(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026885
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】ガス抜き袋体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B31B 70/81 20170101AFI20240220BHJP
B65D 30/20 20060101ALI20240220BHJP
B65D 33/01 20060101ALI20240220BHJP
B31B 155/00 20170101ALN20240220BHJP
B31B 160/20 20170101ALN20240220BHJP
【FI】
B31B70/81
B65D30/20 A
B65D33/01
B31B155:00
B31B160:20
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024007147
(22)【出願日】2024-01-22
(62)【分割の表示】P 2020055150の分割
【原出願日】2020-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】391042025
【氏名又は名称】ジオパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096770
【弁理士】
【氏名又は名称】四宮 通
(72)【発明者】
【氏名】時田 義明
(57)【要約】
【課題】特殊なバルブを用いることなく、しかも、従来のガス抜きテープを用いたガス抜き袋体に比べて製造コストを低減する。
【解決手段】ガス抜き袋体1は、熱接着層を有する第1及び第2のシート部分同士が前記熱接着層の溶着によりヒートシールされ、上端側に開口部を有する。ガス抜き袋体1は、当該ガス抜き袋体1の内部空間と当該ガス抜き袋体1の外部空間との間を連通する通気路を形成する糸41を備える。糸41の一方端部付近が、前記第1及び第2のシート部分間において、前記熱接着層により囲まれることによって保持される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱接着層を有する第1及び第2のシート部分同士が前記熱接着層の溶着によりヒートシールされ、上端側に開口部を有するガス抜き袋体であって、当該ガス抜き袋体の内部空間と当該ガス抜き袋体の外部空間との間を連通する通気路を形成する糸を備え、前記糸の一方端部付近が、前記第1及び第2のシート部分間において、前記熱接着層により囲まれることによって保持された、ガス抜き袋体を製造するガス抜き袋体の製造方法であって、
前記糸を含む糸を前記第1のシール部分を含むシート部分と前記第2のシート部分を含むシート部分との間に挟んで、当該糸を前記第1及び第2のシート部分間に挟みかつ前記第1及び第2のシート部分の外縁に相当する位置からはみ出すように配置した状態で、前記第1のシート部分と前記第2のシート部分とをヒートシールする段階と、
前記段階の後に、前記第1及び第2のシート部分の外縁の形状に合わせて、前記第1のシール部分を含む前記シート部分及び前記第2のシール部分を含む前記シート部分を、当該糸と共に切断する段階と、
を備えたことを特徴とするガス抜き袋体の製造方法。
【請求項2】
前記ガス抜き袋体において、前記糸は、前記ヒートシールによっては溶けない材料からなる撚り糸であることを特徴とする請求項1記載のガス抜き袋体の製造方法。
【請求項3】
前記ガス抜き袋体において、側方から見たときの前記糸の前記一方端部の端面の位置が、側方から見たときの前記第1及び第2のシート部分の外縁の位置と同じであり、前記糸の前記一方端部の前記端面が外部空間に露出した、
ことを特徴とする請求項1又は2記載のガス抜き袋体の製造方法。
【請求項4】
前記ガス抜き袋体において、熱接着層を有する第3及び第4のシート部分同士が前記熱接着層の溶着によりヒートシールされ、前記糸の他方端部付近が、前記第3及び第4のシート部分間において、前記熱接着層により囲まれることによって保持され、前記糸が一直線状をなし、前記糸の中間部が当該ガス抜き袋体の内部に位置する、
ことを特徴とする請求項3記載のガス抜き袋体の製造方法。
【請求項5】
前記ガス抜き袋体において、側方から見たときの前記糸の前記他方端部の端面の位置が、側方から見たときの前記第3及び第4のシート部分の外縁の位置と同じであり、前記糸の前記他方端部の前記端面が外部空間に露出した、
ことを特徴とする請求項4記載のガス抜き袋体の製造方法。
【請求項6】
前記ガス抜き袋体において、当該ガス抜き袋体の底部から前記開口部までの距離をLとしたとき、前記糸は前記底部からL/4よりも上方の位置において横方向に一直線状をなすことを特徴とする請求項4又は5記載のガス抜き袋体の製造方法。
【請求項7】
前記ガス抜き袋体において、前面部、後面部及び襠部分をなす両側部を有する角筒状の胴部を備え、前記第1のシート部分が前記前面部(又は前記後面部)の一部をなし、前記第2のシート部分が前記両側部のうちの一方側部の一部をなし、前記第3のシート部分が前記前面部(又は前記後面部)の一部をなし、前記第4のシート部分が前記両側部のうちの他方側部の一部をなす、
ことを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載のガス抜き袋体の製造方法。
【請求項8】
前記ガス抜き袋体において、前記前面部及び前記後面部が、前記両側部よりも上方に延在したことを特徴とする請求項7記載のガス抜き袋体の製造方法。
【請求項9】
前記ガス抜き袋体において、前記前面部の内面、前記後面部の内面及び前記両側部の内面に熱接着層を有することを特徴とする請求項8記載のガス抜き袋体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス抜き袋体及びその製造方法、並びに、前記ガス抜き袋体を用いた袋詰め体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
焙煎したコーヒー豆等のガスを発生する収容物を袋詰めした場合、コーヒー豆等から発生するガスが袋内に充満し袋が破裂するおそれがある。そこで、従来は、袋に特殊なバルブを装着して適度なガス抜きを行い、袋の内圧を調整している。
【0003】
しかし、このような特殊なバルブを装着した袋は、バルブの構成が嵩張り、袋の表面に凹凸ができてしまう不都合が生じる。しかも、袋に別部材のバルブを装着するため、製造コストが極めて高くなってしまう。
【0004】
これに対し、下記特許文献1には、極細糸を1ミクロンの空隙を形成させて束ねた解繊糸をポリエチレンによって成形された筒体の中央部にインサート成形して一体構造としたエチレンガスおよびガスを発生する収容物用の袋または容器に備えるガス抜きテープであって、袋または容器に挿入することで、容器の内部より発生するガスを外部に放出するとともに、外部の空気は侵入しないとの逆止弁効果を発揮するガス抜きテープが開示されている。
【0005】
このガス抜きテープを用いたガス抜き袋体では、前記バルブを用いないので、バルブの構成が嵩張って袋の表面に凹凸ができてしまう不都合が生ずることがないとともに、前記バルブに比べて前記ガス抜きテープは製造コストを抑えることができ、ひいては、前記ガス抜きテープを用いたガス抜き袋体の製造コストを低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献1に開示されたガス抜きテープを用いた袋では、予めガス抜き袋体とは別に前記ガス抜きテープを用意しなければならないので、やはり製造コストが高くなってしまう。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、特殊なバルブを用いることなく、しかも、前記従来のガス抜きテープを用いたガス抜き袋体に比べて製造コストを低減することができるガス抜き袋体及びその製造方法、並びに、前記ガス抜き袋体を用いた袋詰め体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段として、以下の各態様を提示する。第1の態様によるガス抜き袋体は、熱接着層を有する第1及び第2のシート部分同士が前記熱接着層の溶着によりヒートシールされ、上端に開口部を有するガス抜き袋体であって、当該ガス抜き袋体の内部空間と当該ガス抜き袋体の外部空間との間を連通する通気路を形成する糸を備え、前記糸の一方端部付近が、前記第1及び第2のシート部分間において、前記熱接着層により囲まれることによって保持されたものである。
【0010】
この第1の態様によれば、当該ガス抜き袋体の内部空間と当該ガス抜き袋体の外部空間との間を連通する通気路を形成する糸を備えているので、特殊なバルブが用いられていないことから、製造コストを低減することができる。
【0011】
そして、前記第1の態様によれば、前記糸の一方端部付近が、前記第1及び第2のシート部分間において、前記熱接着層により囲まれることによって保持されているので、従来のガス抜きテープのように予めポリエチレンによって成形された筒体の中央部に糸をインサート成形しておく必要がないため、従来のガス抜きテープを用いたガス抜き袋体に比べても製造コストを低減することができる。
【0012】
なお、本願明細書において、上下は、単に一方及び他方を示し、必ずしも鉛直方向の上と下を示すものではない。
【0013】
第2の態様によるガス抜き袋体は、前記第1の態様において、前記糸は、前記ヒートシールによっては溶けない材料からなる撚り糸であるものである。
【0014】
この第2の態様は、前記糸の例を挙げたものであるが、前記糸は、前記第1及び第2のシール部分間のヒートシールにも拘わらず、当該ガス抜き袋体の内部空間と当該ガス抜き袋体の外部空間との間を連通する通気路を形成することができるものであれば、前記第2の態様の例に限らない。
【0015】
第3の態様によるガス抜き袋体は、前記第1又は第2の態様において、側方から見たときの前記糸の前記一方端部の端面の位置が、側方から見たときの前記第1及び第2のシート部分の外縁の位置と同じであり、前記糸の前記一方端部の前記端面が外部空間に露出したものである。
【0016】
この第3の態様によれば、前記糸の前記一方端部が前記第1及び第2のシート部分の外縁から飛び出さないので、前記糸が邪魔にならないとともに体裁が良い。
【0017】
第4の態様によるガス抜き袋体は、前記第3の態様において、熱接着層を有する第3及び第4のシート部分同士が前記熱接着層の溶着によりヒートシールされ、前記糸の他方端部付近が、前記第3及び第4のシート部分間において、前記熱接着層により囲まれることによって保持され、前記糸が一直線状をなし、前記糸の中間部が当該ガス抜き袋体の内部に位置するものである。
【0018】
この第4の態様によれば、前記糸の前記一方端部付近が前記第1及び第2のシート部分間において保持されるのみならず、前記糸の前記他方端部付近が前記第3及び第4のシート部分間において保持され、前記糸が一直線状をなすので、当該ガス抜き袋体の製造時に前記糸の取り扱いが容易となることから、製造コストをより低減することができる。もっとも、前記第1乃至第3の態様では、前記第4の態様に限らない。
【0019】
第5の態様によるガス抜き袋体は、前記第4の態様において、側方から見たときの前記糸の前記他方端部の端面の位置が、側方から見たときの前記第3及び第4のシート部分の外縁の位置と同じであり、前記糸の前記他方端部の前記端面が外部空間に露出したものである。
【0020】
この第5の態様によれば、前記糸の前記他方端部が前記第3及び第4のシート部分の外縁から飛び出さないので、前記糸が邪魔にならないとともに体裁が良い。
【0021】
第6の態様によるガス抜き袋体は、前記第4又は第5の態様において、当該ガス抜き袋体の底部から前記開口部までの距離をLとしたとき、前記糸は前記底部からL/4よりも上方の位置において横方向に一直線状をなすものである。
【0022】
前記第4及び第5の態様では、例えば、前記糸は、ほぼ前記底部に沿って横方向に一直線状をなすように配置してもよい。しかし、本発明者の研究の結果、この場合には、当該ガス抜き袋体の収容物によっては不都合が生ずることが判明した。すなわち、当該ガス抜き袋体の収容物が液体を生ずるもの(例えば、収容物が焙煎したコーヒー豆である場合には、当該コーヒー豆は液体として油分を生ずる。)である場合には、毛細管現象等によりその液体が当該糸を介してガス抜き袋体の外に染み出てくるという不都合が生ずることが判明した。
【0023】
これに対し、前記第6の態様によれば、当該ガス抜き袋体の底部から前記開口部までの距離をLとしたとき、前記糸は前記底部からL/4よりも上方の位置において横方向に一直線状をなすので、当該ガス抜き袋体の収容物が液体を生ずるものであっても、その液体が当該糸を介してガス抜き袋体の外に染み出てくる可能性を低減することができる。なお、前記第6の態様では、前記糸の高さ位置は、例えば、前記底部からL/2よりも高い位置としてもよいし、L・(3/4)よりも高い位置としてもよい。
【0024】
第7の態様によるガス抜き袋体は、前記第4乃至第6のいずれかの態様において、前面部、後面部及び襠部分をなす両側部を有する角筒状の胴部を備え、前記第1のシート部分が前記前面部(又は前記後面部)の一部をなし、前記第2のシート部分が前記両側部のうちの一方側部の一部をなし、前記第3のシート部分が前記前面部(又は前記後面部)の一部をなし、前記第4のシート部分が前記両側部のうちの他方側部の一部をなすものである。
【0025】
この第7の態様によれば、前記開口部を開口させた場合にも、前記糸が前記前面部(又は前記後面部)に沿った状態が保たれる。したがって、前記第7の態様によれば、前記糸を当該ガス抜き袋体の底部に沿って配置しなくても、収容物を前記開口部から当該ガス抜き袋体の内部に投入する際に前記糸がその投入の邪魔にならない。
【0026】
第8の態様によるガス抜き袋体は、前記第7の態様において、前記前面部及び前記後面部が、前記両側部よりも上方に延在したものである。
【0027】
この第8の態様によれば、前記前面部及び前記後面部が、前記両側部よりも上方に延在しているので、前記ガス抜き袋体の前記上端側において前記両側部が内方に折り込まれて前記前面部と前記後面部とが重ねられた状態で、内部に収容物が収容された後に開口部が閉塞されるようにヒートシールするに際し、前記両側部の上方において互いに対面する前記前面部と前記後面部との間もヒートシールすることができる。したがって、前記第8の態様によれば、内部に収容物が収容された後に前記開口部が閉塞されるようにヒートシールするに際し、そのヒートシールの不良が生じ難くなる。もっとも、前記第7の態様では、前記前面部及び前記後面部は、前記両側部よりも上方に延在せずに、前記両側部と同じ高さであってもよい。
【0028】
第9の態様によるガス抜き袋体は、前記第8の態様において、前記前面部の内面、前記後面部の内面及び前記両側部の内面に熱接着層を有するものである。
【0029】
この第9の態様によれば、前記前面部の内面、前記後面部の内面及び前記両側部の内面に熱接着層を有するので、内部に収容物が収容された後に前記開口部が閉塞されるようにヒートシールするに際し、そのヒートシールを適切に行うことができる。
【0030】
第10の態様によるガス抜き袋体の製造方法は、前記第1乃至第9のいずれかの態様によるガス抜き袋体を製造する製造方法であって、前記糸を含む糸を前記第1のシール部分を含むシート部分と前記第2のシート部分を含むシート部分との間に挟んで、当該糸を前記第1及び第2のシート部分間に挟みかつ前記第1及び第2のシート部分の外縁に相当する位置からはみ出すように配置した状態で、前記第1のシート部分と前記第2のシート部分とをヒートシールする段階と、前記段階の後に、前記第1及び第2のシート部分の外縁の形状に合わせて、前記第1のシール部分を含む前記シート部分及び前記第2のシール部分を含む前記シート部分を、当該糸と共に切断する段階と、を備えたものである。
【0031】
この第10の態様は、前記第1乃至第9の態様によるガス抜き袋体を製造する製造方法の一例を挙げたものである。
【0032】
第11の態様による袋詰め体は、前記第1乃至第7のいずれかの態様によるガス抜き袋体の内部に収容物が収容されてなる袋詰め体であって、前記開口部が閉塞されたものである。
【0033】
この第11の態様によれば、前記第1乃至第7の態様いずれかの態様によるガス抜き袋体が用いられているので、内部のガスを抜くことができる。
【0034】
第12の態様による袋詰め体は、前記第8又は第9の態様によるガス抜き袋体の内部に収容物が収容されてなる袋詰め体であって、前記ガス抜き袋体の前記上端側において前記両側部が内方に折り込まれて前記前面部と前記後面部とが重ねられた状態で、前記両側部の高さ位置を跨がる上下方向の幅を持つとともに側方へ延びる帯状領域において互いに対面する前記両側部と前記前面部との間、前記帯状領域において互いに対面する前記両側部と前記後面部との間、及び、前記帯状領域において互いに対面する前記前面部と前記後面部との間が、ヒートシールされることによって、前記開口部が閉塞されたものである。
【0035】
この第12の態様によれば、前記第8又は第9の態様によるガス抜き袋体が用いられているので、内部のガスを抜くことができる。
【0036】
そして、前記第12の態様によれば、前記第8又は第9の態様によるガス抜き袋体の内部に収容物が収容されてなる袋詰め体であり、前記帯状領域において互いに対面する前記前面部と前記後面部との間もヒートシールされるので、前記ガス抜き袋体の前記上端側において前記両側部が内方に折り込まれて前記前面部と前記後面部とが重ねられた状態で、内部に収容物が収容された後に開口部が閉塞されるようにヒートシールするに際し、前記両側部の上方において互いに対面する前記前面部と前記後面部との間もヒートシールされることになる。したがって、前記第12の態様によれば、内部に収容物が収容された後に前記開口部が閉塞されるようにヒートシールするに際し、前記従来のガス抜き袋体を用いた袋詰め体に比べて、そのヒートシールの不良が生じ難くなる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、特殊なバルブを用いることなく、しかも、前記従来のガス抜きテープを用いたガス抜き袋体に比べて製造コストを低減することができるガス抜き袋体及びその製造方法、並びに、前記ガス抜き袋体を用いた袋詰め体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の第1の実施の形態によるガス抜き袋体の、開口部が中程度開口した状態を示す概略斜視図である。
【
図2】
図1に示すガス抜き袋体の、開口部が完全に開口した状態を示す概略斜視図である。
【
図3】
図1に示すガス抜き袋体の、扁平状態を示す概略正面図及び概略右側面図である。
【
図4】
図1に示すガス抜き袋体の概略分解斜視図である。
【
図5】
図2中のA矢視の一部を模式的に示す概略拡大図である。
【
図6】
図2中のB矢視の一部を模式的に示す概略拡大図である。
【
図7】
図2中の糸の付近を拡大して模式的に示す概略横断面図である。
【
図8】
図1に示すガス抜き袋体の扁平状態における開口部の付近を示す概略正面図、及び、
図1に示すガス抜き袋体内に収容物が収容され開口部が閉塞されるようにヒートシールされてなる袋詰め体の開口部の付近を示す概略正面図である。
【
図9】
図1に示すガス抜き袋体内に収容物が収容され開口部が閉塞されるようにヒートシールされてなる袋詰め体を示す概略斜視図である。
【
図10】
図1に示すガス抜き袋体を製造する製袋機の一例の要部を模式的に示す概略側面図である。
【
図11】
図10中のシート等を模式的に示す概略平面図である。
【
図12】本発明の第2の実施の形態によるガス抜き袋体の扁平状態における開口部の付近を示す概略正面図、及び、本発明の第2の実施の形態によるガス抜き袋体内に収容物が収容され開口部が閉塞されるようにヒートシールされてなる袋詰め体の開口部の付近を示す概略正面図である。
【
図13】本発明の第3の実施の形態によるガス抜き袋体を示す概略平面図である。
【
図14】
図13に示すガス抜き袋体の、開口部を開いた状態を上方から見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明によるガス抜き袋体及びその製造方法、並びに、前記ガス抜き袋体を用いた袋詰め体について、図面を参照して説明する。
【0040】
[第1の実施の形態]
【0041】
図1は、本発明の第1の実施の形態によるガス抜き袋体1の、開口部1aが中程度開口した状態を示す概略斜視図である。
図2は、
図1に示すガス抜き袋体1の、開口部1aが完全に開口した状態を示す概略斜視図である。
図3(a)は、
図1に示すガス抜き袋体1の扁平状態を示す概略正面図である。
図3(a)において、ヒートシールされている領域R1,R2,R3にはハッチングを付している。
図3(b)は、
図1に示すガス抜き袋体1の扁平状態を示す概略右側面図である。
図4は、
図1に示すガス抜き袋体1の概略分解斜視図である。
図4では、後述するノッチ31の図示は省略している。
【0042】
図5は、
図2中のA矢視の一部を模式的に示す概略拡大図である。
図5において、前面部11の右側端面、右側部13の右側端面及び糸41の一方端面にはハッチングを付している。
図6は、
図2中のB矢視の一部を模式的に示す概略拡大図である。
図6において、前面部11の左側端面、左側部14の一方端面及び糸41の左側端面にはハッチングを付している。
図7は、
図2中の糸41の付近を拡大して模式的に示す概略横断面図である。なお、
図6及び
図7中のハッチングは、断面ではなく端面を示していることに留意されたい。
【0043】
説明の便宜上、
図1乃至
図7に示すように、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を定義する。X軸方向のうち矢印の向きを+X方向又は+X側、その反対の向きを-X方向又は-X側と呼ぶことがあり、Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。本実施の形態では、Z軸方向は上下方向となっており、+Z側が上側で-Z側が下側となっている。これらの点は、後述する各図についても同様である。
【0044】
以下の説明では、
図1中の紙面手前側を前側、
図1中の紙面奥側を後側として説明するが、その逆でもよい。「前」及び「後」は、いずれの側が「前」で「いずれの側が「後」であるかは固定的に定まるものではなく、「前」をいずれか一方の側とした場合に、「後」はその反対側を意味するものである。
【0045】
本実施の形態によるガス抜き袋体1は、上端側に開口部1aを有し下端が閉塞された胴部を備え、内部に収容物が収容された後に開口部1aが閉塞されるようにヒートシールされるものである。前記胴部は、前面部11、後面部12及び襠部分をなす両側部13,14を有し、角筒状をなしている。
【0046】
本実施の形態によるガス抜き袋体1は、前記胴部の下端を閉塞する角底部15を備えており、自立性を有する角底袋として構成されている。もっとも、本発明によるガス抜き袋体は、これに限らず、船底袋でもよいし、胴部を閉塞する底部を有しないガゼット型のガス抜き袋体でもよいし、例えば後述する第3の実施の形態によるガス抜き袋体91のように、自立性を有していなくてもよい。
【0047】
本実施の形態では、前面部11、後面部12、右側部13、左側部14及び角底部15は、
図4に示すようにそれぞれ別々の可撓性を有し内面に熱接着層を有する(内面にヒートシール性を有する)シートで構成され、これらの5枚のシートが前記熱接着層の溶着によりヒートシールされることによってガス抜き袋体1が構成されている。これらのシートの材質については、後述するが、本実施の形態では、各シートは、基材層(熱接着層以外の1層以上の層)と熱接着層(シーラント)とが積層されて構成されている。
図5では、前面部11の基材層11A及び熱接着層11B、並びに、右側部13の基材層13A及び熱接着層13Bが示されている。
図6では、前面部11の基材層11A及び熱接着層11B、並びに、左側部14の基材層14A及び熱接着層14Bが示されている。
【0048】
ガス抜き袋体1の右側部13に折り線13a~13dが形成され、ガス抜き袋体1の左側部14に折り線14a~14dが形成され、ガス抜き袋体1の底部15に折り線15aが形成され、これにより、ガス抜き袋体1は、
図3に示すように扁平状態に折り畳むことができるようになっている。この扁平状態では、開口部1aは閉じられる。
【0049】
この扁平状態において、前面部11と後面部12とがちょうど重なっており、前面部11と後面部12との間に、折り線13a~13dで折り畳まれた右側部13(
図4参照)、折り線14a~14dで折り畳まれた左側部14(
図4参照)及び折り線15aで折り畳まれた底部15が
図3に示すように配置されている。そして、前面部11及び後面部12の右辺に沿った領域R1において、前面部11と右側部13との間、後面部12と右側部13との間、及び、底部15と右側部13との間がヒートシールされている。また、前面部11及び後面部12の左辺に沿った領域R2において、前面部11と左側部14との間、後面部12と左側部14との間、及び、底部15と左側部14との間がヒートシールされている。さらに、前面部11及び後面部12の下辺に沿った領域R3において、前面部11と底部15との間、及び、後面部12と底部15との間がヒートシールされている。
【0050】
図2及び
図3において、21は領域R1における前面部11と右側部13との間のヒートシール部、22は領域R1における後面部12と右側部13との間のヒートシール部、23は領域R1における底部15と右側部13との間のヒートシール部、24は領域R2における前面部11と左側部14との間のヒートシール部、25は領域R2における後面部12と左側部14との間のヒートシール部、26は領域R2における底部15と左側部14との間のヒートシール部、27は領域R3における前面部11と底部15との間のヒートシール部、28は領域R3における後面部12と底部15との間のヒートシール部を、それぞれ示している。
【0051】
ヒートシール部21,22,24,25の上端側には、後述する帯状領域R4の下側位置において、
図1乃至
図3に示すように、ノッチ31が形成されている。ノッチ31は、当該ガス抜き袋体1の内部に収容物が収容された後に開口部1aが閉塞されるようにヒートシールされてなる袋詰め体51(
図9参照)から、前記収容物を取り出すべく上端側部分を側方に引きちぎる際の、引きちぎるきっかけとなるものである。
【0052】
本実施の形態では、前面部11及び後面部12は、右側部13及び左側部14よりもΔhだけ上方に(底部15から開口部1aへ向かう方向に)延在している。図面において、11aは前面部11の当該延在部分を示し、12aは後面部12の当該延在部分を示している。内部に収容物が収容された後に開口部1aが閉塞されるように後述する帯状領域R4をヒートシールするに際し、そのヒートシールの帯状領域R4の幅(上下方向の幅)を不必要に大きくしないためには、前面部11及び後面部12と両側部13,14との高さの差Δhは、100mm以下であることが好ましく、50mm以下であることが好ましく、30mm以下であることがより好ましく、10mm以下であることがより一層好ましい。また、内部に収容物が収容された後に前記開口部が閉塞されるようにヒートシールするに際し、そのヒートシールの不良を生じ難くする効果を比較的大きくするためには、前記高さの差Δhは、1mm以上であることが好ましく、3mm以上であることがより好ましく、5mm以上であることがより一層好ましい。以上説明した高さの差Δhの好ましい範囲の上限値と下限値とは任意に組み合わせてもよい。
【0053】
前面部11、後面部12、右側部13、左側部14及び底部15を構成するシートの材質は何ら限定されない。しかしながら、本実施の形態によるガス抜き袋体1は、ヒートシール性を考慮して各部の材質が選定されている。その材質の例を以下に挙げる。なお、ガス抜き袋体1の内面は、耐水性を持っていてもよいし、耐水性を持っていなくてもよい。また、各シートは、ガスバリア性等の所望の特性を有していてもよい。
【0054】
例えば、前面部11、後面部12、右側部13、左側部14及び底部15の全部を透明シート(無色透明のシートでもよいし、有色透明のシートでもよい)で構成してもよいし、その一部を透明シートで構成するとともに残りを不透明シートで構成してもよいし、前面部11、後面部12、右側部13、左側部14及び底部15の全部を不透明シートで構成してもよい。
【0055】
前記透明シートの例として、下記第1乃至第6の透明シートを挙げることができる。また、前記不透明シートの例として、下記第1乃至第6の不透明シートを挙げることができる。
【0056】
第1の透明シートは、ガス抜き袋体1の外側から順に積層した、ポリエステルフィルム、ポリエチレン層(溶融したポリエチレンによる接着層に相当)及びポリエチレンフィルムで構成した透明シートである。内側のポリエチレンが、耐水性を有するシーラント樹脂フィルム(熱接着層)に相当している。ここで、耐水性を有するシーラント樹脂フィルムとして、前記ポリエチレンフィルムに代えて、CP(ポリプロピレンを原料とした無延伸フィルム)を用いてもよい。
【0057】
第2の透明シートは、ガス抜き袋体1の外側から順に積層した、ポリエステルフィルム、接着剤(ドライラミネート)及びポリエチレンフィルム(耐水性を有するシーラント樹脂フィルムに相当)で構成した透明シートである。ここで、耐水性を有するシーラント樹脂フィルム(熱接着層)として、前記ポリエチレンフィルムに代えて、CPを用いてもよい。
【0058】
第3の透明シートは、ガス抜き袋体1の外側から順に積層した、ナイロンフィルム、接着剤(ドライラミネート)及びポリエチレンフィルム(耐水性を有するシーラント樹脂フィルムに相当)で構成した透明シートである。ここで、耐水性を有するシーラント樹脂フィルム(熱接着層)として、前記ポリエチレンフィルムに代えて、CPを用いてもよい。
【0059】
第4の透明シートは、ガス抜き袋体1の外側から順に積層した、ナイロンフィルム、ポリエチレン層(溶融したポリエチレンによる接着層に相当)及びポリエチレンフィルム(耐水性を有するシーラント樹脂フィルムに相当)で構成した透明シートである。ここで、耐水性を有するシーラント樹脂フィルム(熱接着層)として、前記ポリエチレンフィルムに代えて、CPを用いてもよい。
【0060】
第5の透明シートは、ガス抜き袋体1の外側から順に積層した、OP(ポリプロピレンを原料とする二軸延伸フィルム(OPPフィルム))、接着剤(ドライラミネート)及びポリエチレンフィルム(耐水性を有するシーラント樹脂フィルムに相当)で構成した透明シートである。ここで、耐水性を有するシーラント樹脂フィルム(熱接着層)として、前記ポリエチレンフィルムに代えて、CPを用いてもよい。
【0061】
第6の透明シートは、ガス抜き袋体1の外側から順に積層した、OP、ポリエチレン層(溶融したポリエチレンによる接着層に相当)及びポリエチレンフィルム(耐水性を有するシーラント樹脂フィルムに相当)で構成した透明シートである。ここで、耐水性を有するシーラント樹脂フィルム(熱接着層)として、前記ポリエチレンフィルムに代えて、CPを用いてもよい。
【0062】
第1の不透明シートは、ガス抜き袋体1の外側から順に積層された、樹脂フィルム、ポリエチレン、紙、ポリエチレン及びシーラント樹脂フィルムで構成されたシートである。前記樹脂フィルムとしては、耐水性を有するフィルムが用いられ、具体的には、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン又はナイロンのフィルムが用いられる。前記ポリエチレンは、例えば、押出ラミネート樹脂として用いられる。前記紙としては、例えば、クラフト紙又はコート紙などの植物繊維を有する紙や合成紙などが用いられる。シーラント樹脂フィルム(熱接着層)としては、耐水性及び熱溶着性(ヒートシール性)を有する樹脂フィルムが用いられ、具体的には、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのフィルムが用いられる。
【0063】
第2の不透明シートは、ガス抜き袋体1の外側から順に積層された、樹脂フィルム、接着剤、紙、接着剤及びシーラント樹脂フィルム(熱接着層)で構成されたシートである。前記樹脂フィルムとしては、耐水性を有するフィルムが用いられ、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン又はナイロンのフィルムが用いられる。前記接着剤としては、例えば、ノンソルベントラミネートの接着剤が用いられる。前記紙としては、例えば、クラフト紙又はコート紙などの植物繊維を有する紙や合成紙などが用いられる。前記シーラント樹脂フィルムとしては、耐水性及び熱溶着性を有する樹脂フィルムが用いられ、具体的には、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのフィルムが用いられる。
【0064】
第3の不透明シートは、ガス抜き袋体1の外側から順に積層された、ワニス、植物繊維を有する紙、接着剤及びシーラント樹脂フィルム(熱接着層)で構成されたシートである。前記ワニスとしては、撥水性を有することで耐水性を有するものが用いられ、例えば、印刷により形成される。前記紙としては、例えば、クラフト紙又はコート紙などの植物繊維を有する紙や合成紙などが用いられる。前記接着剤としては、例えば、ノンソルベントラミネートの接着剤が用いられる。前記シーラント樹脂フィルムとしては、耐水性及び熱溶着性を有する樹脂フィルムが用いられ、具体的には、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのフィルムが用いられる。
【0065】
第4の不透明シートは、ガス抜き袋体1の外側から順に積層された、耐水紙、接着剤及びシーラント樹脂フィルム(熱接着層)で構成されたシートである。前記耐水紙としては、例えば、公知の耐水紙が用いられる。前記耐水紙は植物繊維を有する紙を含んでもよい。前記接着剤としては、例えば、ノンソルベントラミネートの接着剤が用いられる。前記シーラント樹脂フィルムとしては、耐水性及び熱溶着性を有する樹脂フィルムが用いられ、具体的には、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのフィルムが用いられる。あるいは、前記シーラント樹脂フィルムとして、耐水性及び熱溶着性を有する生分解樹脂フィルムを用いてもよい。
【0066】
第5の不透明シートは、ガス抜き袋体1の外側から順に積層された、生分解樹脂フィルム、接着剤、紙、接着剤及び生分解樹脂フィルムで構成されたシートである。前記生分解樹脂フィルムとしては、耐水性を有する公知の生分解樹脂フィルムが用いられる。前記接着剤としては、例えば、ノンソルベントラミネートの接着剤が用いられる。前記紙としては、例えば、クラフト紙又はコート紙などの植物繊維を有する紙や合成紙などが用いられる。前記生分解樹脂フィルムとしては、耐水性及び熱溶着性を有する公知の生分解樹脂フィルムが用いられる。
【0067】
第6の不透明シートは、前記第1乃至第6のいずれかの透明シートに印刷等を施すことで不透明にしたシートである。この場合、右側部13及び左側部14のベースとなる透明シートとして、前面部11及び後面部12と同じ透明シートを用いてもよく、その場合には、印刷等の有無によって透明・不透明を設定することができる。
【0068】
そして、本実施の形態によるガス抜き袋体1は、当該ガス抜き袋体1の内部空間と当該ガス抜き袋体1の外部空間との間を連通する通気路を形成する糸41を、備えている。
【0069】
本実施の形態では、
図5に示すように、ヒートシール部21を構成する前面部11の部分(前記第1の態様における第1のシート部分に相当)とヒートシール部21を構成する右側部13の部分(前記第1の態様における第2のシート部分に相当)とが、前面部11の熱接着層11B及び右側部13の熱接着層13Bの溶着によりヒートシールされている。糸41の右側端部付近は、
図5及び
図7に示すように、ヒートシール部21を構成する前面部11の部分(前記第1の態様における第1のシート部分に相当)とヒートシール部21を構成する右側部13の部分(前記第1の態様における第2のシート部分に相当)との間において、前面部11の熱接着層11B及び右側部13の熱接着層13Bにより囲まれることにより保持されている。
【0070】
本実施の形態では、
図7に示すように、側方から(例えば、Z軸方向から)見たときの糸41の右側端部の端面の位置が、側方から(例えば、Z軸方向から)見たときのヒートシール部21を構成する前面部11の部分(前記第1の態様における第1のシート部分に相当)及びヒートシール部21を構成する右側部13の部分(前記第1の態様における第2のシート部分に相当)の外縁の位置と同じであり、糸41の右側端部の端面が外部空間に露出している。
【0071】
また、本実施の形態では、
図6に示すように、ヒートシール部24を構成する前面部11の部分(前記第4の態様における第3のシート部分に相当)とヒートシール部24を構成する左側部14の部分(前記第4の態様における第4のシート部分に相当)とが、前面部11の熱接着層11B及び左側部14の熱接着層14Bの溶着によりヒートシールされている。糸41の左側端部付近は、
図6及び
図7に示すように、ヒートシール部24を構成する前面部11の部分(前記第4の態様における第3のシート部分に相当)とヒートシール部24を構成する左側部14の部分(前記第4の態様における第4のシート部分に相当)との間において、前面部11の熱接着層11B及び左側部14の熱接着層14Bにより囲まれることにより保持されている。
【0072】
本実施の形態では、
図7に示すように、側方から(例えば、Z軸方向から)見たときの糸41の左側端部の端面の位置が、側方から(例えば、Z軸方向から)見たときのヒートシール部24を構成する前面部11の部分(前記第4の態様における第3のシート部分に相当)及びヒートシール部24を構成する左側部14の部分(前記第4の態様における第4のシート部分に相当)の外縁の位置と同じであり、糸41の左側端部の端面が外部空間に露出している。
【0073】
前述したように、本実施の形態では、糸41の右側端部付近がヒートシール部21で保持されるとともに糸41の左側端部付近がヒートシール部24で保持されることによって、糸41は、
図1乃至
図3並びに
図7に示すように、前面部11の内面に沿って横方向(X軸方向)に延びた一直線状をなし、糸41の中間部が当該ガス抜き袋体1の内部に位置している。
【0074】
本実施の形態では、
図1に示すように、当該ガス抜き袋体1の底部15から開口部1aまでの距離をLとしたとき、糸41は、底部15からL/4よりも上方の位置において横方向(X軸方向)に一直線状をなすように配置されている。糸41の高さ位置は、例えば、底部15からL/2よりも高い位置としてもよいし、L・(3/4)よりも高い位置としてもよい。
【0075】
本実施の形態では、糸41として、前記ヒートシールによっては溶けない材料(例えば、ポリエステル、ナイロン、木綿など)からなる撚り糸が用いられている。もっとも、本発明では、糸41は、これに限らず、前記ヒートシールにも拘わらず、当該ガス抜き袋体1の内部空間と当該ガス抜き袋体1の外部空間との間を連通する通気路を形成することができるものであればよい。
【0076】
本実施の形態によるガス抜き袋体1では、
図2に示すように開口部1aが開かれ、開口部1aからガス抜き袋体1の内部に任意の収容物(粉体、粒体、その他の固体など)が収容された後に、ガス抜き袋体1の上端側において
図8(a)及び(b)に示すように両側部13,14が折り込まれて前面部11と後面部12とが重ねられた状態で、
図8(b)に示すように両側部13,14の高さ位置を跨がる上下方向(Z軸方向)の幅を持つとともに側方へ(左右方向(X軸方向)へ)延びる帯状領域R4においてヒートシールされることによって、開口部1aが閉塞される。
図8(b)において、帯状領域R4にはハッチングを付している。すなわち、帯状領域R4において互いに対面する両側部13,14と前面部11との間、帯状領域R4において互いに対面する両側部13,14と後面部12との間、及び、帯状領域R4において互いに対面する前面部11と後面部12との間が、ヒートシールされることによって、開口部1aが閉塞される。これにより、
図9に示すように、ガス抜き袋体1の内部に収容物が収容されてなる袋詰め体51が得られる。
【0077】
前記収容物としては、例えば、焙煎したコーヒー豆などのガス発生物を挙げることができる。
【0078】
図8(a)は、
図1に示すガス抜き袋体1の扁平状態における開口部1aの付近を示す概略正面図である。
図8(b)は、
図1に示すガス抜き袋体1内に収容物が収容され開口部1aが閉塞されるようにヒートシールされてなる袋詰め体51の開口部1aの付近を示す概略正面図である。
図9は、前記袋詰め体51を示す概略斜視図である。
図9において、52は、帯状領域R4におけるヒートシール部分である。
【0079】
袋詰め体51内から収容物を取り出す場合には、ノッチ31の箇所から袋詰め体51の上端側部分を側方に引きちぎって、当該上端部分を除去すればよい。
【0080】
図10は、
図1に示すガス抜き袋体1を製造する製袋機の一例の要部を模式的に示す概略側面図である。
図11は、
図11中のシート11’,12’等を模式的に示す概略平面図である。
【0081】
図10に示す製袋機では、シート送り機構に送りローラ61が使用されており、前面シート11’及び後面シート12’が送りローラ61に導かれ、2層に重ね合わされ、送りローラ61によって両シート11’,12’が間欠送りされる。
図11に示すように、前面シート11’は、前面部11を幅方向に連続したものに相当している。ただし、前面シート11’は、前面部11に相当する各領域間には、後に切断装置65で切除されることになる幅ΔWを持つ帯状領域を持つようになっている。同様に、後面シート12’は、後面部12を幅方向に連続したものに相当している。ただし、後面シート12’は、後面部12に相当する各領域間には、後に切断装置65で切除されることになる幅ΔWを持つ帯状領域を持つようになっている。シート11’,12’の送り方向(
図10及び
図11中の右方向)は、前面部11及び後面部12の連続方向に平行な方向となっている。
【0082】
図示しない加工ステーションによって、
図4に示すように折り畳まれた両側部13,14をそれぞれ幅方向に若干拡張させてなる両側部13’,14’、並びに、
図4に示すように2つ折りされた角底部15を、元になるシートから作製し、図示しない供給機構によって、
図10及び
図11に示すように、両側部13’,14’及び角底部15を送りローラ61の手前における後面シート12’上に順次載せる。このとき、必要に応じて、両側部13’,14’及び角底部15を後面シート12’に対してヒートシール装置(図示せず)によってスポットシールして仮止めしてもよい。なお、両側部13,14ではなく、両側部13,14をそれぞれ幅方向に若干拡張させてなる両側部13’,14’を後面シート12’上に載せるのは、後に切断装置65で幅ΔWを持つ帯状領域を切除する際に、両側部13’,14’の外縁と糸41の端面とを切り揃えるためである。
【0083】
その後、両シート11’,12’の間欠送りに伴い、送りローラ61の位置において、両シート11’,12’が重ね合わされ、両側部13’,14’及び角底部15が両シート11’,12’間に挿入される。これと同時に、糸41が長さ方向に連続したものに相当する糸41’が、両側部13’,14’と前面シート11’との間に導かれて挿入される。
【0084】
その後、両シート11’,12’の間欠送り毎に、幅ΔWの帯状領域並びにこれを挟む領域R1及び領域R2の全体からなる領域R’が、ヒートシール装置62によってヒートシールされる。
【0085】
さらに、その後、両シート11’,12’の間欠送り毎に、領域R3がヒートシール装置63によってヒートシールされる。これと同時に、打ち抜き装置64によって、ノッチ31となるべき長孔31’が打ち抜かれる。
【0086】
さらに、その後、両シート11’,12’の間欠送り毎に、切断装置65によって、幅ΔWの帯状領域が切除される。これにより、
図1に示すガス抜き袋体1が完成する。
【0087】
以上説明した製造方法では、前述した領域R’をヒートシールする段階は、糸41を含む糸41’を第1のシール部分(ヒートシール部21を構成する前面部11の部分)を含むシール部分と第2のシート部分(ヒートシール部21を構成する右側部13の部分)を含むシート部分との間に挟んで、当該糸41’を前記第1及び第2のシート部分間に挟みかつ前記第1及び第2のシート部分の外縁に相当する位置からはみ出すように配置した状態で、前記第1のシート部分と前記第2のシート部分とをヒートシールするヒートシール段階に相当している。また、前述した領域R’をヒートシールする段階は、糸41を含む糸41’を第3のシール部分(ヒートシール部24を構成する前面部11の部分)を含むシール部分と第4のシート部分(ヒートシール部24を構成する左側部14の部分)を含むシート部分との間に挟んで、当該糸41’を前記第3及び第4のシート部分間に挟みかつ前記第3及び第4のシート部分の外縁に相当する位置からはみ出すように配置した状態で、前記第1のシート部分と前記第2のシート部分とをヒートシールするヒートシール段階に相当している。
【0088】
また、前述した製造方法では、切断装置65によって幅ΔWの帯状領域を切除する段階は、前記ヒートシール段階の後に、前記第1及び第2のシート部分の外縁の形状に合わせて、前記第1のシール部分を含む前記シート部分及び前記第2のシール部分を含む前記シート部分を、当該糸41’と共に切断する段階に相当している。また、切断装置65によって幅ΔWの帯状領域を切除する段階は、前記ヒートシール段階の後に、前記第3及び第4のシート部分の外縁の形状に合わせて、前記第3のシール部分を含む前記シート部分及び前記第4のシール部分を含む前記シート部分を、当該糸41’と共に切断する段階に相当している。
【0089】
本実施の形態によるガス抜き袋体1では、当該ガス抜き袋体1の内部空間と当該ガス抜き袋体1の外部空間との間を連通する通気路を形成する糸41を備えているので、特殊なバルブが用いられていないことから、製造コストを低減することができる。また、本実施の形態によるガス抜き袋体1を用いた袋詰め体51によれば、糸41が形成する通気路から内部のガスを抜くことができる。
【0090】
そして、本実施の形態によるガス抜き袋体1では、糸41の右側端部付近が、前記第1及び第2のシート部分間において、前面部11の熱接着層11B及び右側部13の熱接着層13Bにより囲まれることにより保持されているので、従来のガス抜きテープのように予めポリエチレンによって成形された筒体の中央部に糸をインサート成形しておく必要がないため、従来のガス抜きテープを用いたガス抜き袋体に比べても製造コストを低減することができる。
【0091】
本実施の形態によるガス抜き袋体1では、側方から見たときの糸41の右側端部の端面の位置が、側方から見たときの前記第1及び第2のシート部分の外縁の位置と同じである。このため、糸41の右側端部が前記第1及び第2のシート部分の外縁から飛び出さないので、糸41が邪魔にならないとともに体裁が良い。
【0092】
また、本実施の形態によるガス抜き袋体1では、糸41の左側端部付近が、前記第3及び第4のシート部分間において、前面部11の熱接着層11B及び左側部14の熱接着層14Bにより囲まれることにより保持され、糸41が一直線状をなすので、前述した製造方法のように当該ガス抜き袋体1の製造時に糸41’の取り扱いが容易となることから、製造コストをより低減することができる。
【0093】
本実施の形態によるガス抜き袋体1では、側方から見たときの糸41の左側端部の端面の位置が、側方から見たときの前記第3及び第4のシート部分の外縁の位置と同じである。このため、糸41の左側端部が前記第3及び第4のシート部分の外縁から飛び出さないので、糸41が邪魔にならないとともに体裁が良い。
【0094】
さらに、本実施の形態によるガス抜き袋体1では、当該ガス抜き袋体1の底部から開口部1aまでの距離をLとしたとき、糸41は前記底部からL/4よりも上方の位置において横方向に一直線状をなすので、当該ガス抜き袋体1の収容物が焙煎したコーヒー豆のように油分のなどの液体を生ずるものであっても、その液体が糸41を介してガス抜き袋体1の外に染み出てくる可能性を低減することができる。
【0095】
本実施の形態によるガス抜き袋体1では、前述したように、糸41の右側端部付近がヒートシール部21で保持されるとともに糸41の左側端部付近がヒートシール部24で保持されることによって、糸41は、
図1乃至
図3並びに
図7に示すように、前面部11の内面に沿って横方向(X軸方向)に延びた一直線状をなし、糸41の中間部が当該ガス抜き袋体1の内部に位置している。したがって、本実施の形態によるガス抜き袋体1によれば、
図2に示すように開口部1aを開口させた場合にも、糸41が前面部11に沿った状態が保たれる。したがって、糸41を当該ガス抜き袋体1の底部に沿って配置しなくても、収容物を開口部1aから当該ガス抜き袋体1の内部に投入する際に糸41がその投入の邪魔にならない。
【0096】
さらにまた、本実施の形態によるガス抜き袋体1では、
図8(a)及び(b)に示すようにガス抜き袋体1の上端側において両側部13,14が内方に折り込まれて前面部11と後面部12とが重ねられた状態で、内部に収容物が収容された後に開口部1aが閉塞されるようにヒートシールするに際し、
図8(b)中の帯状領域R4で示すように両側部13,14の上方において互いに対面する前面部11と後面部12との間もヒートシールすることができる。したがって、本実施の形態によれば、内部に収容物が収容された後に開口部1aが閉塞されるようにヒートシールするに際し、そのヒートシールの不良が生じ難くなる。この点については、下記第2の実施の形態によるガス抜き袋体71と比較して後述する。
【0097】
[第2の実施の形態]
【0098】
図12(a)は、本発明の第2の実施の形態によるガス抜き袋体71の扁平状態における開口部1aの付近を示す概略正面図であり、
図8(a)に対応している。
図12(b)は、本発明の第2の実施の形態によるガス抜き袋体71内に収容物が収容され開口部1aが閉塞されるようにヒートシールされてなる袋詰め体81の開口部1aの付近を示す概略正面図であり、
図8(b)に対応している。
図12(a)及び(b)において、
図8(a)及び(b)中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0099】
本実施の形態によるガス抜き袋体71が前記第1の実施の形態によるガス抜き袋体1と異なる所は、前記第1の実施の形態によるガス抜き袋体1では、前面部11及び後面部12が右側部13及び左側部14よりもΔhだけ上方に延在し、ヒートシールされる帯状領域R4が両側部13,14の高さ位置を跨がる上下方向の幅を持つのに対し、本実施の形態によるガス抜き袋体71では、前面部11、後面部12及び両側部13,14の上端の高さはいずれも同一であり、ヒートシールされる帯状領域R4の上側縁が前面部11、後面部12及び両側部13,14の上端と一致している点である。
【0100】
本実施の形態によるガス抜き袋体71では、例えば、内方に折り込まれた両側部13,14の厚みによる生ずる段差付近の
図12(b)中のC付近及びD付近で、ヒートシールの不良が生ずる場合がある。これに対し、前記第1の実施の形態によるガス抜き袋体1では、
図8(a)及び(b)に示すようにガス抜き袋体1の上端側において両側部13,14が内方に折り込まれて前面部11と後面部12とが重ねられた状態で、内部に収容物が収容された後に開口部1aが閉塞されるようにヒートシールするに際し、
図8(b)中の帯状領域R4で示すように両側部13,14の上方において互いに対面する前面部11と後面部12との間もヒートシールすることができる。したがって、前記第1の実施の形態によるガス抜き袋体1では、内部に収容物が収容された後に開口部1aが閉塞されるようにヒートシールするに際し、前記本実施の形態によるガス抜き袋体71に比べて、そのヒートシールの不良が生じ難くなる。
【0101】
この点以外については、本実施の形態によるガス抜き袋体71によっても、前記第1の実施の形態によるガス抜き袋体1と同様の利点が得られる。
【0102】
[第3の実施の形態]
【0103】
図13は、本発明の第3の実施の形態によるガス抜き袋体91を示す概略平面図である。
図14は、
図13に示すガス抜き袋体91の、開口部91aを開いた状態を上方から見た概略図である。
図13及び
図14において、
図1中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0104】
本実施の形態によるガス抜き袋体91が前記第1の実施の形態によるガス抜き袋体1と異なる所は、以下に説明する点である。
【0105】
本実施の形態によるガス抜き袋体91では、
図1中の両側部13,14及び角底部15が取り除かれ、前面部11と後面部12とが直接重ねられ、左辺に沿った帯状領域がヒートシール部92とされ、右辺に沿った帯状領域がヒートシール部93とされ、下辺に沿った帯状領域がヒートシール部94とされ、上辺側を開口部91aとするいわゆる三方シール袋として構成されている。
【0106】
本実施の形態では、
図5に示すように、ヒートシール部92を構成する前面部11の部分とヒートシール部92を構成する後面部12の部分とが、前面部11の熱接着層及び後面部12の熱接着層の溶着によりヒートシールされている。糸41の左側端部付近は、ヒートシール部92を構成する前面部11の部分とヒートシール部92を構成する後面部12の部分との間において、前面部11の熱接着層及び後面部12の熱接着層により囲まれることにより保持されている。
【0107】
本実施の形態では、側方から見たときの糸41の左側端部の端面の位置が、側方から見たときのヒートシール部92を構成する前面部11の部分及びヒートシール部92を構成する後面部12の部分の外縁の位置と同じであり、糸41の左側端部の端面が外部空間に露出している。
【0108】
また、本実施の形態では、ヒートシール部93を構成する前面部11の部分とヒートシール部93を構成する後面部12の部分とが、前面部11の熱接着層及び後面部12の熱接着層の溶着によりヒートシールされている。糸41の右側端部付近は、ヒートシール部93を構成する前面部11の部分とヒートシール部93を構成する左側部14の部分との間において、前面部11の熱接着層及び後面部12の熱接着層により囲まれることにより保持されている。
【0109】
本実施の形態では、側方から見たときの糸41の右側端部の端面の位置が、側方から見たときのヒートシール部93を構成する前面部11の部分及びヒートシール部93を構成する後面部12の部分の外縁の位置と同じであり、糸41の右側端部の端面が外部空間に露出している。
【0110】
前述したように、本実施の形態では、糸41の左側端部付近がヒートシール部92で保持されるとともに糸41の右側端部付近がヒートシール部93で保持されることによって、糸41は、
図13及び
図14に示すように、前面部11と後面部12との間の真ん中において横方向に延びた一直線状をなし、糸41の中間部が当該ガス抜き袋体1の内部に位置している。また、本実施の形態では、
図13に示すように、開口部91aの比較的近くに配置されている。
【0111】
本実施の形態によるガス抜き袋体91では、開口部91aを開いて開口部91aから収容物を投入し、収容物を当該ガス抜き袋体91の内部に収容した後に、上辺に沿った領域R5がヒートシールされる。本実施の形態によるガス抜き袋体91では、開口部91aを開くと、糸41は、開口部91aに比較的近い高さ位置において、
図14に示すように、前面部11と後面部12との間の真ん中において横方向に延びた一直線状をなすので、収容物によっては、収容物を開口部91aから当該ガス抜き袋体91の内部に投入する際に糸41がその投入の邪魔になる可能性がある。
【0112】
これに対し、前記第1の実施の形態によるガス抜き袋体1では、
図2に示すように開口部1aを開口させた場合にも、糸41が前面部11に沿った状態が保たれる。したがって、糸41を当該ガス抜き袋体1の底部に沿って配置しなくても、収容物を開口部1aから当該ガス抜き袋体1の内部に投入する際に糸41がその投入の邪魔にならないのである。
【0113】
本実施の形態によるガス抜き袋体91では、糸41が開口部91aからの収容物の投入の邪魔になる場合には、その投入前に、例えば、
図14中のE付近で糸41を切断したり、
図14中のF付近及び/又はG付近で糸41を切断したりしてもよい。
【0114】
以上述べた点以外については、本実施の形態によるガス抜き袋体91によっても、前記第1の実施の形態によるガス抜き袋体1と同様の利点が得られる。
【0115】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0116】
例えば、前記第1乃至第3の実施の形態によるガス抜き袋体1,71,91において、ノッチ31と糸41との間の高さ位置において、公知のジッパー(チャックと呼ばれる場合もある。)を設けてもよい。
【符号の説明】
【0117】
1,71,91 ガス抜き袋体
1a 開口部
11 前面部
12 後面部
13 右側部
14 左側部
15 底部
41 糸