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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026961
(43)【公開日】2024-02-29
(54)【発明の名称】充電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240221BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20240221BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
H02J7/00 P
H02J7/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129561
(22)【出願日】2022-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(72)【発明者】
【氏名】田中 和裕
(72)【発明者】
【氏名】田中 順一
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB01
5G503FA01
5G503FA06
(57)【要約】
【課題】電力の入力元または出力先の数が多い場合でも、大型化することを抑制できる充電装置を提供する。
【解決手段】蓄電池91の電力で電動機を駆動して移動する電気移動体2の蓄電池91を充電する充電装置A1において、直流電力を出力する直流電源部2と、電気移動体2に接続されて、直流電源部2が出力する直流電力を当該電気移動体2に供給する複数の充電ケーブル6と、直流電源部2が出力した直流電力の出力先を切り替える切替部1と、を備えた。切替部1は、間隔を空けて配列された複数の出力導体11、および、各出力導体11の間に配置された絶縁体12を有する電極板15と、電極板15上を摺動して、複数の出力導体11の配列方向に移動する摺動子13と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池の電力で電動機を駆動して移動する電気移動体の前記蓄電池を充電する充電装置であって、
直流電力を出力する直流電源部と、
前記電気移動体に接続されて、前記直流電源部が出力する直流電力を当該電気移動体に供給する複数の充電ケーブルと、
前記直流電源部が出力した直流電力の出力先を切り替える切替部と、
を備え、
前記切替部は、
間隔を空けて配列された複数の出力導体、および、前記各出力導体の間に配置された絶縁体を有する電極板と、
前記電極板上を摺動して、前記複数の出力導体の配列方向に移動する摺動子と、
を備えている、
充電装置。
【請求項2】
前記直流電源部は、直流電力を出力する複数のユニットを備え、
前記切替部は、前記複数のユニットが出力した直流電力の出力先を、それぞれ個別に切り替える、
請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
前記複数の出力導体はそれぞれ、前記複数のユニットのいずれかに導通接続されており、
前記摺動子は、前記複数の充電ケーブルのいずれかに導通接続されている、
請求項2に記載の充電装置。
【請求項4】
前記複数のユニットはそれぞれ、正極端子と負極端子とを備え、
前記各出力導体はそれぞれ、前記正極端子に導通接続されており、
前記切替部は、
間隔を空けて配列された複数の第2出力導体、および、前記各第2出力導体の間に配置された第2絶縁体を有する第2電極板と、
前記第2電極板上を摺動して、前記複数の第2出力導体の第2配列方向に移動する第2摺動子と、
を備え、
前記複数の第2出力導体はそれぞれ、前記複数のユニットのいずれかの前記負極端子に導通接続されている、
請求項3に記載の充電装置。
【請求項5】
前記切替部および前記直流電源部を制御する制御部をさらに備え、
前記複数のユニットは、第1ユニットおよび第2ユニットを含んでおり、
前記制御部は、前記第1ユニットからの出力を前記摺動子および前記第2摺動子を介して出力する状態から、前記第2ユニットからの出力を前記摺動子および前記第2摺動子を介して出力する状態に切り替える場合、
まず、前記第1ユニットの出力を停止させ、
次に、前記摺動子を、前記絶縁体の前記第1ユニットに接続された出力導体に隣接する位置に移動させ、前記第2摺動子を、前記第2絶縁体の前記第1ユニットに接続された第2出力導体に隣接する位置に移動させ、
次に、前記摺動子を、前記絶縁体の前記第2ユニットに接続された出力導体に隣接する位置に移動させ、
次に、前記第2摺動子を、前記第2ユニットに接続された第2出力導体に移動させ、
次に、前記摺動子を、前記第2ユニットに接続された出力導体に移動させ、
次に、前記第2ユニットの出力を開始させる、
請求項4に記載の充電装置。
【請求項6】
前記複数の出力導体はそれぞれ、前記複数の充電ケーブルのいずれかに導通接続されており、
前記摺動子は、前記複数のユニットのいずれかに導通接続されている、
請求項2に記載の充電装置。
【請求項7】
前記切替部は、
前記摺動子を移動させる移動装置と、
前記摺動子とともに移動して、前記電極板の前記摺動子が接触する位置に向けて送風可能な冷却用ファンと、
をさらに備え、
前記冷却用ファンは、前記摺動子が通電中にのみ送風を行う、
請求項1ないし6のいずれかに記載の充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車などを充電する充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車の普及に伴い、電気自動車の蓄電池に充電をするための充電装置の整備が進んでいる。また、様々な充電装置が開発されている。特許文献1には、充電装置の一例が開示されている。当該充電装置は、3台の直流電源ユニットと、3個の送電手段と、各直流電源ユニットと各送電手段とを任意に導通させる3×3接点からなるマトリクススイッチャとを備えている。当該充電装置は、マトリクススイッチャが所定のルールに従って接点をオンにすることで、複数の電気自動車の同時充電が可能であり、また、利用率の向上が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5548894号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の充電装置は、各直流電源ユニットの出力電路と各送電手段との交点にそれぞれスイッチを配置する必要があるので、直流電源ユニットまたは送電手段の数が多くなると、スイッチの数が増大する。例えば、直流電源ユニットが10台であり、送電手段が6個の場合、60個のスイッチが必要になる。さらに、漏れ電流の回避のために、直流電源ユニットの正極端子と負極端子とを両切りにする場合、120個のスイッチが必要になる。したがって、切替回路(マトリクススイッチャ)が複雑化かつ大型化し、配線も複雑になって、充電装置が大型化してしまう。
【0005】
本発明は上記した事情のもとで考え出されたものであって、電力の入力元または出力先の数が多い場合でも、大型化することを抑制できる充電装置を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
本発明の第1の側面によって提供される充電装置は、蓄電池の電力で電動機を駆動して移動する電気移動体の前記蓄電池を充電する充電装置であって、直流電力を出力する直流電源部と、前記電気移動体に接続されて、前記直流電源部が出力する直流電力を当該電気移動体に供給する複数の充電ケーブルと、前記直流電源部が出力した直流電力の出力先を切り替える切替部と、を備え、前記切替部は、間隔を空けて配列された複数の出力導体、および、前記各出力導体の間に配置された絶縁体を有する電極板と、前記電極板上を摺動して、前記複数の出力導体の配列方向に移動する摺動子と、を備えている。
【0008】
なお、「電気移動体」は、蓄電池の電力で電動機を駆動して移動する移動体であって、いわゆる電気自動車だけでなく、ハイブリッド車なども含まれる。また、「電気移動体」は、いわゆる自動車だけでなく、二輪車、船舶、飛行機などの他の乗り物、または、無人搬送車、ドローンなどの無人移動体も含まれる。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記直流電源部は、直流電力を出力する複数のユニットを備え、前記切替部は、前記複数のユニットが出力した直流電力の出力先を、それぞれ個別に切り替える。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記複数の出力導体はそれぞれ、前記複数のユニットのいずれかに導通接続されており、前記摺動子は、前記複数の充電ケーブルのいずれかに導通接続されている。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記複数のユニットはそれぞれ、正極端子と負極端子とを備え、前記各出力導体はそれぞれ、前記正極端子に導通接続されており、
前記切替部は、間隔を空けて配列された複数の第2出力導体、および、前記各第2出力導体の間に配置された第2絶縁体を有する第2電極板と、前記第2電極板上を摺動して、前記複数の第2出力導体の第2配列方向に移動する第2摺動子と、を備え、前記複数の第2出力導体はそれぞれ、前記複数のユニットのいずれかの前記負極端子に導通接続されている。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記切替部および前記直流電源部を制御する制御部をさらに備え、前記複数のユニットは、第1ユニットおよび第2ユニットを含んでおり、前記制御部は、前記第1ユニットからの出力を前記摺動子および前記第2摺動子を介して出力する状態から、前記第2ユニットからの出力を前記摺動子および前記第2摺動子を介して出力する状態に切り替える場合、まず、前記第1ユニットの出力を停止させ、次に、前記摺動子を、前記絶縁体の前記第1ユニットに接続された出力導体に隣接する位置に移動させ、前記第2摺動子を、前記第2絶縁体の前記第1ユニットに接続された第2出力導体に隣接する位置に移動させ、次に、前記摺動子を、前記絶縁体の前記第2ユニットに接続された出力導体に隣接する位置に移動させ、次に、前記第2摺動子を、前記第2ユニットに接続された第2出力導体に移動させ、次に、前記摺動子を、前記第2ユニットに接続された出力導体に移動させ、次に、前記第2ユニットの出力を開始させる。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記複数の出力導体はそれぞれ、前記複数の充電ケーブルのいずれかに導通接続されており、前記摺動子は、前記複数のユニットのいずれかに導通接続されている。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記切替部は、前記摺動子を移動させる移動装置と、前記摺動子とともに移動して、前記電極板の前記摺動子が接触する位置に向けて送風可能な冷却用ファンと、をさらに備え、前記冷却用ファンは、前記摺動子が通電中にのみ送風を行う。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、切替部は、摺動子を電極板上で摺動させて移動させ、当該摺動子を電極板の出力導体に導通させることで、電力の入力元と出力先との接続を切り替える。したがって、本発明に係る充電装置は、切替部としてマトリクススイッチャを用いる場合と比較して、電力の入力元または出力先の数が多い場合でも、大型化することを抑制できる。
【0016】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態に係る充電装置の内部構成を示すブロック図である。
図2】(a)は移動装置の一例を示す平面図であり、(b)は(a)のB-B線に沿う断面図である。
図3】制御部が行う制御処理の一例を説明するためのフローチャートであり、ある電力線へ電力を供給するユニットを切り替える処理の例である。
図4】移動装置の変形例を示す断面図である。
図5】第2実施形態に係る充電装置の内部構成を示すブロック図である。
図6】第3実施形態に係る充電装置の内部構成を示すブロック図である。
図7】第4実施形態に係る充電装置の内部構成を示すブロック図である。
図8】制御部が行う制御処理の一例を説明するためのフローチャートであり、ある電力線へ電力を供給するユニットを切り替える処理の例である。
図9図8に示す制御処理の各ステップにおける摺動子の位置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0019】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る充電装置A1の内部構成を示すブロック図である。
【0020】
充電装置A1は、施設の駐車場などに配置され、電気自動車9の充電を行うための設備である。電気自動車9は、動力源としての電動機および電動機に電力を供給する蓄電池91を備えた自動車であり、電動機のみを動力源とするいわゆる電気自動車だけでなく、内燃機関が併設されたハイブリッド車なども含まれる。充電装置A1は、いわゆる急速充電装置である。充電装置A1は、切替部1、直流電源部2、通信部3、制御部4、複数の電力線5、および複数の充電ケーブル6を備えている。
【0021】
直流電源部2は、制御部4からの指令に応じて、直流電力を出力する構成である。直流電源部2は、複数のユニット21を備えている。各ユニット21はそれぞれ、電力系統から入力される交流電力を直流電力に変換して出力する。各ユニット21は、たとえば、コンバータおよび平滑回路を備えている。コンバータは、制御部4からの指令に応じて、電力系統から入力される交流電力を直流電力に変換する。平滑回路は、コンバータが出力する直流電力を平滑して出力する。なお、ユニット21の具体的な構成は限定されず、直流電力を出力できればよい。各ユニット21は、制御部4からの指令によって、それぞれ個別に、起動および停止を行う。また、各ユニット21の出力電力は、制御部4によって、それぞれ個別に制御される。本実施形態では、直流電源部2は、n個(例えば10個)のユニット21(21-1~21-n)を備えている。各ユニット21は、例えば最大20kWの電力を出力可能である。
【0022】
切替部1は、制御部4からの指令に応じて、直流電源部2の各ユニット21が出力する直流電力の出力先を、それぞれ個別に切り替える。切替部1は、複数の出力導体11、絶縁体12、複数の摺動子13、および複数の移動装置14を備えている。
【0023】
複数の出力導体11は、電気導電体であり、例えばCu、Alまたはこれらを含む合金などの金属からなる。なお、出力導体11の構成材料は限定されない。複数の出力導体11はそれぞれ、ユニット21-1~21-nのいずれかに導通接続されている。つまり、出力導体11の数はn個である。ユニット21-1~21-nに接続されている出力導体11をそれぞれ、出力導体11-1~11-nと記載する場合がある。各出力導体11は、平面視において第1方向に延びる長矩形の板状であり、第1方向に直交する第2方向に、それぞれ同じ間隔を空けて配列されている。絶縁体12は、電気絶縁体であり、例えば合成樹脂からなる。なお、絶縁体12の構成材料は限定されない。絶縁体12は、複数の出力導体11の間を埋めるように配置されている。また、絶縁体12は、図1においては省略しているが、出力導体11-1および出力導体11-nの外側にも位置している(後述する図2(b)参照)。なお、図1においては、絶縁体12にハッチングを付している。複数の出力導体11および絶縁体12は、表面がいずれも面一で、隙間なく配置されており、1枚の電極板15を構成している。電極板15は、例えば、複数の出力導体11を表面を下にして等間隔で並べ、合成樹脂で固めることで形成できる。なお、電極板15の形成方法は限定されない。例えば、電極板15は、平面視において第1方向に延びる長矩形の板状である複数の絶縁板と、複数の出力導体11とを、第2方向に交互に配置して形成されてもよい。
【0024】
複数の摺動子13は、電極板15の表面15aに接触しながら第2方向に摺動可能に配置されている。本実施形態では、摺動子13として、摺動性に優れ、かつ、導電性および熱伝導性に優れたカーボンブラシを採用している。なお、摺動子13は、カーボンブラシに限定されない。本実施形態では充電装置A1は、m個(例えば6個)の電力線5(5-1~5-m)を備えている。各電力線5には、それぞれ3個の摺動子13(13a,13b,13c)が導通接続されている。なお、電力線5-1に接続する3個の摺動子13a,13b,13cを、摺動子13a-1,13b-1,13c-1と記載する場合がある。他の電力線5に接続する摺動子13a,13b,13cも同様に記載する場合がある。なお、各電力線5に接続される摺動子13の数は3個に限定されない。本実施形態では、各ユニット21の最大出力電力が20kWであり、電気自動車9が充電できる最大電力が60kW以下なので、各電力線5に接続される摺動子13の数は3個とされている。
【0025】
各摺動子13はそれぞれ、移動装置14によって移動される。摺動子13は、出力導体11に接触しているときには、当該出力導体11に接続されたユニット21に導通する。これにより、当該ユニット21が出力する電力が、当該摺動子13が接続された電力線5に供給される。一方、摺動子13が出力導体11に接触せず、絶縁体12上にあるときは、全てのユニット21から断路している状態である。したがって、当該摺動子13を介しては、電力線5に電力が供給されない。例えば、図1においては、電力線5-1は、ユニット21-1およびユニット21-nから電力を供給され、最大40kWの電力を出力可能である。また、電力線5-2は、ユニット21-2のみから電力を供給され、最大20kWの電力を出力可能である。また、電力線5-mは、いずれのユニット21にも接続されないので、電力を出力できない。
【0026】
複数の移動装置14はそれぞれ、摺動子13を移動させる構成である。各移動装置14はそれぞれ、制御部4の指令に応じて、1個の摺動子13を、電極板15の表面15aに押し付けながら、第2方向に移動させる。なお、図1においては、移動装置14の記載を省略している。
【0027】
図2は、移動装置14の一例を説明するための図である。図2(a)は移動装置14の平面図であり、図2(b)は図2(a)のB-B線に沿う断面図である。移動装置14は、一対の取付部141、カラー142、ネジ軸143、モータ144、スライダ145、一対のガイド146、ハウジング147、バネ148、バネ押さえ149、および端子固定板140を備えている。
【0028】
一対の取付部141は、電極板15の表面15aの第2方向の両端部にそれぞれ固定されている。一方の取付部141(図2においては左側の取付部141)には、貫通孔を有するカラー142が取り付けられている。ネジ軸143は、ネジ溝が形成されており、カラー142の貫通孔に挿通されている。ネジ軸143は、第2方向に延びる軸を中心に回転可能に支持されている。モータ144は、簡略化して記載しているが、電極板15などに固定されており、回転軸の回転力をネジ軸143に伝達する。モータ144は、例えばサーボモータであり、位置(回転角度)を正確に制御可能である。なお、モータ144は、サーボモータに限定されない。スライダ145は、内部にネジ溝が形成された貫通孔を有し、当該貫通孔にネジ軸143が挿通されている。図2においては省略しているが、スライダ145の貫通孔とネジ軸143との間には複数のボールが配置されており、スライダ145とネジ軸143とは、いわゆるボールねじ機構を構成する。スライダ145は、ネジ軸143の回転に応じて、第2方向に移動する。
【0029】
一対のガイド146はそれぞれ、第2方向に延び、両端を一対の取付部141にそれぞれ固定されている。各ガイド146は、スライダ145に設けられた貫通孔に挿通されている。一対のガイド146は、ネジ軸143の回転によりスライダ145が第2方向に延びる軸周りに回転するロールを防止するために、スライダ145の動きを拘束する。スライダ145は、ネジ軸143の回転に応じて、一対のガイド146によってロールを防止されつつ、第2方向に移動する。これにより、モータ144の駆動を制御することで、スライダ145の第2方向における位置を制御できる。なお、スライダ145の位置を制御するための位置制御構成は、上記に限定されない。例えば、当該位置制御構成は、直流モータと近接センサとを備え、近接センサで検出した位置に基づいて直流モータを制御する構成でもよいし、いわゆるリニアガイドを用いた構成であってもよい。
【0030】
ハウジング147は、スライダ145に固定されており、スライダ145の移動に伴って移動する。ハウジング147は、中空の直方体形状であり、内部に摺動子13が収納されている。ハウジング147の第2方向の一方側(図2において左側)に位置する側板は、スライダ145に固定されている。ハウジング147の高さ方向における下側(図2において下側)の底板には貫通孔が形成されている。摺動子13は、先端を底板の貫通孔から突出させている。バネ押さえ149は、バネ148が取り付けられて、上方からハウジング147に固定されている。摺動子13は、バネ148によって下側に押し付けられる。ハウジング147の第2方向の他方側(図2において右側)は、開放されており、端子固定板140が固定されている。摺動子13は、ハウジング147の3個の側板および端子固定板140に囲まれ、バネ148によって底板の貫通孔に押し付けられることで、ハウジング147の内部に拘束されている。端子固定板140は、第1方向の中央部分が、両端部分から切り離されて、外側に折り曲げられている。当該折り曲げられた部分は、摺動子13に導通接続されたリード131が固定されており、リード131と電力線5とを接続して導通させる中継端子台として機能する。
【0031】
摺動子13は、ハウジング147の内部に拘束され、スライダ145の移動に伴って移動する。これにより、摺動子13は、ネジ軸143の回転に応じて、第2方向に移動する。摺動子13は、先端を底板の貫通孔から突出させ、バネ148によって下側に押し付けられている。これにより、摺動子13は、電極板15の表面15aに常時接触している状態を維持される。また、上述したように、スライダ145は、一対のガイド146によってロールを防止されている。これにより、摺動子13は、電極板15の表面15aに対して垂直に押し付けられる。したがって、摺動子13は、電極板15の表面15aに接触した状態を維持したまま、第2方向での移動が可能である。また、摺動子13は、モータ144の駆動を制御することで、第2方向における位置を制御される。
【0032】
通信部3は、電気自動車9との間で通信を行う。通信部3は、各充電ケーブル6に配置された通信線を介して、充電ケーブル6に接続された電気自動車9と通信を行う。通信部3は、各電気自動車9と、たとえばCAN(Controller Area Network)通信の規格に応じて通信を行う。なお、通信規格は限定されない。通信部3は、各電気自動車9から、蓄電池91の容量、現在の充電率(SoC:State of Charge)、および充電電力(充電電流)の指令値などの情報を受信する。なお、通信部3と各電気自動車9との間で送受信される情報は限定されない。
【0033】
各充電ケーブル6は、電力線5および通信線が配置されている。充電ケーブル6はそれぞれ、先端に配置された充電コネクタ61を電気自動車9のプラグインコネクタ92に接続することで、電気自動車9と接続される。充電ケーブル6が接続された電気自動車9は、通信線を介して、通信部3と通信を行う。また、当該電気自動車9は、電力線5を介して、直流電源部2からの電力を供給可能な状態であり、切替部1によっていずれかのユニット21が当該電力線5に接続され、当該ユニット21が電力を出力することで、蓄電池91を充電される。
【0034】
制御部4は、充電装置A1の制御を行う構成であり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。制御部4は、電力制御部41および切替制御部42を備えている。電力制御部41は、直流電源部2の各ユニット21の出力電力を個別に制御する。切替制御部42は、各ユニット21の出力先を切り替える制御を行う。切替制御部42は、各移動装置14のモータ144を制御することで、対応する摺動子13を電極板15の表面15a上で摺動させて、第2方向の所望の位置に移動させる。これにより、切替制御部42は、各ユニット21と各電力線5との接続を切り替える。
【0035】
制御部4は、通信部3を介して電気自動車9と通信を行うことで、当該電気自動車9の情報を取得する。制御部4は、各種情報に基づいて、各ユニット21の出力先の切り替え、および、各ユニット21の出力電力を制御する。各種情報には、通信により取得した情報、図示しない操作部から入力された情報、現在の各ユニット21の稼働情報(稼働中か否か、稼働している場合は出力電力値)、切替部1の接続情報、および、あらかじめ設定されたルールなどが含まれる。制御部4がどの情報に基づいてどのような制御を行うかは限定されない。例えば、制御部4は、ある充電ケーブル6に電気自動車9が接続された場合、当該電気自動車9から充電電力の指令値を取得する。制御部4は、停止中のユニット21により当該指令値に応じた電力を出力可能である場合、これらのユニット21と当該充電ケーブル6に配置された電力線5とを接続させ、これらのユニット21の合計出力が指令値になるように制御することで充電を行う。停止中のユニット21では出力が足りない場合、制御部4は、出力可能な電力で充電を開始させる。そして、他の電気自動車9の充電が終了して、対応するユニット21の出力が不要になったとき、または、他の電気自動車9の蓄電池91の充電率が大きくなって出力電力が低下され、一部のユニット21の出力が不要になったとき、制御部4は、当該ユニット21の出力を追加させてもよい。また、停止中のユニット21では出力が足りない場合、制御部4は、優先度の低い他の電気自動車9に電力を供給している一部のユニット21の出力先を切り替えてもよい。
【0036】
図3は、制御部4が行う制御処理の一例を説明するためのフローチャートであり、ある電力線5へ電力を供給するユニット21を切り替える処理の例である。
【0037】
まず、切替前のユニット21が停止される(S1)。なお、切替後のユニット21が稼働している場合は、切替後のユニット21も停止される。次に、切替前のユニット21に接続された出力導体11と、切替後のユニット21に接続された出力導体11との間に位置する出力導体11に接触する摺動子13があるか否かが判別される(S2)。間に位置する摺動子13がある場合(S2:YES)、当該摺動子13が絶縁体12に退避され(S3)、ステップS4に進む。具体的には、当該摺動子13が接触する出力導体11に接続されたユニット21の出力が停止され、その後、当該摺動子13が絶縁体12に移動される。一方、間に位置する摺動子13がない場合(S2:NO)、そのままステップS4に進む。例えば、図1に示す電力線5-1へ電力を供給するユニット21を、ユニット21-1からユニット21-3(図1においては記載を省略)に切り替える場合だと、以下のように処理される。まず、出力導体11-1と出力導体11-3(図1においては記載を省略)との間に位置する出力導体11-2に、摺動子13a-2が接触しているので、出力導体11-2に接続するユニット21-2の出力が停止される。次に、摺動子13a-2が絶縁体12に移動される。
【0038】
次に、当該電力線5に接続された摺動子13が、切替前のユニット21に接続された出力導体11から、切替後のユニット21に接続された出力導体11に移動される(S4)。先の例では、摺動子13a-1が、出力導体11-1から出力導体11-3に移動される。このとき、摺動子13a-1は、出力導体11-2を通過するが、摺動子13a-2が絶縁体12に退避しているので、電力線5-1と電力線5-2とが出力導体11-2によって導通することはない。したがって、電力線5-1に接続された電気自動車9の充電池91と、電力線5-2に接続された電気自動車9の充電池91とが並列接続状態になって、循環電流が流れることはない。
【0039】
次に、ステップS3で絶縁体12に退避した摺動子13が元の位置に戻される。(S5)。次に、切替後のユニット21およびステップS3で停止されたユニット21の出力が開始され(S6)、当該制御処理は終了する。なお、図3のフローチャートに示す処理は一例であって、制御部4が行う制御処理は上述したものに限定されない。
【0040】
次に、本実施形態に係る充電装置A1の作用および効果について説明する。
【0041】
本実施形態によると、切替部1は、電極板15、複数の摺動子13、および複数の移動装置14を備えている。電極板15は、複数の出力導体11および絶縁体12を備えている。各摺動子13は、電極板15の表面15aに接触しながら第2方向に摺動可能に配置されており、出力導体11に接触しているときには、当該出力導体11に接続されたユニット21に導通する。したがって、各摺動子13は、全てのユニット21に導通接続可能である。ユニット21が10個、電力線5が6個の場合、切替部としてマトリクススイッチャを用いると、60個のスイッチが必要になり、マトリクススイッチャが複雑化かつ大型化し、配線も複雑になって、充電装置が大型化してしまう。一方、切替部1は、1個の電極板15と、18(=3×6)個の摺動子13と、各摺動子13をそれぞれ移動させる18個の移動装置14だけでよいので、構造が複雑にならず、配線も単純である。これにより、充電装置A1は、大型化することを抑制できる。
【0042】
また、本実施形態によると、直流電源部2は、複数のユニット21を備えている。したがって、充電装置A1は、切替部1によって、各ユニット21と各電力線5との接続を切り替えることで、複数の充電ケーブル6に同時に電力を供給できる。また、充電装置A1は、接続の切り替えの制御と、各ユニット21の出力の制御とによって、各充電ケーブル6に供給する電力を制御できる。
【0043】
また、本実施形態によると、移動装置14は、モータ144によりネジ軸143を回転させ、スライダ145を第2方向に移動させる。スライダ145に固定されたハウジング147内部に、摺動子13が拘束されている。これにより、充電装置A1は、モータ144の駆動を制御することで、摺動子13の第2方向における位置を制御できる。
【0044】
また、本実施形態によると、摺動子13は、先端をハウジング147の底板の貫通孔から突出させ、バネ148によって下側に押し付けられている。これにより、摺動子13は、電極板15の表面15aに常時接触している状態を維持される。また、スライダ145は、一対のガイド146によってロールを防止されている。これにより、摺動子13は、電極板15の表面15aに対して垂直に押し付けられる。したがって、充電装置A1は、摺動子13を、電極板15の表面15aに適切に接触させた状態を維持したまま、第2方向へ移動させることが可能である。
【0045】
また、本実施形態によると、制御部4は、摺動子13を移動させる際、移動元の出力導体11と移動先の出力導体11との間に位置する出力導体11に接触する摺動子13がある場合、当該摺動子13が絶縁体12に退避のために移動されてから、摺動子13を移動させる。これにより、充電装置A1は、複数の電気自動車9の充電池91が同じ出力導体11により導通された並列接続状態になることを防止して、循環電流が流れることを防止できる。
【0046】
なお、本実施形態においては、充電装置A1が電気自動車9を充電する場合について説明したが、これに限られない。充電装置A1は、電気自動車9以外の移動体を充電してもよい。この移動体の他の例として、たとえば二輪車(電動オートバイ、電動アシスト自転車)、船舶、飛行機などの他の乗り物、または、無人搬送車、ドローンなどの無人移動体などが考えられる。
【0047】
〔変形例〕
図4は、移動装置14の変形例を示す断面図であり、図2に対応する図の部分拡大図である。なお、図4において、上記第1実施形態と同一または類似の要素には、上記第1実施形態(図2(b)参照)と同一の符号を付している。変形例に係る移動装置14は、冷却用ファン150をさらに備えている。冷却用ファン150は、例えばスライダ145に固定され、電極板15の摺動子13が接触する位置に向けて送風可能に配置されている。なお、冷却用ファン150の固定位置は限定されない。冷却用ファン150は、摺動子13とともに移動して、電極板15の摺動子13が接触する位置に向けて送風可能な状態で固定されていればよい。切替部1において発生する熱のほとんどは、通電している出力導体11の摺動子13が接触している位置で発生する。本変形例では、冷却用ファン150が、この発熱が多い部分を冷却するので、冷却効果が高い。また、冷却用ファン150は、常時送風を行ってもよいが、冷却効率を高めるために、摺動子13が通電中にのみ送風を行うのが望ましい。
【0048】
〔第2実施形態〕
図5は、第2実施形態に係る充電装置A2の内部構成を示すブロック図である。なお、図5においては、直流電源部2および切替部1のみを記載し、その他の部分の記載を省略している。また、図5において、上記第1実施形態と同一または類似の要素には、上記第1実施形態と同一の符号を付している。本実施形態に係る充電装置A2は、出力導体11が電力線5に接続され、摺動子13がユニット21に接続されている点で、第1実施形態に係る充電装置A1と異なる。
【0049】
第2実施形態に係る充電装置A2の切替部1において、複数の出力導体11はそれぞれ、第2方向に延び、電力線5に導通接続されている。また、複数の摺動子13はそれぞれ、第1方向に摺動可能に配置され、ユニット21に導通接続されている。各ユニット21は、接続された摺動子13が接触している出力導体11を介して、当該出力導体11に接続されている電力線5に電力を供給する。一方、摺動子13が絶縁体12上にあるときは、当該摺動子13が接続されたユニット21は、電力を供給できない。例えば、図5においては、電力線5-1は、ユニット21-1およびユニット21-2から電力を供給され、最大40kWの電力を出力可能である。また、電力線5-2は、ユニット21-nのみから電力を供給され、最大20kWの電力を出力可能である。また、電力線5-3は、ユニット21-3のみから電力を供給され、最大20kWの電力を出力可能である。また、電力線5-mは、いずれのユニット21にも接続されないので、電力を出力できない。
【0050】
本実施形態によると、各摺動子13は、電極板15の表面15aに接触しながら第1方向に摺動可能に配置されており、出力導体11に接触しているときには、当該出力導体11に接続された電力線5に導通する。したがって、各摺動子13は、全ての電力線5に導通接続可能である。ユニット21が10個、電力線5が6個の場合、本実施形態に係る切替部1は、1個の電極板15と、10個の摺動子13と、各摺動子13をそれぞれ移動させる10個の移動装置14だけでよいので、構造が複雑にならず、配線も単純である。これにより、充電装置A2は、大型化することを抑制できる。また、充電装置A2は、充電装置A1と共通する構成により、充電装置A1と同等の効果を奏する。さらに、本実施形態によると、充電装置A2の切替部1は、充電装置A1の切替部1より、必要となる摺動子13および移動装置14の数が少ない場合が多い。特に、充電装置A2は、電力線5の数が多い場合、すなわち、充電ケーブル6の数が多い場合に、有利である。
【0051】
〔第3実施形態〕
図6は、第3実施形態に係る充電装置A3の構成を示すブロック図である。なお、図6においては、直流電源部2および切替部1のみを記載し、その他の部分の記載を省略している。また、図6において、上記第2実施形態と同一または類似の要素には、上記第2実施形態と同一の符号を付している。本実施形態に係る充電装置A3は、直流電源部2からの出力線が1個だけである点で、第2実施形態に係る充電装置A2と異なる。
【0052】
第3実施形態に係る充電装置A3の直流電源部2は、複数のユニット21を備えていない、または、複数のユニット21の出力をまとめて1個の出力線で出力する。したがって、切替部1は、摺動子13を1個だけ備え、当該摺動子13が直流電源部2に導通接続されている。直流電源部2は、接続された摺動子13が接触している出力導体11を介して、当該出力導体11に接続されている電力線5に電力を供給する。例えば、図6においては、摺動子13が接触している出力導体11-3に接続されている電力線5-3のみが電力を出力可能である。
【0053】
本実施形態によると、摺動子13は、電極板15の表面15aに接触しながら第1方向に摺動可能に配置されており、出力導体11に接触しているときには、当該出力導体11に接続された電力線5に導通する。したがって、各摺動子13は、全ての電力線5に導通接続可能である。本実施形態に係る切替部1は、1個の電極板15と、1個の摺動子13と、当該摺動子13を移動させる1個の移動装置14だけでよいので、構造が複雑にならず、配線も単純である。これにより、充電装置A3は、大型化することを抑制できる。また、充電装置A3は、充電装置A1と共通する構成により、充電装置A1と同等の効果を奏する。
【0054】
〔第4実施形態〕
図7図9は、第4実施形態に係る充電装置A4を説明するための図である。図7は、充電装置A4の構成を示すブロック図である。なお、図7においては、直流電源部2および切替部1のみを記載し、その他の部分の記載を省略している。また、図7において、上記第1実施形態と同一または類似の要素には、上記第1実施形態と同一の符号を付している。図8および図9は、充電装置A4の制御部4が行う制御処理の一例を説明するための図である。当該制御処理は、ある電力線5,5’へ電力を供給するユニット21を切り替える処理の例である。図8は、当該制御処理のフローチャートであり、図9は、当該制御処理の各ステップにおける摺動子13,13’の位置を説明する図である。本実施形態に係る充電装置A4は、切替部1が各ユニット21の正極端子だけでなく負極端子の切り替えも行う点で、第1実施形態に係る充電装置A1と異なる。
【0055】
直流電源部2の複数のユニット21はそれぞれ、正極端子と負極端子とを備えている。切替部1の電極板15の各出力導体11-1~11-nはそれぞれ、ユニット21-1~21-nの正極端子に接続されている。つまり、電極板15、複数の摺動子13、および複数の移動装置14は、各ユニット21の正極端子の接続先を切り替えるための構成である。本実施形態に係る切替部1は、各ユニット21の負極端子の接続先を切り替えるための構成である、電極板15’、複数の摺動子13’、および複数の移動装置14’をさらに備えている。
【0056】
電極板15’は、電極板15と同様の構成であり、複数の出力導体11’(11’-1~11’-n)が第2方向に同じ間隔を空けて配列され、絶縁体12’が複数の出力導体11の間を埋めるように配置されて、構成されている。電極板15’の表面15’aも、面一で隙間なく構成されている。各出力導体11’-1~11’-nはそれぞれ、ユニット21-1~21-nの負極端子に導通接続されている。各摺動子13’は、摺動子13と同様の構成であり、電極板15’の表面15’aを摺動して、第2方向に移動する。充電装置A4は、m個(例えば6個)の電力線5’(5’-1~5’-m)をさらに備えている。各電力線5’には、それぞれ3個の摺動子13’(13’a,13’b,13’c)が導通接続されている。各移動装置14’は、移動装置14と同様の構成であり、摺動子13’を第2方向に移動させる。なお、電極板15’の配置位置は限定されず、電極板15’の配置の向きは、電極板15と同じ(図7参照)であってもよいし、異なってもよい。電極板15’の配置の向きに応じて、各摺動子13’aの移動方向は変化する。
【0057】
図8に示すように、ある電力線5,5’へ電力を供給するユニット21を切り替える処理は以下のように行われる。
【0058】
まず、切替前のユニット21が停止される(S11)。なお、切替後のユニット21が稼働している場合は、切替後のユニット21も停止される。次に、当該電力線5に接続された摺動子13が、切替前のユニット21に接続された出力導体11から絶縁体12の隣接する位置に移動され、当該電力線5’に接続された摺動子13’が、切替前のユニット21に接続された出力導体11’から絶縁体12’の隣接する位置に移動される(S12)。なお、切替前のユニット21は停止されているので、摺動子13,13’の移動に問題は生じない。
【0059】
次に、当該摺動子13が、絶縁体12の、切替後のユニット21に接続された出力導体11に隣接する位置に移動される(S13)。なお、当該摺動子13’が絶縁体12’上にあるので、当該摺動子13が、移動中に通電中の出力導体11に接触しても、各電気自動車9の充電池91は並列接続状態にならず、循環電流が流れることはない。次に、当該摺動子13’が、切替後のユニット21に接続された出力導体11’に移動される(S14)。なお、当該摺動子13が絶縁体12上にあるので、当該摺動子13’が、移動中に通電中の出力導体11’に接触しても、各電気自動車9の充電池91は並列接続状態にならず、循環電流が流れることはない。
【0060】
次に、当該摺動子13が、切替後のユニット21に接続された出力導体11に移動される(S15)。次に、切替後のユニット21の出力が開始され(S16)、当該制御処理は終了する。なお、図8のフローチャートに示す処理は一例であって、制御部4が行う制御処理は上述したものに限定されない。
【0061】
例えば、図7に示す電力線5-1,5’-1へ電力を供給するユニットを、ユニット21-1からユニット21-4(図7においては記載を省略)に切り替える場合を、図9に基づいて説明する。
【0062】
切り替え前においては、図9(a)に示すように、電力線5-1に接続する摺動子13a-1は出力導体11-1に接しており、電力線5’-1に接続する摺動子13’a-1は出力導体11’-1に接している。この状態で、ユニット21-1が停止される(S11)。次に、図9(b)に示すように、摺動子13a-1は絶縁体12の出力導体11-1に隣接する部分(図では右側)に移動され、摺動子13’a-1は絶縁体12’の出力導体11’-1に隣接する部分(図では右側)に移動される(S12)。
【0063】
次に、図9(c)に示すように、摺動子13a-1は絶縁体12の出力導体11-4に隣接する部分(図では左側)に移動される(S13)。次に、図9(d)に示すように、摺動子13’a-1は出力導体11’-4に移動される(S14)。次に、図9(e)に示すように、摺動子13a-1は出力導体11-4に移動される(S15)。その後、ユニット21-4の出力が開始される(S16)。
【0064】
本実施形態においても、各摺動子13は、電極板15の表面15aに接触しながら第2方向に摺動可能に配置されており、出力導体11に接触しているときには、当該出力導体11に接続されたユニット21に導通する。したがって、各摺動子13は、全てのユニット21に導通接続可能である。また、本実施形態によると、各摺動子13’は、電極板15’の表面15’aに接触しながら第2方向に摺動可能に配置されており、出力導体11’に接触しているときには、当該出力導体11’に接続されたユニット21に導通する。したがって、各摺動子13’は、全てのユニット21に導通接続可能である。ユニット21が10個、電力線5,5’がそれぞれ6個の場合、切替部としてマトリクススイッチャを用いると、120個のスイッチが必要になり、マトリクススイッチャが複雑化かつ大型化し、配線も複雑になって、充電装置が大型化してしまう。一方、本実施形態に係る切替部1は、2個の電極板15,15’と、それぞれ18(=3×6)個の摺動子13,13’ と、各摺動子13,13’をそれぞれ移動させる36個の移動装置14,14’だけでよいので、構造が複雑にならず、配線も単純である。これにより、充電装置A4は、大型化することを抑制できる。また、充電装置A4は、充電装置A1と共通する構成により、充電装置A1と同等の効果を奏する。さらに、本実施形態によると、第1実施形態と異なり、ユニット21を切り替える制御において、摺動子13,13’を移動させる前に、移動元の出力導体11,11’と移動先の出力導体11,11’との間にある出力導体11,11’に接触する摺動子13,13’を絶縁体12,12’に退避させる必要がない。
【0065】
本発明に係る充電装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る充電装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0066】
A1~A4:充電装置、1:切替部、11,11’:出力導体、12,12’:絶縁体、13,13’:摺動子、14,14’:移動装置、15,15’:電極板、150:冷却用ファン、2:直流電源部、21:ユニット、4:制御部、6:充電ケーブル、9:電気自動車、91:蓄電池
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9