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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026892
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】床形成部材の連結構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/024 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
E04F15/024 602E
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024007322
(22)【出願日】2024-01-22
(62)【分割の表示】P 2020063274の分割
【原出願日】2020-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000162135
【氏名又は名称】共同カイテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】丸山 俊之
(72)【発明者】
【氏名】中村 貴信
(57)【要約】
【課題】隣り合う床形成部材の連結動作の容易性を維持しつつ揺れなどに対する連結状態の安定化を図ることができる床形成部材の連結構造を提供する。
【解決手段】隣り合う床形成部材1を連結する場合には、それらの床形成部材1のそれぞれに設けられている凹状部6の凹部7内に凸状部10の凸部12を差し込む。一方、例えば地震発生などにより、連結状態にある凸状部10と凹状部6に差し込み方向と交差する方向への変位が相対的に生じた場合、凸状部10及び凹状部6に設けられた付加的係合又は係止部9が凸状部10及び凹状部6間で係合又は係止する。具体的には、例えば、上記相対変位が生じると、凸状部10の凸部12に設けられた突起部13が凹状部6の凹部7に設けられた凹陥部8に嵌入され、凸状部10の凸部12を凹状部6の凹部7から抜き取る力が作用しても、突起部13が凹陥部8の縁部に引っ掛かって係止する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方側からフロアプレートを支持する支持部を有する床形成部材を複数備え、隣り合う床形成部材を互いの連結部で連結して基礎床面上に敷設し、前記支持部間に前記フロアプレートを掛け渡すことにより、二重床の形成を可能とする床形成部材の連結構造において、
前記連結部は、前記隣り合う床形成部材の何れか一方に設けられた第1の連結部と、他方に設けられた第2の連結部であって前記隣り合う床形成部材の相対的な移動動作のみによって前記第1の連結部との基本結合がなされる第2の連結部と、を有し、
前記第1の連結部と第2の連結部とは、前記基本結合の状態で、前記隣り合う床形成部材の前記移動動作の方向と交差する方向への所定範囲の付加的移動を許容する構成を有し、
前記第1の連結部と第2の連結部とには、前記付加的移動が生じた場合に、前記基本結合の状態に対して付加的に、前記第1の連結部と第2の連結部との結合状態解除に対する抵抗力を生じさせる付加的係合又は係止部が設けられたことを特徴とする床形成部材の連結構造。
【請求項2】
前記移動動作方向が略上下方向であり、前記付加的移動方向が略水平方向の全方位方向であることを特徴とする請求項1に記載の床形成部材の連結構造。
【請求項3】
下方側からフロアプレートを支持する支持部を有する床形成部材を複数備え、隣り合う床形成部材を互いの連結部で連結して基礎床面上に敷設し、前記支持部間に前記フロアプレートを掛け渡すことにより、二重床の形成を可能とする床形成部材の連結構造において、
前記連結部は、前記隣り合う床形成部材の何れか一方に設けられた第1の連結部と、他方に設けられた第2の連結部であって前記隣り合う床形成部材の相対的な移動動作のみによって前記第1の連結部との基本結合がなされる第2の連結部と、を有し、
前記第1の連結部と第2の連結部とは、前記基本結合の状態で、前記隣り合う床形成部材の前記移動動作の方向と交差する方向への所定範囲の付加的移動を許容する構成を有し、
前記第1の連結部と第2の連結部とには、前記付加的移動が生じた場合に、前記基本結合の状態に対して付加的に、前記第1の連結部と第2の連結部との結合状態解除に対する抵抗力を生じさせる付加的係合又は係止部が設けられ、
前記付加的係合又は係止部は、前記第1の連結部と第2の連結部とに前記付加的移動が生じている状態では、前記第1の連結部と第2の連結部との結合が解除不能の状態となる構成とされたことを特徴とする床形成部材の連結構造。
【請求項4】
前記第1の連結部及び第2の連結部はそれぞれの前記床形成部材毎に複数ずつ存在し、複数の前記第1の連結部及び第2の連結部のうちの一部は、互いに前記基本結合の可能な構成を有するが、前記付加的係合又は係止部の構成を有しない構造の第3の連結部と第4の連結部に代替されたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の床形成部材の連結構造。
【請求項5】
前記一方の床形成部材は、前記第1の連結部と第3の連結部とが隣り合うようにして同一直線上に所定間隔をあけてそれらの連結部を配置し、
前記他方の床形成部材は、前記第2の連結部と第4の連結部とが隣り合うようにして同一直線上に所定間隔をあけてそれらの連結部を配置したことを特徴とする請求項4に記載の床形成部材の連結構造。
【請求項6】
下方側からフロアプレートを支持する支持部を有する床形成部材を複数備え、隣り合う床形成部材を互いの連結部で連結して基礎床面上に敷設し、前記支持部間に前記フロアプレートを掛け渡すことにより、二重床の形成を可能とする床形成部材の連結構造であって、
前記連結部は、
前記隣り合う床形成部材の何れか一方に設けられ、予め設定された方向に突出する凸部が設けられた凸状部と、
前記隣り合う床形成部材の他方に設けられ、前記凸状部の凸部がその突出方向に沿って差し込み可能な凹部を有する凹状部と、を備えて構成される床形成部材の連結構造において、
前記凸状部の凸部が凹状部の凹部に差し込まれた状態で該凸状部及び凹状部が前記突出方向に沿う差し込み方向と交差する方向に相対的に変位した場合に互いに係合又は係止する付加的係合又は係止部が該凸状部及び凹状部の少なくとも一方に設けられたことを特徴とする床形成部材の連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床形成部材の連結構造、特に、隣り合う床形成部材を連結部で連結して基礎床面上に敷設することにより二重床の形成を可能とする床形成部材の連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスの床下配線を可能とする二重床が広く普及している。こうした二重床の形成を可能とする床形成部材として、例えば本出願人が先に提案した下記特許文献1に記載のものがある。この床形成部材は、二重床の上面を形成するフロアプレートを搭載して支持するために基礎床面上に載置される支持脚としての支持部を縦横に等間隔に配置し、例えば、隣接する支持部を帯状の継手部で平面視十字状に結合して複数の支持部をユニット化したものである。このユニット化された床形成部材では、隣り合う床形成部材同士を連結部で略水平方向に連結する。
【0003】
この連結部は、例えば、上記帯状の継手部の伸長方向先端部に設けられており、隣り合う床形成部材の一方には、上に凸の凸部を有するお椀型の凸状部が設けられ、隣り合う床形成部材の他方には、下が開放する凹部を有するお椀型の凹状部が設けられている。この凸状部の凸部は凹状部の凹部に緩やかに嵌入する大きさとされ、且つ上記継手部がやや可撓性を有する材質であることから、例えば凹状部が設けられている側の床形成部材の継手部を上方に撓ませて、隣り合う床形成部材の凸状部の凸部に、その凹状部の凹部を上から被せることで、それらの床形成部材が容易に連結される構造としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-252249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載される床形成部材の連結構造では、施工性がよい反面、床形成部材の凸状部の凸部に、隣り合う床形成部材の凹状部の凹部を上から被せて結合するだけの構造であるため、例えば、地震発生時などにおいて揺れが生じた場合に、隣り合う床形成部材の凹状部の凹部と凸状部の凸部の結合が外れてしまうおそれがある。このように隣り合う床形成部材の離脱が生じると、各床形成部材、具体的には上記支持部の水平方向への移動が規制されなくなることとなり、場合によっては、支持部間の距離が大きくなって、搭載しているフロアプレートが脱落するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、隣り合う床形成部材の連結動作の容易性を維持しつつ揺れなどに対する連結状態の安定化を図ることができる床形成部材の連結構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の床形成部材の連結構造は、
下方側からフロアプレートを支持する支持部を有する床形成部材を複数備え、隣り合う床形成部材を互いの連結部で連結して基礎床面上に敷設し、前記支持部間に前記フロアプレートを掛け渡すことにより、二重床の形成を可能とする床形成部材の連結構造において、
前記連結部は、前記隣り合う床形成部材の何れか一方に設けられた第1の連結部と、他方に設けられた第2の連結部であって前記隣り合う床形成部材の相対的な移動動作のみによって前記第1の連結部との基本結合がなされる第2の連結部と、を有し、
前記第1の連結部と第2の連結部とは、前記基本結合の状態で、前記隣り合う床形成部材の前記移動動作の方向と交差する方向への所定範囲の付加的移動を許容する構成を有し、
前記第1の連結部と第2の連結部とには、前記付加的移動が生じた場合に、前記基本結合の状態に対して付加的に、前記第1の連結部と第2の連結部との結合状態解除に対する抵抗力を生じさせる付加的係合又は係止部が設けられたことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、隣り合う床形成部材の連結部を基本結合するには、相対的な移動動作のみでそれを行うことができ、すなわち、結合のための部材を用いることなく、一方から他方への移動動作だけで容易に連結することができる。一方、例えば地震発生時などの揺れによって、上記移動動作方向と交差する方向への付加的移動が生じた場合、上記付加的係合又は係止部によって、上記基本結合に加えて、付加的な抵抗力、すなわち、第1の連結部と第2の連結部の結合の解除に対する抵抗力が付加的に発生する。これにより、第1の連結部と第2の連結部の離脱を抑制・防止することができ、地震などの災害時におけるいわゆる二重床構造の安定化を図ることができる。
【0009】
また、本発明の更なる構成は、前記移動動作方向が略上下方向であり、前記付加的移動方向が略水平方向の全方位方向であることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、二重床施工の際、連結部を上下方向に移動するだけで床形成部材を連結することができ、施工性がより一層向上する。
【0011】
本発明の更なる構成は、前記付加的係合又は係止部は、前記第1の連結部と第2の連結部とに前記付加的移動が生じている状態では、前記第1の連結部と第2の連結部との結合が解除不能の状態となる構成とされたことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、第1の連結部と第2の連結部に移動動作方向と交差する方向への付加的移動が生じた場合には、第1の連結部と第2の連結部の結合が解除不能となるので、第1の連結部と第2の連結部の離脱を確実に防止することができる。
【0013】
本発明の更なる構成は、前記第1の連結部及び第2の連結部はそれぞれの前記床形成部材毎に複数ずつ存在し、複数の前記第1の連結部及び第2の連結部のうちの一部は、互いに前記基本結合の可能な構成を有するが、前記付加的係合又は係止部の構成を有しない構造の第3の連結部と第4の連結部に代替されたことを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、複数の第1の連結部と第2の連結部のうちの一部が第3の連結部と第4の連結部に代替され、それら第3の連結部と第4の連結部によって構成される連結構造には付加的係合又は係止部がないので、地震発生時などの揺れによって第3の連結部と第4の連結部に移動動作方向と交差する方向への付加的移動が生じても、それらの結合状態解除には抵抗力が付加されない。したがって、全ての連結部が付加的係合又は係止部を構成する場合に比べ、例えば地震発生後の床形成部材に付加的移動が生じていても、それらの撤去に際し、隣り合う床形成部材の連結部の全てが上記第1の連結部と第2の連結部の組合せで構成される場合に比して、作業の容易化を図ることができる。
【0015】
本発明の更なる構成は、前記一方の床形成部材は、前記第1の連結部と第3の連結部とが隣り合うようにして同一直線上に所定間隔をあけてそれらの連結部を配置し、前記他方の床形成部材は、前記第2の連結部と第4の連結部とが隣り合うようにして同一直線上に所定間隔をあけてそれらの連結部を配置したことを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、第1の連結部と第2の連結部の結合箇所と、第3の連結部と第4の連結部の結合箇所が分散されることから、地震発生時などの揺れが発生した場合に、連結部が離脱しにくい或いは離脱しない箇所が分散され、床形成部材の連結構造が効果的に外れにくくなる或いは外れる虞がなくなる。
【0017】
本発明の他の構成は、下方側からフロアプレートを支持する支持部を有する床形成部材を複数備え、隣り合う床形成部材を互いの連結部で連結して基礎床面上に敷設し、前記支持部間に前記フロアプレートを掛け渡すことにより、二重床の形成を可能とする床形成部材の連結構造であって、前記連結部は、前記隣り合う床形成部材の何れか一方に設けられ、予め設定された方向に突出する凸部が設けられた凸状部と、前記隣り合う床形成部材の他方に設けられ、前記凸状部の凸部がその突出方向に沿って差し込み可能な凹部を有する凹状部と、を備えて構成される床形成部材の連結構造において、前記凸状部の凸部が凹状部の凹部に差し込まれた状態で該凸状部及び凹状部が前記突出方向に沿う差し込み方向と交差する方向に相対的に変位した場合に互いに係合又は係止する付加的係合又は係止部が該凸状部及び凹状部の少なくとも一方に設けられたことを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、隣り合う床形成部材を連結する場合には、それらの床形成部材のそれぞれに設けられている凹状部の凹部内に凸状部の凸部を差し込むだけで容易に連結することができる。一方、例えば地震発生などにより、差し込み状態(結合状態)にある凸状部と凹状部に上記差し込み方向と交差する方向への変位が相対的に生じた場合、凸状部及び凹状部の少なくとも一方に設けられた付加的係合又は係止部が凸状部及び凹状部間で係合又は係止する状態となる。したがって、揺れによって凹部と凸部の離脱が生じようとするときに、凹部と凸部の結合状態に加えて、新たな係合又は係止状態が付加されることになる。これにより、凸状部と凹状部が離脱するのを抑制・防止することができ、地震などの災害時におけるいわゆる二重床構造の安定化を図ることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、隣り合う床形成部材の連結部を基本結合するには、第1の連結部と第2の連結部の相対的な移動動作のみでそれを行うことができることから、隣り合う床形成部材の連結作業が容易になり、二重床構造の施工性に優れる。一方、例えば地震発生時などの揺れによって、上記移動動作方向と交差する方向への付加的移動が生じた場合には、第1の連結部と第2の連結部の結合の解除に対して抵抗力が発生することから、第1の連結部と第2の連結部の離脱を抑制・防止することができ、地震などの災害時における二重床構造の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の床形成部材の連結構造の第1の実施の形態を示す床形成部材の斜視図である。
図2図1の床形成部材を連結する場合の平面図である。
図3図1の床形成部材に設けられた連結部の斜視図である。
図4図3の連結部の断面図である。
図5図3の連結部を結合した状態の説明図である。
図6図3の連結部に相対的な変位が生じた状態の説明図である。
図7】本発明の床形成部材の連結構造の第2の実施の形態を示す床形成部材を連結する場合の平面図である。
図8図7の床形成部材に設けられた連結部の説明図である。
図9図7の連結部を結合した状態の断面図である。
図10】本発明の床形成部材の連結構造の第3の実施の形態を示す床形成部材を連結する場合の平面図である。
図11図10の床形成部材に設けられた連結部の説明図である。
図12図10の連結部を結合した状態の断面図である。
図13】本発明の床形成部材の連結構造の第4の実施の形態を示す連結部の斜視図である。
図14図13の連結部を結合した状態の断面図である。
図15】本発明の床形成部材の連結構造の第5の実施の形態を示す連結部の斜視図である。
図16図15の連結部を結合した状態の断面図である。
図17】本発明の床形成部材の連結構造の第6の実施の形態を示す床形成部材の斜視図である。
図18図17の床形成部材に設けられた連結部の斜視図である。
図19図18の連結部を結合した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の床形成部材の連結構造の実施の形態について図面を参照して詳細に説明するが、各実施の形態及びこれらの変形例は、本発明を説明するための一例であって、本発明を説明内容に何ら限定するものではない。図1は、この実施の形態(第1の実施の形態)の床形成部材1が基礎床面上に配置された状態の斜視図、図2は、図1の床形成部材1を連結する場合の平面図である。この床形成部材1は、複数、この例では図の横方向に4個ずつ、縦方向に3個ずつ、計12個の支持部2がユニット化されたものであり、図で縦横に配置される支持部2の間に架け渡すようにしてフロアプレート4が載置され、これにより面一な二重床構造が形成される。
【0022】
この支持部2やフロアプレート4は、上記特許文献1に記載されるものと同等であり、例えば方形板状のフロアプレート4は四辺が図の下方向きに折曲られて折曲げ部4aが形成されている。支持部2は、このフロアプレート4を支持する支持脚であり、面取りが施された略方形断面の四角錘台で、内部は中空である。この四角錘台の支持部2の4つの外面(側面)には、それぞれ、スリット2aが形成されており、このスリット2aに上記フロアプレート4の折曲げ部4aが嵌入されてフロアプレート4が位置決めされる。また、支持部2の上面に形成されている穴部2bには、フロアプレート4の下面に形成されている図示しない突起が嵌入され、これによってもフロアプレート4が位置決めされる。ちなみに、支持部2は樹脂製、フロアプレート4は鋼製である。
【0023】
上記12個の支持部2は、基礎床面上で縦横に等間隔に配置され、隣り合う支持部2の下端部同士を帯状の継手部3で平面視十字(又はX字)状に結合(ユニット化)して床形成部材1が構成されている。継手部3は樹脂製であり、可撓性を有する。このユニット化された床形成部材1は、前述のように支持部2同士の間隔を維持して二重床を形成するフロアプレート4を安定して搭載するために、隣り合う床形成部材1と連結しなければならない。そこで、この床形成部材1では、上記帯状の継手部3をユニットの側方(ユニット展開方向外方=水平方向)に延伸し、その伸長方向先端部に連結部5を設ける。すなわち、方形の床形成部材1の周縁部に連結部5が等間隔に且つ直線状に配置されている。
【0024】
したがって、これらの連結部5同士を互いに結合することにより、隣り合う床形成部材1を互いに連結することができる。例えば、図2の例では、左上の床形成部材1とその下方に配置された床形成部材1を連結する場合には、図で互いに対向する連結部5同士を結合することによりそれらの床形成部材1を連結する。同様に、図の左上の床形成部材1とその右方に配置された床形成部材1を連結する場合には、図で互いに対向する連結部5同士を結合することによりそれらの床形成部材1を連結する。同様に図の左下の床形成部材1及び図の右上の床形成部材1とそれらの右下方床形成部材1を連結する場合には、図で互いに対向する連結部同士を結合することによりそれらの床形成部材1を連結する。
【0025】
この実施の形態では、図2に示す床形成部材1のうち、図の左側と上側の連結部5と、図の右側と下側の連結部5を、それぞれ異なる構成とした。具体的な連結部5の構造を図3及び図4に示す。図3は、図2の床形成部材1の左側端部と上側端部に設けられた連結部5、図4は、図2の床形成部材1の右側端部と下側端部に設けられた連結部5である。共に、分図(a)は斜視図、図3(b)は図3(a)のA-A断面図、図4(b)は図4(a)のB-B断面図である。なお、連結部5が一定間隔に設けられていない箇所も存在する。
【0026】
図3の連結部5は、本発明の第2の連結部を構成する凹状部6からなり、この凹状部6は、上面が閉じ且つ下面が開放された円筒状の凹状体からなる。したがって、換言すれば、この凹状部6は有蓋円筒体からなり、基礎床面上の姿勢も図3(a)の状態で配置される。この凹状部6は、上記継手部3の延出端部にその継手部3と一体的に設けられている。この凹状部6の内部には、下方が開放された円柱状の空間が形成されており、この円柱状の空間が凹部7を構成している。この凹部7は、後述する凸状部10(第2凸状部10Aを含む)の凸部12が、後述の突起部13を含めて余裕をもって収納される大きさとされている。この有蓋円筒体からなる凹状部6の頂面部の径方向外側部分及び外周面部の上側部分には、略方形断面の貫通切欠き穴が凹陥部8として形成され、その貫通切欠き穴からなる凹陥部8は、有蓋円筒体の周方向4カ所に等配されている。この貫通切欠き穴からなる凹陥部8は、後述の凸状部10の突起部13が余裕をもって挿入される大きさとされている。
【0027】
図4の連結部5は、本発明の第1の連結部を構成する凸状部10からなり、この凸状部10は、上記基礎床面上に載置される円形の基底部11の中央部から上向きに突出する円柱状の凸部12が一体的に設けられた凸状体からなる。この凸状部10の基礎床面上の姿勢も図4(a)の状態で配置される。図4(b)から明らかなように、この実施の形態の凸部12は、上記基底部11を含めて下面が開放された中空状態であり、実質的にはハット状の有蓋円筒体である。この凸状部10も、上記継手部3の延出端部にその継手部3と一体的に設けられている。この凸状部10の凸部12の外周面上端部には、略方形断面の突起部13が径方向外側に向けて突出するように凸部12と一体的に形成され、その突起部13は有蓋円筒体である凸部12の周方向4カ所に等配されている。また、この突起部13の大きさは、前述のように、上記凹状部6の凹陥部8内に余裕をもって挿入される大きさとされている。また、4カ所の突起部13を含めた凸部12の外径は、上記凹状部6の凹部7の内径よりもやや小さく設定されている。なお、これら突起部13の図示下方に相当する部分では、上記基底部11に略方形の貫通穴14が形成されている。この貫通穴14は、上記突起部13を凸状部10と一体的に樹脂成形するときに必要な型抜き穴である。
【0028】
図5は、図3の凹状部6の凹部7内に図4の凸状部10の凸部12を差し込んだ状態の説明図であり、図5(a)は平面図、図5(b)は図5(a)のC-C断面図である。実際に基礎床面に載置してある隣り合う床形成部材1を連結する場合には、一方の床形成部材1の凹状部6の凹部7を他方の床形成部材1の凸状部10の凸部12の上方から被せるようにして凸部12を凹部7内に差し込む。すなわち、第1の連結部を構成する凸状部10の凸部12と第2の連結部を構成する凹状部6の凹部7は、相対的な移動動作のみによって結合される。
【0029】
このとき、前述のように、又は図5(a)から明らかなように、凸状部10の突起部13を含む凸部12の外径は、凹状部6の凹部7の内径よりやや小さくしてあるので、突起部13を含めて凸部12を凹部7に差し込むときに抵抗力、すなわち両者の差し込みを阻害するような力は作用しない。これは、隣り合う床形成部材1を連結する際、一方の連結部5である凹状部6の凹部7を他方の連結部5である凸状部10の凸部12の上方から被せるようにして凸部12を凹部7内に差し込む作業(結合作業)を容易なものとし、結果として隣り合う床形成部材1の連結作業を、力のかからない、容易なものとすることができる。また、逆に言えば、この状態では、一方の連結部5である凹状部6の凹部7から他方の連結部5である凸状部10の凸部12を抜き取ることも容易であり、例えば、二重床施工現場で隣り合う床形成部材1の連結を解除する作業も容易なものとすることができる。
【0030】
なお、隣り合う床形成部材1の凹状部6の凹部7内に凸状部10の凸部12を差し込むと、上記凸部12に設けられた突起部13が凹部7に設けられた凹陥部8に対向するように、凹状部6及び凸状部10が上記継手部3に設けられている。また、この差し込み状態では、図5(b)に明らかなように、凹状部6の凹部7の内周面と凸状部10の凸部12の外周面の間には、予め設定された隙間が形成されており、この隙間が、凹部7と凸部12の図の左右方向への相対変位を可能とする余剰空間となっている。すなわち、この実施の形態では、凸部12の外周面が凹部7の内周面に当接するまでの所定範囲で、上記凹状部6と凸状部10の結合の際の相対的な移動動作方向と交差する方向への凹状部6及び凸状部10の付加的移動を許容している。
【0031】
図6は、図5の状態から、凹状部6及び凸状部10に両者の差し込み(移動動作)方向と交差する方向への相対的な変位(付加的移動)が生じた状態の説明図であり、図6(a)は平面図、図6(b)は図6(a)のD-D断面図である。具体的には、凹状部6が図の右方に、凸状部10が図の左方に相対的に変位した状態を示す。こうした変位は、例えば地震発生時に生じる。この状態では、図6(b)から明らかなように、図示左側の凹陥部8内に突起部13が嵌入(挿入)している。したがって、この状態のまま、凸部12を凹部7内から抜き取ろうとすると、突起部13が凹陥部8の縁部にひっ掛かって係止し、その係止力によって、凹状部6と凸状部10を容易に抜き取ることができない。実際には、突起部13か、若しくは凹陥部8を形成している凹状部6そのものが破壊されない限り、両者の係止を解除することはできないので、凹状部6と凸状部10の結合は解除不能である。
【0032】
すなわち、逆に言えば、地震発生に伴って、凹状部6と凸状部10が両者の差し込み方向と交差する方向に相対的に変位した場合、突起部13と凹陥部8が係止し、凹状部6と凸状部10の結合が実質的に外れなくなるので、隣り合う床形成部材1を連結状態に維持し、これにより支持部2の変位を抑制・防止することができ、もってフロアプレート4の脱落を防止することができ、もって信頼性に優れた二重床構造を提供することができる。また、凹状部6の頂面によって凹部7の上面が閉塞されると共に、凹状部6の下端面が凸状部10の基底部11に当接されているので、両者の上下方向への相対移動が規制され、凹状部6を凸状部10に水平方向への相対変位が生じると、上記突起部13と凹陥部8が確実に係止する。なお、上記突起部13と凹陥部8の係止は、それらが設けられている水平四方向の何れの相対変位でも生じる。また、凹状部6の下端面が凸状部10の基底部11に当接しているので、凹状部6の下端面が基礎床面上に直接に当接している場合に比して、両者の水平方向への相対変位が円滑で確実なものとなる。
【0033】
また、凹状部6と凸状部10の相対的な変位の大きさによっては、突起部13が凹陥部8内に完全には嵌入しない場合もあり得る。そうした場合に、凹状部6と凸状部10を抜き取ろうとすると、突起部13が凹陥部8の縁部や凹部7の内周面に当接することもあり、そのような状態では、凹状部6と凸状部10を抜き取る際に生じる両者の当接に伴う摩擦力や変形力が係合力として作用し、その分だけ、凹状部6と凸状部10の結合が外れにくくなる。なお、この実施の形態を含む、以下の突起部13と凹陥部8が係合又は係止する全ての実施の形態では、例えば、図6の状態から、上記凹状部6と凸状部10の差し込み方向と交差する方向への相対的な変位を戻すように動かせば、作業者は工具を用いることなく、両者の結合を何等の抵抗もなく解除することができる。また、以下の実施の形態では、この実施の形態と同様に、上記突起部13と凹陥部8の組合せが、凹状部6と凸状部10を抜き取る際に係合力又は係止力を発現する付加的係合又は係止部9を構成している。
【0034】
次に、本発明の床形成部材1の連結構造の第2の実施の形態について説明する。図7は、この実施の形態(第2の実施の形態)の床形成部材1の平面図である。この実施の形態の床形成部材1における上記支持部2や継手部3の構成は、上記第1の実施の形態の図1図2のものと同等であるので、その詳細な説明を省略する。この実施の形態では、床形成部材1の連結部5を構成する凹状部6については上記第1の実施の形態と同じであるのに対し、同じく連結部5を構成する凸状部の構成や配置が変更されている。具体的に、図7の右側端部の3つの連結部5のうち、一番上と一番下の連結部5は上記図4の凸状部10であるが、真ん中の連結部5には図8の第2凸状部10Aが用いられている。同様に、図7の下側端部の4つの連結部5のうち、一番右と右から3番目の連結部5は本発明の第1の連結部を構成する上記図4の凸状部10であるが、右から2番目と4番目の連結部5には、本発明の第3の連結部を構成する図8の第2凸状部10Aが用いられている(右側端部の一番下の連結部5と下側端部の一番右の連結部5は同じもの)。すなわち、この実施の形態では、第1の連結部である図4の凸状部10と第3の連結部である図8の第2凸状部10Aとが隣り合うようにして同一直線上に所定間隔をあけて配置されている。
【0035】
図8は、本発明の第3の連結部を構成する第2凸状部10Aの説明図であり、図8(a)は斜視図、図8(b)は図8(a)のE-E断面図である。図8の第2凸状部10Aも、上記図4の凸状部10と同様に、基礎床面上に載置される基底部11の中央部から上向きに突出する円柱状の凸部12が一体的に設けられて構成される。図8(b)から明らかなように、この実施の形態の凸部12も、上記基底部11を含めて下面が開放された中空状態であり、実質的にはハット状の有蓋円筒体である。この第2凸状部10Aも、上記継手部3の延出端部にその継手部3と一体的に設けられている。この凸部12も上記図3の凹状部6の凹部7内に緩やかに収納される大きさとしてあるが、凸部12の外径は、図3の凹部7の内径より少しだけ小さく設定されている。なお、凸部12の頂面には、断面円形の窪み12aが形成されている。
【0036】
図9は、図8の第2凸状部10Aの凸部12を図3の凹状部6の凹部7内に差し込んだ状態の断面図である。この実施の形態の第2凸状部10Aの凸部12には、図4の凸状部10の凸部12のような突起部13が形成されていないので、そうした突起部が図3の凹状部6の凹陥部8内に嵌入することはない。したがって、図8の第2凸状部10Aと図3の凹状部6の組合せからなる床形成部材1の連結部5では、第2凸状部10Aと凹状部6の相対的な変位(付加的移動)が生じても係止力や係合力が生じることはなく、両者を抜き取る際に抵抗力が生じることはない。ただし、第2凸状部10Aの凸部12の外径は凹状部6の凹部7の内径より少しだけ小さく設定されているので、凸部12の外周面と凹部7の内周面による差し込み方向と交差する方向への位置決め精度は上記第1の実施の形態のものよりも高い。
【0037】
このように、この実施の形態では、第2凸状部10Aと凹状部6に差し込み方向と交差する方向への相対的な変位が生じても、両者の結合解除に抵抗力は生じないので、地震発生時などの揺れによって水平方向への付加的移動が生じた場合であっても、全ての連結部5が上記図4の凸状部10と図3の凹状部6の組合せで構成される場合に比して、第2凸状部10Aと凹状部6の結合解除が容易な分だけ、隣り合う床形成部材1の連結解除作業が容易になる。また、第1の連結部である図4の凸状部10と第2の連結部である図3の凹状部6も分散して配置されることになるので、上記凸状部10の突起部13と凹状部6の凹陥部7の係止によって隣り合う床形成部材1の連結を効果的に維持することができる。また、第2凸状部10Aと凹状部6の間には、差し込み方向と交差する方向への相対変位を許容する余剰空間を必要としないので、その分だけ、両者の隙間を小さくすることができ、これにより連結部5同士の位置決め精度を向上することができる。
【0038】
次に、本発明の床形成部材1の連結構造の第3の実施の形態について説明する。図10は、この実施の形態(第3の実施の形態)の床形成部材1の平面図である。この実施の形態の床形成部材1における上記支持部2や継手部3の構成も、上記第1の実施の形態の図1図2のものと同等であるので、その詳細な説明を省略する。この実施の形態では、床形成部材1の連結部5を構成する凹状部や凸状部の構成や配置が上記第1の実施の形態から変更されている。具体的に、図10の右側端部の3つの連結部5のうち、一番下の連結部5には上記第2の実施の形態の図8の第2凸状部10Aが用いられている。また、図10の上側端部の4つの連結部5のうち、一番左の連結部5には、本発明の第4の連結部を構成する図11の第2凹状部6Aが用いられている。その他の連結部5は、図2の構成と同じである。
【0039】
図11は、本発明の第4の連結部を構成する第2凹状部6Aの説明図であり、図11(a)は斜視図、図11(b)は図11(a)のF-F断面図である。図11の第2凹状部6Aも、上記図3の凹状部6と同様に、上面が閉じ且つ下面が開放された円筒状の凹状部からなる。したがって、換言すれば、この第2凹状部6Aは有蓋円筒体からなり、図3の凹状部6と同様に、上記継手部3の延出端部にその継手部3と一体的に設けられている。この第2凹状部6Aの内部には、下方が開放された円柱状の空間が形成されており、この円柱状の空間が凹部7を構成している。この凹部7は、図8の第2凸状部10Aの凸部12が緩やかに収納される大きさとされており、その内径は、図3の凹状部6と同等に設定されている。なお、第2凹状部6Aの頂面には、断面円形の窪み6aが形成されている。
【0040】
図12は、図8の第2凸状部10Aの凸部12を図11の第2凹状部6Aの凹部7内に差し込んだ状態の断面図である。前述と同様に、第2凸状部10Aの凸部12には、図4の凸状部10の凸部12のような突起部13が形成されておらず、図11の第2凹状部6Aの凹部7にも、図3の凹状部6の凹部7のような凹陥部8が形成されていないので、そうした突起部が凹陥部内に嵌入することはない。したがって、図8の第2凸状部10Aと図11の第2凹状部6Aの組合せからなる床形成部材1の連結部5では、第2凸状部10Aと第2凹状部6Aの相対的な変位が生じても係止力や係合力が生じることはなく、両者を抜き取る際に抵抗力が生じることはない。ただし、第2凸状部10Aの凸部12の外径は第2凹状部6Aの凹部7の内径より少しだけ小さく設定されているので、凸部12の外周面と凹部7の内周面による差し込み方向と交差する方向への位置決め精度は上記第1の実施の形態のものより高い。
【0041】
このように、この実施の形態では、第2凸状部10Aと第2凹状部6Aに差し込み方向と交差する方向への相対的な変位が生じても、両者の結合解除に抵抗力は生じないので、地震発生時などの揺れによって水平方向への付加的移動が生じた場合であっても、全ての連結部5が上記図4の凸状部10と図3の凹状部6の組合せで構成される場合に比して、第2凸状部10Aと第2凹状部6Aの結合解除が容易な分だけ、隣り合う床形成部材1の連結解除作業が容易になる。また、第1の連結部である図4の凸状部10と第2の連結部である図3の凹状部6も分散して配置されることになるので、上記凸状部10の突起部13と凹状部6の凹陥部7の係止によって隣り合う床形成部材1の連結を効果的に維持することができる。また、第2凸状部10Aと第2凹状部6Aの間には、差し込み方向と交差する方向への相対変位を許容する余剰空間を必要としないので、その分だけ、両者の隙間を小さくすることができ、これにより連結部5同士の位置決め精度を向上することができる。
【0042】
次に、本発明の床形成部材1の連結構造の第4の実施の形態について説明する。図13は、この実施の形態(第4の実施の形態)の連結部5の斜視図であり、図14は、図13の連結部5を結合した状態の断面図である。図13(a)は、上記第1の実施の形態の図3の凹状部6の変形例であり、同様に、図13(b)は、上記第1の実施の形態の図4の凸状部10の変形例である。同等の構成には、同等の符号を付して、その詳細な説明を省略する。両者の主な変更点は、図3の凹状部6の凹部7には凹陥部8が4カ所設けられているのに対し、図13(a)では3カ所に等配されている。同様に、図4の凸状部10の凸部12には突起部13が4カ所設けられているのに対し、図13(b)では3カ所に等配されている。また、この実施の形態では、上記突起部13のそれぞれの突出方向先端面に半球状の当接部15が形成されている。この3カ所の当接部15の突出先端部の外径は、上記凹状部6の凹部7の内径と同等か、又は僅かに大きく設定されている。なお、この実施の形態でも、凸状部10には型抜き用の貫通穴14が形成されている。また、この実施の形態でも、凸状部10の凸部12の外周面と凹状部6の凹部7の内周面の間には、両者の差し込み方向と交差する方向への相対変位を許容する余剰空間が設けられている。
【0043】
図14からも推察されるように、この実施の形態の凹状部6と凸状部10に差し込み方向と交差する方向への相対的な変位が生じると、上記第1の実施の形態と同様に、凹状部6の凹陥部8内に凸状部10の突起部13が嵌入し、凹状部6と凸状部10を抜き取ろうとすると、突起部13が凹陥部8の縁部に引っ掛かって係止力が生じ、この係止力によって凹状部6と凸状部10が外れにくくなる。実質的には、係止している同士が互いに破壊しない限り、両者の結合は解除できない。また、この実施の形態では、3カ所の当接部15の外径が凹部7の内径と同等か、それより僅かに大きく設定されているため、特に凹状部6と凸状部10を抜き取ろうとする際、当接部15と凹部7の内周面が接触して両者の間に摩擦力や変形力が生じ、この摩擦力や変形力が係合力となるので、上記係合力が凹状部6と凸状部10を抜き取る際の抵抗力となり、その分だけ、凹状部6と凸状部10が外れにくい。また、同様に、凸状部10の凸部12を凹状部6の凹部7内に差し込む際にも、凹部7の内周面と当接部15が接触して両者の間に摩擦力や変形力が生じ、これにより両者の挿入を確実なものとすることができる。
【0044】
次に、本発明の床形成部材1の連結構造の第5の実施の形態について説明する。図15は、この実施の形態(第5の実施の形態)の連結部5の斜視図であり、図16は、図15の連結部5を結合した状態の断面図である。図15(a)は、上記第1の実施の形態の図3の凹状部6の変形例であり、同様に、図15(b)は、上記第1の実施の形態の図4の凸状部10の変形例である。同等の構成には、同等の符号を付して、その詳細な説明を省略する。両者の主な変更点は、図3の凹状部6の凹部7には凹陥部8が4カ所設けられているのに対し、図15(a)では凹状部6がリング状に形成されており、このリング状の凹状部6より上方の部位が、後述のように、本発明の凹陥部8に相当する。同様に、図4の凸状部10の凸部12には突起部13が4カ所設けられているのに対し、図15(b)では2カ所に等配(対向配置)されている。そして、この実施の形態では、凸状部10における基底部11の上面から突起部13の下面までの寸法が、リング状の凹状部6の高さ寸法より小さく設定されている。なお、この実施の形態でも、凸状部10には型抜き用の貫通穴14が形成されている。また、この実施の形態でも、凸状部10の凸部12の外周面と凹状部6の凹部7の内周面の間には、両者の差し込み方向と交差する方向への相対変位を許容する余剰空間が設けられている。
【0045】
図16からも推察されるように、この実施の形態の凹状部6と凸状部10に差し込み方向と交差する方向への相対的な変位が生じると、リング状の凹状部6の上面上に凸状部10の突起部13が突き出す。したがって、凹状部6と凸状部10を抜き取ろうとすると、突起部13が凹状部6の上面(凹陥部8の縁部)に引っ掛かって係止力が生じ、この係止力によって凹状部6と凸状部10が外れにくくなる。実質的には、係止している同士が互いに破壊しない限り、両者の結合は解除できない。
【0046】
次に、本発明の床形成部材1の連結構造の第6の実施の形態について説明する。図17は、この実施の形態(第6の実施の形態)の床形成部材1の斜視図であり、図18は、隣り合う床形成部材1の連結部5の説明図、図19は、図18の連結部5を結合した状態、すなわち図18(b)のI-I断面図である。この実施の形態の床形成部材1は、上記第1~第5の実施の形態のものと異なり、上面が方形の台状であり、台の脚部を構成する側面部16は、方形上面の四辺から鉛直に垂下された板部からなり、下端側の中央部が切り欠かれており、側面部16同士は相互に一体的に連結されている。そして、この側面部16の上端寄りの中央部2か所に、それぞれ連結部5が設けられている。この連結部5のうち、図17に表れる左側の側面部16の連結部5が凸状部10からなり、同じく右側の側面部16の連結部5が凹状部6からなる。
【0047】
凹状部6は、図18(a)に明示するように、側面部16を構成する板材に設けられた方形の穴部からなる凹部7を有する。この例では、この凹部7が上記の実施の形態の凹陥部8を兼ねる。一方、凸状部10は、図18(a)に示すように、上記方形の凹部7の高さ相当の高さを有し且つ上下面が平面で且つ両側面が円弧断面の短尺な凸部12が側面部16から突設され、その突出先端部には、両側面から図18の左右方向に突出し且つ突出先端面が円弧状に形成された板状の突起部13が設けられている。この互いに逆向きの突起部13の先端部間の寸法は、上記方形の凹部7の左右方向寸法よりやや小さく設定されている。また、図18(b)に示すように、上記凸部12の図示左右方向の外側面と上記凹部7の図示左右方向内側面の間には、両者の図示左右方向への相対変位を許容する余剰空間が設けられている。
【0048】
したがって、隣り合う床形成部材1を連結するために、図18(b)、図19に示すように、凸状部10の凸部12を突起部13ごと凹状部6の凹部7内に差し込む際には、両者は互いに干渉することがなく、容易に差し込むことができる。一方、図18(b)からも推察されるように、隣り合う床形成部材1の凹状部6と凸状部10が図18の左右方向、すなわち差し込み方向と交差する方向に上記余剰空間内で相対的に変位すると、凹状部6の凹部7内に差し込まれている凸状部10の突起部13とその床形成部材1の側面部16の隙間に凹部7(凹陥部8)の縁部が入り込む。その状態で、凹状部6と凸状部10を抜き取ろうとすると、凸状部10の突起部13が凹部7(凹陥部8)の縁部にひっ掛かり、その係止力によって凹状部6と凸状部10が外れにくくなる。実質的には、係止している同士が互いに破壊しない限り、両者の結合は解除できない。
【0049】
このように、これらの実施の形態の床形成部材1の連結構造では、隣り合う床形成部材1を連結する場合には、それらの床形成部材1のそれぞれに設けられている凹状部6の凹部7内に凸状部10の凸部12を差し込むだけで容易に結合することができる。一方、例えば地震発生などにより、差し込み状態(結合状態)にある凸状部10と凹状部6に差し込み方向と交差する方向への変位が相対的に生じた場合、凸状部10及び凹状部6に設けられた付加的係合又は係止部9が凸状部10及び凹状部6間で係合又は係止するので、凸状部10と凹状部6が外れてしまうのを抑制・防止することができ、これにより隣り合う床形成部材1の連結を外れにくくすることができる。
【0050】
また、隣り合う床形成部材1の凸状部10の凸部12が凹状部6の凹部7内に差し込まれている状態で、それら凸状部10と凹状部6が差し込み方向と交差する方向に相対変位すると、凸部12又は凹部7に設けられた突起部13が凹状部6又は凸状部10に設けられた凹陥部8に挿入(嵌入)される。その状態で、凸状部10の凸部12を凹状部6の凹部7から抜き取る力が作用しても、上記突起部13と凹陥部8が係合又は係止するので、その係合力又は係止力により両者は容易に外れない。
【0051】
また、隣り合う床形成部材1の凸状部10の凸部12が凹状部6の凹部7内に差し込まれている状態で、それら凸状部10と凹状部6が差し込み方向と交差する方向に相対変位し、その状態で凸状部10の凸部12を凹状部6の凹部7から抜き取る力が作用すると、上記突起部13が凸部12に設けられている場合には凹部7の内壁に、また突起部13が凹部7に設けられている場合には凸部12の外壁に、それぞれ、突起部13が当接され、これにより両者の当接部で摩擦又は変形を伴う係合力が作用し、その結果、凸状部10の凸部12を凹状部6の凹部7から抜き取る力が作用しても、その係合力により両者は容易に外れない。
【0052】
また、上記凹状部6と凸状部10の差し込み方向が略上下方向に設定され、その差し込み方向と交差する方向が略水平方向に設定されている。したがって、床形成部材1の凸状部10の凸部12に隣り合う床形成部材1の凹状部6の凹部7を上から被せるようにして差し込むことで、両者を容易に結合することができる。一方、地震発生時に略水平方向の力が作用すると、凸状部10及び凹状部6が略水平方向に相対変位し、これにより付加的係合又は係止部9によって係合力又は係止力が発現するので、凸状部10の凸部12を凹状部6の凹部7から抜き取る力が作用しても、その係合力又は係止力により両者は容易に外れない。
【0053】
以上、実施の形態に係る床形成部材1の連結構造について説明したが、本件発明は、上記実施の形態で述べた構成に限定されるものではなく、本件発明の要旨の範囲内で種々変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、突起部13を凸状部10の凸部12に、凹陥部8を凹状部6の凹部7に、それぞれ設けたが、互いに嵌入(挿入)可能な突起部13と凹陥部8は、例えば、突起部13を凹状部6の凹部7に、凹陥部8を凸状部10の凸部12に設けてもよい。また、特に、凹陥部8は、必ずしも凹部7や凸部12に設けられる必要はなく、それら以外の凸状部10又は凹状部6の部位に設けられてもよい。
【0054】
上記実施の形態では、凹状部6と凸状部10は結合時に係合・干渉等をせず、付加的移動のない状態においては結合解除力がほぼ無いに等しい構成を例示しているが、凹状部6と凸状部10の結合後に、これらが相互に付加的移動可能であって、かつ、付加的移動後の結合解除力が付加的移動のない状態よりも大きいものとなる構成であればどのような構成としてもよい。
【0055】
また、上記実施の形態では、全ての連結部5で突起部13や凹陥部8の向きや配置を一定にしているが、それらの向きや配置は、上記差し込み方向と交差する方向への相対変位が生じた場合に互いに嵌入し合うような向きや配置であれば、どのような向きや配置にしてもよい。
【0056】
また、上記実施の形態では、突起部13や凹陥部8が凸部12や凹部7の外周に等配された例についてのみ説明しているが、これらは、上記差し込み方向と交差する方向への相対変位が生じた場合に互いに嵌入し合うような配置であれば、どのような配置にしてもよい。
【0057】
また、突起部13や凹陥部8の形成個数も上記の限定されるものではなく、上記差し込み方向と交差する方向への相対へ荷が生じた場合に互いに嵌入し合うような配置であれば、いくつ設けてもよい。
【0058】
また、上記凹状部6と第2凹状部6A、凸状部10と第2凸状部のそれぞれの組合せは、互いに結合可能なもの同士を適宜選択的に入れ替えて配置してもよく、例示した配置に限られない。
【0059】
また、上記実施の形態では、突起部13と凹陥部8は、凹部7の外周面と凸部12の内周面の間に形成された余剰空間の範囲での凹状部6及び凸状部10相互の移動を制限しないものとなっているが、突起部13と凹陥部8の間の空間が凹状部6と凸状部10との付加的移動を規制し、凸部12の外周面及び凹部7の内周面が当該付加的移動を制限しない構成としてもよく、またその他、凹状部6と凸状部10との移動が本発明の趣旨を満たす範囲で規制される構成であれば、どの様な構成によって両者の付加的移動が規制されてもよい。
【0060】
また、上記実施の形態においては、1つの床形成部材1につき支持部2が3行4列に12個配置されているが、何行何列に何個設けてもよく適宜変更して差し支えない。
【0061】
また、支持部2の形状も平面視で面取りが施された略四角形状でなくともよく、例えば、円形、その他、多角形を底面とする柱状体、その他どのような支持構造体であってもよい。
【0062】
また、上記実施の形態では、凹部7の天井面と凸部12の頂面が接触していないが、突起部13が凹陥部8に対向するように設計されていれば、凹部7の天井面と凸部12の頂面が接触するように設けても差し支えない。
【0063】
また、上記実施の形態では、凹陥部8が凹状部6の頂面部と外周面部に亘って設けられているが、外周面部にのみ切欠き貫通穴を設けるのみとしてもよく、この場合、上記差し込み方向と交差する方向への相対変位が生じた場合に、凹陥部8内に嵌入可能な位置で凸状部10に係合部13を形成すればよい。
【0064】
また、上記実施の形態では、当接部15を半球状の形状としているが、この当接部15は、多角形の柱状体、薄板状体、錐状体、その他、当接する対象との間に適度な係合感が得られればどの様な構造としてもよい。
【0065】
また、上記実施の形態では、凹状部6に凸状部10を差し込んで連結部5が結合されるものについてのみ説明してるが、本発明の床形成部材の連結構造は、他のあらゆる様式の結合方法で結合される連結部にも適用可能である。
【0066】
また、本願発明の床形成部材の連結構造は、上記実施の形態に例示するタイプの二重床に限られるものではなく、高さ調整式の二重床等も含め、種々の床形成部材において適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 床形成部材
2 支持部
3 継手部
4 フロアプレート
5 連結部
6 凹状部(第2の連結部)
6A 第2凹状部(第4の連結部)
7 凹部
8 凹陥部
9 付加的係合又は係止部
10 凸状部(第1の連結部)
10A 第2凸状部(第3の連結部)
12 凸部
13 突起部
15 当接部
図1
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