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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026924
(43)【公開日】2024-02-29
(54)【発明の名称】伸縮支柱
(51)【国際特許分類】
   F16M 11/28 20060101AFI20240221BHJP
   F16M 13/00 20060101ALI20240221BHJP
   F21V 21/22 20060101ALI20240221BHJP
   F21V 21/30 20060101ALI20240221BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20240221BHJP
   H04R 1/00 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
F16M11/28 J
F16M13/00 L
F16M13/00 R
F21V21/22 100
F21V21/30 310
G03B17/56 A
H04R1/00 318C
H04R1/00 328A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129470
(22)【出願日】2022-08-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】599171729
【氏名又は名称】株式会社佐藤工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100092808
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 亘
(74)【代理人】
【識別番号】100207549
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 慎也
(74)【代理人】
【識別番号】100140981
【弁理士】
【氏名又は名称】柿原 希望
(72)【発明者】
【氏名】眞庭 豪樹
【テーマコード(参考)】
2H105
5D017
【Fターム(参考)】
2H105AA06
2H105AA25
5D017BB02
(57)【要約】
【課題】支柱部の収縮時に電気機器を自動的に収納方向に回転させる伸縮支柱を提供する。
【解決手段】この伸縮支柱100は、伸縮部32の収縮動作中に自動回転機構60の自動回転ブラケット62がカムフォロア66と当接して支柱部30を装置保持部40の収容方向に回転させる。そして、装置保持部40が収容方向を向いたときに自動回転ブラケット62の切欠部64にブラケットガイド68が挿入し、この方向を維持する。そして、カムフォロア66の位置とブラケットガイド68の長さを最適化することで、装置保持部40(電気機器5)が如何なる方向を向いていても、設置対象物1に衝突する前に装置保持部40(電気機器5)を収容方向に自動的に向けることができる。これにより、作業者は伸縮支柱の収縮時に電気機器5の方向を確認する必要が無く、作業の迅速化と効率化とを図ることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器を保持する台枠を備えた装置保持部と、
上端部に前記台枠が固定した外筒部を有する支柱部と、
前記支柱部を回転及びスライド可能に保持するとともに設置対象物に固定した固定部と、
前記支柱部を上下方向にスライド移動させる伸縮部と、を備え、
前記外筒部を回転させることで前記台枠が回転し前記電気機器が前記支柱部を軸に旋回する伸縮支柱において、
前記支柱部の収縮時に前記台枠の方向を収納方向に回転させる自動回転機構をさらに備え、
前記自動回転機構は、前記支柱部の下部に固定し下面が斜めに形成された自動回転ブラケットと、
前記固定部の所定の位置に設置され前記自動回転ブラケットの下面に当接して前記自動回転ブラケットを収納方向に回転させるカムフォロアと、
前記カムフォロアの下方に位置し前記自動回転ブラケットを収納方向で維持するブラケットガイドと、
前記自動回転ブラケットの周面の最短部分に位置し前記カムフォロアを通過させて前記ブラケットガイドが挿入する切欠部と、を有し、
前記支柱部の下降時に前記自動回転ブラケットが前記カムフォロアと当接して収納方向に回転し、前記切欠部が前記カムフォロアを通過して前記ブラケットガイドが挿入することで前記台枠が収納方向に回転して保持されることを特徴とする伸縮支柱。
【請求項2】
切欠部を背面とした時に、自動回転ブラケットの下面が側面視で略S字の曲線をなし、下面の先端が正面視で鈍角をとることを特徴とする請求項1記載の伸縮支柱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上部に電気機器を設置して伸縮する支柱に関し、特に支柱の収縮時に電気機器を自動的に収納方向に回転させる伸縮支柱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、工事車両や緊急車両等には作業現場を照らす照明器具や対象に向けて音声を出力するスピーカ等が必要な場合がある。そして、本願発明者らはこのような車両等の側面に固定する電気機器用の支柱として、下記[特許文献1]~[特許文献3]に記載の発明を行った。これら[特許文献1]~[特許文献3]に記載の発明は、支柱部が伸縮機構を備え伸長状態でロックすることで、支柱に取り付けられた電気機器を上方に位置させることができる。また、[特許文献1]~[特許文献3]に記載の発明では、電気機器の位置が上方にある状態でも、支柱の下部に設けられたハンドルの操作により電気機器の向きを水平方向(パン方向)と俯仰方向(チルト方向)とで自在に変化させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5433613号公報
【特許文献2】特許第6429654号公報
【特許文献3】特許第6593833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電気機器がパン方向に回転可能な伸縮支柱の場合、支柱部の収縮時に電気機器が適正な方向を向いていないと、下降中の電気機器が設置対象物と接触して破損する可能性がある。このため、電気機器が収納方向に向いていることを確認した上で支柱部を収縮させ電気機器を下降させる必要があり、作業性の観点から更なる改善が望まれる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、支柱部の収縮時に電気機器を自動的に収納方向に回転させる伸縮支柱の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
(1)電気機器5を保持する台枠20を備えた装置保持部40と、上端部に前記台枠20が固定した外筒部13を有する支柱部30と、前記支柱部30を回転及びスライド可能に保持するとともに設置対象物1に固定した固定部35と、前記支柱部30を上下方向にスライド移動させる伸縮部32と、を備え、
前記外筒部13を回転させることで前記台枠20が回転し前記電気機器5が前記支柱部30を軸に旋回する伸縮支柱において、
前記支柱部30の収縮時に前記台枠20の方向を収納方向に回転させる自動回転機構60をさらに備え、
前記自動回転機構60は、前記支柱部30の下部に固定し下面62aが斜めに形成された自動回転ブラケット62と、前記固定部35の所定の位置に設置され前記自動回転ブラケット62の下面62aに当接して前記自動回転ブラケット62を収納方向に回転させるカムフォロア66と、前記カムフォロア66の下方に位置し前記自動回転ブラケット62を収納方向で維持するブラケットガイド68と、前記自動回転ブラケット62の周面の最短部分に位置し前記カムフォロア66を通過させて前記ブラケットガイド68が挿入する切欠部64と、を有し、
前記支柱部30の下降時に前記自動回転ブラケット62が前記カムフォロア66と当接して収納方向に回転し、前記切欠部64が前記カムフォロア66を通過して前記ブラケットガイド68が挿入することで前記台枠20が収納方向に回転して保持されることを特徴とする伸縮支柱100を提供することにより、上記課題を解決する。
(2)切欠部64を背面とした時に、自動回転ブラケット62の下面62aが側面視で略S字の曲線をなし、下面62aの先端63が正面視で鈍角をとることを特徴とする上記(1)記載の伸縮支柱100を提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る伸縮支柱は、収縮時に自動回転機構が支柱部を収容方向に自動的に回転させ、この方向を維持する。これにより、装置保持部(電気機器)が如何なる方向を向いていても、設置対象物への衝突前に収容方向に向けることができる。これにより、作業者は伸縮支柱の収縮時に電気機器の方向を確認する必要が無く、作業の迅速化と効率化とを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る伸縮支柱の収縮状態を示す正面図及び側面図である。
図2】本発明に係る伸縮支柱の収縮状態を示す斜視図である。
図3】本発明に係る伸縮支柱の伸長状態を示す正面図及び側面図である。
図4】本発明に係る伸縮支柱の支柱部の模式的な略断面図である。
図5】本発明に係る伸縮支柱の自動回転機構の部分拡大斜視図である。
図6】本発明に係る伸縮支柱の自動回転ブラケットの外形図である。
図7】本発明に係る伸縮支柱の自動回転機構の動作を説明する図である。
図8】本発明に係る伸縮支柱の自動回転機構の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る伸縮支柱100の実施の形態について図面に基づいて説明する。ここで、図1は本発明に係る伸縮支柱100の収縮状態を示す正面図及び側面図であり、図2は斜視図である。また、図3は伸縮支柱100の伸長状態を示す正面図及び側面図である。
【0009】
本発明に係る伸縮支柱100は、設置対象物1に固定して使用するものであり、電気機器5を保持する台枠20を備えた装置保持部40と、上端部にこの装置保持部40が設置された支柱部30と、この支柱部30を保持するとともに設置対象物1に固定した固定部35と、支柱部30を上下方向にスライド移動させる伸縮部32と、支柱部30の収縮時に台枠20の方向を収納方向に回転させる自動回転機構60と、を有している。また、固定部35は、支柱部30を回転及びスライド可能に保持するガイド筒34と、支柱部30の上下方向のスライド移動をロックする周知のスライドロック機構50と、を有している。尚、ここでの設置対象物1とは、消防車両、工事用車両等の緊急車両、特殊車両等を想定しているが、発電機やコンプレッサ等の設備、備品、その他、建築物等としても良い。また、ここでの電気機器5としては投光器、照明の他、スピーカ、集音マイク、ビデオカメラ、画像表示装置等、如何なるものとしても良い。
【0010】
次に、図4を用いて、支柱部30と装置保持部40の構成を説明する。ここで、図4は支柱部30の模式的な略断面図である。先ず、支柱部30は、外筒部13と、この外筒部13内に回転可能に挿入した内筒部12と、を有している。そして、この内筒部12内に伸縮部32が位置する。また、外筒部13の上端部分には装置保持部40の台枠20が固定し、下端部分には旋回ハンドル13aが固定する。また、外筒部13の下部の所定の位置には、自動回転機構60を構成する自動回転ブラケット62が固定する。そして、使用者が旋回ハンドル13aを回すことで外筒部13がガイド筒34に対して回転し、台枠20が水平方向(パン方向)に回転する。また、自動回転ブラケット62が後述のカムフォロア66と当接して回転することで外筒部13がガイド筒34に対して回転し、台枠20が水平方向(パン方向)に回転する。
【0011】
また、台枠20には貫通孔が形成され、この貫通孔を通して内筒部12の上端部分と装置保持部40の旋回アーム81とが接続する。また、内筒部12の下端部には俯仰ハンドル12aが固定する。そして、この俯仰ハンドル12aを回すことで内筒部12が外筒部13に対して回転し、この内筒部12の回転によって上端に接続した旋回アーム81が水平方向に回転する。
【0012】
また、台枠20は上方が開いた略コの字形状を呈し、この台枠20の左右のアームの先側には支軸23が設けられる。そして、この支軸23には、台枠20と同じく上方が開いた略コの字形状の装置保持枠24の左右アームの先側が回動可能に接続する。これにより、装置保持枠24は支軸23を軸に台枠20及び支柱部30に対して回動可能となる。そして、この装置保持枠24が電気機器5を保持する。尚、装置保持枠24には電気機器5を固定しても良いし、可搬式の電気機器5を着脱可能に保持しても良い。また、旋回アーム81の先側と装置保持枠24の底部とは自在継手を備えたリンク機構83によって繋がれ、旋回アーム81の水平方向の回転運動はリンク機構83によって支軸23を中心とした装置保持枠24の前後方向の回動運動(俯仰動作)に変換される。即ち、俯仰ハンドル12aによって旋回アーム81を図2の手前側に回転させるとリンク機構83が装置保持枠24の底部を手前側に引くように動作し、これにより装置保持枠24は支軸23を中心にして底部が手前側に回動する。これにより、電気機器5は仰角が増大して上方を向く。また、俯仰ハンドル12aにより旋回アーム81を図2の奥側に回転させるとリンク機構83は装置保持枠24の底部を奥側に押し込むように動作し、装置保持枠24は支軸23を中心にして底部が奥側に回動する。これにより、電気機器5は俯角が増大して下方を向く。
【0013】
次に、本発明に係る伸縮支柱100の伸縮部32に関して説明する。本発明に係る伸縮部32は、支柱部30を上下にスライド移動させるものであり、周知の伸縮機構を用いることができる。ここで、本発明に係る伸縮支柱100に好適な伸縮部32としては、コンプレッサ等の圧縮空気により伸縮するエアシリンダを用いることが好ましい。この場合、伸縮部32の下端は固定部35に固定されるとともに、伸縮部32のシリンダは支柱部30の内筒部12内に収容される。また、伸縮部32のロッド32aは内筒部12の例えば上部と固定する。そして、図示しないコンプレッサ等からの圧縮空気が伸縮部32内に送気されると、ロッド32aが突出して、内筒部12を外筒部13及び装置保持部40とともに上方に押し上げる。これにより、伸縮部32のシリンダは内筒部12の下方から露出するとともに支柱部30は上方にスライド移動して装置保持部40(電気機器5)が上昇する。そして、伸縮支柱100は図3に示す伸長状態となる。また、支柱部30が上昇した状態でスライドロック機構50をロック状態とすることで、伸縮支柱100は伸長状態で固定される。
【0014】
また、スライドロック機構50のロックを解除した上で、伸縮部32を収縮動作させるとロッド32aがシリンダ内に引き込まれ、内筒部12、外筒部13及び装置保持部40が下方にスライド移動する。これにより、伸縮支柱100は収縮し、装置保持部40(電気機器5)は下降する。
【0015】
尚、スライドロック機構50は例えばガイド筒34に設置され、ロック状態では外筒部13を固定して支柱部30の上下方向への移動を阻止する。また、スライドロック機構50はガイド筒34に対して回転可能に設置され、スライドロック機構50がロック状態であっても外筒部13のパン方向の回転、即ち装置保持部40(電気機器5)の旋回動作は支障無く行うことができる。
【0016】
次に、本発明の特徴部分である自動回転機構60に関して図5図8を用いて説明を行う。ここで、図5は本発明の自動回転機構60の部分拡大斜視図である。先ず、本発明に係る自動回転機構60は、支柱部30の下部に固定した自動回転ブラケット62と、固定部35の所定の位置に設置されたカムフォロア66と、このカムフォロア66の下方に位置し自動回転ブラケット62を収納方向で維持するブラケットガイド68と、を有している。また、カムフォロア66は、固定部35に対して法線方向、即ち、支柱部30の軸線に垂直な方向に設けられた回転軸と、この回転軸で軸支されたローラとを有している。尚、カムフォロア66の設置位置とブラケットガイド68の長さを設置対象物1の形状や高さに応じて最適化することで、自動回転機構60の動作位置、即ち装置保持部40の収容方向への回転位置を調整することができる。
【0017】
また、図6(a)~(f)は自動回転機構60を構成する自動回転ブラケット62の上面図、側面図、正面図、背面図、底面図、及び、斜視図である。ここで、本発明に係る自動回転ブラケット62は、下面62aが斜めに形成され、特に図6(b)に示されるように側面視で略S字の曲線をとるように形成することが好ましい。この場合、自動回転ブラケット62の下面62aの先端63は、図6(c)に示すように、正面視で鈍角をとることが好ましい。この構成では、仮にカムフォロア66が自動回転ブラケット62の正面に当接した場合でも、自動回転ブラケット62を左右のいずれかの方向に確実に回転させることができる。また、下面62aが斜めに形成されることで、自動回転ブラケット62の周面には最短部分と最長部分(先端63)とが形成される。そして、最短部分を背面、最長部分を正面としたときに、自動回転ブラケット62の背面、即ち、周面の最短部分に切欠部64が設けられる。この切欠部64の寸法は、自動回転ブラケット62を支柱部30に固定したときに、カムフォロア66及びブラケットガイド68が通る寸法に形成される。
【0018】
また、自動回転ブラケット62は切欠部64にブラケットガイド68が挿入した時に、装置保持部40(台枠20)が収納方向を向くように支柱部30(外筒部13)に固定される。尚、装置保持部40の収納方向は、通常、後述の図8(c)に示すように、装置保持部40(台枠20)の長辺方向が設置場所の壁面に平行な方向となる。尚、図8の上段は、自動回転ブラケット62を上方から見た略図であり、破線は装置保持部40を示している。
【0019】
そして、伸縮部32が収縮動作するとカムフォロア66が自動回転ブラケット62の下面62aに当接し、この状態で伸縮部32がさらに収縮動作すると、自動回転ブラケット62とカムフォロア66とは90°の軸線で互いに回転し、両者の接触位置が下面62aの斜面の上方の切欠部64の方向に移動する。ここで、カムフォロア66と切欠部64とが一致する位置は装置保持部40の収納方向であるから、両者の接触位置が切欠部64の方向に移動することで、支柱部30、装置保持部40、及び電気機器5は収納方向に向けて回転することとなる。そして、切欠部64がカムフォロア66の位置に到達すると、切欠部64はカムフォロア66を通過させ、続いて切欠部64にはブラケットガイド68が挿入する。そして、支柱部30は切欠部64にブラケットガイド68が挿入した状態で、ブラケットガイド68に沿ってスライド移動する。これにより、装置保持部40、及び電気機器5は収納方向で維持されたまま下降する。
【0020】
次に、本発明に係る伸縮支柱100の動作を説明する。先ず、伸縮支柱100の待機時には図1に示すように伸縮部32は収縮状態にあり、自動回転機構60は自動回転ブラケット62の切欠部64にブラケットガイド68が挿入して、装置保持部40(台枠20)は長辺方向が設置対象物1の壁面に平行な収納方向をとっている。
【0021】
次に、伸縮支柱100を伸長する際には、使用者がスライドロック機構50のロックを解除した上で、図示しない操作機器を介して伸縮支柱100に伸長指示を送る。これにより、例えば図示しないコンプレッサ等が動作して伸縮部32に圧縮空気が送気される。これにより、伸縮部32のロッド32aが押し出され、支柱部30がガイド筒34に沿って上方にスライド移動する。このとき、自動回転ブラケット62はブラケットガイド68に沿って上昇し、切欠部64がカムフォロア66を通過した時点で開放され、旋回ハンドル13aによる装置保持部40のパン方向への回転が可能となる。
【0022】
そして、伸縮部32が伸長し電気機器5が目的の高さに達すると、伸縮部32の伸長動作は自動もしくは手動で停止する。そして、使用者はスライドロック機構50をロック状態とする。これにより、支柱部30の上下方向へのスライド移動はロックされ、電気機器5はこの高さで固定される。尚、電気機器5に対する操作は図示しない操作機器により無線もしくは有線にて行われる。
【0023】
次に、使用者が旋回ハンドル13aを回すと外筒部13が回転し、これにより電気機器5は装置保持枠24及び台枠20とともにパン方向に回転する。また、使用者が俯仰ハンドル12aを回すと、装置保持部40の旋回アーム81が台枠20に対して回転し、旋回アーム81に接続したリンク機構83が装置保持枠24の底部を押し引きする。これにより装置保持枠24の底部が支軸23を中心に前後に回動し、これにより電気機器5の俯仰角が変化して電気機器5を目的の角度に向けることができる。
【0024】
次に、伸縮支柱100を収縮させる場合、使用者は先ずスライドロック機構50のロック状態を解除する。このとき、装置保持部40は任意の方向を向いた状態で良い。尚、ここでは、図7(a)、図8(a)に示すように、装置保持部40が収容方向から90°横を向いた例で説明を行う。次に、使用者はこの状態で図示しない操作機器を用いて伸縮支柱100に対する収縮指示を送る。これにより、例えば図示しないコンプレッサ等が動作して伸縮部32の収縮方向に圧縮空気を送気する。これにより、伸縮部32のロッド32aが引き込まれ、支柱部30がガイド筒34に沿って下方にスライド移動する。そして、図7(a)、図8(a)に示すように、自動回転ブラケット62の下面62aにカムフォロア66が当接する。
【0025】
この状態で、伸縮部32のロッド32aがさらに引き込まれ支柱部30が下方に移動すると、自動回転ブラケット62とカムフォロア66とは互いに90°の軸線で回転し、両者の接触位置が切欠部64の方向に移動する。これにより、支柱部30が回転し、図7(b)、図8(b)に示すように、支柱部30と固定した装置保持部40及び電気機器5が収容方向に向けて回転する。
【0026】
そして、切欠部64がカムフォロア66の位置に到達すると、図7(c)、図8(c)に示すように、装置保持部40は収容方向を向き、カムフォロア66は切欠部64内を通過する。そして、切欠部64には、そのままブラケットガイド68が挿入する。これにより、自動回転ブラケット62及び支柱部30は回転ができなくなり、装置保持部40は収容方向に維持されたまま下降する。そして、図7(d)に示すように、伸縮部32の収縮動作が完了すると、収縮指示は停止するとともにスライドロック機構50がロック状態にされ、伸縮支柱100は図1図2に示す収縮状態となる。
【0027】
以上のように、本発明に係る伸縮支柱100は、伸縮部32の収縮動作中に自動回転機構60の自動回転ブラケット62がカムフォロア66と当接して支柱部30を装置保持部40の収容方向に回転させる。そして、装置保持部40が収容方向を向いたときに自動回転ブラケット62の切欠部64にブラケットガイド68が挿入し、この方向を維持する。そして、カムフォロア66の位置とブラケットガイド68の長さを最適化することで、装置保持部40(電気機器5)が如何なる方向を向いていても、設置対象物1に衝突する前に装置保持部40(電気機器5)を収容方向に自動的に向けることができる。これにより、作業者は伸縮支柱の収縮時に電気機器5の方向を確認する必要が無く、作業の迅速化と効率化とを図ることができる。
【0028】
尚、本例で示した伸縮支柱100、支柱部30、伸縮部32、装置保持部40、スライドロック機構50、自動回転機構60、その他の各部の構成、形状、動作機構、寸法、デザイン等は一例であり、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 設置対象物
5 電気機器
13 外筒部
20 台枠
30 支柱部
32 伸縮部
35 固定部
40 装置保持部
60 自動回転機構
62 自動回転ブラケット
62a (自動回転ブラケットの)下面
63 (自動回転ブラケットの)先端
64 切欠部
66 カムフォロア
68 ブラケットガイド
100 伸縮支柱
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8