活性化に必要とされる欠損した/不十分な結合(例えば、限定されないが、および/または結合力)を補償するためである。いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、治療作用部位へ向かう途上では実質的に不活性であり、特異的に標的とされる細胞型に対してその効果を実質的に有し、これにより望ましくない副作用を大きく低減する。
【0075】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質は、1つの受容体(すなわち、治療受容体)に対する結合または親和性を弱めるまたは低減させる1個または複数の変異および第2の受容体に対する結合または活性を実質的に低減または除去する1個または複数の変異を含み得る。このような実施形態では、これらの変異は、同じまたは異なる位置にあってよい(すなわち、同じ変異または複数の変異)。いくつかの実施形態では、1つの受容体に対し結合および/または活性を低減する変異(単数または複数)は、別の受容体に対し実質的に低減または除去する変異(単数または複数)とは異なる。いくつかの実施形態では、1つの受容体に対し結合および/または活性を低減する変異(単数または複数)は、別の受容体に対し実質的に低減または除去する変異(単数または複数)と同じである。いくつかの実施形態では、本キメラタンパク質は、治療受容体に対し結合および/または活性を弱めしたがってより制御された狙い通りの治療効果(例えば、野生型シグナル伝達物質に比較して)を可能にする変異および、別の受容体に対する結合および/または活性を実質的に低減または除去ししたがって副作用を低減する(例えば、野生型シグナル伝達物質に比べて)変異の両方を有する改変シグナル伝達物質を有する。
【0076】
いくつかの実施形態では、結合または活性の実質的な低減または除去は、ターゲティング部分(FAPに対するターゲティング部分または本明細書に記載の任意のその他のターゲティング部分)を用いて実質的に回復可能ではない。いくつかの実施形態では、結合または活性の実質的な低減または除去は、ターゲティング部分を用いて回復可能である。いくつかの実施形態では、第2の受容体に対する結合または活性の実質的な低減または除去は、他の受容体により媒介される有害作用も防止し得る。あるいは、または加えて、他の受容体に対する結合または活性の実質的な低減または除去は、治療作用部位から離れて治療キメラタンパク質を隔離するのを低減するまたは無くするので、治療効果を改善させる。例えば、いくつかの実施形態では、これは、他の受容体での損失を補償するための高用量の本発明のキメラタンパク質の必要性を無くする。このような用量を低減する能力は、さらに副作用の可能性を低くする。
【0077】
いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、1個または複数のその受容体に対し、シグナル伝達物質に、親和性、例えば、結合(例えば、K)および/または活性化(例えば、改変シグナル伝達物質がその受容体のアゴニストである場合、例えば、KAおよび/またはEC50として測定可能である)および/または阻害(例えば、改変シグナル伝達物質がその受容体のアンタゴニストである場合、例えば、Kおよび/または1050として測定可能である)を低減、実質的に低減、または除去させる1個または複数の変異を含む。いくつかの実施形態では、免疫調節薬の受容体に対する低減された親和性は、活性の減弱化(アゴニズムまたはアンタゴニズムを含む)を可能にする。このような実施形態では、改変シグナル伝達物質は、野生型シグナル伝達物質に比較して、受容体に対する約1%、または約3%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約10%~20%、約20%~40%、約50%、約40%~60%、約60%~80%、約80%~100%の親和性を有する。いくつかの実施形態では、結合親和性は、野生型シグナル伝達物質に比べて、少なくとも約2倍低い、約3倍低い、約4倍低い、約5倍低い、約6倍低い、約7倍低い、約8倍低い、約9倍低い、少なくとも約10倍低い、少なくとも約15倍低い、少なくとも約20倍低い、少なくとも約25倍低い、少なくとも約30倍低い、少なくとも約35倍低い、少なくとも約40倍低い、少なくとも約45倍低い、少なくとも約50倍低い、少なくとも約100倍低い、少なくとも約150倍低い、または約10~50倍低い、約50~100倍低い、約100~150倍低い、約150~200倍低い、または200倍超低い。
【0078】
改変シグナル伝達物質が1つの受容体に対し結合を低減しかつ第2の受容体に対し結合を実質的に低減または除去する変異を有するいくつかの実施形態では、1つの受容体に対する改変シグナル伝達物質の結合親和性の減弱または低減は、他の受容体に対する親和性の実質的な低減または除去より小さい。いくつかの実施形態では、1つの受容体に対する改変シグナル伝達物質の結合親和性の減弱または低減は、他の受容体に対する親和性の実質的低減または除去よりも、約1%、または約3%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%だけ小さい。いくつかの実施形態では、実質的な低減または除去は、減弱または低減よりも大きい結合親和性および/または活性の低減を指す。
【0079】
いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、例えば、野生型シグナル伝達物質に比べて、シグナル伝達物質の内在性活性を、約75%、または約70%、または約60%、または約50%、または約40%、または約30%、または約25%、または約20%、または約10%、または約5%、または約3%、または約1%に低減する1個または複数の変異を含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、シグナル伝達物質が、その受容体に対するターゲティング部分の結合親和性より低い、その受容体に対する低減された親和性を有するようにさせる1個または複数の変異を含む。いくつかの実施形態では、この結合親和性の差異は、同じ細胞上のシグナル伝達物質/受容体とターゲティング部分/受容体との間に存在する。いくつかの実施形態では、この結合親和性の差異は、シグナル伝達物質、例えば、変異シグナル伝達物質が、局在化された狙い通りの効果を有し、かつ野生型シグナル伝達物質で観察される副作用の根底にあるオフターゲット効果を最小化するのを可能にする。いくつかの実施形態では、この結合親和性は、少なくとも約2倍、または少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍、または少なくとも約15倍低い、または少なくとも約25倍、または少なくとも約50倍低い、または少なくとも約100倍、または少なくとも約150倍低い。
【0081】
受容体結合活性は、当該技術分野において既知の方法を使用して測定され得る。例えば、親和性および/または結合活性は、スキャッチャードプロット分析および結合データのコンピューターフィッティング(例えば、Scatchard,1949)またはBrechtら(1993)により記載のように、フロースルー条件下で反射型干渉分光法により評価し得る。これらの文献の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0082】
種々の実施形態では、追加のシグナル伝達物質は、改変型のサイトカイン、成長因子およびホルモンから選択される。このようなサイトカイン、成長因子、およびホルモンの実例としては、限定されないが、リンフォカイン、モノカイン、伝統的なポリペプチドホルモン、例えばヒト成長ホルモン、N-メチオニルヒト成長ホルモン、およびウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;レラキシン;プロレラキシン;糖タンパク質ホルモン、例えば、卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、および黄体ホルモン(LH);肝臓成長因子;線維芽細胞増殖因子;プロラクチン;胎盤性ラクトゲン;腫瘍壊死因子-αおよび腫瘍壊死因子-β;ミュラー管阻害物質;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管性内皮成長因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);神経成長因子、例えば、NGF-α;血小板成長因子;トランスフォーミング成長因子(TGF)、例えば、TGF-αおよびTGF-β;インスリン様成長因子-Iおよび-II;骨誘導因子;インターフェロン、例えばインターフェロン-α、インターフェロン-βおよびインターフェロン-γ(ならびにインターフェロンI、IIおよびIII型);コロニー刺激因子(CSF)、例えば、マクロファージCSF(M-CSF);顆粒球マクロファージCSF(GM-CSF);および顆粒球CSF(G-CSF);インターロイキン(IL)、例えば、IL-1、IL-1α、IL-2、1L-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13およびIL-18;腫瘍壊死因子、例えば、TNF-αおよびTNF-β;ならびに他のポリペプチド因子、例えば、LIFおよびkitリガンド(KL)が挙げられる。本明細書で使用される場合、サイトカイン、成長因子、およびホルモンは、天然源から得られる、または組換え細菌、真核細胞または哺乳動物細胞培養系から生成されるタンパク質、および天然配列サイトカインの生物学的に活性な等価物を含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、追加のシグナル伝達物質は、限定されないが、トランスフォーミング成長因子(TGF)、例えばTGF-αおよびTGF-β、上皮成長因子(EGF)、インスリン様成長因子、例えばインスリン様成長因子-Iおよび-II、線維芽細胞増殖因子(FGF)、ヘレグリン、血小板由来成長因子(PDGF)、血管内皮成長因子(VEGF)から選択される成長因子の改変型である。
【0084】
ある実施形態では、成長因子は、線維芽細胞増殖因子(FGF)の改変型である。例示的FGFとしては、限定されないが、FGF1、FGF2、FGF3、FGF4、FGF5、FGF6、FGF7、FGF8、FGF9、FGF10、FGF11、FGF12、FGF13、FGF14、ネズミFGF15、FGF16、FGF17、FGF18、FGF19、FGF20、FGF21、FGF22、およびFGF23が挙げられる。
【0085】
ある実施形態では、成長因子は、トランスフォーミング成長因子(TGF)の改変型である。例示的なTGFとしては、限定されないが、TGF-αおよびTGF-β、ならびにそれらのサブタイプ、例えばTGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3を含むTGF-βの種々のサブタイプなどが挙げられる。
【0086】
いくつかの実施形態では、追加のシグナル伝達物質は、限定されないが、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、ゴナドトロピン放出ホルモン、アンドロゲン、エストロゲン、甲状腺刺激ホルモン、濾胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、プロラクチン、成長ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、抗利尿ホルモン、オキシトシン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン、ソマトスタチン、ドーパミン、メラトニン、サイロキシン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、糖質コルチコイド、鉱質コルチコイド、アドレナリン、ノルアドレナリン、プロゲステロン、インスリン、グルカゴン、アミリン、カルシトリオール、カルシフェロール、心房性ナトリウム利尿ペプチド、ガストリン、セクレチン、コレシストキニン、ニューロペプチドY、グレリン、PYY3-36、インスリン様成長因子(IGF)、レプチン、トロンボポエチン、エリスロポエチン(EPO)、およびアンギオテンシノーゲンから選択されるホルモンの改変型である。
【0087】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質は、免疫調節薬、例えば、インターロイキン、インターフェロン、および腫瘍壊死因子の1種または複数である。
【0088】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質は、インターロイキンまたは改変インターロイキンであり、例えば、IL-1、IL2、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL8、IL9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-19、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-24、IL-25、IL-26、IL-27、IL-28、IL-29、IL-30、IL-31、IL-32、IL-33、IL-35、IL-36またはそのフラグメント、バリアント、類似体、またはファミリーメンバーを含む。インターロイキンは、リンパ球、単球、およびマクロファージにより合成される多機能サイトカイン群である。既知の機能は、免疫細胞(例えば、ヘルパーT細胞、B細胞、好酸球、およびリンパ球)の増殖の刺激、好中球およびTリンパ球の遊走作用、および/またはインターフェロンの阻害を含む。インターロイキン活性は、当該技術分野において既知のアッセイを使用して測定できる(Matthews et al.,in Lymphokines and Interferons:A Practical Approach,Clemens et al.,eds,IRL Press,Washington,D.C.1987,pp.221-225;and Orencole & Dinarello(1989)Cytokine 1,14-20)。
【0089】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質は、インターフェロンまたはインターフェロンI、II、およびIII型などの改変型のインターフェロンである。インターフェロンの例としては、例えば、インターフェロン-α-1、2、4、5、6、7、8、10、13、14、16、17、および21、インターフェロンβおよびインターフェロンγ、インターフェロンκ、インターフェロンε、インターフェロンτ、およびインターフェロンωが挙げられる。
【0090】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質は、腫瘍壊死因子(TNF)または腫瘍壊死因子(TNF)の改変型またはTNFファミリーのタンパク質であり、限定されないが、TNFα、TNFβ、LTβ、CD40L、CD27L、CD30L、FASL、4-1BBL、OX40L、およびTRAILを含む。
【0091】
本明細書に記載の野生型シグナル伝達物質のアミノ酸配列は、当該技術分野において、周知である。したがって、いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、本明細書に記載のシグナル伝達物質の既知の野生型アミノ酸配列との少なくとも約60%、または少なくとも約61%、または少なくとも約62%、または少なくとも約63%、または少なくとも約64%、または少なくとも約65%、または少なくとも約66%、または少なくとも約67%、または少なくとも約68%、または少なくとも約69%、または少なくとも約70%、または少なくとも約71%、または少なくとも約72%、または少なくとも約73%、または少なくとも約74%、または少なくとも約75%、または少なくとも約76%、または少なくとも約77%、または少なくとも約78%、または少なくとも約79%、または少なくとも約80%、または少なくとも約81%、または少なくとも約82%、または少なくとも約83%、または少なくとも約84%、または少なくとも約85%、または少なくとも約86%、または少なくとも約87%、または少なくとも約88%、または少なくとも約89%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性(例えば、約60%、または約61%、または約62%、または約63%、または約64%、または約65%、または約66%、または約67%、または約68%、または約69%、または約70%、または約71%、または約72%、または約73%、または約74%、または約75%、または約76%、または約77%、または約78%、または約79%、または約80%、または約81%、または約82%、または約83%、または約84%、または約85%、または約86%、または約87%、または約88%、または約89%、または約90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、または約99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、本明細書に記載のシグナル伝達物質のいずれかのアミノ酸配列との少なくとも約60%、または少なくとも約61%、65%、または少なくとも約66%、70%、または少なくとも約71%、75%、または少なくとも約76%、80%、または少なくとも約81%、85%、または少なくとも約86%、90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約62%、または少なくとも約67%、または少なくとも約72%、または少なくとも約77%、または少なくとも約82%、または少なくとも約87%、または少なくとも約92%、または少なくとも約63%、または少なくとも約68%、または少なくとも約73%、または少なくとも約78%、または少なくとも約83%、または少なくとも約88%、または少なくとも約93%、または少なくとも約64%、または少なくとも約69%、または少なくとも約74%、または少なくとも約79%、または少なくとも約84%、または少なくとも約89%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性(例えば、約60%、または約61%、または約62%、または約63%、または約64%、または約65%、または約66%、または約67%、または約68%、または約69%、または約70%、または約71%、または約72%、または約73%、または約74%、または約75%、または約76%、または約77%、または約78%、または約79%、または約80%、または約81%、または約82%、または約83%、または約84%、または約85%、または約86%、または約87%、または約88%、または約89%、または約90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、または約99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、1個または複数のアミノ酸変異を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、1個または複数のアミノ酸変異は、置換、挿入、欠失、および短縮化から独立に選択され得る。いくつかの実施形態では、アミノ酸変異はアミノ酸置換であり、本明細書の他の場所で記載のように、保存的置換および/または非保存的置換を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書の他の場所で記載のように、置換は非古典的アミノ酸も含んでよい。
【0094】
本明細書に記載のように、改変シグナル伝達物質は、1つまたは複数の受容体に対し親和性および/または活性に影響を与える変異を有する。いくつかの実施形態では、治療受容体、例えば、それにより目的の治療効果が媒介される(例えば、アゴニズムまたはアンタゴニズム)受容体に対する低減された親和性および/または活性が存在する。いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、受容体、例えば、それにより目的の治療効果が媒介されない(例えば、結合の混乱状態の結果として)受容体に対する親和性および/または活性が実質的に低減または除去される変異を有する。改変シグナル伝達物質の受容体、例えば、本明細書に記載のサイトカイン、成長因子、およびホルモンの内の1つの受容体は当技術分野において既知である。
【0095】
受容体に対し低減された親和性および/または活性(例えば、アゴニスト活性)をもたらす変異の例は、国際公開第2013/107791号および国際出願第PCT/EP2017/061544号(例えば、インターフェロンに関して)、国際公開第2015/007542号(例えば、インターロイキンに関して)、および国際公開第2015/007903号(例えば、TNFに関して)で見出され、これらのそれぞれの全内容は参照により本明細書に組み込まれる。治療受容体に対する親和性および/または活性(例えば、アゴニスト活性)を低減する変異の例は、国際公開第2015/007520号で見出され、この全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0096】
いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、シグナル伝達物質のI型サイトカイン受容体、II型サイトカイン受容体、ケモカイン受容体、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)スーパーファミリーの受容体、TGFベータ受容体、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーの受容体、および/またはチロシンキナーゼスーパーファミリーの受容体に対する親和性および/または活性を低減させる1個または複数の変異を含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質に対する受容体は、I型サイトカイン受容体である。I型サイトカイン受容体は当技術分野において既知であり、限定されないが、IL2(ベータサブユニット)、IL3、IL4、IL5、IL6、IL7、IL9、IL-11、IL-12、GM-CSF、G-CSF、LIF、CNTFに対する受容体、および同様に、トロンボポエチン(TPO)、プロラクチン、および成長ホルモンに対する受容体が挙げられる。例示I型サイトカイン受容体としては、限定されないが、GM-CSF受容体、G-CSF受容体、LIF受容体、CNTF受容体、TPO受容体、およびI型IL受容体が挙げられる。
【0098】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質に対する受容体は、II型サイトカイン受容体である。II型サイトカイン受容体は、異種のサブユニットからなる多量体受容体であり、主にインターフェロンに対する受容体である。この受容体ファミリーとしては、限定されないが、インターフェロン-a、インターフェロン-βおよびインターフェロン-γ、IL10、IL22、および組織因子に対する受容体が挙げられる。例示II型サイトカイン受容体としては、限定されないが、IFN-a受容体(例えば、IFN-AR1およびIFN-AR2)、IFN-3受容体、IFN-y受容体(例えば、IFN-GR1およびIFN-GR2)、およびII型IL受容体が挙げられる。
【0099】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質に対する受容体は、Gタンパク質共役受容体である。ケモカイン受容体は、7回膜貫通型構造を有し、シグナル伝達のためにGタンパク質に結合されるGタンパク質共役受容体である。ケモカイン受容体としては、限定されないが、CCケモカイン受容体、CXCケモカイン受容体、CX3Cケモカイン受容体、およびXCケモカイン受容体(XCR1)が挙げられる。例示的ケモカイン受容体としては、限定されないが、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCRS、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR3B、CXCR4、CXCRS、CSCR6、CXCR7、XCR1、およびCX3CR1が挙げられる。
【0100】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質に対する受容体は、TNFRファミリーメンバーである。腫瘍壊死因子受容体(TFNR)ファミリーメンバーは、細長い分子を作成するCXXCXXCのコアモチーフを取り囲む3つのジスルフィド結合から形成されるシステインリッチドメイン(CRD)を共有する。例示的腫瘍壊死因子受容体ファミリーとしては、下記が挙げられる:CDI20a(TNFRSFIA)、CD120b(TNFRSFIB)、リンホトキシンベータ受容体(LTBR、TNFRSF3)、CD134(TNFRSF4)、CD40(CD40、TNFRSFS)、FAS(FAS、TNFRSF6)、TNFRSF6B(TNFRSF6B)、CD27(CD27、TNFRSF7)、CD30(TNFRSF8)、CD137(TNFRSF9)、TNFRSFIOA(TNFRSFIOA)、TNFRSFIOB、(TNFRSFIOB)、TNFRSFIOC(TNFRSFIOC)、TNFRSFIOD(TNFRSFIOD)、RANK(TNFRSFI IA)、破骨細胞分化抑制因子(TNFRSFI IB)、TNFRSF12A(TNFRSF12A)、TNFRSF13B(TNFRSF13B)、TNFRSF13C(TNFRSF13C)、TNFRSF14(TNFRSF14)、神経成長因子受容体(NGFR、TNFRSF16)、TNFRSF17(TNFRSF17)、TNFRSF18(TNFRSF18)、TNFRSF19(TNFRSF19)、TNFRSF21(TNFRSF21)、およびTNFRSF25(TNFRSF25)。ある実施形態では、TNFRファミリーメンバーは、CD120a(TNFRSF1A)またはTNF-R1である。別の実施形態では、TNFRファミリーメンバーは、CD120b(TNFRSFIB)またはTNF-R2である。
【0101】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質に対する受容体は、TGFベータ受容体である。TGFベータ受容体は、1回膜貫通型セリン/トレオニンキナーゼ受容体である。TGFベータ受容体としては、限定されないが、TGFBR1、TGFBR2、およびTGFBR3が挙げられる。
【0102】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質に対する受容体は、Igスーパーファミリー受容体である。免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーの受容体は、免疫グロブリンとの構造的相同性を共有する。Igスーパーファミリーの受容体としては、限定されないが、インターロイキン-1受容体、CSF-1R、PDGFR(例えば、PDGFRAおよびPDGFRB)、およびSCFRが挙げられる。
【0103】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質に対する受容体は、チロシンキナーゼスーパーファミリー受容体である。チロシンキナーゼチロシンキナーゼスーパーファミリーの受容体は、当該技術分野において周知である。20のサブファミリーに分類される約58個の受容体チロシンキナーゼ(RTK)が存在する。チロシンキナーゼスーパーファミリーの受容体としては、限定されないが、FGF受容体およびそれらの種々のアイソフォーム、例えば、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、およびFGFR5が挙げられる。
【0104】
いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、インターフェロンαである。いくつかの実施形態では、改変IFN-α物質は、IFN-α/β受容体(IFN-AR)、すなわち、IFN-AR1および/またはIFN-AR2鎖に対し、低減された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、改変IFN-α物質は、IFN-α/β受容体(IFN-AR)、すなわち、IFN-AR1および/またはIFN-AR2鎖に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、改変IFN-α物質は、ヒト改変IFN-α物質である。
【0105】
変異型のインターフェロンは、当業者に既知である。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、配列番号176のアミノ酸配列を有するアレル型IFN-α2aである。
【0106】
限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、アミノ酸位置23でIFN-α2aと異なる配列番号177のアミノ酸配列を有するアレル型のIFN-α-2bである。
【0107】
いくつかの実施形態では、改変IFN-α2シグナル伝達物質は、ヒトIFN-α2変異体(IFN-α-2aまたはIFN-α2b)である。いくつかの実施形態では、ヒトIFN-α2変異体(IFN-α2aまたはIFN-α2b)は、位置144~154、例えば、アミノ酸位置148、149および/または153で、1個または複数のアミノ酸の変異が導入されている。いくつかの実施形態では、ヒトIFN-α2変異体は、L153A、R149A、およびM148Aから選択される1個または複数の変異を含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、IFN-α2変異体は、IFN-AR1に対する低減された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、IFN-α2変異体は、国際公開第2010/030671号に記載のように、F64A、N65A、T69A、L80A、Y85A、およびY89Aから選択される1個または複数の変異を含むヒトIFN-α2変異体である。この特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0109】
いくつかの実施形態では、IFN-α2変異体は、国際公開第2008/124086号に記載のように、K133A、R144A、R149A、およびL153Aから選択される1個または複数の変異を含むヒトIFN-α2変異体である。この特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0110】
いくつかの実施形態では、IFN-α2変異体は、国際公開第2015/007520号および国際公開第2010/030671号に記載のように、R120EおよびR120E/K121Eから選択される1個または複数の変異を含むヒトIFN-α2変異体である。これらの特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、IFN-α2変異体は、野生型IFN-α2活性をアンタゴナイズする。いくつかの実施形態では、上記変異体IFN-α2は、IFN-AR1に対する低減された親和性および/または活性を有するが、IFN-AR2に対する活性は保持される。
【0111】
いくつかの実施形態では、ヒトIFN-α2変異体は、(1)R120EおよびR120E/K121Eから選択される1個または複数の変異(理論に束縛されることを望むものではないが、これらはアンタゴニスト効果を作り出す)、および(2)K133A、R144A、R149A、およびL153Aから選択される1個または複数の変異(理論に束縛されることを望むものではないが、これらは、例えば、IFN-AR2に対する減弱化効果を可能とする)を含む。いくつかの実施形態では、ヒトIFN-α2変異体は、R120EおよびL153Aを含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、ヒトIFN-α2変異体は、国際公開第2013/059885号に開示のように、L15A、A19W、R22A、R23A、L26A、F27A、L30A、L30V、K31A、D32A、R33K、R33A、R33Q、H34A、D35A、Q40A、D114R、L117A、R120A、R125A、K134A、R144A、A145G、A145M、M148A、R149A、S152A、L153A、およびN156Aから選択される1個または複数の変異を含み、この特許の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、国際公開第2013/059885号で開示のように、ヒトIFN-α2変異体は、変異H57Y、E58N、Q61S、および/またはL30Aを含む。いくつかの実施形態では、国際公開第2013/059885号で開示のように、ヒトIFN-α2変異体は、変異H57Y、E58N、Q61S、および/またはR33Aを含む。いくつかの実施形態では、国際公開第2013/059885号で開示のように、ヒトIFN-α2変異体は、変異H57Y、E58N、Q61S、および/またはM148Aを含む。いくつかの実施形態では、国際公開第2013/059885号で開示のように、ヒトIFN-α2変異体は、変異H57Y、E58N、Q61S、および/またはL153Aを含む。いくつかの実施形態では、国際公開第2013/059885号で開示のように、ヒトIFN-α2変異体は、変異N65A、L80A、Y85A、および/またはY89Aを含む。いくつかの実施形態では、国際公開第2013/059885号で開示のように、ヒトIFN-α2変異体は、変異N65A、L80A、Y85A、Y89Aおよび/またはD114Aを含む。いくつかの実施形態では、ヒトIFN-α2変異体は、変異R144X、A145X、およびR33Aを含み、ここでXは、A、S、T、Y、L、およびIから選択され、Xは、G、H、Y、K、およびDから選択される。
【0113】
ある実施形態では、改変シグナル伝達物質はインターフェロンβである。このような実施形態では、改変インターフェロンβ物質は、IFN-α/β受容体(IFN-AR)、すなわち、IFN-AR1および/またはIFN-AR2鎖に対する低減された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、改変IFN-β物質は、IFN-α/β受容体(IFN-AR)、すなわち、IFN-AR1および/またはIFN-AR2鎖に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。
【0114】
ある実施形態では、改変シグナル伝達物質はIFN-βである。いくつかの実施形態では、IFN-βは、官能性誘導体、類似体、前駆物質、アイソフォーム、スプライスバリアント、またはIFN-βのフラグメントを包含する。いくつかの実施形態では、IFN-βは、任意の種由来のIFN-βを包含する。ある実施形態では、キメラタンパク質は、改変型のマウスIFN-βを含む。ある実施形態では、キメラタンパク質は、改変型のヒトIFN-βを含む。ヒトIFN-βは、166個のアミノ酸残基を含む約22kDaの分子量を有するポリペプチドである。ヒトIFN-βのアミノ酸配列は、配列番号178として示される。
【0115】
いくつかの実施形態では、IFN-βは、ヒトIFN-βのグリコシル化型であるIFN-β-Iaである。いくつかの実施形態では、IFN-βは、Met-1欠失およびCys-17のSerへの変異を有する非グリコシル化型のヒトIFN-βであるIFN-β-Ibである。
【0116】
いくつかの実施形態では、改変IFN-βは、IFN-ARのIFN-AR1サブユニットに対するその結合または親和性を低減する1個または複数の変異を有する。いくつかの実施形態では、改変IFN-βは、IFN-AR1に対する低減された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、IFN-AR1で低減された親和性および/または活性を有する改変IFN-βは、ヒトIFN-βであり、位置F67、R71、L88、Y92、195、N96、K123、およびR124に1個または複数の変異を有する。いくつかの実施形態では、1個または複数の変異は、F67G、F67S、R71A、L88G、L88S、Y92G、Y92S、195A、N96G、K123G、およびR124Gから選択される置換である。いくつかの実施形態では、改変ヒトIFN-βは、F67G変異を含む。いくつかの実施形態では、改変ヒトIFN-βは、K123G変異を含む。いくつかの実施形態では、改変ヒトIFN-βは、F67GおよびR71A変異を含む。いくつかの実施形態では、改変ヒトIFN-βは、L88GおよびY92G変異を含む。いくつかの実施形態では、改変ヒトIFN-βは、Y92G、195A、およびN96G変異を含む。いくつかの実施形態では、改変ヒトIFN-βは、K123GおよびR124G変異を含む。いくつかの実施形態では、改変ヒトIFN-βは、F67G、L88G、およびY92G変異を含む。いくつかの実施形態では、改変ヒトIFN-βは、F67S、L88S、およびY92S変異を含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、改変IFN-βは、IFN-ARのIFN-AR2サブユニットに対するその結合または親和性を低減する1個または複数の変異を有する。いくつかの実施形態では、改変IFN-βは、IFN-AR2に対する低減された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、IFN-AR2で親和性および/または活性が低減された改変IFN-βは、ヒトIFN-βであり、位置W22、R27、L32、R35、V148、L151、R152、およびY155に1個または複数の変異を有する。いくつかの実施形態では、1個または複数の変異は、W22G、R27G、L32A、L32G、R35A、R35G、V148G、L151G、R152A、R152G、およびY155Gから選択される置換である。いくつかの実施形態では、改変ヒトIFN-βは、W22G変異を含む。いくつかの実施形態では、改変ヒトIFN-βは、L32A変異を含む。いくつかの実施形態では、改変ヒトIFN-βは、L32G変異を含む。いくつかの実施形態では、改変ヒトIFN-βは、R35A変異を含む。いくつかの実施形態では、改変ヒトIFN-βは、R35G変異を含む。いくつかの実施形態では、改変ヒトIFN-βは、V148G変異を含む。いくつかの実施形態では、改変ヒトIFN-βは、R152A変異を含む。いくつかの実施形態では、改変ヒトIFN-βは、R152G変異を含む。いくつかの実施形態では、改変ヒトIFN-βは、Y155G変異を含む。いくつかの実施形態では、改変ヒトIFN-βは、W22GおよびR27G変異を含む。いくつかの実施形態では、改変ヒトIFN-βは、L32AおよびR35A変異を含む。いくつかの実施形態では、改変ヒトIFN-βは、L151GおよびR152A変異を含む。いくつかの実施形態では、改変ヒトIFN-βは、V148GおよびR152A変異を含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、改変IFN-βは、1個または複数の次の変異を有する:R35A、R35T、E42K、M62I、G78S、A141Y、A142T、E149K、およびR152H。いくつかの実施形態では、改変IFN-βは、1個または複数の次の変異を有する:C175またはMAと組み合わせた、R35A、R35T、E42K、M62I、G78S、A141Y、A142T、E149K、およびR152H。
【0119】
いくつかの実施形態では、改変IFN-βは、1個または複数の次の変異を有する:本明細書で記載の他のIFN-β変異と組み合わせた、R35A、R35T、E42K、M62I、G78S、A141Y、A142T、E149K、およびR152H。
【0120】
ヒトIFN-βの結晶構造は既知であり、Karpusas et al.,(1998)PNAS,94(22):11813-11818に記載されている。特に、ヒトIFN-βの構造は、5つのa-ヘリックス(すなわち、A、B、C、D、およびE)およびこれらのヘリックスを連結する4つのループ領域(すなわち、AB、BC、CD、およびDEループ)を含むことが示された。いくつかの実施形態では、改変IFN-βは、A、B、C、D、Eヘリックスおよび/またはAB、BC、CD、およびDEループ中に、IFN-ARなどの治療受容体に対するその結合親和性または活性を低減させる1個または複数の変異を有する。例示的変異は、国際公開第2000/023114号および米国特許出願公開第20150011732号に記載されている。これらの全内容は参照により本明細書に組み込まれる。例示的実施形態では、改変IFN-βは、アミノ酸位置15、16、18、19、22、および/または23にアラニン置換を含むヒトIFN-βである。例示的実施形態では、改変IFN-βは、アミノ酸位置28~30、32、および33にアラニン置換を含むヒトIFN-βである。例示的実施形態では、改変IFN-βは、アミノ酸位置36、37、39、および42にアラニン置換を含むヒトIFN-βである。例示的実施形態では、改変IFN-βは、アミノ酸位置64および67にアラニン置換を含み、位置68にセリン置換を含むヒトIFN-βである。例示的実施形態では、改変IFN-βは、アミノ酸位置71~73にアラニン置換を含むヒトIFN-βである。例示的実施形態では、改変IFN-βは、アミノ酸位置92、96、99、および100にアラニン置換を含むヒトIFN-βである。例示的実施形態では、改変IFN-βは、アミノ酸位置128、130、131、および134にアラニン置換を含むヒトIFN-βである。例示的実施形態では、改変IFN-βは、アミノ酸位置149、153、156、および159にアラニン置換を含むヒトIFN-βである。いくつかの実施形態では、変異体IFN-βは、配列番号178およびW22での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0121】
いくつかの実施形態では、変異体IFN-βは、配列番号178およびR27での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0122】
いくつかの実施形態では、変異体IFN-βは、配列番号178およびW22での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、さらにR27での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0123】
いくつかの実施形態では、変異体IFN-βは、配列番号178およびL32での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0124】
いくつかの実施形態では、変異体IFN-βは、配列番号178およびR35での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0125】
いくつかの実施形態では、変異体IFN-βは、配列番号178およびL32での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、さらにR35での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0126】
いくつかの実施形態では、変異体IFN-βは、配列番号178およびF67での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0127】
いくつかの実施形態では、変異体IFN-βは、配列番号178およびR71での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0128】
いくつかの実施形態では、変異体IFN-βは、配列番号178およびF67での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、さらにR71での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0129】
いくつかの実施形態では、変異体IFN-βは、配列番号178およびL88での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0130】
いくつかの実施形態では、変異体IFN-βは、配列番号178およびY92での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0131】
いくつかの実施形態では、変異体IFN-βは、配列番号178およびF67での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、およびL88での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、およびY92での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0132】
いくつかの実施形態では、変異体IFN-βは、配列番号178およびL88での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、さらにY92での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0133】
いくつかの実施形態では、変異体IFN-βは、配列番号178および195での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、さらにY92での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0134】
いくつかの実施形態では、変異体IFN-βは、配列番号178およびN96での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、さらにY92での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0135】
いくつかの実施形態では、変異体IFN-βは、配列番号178およびY92での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、および195での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、およびN96での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0136】
いくつかの実施形態では、変異体IFN-βは、配列番号178およびK123での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0137】
いくつかの実施形態では、変異体IFN-βは、配列番号178およびR124での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0138】
いくつかの実施形態では、変異体IFN-βは、配列番号178およびK123での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、さらにR124での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0139】
いくつかの実施形態では、変異体IFN-βは、配列番号178およびL151での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0140】
いくつかの実施形態では、変異体IFN-βは、配列番号178およびR152での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0141】
いくつかの実施形態では、変異体IFN-βは、配列番号178およびL151での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、さらにR152での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0142】
いくつかの実施形態では、変異体IFN-βは、配列番号178およびV148での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、およびメチオニン(M)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0143】
いくつかの実施形態では、変異体IFN-βは、配列番号178およびV148での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基であり、さらにR152での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0144】
いくつかの実施形態では、変異体IFN-βは、配列番号178およびY155での変異を含み、変異は、グリシン(G)、アラニン(A)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、およびバリン(V)から選択される脂肪族疎水性残基である。
【0145】
いくつかの実施形態では、本発明の技術は、(a)配列番号178のアミノ酸配列および位置W22での変異を有し、変異は脂肪族疎水性残基である改変IFN-β;および(b)1つまたは複数のターゲティング部分を含むキメラタンパク質に関し、上記ターゲティング部分は、目的の抗原または受容体(例えば、FAP)に特異的に結合する認識ドメインを含み、改変IFN-βおよびターゲティング部分は、1個または複数のリンカーと任意に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、位置W22の変異は、G、A、L、I、M、およびVから選択される脂肪族疎水性残基である。いくつかの実施形態では、位置W22での変異はGである。
【0146】
追加の例示的IFN-β変異体は、国際出願第PCT/EP2017/061544号で提供される。この全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0147】
ある実施形態では、改変シグナル伝達物質はインターフェロンγである。このような実施形態では、改変インターフェロンγ物質は、インターフェロンガンマ受容体(IFN-GR)、すなわち、IFN-GR1および/またはIFN-GR2鎖に対し、低減された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、改変インターフェロンγ物質は、インターフェロンガンマ受容体(IFN-GR)、すなわち、IFN-GR1および/またはIFN-GR2鎖に対し、実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。
【0148】
いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、コンセンサスインターフェロンである。いくつかの実施形態では、コンセンサスインターフェロンは、配列番号179のアミノ酸を含む。
【0149】
いくつかの実施形態では、コンセンサスインターフェロンは、配列番号179を基準にして、位置33および/または145~155、例えばアミノ酸位置145、146、149、150および/または154で、1個または複数のアミノ酸の変異を有するように改変される。いくつかの実施形態では、コンセンサスインターフェロンは、配列番号179を基準にして、位置33および/または145~155、例えばアミノ酸位置145、146、149、150および/または154で、1個または複数のアミノ酸の変異を有するように改変され、置換は、任意に疎水性であり、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシンから選択される。いくつかの実施形態では、コンセンサスインターフェロン変異体は、配列番号179を基準にして、R33A、R145X、A146X、M149A、R150A、およびL154Aから選択される1個または複数の変異を含み、Xは、A、S、T、Y、L、およびIから選択され、Xは、G、H、Y、K、およびDから選択される。
【0150】
ある実施形態では、コンセンサスインターフェロンは、配列番号179を基準にして、アミノ酸位置121に変異(すなわち、K121)を有するように改変される。ある実施形態では、コンセンサスインターフェロンは、配列番号179を基準にして、K121E変異を含む。
【0151】
ある実施形態では、改変シグナル伝達物質は、米国特許第4,695,623号、同第4,897,471号、同第5,541,293号、および同第8,496,921号で開示されるコンセンサスインターフェロンバリアントのいずれかを含む。これらの全文献の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。例えば、コンセンサスインターフェロンバリアントは、米国特許第4,695,623号、同第4,897,471号、および同第5,541,293号で開示のような、IFN-CON2またはIFN-CON3のアミノ酸配列を含み得る。
【0152】
いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)である。VEGFは、生理学的であるが病的でもある血管新生において重要な役割を果たし、血管透過性を調節し、VEGF受容体を発現する細胞に対して成長因子として作用できる、強力な成長因子である。さらなる機能は、特に、マクロファージ系統および内皮細胞の細胞遊走の刺激を含む。少なくとも3個の受容体(VEGFR-1、VEGFR-2およびVEGFR3)に加えて、VEGF成長因子ファミリーのいくつかのメンバーが存在する。VEGFファミリーのメンバーは、2種以上のVEGFRタイプを結合し活性化できる。例えば、VEGF-Aは、VEGFR1およびVEGFR2を結合し、一方、VEGF-Cは、VEGFR2およびVEGFR3を結合できる。VEGFR1およびVEGFR2活性化は、血管新生を調節し、VEGFR3活性化は、リンパ脈管新生に関与する。大部分の血管新生促進シグナルは、VEGFR2の活性化から生成される。VEGFR1活性化は、血管新生の負の役割と関連する可能性があることが報告された。VEGFR1シグナル伝達は、腫瘍の骨髄由来VEGFR1陽性細胞を介したin vivo進行にも重要である(骨中の転移前微小環境の形成の一因となる)ことも報告された。治療抗体に向けられた/治療抗体を中和するVEGF-Aをベースにしたいくつかの治療法が、主に、血管新生に依存する種々のヒト腫瘍の治療での使用のために開発されてきた。しかし、これらは、副作用がないわけではない。これは、これらが一般的な非細胞/組織特異的VEGFNEGFR相互作用阻害剤として作用することを考慮すると驚くべきことではない。従って、特定の標的細胞(例えば、腫瘍血管系内皮細胞)に対するVEGF(例えば、VEGF-A)NEGFR-2阻害を制限することが望ましいであろう。
【0153】
いくつかの実施形態では、VEGFは、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、またはVEGF-EおよびVEGF121、VEGF121b、VEGF145、VEGF165、VEGF165b、VEGF189、およびVEGF206などの種々のVEGF-Aのアイソフォームを含むこれらのアイソフォームである。いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、VEGFR-1(Flt-1)および/またはVEGFR-2(KDR/Flk-1)に対する低減された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、VEGFR-1(Flt-1)および/またはVEGFR-2(KDR/Flk-1)に対する低減または除去された親和性および/または活性を有する。ある実施形態では、改変シグナル伝達物質は、VEGFR-2(KDR/Flk-1)に対する低減された親和性および/または活性を有し、および/またはVEGFR-1(Flt-1)に対する低減または除去された親和性および/または活性を有する。このような実施形態は、例えば、創傷治癒方法または虚血関連疾患の治療で使用される(理論に束縛されることを意図するものではないが、内皮細胞機能および血管新生に対するVEGFR2の効果により媒介されて)。いくつかの実施形態では、癌および炎症促進性活性と関連するVEGFR-1(Flt-1)への結合が回避される。いくつかの実施形態では、VEGFR-1(Flt-1)は、デコイ受容体として機能し、そのため、この受容体に対する親和性を実質的に低減または除去し、治療薬の隔離を回避する。ある実施形態では、改変シグナル伝達物質は、VEGFR-1(Flt-1)に対する低減または除去された親和性および/または活性を有し、および/またはVEGFR-2(KDR/Flk-1)に対する低減または除去された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、VEGFは、VEGF-CまたはVEGF-Dである。このような実施形態では、改変シグナル伝達物質は、VEGFR3に対する低減された親和性および/または活性を有する。あるいは、改変シグナル伝達物質は、VEGFR3に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。
【0154】
血管新生促進治療法はまた、種々の疾患(例えば、虚血性心疾患、出血など)において重要であり、VEGFベース治療薬を含む。VEGFR2の活性化は血管新生促進性である(内皮細胞上で作用する)。VEGFR1は、炎症細胞(例えば、マクロファージを含む)の遊走の刺激を生じ、血管過多透過性に関連する炎症をもたらし得る。VEGFR1の活性化はまた、腫瘍微小環境形成に関連する骨髄を活性化できる。従って、VEGFR2活性化に対し選択性があるVEGFベース治療薬は、この場合には望ましいであろう。さらに、例えば、内皮細胞を特異的に標的とする細胞が望ましいであろう。
【0155】
いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、VEGFR-2に対する低減された親和性および/または活性(例えば、拮抗的な)を有し、および/またはVEGFR-1に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。腫瘍内皮細胞マーカー(例えば、PSMAなど)に結合するターゲティング部分を介して腫瘍血管系内皮細胞を標的にする場合、このような構築物は、このようなマーカー陽性細胞上で特異的にVEGFR2活性化を阻害するが、標的細胞へ向かう途上および標的細胞上では(活性が除去された場合)VEGFR1を活性化せず、従って、例えば、炎症反応の誘導を無くする。これは、VEGF-A中和療法に比べて、多くの腫瘍型に対するより選択的で安全な抗血管新生薬療法を提供することになろう。
【0156】
いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、VEGFR-2に対する低減された親和性および/または活性(例えば、アゴニスト活性)を有し、および/またはVEGFR-1に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。血管内皮細胞への標的化により、いくつかの実施形態では、このような構築物は、VEGFR-1が関連する炎症反応誘導を生じることなく、血管新生を促進する。従って、このような構築物は、VEGFR-2ならびにVEGFR-1の全身性活性化に起因する副作用の実質的に低減されたリスクを有する、標的化血管新生促進効果を有するであろう。
【0157】
ある例示的実施形態では、改変シグナル伝達物質は、配列番号180のアミノ酸配列を有するVEGF165(野生型)である。
【0158】
別の例示的実施形態では、改変シグナル伝達物質は、配列番号181のアミノ酸配列を有するVEGF165b(野生型)である。
【0159】
これらの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、アミノ酸183に変異を有する(例えば、183での置換変異、例えば、183K、183R、または183H)。理論に束縛されることを意図するものではないが、このような変異は、低減された受容体結合親和性を生じ得ると考えられている。例えば、米国特許第9,078,860号を参照されたい。この全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0160】
ある実施形態では、改変シグナル伝達物質はTNFαである。TNFは、細胞増殖、分化、アポトーシス、腫瘍形成、ウイルス複製、自己免疫、免疫細胞機能および輸送、炎症、ならびに敗血性ショックの調節を含む、多くの多様な機能を有する多面的サイトカインである。それは、標的細胞:TNFR1(p55)およびTNFR2(p75)上の2つの別々の膜受容体に結合する。TNFR1は非常に広範な発現パターンを示すが、TNFR2はリンパ球、Treg、内皮細胞、特定のニューロン、ミクログリア、心筋細胞および間葉系幹細胞の特定の集団上で選択的に発現される。受容体活性化に応答して、全く別々の生物学的経路が活性化されるが、若干の重なり合いも存在する。一般原則として、理論に束縛されることを望むものではないが、TNFR1シグナル伝達はアポトーシス(細胞死)の誘導に関連し、TNFR2シグナル伝達は細胞生存シグナルの活性化に関連する(例えば、NFκB経路の活性化)。
TNFの投与は、全身的毒性であり、これは主にTNFR1の関与のためである。しかし、TNFR2の活性化もまた、TNFR1と同様に、多様な作用に関連し、TNF系治療薬の開発においては、TNFターゲティングおよび活性に対する制御が重要であることに留意されたい。
【0161】
いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、TNFR1および/またはTNFR2に対する低減された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、TNFR1および/またはTNFR2に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。TNFR1はほとんどの組織で発現され、かつ細胞死シグナル伝達に関与するが、対照的に、TNFR2は細胞生存シグナルに関与する。したがって、癌の治療法に関する実施形態では、改変シグナル伝達物質は、TNFR1に対する低減された親和性および/または活性を有し、および/またはTNFR2に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。これらの実施形態では、キメラタンパク質は、アポトーシスが望ましい細胞、例えば、腫瘍細胞または腫瘍血管内皮細胞を標的にし得る。例えば、神経変性障害の治療のためのニューロン新生における、細胞生存を促進する方法に関する実施形態では、改変シグナル伝達物質は、TNFR2に対する低減された親和性および/または活性および/またはTNFR1に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。言い方を変えれば、本キメラタンパク質は、いくつかの実施形態では、死シグナルまたは生存シグナルのどちらかを優先できる改変TNF-a物質を含む。
【0162】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、TNFR1に対する低減された親和性および/または活性および/またはTNFR2に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する改変TNFを有する。このようなキメラは、いくつかの実施形態では、野生型TNFおよび/またはTNFR1に対する低減された親和性および/または活性をもたらす変異のみを有するキメラに比べて、より強力なアポトーシスの誘導因子である。このようなキメラは、いくつかの実施形態では、腫瘍細胞死または腫瘍血管内皮細胞死の誘導に使用される(例えば、癌の治療において)。また、いくつかの実施形態では、これらのキメラは、例えば、TNFR2を介してTreg細胞の活性化を回避または低減し、したがってin vivoでTNFR1介在性抗腫瘍活性をさらに支持する。
【0163】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、TNFR2に対する低減された親和性および/または活性を有し、および/またはTNFR1に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する改変TNFを有する。このようなキメラは、いくつかの実施形態では、いくつかの細胞型での細胞生存のより強力な活性化因子であり、これは種々の疾患における具体的治療目的であり得、限定されないが、ニューロン新生の刺激を含む。さらに、このようなTNFR2選択キメラはまた、自己免疫疾患(例えば、クローン病、糖尿病、MS、大腸炎など、および本明細書に記載の多くの他の疾患)の治療において有用である。いくつかの実施形態では、キメラは自己反応性T細胞を標的にする。いくつかの実施形態では、キメラは、Treg細胞活性化および細胞傷害性T細胞の間接的抑制を促進する。
【0164】
いくつかの実施形態では、キメラは、例えば、TNFR2の活性化および/またはTNFR1の回避により(例えば、TNFR2に対する低減された親和性および/または活性を有し、および/またはTNFR1に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する改変TNFにより)自己反応性T細胞の死をもたらす。理論に束縛されることを望むものではないが、これらの自己反応性T細胞は、NFκB経路活性/シグナル伝達の変化により、変更されたアポトーシス/生存シグナルを有する。いくつかの実施形態では、キメラは、細胞死(アポトーシス)/生存シグナル特性の不均衡の根底にある、NFκB経路での損傷または変更および、場合により特定の死誘導シグナルに対する変更された感受性(例えば、TNFR2活性化)を有する自己反応性T細胞の死をもたらす。
【0165】
いくつかの実施形態では、TNFR2ベースキメラは、種々の自己免疫疾患、特に、心臓疾患、脱髄性および神経変性障害、および感染症を含む疾患に対する追加の治療用途を有する。
【0166】
ある実施形態では、野生型TNFαは、配列番号182のアミノ酸配列を有する。
【0167】
このような実施形態では、改変TNFα物質は、1つまたは複数のアミノ酸位置29、31、32、84、85、86、87、88、89、145、146および147に変異を有し、これが、低減された受容体結合親和性を有する改変TNFαをもたらす。例えば、米国特許第7,993,636号を参照されたい。この特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0168】
いくつかの実施形態では、全内容が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2015/007903号に記載のように、改変ヒトTNFα部分は、アミノ酸位置R32、N34、Q67、H73、L75、T77、S86、Y87、V91、I97、T105、P106、A109、P113、Y115、E127、N137、D143、A145、およびE146の内の1つまたは複数に変異を有する(ジェンバンク受入番号BAG70306、バージョンBAG70306.1 GI:197692685、ヒトTNF配列に従ってナンバリング)。いくつかの実施形態では、改変ヒトTNFα部分は、L29S、R32G、R32W、N34G、Q67G、H73G、L75G、L75A、L75S、T77A、S86G、S86T、Y87Q、Y87L、Y87A、Y87F、Y87H、V91G、V91A、197A、197Q、197S、T105G、P106G、A109Y、P113G、Y115G、Y115A、E127G、N137G、D143N、A145G、A145R、A145T、E146D、E146K、およびS147Dから選択される置換変異を有する。ある実施形態では、ヒトTNFα部分は、Y87Q、Y87L、Y87A、およびY87F、およびY87Hから選択される変異を有する。別の実施形態では、ヒトTNFα部分は、197A、197Q、および197Sから選択される変異を有する。さらなる実施形態では、ヒトTNFα部分は、Y115AおよびY115Gから選択される変異を有する。ある実施形態では、ヒトTNFα部分は、E146K変異を有する。ある実施形態では、ヒトTNFα部分は、Y87HおよびE146K変異を有する。ある実施形態では、ヒトTNFα部分は、Y87HおよびA145R変異を有する。ある実施形態では、ヒトTNFα部分は、R32WおよびS86T変異を有する。ある実施形態では、ヒトTNFα部分は、R32WおよびE146K変異を有する。ある実施形態では、ヒトTNFα部分は、L29SおよびR32W変異を有する。ある実施形態では、ヒトTNFα部分は、D143NおよびA145R変異を有する。ある実施形態では、ヒトTNFα部分は、D143NおよびA145R変異を有する。ある実施形態では、ヒトTNFα部分は、A145T、E146D、およびS147D変異を有する。ある実施形態では、ヒトTNFα部分は、A145T、およびS147D変異を有する。
【0169】
いくつかの実施形態では、国際公開第2008/124086号に記載のように、改変TNFα物質は、N39Y、S147Y、およびY87Hから選択される1個または複数の変異を含む。この特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0170】
いくつかの実施形態では、改変ヒトTNFα部分は、国際出願第PCT/IB2016/001668号に記載のような受容体選択性をもたらす変異を有する。この特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、TNFに対する変異は、TNFR1選択的である。いくつかの実施形態では、TNFR1選択的であるTNFに対する変異は、位置R32、S86、およびE146の内の1つまたは複数に対するものである。いくつかの実施形態では、TNFR1選択的であるTNFに対する変異は、R32W、S86T、およびE146Kの内の1個または複数である。いくつかの実施形態では、TNFR1選択的であるTNFに対する変異は、R32W、R32W/S86T、R32W/E146KおよびE146Kの内の1個または複数である。いくつかの実施形態では、TNFに対する変異は、TNFR2選択的である。いくつかの実施形態では、TNFR2選択的であるTNFに対する変異は、位置A145、E146、およびS147の内の1個または複数に対するものである。いくつかの実施形態では、TNFR2選択的であるTNFに対する変異は、A145T、A145R、E146D、およびS147Dの内の1個または複数である。いくつかの実施形態では、TNFR2選択的であるTNFに対する変異は、A145R、A145T/S147D、およびA145T/E146D/S147Dの内の1個または複数である。
【0171】
いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質はTNFβである。TNFβは、LTβ(LTα1β2)と、ホモトリマーまたはヘテロトリマーを形成する。いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、TNFR1および/またはTNFR2および/またはヘルペスウイルス侵入メディエーター(HEVM)および/またはLTβRに対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。
【0172】
ある実施形態では、野生型TNFβは、配列番号183のアミノ酸配列を有する。
【0173】
このような実施形態では、改変可溶性物質は、1つまたは複数のアミノ酸位置106~113に変異を含み得、これが、TNFR2に対する低減された受容体結合親和性を有する改変TNFβをもたらす。ある実施形態では、改変可溶性物質は、アミノ酸位置106~113に1個または複数の置換変異を有する。いくつかの実施形態では、置換変異は、Q107E、Q107D、S106E、S106D、Q107R、Q107N、Q107E/S106E、Q107E/S106D、Q107D/S106E、およびQ107D/S106Dから選択される。別の実施形態では、改変可溶性物質は、位置106~113に、約1~約3個のアミノ酸の挿入を有する。
【0174】
いくつかの実施形態では、国際公開第2015/007903号に記載のように、改変物質は、TNFファミリーメンバー(例えば、TNFα、TNFβ)であり、これは、単鎖トリマー型であり得る。この特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0175】
いくつかの実施形態では、改変物質は、TNFファミリーメンバー(例えば、TNFα、TNFβ)であり、これは、TNFR1に対し、低減された親和性および/または活性、すなわちアンタゴニスト活性(例えば、天然のアンタゴニスト活性または1個または複数の変異の結果としてのアンタゴニスト活性、例えば、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2015/007520号を参照)を有する。これらの実施形態では、改変物質は、TNFファミリーメンバー(例えば、TNFα、TNFβ)であり、これもまた、場合により、TNFR2に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、改変物質は、TNFファミリーメンバー(例えば、TNFα、TNFβ)であり、これは、TNFR2に対し、低減された親和性および/または活性、すなわちアンタゴニスト活性(例えば、天然のアンタゴニスト活性または1個または複数の変異の結果としてのアンタゴニスト活性、例えば、国際公開第2015/007520号を参照。この特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる)を有する。これらの実施形態では、改変物質は、TNFファミリーメンバー(例えば、TNFα、TNFβ)であり、これも同様に、場合により、TNFR1に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。このような実施形態の構築物は、例えば、細胞特異的な様式でTNF応答を抑制する方法において使用される。いくつかの実施形態では、アンタゴニストTNFファミリーメンバー(例えば、TNFα、TNFβ)は、国際公開第2015/007903号に記載のように、単鎖トリマー型である。
【0176】
ある実施形態では、改変シグナル伝達物質はTRAILである。いくつかの実施形態では、改変TRAIL物質は、DR4(TRAIL-RI)および/またはDR5(TRAIL-RII)および/またはDcR1および/またはDcR2に対して、低減された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、改変TRAIL物質は、DR4(TRAIL-RI)および/またはDR5(TRAIL-RII)および/またはDcR1および/またはDcR2に対して、低減された親和性および/または活性を有する。
【0177】
ある実施形態では、野生型TRAILは、配列番号184のアミノ酸配列を有する。
【0178】
このような実施形態では、改変TRAIL物質は、アミノ酸位置T127~R132、E144~R149、E155~H161、Y189~Y209、T214~1220、K224~A226、W231、E236~L239、E249~K251、T261~H264およびH270~E271に変異を含み得る(ジェンバンク受入番号NP_003801、バージョン10NP_003801.1、GI:4507593、ヒト配列に基づいてナンバリング;上記参照)。
【0179】
いくつかの実施形態では、改変TRAIL物質は、TRAIL-R1に対するその親和性および/または活性を実質的に低減する1個または複数の変異を含み得る。このような実施形態では、改変TRAIL物質は、TRIL-R2に特異的に結合し得る。例示的変異は、アミノ酸位置Y189、R191、Q193、H264、1266、およびD267の内の1つまたは複数で変異を含む。例えば、変異は、Y189Q、R191K、Q193R、H264R、1266LおよびD267Qの内の1個または複数であり得る。ある実施形態では、改変TRAIL物質は、変異Y189Q、R191K、Q193R、H264R、1266LおよびD267Qを含む。
【0180】
いくつかの実施形態では、改変TRAIL物質は、TRAIL-R2に対するその親和性および/または活性を実質的に低減する1個または複数の変異を含み得る。このような実施形態では、改変TRAIL物質は、TRIL-R1に特異的に結合し得る。例示的変異には、アミノ酸位置G131、R149、S159、N199、K201、およびS215の内の1つまたは複数に変異を含む。例えば、変異は、G131R、R1491、S159R、N199R、K201H、およびS215Dの内の1個または複数であり得る。ある実施形態では、改変TRAIL物質は、変異G131R、R1491、S159R、N199R、K201H、およびS215Dを含む。さらなるTRAIL変異は、例えば、Trebing et al.,(2014)Cell Death and Disease,5:e1035に記載されている。これらの全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0181】
いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質はTGFαである。このような実施形態では、改変TGFα物質は、上皮成長因子受容体(EGFR)に対する低減された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、改変TGFα物質は、上皮成長因子受容体(EGFR)に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。
【0182】
いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質はTGFβである。このような実施形態では、改変シグナル伝達物質は、TGFBR1および/またはTGFBR2に対する低減された親和性を有する。いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、TGFBR1および/またはTGFBR2に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、場合により、TGFBR3に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有し、これは、理論に束縛されることを意図するものではないが、TGFベータ受容体に対するリガンドのリザーバーとして作用し得る。いくつかの実施形態では、TGFβは、TGFBR2よりもTGFBR1またはTGFBR1よりもTGFBR2を選択する。同様に、理論に束縛されることを意図するものではないが、LAPは、TGFベータ受容体に対するリガンドのリザーバーとして作用し得る。いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、TGFBR1および/またはTGFBR2に対する低減された親和性および/または活性および/または潜在関連ペプチド(LAP)に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、このようなキメラは、カムラチ・エンゲルマン病、または不適切なTGFβシグナル伝達に関連する他の疾患において使用される。
【0183】
いくつかの実施形態では、改変物質は、TGFファミリーメンバー(例えば、TGFα、TGFβ)であり、これは、TGFBR1、TGFBR2、TGFBR3の内の1種または複数に対し、低減された親和性および/または活性、すなわち、アンタゴニスト活性(例えば、天然のアンタゴニスト活性または1個または複数の変異の結果であるアンタゴニスト活性、例えば、国際公開第2015/007520号を参照。この特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる)を有する。これらの実施形態では、改変物質は、TGFファミリーメンバー(例えば、TGFα、TGFβ)であり、これも同様に、場合により、TGFBR1、TGFBR2、TGFBR3の内の1種または複数に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。
【0184】
いくつかの実施形態では、改変物質は、TGFファミリーメンバー(例えば、TGFα、TGFβ)であり、これは、TGFBR1および/またはTGFBR2に対して、低減された親和性および/または活性、すなわち、アンタゴニスト活性(例えば、天然のアンタゴニスト活性または1個または複数の変異の結果であるアンタゴニスト活性、例えば、国際公開第2015/007520号を参照。この特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる)を有する。これらの実施形態では、改変物質は、TGFファミリーメンバー(例えば、TGFα、TGFβ)であり、これも同様に、場合により、TGFBR3に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。
【0185】
いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質はインターロイキンである。ある実施形態では、改変シグナル伝達物質はIL-1である。いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質はIL-1αまたはIL-1βである。いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、IL-1R1および/またはIL-1RAcPに対する低減された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、IL-1R1および/またはIL-1RAcPに対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、IL-1R2に対する低減された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、IL-1R2に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。例えば、いくつかの実施形態では、本改変IL-1物質は、IL-1R2に対する相互作用を回避し、したがって、治療薬に対するデコイおよび/またはシンクとしてのその機能を実質的に低減する。
【0186】
ある実施形態では、野生型IL-1βは、配列番号185のアミノ酸配列を有する。
【0187】
IL-1は、炎症促進性のサイトカインであり、重要な免疫系制御因子である。それは、CD4 T細胞応答の強力な活性化因子であり、Th17細胞の比率を高め、IFN-γおよびIL4産生細胞の増殖を増大させる。IL-1はまた、CD8 T細胞の強力な制御因子であり、抗原特異的CD8 T細胞増殖、分化、周辺部への移動および記憶を強化する。IL-1受容体は、IL-1R1およびIL-1R2を含む。IL-1R1への結合およびIL-1R1を介したシグナル伝達は、それによりIL-1が多くのその生物学的(および病理学的)作用を媒介する機序を構成する。IL-1R2は、デコイ受容体として機能でき、それにより、IL-1R1を介した相互作用およびシグナル伝達のためのIL-1の利用可能性を減らす。
【0188】
いくつかの実施形態では、改変IL-1は、IL-1R1に対する低減された親和性および/または活性(例えば、アゴニスト活性)を有する。いくつかの実施形態では、改変IL-1は、IL-1R2に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。このような実施形態では、回復可能なIL-1/IL-1R1シグナル伝達ならびにILR2に対する治療用キメラの損失の防止およびその結果としての必要なIL-1投与量の削減(例えば、野生型またはILR1に対する減弱化変異のみを有するキメラに比べて)がもたらされる。このような構築物は、例えば、免疫系を刺激して抗癌応答を開始することを含む、例えば、癌を治療する方法で使用される。
【0189】
いくつかの実施形態では、改変IL-1は、IL-1R1に対し、低減された親和性および/または活性(例えば、アンタゴニスト活性、例えば、天然のアンタゴニスト活性または1個または複数の変異の結果としてのアンタゴニスト活性、例えば、国際公開第2015/007520号を参照。この特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる)を有する。いくつかの実施形態では、改変IL-1は、IL-1R2に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。このような実施形態では、IL-1/IL-1R1シグナル伝達は回復可能でなく、また、ILR2に対する治療用キメラの損失の防止およびその結果として必要とされるIL-1投与量の削減(例えば、野生型またはILR1に対する減弱化変異のみを有するキメラに比べて)がもたらされる。このような構築物は、例えば、免疫系を抑制することを含む、例えば、自己免疫疾患を治療する方法で使用される。
【0190】
このような実施形態では、改変シグナル伝達物質は、アミノ酸52~54の欠失を有し、これは、I型IL-1Rに対して、低減された結合親和性および低減された生物活性を有する改変ヒトIL-1βを産生する。例えば、国際公開第1994/000491号を参照されたい。この特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、改変ヒトIL-1βは、A117G/P118G、R120X、L122A、T125G/L126G、R127G、Q130X、Q131G、K132A、S137G/Q138Y、L145G、H146X、L145A/L147A、Q148X、Q148G/Q150G、Q150G/D151A、M152G、F162A、F162A/Q164E、F166A、Q164E/E167K、N169G/D170G、I172A、V174A、K208E、K209X、K209A/K210A、K219X、E221X、E221S/N224A、N224S/K225S、E244K、N245Qから選択される1個または複数の置換変異(Xはアミノ酸の任意の変化、例えば、非保存的変化であり得る)を有し、これらは、例えば、全内容が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2015/007542号および国際公開第2015/007536号に記載のように、IL-1Rに対し低減された結合を示す(ジェンバンク受入番号NP_000567、バージョンNP-000567.1、GI:10835145、ヒトIL-1β配列に基づいてナンバリング)。いくつかの実施形態では、改変ヒトIL-1βは、R120A、R120G、Q130A、Q130W、H146A、H146G、H146E、H146N、H146R、Q148E、Q148G、Q148L、K209A、K209D、K219S、K219Q、E221SおよびE221Kから選択される1個または複数の変異を有し得る。ある実施形態では、改変ヒトIL-1βは、変異Q131GおよびQ148Gを含む。ある実施形態では、改変ヒトIL-1βは、変異Q148GおよびK208Eを含む。ある実施形態では、改変ヒトIL-1βは、変異R120GおよびQ131Gを含む。ある実施形態では、改変ヒトIL-1βは、変異R120GおよびH146Aを含む。ある実施形態では、改変ヒトIL-1βは、変異R120GおよびH146Nを含む。ある実施形態では、改変ヒトIL-1βは、変異R120GおよびH146Rを含む。ある実施形態では、改変ヒトIL-1βは、変異R120GおよびH146Eを含む。ある実施形態では、改変ヒトIL-1βは、変異R120GおよびH146Gを含む。ある実施形態では、改変ヒトIL-1βは、変異R120GおよびK208Eを含む。ある実施形態では、改変ヒトIL-1βは、変異R120G、F162A、およびQ164Eを含む。
【0191】
いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質はIL2である。このような実施形態では、改変シグナル伝達物質は、IL-2Rαおよび/またはIL-2Rβおよび/またはIL-2Rγに対する低減された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、IL-2Rβおよび/またはIL-2Rγに対する低減された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、IL-2Rαに対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。このような実施形態は、例えば、改変IL2がIL-2Rβおよび/またはIL-2Rγに対し拮抗的である場合、癌の治療に適切であり得る。例えば、本発明の構築物は、IL2受容体βおよびγを有するCD8 T細胞(抗腫瘍効果を与えることができる)の減弱化された活性化を優先し、IL2受容体α、β、およびγを有するTreg(免疫抑制効果、腫瘍促進効果を与えることができる)を優先しない。さらに、いくつかの実施形態では、IL-2RαよりもIL-2Rβおよび/またはIL-2Rγに対する選択性は、肺水腫などのIL2副作用を回避させる。また、IL2ベースキメラは、例えば、改変IL2が、IL-2Rβおよび/またはIL-2Rγに対してアンタゴニスト(例えば、天然のアンタゴニスト活性または1個または複数の変異の結果としてのアンタゴニスト活性、例えば、国際公開第2015/007520号を参照。この特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる)である場合、自己免疫疾患の治療に有用である。例えば、本発明の構築物は、IL2受容体βおよびγを有するCD8 T細胞の抑制の減弱化(したがって、免疫応答を抑制する)を優先し、IL2受容体α、β、およびγを有するTregを優先しない。あるいは、いくつかの実施形態では、IL2を有するキメラは、Tregの活性化、したがって免疫抑制を優先し、CD8 T細胞の活性化を優先しない。例えば、これらの構築物は、疾患または免疫抑制により恩恵を受けると思われる疾患、例えば、自己免疫障害の治療に使用される。
【0192】
いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、FAP+樹状細胞に向けられた本明細書に記載のターゲティング部分を有し、改変IL2物質は、IL-2Rβおよび/またはIL-2Rγに対する低減された親和性および/または活性および/またはIL-2Rαに対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、これらの構築物は、FAP+樹状細胞活性を標的とし、通常、Treg細胞に対して不活性である(または実質的に低減された活性を有する)。いくつかの実施形態では、このような構築物は、野生型IL2に比べて、高められた免疫刺激効果を有し(理論に束縛されることを望むものではないが、Tregを刺激しないことにより)、一方で、IL2に関連する全身毒性を除去または低減する。
【0193】
いくつかの実施形態では、野生型IL2は、配列番号186のアミノ酸配列を有する。
【0194】
このような実施形態では、改変ヒトIL2物質は1個または複数の変異を、アミノ酸L72の位置(L72G、L72A、L725、L72T、L72Q、L72E、L72N、L72D、L72R、またはL72K)、F42の位置(F42A、F42G、F42S、F42T、F42Q、F42E、F42N、F42D、F42R、またはF42K)およびY45の位置(Y45A、Y45G、Y45S、Y45T、Y45Q、Y45E、Y45N、Y45D、Y45RまたはY45K)で有する。理論に束縛されることを望むものではないが、これらの改変IL2物質は、野性型IL2と比べて、高親和性IL2受容体に対して低減された親和性を有し、中間的親和性IL2受容体に対しては親和性をそのまま維持すると考えられる。例えば、米国特許出願公開第2012/0244112号を参照されたい。この特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0195】
いくつかの実施形態では、改変IL2物質は、アミノ酸位置R38、F42、Y45、およびE62に1個または複数の変異を有する。例えば、改変IL2物質は、R38A、F42A、Y45A、およびE62Aの内の1個または複数を含み得る。いくつかの実施形態では、改変IL2物質は、C125で変異を含み得る。例えば、C125Sであってよい。このような実施形態では、改変IL2物質は、例えば、Carmenate et al.(2013)The Journal of Immunology,190:6230-6238に記載されているように、IL-2Rαに対して実質的に低減された親和性および/または活性を有し得る。この全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、R38、F42、Y45、および/またはE62に変異を有する改変IL2物質は、CD8+ T細胞およびNK細胞を含むが、Treg細胞を含まない、エフェクター細胞の増殖を誘導できる。いくつかの実施形態では、R38、F42、Y45、および/またはE62に変異を有する改変IL2物質は、野生型IL2物質よりも少ない毒性である。IL-2Rαに対する実質的に低減された親和性および/または活性を有する改変IL2物質を含むキメラタンパク質は、例えば、腫瘍学において用途が見出され得る。他の実施形態では、改変IL2物質は、例えば、国際公開第2016/025385号に記載されているように、IL-2Rβに対して実質的に低減された親和性および/または活性を有し得る。この全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。このような実施形態では、改変IL2物質は、Treg細胞の増殖を誘導し得るが、CD8+ T細胞およびNK細胞などのエフェクター細胞の増殖を誘導し得ない。IL-2Rβに対する実質的に低減された親和性および/または活性を有する改変IL2物質を含むキメラタンパク質は、例えば、自己免疫疾患の治療で用途が見出され得る。いくつかの実施形態では、改変IL2物質は、アミノ酸位置N88、D20、および/またはA126に1個または複数の変異を有し得る。例えば、改変IL2物質は、N88R、N881、N88G、D2OH、Q126L、およびQ126Fの内の1個または複数を含み得る。
【0196】
いくつかの実施形態では、改変IL2物質は、D109またはC125に変異を含み得る。例えば、変異は、D109CまたはC125Sであってよい。いくつかの実施形態では、D109またはC125に変異を有する改変IL2は、PEG部分への結合のために利用され得る。
【0197】
いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質はIL3である。いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、IL3受容体に対する低減された親和性および/または活性を有し、IL3受容体は共通のベータ(ベータcまたはCD131)サブユニットと対になった特有のアルファ鎖を有するヘテロダイマーである。いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、IL3受容体に対して実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有し、IL3受容体は共通のベータ(ベータcまたはCD131)サブユニットと対になった特有のアルファ鎖を有するヘテロダイマーである。
【0198】
いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質はIL4である。このような実施形態では、改変シグナル伝達物質は、1型および/または2型IL4受容体に対する低減された親和性および/または活性を有する。このような実施形態では、改変シグナル伝達物質は、1型および/または2型IL4受容体に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。1型IL4受容体は、共通のγ鎖を有するIL4Rαサブユニットから構成され、IL4を特異的に結合する。2型IL4受容体は、IL-13Rα1として知られる異なるサブユニットに結合したIL4Rαサブユニットを含む。いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、2型IL4受容体に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。
【0199】
いくつかの実施形態では、野生型IL4は、配列番号187のアミノ酸配列を有する。
【0200】
このような実施形態では、改変IL4物質は、アミノ酸R121(R121A、R121D、R121E、R121F、R121H、R121I、R121K、R121N、R121P、R121T、R121W)、E122(E122F)、Y124(Y124A、Y124Q、Y124R、Y124S、Y124T)およびS125(S125A)に1個または複数の変異を有する。理論に束縛されることを望むものではないが、これらの改変IL4物質は、I型受容体により媒介される活性を維持するが、その他の受容体により媒介される生物活性を顕著に低減すると考えられる。例えば、米国特許第6,433,157号を参照されたい。この特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0201】
いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質はIL6である。IL6は、リガンド結合IL6R鎖(CD126)およびシグナル伝達成分gp130を含む細胞表面I型サイトカイン受容体複合体を介して信号を伝達する。IL6はまた、可溶性型のIL6R(sIL6R)にも結合し得、これは、IL6Rの細胞外の部分である。sIL6R/IL6複合体は、神経突起の成長およびニューロンの生存に関与し、したがって、再ミエリン化による神経再生に重要であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、IL6R/gp130および/またはsIL6Rに対する低減された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、IL6R/gp130および/またはsIL6Rに対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。
【0202】
いくつかの実施形態では、野生型IL6は、配列番号188のアミノ酸配列を有する。
【0203】
このような実施形態では、改変シグナル伝達物質は、アミノ酸58、160、163、171または177に1個または複数の変異を有する。理論に束縛されることを望むものではないが、これらの改変IL6物質は、IL6Rアルファに対し低減された結合親和性および低減された生物活性を示すと考えられている。例えば、国際公開第97/10338号を参照されたい。この特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0204】
いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質はIL-10である。このような実施形態では、改変シグナル伝達物質は、IL-10受容体1およびIL-10受容体2に対する低減された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、IL-10受容体1およびIL-10受容体2に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。
【0205】
いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質はIL-11である。このような実施形態では、改変シグナル伝達物質は、IL-11Rαおよび/またはIL-11Rβおよび/またはgp130に対する低減された親和性および/または活性を有する。このような実施形態では、改変シグナル伝達物質は、IL-11Rαおよび/またはIL-11Rβおよび/またはgp130に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。
【0206】
いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質はIL-12である。このような実施形態では、改変シグナル伝達物質は、IL-12Rβ1および/またはIL-12Rβ2に対する低減された親和性および/または活性を有する。このような実施形態では、改変シグナル伝達物質は、IL-12Rβ1および/またはIL-12Rβ2に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。
【0207】
いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質はIL-13である。このような実施形態では、改変シグナル伝達物質は、IL4受容体(IL4Rα)およびIL-13Rα1に対する低減された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、IL4受容体(IL4Rα)またはIL-13Rα1に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。
【0208】
いくつかの実施形態では、野生型IL-13は、配列番号189のアミノ酸配列を有する。
【0209】
このような実施形態では、改変IL-13物質は、アミノ酸13、16、17、66、69、99、102、104、105、106、107、108、109、112、113および114に1個または複数の変異を有する。理論に束縛されることを望むものではないが、これらの改変IL-13物質は、低減された生物活性を示すと考えられている。例えば、国際公開第2002/018422号を参照されたい。この特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0210】
いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質はIL-18である。いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、IL-18Rαおよび/またはIL-18Rβに対する低減された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、IL-18Rαおよび/またはIL-18Rβに対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、シグナル伝達に必要なTIRドメインを欠くIL-18RαのアイソフォームであるIL-18Rα2型に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。
【0211】
いくつかの実施形態では、野生型IL-18は、配列番号190のアミノ酸配列を有する。
【0212】
このような実施形態では、全内容が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2015/007542号に記載のように、改変IL-18物質は、Y37~K44、R49~Q54、D59~R63、E67~C74、R80、M87~A97、N27~K129、Q139~M149、K165~K171、R183およびQ190~N191から選択されるアミノ酸またはアミノ酸領域に1個または複数の変異を含み得る(ジェンバンク受入番号AAV38697、バージョンAAV38697.1、GI:54696650、ヒトIL-18配列に基づいてナンバリング)。
【0213】
いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質はIL33である。このような実施形態では、改変シグナル伝達物質は、ST2受容体1およびIL-1RAcPに対する低減された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、ST2受容体およびIL-1RAcPに対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。
【0214】
いくつかの実施形態では、野生型IL33は、配列番号191のアミノ酸配列を有する。
【0215】
このような実施形態では、全内容が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2015/007542号に記載のように、改変IL33物質は、1113~Y122、5127~E139、E144~D157、Y163~M183、E200、Q215、L220~C227およびT260~E269から選択されるアミノ酸またはアミノ酸領域に1個または複数の変異を含み得る(ジェンバンク受入番号NP_254274、バージョン254274.1、GI:15559209、ヒト配列に基づいてナンバリング)。
【0216】
いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は上皮増殖因子(EGF)である。EGFは、強力な成長因子のファミリーである。メンバーは、EGF、HB-EGF、およびTGFα、アンフィレギュリン、ニューレグリン、エピレギュリン、ベータセルリンなどの他のものを含む。EGFファミリー受容体は、EGFR(ErbB1)、ErbB2、ErbB3およびErbB4を含む。これらは、ホモダイマーおよび/またはヘテロダイマー受容体サブタイプとして機能し得る。異なるEGFファミリーメンバーは、種々の受容体サブタイプに対して、他と異なる選択性を示す。例えば、EGFは、ErbB1/ErbB1、ErbB1/ErbB2、ErbB4/ErbB2およびいくつかの他のヘテロダイマーサブタイプと結合する。HB-EGFは、類似のパターンを有するが、ErbB4/4と結合する。EGF(EGF様)増殖因子シグナル伝達の正または負方向への調節は、大きな治療上の観点から関心がもたれている。例えば、EGFRシグナル伝達の阻害は、EGFRシグナル伝達が主要な成長促進シグナルを構成する種々の癌の治療で関心がもたれている。あるいは、EGFRシグナル伝達の刺激は、例えば、創傷治癒(急性および慢性)、口腔粘膜炎(限定されないが、放射線療法を含む種々の癌療法の主要な副作用)における治療上の観点から関心が持たれている。
【0217】
いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、ErbB1、ErbB2、ErbB3、および/またはErbB4に対する低減された親和性および/または活性を有する。このような実施形態は、例えば、創傷の治療方法で使用される。いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、ErbB1、ErbB2、ErbB3、およびErbB4の内の1種または複数に結合し、その受容体の活性をアンタゴナイズする。このような実施形態では、改変シグナル伝達物質は、ErbB1、ErbB2、ErbB3、および/またはErbB4に対する低減された親和性および/または活性を有し、これにより、その受容体の活性が、弱められる様式でアンタゴナイズされる。このような実施形態は、例えば、癌の治療で使用される。ある実施形態では、改変シグナル伝達物質は、ErbB1に対する低減された親和性および/または活性を有する。ErbB1は、キナーゼ阻害剤の治療標的であるが-大抵の場合、副作用があり、その理由は、それらがあまり選択的でないためである(例えば、ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、ブリガチニブおよびイコチニブ)。いくつかの実施形態では、弱められた拮抗的ErbB1シグナル伝達は、EGFの受容体を標的とする他の物質より、オンターゲットであり、少ない副作用を有する。
【0218】
いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、ErbB1に対し、低減された親和性および/または活性(例えば、アンタゴニスト活性、例えば、天然のアンタゴニスト活性または1個または複数の変異の結果としてのアンタゴニスト活性、例えば、国際公開第2015/007520号を参照、この特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる)および/またはErbB4またはそれが相互作用し得る他のサブタイプに対し実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。ターゲティング部分を介した特異的標的化により、ErbB1/ErbB1受容体活性化の細胞選択的抑制(アンタゴニズム、例えば、天然のアンタゴニスト活性または1個または複数の変異の結果としてのアンタゴニスト活性、例えば、国際公開第2015/007520号を参照、この特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる)が達成されるであろう-阻害関連副作用に関連する可能性のある他の受容体サブタイプを関与させずに。従って、身体中の全ての細胞型のEGFR活性を阻害するEGFRキナーゼ阻害剤と対照的に、このような構築物は、副作用の低減された細胞選択的(例えば、受容体の増幅、過剰発現などよる活性化EGFRシグナル伝達を有する腫瘍細胞)抗EGFR(ErbB1)薬物作用を提供するであろう。
【0219】
いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、ErbB4および/またはそれが相互作用する他のサブタイプに対する低減された親和性および/または活性(例えば、アンタゴニスト活性)を有する。ターゲティング部分を介した特定の標的細胞に対する標的化により、ErbB1シグナル伝達の選択的活性化が達成される(例えば、上皮細胞)。このような構築物は、いくつかの実施形態では、副作用が低減された創傷の治療(創傷治癒の促進)、特に慢性状態の治療および治療薬局所投与以外の適用(例えば、全身性創傷治癒)のために使用される。
【0220】
ある実施形態では、改変シグナル伝達物質は、インスリンまたはインスリン類似体である。いくつかの実施形態では、改変インスリンまたはインスリン類似体は、インスリン受容体および/またはIGF1またはIGF2受容体に対する低減された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、改変インスリンまたはインスリン類似体は、インスリン受容体および/またはIGF1またはIGF2受容体に対する低減または除去された親和性および/または活性を有する。インスリン受容体に対する弱められた応答は、糖尿病、肥満症、代謝障害などの制御を可能にし、同時に、IGF1またはIGF2受容体から離れた方向に向けることにより、癌促進性作用を回避する。
【0221】
ある実施形態では、改変シグナル伝達物質は、インスリン様増殖因子-Iまたはインスリン様増殖因子-II(IGF1またはIGF2)である。ある実施形態では、改変シグナル伝達物質はIGF1である。このような実施形態では、改変シグナル伝達物質は、インスリン受容体および/またはIGF1受容体に対する低減された親和性および/または活性を有する。ある実施形態では、改変シグナル伝達物質は、IGF1受容体に結合し、受容体の活性をアンタゴナイズする。このような実施形態では、改変シグナル伝達物質は、IGF1受容体に対する低減された親和性および/または活性を有し、これにより、受容体の活性が、弱められる形式でアンタゴナイズされることを可能にする。いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、IGF1受容体に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、改変シグナル伝達物質は、IGF2受容体に対する低減された親和性および/または活性を有し、これにより、受容体の活性が、弱められる形式でアンタゴナイズされることを可能にする。ある実施形態では、改変シグナル伝達物質は、インスリン受容体に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有し、したがって、インスリンシグナル伝達を妨げない。いくつかの実施形態では、これは、癌治療に適用される。いくつかの実施形態では、本物質は、IRアイソフォームAが癌治療に対し耐性を生じるのを防止し得る。
【0222】
ある実施形態では、改変シグナル伝達物質は、EPOである。種々の実施形態では、改変EPO物質は、本明細書に記載された野生型EPOまたは他のEPOベースの物質に比較して、EPO受容体(EPOR)受容体および/またはエフリン受容体(EphR)に対する低減された親和性および/または活性を有する。いくつかの実施形態では、改変EPO物質は、EPO受容体(EPOR)受容体および/またはEph受容体(EphR)に対する実質的に低減または除去された親和性および/または活性を有する。例示的EPO受容体としては、限定されないが、EPORホモダイマーまたはEPOR/CD131ヘテロダイマーが挙げられる。EPO受容体として挙げられるのはまた、ベータ共通受容体(βcR)である。例示的Eph受容体としては、限定されないが、EPHA1、EPHA2、EPHA3、EPHA4、EPHA5、EPHA6、EPHA7、EPHA8、EPHA9、EPHA10、EPHB1、EPHB2、EPHB3、EPHB4、EPHB5、およびEPHB6が挙げられる。いくつかの実施形態では、改変EPOタンパク質は、EPOタンパク質に、1個または複数の異なるEPO受容体またはEph受容体(例えば、非限定的例として、EPOR-EPHB4、EPOR-βcR-EPORを含む、ヘテロダイマー、ヘテロトリマーなど)を含む受容体に対する親和性を低減させる1個または複数の変異を含む。提供されるのはまた、非限定的例として、NEPORを含む欧州特許出願第2492355号の受容体である。この文献の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0223】
ヒトEPOタンパク質の構造は、ヘリックスA,B、C、およびDを含む4個のヘリックスバンドルを含むと予測される。種々の実施形態では、改変EPOタンパク質は、生物活性に重要であるEPOタンパク質の4つの領域、すなわち、10~20、44~51、96~108、および142~156に位置する1個または複数の変異を含む。いくつかの実施形態では、1個または複数の変異は、残基11~15、44~51、100~108、および147~151に位置する。これらの残基は、ヘリックスA(Val11、Arg14、およびTyr15)、ヘリックスC(Ser100、Arg103、Ser104、およびLeu108)、ヘリックスD(Asn147、Arg150、Gly151、およびLeu155)、およびA/Bコネクティングループ(connecting loop)(残基42~51)に位置する。いくつかの実施形態では、改変EPOタンパク質は、アミノ酸41~52と、アミノ酸147、150、151および155の間の残基の中に変基を含む。理論に束縛されることを望むものではないが、これらの残基の変異は、受容体結合とin vitro生物活性の両方への実質的な影響を有すると考えられる。いくつかの実施形態では、改変EPOタンパク質は、残基11、14、15、100、103、104、および108に変異を含む。理論に束縛されることを望むものではないが、これらの残基の変異は、受容体結合活性へのあまり大きくない影響と、in vitro生物活性へのかなり大きな影響とを有すると考えられる。例示的な置換としては、限定されないが、Val11Ser、Arg14Ala、Arg14Gln、Tyr15lle、Pro42Asn、Thr44lle、Lys45Asp、Val46Ala、Tyr51Phe、Ser100Glu, Ser100Thr、Arg103Ala、Ser104lle、Ser104Ala、Leu108Lys、Asn147Lys、Arg150Ala、Gly151Ala、およびLeu155Alaが挙げられる。
【0224】
いくつかの実施形態では、改変EPOタンパク質は、生物活性に影響を与え、結合に影響を与えない変異、例えばEliot, et al. Mapping of the Active Site of Recombinant Human Erythropoietin January 15, 1997; Blood: 89(2)に列挙された変異を含む。この文献の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0225】
いくつかの実施形態では、改変EPOタンパク質は、受容体接触に関与するEPOタンパク質の表面残基を含む1個または複数の変異を含む。理論に束縛されることを望むものではないが、これらの表面残基の変異は、タンパク質の折り畳みに影響を及ぼす可能性が低く、それによりいくつかの生物活性を保持すると考えられる。変異され得る例示的表面残基としては、限定されないが、残基147および150が挙げられる。例示的実施形態では、変異は、N147A、N147K、R150AおよびR150Eの1個または複数を含む置換である。
【0226】
いくつかの実施形態では、改変EPOタンパク質は、残基N59、E62、L67、およびL70の1個または複数の変異と、ジスルフィド結合形成に影響を及ぼす1個または複数の変異とを含む。理論に束縛されることを望むものではないが、これらの変異は、折り畳みに影響を及ぼし、かつ/または覆い隠された位置にあると予測され、このため間接的に生物活性に影響を及ぼすと考えられる。
【0227】
ある実施形態では、改変EPOタンパク質は、受容体結合を有意に低減するK20E置換を含む。Elliott, et al., (1997) Blood, 89:493-502を参照されたい。この文献の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0228】
本発明のキメラEPOタンパク質に組み込まれ得る追加のEPO変異は、例えば、全内容が参照により本明細書に組み込まれるElliott, et al., (1997) Blood, 89:493-502、および全内容が参照により本明細書に組み込まれるTaylor et al., (2010) PEDS, 23(4): 251-260に開示される。
【0229】
一実施形態では、本キメラタンパク質は、本明細書に記載のいずれかの改変または変異シグナル伝達物質と共に、(i)FAPに対するターゲティング部分および(ii)腫瘍細胞に向けられたターゲティング部分を有する。ある実施形態では、本キメラタンパク質は、樹状細胞上のFAPに向けられたターゲティング部分および腫瘍細胞上のPD-L1またはPD-L2に向けられた第2のターゲティング部分を有する。
【0230】
一実施形態では、本キメラタンパク質は、本明細書に記載のいずれかの改変または変異インターフェロンと共に、(i)FAPに対するターゲティング部分および(ii)チェックポイント阻害剤マーカーに向けられたターゲティング部分を有する。ある実施形態では、本キメラタンパク質は、樹状細胞上のFAPに対するターゲティング部分およびPD-1に向けられた第2のターゲティング部分を有する。
【0231】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質は毒素または毒性酵素である。いくつかの実施形態では、毒素または毒性酵素は、植物および細菌から誘導される。毒素または毒性酵素の例としては、ジフテリア毒素、シュードモナス毒素、炭疽病毒素、リシンおよびサポリンなどのリボソーム不活化タンパク質(RIP)、モデシン、アブリン、ゲロニン、およびヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。追加の毒素は、Mathew et al.,(2009)Cancer Sci 100(8):1359-65、に開示のものを含む。この文献の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。このような実施形態では、本発明の技術のキメラタンパク質は、細胞型特異的に細胞死を誘導するのに利用し得る。このような実施形態では、毒素は改変されて、例えば、変異導入されて、本明細書で他のシグナル伝達物質に関し記載のように、効果を弱めるために毒素の親和性および/または活性を低減させ得る。
【0232】
シグナル伝達物質との多重特異的キメラおよび融合体
いくつかの実施形態では、本発明の技術のFAP結合物質は、本明細書に記載の1種または複数のシグナル伝達物質および/または1つまたは複数の追加のターゲティング部分とのキメラまたは融合体の一部である。したがって、本発明の技術は、例えば、1種または複数のシグナル伝達物質およびFAPに対するターゲティング部分および/または1つまたは複数の追加のターゲティング部分を含むキメラまたは融合タンパク質を提供する。
【0233】
いくつかの実施形態では、本発明の技術のFAP結合物質は、多重特異的であり、すなわち、FAP結合物質は、2つ以上の標的、例えば、抗原、または受容体、またはエピトープを認識し結合する認識ドメインを有する2つ以上のターゲティング部分を含む。このような実施形態では、本発明の技術のFAP結合物質は、同じ抗原上または異なる抗原上または異なる受容体上の2個以上のエピトープを認識し結合する認識ドメインを有する2つ以上のターゲティング部分を含み得る。いくつかの実施形態では、このような多重特異的FAP結合物質は、向上した結合力および/または改善された選択性などの有利な性質を示す。ある実施形態では、本発明の技術のFAP結合物質は、2つのターゲティング部分を含み、かつ二重特異性であり、すなわち、同じ抗原上または異なる抗原上の2個のエピトープに結合および認識する。
【0234】
いくつかの実施形態では、本発明の技術の多重特異的FAP結合物質は、それぞれのターゲティング部分が本明細書に記載の抗体または抗体誘導体である2つ以上のターゲティング部分を含む。ある実施形態では、本発明の技術の多重特異的FAP結合物質は、FAPに対する抗原認識ドメインを含む少なくとも1種のVHHおよび腫瘍抗原に対する抗原認識ドメインを含む1種の抗体または抗体誘導体を含む。
【0235】
いくつかの実施形態では、本発明の多重特異的FAP結合物質は、異なる抗原または受容体を標的とする2つ以上のターゲティング部分を有し、1つのターゲティング部分は、その抗原または受容体に対し減弱化され得、例えば、ターゲティング部分はその抗原または受容体を低親和性または低結合力で結合する(例えば、その他のターゲティング部分がその抗原または受容体に対して有する親和性または結合力より低い親和性または結合力で結合することを含み、例えば、結合親和性の間の差異は、約10倍、または25倍、または50倍、または100倍、または300倍、または500倍、または1000倍、または5000倍であってよく;例えば、より低い親和性または結合力のターゲティング部分はその抗原または受容体に中~高nMまたは低~中pMの範囲のKで結合し得るが、より高い親和性または結合力のターゲティング部分は、中~高pMまたは低~中nMの範囲のKで結合し得る)。例えば、いくつかの実施形態では、本多重特異的FAP結合物質は、無差別の抗原または受容体に向けられた減弱化ターゲティング部分を含み、これは目的の細胞への標的化を改善し(例えば、他のターゲティング部分を介して)かつ治療用の標的にされないものを含む、複数細胞型間にまたがる効果を防止し得る(例えば、これらの実施形態で与えられるものより高い親和性で無差別に抗原または受容体に結合することによる)。
【0236】
本発明の技術の多重特異的FAP結合物質は、当該技術分野において、既知の方法を使用して構築し得る。例えば、米国特許第9,067,991号、米国特許出願公開第20110262348号および国際公開第2004/041862号を参照されたい。これらの特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。例示的実施形態では、2つ以上のターゲティング部分を含む本発明の技術の多重特異的FAP結合物質は、化学架橋により、例えば、アミノ酸残基を、全内容が参照により本明細書に組み込まれる、Blattler et al.,Biochemistry 24,1517-1524および欧州特許第294703号に記載のような有機誘導体化試薬を反応させることにより構築され得る。別の例示的実施形態では、2つ以上のターゲティング部分を含む多重特異的FAP結合物質は、遺伝子融合、すなわち、個別のターゲティング部分のポリペプチドを含む単一ポリペプチドを構築することにより、構築される。例えば、FAPに対する抗原認識ドメインを有する第1のVHHおよび腫瘍抗原に対する抗原認識ドメインを有する第2の抗体または抗体誘導体をコードする、単一ポリペプチド構築物を形成し得る。二価または多価性のVHHポリペプチド構築物を産生する方法は、国際公開第96/34103号に開示され、この特許の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。さらなる例示的実施形態では、本発明の技術の多重特異的FAP結合物質は、リンカーを用いることにより構築され得る。例えば、FAPに対する抗原認識ドメインを有する第1のVHHのカルボキシ末端を、腫瘍抗原に対する抗原認識ドメインを有する第2の抗体または抗体誘導体のアミノ末端に連結され得る(または逆もまた同様)。使用し得る例示的リンカーは、本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、本発明の技術の多重特異的FAP結合物質の成分は、リンカーの使用なしに、相互に直接連結される。
【0237】
いくつかの実施形態では、本発明の技術の多重特異的FAP結合物質は、FAPおよび1個または複数の免疫細胞上に見出される1個または複数の抗原を認識し、それらに結合し、免疫細胞は巨核球、血小板、赤血球、マスト細胞、好塩基球、好中球、好酸球、単球、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、Tリンパ球(例えば、細胞傷害性Tリンパ球、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞)、Bリンパ球、プラズマ細胞、樹状細胞、またはこれらのサブセットを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、目的の抗原に特異的に結合し、1個または複数の免疫細胞を効果的に、直接または間接的に動員する。
【0238】
いくつかの実施形態では、本発明の技術の多重特異的FAP結合物質は、FAPおよび腫瘍細胞上に見出される1個または複数の抗原を認識し、それらに結合する。これらの実施形態では、本発明のFAP結合物質は、腫瘍細胞にまたは腫瘍微小環境に免疫細胞を直接的にまたは間接的に動員し得る。いくつかの実施形態では、本発明のFAP結合物質は、免疫細胞、例えば、腫瘍を死滅させるおよび/または抑制することができる免疫細胞(例えば、CTL)を、作用部位(非限定的例であるが、腫瘍微小環境など)に直接的にまたは間接的に動員し得る。
【0239】
いくつかの実施形態では、本発明の技術のFAP結合物質は、腫瘍の免疫攻撃に有利なように免疫細胞のバランスを変化させることができ、または免疫細胞のバランスを変化させることを含む方法において使用される。例えば、本発明のFAP結合物質は、臨床的に重要な部位の免疫細胞の比率を、腫瘍を死滅させるおよび/または抑制することができる細胞(例えば、T細胞、細胞傷害性Tリンパ球、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーナチュラルキラーT(NKT)細胞、抗腫瘍マクロファージ(例えば、M1マクロファージ)、好中球、B細胞、樹状細胞またはこれらのサブセット)に有利なように、および腫瘍を保護する細胞(例えば、骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)、制御性T細胞(Treg);腫瘍関連好中球(TAN)、M2マクロファージ、腫瘍関連マクロファージ(TAM)、またはこれらのサブセット)に不利なように変化させることができる。いくつかの実施形態では、本発明のFAP結合物質は、エフェクターT細胞の制御性T細胞に対する比率を高めることができる。
【0240】
いくつかの実施形態では、本発明の技術の多重特異的FAP結合物質は、腫瘍細胞関連抗原に特異的に結合する抗原認識ドメインを有するターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、腫瘍細胞を直接または間接的に動員する。例えば、いくつかの実施形態では、腫瘍細胞の動員は、腫瘍細胞を死滅させることができるおよび/または抑制できる1個または複数のエフェクター細胞(例えば、本明細書に記載の免疫細胞)に対するものである。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、腫瘍およびFAP陽性免疫細胞(例えば、樹状細胞)上でそれらのそれぞれの抗原と相互作用する2つのターゲティング部分によって、T細胞を腫瘍細胞に直接または間接的に動員する。
【0241】
腫瘍細胞、または癌細胞は、身体の器官およびシステムの正常な機能動作を妨害する、細胞または組織の無制御な増殖および/または細胞生存の異常な増大および/またはアポトーシスの抑制の異常な増大を指す。例えば、腫瘍細胞は、良性および悪性の癌、ポリープ、過形成、ならびに休眠腫瘍または微小転移を含む。腫瘍細胞の例としては、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳および中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、結腸および直腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部の癌、胃癌(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、ヘパトーマ、上皮内腫瘍、腎臓癌または腎臓癌(kidney or renal cancer)、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、および肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽腫、口腔癌(唇、舌、口内、および咽頭)、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系癌、唾液腺癌腫、肉腫、皮膚癌、扁平上皮細胞癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮または子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)を含む)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽細胞NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL、巨大腫瘤病変NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、毛様細胞性白血病、慢性骨髄芽球性白血病、ならびにその他の癌腫および肉腫、および移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫(例えば、脳腫瘍に関連するもの)、およびメグズ症候群と関連する異常血管増殖の細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0242】
腫瘍細胞または癌細胞としては、癌腫、例えば、種々のサブタイプ(例えば、腺癌、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、および移行性上皮癌を含む)、肉腫(例えば、骨および軟組織を含む)、白血病(例えば、急性骨髄性、急性リンパ芽球性、慢性骨髄性、慢性リンパ球性、および毛様細胞を含む)、リンパ腫および骨髄腫(例えば、ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫、軽鎖型、非分泌型MGUS、および形質細胞腫を含む)、および中枢神経系癌(例えば、脳腫瘍(例えば、神経膠腫(例えば、星状細胞腫、乏突起細胞腫および上衣腫)、髄膜腫、下垂体腺腫、および神経腫)、および脊髄腫瘍(例えば、髄膜腫および神経線維腫))も挙げられるが、これらに限定されない。
【0243】
腫瘍抗原の例としては、MART-1/Melan-A、gp100、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)、アデノシンデアミナーゼ結合タンパク質(ADAbp)、シクロフィリンb、結腸直腸関連性抗原(CRC)-0017-1A/GA733、癌胎児抗原(CEA)およびその免疫原性エピトープCAP-1およびCAP-2、etv6、am11、前立腺特異抗原(PSA)およびその免疫原性エピトープPSA-1、PSA-2、およびPSA-3、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、T細胞受容体/CD3-ゼータ鎖、MAGEファミリーの腫瘍抗原(例えば、MAGE-A1、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A5、MAGE-A6、MAGE-A7、MAGE-A8、MAGE-A9、MAGE-A10、MAGE-A11、MAGE-AI2、MAGE-Xp2(MAGE-B2)、MAGE-Xp3(MAGE-B3)、MAGE-Xp4(MAGE-B4)、MAGE-C1、MAGE-C2、MAGE-C3、MAGE-C4、MAGE-05)、GAGEファミリーの腫瘍抗原(例えば、GAGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7、GAGE-8、GAGE-9)、BAGE、RAGE、LAGE-1、NAG、GnT-V、MUM-1、CDK4、チロシナーゼ、p53、MUCファミリー、HER2/neu、p21ras、RCAS1、a-フェトプロテイン、E-カドヘリン、a-カテニン、3-カテニンおよびγ-カテニン、p120ctn、gp100 Pme1117、PRAME、NY-ESO-1、cdc27、大腸腺腫症タンパク質(APC)、フォドリン、コネキシン37、Ig-イディオタイプ、p15、gp75、GM2およびGD2ガングリオシド、ヒトパピローマウイルスタンパク質などのウイルス産物、Smadファミリーの腫瘍抗原、Imp-1、NA、EBV-コード化核内抗原(EBNA)-1、脳グリコーゲンホスホリラーゼ、SSX-1、SSX-2(HOM-MEL-40)、SSX-1、SSX-4、SSX-5、SCP-1 CT-7、c-erbB-2、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD37、CD56、CD70、CD74、CD138、AGS16、MUC1、GPNMB、Ep-CAM、PD-L1、PD-L2、PMSA、およびBCMA(TNFRSF17)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、1個または複数のこれらの腫瘍抗原を結合するターゲティング部分を含む。
【0244】
いくつかの実施形態では、本多重特異的FAP結合物質は、FAPならびに腫瘍細胞上の抗原を認識し、それに結合する。いくつかの実施形態では、多重特異的FAP結合物質は、直接的にまたは間接的に腫瘍細胞にまたは腫瘍微小環境にCTLを動員する。
【0245】
いくつかの実施形態では、本多重特異的FAP結合物質は、2個の異なる細胞(例えば、シナプスを作るために)または同じ細胞(例えば、より高濃度のシグナル伝達物質効果を得るために)を標的とするターゲティング部分を有する。
【0246】
いくつかの実施形態では、本発明の技術の多重特異的FAP結合物質は、T細胞関連標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する抗原認識ドメインを有するターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、T細胞を直接または間接的に動員する。ある実施形態では、抗原認識ドメインは、エフェクターT細胞に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗原認識ドメインは、エフェクターT細胞を、例えば、いくつかの実施形態では、治療部位(例えば、1個または複数の疾患細胞または治療効果を得るために調節されるべき細胞を有する部位)に直接または間接的に動員する。エフェクターT細胞の例としては、細胞傷害性T細胞(例えば、αβTCR、CD3、CD4、CCR7+、CD62Lhi,IL-7R/CD127+);CD4エフェクターT細胞(例えば、αβTCR、CD3、CD4、CCR7、CD62Lhi、IL7R/CD127);CD8 エフェクターT細胞(例えば、αβTCR、CD3、CD8、CCR7、CD62Lhi、IL7R/CD127);エフェクターメモリーT細胞(例えば、CD62Llow、CD44、TCR、CD3、IL7R/CD127、IL-15R、CCR7low);セントラルメモリーT細胞(例えば、CCR7、CD62L、CD27;またはCCR7hi、CD44、CD62Lhi、TCR、CD3、IL7R/CD127、IL-15R);CD62L エフェクターT細胞;早期エフェクターメモリーT細胞(CD27 CD62L)および後期エフェクターメモリーT細胞(CD27 CD62L)(それぞれ、TemEおよびTemL)を含むCD8 エフェクターメモリーT細胞(TEM);CD127()CD25(low/)エフェクターT細胞;CD127()CD25()エフェクターT細胞;CD8 幹細胞メモリーエフェクター細胞(TSCM)(例えば、CD44(low)CD62L(high)CD122(high)sca());TH1エフェクターT細胞(例えば、CXCR3、CXCR6およびCCR5;またはαβTCR、CD3、CD4、IL-12R、IFN-γR+、CXCR3)、TH2エフェクターT細胞(例えば、CCR3、CCR4およびCCR8;またはαβTCR、CD3、CD4、IL4R、IL33R、CCR4、IL-17RB、CRTH2);TH9エフェクターT細胞(例えば、αβTCR、CD3、CD4);TH17エフェクターT細胞(例えば、αβTCR、CD3、CD4、IL23R、CCR6、IL-1R);CD4CD45ROCCR7 エフェクターT細胞、ICOS エフェクターT細胞;CD4CD45ROCCR7()エフェクターT細胞;およびIL2、IL4および/またはIFN-γを分泌するエフェクターT細胞が挙げられる。
【0247】
目的とするT細胞抗原の例としては、例えば、下記が挙げられる(該当する場合には、細胞外ドメインも含む):CD8、CD3、SLAMF4、IL-2Rα、4-1BB/TNFRSF9、IL-2Rβ、ALCAM、B7-1、IL4R、B7-H3、BLAME/SLAMFS、CEACAM1、IL6R、CCR3、IL7Rα、CCR4、CXCRI/ILSRA、CCR5、CCR6、IL-10Rα、CCR7、IL-10Rβ、CCRS、IL-12Rβ1、CCR9、IL-12Rβ2、CD2、IL-13Rα1、IL-13、CD3、CD4、ILT2/CDS5j、ILT3/CDS5k、ILT4/CDS5d、ILT5/CDS5a、ルテグリン(lutegrin) a4/CD49d、CDS、インテグリンaE/CD103、CD6、インテグリンαM/CD11b、CDS、インテグリンαX/CD11c、インテグリンβ2/CDIS、KIR/CD15S、CD27/TNFRSF7、KIR2DL1、CD2S、KIR2DL3、CD30/TNFRSFS、KIR2DL4/CD15Sd、CD31/PECAM-1、KIR2DS4、CD40 Ligand/TNFSF5、LAG-3、CD43、LAIR1、CD45、LAIR2、CDS3、ロイコトリエンB4-R1、CDS4/SLAMF5、NCAM-L1、CD94、NKG2A、CD97、NKG2C、CD229/SLAMF3、NKG2D、CD2F-10/SLAMF9、NT-4、CD69、NTB-A/SLAMF6、共通γ鎖/IL-2Rγ、オステオポンチン、CRACC/SLAMF7、PD-1、CRTAM、PSGL-1、CTLA-4、RANK/TNFRSF11A、CX3CR1、CX3CL1、L-セレクチン、CXCR3、SIRPβ1、CXCR4、SLAM、CXCR6、TCCR/WSX-1、DNAM-1、サイモポエチン、EMMPRIN/CD147、TIM-1、EphB6、TIM-2、Fas/TNFRSF6、TIM-3、Fasリガンド/TNFSF6、TIM-4、FcγRIII/CD16、TIM-6、TNFR1/TNFRSF1A、グラニュライシン、TNFRIII/TNFRSF1B、TRAIL RI/TNFRSFIOA、ICAM-1/CD54、TRAILR2/TNFRSF10B、ICAM-2/CD102、TRAILR3/TNFRSF10C、IFN-γR1、TRAILR4/TNFRSF10D、IFN-γR2、TSLP、IL-1R1およびTSLPR。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、1個または複数のこれらの例示T細胞抗原を結合するターゲティング部分を含む。
【0248】
いくつかの実施形態では、本発明の技術の多重特異的FAP結合物質は、4つの「フレームワーク領域」またはFRおよび3つの「相補性決定領域」またはCDRを有する単一アミノ酸鎖を含むVHHであるCD8に対するターゲティング部分を含む。本明細書で使用される場合、「フレームワーク領域」または「FR」は、CDRの間に位置する可変ドメイン中の領域を指す。本明細書で使用される場合、「相補性決定領域」または「CDR」は、抗原性標的に特異的に結合できるアミノ酸配列を含むVHH中の可変領域を指す。
【0249】
いくつかの実施形態では、本発明の技術の多重特異的FAP結合物質は、少なくとも1つのCD8のCDR1、CD8のCDR2、および/またはCD8のCDR3配列を含む可変ドメインを有するCD8に対するVHHを含む。
【0250】
いくつかの実施形態では、CD8のCDR1配列は、配列番号192または配列番号193から選択される。
【0251】
いくつかの実施形態では、CD8のCDR2配列は、配列番号194または配列番号195から選択される。
【0252】
いくつかの実施形態では、CD8のCDR3配列は、配列番号196または配列番号197または配列番号198から選択される。
【0253】
いくつかの実施形態では、CD8ターゲティング部分は、次の配列R3HCD27(配列番号199)またはR3HCD129(配列番号200)またはR2HCD26(配列番号201)から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0254】
種々の実施形態では、CD8ターゲティング部分は、後述のように少なくとも1つのCD8のCDR1、CD8のCDR2、および/またはCD8のCDR3配列を含む可変ドメインを有するVHHを含む。
【0255】
いくつかの実施形態では、CD8のCDR1配列は、配列番号202~配列番号270または配列番号52から選択される。
【0256】
いくつかの実施形態では、CD8のCDR2配列は、配列番号271~配列番号339から選択される。
【0257】
いくつかの実施形態では、CD8のCDR3配列は、配列番号340~配列番号408から選択される。
【0258】
いくつかの実施形態では、CD8ターゲティング部分は、1CDA7(配列番号409)または1CDA12(配列番号410)または1CDA14(配列番号411)または1CDA15(配列番号412)または1CDA17(配列番号413)または1CDA18(配列番号414)または1CDA19(配列番号415)または1CDA24(配列番号416)または1CDA26(配列番号417)または1CDA28(配列番号418)または1CDA37(配列番号419)または1CDA43(配列番号420)または1CDA45(配列番号421)または1CDA47(配列番号422)または1CDA48(配列番号423)または1CDA58(配列番号424)または1CDA65(配列番号425)または1CDA68(配列番号426)または1CDA73(配列番号427)または1CDA75(配列番号428)または1CDA86(配列番号429)または1CDA87(配列番号430)または1CDA88(配列番号431)または1CDA89(配列番号432)または1CDA92(配列番号433)または1CDA93(配列番号434)または2CDA1(配列番号435)または2CDA5(配列番号436)または2CDA22(配列番号437)または2CDA28(配列番号438)または2CDA62(配列番号439)または2CDA68(配列番号440)または2CDA73(配列番号441)または2CDA74(配列番号442)または2CDA75(配列番号443)または2CDA77(配列番号444)または2CDA81(配列番号445)または2CDA87(配列番号446)または2CDA88(配列番号447)または2CDA89(配列番号448)または2CDA91(配列番号449)または2CDA92(配列番号450)または2CDA93(配列番号451)または2CDA94(配列番号452)または2CDA95(配列番号453)または3CDA3(配列番号454)または3CDA8(配列番号455)または3CDA11(配列番号456)または3CDA18(配列番号457)または3CDA19(配列番号458)または3CDA21(配列番号459)または3CDA24(配列番号460)または3CDA28(配列番号461)または3CDA29(配列番号462)または3CDA31(配列番号463)または3CDA32(配列番号464)または3CDA33(配列番号465)または3CDA37(配列番号466)または3CDA40(配列番号467)または3CDA41(配列番号468)または3CDA48(配列番号469)または3CDA57(配列番号470)または3CDA65(配列番号471)または3CDA70(配列番号472)または3CDA73(配列番号473)または3CDA83(配列番号474)または3CDA86(配列番号475)または3CDA88(配列番号476)または3CDA90(配列番号477)から選択されるアミノ酸配列を含む。種々の例示的実施形態では、CD8ターゲティング部分は、末端ヒスチジンタグ配列(すなわち、HHHHHH:配列番号43)を含まない上記配列のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含む。
【0259】
いくつかの実施形態では、CD8ターゲティング部分は、米国特許出願公開第2014/0271462号に記載のアミノ酸配列を含む。この特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、CD8ターゲティング部分は、米国特許出願公開第2014/0271462号の表0.1、表0.2、表0.3、および/または図1A~121に記載のアミノ酸配列を含む。この特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、CD8ターゲティング部分は、以降で提供されるように、配列番号478または479のHCDR1のHCDR1および/または配列番号478または479のHCDR1のHCDR2および/または配列番号478または479のHCDR1のHCDR3および/または配列番号480のLCDR1のLCDR1および/または配列番号480のLCDR1のLCDR2および/または配列番号480のLCDR1のLCDR3を含む。
【0260】
いくつかの実施形態では、本発明の技術は、本明細書に記載の本発明のCD8に向けられたターゲティング部分の任意の天然または合成類似体、変異体、バリアント、アレル、同族体およびオーソログ(本明細書では、ひとまとめにして「類似体」と呼ぶ)の使用を意図している。いくつかの実施形態では、CD8に向けられたターゲティング部分のアミノ酸配列は、アミノ酸類似体、アミノ酸誘導体、またはその他の非古典的アミノ酸をさらに含む。
【0261】
いくつかの実施形態では、本発明の技術の多重特異的FAP結合物質は、B細胞関連標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する抗原認識ドメインを有するターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、例えば、治療部位(例えば、1個または複数の疾患細胞または治療効果を得るために調節されるべき細胞を有する部位)に、直接または間接的にB細胞を動員する。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、B細胞抗原としては、例えば、CD10、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD37、CD38、CD39、CD40、CD70、CD72、CD73、CD74、CDw75、CDw76、CD77、CD78、CD79a/b、CD80、CD81、CD82、CD83、CD84、CD85、CD86、CD89、CD98、CD126、CD127、CDw130、CD138、CDw150、およびB細胞成熟抗原(BCMA)が挙げられる。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、1個または複数の上記開示のB細胞抗原を結合するターゲティング部分を含む。
【0262】
いくつかの実施形態では、本発明の技術の多重特異的FAP結合物質は、ナチュラルキラー細胞関連標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する抗原認識ドメインを有するターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、ナチュラルキラー細胞を、例えば治療部位(例えば、1個または複数の疾患細胞または治療効果を得るために調節されるべき細胞を有する部位)へ直接または間接的に動員する。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、ナチュラルキラー細胞抗原としては、例えば、TIGIT、2B4/SLAMF4、KIR2DS4、CD155/PVR、KIR3DL1、CD94、LMIR1/CD300A、CD69、LMIR2/CD300c、CRACC/SLAMF7、LMIR3/CD300LF、Kidアルファ、DNAM-1、LMIR5/CD300LB、Fc-イプシロンRII、LMIR6/CD300LE、Fc-γRI/CD64、MICA、Fc-γRIIB/CD32b、MICB、Fc-γRIIC/CD32c、MULT-1、Fc-γRIIA/CD32a、Nectin-2/CD112、Fc-γRIII/CD16、NKG2A、FcRH1/IRTA5、NKG2C、FcRH2/IRTA4、NKG2D、FcRH4/IRTA1、NKp30、FcRH5/IRTA2、NKp44、Fc-受容体様3/CD16-2、NKp46/NCR1、NKp80/KLRF1、NTB-A/SLAMF6、Rae-1、Rae-1a、Rae-1p、Rae-1デルタ、H60、Rae-1ε、ILT2/CD85j、Rae-1γ、ILT3/CD85k、TREM-1、ILT4/CD85d、TREM-2、ILT5/CD85a、TREM-3、KIR/CD158、TREML1/TLT-1、KIR2DL1、ULBP-1、KIR2DL3、ULBP-2、KIR2DL4/CD158dおよびULBP-3が挙げられる。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、1個または複数の上記開示のNK細胞抗原を結合するターゲティング部分を含む。
【0263】
いくつかの実施形態では、本発明の技術の多重特異的FAP結合物質は、マクロファージ/単球関連標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する抗原認識ドメインを有するターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、例えば、マクロファージ/単球を直接または間接的に、治療部位(例えば、1個または複数の疾患細胞または治療効果を得るために調節されるべき細胞を有する部位)に動員する。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、マクロファージ/単球抗原としては、例えば、SIRP1a、B7-1/CD80、ILT4/CD85d、B7-H1、ILT5/CD85a、共通3鎖、インテグリンa4/CD49d、BLAME/SLAMF8、インテグリンaX/CDllc、CCL6/C10、インテグリン32/CD18、CD155/PVR、インテグリン33/CD61、CD31/PECAM-1、Latexin、CD36/SR-B3、ロイコトリエンB4R1、CD40/TNFRSF5、LIMPIIISR-B2、CD43、LMIR1/CD300A、CD45、LMIR2/CD300c、CD68、LMIR3/CD300LF、CD84/SLAMF5、LMIR5/CD300LB、CD97、LMIR6/CD300LE、CD163、LRP-1、CD2F-10/SLAMF9、MARCO、CRACC/SLAMF7、MD-1、ECF-L、MD-2、EMMPRIN/CD147、MGL2、エンドグリン/CD105、Osteoactivin/GPNMB、Fc-γRI/CD64、オステオポンチン、Fc-γRIIB/CD32b、PD-L2、Fc-γRIIC/CD32c、Siglec-3/CD33、Fc-γRIIA/CD32a、SIGNR1/CD209、Fc-γRIII/CD16、SLAM、GM-CSFRa、TCCR/WSX-1、ICAM-2/CD102、TLR3、IFN-γRI、TLR4、IFN-gannnaR2、TREM-I、IL-IRII、TREM-2、ILT2/CD85j、TREM-3、ILT3/CD85k、TREML1/TLT-1、2B4/SLAMF 4、IL-10Ra、ALCAM、IL-10Rp、アミノペプチダーゼN/ANPEP、ILT2/CD85j、共通3鎖、ILT3/CD85k、ClqR1/CD93、ILT4/CD85d、CCR1、ILT5/CD85a、CCR2、CD206、インテグリンa4/CD49d、CCR5、インテグリンaM/CDII b、CCR8、インテグリンaX/CDllc、CD155/PVR、インテグリン32/CD18、CD14、インテグリン133/CD61、CD36/SR-B3、LAIR1、CD43、LAIR2、CD45、ロイコトリエンB4-R1、CD68、LIMPIIISR-B2、CD84/SLAMFS、LMIR1/CD300A、CD97、LMIR2/CD300c、CD163、LMIR3/CD300LF、凝固因子III/組織因子、LMIR5/CD300LB、CX3CR1、CX3CL1、LMIR6/CD300LE、CXCR4、LRP-1、CXCR6、M-CSF R、DEP-1/CD148、MD-1、DNAM-1、MD-2、EMMPRIN/CD147、MMR、エンドグリン/CD105、NCAM-L1、Fc-γRI/CD64、PSGL-1、Fc-γRIIIICD16、RP105、G-CSF R、L-セレクチン、GM-CSFRa、Siglec-3/CD33、HVEM/TNFRSF14、SLAM、ICAM-1/CD54、TCCR/WSX-1、ICAM-2/CD102、TREM-I、IL6R、TREM-2、CXCRI/IL8RA、TREM-3およびTREMLITTLT-1が挙げられる。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、1個または複数の上記開示のマクロファージ/単球抗原を結合するターゲティング部分を含む。
【0264】
いくつかの実施形態では、本発明の技術の多重特異的FAP結合物質は、樹状細胞関連標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する抗原認識ドメインを有するターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、例えば、治療部位(例えば、1個または複数の疾患細胞または治療効果を得るために調節されるべき細胞を有する部位)に、直接または間接的に樹状細胞を動員する。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、樹状細胞(DC)抗原としては、例えば、FAP、XCR1、RANK、CD36/SRB3、LOX-1/SR-E1、CD68、MARCO、CD163、SR-A1/MSR、CD5L、SREC-1、CL-PI/C0LEC12、SREC-II、LIMPIIISRB2、RP105、TLR4、TLR1、TLR5、TLR2、TLR6、TLR3、TLR9、4-IBBリガンド/TNFSF9、IL-12/IL23p40、4-Amino-1、8-ナフタルイミド、ILT2/CD85j、CCL21/6Ckine、ILT3/CD85k、8-oxo-dG、ILT4/CD85d、8D6A、ILT5/CD85a、A2B5、lutegrin a4/CD49d、Aag、インテグリンp2/CD18、AMICA、Langerin、B7-2/CD86、ロイコトリエンB4 RI、B7-H3、LMIR1/CD300A、BLAME/SLAMF8、LMIR2/CD300c、ClqR1/CD93、LMIR3/CD300LF、CCR6、LMIR5/CD300LBCCR7、LMIR6/CD300LE、CD40/TNFRSF5、MAG/シグレック-4-a、CD43、MCAM、CD45、MD-1、CD68、MD-2、CD83、MDL-1/CLEC5A、CD84/SLAMF5、MMR、CD97、NCAMLI、CD2F-10/SLAMF9、Osteoactivin GPNMB、Chern23、PD-L2、CLEC-1、RP105、CLEC-2、CLEC-8、シグレック-2/CD22、CRACC/SLAMF7、シグレック-3/CD33、DC-SIGN、DEC-205、シグレック-5、DC-SIGNR/CD299、シグレック-6、DCAR、シグレック-7、DCIR/CLEC4A、シグレック-9、DEC-205、シグレック-10、Dectin-1/CLEC7A、シグレック-F、Dectin-2/CLEC6A、SIGNR1/CD209、DEP-1/CD148、SIGNR4、DLEC、SLAM、EMMPRIN/CD147、TCCR/WSX-1、Fc-γR1/CD64、TLR3、Fc-γRIIB/CD32b、TREM-1、Fc-γRIIC/CD32c、TREM-2、Fc-γRIIA/CD32a、TREM-3、Fc-γRIII/CD16、TREML1/TLT-1、ICAM-2/CD102、DEC205、およびバニロイドR1が挙げられる。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、1個または複数の上記開示のDC抗原を結合するターゲティング部分を含む。
【0265】
いくつかの実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、本明細書で開示の配列のいずれか1つに少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を含むターゲティング部分を含む。例えば、いくつかの実施形態では、キメラタンパク質は、本明細書で開示の配列のいずれか1つに、少なくとも約60%、少なくとも約61%、少なくとも約62%、少なくとも約63%、少なくとも約64%、少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも約67%、少なくとも約68%、少なくとも約69%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%同一(例えば、本明細書で開示の配列のいずれか1つに、約60%、または約61%、または約62%、または約63%、または約64%、または約65%、または約66%、または約67%、または約68%、または約69%、または約70%、または約71%、または約72%、または約73%、または約74%、または約75%、または約76%、または約77%、または約78%、または約79%、または約80%、または約81%、または約82%、または約83%、または約84%、または約85%、または約86%、または約87%、または約88%、または約89%、または約90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、約99%または約100%の配列同一性)であるアミノ酸配列を含むターゲティング部分を含む。
【0266】
いくつかの実施形態では、本発明の技術の多重特異的FAP結合物質は、限定されないが、巨核球、血小板、赤血球、マスト細胞、好塩基球、好中球、および好酸球から選択される免疫細胞上の標的(例えば、抗原、受容体)を特異的に結合する抗原認識ドメインを有するターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、抗原認識ドメインは、巨核球、血小板、赤血球、マスト細胞、好塩基球、好中球、および好酸球を、例えば、治療部位(例えば、1個または複数の疾患細胞または治療効果を得るために調節されるべき細胞を有する部位)に、直接または間接的に動員する。
【0267】
いくつかの実施形態では、本発明の技術の多重特異的FAP結合物質は、巨核球および/または血小板関連標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する抗原認識ドメインを有するターゲティング部分を含む。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、巨核球および/または血小板抗原としては、例えば、GP11b/111a、GP1b、vWF、PF4、およびTSPが挙げられる。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、1個または複数の上記開示の巨核球および/または血小板抗原を結合するターゲティング部分を含む。
【0268】
いくつかの実施形態では、本発明の技術の多重特異的FAP結合物質は、赤血球関連標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する抗原認識ドメインを有するターゲティング部分を含む。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、赤血球抗原としては、例えば、CD34、CD36、CD38、CD41a(血小板糖タンパク質11b/111a)、CD41b(GPIIb)、CD71(トランスフェリン受容体)、CD105、グリコホリンA、グリコホリンC、c-kit、HLA-DR、H2(MHC-I1)、およびRh抗原が挙げられる。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、1個または複数の上記開示の赤血球抗原を結合するターゲティング部分を含む。
【0269】
いくつかの実施形態では、本発明の技術の多重特異的FAP結合物質は、マスト細胞関連標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する抗原認識ドメインを有するターゲティング部分を含む。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、マスト細胞抗原としては、例えば、SCFR/CD117、Fca、CD2、CD25、CD35、CD88、CD203c、C5R1、CMAI、FCERIA、FCER2、TPSABIが挙げられる。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、1個または複数の上記開示のマスト細胞抗原を結合するターゲティング部分を含む。
【0270】
いくつかの実施形態では、本発明の技術の多重特異的FAP結合物質は、好塩基球関連標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する抗原認識ドメインを有するターゲティング部分を含む。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、好塩基球抗原としては、例えば、Fca、CD203c、CD123、CD13、CD107a、CD107b、およびCD164が挙げられる。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、1個または複数の上記開示の好塩基球抗原を結合するターゲティング部分を含む。
【0271】
いくつかの実施形態では、本発明の技術の多重特異的FAP結合物質は、好中球関連標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する抗原認識ドメインを有するターゲティング部分を含む。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、好中球抗原としては、例えば、7D5、CD10/CALLA、CD13、CD16(FcRIII)、CD18タンパク質(LFA-1、CR3、およびp150、95)、CD45、CD67、およびCD177が挙げられる。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、1個または複数の上記開示の好中球抗原を結合するターゲティング部分を含む。
【0272】
いくつかの実施形態では、本発明の技術の多重特異的FAP結合物質は、好酸球関連標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する抗原認識ドメインを有するターゲティング部分を含む。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、好酸球抗原としては、例えば、CD35、CD44およびCD69が挙げられる。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、1個または複数の上記開示の好酸球抗原を結合するターゲティング部分を含む。
【0273】
いくつかの実施形態では、本発明の技術の多重特異的FAP結合物質は、当業者に既知の任意の適切な抗原または受容体または細胞表面マーカーに特異的に結合する抗原認識ドメインを有するターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、抗原または細胞表面マーカーは、組織特異的マーカーである。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、組織特異的マーカーとしては、限定ではないが、内皮細胞表面マーカー(例えば、ACE、CD14、CD34、CDH5、ENG、ICAM2、MCAM、NOS3、PECAMI、PROCR、SELE、SELP、TEK、THBD、VCAMI、VWFなど);平滑筋細胞表面マーカー(例えば、ACTA2、MYHIO、MYHI1、MYH9、MYOCDなど);線維芽細胞(間質)細胞表面マーカー(例えば、ALCAM、CD34、COLIAI、COL1A2、COL3A1、FAP、PH-4など);上皮細胞表面マーカー(例えば、CDID、K61RS2、KRTIO、KRT13、KRT17、KRT18、KRT19、KRT4、KRT5、KRT8、MUCI、TACSTDIなど);新生血管マーカー(例えば、CD13、TFNA、アルファ-v ベータ-3(αv33)、E-セレクチンなど);および脂肪細胞表面マーカー(例えば、ADIPOQ、FABP4、およびRETNなど)が挙げられる。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、1個または複数の上記開示の抗原を結合するターゲティング部分を含む。
【0274】
いくつかの実施形態では、本発明の技術の多重特異的FAP結合物質は、T細胞上に発現されるチェックポイントマーカーに特異的に結合する抗原認識ドメインを有するターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、チェックポイントマーカーは、PD-1、CD28、CTLA4、ICOS、BTLA、KIR、LAG3、CD137、0X40、CD27、CD4OL、TIM3、およびA2aRから選択される1種または複数のチェックポイントマーカーである。
【0275】
いくつかの実施形態では、本発明の技術の多重特異的FAP結合物質は、チェックポイントマーカーに特異的に結合する抗原認識ドメインを有するターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、チェックポイントマーカーは、PD-1/PD-L1またはPD-L2、CD28/CD80またはCD86、CTLA4/CD80またはCD86、ICOS/ICOSLまたはB7RP1、BTLA/HVEM、KIR、LAG3、CD137/CD137L、0X40/0X4OL、CD27、CD4OL、TIM3/Ga19、およびA2aRから選択される1種または複数のチェックポイントマーカーである。
【0276】
限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本発明の多重特異的FAP結合物質は、(i)CD8;(ii)T細胞上に発現されるチェックポイントマーカー、例えば、PD-1、CD28、CTLA4、ICOS、BTLA、KIR、LAG3、CD137、0X40、Cd27、CD4OL、TIM3、およびA2aRの内の1種または複数に向けられたターゲティング部分を含み、および/または(iii)ターゲティング部分は、本明細書に記載のいずれかの改変(例えば、変異体)シグナル伝達物質に加えて、腫瘍細胞に向けられる。
【0277】
いくつかの実施形態では、本多重特異的FAP結合物質は、PD-1に向けられた1つまたは複数のターゲティング部分を有する。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、PD-1ポリペプチドを選択的に結合する1つまたは複数のターゲティング部分を有する。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、PD-1ポリペプチドを選択的に結合する、抗体、抗体誘導体もしくはフォーマット、ペプチドもしくはポリペプチド、または融合タンパク質の1種または複数を含む。
【0278】
いくつかの実施形態では、本発明の技術の多重特異的FAP結合物質は、少なくとも1つのPD-1のCDR1、PD-1のCDR2、および/またはPD-1のCDR3配列を含む可変ドメインを有するPD1に対するVHHを含む。
【0279】
いくつかの実施形態では、PD-1のCDR1配列は、配列番号481~配列番号494から選択される。
【0280】
いくつかの実施形態では、PD-1のCDR2配列は、配列番号495~配列番号508から選択される。
【0281】
いくつかの実施形態では、PD-1のCDR3配列は、配列番号509~配列番号521から選択される。
【0282】
種々の例示的実施形態では、PD1ターゲティング部分は、下記の配列から選択されるアミノ酸配列を含む:2PD23(配列番号522);または2PD26(配列番号523);または2PD90(配列番号524);または2PD-106(配列番号525);または2PD-16(配列番号526);または2PD71(配列番号527);または2PD-152(配列番号528);または2PD-12(配列番号529);または3PD55(配列番号530);または3PD82(配列番号531);または2PD8(配列番号532);または2PD27(配列番号533);または2PD82(配列番号534);または3PD36(配列番号535)。
【0283】
種々の例示的実施形態では、PD-1ターゲティング部分は、末端ヒスチジンタグ配列を含まない(すなわち、HHHHHH:配列番号43を含まない)上記配列のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含む。
【0284】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(別名MK-3475、キイトルーダ(登録商標))、またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、ペムブロリズマブ、ならびにHamid,et al.(2013)New England Journal of Medicine 369(2):134-44,US 8,354,509、および国際公開第2009/114335号に開示されるその他のヒト化抗PD-1抗体の内の1種または複数である。これらの全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するためのペムブロリズマブまたはその抗原結合フラグメントは、(配列番号536)のアミノ酸配列を含む重鎖および/または(配列番号537)のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0285】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、抗PD-1抗体、ニボルバム(別名BMS-936558、MDX-1106、ONO-4538、オプジーボ(登録商標))、またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、ニボルバム(クローン5C4)、ならびに米国特許第8,008,449号および国際公開第2006/121168号に開示されるPD-1に特異的に結合するその他のヒトモノクローナル抗体の内の1種または複数である。これらの特許の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するためのニボルバムまたはその抗原結合フラグメントは、(配列番号538)のアミノ酸配列を含む重鎖および/または(配列番号539)のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0286】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、抗PD-1抗体ピディリズマブ(別名CT-011、hBATまたはhBAT-1)、またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、ピディリズマブおよびその他のヒト化抗PD-Iモノクローナル抗体は、ピディリズマブ、ならびに米国特許出願公開第2008/0025980号および国際公開第2009/101611号に開示される他のヒト化抗PD-Iモノクローナル抗体から選択される。これらの特許の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するための抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは、米国特許出願公開第2008/0025980に開示の下記の配列:(配列番号540);(配列番号541);(配列番号542);および(配列番号543)から選択されるアミノ酸配列を含む1個もしくは複数の軽鎖可変領域、ならびに/または米国特許出願公開第2008/0025980に開示の下記の配列:(配列番号544);(配列番号545);(配列番号546);(配列番号547);および(配列番号548)から選択されるアミノ酸配列を含む1個の重鎖を含む。
【0287】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、(配列番号549)を含む軽鎖および(配列番号550)を含む重鎖を含む。
【0288】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、AMP-514(別名MEDI-0680)を含む。
【0289】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、PD-L2-Fc融合タンパク質AMP-224またはそのフラグメントを含み、これは国際公開第2010/027827号および同第2011/066342号に開示される。これらの特許の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、(配列番号551)および/または(配列番号552)を含むB7-DC融合タンパク質を含む。
【0290】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、ペプチドAUNP12または米国特許出願公開第2011/0318373号もしくは米国特許第8,907,053号に開示のいずれかの他のペプチドを含む。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、下記のAUNP12配列を含む:
SNTSESFK(SNTSESF)FRVTQLAPKAQIKE-NH(配列番号553)
【化1】
(すなわち、米国特許出願公開第2011/0318373号の化合物8)
【0291】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、米国特許出願公開第2014/0044738号に開示の抗PD-1抗体1E3またはそのフラグメントを含む。この特許の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するための1E3またはその抗原結合フラグメントは、(配列番号554)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または(配列番号555)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0292】
ある実施形態では、ターゲティング部分は、米国特許出願公開第2014/0044738号に開示の抗PD-1抗体1E8またはそのフラグメントを含む。この特許の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するための1E8またはその抗原結合フラグメントは、(配列番号556)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または(配列番号557)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0293】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、米国特許出願公開第2014/0044738号に開示の抗PD-1抗体1H3またはそのフラグメントを含む。この特許の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するための1H3またはその抗原結合フラグメントは、(配列番号558)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または(配列番号559)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0294】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、米国特許第8,907,065号および国際公開第2008/071447号に開示のPD-1に向けられたVHHを含む。これらの特許の全開示は参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、PD-1に対するVHHは、米国特許第8,907,065号に開示の下記の配列の内の1個または複数を含む:(配列番号560);(配列番号561);(配列番号562);(配列番号563);または(配列番号564)。
【0295】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、米国特許出願公開第2011/0271358号および国際公開第2010/036959号に開示の抗PD-1抗体またはそのフラグメントのいずれか1種を含み、これらの特許の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するための抗体またはその抗原結合フラグメントは、米国特許出願公開第2011/0271358号の中の下記の配列:(配列番号565);(配列番号566);(配列番号567);(配列番号568);もしくは(配列番号569)から選択される1個または複数のアミノ酸配列を含む重鎖、ならびに/または米国特許出願公開第2011/0271358号の中の下記の配列:(配列番号570);(配列番号571);(配列番号572);もしくは(配列番号573)から選択される1個または複数のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0296】
いくつかの実施形態では、本発明の多重特異的FAP結合物質は、TSR-042(Tesaro,Inc.)、REGN2810(Regeneron Pharmaceuticals,Inc.)、PDR001(Novartis Pharmaceuticals)、およびBGB-A317(BeiGene Ltd.)から選択されるPD-1に向けられた1種または複数の抗体、またはその抗体フラグメントを含む。
【0297】
いくつかの実施形態では、本発明の多重特異的FAP結合物質は、PD-L1に向けられた1つまたは複数のターゲティング部分を有する。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、PD-L1ポリペプチドに選択的に結合する1つまたは複数のターゲティング部分を有する。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、PD-L1ポリペプチドに選択的に結合する、抗体、抗体誘導体もしくはフォーマット、ペプチドもしくはポリペプチド、または融合タンパク質の1種または複数を含む。
【0298】
いくつかの実施形態では、本発明の技術の多重特異的FAP結合物質は、PD-L1 のCDR1、PD-L1のCDR2、および/またはPD-L1のCDR3配列の少なくとも1つを含む可変ドメインを有するPD-L1に対するVHHを含む。
【0299】
いくつかの実施形態では、PD-L1のCDR1配列は、配列番号574~配列番号604から選択される。
【0300】
いくつかの実施形態では、PD-L1のCDR2配列は、配列番号605~配列番号635から選択される。
【0301】
いくつかの実施形態では、PD-L1のCDR3配列は、配列番号636~配列番号666から選択される。
【0302】
いくつかの実施形態では、PD-L1ターゲティング部分は、下記の配列から選択されるアミノ酸配列を含む:2LIG2(配列番号667)または2LIG3(配列番号668)または2LIG16(配列番号669)または2LIG22(配列番号670)または2LIG27(配列番号671)または2LIG29(配列番号672)または2LIG30(配列番号673)または2LIG34(配列番号674)または2LIG35(配列番号675)または2LIG48(配列番号676)または2LIG65(配列番号677)または2LIG85(配列番号678)または2LIG86(配列番号679)または2LIG89(配列番号680)または2LIG97(配列番号681)または2LIG99(配列番号682)または2LIG109(配列番号683)または2LIG127(配列番号684)または2LIG139(配列番号685)または2LIG176(配列番号686)または2LIG189(配列番号687)または3LIG3(配列番号688)または3LIG7(配列番号689)または3LIG8(配列番号690)または3LIG9(配列番号691)または3LIG18(配列番号692)または3LIG20(配列番号693)または3LIG28(配列番号694)または3LIG29(配列番号695)または3LIG30(配列番号696)または3LIG33(配列番号697)。
【0303】
いくつかの実施形態では、PD-L1ターゲティング部分は、末端ヒスチジンタグ配列(すなわち、HHHHHH:配列番号43)を含まない上記配列のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を含む。
【0304】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、抗PD-L1抗体MED14736(別名デュルバルマブ)、またはそのフラグメントを含む。MED14736は、PD-L1に対し選択的であり、PD-L1のPD-1およびCD80受容体に対する結合を阻止する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するためのMED14736およびその抗原結合フラグメントは、重鎖および軽鎖または重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。MED14736の配列は、国際公開第2016/06272号に開示され、この特許の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するためのMED14736またはその抗原結合フラグメントは、(配列番号698)のアミノ酸配列を含む重鎖および/または(配列番号699)のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0305】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するためのMED14736またはその抗原結合フラグメントは、アミノ酸配列:(配列番号885)を含む重鎖可変領域;および/またはアミノ酸配列;(配列番号886)を含む軽鎖可変領域を含む。
【0306】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、抗PD-L1抗体アテゾリズマブ(別名MPDL3280A、RG7446)、またはそのフラグメントを含む。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するためのアテゾリズマブまたはその抗原結合フラグメントは、(配列番号887)のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または(配列番号888)のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0307】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、抗PD-L1抗体アベルマブ(別名MSB0010718C)、またはそのフラグメントを含む。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するためのアベルマブまたはその抗原結合フラグメントは、(配列番号889)のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または(配列番号890)のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0308】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、米国特許出願公開第2013/0309250号および国際公開第2007/005874号に開示の抗PD-L1抗体BMS-936559(別名12A4、MDX-1105)、またはそのフラグメントを含む。これら特許の全開示は参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するためのBMS-936559またはその抗原結合フラグメントは、(配列番号891)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または(配列番号892)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0309】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、米国特許出願公開第2013/0309250号および国際公開第2007/005874号に開示の抗PD-L1抗体3G10、またはそのフラグメントを含む。これら特許の全開示は参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法での使用のための3G10またはその抗原結合フラグメントは、(配列番号893)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または(配列番号894)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0310】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、米国特許出願公開第2013/0309250号および国際公開第2007/005874号に開示の抗PD-L1抗体10A5、またはそのフラグメントを含む。これら特許の全開示は参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するための10A5またはその抗原結合フラグメントは、(配列番号895)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または(配列番号896)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0311】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、米国特許出願公開第2013/0309250号および国際公開第2007/005874号に開示の抗PD-L1抗体5F8、またはそのフラグメントを含む。これら特許の全開示は参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するための5F8またはその抗原結合フラグメントは、(配列番号897)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または(配列番号898)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0312】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、米国特許出願公開第2013/0309250号および国際公開第2007/005874号に開示の抗PD-L1抗体10H10、またはそのフラグメントを含む。これら特許の全開示は参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するための10H10またはその抗原結合フラグメントは、(配列番号899)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または(配列番号900)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0313】
いくつかの実施形態では、米国特許出願公開第2013/0309250号および国際公開第2007/005874号に開示のターゲティング部分は、抗PD-L1抗体1B12、またはそのフラグメントを含む。これら特許の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するための1B12またはその抗原結合フラグメントは、(配列番号901)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または(配列番号902)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0314】
いくつかの実施形態では、米国特許出願公開第2013/0309250号および国際公開第2007/005874号に開示のターゲティング部分は、抗PD-L1抗体7H1、またはそのフラグメントを含む。これら特許の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法での使用のための7H1またはその抗原結合フラグメントは、(配列番号903)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または(配列番号904)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0315】
いくつかの実施形態では、米国特許出願公開第2013/0309250号および国際公開第2007/005874号に開示のターゲティング部分は、抗PD-L1抗体11E6、またはそのフラグメントを含む。これら特許の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するための11E6またはその抗原結合フラグメントは、(配列番号905)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または(配列番号906)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0316】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、米国特許出願公開第2013/0309250号および国際公開第2007/005874号に開示の抗PD-L1抗体12B7、またはそのフラグメントを含む。これら特許の全開示は参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するための12B7またはその抗原結合フラグメントは、(配列番号907)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または(配列番号908)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0317】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、米国特許出願公開第2013/0309250号および国際公開第2007/005874号に開示の抗PD-L1抗体13G4、またはそのフラグメントを含む。これら特許の全開示は参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するための13G4またはその抗原結合フラグメントは、(配列番号909)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または(配列番号910)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0318】
いくつかの実施形態では、米国特許出願公開第2014/0044738号に開示のターゲティング部分は、抗PD-L1抗体1E12またはそのフラグメントを含む。この特許の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するための1E12またはその抗原結合フラグメントは、(配列番号911)アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または(配列番号912)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0319】
いくつかの実施形態では、米国特許出願公開第2014/0044738号に開示のターゲティング部分は、抗PD-L1抗体1F4またはそのフラグメントを含む。この特許の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するための1F4またはその抗原結合フラグメントは、(配列番号913)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または(配列番号914)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0320】
いくつかの実施形態では、米国特許出願公開第2014/0044738号に開示のターゲティング部分は、抗PD-L1抗体2G11またはそのフラグメントを含む。この特許の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するための2G11またはその抗原結合フラグメントは、(配列番号700)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または(配列番号701)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0321】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、米国特許出願公開第2014/0044738号に開示の抗PD-L1抗体3B6、またはそのフラグメントを含む。この特許の全開示は参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するための3B6またはその抗原結合フラグメントは、(配列番号702)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または(配列番号703)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0322】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、米国特許出願公開第2014/0044738号および国際公開第2012/145493号に開示の抗PD-L1抗体3D10、またはそのフラグメントを含む。これらの特許の全開示は参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するための3D10またはその抗原結合フラグメントは、(配列番号704)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または(配列番号705)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0323】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、米国特許出願公開第2011/0271358号および国際公開第2010/036959号に開示のいずれか1種の抗PD-L1抗体を含む。これらの特許の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するための抗体またはその抗原結合フラグメントは、米国特許出願公開第2011/0271358号の下記の配列:(配列番号706);(配列番号707);(配列番号708);(配列番号709);もしくは(配列番号710)から選択される1個もしくは複数のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または米国特許出願公開第2011/0271358号の下記の配列:(配列番号711);(配列番号712);(配列番号713);もしくは(配列番号714)から選択される1個もしくは複数のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0324】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、国際公開第2011/066389号、米国特許第8,779,108号、および米国特許出願公開第2014/0356353号に開示の抗PD-L1抗体2.7A4またはそのフラグメントを含む。これらの特許の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するための2.7A4またはその抗原結合フラグメントは、(配列番号715)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または(配列番号716)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0325】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、国際公開第2011/066389号、米国特許第8,779,108号、および米国特許出願公開第2014/0356353号に開示の抗PD-L1抗体2.9D10またはそのフラグメントを含む。これらの特許の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するための2.9D10またはその抗原結合フラグメントは、(配列番号717)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または(配列番号718)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0326】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、国際公開第2011/066389号、米国特許第8,779,108号、および米国特許出願公開第2014/0356353号に開示の抗PD-L1抗体2.14H9またはそのフラグメントを含む。これらの特許の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するための2.14H9またはその抗原結合フラグメントは、(配列番号719)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または(配列番号720)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0327】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、国際公開第2011/066389号、米国特許第8,779,108号、および米国特許出願公開第2014/0356353号に開示の抗PD-L1抗体2.20A8またはそのフラグメントを含む。これらの特許の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するための2.20A8またはその抗原結合フラグメントは、(配列番号721)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または(配列番号722)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0328】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、国際公開第2011/066389号、米国特許第8,779,108号、および米国特許出願公開第2014/0356353号に開示の抗PD-L1抗体3.15G8またはそのフラグメントを含む。これらの特許の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するための3.15G8またはその抗原結合フラグメントは、(配列番号723)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または(配列番号724)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0329】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、国際公開第2011/066389号、米国特許第8,779,108号、および米国特許出願公開第2014/0356353号に開示の抗PD-L1抗体3.18G1またはそのフラグメントを含む。これらの特許の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するための3.18G1またはその抗原結合フラグメントは、(配列番号725)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または(配列番号726)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0330】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、国際公開第2011/066389号、米国特許第8,779,108号、および米国特許出願公開第2014/0356353号に開示の抗PD-L1抗体2.7A4OPTまたはそのフラグメントを含む。これらの特許の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するための2.7A4OPTまたはその抗原結合フラグメントは、(配列番号727)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または(配列番号728)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0331】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、国際公開第2011/066389号、米国特許第8,779,108号、および米国特許出願公開第2014/0356353号に開示のとおり、抗PD-L1抗体2.14H90PTまたはそのフラグメントを含む。これらの特許の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するための2.14H90PTまたはその抗原結合フラグメントは、(配列番号729)のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および/または(配列番号730)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0332】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、国際公開第2016/061142号に開示されるいずれか1種の抗PD-L1抗体を含む。この特許の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するための抗体またはその抗原結合フラグメントは、国際公開第2016/061142号の下記の配列:(配列番号731);(配列番号732);(配列番号733);(配列番号734);(配列番号735);(配列番号736);(配列番号737);(配列番号738);もしくは(配列番号739)から選択される1個もしくは複数のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または国際公開第2016/061142号の下記の配列:(配列番号740);(配列番号741);(配列番号742);(配列番号743);(配列番号744);(配列番号745);(配列番号746);(配列番号747);もしくは(配列番号748)から選択される1個もしくは複数のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0333】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、国際公開第2016/022630号に開示されるいずれか1種の抗PD-L1抗体を含む。この特許の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するための抗体またはその抗原結合フラグメントは、国際公開第2016/022630号の下記の配列:(配列番号749);(配列番号750);(配列番号751);(配列番号752);(配列番号753);(配列番号754);(配列番号755);(配列番号756);(配列番号757);(配列番号758);(配列番号759);(配列番号760)から選択される1個もしくは複数のアミノ酸配列を含む重鎖;ならびに/または国際公開第2016/022630号の下記の配列:(配列番号761);(配列番号762);(配列番号763);(配列番号764);(配列番号765);(配列番号766);(配列番号767);(配列番号768);(配列番号769);(配列番号770);(配列番号771);および(配列番号772)から選択される1個もしくは複数のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0334】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、国際公開第2015/112900号に開示されるいずれか1種の抗PD-L1抗体を含む。この特許の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するための抗体またはその抗原結合フラグメントは、国際公開第2015/112900号の下記の配列:(配列番号773);(配列番号774);(配列番号775);もしくは(配列番号776)から選択される1個もしくは複数のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または国際公開第2015/112900号の下記の配列:(配列番号777);(配列番号778);(配列番号779);(配列番号780);(配列番号781);(配列番号782);(配列番号783);(配列番号784);もしくは(配列番号785)から選択される1個もしくは複数のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0335】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、国際公開第2010/077634号および米国特許第8,217,149号に開示されるいずれか1種の抗PD-L1抗体を含む。これらの特許の全開示は参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するための抗PD-L1またはその抗原結合フラグメントは、(配列番号786)のアミノ酸配列を含む重鎖領域;および/または(配列番号787)のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0336】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、米国特許出願公開第20120039906号に開示のCNCM受託番号CNCM 1-4122、CNCM 1-4080およびCNCM 1-4081により入手可能なハイブリドーマから得ることができるいずれか1種の抗PD-L1抗体を含む。これらの特許の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0337】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、米国特許第8,907,065号および国際公開第2008/071447号に開示のPD-L1抗体に向けられたVHHを含む。これらの特許の全開示は参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、PD-L1に対するVHHは、米国特許第8,907,065号の下記の配列:(配列番号788);(配列番号789);(配列番号790);(配列番号791);(配列番号792);および(配列番号793)の1個または複数を含む。
【0338】
いくつかの実施形態では、本多重特異的FAP結合物質は、PD-L2に向けられた1つまたは複数のターゲティング部分を有する。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、PD-L2ポリペプチドに選択的に結合する1つまたは複数のターゲティング部分を有する。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、PD-L2ポリペプチドを選択的に結合する、抗体、抗体誘導体もしくはフォーマット、ペプチドもしくはポリペプチド、または融合タンパク質の1種または複数を含む。
【0339】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、米国特許第8,907,065号および国際公開第2008/071447号に開示のPD-L2に向けられたVHHを含む。これらの特許の全開示は参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、PD-1に対するVHHは、米国特許第8,907,065号の下記の配列:(配列番号794);(配列番号795);(配列番号796);(配列番号797);(配列番号798);(配列番号799);および(配列番号800)の1個または複数を含む。
【0340】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、米国特許出願公開第2011/0271358号および国際公開第2010/036959号に開示のいずれか1種の抗PD-L2抗体を含む。これらの特許の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法で使用するための抗体またはその抗原結合フラグメントは、米国特許出願公開第2011/0271358号の下記の配列:(配列番号801);(配列番号802);(配列番号803);(配列番号804);もしくは(配列番号805)から選択される1個もしくは複数のアミノ酸配列を含む重鎖;および/または米国特許出願公開第2011/0271358号の下記の配列:(配列番号806);(配列番号807);(配列番号808);もしくは(配列番号809)から選択される1個もしくは複数のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0341】
いくつかの実施形態では、本発明の技術のターゲティング部分は、本明細書で開示の配列のいずれかに少なくとも約60%、少なくとも約61%、少なくとも約62%、少なくとも約63%、少なくとも約64%、少なくとも約65%、少なくとも約66%、少なくとも約67%、少なくとも約68%、少なくとも約69%、少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%同一(例えば、本明細書で開示の配列のいずれかと約60%、または約61%、または約62%、または約63%、または約64%、または約65%、または約66%、または約67%、または約68%、または約69%、または約70%、または約71%、または約72%、または約73%、または約74%、または約75%、または約76%、または約77%、または約78%、または約79%、または約80%、または約81%、または約82%、または約83%、または約84%、または約85%、または約86%、または約87%、または約88%、または約89%、または約90%、または約91%、または約92%、または約93%、または約94%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、約99%または約100%の配列同一性)である、PD-1、PD-L1、および/またはPD-L2を標的とする配列を含み得る。
【0342】
いくつかの実施形態では、本発明の技術のターゲティング部分は、本明細書で開示のPD-1、PD-L1、および/またはPD-L2を標的とする重鎖、軽鎖、重鎖可変領域、軽鎖可変領域、相補性決定領域(CDR)、およびフレームワーク領域配列のいずれの組み合わせを含み得る。
【0343】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、国際公開第2011/066389号、米国特許出願公開第2008/0025980号、米国特許出願公開第2013/0034559号、米国特許第8,779,108号、米国特許出願公開第2014/0356353号、米国特許第8,609,089号、米国特許出願公開第2010/028330号、米国特許出願公開第2012/0114649号、国際公開第2010/027827号、国際公開第2011/066342号、米国特許第8,907,065号、国際公開第2016/062722号、国際公開第2009/101611号、国際公開第2010/027827号、国際公開第2011/066342号、国際公開第2007/005874号、国際公開第2001/014556号、米国特許出願公開第2011/0271358号、国際公開第2010/036959号、国際公開第2010/077634号、米国特許第8,217,149号、米国特許出願公開第2012/0039906号、国際公開第2012/145493号、米国特許出願公開第2011/0318373号、米国特許第8,779,108号、米国特許出願公開第2014/0044738号、国際公開第2009/089149号、国際公開第2007/00587号、国際公開第2016/061142号、国際公開第2016/02263号、国際公開第2010/077634号、および国際公開第2015/112900号で開示されたPD-1、PD-L1および/またはPD-L2を選択的に結合するまたは標的にする1種または複数の抗体、抗体誘導体もしくはフォーマット、ペプチドもしくはポリペプチドまたは融合タンパク質である。これらの特許の全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0344】
いくつかの実施形態では、本発明の技術の多重特異的FAP結合物質は、例えば樹状細胞上の、XCR1に特異的に結合する抗原認識ドメインを有するターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、本発明の技術の多重特異的FAP結合物質は、XCL1の全てまたは一部を含む抗原認識ドメインを有するターゲティング部分を含む。
【0345】
いくつかの実施形態では、多重特異的FAP結合物質は、非細胞構造の一部である標的(例えば、抗原、受容体)に特異的に結合する認識ドメインを有するターゲティング部分を有する。いくつかの実施形態では、抗原または受容体は、無傷の細胞または細胞構造の不可欠な構成要素ではない。いくつかの実施形態では、抗原または受容体は、細胞外の抗原または受容体である。いくつかの実施形態では、標的は、非タンパク質性の非細胞マーカーであり、これらは、限定されないが、例えば、壊死腫瘍細胞から放出されたDNA、などのDNAまたはRNAを含む、核酸またはコレステロールなどの細胞外沈着物を含む。
【0346】
いくつかの実施形態では、目的の標的(例えば、抗原、受容体)は、ストローマもしくは細胞外マトリックス(ECM)の非細胞成分またはそれと関連するマーカーの一部である。本明細書で使用される場合、ストローマは、組織または器官の連結および支持フレームワークを指す。ストローマは、細胞外マトリックス(ECM)および細胞外分子と共に線維芽細胞/筋線維芽細胞/膠細胞、上皮、脂肪、免疫、血管、平滑筋、および免疫細胞などの細胞の寄せ集めを含み得る。いくつかの実施形態では、目的の標的(例えば、抗原、受容体)は、細胞外マトリックスおよび細胞外分子などのストローマの非細胞成分の一部である。本明細書で使用される場合、ECMは、全ての組織および器官内に存在する非細胞成分を指す。ECMは、限定されないが、タンパク質、糖タンパク質、プロテオグリカン、および多糖類を含む生化学的に別々の成分の多数の集まりからなる。これらのECM成分は通常、隣接する細胞により産生され、エキソサイトーシスによりECM中に分泌される。分泌されると、ECM成分は多くの場合、集合して、巨大分子の複合体ネットワークを形成する。いくつかの実施形態では、本発明の技術のキメラタンパク質は、ECMの任意の成分上に位置する標的(例えば、抗原または受容体または非タンパク質分子)を認識するターゲティング部分を含む。ECMの成分の例としては、限定されないが、プロテオグリカン、非プロテオグリカン多糖類、繊維および他のECMタンパク質またはECM非タンパク質、例えば、多糖類および/または脂質、またはECM関連分子(例えば、タンパク質または非タンパク質、例えば、多糖類、核酸および/または脂質)が挙げられる。
【0347】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、ECMプロテオグリカン上の標的(例えば、抗原、受容体)を認識する。プロテオグリカンはグリコシル化タンパク質である。塩基性プロテオグリカン単位は、1つまたは複数の共有結合グリコサミノグリカン(GAG)鎖を有するコアタンパク質を含む。プロテオグリカンは、正電荷のナトリウムイオン(Na+)を引き付ける正味負電荷を有し、これは、浸透を介して水を引き付け、ECMおよび常在性細胞を水和した状態に保持する。プロテオグリカンはまた、成長因子を捕捉し、ECM内に貯蔵し得る。本発明の技術のキメラタンパク質により標的とされ得るプロテオグリカンの例としては、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、およびケラタン硫酸が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、ターゲティング部分は、ヒアルロン酸などの非プロテオグリカン多糖類上の標的(例えば、抗原、受容体)を認識する。
【0348】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、ECM繊維上の標的(例えば、抗原、受容体)を認識する。ECM繊維は、コラーゲン繊維およびエラスチン繊維を含む。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、コラーゲンまたはコラーゲン繊維上の1個または複数のエピトープを認識する。コラーゲンは、ECM中で最も豊富なタンパク質である。コラーゲンはECM中に線維性タンパク質として存在し、常在性細胞に対し構造支持を与える。1つまたは複数の実施形態では、ターゲティング部分は、限定されないが、線維性コラーゲン(I、II、III、V、XI型)、FACITコラーゲン(IX、XII、XIV型)、短鎖コラーゲン(VIII、X型)、基底膜コラーゲン(IV型)、および/またはVI、VII、またはXIII型コラーゲンを含む、ECM内に存在する様々な種類のコラーゲンを認識し、これに結合する。エラスチン繊維は、組織に弾性を与え、組織が必要に応じ伸縮し、その後、元の状態に戻ることを可能にする。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、エラスチンまたはエラスチン繊維上の1個または複数のエピトープを認識する。
【0349】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、限定されないが、テネイシン、フィブロネクチン、フィブリン、ラミニン、またはナイドジェン/エンタクチンを含む、1種または複数のECMタンパク質を認識する。
【0350】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、テネイシンを認識し、これに結合する。テネイシン(TN)ファミリーの糖タンパク質は、少なくとも4種のメンバー:テネイシン-C、テネイシン-R、テネイシン-X、およびテネイシン-Wを含む。テネイシンタンパク質の一次構造は、同じ連続配列中に順序づけられたいくつかの共通のモチーフ:アミノ末端7個の反復、上皮増殖因子(EGF)様反復、フィブロネクチンIII型ドメイン反復、およびカルボキシル末端フィブリノーゲン様球状ドメインを含む。それぞれのタンパク質メンバーは、EGF様およびフィブロネクチンIII型反復の数および性質における典型的な変動に関連付けられる。アイソフォームバリアントもまた、特にテネイシン-Cに関連して存在する。27種を超えるテネイシン-Cのスプライスバリアントおよび/またはアイソフォームが知られている。特定の実施形態では、ターゲティング部分は、テネイシン-CA1を認識し、これに結合する。同様に、テネイシン-Rはまた、種々のスプライスバリアントおよびアイソフォームを有する。テネイシン-Rは通常、ダイマーまたはトリマーとして存在する。テネイシン-Xは、テネイシンファミリーの最大メンバーであり、トリマーとして存在することが知られている。テネイシン-Wは、トリマーとして存在する。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、テネイシンタンパク質上の1個または複数のエピトープを認識する。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、モノマーおよび/またはダイマーおよび/またはトリマーおよび/またはヘキサマー型のテネイシンタンパク質を認識する。
【0351】
ある実施形態では、ターゲティング部分は、フィブロネクチンを認識し、これに結合する。フィブロネクチンは、細胞をECM中のコラーゲン繊維と連結し、細胞がECM中を移動することを可能にする糖タンパク質である。インテグリンに結合時には、フィブロネクチンは折り畳みをほどいて機能的ダイマーを形成する。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、モノマーおよび/またはダイマー型のフィブロネクチンを認識する。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、フィブロネクチン上の1個または複数のエピトープを認識する。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、フィブロネクチン細胞外ドメインA(EDA)またはフィブロネクチン細胞外ドメインB(EDB)を認識する。EDAレベルの上昇は、乾癬、関節リウマチ、糖尿病、および癌を含む種々の疾患および障害に関連する。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、EDAアイソフォームを含むフィブロネクチンを認識し、キメラタンパク質を癌細胞を含む疾患細胞に向けるのに使用し得る。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、EDBアイソフォームを含むフィブロネクチンを認識する。いくつかの実施形態では、このようなターゲティング部分は、キメラタンパク質を腫瘍新生血管を含む腫瘍細胞に向けるのに使用し得る。
【0352】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、フィブリンを認識し、これに結合する。フィブリンは、ECMのマトリックスネットワーク中に見つかることが多い、もう1つのタンパク質物質である。フィブリンは、フィブリノーゲンに対するプロテアーゼトロンビンの作用により形成され、これにより、フィブリンを重合させる。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、フィブリン上の1個または複数のエピトープを認識する。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、モノマーならびに重合型のフィブリンを認識する。
【0353】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、ラミニンを認識し、これに結合する。ラミニンは、基底膜の主要成分であり、細胞および器官のためのタンパク質ネットワーク基盤である。ラミニンは、a鎖、3鎖、およびγ鎖を含むヘテロトリマータンパク質である。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、ラミニン上の1個または複数のエピトープを認識する。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、モノマー、ダイマーならびにトリマー型のラミニンを認識する。
【0354】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、ナイドジェンまたはエンタクチンを認識し、これらに結合する。ナイドジェン/エンタクチンは、高度に保存された硫酸化糖タンパク質ファミリーである。それらは基底膜の主要構造的成分をなし、ラミニンと、基底膜中のコラーゲンIVネットワークを連結するように機能する。このファミリーのメンバーは、ナイドジェン-1およびナイドジェン-2を含む。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、ナイドジェン-1および/またはナイドジェン-2上のエピトープを認識する。
【0355】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、本明細書に記載のいずれかの標的(例えば、ECMタンパク質)上に存在するエピトープを認識する抗原認識ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗原認識ドメインは、タンパク質上に存在する1個または複数の線形エピトープを認識する。本明細書で使用される場合、線形エピトープは、タンパク質上に存在するアミノ酸の任意の連続配列を指す。別の実施形態では、抗原認識ドメインは、タンパク質上に存在する1個または複数の立体構造エピトープを認識する。本明細書で使用される場合、立体構造エピトープは、抗原認識ドメインにより認識され得る特徴および/または形状および/または三次構造を備えた3次元表面を形成する1個または複数のアミノ酸の部分(これは不連続であってよい)を指す。
【0356】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、本明細書に記載のいずれかの標的(例えば、ECMタンパク質)の完全長型および/または成熟型および/またはアイソフォームおよび/またはスプライスバリアントおよび/またはフラグメントおよび/または任意の他の天然または合成の類似体、バリアント、または変異体に結合する。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、モノマー、ダイマー、トリマー、テトラマー、ヘテロダイマー、マルチマーおよび会合型を含む、本明細書に記載の任意の型のタンパク質に結合し得る。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、グリコシル化および/またはリン酸化型などの、本明細書に記載の任意の翻訳後修飾型のタンパク質に結合し得る。
【0357】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、DNAなどの細胞外分子を認識する抗原認識ドメインを含む。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、DNAを認識する抗原認識ドメインを含む。いくつかの実施形態では、DNAは、壊死細胞またはアポトーシス腫瘍細胞または他の疾患細胞から細胞外間隙中に脱落する。
【0358】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、アテローム斑と関連する1種または複数の非細胞構造を認識する抗原認識ドメインを含む。2つのタイプのアテローム斑が知られている。線維-脂質(線維-脂肪)斑(fibro-lipid(fibro-fatty)plaque)は、動脈の内膜の下の脂質を取り込んだ(lipid-laden)細胞の蓄積を特徴とする。内皮の下には、アテローム性のプラークコアを覆う繊維状キャップが存在する。コアは、増大した組織コレステロールおよびコレステロールエステル含量を有する脂質を取り込んだ細胞(マクロファージおよび平滑筋細胞)、フィブリン、プロテオグリカン、コラーゲン、エラスチン、ならびに壊死細胞片を含む。進行型プラークでは、プラークの中心コアは通常、細胞外のコレステロール沈着物(死細胞から放出)を含み、これは、空の針状間隙を有するコレステロール結晶の領域を形成する。プラークの周辺部には、より若い泡沫状細胞および毛細血管がある。繊維状プラークはまた、動脈壁内の内膜下にも局在し、壁の肥厚化および増殖、および時には、筋層の若干の萎縮を伴う内腔の飛び飛びに局在化した狭小化をもたらす。繊維状プラークは、コラーゲン繊維(エオシン好性)、カルシウムの沈殿物(ヘマトキシリン好性)および脂質を取り込んだ細胞を含む。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、フィブリン、プロテオグリカン、コラーゲン、エラスチン、壊死細胞片、およびカルシウムまたは他の鉱物沈着物または沈殿物などのこれらのプラークの1種または複数の非細胞成分を認識し、これに結合する。いくつかの実施形態では、壊死細胞片は、核酸、例えば、死細胞から放出される DNAまたはRNAである。
【0359】
いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、神経変性疾患と関連する脳プラーク中で見つかる1種または複数の非細胞構造を認識する抗原認識ドメインを含む。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、アルツハイマー病の患者の脳中で見つかるアミロイド斑中に局在する1種または複数の非細胞構造を認識し、これに結合する。例えば、ターゲティング部分は、ペプチドアミロイドベータを認識し、これに結合する。ペプチドアミロイドベータは、アミロイド斑の主要な成分である。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、ハンチントン病の患者で見つかる脳プラーク中にある1種または複数の非細胞構造を認識し、これに結合する。いくつかの実施形態では、ターゲティング部分は、レヴィー小体認知症および封入体筋炎などの他の神経変性疾患または筋骨格疾病と関連するプラークで見つかる1種または複数の非細胞構造を認識し、これに結合する。
【0360】
リンカーおよび官能基
いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、1つまたは複数の官能基、残基、または部分を含み得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の官能基、残基、または部分は、本明細書に記載のいずれかのシグナル伝達物質またはターゲティング部分に結合されるか、または遺伝的に融合される。いくつかの実施形態では、このような官能基、残基または部分は、本発明の技術のFAP結合物質に1つまたは複数の望ましい特性または官能基を付与する。このような官能基およびそれらをFAP結合物質に導入する技術の例は、当技術分野において、既知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th ed.,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.(1980)を参照されたい。
【0361】
いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、別の物質と複合化および/または融合されて、半減期を延長するか、または別の方法で薬力学的および薬物動態学的特性を改善し得る。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、PEG、XTEN(例えば、rPEGとして)、ポリシアル酸(POLYXEN)、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミンまたはHAS)、エラスチン様タンパク質(ELP)、PAS、HAP、GLK、CTP、トランスフェリンなどの1種または複数と融合または複合化され得る。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、抗体またはFcフラグメントなどの抗体フラグメントと融合または複合化され得る。例えば、キメラタンパク質は、ヒト免疫グロブリン(Ig)GのFcドメインのN-末端またはC末端に融合され得る。いくつかの実施形態では、それぞれ個々のキメラタンパク質は、BioDrugs(2015)29:215-239に記載の1種または複数の物質に融合され、この文献の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0362】
いくつかの実施形態では、官能基、残基、または部分は、好適な薬学的に許容可能なポリマー、例えばポリ(エチレングリコール)(PEG)またはその誘導体(例えば、メトキシポリ(エチレングリコール)またはmPEG)を含む。いくつかの実施形態では、PEG部分の結合は、半減期を延長し、および/またはFAP結合タンパク質の免疫原性を低減する。例えば、抗体および抗体フラグメント(限定されないが、VHHなどの単一ドメイン抗体を含む)に対し当該技術分野で用いられるペグ化などの任意の好適な形態のペグ化が通常用いられる;例えば、Chapman,Nat.Biotechnol.,54,531-545(2002);VeroneseおよびHarrisによる、Adv.Drug Deliv.Rev.54,453-456(2003),HarrisおよびChessによる、Nat.Rev.Drug.Discov.,2,(2003)ならびに国際公開第004/060965号を参照されたい。これらの文献の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。タンパク質のペグ化のための種々の試薬も、例えば、Nektar Therapeutics,USAから市販されている。いくつかの実施形態では、特に、システイン残基を介した部位特異的なペグ化が使用される(例えば、Yang et al.,Protein Engineering,16,10,761-770(2003)を参照されたい、この文献の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる)。例えば、このために、PEGは、本発明の技術のFAP結合物質中の天然のシステイン残基に結合され得る。いくつかの実施形態では、本発明の技術のFAP結合物質は、PEGの結合のための1個または複数のシステイン残基を適切に導入するように修飾されるか、またはPEGの結合のための1個または複数のシステイン残基を含むアミノ酸配列が、当該技術分野において、既知の技術を使用してFAP結合物質のアミノ末端および/またはカルボキシ末端に融合され得る。
【0363】
いくつかの実施形態では、官能基、残基、または部分は、N結合型またはO結合型グリコシル化を含む。いくつかの実施形態では、N結合型またはO結合型グリコシル化は、翻訳時修飾および/または翻訳後修飾の一部として導入される。
【0364】
いくつかの実施形態では、官能基、残基、または部分は、1つまたは複数の検出可能なラベルまたはその他のシグナル生成基または部分を含む。好適なラベルおよびそれらの結合、使用および検出のための技術は、当技術分野において既知であり、限定されないが、蛍光標識(例えば、フルオレセイン、イソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルアルデヒド、ならびにフルオレサミンおよび蛍光金属、例えば、Euまたはランタニド系列の他の金属)、リン光標識、化学発光ラベルまたは生物発光ラベル(例えば、ルミノール、イソルミノール、セロマティックアクリジニウム・エステル、イミダゾール、アクリジニウム塩、オキサレートエステル、ジオキセタンまたはGFPおよびその類似体)、放射性同位体、金属、金属キレートもしくは金属カチオンまたはin vivo、in vitroまたはインサイツ診断および画像処理での使用に特に適しているその他の金属もしくは金属カチオン、ならびに発色団および酵素(例えば、リンゴ酸脱水素酵素、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、デルタ-V-ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコール脱水素酵素、アルファグリセロリン酸脱水素酵素、トリオースリン酸イソメラーゼ、ビオチンアビジンペルオキシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、ベータガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース-VI-リン酸脱水素酵素、グルコアミラーゼおよびアセチルコリンエステラーゼ)を含む。他の好適なラベルとしては、NMRまたはESR分光法を用いて検出できる部分が挙げられる。このように標識した本発明の技術のVHHおよびポリペプチドは、特定の標識の選択により、例えば、in vitro、in vivoまたはインサイツアッセイ(これ自体ELISA、RIAおよびEIAおよびその他の「サンドイッチ法」などとして知られるイムノアッセイ)ならびにin vivo診断および画像処理の目的に使用し得る。
【0365】
いくつかの実施形態では、官能基、残基、または部分は、FAP結合物質に結合または遺伝的に融合されるタグを含む。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、単一タグまたは複数タグを含み得る。タグは例えば、FAPまたは腫瘍抗原などの目的のいずれか他の抗原へのFAP結合物質の結合を阻害または妨害しない、ペプチド、糖、またはDNA分子である。いくつかの実施形態では、タグは、少なくとも約:3~5個のアミノ酸長、5~8個のアミノ酸長、8~12個のアミノ酸長、12~15個のアミノ酸長、または15~20個のアミノ酸長である。タグの例は、例えば、米国特許出願公開第2013/0058962号に記載されている。いくつかの実施形態では、タグは、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)およびヒスチジン(His)タグなどの親和性タグである。ある実施形態では、FAP結合物質はHisタグを含む。
【0366】
いくつかの実施形態では、官能基、残基、または部分は、例えば、1種の金属または金属カチオンをキレートするためのキレート化基を含む。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、キレート化基は、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)である。
【0367】
いくつかの実施形態では、官能基、残基、または部分は、ビオチン-(ストレプト)アビジン結合対などの、特異的結合対の片方の部分である官能基を含む。このような官能基を使って、本発明の技術のFAP結合物質を、結合対のもう一方の半分に結合される別のタンパク質、ポリペプチドまたは化学化合物に、すなわち、結合対の形成を介して、連結し得る。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の技術のFAP結合物質をビオチンに複合化し、アビジンまたはストレプトアビジンに複合化された別のタンパク質、ポリペプチド、化合物または担体に結合し得る。例えば、検出可能なシグナル生成物質がアビジンまたはストレプトアビジンに複合化される診断システムにおいて、このような結合FAP結合物質を、例えば、レポーターとして用い得る。このような結合対を、例えば、医薬品目的に好適する担体を含む、担体へFAP結合物質を結合するのにも使用し得る。1つの非限定的例は、Cao and Suresh,Journal of Drug Targeting,8,4,257(2000)に記載されたリポソーム製剤である。このような結合対を、本発明の技術のFAP結合物質に治療活性薬剤を連結するのにも使用し得る。
【0368】
いくつかの実施形態では、本発明のFAP結合物質は、必要に応じ、1個または複数のリンカーを含む。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、それぞれの結合領域および/またはターゲティング部分を連結するリンカーを含む。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、シグナル伝達物質およびターゲティング部分をそれぞれ連結する(または2つ以上のターゲティング部分の場合、シグナル伝達物質をターゲティング部分の1つに連結する)リンカーを含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、本明細書に記載の種々の官能基、残基、または部分をFAP結合物質に連結するのに利用し得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、結合領域および結合タンパク質の安定性、配向、結合、中和、および/または排出特性に影響を与えない、またはそれらを低下させない単一アミノ酸または複数のアミノ酸である。いくつかの実施形態では、リンカーは、ペプチド、タンパク質、糖、または核酸から選択される。
【0369】
いくつかの実施形態では、本発明のFAP結合物質は、ターゲティング部分とシグナル伝達物質とを連結するリンカーを含む。いくつかの実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、シグナル伝達物質内にリンカーを含む(例えば、単鎖TNFの場合には、トリマーを生じる2つのリンカーを含み得る)。
【0370】
本発明の技術は、種々のリンカー配列の使用を意図する。いくつかの実施形態では、リンカーは、天然のマルチドメインタンパク質から誘導され得るか、または、例えば、Chichili et al.,(2013),Protein Sci.22(2):153-167;Chen et al.,(2013),Adv Drug Deliv Rev.65(10):1357-1369に記載されている経験的リンカーである。これらの文献の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、リンカーは、リンカー設計データベースおよびChen et al.,(2013),Adv Drug Deliv Rev.65(10):1357-1369 and Crasto et al.,(2000),Protein Eng.13(5):309-312に記載のものなどのコンピュータープログラムを用いて設計し得る。いくつかの実施形態では、リンカーは機能性であり得る。例えば、限定されないが、リンカーは、折り畳みおよび/または安定性を改善するように、発現を改善するように、薬物動態学を改善するように、および/または本発明のFAP結合物質の生物活性を改善するように機能し得る。
【0371】
いくつかの実施形態では、リンカーはポリペプチドである。いくつかの実施形態では、リンカーは約100アミノ酸長未満である。例えば、いくつかの実施形態では、リンカーは、約100、約95、約90、約85、約80、約75、約70、約65、約60、約55、約50、約45、約40、約35、約30、約25、約20、約19、約18、約17、約16、約15、約14、約13、約12、約11、約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、または約2アミノ酸長未満である。いくつかの実施形態では、リンカーはポリペプチドである。いくつかの実施形態では、リンカーは約100アミノ酸長を超える。例えば、いくつかの実施形態では、リンカーは、約100、約95、約90、約85、約80、約75、約70、約65、約60、約55、約50、約45、約40、約35、約30、約25、約20、約19、約18、約17、約16、約15、約14、約13、約12、約11、約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、または約2アミノ酸長超である。いくつかの実施形態では、リンカーはフレキシブルである。別の実施形態では、リンカーは剛性である。
【0372】
いくつかの実施形態では、リンカーの長さは、ターゲティング部分とシグナル伝達物質のそれらの受容体への効果的結合を可能にする。例えば、いくつかの実施形態では、リンカー長さは、1つのターゲティング部分とシグナル伝達物質の同じ細胞上の受容体への効果的結合、ならびにその他のターゲティング部分の別の細胞への効果的結合を可能にする。細胞対の例は、本明細書の他の場所で提供される。
【0373】
いくつかの実施形態では、リンカーの長さは、少なくとも、同じ細胞上の1つのターゲティング部分およびシグナル伝達物質の受容体への結合部位の間の最短距離に等しい。いくつかの実施形態では、リンカーの長さは、同じ細胞上の1つのターゲティング部分およびシグナル伝達物質の受容体への結合部位の間の最短距離の、少なくとも2倍、または3倍、または4倍、または5倍、または10倍、または20倍、または25倍、または50倍、または100倍、または、それを超える。
【0374】
いくつかの実施形態では、あるリンカーは2つのターゲティング部分を相互に連結し、このリンカーは短い長さを有し、また、あるリンカーはターゲティング部分とシグナル伝達物質を連結し、このリンカーは2つのターゲティング部分を連結するリンカーより長い。例えば、いくつかの実施形態では、2つのターゲティング部分を連結するリンカーと、ターゲティング部分とシグナル伝達物質とを連結するリンカーの間のアミノ酸長さの差異は、約100、約95、約90、約85、約80、約75、約70、約65、約60、約55、約50、約45、約40、約35、約30、約25、約20、約19、約18、約17、約16、約15、約14、約13、約12、約11、約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4、約3、または約2アミノ酸長であり得る。いくつかの実施形態では、リンカーはフレキシブルである。別の実施形態では、リンカーは剛性である。
【0375】
いくつかの実施形態では、リンカーは、グリシンおよびセリン残基から実質的に構成される(例えば、約30%、または約40%、または約50%、または約60%、または約70%、または約80%、または約90%、または約95%、または約97%のグリシンとセリン)。例えば、いくつかの実施形態では、リンカーは(Gly4Ser)であり、式中、nは、約1~約8、例えば、1、2、3、4、5、6、7、または8(配列番号810~配列番号817)である。いくつかの実施形態では、リンカー配列は、GGSGGSGGGGSGGGGS(配列番号818)である。いくつかの実施形態では、リンカーとしては、限定されないが、下記配列を有するリンカーが挙げられる:LE、GGGGS(配列番号810)、(GGGGS)(n=1~4)(配列番号810~813)、(Gly)(配列番号819)、(Gly)(配列番号820)、(EAAAK)(n=1~3)(配列番号821~823)、A(EAAAK)A(n=2~5)(配列番号824~827)、AEAAAKEAAAKA(配列番号824)、A(EAAAK)ALEA(EAAAK)A(配列番号828)、PAPAP(配列番号829)、KESGSVSSEQLAQFRSLD(配列番号830)、EGKSSGSGSESKST(配列番号831)、GSAGSAAGSGEF(配列番号832)、および(XP)、Xは、任意のアミノ酸、例えば、Ala、Lys、またはGluを示す。いくつかの実施形態では、リンカーは、GGSである。
【0376】
いくつかの実施形態では、リンカーは、GGGSE(配列番号833)、GSESG(配列番号834)、GSEGS(配列番号835)、GEGGSGEGSSGEGSSSEGGGSEGGGSEGGGSEGGS(配列番号836)、および4アミノ酸間隔毎にランダムに配置されたG、S、およびEのリンカーの内の1種または複数である。
【0377】
いくつかの実施形態では、リンカーは抗体(例えば、IgG、IgA、IgD、およびIgE、サブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4、およびIgA1およびIgA2)を含む)のヒンジ部である。いくつかの実施形態では、リンカーは抗体(例えば、IgG、IgA、IgD、およびIgE、サブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4、およびIgA1およびIgA2)を含む)のヒンジ部である。理論に束縛されることを望むものではないが、いくつかの実施形態では、IgG、IgA、IgD、およびIgEクラス抗体で見つかるヒンジ部は、フレキシブルスペーサーとして機能し、Fab部が空間中で自由に動くことを可能にする。定常領域と対照的に、ヒンジドメインは、構造上多様であり、免疫グロブリンクラスおよびサブクラス中の配列および長さの両方で変動する。例えば、ヒンジ部の長さおよび可撓性は、IgGサブクラス内で変動する。IgG1のヒンジ部は、アミノ酸216~231を包含し、それが自由にフレキシブルであるために、Fabフラグメントは、それらの対称軸の周りで回転でき、2つの重鎖間ジスルフィド架橋の最初の位置を中心とする球内で移動できる。IgG2は、IgG1より短いヒンジを有し、12個のアミノ酸残基と4個のジスルフィド架橋を有する。IgG2のヒンジ部は、グリシン残基を欠き、比較的短く、また、追加の重鎖間ジスルフィド架橋により安定化された剛性ポリプロリン二重らせん体を含む。これらの特性は、IgG2分子の可撓性を制限する。IgG3は、62個のアミノ酸を含む(21個のプロリンと11個のシステインを含む)その特有の延長されたヒンジ部(IgG1ヒンジの約4倍の長さ)により、他のサブクラスとは異なり、柔軟性を欠くポリプロリン二重らせん体を形成する。IgG3では、Fabフラグメントは、Fcフラグメントから比較的遠くに離れており、より大きな可撓性を分子に与える。IgG3の伸びたヒンジは、他のサブクラスに比べて、そのより高分子量の原因でもある。IgG4のヒンジ部は、IgG1より短く、その可撓性は、IgG1とIgG2との中間である。ヒンジ部の可撓性は、次の順に低下すると報告されている:IgG3>IgG1>IgG4>IgG2。
【0378】
結晶学的調査によれば、免疫グロブリンヒンジ部は、機能的に次の3つの領域にさらに細分できる:上部ヒンジ部、コア部、および下部ヒンジ部。Shin et al.,1992 Immunological Reviews 130:87を参照されたい。上部ヒンジ部は、CH1のカルボキシル末端~運動を制限するヒンジ中の最初の残基、通常は2つの重鎖間の鎖間ジスルフィド結合を形成する最初のシステイン残基のアミノ酸を含む。上部ヒンジ部の長さは、抗体のセグメントの可撓性と相関する。コアヒンジ部は重鎖間ジスルフィド架橋を含み、下部ヒンジ部はCH2ドメインのアミノ末端に繋がり、かつCH2中の残基を含む。野性型ヒトIgG1のコアヒンジ部は、配列Cys-Pro-Pro-Cysを含み、これは、ジスルフィド結合形成により二量体化されると、環状オクタペプチドを生成し、これが旋回軸として機能することにより、可撓性を付与すると考えられている。いくつかの実施形態では、本発明のリンカーは、任意の抗体(例えば、IgG、IgA、IgD、およびIgE、サブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4、およびIgA1およびIgA2)を含む)の1、または2、または3個の上部ヒンジ部、コア部および下部ヒンジ部を含む。ヒンジ部はまた、1つまたは複数のグリコシル化部位も含み得、これは、多くの構造上異なるタイプの炭水化物付着部位を含む。例えば、IgA1は、ヒンジ部の17アミノ酸セグメント内に5つのグリコシル化部位を含み、腸内プロテアーゼに対するヒンジ部ポリペプチドの耐性を付与し、これは、分泌性免疫グロブリンにとって、有利な性質であると考えられる。いくつかの実施形態では、本発明の技術のリンカーは、1つまたは複数のグリコシル化部位を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、ヒトIgG4抗体のヒンジ-CH2-CH3ドメインである。
【0379】
いくつかの実施形態では、本発明のFAP結合物質は抗体Fc領域に連結され、C2およびC3ドメインの片方または両方、および場合によりヒンジ部を含む。例えば、単一ヌクレオチド配列としてFc領域に連結された本発明のFAP結合物質をコードするベクターを用いて、このようなポリペプチドを調製できる。
【0380】
いくつかの実施形態では、リンカーはPEGなどの合成リンカーである。
【0381】
いくつかの実施形態では、リンカーは機能性であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、リンカーは、折り畳みおよび/または安定性を改善するように、発現を改善するように、薬物動態学を改善するように、および/または本発明のFAP結合物質の生物活性を改善するように機能する。別の例では、リンカーは、FAP結合物質を特定の細胞型または部位に向けるように機能し得る。
【0382】
FAP結合物質の改変と産生
いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、VHHであるターゲティング部分を含む。いくつかの実施形態では、VHHは、特定の生物源または特定の調製法に限定されない。例えば、VHHは通常、下記により得ることができる:(1)天然の重鎖抗体のVHHドメインを単離することにより;(2)天然のVHHドメインをコードするヌクレオチド配列の発現により;(3)天然のVHHドメインの「ヒト化」により、またはこのようなヒト化VHHドメインをコードする核酸の発現により;(4)ヒト由来などの哺乳動物種由来などの任意の動物種由来の天然のVHドメインの「ラクダ化」、またはこのようなラクダ化VHドメインをコードする核酸の発現により;(5)当該技術分野で記載の「ドメイン抗体」または「Dab」の「ラクダ化」により、またはこのようなラクダ化VHドメインをコードする核酸の発現により;(6)当該技術分野において既知のタンパク質、ポリペプチドまたはその他のアミノ酸配列のための合成または半合成技術を用いることにより;(7)当該技術分野において既知の核酸合成技術を用いてVHHをコードする核酸を調製し、続けて、こうして得られた拡散を発現させることにより;および/または(8)前述の1つまたは複数の任意の組み合わせにより。
【0383】
ある実施形態では、FAP結合物質は、ヒトFAPに向けられた天然の重鎖抗体のVHHドメインに対応するVHHを含む。いくつかの実施形態では、このようなVHH配列は通常、ラクダ科の動物種をFAP分子で適切に免疫する(すなわち、FAPに対する免疫応答および/またはFAPに対する重鎖抗体を生じるように)ことにより、ラクダ科の動物から好適な生物試料(例えば、血液試料、またはB細胞の任意の試料)を得ることにより、および任意の好適な既知の技術を用いて、試料から出発して、FAPに対するVHH配列を生成することにより、生成または得ることができる。いくつかの実施形態では、FAPに対する天然のVHHドメインは、ラクダ科の動物VHH配列の未処理ライブラリーから、例えば、当技術分野で既知の1種または複数のスクリーニング技術を使って、FAP、またはその少なくとも1つの部分、フラグメント、抗原決定基またはエピトープを用いてこのようなライブラリーをスクリーニングすることにより、得ることができる。このようなライブラリーおよび技術は、例えば、国際公開第99/37681号、国際公開第01/90190号、国際公開第03/025020号、および国際公開第03/035694号に記載されている。これらの特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、例えば、国際公開第00/43507号に記載のランダム変異誘発および/またはCDRシャッフリングなどの技術により未処理VHHライブラリーから得られたVHHライブラリーなどの未処理VHHライブラリー由来の改善された合成または半合成ライブラリーを使用し得る。この特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、FAPに対するVHH配列を得るための別の技術は、重鎖抗体を発現できる遺伝子導入哺乳動物を適切に免疫すること(すなわち、FAPに対する免疫応答および/またはFAPに対する重鎖抗体を生じるように)、遺伝子導入哺乳動物から好適な生物試料(例えば、血液試料、またはB細胞の任意の試料)を得ること、およびその後、任意の好適な既知の技術を用いて、試料から出発してFAPに対するVHH配列を生成することを含む。例えば、このために、国際公開第02/085945号および国際公開第04/049794号(これらの特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載の重鎖抗体発現マウスおよびさらなる方法および技術を使用できる。
【0384】
ある実施形態では、FAP結合物質は、「ヒト化」されている、すなわち、天然のVHH配列(および特に、フレームワーク配列中の)のアミノ酸配列の1個または複数のアミノ酸残基を、ヒト由来の従来の4鎖抗体由来のVHドメイン中の対応する位置にある1個または複数のアミノ酸残基で置換することによる、VHHを含む。これは、当該技術分野において既知のヒト化技術を使用して実施できる。いくつかの実施形態では、可能なヒト化置換またはヒト化置換の組み合わせは、当該技術分野において既知の方法、例えば、VHHの配列と天然のヒトVHドメインの配列との間の比較により決定し得る。いくつかの実施形態では、ヒト化置換は、得られたヒト化VHHが有利な機能特性をなお保持するように選択される。通常、ヒト化の結果として、本発明の技術のVHHは、より「ヒト様」になり得るが、対応する天然のVHHドメインと比較して、低減された免疫原性などの好ましい特性を依然として保持している。いくつかの実施形態では、本発明の技術のヒト化VHHは、当該技術分野において既知の任意の好適な方法で得ることができ、したがって、出発材料として天然のVHHドメインを含むポリペプチドを用いて得たポリペプチドに厳密に限定されない。
【0385】
いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、「ラクダ化」されている、すなわち、従来の4鎖抗体由来の天然のVHドメインのアミノ酸配列の1個または複数のアミノ酸残基を、ラクダ科の動物の重鎖抗体のVHHドメイン中の対応する位置にある1個または複数のアミノ酸残基で置換することによる、VHHを含む。いくつかの実施形態では、このような「ラクダ化」置換は、VH-VLインターフェースを形成するおよび/または、そこに存在するアミノ酸位置に、および/またはいわゆるラクダ科の顕著な特徴残基(例えば、国際公開第94/04678号を参照されたい、この特許の全内容は参照により本明細書に組み込まれる)の位置に挿入されるいくつかの実施形態では、ラクダ化VHHを生成するまたは設計するための出発材料または出発点として用いられるVH配列は、哺乳動物由来のVH配列、例えば、VH3配列などの、ヒトのVH配列である。いくつかの実施形態では、ラクダ化VHHは、当該技術分野において既知の任意の好適な方法で得ることができ(すなわち、上記(1)~(8)で示したような)、したがって、出発材料として天然のVHドメインを含むポリペプチドを用いて得たポリペプチドに厳密に限定されない。
【0386】
いくつかの実施形態では、「ヒト化」および「ラクダ化」の両方は、天然のVHHドメインまたはVHドメインをコードするヌクレオチド配列をそれぞれ用意し、次に、当該技術分野において既知の方法で、ヌクレオチド配列中の1個または複数のコドンを新規ヌクレオチド配列がそれぞれ「ヒト化」または「ラクダ化」VHHをコードするような方法で変更することにより実施することができる。この核酸は、その後、本発明の技術の目的のVHHを得るように、当該技術分野において既知の方法で発現させることができる。あるいは、天然のVHHドメインまたはVHドメインそれぞれのアミノ酸配列に基づいて、本発明の技術の目的のヒト化またはラクダ化VHHのそれぞれのアミノ酸配列を設計し、その後、当該技術分野において既知のペプチド合成技術を用いて新規に合成できる。また、天然のVHHドメインまたはVHドメインそれぞれのアミノ酸配列またはヌクレオチド配列に基づいて、目的のヒト化またはラクダ化VHHのそれぞれをコードするヌクレオチド配列を設計し、次に当該技術分野において既知の核酸合成技術を用いて新規に合成でき、その後、こうして得られた核酸を、本発明の技術の目的のVHHが得られるように、当該技術分野において既知の方法で発現させることができる。天然のVH配列またはVHH配列から出発して、本発明の技術のVHHおよび/またはそれをコードする核酸を得るその他の好適な方法および技術は、当技術分野において既知であり、例えば、1つまたは複数の天然のVH配列(1つまたは複数のFR配列および/またはCDR配列など)の1個または複数の部分、1つまたは複数の天然のVHH配列(1つまたは複数のFR配列またはCDR配列など)の1個または複数の部分、および/または1つまたは複数の合成または半合成配列を、本発明の技術のVHHまたはそれをコードするヌクレオチド配列もしくは核酸を得るように、好適な方法で組み合わせることを含み得る。
【0387】
本発明の技術のFAP結合物質を産生するための方法は、本明細書に記載される。例えば、本発明の技術のFAP結合物質をコードするDNA配列は、当該技術分野において、既知の方法を使用して化学的に合成できる。合成DNA配列を、例えば、発現制御配列を含む他の適切なヌクレオチド配列に連結して、目的のFAP結合物質をコードする遺伝子発現構築物を産生できる。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の技術は、本発明の技術のFAP結合物質をコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸を提供する。
【0388】
本発明の技術のFAP結合物質をコードする核酸は、発現ベクター中に組み込まれ(連結され)てよく、このベクターは、遺伝子導入、形質転換、または形質導入技術により宿主細胞中に導入できる。例えば、本発明の技術のFAP結合物質をコードする核酸は、レトロウイルス形質導入により宿主細胞中に導入できる。宿主細胞の例は、大腸菌細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胎児腎臓293(HEK293)細胞、ヒーラ細胞、仔ハムスター腎(BHK)細胞、サル腎培養細胞(COS)、またはヒト肝細胞癌細胞(例えば、Hep G2)、および骨髄腫細胞である。形質転換宿主細胞は、宿主細胞が本発明の技術のFAP結合物質をコードする遺伝子を発現するのを可能にする条件下で増殖できる。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の技術は、本発明の技術のFAP結合物質をコードする核酸を含む発現ベクターを提供する。いくつかの実施形態では、本発明の技術は、このような発現ベクターを含む宿主細胞をさらに提供する。
【0389】
特定の発現および精製条件は、用いられる発現系に応じて変化する。例えば、遺伝子が大腸菌中で発現される場合、遺伝子は最初に、操作された遺伝子を細菌プロモーター、例えば、TrpまたはTac、および原核生物シグナル配列の下流に配置することにより発現ベクター中に挿入される。別の例では、操作された遺伝子が真核生物宿主細胞、例えば、CHO細胞中で発現される場合、遺伝子は最初に、例えば、好適な真核生物プロモーター、分泌シグナル、転写促進因子、および種々のイントロンを含む発現ベクター中に挿入される。遺伝子構築物は、遺伝子導入、形質転換、または形質導入技術を用いて宿主細胞中に導入できる。
【0390】
本発明の技術のFAP結合物質は、タンパク質の発現を許容する条件下で、FAP結合物質をコードする発現ベクターで形質導入された宿主細胞を増殖させることにより産生できる。発現後、タンパク質を収集し、例えば、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)およびヒスチジン(His)などの親和性タグまたはクロマトグラフィーにより、当該技術分野において周知の技術を用いて精製できる。ある実施形態では、FAP結合物質はHisタグを含む。いくつかの実施形態では、FAP結合物質はHisタグおよびHisタグの切断を可能にするタンパク分解部位を含む。
【0391】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明の技術は、本発明の技術のFAP結合物質をコードする核酸を提供する。いくつかの実施形態では、本発明の技術は、本発明の技術のFAP結合物質をコードする核酸を含む宿主細胞を提供する。
【0392】
いくつかの実施形態では、本発明のFAP結合物質またはFAPを含むキメラタンパク質は、例えば、患者中でin vivo発現され得る。例えば、いくつかの実施形態では、本発明のFAP結合物質またはFAPを含むキメラタンパク質は、本発明のFAP結合物質またはFAPを含むキメラタンパク質をコードする核酸の形態で投与され得る。いくつかの実施形態では、核酸はDNAまたはRNAである。いくつかの実施形態では、本発明のFAP結合物質またはFAPを含むキメラタンパク質は、修飾mRNA、すなわち、1種または複数の修飾ヌクレオチドを含むmRNAによりコードされる。いくつかの実施形態では、修飾mRNAは、米国特許第8,278,036号で見出される1つまたは複数の修飾を含む。この特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、修飾mRNAは、m5C、m5U、m6A、s2U、Ψ、および2’-O-メチル-Uの内の1種または複数を含む。いくつかの実施形態では、本発明の技術は、本発明の1種または複数のキメラタンパク質をコードする修飾mRNAの投与に関する。いくつかの実施形態では、本発明の技術は、修飾mRNAを含む遺伝子治療ベクターに関する。いくつかの実施形態では、本発明の技術は、修飾mRNAを含む遺伝子治療法に関する。いくつかの実施形態では、核酸は、腫瘍溶解性ウイルス、例えば、アデノウイルス、レオウイルス、はしか、単純ヘルペス、ニューカッスル病ウイルスまたはワクシニアの形態である。
【0393】
薬学的に許容可能な塩および賦形剤
本明細書で記載のFAP結合物質(および/またはいずれか他の治療薬)は、無機酸もしくは有機酸と反応できる、充分に塩基性の官能基を有し、または無機塩基または有機塩基と反応できる、カルボキシル基を有して、薬学的に許容可能な塩を形成できる。薬学的に許容可能な酸付加塩は、当該技術分野でよく知られているように、薬学的に許容可能な酸から形成される。このような塩は、例えば、Journal of Pharmaceutical Science,66,2-19(1977およびThe Handbook of Pharmaceutical Salts;Properties,Selection,and Use.P.H.Stahl and C.G.Wermuth(eds.),Verlag,Zurich(Switzerland)2002、に挙げられた薬学的に許容可能な塩を含む。これらの文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0394】
薬学的に許容可能な塩としては、非限定的例であるが、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、ホスフェート、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、樟脳スルホン酸塩、パモ酸塩、フェニル酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アクリル酸塩、クロロ安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、o-アセトキシ安息香酸塩、ナフタレン-2-安息香酸塩、イソ酪酸塩、フェニル酪酸塩、a-ヒドロキシ酪酸塩、ブチン-1,4-ジカルボキシレート、ヘキシン-1,4-ジカルボキシレート、カプリン酸塩、カプリル酸塩、ケイ皮酸塩、グリコール酸塩、ヘプタン酸塩、ヒプル酸塩、リンゴ酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、ニコチン酸塩、フタル酸塩、テラフタル酸塩、プロピオール酸塩、プロピオン酸塩、フェニルプロピオン酸塩、セバシン酸塩、スベリン酸塩、p-ブロモベンゼンスルホン酸塩、クロロベンゼンスルホン酸塩、エチルスルホン酸塩、2-ヒドロキシエチルスルホン酸塩、メチルスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、ナフタレン-1,5-スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、および酒石酸塩が挙げられる。
【0395】
「薬学的に許容可能な塩」という用語はまた、カルボン酸官能基などの酸性官能基、および塩基を有する本発明の技術の組成物の塩を指す。適切な塩基としては、限定されないが、ナトリウム、カリウム、およびリチウムなどのアルカリ金属の水酸化物;カルシウムおよびマグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;アルミニウムおよび亜鉛などのその他の金属の水酸化物;アンモニア、および非置換またはヒドロキシ置換のモノ-、ジ-、またはトリ-アルキルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどの有機アミン;トリブチルアミン;ピリジン;N-メチル、N-エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;モノ-、ビス-、またはトリス-(2-ヒドロキシエチル)アミン、2-ヒドロキシ-tert-ブチルアミン、またはトリス-(ヒドロキシメチル)メチルアミンなどのモノ-、ビス-、またはトリス-(2-0H-低級アルキルアミン)、N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アミンまたはトリ-(2-ヒドロキシエチル)アミンなどのN,N-ジ-低級アルキル-N-(ヒドロキシル-低級アルキル)-アミン;N-メチル-D-グルカミン;およびアルギニン、リシンなどのアミノ酸などが挙げられる。
【0396】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載の組成物は、薬学的に許容可能な塩の形態である。
【0397】
医薬組成物および製剤
いくつかの実施形態では、本発明の技術は、本明細書で記載のFAP結合物質(および/またはいずれか他の治療薬)および薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含む医薬組成物に関する。いくつかの実施形態では、本発明の技術は、本発明のFAP結合物質を含む医薬組成物に関する。別の実施形態では、本発明の技術は、本明細書に記載のいずれか他の治療薬を含む医薬組成物に関する。さらなる実施形態では、本発明の技術は、本発明のFAP結合物質と本明細書に記載のいずれか他の治療薬との組み合わせを含む医薬組成物に関する。本明細書で記載のいずれの医薬組成物も、薬学的に許容可能な担体またはビークルを含む組成物の成分として、対象に投与できる。このような組成物は必要に応じ、適切な投与用の形態を与えるように、適切な量の薬学的に許容可能な賦形剤を含み得る。
【0398】
いくつかの実施形態では、医薬賦形剤は、ピーナッツオイル、大豆油、ミネラルオイル、ゴマ油などの石油、動物、植物、または人工起源のものを含む、水および油などの液体であり得る。医薬賦形剤は、例えば、食塩水、アカシアゴム、ゼラチン、デンプンペースト、滑石、ケラチン、コロイド状シリカ、尿素などであってよい。さらに、助剤、安定化剤、増粘化剤、潤滑剤、および着色料を使用することができる。一実施形態では、薬学的に許容可能な賦形剤は、対象に投与される場合、無菌である。本明細書で記載のいずれかの薬剤が静脈内に投与される場合、水は有用な賦形剤である。生理食塩水および水性デキストロースならびにグリセリン溶液はまた、液体賦形剤として、特に注射可能溶液に用いることができる。適切な医薬賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、ショ糖、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセリンモノステアレート、滑石、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセリン、プロピレン、グリコール、水、エタノールなども挙げられる。本明細書で記載のいずれの薬剤も、必要に応じ、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含んでよい。適切な医薬賦形剤のそのほかの例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 1447-1676(Alfonso R.Gennaro eds.,19th ed.1995)に記載されている。この文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0399】
本発明の技術は、種々の製剤中に記載医薬組成物(および/または追加の治療薬)を含む。本明細書で記載のいずれの本発明の医薬組成物(および/または追加の治療薬)も、液剤、懸濁剤、乳濁液、点滴剤、錠剤、丸薬、ペレット、カプセル剤、液体含有カプセル剤、ゼラチンカプセル剤、散剤、徐放製剤、坐剤、乳剤、エアロゾル、噴霧剤、懸濁剤、凍結乾燥散剤、凍結懸濁剤、乾燥散剤、または使用に適する他の任意の形態をとってよい。一実施形態では、組成物はカプセルの形態である。別の実施形態では、組成物は錠剤の形態である。さらに別の実施形態では、医薬組成物は、軟質ゲルカプセルの形態に処方される。さらなる実施形態では、医薬組成物は、ゼラチンカプセルの形態に処方される。さらに別の実施形態では、医薬組成物は、液剤として処方される。
【0400】
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物(および/または追加の薬剤)は、可溶化剤も含み得る。また、薬剤は当技術分野において既知の適切なビークルまたは送達装置を使って送達することができる。本明細書で概要を述べた併用療法剤は、単一の送達ビークルまたは送達担体で同時送達できる。
【0401】
本発明の技術の医薬組成物(および/または追加の薬剤)を含む製剤は単位剤形として好都合に提供でき、薬学の分野でよく知られたいずれかの方法により調製され得る。このような方法は通常、治療薬を担体と混合するステップを含み、担体は1種または複数の補助成分を構成する。通常、製剤は、治療薬と、液体担体、微粉化固相担体、または両方とを均一に、完全に混合すること、その後、必要に応じ、生成物を所望の製剤の剤形に成形すること(例えば、湿式または乾式造粒、散剤ブレンド、など、それに続く当該技術分野で既知の従来の方法を使って錠剤化すること)により調製される。
【0402】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載のいずれの医薬組成物(および/または追加の薬剤)も、本明細書で記載の投与方法に適合された組成物として、ルーチン手順に従って処方される。
【0403】
いくつかの実施形態では、投与経路は、例えば、経口、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、舌下、鼻腔内、脳内、膣内、経皮、直腸内、吸入、または局所を含む。投与は局所的または全身性であり得る。いくつかの実施形態では、投与は、経口により行われる。別の実施形態では、投与は非経口の注射による。投与方法は、開業医の自由裁量に任すことができ、1部には、病状の部位に依存する。大抵の場合、投与は本明細書で記載のいずれかの薬剤の血流中への放出をもたらす。
【0404】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載のFAP結合物質は、経口投与に適合された組成物として、常法に従って処方される。限定ではなく例として、いくつかの実施形態では、経口送達用の組成物は、錠剤、トローチ剤、水性または油性懸濁剤、粒剤、散剤、乳剤、カプセル剤、シロップ剤、またはエリキシル剤の形態である。いくつかの実施形態では、経口投与される組成物は、薬学的に口当たりの良い製剤を提供するために、1種または複数の薬剤、例えば、フルクトース、アスパルテームまたはサッカリンなどの甘味料、ペパーミント、冬緑油またはチェリー油などの調味料、着色料および保存剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、タブレットまたは丸薬形態の場合、コートして消化管での崩壊および吸収を遅らせ、長期間にわたる持続作用を提供する。本明細書に記載のいずれかの浸透活性駆動FAP結合物質を取り囲む選択的透過性膜も、経口投与組成物として好適である。これらの後者のプラットフォームでは、カプセルの周りの環境からの液体が駆動化合物により吸収され、この化合物は膨潤して開口部を介し薬剤または薬剤組成物を追い出す。これらの送達プラットフォームは、即時放出製剤の急上昇プロファイルとは対照的に、基本的に0次の送達プロファイルを提供することができる。いくつかの実施形態では、経口組成物は、例えばグリセロールモノステアレートまたはグリセロールステアレートなどの時間遅延物質を含む。いくつかの実施形態では、経口組成物は、標準的な賦形剤、例えば、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、セルロース、および炭酸マグネシウムを含む。一実施形態では、賦形剤は医薬品グレードである。活性化合物に加えて、懸濁剤は、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロオキシド、ベントナイト、寒天、トラガント、など、およびこれらの混合物などの沈殿防止剤を含んでよい。
【0405】
非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下および関節内注射および注入)に好適な剤形は、例えば、液剤、懸濁剤、分散剤、乳剤、などを含む。それらは、無菌の固相組成物(例えば、凍結乾燥組成物)の形態で製造されてよく、これは、使用直前に、無菌の注入可能媒体中に溶解または懸濁され得る。それらは、例えば、当該技術分野において、既知の懸濁剤または分散剤を含み得る。非経口的投与に好適な製剤成分としては、注射用の水、食塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、またはその他の合成溶媒などの無菌希釈剤、ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤、アスコルビン酸もしくは亜硫酸水素ナトリウムなどの酸化防止剤、EDTAなどのキレート化剤、アセテート、シトレート、またはホスフェートなどの緩衝剤、および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの浸透圧調節剤が挙げられる。
【0406】
静脈内投与の場合、好適な担体としては、生理食塩水、静菌性水、クレモフォアELTM(BASF,Parsippany,NJ)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。担体は、製造および貯蔵条件下で安定でなければならず、微生物に対し保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール)、およびこれらの好適な混合物を含む、溶媒または分散媒であってよい。
【0407】
本明細書にて提供される組成物は、単独でまたは他の好適な成分と組み合わせて、吸入により投与されるエーロゾル製剤(すなわち、「噴霧化」製剤)を作製することができる。エーロゾル製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などの許容され得る加圧化噴射剤中に入れることができる。
【0408】
本明細書で記載のいずれの本発明の医薬組成物(および/または追加の薬剤)も、当業者に既知の制御放出によりまたは徐放手段または送達装置により投与可能である。例としては、米国特許第3,845,770号;同第3,916,899号;同第3,536,809号;同第3,598,123号;同第4,008,719号、同第5,674,533号、同第5,059,595号、同第5,591,767号、同第5,120,548号、同第5,073,543号、同第5,639,476号、同第5,354,556号、および同第5,733,556号に記載のものが挙げられるが、これらに限定されない。これらの特許のそれぞれは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。このような剤形は、例えば、ヒドロプロピルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、その他のポリマーマトリクス、ゲル、浸透膜、浸透系、多層被膜、微粒子、リポソーム、マイクロスフェア、またはこれらの組み合わせを用いて、1つまたは複数の有効成分の制御放出または徐放を可能にするために有用であり、様々な割合での所望の放出プロファイルを提供することができる。本明細書に記載されたものを含む当業者に既知の適切な制御放出または徐放製剤は、本明細書で記載の薬剤の有効成分と共に使用する上で容易に選択することができる。本発明の技術はこのように、限定されないが、制御放出または徐放に適合された錠剤、カプセル、ジェルカプセルおよびカプレットなどの経口投与に好適な単位剤形を提供する。
【0409】
有効成分の制御放出または徐放は、限定されないが、pH変化、温度変化、適切な波長の光による刺激、酵素の濃度もしくは利用可能性、水の濃度または利用可能性、または他の生理学的条件または化合物を含む、種々の条件により刺激できる。
【0410】
別の実施形態では、徐放系を、治療される標的領域の近傍に配置でき、したがって全身用量の一部のみを必要とする(例えば、Goodson,in Medical Applications of Controlled Release,supra,vol.2,pp.115-138(1984)を参照)。Langer,1990,Science 249:1527-1533、中の概説で考察されている他の放出制御系を使用し得る。
【0411】
医薬製剤は好ましくは無菌である。無菌化は、例えば、無菌濾過膜で濾過することにより達成される。組成物が凍結乾燥される場合、凍結乾燥および再構成の前またはその後でフィルター滅菌を行うことができる。
【0412】
投与および投与量
本発明の技術により投与されるFAP結合物質および/または本明細書に記載のいずれかの治療薬の実際の用量は、特定の剤形および投与方法に応じて変わることは理解されよう。当業者なら、FAP結合物質の作用を変える可能性のある多くの要因(例えば、体重、性別、食事、投与時期、投与経路、排出速度、対象の状態、薬剤の組み合わせ、遺伝的素因および反応感度)を考慮に入れることができる。投与は、最大耐量の範囲内で連続的にまたは1種または複数の別々の投与量で実施できる。与えられた一連の条件に対する最適投与速度は、従来の用量投与試験を使って、当業者により確認できる。
【0413】
いくつかの実施形態では、FAP結合物質および/または本明細書に記載のいずれかの治療薬の好適な投与量は、対象の体重の約0.01mg/kg~約10g/kg、対象の体重の約0.01mg/kg~約1g/kg、対象の体重の約0.01mg/kg~約100mg/kg、対象の体重の約0.01mg/kg~約10mg/kgの範囲であり、例えば、約0.01mg/kg、約0.02mg/kg、約0.03mg/kg、約0.04mg/kg、約0.05mg/kg、約0.06mg/kg、約0.07mg/kg、約0.08mg/kg、約0.09mg/kg、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、1.9mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg体重、約100mg/kg体重、約1g/kg体重、約10g/kg体重(これらの間の全ての値および範囲を含む)である。
【0414】
いくつかの実施形態では、FAP結合物質および/または本明細書に記載のいずれかの治療薬の個々の投与量は、例えば、単位剤形当たり約0.01mg~約100g、約0.01mg~約75g、約0.01mg~約50g、約0.01mg~約25g、約0.01mg~約10g、約0.01mg~約7.5g、約0.01mg~約5g、約0.01mg~約2.5g、約0.01mg~約1g、約0.01mg~約100mg、約0.1mg~約100mg、約0.1mg~約90mg、約0.1mg~約80mg、約0.1mg~約70mg、約0.1mg~約60mg、約0.1mg~約50mg、約0.1mg~約40mgの有効成分、約0.1mg~約30mg、約0.1mg~約20mg、約0.1mg~約10mg、約0.1mg~約5mg、約0.1mg~約3mg、約0.1mg~約1mg、または単位剤形当たり約5mg~約80mgを含む単位剤形で投与される。例えば、単位剤形は、約0.01mg、約0.02mg、約0.03mg、約0.04mg、約0.05mg、約0.06mg、約0.07mg、約0.08mg、約0.09mg、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約200mg、約500mg、約1g、約2.5g、約5g、約10g、約25g、約50g、約75g、約100g(これらの間の全ての値および範囲を含む)であってよい。
【0415】
一実施形態では、FAP結合物質および/または本明細書に記載のいずれかの治療薬は、毎日約0.01mg~約100g、毎日約0.01mg~約75g、毎日約0.01mg~約50g、毎日約0.01mg~約25g、毎日約0.01mg~約10g、毎日約0.01mg~約7.5g、毎日約0.01mg~約5g、毎日約0.01mg~約2.5g、毎日約0.01mg~約1g、毎日約0.01mg~約100mg、毎日約0.1mg~約100mg、毎日約0.1mg~約95mg、毎日約0.1mg~約90mg、毎日約0.1mg~約85mg、毎日約0.1mg~約80mg、毎日約0.1mg~約75mg、毎日約0.1mg~約70mg、毎日約0.1mg~約65mg、毎日約0.1mg~約60mg、毎日約0.1mg~約55mg、毎日約0.1mg~約50mg、毎日約0.1mg~約45mg、毎日約0.1mg~約40mg、毎日約0.1mg~約35mg、毎日約0.1mg~約30mg、毎日約0.1mg~約25mg、毎日約0.1mg~約20mg、毎日約0.1mg~約15mg、毎日約0.1mg~約10mg、毎日約0.1mg~約5mg、毎日約0.1mg~約3mg、毎日約0.1mg~約1mg、または毎日約5mg~約80mgの量で投与される。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、約0.01mg、約0.02mg、約0.03mg、約0.04mg、約0.05mg、約0.06mg、約0.07mg、約0.08mg、約0.09mg、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約200mg、約500mg、約1g、約2.5g、約5g、約7.5g、約10g、約25g、約50g、約75g、約100g(これらの間の全ての値および範囲を含む)の1日量で投与される。
【0416】
本発明の技術の特定の実施形態では、FAP結合物質および/または本明細書に記載のいずれかの治療薬を含む医薬組成物は、例えば、1日2回以上(例えば、毎日約2回、約3回、約4回、約5回、約6回、約7回、約8回、約9回、または約10回)、1日約1回、約1日おき、約3日おき、週約1回、2週毎に約1回、毎月約1回、2ヶ月毎に約1回、3ヶ月毎に約1回、6ヶ月毎に約1回、または毎年約1回投与されてよい。
【0417】
併用療法および追加の治療薬
いくつかの実施形態では、本発明の技術の医薬組成物は、1種または複数の追加の治療薬と共に同時投与される。いくつかの実施形態では、同時投与は、同時または順次であってよい。
【0418】
一実施形態では、追加の治療薬および本発明の技術のFAP結合物質は、対象に同時に投与される。本明細書で使用される場合、用語「同時に」は、追加の治療薬およびFAP結合物質が約60分程度、例えば約30分程度、約20分程度、約10分程度、約5分程度、または約1分程度の時間間隔で投与されることを意味する。追加の治療薬およびFAP結合物質の投与は、単一製剤(例えば、追加の治療薬およびFAP結合物質を含む製剤)のまたは別々の製剤(例えば、追加の治療薬を含む第1の製剤およびFAP結合物質を含む第2の製剤)の同時の投与により行うことができる。
【0419】
同時投与は、それらの投与のタイミングが、追加の治療薬およびFAP結合物質の薬理学的活性が時間経過と共に重なりあい、それにより組み合わされた治療効果が発揮されるような場合には、治療薬が同時に投与される必要はない。例えば、追加の治療薬およびFAP結合物質は、順次に投与できる。本明細書で使用される場合、用語の「順次に」は、追加の治療薬およびFAP結合物質が約60分を超える時間間隔で投与されることを意味する。例えば、追加の治療薬とFAP結合物質との逐次投与の間の時間間隔を、約60分を超えて、約2時間を超えて、約5時間を超えて、約10時間を超えて、約1日を超えて、約2日を超えて、約3日を超えて、約1週間を超えて間隔を開ける、約2週間を超えて間隔を開ける、または約1ヶ月を越えて間隔を開けることができる。最適投与時間は、投与される追加の治療薬およびFAP結合物質の代謝、排泄速度、および/または薬力学的活性に依存するであろう。追加の治療薬またはFAP結合物質のいずれかを、最初に投与してよい。
【0420】
同時投与はまた、治療薬が同じ投与経路により対象に投与される必要はない。むしろ、それぞれの治療薬は、任意の適切な経路、例えば、非経口または経口(non-parenterally)で投与できる。
【0421】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のFAP結合物質は、別の治療薬と同時投与されると、相乗的に作用する。本明細書で使用される場合、「相乗的に」は、少なくとも2種の物質の組み合わせにより生成され、他の方法によりその物質の個別の投与から生じる治療効果を超える、相加的より大きな治療効果を指す。例えばより低用量の1種または複数の物質を、疾患または障害を治療するのに用いて、高い治療効果および低い副作用をもたらしてもよい。このような実施形態では、FAP結合物質および追加の治療薬は、治療薬が単剤療法で使用される場合に採用される用量よりも低い用量で投与され得る。
【0422】
いくつかの実施形態では、本発明の技術は、追加の治療薬としての化学療法剤に関する。例えば、限定されないが、本発明のFAP結合物質と化学療法剤のこのような組み合わせは、本明細書の別の場所で記載のように、癌の治療で使用される。化学療法剤の例としては、アルキル化剤、例えば、チオテパ、CYTOXAN(シクロホスファミド)、スルホン酸アルキル、例えば、ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファン、アジリジン、例えば、ベンゾドーパ,カルボコン、メツレドーパ、およびウレドーパ、エチレンイミン、メチラメラミン例えば、アルトレタミン、トリエチルエネメラミン、トリエチレンネフォスフォラミド、トリエチレンチオフォスフォラミドおよび、トリメチロールメラミン、アセトゲニン(例えば、ブラタシン、ブラタチノン)、カントテシン(合成類似剤トポテカンを含む)、ブリオスタチン、カリスタチン(cally statin)、CC-1065(アドゼレシン、カルゼルシンおよびビゼレシン合成類似体を含む)、クリプトフィシン(例えば、クリプトフィシン1、クリプトフィシン8など)、ドラスタチン、デュオカルマイシン(合成類似薬KW-2189およびCB1-TM1を含む)、エレウテロビン、パンクラチスタチン、サルコディクチン、スポンギスタチン、ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、酸化メクロルエタミン塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード、ニトロソウレア、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチンおよびラニムスチン(ranimnustine)、抗生物質、例えば、エンジイン抗生物質(カリチアマイシン、特にカリチアマイシンガンマIIとカリチアマイシンオメガII(Agnew,Chem.Intl.Ed.Engl.,33:183-186(1994)を参照)、ダイネマイシン、ダイネマイシンAを含む、ビスフォスフォネート、例えば、クロドロネート、エスペラマイシン、ならびに、ネオカルジノスタチン発色団および関連色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン(caminomycin)、カルジノフィリン、クロモマイシン(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、アドリアマイシン(ドキソルビシン)(モルフォリノドキソルビシン、シアノモルフォリノドキソルビシン、2-ピロリノドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン(例えば、マイトマイシンC)、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、チュベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン、代謝拮抗薬、例えば、メトトレキセートおよび5-フルオロウラシル(5-FU)、葉酸の類似体、例えば、デノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキサート、プリン類似体、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン、ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン、抗副腎物質、例えば、アミノグルテチミド(minoglutethimide)、ミトタン、トリロスタン、葉酸補充液、例えば、フロリン酸(frolinic acid)、アセグラトン、アルドホスファミドグリコシド、アミノレブリン酸、エニルウラシル、アムサクリン、ベストラブシル、ビサントレン、エダトラキセート(edatraxate)、デメコルチ ン、ジアジクオン、エルフォルミチン(elformithine)、エリプチニウムアセテート、エポチロン、エトグルシド、ガリウムニトレート、ヒドロキシ尿素、レンチナン、ロニダミン(lonidainine)、メイタンシノイド、例えば、メイタンシンおよびアンサマイトシン、ミトグアゾン、ミトキサントロン、モピダモール、ニトラエリン、ペントスタチン、フェナメット、ピラルビシン、ロソキサントロン、ポドフィリン酸、2-エチルヒドラジド、プロカルバジン、PSK多糖複合体(JHS Natural Products,Eugene,Oreg.)、ラゾキサン、リゾキシン、シゾフィラン、スピロゲルマニウム、テヌアゾン酸、2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン、トリコテセン(例えば、T2毒、ベラクリンA、ロリジンA、およびアングイディン)、ウレタン、ビンデシン、ダカルバジン、マンノムスチン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ピポブロマン、ガシトシン、アラビノシド(アラ-C)、シクロホスファミド、チオテパ、トキソイド(例えば、タキソール、パクリタキセル(Bristol-Myers Squibb Oncology,Princeton,N.J.)、アブラキサン(登録商標)、クレモフォアフリー、アルブミン処理ナノ粒子形成パクリタキセル(American Pharmaceutical Partners,Schaumberg,111.)、タキソテールドキセタキセル(Rhone-Poulenc Rorer,Antony,France))、クロランブシル、ジェムザール(ゲムシタビン)、6-チオグアニン、メルカプトプリン、メトトレキセート、白金類似体(例えば、シスプラチン、オキサリプラチンおよびカルボプラチンなど)、ビンブラスチン、白金、エトポシド(VP-16)、イホスファミド、ミトキサントロン、ビンクリスチン、ナベルビン(ビノレルビン)、ノバントロン、テニポシド、エダトレキセート、ダウノマイシン、アミノプテリン、ゼローダ、イバンドロネート、イリノテカン(キャンプトサー,CPT-11)(イリノテカンと5-FUおよびロイコボリンの治療法を含む)、トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000、ヂルルオロメチルオルニチン(DMFO)、レチノイド、例えば、レチノイン酸、カペシタビン、コンブレタスタチン、ロイコボリン(LV)、オキサリプラチン、オキサリプラチン治療法(FOLFOX)を含む、ラパチニブ(Tykerb)、PKC-a、Raf、H-Ras、EGFRの阻害剤(例えば、エルロチニブ(Tarceva(登録商標))および細胞増殖を抑制するVEGF-Aならびに上述のいずれかの薬剤の薬学的に許容可能な塩、酸または誘導体、が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、いくつかの実施形態では、治療の方法は、放射線の使用をさらに含む。さらに、いくつかの実施形態では、治療の方法は、光線力学的治療の使用をさらに含む。
【0423】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明の技術は、FAP結合物質および化学療法剤を用いる併用療法に関する。いくつかの実施形態では、本発明の技術は、化学療法剤を用いる治療を受けている患者に対するFAP結合物質の投与に関する。いくつかの実施形態では、化学療法剤は、DNA挿入剤、例えば、限定されないが、ドキソルビシン、シスプラチン、ダウノルビシン、およびエピルビシンである。いくつかの実施形態では、DNA挿入剤は、ドキソルビシンである。
【0424】
いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、ドキソルビシンと同時投与されると、相乗的に作用する。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、腫瘍または癌の治療での使用において、ドキソルビシンと同時投与されると相乗的に作用する。例えば、FAP結合物質とドキソルビシンとの同時投与は、相乗的に作用して、腫瘍または癌を低減または除去し得、または腫瘍または癌の増殖および/または進行および/または転移を遅らせ得る。いくつかの実施形態では、FAP結合物質とドキソルビシンの組み合わせは、単剤療法の場合に単独で使用される物質に比べて、改善された安全性プロファイルを示し得る。いくつかの実施形態では、FAP結合物質およびドキソルビシンは、その物質が単剤療法で使用される場合に採用される用量よりも低い用量で投与される。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、変異IFN-αなどの変異インターフェロンを含む。いくつかの実施形態では、変異IFN-αは、配列番号688または配列番号689に対して、置換M148A、R149A、およびL153Aなどのように、148、149および153の位置に1個または複数の変異を含む。
【0425】
いくつかの実施形態では、本発明の技術は、1種または複数の免疫調節薬、例えば、限定されないが、免疫チェックポイントを調節する物質を用いる併用療法に関する。いくつかの実施形態では、免疫調節薬は、PD-1、PD-L1、およびPD-L2の内の1種または複数を標的とする。いくつかの実施形態では、免疫調節薬は、PD-1阻害剤である。いくつかの実施形態では、免疫調節薬は、PD-1、PD-L1、およびPD-L2の内の1種または複数に特異的な抗体である。例えば、いくつかの実施形態では、免疫調節薬は、限定されないが、例えば、ニボルバム(ONO-4538/BMS-936558、MDX1106、オプジーボ、BRISTOL MYERS SQUIBB)、ペムブロリズマブ(キイトルーダ、MERCK)、ピディリズマブ(CT-011,CURE TECH)、MK-3475(MERCK)、BMS936559(BRISTOL MYERS SQUIBB)、MPDL3280A(ROCHE)などの抗体である。いくつかの実施形態では、免疫調節薬は、CD137またはCD137Lの内の1つまたは複数を標的とする。種々の実施形態では、免疫調節薬は、CD137またはCD137Lの内の1つまたは複数に特異的な抗体である。例えば、いくつかの実施形態では、免疫調節薬は、限定されないが、例えば、ウレルマブ(BMS-663513および抗4-1BB抗体としても知られる)などの抗体である。いくつかの実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、固形腫瘍および/またはB細胞非ホジキンリンパ腫および/または頭頸部癌および/または多発性骨髄腫の治療のために、ウレルマブと組み合わされる(必要に応じ、ニボルバム、リリルマブ、およびウレルマブの内の1種または複数と組み合わされる)。いくつかの実施形態では、免疫調節薬は、CTLA-4、AP2M1、CD80、CD86、SHP-2、およびPPP2R5Aの内の1種または複数を標的とする物質である。いくつかの実施形態では、免疫調節薬は、CTLA-4、AP2M1、CD80、CD86、SHP-2、およびPPP2R5Aの内の1種または複数に特異的な抗体である。例えば、いくつかの実施形態では、免疫調節薬は、限定されないが、例えば、イピリムマブ(MDX-010、MDX-101、ヤーボイ、BMS)および/またはトレメリムマブ(Pfizer)などの抗体である。いくつかの実施形態では、本発明のキメラタンパク質は、黒色腫、前立腺癌、および肺癌の内の1種または複数の治療のために、イピリムマブと組み合わされる(必要に応じ、バビツキシマブと組み合わされる)。いくつかの実施形態では、免疫調節薬は、CD20を標的とする。いくつかの実施形態では、免疫調節薬は、CD20に特異的な抗体である。例えば、いくつかの実施形態では、免疫調節薬は、限定されないが、オファツムマブ(GENMAB)、オビヌツズマブ(GAZYVA)、AME-133v(APPLIED MOLECULAR EVOLUTION)、オクレリズマブ(GENENTECH)、TRU-015(TRUBION/EMERGENT)、ベルツズマブ(IMMU-106)などの抗体である。
【0426】
いくつかの実施形態では、本発明の技術は、FAP結合物質およびチェックポイント阻害剤を用いる併用療法に関する。いくつかの実施形態では、本発明の技術は、チェックポイント阻害剤を用いる治療を受けている患者に対するFAP結合物質の投与に関する。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-1、PD-L1、PD-L2、およびCTLA-4(本明細書に記載の抗PD-1、抗PD-L1、抗PD-L2、および抗CTLA-4物質のいずれかを含む)の内の1種または複数を標的とする物質である。いくつかの実施形態ではチェックポイント阻害剤は、ニボルバム(ONO-4538/BMS-936558、MDX1106、オプジーボ、BRISTOL MYERS SQUIBB)、ペムブロリズマブ(キイトルーダ、MERCK)、ピディリズマブ(CT-011,CURE TECH)、MK-3475(MERCK)、BMS936559(BRISTOL MYERS SQUIBB)、MPDL3280A(ROCHE)、イピリムマブ(MDX-010、MDX-101、ヤーボイ、BMS)およびトレメリムマブ(Pfizer)内の1種または複数である。いくつかの実施形態では、チェックポイント阻害剤はPD-L1に対する抗体である。
【0427】
いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、抗PD-L1抗体と同時投与されると、相乗的に作用する。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、腫瘍または癌の治療での使用において、抗PD-L1抗体と同時投与されると相乗的に作用する。例えば、FAP結合物質と抗PD-L1抗体との同時投与は、相乗的に作用して、腫瘍または癌を低減または除去し得、または腫瘍または癌の増殖および/または進行および/または転移を遅らせ得る。いくつかの実施形態では、FAP結合物質と抗PD-L1抗体の組み合わせは、単剤療法の場合に単独で使用される物質に比べて、改善された安全性プロファイルを示し得る。いくつかの実施形態では、FAP結合物質および抗PD-L1抗体は、その物質が単剤療法で使用される場合に採用される用量よりも低い用量で投与され得る。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、変異IFN-αなどの変異インターフェロンを含む。例示的実施形態では、変異IFN-αは、配列番号688または配列番号689に準拠して、M148A、R149A、およびL153Aなどのように、位置148、149および153で1個または複数の変異を含む。
【0428】
いくつかの実施形態では、本発明の技術は、FAP結合物質および免疫抑制剤を用いる併用療法に関する。いくつかの実施形態では、本発明の技術は、免疫抑制剤を用いる治療を受けている患者に対するFAP結合物質の投与に関する。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤は、TNFである。
【0429】
例示的実施形態では、FAP結合物質は、TNFと同時投与されると、相乗的に作用する。例示的実施形態では、FAP結合物質は、腫瘍または癌の治療での使用において、TNFと同時投与されると相乗的に作用する。例えば、FAP結合物質とTNFとの同時投与は、相乗的に作用して、腫瘍または癌を低減または除去し得、または腫瘍または癌の増殖および/または進行および/または転移を遅らせ得る。いくつかの実施形態では、FAP結合物質とTNFの組み合わせは、単剤療法の場合に単独で使用される物質に比べて、改善された安全性プロファイルを示し得る。いくつかの実施形態では、FAP結合物質およびTNFは、その物質が単剤療法で使用される場合に採用される用量よりも低い用量で投与され得る。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、変異IFN-αなどの変異インターフェロンを含む。例示的実施形態では、変異IFN-αは、配列番号688または配列番号689に準拠して、置換M148A、R149A、およびL153Aなどのように、位置148、149および153で1個または複数の変異を含む。
【0430】
いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法と組み合わせて使用されると、相乗的に作用する。例示的実施形態では、FAP結合物質は、腫瘍または癌の治療において、CAR T細胞療法と組み合わせて使用されると相乗的に作用する。例示的実施形態では、FAP結合物質は、血液系腫瘍の治療において、CAR T細胞療法と組み合わせて使用されると相乗的に作用する。ある実施形態では、FAP結合物質は、固形腫瘍の治療において、CAR T細胞療法と組み合わせて使用されると相乗的に作用する。例えば、FAP結合物質とCAR T細胞との使用は、相乗的に作用して、腫瘍または癌を低減または除去し得、または腫瘍または癌の増殖および/または進行および/または転移を遅らせ得る。いくつかの実施形態では、本発明の技術のFAP結合物質は、CAR T細胞分裂を誘導する。いくつかの実施形態では、本発明の技術のFAP結合物質は、CAR T細胞増殖を誘導する。いくつかの実施形態では、本発明の技術のFAP結合物質は、CAR T細胞増のアナジーを防止する。
【0431】
いくつかの実施形態では、CAR T細胞療法は、抗原(例えば、腫瘍抗原)、例えば、限定されないが、炭酸脱水酵素IX(CAIX)、5T4、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD38、CD47、CS1、CD138、Lewis-Y、L1-CAM、MUC16、ROR-1、IL13Ra2、gp100、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、B細胞成熟抗原(BCMA)、ヒトパピローマタイプ16 E6(HPV-16 E6)、CD171、葉酸受容体アルファ(FRa)、GD2、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、メソテリン、EGFRvIII、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、癌胎児抗原(CEA)、および血管内皮細胞増殖因子受容体2(VEGFR2)、ならびに当該技術分野において周知のその他の腫瘍抗原を標的とするCAR T細胞を含む。追加の腫瘍抗原の例としては、MART-1/Melan-A、gp100、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)、アデノシンデアミナーゼ結合タンパク質(ADAbp)、シクロフィリンb、結腸直腸関連性抗原(CRC)-0017-1A/GA733、癌胎児抗原(CEA)およびその免疫原性エピトープCAP-1およびCAP-2、etv6、am11、前立腺特異抗原(PSA)およびその免疫原性エピトープPSA-1、PSA-2、およびPSA-3、T細胞受容体/CD3-ゼータ鎖、MAGEファミリーの腫瘍抗原(例えば、MAGE-A1、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A5、MAGE-A6、MAGE-A7、MAGE-A8、MAGE-A9、MAGE-A10、MAGE-A11、MAGE-AI2、MAGE-Xp2(MAGE-B2)、MAGE-Xp3(MAGE-B3)、MAGE-Xp4(MAGE-B4)、MAGE-C1、MAGE-C2、MAGE-C3、MAGE-C4、MAGE-05)、GAGEファミリーの腫瘍抗原(例えば、GAGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7、GAGE-8、GAGE-9)、BAGE、RAGE、LAGE-1、NAG、GnT-V、MUM-1、CDK4、チロシナーゼ、p53、MUCファミリー、HER2/neu、p21ras、RCAS1、a-フェトプロテイン、E-カドヘリン、a-カテニン、3-カテニンおよびγ-カテニン、p120ctn、gp100、Pme1117、PRAME、NY-ESO-1、cdc27、大腸腺腫症タンパク質(APC)、フォドリン、コネキシン37、Ig-イディオタイプ、p15、gp75、GM2およびGD2ガングリオシド、ヒトパピローマウイルスタンパク質などのウイルス産物、Smadファミリーの腫瘍抗原、Imp-1、NA、EBV-コード化核内抗原(EBNA)-1、脳グリコーゲンホスホリラーゼ、SSX-1、SSX-2(HOM-MEL-40)、SSX-1、SSX-4、SSX-5、SCP-1 CT-7、c-erbB-2、CD19、CD37、CD56、CD70、CD74、CD138、AGS16、MUC1、GPNMB、Ep-CAM、PD-L1、PD-L2が挙げられるが、これらに限定されない。
【0432】
例示的CAR T細胞療法としては、JCAR014(Juno Therapeutics)、JCAR015(Juno Therapeutics)、JCAR017(Juno Therapeutics)、JCAR018(Juno Therapeutics)、JCAR020(Juno Therapeutics)、JCAR023(Juno Therapeutics)、JCAR024(Juno Therapeutics)、CTL019(Novartis)、KTE-C19(Kite Pharma)、BPX-401(Bellicum Pharmaceuticals)、BPX-501(Bellicum Pharmaceuticals)、BPX-601(Bellicum Pharmaceuticals)、bb2121(Bluebird Bio)、CD-19 Sleeping Beauty cells(眠れる森の美女細胞)(Ziopharm Oncology)、UCART19(Cellectis)、UCART123(Cellectis)、UCART38(Cellectis)、UCARTCS1(Cellectis)、OXB-302(Oxford BioMedica、MB-101(Mustang Bio)およびInnovative Cellular Therapeuticsにより開発されたCAR T細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0433】
いくつかの実施形態では、本発明の技術は、国際公開第2013/10779号、国際公開第2015/007536号、国際公開第2015/007520号、国際公開第2015/007542号、および国際公開第2015/007903号に記載の1種または複数のキメラ物質との併用療法に関する。これらの特許の全内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0434】
限定されないが、感染症適用を含む、いくつかの実施形態では、本発明の技術は、追加の治療薬としての抗感染薬に関する。いくつかの実施形態では、抗感染薬は、抗ウイルス薬であり、これは、限定されないが、アバカビル、アシクロビル、アデホビル、アンプレナビル、アタザナビル、シドフォヴィル、ダルナビル、デラビルジン、ジダノシン、ドコサノール、エファビレンツ、エルビテグラビル、エムトリシタビン、エンフビルチド、エトラビリン、ファムシクロビル、およびホスカルネットを含む。いくつかの実施形態では、抗感染薬は抗菌剤であり、これは、限定されないが、セファロスポリン系抗生物質(セファレキシン、セフロキシム、セファドロキシル、セファゾリン、セファロチン、セファクロール、セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジル、およびセフトビプロール);フルオロキノロン系抗生物質(シプロ、レヴァキン、フロキシン、テクイン、アベロックスおよびノルフロックス);テトラサイクリン系抗生物質(テトラサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、およびドキシサイクリン);ペニシリン系抗生物質(アモキシシリン、アンピシリン、ペニシリンV、ジクロキサシリン、カルベニシリン、バンコマイシン、およびメチシリン);モノバクタム系抗生物質(アズトレオナム);およびカルバペネム系抗生物質(エルタペネム、ドリペネム、イミペネム/シラスタチン、およびメロペネム)を含む。いくつかの実施形態では、抗感染薬は、抗マラリア薬(例えば、クロロキン、キニーネ、メフロキン、プリマキン、ドキシサイクリン、アーテメータ/ルメファントリン、アトバクオン/プログアニルおよびスルファドキシン/ピリメタミン)、メトロニダゾール、チニダゾール、イベルメクチン、パモ酸ピランテル、およびアルベンダゾールを含む。
【0435】
限定されないが、自己免疫疾患適用を含むいくつかの実施形態では、追加の治療薬は、免疫抑制剤である。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤は、ステロイド性抗炎症剤または非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)などの抗炎症剤である。ステロイド、特に副腎皮質ホルモン剤およびそれらの合成類似体は当該技術分野においてよく知られている。本発明の技術で有用な副腎皮質ステロイドの例としては、ヒドロキシルトリアムシノロン、α-メチルデキサメタゾン、β-メチルβ-メタゾン、ベクロメタゾンジプロピオネート、β-メタゾンベンゾエート、β-メタゾンジプロピオネート、β-メタゾンバレレート、クロベタゾールバレレート、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラソンジアセテート、ジフルコルトロンバレレート、フルアドレノロン、フルクロロロンアセトニド、フルメタゾンピバレート、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチンブチルエステル、フルオコルトロン、フルプレドニデン(フルプレドニリデン)アセテート、フルランドレノロン、ハルシノニド、ヒドロコルチゾンアセテート、ヒドロコルチゾンブチレート、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾン、ジフルオロゾンジアセテート、フルラドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、ベタメタゾンおよびその残りのエステル、クロロプレドニソン、クロコルテロン、クレシノロン、ジクロリゾン、ジフルプレドネート、フルクロロニド、フルニソリド、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニソロン、ヒドロコルチゾン、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ベクロメタゾンジプロピオネートが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の技術で使用してよい(NSAIDS)としては、限定されないが、サリチル酸、アセチルサリチル酸、サリチル酸メチル、グリコールサリチレート、サリチルアミド、ベンジル-2,5-ジアセトキシ安息香酸、イブプロフェン、スリンダク(fulindac)、ナプロキセン、ケトプロフェン、エトフェナメート、フェニルブタゾン、およびインドメタシンが挙げられる。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤は、アルキル化剤、代謝拮抗物質(例えば、アザチオプリン、メトトレキセート)、細胞傷害性抗生物質、抗体(バシリキシマブ、ダクリズマブ、およびムロモナブ)、抗イムノフィリン剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス)、インターフェロン、オピオイド、TNF結合タンパク質、ミコフェノレート、および小分子生物学的製剤(例えば、フィンゴリモド、ミリオシン)などの細胞分裂阻害薬であってよい。追加の抗炎症剤は、例えば、米国特許第4,537,776号に記載され、この特許の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0436】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載のFAP結合物質は、修飾されている誘導体、すなわち、共有結合が組成物の活性を妨げないような組成物への任意のタイプの分子の共有結合により修飾されている誘導体を含む。例えば、限定するものではないが、誘導体は、特に、グリコシル化、脂質化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護/ブロック基による誘導体化、タンパク質切断、細胞リガンドまたはその他のタンパク質への結合、などにより修飾されている組成物を含む。多くの化学修飾のいずれかを既知の技術、例えば、限定されないが、特異的化学切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成、などを使って行うことができる。
【0437】
さらに他の実施形態では、本明細書に記載のFAP結合物質は、例示的実施形態で、毒素、化学療法剤、放射性同位元素、およびアポトーシスまたは細胞死を引き起こす物質を含む細胞傷害薬をさらに含む。このような物質は、本明細書に記載の組成物に複合化され得る。
【0438】
本明細書で記載のFAP結合物質は従って翻訳後修飾されて、化学リンカーなどのエフェクター部分、例えば蛍光染料、酵素、基質、生物発光物質、放射性物質、および化学発光部分などの検出可能な部分、または、例えばストレプトアビジン、アビジン、ビオチン、細胞毒、細胞傷害性薬、および放射性物質などの機能的部分を付加し得る。
【0439】
細胞傷害薬の例としては、メトトレキセート、アミノプテリン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン;アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオテパ(thioepa)、クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、マイトマイシンC、ロムスチン(CCNU)、1-メチルニトロソウレア、シクロホスファミド(cyclothosphamide)、メクロレタミン、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、シス-ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチンおよびカルボプラチン(パラプラチン));アントラサイクリン(ダウノルビシン(以前のダウノマイシン)およびドキソルビシン(アドリアマイシン)、デトルビシン、カルミノマイシン、イダルビシン、エピルビシン、ミトキサントロンおよびビサントレンを含む);抗生物質(ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ブレオマイシン、カリチアマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC)を含む);有糸分裂阻害薬(antimytotic agent)(例えば、ビンカアルカロイドビンカアルカロイド、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)が挙げられるが、これらに限定されない。その他の細胞傷害薬としては、パクリタキセル(タキソール)、リシン、緑膿菌外毒素、ゲムシタビン、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、エトポシド、テノポシド、コルヒチン、ジヒドロキシアントラシンジオン,1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、アスパラギナーゼ、副腎皮質ステロイド、ミトタン(mytotane)(O,P’-(DDD))、インターフェロン、およびこれらの細胞傷害薬の混合物が挙げられる。
【0440】
さらなる細胞傷害薬としては、化学療法剤、例えば、カルボプラチン、シスプラチン、パクリタキセル、ゲムシタビン、カリチアマイシン、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、シクロホスファミド、ビンクリスチン、ブレオマイシン、VEGFアンタゴニスト、EGFRアンタゴニスト、プラチン、タキソール、イリノテカン、5-フルオロウラシル、ゲムシタビン(gemcytabine)、ロイコボリン、ステロイド類、シクロホスファミド、メルファラン、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシンおよびビノレルビン)、ムスチン、チロシンキナーゼ阻害剤、放射線療法、性ホルモン拮抗薬、選択的アンドロゲン受容体調節薬、選択的エストロゲン受容体調節薬、PDGFアンタゴニスト、TNFアンタゴニスト、IL-1アンタゴニスト、インターロイキン(例えば、IL-12またはIL2)、IL-12Rアンタゴニスト、毒素複合化モノクローナル抗体、腫瘍抗原特異的モノクローナル抗体、アービタックス、アバスチン、ペルツズマブ、抗CD20抗体、リツキサン、オクレリズマブ、オファツムマブ、DXL625、ハーセプチン(登録商標)、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。リシン、ジフテリア毒素およびシュードモナス毒素などの植物および細菌由来の毒性酵素は、治療薬(例えば、抗体)と複合体形成して、細胞型特異的殺作用剤を生成し得る(Youle,et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 77:5483(1980);Gilliland,et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 77:4539(1980);Krolick,et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 77:5419(1980))。
【0441】
他の細胞傷害薬としては、Goldenbergによる米国特許第6.653,104号に記載される細胞傷害性リボヌクレアーゼが挙げられる。本発明の技術の実施形態はまた、放射性免疫複合体に関し、複合体形成剤を使用してまたは使用せずに、アルファまたはベータ粒子を放出する放射性核種がFAP結合物質に安定に結合される。このような放射性核種としては、例えば、リン-32、スカンジウム-47、銅-67、ガリウム-67、イットリウム-88、イットリウム-90、ヨウ素-125、ヨウ素-131、サマリウム-153、ルテチウム-177、レニウム-186またはレニウム-188などのβ放射体、およびアスタチン-211、鉛-212、ビスマス-212、ビスマス-213またはアクチニウム-225などのα放射体が挙げられる。
【0442】
検出可能な部分の例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、アルカリフォスファターゼ、ベータガラクトシダーゼおよびルシフェラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。蛍光材料のさらなる例としては、ローダミン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ウンベリフェロン、ジクロロトリアジニルアミン、フィコエリトリンおよびダンシルクロリドが挙げられるが、これらに限定されない。化学発光部分のさらなる例としては、ルミノールが挙げられるが、これに限定されない。生物発光材料のさらなる例としては、ルシフェリンおよびエクオリンが挙げられるが、これらに限定されない。放射性材料のさらなる例としては、ヨウ素-125、炭素-14、硫黄-35、トリチウムおよびリン-32が挙げられるが、これらに限定されない。
【0443】
治療方法
本明細書に記載の方法および組成物は、限定されないが、癌、感染症、免疫異常、線維性疾患、炎症性疾患または状態、貧血、自己免疫疾患、心臓血管疾患、創傷治癒、虚血関連疾患、神経変性疾患、代謝疾患、ならびに多くの他の疾患および障害を含む、種々の疾患および障害を治療する用途がある。
【0444】
さらに、本発明に物質のいずれかは、限定されないが、癌、感染症、免疫異常、炎症性疾患または状態、線維性疾患、および自己免疫疾患を含む、種々の疾患および障害の治療、または治療用の薬物の製造において使用し得る。
【0445】
いくつかの実施形態では、本発明は、慢性肉芽腫性疾患、大理石骨病、特発性肺線維症、フリードライヒ運動失調症、アトピー性皮膚炎、シャーガス病、癌、心不全、自己免疫疾患、鎌状赤血球病、サラセミア、失血、輸血反応、糖尿病、ビタミンB12欠乏、膠原血管病、シュワッハマン症候群、血小板減少性紫斑病、セリアック病、甲状腺機能低下症またはアジソン病などの内分泌腺不全状態、クローン病、全身性エリテマトーデス、関節リウマチまたは若年性関節リウマチなどの自己免疫疾患、潰瘍性大腸炎、好酸球性筋膜炎または低免疫グロブリン血症または胸腺腫/胸腺癌などの免疫異常、移植片対宿主病、前白血病、非造血系症候群(Nonhematologic syndrome)(例えば、ダウン、デボウィッツ、セッケル)、フェルティー症候群、溶血性尿毒症症候群、骨髄異形成症候群、発作性夜間ヘモグロビン尿症、骨骨髄線維症、汎血球減少、赤芽球癆、ヘノッホ・シェーライン紫斑症、マラリア、タンパク質不足、月経過多、全身性硬化症、肝硬変、低代謝状態、およびうっ血性心不全の内の1種もしくは複数の処置、またはそれを有する患者の処置に関する。
【0446】
いくつかの実施形態では、本発明は、慢性肉芽腫性疾患、大理石骨病、特発性肺線維症、フリードライヒ運動失調症、アトピー性皮膚炎、シャーガス病、マイコバクテリア感染症、癌、強皮症、肝炎、C型肝炎、敗血症性ショック、および関節リウマチの内の1種または複数の処置、またはそれを有する患者の処置に関する。
【0447】
いくつかの実施形態では、本発明の技術は、癌の治療、または癌の患者に関する。本明細書で使用される場合、癌は、身体の器官およびシステムの正常な機能動作を妨害し得る任意の制御されない細胞増殖を指し、原発性および転移性の腫瘍の両方を含む。元の位置から移動し重要な器官に播種される原発性腫瘍または癌は、罹患した器官の機能劣化により対象の死を最終的にもたらす場合がある。転移は、原発腫瘍部位のものとは異なる癌細胞または一群の癌細胞であり、原発腫瘍から身体の他の部位への癌細胞の播種から生ずる。転移は、最終的に対象の死をもたらす場合がある。例えば、癌は、良性および悪性の癌、ポリープ、過形成、ならびに休眠腫瘍または微小転移を含み得る。
【0448】
治療され得る癌の例としては、限定されないが、白血病(例えば、急性骨髄性、急性リンパ芽球性、慢性骨髄性、慢性リンパ球性および毛様細胞を含む)、リンパ腫および骨髄腫(例えば、ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫、軽鎖、非分泌型、MGUS、および形質細胞腫を含む)、および中枢神経系の癌(例えば、脳(例えば、神経膠腫(星細胞腫、乏突起膠腫、および上衣腫)、髄膜腫、下垂体腺腫および神経腫)および骨髄の腫瘍(例えば、髄膜腫および神経線維腫)を含む)が挙げられる。
【0449】
治療され得る癌の例としては、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳および中枢神経系癌、乳癌、腹膜の癌、子宮頸癌、絨毛癌、結腸および直腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部の癌、胃癌(胃腸癌を含む)、神経膠芽腫、肝癌、ヘパトーマ、上皮内腫瘍、腎臓癌または腎臓癌(kidney or renal cancer)、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、および肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽腫、口腔癌(唇、舌、口内、および咽頭)、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系癌、唾液腺癌腫、肉腫、皮膚癌、扁平上皮細胞癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮または子宮内膜癌、泌尿器系の癌、外陰癌、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫、ならびにB細胞リンパ腫を含むリンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)を含む)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽細胞NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL、巨大腫瘤病変NHL、マントル細胞リンパ腫、エイズ関連リンパ腫、およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、毛様細胞性白血病、慢性骨髄芽球性白血病、ならびに他の癌腫および肉腫、および移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、ならびに母斑症、浮腫(例えば、脳腫瘍に関連するもの)、およびメグズ症候群に関連する異常血管増殖が挙げられるが、これらに限定されない。
【0450】
いくつかの実施形態では、本発明の技術は、癌の治療のための改変シグナル伝達物質をさらに含むキメラの一部であるFAP結合物質を提供する。いくつかの実施形態では、本発明の技術のFAP結合物質は、腫瘍を大きく低減および/または除去する。いくつかの実施形態では、本発明のFAP結合物質は、他の抗癌剤、例えば、化学療法剤、チェックポイント阻害剤、および免疫抑制剤と併せて対象に投与されると、腫瘍を大きく低減および/または除去する。いくつかの実施形態では、FAP結合物質と他の抗癌剤の組み合わせは、腫瘍サイズを相乗的に低減するおよび/または腫瘍細胞を除去する。
【0451】
いくつかの実施形態では、本発明の技術は、1つまたは複数のターゲティング部分および1種または複数の改変シグナル伝達物質を含むキメラの一部であるFAP結合物質を用いる癌併用療法に関する。したがって、本発明の技術は、例えば、FAPに対するターゲティング部分および1種または複数のシグナル伝達物質を含むキメラまたは融合タンパク質および抗癌剤と組み合わせたその使用を提供する。
【0452】
例えば、いくつかの実施形態では、本発明の技術は、限定されないが、本明細書に記載のFAP結合物質と、ヒトインターフェロンアルファ2を含むIFN-アルファなどの変異ヒトインターフェロンを含む改変シグナル伝達物質とのキメラを含む癌の併用療法剤に関する。
【0453】
他の実施形態では、本発明のFAP結合物質は、複数のターゲティング部分を含みしたがって二重特異性または三重特異性フォーマットで存在するキメラの一部である。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の技術は、FAP結合物質と、本明細書に記載のチェックポイント阻害剤結合物質(例えば、抗PD-L1、抗PD-1、抗PD-L2、または抗CTLA)、および限定されないが、ヒトインターフェロンアルファ2を含むIFN-アルファなどの変異ヒトインターフェロンを含む改変シグナル伝達物質、を含む癌のための併用療法剤に関する。
【0454】
いくつかの実施形態では、シグナル伝達物質は、その1つまたは複数の受容体に対する低減された親和性または活性を有し、それにより、キメラタンパク質の活性(アゴニズムまたはアンタゴニズムを含む)の減弱化を可能にし、および/または非特異的シグナル伝達または望ましくない隔離を防止するように改変される。いくつかの実施形態では、受容体に対し低減された親和性または活性は、本明細書に記載の1つまたは複数のターゲティング部分の結合により回復可能である。
【0455】
いくつかの実施形態では、本発明の技術は、微生物感染症および/または慢性感染症の治療、またはそれらの感染症を罹患している患者に関する。感染症の例としては、HIV/AIDS、結核、骨髄炎、B型肝炎、C型肝炎、エプスタイン・バールウイルスまたはパルボウイルス感染症、T細胞白血病ウイルス感染症、細菌過剰症候群、真菌または寄生虫感染症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0456】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、炎症、急性炎症、慢性炎症、呼吸器疾患、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、敗血性ショック、関節リウマチ、炎症性腸疾患、炎症性骨盤疾患、痛み、眼の炎症性疾患、セリアック病、リー症候群、グリセロールキナーゼ欠損症、家族性好酸球増加症(FE)、常染色体劣性遺伝性脊髄小脳変性症、炎症性喉頭疾患、結核、慢性胆嚢炎、気管支拡張症、珪肺症および他の塵肺症などの1種または複数の炎症性疾患または状態を治療するまたは予防するために使用される。
【0457】
いくつかの実施形態では、本発明の技術は、自己免疫疾患および/または神経変性疾患を治療する用途を有する。
【0458】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、1種または複数の望ましくないCTL活性を特徴とする状態、および/または高レベルの細胞死を特徴とする状態を治療するまたは予防するために使用される。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、1種または複数の無制御または過敏性の免疫応答に関連する状態を治療するまたは予防するために使用される。
【0459】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、MS、糖尿病、ループス、セリアック病、クローン病、潰瘍性大腸炎、ギラン・バレー症候群、強皮症、グッドパスチャー症候群、ウェゲナー肉芽腫症、自己免疫性てんかん、ラスムッセン脳炎、原発性硬化性胆管炎、硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎、アジソン病、橋本甲状腺炎、線維筋痛症、メニエール症候群(Menier’s syndrome)、移植拒絶反応(例えば、移植片拒絶の防止)、悪性貧血、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、紅斑性狼瘡、重症筋無力症、ライター症候群、グレーブス病、およびその他の自己免疫疾患などの1種または複数の自己免疫疾患および/または神経変性疾患または状態の治療または予防に使用される。
【0460】
いくつかの実施形態では、本発明の技術は、自己免疫疾患および/または神経変性疾患を治療するまたは予防するために用いられる。いくつかの実施形態では、自己免疫疾患および/または神経変性疾患は、MS、アルツハイマー病(限定されないが、早期発症型アルツハイマー病、遅発性アルツハイマー病、および家族性アルツハイマー病(FAD)を含む)、パーキンソン病およびパーキンソニズム(限定されないが、特発性パーキンソン病、脳血管性パーキンソニズム、薬剤誘発性パーキンソニズム、レヴィー小体型痴呆、遺伝性パーキンソン病、若年性パーキンソン病を含む)、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS、限定されないが、突発性ALS、家族性ALS、西太平洋ALS、若年性ALS、平山病(Hiramaya disease))から選択される。
【0461】
ある実施形態では、本発明は、ウイルス性肝炎、アルコール性肝炎、自己免疫性肝炎、アルコール性肝疾患、脂肪性肝疾患、脂肪肝、脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪性肝疾患、薬物性肝疾患、肝硬変、線維症、肝不全、薬物性肝不全、メタボリックシンドローム、肝細胞癌、胆管細胞癌、原発性胆汁性肝硬変(原発性胆汁性胆管炎)、毛細胆管、ギルバート症候群、黄疸、および任意の他の肝毒性関連の適応症から選択される1種または複数の肝障害の治療または予防のための方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、肝線維症の治療または予防のための方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、場合により進行性線維症および肝線維症による、原発性硬化性胆管炎(PSC)、慢性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪肝(NASH)、C型肝炎感染、アルコール性肝疾患、肝障害の治療または予防のための方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、非アルコール性脂肪肝(NASH)の治療または予防のための方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、線維症を低減または予防する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、肝硬変を低減または予防するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、肝細胞癌を低減または予防する方法を提供する。
【0462】
いくつかの実施形態では、本発明は、場合により肝線維症、肺線維症、原発性硬化性胆管炎(PSC)、慢性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪肝(NASH)、C型肝炎感染、アルコール性肝疾患、肝障害、肝硬変、および骨髄異形成症候群から選択される線維性疾患を治療または予防する方法を提供する。
【0463】
種々の実施形態では、本発明は、限定されないが、冠動脈性心疾患(CHD)、脳血管疾患(CVD)、大動脈弁狭窄症、末梢血管疾患、アテローム性硬化症、動脈硬化症、心筋梗塞(心発作)、脳血管疾患(卒中)、一過性虚血性発作(TIA)、狭心症(安定および不安定)、心房細動、不整脈、弁(vavular)疾患、および/またはうっ血性心不全を含む、心臓および脈管構造に影響を及ぼす疾患または状態などの心臓血管疾患の治療または予防のための方法を提供する。種々の実施形態では、本発明は、炎症を含む心臓血管疾患の治療または予防のための方法を提供する。
【0464】
種々の実施形態では、本発明は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支拡張症、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、肺血管狭窄、炎症、アレルギー、呼吸困難、呼吸促迫症候群、嚢胞性線維症、肺高血圧症、肺血管狭窄、気腫、ハンタウイルス肺症候群(HPS)、レフラー症候群、グッドパスチャー症候群、胸膜炎、間質性肺炎、肺浮腫、肺線維症、類肉腫症、呼吸器発疹ウイルス感染症に関連する合併症、および他の呼吸器疾患などの1種または複数の呼吸器疾患の治療または予防のための方法を提供する。
【0465】
いくつかの実施形態では、本発明の技術の方法は、ヒト対象の治療で有用である。いくつかの実施形態では、ヒトは小児科のヒトである。他の実施形態では、ヒトは成人のヒトである。他の実施形態では、ヒトは老人のヒトである。他の実施形態では、ヒトは患者と呼ばれることもある。いくつかの実施形態では、ヒトは女性である。いくつかの実施形態では、ヒトは男性である。
【0466】
特定の実施形態では、ヒトは、約1~約18ヶ月、約18~約36ヶ月、約1~約5才、約5~約10才、約10~約15才、約15~約20才、約20~約25才、約25~約30才、約30~約35才、約35~約40才、約40~約45才、約45~約50才、約50~約55才、約55~約60才、約60~約65才、約65~約70才、約70~約75才、約75~約80才、約80~約85才、約85~約90才、約90~約95才または約95~約100才の範囲の年齢である。いくつかの実施形態では、ヒトは30才を超える年齢である。
【0467】
免疫調節
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、免疫調節ができ、または免疫調節の方法において使用される。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の治療方法は、本明細書に記載の免疫調節を含み得る。いくつかの実施形態では、免疫調節は、樹状細胞(DC)の場合、改変IFN-シグナル伝達を含むIFN-シグナル伝達を含む。
【0468】
いくつかの実施形態では、多重特異的FAP結合物質が提供される。いくつかの実施形態では、本発明の技術のこのような多重特異的FAP結合物質は、FAPおよび1個または複数の免疫細胞上に見出される1個または複数の抗原を認識し、それらに結合する。免疫細胞は、巨核球、血小板、赤血球、マスト細胞、好塩基球、好中球、好酸球、単球、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、Tリンパ球(例えば、細胞傷害性Tリンパ球、キラーT細胞)、Bリンパ球、プラズマ細胞、樹状細胞、またはこれらのサブセットを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、目的の抗原に特異的に結合し、1個または複数の免疫細胞を効果的に、直接または間接的に動員する。
【0469】
いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、目的の抗原に特異的に結合し、効果的に、直接または間接的に1個または複数の免疫細胞を動員し、免疫抑制効果を生じさせる。例えば、FAP結合物質は直接的または間接的に免疫抑制性免疫細胞を動員する。いくつかの実施形態では、免疫抑制性免疫細胞は、制御性T細胞(または本明細書で使用される場合、免疫系を調節し、自己免疫疾患を抑制し、自己抗原に対する寛容を維持し、抗腫瘍免疫応答を妨害するT細胞の亜集団を指す、「Treg」)である。他の免疫抑制性免疫細胞としては、骨髄系サプレッサー細胞(または「MSC」で、本明細書で使用される場合、それらの骨髄起源、未成熟状態、およびT細胞応答を強力に抑制する能力により規定される不均一細胞集団を指す);腫瘍関連好中球(または「TAN」で、本明細書で使用される場合、免疫応答を抑制することができる好中球サブセットを指す);腫瘍関連マクロファージ(または「TAM」で、本明細書で使用される場合、免疫応答を低減させ得るマクロファージのサブセットを指す)、M2マクロファージ、および/または腫瘍誘導マスト細胞(本明細書で使用される場合、骨髄由来の長寿命不均一細胞集団のサブセットを指す)が挙げられる。また、免疫抑制性免疫細胞は、Th2細胞およびTh17細胞を含む。さらに、免疫抑制性免疫細胞としては、免疫細胞、例えば、1種または複数のチェックポイント阻害剤受容体を発現しているCD4+および/またはCD8+ T細胞(例えば、無制御免疫応答を防止または抑制する免疫細胞上で発現されるCTLA-4、B7-H3、B7-H4、TIM-3を含む、受容体)が挙げられる。Stagg,J.et.al.,Immunotherapeutic approach in triple-negative breast cancer.Ther Adv Med Oncol.(2013)5(3):169-181)を参照されたい。
【0470】
いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、制御性T細胞(Treg)増殖を刺激する。Treg細胞は、Foxp3(Forkhead box p3)転写因子の発現を特徴とする。大部分のTreg細胞は、CD4+およびCD25+であり、ヘルパーT細胞のサブセットと見なすことができるが、小さい集団はCD8+である場合もある。したがって、本発明の技術の方法により調節されるべき免疫応答は、Treg細胞の、場合により抗原に応答した、増殖誘導を含み得る。したがって、方法は、対象に抗原を含む組成物を投与することを含み得、この場合、抗原はFAPに対する親和性を有する結合物質と組み合わせられる。抗原はTreg細胞の増殖を促進するアジュバントと共に投与されてよい。
【0471】
この方法が特異的抗原に応答してTregの増殖と分化を伴う限り、それは免疫応答を刺激する方法であると見なすことができる。しかし、Tregが抗原に対し免疫系の他の細胞の応答を他の方法、例えば、それらの活性を阻害または抑制することで調節できることを考慮すれば、全体としての免疫系に対する効果は、その抗原に対する応答を調節(例えば、抑制または阻害)することであり得る。したがって、本発明の技術のこの態様の方法は、同様に、抗原に対する免疫応答を調節(例えば、阻害または抑制)する方法と呼ぶことができる。
【0472】
いくつかの実施形態では、方法は、その抗原に対する既存の免疫または進行中の免疫応答を有する対象の場合でも、特定の抗原に対する望ましくない免疫応答を治療的にまたは予防的に阻害または抑制する。これは、例えば、自己免疫疾患の治療で特に有用であり得る。
【0473】
特定の条件下では、FAPを発現する抗原提示細胞を抗原の標的にすることにより、特定の抗原に対して対象を寛容化することも可能である。したがって、本発明の技術は、対象の抗原に対する寛容を誘導する方法を提供し、この方法は、対象に抗原を含む組成物を投与することを含み、この場合、抗原はFAPに対する親和性を有する結合物質と組み合わせられ、その抗原はアジュバントの非存在下で投与される。この状況において、寛容は通常、その抗原に応答できるはずの免疫細胞の枯渇を伴うか、またはこのような免疫細胞の抗原に対する応答性の持続的低減の誘導を伴う。
【0474】
それに対し対象が望ましくない免疫応答を示す、または生じる危険性のある抗原に対して、Treg応答を高めることは特に望ましいであろう。例えば、それは、それに対し自己免疫疾患で免疫応答が起こる自己抗原であり得る。特定の抗原が潜在的に病因に関して重要であると特定されている自己免疫疾患の例としては、多発性硬化症(ミエリン塩基性タンパク質)、インスリン依存性糖尿病(グルタミン酸デカルボキシラーゼ)、インスリン耐性糖尿病(インスリン受容体)、セリアック病(グリアジン)、水疱性類天疱瘡(コラーゲンXVII型)、自己免疫性貧血(Rhタンパク質)、自己免疫性血小板減少症(GpIIb/IIIa)、重症筋無力症(myaesthenia gravis)(アセチルコリン受容体)、グレーブス病(甲状腺刺激ホルモン受容体)、グッドパスチャー病などの糸球体腎炎(アルファ3(IV)NC1コラーゲン)、および悪性貧血(内因子)が挙げられる。あるいは、標的抗原は、同様に宿主組織に損害をもたらす応答を刺激する外来性抗原であってもよい。例えば、急性リウマチ熱は、心筋細胞抗原と交差反応する連鎖球菌抗原に対する抗体応答により引き起こされる。したがって、これらの抗原、またはその特定のフラグメントまたはエピトープは、本発明の技術での使用のために好適な抗原であり得る。
【0475】
いくつかの実施形態では、本発明の物質、またはこれらの物質を用いる方法は、例えば、そのリガンドへのFAP結合を低減するかまたは抑制することにより、FAPシグナル伝達を破壊する(例えば、FAPの中和を介して)。いくつかの自己免疫疾患は、異常な高レベルの細胞死を特徴とし、これらの細胞と関連する自己抗原に対する免疫応答がこれらの状態の発症に寄与すると考えられる。したがって、FAPアンタゴニストを使用して、死細胞または瀕死細胞(例えば、免疫原性細胞死に曝されている細胞)中に曝露されたリガンドへのFAPの結合を防ぎ、それにより、これらの抗原に対する免疫応答の刺激を抑制または防止し得る。
【0476】
いくつかの実施形態では、本発明の物質、またはこれらの物質を用いる方法は、自己反応性T細胞を低減または抑制する。いくつかの実施形態では、多重特異的FAP結合物質は、キメラの場合には任意にインターフェロンシグナル伝達を介して、この免疫抑制をもたらす。いくつかの実施形態では、多重特異的FAP結合物質は、PD-L1またはPD-L2シグナル伝達および/または発現を刺激し、これは自己反応性T細胞を抑制し得る。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、キメラの場合にはインターフェロンシグナル伝達を介して、この免疫抑制をもたらす。いくつかの実施形態では、FAP結合物質は、PD-L1またはPD-L2シグナル伝達および/または発現を刺激し、これは自己反応性T細胞を抑制し得る。
【0477】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、制御性T細胞対エフェクターT細胞の比率を、例えば、自己免疫疾患を治療するために、免疫抑制に有利なように調整することを含む。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の方法は、1種または複数の細胞傷害性T細胞;エフェクターメモリーT細胞;セントラルメモリーT細胞;CD8+ 幹細胞メモリーエフェクター細胞;TH1エフェクターT細胞;TH2エフェクターT細胞;TH9エフェクターT細胞;TH17エフェクターT細胞を低減および/または抑制する。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の方法は、CD4+CD25+FOXP3+制御性T細胞、CD4+CD25+制御性T細胞、CD4+CD25-制御性T細胞、CD4+CD25high制御性T細胞、TIM-3+PD-1+制御性T細胞、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3)制御性T細胞、CTLA-4/CD152+制御性T細胞、ニューロピリン-1(Nrp-1)±制御性T細胞、CCR4+CCR8+制御性T細胞、CD62L(L-セレクチン)制御性T細胞、CD45RBlow制御性T細胞、CD127low制御性T細胞、LRRC32/GARP+制御性T細胞、CD39+制御性T細胞、GITR+制御性T細胞、LAP制御性T細胞、1B11+制御性T細胞、BTLA+制御性T細胞、1型制御性T細胞(Tr1細胞)、Tヘルパー3型(Th3)細胞、ナチュラルキラーT細胞表現型の制御性細胞(NKTreg)、CD8+制御性T細胞、CD8+CD28-制御性T細胞および/またはIL-10、IL-35、TGF-3、TNF-a、ガレクチン-1、IFN-γおよび/またはMCP1分泌制御性T細胞の内の1種または複数を増加させる、および/または刺激する。
【0478】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、免疫刺激シグナルより免疫抑制シグナルを優先する。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、免疫活性化シグナルまたは共刺激シグナルを逆転または抑制することを可能にする。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、免疫抑制シグナルを提供することを可能にする。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の物質および方法は、免疫刺激シグナルの効果を低減する。免疫刺激シグナルは、限定されないが、4-1BB、OX-40、HVEM、GITR、CD27、CD28、CD30、CD40、ICOSリガンド;OX-40リガンド、LIGHT(CD258)、GITRリガンド、CD70、B7-1、B7-2、CD30リガンド、CD40リガンド、ICOS、ICOSリガンド、CD137リガンドおよびTL1Aの内の1種または複数である。さらにいくつかの実施形態では、本物質および方法は、免疫抑制シグナルの効果を高める。これらのシグナルは、限定されないが、CTLA-4、PD-L1、PD-L2、PD-1、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160(BY55とも呼ばれる)、CGEN-15049、CHK1およびCHK2キナーゼ、A2aR、CEACAM(例えば、CEACAM-1、CEACAM-3および/またはCEACAM-5)、および種々のB-7ファミリーリガンド(限定されないが、B7-1、B7-2、B7-DC、B7-H1、B7-H2、B7-H3、B7-H4、B7-H5、B7-H6およびB7-H7を含む)の内の1種または複数である。
【0479】
キット
本発明の技術はまた、本明細書に記載のいずれかのFAP結合物質の投与(追加の治療薬を含み、または含まずに)のためのキットを提供する。キットは、本明細書に記載の少なくとも1種の本発明の医薬組成物を含む、材料または成分の集合体である。したがって、いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載の少なくとも1種の医薬組成物を含む。
【0480】
キットを構成する成分の明確な性質は、その意図される目的に依存する。一実施形態では、キットは、ヒト対象用を治療する目的のために構成される。
【0481】
使用説明書をキット中に含めてもよい。使用説明書は、通常、癌の治療などの望まれる治療結果を達成するために、キットの成分を使用する際に採用すべき技術を説明する明確な表現を含む。必要に応じ、キットは、他の有用な成分、例えば、希釈剤、緩衝剤、薬学的に許容可能な担体、シリンジ、カテーテル、塗布具、ピペット操作または測定用ツール、包帯材料または当業者なら容易に気付くような他の有用な備品一式も含む。
【0482】
キットに組込まれる材料および成分は、それらの操作性および有用性を維持する任意の便利で適切な方法で保管され開業医に提供され得る。例えば、成分は、室温、冷蔵温度、または凍結温度で提供できる。成分は通常、適切な梱包材料に収容される。いくつかの実施形態では、梱包材料は、よく知られた方法、好ましくは、無菌の、混入物のない環境を与える方法で構築される。梱包材料は、内容物および/またはキットの目的および/またはその成分を表示する外部ラベルを有してよい。
【0483】
定義
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、または「the」は、1つ(1種)または1つ(1種)を超える、を意味し得る。
【0484】
さらに、参照数値表示に関連して使われる用語の「約」は、参照数値表示±参照数値表示の最大で10%を意味する。例えば、用語の「約50」は、45~55の範囲を含む。
【0485】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、所望の治療および/または予防効果を実現するのに充分な量、例えば疾患もしくは障害の、または疾患もしくは障害に関連する1つもしくは複数の兆候もしくは症状の予防または低減をもたらす量を指す。治療または予防適用の状況において、対象に投与される組成物の量は、疾患の程度、型、および重症度、ならびに一般的健康状態、年齢、性別、体重および薬物耐性などの個体の特徴に依存するであろう。当業者は、これらおよび他の因子に応じて適当な投与量を決定することができよう。組成物は、1種または複数の追加の治療化合物と組み合わせて投与することもできる。本明細書に記載の方法では、治療化合物は、疾患または障害の1つまたは複数の兆候または症状を有する対象に投与され得る。
【0486】
本明細書で使用される場合、物質または刺激の存在下で、このような調節の非存在下に比べて、活性および/または効果の出力値がかなりの量、例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、またはそれを超えて、少なくとも最大約100%(約100%を含む)低減されるとき、何かが「減少され」ている。当業者により理解されるように、いくつかの実施形態では、活性は減少され、かついくつかの下流の出力値は減少されるが、他のものは増加し得る。
【0487】
逆に、物質または刺激の存在下で、このような物質または刺激の非存在下に比べて、活性および/または効果の出力値がかなりの量、例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、またはそれを超えて、最大少なくとも約100%(約100%を含む)またはそれを超えて、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍増加する場合、活性は「増加され」る。
【0488】
本明細書において、参照される場合、全ての組成物に関するパーセンテージは、特に指定がない限り、総組成物の重量による。本明細書で使用する場合、「含む(include)」という単語とその変形物は、非限定であることを意図し、それにより、リスト中の項目の記載は、この技術の組成物および方法に有用である可能性を同様に有する他の類似項目の除外を意図するものではない。同様に、用語の「can」および「may」およびその変形物は、非限定であることを意図し、それにより、ある実施形態が特定の要素または特徴を含むことが「できる(can)」または含んでも「よい(may)」という記載は、これらの要素または特徴を含まない本発明の技術のその他の実施形態を排除するものではない。
【0489】
including、containing、またはhavingなどの用語の同義語としてのオープンエンド用語の「含む(comprising)」を本明細書で使用して本発明の技術を記載および請求するが、本発明の技術、またはその実施形態は、「からなる(consisting of)」または「から本質的になる(consisting essentially of)」などの代替用語を使って、代わりに記載することができる。
【0490】
本明細書で使用される場合、用語の「好ましい」および「好ましくは」は、特定の状況下で、特定の利点をもたらす本技術の実施形態を指す。しかしながら、同じまたは他の環境下で、他の実施形態も好ましい場合がある。さらに、1つまたは複数の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用でないことを示すものではなく、また、本技術の範囲から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0491】
本明細書で使用される場合、化合物の「治療有効量」または「薬理学的有効量」または「薬理学的有効用量」は、疾患または障害の生理的効果が最低でも改良される化合物レベルを指す。治療効果はまた、改善が実現されるかどうかにかかわらず、根底にある疾患または障害の進行を止めるまたは遅らせることも含む。治療有効量は、1回または複数回の投与で与えられ得る。治療有効量を構成する化合物の量は、化合物、障害およびその重症度、ならびに治療される対象の一般的健康状態、年齢、性別体重および薬物耐性に応じて変動するであろうが、当業者により日常的に決定され得る。
【0492】
有効量、毒性、および治療効果は、例えば、細胞培養または実験動物によりLD50(集団の約50%に対する致死用量)およびED50(集団の約50%での治療的有効量)を測定するための標準的薬学的手順により決定できる。投与量は、用いられる剤形および利用される投与経路に応じて変化し得る。毒性と治療効果との間の用量比率は、治療指数であり、比率LD50/ED50で表すことができる。いくつかの実施形態では、大きな治療指数を示す組成物および方法が好ましい。治療有効量は、最初は、例えば、細胞培養アッセイを含むin vitroアッセイから推測することができる。また、用量は、細胞培養または適切な動物モデルで決定したIC50などの循環血漿中濃度を達成するように動物モデルで処方することができる。記載の組成物の血漿中レベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーにより測定することができる。いずれかの特定の投与量の効果は、適切なバイオアッセイによりモニターすることができる。投与量は医師により決定されてよく、必要に応じて、観察された治療の効果に適合するように調節できる。
【0493】
特定の実施形態では、効果は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約70%、または少なくとも約90%の定量可能な変化をもたらすであろう。いくつかの実施形態では、効果は、約10%、約20%、約30%、約50%、約70%、またはさらに約90%以上の定量化可能な変化をもたらすであろう。治療効果はまた、改善が実現されるかどうかにかかわらず、根底にある疾患または障害の進行を止めるまたは遅らせることも含む。
【0494】
本明細書で使用される場合、「治療方法」は、本明細書に記載の疾患または障害の治療のための組成物および/または本明細書に記載の疾患または障害の治療のための薬剤の製造での使用および/または複数使用のための組成物に等しく適用可能である。
【0495】
実施例
実施例1.ヒトFAP結合物質の作製
VHHライブラリーを構築し、抗原特異的VHHの存在についてスクリーニングした。このために、末梢血リンパ球由来の総RNAを、オリゴ(dT)プライマーと共に第一鎖cDNA合成のテンプレートとして用いた。このcDNAを用いて、VHHをコードする配列をPCRにより増幅し、PstIおよびNotIで消化し、ファージミドベクターpMECSのPstIおよびNotI部位にクローニングした。約10個の独立した形質転換体のVHHライブラリーを得た。形質転換体の約87%は、正しい挿入サイズのベクターを含んだ。
【0496】
ライブラリーを、抗原(200μg/ml、20μg/ウェル)がコートされた固相での3回の連続パニングラウンドに供した。抗原特異的ファージの濃縮を、抗原をコートしたウェルから溶出されたファージミド粒子の数をブロックのみを施されたウェル(陰性対照ウェル)から溶出されたファージミド粒子の数と比較することにより、各パニングラウンド後に評価した。これらの実験は、ファージ集団が、第1ラウンド、第2ラウンド、および第3ラウンドのパンニング後に、抗原特異的ファージについてそれぞれ約5倍、2×10倍、および5×10倍濃縮されたことを示唆した。第2ラウンドからの95コロニーを無作為に選択し、ペリプラズム抽出物中の抗原特異的VHHの存在についてELISA(可溶性VHHを含む粗製ペリプラズム抽出物を使用するELISA)で分析した。これらの95コロニー中、84コロニーが、このアッセイで陽性と判定された。パンニングおよびELISAスクリーニングに使用された抗原は、免疫化に使用されたものと同じであった。配列データに基づき、84個のELISA陽性コロニーは、41種の異なるVHHを表した(表2)。41種の異なるVHHは、7種の異なるCDR3群に属する(表1の配列番号2~42、および図10~11参照)。
【表1】
【0497】
大腸菌TG1は下記の表の通り、抗ヒトFAP-ECD-His VHH配列を含む組換えファージミドpMECSを含む(-80℃で貯蔵)。
【表2】
【0498】
表2は、ヒトFAP結合物質をコードする41種の異なる抗ヒトFAP-ECD-His VHH遺伝子を代表する41種のクローンの記載を示す。ベクターpMECSは、アンピシリン耐性をコードする。
【0499】
pMECSベクターにクローニングされたVHH遺伝子は、N-末端にPelBシグナル配列、ならびにC-末端にHAタグおよびHisタグを含む(PelBリーダ-VHH-HA-His)。PelBリーダー配列は、VHHを大腸菌の細胞膜周辺腔に向け、HAおよびHisタグはVHHの精製と検出(例えば、ELISA、ウェスタンブロット、などで)に使用できる。
【0500】
pMECSベクター中では、Hisタグに続けて、アンバー停止コドン(TAG)およびこのアンバー停止コドンの後に、M13ファージのgeneIIIが続く。サプレッサー大腸菌株(例えば、TG1)では、アンバー停止コドンがグルタミンとして読み取られ、したがって、VHHはファージのタンパク質IIIとの融合タンパク質として発現され、これは、パニングのために、ファージコート上のVHHの提示を可能にする。(TG1サプレッサー株では、抑制の効率は100%ではなく、したがって、抑制因子株中のVHHの発現は、2種の異なるタイプのVHH分子、タンパク質IIIに融合されたものとタンパク質IIIのないもの、をもたらす)。非サプレッサー大腸菌株(例えば、WK6)では、アンバー停止コドンが停止コドンとして読み取られ、したがって、得られたVHHはタンパク質IIIに融合されなかった。
【0501】
pMECSベクターにクローニングされたVHHを発現させ精製するために、目的のVHHの遺伝子を含むpMECSを作製し、プラスミドで非サプレッサー株(例えば、WK6)中に形質転換した。このプラスミドを用いて、得られたクローンのVHHの配列をMP057プライマー(5’-TTATGCTTCCGGCTCGTATG-3’)(配列番号837)を用いて確認した。
【0502】
pMECSからpHEN6cベクターへのVHH遺伝子の再クローニング
プライマー配列(RはAまたはGを表す)
・プライマーA6E(5’GATGTGCAGCTGCAGGAGTCTGGRGGAGG 3’)(配列番号838)。
・プライマーPMCF(5’CTAGTGCGGCCGCTGAGGAGACGGTGA CCTGGGT3’)(配列番号839)。
・ユニバーサル逆方向プライマー(5’TCACACAGGAAACAGCTATGAC 3’)(配列番号840)。
・ユニバーサル順方向プライマー(5’CGCCAGGGTTTTCCCAGTCACGAC3’)(配列番号841)。
【0503】
テンプレートとしてVHH遺伝子を含む大腸菌含有組換えpMECSを用い、プライマーA6EおよびPMCFを用いて、VHH遺伝子をPCRにより増幅した(約30サイクルのPCRを実施し、各サイクルは94℃で30秒、55℃で30秒、および72℃で45秒と、その後のPCRの最後の72℃で10分間の伸長反応とからなった)。約400bpのフラグメントが増幅された(プライマーA6EおよびPMCFは、それぞれフレームワーク1およびフレームワーク4プライマーである)。
【0504】
PCR産物を、QiagenのQiaquick PCR精製キットにより精製し、PstI、BstEIIで、またはEco91Iで一晩消化した。
【0505】
PCR産物を、下記のプロトコルを利用して連結した:
- pHEN6cベクターをPstIで3時間消化し、消化されたベクターを上述のように精製した後、BstEIIで2~3時間消化した。
- 消化されたベクターを1%アガロースゲルで泳動した。ベクターバンドをゲルから切り出し、精製した(例えば、QiagenのQiaquickゲル抽出キットにより)。
- PCRフラグメントとベクターを連結した。
- エレクトロコンピテントWK6細胞を連結反応物で形質転換した。
- LB/寒天/アンピシリン(100μg/ml)/グルコース(1~2%)プレートを用いて形質転換体を選択した。
- 陽性クローンを、ユニバーサル逆方向およびユニバーサル順方向プライマーを用いてPCRによりスクリーニングした。インサートが存在する場合には、約550bpのフラグメントを増幅する。
- クローンの同一性を確認するために、ユニバーサル逆方向プライマーを用いて、それぞれのVHH当たり、少なくとも2種のクローンを配列決定した。
- ELISAまたはいずれか他の適当なアッセイにより抗原結合能力を再試験した。
【0506】
上記プロトコルに続き、VHH遺伝子を、N-末端にPelBシグナル配列およびC-末端にHisタグを含むpHEN6cベクター中でクローニングした。PelBリーダー配列は、VHHを大腸菌の細胞膜周辺腔に向け、HisタグはVHHの精製と検出(例えば、ELISA、ウェスタンブロットなどで)に使用できる。
【0507】
VHHの発現および精製
1日目:
下記のプロトコルに従った:
- 10~20mlのLB+アンピシリン(100μg/ml)+グルコース(1%)に、新たに形質転換したWK6コロニーを接種した。
- 37℃で一晩、200~250rpmで振とうしながらインキュベートした(これは前培養液である)。
【0508】
2日目:
1リットル当たりのTB:2.3gのKHPO、16.4gのKHPO・3HO、12gのトリプトン(Duchefa Biochemie)、24gの酵母(Duchefa Biochemie)、および4mlの100%グリセロール(Duchefa Biochemie)。
【0509】
下記のプロトコルに従った:
- 1リットルのバッフル付振とうフラスコを、330mlのTBで満たし、オートクレーブ処理した。
- 1mlの前培養液を、100μg/mlのアンピシリン、2mMのMgClおよび0.1%のグルコースを補充した330mlのTBに加えた後、37℃で振とう(200~250rpm)しながら、0.6~0.9のOD600に達するまで増殖させる。
- IPTG(1mMの最終濃度)の添加によりVHH発現を誘導した。
- 28℃で振とうしながら一晩(約16~18時間)インキュベートした(一晩誘導後、OD600は理想的には25~30になるはずである)。
【0510】
3日目:
大腸菌の周辺質からのVHHの抽出
溶液:
TES:0.2M トリスpH8.0、0.5mM EDTA、および0.5Mショ糖。
TES/4:水で4倍希釈されたTES。
【0511】
方法:
下記のプロトコルに従った:
- 一晩の誘導培養液を8000rpmで8分間遠心分離した。
- 1リットルの培養液からの細胞ペレットを、上下のピペッティングにより12mlのTES中に再懸濁し、氷上で1時間振とうした。
- 使用した各12mlのTES当たり、18mlのTES/4を加え、さらに氷上で追加の1時間(振とうしながら)インキュベートした。
- 4℃、8000rpmで30分間遠心分離した。
- 上清を新しいファルコンチューブに移した(上清は細胞膜周辺腔から抽出したタンパク質を含む)。
【0512】
IMACによる精製:
用いた溶液:
HIS-select(Sigma)、PBS、および50mMの酢酸ナトリウムpH4.6。
【0513】
方法
下記のプロトコルに従った:
- HiS-selectをPBSで平衡化した。1リットルの培養液由来のペリプラズム抽出物当たり、1mlのレジン(約2mlのHis-select溶液)を50mlのファルコンチューブに加え、PBSも加えて最終容量を50mlにし、混合した。
- 2000rpmで2分間遠心分離した。上清を廃棄した。
- 上述のように、レジンをPBSで洗浄した。
- 上述のように、レジンをPBSで再度洗浄した。
- ペリプラズム抽出物をレジンに加え、緩やかに振とうしながら室温で30分~1時間インキュベートした(より長いインキュベーションは非特異的結合をもたらす場合がある)。
- 試料を、底部にフィルターを備えたPD-10カラム(GE Healthcare、カタログ番号17-0435-01)に加えた。
- 50~100mlのPBSで洗浄した(1mlのレジン当たり、50~100mlのPBS)。
- 3回溶出し、各回に1mlのレジン当たり、1mlのPBS/0.5Mのイミダゾールを用いた(効率的溶出のために、ビーズを再懸濁し、カラムの底部を閉止して、4℃で一晩放置した)。
- PBSに対し4℃で一晩透析して(カットオフ3500ダルトン)、イミダゾールを除去した。効率的透析のために、透析緩衝液(PBS)を2、3回交換した。
【0514】
タンパク質の量を、溶出試料のOD280測定により推定した。各クローンの吸光係数を、ExPASyプロテオミクスサーバーでの一次構造分析に基づいて、protParamツールにより測定した。VHHのさらなる精製は、追加の方法で達成できる。
【0515】
実施例2.癌を治療するためのFAP結合物質を有する融合タンパク質の使用
この実施例は、FAPターゲティング部分と変異サイトカインとを有し、サイトカインでの変異がサイトカインの活性低下をもたらす融合タンパク質が、腫瘍成長を低減し得ることを示す。この実施例は、FAPターゲティング部分が変異サイトカインの活性の回復をもたらすことを示す。
【0516】
FAPターゲティング部分を有する融合タンパク質の作製
FAP(mFAP_R3FAP85)に特異的なN-末端中和VHH(単一ドメイン抗体(sdAb)とも呼ばれる)に20×GGSリンカーを介して連結されたQ124Rでの変異を有するヒトIFN-α2であるFAP標的化AcTaferon(「FAP-AFN」)を、pHen6ベクター中に構築した。
【0517】
mFAP_R3FAP85:
QVQLQESGGGLVQAGDSLRLSCKGSGRNFGSYNMGWYRQAPGKEREFVAAVAWIGGTTYYADSVKGRFTISRDNAERMVYLQMTNLKPEDTAIYYCNADIE--RRPLFGSWGPGTQ VTVSSAAAYPYDVPDYGSHHHHHH (配列番号842)。
【0518】
ヒトIFN-α2におけるQ124R変異は、その受容体へのヒトIFN-α2の親和性を低下させ、それによりその活性を低下させる(国際出願第PCT/EP2013/050787号参照)。Q124R変異体は、ネズミモデルにおいてin vivoでアッセイされ得る弱化されたヒトIFN-アルファ2変異体の代表である。具体的にはQ124Rは、マウスでの使用に適したヒトIFN-変異である(すなわちそれは、マウスで機能するヒト変異体IFN-である)。その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Nat. Comm. 2014; 5:3016. doi: 10.1038/ncomms4016を参照されたい。
【0519】
HisタグpHen6-FAP-AFN構築物の大規模生成を、大腸菌で実施した。細菌を、静止期になるまで培養し(OD600が0.7~0.8)、その後、IPTG(BioScientific)を加えて、LacZプロモーターを活性化した。細胞上清を、一晩培養した後に回収した。
【0520】
ペリプラズム画分中のタンパク質を、ショ糖溶液を用いて浸透圧ショックにより放出させ、コバルトイオンを加えたHiTrapセファロースレジンでの固定化金属イオンクロマトグラフィー(IMAC)(Clontech、Takara Biotechnology)により精製した。タンパク質の結合の後、カラムを0.5% EMPIGEN(Calbiochem、Millipore)、0.5% CHAPS(Sigma-Aldrich)およびPBSで洗浄した。イミダゾール(Merck)を溶出に使用し、PD-10ゲル濾過カラム(GE Healthcare)を用いて除去した。タンパク質濃度を、280nmでの吸収を利用して決定し、純度をSDS-PAGEを介して評価した。
【0521】
LPSレベルを、Limulus Amebocyte Lysate(LAL) QCL-1000(Lonza)を利用して定量した。LPSが、依然として存在する場合、エンドトキシン除去レジン(Thermo Scientific)を用いて除去した。全ての生成物の生物活性を、Garcin et al., Nat. Commun. (2014)に記載された通り、WHO国際マウスIFN-a標準Ga02-901-511に対するマウスルシフェラーゼレポーター細胞株LL171を利用する機能的アッセイにより評価した。
【0522】
FAP-AFNでの腫瘍の処置
マウスは、12時間/12時間の明暗周期での温度制御環境で、病原体フリーの条件にて保持され、飼料および水を随意に摂取した。8週齢の雌C57BL/6Jマウス(Charles River Laboratories、Saint-Germain sur l'Arbresle、France)に、5×10細胞のB16-mCD20クローン(mCD20の発現カセットを含むプラスミドで安定にトランスフェクトされたB16細胞)または親B16細胞を、50μl懸濁液中で、30Gインスリンシリンジを用い、一時的に鎮静されたマウス(4%イソフルランを使用して)の剃毛した脇腹に接種した。B16細胞は、ヒト皮膚癌のモデルとして典型的に用いられる、ネズミ黒色腫細胞株である。
【0523】
腫瘍処置を、腫瘍接種後7日目に開始して、腫瘍縁部でのs.c.である、病変周辺的に(p.l.)実施した。マウス(n=5)は、7、8、9、10、12、14、15および16日目にFAP-AFN処置を受けた。対照マウスは、同日に100μlのPBSを受けた(n=6)。FAP-AFNを、処置当たり、37μgタンパク質(1.8mg/kg)に対応する5,000IUで与えた。最後の腫瘍処置後1日目に、血液を尾静脈からEDTAコートのMicrovetteチューブ(Sarstedt)に採取し、Hemavet 950FS(Drew Scientific、Waterbury、USA)全血計数装置で分析した。好中球(ne)、血小板(plt)、およびリンパ球(ly)をK/μlで、赤血球(rbc)をM/μlで、平均血小板容積(mpv)をfLで表す。図1は、腫瘍成長についての平均+/-s.e.m.を示し、図2は、血液学的データを示す。図1の腫瘍成長曲線の右側に、示された日付に完全に腫瘍のなかったマウスの数を示す(すなわち、5匹の処置マウス中1匹は、9日目に腫瘍がなかった)。
【0524】
図1は、FAP-AFNで処置されたマウスが、未処置マウス(対照マウス)に比較して低減された腫瘍成長を有したことを示す。加えて、FAP-AFNで処置された5匹のマウス中1匹は、9日目に腫瘍がなかった。
【0525】
図2は、FAP-AFN構築物が安全であったことを示している。具体的には、FAP-AFNは、PBSと同等に血液学的パラメータを変化させた。野生型インターフェロンは、血液学的パラメータの変化に反映される、安全性の懸念があることが知られる。
【0526】
これらの結果は、FAPターゲティング部分と、受容体への親和性が低下した変異IFN-α2とを有する融合タンパク質が、腫瘍成長を低減し得ることを示す。加えて、データは、FAPターゲティング部分が受容体を活性化させる変異IFN-α2の能力を回復させることを示す。したがって、本明細書に開示のFAPターゲティング部分と少なくとも1種の変異サイトカインとを有する融合タンパク質は、本明細書に開示の疾患および障害(例えば、癌)の治療に有用である。
【0527】
実施例3.FAP-AFNとの併用療法
この実施例は、FAPターゲティング部分および変異サイトカインを有する融合タンパク質であって、サイトカインでの変異がサイトカインの活性低下をもたらす融合タンパク質と、少なくとも1種の追加の治療薬による併用療法が、腫瘍成長を低減し得ることを示す。
【0528】
方法
上記の実施例2に開示のFAP-AFNを、腫瘍成長を低減するための併用療法に用いた。実施例2に開示のマウスモデルを使用した。併用療法での処置では、マウス(実験群当たりn=4)を、下記のいずれかで処置した:
1)PBS(100μl)(対照)
2)FAP-AFNのみ(1.8mg/kg)(FAP-Q124R);

3)FAP-AFN(1.8mg/kg)およびドキソルビシン(3mg/kg)(FAP+dox);
4)FAP-AFN(1.8mg/kg)および組換えマウスTNF(28μg/kg)(FAP+TNF);
5)FAP-AFN(1.8mg/kg)および抗PD-L1 sdAb(5.5mg/kg)(FAP+PD-L1); または
6)FAP-AFN(1.8mg/kg)、抗PD-L1 sdAb(5.5mg/kg)、および抗CTLA4 Ab(450μg/kg)+抗OX40Ab(1.8mg/kg)(抗CTLA4 Ab+抗OX40 Ab、Treg枯渇(TregD)と称する)(FAP+PD-L1+TregD)。
【0529】
処置を、腫瘍接種後6日目に開始した。
【0530】
これらの併用療法でのFAP-AFN処置を、6、7、8、9、10、11、13、14および15日目に与えた(p.l.注射を介した)。追加の治療薬を、2~3日おきに全3回/週(p.l.により)注射した。図3Aおよび3Bは、腫瘍成長についての平均+/-s.e.m.を示す。腫瘍成長曲線の右側に、示された日付に完全に腫瘍がなかったマウスの数を示す。
【0531】
結果
図3A~Bは、FAP-AFNおよび少なくとも1種の他の治療薬(例えば、TNF、dox、PD-L1、またはPD-L1+TregD)で処置されたマウスがFAP-AFNのみ(FAP-Q124R)および未処置マウス(対照)に比較して、増大された腫瘍成長低減を有したことを示す。加えて、FAP+TNFで処置された4匹のマウス中1匹は、9~14日目に腫瘍がなく;FAP+doxで処置された4匹のマウス中4匹は、11日目に腫瘍がなく(2匹が9日目に腫瘍がなく、全4匹が11日目に腫瘍がなかった);FAP+PD-L1で処置された3匹のマウス中1匹は、13~20日目に腫瘍がなく;FAP+PD-L1+TregDで処置された4匹のマウス中1匹は、17日目に腫瘍がなかった。データは、FAP-AFNのみで処置されたマウスが、未処置マウス(対照マウス)に比較してより大きな腫瘍成長低減を有したことも示す。
【0532】
これらの結果は、FAPターゲティング部分および変異サイトカインを有する融合タンパク質のみでの処置、または少なくとも1種の追加の治療薬を併用された処置が、腫瘍成長を低減し得ることを示す。加えてデータは、FAP-AFNとの併用処置を受けたマウスがFAP-AFNのみで処置されたマウスに比較してより大きな腫瘍成長低減を有したことから、相乗効果があることを示す。したがって本明細書に開示のFAPターゲティング部分と少なくとも1種の変異サイトカインとを有する融合タンパク質は、単独でまたは少なくとも1種の追加の治療薬との組み合わせで、本明細書に開示の疾患および障害(例えば、癌)の治療に有用である。
【0533】
実施例4.二重特異性FAP-AFNでの処置
この実施例は、少なくとも1つのFAPターゲティング部分と変異サイトカインとを有し、サイトカインでの変異がサイトカインの活性低下をもたらす二重特異性融合タンパク質が、腫瘍成長を低減し得ることを示す。
【0534】
方法
FAPターゲティング部分(実施例2に記載)と、PD-L1ターゲティング部分と、Q124Rに変異を有するヒトIFN-α2とを有する二重特異性融合タンパク質(FAP-PD-L1-Q124R)を、実施例2に開示のマウスモデルで使用した。マウス(実験群当たりn=5)を、下記のいずれかで処置した:
1)PBS(100μl)(対照)
2)FAP-AFNのみ(1.8mg/kg)(FAP-Q124R);または
3)FAP-PD-L1-Q124R(55μg/注射)。
【0535】
FAP-PD-L1-Q124Rを、55μg/注射で与えて、単一特異性FAP-AFN中の1つのVHH(sdAb)の代わりに2つのVHH(sdAbs)の存在に修正した。処置を、腫瘍接種後6日目に開始した。処置を、6、7、8、9、10、11、13、14および15日目にp.l.注射を介して与えた。図4は、腫瘍成長についての平均+/-s.e.m.を示す。図4では、腫瘍成長曲線の右側に、示された日付に完全に腫瘍がなかったマウスの数を示す。
【0536】
図4は、二重特異性FAP-PD-L1-Q124RがFAP-Q124R処置マウスおよび未処置マウス(対照マウス)に比較してより大きな腫瘍成長低減を有したことを示す。加えて、FAP-PD-L1-Q124Rで処置された5匹のマウス中1匹は、13日目に腫瘍がなかった。データは、FAP-Q124Rで処置されたマウスが未処置マウス(対照マウス)に比較してより大きな腫瘍成長低減を有したことも示す。
【0537】
これらの結果は、少なくとも1つのFAPターゲティング部分と少なくとも1種の変異サイトカインとを有する二重特異性融合タンパク質または単一特異性融合タンパク質が、腫瘍成長を低減し得ることを示す。結果は、二重特異性融合タンパク質が単一特異性融合タンパク質に比較してより強力な治療効果を有することも示す。したがって、本明細書に開示のFAPターゲティング部分と少なくとも1種の変異サイトカインとを有する二重特異性および単一特異性融合タンパク質は、本明細書に開示の疾患および障害(例えば、癌)の治療に有用である。
【0538】
実施例5.二重特異性FAP-AFNでの処置
この実施例は、大きな腫瘍で単一特異性nnClec9A-Q124Rと比較した二重特異性nnClec9A-PD-L1-Q124Rと比較した、二重特異性nnClec9A-FAP-Q124Rの有効性を比較する。この実施例は、本明細書に開示の二重特異性組成物が、癌を治療するのに有用であることを示す。
【0539】
実施例2に開示のマウスモデルを使用した。マウス(実験群当たりn=6)を下記のいずれかで処置した:
1) PBS(100μl)(対照);
2) nnClec9A-Q124Rのみ(40μg/注射)(nnClec);
3) nnClec9A-PD-L1-Q124Rのみ(60μg/注射)(nnClec-PD-L1);
4) nnClec9A-FAP-Q124Rのみ(60μg/注射)(nnClec-FAP);
5) nnClec9A-Q124R(40μg/注射)およびドキソルビシン(3mg/kg)(nnClec Dox);
6) nnClec9A-PD-L1-Q124R(60μg/注射)およびドキソルビシン(3mg/kg)(nnClec-PD-L1 Dox);
7) nnClec9A-FAP-Q124R(60μg/注射)およびドキソルビシン(3mg/kg)(nnClec-FAP Dox);
8) nnClec9A-Q124R(40μg/注射)および組換えマウスTNF(28μg/kg)(nnClec TNF);
9) nnClec9A-PD-L1-Q124R(60μg/注射)および組換えマウスTNF(28μg/kg)(nnClec-PD-L1 TNF);
10) nnClec9A-FAP-Q124R(60μg/注射)および組換えマウスTNF(28μg/kg)(nnClec-FAP TNF);
11) nnClec9A-Q124R(40μg/注射)および抗CTLA4 Ab(450μg/kg)+抗OX40 Ab(1.8mg/kg)(抗CTLA4 Ab+抗OX40 Ab、Treg枯渇抗体と称する)(nnClec Abs);
12) nnClec9A-PD-L1-Q124R(60μg/注射)および抗CTLA4 Ab(450μg/kg)+抗OX40 Ab(1.8mg/kg)(nnClec-PD-L1 Abs);または
13) nnClec9A-FAP-Q124R(60μg/注射)および抗CTLA4 Ab(450μg/kg)+抗OX40 Ab(1.8mg/kg)(nnClec-FAP Abs)。
【0540】
腫瘍を、処置開始前に30mmより大きく成長させた。マウスを、腫瘍接種後10~16日目に、PBS、nnClec、nnClec-PD-L1、およびnnClec-FAPをp.l.により1日1回処置した。追加の治療薬(すなわち、ドキソルビシン、TNF、またはTreg枯渇抗体)を受けた群(すなわち、群5~12)は、追加の治療薬を2~3日おきに全3回/週、p.l.により受けた。最後の腫瘍処置後1日目に、血液を尾静脈からEDTAコートのMicrovetteチューブ(Sarstedt)に採取し、Hemavet 950FS(Drew Scientific、Waterbury、USA)全血計数装置で分析した。リンパ球、単球および好中球をK/μlで、赤血球(rbc)をM/μlで、血小板をK/μlで表す。
【0541】
図5A~Dは、nnClec、nnClec-PD-L1、およびnnClec-FAPで処置されたマウスが、未処置マウス(対照マウス)に比較して低減された腫瘍成長を有したことを示す。データは、腫瘍成長がnnClecで処置されたマウスでは緩徐になったが、6匹のnnClec-PD-L1処置マウス中3匹および6匹のnnClec-FAP処置マウス中2匹で、腫瘍成長が停止した(すなわち、腫瘍増殖が静止した)ことも示す(図5B~D参照)。
【0542】
図6A~Dは、nnClec+Dox(nnClec Dox)、nnClec-PD-L1+Dox(nnClec-PD-L1 Dox)、およびnnClec-FAP+Dox(nnClec-FAP Dox)で処置されたマウスが、未処置マウス(対照マウス)に比較して低減された腫瘍成長を有したことを示す。データは、二重特異性組成物で処置されたマウスが、腫瘍のないマウスをより多く生じたことも示す(表3参照)。
【表3】
【0543】
図5A~Dおよび図6A~Dの結果の比較は、併用処置を受けたマウスが、単一特異性または二重特異性融合タンパク質のみでの処置マウスと比較してより大きな腫瘍成長低減を有したことから、単一特異性または二重特異性融合タンパク質と少なくとも1種の追加の治療薬との組み合わせが、相乗効果を有することを示す(図5Bおよび6B、図5Cおよび6C、ならびに図5Dおよび6Dを比較)。
【0544】
図7A~Dは、nnClec+TNF(nnClec TNF)、nnClec-PD-L1+TNF(nnClec-PD-L1 TNF)、およびnnClec-FAP+TNF(nnClec-FAP TNF)で処置されたマウスが、未処置マウス(対照マウス)に比較して低減された腫瘍成長を有したことを示す。データは、二重特異性組成物で処置されたマウスが、腫瘍のないマウスをより多く生じたことも示す(表4参照)。
【表4】
【0545】
図8A~Dは、nnClec Abs、nnClec-PD-L1 Abs、およびnnClec-FAP Absで処置されたマウスが、未処置マウス(対照マウス)に比較して低減された腫瘍成長を有したことを示す。データは、二重特異性組成物で処置されたマウスが、腫瘍のないマウスおよび腫瘍増殖静止マウスをより多く生じたことも示す(表5参照)。
【表5】
【0546】
図9A~Eは、リンパ球(LY)、単球(MO)、好中球(PMN)、赤血球(rbc)、および血小板(PLT)の分析を示す。図9A~Eは、試験構築物が安全であったことを示す。具体的には試験構築物は、PBSと同等に血液学的パラメータを変化させた。野生型インターフェロンは、血液学的パラメータの変化に反映される、安全性の懸念があることが知られる。
【0547】
これらの結果は、少なくとも1つのFAPターゲティング部分と少なくとも1種の変異サイトカインとを有する二重特異性融合タンパク質または単一特異性融合タンパク質での処置が、腫瘍成長を低減し得ることを示す。結果は、併用処置を受けたマウスが二重特異性融合タンパク質または単一特異性融合タンパク質のみで処置されたマウスに比較してより大きな腫瘍成長低減を有したことから、二重特異性融合タンパク質と少なくとも1種の治療薬の組み合わせが相乗効果を有することも示す。さらにデータは、二重特異性融合タンパク質と少なくとも1種の追加の治療薬との併用処置が、腫瘍のないマウスのより高い発生率をもたらしたことを示す。したがって本明細書に開示のFAPターゲティング部分と少なくとも1種の変異サイトカインとを有する二重特異性および単一特異性融合タンパク質は、本明細書に開示の疾患および障害(例えば、癌)の治療に有用である。
【0548】
実施例6.ヒトFAP VHHは細胞中の膜結合FAPに結合する
実施例1からのヒトFAP VHHの7種の異なるCDR3群を代表する34のVHHをコードする発現ベクター(pMECS)を、WK6細胞に形質転換した。VHH(C末端Hisタグを有する)を、IPTGでの一夜刺激によりペリプラズム抽出物中で発現させた。これらの抽出物を、FACS結合アッセイで1/5希釈にて適用した:HEK293T細胞を完全長ヒトFAPプラスミド(PMET7 FLAG-huFAP)または空ベクター(MOCK)で一過的にトランスフェクトした。トランスフェクションの2日後に、細胞を再懸濁し、FACS緩衝液(PBS+0.5mM EDTA+3%FBS)中で1/5希釈ペリプラズム抽出物と共にインキュベートした。VHH結合を、FITC共役抗His Ab(Genscript)を用いて検出した。試料をMACSQuant X装置(Miltenyi Biotec)で捕捉し、FlowLogicソフトウエア(Miltenyi Biotec)を用いて分析した。データを、図12に要約する。
【0549】
実施例7.ヒト特異的FAP VHH AcTakines
FAP VHHの1種である2HFA42を、下記の通りpHEN6C発現プラスミドのAFNフォーマットにクローニングした:FAP VHH 2HFA42-(GGS)20-hIFN-a2_R149A-GGS-(His) (下記の配列を参照)。WK6細胞でのAFN発現を、1mM IPTGで一晩誘導し、細胞をペレット化して、TES(0.2Mトリス pH 8.0、0.5mM EDTA、0.5Mスクロース)およびTES/4緩衝液を用いてペリプラズム抽出物を調製した。タンパク質を、製造業者のガイドラインに従いTALON金属親和性レジンを用いて抽出物から精製し、イミダゾールを、PD10カラム(GE Healthcare)を用いて試料から除去した。
【0550】
生物活性を、親HL116細胞(p6-16ルシフェラーゼレポーターで安定にトランスフェクトされたIFN-応答性細胞株)およびそれに由来する、安定にトランスフェクトされたHL116-hFAP細胞で測定した。細胞を一晩播種し、系列希釈のFAP VHH AFNで6時間刺激した。ルシフェラーゼ活性を、EnSight Multimodeプレートリーダー(Perkin Elmer)で測定した。図13AおよびBのデータは、AFNが、親細胞に比較してhFAPを発現する細胞でより活性であることを明確に示し、hFAPへの特異的ターゲティングによりIFN-α2変異体のシグナル伝達を少なくとも一部、回復させ得ることを示す。注目すべきことに、親HL116とHL116-hFAP細胞は、FAP VHH AFNについての140を超えるターゲティング指数(targeting index)に比較した約1のターゲティング指数からも示される通り、野生型の非ターゲティングIFN-a2と同等の感受性がある(図13Aおよび13B;表6)。
【表6】
【0551】
FAP VHH AFNの構造を下記に示す:
FAP VHH 2HFA42-(GGS)20hIFN-a2 R149A-His
【0552】
FAP VHH AFNの配列を、下記に示す(FAP VHH 2HFA42の配列を太字で示し、(GGS)20の配列を、斜体で示し、hIFN-a2_R149Aの配列を下線付きの文字で示す):
QVQLQESGGGLVQTGGSLRLSCAASGSIFVGNAMGWYRQALGNQRELVAGITSDGTTYYPDSVKGRFTISRDNDKNTIYLQMNSLKPEDTAVYYCNLWPPRIGFASWGQGTQVTVSSVDGGSGGSGGSGGSGGSGGSRSGGSGGSGGSGGSGGSGGSGGSGGSGGSGGSGGSGGSGGSAAAMCDLPQTHSLGSRRTLMLLAQMRRISLFSCLKDRHDFGFPQEEFGNQFQKAETIPVLHEMIQQIFN-LFSTKDSSAAWDETLLDKFYTELYQQLNDLEACVIQGVGVTETPLMKEDSILAVRKYFQRITLYLKEKKYSPCAWEVVRAEIMASFSLSTNLQESLRSKELEHHHHHH (配列番号843)。
【0553】
実施例8.異なる腫瘍モデルにおける化学療法の存在または非存在下でのFAP-AFNの耐容性および有効性
マウスは、12時間/12時間の明暗周期での温度制御環境で、病原体フリーの条件にて保持され、飼料および水を随意に摂取した。8週齢の雌C57BL/6Jマウス(Charles River Laboratories、Saint-Germain sur l'Arbresle、France)に、B16BL6またはMC38またはPanc02細胞を、50μl懸濁液中で30Gインスリンシリンジを用い、一時的に鎮静されたマウス(4%イソフルランを使用して)の剃毛した脇腹に接種した。B16BL6細胞は、ドキソルビシンへの耐性が上昇したヒト皮膚癌のモデルとして典型的に用いられる、ネズミ黒色腫細胞株である。MC38細胞は、ネズミ結腸腺癌に由来し、ヒト結腸癌のモデルとして典型的に用いられる。Panc02細胞は、ネズミ膵管腺癌に由来し、ヒト膵臓癌のモデルとして典型的に用いられる。
【0554】
全ての腫瘍処置を、腫瘍接種後7日目に開始して、腫瘍縁部でのs.c.である、病変周辺的に(p.l.)実施した。マウスは、7、8、9、10、12、13、14および15日目にFAP-AFNまたはFAP-WTmIFN-処置を受けた。対照マウスは、同日にPBSで処置された。FAP-AFNまたはFAP-WTmIFN-を、約37μgタンパク質(1.8mg/kg)で与えた。ドキソルビシン処置を、3mg/kgで週3回実施した。
1) PBS(100μl)(対照)、7~8 匹;
2) FAP-AFNのみ(1.8mg/kg)(FAP-Q124R)、5匹;
3) FAP-AFN(1.8mg/kg)およびドキソルビシン(3 mg/kg)(FAP-AFN + dox)、5匹;
4) FAP-WTmIFN-(1.8mg/kg)(FAP-WTmIFN-)、5匹;
5) FAP-WTmIFN-(1.8mg/kg)およびドキソルビシン(3mg/kg)(FAP-WTmIFN- + dox)、5匹。
【0555】
実施例2に開示のFAP-AFN融合タンパク質を使用し、FAP-WTmIFN-は、20×GGSリンカーを介して連結され実施例2でFAP-AFNについて記載の通り生成された、N末端VHH mFAP_R3FAP8とマウスIFN-α11からなる類似のHisタグ融合体である。
【0556】
B16BL6の実験では、最後の腫瘍処置後1日目に、血液を尾静脈からEDTAコートのMicrovetteチューブ(Sarstedt)に採取し、Hemavet 950FS(Drew Scientific、Waterbury、USA)全血計数装置で分析した。単球、好中球、血小板、およびリンパ球をK/μlで、赤血球(rbc)をM/μlで、平均血小板容積(mpv)をfLで表す。この分析を、対照群、またはFAP-AFNベースの処置の群では4匹で、FAP-WTmIFN-ベースの処置の場合には3匹で実施した。
【0557】
B16B16腫瘍モデル
図14A~Bは、FAP-AFNまたはFAP-WTmIFN-のいずれかで処置されたマウスが、PBSに比較して強力な腫瘍成長低減を有したことを示す。ドキソルビシンとの組み合わせは、腫瘍成長低減を増強し、腫瘍縮小への移行をさらに示した。このモデルでドキソルビシンのみでの処置は、最良では腫瘍増殖の静止を導くが、腫瘍退縮はない(データは示さない)。注目すべきことに、17日目に、FAP-WTmIFN-で処置された群でマウスの20%が死亡し、かつFAP-WTmIFN-とドキソルビシンの組み合わせで処置されたマウスの群では80%もが死亡したが、他の処置群のマウスはいずれも死亡しなかった。FAP-WTmIFN-処置の耐容性の欠如が、処置の初日の体重変化を示す図15A~Bでさらに示される。FAP-WTmIFN-で処置された群は両者とも、FAP-AFN処置群での体重増加に比較して、体重の劇的な減少を示す。加えて、血液学のデータもまた、FAP-WTmIFN-ベースの処置に比較した、FAP-AFNベースの処置の耐容性プロファイルの改善を裏づける(図16A~F)。
【0558】
MC38腫瘍モデル
図17は、FAP-AFNで処置されたマウスがPBSに比較して強力な腫瘍成長低減を有したことを示す。ドキソルビシンとの組み合わせは、腫瘍成長低減を増強し、腫瘍縮小への移行をさらに示した。FAP-AFN処置の耐容性が、体重変化により裏づけられる(図18)。
【0559】
等価物
本発明の技術をその特定の実施形態と関連付けて説明してきたが、その実施形態はさらに修正が可能であり、本出願は、一般的に、本発明の技術の原理に従った本発明の技術の任意の変形、使用、または改変を包含することが意図され、本発明の技術が属する技術内の既知のまたは日常的な実施の範囲に入る、および上に示されるおよび以下の添付の請求項の範囲に入る本質的な特徴に該当し得る本開示からの乖離を含むものと理解されよう。
【0560】
当業者は、本明細書で具体的に記載された特定の実施形態に対する多数の等価物を、ルーチン実験のみを用いて認識し、確認できるであろう。このような等価物は、次の請求項の範囲内に包含されることが意図されている。
【0561】
参照による組み込み
本明細書で引用されている全ての特許および刊行物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9-1】
図9-2】
図9-3】
図9-4】
図9-5】
図10-1】
図10-2】
図10-3】
図10-4】
図11-1】
図11-2】
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図16F
図17
図18
【配列表】
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