(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002695
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】搬送整列システム
(51)【国際特許分類】
B65G 47/14 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
B65G47/14 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102050
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(72)【発明者】
【氏名】八嶋 浩之
【テーマコード(参考)】
3F080
【Fターム(参考)】
3F080AA05
3F080BA04
3F080BC02
3F080CE03
3F080CE08
3F080CF05
3F080DB06
(57)【要約】
【課題】システムを提供すること。
【解決手段】多数の搬送物を整列状態で搬出する搬送整列システム100であって、搬送物を受け取る移載コンベア120と、移載コンベア120から搬送物を自由落下させる傾斜面131を有したエプロン部130と、エプロン部130の下部に設けられエプロン部130の傾斜面131による搬送物の自由落下方向と直交する方向に搬送物を排出する整列排出コンベア140とエプロン下端部に設けられたストッパ133とを備えること。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の搬送物を整列状態で搬出する搬出機構部を有する搬送整列システムであって、
前記搬出機構部は、搬送物を受け取る移載コンベアと、前記移載コンベアから搬送物を自由落下させる傾斜面を有したエプロン部と、前記エプロン部の下部に設けられ前記エプロン部の傾斜面による搬送物の自由落下方向と直交する方向に搬送物を排出する整列排出コンベアと、前記エプロン下端部に設けられたストッパとを備えることを特徴とする搬送整列システム。
【請求項2】
前記整列排出コンベアは、前記エプロン部の傾斜面と同一傾斜角の面を構成して移動する整列排出ベルトを有し、
前記整列排出ベルトは、負圧により搬送物を吸引可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送整列システム。
【請求項3】
前記整列排出ベルトは、搬送物を搬送方向に1列に吸引可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載の搬送整列システム。
【請求項4】
前記エプロン部は、前記傾斜面の側方かつ前記整列排出ベルトの上方に隣接して前記整列排出ベルトに吸引されていない搬送物を受け入れ可能な整列補助部を有することを特徴とする請求項2に記載の搬送整列システム。
【請求項5】
前記搬送整列システムは、多数の搬送物を収容可能なホッパーと、前記ホッパーから搬送物を取り出し前記搬出機構部に搬送する搬送コンベアとをさらに有し、
前記搬送コンベアは、幅方向に搬送物を複数支持可能な支持桟を備えた搬送面を有することを特徴とする請求項1に記載の搬送整列システム。
【請求項6】
前記搬送物は、天面壁と、前記天面壁周縁から垂下するスカート壁を有するキャップであることを特徴とする請求項1に記載の搬送整列システム。
【請求項7】
前記整列排出コンベアは、前記ストッパに接した状態における前記キャップの天面壁の径方向中心と対向する位置に吸引孔を備えた整列排出ベルトを有することを特徴とする請求項6に記載の搬送整列システム。
【請求項8】
前記エプロン部の傾斜面は、傾斜角度を調整可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送整列システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、容器の口部を閉鎖する多数のキャップのような多数の搬送物を整列状態で搬出する搬出機構部を有する搬送整列システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボトル型容器に飲料等の内容物を充填して包装する充填ラインを備えた工場では、容器の口部を封鎖するため、充填されて搬送されてくる容器の数に合わせてキャップを順次整列させて供給することが行われている。
このような充填ラインにおいて、キャップは、多数のキャップを一旦ホッパーに供給し、ホッパーからキャップを取り出すとともに、整列させた状態で供給される。
最近では充填ラインの高速化が進み、1分間に600個以上(600bpm以上)のボトルに内容物を充填・キャップ締めすることができるラインが増えており、ホッパーから高速にキャップを取り出して整列させるシステムが要求されている。
【0003】
このような搬送整列システムとして、例えば、
図7に示すように、ホッパー501に収容された多数のキャップCを、幅方向に支持桟512を備えた搬送面511を有する搬送コンベア510を用いて列単位で上方に搬送し、上方でブロー機構550を用いて側方に排出することで、1列に整列させる搬送整列システム500が知られている。
この搬送システムにおいて、キャップCは天面側に重心があり支持桟512の高さをキャップCの高さより低くすることで、搬送面511の支持桟512によってホッパー501から上方に1列ずつ取り出される際に、天面が搬送面511面側に向いたキャップCのみが支持桟512に支持されて上方に搬送され、開放側が搬送面511面側に向いたキャップCは重心が支持桟512の外側に位置することで脱落してホッパー501に戻る。
【0004】
キャップCは、搬出機構部502まで搬送されると、ブロー機構550による空気流によって整列通路560に向かって圧送される。
この時、搬送面511が連続的に駆動されているため、整列通路560から遠い位置のキャップCはより上方から整列通路560に入ることになるため、整列通路560は支持桟512の間隔の複数分の上下方向幅を有しており、排出通路570で一列に整列されるよう、整列通路560は排出通路570側に向かって上下方向幅が小さくなるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような搬送整列システムでは、開放側が搬送面511面側に向いたキャップCが脱落することで、
図7に示すように、各支持桟512で搬送される個数、幅方向のキャップCの間隔がランダムとなる。
したがって、ブロー機構550による空気流を側方からのみとすると、整列通路560から遠いキャップCのみが力を受け、隣接するキャップCの衝突や擦れよりキャップCに傷がついたり、細かな材料くずが発生する虞があった。
【0007】
また、キャップCが上下異なる高さから整列通路560に入ることで重なって排出通路570に向かうことも頻発するため、
図7に示すように、重なったキャップC同士の衝突や擦れが発生する虞があり、さらに、整列通路560の途中でキャップCが詰まってしまう虞もあった。
また、支持桟512上のキャップCを全て整列通路560に送ることができず、キャップCが搬送コンベア510の裏側に回ってしまう虞もあった。
このため詰まりや裏回りを監視し、人手によって詰まりを解消したり、充填ライン全体のシステムを停止させたりする必要があった。
【0008】
充填ライン全体の処理が高速化した場合、隣接するキャップCの衝突や擦れがさらに増加する虞があり、排出残りの可能性も増加することから、これらを抑制するために搬送面511の背面からも支持桟512上のキャップC全体に空気流を供給するものも公知(特許文献1参照。)である。
しかしながら、重なったキャップC同士の衝突や擦れ、整列通路560の途中でキャップCの詰まりについては、その抑制効果は低かった。
そして、キャップC同士の衝突や擦れは、微細なダストの発生につながり、高速化するほどその虞が高まることとなる。
【0009】
そこで、本発明は、キャップCの衝突や擦れを低減するとともに、搬送経路での詰まりを低減し、システムを停止させたり人手を介入することを軽減し、ダストの発生を抑制して高速化を可能とする搬送整列システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、多数の搬送物を整列状態で搬出する搬出機構部を有する搬送整列システムであって、前記搬出機構部は、前記搬送物を受け取る移載コンベアと、前記移載コンベアから搬送物を自由落下させる傾斜面を有したエプロン部と、前記エプロン部の下部に設けられ前記エプロン部の傾斜面による搬送物の自由落下方向と直交する方向に搬送物を排出する整列排出コンベアと、前記エプロン下端部に設けられたストッパとを備えることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明の搬送整列システムによれば、搬送物を受け取る移載コンベアと、前記移載コンベアから搬送物を自由落下させる傾斜面を有したエプロン部と、前記エプロン部の下部に設けられ前記エプロン部の傾斜面による搬送物の自由落下方向と直交する方向に搬送物を排出する整列排出コンベアと、前記エプロン下端部に設けられたストッパとを備えることにより、エプロン部の下部で複数の搬送物の位置を1列に揃えた状態で整列排出コンベアによって直交する方向に排出することが可能となる。
このことで、隣接する搬送物の衝突や擦れ、重なった搬送物の衝突や擦れが低減されるとともに、搬送経路での詰まりが低減され、システムを停止させたり人手を介入することを軽減し、ダストの発生を抑制し高速化が可能となる。
【0012】
請求項2に記載の構成によれば、整列排出コンベアは、エプロン部の傾斜面と同一傾斜角の面を構成して移動する整列排出ベルトを有し、整列排出ベルトは、負圧により搬送物を吸引可能に構成されていることにより、自由落下時の搬送物の跳ね返りによる軸方向の重なりを抑制するとともに隣接する搬送物の衝突や擦れがさらに低減される。
請求項3に記載の構成によれば、整列排出ベルトは、搬送物を搬送方向の1列に吸引可能に構成されていることにより、万一搬送物が重なった場合でも、吸引されている列の空いた空間に移動可能となり、重なった搬送物の衝突や擦れがさらに低減される。
請求項4に記載の構成によれば、エプロン部は、傾斜面の側方かつ整列排出ベルトの上方に隣接して整列排出ベルトに吸引されていない搬送物を受け入れ可能な整列補助部を有することにより、万一搬送物が重なった場合でも、次に整列排出ベルトに到達する搬送物と干渉することなく吸引されている列の空いた空間に移動可能となり、重なった搬送物の衝突や擦れがさらに低減される。
請求項5に記載の構成によれば、従来と同様のホッパー、搬送コンベアを用いて搬送物を整列状態で搬出することができる。
請求項6、7に記載の構成によれば、キャップを整列状態で搬出することができる。
請求項8に記載の構成によれば、搬送物の種類や搬送速度に応じて、隣接する搬送物の衝突や擦れの低減、重なった搬送物の衝突や擦れが低減、搬送経路での詰まりの低減を最適な状態に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の1実施形態である搬送整列システムの正面図。
【
図2】本発明の1実施形態である搬送整列システムの側面図。
【
図5】本発明の1実施形態である搬送整列システムの搬出機構部の参考写真。
【
図6】従来の搬送整列システムの正面図及び側面図。
【
図7】従来の搬送整列システムの搬出機構部の概略説明図。
【発明を実施するための形態】
【実施例0014】
本発明の一実施形態に係る搬送整列システム100は、
図1乃至
図5に示すように、多数のキャップCを収容可能でキャップの表裏を選別可能なホッパー101からキャップCを取り出し上方に搬送する搬送コンベア110と、搬送コンベア110からキャップCを整列状態で排出通路170に搬出する搬出機構部102とを有している。
搬送コンベア110は、幅方向にキャップCを複数支持可能な支持桟112を備えた搬送面111を有している。
なお、本実施形態のキャップCは、天面壁と天面壁周縁から垂下する円筒状のスカート壁を有している。
【0015】
搬出機構部102は、搬送コンベア110の上方において搬送面111と共通する移動方向でキャップCを受け取る移載コンベア120と、移載コンベア120からキャップCを自由落下させる傾斜面131を有したエプロン部130と、エプロン部130の下部に設けられエプロン部130の傾斜面131によるキャップCの自由落下方向と直交する方向にキャップCを排出する整列排出コンベア140とを備えており、傾斜面131の下端にはキャップの落下を阻止するストッパ133を備えている。
【0016】
搬送コンベア110の搬送面111は、
図4に示すように、搬出機構部102では、支持桟112が確実にキャップCを支持する角度から支持面が最終的に下方を向く軌道で掛け回されている。
移載コンベア120の移載ベルト121は、搬出機構部102において搬送コンベア110の搬送面111にキャップCの高さ分離れた位置に対向して配置され、この区間で、キャップCは円滑に移載コンベア120の移載ベルト121に乗り移る。
なお、移載ベルト121と搬送面111の離間位置は、キャップCを押圧しない程度にキャップCの高さに加えいわゆる遊びがあってもよい。
移載コンベア120の移載ベルト121は、キャップCをエプロン部130の傾斜面131に放出するように掛け回されている。
【0017】
整列排出コンベア140は、エプロン部130の傾斜面131と同一傾斜角の面を構成して移動する整列排出ベルト141を有し、整列排出ベルト141は吸引孔142が設けられ負圧によりキャップCを1列に吸引可能に構成されている。
整列排出ベルト141の下方側には、エプロン部130の傾斜面131を落下してきたキャップCを受け止めるストッパ133が設けられている。
エプロン部130は、傾斜面131の側方かつ整列排出ベルト141の上方に隣接して整列排出ベルト141に吸引されていないキャップCを受け入れ可能な整列補助部132を有している。
【0018】
以上のように構成された搬送整列システム100の動作について説明する。
多数のキャップCがホッパー101内に投入された状態で、搬送コンベア110が駆動されると、キャップCが搬送面111の支持桟112によって1列ずつ上方に搬送される。
この時、キャップCは天面側に重心があり支持桟112の高さをキャップCの高さより低くすることで、搬送面111の支持桟112によってホッパー101から上方に1列ずつ取り出される際に、天面が搬送面111面側に向いたキャップCのみが支持桟112に支持されて上方に搬送され、開放側が搬送面111面側に向いたキャップCは重心が支持桟112の外側に位置することで脱落してホッパー101に戻る。
本実施形態では、搬送面111は、高速でも安定的にキャップCを上方に搬送できるよう、最も立っている面で水平に対し85°としている。
【0019】
搬送コンベア110の搬送面111は、
図3、
図4に示すとおり搬出機構部102において下方を向くように掛け回されV1方向に駆動されている。
移載コンベア120の移載ベルト121は、搬送コンベア110の搬送面111からキャップCの高さだけ離れた位置に対向して掛け回され、搬送コンベア110と同一速度でV2方向に駆動されている。
このことで、キャップCは移載コンベア120の移載ベルト121に支持桟112の間隔ごとの列状態で載置される。
移載コンベア120の移載ベルト121は、キャップCをエプロン部130の傾斜面131に放出するように掛け回されており、キャップCは列状態で同時にエプロン部130の傾斜面131に沿って下方のV3方向に自然落下する。
【0020】
エプロン部130の傾斜面131の下方では、整列排出コンベア140の整列排出ベルト141が傾斜面131と同一傾斜角の面を構成して自由落下方向と直交するV4方向に駆動されており、整列排出ベルト141の下方側には、エプロン部130の傾斜面131を落下してきたキャップCを受け止めるストッパ133が設けられていることから、ストッパ133に達したキャップCは、整列排出ベルト141の吸引孔142に吸引されて、即座に排出通路170に向けて整列した状態で排出される。
また、整列排出ベルト141の吸引孔142は、ストッパ133に接した状態におけるキャップCの天面の径方向中心を吸引する高さに設定されていることが好ましい。
整列排出コンベア140の整列排出ベルト141の駆動速度は、キャップが上下に重なることがないよう、次の列のキャップCが整列排出ベルト141に到達する間に前の列のキャップCが全て傾斜面131の下方から排出通路170側に移動するように設定される。
【0021】
キャップCがストッパ133まで列ごとに同時に到達させるため、エプロン部130の傾斜面131の傾斜角度は水平に対し30°以上の角度を有するのが望ましい。
30°未満であるとキャップCの個体ごとの傾斜面131との摩擦の差によって滑落状態の差が顕著に生じ、1列で整列した状態で整列排出ベルト141へ到達しない虞がある。
また、ある程度の落下速度を維持しつつ、整列排出ベルト141に吸引されずバウンドすることを抑制するために、エプロン部130の傾斜面131の傾斜角度は水平に対し45°から65°の角度がさらに好適であり、本実施例では60°を採用している。
また、キャップCが万一バウンドし、隣接する吸引されたキャップCの上方に乗って移動した場合でも、傾斜面131の側方の整列補助部132において排出通路170側への移動が阻止されて後続する直近の隙間で整列排出ベルト141の吸引部分に落下し、次の列のキャップCと干渉することを防止できる。
【0022】
本実施形態においては、1分間に1200個の整列が可能であった。
本実施形態では、
図4に示すように、エプロン部130の傾斜面131と整列排出コンベア140が一体となって傾斜角度を調整可能に構成されているが、所定角度に固定されていてもよい。
本実施形態では、搬送コンベア110は幅方向両側のチェーンの間に搬送面111及び支持桟112を有してチェーンが掛け回されるいわゆるチェーンコンベアで構成されているが、ベルトコンベアの表面を搬送面として支持桟112を固定したものであってもよい。
また、搬送コンベア110の搬送面111と移載コンベア120の移載ベルト121とを同一速度で移動させるために、本実施形態では、
図3、4に示すよう、搬送コンベア110と移載コンベア120が伝動機構を介して同一駆動源で駆動されているが、それぞれ異なる駆動源としてそれぞれ速度制御を行ってもよい。