(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026926
(43)【公開日】2024-02-29
(54)【発明の名称】ガスバーナ装置
(51)【国際特許分類】
F23Q 3/00 20060101AFI20240221BHJP
F24C 3/12 20060101ALI20240221BHJP
F24C 3/04 20210101ALI20240221BHJP
【FI】
F23Q3/00 101A
F23Q3/00 605B
F24C3/12 Z
F24C3/04 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129472
(22)【出願日】2022-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】大谷 忠之
(57)【要約】
【課題】ガスバーナに点火するために火花放電を発生させるが、この火花放電を発生させるためには電力を必要とする。この電力は比較的多量の電力を消費するので、乾電池を電源とするものでは乾電池の消耗を早め、外部の商用電源から供給される電力を用いるものでは、電力消費量を抑制することが難しい。
【解決手段】ガスバーナで炎が生成されている状態で発電する補助発電手段を設け、この補助発電手段で発電される電力を上記点火器に供給される火花発生用の電力に補助的に付加する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス供給管を介して供給されるガスバーナの近傍に放電により点火する点火器を備え、ガスバーナから噴出するガスに上記点火器とガスバーナとの間に生成される火花によって点火し、この点火によって生じる炎によって調理器具を加熱して、調理器具内の被調理物を加熱調理するガスバーナ装置において、ガスバーナで炎が生成されている状態で発電する補助発電手段を設け、この補助発電手段で発電される電力を上記点火器に供給される火花発生用の電力に補助的に付加することを特徴とするガスバーナ装置。
【請求項2】
上記補助発電手段は上記ガスバーナの炎で加熱されることによりゼーベック効果により発電する熱電素子であることを特徴とする請求項1に記載のガスバーナ装置。
【請求項3】
上記ガスバーナは上記調理器具が載置される五徳を備えており、上記熱電素子をこの五徳に設け、熱電素子を構成する2種類の金属もしくは半導体の一方を調理器具の底面に接触する位置に設定したことを特徴とする請求項2に記載のガスバーナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火花放電による点火器を備えたガスバーナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスバーナに点火する方式として、ガスバーナから可燃ガスを噴出させた状態でガスバーナの炎孔付近で火花放電を発生させて、噴出している可燃ガスに着火するというものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-98551号公報(請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この火花放電を発生させるためには電力を必要とするが、この電力は比較的多量の電力を消費するので、乾電池を電源とするものでは乾電池の消耗を早め、外部の商用電源から供給される電力を用いるものでは、電力消費量を抑制することが難しい。
【0005】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、火花放電によって点火するタイプのガスバーナを備えたガス器具において、電力消費量を可及的に抑制することのできるガスバーナ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明によるガスバーナ装置は、ガス供給管を介して供給されるガスバーナの近傍に放電により点火する点火器を備え、ガスバーナから噴出するガスに上記点火器とガスバーナとの間に生成される火花によって点火し、この点火によって生じる炎によって調理器具を加熱して、調理器具内の被調理物を加熱調理するガスバーナ装置において、ガスバーナで炎が生成されている状態で発電する補助発電手段を設け、この補助発電手段で発電される電力を上記点火器に供給される火花発生用の電力に補助的に付加することを特徴とする。
【0007】
上記補助発電手段によって、ガスバーナで炎が生成されている間継続して発電される電力を、例えば次回の点火時に補助的に使用することによって、このような補助電力を使用しない場合と比較して乾電池などの電力の消費量を低減することができる。
【0008】
なお、上記補助発電手段は上記ガスバーナの炎で加熱されることによりゼーベック効果により発電する熱電素子を採用することができる。
【0009】
ただし、熱電素子の場合、2種の金属もしくは半導体の一方を常に冷却しなければ発電効率が低下する。そこで、上記ガスバーナは上記調理器具が載置される五徳を備えており、上記熱電素子をこの五徳に設け、熱電素子を構成する2種類の金属もしくは半導体の一方を調理器具の底面に接触する位置に設定することが望ましい。
【0010】
このように構成することにって、他方の金属もしくは半導体はガスバーナの炎によって高温に加熱されるが、この一方の金属もしくは半導体は、煮炊き調理の場合には100℃以下に保持される調理器具によって常に冷却されることになる。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から明らかなように、本発明は、ガスバーナへの着火の際に必要とされる火花放電量の電力として補助発電手段が発電する電力を補助的に使用するので、電源として要したものの消費電力を可及的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明が適用されるガスバーナ装置の一例であるガスコンロ装置を示す図
【
図3】補助発電手段による電力の供給状態を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0013】
1は本発明によるガスバーナ装置の一例であるガスコンロ装置である。このガスコンロ装置1には前面に開閉式のカバー11が設けられており、このカバー11を手前に開くと電源である電池が収納される電池ボックス(図示せず)が収納されている。また、上面には3機のガスバーナ2が設けられており、各ガスバーナ2には五徳21が配設されると共に、図示しないが、各々点火器(点火プラグ)が配設されている。この点火器はガスバーナ2に点火する際に用いられるものであり、点火器とガスバーナ2との間で火花放電を発生させてガスバーナ2から噴出している可燃性ガスに着火させるものである。
【0014】
図2を参照して、本実施の形態では、補助発電手段として熱電素子3を五徳21に設けた例を説明する。熱電素子3は2種類の電極素材(金属もしくは半導体からなる)31,32を接合し、両電極素材31,32に温度差を生じさせると、両電極素材31,32の間に熱起電力が生じるというものである。この熱起電力の大きさは上記温度差が大きいほど大きくなる。そのため、一方の電極素材31を冷却し、他方の電極素材32を加熱する必要がある。他方の電極素材32はガスバーナ2から生じる炎Fによって加熱される、一方の電極素材31は五徳21の上面に露出するように設けることにより、調理器具Nに接触するようにした。煮炊き調理の場合には調理器具Nの内部には水分が蓄えられており、従って、調理器具Nの表面温度はほぼ100℃以下に保持されることになる。このため、他方の電極素材が高温に加熱されても、他方の電極素材31は常に調理器具Nによって冷却されるので、熱起電力が減少することがない。
【0015】
図3を参照して、乾電池式の電源5から制御装置51に電源が供給されるように構成し、図外の点火ボタンによる点火操作がされると、この制御装置51から電力が点火器52に供給され、ガスバーナ2に対して火花放電が発生してガスバーナ2に点火される。
【0016】
ガスバーナ2が点火されている間は継続して熱電素子3で熱起電力が発電される。その発電された熱起電力は蓄電部41に蓄電され、次回点火操作がされた際に昇圧回路42を介して上記制御装置51に供給され、電源5から点火用として供給される電力に対して補助的に追加される。従って、電源5からの電力供給量が抑制され、電源5の寿命が延びることになる。なお、本実施の形態では乾電池式の電源5を用いた例について説明したが、外部の商用電源からの電力を元に直流電力を生成する電源を用いてもよい。
【0017】
また、上記実施の形態では熱電素子3を補助発電手段として用いたが、
図4に示すように、ガス供給管12に開設された発電装置6を補助発電手段として用いてもよい。この発電装置6は内部にガス流によって回転する風車61を備えており、この風車61によって図外の発電機を稼働させることによって発電する。
【0018】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0019】
1 ガスコンロ装置
2 ガスバーナ
3 熱電素子
5 電源
6 発電装置
21 五徳
31 電極素材
32 電極素材
41 蓄電部
42 昇圧回路
51 制御装置
52 点火器