(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026889
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】圧縮剛性領域が強化されたインプラント可能なデバイスの支持構造
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024007251
(22)【出願日】2024-01-22
(62)【分割の表示】P 2022538161の分割
【原出願日】2020-12-18
(31)【優先権主張番号】62/951,292
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ダスティン ブイ.ディエンノ
(57)【要約】
【課題】良好な支持構造などを提供すること。
【解決手段】様々な例は、展開構成に移行する際に、近位セクションがデバイスの長手方向軸に対する横断面における増加した剛性、又は、変形に対する抵抗(形状、サイズ又はその両方の変化に対する抵抗を含む)を有するフレームを組み込んだ支持構造(例えば、人工弁支持構造又はフレーム)を取り扱う。横断方向変形抵抗のそのような増加は、例えば、半径方向の圧縮抵抗の増加又は平板剛性の増加、あるいはその両方として測定されうる。横断方向変形抵抗のそのような増加は、領域の初期の半径方向の拡張に続く領域の長手方向の圧縮などによって、支持構造の増加した剛性領域の長さの減少によって実現されうる。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラント可能なデバイスの支持構造であって、前記支持構造は長手方向軸を有するチューブ状本体を含み、前記チューブ状本体は、
環状形状でありそして第一の横断方向変形抵抗を特徴とする第一の領域、及び、
環状形状でありそして第二の横断方向変形抵抗を特徴とする第二の領域、
を含み、
前記第二の領域は、前記第二の領域の環状形状を画定する複数のフレーム要素を含み、前記複数のフレーム要素のそれぞれの少なくとも一部は、前記チューブ状本体の長手方向軸を横断する半径方向の幅及び前記チューブ状本体の長手方向軸に平行な長手方向の厚さを含む縮小された断面の領域を有し、前記縮小された断面の領域の幅は、前記第二の領域が半径方向よりも長手方向に比較的に高い圧縮度を示すように、厚さの少なくとも4倍である、支持構造。
【請求項2】
前記第二の横断方向変形抵抗は、前記第一の横断方向変形抵抗よりも大きい、請求項1記載の支持構造。
【請求項3】
前記第一の領域は、前記第一の領域の環状形状を画定する複数のフレーム要素を含み、さらに、前記第一の領域の複数のフレーム要素のそれぞれの少なくとも一部は、前記チューブ状本体の長手方向軸を横断する半径方向の幅、及び、前記チューブ状本体の長手方向軸に平行な長手方向の厚さを有し、前記第一の領域の複数のフレーム要素のそれぞれの幅は、前記第一の領域の複数のフレーム要素のそれぞれの厚さの4倍未満である、請求項1~2のいずれか1項記載の支持構造。
【請求項4】
前記第一の領域に結合された1つ以上の弁尖をさらに含む、請求項1~3のいずれか1項記載の支持構造。
【請求項5】
前記1つ以上の弁尖は天然材料から形成されている、請求項4記載の支持構造。
【請求項6】
前記1つ以上の弁尖は合成材料から形成されている、請求項4記載の支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月20日に出願された仮出願第62/951,292号の利益を主張し、あらゆる目的のためにその全体を参照により本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0002】
分野
人工弁を含むインプラント可能なメディカルデバイス及び関連する支持構造。
【0003】
背景
インプラント可能なメディカルデバイスに関連する様々なタイプの支持構造が実装される。自己拡張型ニチノールフレームは、しばしば、交換用心臓弁の支持構造として使用される。これらのデバイスは、治療のために石灰化した大動脈弁輪に配置されうる。様々な状況において、そのような支持構造は、有効に機能するのに不十分な平板剛性を有するか、又は周囲の組織に望ましくない慢性的な半径方向の力を及ぼすかのいずれかである。
【発明の概要】
【0004】
要旨
様々な例は、展開構成に移行すると、近位セクションが、デバイスの長手方向軸に対する横断面で、増加した剛性、又は、形状、サイズ又はその両方の変化に対する抵抗を含む変形に対する抵抗を有するフレームを組み込んだ支持構造(例えば、人工弁構造)に関する。横断方向変形抵抗のそのような増加は、例えば、半径方向圧縮抵抗の増加又は平板剛性の増加、あるいはその両方として測定されうる。横断方向の変形抵抗のそのような増加は、領域の初期半径方向拡張に続く領域の長手方向圧縮などによって、支持構造の増加した剛性領域の長さを減少させることによって実現することができる。
【0005】
1つの例(「例1」)によれば、インプラント可能なデバイスの支持構造は、長手方向軸を有するチューブ状本体を含み、前記チューブ状本体は、環状形状でありそして第一の横断方向変形抵抗(例えば、第一の半径方向圧縮抵抗及び/又は第一の平板剛性)を特徴とする第一の領域、及び、環状形状でありそして第二の横断方向変形抵抗(例えば、第二の半径方向圧縮抵抗及び/又は第二の平板剛性)を特徴とする第二の領域を含む。前記第二の領域は、前記第二の領域の環状形状を画定する複数のフレーム要素を含むことができる。複数のフレーム要素は、第二の領域が半径方向又は横断方向よりも長手方向において比較的高い圧縮度を示すように、形状/幾何形状(例えば、曲率)及び/又は断面(例えば、比較的に縮小した断面の領域)を有することができる。
【0006】
幾つかの例において、前記複数のフレーム要素のそれぞれの少なくとも一部は、前記チューブ状本体の長手方向軸を横断する半径方向の幅及び前記チューブ状本体の長手方向軸に平行な長手方向の厚さを含む縮小された断面の領域を有し、前記縮小された断面の領域の幅は、前記第二の領域が半径方向よりも長手方向に比較的に高い圧縮度を示すように、厚さよりも大きい(例えば、厚さの少なくとも2倍、4倍、6倍又は他の倍数)。
【0007】
別の例(「例2」)によれば、例1に加えて、前記第二の横断方向変形抵抗(例えば、半径方向及び/又は平板の剛性)は、前記第一の横断方向変形抵抗(例えば、半径方向及び/又は平板の剛性)よりも大きい。
【0008】
別の例(「例3」)によれば、例1に加えて、前記第一の領域は、前記第一の領域の環状形状を画定する複数のフレーム要素を含み、さらに、前記第一の領域の複数のフレーム要素のそれぞれの少なくとも一部は、前記チューブ状本体の長手方向軸を横断する半径方向の幅、及び、前記チューブ状本体の長手方向軸に平行な長手方向の厚さを有し、前記第一の領域の複数のフレーム要素のそれぞれの幅は、前記第一の領域の複数のフレーム要素のそれぞれの厚さの4倍未満である。
【0009】
別の例(「例4」)によれば、例1に加えて、前記支持構造は、前記第一の領域に結合された1つ以上の弁尖を含む。
【0010】
別の例(「例5」)によれば、例4に加えて、前記1つ以上の弁尖は天然材料から形成されている。
【0011】
別の例(「例6」)によれば、例4に加えて、前記1つ以上の弁尖は、合成材料から形成されている。
【0012】
別の例(「例7」)によれば、インプラント可能なデバイスの支持構造は、長手方向軸を有するチューブ状本体を含み、前記インプラント可能なデバイスは、デリバリー構成と展開構成との間で移行可能であり、前記チューブ状本体は、環状形状でありそして第一の横断方向変形抵抗を特徴とする第一の領域、及び、環状形状でありそして第二の横断方向変形抵抗を特徴とする第二の領域を含み、前記第二の領域は、第二の領域の環状形状を画定する複数のフレーム要素を含み、前記複数のフレーム要素は互いに交差して複数のセルを形成し、前記複数のセルのそれぞれは、支持構造の長手方向軸に沿って長手方向を指向する長手方向頂点と、前記長手方向頂点を横断しそして支持構造の周囲に沿って指向する側方方向頂点とを画定し、さらに、展開構成において、長手方向頂点は鈍角を画定し、周方向頂点は鋭角を画定する。
【0013】
別の例(「例8」)によれば、例7に加えて、前記複数のセルのそれぞれは、長手方向を指向する一対の長手方向頂点及び周方向に沿って指向する一対の側方方向頂点を画定し、さらに、展開構成において、前記長手方向頂点のそれぞれは鈍角を画定し、前記側方方向頂点のそれぞれは鋭角を画定する。
【0014】
別の例(「例9」)によれば、例8に加えて、前記複数のセルの側方方向頂点の各対は、前記複数のセルのそれぞれの側方方向頂点の対の間に延在する複数のセルの周方向中心線を画定し、さらに、交差するフレーム部材のそれぞれの少なくとも一部は、複数のセルのそれぞれの周方向中心線と交差する複数のセルのそれぞれの長手方向頂点の対を画定する。
【0015】
別の例(「例10」)によれば、例9に加えて、前記展開構成の各長手方向頂点によって画定される鈍角は、100度、130度、150度又は170度を超え、又は上述の値の間の任意の値又は範囲である。
【0016】
別の例(「例11」)によれば、例9に加えて、各長手方向軸によって画定される鈍角は、100度~170度である。
【0017】
別の例(「例12」)によれば、例9に加えて、前記第二の横断方向変形抵抗は、前記第一の横断方向変形抵抗よりも大きい。
【0018】
別の例(「例13」)によれば、人工弁をインプラント処置する方法は、人工弁が第一の圧縮されたデリバリー直径であるデリバリー構成において、患者の解剖学的構造内の標的領域に人工弁を前進させること、ここで、前記人工弁は、環状形状を有しそして第一の横断変形抵抗を特徴とする第一の領域、及び、環状形状を有しそして第二の横断変形抵抗を特徴とする第二の領域を含む支持構造を含み、前記第二の領域は複数のフレーム要素を含み、前記複数のフレーム要素は互いに交差して複数のセルを形成し、前記複数のセルのそれぞれは、前記支持構造の長手方向軸に沿って長手方向を指向する長手方向頂点および前記長手方向頂点を横断しそして前記支持構造の周囲に沿って指向する側方方向頂点を画定し、ここで、前記人工弁がデリバリー構成にあるときに、前記長手方向頂点は鋭角を画定し、周方向頂点は鈍角を画定する、及び、前記長手方向頂点が鈍角を画定し、周方向頂点が鋭角を画定するように前記人工弁を展開することを含む。幾つかの実施形態において、前記人工弁を展開することは、第二の領域を軸方向又は長手方向に圧縮し、軸方向に圧縮された構成で前記第二の領域をロックすることをさらに含む。
【0019】
別の例(「例14」)によれば、例13に加えて、前記長手方向頂点の鈍角は少なくとも180度である。
【0020】
別の例(「例15」)によれば、例13に加えて、前記長手方向頂点の鈍角は180度を超える。
【0021】
別の例(「例16」)によれば、人工弁の支持構造を形成する方法は、チューブから閉鎖セルのパターンを切り取って、第一の直径及び第一の長さを有する支持構造を形成すること、ここで、各閉鎖セルは、複数のフレーム部材によって画定されている、前記支持構造の第一の直径を前記第一の直径から第二の直径に拡張すること、前記支持構造の長さのすべてより短い部分を軸方向に圧縮して、第一の領域及び第二の領域を形成すること、ここで、前記第一の領域は第一の複数のセルを含みそして前記第二の領域は第二の複数のセルを含み、前記第二の複数のセル中のセルの形状は、前記第一の複数のセル中のセルの形状とは異なる、及び、前記第一の領域が第一の横断方向変形抵抗を特徴とし、前記第二の領域が前記第一の横断方向変形抵抗とは異なる第二の横断方向変形抵抗を特徴とするように、前記第一の領域及び前記第二の領域を有する幾何形状で前記支持構造をヒートセットさせることを含む。
【0022】
別の例(「例17」)によれば、例16に加えて、前記支持構造のセルは、前記第一の領域及び前記第二の領域を形成するために前記支持構造の長さのすべてより短い部分を軸方向に圧縮する前に、それぞれ同じ形状(例えば、それぞれが概して菱形である)を有する。様々な実施形態において、前記第二の領域のセルは、初期のデリバリー構成において、横断方向よりも長手方向において比較的により長尺の形状を有する。
【0023】
別の例(「例18」)によれば、インプラント可能なデバイスの支持構造は、1つ以上の弁尖を支持するように構成された第一の領域、及び、強化された横断方向変形抵抗を提供するように構成された第二の領域を有するフレームワークを含み、前記第二の領域は、複数のセルを画定し、前記複数のセルはそれぞれ、前記第二の領域がデリバリー構成にあるときの第一の高さ及び幅、前記第二の領域が前記デリバリー構成から初期の拡張構成に拡張されるときの第二の高さ及び幅、及び、前記第二の領域が初期の拡張構成から、前記初期の拡張構成と比較して強化された横断方向変形抵抗を有する最終的な展開構成に長手方向に圧縮されるときの第三の高さ及び幅を有し、前記支持構造は、前記第三の高さ及び幅で前記複数のセルのうちの1つ以上をロックするように構成された少なくとも1つのロック機構を含む。
【0024】
前記ロック機構は、場合により、対応するセル内に突出する第一のロック構成要素を含み、前記第一のロック構成要素は、第一の滑り面及び第一の突起を含み、第一のレシーバを画定し、また、第二のロック構成要素を含み、前記第二のロック構成要素は前記第一のロック構成要素に向かって突出し、前記第二のロック構成要素は、第二の滑り面及び第二の突起を含み、第二のレシーバを画定する。
【0025】
幾つかの例において、前記第一のロック構成要素及び前記第二のロック構成要素は、対応するセルの崩潰中に第一の滑り面及び第二の滑り面がそれぞれに対して摺動して、第二のレシーバにおける第一の突起及び第一のレシーバにおける第二の突起の受け取りを促進して、ロック機構をロックしそして崩潰された構成において対応するセルを保持するように構成されている。
【0026】
別の例(「例19」)によれば、例18に加えて、前記支持構造は人工弁の一部として含まれている。
【0027】
別の例(「例20」)によれば、例18に加えて、前記支持構造はステント構造である。
【0028】
別の例(「例21」)によれば、例18~20のいずれか1つに加えて、任意選択的な第一の滑り面及び第二の滑り面は、対応するセルの崩潰中に第一のロック構成要素及び第二のロック構成要素を弾性的に偏向させる。
【0029】
別の例(「例22」)によれば、例18~21のいずれか1つに加えて、任意選択的な第一のロック構成要素及び第二のロック構成要素は、形状が対称である。
【0030】
別の例(「例23」)によれば、例18~22のいずれか1つに加えて、任意選択的な第一のロック構成要素及び第二のロック構成要素は、支持構造と一体的に形成されている。
【0031】
別の例(「例24」)によれば、インプラント可能なデバイスの支持構造であって、前記支持構造は遠位端を有する長手方向に圧縮可能な部分及び前記支持構造に関連するロック機構を画定し、前記ロック機構は、第一の端部及び第二の端部を有する本体、前記本体の第二の端部に配置された固定部分を含み、前記固定部分は、前記支持構造の長手方向に圧縮可能な部分の遠位端に選択的に係合するように動作可能である。
【0032】
別の例(「例25」)によれば、例24に加えて、前記ロック機構は、圧縮部材を保持するように構成された圧縮部材リテーナをさらに含む。
【0033】
別の例(「例26」)によれば、例25に加えて、前記圧縮部材リテーナは、前記固定部分が前記支持構造の長手方向に圧縮可能な部分の遠位端と係合したときに圧縮部材を解放するように構成されている。
【0034】
別の例(「例27」)によれば、例24~26のいずれか1つに加えて、前記固定部分は前記ロック機構の本体に対して鋭角に配置されている。
【0035】
別の例(「例28」)によれば、例24~27のいずれか1つに加えて、前記ロック機構は、前記ロック機構の本体の第一の端部に配置された結合部分をさらに含む。
【0036】
別の例(「例29」)によれば、例24~28のいずれか1つに加えて、前記結合部分は前記支持構造に結合するように構成されている。
【0037】
上述の例はまさに実施例であり、本開示によって提供される本発明の概念の範囲を制限するか、さもなければ狭めるように読まれるべきではない。複数の例が開示されているが、さらに他の実施形態は、例示的な例を示して記載する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に限定的なものではなく、本質的に例示的なものと考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図面の簡単な説明
添付の図面は、本開示の本発明の実施形態のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成し、例を示し、記載とともに、様々な本発明の原理を説明するのに役立つ。
【0039】
【
図1A】
図1Aは、幾つかの実施形態による、第一の弁尖取り付け領域及び増加した横断方向変形抵抗の第二の領域を有する支持構造を含む人工弁を示す。
【0040】
【
図1B】
図1Bは、幾つかの実施形態による、第一の弁尖取り付け領域及び横断方向変形抵抗が増加した第二の領域を有する支持構造を含む人工弁を示し、弁尖は、第一の領域と第二の領域との間の境界に取り付けられる。
【0041】
【
図2】
図2は、幾つかの実施形態による、弁尖及びグラフト材料が取り外された、
図1の人工弁の支持構造を示している。
【0042】
【
図3】
図3は、幾つかの実施形態による、人工弁の第一の弁尖取り付け領域を示している。
【0043】
【
図4】
図4は、幾つかの実施形態による、
図1の人工弁の横断方向変形抵抗が増加した第二の領域を示している。
【0044】
【
図5】
図5A~5Cは、幾つかの実施形態による、弁尖及びグラフト材料が取り外された、支持構造を含む人工弁の展開の様々な段階を示している。
【0045】
【
図6】
図6は、幾つかの実施形態による、インプラント処置中のデリバリーのための初期状態に対応する構成の人工弁の支持構造の第二の領域を示している。
【0046】
【
図7】
図7A~7Cは、幾つかの実施形態による、初期構成における
図1の人工弁の横断方向変形抵抗が増加した領域の構造要素の横列を示している。
【0047】
【
図8】
図8A~8Cは、幾つかの実施形態による、
図7A~7Cに示される構造要素の横列内のセルの詳細図を示している。
【0048】
【
図9】
図9は、幾つかの実施形態による、ロック機構を示している。
【0049】
【
図10】
図10は、幾つかの実施形態による、結合部分及び固定部分を備えたロック機構を示している。
【0050】
【
図11】
図11は、幾つかの実施形態による、結合部分を備えたロック機構を示しており、ここで、結合部分の遠位先端は、ロック機構の本体から切り離されている。
【0051】
【
図12】
図12は、幾つかの実施形態による、支持構造と係合されたロック機構を示している。
【0052】
【
図13】
図13は、幾つかの実施形態による、支持構造と係合された
図11のロック機構を示している。
【0053】
【
図14】
図14は、幾つかの実施形態による、ロック機構の本体が支持構造の内部に配置されている、支持構造と係合されたロック機構を示している。
【0054】
【
図15】
図15は、幾つかの実施形態による、係合されたロック機構を備えた支持構造を示している。
【0055】
【
図16】
図16A~16Eは、幾つかの実施形態による、長手方向の圧縮及びロック機構の係合の間の支持構造を示している。
【0056】
【
図17】
図17A~17Cは、幾つかの実施形態による、複数のロック機構及びガイド部材を含む支持構造を示している。
【発明を実施するための形態】
【0057】
定義及び用語
本開示は、限定的に読まれることを意図するものではない。例えば、本出願で使用される用語は、その分野の用語がそのような用語に帰する意味の関係で広く読まれるべきである。
【0058】
不正確さの用語に関して、「約」及び「ほぼ」という用語は、交換可能に、記載された測定値を含み、また、記載された測定値に合理的に近い測定値を含む測定値を指すために使用されることができる。記載された測定値に合理的に近い測定値は、関連技術の当業者によって理解され、容易に確認されるように、合理的に少量だけ記載された測定値から逸脱している。このような逸脱は、測定誤差、測定及び/又は製造装置の校正の違い、測定値の読み取り及び/又は設定における人為的誤差、他の構成要素に関連する測定値の違いを考慮して性能及び/又は構造パラメータを最適化するために行われた微調整、特定の実装シナリオ、例えば、人又は機械による対象物の不正確な調整及び/又は操作などに起因することができる。関連技術の当業者がそのような合理的に小さな差異の値を容易に確認できないと判断された場合には、「約」及び「ほぼ」という用語は、記載された値の±10%を意味すると理解することができる。
【0059】
本明細書中で、便宜上でのみ、特定の用語を使用している。例えば、「近位」、「遠位」、「上(top)」、「下(bottom)」、「上(upper)」、「下(lower)」、「左」、「右」、「水平」、「垂直」、「上向き(upward)」又は「下向き(downward)」などの単語は、図に示されている相対的な構成、又は取り付け位置での部品の向きを表している。参照される構成要素は、様々な方向のいずれに向けてもよい。同様に、プロセス又は方法が示され又は記載される本開示全体を通して、方法が特定の動作が最初に実行されることに依存することが文脈から明らかでない限り、方法は任意の順序で又は同時に実行されることができる。
【0060】
本明細書で使用されるときに、「横断方向変形抵抗」という用語は、支持構造の長手方向軸に対して実質的に横断面での変形に対する抵抗を指す。横断方向の圧縮抵抗の測定例としては、例えば、半径方向の圧縮抵抗及び平板の剛性が挙げられる。
【0061】
詳細な説明
当業者は、本開示で提供される本発明の概念の様々な実施形態が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現できることを容易に理解するであろう。本明細書で参照される添付の図は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を説明するために誇張されていることがあり、その点で、図面は限定として解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【0062】
様々な例は、強化された横断方向変形抵抗(例えば、強化された平板剛性及び/又は半径方向圧縮抵抗)の1つ以上の領域を備えた拡張可能な支持構造を取り扱う。様々な例としては、高度な慢性的な外向きの半径方向の力に関連する欠点を最小限に抑えるのに役立つ構成が挙げられる。強化された横断方向変形抵抗を有する支持構造は、それらがインプラント処置される組織構造の再成形を促進及び/又は維持するために有利であることができる。例えば、本明細書で論じられる様々な例に一貫する拡張可能な支持構造が、弁口にインプラント処置された人工弁で使用される場合に、人工弁が弁口をステントで開き、弁輪を再環状化させて、その結果、人工弁の弁尖の機能が妨げられないため、運動学的に最適な展開形状で作動する弁尖の能力を最大化するのに役立つ支持構造を提供することが望ましいことができる。
【0063】
様々な例において、強化された横断方向変形抵抗領域は、それらを長手方向に圧縮することによって完全に半径方向に拡張される。強化された横断方向変形抵抗領域は、最初に、中間展開直径に拡張され、次に、領域が所望の横断方向変形抵抗を示す完全展開直径に長手方向に圧縮されることができる。そのような拡張技術及び関連する支持構造構成は、既知の/事前に選択された直径への拡張を容易にし、でなければ最適ではない弁尖運動につながる展開後の弁尖形状のしわ/変形を減らすのを助けることができる。このような拡張機構及び強化された横断方向変形抵抗は、展開後の均一なセル拡張/構成及びより一貫した性能(例えば、疲労抵抗、展開形状、剛性など)を保証するのにも役立つことができる。
【0064】
多くの従来の自己拡張型人工器官支持構造設計の横断方向変形抵抗(例えば、半径方向圧縮抵抗及び/又は平板剛性)は、周囲の組織(例えば、石灰化した弁輪の組織)の剛性/抵抗に打ち勝って、周囲組織の形状を再成形するか、そうでなければ望ましい形状を維持するために十分に高くなくてもよい。比較的に低い横断方向変形抵抗を過剰に補償するために高い外向き半径方向の力を有する比較的に拡張可能な人工器官支持構造(例えば、特大の自己拡張構造)の設計(例えば、拡張可能又は自己拡張型)は、周囲組織に慢性的な外向きの力を及ぼすこと可能性があり、そのことは伝導系障害の問題(脚ブロック、完全な心臓ブロック、ペースメーカーインプラント処置の必要性など)を含む他の問題を引き起こす可能性がある。
【0065】
図1は、支持構造2000及び1つ以上の弁尖3000を含む人工弁1000を示している。幾つかの例において、人工弁1000は、例えば、心臓弁を含む血液弁として実装されうる。幾つかの例において、人工弁1000はグラフト材料4000を含む。グラフト材料は、支持構造2000の内部又は外部の人工弁1000の周りに配置されうる。グラフト材料4000としては、任意の既知の生体適合性材料を挙げることができ、限定するわけではないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)又はその他の適切なポリマー又は天然材料を挙げることができる。
【0066】
図1に示されるように、支持構造2000は、第一の領域2100及び第二の領域2200を含む。様々な例において、第一の領域2100は、1つ以上の弁尖3000を収納し、収容し又は支持するように構成されている。第一の領域2100(弁尖支持部分とも本明細書で参照される)は、人工弁1000の流出端1002を画定するか、そうでなければそこに存在することができる。幾つかの例において、流出端1002は、人工弁1000の流出部分に対応する。すなわち、様々な例において、人工弁1000に入る血液又は流体は、人工弁1000の流入端1004で人工弁1000に入るか、又は最初に遭遇することができる。流体又は血液は、一般に、流入端1004で人工弁1000を通って移動し、人工弁1000の流出端1002で人工弁1000を出る。人工弁1000を通って流れるときに、流体又は血液は、人工弁1000を通る流れの方向を制御する弁尖3000に遭遇する。
【0067】
上記のように、様々な実施形態において、1つ以上の弁尖3000は、一方向弁構造を提供するために、弁尖フレームとしても記載されうる第一の領域2100に結合される。様々な機械弁、生物学的弁尖及び合成弁尖の設計のいずれかを必要に応じて使用することができる。一般的に、弁尖3000は、流れが、順方向流れ方向とも呼ばれる、流入領域から弁尖フレームサブコンポーネント流出領域を通過することを可能にするために開くように動作可能であるように第一の領域2100に結合され、流れが、逆流方向とも呼ばれる、流出領域から流入領域を通って流れるのを制限するために閉じるように動作可能であるように、第一の領域2100に結合される。1つ以上の弁尖3000は、例えば、支持構造2000の内面及び/又は外面に、支持構造2000に関連するフィルムに結合することができ、及び/又は支持構造2000の1つ以上の部分の周りに巻き付けることができ、そして、機械ファスナーを含む様々な適切な取り付け機構も考えることができる。
【0068】
幾つかの実施形態において、人工弁1000は、中心長手方向軸Xvを有する。同様に、支持構造2000の中心長手方向軸Xfは、
図2に示されるように、人工弁1000の中心軸Xvと同軸であり、人工弁1000の中心長手方向軸Xvと交換可能に記載されることができる。
図2を参照し続けると、様々な例において、支持構造2000は、遠位端2002、近位端2004及び遠位端と近位端2002、2004との間に画定される中間領域2006を含む。幾つかの例において、支持構造2000の遠位端2002は、人工弁1000の流出端1002を画定するか、そうでなければそれに対応する。同様に、幾つかの例において、支持構造2000の近位端2004は、人工弁1000の流入端1004を画定するか、そうでなければそれに対応する。上記のように、様々な例において、支持構造2000は、第一の領域2100及び第二の領域2200を含み、第二の領域2200は、一般に、増強された横断方向変形抵抗を含むように構成されている。幾つかの例において、第二の領域2200の横断方向変形抵抗は、第一の領域2100と比較して増強される。言い換えると、幾つかの例において、第一の領域2100は、第一の横断方向変形抵抗(例えば、半径方向の圧縮抵抗及び/又は平板抵抗)を含み、一方、第二の領域2200は、第一の領域2100の横断方向変形抵抗よりも大きい第二の横断方向変形抵抗(例えば、半径方向の圧縮抵抗及び/又は平板剛性)を含む。
【0069】
人工弁1000、したがって支持構造2000は、1つ以上の弁尖3000及びグラフト材料4000とともに、場合により、縮小されたプロファイルであるデリバリー構成に崩潰することができ、次いで、現場で拡張可能である(例えば、自己拡張するか、又はバルーン拡張又は本明細書で論じられる他の拡張機構などによる内力の適用により拡張される)。
図2に示されるように、支持構造2000は、場合により環状であり、少なくとも部分的にテーパー化されたシリンダ(例えば、円錐)を画定することができ、テーパー化されたシリンダとしても記載されるが、支持構造2000は、完全に円錐形であることができ、又は、円錐形でない(例えば、直角円柱などのテーパー化されていない一定の断面)であることが理解されるべきである。円錐形状の場合に、支持構造2000は、比較的一定の(線形の)テーパーを含むことができるが、非一定のテーパー(例えば、1つ以上の湾曲又は角度のあるセグメントによって変化する)が考えられる。
図1Aに示されるように、弁尖3000は、第一の領域2100、及び、第一の領域及び第二の領域2100、2200の境界で支持構造2000に取り付けることができる。しかしながら、弁尖取り付けは、第一の領域2100、第二の領域2200、又は、第一の領域と第二の領域の組み合わせ2100、2200を含む、支持構造2000上の様々な位置で起こりうる。
【0070】
支持構造2000は、一般に、無負荷状態で(例えば、横断方向荷重がかかっていないときに)円形の横断面を画定するが、任意の様々な断面(例えば、楕円形又は長方形)も考えられることが理解されるべきである。支持構造2000は、内側2008及び内側2008の反対側の外側2010を有する。内側2008は、中心長手方向軸Xfに指向し、外側2010は、外向きに、又は中央長手方向軸Xfから離れるように指向する。支持構造2000は、一般に、遠位端2002(流出端とも呼ばれる)から近位端2004(流入端とも呼ばれる)まで延在している。
図1に示されるように、支持構造2000は、1つ以上の弁尖3000とインターフェース形成し、その支持を提供するように構成された1つ以上の交連ポスト2012を含むことができる。
【0071】
図3は、第二の領域2200と組み合わせることができる(例えば、一体的に形成されるか、又は結合される)支持構造2000の第一の領域2100の別の構成を示す。示されるように、
図3による支持構造2000は、支持構造の残りの部分から遠位に突出し、1つ以上の弁尖3000とインターフェース形成して支持を提供するように構成された1つ以上の交連ポスト2012を含むことができる。3つの交連ポスト2012が
図3に示されているが、任意の数の交連ポストが考えられる。複数の交連ポスト2012は、周方向に隣接するもの、又は支持構造2000の周囲を移動する複数の交連ポスト2012のうちの単に隣接するものを画定する。
【0072】
幾つかの例において、第二の領域2200の横断方向変形抵抗は、第二の領域2200の様々な構造構成要素の1つ以上の材料特性によって(例えば、選択的ひずみ硬化を介して)、第一の領域2100の横断方向変形抵抗と比較して増強される。幾つかの例において、第二の領域2200の横断方向変形抵抗は、第二の領域2200の様々な構造要素の配向及び/又は構成のために、第一の領域2100の横断方向変形抵抗に対して追加的又は代替的に増強されている。
【0073】
例えば、
図2に示されるように、支持構造2000の第一の領域2100は、1つ以上のストラット要素2102を含む複数のフレーム部材を含む。ストラット要素2102は、1つ以上の界面領域2104(本明細書において交差位置Pdと呼ばれる)で一緒に結合されることができ、又は、そこでインターフェース形成するように構成されうる。ストラット要素2102は、1つ以上の弁尖が結合することができる複数の弁尖取り付けストラット2103を含む。
【0074】
幾つかの実施形態において、複数のストラット要素2102は、崩潰可能(例えば、弾性的に)及び拡張可能(例えば、自己拡張、又は、バルーン又は本明細書で論じられる他の適切な機構を介して拡張可能)なフレームワークを画定し、また、上記のとおりの1つ以上の弁尖を支持するのに役立つ。
図2及び3に示されるように、複数のストラット要素2102は、近位方向を指す近位を指向する頂点2112及び遠位方向を指す遠位を指向する頂点2110の交互のパターンを画定する、複数の横列の閉鎖セル2118(例えば、横列2106、横列2108及び横列2109)を画定する。
図2及び3に示されるように、2つの横列の閉鎖セル2118があり、3列目の横列2109は、遠位を指向する頂点2110の比較的に平坦なセットを有する。3つが示されているが、より多い又はより少ない数が考えられる(例えば、1、2、4、12又は20)。
【0075】
様々な例において、遠位を指向する頂点2110のそれぞれの頂角2114は、閉鎖セル2118の複数の横列(例えば、2106及び2108)のうちの2つ以上においてほぼ同じ値、又は所望に応じて変化する値を有することができる。幾つかの実施形態において、横列2106及び2108で画定される遠位を指向する頂点2110のそれぞれの頂角2114は、それらの遠位に指向する頂点2110によって画定される共通の頂角の10%以内である。特に、弁尖が支持構造2000に取り付けられて共通の頂角に近づく領域に遠位を指向する頂点2110があることは有利であることができる。例えば、弁尖取り付けストラット2103を含む遠位を指向する頂点2110は、共通の頂角に近づくか、又は、さもなければ、共通の頂角の所望の範囲内にあることができる。10%の範囲が与えられているが、他の実施形態において、それらの頂角のそれぞれは、共通の頂角の5%、15%、20%又は他の何らかの値の範囲内にある。幾つかの例において、上記の共通の頂角は30度であるが、様々な共通の頂角が考えられる(例えば、10、15、20、30、40、45、50、60、90度及びそれらの値の間の範囲)。
【0076】
様々な例において、近位を指向する頂点2112のそれぞれの頂角2116は、閉鎖セル2118の複数の横列(例えば、2108及び2109)のうちの2つ以上においてほぼ同じ値、又は所望に応じて変化する値を有することができる。幾つかの実施形態において、横列2108及び2109で画定される近位を指向する頂点2112のそれぞれの頂角2116は、それらの近位を指向する頂点2112によって画定される共通の頂角の10%以内である。特に、弁尖が支持構造2000に取り付けられて共通の頂角に近づく領域に近位を指向する頂点2112があることは有利であることができる。例えば、弁尖取り付けストラット2103を含む近位を指向する頂点2112は、共通の頂角に近づくか、又は、さもなければ、共通の頂角の所望の範囲内にあることができる。10%の範囲が与えられているが、他の実施形態において、それらの頂角のそれぞれは、共通の頂角の5%、15%、20%又は他の何らかの値の範囲内にある。幾つかの例において、上記の共通の頂角は30度であるが、様々な共通の頂角が考えられる(例えば、10、15、20、30、40、45、50、60、90度及びそれらの値の間の範囲)。
【0077】
幾つかの例において、複数の閉鎖セル2118によって画定される閉鎖セル2118の1つ以上の縦列の頂角2114及び/又は頂角2116は、閉鎖セル2118の縦列の別のものとほぼ同じである。例えば、1つ以上の縦列の頂角は、場合により、近位を指向する頂点2112及び/又は遠位を指向する頂点2110の閉鎖セル2118の1つ以上の縦列によって画定される共通の頂角の10%以内である。特に、支持構造2000に取り付けられて共通の頂角に近づく領域に頂点があることは有利であることができる。例えば、弁尖取り付けストラットを含む頂点は、共通の頂角に近づくか、又は、さもなければ、共通の頂角の所望の範囲内にあることができる。10%の範囲が与えられているが、他の実施形態において、各頂角は、共通の頂角の5%、15%、20%又は他の何らかの値の範囲内にある。幾つかの例において、共通の頂角は30度であるが、様々な共通の頂角が考えられる(例えば、10、15、20、30、40、45、50、60、90度及びそれらの値の間の範囲)。
【0078】
支持構造2000の第一の領域2100の閉鎖セル2118は、一般に、交差位置Pdで互いに交差されている。
図4の例に示されるように、支持構造2000の第一の領域2100の各閉鎖セル2118は、セル高さ2120、セル幅2122を有し、ここで、セル幅2122は、一般に、セル高さ2120に垂直であると理解されうる。各閉鎖セル2118は、頂角2128を画定する第一の側方を指向する頂点2124、及び、第一の側方を指向する頂点2124の反対側にあり、頂角2130を画定する第二の側方を指向する頂点2126を有する。
【0079】
頂角2114及び頂角2116と同様に、様々な例において、1つ以上の頂角2128及び/又は頂角2130は、複数の閉鎖セル2118のうちの1つ以上の間でほぼ同じ値を有する(例えば、共通の頂角の10%以内であるが、共通の頂角の5%、15%、20%以内の値、又は他の何らかの値などの他の値が考えられる)。特に、上記のように、弁尖が支持構造2000に取り付けられて共通の頂角に近づく領域に頂点があることが有利であることができる。例えば、弁尖取り付けストラットを含む頂点は、共通の頂角に近づくか、又は、さもなければ、共通の頂角の所望の範囲内にあることができる。幾つかの例において、共通の頂角は30度であるが、様々な共通の頂角が考えられる(例えば、10、15、20、30、40、45、50、60、90度及びそれらのいずれかの間の範囲)。
【0080】
様々な例において、閉鎖セル2118のセル高さ2120は、支持構造2000の第一の領域2100の閉鎖セル2118の異なる横列及び/又は縦列に対して同じ又は異なることができる。同様に、閉鎖セル2118のセル幅2122は、支持構造2000の第一の領域2100の閉鎖セル2118の異なる横列及び/又は縦列に対して同じ又は異なることができる。
【0081】
様々な例において、閉鎖セルの近位を指向する頂点及び遠位を指向する頂点2112、2110及び/又は第一の側方を指向する頂角及び第二の側方を指向する頂角2124、2126を変化させることは、圧縮力(例えば、人工弁1000を直径方向に圧縮してコンパクトなデリバリー構成にするのに必要な力)、ならびに展開時の支持構造2000の特定の領域の横断方向の変形抵抗を制御するのに役立つ。また、材料の選択、ストラットの幾何形状(断面及び曲率)及び他の特性を含む他の要因を選択して、第一の領域2100の横断方向変形抵抗を変化させることができることも理解されたい。このように、様々な例において、支持構造2000は、第一の領域2100の横断方向変形抵抗が第二の領域2200の横断方向変形抵抗と異なるように構成されることができる。
【0082】
例えば、ここで
図2、4及び4Aを参照して、支持構造2000の第二の領域2200は、1つ以上のストラット要素2202を含む複数のフレーム部材を含む。ストラット要素2102は、一緒に結合されるか、又は、1つ以上の界面領域2204でインターフェース形成するように構成されることができる。
【0083】
幾つかの実施形態において、複数のストラット要素2202は、崩潰可能(例えば、弾性的に)及び拡張可能(例えば、自己拡張、又は、バルーン又は本明細書で論じられる他の適切な機構を介して拡張可能)なフレームワークを画定し、また、上記のように、1つ以上の弁尖を支持するのに役立つ。示されるように、複数のストラット要素2202は、近位方向を指す近位を指向する頂点2212及び遠位方向を指す遠位を指向する頂点2210の起伏のある交互のパターンを画定する、複数の閉鎖したセル2218の横列(例えば、横列2206及び横列2208)を画定する。
図4に示されるように、15列の閉鎖セル2218が存在するが、奇数及び偶数の横列(例えば、1、2、4、12、20)を含む、より多い又はより少ない数が考えられる。
【0084】
様々な例において、遠位を指向する頂点2210のそれぞれの頂角2214のそれぞれは、閉鎖セル2218の複数の横列(例えば、2206及び2208)のうちの2つ以上においてほぼ同じ値を有する。例えば、幾つかの実施形態において、各頂角2214は、遠位を指向する頂点2210の複数の横列によって画定される共通の頂角の10%以内である。他の実施形態において、各頂角は、共通の頂角の5%、15%、20%又は他の何らかの値の範囲内である。幾つかの例において、共通の頂角は30度であるが、様々な共通の頂角が考えられる(例えば、10、15、20、30、40、45、50、60、90度及びそれらの値のいずれかの間の範囲)。
【0085】
様々な例において、近位を指向する頂点2212のそれぞれの頂角2216のそれぞれは、閉鎖セル2218の複数の横列(例えば、2206及び2208)のうちの2つ以上においてほぼ同じ値を有する。例えば、幾つかの実施形態において、各頂角2216は、近位を指向する頂点2212の複数の横列によって画定される共通の頂角の10%以内である。他の実施形態において、各頂角は、共通の頂角の5%、15%、20%又は他の何らかの値の範囲以内である。幾つかの例において、共通の頂角は30度であるが、様々な共通の頂角が考えられる(例えば、10、15、20、30、40、45、50、60、90度及びそれらの値のいずれかの間の範囲)。
【0086】
幾つかの例において、複数の閉鎖セル2218によって画定される閉鎖セル2218の1つ以上の縦列の頂角2214及び/又は頂角2216は、閉鎖セル2218の縦列の別の1つとほぼ同じである。例えば、1つ以上の縦列の頂角は、場合により、近位を指向する頂点2212及び/又は遠位を指向する頂点2210の閉鎖セル2218の1つ以上の縦列によって画定される共通の頂角の10%以内である。他の実施形態において、各頂角は、共通の頂角の5%、15%、20%又はその他の何らかの値の範囲内である。幾つかの例において、共通の頂角は30度であるが、様々な共通の頂角が考えられる(例えば、10、15、20、30、40、45、50、60、90度及びそれらの値のいずれかの間の範囲)。
【0087】
支持構造2000の第二の領域2200の閉鎖セル2218は、一般に、交差位置Ppで互いに交差する。
図4の例に示されるように、支持構造2000の第二の領域22200の各閉鎖セル2218は、セル高さ2220、セル幅2222を有し、セル幅2222は、一般に、セル高さ2220に垂直であると理解されうる。さらに、各閉鎖セル2218は、頂角2228を画定する第一の側方を指向する頂点2224、及び、第一の側方を指向する頂点2224の反対側にあり、頂角2230を画定する第二の側方を指向する頂点2226を有する。
【0088】
頂角2214及び頂角2216と同様に、様々な例において、頂角2228及び/又は頂角2230のそれぞれは、複数の閉鎖セル2218のうちの1つ以上の間でほぼ同じ値を有する(例えば、共通の頂角の10%以内であるが、共通の頂角の5%、15%、20%以内の値、又は他の何らかの値などの他の値が考えられる)。幾つかの例において、共通の頂角は30度であるが、様々な共通の頂角が考えられる(例えば、10、15、20、30、40、45、50、60、90度及びそれらの値のいずれかの間の範囲)。
【0089】
様々な例において、閉鎖セル2218のセル高さ2220は、支持構造2000の第二の領域2200の閉鎖セル2218の異なる横列及び/又は縦列に対して同じ又は異なることができる。同様に、閉鎖セル2218のセル幅2222は、支持構造2000の第二の領域2200の閉鎖セル2218の異なる横列及び/又は縦列に対して同じ又は異なることができる。
【0090】
幾つかの実施形態において、閉鎖セルの近位を指向する頂点及び遠位を指向する頂点2210、2212及び側方を指向する頂点2224、2226の頂角を変化させることは、圧縮力(例えば、人工弁1000をコンパクトなデリバリー構成に向けて直径方向に圧縮するために必要な力)、ならびに展開時の支持構造2000の特定の領域の横断方向変形抵抗を制御するのに役立つ。したがって、様々な例において、支持構造2000は、第二の領域2200の横断方向変形抵抗が第二の領域2200の横断方向変形抵抗とは異なるように構成されうる。
【0091】
図5A~5Cは、幾つかの例によれば、デリバリーシステム6000を使用する展開シーケンスを通して支持構造2000を示す概略図である。デリバリーシステム6000は、場合により、支持構造2000を直径方向に圧縮された状態に保持するための周方向拘束体6010と、第二の領域2200に長手方向圧縮力を加えるための長手方向拘束体6020とを含む。
図5Aは、第一の領域2100及び第二の領域2200が、デリバリーシステム6000によって圧縮されたデリバリー直径又はプロファイルに維持されていることを含む初期状態の支持構造2000を示している。
図5Bは、第一の領域2100及び第二の領域2200が中間の直径又はプロファイルに直径方向に拡張された、中間状態の支持構造2000を示している。幾つかの例において、支持構造2000は、周方向拘束体6010が解放されると中間状態に自己拡張するように構成されている。
図5Cは、展開状態の支持構造2000を示しており、第一の領域2100及び第二の領域2200を含む支持構造が、展開直径又はプロファイルに直径方向に拡張されている。
図5Cに示されるように、第二の領域は、長手方向に圧縮されている。幾つかの例において、長手方向の圧縮力は第二の領域2200に加えられる。例えば、長手方向の圧縮力は、デリバリーシステム6000に関連する長手方向拘束体6020を介して加えられることができる。幾つかの例において、第二の領域2200を長手方向に圧縮された状態でロックするための特徴を含むことができる。
【0092】
長手方向の圧縮中に、ストラット要素2202は変形され、これは、第二の領域2200の様々な頂角を変更することを含む。
図6は、幾つかの例によれば、第二の領域2200の残りの横列の代表である横列2206を含む、初期状態の第二の領域2200の閉鎖セルの横列を示している。
図7A~7Cは、中間状態から展開状態に移行するときの横列2206を示しており、中間状態から展開状態への第二の領域の移行中の閉鎖セルの近位を指向する頂点及び遠位を指向する頂点2210、2212ならびに第一の側方を指向する頂点及び第二の側方を指向する頂点2224、2226の頂角の変更を含む。
図8A~8Cは、横列2206の単一の閉鎖セルをより詳細に示している。幾つかの例において、第二の領域2200は、初期状態(例えば、
図6)から中間状態(例えば、
図7A及び8A)に自己拡張し、展開状態(
図7C及び8C)に長手方向に圧縮されている。様々な図に示されるように、閉鎖セル2218の近位を指向する頂点及び遠位を指向する頂点2210、2212ならびに第一の側方を指向する頂点及び第二の側方を指向する頂点2224、2226の頂角は一般に等しいが、様々な構成も考えられる。
【0093】
図7A~7Cに示されるように、
図7A及び8Aの中間状態において、横列2206の閉鎖セル2218のセル高さ2220は
図6の初期状態に対して低下されており(一方、セル幅2222は増加している)、その結果、近位に指向する頂点及び遠位に指向する頂点2210、2212の頂角2214、2216は、
図6に示されるものと比較して増加し、横列2206の閉鎖セル2218の側方を指向する頂点2224、2226の頂角2214、2216は、
図6に示されるものと比較して減少している。本明細書で言及される頂角は、点Ppで交差する隣接するストラット要素2202の間の相対角度(隣接するストラット要素の長手方向軸の間など)として画定されうることが理解されるべきである。
【0094】
図7B及び7C(及び
図8B及び8C)に示されるように、横列2206の閉鎖セル2218のセル高さ2220は、近位を指向する頂点及び遠位を指向する頂点2210、2212の頂角2214、2216が
図6及び7Aに示されるものと比較して増加するように、そして横列2206の閉鎖セル2218の側方を指向する頂点2224、2226の頂角2228、2230が
図6及び7Aに示されるものと比較して減少するように、展開状態への移行の間にさらに減少している(一方、セル幅2222はさらに増加している)。様々な実施形態において、セルの高さ2220がさらに減少するにつれて、近位を指向する頂点及び遠位を指向する頂点2210、2212の角度2214、2216は、180度(センタリングとも呼ばれる)に近づく(そして幾つかの例では突破する)。例えば、
図7B及び8Bに示される構成は、約180度の、近位を指向する頂点及び遠位を指向する頂点2210、2212の角度2214、2216を示し、一方、
図7C及び8Cに示される構成は、180度を超える角度(本明細書において、オーバーセンタリングとも呼ばれる)の近位を指向する頂点及び遠位を指向する頂点2210、2212の角度2214、2216を示している。
【0095】
近位を指向する頂点及び遠位を指向する頂点2210、2212の頂角2214、2216を増加させること(例えば、隣接するストラット要素2202間の角度を増加させる)は、閉鎖セル2218の横列2206の横断方向変形抵抗を増加させるように動作し、それにより、閉鎖セル2218の横列2206が配置されている支持構造2000の領域(例えば、この場合において、第二の領域2200)の横断方向変形抵抗を増加させる。また、材料の選択、ストラットの幾何形状(断面及び曲率)及び他の特性を含む他の要因を選択して、第二の領域2200の横断方向変形抵抗を変化させることができることも理解されたい。
【0096】
様々な例において、交点(例えば、Pd及びPp)は、交点(例えば、Pd及びPp)で互いに交差するか、又は、さもなければ互いにインターフェース形成する様々なストラット要素(例えば、2102及び2202)のためのヒンジ領域を画定する。幾つかの例において、支持構造2000のストラット要素(例えば、2102及び/又は2202)は、上記で論じた頂角の変化を促進するか又はそれに対応するように変形するように構成されたその1つ以上のセクションを含むことができる。ストラット要素の1つ以上のセクションのこれらの変形は、弾性変形、塑性変形又はそれらの組み合わせを含むことができる。例えば、
図7A~8Cに示されるように、ストラット要素2202は、上記の頂角の変化を促進するか又はそれに対応するように変形するように構成された断面積が縮小した領域を有する第一の変形セクション及び第二の変形セクション2232、2234を含む。ストラット要素の1つ以上のセクションの変形は、変形可能セクションの剛性を追加的又は代替的に減少させることによって(例えば、弾性率又は硬度を減少させることによって)達成されうることが理解されるべきである。
【0097】
ここで
図4に戻ると、様々な例において、第二の領域2200は、近位端領域2236及び遠位端領域2238を含む。様々な例において、遠位端領域2238は、第一の領域2100の近位縁2136(
図2を参照されたい)に結合される遠位縁2240を含む。第一の領域及び第二の領域2100、2200は、場合により、一体的に形成されることによって(例えば、エッチング又は切断操作中に)、又は他の方法で取り付けられることによって(例えば、溶接、接着剤又は他の手段によって)結合される。幾つかの例において、第二の領域2200の遠位端2240は、少なくとも部分的に、第二の領域2200の閉鎖セル2218の最も遠位の頂点によって画定され、第一の領域2100の近位端2136は、少なくとも部分的に、第一の領域2100の閉鎖セル2118の最も近位の頂点によって画定される。
【0098】
様々な例において、第二の領域2200の閉鎖セル2218のセル高さ2220を減少させることは、支持構造2000の第二の領域2200の近位端領域及び遠位端領域2236、2238を一緒に引くことによって達成されうる。例えば、デリバリー構成において、近位端領域及び遠位端領域2236、2238は、互いに第一の距離だけ離れていてよく(
図6を参照されたい)、人工弁1000の展開時に、支持構造2000の第二の領域2200の近位端領域及び遠位端領域2236、2238は、近位端領域及び遠位端領域2236、2238が、デリバリー構成(
図5A及び6)よりも展開構成(
図2、5C、7C及び8C)において近接するように一緒に引かれる。
【0099】
幾つかの例において、
図6に示されるのと同様に、デリバリー構成において、閉鎖セル2218のセル高さ2220は、近位を指向する頂点及び遠位を指向する頂点2210、2212の頂角2214、2216が
図2、5C、7C及び8Cに示されるものに対して減少されるように、そして閉鎖セル2218の側方を指向する頂点2224、2226の頂角2228、2230が
図4に示されるものに対して増加されるように、増加又はさらに最大化され(一方、セル幅2222は減少又はさらには最小化される)。
【0100】
幾つかの例において、拡大直径への展開中又は展開後に、支持構造2000の第二の領域2200の近位端領域及び遠位端領域2236、2238を一緒に引くことは、第二の領域の半径方向の寸法を第一の直径から第二のより大きな直径に増加させるさらなる効果を有する。例えば、
図2に示される第二の領域2200の直径は、
図6に示される第二の領域2200の直径よりも大きく、一方、
図2に示される近位端領域と遠位端領域2236、2238との間の距離は、
図6に示される近位端領域と遠位端領域2236、2238との間の距離よりも小さい。上記のように、閉鎖セル2218のセル高さ2220が減少され、セル幅2222が増加されると、閉鎖セル2218の近位を指向する頂点及び遠位を指向する頂点2210、2212の頂角2214、2216は増加し、側方を指向する頂点2224、2226の頂角2228、2230は減少する。幾つかの例において、閉鎖セル2218のセル高さ2220が減少され、セル幅2222が増加されるときに、ストラット要素(例えば、ストラット要素2202)の変形セクション(例えば、セクション2232、2234)の曲率が増加することも理解されたい。このような曲率の増加は、
図5A~7Aの比較において示されている。示されるように、変形セクション2232、2234の曲率は、
図5Aと比較して
図6Aで増加される(すなわち、より湾曲される)。同様に、示されるように、変形セクション2232、2234の曲率は、
図6Aと比較して
図7Aで増加される(すなわち、より湾曲される)。同様に、幾つかの例において、閉鎖セル2218のセル高さ2220が減少され、セル幅2222が増加されるときに、ストラット要素2202と、側方を指向する頂点間の閉鎖セル2218の幅プロファイルに沿って延在している横断方向データム5000との間の相対角度が非平行の正の角度5002から、ゼロの角度5004(例えば、平行関係)及び非平行の負の角度5006に移行することも理解されたい。
【0101】
幾つかの例において、ストラット要素(例えば、2102及び2202)の変形セクション(例えば、2232及び2234)は、これらの変形領域が、ストラット要素が交差領域(例えば、Pd及びPp)に対して旋回又は角度変化させることを可能にし、また、ストラット要素が互いに対して角度変化させることを可能にする点でライブヒンジとして作用する。幾つかの例において、支持構造2000の第一の領域及び第二の領域2100、2200のうちの1つ以上は、ニチノールチューブなどのチューブをレーザ切断することによって形成される。様々な例において、第二の領域2200(及び場合により第一の領域2100)は、中間状態で形状設定され、その結果、第二の領域2200は、中間直径又はプロファイルで中間状態に向かって自己拡張するように構成されている。1つの例によれば、支持構造2000は、外径6mmのニチノールチューブから切り出され、外径24mmに形状設定される。支持構造2000は、24mm~6mmのデリバリー直径に潰される。支持構造2000の最終的な展開直径は、29mm以上であることができる。これらの寸法は単なる例であることが意図され、様々な形状及びサイズが考えられる。
【0102】
幾つかの例において、支持構造2000の第一の領域及び第二の領域2100、2200のうちの1つ以上は、交差点(例えば、Pd及びPp)が、ストラット要素が結合される交差ハブを画定するように形成されうる。例えば、幾つかの例において、支持構造2000の第一の領域及び第二の領域2100、2200のそれぞれの1つを形成する1つ以上のストラット要素は、縮小断面領域(例えば、端部セクション)でハブに結合され、それにより、ストラット要素のより中央のセクションの実質的な変形を必要とせずにストラット要素がハブの周りを旋回するように動作可能であるように、ストラット要素へのひずみを低減する。この特徴は、長手方向の圧縮中に特に役立つ可能性があり、そのような特徴はまた、第二の領域2200の長手方向の圧縮によりストラット要素に蓄積されるエネルギーに起因する長手方向に圧縮された構成からの弾性反跳を最小化又は低減するのに役立つ可能性がある。
【0103】
支持構造2000は、最初に、デリバリー構成、展開構成又はそれらの間の任意の構成(例えば、部分的に展開された構成)を含む、本明細書で論じられる構成のいずれかに形状設定されうることも理解されたい。例えば、幾つかの例において、支持構造2000は、部分的に展開された構成に形状設定されることができ、ここで、人工弁1000は、デリバリー構成(例えば、蓄積されたポテンシャルエネルギー)に押しつぶされ、完全に展開された構成は、人工弁1000を形状設定構成を超えて機械的に拡張する必要がある。幾つかの例において、人工弁1000を形状設定構成を超えて機械的に拡張することは、第一の領域2100を半径方向に拡張すること、及び、第二の領域2200を半径方向に拡張しそして軸方向に圧縮することのうちの1つ以上が必要である。幾つかの例において、第二の領域2200を半径方向に拡張しそして軸方向に圧縮することは、人工弁の1つ以上の部分と係合して、支持構造2000の近位端領域及び遠位端領域2236、2238をそれらがデリバリー構成にあるように互いに近づけるための1つ以上の軸方向張力ねじなどの機械的介入を必要とする。追加的に又は代替的に、機械的介入は、1つ以上の縫合要素又はテザーを利用して、支持構造2000の近位端領域及び遠位端領域2236、2238を一緒に引くことを含むことができる。幾つかの例において、上記の機械的介入手段は、完全に展開された構成で支持構造2000(したがって、人工弁1000)をロックするように固定することができる。
【0104】
様々な例において、人工弁1000は、軸方向又は長手方向に圧縮された状態で第二の領域2200を固定するためのロック機構を含む。ロック機構は、支持構造2000の第二の領域2200によって形成されたセルの崩潰中に互いに相互作用する、支持構造2000の第二の領域2200に固定された(例えば、それと一体形成された)構成要素を含むことができる。セル又はセルのセットに関連するロック機構は、崩潰構成で対応するセルをロック及び保持することができる。追加の例示的なロック機構は考えられる。幾つかの設計において、ロック機構は、第一の領域2100、第二の領域2200、又は第一の領域2100と第二の領域2200の両方と係合するように構成される。長手方向に圧縮された状態の人工弁1000の少なくとも部分を固定又は維持するための様々なシステム及び方法が考えられる。
【0105】
図9は、第二の領域2200を長手方向に圧縮された状態で長手方向にロックするために、第二の領域2200の1つ以上の横列の1つ以上のセルに組み込むことができるロック機構7000を示す。示されるように、ロック機構7000は、第一のロック構成要素7010及び第二のロック構成要素7020を含む。第一のロック機構及び第二のロック構成要素7010、7020は、それぞれ、場合により、セル内の対向する頂点から内向きに突出する。第一のロック構成要素7010は、第一の滑り面7012を含み、第二のロック構成要素7020は、第二の滑り面7022を含む。第一の構成要素7010及び第二の構成要素7020は第二の領域2200の長手方向圧縮の間に互いに対して摺動し、互いに外向きに弾性的に撓む。
【0106】
示されるように、第一のロック構成要素及び第二のロック構成要素7010、7020は、それぞれ、第一のレシーバ7014及び第二のレシーバ7024を形成する。そして、示されるように、第一のロック構成要素及び第二のロック構成要素7010、7020は、それぞれ、第一の突起7016及び第二の突起7026を含む。第一のロック構成要素及び第二のロック構成要素7010、7020が十分に遠くまで摺動すると、第一の突起及び第二の突起7016、7026は、第一のロック構成要素及び第二のロック構成要素7010、7020が互いに向かって戻ることができるように互いを超えて摺動し、第一の突起7016は第一のレシーバ7014内に摺動し、第二の突起7026は第二のレシーバ7024内に摺動し、それにより、第一のロック構成要素及び第二のロック構成要素7010、7020を一緒にロックし、関連するセルを長手方向に圧縮された状態にロックする。前に参照したように、任意の数のロック機構7000を第二の領域2200に組み込んで、より閉じた又は長手方向に圧縮された状態で様々な横列の閉鎖セルをロックすることを容易にすることができる。
【0107】
図10は、幾つかの実施形態を参照して記載されるように、統合された構成要素として、又は支持構造2000に結合されうる別個の構成要素として、人工弁1000(図示せず)に組み込まれうるロック機構7000の別の実施形態を示す。示されるように、ロック機構7000は、近位端7102、遠位端7104及び本体7106を含む。ロック機構7000の遠位端7104は、人工弁1000に結合又は接続されるように動作可能な結合部分7108を含むことができる。幾つかの実施形態において、ロック機構7000は、人工弁1000と統合され、遠位端7104は、人工弁1000から延在している(例えば、支持構造2000から延在している)。ロック機構7000の近位端7102は、人工弁1000の第二の領域2200と係合するように動作可能な固定部分7110を含む。示されるように、固定部分7110は、第二の領域2200の部分と係合し、その結果、長手方向に圧縮された構成に第二の領域2200を保持するように動作可能である。
【0108】
図10に見られるように、1つの実施形態において、ロック機構7000の結合部分7108は、本体7106から延在して、アパチャ7112を形成することができる。幾つかの実施形態において、アパチャ7112は完全に包囲されており(
図12に見られるとおり)、又は、他の例において、アパチャ7112は部分的に包囲されている(
図13に見られるとおり)。幾つかの例において、遠位先端は、本体7106に近接して又は隣接して配置される(例えば、アパチャ7112は部分的に包囲されている)。別の言い方をすれば、結合部分7106は、人工弁1000と係合又は結合するように動作可能なプロファイルを含む。結合部分7106のプロファイルは、結合部分7106が固定されている人工弁1000の部分のプロファイルに対応する。さらに、結合部分7106は、例えば、人工弁1000に巻線フレームが設けられている場合に、ロック機構7000を人工弁1000に固定するようにバーブなどの固定構造を含むことができる。例えば、バーブは、結合部分での巻線フレームに対する結合部分7106の長手方向の動きが制限されるように、巻線フレームの一部の周りに延在することができる。他の例において、遠位先端が本体7106に結合されるか(例えば、溶接、接着又は他の方法で本体に結合される)、又は、アパチャ7112は、遠位端7104でロック機構7000の本体7106に直接形成される。
【0109】
幾つかの実施形態において、アパチャ7112は、ストラット要素2202の断面形状に相補的な形状を有することができる。例えば、アパチャ7112は、実質的に矩形又は正方形である形状を有することができる。しかしながら、アパチャは、支持構造2000との結合を容易にするのに適した様々な形状をとることができることは明らかなはずである。幾つかの実施形態において、結合部分7108、及び、幾つかの実施形態において、アパチャ7112は、固定部分7110を参照して示されるようなフック又は他の任意の操作可能な形状であることができる。
【0110】
図10をさらに参照すると、幾つかの実施形態において、近位端7102は、人工弁1000の第二の領域2200に選択的に係合又は結合するように動作可能な固定部分7110を含む。示されるように、固定部分77110は、固定アーム7113を含むことができる。固定アーム7113は、本体7106と固定アーム7113との間に、例えば、0度より大きく180度未満の角度7114が形成されるように本体7106から延在することができる。幾つかの実施形態において、角度7114は鋭角又は直角である。幾つかの実施形態において、角度7114は、約1度~約90度である。幾つかの実施形態において、角度7114は、約15度、約20度、約22.5度、25度、約30度、約31.5度、約35度、約37.5度、約40度、約45度、約50度、約55度、約60度、約62.5度、約65度、約70度、約75度、約80度、約85度又は約90度である。幾つかの実施形態において、本体7106と固定アーム7113との交差点は、線形プロファイル又は曲線プロファイルを含むことができる。
【0111】
幾つかの実施形態において、固定アーム7113は圧縮部材リテーナ7116を含む。圧縮部材リテーナ7116は、人工弁1000の第二の領域2200を圧縮するための支持構造2000(図示せず)の一部を保持又は結合するように動作可能である。圧縮部材リテーナ7116は、圧縮部材7500と係合するためのフック、アイレット、溝又は壁を含むことができ、圧縮部材7500は、圧縮中に支持構造2000と係合する。
図10に見られるように、圧縮部材リテーナはフックを含むことができ、ここで、フックの内壁7118は、固定アーム7113の内面7120の下に形成され、固定アーム7113の内面7120とフックの内壁7118との間の差は、ノッチ深さ7124を有するノッチ7122を形成する。フックは、内側円弧の周りに延在することができる。幾つかの実施形態において、内側円弧は完全に囲まれている(例えば、圧縮部材リテーナ7116がアイレットを含む場合)。
【0112】
ここで
図12を参照すると、ロック機構7000は人工弁1000に結合されうる。例えば、ロック機構7000の結合部分7108は、人工弁1000の第二の領域2200のストラット要素2202に結合されることができるが、ロック機構7000は、第一の領域2100に結合される又は第一の領域及び第二の領域2100、2200の境界で人工弁1000に結合されるなど、他の部分に結合されることができる。ロック機構7000は、ロック機構7000の本体7106が、ロック機構7000が配置される人工弁1000の部分の外側にあるように人工弁1000に対して配置されることができる(例えば、ロック機構7000を人工弁1000の内部の血流経路から外れるように維持するように)。他の実施形態において、ロック機構7000は、
図14及び15に見られるように、人工弁1000の内側に配置されている。幾つかの実施形態において、結合部分7108は、第一の領域及び第二の領域2100、2200の境界に配置されたストラット要素2202に結合される。固定部分7110は人工弁1000の第二の領域2200の近位端2004と係合されうる。固定部分7110が、人工弁1000の第二の領域2200の近位端2004と係合されるときに、第二の領域2200は、ロック機構7000によって長手方向に圧縮された構成で保持される。
【0113】
図16a~16eは、幾つかの例によれば、人工弁1000の第二の領域2200を長手方向に圧縮しそしてロック機構7000を実装するときに第二の領域2200を圧縮構成に保持するための圧縮シーケンスを示す。示されるように、ロック機構7000は、結合部分7108を介して人工弁1000のストラット要素2202に結合される。遠位端(図示せず)及び近位端7504を有するストリング、ファイバ、ライン又はコードなどの圧縮部材7500は、圧縮部材リテーナ7116に結合されている。圧縮部材7500は、遠位端又は近位端がファイバの長さの中央部分を表すように、それ自体で二重に戻された繊維を含むことができ、遠位端又は近位端が、システムに対する圧縮部材7500の位置を表す(例えば、ファイバは、ロック機構上にループされうる)ことを意味することが理解されるべきである。例えば、近位端7504は、ロック機構7000に結合され、そして遠位端は、展開システムの操作者によって保持され、張力がかけられ、引っ張られ、又は他の方法で作動されうる。圧縮部材7500は、
図16a~16eに見られるように、圧縮部材リテーナ7116のノッチ7122内に、又はアイレット又はその他のものを含む他の実施形態において、圧縮部材リテーナ7116上の適切な位置に配置されうる。圧縮部材7500は、圧縮部材リテーナ7116から、人工弁1000の内部にある人工弁1000の第二の領域2200の近位端2004に向かって延在するように動作可能である。幾つかの例において、圧縮部材7500は、人工弁1000の第二の領域2200の近位端2004の端部の周りに配置され、次いで、人工弁1000の流出端1002に向かって、そしてそれを超えて、デリバリーシステムの操作者まで延在している。
【0114】
圧縮部材7500の遠位端が人工弁1000から離れるように前進するときに、人工弁1000の第二の領域2200の近位端2004に接触する圧縮部材7500の部分は、第二の領域2200を長手方向に圧縮させる。
図16aに見られるように、ノッチ7122の内壁7118は、より一般的には、圧縮部材リテーナ7116が固定部分7110に対して鋭角で配置されているときにさえ、圧縮部材リテーナ7116とノッチ7122及び固定部分7110との係合を維持するのを助けることができる。
【0115】
図16Aにも見られるように、圧縮部材7500を横切って加えられる力により、ロック機構7000の本体7106が人工弁1000の内面から離れる方向に偏向されうる。これにより、圧縮プロセス中に固定部分7110が第二の領域2200から離れるような変位が促進され、したがって、ロック機構7000が干渉することなく第二の領域2200を前進又は圧縮させることができる。さらに、幾つかの例において、圧縮部材7500を横切って加えられる力は、ロック機構7000に伝えられ、固定部分7110もまた、本体7106に対して偏向しうる(例えば、
図16Cに見られるとおり)。したがって、圧縮部材リテーナ7116は、圧縮部材7500がロックする前に圧縮部材7500の係合から解放されないことを確保するように形作られることができる。ロック機構7000、より具体的には、固定部分7110は、人工弁1000の第二の領域2200に対する固定部分7110の偏向及び相対的な摺動を可能にするように形作られていることに留意されたい。これは、曲線プロファイル /又は傾斜面又は角度面を含むことができる。圧縮部材7500は、第二の領域2200が圧縮している間に傾斜路又はガイドとしても機能することができ、ロック機構7000が人工弁1000と適切に係合することを可能にすることが理解される。
【0116】
ここで、
図16C及び16Dを参照すると、圧縮部材7500が、人工弁1000の第二の領域2200の近位端2004が人工弁1000の流出端1002に向かって移動するように作動されると、第二の領域2200は圧縮される。圧縮部材7500の遠位端が第二の領域2200の近位端2004に近接して配置されると、圧縮部材7500及び/又は固定部分7110の外面は、固定部分が人工弁1000の第二の領域2200の近位端2004の内縁を超えて摺動することを可能にする。圧縮部材リテーナ7116は、固定部分7110が第二の領域2200の近位端2004に完全に固定されるまで、圧縮部材7500への係合を維持するように成形されうる。したがって、圧縮部材7500が作動され続け、固定部分7110が第二の領域2200の近位端2004の内縁を超えて移動するときに、固定部分7110は、第二の領域2200の外側に向かって移動される。圧縮部材リテーナ7116の少なくとも一部は、第二の領域2200の外側に係合又は固定するように作用することができる。幾つかの実施形態において、圧縮部材リテーナ7116は、固定部分7110が第二の領域2200の近位端2004と係合し、その結果、近位端2004が固定部分7110内に又は固定部分7110に対して着座するように、圧縮部材7500を解放するように構成されている。他の実施形態において、圧縮部材7500は、圧縮部材7500のループ状端部の1つを外し、圧縮部材が圧縮部材リテーナ7116を通って摺動できるようにすることによって手動で解放することができる。前述のように、ロック機構7000は、本体7106とともに第二の領域2200の外部に配置されうる。したがって、圧縮部材7500が、第二の領域2200の外側を超えて内側に移動することによって係合するようにロック機構7000を作動させることを除いて、上記のプロセスも適用可能である。
【0117】
図17A~17Cは、圧縮中の第二の領域2200の別の図を提供する。複数の圧縮部材7500は、人工弁1000の周囲の様々な点にある複数のロック機構7000と組み合わせて、人工弁1000の周囲の様々な点に実装されうる。例えば、ロック機構7000は、人工弁1000の周囲の様々な場所に配置されることができ、ここで、ロック機構は3の倍数で実装される(例えば、3、6、9、12又は24のロック機構)。1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、15又はそれ以上を含む、任意の数のロック機構7000が人工弁1000で実装されうることが理解されるべきである。ガイド部材8000を組み合わせて使用して、第二の領域2200の圧縮中に圧縮部材7500の安定性、方向性及び制御性を提供することができる。
図17A~17Cに見ることができるように、第二の領域2200が圧縮されると、第二の領域2200は半径方向外向きに拡張し、これは、幾つかの実施形態において、第二の領域2200の長手方向中央から開始して生じる。様々な圧縮部材7500、及び、異なる長さを有しそして第二の領域2200の長さに沿って様々な位置で結合されるロック機構を含み、それによって、制御をすることは本開示の範囲内であり、圧縮部材7500が作動されるときに、第二の領域2200の半径方向の拡張が開始し続いて起こる。例えば、圧縮は、第二の領域2200の近位端2004で最初に起こりうる。
【0118】
前述のように、第一の領域2100及び第二の領域2200は一緒に結合されている。したがって、第二の領域2200が長手方向に圧縮され、その結果、半径方向に拡張すると、第一の領域2100も調整される。幾つかの実施形態において、これにより、
図15に見ることができるように、第一の領域及び第二の領域2100、2200が結合される位置での第一の領域2100の第一の直径が人工弁1000の流出端1002の第一の領域2100の第二の直径よりも大きいテーパー形状を含む第一の領域2100をもたらすことができる。したがって、弁尖取り付け領域が第一の領域2100内に完全に閉じ込められるときに、第一の領域及び第二の領域2100、2200の境界上の第一の領域2100において、又は第一の領域及び第二の領域の両方において、弁尖の動作及び接合は、操作中に増強される。
【0119】
ロック機構7000は、限定するわけではないが、ニチノール、金属合金、ポリマーなどを含む任意の適切な材料から形成されうることが理解される。圧縮部材7500は、第二の領域2200を長手方向に圧縮された状態に維持するために、圧縮部材が人工弁1000にロックされたときに、第二の領域2200を長手方向に圧縮された位置に維持するために、ロック機構7000と組み合わせて又はロック機構7000とは別に機能することができることも理解される。
【0120】
ロック機構7000は、人工弁に関連して示され、記載されているが、ロック機構は、任意の拡張可能(例えば、自己拡張型)の、セルのパターンを画定するチューブ状フレームワークを含む、様々な拡張性及び拡張可能支持構造のいずれにも適用できることを理解されたい。
【0121】
弁尖材料
【0122】
様々な例において、弁尖又は弁尖構築物は、生体適合性の合成材料(例えば、ePTFE及びePTFE複合材料、又は、所望に応じて他の材料を含む)から形成される。他の例において、弁尖構築物104は、ウシ組織、ブタ組織などを含む再利用組織などの天然材料から形成されている。
【0123】
本明細書で使用されるときに、「エラストマー」という用語は、元の長さの少なくとも1.3倍まで伸ばされ、解放されるとほぼ元の長さまで急速に収縮する能力を有するポリマー又はポリマーの混合物を指す。「エラストマー性材料」という用語は、必ずしも同程度の伸び及び/又は回復ではないが、エラストマーと同様の伸び及び回復特性を示すポリマー又はポリマーの混合物を指す。「非エラストマー性材料」という用語は、エラストマー又はエラストマー性材料のいずれにも類似していない、すなわち、エラストマー又はエラストマー性材料ではないと考えられる、伸び及び回復特性を示すポリマー又はポリマーの混合物を指す。
【0124】
本明細書の幾つかの実施形態によれば、弁尖は、複数の細孔及び/又は空間を有する少なくとも1つの多孔質合成ポリマー膜層と、前記少なくとも1つの合成ポリマー膜層の細孔及び/又は空間を充填するエラストマー及び/又はエラストマー性材料を有する複合材料を含む。他の例によれば、弁尖は、複合材料上にエラストマー及び/又はエラストマー性材料及び/又は非エラストマー性材料の層をさらに含む。例によれば、複合材料は、質量基準で約10%~90%の範囲の多孔質合成ポリマー膜を含む。
【0125】
多孔質合成ポリマー膜の例としては、細孔及び/又は空間を画定するノード及びフィブリル構造を有する膨張(膨張、エキスパンデッド、延伸又は発泡)フルオロポリマー膜が挙げられる。幾つかの例において、膨張フルオロポリマー膜は延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜である。多孔質合成ポリマー膜の別の例としては、微孔質ポリエチレン膜が挙げられる。
【0126】
エラストマー及び/又はエラストマー性材料及び/又は非エラストマー性材料の例としては、限定するわけではないが、テトラフルオロエチレンとペルフルオロメチルビニルエーテルとのコポリマー(TFE/PMVEコポリマー)、(ペル)フルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)、ウレタン、シリコーン(オルガノポリシロキサン)、ケイ素-ウレタンのコポリマー、スチレン/イソブチレンコポリマー、ポリイソブチレン、ポリエチレン-コ-ポリ(酢酸ビニル)、ポリエステルコポリマー、ナイロンコポリマー、フッ素化炭化水素ポリマー、及び、上記のそれぞれのコポリマー又は混合物が挙げられる。幾つかの例において、TFE/PMVEコポリマーは、本質的に、60~20質量パーセントのテトラフルオロエチレンと、それぞれ40~80質量パーセントのペルフルオロメチルビニルエーテルを含むエラストマーである。幾つかの例において、TFE/PMVEコポリマーは、本質的に、67~61質量パーセントのテトラフルオロエチレンと、それぞれ33~39質量パーセントのペルフルオロメチルビニルエーテルを含むエラストマー性材料である。幾つかの例において、TFE/PMVEコポリマーは、本質的に、73~68質量パーセントのテトラフルオロエチレンと、それぞれ27~32質量パーセントのペルフルオロメチルビニルエーテルを含む非エラストマー性材料である。TFE-PMVEコポリマーのTFE及びPMVE成分はwt%で表される。参考に、40、33~39及び27~32のPMVEのwt%は、それぞれ29、23~28及び18~22のモル%に対応する。
【0127】
幾つかの例において、TFE-PMVEコポリマーは、エラストマー、エラストマー性及び/又は非エラストマー性の特性を示す。
【0128】
幾つかの例において、複合材料は、約73~約68質量パーセントのテトラフルオロエチレン及びそれぞれ約27~約32質量パーセントのペルフルオロメチルビニルエーテルを含むTFE-PMVEコポリマーの層又はコーティングをさらに含む。
【0129】
幾つかの例において、弁尖は、約60~約20質量パーセントのテトラフルオロエチレン及びそれぞれ約40~約80質量パーセントのペルフルオロメチルビニルエーテルを含むTFE-PMVEコポリマーが吸収された延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜であり、弁尖は約73~約68質量パーセントのテトラフルオロエチレン及びそれぞれ約27~約32質量パーセントのペルフルオロメチルビニルエーテルを含むTFE-PMVEコポリマーのコーティングを血液接触面上にさらに含む。
【0130】
上記のように、エラストマー及び/又はエラストマー性材料は、エラストマー及び/又はエラストマー性材料が、膨張フルオロポリマー膜内の実質的にすべてのボイド空間又は細孔を占めるように、膨張フルオロポリマー膜と組み合わせることができる。
【0131】
フレーム材料
【0132】
フレームは、他の適切なプロセスの中でも、エッチング、切断、レーザ切断、スタンプ加工、三次元印刷又は巻線されることができる。フレームは、自己拡張型又はバルーン拡張型(例えば、経カテーテルインプラント処置のために構成されているとき)又は非拡張型(例えば、外科的インプラント処置のために構成されているとき)とすることができる。様々なフレームは、限定するわけではないが、一般に生体適合性である弾性(例えば、ニチノール)又は塑性(例えば、ステンレス鋼)変形可能な金属又はポリマー材料などの任意の金属又はポリマー材料などの材料を含むことができる。本明細書に記載のフレームのいずれかに適した他の材料としては、限定するわけではないが、他のチタン合金、ステンレス鋼、コバルトニッケル合金、ポリプロピレン、アセチルホモポリマー、アセチルコポリマー、延伸充填チューブ(例えば、白金コアを有するニチノールワイヤ)、又は本明細書に記載のフレームとして機能するのに十分な物理的及び機械的特性を有する一般に生体適合性である他の合金又はポリマー又は他の任意の材料が挙げられる。
【0133】
上記に例示及び記載された実施形態及び実施例は、一般に、経カテーテルアプローチに関連して記載されているが、外科的及び腹腔鏡下アプローチを含む、本出願の主旨又は範囲から逸脱することなく、様々な追加の周知のデリバリー手順を利用することができることを理解されたい。非限定的なデリバリー手順としては、とりわけ、経中隔、経心尖、左房切開及び経大動脈アプローチが挙げられる。
【0134】
さらに、本明細書で扱われる本発明の概念は、一般的に及び特定の例に関しての両方で上記に記載されてきた。本開示の範囲から逸脱することなく、実施例において様々な変更及び変形を行うことができることは、当業者に明らかであろう。同様に、実施例で記載されている様々な構成要素を組み合わせることができる。したがって、これらの特定の例の様々な変更及び変形を示唆するものとして、例を全体としてまとめて見ることが意図されている。
(態様)
(態様1)
インプラント可能なデバイスの支持構造であって、前記支持構造は長手方向軸を有するチューブ状本体を含み、前記チューブ状本体は、
環状形状でありそして第一の横断方向変形抵抗を特徴とする第一の領域、及び、
環状形状でありそして第二の横断方向変形抵抗を特徴とする第二の領域、
を含み、
前記第二の領域は、前記第二の領域の環状形状を画定する複数のフレーム要素を含み、前記複数のフレーム要素のそれぞれの少なくとも一部は、前記チューブ状本体の長手方向軸を横断する半径方向の幅及び前記チューブ状本体の長手方向軸に平行な長手方向の厚さを含む縮小された断面の領域を有し、前記縮小された断面の領域の幅は、前記第二の領域が半径方向よりも長手方向に比較的に高い圧縮度を示すように、厚さの少なくとも4倍である、支持構造。
(態様2)
前記第二の横断方向変形抵抗は、前記第一の横断方向変形抵抗よりも大きい、態様1記載の支持構造。
(態様3)
前記第一の領域は、前記第一の領域の環状形状を画定する複数のフレーム要素を含み、さらに、前記第一の領域の複数のフレーム要素のそれぞれの少なくとも一部は、前記チューブ状本体の長手方向軸を横断する半径方向の幅、及び、前記チューブ状本体の長手方向軸に平行な長手方向の厚さを有し、前記第一の領域の複数のフレーム要素のそれぞれの幅は、前記第一の領域の複数のフレーム要素のそれぞれの厚さの4倍未満である、態様1~2のいずれか1項記載の支持構造。
(態様4)
前記第一の領域に結合された1つ以上の弁尖をさらに含む、態様1~3のいずれか1項記載の支持構造。
(態様5)
前記1つ以上の弁尖は天然材料から形成されている、態様4記載の支持構造。
(態様6)
前記1つ以上の弁尖は合成材料から形成されている、態様4記載の支持構造。
(態様7)
インプラント可能なデバイスの支持構造であって、前記支持構造は長手方向軸を有するチューブ状本体を含み、前記インプラント可能なデバイスはデリバリー構成と展開構成との間で移行可能であり、前記チューブ状本体は、
環状形状でありそして第一の横断方向変形抵抗を特徴とする第一の領域、及び、
環状形状でありそして第二の横断方向変形抵抗を特徴とする第二の領域、
を含み、
前記第二の領域は、前記第二の領域の環状形状を画定する複数のフレーム要素を含み、前記複数のフレーム要素は互いに交差して複数のセルを形成し、前記複数のセルのそれぞれは、前記支持構造の長手方向軸に沿って長手方向に指向する長手方向頂点と、前記長手方向頂点を横断しそして前記支持構造の周囲に沿って指向する側方方向頂点とを画定し、さらに、前記展開構成において、前記長手方向頂点は鈍角を画定し、前記側方方向頂点は鋭角を画定する、支持構造。
(態様8)
前記複数のセルのそれぞれは、長手方向に指向する一対の長手方向頂点及び周方向に沿って指向する一対の側方方向頂点を画定し、さらに、前記展開構成において、前記長手方向頂点のそれぞれは鈍角を画定し、前記側方方向頂点のそれぞれは鋭角を画定する、態様7記載の支持構造。
(態様9)
前記複数のセルの側方方向頂点の各対は、前記複数のセルのそれぞれの側方方向頂点の対の間に延在する複数のセルの周方向中心線を画定し、さらに、前記フレーム要素の少なくとも一部は、前記複数のセルのそれぞれの周方向中心線と交差する複数のセルのそれぞれの長手方向頂点の対を画定する、態様8記載の支持構造。
(態様10)
前記展開構成の各長手方向頂点によって画定される鈍角は、150度を超える、態様9記載の支持構造。
(態様11)
各長手方向軸によって画定される鈍角は、180度を超える、態様9記載の支持構造。
(態様12)
前記第二の横断方向変形抵抗は、前記第一の横断方向変形抵抗よりも大きい、態様9~11のいずれか1項記載の支持構造。
(態様13)
人工弁をインプラント処置する方法であって、
デリバリー構成において、患者の解剖学的構造内の標的領域に人工弁を前進させること、ここで、前記人工弁は、環状形状を有しそして第一の横断変形抵抗を特徴とする第一の領域、及び、環状形状を有しそして第二の横断変形抵抗を特徴とする第二の領域を含む支持構造を含み、前記第二の領域は複数のフレーム要素を含み、前記複数のフレーム要素は互いに交差して複数のセルを形成し、前記複数のセルのそれぞれは、前記支持構造の長手方向軸に沿って長手方向に指向する長手方向頂点、及び、前記長手方向頂点を横断しそして前記支持構造の周囲に沿って指向する側方方向頂点を画定し、ここで、前記デリバリー構成において、前記長手方向頂点は鋭角を画定し、前記側方方向頂点は鈍角を画定する、及び、
前記長手方向頂点が鈍角を画定し、前記側方方向頂点が鋭角を画定するように前記人工弁を展開すること、
を含む、方法。
(態様14)
前記長手方向頂点の鈍角は少なくとも180度である、態様13記載の方法。
(態様15)
前記長手方向頂点の鈍角は180度を超える、態様13記載の方法。
(態様16)
人工弁の支持構造を形成する方法であって、
チューブから閉鎖セルのパターンを切り取って、第一の直径及び長さを有する支持構造を形成すること、
前記支持構造の第一の直径を前記第一の直径から第二の直径に拡張すること、
前記支持構造の長さのすべてより短い部分を軸方向に圧縮して、第一の領域及び第二の領域を形成すること、及び、
前記第一の領域が第一の横断方向変形抵抗を特徴とし、前記第二の領域が前記第一の横断方向変形抵抗とは異なる第二の横断方向変形抵抗を特徴とするように、前記第一の領域及び前記第二の領域を有する前記支持構造をヒートセットさせること、
を含み、
各閉鎖セルは、複数のフレーム部材によって画定されており、
前記第一の領域は第一の複数のセルを含みそして前記第二の領域は第二の複数のセルを含み、前記第二の複数のセル中のセルの形状は、前記第一の複数のセル中のセルの形状とは異なる、方法。
(態様17)
前記支持構造のセルは、前記第一の領域及び前記第二の領域を形成するために前記支持構造の長さのすべてより短い部分を軸方向に圧縮する前に、それぞれ同じ形状を有する、態様16記載の方法。
(態様18)
インプラント可能なデバイスの支持構造であって、前記支持構造は複数のセルを画定するフレームワーク及び複数のセルのうちの対応する1つの内部に配置された少なくとも1つのロック機構を含み、前記ロック機構は、
対応するセル内に突出している第一のロック構成要素、及び、
前記第一のロック構成要素に向かって突出している第二のロック構成要素、
を含み、
前記第一のロック構成要素は第一の滑り面及び第一の突起を含み、第一のレシーバを画定し、
前記第二のロック構成要素は第二の滑り面及び第二の突起を含み、第二のレシーバを画定し、
前記第一のロック構成要素及び前記第二のロック構成要素は、対応するセルの崩潰中に第一の滑り面及び第二の滑り面が互いに対して摺動して、前記第二のレシーバにおける前記第一の突起及び前記第一のレシーバにおける前記第二の突起の受け取りを促進し、前記ロック機構をロックしそして崩潰された構成において対応するセルを保持するように構成されている、支持構造。
(態様19)
前記支持構造は人工弁の一部として含まれている、態様18記載の支持構造。
(態様20)
前記支持構造はステント構造である、態様18記載の支持構造。
(態様21)
前記第一の滑り面及び前記第二の滑り面は、対応するセルの崩潰中に前記第一のロック構成要素及び前記第二のロック構成要素を弾性的に偏向させる、態様18~20のいずれか1項記載の支持構造。
(態様22)
前記第一のロック構成要素及び前記第二のロック構成要素は、形状が対称である、態様18~21のいずれか1項記載の支持構造。
(態様23)
前記第一のロック構成要素及び前記第二のロック構成要素は、前記支持構造と一体的に形成されている、態様18~22のいずれか1項記載の支持構造。
(態様24)
インプラント可能なデバイスの支持構造であって、前記支持構造は遠位端を有する長手方向に圧縮可能な部分及び前記支持構造に関連するロック機構を画定し、前記ロック機構は、
第一の端部及び第二の端部を有する本体、
前記本体の第二の端部に配置された固定部分、
を含み、前記固定部分は、前記支持構造の長手方向に圧縮可能な部分の遠位端に選択的に係合するように動作可能である、支持構造。
(態様25)
前記ロック機構は、圧縮部材を保持するように構成された圧縮部材リテーナをさらに含む、態様24記載の支持構造。
(態様26)
前記圧縮部材リテーナは、前記固定部分が前記支持構造の長手方向に圧縮可能な部分の遠位端と係合したときに前記圧縮部材を解放するように構成されている、態様25記載の支持構造。
(態様27)
前記固定部分は前記ロック機構の本体に対して鋭角に配置されている、態様24~26のいずれか1項記載の支持構造。
(態様28)
前記ロック機構は、前記ロック機構の本体の第一の端部に配置された結合部分をさらに含む、態様24~27のいずれか1項記載の支持構造。
(態様29)
前記結合部分は前記支持構造に結合するように構成されている、態様28記載の支持構造。
(態様30)
天然弁の閉鎖不全症又は弁機能不全に関連する診断状態又は疾患のあるヒト患者を治療するための方法であって、態様1~12、18~29のいずれか1項記載の人工弁を天然弁の位置に又はその位置に隣接してインプラント処置することを含む、方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラント可能なデバイスの支持構造であって、前記支持構造は長手方向軸を有するチューブ状本体を含み、前記インプラント可能なデバイスはデリバリー構成と展開構成との間で移行可能であり、前記チューブ状本体は、
環状形状でありそして第一の横断方向変形抵抗を特徴とする第一の領域、及び、
環状形状でありそして第二の横断方向変形抵抗を特徴とする第二の領域、
を含み、
前記第二の領域は、前記第二の領域の環状形状を画定する複数のフレーム要素を含み、前記複数のフレーム要素は互いに交差して複数のセルを形成し、前記複数のセルのそれぞれは、前記支持構造の長手方向軸に沿って長手方向に指向する長手方向頂点と、前記長手方向頂点を横断しそして前記支持構造の周囲に沿って指向する側方方向頂点とを画定し、さらに、前記展開構成において、前記長手方向頂点は鈍角を画定し、前記側方方向頂点は鋭角を画定する、支持構造。
【請求項2】
前記複数のセルのそれぞれは、長手方向に指向する一対の長手方向頂点及び周方向に沿って指向する一対の側方方向頂点を画定し、さらに、前記展開構成において、前記長手方向頂点のそれぞれは鈍角を画定し、前記側方方向頂点のそれぞれは鋭角を画定する、請求項1記載の支持構造。
【請求項3】
前記複数のセルの側方方向頂点の各対は、前記複数のセルのそれぞれの側方方向頂点の対の間に延在する複数のセルの周方向中心線を画定し、さらに、前記フレーム要素の少なくとも一部は、前記複数のセルのそれぞれの周方向中心線と交差する複数のセルのそれぞれの長手方向頂点の対を画定する、請求項2記載の支持構造。
【請求項4】
前記展開構成の各長手方向頂点によって画定される鈍角は、150度を超える、請求項3記載の支持構造。
【請求項5】
各長手方向軸によって画定される鈍角は、180度を超える、請求項3記載の支持構造。
【請求項6】
前記第二の横断方向変形抵抗は、前記第一の横断方向変形抵抗よりも大きい、請求項3~5のいずれか1項記載の支持構造。