(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026960
(43)【公開日】2024-02-29
(54)【発明の名称】無人搬送車
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20240221BHJP
【FI】
B65G1/00 501C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129553
(22)【出願日】2022-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】小田原 智己
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022FF01
3F022JJ09
3F022LL07
3F022MM66
3F022NN08
3F022PP03
3F022QQ00
(57)【要約】
【課題】物品の重心位置をより簡単な構成により正確に推定する。
【解決手段】無人搬送車5は、本体51と、載置部56と、リフタ54a~54dと、旋回機構55と、第1測定部と、第2測定部と、コントローラ57と、を備える。載置部56は、物品Aを載置する。リフタ54a~54dは、載置部56を本体51に対して昇降させる。旋回機構55は、載置部56を本体51に対して相対的に旋回させる。第1測定部は、第1位置P1において物品Aが加える荷重を測定する。第2測定部は、第2位置P2において物品Aが加える荷重を測定する。コントローラ57は、無人搬送車5を制御するとともに、物品Aを載せた状態の載置部56の本体51に対する複数の旋回角度における、第1位置P1における荷重と第2位置P2における荷重と、に基づいて、物品Aの水平面内の重心位置を推定する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する無人搬送車であって、
本体と、
前記本体の上部に設けられ、前記物品を載置する載置部と、
前記載置部を前記本体に対して昇降させるリフタと、
前記載置部を前記本体に対して相対的に旋回させる旋回機構と、
前記本体の中心から離れた第1位置において、前記載置部に載置された物品が加える荷重を測定する第1測定部と、
前記本体の中心に対して前記第1位置とは反対側の第2位置において、前記載置部に載置された物品が加える荷重を測定する第2測定部と、
前記無人搬送車を制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、物品を載せた状態の前記載置部の前記本体に対する複数の旋回角度における、前記第1測定部により測定された前記第1位置における荷重と、前記第2測定部により測定された前記第2位置における荷重と、に基づいて、前記物品の水平面内における重心位置を推定する、
無人搬送車。
【請求項2】
前記コントローラは、前記載置部に物品を載せた状態で、
前記本体に対する前記載置部の旋回角度が第1角度であるときの前記第1位置における第1荷重を前記第1測定部により測定し、前記第2位置における第2荷重を前記第2測定部により測定し、
前記載置部を所定の角度だけ旋回させて前記本体に対する前記載置部の旋回角度を第2角度とし、
前記本体に対する前記載置部の旋回角度が前記第2角度であるときの前記第1位置における第3荷重を前記第1測定部により測定し、前記第2位置における第4荷重を前記第2測定部により測定し、
前記第1荷重と、前記第2荷重と、前記第3荷重と、前記第4荷重に基づいて、前記物品の水平面内における重心位置を推定する、
請求項1に記載の無人搬送車。
【請求項3】
前記所定の角度は90度であり、
前記コントローラは、
前記第1荷重と前記第2荷重とに基づいて、前記水平面内において前記旋回角度が前記第1角度であるときに前記第1位置と前記第2位置とを含む第1軸における前記物品の重心位置を算出し、
前記第3荷重と前記第4荷重とに基づいて、前記水平面内において前記第1軸と直交し前記旋回角度が前記第2角度であるときに前記第1位置と前記第2位置とを含む第2軸における前記物品の重心位置を算出し、
前記第1軸における前記物品の重心位置と、前記第2軸における前記物品の重心位置とに基づいて、前記物品の水平面内における重心位置を推定する、
請求項2に記載の無人搬送車。
【請求項4】
前記旋回機構は、前記載置部の向きを変えることなく、前記本体を前記載置部に対して旋回させることで、前記無人搬送車の走行方向を90度単位で変更可能であり、
前記コントローラは、前記無人搬送車の走行方向の変更前後において、前記第1測定部と前記第2測定部により測定された荷重の変化に基づいて、前記物品の水平面内における重心位置を推定する、
請求項1に記載の無人搬送車。
【請求項5】
前記コントローラは、前記物品の水平面内における重心位置に基づいて、前記本体に対する前記物品の向きを決定する、請求項1に記載の無人搬送車。
【請求項6】
前記コントローラは、前記本体に対する前記物品の向きに応じて、前記載置部に載置した物品の旋回の有無を決定する、請求項5に記載の無人搬送車。
【請求項7】
前記物品は、自動倉庫へ入庫される物品であり、
前記コントローラは、前記物品の水平面内における重心位置に基づいて、前記物品を前記自動倉庫へ入庫する向きを決定する、請求項1に記載の無人搬送車。
【請求項8】
前記コントローラは、前記物品の水平面内における重心位置の前記本体の中心からのずれに応じて、前記無人搬送車の走行上限速度を決定する、請求項1に記載の無人搬送車。
【請求項9】
前記コントローラは、前記物品の水平面内における重心位置の前記本体の中心からのずれ量が所定の値以上である場合、前記載置部に載置した物品を、搬送しない物品を払い出すためのリジェクトラインへ搬送する、請求項1に記載の無人搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送する無人搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リフタを設けた無人搬送車が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この無人搬送車は、例えば、複数の自動倉庫間で入出庫するための物品を搬送するために用いられる。無人搬送車で搬送する物品は、リフタに設けられた載置部に載置される。載置台における物品の載置位置、及び/又は、物品自体の重心位置により、載置部における物品の重心位置が、無人搬送車の中心位置から所定の方向にずれる(偏荷重)ことがある。偏荷重は、無人搬送車の走行に影響を与える。
【0003】
従って、載置部に載置された物品の重心位置を推定することは、無人搬送車の走行を制御する上で重要である。載置部に物品を載置したときの重心位置を推定する方法としては、載置台の複数の位置における荷重を測定する複数のセンサで各位置の荷重を測定し、各センサで測定された荷重に基づいて重心位置を算出する方法がある(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/008999号
【特許文献2】特開2019-131374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の重心位置の推定方法において正確に重心位置を推定するためには、載置部の4つの位置における荷重を測定する必要がある。すなわち、無人搬送車に荷重を測定するためのセンサを4つ設ける必要がある。多くのセンサを設けることは、無人搬送車の構成を複雑にする。
【0006】
本発明の目的は、物品を載置する載置部をリフタに設けた無人搬送車において、載置部に載置された物品の重心位置を、より簡単な構成により正確に推定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一見地に係る無人搬送車は、物品を搬送する。無人搬送車は、本体と、載置部と、リフタと、旋回機構と、第1測定部と、第2測定部と、コントローラと、を備える。
載置部は、本体の上部に設けられ、物品を載置する。
リフタは、載置部を本体に対して昇降させる。
旋回機構は、載置部を本体に対して相対的に旋回させる。
第1測定部は、本体の中心から離れた第1位置において、載置部に載置された物品が加える荷重を測定する。
第2測定部は、本体の中心に対して第1位置とは反対側の第2位置において、載置部に載置された物品が加える荷重を測定する。
コントローラは、無人搬送車を制御する。
【0008】
この無人搬送車において、コントローラは、載置部に物品を載せた状態の前記載置部の本体に対する複数の旋回角度における、第1測定部により測定された第1位置における荷重と、第2測定部により測定された第2位置における荷重と、に基づいて、物品の水平面内における重心位置を推定する。
【0009】
この無人搬送車では、物品を載せた状態の載置部の本体に対する複数の旋回角度における、本体の中心から離れた第1位置における荷重と、本体の中心に対して前記第1位置とは反対側の第2位置における荷重と、に基づいて、載置部に載置された物品の水平面内における重心位置を推定している。すなわち、第1位置における荷重を測定する第1測定部と、第2位置における荷重を測定する第2測定部との2つの測定部を設けるだけで、載置部に載置された物品の重心位置を推定できる。無人搬送車に設ける測定部の個数を減少させることで無人搬送車の構成をより簡単なものにできるので、この無人搬送車は、より簡単な構成により、載置部に載置された物品の重心位置を正確に推定できる。
【0010】
コントローラは、以下の方法で、載置部に載置された物品の水平面内における重心位置を推定してもよい。
◎載置部に物品を載せた状態で、本体に対する載置部の旋回角度が第1角度であるときの第1位置における第1荷重を第1測定部により測定し、第2位置における第2荷重を第2測定部により測定する。
◎載置部を所定の角度だけ旋回させて本体に対する載置部の旋回角度を第2角度とする。
◎本体に対する載置部の旋回角度が第2角度であるときの第1位置における第3荷重を第1測定部により測定し、第2位置における第4荷重を第2測定部により測定する。
◎第1荷重と、第2荷重と、第3荷重と、第4荷重に基づいて、物品の水平面内における重心位置を推定する。
【0011】
この無人搬送車では、載置部に載置された物品の水平面内における重心位置をより具体的に推定できる。
【0012】
上記の所定の角度は90度であってもよい。この場合、コントローラは、以下の方法で、載置部に載置された物品の水平面内における重心位置を推定してもよい。
◎第1荷重と第2荷重とに基づいて、水平面内の第1軸における物品の重心位置を算出する。第1軸は、水平面内において、旋回角度が第1角度であるときに第1位置と第2位置とを含む。
◎第3荷重と第4荷重とに基づいて、水平面内において第1軸と直交する第2軸における物品の重心位置を算出する。第2軸は、旋回角度が第2角度であるときに第1位置と第2位置とを含む。
◎第1軸における物品の重心位置と、第2軸における物品の重心位置とに基づいて、物品の水平面内における重心位置を推定する。
【0013】
この無人搬送車では、第1軸と第2軸とにより形成される座標系における座標値として、載置部に載置された物品の水平面内における重心位置をより具体的に推定できる。
【0014】
旋回機構は、載置部の向きを変えることなく、本体を載置部に対して旋回させることで、無人搬送車の走行方向を90度単位で変更可能であってもよい。この場合、コントローラは、無人搬送車の走行方向の変更前後において、第1測定部と第2測定部により測定された荷重の変化に基づいて、物品の水平面内における重心位置を推定してもよい。
【0015】
この無人搬送車では、無人搬送車が走行時に走行方向を変化するときに、載置部に載置された物品の重心位置を推定できる。その結果、重心位置の算出のために走行を停止する必要がなくなる。
【0016】
コントローラは、物品の水平面内における重心位置に基づいて、本体に対する物品の向きを決定してもよい。この無人搬送車では、推定された重心位置に基づいて本体に対する物品の向きを決定するので、安定した走行を実現できる。
【0017】
コントローラは、本体に対する物品の向きに応じて、載置部に載置した物品の旋回の有無を決定してもよい。この無人搬送車では、物品の向きに応じて、載置部に載置した物品の旋回の有無を決定するので、例えば、無人搬送車の走行中に、無人搬送車の走行が安定する方向に物品を向けるといった制御を実現できる。
【0018】
物品は、自動倉庫へ入庫される物品であってもよい。この場合、コントローラは、物品の水平面内における重心位置に基づいて、物品を自動倉庫へ入庫する向きを決定してもよい。この無人搬送車では、自動倉庫に備わる他の搬送装置に物品を移載し、他の搬送装置により当該物品を搬送する際に、物品が荷崩れすることを防止できる。
【0019】
コントローラは、物品の水平面内における重心位置の本体の中心からのずれに応じて、無人搬送車の走行上限速度を決定してもよい。この無人搬送車では、無人搬送車で物品を搬送中に物品の荷崩れが発生し、及び/又は、無人搬送車の走行に悪影響が発生することを防止できる。
【0020】
コントローラは、物品の水平面内における重心位置の本体の中心からのずれ量が所定の値以上である場合、載置部に載置した物品を、搬送しない物品を払い出すためのリジェクトラインへ搬送してもよい。この無人搬送車では、物品の重心位置の偏りが過大である物品の搬送を中止できる。その結果、重心位置が偏りすぎている物品の搬送によるトラブルの発生を防止できる。
【発明の効果】
【0021】
無人搬送車に2つの測定部を設けるとの簡単な構成により、無人搬送車の載置部に載置された物品の重心位置を正確に推定できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】自動倉庫システムの配置構成を示す概略平面図。
【
図3】自動倉庫システムの入庫ポートを示す正面図。
【
図4】自動倉庫システムの入庫ポートを示す他の正面図。
【
図10】無人搬送車による物品の入庫動作を示すフローチャート。
【
図11】物品の重心位置の推定動作を示すフローチャート。
【
図13】本体に対する載置部の旋回角度が0度であるときの物品の状態の一例を示す図。
【
図14】本体に対する載置部の旋回角度が90度であるときの物品の状態の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
1.第1実施形態
(1)自動倉庫システム
図1~
図4を用いて、無人搬送車5を備える自動倉庫システム1を説明する。
図1は、自動倉庫システム1の配置構成を示す概略平面図である。
図2は、自動倉庫システム1の概略正面図である。
図3は、自動倉庫システム1の入庫ポート13を示す正面図である。
図4は、自動倉庫システム1の入庫ポート13を示す他の正面図である。
【0024】
自動倉庫システム1は、複数の自動倉庫3と、無人搬送車5とを有している。各自動倉庫3は、一対のラック7(第1ラック7A及び第2ラック7B)と、1台のスタッカクレーン9を有している。自動倉庫3は、無人搬送車5によって搬送されてきた物品Aをスタッカクレーン9によって自動的に保管すると共に、保管している物品Aをスタッカクレーン9によって自動的に搬出する。
【0025】
各自動倉庫3において、第1ラック7Aと第2ラック7Bは、その長手方向とは垂直な方向に間隔をあけて対向するように配置されている。ラック7は、物品Aが載置される棚7aを、ラック7の長手方向及び上下方向に複数有している。これにより、ラック7は、物品Aを長手方向及び上下方向にマトリクス状に保管する。
【0026】
自動倉庫システム1において、隣接する一対の自動倉庫3のうち一方の自動倉庫3に備わる第1ラック7Aと、他方の自動倉庫3に備わる第2ラック7Bとは、背面合わせで近接している。自動倉庫3を上記のように配置することで、複数の自動倉庫3が、ラック7の長手方向とは垂直な水平方向に沿って並置される。
【0027】
スタッカクレーン9は、自動倉庫3において、一対のラック7の間のクレーン通路11に、ラック7の長手方向に沿って延設された走行レール12を走行する。スタッカクレーン9は、図示しないが、走行レール12に沿って走行可能な走行台車と、この走行台車上のマストに沿って昇降自在で且つ移載装置が設けられた昇降台と、を含む。
【0028】
スタッカクレーン9は、ラック7の棚7aと後述の入庫ポート13及び出庫ポート15との間で物品Aを搬送する。スタッカクレーン9の移載装置は、ラック7の棚7a、入庫ポート13及び出庫ポート15との間で、物品Aの移載(荷積み及び荷下ろし)を行う。スタッカクレーン9の移載装置は公知の技術である。
【0029】
無人搬送車5は、無人走行する搬送用台車である。無人搬送車5は、予め定められたルート21に沿って走行する。無人搬送車5は、入庫ポート13及び出庫ポート15との間で物品Aを移載可能である。無人搬送車5としては、例えば、AGV(Automatic Guided Vehicle)が用いられている。無人搬送車5は、ルート21に誘導されて走行する本体51と、本体51上に設けられた載置部56に載置した物品Aを昇降させるリフタ54a、54b、54c、54dと、を有する。
【0030】
無人搬送車5が走行するルート21は、第1ルート21Aと、第2ルート21Bと、接続ルート21Cと、周回ルート21Dと、を含んでいる。第1ルート21Aと、第2ルート21Bと、接続ルート21Cとからなる各組は、異なる自動倉庫3に所属しかつ背面あわせで隣接して配置された第2ラック7Bと第1ラック7A内にそれぞれ設けられている。
【0031】
第1ルート21Aは、第2ラック7Bの下部を貫通している。第2ラック7Bの下部は、
図2に示すように、第2ラック7Bの下から1段目の棚7a及びさらにその下方の空間に対応しており、第2ラック7Bにおける床Fから所定長上方にわたる空間部分である。この空間部分は、ラック7の長手方向に沿って貫通するように延びており、ラチス等の構造部材が設けられていない。
【0032】
第1ルート21Aは、無人搬送車5が一方向のみに走行する一方通行のルートである。複数の自動倉庫3のそれぞれの第1ルート21Aにおける一方通行の方向は、互いに同じ方向である。本実施形態では、第1水平方向において、第2ラック7Bの下部における一端から中央の位置に、第1ルート21Aが設けられている。
【0033】
第1ルート21Aにおいて、無人搬送車5は、第1ラック7Aに移動して第1ラック7Aとの間で物品Aを移載可能である。第1ラック7Aにおける第1ルート21Aから無人搬送車5との間で物品Aを移載する下部には、入庫ポート13及び出庫ポート15が設けられている。
【0034】
入庫ポート13は、第1ラック7Aの一番下の棚7aに対応する高さにおいて、第1水平方向に隣接して複数(例えば、3つ)並設されている。入庫ポート13では、無人搬送車5により自動倉庫3へ物品Aの入庫が行われる。
図3及び
図4に示すように、入庫ポート13には、物品Aを載置する載置台31が設けられている。載置台31は、当該載置台31の下部に無人搬送車5を潜り込み可能とする潜込用間隙31aを有する。載置台31は、ラック7の長手方向に隣接する一対の支柱33にそれぞれ設けられた物品支承部材35によって構成される。一対の支柱33は、無人搬送車5の横幅よりも広い間隔で設けられている。一対の物品支承部材35の間隔は、載置部56の幅よりも大きい。一対の物品支承部材35の間隔は、物品Aの幅よりも小さい。潜込用間隙31aは、物品支承部材35と床Fとの間の空間によって構成される。
【0035】
出庫ポート15は、第1ラック7Aの一番下の棚7aに対応する高さにおいて、ラック7の長手方向に隣接して複数(例えば、3つ)並設されている。複数の出庫ポート15からなる一群は、複数の入庫ポート13からなる一群とラック7の長手方向に隣接している。なお、出庫ポート15の構成は、上記の入庫ポート13の構成と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0036】
第1ラック7Aの下部と第2ラック7Bの下部との間には、無人搬送車5が移動可能な空間である移載用間隙が設けられている。移載用間隙は、ラック7の長手方向とは垂直な水平方向に沿って貫通するように延びる。移載用間隙では、ラチス及び背面ブレス等の構造部材が設けられていない。
【0037】
第2ルート21Bは、第1ラック7Aの下部をラック7の長手方向に貫通している。ラック7の長手方向において、第1ラック7Aの下部における他端から中央の位置に、第2ルート21Bが設けられている。第2ルート21Bは第1ルートと21Aと同様であるので説明を省略する。
【0038】
接続ルート21Cは、第1ルート21Aと第2ルート21Bとを接続する。具体的には、接続ルート21Cは、第1ラック7A及び第2ラック7Bの途中(例えば、中央)に設けられている。接続ルート21Cは、無人搬送車5が一方向のみに走行する一方通行のルートである。接続ルート21C上には、無人搬送車5が通過するための接続用間隙が形成されている。
【0039】
周回ルート21Dは、ラック7の外において第1ルート21A及び第2ルート21Bに接続される。周回ルート21Dは、無人搬送車5が一方向に走行する一方通行のルートである。周回ルート21Dは、ラック7の外において複数の第1ルート21Aの上流側に接続されている。また、周回ルート21Dは、ラック7の外において複数の第2ルート21Bの下流側に接続されている。周回ルート21Dは、第2ルート21Bの下流側から第1ルート21Aの上流側へ連続するように延在している。
【0040】
上記のような構成を有する自動倉庫3への物品Aの入庫は、以下のようにして行われる。まず、
図3に示すように、リフタ54a~54dにより上昇された状態の載置部56に物品Aを載せて搬送している無人搬送車5が、第1ルート21Aから進入して入庫ポート13まで移動する。無人搬送車5は、本体が潜込用間隙31aに完全に潜り込む位置に至るまで進行して停止した後、
図4に示すように、リフタ54a~54dを下降させることで、無人搬送車5の載置部56から入庫ポート13の載置台31上へ物品Aを移載する。これにより、物品Aの入庫が完了する。その後、無人搬送車5は、例えば載置部56を下降させた状態のまま第1ルート21Aに戻り、第1ルート21Aに沿って移動する。
【0041】
一方、自動倉庫3からの物品Aの出庫は、出庫する対象の物品Aを出庫ポート15に搬送し、出庫ポート15に搬送した物品Aを無人搬送車5へと移載することで行われる。なお、出庫ポート15の物品Aを無人搬送車5へ移載する動作は、上記にて説明した入庫ポート13における入庫動作の逆の動作によって行われるので、説明を省略する。
【0042】
図1に示すように、自動倉庫システム1は、リジェクトライン10をさらに備える。リジェクトライン10は、自動倉庫システム1において、例えば、周回ルート21Dの近傍に配置される。
図1に示す例では、周回ルート21Dの自動倉庫3に向かう経路と、周回ルート21Dの自動倉庫3から出る経路と、の2箇所にリジェクトライン10が設けられる。リジェクトライン10は、無人搬送車5により搬送できない物品Aを払い出すためのポートと、当該ポートに払い出された物品Aを所定の場所に搬送する搬送装置(例えば、ベルトコンベア)と、を有する。
【0043】
周回ルート21Dの自動倉庫3に向かう経路に設けられたリジェクトライン10は、入庫予定であった物品Aを払い出すためのものである。一方、周回ルート21Dの自動倉庫3から出る経路に設けられたリジェクトライン10は、出庫予定であった物品Aを払い出すためのものである。
【0044】
(2)無人搬送車
図5~
図7を用いて、無人搬送車5の具体的構成を説明する。
図5は、無人搬送車5の外観図である。
図6は、無人搬送車5の模式的斜視図である。
図7は、無人搬送車5のリフタを示す模式的斜視図である。
【0045】
無人搬送車5は、物品Aを搬送するための装置である。無人搬送車5は、物品Aを移載位置まで搬送し昇降できる。さらに、無人搬送車5は、物品Aを鉛直方向軸回りに回転できる。無人搬送車5は、本体51と、駆動車輪52a、52bと、補助車輪53a、53b、53c、53dと、リフタ54a、54b、54c、54dと、旋回機構55と、載置部56と、コントローラ57と、を備えている。また、後述するように、無人搬送車5は、物品Aが加える荷重を測定する第1測定部と第2測定部として機能する昇降モータ59a、59bを備える。
【0046】
本体51は、無人搬送車5の筐体を構成する。駆動車輪52a、52bは、それぞれ、車体フレーム58の走行方向中央部において、車体フレーム58の幅方向の両端部に配置されている。駆動車輪52a、52bは、それぞれ、独立した走行モータ52c、52d(
図9)により駆動される。
【0047】
補助車輪53a、53b、53c、53dは、車体フレーム58の走行方向の端部かつ下部に配置されている。具体的には、補助車輪53aが車体フレーム58の前端部右側に設けられ、補助車輪53bが車体フレーム58の後端部右側に設けられ、補助車輪53cが車体フレーム58の前端部左側に設けられ、補助車輪53dが車体フレーム58の後端部左側に設けられている。補助車輪53a、53b、53c、53dは、例えば、キャスター車輪であり、鉛直軸(Z軸)回りにも回転可能である。
【0048】
リフタ54a~54dは、載置部56を本体51に対して昇降させるための機構である。具体的には、リフタ54a~54dは、車体フレーム58の走行方向の端部かつ上部に配置されている。さらに具体的には、リフタ54aが車体フレーム58の前端部右側に設けられ、リフタ54bが車体フレーム58の後端部右側に設けられ、リフタ54cが車体フレーム58の前端部左側に設けられ、リフタ54dが車体フレーム58の後端部左側に設けられている。
【0049】
無人搬送車5は、リフタ54a~54dを駆動するための昇降モータ59a、59bと、昇降モータ59a、59bの動力を2方向に分配する分配機構60a、60bと、駆動シャフト61a~61dと、を有している。昇降モータ59a、59bは、リフタ54a~54dを駆動する。分配機構60a、60bは、昇降モータ59a、59bの動力を2方向に分配する。
【0050】
駆動シャフト61a、61bは、それぞれ、分配機構60aからリフタ54a、54bに向かって延びる。駆動シャフト61a、61bは、車体フレーム58の上面に設けられた軸受62a、62bによってそれぞれ回転自在に支持されている。一方、駆動シャフト61c、61dは、分配機構60bからリフタ54c、54dに向かって延びる。駆動シャフト61c、61dは、車体フレーム58の上面に設けられた軸受62c、62dによってそれぞれ回転自在に支持されている。
【0051】
上記の構成において、昇降モータ59aの回転は、分配機構60aと駆動シャフト61a、61bにより、車体フレーム58の右側に配置されたリフタ54a、54bに伝達される。すなわち、昇降モータ59aは、本体51の中心から幅方向に右側にずれた位置に配置されたリフタ54a、54bを駆動する。一方、昇降モータ59bの回転は、分配機構60bと駆動シャフト61c、61dにより、車体フレーム58の左側に配置されたリフタ54c、54dに伝達される。すなわち、昇降モータ59bは、本体51の中心から幅方向に左側にずれた位置に配置されたリフタ54c、54dを駆動する。
【0052】
以下、
図8を用いて、リフタ54a~54dの詳細構成を説明する。
図8は、リフタ54a~54dの詳細構成を示す図である。ここでは、リフタ54aの構成を説明する。他のリフタ54b~54dも同様の構成を有する。
【0053】
図8に示すように、リフタ54aは、昇降伝達軸541を有している。昇降伝達軸541は、昇降する部材であり、上下方向に長く延びている。昇降伝達軸541は、上部に平板部542を有している。この平板部542が、載置部56に接続される。昇降伝達軸541は、リフタ54aのハウジング543に支持された軸受544によって、上下動自在にかつ回転不能に支持されている。
【0054】
昇降伝達軸541は、上下方向に延びるラック545を側面に有している。駆動シャフト61aは、ラック545に噛み合うピニオン546を有している。これにより、昇降モータ59aが回転すると、それに従って昇降伝達軸541が昇降する。すなわち、昇降モータ59aが回転すると、それに従って載置部56が昇降する。
【0055】
図8に示す構成を有するリフタ54a~54dは、昇降モータ59a、59bからトルクの供給を受けて、載置部56に載置した物品Aを昇降させずに保持できる。物品Aを保持するために必要な昇降モータ59a、59bのトルクは、物品Aの重量と関係がある。また、昇降モータ59a、59bから出力されるトルクは、昇降モータ59a、59bに供給される電流値と関係がある。従って、物品Aを保持しているときに昇降モータ59a、59bに供給される電流値を測定することで、載置部56に載置された物品Aの荷重を測定できる。
【0056】
上記のように、昇降モータ59aは、本体51の中心から右側にずれた位置に配置されたリフタ54a、54bを駆動している。従って、昇降モータ59aは、本体51の中心から幅方向に右側にずれた位置において、載置部56に載置された物品Aが加える荷重を測定する第1測定部としての機能も有する。
【0057】
一方、昇降モータ59bは、本体51の中心から左側にずれた位置に配置されたリフタ54c、54cを駆動している。従って、昇降モータ59bは、本体51の中心から幅方向に左側にずれた位置において、載置部56に載置された物品Aが加える荷重を測定する第2測定部としての機能も有する。
【0058】
また、物品Aを保持した状態で昇降モータ59aに供給される電流値と昇降モータ59bに供給される電流値との差から、載置部56に載置された物品Aの重心位置の無人搬送車5の中心位置から幅方向へのずれ(偏荷重)を推定することができる。
【0059】
旋回機構55は、旋回部材55aを有する。旋回部材55aの上部には、載置部56が固定されている。旋回部材55aの内周部には、当該内周部に歯合するギア55bが設けられる。このギア55bを旋回モータ55d(
図9)により回転させて旋回部材55aを回転させることで、旋回機構55は、載置部56を本体51に対して相対的に旋回できる。
【0060】
また、旋回部材55aの下部は、支持部材55cを介して、リフタ54a~54dの平板部542と接続されている。このため、旋回機構55は、リフタ54a~54dにより昇降される。旋回機構55がリフタ54a~54dにより昇降することで、旋回部材55aに固定された載置部56が昇降する。
【0061】
載置部56は、旋回機構55の旋回部材55aの上部(すなわち、本体51の上部)に固定された平面部材である。載置部56は、上部に物品Aを載置できる。無人搬送車5は、本体51の上部の載置部56に物品Aを載置した状態で走行することで、物品Aを搬送する。
【0062】
コントローラ57は、本体51の内部において、車体フレーム58に設けられる。コントローラ57は、CPU、記憶装置(RAM、ROMなど)、各種インタフェースを備えるコンピュータシステムであり、無人搬送車5を制御する。
【0063】
具体的には、
図9に示すように、コントローラ57は、走行モータ52c、52dと接続され、走行モータ52c、52dを制御することで、無人搬送車5の走行を制御する。コントローラ57は、昇降モータ59a、59bと接続され、昇降モータ59a、59bを制御することで、リフタ54a~54dによる載置部56の昇降を制御する。また、コントローラ57は、昇降モータ59a、59bから出力される電流値に基づいて、載置部56に載置された物品Aによる荷重を測定する。コントローラ57は、旋回モータ55dと接続され、旋回モータ55dを制御することで、旋回機構55による載置部56の旋回を制御する。
図9は、無人搬送車5の制御構成を示す図である。
【0064】
また、コントローラ57は、各種のセンサ57aと接続されている。例えば、コントローラ57は、昇降モータ59a、59b、旋回モータ55dのそれぞれの回転量を測定する装置(例えば、エンコーダ)に接続されている。これにより、コントローラ57は、これらモータの回転量に基づいて、載置部56の上下方向における位置、載置部56の本体51に対する旋回角度を把握できる。
【0065】
本実施形態の無人搬送車5では、コントローラ57は、載置部56の向きを変更することなく、無人搬送車5の走行方向を90度単位で変更できる。具体的には、コントローラ57は、例えば、2つの駆動車輪52a、52bを互いに反対方向に回転させて本体51の向きを90度だけ変更しつつ、載置部56を旋回機構55により本体51の回転方向とは逆方向に90度だけ旋回させることで、載置部56の向きを変更することなく、無人搬送車5の走行方向を90度単位で変更できる。
【0066】
(3)無人搬送車の動作
(3-1)無人搬送車による物品の入庫動作
以下、上記の構成を有する無人搬送車5の動作を説明する。まず、
図10を用いて、無人搬送車5により物品Aを自動倉庫3に入庫する動作を説明する。
図10は、無人搬送車5による物品Aの入庫動作を示すフローチャートである。
【0067】
例えば、自動倉庫システム1の上位コントローラ(図示せず)などから、特定の物品Aを指定された自動倉庫3に入庫する指令が出されると、ステップS1で、コントローラ57は、無人搬送車5を、当該特定の物品Aが配置された位置まで走行させ、この物品Aを載置部56に移載する。具体的には、コントローラ57は、無人搬送車5を物品Aの真下に移動させ、その後、リフタ54a~54dにより載置部56を上昇させることで、物品Aを載置部56に載置する。
【0068】
物品Aを載置部56に載置した後、ステップS2で、コントローラ57は、載置部56に載置した物品Aの重心位置を推定する。具体的には、コントローラ57は、物品Aを載せた状態の載置部56の本体51に対する複数の旋回角度における、リフタ54a、54cが配置された本体51の右側にかかる荷重、リフタ54b、54dが配置された本体51の左側にかかる荷重と、に基づいて、物品Aの水平面内における重心位置を推定する。重心位置のより具体的な推定方法は、後ほど説明する。
【0069】
物品Aの重心位置を推定後、ステップS3で、コントローラ57は、推定された重心位置が本体51の中心から大きくずれているか否かを判定する。具体的には、コントローラ57は、物品Aの水平面内における重心位置の本体51の中心からのずれ量が、所定の値以上であるか否かを判定する。上記の所定の値は、例えば、重心位置が本体51の中心からどの程度ずれていれば無人搬送車5が安定して走行できないかなどの無人搬送車5の走行性能に応じて適宜設定できる。
【0070】
重心位置が本体51の中心から所定の値以上ずれていると判定した場合(ステップS3に「Yes」)、コントローラ57は、載置部56に載置された物品Aの入庫を行わないと決定する。このとき、コントローラ57は、無人搬送車5をリジェクトライン10の配置位置まで移動させ、載置部56に載置された物品Aをリジェクトライン10に払い出す。
【0071】
無人搬送車5をリジェクトライン10まで移動させる場合、具体的には、以下の処理が実行される。まず、ステップS4で、コントローラ57は、無人搬送車5の走行パラメータを設定する。具体的には、コントローラ57は、物品Aの重心位置の本体51の中心からのずれ量に応じた走行上限速度と上限加速度とを設定する。重心位置が本体51の中心から所定の値以上ずれているので、コントローラ57は、走行上限速度と上限加速度とを通常よりも小さい値とする。
【0072】
次に、ステップS5で、コントローラ57は、ステップS4で設定した走行上限速度と上限加速度とを超えないように走行を制御しつつ、無人搬送車5をリジェクトライン10まで移動させる。このようにして、コントローラ57は、載置部56に載置した物品Aの重心位置が本体51の中心から過剰にずれているときには、その物品Aの長距離の搬送を中止できる。その結果、重心位置が本体51の中心から偏りすぎている物品Aの搬送によるトラブル(例えば、物品Aの荷崩れ、無人搬送車5の走行が安定しないなど)の発生を防止できる。
【0073】
一方、重心位置の本体51の中心からのずれ量が、搬送によるトラブルが発生する可能性が低い程度に小さい場合(ステップS3で「No」)、載置部56に載置した物品Aの搬送が継続される。
【0074】
物品Aの搬送を継続すると決定した場合、ステップS6で、コントローラ57は、ステップS2で推定した物品Aの重心位置に基づいて、無人搬送車5の走行時における物品Aの本体51に対する向きを決定する。例えば、本体51の中心から幅方向(右側、左側)に比較的大きくずれた位置に重心位置があると推定された場合、コントローラ57は、旋回機構55により載置部56を旋回させて、物品Aの重心位置が本体51の幅方向の中心と一致するように、本体51に対する物品Aの向きを変更する。
【0075】
このように、無人搬送車5では、推定された重心位置に基づいて本体51に対する物品Aの向きが決定されるので、安定した走行を実現できる。例えば、上記のように、物品Aの重心位置が本体51の幅方向の中心と一致するように、本体51に対する物品Aの向きを決定することで、物品Aを搬送中の無人搬送車5の直進性を改善できる。
【0076】
なお、例えば、推定された物品Aの重心位置が本体51の中心と一致するか又は僅かにずれているだけである場合、重心位置が本体51の幅方向の中心と一致するか又は僅かにずれているだけである場合には、コントローラ57は、載置部56を旋回させて物品Aの向きを変更しない。
【0077】
物品Aの向きを決定後、ステップS7で、コントローラ57は、物品Aの現在の重心位置に基づいて、無人搬送車5の走行パラメータを設定する。具体的には、コントローラ57は、上記のステップS4と同様に、物品Aの重心位置の本体51の中心からのずれに応じて、無人搬送車5の走行上限速度を決定する。より具体的には、コントローラ57は、物品Aの重心位置の本体51の中心からのずれ量が大きいほど、無人搬送車5の走行上限速度を減少させる。走行上限速度は、例えば、無人搬送車5の走行性能等に基づいて、適宜決定できる。
【0078】
上記のように、物品Aの重心位置の本体51の中心からのずれに応じて走行上限速度を決定することで、無人搬送車5は、物品Aによる偏荷重がある場合に、通常よりも低速で走行できる。この結果、載置部56に載置された物品Aが走行中に荷崩れするか、及び/又は、無人搬送車5の走行が不安定になるといった悪影響が発生することを防止できる。
【0079】
また、物品Aの重心位置が本体51の中心から前側にずれている場合には、コントローラ57は、減速時における物品Aの荷崩れなどを防止するために、減速度(減速する際に速度変化量)を通常よりも小さくする。一方、物品Aの重心位置が本体51の中心から後側にずれている場合には、コントローラ57は、加速時における物品Aの荷崩れなどを防止するために、加速度を通常よりも小さくする。
【0080】
さらに、物品Aの重心位置が本体51の中心から右側にずれている場合には、コントローラ57は、右側の駆動車輪52aの駆動力を通常よりも大きくして、無人搬送車5の走行を制御すると決定する。すなわち、無人搬送車5を走行させる際の走行モータ52cの駆動力を通常よりも大きくする。一方、物品Aの重心位置が本体51の中心から左側にずれている場合には、コントローラ57は、左側の駆動車輪52bの駆動力を通常よりも大きくして、無人搬送車5の走行を制御すると決定する。すなわち、無人搬送車5を走行させる際の走行モータ52dの駆動力を通常よりも大きくする。これにより、無人搬送車5が走行中に意図した走行方向から逸れる(例えば、直進しようとしているときに、右方向又は左方向に逸れて走行する)ことを防止できる。
【0081】
なお、上記ステップS7における上限走行速度と加速度の決定方法、走行制御方法の決定方法は、上記のステップS4においても実行できる。
【0082】
上記のように走行パラメータを決定後、ステップS8で、コントローラ57は、ステップS6で決定した走行パラメータに従って、無人搬送車5を目標の自動倉庫3の入庫ポート13まで走行させ、載置部56に載置された物品Aを入庫ポート13まで搬送する。
【0083】
無人搬送車5は、目的の入庫ポート13まで走行するまでに、所定の回数だけ走行方向を変更する場合がある。また、上記のとおり、無人搬送車5は、90度単位で走行方向を変更可能となっている。そのため、物品Aの重心位置によっては、走行方向を変更する前後で、無人搬送車5の走行特性が変化する可能性がある。例えば、走行方向の変更前に重心位置が本体51の幅方向の中心近くにあるが走行方向に対してずれている場合、物品Aの向きを変更することなく本体51のみを90度旋回させると、走行方向の変更後には、重心位置が本体51の中心から幅方向にずれる可能性がある。この結果、例えば、走行方向の変更後に、無人搬送車5の直進性が走行方向の変更前よりも悪化することがある。
【0084】
従って、コントローラ57は、走行方向の変更前の本体51に対する物品Aの向きに応じて、載置部56に載置した物品Aの旋回の有無を決定する。具体的には、走行方向の変更前に重心位置が本体51の幅方向の中心近くにある場合には、コントローラ57は、走行方向の変更時に、載置部56を本体51に対して旋回させないと決定する。これにより、無人搬送車5(本体51)の走行方向の変更時に、物品Aの向きが本体51の向きの変更とともに変化するので、走行方向の変更前後で重心位置が本体51の幅方向の中心近くに存在するままとなる。この結果、走行方向の変更前後で、無人搬送車5の走行は安定したままとなる。すなわち、走行方向の変更前後で、重心位置が本体51の幅方向にはほとんど変化しないので、無人搬送車5の直進性は良好なままとなる。
【0085】
一方、走行方向の変更前に重心位置が本体51の幅方向にずれている場合には、コントローラ57は、走行方向の変更時に、載置部56を本体51に対して旋回させると決定する。具体的には、コントローラ57は、本体51の向きを駆動車輪52a、52bの駆動により90度だけ変更する一方で、載置部56を本体51に対して逆方向に90度旋回させて、無人搬送車5から見た物品Aの向きを変更しないようにする。これにより、走行方向の変更後には、重心位置が本体51の幅方向の中心近くに存在するようになる。この結果、走行方向の変更後に、無人搬送車5の走行が安定する。
【0086】
なお、走行方向の変更前に重心位置が本体51の幅方向にも走行方向にもずれている場合には、本体51の向きを90度だけ変更する一方で、載置部56を本体51に対して90度とは異なる角度だけ旋回させることで、走行方向の変更後の重心位置を、本体51の幅方向の中心近くに存在するようにできる。
【0087】
無人搬送車5が目標の入庫ポート13の真下に到着すると、ステップS9で、コントローラ57は、載置部56に載置された物品Aを、目的の入庫ポート13の載置台31上に移載する。このとき、コントローラ57は、物品Aの水平面内における重心位置に基づいて、物品Aを入庫ポート13へ入庫する向きを決定する。例えば、コントローラ57は、スタッカクレーン9が、スタッカクレーン9のスライドフォーク(図示せず)により、入庫ポート13からスライドフォークに物品Aを移載したときに、スタッカクレーン9のスライドフォークの中心位置からの物品Aの重心位置のずれが小さくなるよう、入庫ポート13へ入庫する物品Aの向きを決定する。
【0088】
具体的には、例えば、スタッカクレーン9の走行時における物品Aの安定性を重視する場合には、スライドフォークの中心に対してスタッカクレーンの走行方向に対する物品Aの重心位置のずれが小さくなるように物品Aの向きを決定する。これにより、物品Aをスタッカクレーン9で搬送する際に、スタッカクレーン9の加減速動作や昇降動作などにより物品Aが荷崩れすることを防止できる。なお、載置部56から入庫ポート13の載置台31への物品Aの詳細な移載動作は、上記にて説明したので、ここでは説明を省略する。
【0089】
(3-2)無人搬送車による物品の出庫動作
次に、無人搬送車5による物品Aの出庫動作を簡単に説明する。物品Aの出庫は、上記の
図10に示したフローチャートにおいて、ステップS1で物品Aを載置部56に移載する代わりに、出庫対象の物品Aを出庫ポート15の載置台31から載置部56に移載した後、
図10のステップS2~S6を実行し、無人搬送車5を、物品Aを出庫する箇所まで移動させ、載置部56から当該箇所に物品Aを移載することで行われる。
【0090】
(3-3)重心位置の推定動作
以下、
図11を用いて、上記のステップS2で実行される、載置部56に載置された物品Aの水平面内における重心位置の推定動作を説明する。
図11は、物品Aの重心位置の推定動作を示すフローチャートである。
【0091】
以下の説明では、
図12に示すように、載置部56の物品Aの載置面(水平面)を定める第1軸A1と第2軸A2とを定義する。
図12は、第1軸A1と第2軸A2の定義の一例を示す図である。第1軸A1と第2軸A2は互いに直交しており、第1軸A1と第2軸A2の交点は、第1軸A1と第2軸A2とにより構成される座標系の原点Oであり、本体51の中心と一致している。載置部56は、原点O(本体51の中心)を中心として旋回可能となっているとする。
【0092】
本体51に対する載置部56の旋回角度が0度のときに、第1軸A1は本体51の幅方向に平行となっており、第2軸A2は本体51の走行方向と平行になっているとする。また、旋回角度が0度のときにおける原点Oから右方向を第1軸A1の正方向とし、原点Oから本体51の前進方向を第2軸A2の正方向とする。
【0093】
本体51の右側に配置された2つのリフタ54a、54bの第2軸A2方向の中点を、第1位置P1と定義する。リフタ54a、54bを駆動する昇降モータ59aの電流値は、載置部56に載置された物品Aが第1位置P1に加える荷重に対応する大きさを有している。また、本体51の左側に配置された2つのリフタ54c、54dの第2軸A2方向の中点を、第2位置P2と定義する。リフタ54c、54dを駆動する昇降モータ59bの電流値は、載置部56に載置された物品Aが第2位置P2に加える荷重に対応する大きさを有している。本体51に対する載置部56の旋回角度が0度のときに、第1軸A1は、第1位置P1と第2位置P2とを含んでいる。すなわち、本体51に対する載置部56の旋回角度が0度のときに、第1位置P1と第2位置P2は、第1軸A1上に存在しているとする。
【0094】
まず、ステップS21で、コントローラ57は、載置部56に物品Aを載せた状態、すなわち、リフタ54a~54dで載置部56を持ち上げた状態で、本体51に対する載置部56の旋回角度が第1角度であるときの第1位置P1における荷重(第1荷重m1と呼ぶ)を、昇降モータ59aから出力される電流値に基づいて測定する。また、コントローラ57は、第2位置P2における荷重(第2荷重m2と呼ぶ)を、昇降モータ59bから出力される電流値に基づいて測定する。
【0095】
本実施形態において、第1角度は0度とする。上記のとおり、本体51に対する載置部56の旋回角度が0度のとき、第1位置P1と第2位置P2は、第1軸A1上に存在する。従って、上記のステップS21で測定される第1荷重m1と第2荷重m2は、
図13に示すように、第1軸A1における物品Aの重心位置PG1を推定する際に使用される。
図13は、本体51に対する載置部56の旋回角度が0度であるときの物品Aの状態の一例を示す図である。
【0096】
第1荷重m1と第2荷重m2とを測定後、ステップS22で、コントローラ57は、旋回機構55により載置部56を所定の角度だけ旋回させて、本体51に対する載置部56の旋回角度を第1角度から第2角度に変更する。本実施形態において、載置部56を旋回させる所定の角度を、右回りに90度とする。上記のとおり、第1角度は0度であるので、第2角度は(右回りに)90度である。
【0097】
本体51に対する載置部56の旋回角度を第2角度(90度)とした後、ステップS23で、コントローラ57は、本体51に対する載置部56の旋回角度が第2角度であるときの第1位置P1における荷重(第3荷重m3と呼ぶ)を、昇降モータ59aから出力される電流値に基づいて測定する。また、コントローラ57は、第2位置P2における荷重(第4荷重m4と呼ぶ)を、昇降モータ59bから出力される電流値に基づいて測定する。
【0098】
図14に示すように、本体51に対する載置部56の旋回角度を右回りに90度とすると、第2軸A2が、第1位置P1と第2位置P2とを含むようになる。すなわち、本体51に対する載置部56の旋回角度が90度のときに、第1位置P1と第2位置P2は、第2軸A2上に存在する。なお、本体51に対する載置部56の旋回角度を右回りに90度とすることで、第1軸A1は、走行方向の後側を向いた状態となる。従って、上記のステップS23で測定される第3荷重m3と第4荷重m4は、第2軸A2における物品Aの重心位置を推定する際に使用される。
図14は、本体51に対する載置部56の旋回角度が90度であるときの物品Aの状態の一例を示す図である。
【0099】
第3荷重m3と第4荷重m4とを測定後、ステップS24で、コントローラ57は、本体51に対する載置部56の旋回角度が第1角度(0度)であるときの第1荷重m1及び第2荷重m2と、本体51に対する載置部56の旋回角度が第2角度(90度)であるときの第3荷重m3及び第4荷重m4と、に基づいて、物品Aの水平面内における重心位置を推定する。
【0100】
具体的には、コントローラ57は、第1荷重m1と第2荷重m2とに基づいて、第1軸A1における重心位置を算出する。より具体的には、コントローラ57は、第1荷重m1と第2荷重m2の比に基づいて、第1軸A1における重心位置PG1が原点Oから左右にどれだけずれているかを判定できる。詳細には、原点Oから第1位置P1までの距離をP1、原点Oから第2位置P2までの距離をP2、第1荷重m1をm1、第2荷重m2をm2とすると、第1軸A1における重心位置PG1は、(m1*P1-m2*P2)/(m1+m2)と、第1軸A1の座標値として算出できる。
【0101】
また、コントローラ57は、第3荷重m3と第4荷重m4とに基づいて、第2軸A2における重心位置を算出する。より具体的には、コントローラ57は、第3荷重m3と第4荷重m4の比に基づいて、第2軸A2における重心位置PG2が原点Oから左右にどれだけずれているかを判定できる。詳細には、第2軸A2における重心位置PG2は、(m3*P1-m4*P2)/(m3+m4)と、第2軸A2の座標値として算出できる。
【0102】
第1軸A1における重心位置PG1と、第2軸A2における重心位置PG2と、が算出されれば、物品Aの水平面内における重心位置は、(PG1,PG2)=((m1*P1-m2*P2)/(m1+m2),(m3*P1-m4*P2)/(m3+m4))と、第1軸A1と第2軸A2とで構成される水平面における具体的な座標値として算出できる。
【0103】
上記のように、本実施形態では、本体51の中心から離れた第1位置P1における荷重を測定する第1測定部(昇降モータ59a)と、本体51の中心に対して第1位置P1とは反対側の第2位置P2における荷重を測定する第2測定部(昇降モータ59a)と、を無人搬送車5に設け、載置部56に物品Aを載せた状態で本体51に対する載置部56の旋回角度を変化させたときのこれら測定部にて測定される荷重の変化に基づいて、物品Aの重心位置を正確に推定できる。無人搬送車5に設ける測定部の個数を2つと少なくすることで無人搬送車5の構成をより簡単なものにできるので、本実施形態の無人搬送車5は、従来よりも簡単な構成により、載置部56に載置された物品Aの重心位置を正確に推定できる。
【0104】
2.実施形態の特徴
前記実施形態は下記の様にも説明できる。
(1)無人搬送車(例えば、無人搬送車5)は、本体(例えば、本体51)と、載置部(例えば、載置部56)と、リフタ(例えば、リフタ54a~54d)と、旋回機構(例えば、旋回機構55)と、第1測定部(例えば、昇降モータ59a)と、第2測定部(例えば、昇降モータ59b)と、コントローラ(例えば、コントローラ57)と、を備える。
載置部は、本体の上部に設けられ、物品(例えば、物品A)を載置する。
リフタは、載置部を本体に対して昇降させる。
旋回機構は、載置部を本体に対して相対的に旋回させる。
第1測定部は、本体の中心から離れた第1位置(例えば、第1位置P1)において、載置部に載置された物品が加える荷重を測定する。
第2測定部は、本体の中心に対して第1位置とは反対側の第2位置(例えば、第2位置P2)において、載置部に載置された物品が加える荷重を測定する。
コントローラは、無人搬送車を制御する。
【0105】
無人搬送車において、コントローラは、物品を載せた状態の載置部の本体に対する複数の旋回角度における、第1測定部により測定された第1位置における荷重と、第2測定部により測定された第2位置における荷重と、に基づいて、物品の水平面内における重心位置を推定する。
【0106】
無人搬送車では、物品Aを載せた状態の載置部の本体に対する複数の旋回角度における、本体の中心から離れた第1位置における荷重と、本体の中心に対して第1位置とは反対側の第2位置における荷重と、に基づいて、載置部に載置された物品の水平面内における重心位置を推定している。すなわち、第1位置における荷重を測定する第1測定部と、第2位置における荷重を測定する第2測定部との2つの測定部を設けるだけで、載置部に載置された物品の重心位置を推定できる。無人搬送車に設ける測定部の個数を減少させることで無人搬送車の構成をより簡単なものにできるので、無人搬送車は、より簡単な構成により、載置部に載置された物品の重心位置を正確に推定できる。
【0107】
(2)上記(1)の無人搬送車において、コントローラは、以下の方法で、載置部に載置された物品の水平面内における重心位置を推定してもよい。
◎載置部に物品を載せた状態で、本体に対する載置部の旋回角度が第1角度であるときの第1位置における第1荷重(例えば、第1荷重m1)を第1測定部により測定し、第2位置における第2荷重(例えば、第2荷重m2)を第2測定部により測定する。
◎載置部を所定の角度だけ旋回させて本体に対する載置部の旋回角度を第2角度とする。
◎本体に対する載置部の旋回角度が第2角度であるときの第1位置における第3荷重(例えば、第3荷重m3)を第1測定部により測定し、第2位置における第4荷重(例えば、第4荷重m4)を第2測定部により測定する。
◎第1荷重と、第2荷重と、第3荷重と、第4荷重に基づいて、物品の水平面内における重心位置を推定する。
【0108】
この無人搬送車では、載置部に載置された物品の水平面内における重心位置をより具体的に推定できる。
【0109】
(3)上記(2)の無人搬送車において、上記の所定の角度は90度であってもよい。この場合、コントローラは、以下の方法で、載置部に載置された物品の水平面内における重心位置を推定してもよい。
◎第1荷重と第2荷重とに基づいて、水平面内の第1軸(例えば、第1軸A1)における物品の重心位置を算出する。第1軸は、水平面内において、旋回角度が第1角度であるときに第1位置と第2位置とを含む軸である。
◎第3荷重と第4荷重とに基づいて、水平面内において第1軸と直交する第2軸(例えば、第2軸A2)における物品の重心位置を算出する。第2軸は、旋回角度が第2角度であるときに第1位置と第2位置とを含む。
◎第1軸における物品の重心位置と、第2軸における物品の重心位置とに基づいて、物品の水平面内における重心位置を推定する。
【0110】
この無人搬送車では、第1軸と第2軸とにより形成される座標系における座標値として、載置部に載置された物品の水平面内における重心位置をより具体的に推定できる。
【0111】
(4)上記(1)~(3)の無人搬送車において、旋回機構は、載置部の向きを変えることなく、本体を載置部に対して旋回させることで、無人搬送車の走行方向を90度単位で変更可能であってもよい。この場合、コントローラは、無人搬送車の走行方向の変更前後において、第1測定部と第2測定部により測定された荷重の変化に基づいて、物品の水平面内における重心位置を推定してもよい。
【0112】
この無人搬送車では、無人搬送車が走行時に走行方向を変化するときに、載置部に載置された物品の重心位置を推定できる。その結果、重心位置の算出のために走行を停止する必要がなくなる。
【0113】
(5)上記(1)~(4)の無人搬送車において、コントローラは、物品の水平面内における重心位置に基づいて、本体に対する物品の向きを決定してもよい。この無人搬送車では、推定された重心位置に基づいて本体に対する物品の向きを決定するので、安定した走行を実現できる。
【0114】
(6)上記(5)の無人搬送車において、コントローラは、本体に対する物品の向きに応じて、載置部に載置した物品の旋回の有無を決定してもよい。この無人搬送車では、物品の向きに応じて、載置部に載置した物品の旋回の有無を決定するので、例えば、無人搬送車の走行中に、無人搬送車の走行が安定する方向に物品を向けるといった制御を実現できる。
【0115】
(7)上記(1)~(6)の無人搬送車において、物品は、自動倉庫(例えば、自動倉庫3)へ入庫される物品であってもよい。この場合、コントローラは、物品の水平面内における重心位置に基づいて、物品を自動倉庫へ入庫する向きを決定してもよい。この無人搬送車では、自動倉庫に備わる他の搬送装置に物品を移載し、他の搬送装置により当該物品を搬送する際に、物品が荷崩れすることを防止できる。
【0116】
(8)上記(1)~(7)の無人搬送車において、コントローラは、物品の水平面内における重心位置の本体の中心からのずれに応じて、無人搬送車の走行上限速度を決定してもよい。この無人搬送車では、無人搬送車で物品を搬送中に物品の荷崩れが発生し、及び/又は、無人搬送車の走行に悪影響が発生することを防止できる。
【0117】
(9)上記(1)~(8)の無人搬送車において、コントローラは、物品の水平面内における重心位置の本体の中心からのずれ量が所定の値以上である場合、載置部に載置した物品を、搬送しない物品を払い出すためのリジェクトライン(例えば、リジェクトライン10)へ搬送してもよい。この無人搬送車では、物品の重心位置の偏りが過大である物品の搬送を中止できる。その結果、重心位置が偏りすぎている物品の搬送によるトラブルの発生を防止できる。
【0118】
3.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施例及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【0119】
(A)第1位置P1における荷重を測定する第1測定部と、第2位置P2における荷重を測定する第2測定部とは、昇降モータ59a、59bとは別個のセンサであってもよい。第1測定部と第2測定部として、例えば、ロードセル、重量センサなどの重量(荷重)を測定できるセンサを使用できる。
【0120】
センサを第1測定部と第2測定部として用いる場合、当該センサは、本体51と旋回機構55の支持部材55cとの間において、第1位置P1に対応する位置と、第2位置P2に対応する位置と、に配置される。
【0121】
(B)リフタ54a~54dは、
図8に示す機構と昇降モータ59a、59bにより構成されるものに限られない。リフタ54a~54dは、例えば、電動シリンダであってもよい。この場合、第1位置P1における荷重、第2位置P2における荷重は、電動シリンダに供給される電力(電流値)に基づいて測定できる。
【0122】
(C)載置部56に載置された物品Aの重心位置は、無人搬送車5の走行中にも推定できる。具体的には、コントローラ57は、無人搬送車5の走行方向の変更前後において、第1測定部と第2測定部により測定された荷重の変化に基づいて、物品Aの水平面内における重心位置を推定できる。
【0123】
より具体的には、コントローラ57は、走行方向を変更する際に、走行方向を変更前に第1位置P1における第1荷重m1と第2位置P2における第2荷重m2とを測定(すなわち、
図11のフローチャートのステップS21を実行)し、物品Aの向きを変えることなく本体51の向きを90度だけ変更し(すなわち、ステップS22を実行する。このとき、載置部56の旋回角度は、本体51に対して90度だけ変化している)、走行方向を変更後に第1位置P1における第3荷重m3と第2位置P2における第4荷重m4とを測定(すなわち、
図11のフローチャートのステップS23を実行)する。その後、上記のステップS24と同様にして、第1荷重m1、第2荷重m2、第3荷重m3、第4荷重m4に基づいて、物品Aの水平面内における重心位置を推定できる。
【0124】
(D)第1荷重m1、第2荷重m2、第3荷重m3、第4荷重m4を測定する場合における、本体51に対する載置部56の旋回角度の変化量は90度に限られない。例えば、本体51に対する載置部56の旋回角度の変化量は90度以下であってもよい。本体51に対する載置部56の旋回角度は、物品Aの載置面(水平面)を定義する座標系、重心位置の推定方法、物品Aの実際の重心位置(例えば、第1位置P1、第2位置P2から遠いか近いか)などに応じて、適切な角度を適宜選択できる。
【0125】
(E)重心位置の推定方法は、第1荷重m1、第2荷重m2、第3荷重m3、第4荷重m4に基づく上記の方法に限られない。例えば、物品Aを載置した載置部56を、本体51に対して360度回転させたときの各旋回角度の第1位置P1における荷重と、第2位置P2における荷重と、に基づいて載置部56を本体51に対して1回転したときの荷重の変化プロファイルを取得し、この変化プロファイルに基づいて物品Aの重心位置を推定できる。
【0126】
(F)載置部56に、物品Aの載置位置を調整するためのガイド、溝などを設けてもよい。また、これらガイド、溝の載置部56における位置を調整可能となっていてもよい。これにより、上記にて説明した方法で推定された物品Aの重心位置に基づいて、上記のガイド、溝の位置を調整して物品Aの載置部56における載置位置を調整することで、物品Aの重心位置を無人搬送車5の走行が安定する位置に移動させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、物品を搬送する無人搬送車に広く適用できる。
【符号の説明】
【0128】
1 :自動倉庫システム
3 :自動倉庫
5 :無人搬送車
7 :ラック
7A :第1ラック
7B :第2ラック
7a :棚
9 :スタッカクレーン
10 :リジェクトライン
11 :クレーン通路
12 :走行レール
13 :入庫ポート
15 :出庫ポート
21 :ルート
21A :第1ルート
21B :第2ルート
21C :接続ルート
21D :周回ルート
31 :載置台
31a :潜込用間隙
33 :支柱
35 :物品支承部材
51 :本体
52a、52b :駆動車輪
52c、52d :走行モータ
53a~53d :補助車輪
54a~54d :リフタ
55 :旋回機構
55a :旋回部材
55b :ギア
55c :支持部材
55d :旋回モータ
56 :載置部
57 :コントローラ
57a :センサ
58 :車体フレーム
59a :昇降モータ
59b :昇降モータ
60a、60b :分配機構
61a~61d :駆動シャフト
62a~62d :軸受
541 :昇降伝達軸
542 :平板部
543 :ハウジング
544 :軸受
545 :ラック
546 :ピニオン
A :物品
A1 :第1軸
A2 :第2軸
F :床
P1 :第1位置
P2 :第2位置