(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002691
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
F25D 11/00 20060101AFI20231228BHJP
F25B 47/02 20060101ALI20231228BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
F25D11/00 101E
F25B47/02 570M
F25B1/00 371B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102044
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮田 秀一
【テーマコード(参考)】
3L045
【Fターム(参考)】
3L045AA03
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA02
3L045LA03
3L045LA06
3L045MA02
3L045NA01
3L045PA01
3L045PA03
3L045PA05
(57)【要約】
【課題】収容庫を所望の温度状態に維持し、かつ冷却効率の向上を図ること。
【解決手段】収容庫2aの内部温度が目標温度に到達するよう、収容庫2aに配設された蒸発器14から冷媒を吸入して圧縮を行う圧縮機11の吸入圧力の設定値を調節する吸入圧力制御手段20を備え、収容庫2aを所望の温度状態に冷却する冷却装置10であって、吸入圧力制御手段20は、蒸発器14に着霜が生じたと判定した場合、その際の設定値を吸入圧力下限値として吸入圧力の低下を規制する。また吸入圧力制御手段20は、圧縮機11の吸入圧力の設定値を低下させた際における収容庫2aの内部温度の低下割合が予め設定された閾値以下の場合、蒸発器14に着霜が生じたと判定することが好ましい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容庫の内部温度が目標温度に到達するよう、該収容庫に配設された蒸発器から冷媒を吸入して圧縮を行う圧縮機の吸入圧力の設定値を調節する吸入圧力制御手段を備え、
前記収容庫を所望の温度状態に冷却する冷却装置であって、
前記吸入圧力制御手段は、前記蒸発器に着霜が生じたと判定した場合、その際の設定値を吸入圧力下限値として前記吸入圧力の低下を規制することを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記吸入圧力制御手段は、前記圧縮機の吸入圧力の設定値を低下させた際における前記収容庫の内部温度の低下割合が予め設定された閾値以下の場合、前記蒸発器に着霜が生じたと判定することを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばショーケース等の収容庫を所望の温度状態に冷却する冷却装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、商品を冷却した状態で陳列販売するショーケースでは、収容庫の内部に蒸発器が設けられ、また収容庫の外部に圧縮機、凝縮器及び電子膨張弁が設けられており、これら蒸発器、圧縮機、凝縮器及び電子膨張弁に冷媒を循環供給することによって収容庫を所望の温度状態に維持するようにしている。
【0003】
具体的には、収容庫の内部温度が目標温度よりも低くなった場合に圧縮機の吸入圧力の設定値を上昇させる一方、収容庫の内部温度が目標温度よりも高くなった場合に圧縮機の吸入圧力の設定値を減少させることにより、収容庫の内部温度が目標温度に到達するよう圧縮機の吸入圧力の設定値を調節して収容庫の内部が所望の温度状態となるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したショーケースにおいては、圧縮機の吸引圧力の設定値を調節することにより蒸発器での冷媒の蒸発温度を調整することができ、収容庫の内部温度と目標温度との温度差が小さい場合には、比較的短時間で内部温度を目標温度に到達することができ、冷却効率に優れていた。
【0006】
一方、例えば蒸発器の除霜運転の終了後や収容庫に対する商品の補充後等のように収容庫の内部温度と目標温度との温度差が大きい場合には、温度変化のタイムラグにより必要以上に圧縮機の吸入圧力を変動させてしまうことで、内部温度が目標温度よりも過剰に低下してしまい、冷却効率の低下を招来していた。
【0007】
このことについて
図5を用いて説明する。
図5は、従来の冷却装置における圧縮機の吸入圧力設定値、圧縮機の周波数及び収容庫の内部温度の変化を示すタイムチャートである。
【0008】
この
図5においては、符号Aが吸入圧力設定値を示し、符号Bが圧縮機の周波数を示し、符号Cが収容庫の内部温度の変化を示し、符号Dが目標温度を示している。
【0009】
時点t0においては、内部温度Cが目標温度Dよりも高いので、時点t0から時点t1まで、時点t1から時点t2まで、時点t2から時点t3まで、時点t3から時点t4まで、吸入圧力設定値Aを所定値毎に段階的に低下させることにより、周波数Bが段階的に上昇し、内部温度Cを徐々に低下させる。
【0010】
時点t4においては、内部温度Cが目標温度Dに一致することで、時点t4から時点t5まで吸入圧力設定値A及び周波数Bを維持するが、蒸発器での冷媒の蒸発温度が十分に低く、内部温度Cが低下する。
【0011】
時点t5においては、内部温度Cが目標温度Dよりも低いので、時点t5から時点t6まで、時点t6から時点7まで、時点t7から時点t8まで、時点t8から時点t9まで、時点t9から時点t10まで、吸入圧力設定値Aを所定値毎に段階的に上昇させることにより、周波数Bが段階的に低下する。この場合、時点t5から時点t7までは、蒸発温度が低いので内部温度Cが低下し、時点t7から時点t10までは、内部温度Cが上昇する。
【0012】
時点t10においては、内部温度Cが目標温度Dに一致することで、時点t10から時点t11まで吸入圧力設定値A及び周波数Bを維持するが、蒸発器での冷媒の蒸発温度が高くなっており、内部温度Cが上昇する。
【0013】
時点t11においては、内部温度Cが目標温度Dよりも高いので、時点t11から時点t12まで、時点t12から時点t13まで、時点t13から時点t14まで、吸入圧力設定値Aを所定値毎に段階的に低下させることにより、周波数Bが段階的に上昇する。この場合、時点t11から時点t12までは、内部温度Cが上昇し、時点t12から時点t14までは、内部温度Cが低下する。
【0014】
このように温度変化のタイムラグにより、時点t5以降に吸入圧力設定値Aを段階的に上昇させているにもかかわらず、内部温度Cが目標温度Dから離れるように低下し、結果的に、圧縮機の吸入圧力を必要以上に変動させてしまうことにより、内部温度が目標温度よりも過剰に低下し、冷却効率を低下させていた。
【0015】
本発明は、上記実情に鑑みて、収容庫を所望の温度状態に維持し、かつ冷却効率の向上を図ることができる冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明に係る冷却装置は、収容庫の内部温度が目標温度に到達するよう、該収容庫に配設された蒸発器から冷媒を吸入して圧縮を行う圧縮機の吸入圧力の設定値を調節する吸入圧力制御手段を備え、前記収容庫を所望の温度状態に冷却する冷却装置であって、前記吸入圧力制御手段は、前記蒸発器に着霜が生じたと判定した場合、その際の設定値を吸入圧力下限値として前記吸入圧力の低下を規制することを特徴とする。
【0017】
また本発明は、上記冷却装置において、前記吸入圧力制御手段は、前記圧縮機の吸入圧力の設定値を低下させた際における前記収容庫の内部温度の低下割合が予め設定された閾値以下の場合、前記蒸発器に着霜が生じたと判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、吸入圧力制御手段が、蒸発器に着霜が生じたと判定した場合、その際の設定値を吸入圧力下限値として吸入圧力の低下を規制するので、最も効率よく冷却できる温度にて収容庫の内部雰囲気を冷却して収容庫の内部温度を目標温度よりも過剰に低下させてしまうことを抑制することができる。これにより、収容庫を所望の温度状態に維持し、かつ冷却効率の向上を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態である冷却装置の構成を概念的に示した概念図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した吸入圧力制御手段の吸入圧力下限値設定制御部が実施する吸入圧力下限値設定制御処理の内容を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、
図1に示した吸入圧力制御手段の吸入圧力設定制御部が実施する吸入圧力制御処理の内容を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、
図1に示した冷却装置における圧縮機の吸入圧力設定値、圧縮機の周波数及び収容庫の内部温度の変化を示すタイムチャートである。
【
図5】
図5は、従来の冷却装置における圧縮機の吸入圧力設定値、圧縮機の周波数及び収容庫の内部温度の変化を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る冷却装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態である冷却装置の構成を概念的に示した概念図である。ここで例示する冷却装置10は、収容庫2aの内部に収納した商品を冷却した状態で陳列するショーケース2に適用されるもので、冷媒回路10a、内部温度センサ18及び吸入圧力制御手段20を備えて構成されている。
【0022】
冷媒回路10aは、圧縮機11、凝縮器12、膨張機構13及び蒸発器14を冷媒管路15で順次接続して構成され、例えば二酸化炭素等の冷媒が封入されたものである。圧縮機11は、ショーケース2の外部となる室外機1に設置されている。この圧縮機11は、蒸発器14から吐出された低温低圧のガス冷媒を圧縮して高温高圧のガス冷媒として吐出するものである。本実施の形態では、吸入圧力値設定指令が与えられた場合にこの吸入圧力値設定指令に応じて吸入圧力を変更することのできるインバータ圧縮機を適用している。
【0023】
凝縮器12は、圧縮機11と同様に室外機1に設置されている。この凝縮器12は、圧縮機11から吐出された高温高圧の冷媒を周囲空気との熱交換により放熱させて凝縮させるものである。膨張機構13は、例えば電子膨張弁により構成されており、ショーケース2に設置されている。この膨張機構13は、凝縮器12から吐出された液冷媒を断熱膨張させて蒸発器14に供給するものである。蒸発器14は、ショーケース2の収容庫2aに配設されている。図には明示していないが、蒸発器14は、収容庫2aのうち商品を収納する収納室に連通する空気通路に配設されている。この蒸発器14は、膨張機構13より供給された冷媒を周囲空気と熱交換させて蒸発させるものである。
【0024】
そのような冷媒回路10aにおいては、圧縮機11から吐出された高温高圧のガス冷媒が凝縮器12において放熱して高温高圧の液冷媒となる。この高温高圧の液冷媒は、膨張機構13により断熱膨張されて冷温低圧の気液2相冷媒となって蒸発器14に供給される。蒸発器14に供給された低温低圧の気液2相冷媒は、図示せぬ送風ファンによって供給された収容庫2aの内部雰囲気と熱交換し、吸熱して低温低圧のガス冷媒となることにより収容庫2aの冷却を行う。蒸発器14を経た低温低圧のガス冷媒は、圧縮機11に吸入される。
【0025】
内部温度センサ18は、収容庫2aに設置されており、収容庫2aの内部温度を検出する温度検出手段である。この内部温度センサ18は、検出した内部温度を検出信号として吸入圧力制御手段20に送出するものである。
【0026】
吸入圧力制御手段20は、冷却装置10の各部の動作を統括的に制御する図示せぬ制御部を構成するもので、圧縮機11及び内部温度センサ18に電気的に接続されている。この吸入圧力制御手段20は、電気的に接続された記憶部25に記憶されたプログラムやデータに従って、圧縮機11の吸入圧力を制御するためのもので、吸入圧力下限値設定制御部21及び吸入圧力設定制御部22を備えている。尚、記憶部25には、収容庫2aの目標温度に関する目標温度情報25aが記憶されている。
【0027】
吸入圧力下限値設定制御部21は、後述する吸入圧力下限値設定制御処理を実施するものであり、圧縮機11の吸入圧力下限値を設定するものである。吸入圧力設定制御部22は、後述する吸入圧力制御処理を実施するもので、圧縮機11の吸入圧力を設定するものである。
【0028】
図2は、
図1に示した吸入圧力制御手段20の吸入圧力下限値設定制御部21が実施する吸入圧力下限値設定制御処理の内容を示すフローチャートである。
【0029】
この吸入圧力下限値設定制御処理は、吸入圧力制御処理とは別個に独立して行われるものであり、所定のタイミングで行われる。
【0030】
吸入圧力下限値設定制御処理において吸入圧力下限値設定制御部21は、吸入圧力設定値を低下させ(ステップS101)、その旨を圧縮機11に吸入圧力値設定指令として送出する。これにより圧縮機11は、駆動周波数(以下、単に周波数ともいう)が増大し、蒸発器14での冷媒の蒸発温度を低下させる。そのようにして吸入圧力設定値を低下させた吸入圧力下限値設定制御部21は、内部温度センサ18による収容庫2aの内部温度の検出待ちとなる(ステップS102)。
【0031】
内部温度センサ18により収容庫2aの内部温度が検出された場合(ステップS102:Yes)、吸入圧力下限値設定制御部21は、内部温度の低下割合を算出する(ステップS103)。すなわち、吸入圧力下限値設定制御部21は、前回の検出結果と今回の検出結果との単位時間当たりの内部温度の低下の傾きを算出する。
【0032】
内部温度の低下割合を算出した吸入圧力下限値設定制御部21は、算出した低下割合が予め設定された閾値以下であるか否かを判断する(ステップS104)。ここで閾値は、後述するように蒸発器14に着霜が生じているか否かを判定するためのもので、零に近似した値である。
【0033】
低下割合が閾値以下でないと判断した場合(ステップS104:No)、すなわち低下割合が閾値を上回る場合、吸入圧力下限値設定制御部21は、ステップS101~ステップS104の処理を繰り返す。
【0034】
一方、低下割合が閾値以下であると判断した場合(ステップS104:Yes)、吸入圧力下限値設定制御部21は、蒸発器14に霜が付着した着霜状態であると判定し(ステップS105)、現在の吸入圧力設定を吸入圧力下限値と設定し(ステップS106)、記憶部25に記憶させた後に手順をリターンさせて、今回の処理を終了する。
【0035】
これによれば、吸入圧力制御手段20は、蒸発器14に着霜が生じたと判定した場合、その際の吸入圧力設定値を吸入圧力下限値として設定することができる。
【0036】
図3は、
図1に示した吸入圧力制御手段20の吸入圧力設定制御部22が実施する吸入圧力制御処理の内容を示すフローチャートである。
【0037】
この吸入圧力制御処理は、所定のタイミングで実施されるものである。以下、この
図3を参照しながら冷却装置10の動作について説明する。
【0038】
吸入圧力制御処理において吸入圧力設定制御部22は、内部温度センサ18による収容庫2aの内部温度の検出待ちとなる(ステップS201)。内部温度センサ18により収容庫2aの内部温度が検出された場合(ステップS201:Yes)、吸入圧力設定制御部22は、記憶部25から目標温度情報25aを読み出し、内部温度が目標温度以下であるか否かを判断する(ステップS202)。
【0039】
内部温度が目標温度以下であると判断した場合(ステップS202:Yes)、吸入圧力設定制御部22は、圧縮機11の吸入圧力設定値を上昇させ(ステップS203)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0040】
これによれば、圧縮機11の周波数が所定値だけ低減し、蒸発器14における冷媒の蒸発温度が上昇する方向に推移し、内部温度を上昇させることができる。
【0041】
内部温度が目標温度以下ではないと判断した場合(ステップS202:No)、すなわち内部温度が目標温度を超えると判断した場合、吸入圧力設定制御部22は、現在の吸入圧力設定値が吸入圧力下限値であるか否かを判断する(ステップS204)。
【0042】
現在の吸入圧力設定値が吸入圧力下限値ではない場合(ステップS204:No)、吸入圧力設定制御部22は、圧縮機11の吸入圧力設定値を低下させ(ステップS205)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0043】
これによれば、圧縮機11の周波数が所定値だけ増大し、蒸発器14における冷媒の蒸発温度が低下する方向に推移し、内部温度を低下させることができる。
【0044】
ところで、現在の吸入圧力設定値が吸入圧力下限値である場合(ステップS204:Yes)、吸入圧力設定制御部22は、圧縮機11の吸入圧力設定値を維持し(ステップS206)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0045】
これによれば、圧縮機11の周波数が維持され、蒸発器14における冷媒の蒸発温度も維持された状態で、内部温度を低下させることができる。
【0046】
このような吸入圧力設定制御部22による吸入圧力制御処理による内部温度等の変化を、
図4を用いて詳細に説明する。
図4は、
図1に示した冷却装置10における圧縮機11の吸入圧力設定値、圧縮機11の周波数及び収容庫2aの内部温度の変化を示すタイムチャートである。
【0047】
この
図4においては、符号イが吸入圧力設定値を示し、符号ロが圧縮機11の周波数を示し、符号ハが収容庫2aの内部温度の変化を示し、符号ニが目標温度を示している。
【0048】
時点t0において内部温度ハが目標温度ニよりも高いので、時点t0から時点t1まで吸入圧力設定値イを所定値だけ低下させる。これにより、周波数ロが所定値だけ上昇し、蒸発器14における冷媒の蒸発温度の低下により内部温度ハが低下する。
【0049】
時点t1においては、依然として内部温度ハが目標温度ニよりも高いので、時点t1から時点t2まで吸入圧力設定値イを所定値だけ低下させる。これにより、周波数ロが所定値だけ上昇し、内部温度ハが低下する。
【0050】
時点t2においては、依然として内部温度ハが目標温度ニよりも高いので、吸入圧力設定値イを所定値だけ低下させたいが、吸入圧力設定値イが吸入圧力下限値に達しているので、時点t2から時点t3まで吸入圧力設定値イを維持する。これにより、時点t2から時点t3まで周波数ロが維持する。一方、内部温度ハは、蒸発器14での冷媒の蒸発温度が低いので低下する。
【0051】
時点t3においては、内部温度ハが目標温度ニよりも高いが、吸入圧力設定値イが吸入圧力下限値に達しているので、時点t3から時点t4まで吸入圧力設定値イを維持する。これにより、時点t3から時点t4まで周波数ロが維持する。一方、内部温度ハは、蒸発器14での冷媒の蒸発温度が低いので低下する。
【0052】
時点t4においては、内部温度ハが目標温度ニよりも高いが、吸入圧力設定値イが吸入圧力下限値に達しているので、時点t4から時点t5まで吸入圧力設定値イを維持する。これにより、時点t4から時点t5まで周波数ロが維持する。一方、内部温度ハは、蒸発器14での冷媒の蒸発温度が低いので低下する。
【0053】
時点t5においては、内部温度ハが目標温度ニよりも高いが、吸入圧力設定値イが吸入圧力下限値に達しているので、時点t5から時点t6まで吸入圧力設定値イを維持する。これにより、時点t5から時点t6まで周波数ロが維持する。一方、内部温度ハは、蒸発器14での冷媒の蒸発温度が低いので低下する。
【0054】
時点t6においては、内部温度ハが目標温度ニよりも低いので、時点t6から時点t7まで吸入圧力設定値イを所定値だけ上昇させる。より詳細には、吸入圧力設定値イを時点t1での吸入圧力設定値イまで上昇させる。これにより時点t6から時点t7までは、周波数ロが時点t1からt2までの周波数ロと同程度の大きさとなり、結果的に維持される。一方、内部温度ハは、蒸発器14での冷媒の蒸発温度が低いので低下する。
【0055】
時点t7においては、依然として内部温度ハが目標温度ニよりも低いので、時点t7から時点t8まで吸入圧力設定値イを所定値だけ上昇させる。これにより、周波数ロが所定値だけ低下し、内部温度ハが上昇する。
【0056】
時点t8においては、内部温度ハが目標温度ニに一致することで、時点t8から時点t9まで吸入圧力設定値イを維持する。これにより周波数ロも維持するが、蒸発器14での冷媒の蒸発温度が低く、内部温度ハが低下する。
【0057】
時点t9においては、内部温度ハが目標温度ニよりも低いので、時点t9から時点t10まで吸入圧力設定値イを所定値だけ上昇させる。これにより、周波数ロが所定値だけ低下し、内部温度ハが上昇する。
【0058】
時点t10においては、内部温度ハが目標温度ニに一致することで、時点t10から時点t11まで吸入圧力設定値イを維持する。これにより周波数ロも維持するが、蒸発器14での冷媒の蒸発温度が高くなり、内部温度ハが上昇する。
【0059】
時点t11においては、内部温度ハが目標温度ニよりも高いので、時点t11から時点t12まで吸入圧力設定値イを所定値だけ低下させる。これにより、周波数ロが所定値だけ上昇し、内部温度ハが低下する。
【0060】
時点t12においては、内部温度ハが目標温度ニに一致することで、時点t12から時点t13まで吸入圧力設定値イを維持する。これにより周波数ロも維持するが、蒸発器14での冷媒の蒸発温度が低く、内部温度ハが低下する。
【0061】
時点t13においては、内部温度ハが目標温度ニよりも低いので、時点t13から時点t14まで吸入圧力設定値イを所定値だけ上昇させる。これにより、周波数ロが所定値だけ低下し、内部温度ハが上昇する。かかる動作を繰り返すことにより内部温度ハを目標温度ニに到達させることができる。
【0062】
図4に示したように、時点t2から時点t6まで吸入圧力設定値イを吸入圧力下限値に維持して吸入圧力の低下を規制しても、蒸発器14での蒸発温度が十分に低いので、内部温度ハを低下させることができ、内部温度ハを目標温度ニよりも過剰に低下させてしまうことがない。従って、その後に吸入圧力設定値イを上昇させた場合に、内部温度ハを上昇させることができ、冷却効率を向上させることができる。
【0063】
以上説明したように、本発明の実施の形態である冷却装置10によれば、吸入圧力制御手段20が、蒸発器14に着霜が生じたと判定した場合、その際の吸入圧力設定値を吸入圧力下限値として、吸入圧力設定値の低下を規制するので、最も効率よく冷却できる温度にて収容庫2aの内部雰囲気を冷却して収容庫2aの内部温度を目標温度よりも過剰に低下させてしまうことを抑制することができ、これにより、収容庫2aを所望の温度状態に維持し、かつ冷却効率の向上を図ることができる。
【0064】
また冷却装置10によれば、吸入圧力制御手段20が、圧縮機11の吸入圧力設定値を低下させた際における収容庫2aの内部温度の低下割合が予め設定された閾値以下の場合、蒸発器14に着霜が生じたと判定して吸入圧力下限値を設定することができ、適用されるショーケース2等の機器に応じて適切な温度を吸入圧力下限値として設定することができる。
【0065】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0066】
上述した実施の形態では、吸入圧力下限値が吸入圧力下限値設定制御処理により設定されていたが、本発明においては、事前に実験的に吸入圧力下限値が算出され、固定値として記憶部に記憶されていてもよい。
【0067】
上述した実施の形態では、圧縮機11及び凝縮器12が、1つのショーケース2に配設された膨張機構13及び蒸発器14とで冷媒回路10aを構成していたが、本発明においては、圧縮機及び凝縮器が、複数のショーケースに配設された膨張機構及び蒸発器と冷媒管路で接続されて1つの冷媒回路を構成してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1…室外機、2…ショーケース、2a…収容庫、10…冷却装置、10a…冷媒回路、11…圧縮機、12…凝縮器、13…膨張機構、14…蒸発器、15…冷媒管路、18…内部温度センサ、20…吸入圧力制御手段、21…吸入圧力下限値設定制御部、22…吸入圧力設定制御部、25…記憶部、25a…目標温度情報。