(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026957
(43)【公開日】2024-02-29
(54)【発明の名称】ブランディングシート
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20240221BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129550
(22)【出願日】2022-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】522325986
【氏名又は名称】株式会社SKY PHILOSOPHY
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(72)【発明者】
【氏名】松下 一功
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】企業のブランディングのための方法と当該方法に用いるブランディングシートを提供する。
【解決手段】企業のブランディングを行うための方法であって、少なくとも当該企業の価値を洗い出すプロセス(A)、当該企業の事業マインドを確立するプロセス(B)、当該企業の経営理念を明確にするプロセス(C)、当該企業のファンを創造するプロセス(D)、当該企業の組織力を強化し顧客を開拓するプロセス(E)を含むブランディング方法に用いるブランディングシートセットであって、少なくともプロセス(A)において用いる、当該企業に関連する事項をヒアリングし全部書き形式で記録するシート、当該企業の歴史と社会の歴史の相関を記録するシート、当該企業の属する業界に関する事項をリサーチし記録するシート、業界における当該企業のポジションニングを確認するためのシートを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
企業のブランディングを行うための方法であって、少なくとも当該企業の価値を洗い出すプロセス(A)、当該企業の事業マインドを確立するプロセス(B)、当該企業の経営理念を明確にするプロセス(C)、当該企業のファンを創造するプロセス(D)、当該企業の組織力を強化し顧客を開拓するプロセス(E)を含むブランディング方法に用いるブランディングシートセットであって、
(a)当該企業の価値を洗い出すプロセス(A)において用いる、当該企業に関連する事項をヒアリングし全部書き形式で記録するシート、当該企業の歴史と社会の歴史の相関を記録するシート、当該企業の属する業界に関する事項をリサーチし記録するシート、業界における当該企業のポジションニングを確認するためのシート、
(b)当該企業の事業マインドを確立し、コアバリューを言語化するプロセス(B)において用いる、当該企業の経営者のヒストリーとコアバリューの関係を確認するシート、コアバリューとの関係において、当該企業の経営者が有する価値の転換を確認するためのシート、これら確認された事項にもとづいてコアメッセージを記録するためのシート、
(c)当該企業の経営理念を明確にするプロセス(C)において用いる、当該企業の経営理念を言語化するシート、当該企業の行動規範及び行動指針を言語化するシート、当該企業のビジョン、ミッション、直近の行動計画、コアバリュー、及びヒストリーの関係を可視化するためのシート、当該企業のブランドとしてのスローガン、及びブランドタグラインを言語化するためのシート、
(d)当該企業のファンを創造するプロセス(D)において用いる、当該企業のブランドストーリーを作成のためのストーリーチャートを記載するシート、
(e)当該企業の顧客の開拓を行うプロセス(E)において用いる、当該プロセスにおいて使用する全ツールを体系的に可視化するためのシート、
を含むことを特徴とするブランディングシートセット。
【請求項2】
組織力を強化し顧客を開拓するプロセス(E)において使用されるツールに、クレドカード作成シート、スピーチシナリオ作成シート、ブランドブック編集プラン作成シート、ブランディングサイトのサイトマップ作成シートが含まれることを特徴とする請求項1に記載のブランディングシートセット。
【請求項3】
各シートが配色されて構成されており、当該配色により関連事項の把握を行うことが可能である結果、プロセス(A)―(C)の作業結果が、ファンを創造するプロセス(D)及び組織力を強化し顧客を開拓するプロセス(E)における作業に反映可能に構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のブランディングシートセット。
【請求項4】
企業の経営者が有する価値の転換を確認するためのシートが、当該シート上に構成される価値の転換を表す一つの価値転換軸、及び当該価値転換軸に間隔をあけて配置される経営者を記載する領域からなり、当該価値転換軸上に、前記経営者領域から投影された経営者の当初の価値を表す領域、前記経営者の領域から投影された経営者の本来の価値を表す領域、及び経営者のコアバリューが配置されていることにより、経営者の転換価値の視覚化を行うことが可能に構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のブランディングシート。
【請求項5】
企業のビジョン、ミッション、直近の行動計画、コアバリュー、及びヒストリーの関係を可視化するためのシート上に、少なくとも当該企業の価値を洗い出すプロセス(A)、及び当該企業の事業マインドを確立するプロセス(B)において言語化された、当該企業のヒストリー、コアバリュー、直近の行動計画、ミッション、ビジョンの連続が再配置されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のブランディングシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、企業のブランディング・ブランド構築の支援を行うためのブランディングシートに関する。
【背景技術】
【0002】
企業にとってブランドは財産であり、その価値を高める企業活動は極めて重要である。そこで近年においてはそのようなブランド価値を高める活動、いわゆるブランディングに多くの企業が力を注いでおり、そのようなブランディング活動を行う企業を支援する会社・コンサルタント(以下、それぞれブランディング会社、ブランディングコンサルタントと称する)も多数存在する。それにともない、現在では数多くのブランディング手法が開発されている。
【0003】
しかしながら、そのようなブランディング会社・ブランディングコンサルタントが提供するサービス(支援)の品質は安定しないという事実も存在する。例えば、ブランディング活動を行うためのいわば基礎となるヒアリング部分ひとつをとってみても十分なヒアリングすら行えないため、結果、企業にとって満足の行く支援活動を提供できないブランディング会社・ブランディングコンサルタントも多数存在している。
【0004】
他方で、企業によっては、特に中小企業や小規模企業などにおいては、ブランディング活動に対する理解度が依然として高くないという問題も存在する。例えばキャッチコピーやシンボルマークはブランディング活動を進めていく上で重要な要素であるが、それらを制作するには、その企業の歴史、活動、経営者の思いといった多くの要素をきちんと整理し、当該企業のビジョン、ミッションといった要素を明確にしていく必要があるが、このような活動に対する企業経営者の理解度は高くない。
【0005】
結果、現在は、そのような情報収集の部分やビジョン・ミッションの策定といった部分を無視して、キャッチコピーやシンボルマークのみの制作を依頼する企業と、これを請け負う広告代理店が多数存在し、そのようにして制作されたキャッチコピー、シンボルマークが企業のブランド価値を高めるのに十分な品質を有しているか、疑問視されるものとなっている。
【0006】
また、ブランディング活動自体、そのプロセスは複雑であり、ヒアリング・リサーチ等で得られた情報を、どのようなアウトプット・クリエイティブにどのように反映していくか適切に判断するには相当の熟練とスキルを要する。そのため、ブランディングを進めるにあたって活用できるツールの開発が求められているが、ブランディングツールと呼べるクオリティを有するものは存在していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明の課題は、上述したような問題点を解決する企業のブランディングのための方法と当該方法に用いるブランディングシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、企業のブランディングを行うための方法であって、少なくとも当該企業の価値を洗い出すプロセス(A)、当該企業の事業マインドを確立するプロセス(B)、当該企業の経営理念を明確にするプロセス(C)、当該企業のファンを創造するプロセス(D)、当該企業の組織力を強化し顧客を開拓するプロセス(E)を含むブランディング方法に用いるブランディングシートセットであって、
(a)当該企業の価値を洗い出すプロセス(A)において用いる、当該企業に関連する事項をヒアリングし全部書き形式で記録するシート、当該企業の歴史と社会の歴史の相関を記録するシート、当該企業の属する業界に関する事項をリサーチし記録するシート、業界における当該企業のポジションニングを確認するためのシート、
(b)当該企業の事業マインドを確立し、コアバリューを言語化するプロセス(B)において用いる、当該企業の経営者のヒストリーとコアバリューの関係を確認するシート、コアバリューとの関係において、当該企業の経営者が有する価値の転換を確認するためのシート、これら確認された事項にもとづいてコアメッセージを記録するためのシート、
(c)当該企業の経営理念を明確にするプロセス(C)において用いる、当該企業の経営理念を言語化するシート、当該企業の行動規範及び行動指針を言語化するシート、当該企業のビジョン、ミッション、直近の行動計画、コアバリュー、及びヒストリーの関係を可視化するためのシート、当該企業のブランドとしてのスローガン、及びブランドタグラインを言語化するためのシート、
(d)当該企業のファンを創造するプロセス(D)において用いる、当該企業のブランドストーリーを作成のためのストーリーチャートを記載するシート、
(e)当該企業の組織力を強化し顧客の開拓を行うプロセス(E)において用いる、当該プロセスにおいて使用する全ツールを体系的に可視化するためのシート、
を含むことを特徴とするブランディングシートセットにより解決される。
【0010】
好ましくは、組織力を強化し顧客を開拓するプロセス(E)において使用されるツールに、クレドカード作成シート、スピーチシナリオ作成シート、ブランドブック編集プラン作成シート、ブランディングサイトのサイトマップ作成シートが含まれることが可能である。
【0011】
別の実施形においては、各シートが配色されて構成されており、当該配色により関連事項の把握を行うことが可能である結果、プロセス(A)―(C)の作業結果が、ファンを創造するプロセス(D)及び組織力を強化し顧客を開拓するプロセス(E)における作業に反映可能に構成されていることも可能である。
【0012】
更に別の実施形では、企業の経営者が有する価値の転換を確認するためのシートが、当該シート上に構成される価値の転換を表す一つの価値転換軸、及び当該価値転換軸に間隔をあけて配置される経営者を記載する領域からなり、当該価値転換軸上に、前記経営者領域から投影された経営者の当初の価値を表す領域、前記経営者の領域から投影された経営者の本来の価値を表す領域、及び経営者のコアバリューが配置されていることにより、経営者の転換価値の視覚化を行うことが可能に構成されていることも考えられる。
【0013】
他の実施形では、企業のビジョン、ミッション、直近の行動計画、コアバリュー、及びヒストリーの関係を可視化するためのシート上に、少なくとも当該企業の価値を洗い出すプロセス(A)、及び当該企業の事業マインドを確立するプロセス(B)において言語化された、当該企業のヒストリー、コアバリュー、直近の行動計画、ミッション、ビジョンの連続が再配置されることが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明にかかるブランディング方法に用いる全体像把握のための第1のシート
【
図2】本発明における価値の棚卸しプロセスで用いるシートの図
【
図3】本発明における価値の棚卸しプロセスで用いるシートの図
【
図4】本発明における価値の棚卸しプロセスで用いるシートの図
【
図5】本発明における価値の棚卸しプロセスで用いるシートの図
【
図6】本発明における価値の棚卸しプロセスで用いるシートの図
【
図7】本発明における事業マインド確立プロセスで用いるシートの図
【
図8】本発明における事業マインド確立プロセスで用いるシートの図
【
図9】本発明における事業マインド確立プロセスで用いるシートの図
【
図10】本発明における事業マインド確立プロセスで用いるシートの図
【
図11】本発明における理念経営化プロセスで用いるシートの図
【
図12】本発明における理念経営化プロセスで用いるシートの図
【
図13】本発明における理念経営化プロセスで用いるシートの図
【
図14】本発明における理念経営化プロセスで用いるシートの図
【
図15】本発明における理念経営化プロセスで用いるシートの図
【
図16】本発明におけるファン創造プロセスで用いるシートの図
【
図17】本発明におけるファン創造プロセスで用いるシートの図
【
図18】本発明におけるファン創造・組織力強化・顧客開拓プロセスで用いるシートの図
【
図19】本発明におけるファン創造・組織力強化・顧客開拓プロセスで用いるシートの図
【
図20】本発明におけるファン創造・組織力強化・顧客開拓プロセスで用いるシートの図
【
図21】本発明におけるファン創造・組織力強化・顧客開拓プロセスで用いるシートの図
【
図22】本発明におけるファン創造・組織力強化・顧客開拓プロセスで用いるシートの図
【
図23】本発明におけるファン創造・組織力強化・顧客開拓プロセスで用いるシートの図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明にかかるブランディング方法の全体像を表すシートの図である。
図1に表されたこのシートの特に左側に表されるように本発明にかかるブランディング方法は、第一フェーズ及び第二フェーズの2つのフェーズからなっている。
【0016】
図1に見て取れるように、これらフェーズは更に、棚卸し、集約、理念確立、言語化・視覚化、共感活動の5つのプロセスに細分される。このうち、棚卸し、集約、理念確立のプロセスは第1のフェーズに、そして言語化・視覚化、共感活動のプロセスは第2のフェーズに属している。
【0017】
このシートにおいて、各プロセスはそれらを表現する文字列に対して異なる配色を付与されている。例えば、棚卸しのプロセスは黒色で、集約のプロセスは赤色で、理念確立のプロセスは緑色で、言語化・視覚化のプロセスは黄色で、そして共感活動のプロセスは青色で表現されていることが可能である。
【0018】
図1のシートの右側には、5つのプロセスの更に具体的な詳細、つまり価値の棚卸しのプロセス、事業マインド確立のプロセス、理念経営化のプロセス、ファン創造のプロセス、そして組織力強化・顧客開拓のプロセスが表されている。これら具体的な各プロセスは、上述した配色と同様の配色で表されている。
【0019】
各プロセスに属するより具体的なアクションは、
図1のシートの各詳細プロセスに続いて表されている。つまり、価値の棚卸しのプロセスには、ヒストリー棚卸し、フィロソフィー棚卸し、モデル検証、ポジショニングが、事業マインド確立のプロセスには、棚卸し、コアバリューの定義、コアバリューの象徴化、理念哲学の確立が、理念経営化のプロセスには、経営理念・行動指針と規範、ビジョン・ミッション、スローガン・アクション、人事評価システム、理念浸透研修、コーチング型チーム研修が、ファン創造のプロセスには、ブランドストーリー、ブランドプロミス、ブランドタグライン、ネーミング、ビジュアライズ&体系化、コミュニティー化が、そして組織力強化・顧客開拓のプロセスには、ブランディングサイト、社内報、ブランドブック・会社案内、ステーショナリー、イベント、ブログ・ソーシャルメディア、動画・コンテンツマーケが具体的なアクションとして属している。
【0020】
さらに
図1のシートの中央には、これら2つのフェーズと5つのプロセスに対応するイメージが図形で表されている。図形は全体として2つの三角形をその頂点部分が重なり合うよう組み合わせた形状となっている。
【0021】
上側に配置された三角形は逆さに配置され、いわゆる逆三角形状である。一方、下側に配置される三角形は順方向に配置されている。2つの三角形の頂点の重なり合いの部分には、一つの円が内接している。そして当該円を取り囲むように楕円形が配置されている。楕円形は、下側に配置された三角形内に内接する別の円へと続いており、そして当該円は、下側に配置される別の部分円へと続いている。上側の三角形、2つの三角形の重なり部分に配置される円、下側の三角形内に配置される円、下側の三角形内に配置される部分円の中には、それぞれ「価値の棚卸し」、「価値の集約」、「理念強化」、「メッセージ&ビジュアライズ」、「プロモーション」と各プロセスに対応する文言が記載されている。各図形は、それぞれ、各プロセスに割り当てられた配色と同様の配色を施されている。これにより、棚卸し(価値の棚卸し)から集約(事業マインド確立)に向かうイメージ、集約からの理念経営化に向かうイメージ、そこからファン創造及び組織力強化・顧客開拓に向かうイメージが可視化されている。
【0022】
図1のシートには更に、上から下に向かう2つの矢印が記載されている。これら矢印は、それぞれインナーブランディング、及びアウターブランディングに対応しており、各プロセスが、インナー及び/又はアウターどちらのブランディングに寄与するものか可視化されている。
【0023】
図2には、本発明にかかるブランディング方法に用いるブランディングシートの第2のシートが表されている。このシートは、本発明にかかるブランディング方法における第1のプロセス、つまり「価値の棚卸し」のプロセスにおいて用いるためのものである。シート上には列に並ぶ5つの領域が設けられている。当該シートは、これら領域にブランディングの初期段階に行うヒアリングによって収集される情報を記載することができるよう構成されている。その際、情報の記載は議事録的にポイントを記載するのでなく、いわゆる全部書きの形式で記載される。
【0024】
図3には、本発明にかかるブランディング方法に用いるブランディングシートの第3のシートが表されている。このシートは、本発明にかかるブランディング方法における第1のプロセス、つまり「価値の棚卸し」のプロセスにおいて用いるためのものである。このシートは、経営者または事業と時代背景との間の相関、いわゆる歴史相関を把握するために用いられる。シート上には、左から順に年号(西暦)、年号(和暦)、経営者又は事業における出来事・エピソード、日本社会における出来事・エピソード、その他の事項を記載する列が設けられている。それら列の右側には、更に、経営者又は事業の価値を見つめる上でポイントとなる事項・エピソードを記載する列が設けられている。
【0025】
図4には、本発明にかかるブランディング方法に用いるブランディングシートの第4のシートが表されている。このシートもまた、本発明にかかるブランディング方法における第1のプロセス、つまり「価値の棚卸し」のプロセスにおいて用いるためのものである。このシートは、本発明にかかるブランディング方法によりブランディングをおこなうべき企業の属する業界、ビジネス領域における周辺情報をリサーチし、記載しておくために用いられる。シートには、周辺情報を記載する領域、当該周辺情報の参考となる情報を開示するウェブサイトのURLを記載する領域、そして、当該周辺情報のタイトル(見出し)を記載する領域が設けられている。
【0026】
図5には、本発明にかかるブランディング方法に用いるブランディングシートの第5のシートが表されている。このシートもまた、本発明にかかるブランディング方法における第1のプロセス、つまり「価値の棚卸し」のプロセスにおいて用いるためのものである。このシートは、企業又はその経営者の価値において、ピックアプすべき事項の記載と、そのソートのために用いられる。
【0027】
図6には、本発明にかかるブランディング方法に用いるブランディングシートの第6のシートが表されている。このシートもまた、本発明にかかるブランディング方法における第1のプロセス、つまり「価値の棚卸し」のプロセスにおいて用いるためのものである。このシートは、企業又はその経営者のいわゆるポジショニングの確認のために用いられる。シート上には縦軸及び横軸が設けられており、これら縦軸、及び横軸によってシート上の領域は4つの象限にわけられ表されている。これら縦軸及び横軸は企業が属する業界の状況、企業又は経営者の特徴に応じて多様に変化する。このようなポジショニングの確認は、当該企業が有する特色がどのような基準において価値を有するものであるかを明確とするためのものである。
【0028】
図7には、本発明にかかるブランディング方法に用いるブランディングシートの第7のシートが表されている。このシートは、本発明にかかるブランディング方法における第2のプロセス、つまり「事業マインド確立」のプロセスにおいて用いるためのものである。このシートには、いわゆるヒストリーマトリックスと呼ばれる事項を記載する。シートの中央には、第1のシートと類似する2つの三角形の組み合わせ(逆三角系と順三角形の組み合わせ)が表されており、その中央には5つの矢印が記載されている。これら5つの矢印に対応するように「原点」、「転機」、「信念(根本価値)→コアバリュー」、「使命→ミッションビジネス」、「未来→ビジョン」の文言が記載されているのが見て取れる。これら矢印と文言は、異なる配色で記載されていることが可能である。この例では、「原点」の文言と対応する矢印にはマゼンタ、「転機」の文言と対応する矢印に黒、「信念(根本価値)→コアバリュー」の文言と対応する矢印に赤、「使命→ミッションビジネス」の文言と対応する矢印に緑、「未来→ビジョン」の文言と対応する矢印に青の配色が与えられている。このシートよって、本発明にかかるブランディング方法によってブランディングを行う企業のヒストリーが可視化される。
【0029】
図8には、本発明にかかるブランディング方法に用いるブランディングシートの第8のシートが表されている。このシートは、本発明にかかるブランディング方法における第2のプロセス、つまり「事業マインド確立」のプロセスにおいて用いられるものである。シートの中央には一つの円が描かれ、その中に「CORE」の文言が記載されている。これは、本発明におけるブランディング方法によってブランディングを行う企業、または当該企業経営者のいわば核(Core)となる価値部分を表している。当該円を通過して、一本の矢印が、シート左上から右下に向かって描かれている。この矢印は、本発明によりブランディングを行う企業の経営者の価値が転換していく方向、つまり転換軸を表している。矢印から少し距離をおいた上方(右上方向)には、楕円で囲まれた一つの領域が存在している。ここには本発明かかるブランディング方法によるブランディングを行う企業の経営者の情報が記載される。当該領域から出発して水平方向左側には、別の楕円で囲まれた領域が表されている。この領域は、上述した転換軸上に位置している。この領域は、前記経営者が当初行っていた事業・ビジネスと、その事業を行っていた当時の価値に相当する。この領域から出発し、上述した転換軸を右下に向かって進んでいくと、まず「Core」と記載された円に、そしてさらに右下に進んでいくと、楕円で囲まれた更に別の領域が存在しているのが見て取れる。この領域は、前記経営者が現在行っている事業・ビジネスと、その事業を行っている現在の価値に相当している。この領域から転換軸をさらに右下に進んでいくと、さらに別の楕円で囲まれた領域が存在するのが見て取れる。この領域は、前記経営者の転換された価値、つまり将来的な価値、又はライフワークともいえる価値に相当している。
【0030】
図9には、本発明にかかるブランディング方法に用いるブランディングシートの第9のシートが表されている。このシートは、本発明にかかるブランディング方法における第2のプロセス、つまり「事業マインド確立」のプロセスにおいて用いられるものである。このシートは、経営者の信念、又はコアメッセージを確立し、そして記載するのに用いる。
【0031】
図10には、本発明にかかるブランディング方法に用いるブランディングシートの第10のシートが表されている。このシートは、本発明にかかるブランディング方法における第2のプロセス・「事業マインド確立」のプロセス、及び/又は第3のプロセス・「理念経営化」のプロセスにおいて用いられるものである。このシートにおいてもまた、シート中央に円が、そしてその内部には「CORE」の文言が記載されている。
図10を見ると、この円を中央として第10のシートは上半分と下半分に分割されているのがわかる。第10のシートの下半分には、これまでの行動/ヒストリーを記載する領域が見て取れる。この領域に対応するように、第10のシートの下半分右側には、転機を記載する領域、そして原点を記載する領域が設けられている。
【0032】
第10のシートの中央には、円の中に記載された「CORE」の文言の左に、企業のコアバリュー、つまり当該企業の信念(根本価値)を記載する領域が設けられている。
【0033】
第10のシートの上半分は、下から順番に、「Action 直近の行動計画」、「Mission ビジョン達成のための果たすべき使命」、「Vision 目標の姿」を記載する領域が設けられている。
図10に表された第10のシートの左側をみてわかる通り、第10のシートは、下から順番に過去、現在、直近(の未来)が表され、最上部には未来が表されるよう構成されている。そして、直近(の未来)と未来の間には、それらを繋ぐプロセスが表される構成となっている。
【0034】
図11には、本発明にかかるブランディング方法に用いるブランディングシートの第11のシートが表されている。このシートは、本発明にかかるブランディング方法における第3のプロセス・「理念経営化」のプロセスにおいて用いられるものである。シートには、打ち立てた経営理念を記載するスペース、そして経営理念を理解し、その構築を助ける記載が表されるスペースが設けられている。
【0035】
図12には、本発明にかかるブランディング方法に用いるブランディングシートの第12のシートが表されている。このシートは、本発明にかかるブランディング方法における第3のプロセス・「理念経営化」のプロセスにおいて用いられるものである。上述した第11のシートが、経営理念を記載するために用いられるのに対して、当該シート(第12のシート)は、行動規範及び行動指針を記載するために用いられる。つまり当該第12のシートは、上下に2分割されており、上部分に行動規範、下部分に行動指針を記載できるよう構成されている。第12のシートの下部分はさらに5つの領域に分割されている。これら領域は、共感活動力を有するセールス担当、企画提案力を有するプランナー、マネジメント力を有するマネージャー、メッセージ性を有するエバンジェリスト、カリスマ性を有するビジョナリストのそれぞれの行動指針を記載する領域である。
【0036】
図13には、本発明にかかるブランディング方法に用いるブランディングシートの第13のシートが表されている。このシートは、本発明にかかるブランディング方法における第3のプロセス・「理念経営化」のプロセスにおいて用いられるものである。このシートは、いわゆる9s分析とアクションプランプログラミングを行うために用いることができるよう構成されている。9s分析とアクションプランプログラミングの詳細はここでは省略する。このような分析及びアクションプログラミングの各過程が可視化して表されているのが見て取れる。
【0037】
図14及び
図15には、本発明にかかるブランディング方法に用いるブランディングシートの第14及び第15のシートが表されている。このシートは、本発明にかかるブランディング方法における第3のプロセス・「理念経営化」のプロセスにおいて用いられるものである。第14のシートを使いスローガンが、そして第15のシートを使いブランドタグラインが作成・開発されることができるよう、これらシートは構成されている。
【0038】
図16には、本発明にかかるブランディング方法に用いるブランディングシートの第16のシートが表されている。このシートは本発明にかかるブランディング方法における第4のプロセス・「ファン創造」のプロセスにおいて用いられるものであり、「ストーリーチャート」と呼ばれる。ブランディングを行う企業のブランドストーリーの設計・作成に用いられる。シートの中央には4つに分割された領域が表されており、これら4つの領域のうち3つの領域が、さらに3つの部分領域へと分割されているのが見て取れる。これら領域に、それまでに収集・分析した情報(原点、転機、信念、使命、目標の姿、タグライン)にもとづいてブランドストーリーを記載していく。各領域が分割されているので、いわゆる起承転結のストーリー作成が容易になるよう本シートは構成されている。
【0039】
図17には、本発明にかかるブランディング方法に用いるブランディングシートの第17のシートが表されている。このシートは本発明にかかるブランディング方法における第4のプロセス・「ファン創造」のプロセスにおいて用いられる。第2のプロセスで確立した企業理念に対する共感をどのように集め、それをどのように浸透させていくかの施策が当該シートには可視化されている。
【0040】
図18には、本発明にかかるブランディング方法に用いるブランディングシートの第18のシートが表されている。このシートは本発明にかかるブランディング方法における第4のプロセス・「ファン創造」のプロセス、及び第5のプロセス・「顧客開拓」のプロセスにおいて用いられる。シート上には、本発明にかかるブランディング方法により実現されるべき成果物が一覧的にまとめられているのが見て取れる。
【0041】
図19には、本発明にかかるブランディング方法に用いるブランディングシートの第19のシートが表されている。このシートは本発明にかかるブランディング方法における第4のプロセス・「ファン創造」のプロセス、及び第5のプロセス・「顧客開拓」のプロセスにおいて用いられる。このシート上には、いわゆるクレドカードが表されている。つまり第19のシートは、これまでのプロセスにおいて収集・分析された情報等に基づいてまとめあげられたクレドが記載されることが可能であるよう構成されている。
【0042】
図20には、本発明にかかるブランディング方法に用いるブランディングシートの第20のシートが表されている。このシートは本発明にかかるブランディング方法における第4のプロセス・「ファン創造」のプロセス、及び第5のプロセス・「顧客開拓」のプロセスにおいて用いられる。このシートは、スピーチを行う際のシナリオを記載することが可能であるよう構成されている。
【0043】
図21には、本発明にかかるブランディング方法に用いるブランディングシートの第21のシートが表されている。このシートは本発明にかかるブランディング方法における第4のプロセス・「ファン創造」のプロセス、及び第5のプロセス・「顧客開拓」のプロセスにおいて用いられる。このシートは、ブランドブック(年史)の編集プランが記載可能となるよう構成されている。
【0044】
図22、
図23には、本発明にかかるブランディング方法に用いるブランディングシートの第22のシート、第23のシートが表されている。これらシートは本発明にかかるブランディング方法における第4のプロセス・「ファン創造」のプロセス、及び第5のプロセス・「顧客開拓」のプロセスにおいて用いられる。第22のシートは、いわゆるサイトマップ、つまりウェブサイトの構成を表すことが可能であるよう構成されており、そして第23のシートは、サイト内エピソードが記載可能であるよう構成されている。