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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026985
(43)【公開日】2024-02-29
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/639 20060101AFI20240221BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129626
(22)【出願日】2022-08-16
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 超逸
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB07
5E021FC09
5E021FC36
5E021FC40
5E021HC09
(57)【要約】
【課題】コネクタが幅方向および高さ方向に大型化するのを回避する。
【解決手段】ハウジング20は、外面に開口し、相手ハウジング80に対する嵌合方向と交差する高さ方向に凹む凹部35と、凹部35の幅方向の内側において嵌合方向に延び、ハウジング20および相手ハウジング80の嵌合過程で高さ方向一側に弾性変形する形状であって、相手ハウジング80を嵌合状態に係止するロックアーム37と、凹部35の内底面36を区画する当止部49と、ロックアーム37に対して高さ方向一側に離れて配置され、当止部49に対して高さ方向一側から対向する反転規制部47と、ロックアーム37と反転規制部47とを一体につなぐ連結部48と、を有している。反転規制部47は、ロックアーム37の幅内に収まるように配置されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手ハウジングと嵌合可能なハウジングを備え、
前記ハウジングは、
前記ハウジングの外面に開口し、前記相手ハウジングに対する嵌合方向と交差する高さ方向に凹む凹部と、
前記凹部の幅方向の内側において前記嵌合方向に延び、前記ハウジングおよび前記相手ハウジングの嵌合過程で高さ方向一側に弾性変形する形状であって、前記相手ハウジングを嵌合状態に係止するロックアームと、
前記凹部の内底面を区画する当止部と、
前記ロックアームに対して前記高さ方向一側に離れて配置され、前記当止部に対して前記高さ方向一側から対向する反転規制部と、
前記ロックアームと前記反転規制部とを一体につなぐ連結部と、を有し、
前記反転規制部は、前記ロックアームの幅内に収まるように配置されている、コネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記凹部と前記幅方向で並ぶ位置に、端子金具を収容するキャビティを有し、
前記当止部は、前記キャビティと重なる高さ範囲に配置されている、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ロックアームは、前記当止部に対して高さ方向他側から対向し、前記当止部との間に撓み空間を有している、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記撓み空間の高さは、前記反転規制部と前記当止部との間の高さより大きい、請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記反転規制部は、前記ハウジングの本体部分における嵌合方向後側の端部に配置され、前記ハウジングは、前記反転規制部を前記嵌合方向後側から覆う覆い部を有している、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されたコネクタは、互いに嵌合可能な雌コネクタハウジングおよび雄コネクタハウジングを備える。雌コネクタハウジングは、上面の幅方向中間部に開口する凹部と、凹部の内側において前後方向に延びるロックアームと、凹部の内側においてロックアームの両側縁から幅方向外側に張り出す張出片と、雌コネクタハウジングの上面からロックアーム側に張り出す受け片と、を有している。ロックアームは、雌コネクタハウジングおよび雄コネクタハウジングの嵌合過程で下側(高さ方向一側)に弾性変形し、嵌合完了時に弾性復帰して雌コネクタハウジングおよび雄コネクタハウジングを嵌合状態に係止する。
【0003】
受け片は、張出片に対して下側から対向している。仮に、ロックアームに電線等が引っ掛かり、ロックアームが上側に持ち上げられると、張出片が受け片に当たって、ロックアームの反転方向への過剰な変形が防止される。このようなロックアームの反転防止構造を備えたコネクタは、特許文献2および特許文献3にも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-60022号公報
【特許文献2】特開2006-216322号公報
【特許文献3】特開平10-144396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の場合、凹部の内側にロックアームと張出片とが幅方向に並んで配置されているため、凹部の開口幅が大きくなり、ひいてはコネクタが幅方向に大型化する懸念があった。
【0006】
特許文献2および特許文献3の場合、特許文献1の受け片に対応する部分が雌コネクタハウジングの本体部分より上側に配置されているため、コネクタが高さ方向に大型化する懸念があった。
【0007】
そこで、本開示は、コネクタが幅方向および高さ方向に大型化するのを回避することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のコネクタは、相手ハウジングと嵌合可能なハウジングを備え、前記ハウジングは、前記ハウジングの外面に開口し、前記相手ハウジングに対する嵌合方向と交差する高さ方向に凹む凹部と、前記凹部の幅方向の内側において前記嵌合方向に延び、前記ハウジングおよび前記相手ハウジングの嵌合過程で高さ方向一側に弾性変形する形状であって、前記相手ハウジングを嵌合状態に係止するロックアームと、前記凹部の内底面を区画する当止部と、前記ロックアームに対して前記高さ方向一側に離れて配置され、前記当止部に対して前記高さ方向一側から対向する反転規制部と、前記ロックアームと前記反転規制部とを一体につなぐ連結部と、を有し、前記反転規制部は、前記ロックアームの幅内に収まるように配置されている。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、幅方向および高さ方向に大型化するのを回避することができるコネクタを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の実施形態1において、ハウジングが相手ハウジングに正規に嵌合された状態を示す側断面図である。
図2図2は、相手端子金具を装着した相手ハウジングの平断面図である。
図3図3は、ハウジングを斜め上方から見た斜視図である。
図4図4は、ハウジングの背面図である。
図5図5は、図4の要部拡大図である。
図6図6は、ハウジングの正面図である。
図7図7は、ハウジングの平面図である。
図8図8は、ハウジングの底面図である。
図9図9は、リテーナを装着したハウジングの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
(1)相手ハウジングと嵌合可能なハウジングを備え、前記ハウジングは、前記ハウジングの外面に開口し、前記相手ハウジングに対する嵌合方向と交差する高さ方向に凹む凹部と、前記凹部の幅方向の内側において前記嵌合方向に延び、前記ハウジングおよび前記相手ハウジングの嵌合過程で高さ方向一側に弾性変形する形状であって、前記相手ハウジングを嵌合状態に係止するロックアームと、前記凹部の内底面を区画する当止部と、前記ロックアームに対して前記高さ方向一側に離れて配置され、前記当止部に対して前記高さ方向一側から対向する反転規制部と、前記ロックアームと前記反転規制部とを一体につなぐ連結部と、を有し、前記反転規制部は、前記ロックアームの幅内に収まるように配置されている。
【0012】
ロックアームに対し、高さ方向一側とは反対側となる反転方向への外力が作用すると、反転規制部が当止部に当たって、ロックアームの反転方向への過剰な弾性変形が防止される。
【0013】
特に、上記構成によれば、当止部が凹部の内底面を区画するため、当止部の存在に起因してコネクタが高さ方向に大型化するのを回避することができる。また、反転規制部が連結部を介してロックアームにつながることによってロックアームの幅内に収まるように配置されているため、反転規制部の存在に起因してコネクタが幅方向に大型化するのを回避することもできる。
【0014】
(2)前記ハウジングは、前記凹部と前記幅方向で並ぶ位置に、端子金具を収容するキャビティを有し、前記当止部は、前記キャビティと重なる高さ範囲に配置されているのが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、当止部とキャビティとが高さ方向に位置ずれしている場合に比べ、コネクタの高さ方向の大型化をより抑えることができる。
【0016】
(3)前記ロックアームは、前記当止部に対して高さ方向他側から対向し、前記当止部との間に撓み空間を有していると良い。
【0017】
上記構成によれば、ロックアームが当止部に当たることで、ロックアームの高さ方向一側への過剰な弾性変形も防止される。特に、ロックアームの高さ方向一側および高さ方向他側への過剰な弾性変形を防止する構造が当止部にまとめて設けられるため、コネクタの大型化をより回避できるとともに、構成の簡素化を図ることができる。
【0018】
(4)前記撓み空間の高さは、前記反転規制部と前記当止部との間の高さより大きいと良い。
【0019】
上記構成によれば、ハウジングおよび相手ハウジングの嵌合過程で、ロックアームが撓み空間に弾性変形する状態を支障なく実現することができる。また、ロックアームが反転方向に過剰に弾性変形するのを早い段階で阻止することができる。
【0020】
(5)前記反転規制部は、前記ハウジングの本体部分における嵌合方向後側の端部に配置され、前記ハウジングは、前記反転規制部を前記嵌合方向後側から覆う覆い部を有していると良い。
【0021】
上記構成によれば、ハウジングおよび相手ハウジングの嵌合状態を解除する際に、作業者は、覆い部に指を当てがいながらロックアームを高さ方向一側に押圧することができる。これにより、解除操作を円滑に行うことができるとともに、作業者の指が反転規制部に触れない状態を維持することができる。
【0022】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0023】
<実施形態1>
実施形態1に係るコネクタ10は、相手ハウジング80に嵌合可能なハウジング20と、ハウジング20に収容される端子金具21と、端子金具21を係止可能なリテーナ22と、を備えている。なお、以下の説明において、前後方向については、ハウジング20および相手ハウジング80が嵌合開始時に相手側と向き合う面側を前側とする。上下方向は、図1および図3の上下方向を基準とする。上下方向は、高さ方向と同義である。左右方向は、図2および図6の左右方向を基準とする。左右方向は、幅方向と同義である。これらの方向は、コネクタ10が車両等に搭載された状態における方向とは必ずしも一致しない。図3における符号「X」、「Y」および「Z」は、それぞれ前後方向、幅方向および高さ方向を示している。
【0024】
(相手ハウジング、相手端子金具)
相手ハウジング80は合成樹脂製であって、詳細は図示しないが、図1および図2に示すように、前方に開放された角筒状のフード部81を有している。フード部81の内側には、複数の相手端子金具82が突出して配置されている。各相手端子金具82は、ピン状またはタブ状の雄型端子である。各相手端子金具82は、フード部81の内側に、幅方向に一例に並んで配置されている。図2に示すように、フード部81の内側における幅方向で隣接する相手端子金具82の間には、複数の区画壁83が突出して配置されている。フード部81の幅方向両側の外面には、金属製の固定部材85が装着されている。相手ハウジング80は、固定部材85を介して、図示しない回路基板に固定される。また、フード部81の上壁の幅方向中間部には、図1に示すように、ロック受部84がフード部81の内側に突出して形成されている。
【0025】
(ハウジング、端子金具、リテーナ)
ハウジング20は合成樹脂製であって、図1に示すように、フード部81の内側に嵌合される。図3に示すように、ハウジング20は、幅方向に長い扁平な形状のハウジング本体23(本体部分)を有している。ハウジング本体23は、各区画壁83と対応する位置に、複数の区画凹部24を有し、各相手端子金具82と対応する位置に、複数のキャビティ25を有している。
【0026】
各キャビティ25は、ハウジング本体23の内側に、幅方向に一列に並んで配置されている。各キャビティ25は、前後方向に延びる形状をなしている。ハウジング本体23の各キャビティ25には、図1に示すように、後方から端子金具21が挿入される。端子金具21は、キャビティ25の内面の段差部分に係止されるランス26を有し、ランス26によってハウジング本体23の内側に一次的に抜け止めされる。
【0027】
端子金具21は、前部に角筒状の接続部27を有し、後部で電線90の端末部に接続されている。ハウジング20および相手ハウジング80が嵌合状態にあるときに、相手端子金具82が接続部27の内側に挿入されて接続される。
【0028】
図6に示すように、各区画凹部24は、幅方向で隣接する各キャビティ25の間に、幅方向に並んで配置されている。各区画凹部24は、前後方向に延びてハウジング本体23の前面に開口する溝形状をなし、ハウジング本体23を上下方向に貫通している。ハウジング本体23は、各区画凹部24によって、平面視で櫛歯形状を呈している。図示はしないが、ハウジング20および相手ハウジング80が嵌合状態にあるときに、各区画凹部24の内側に各区画壁83が配置される。幅方向で隣接する、端子金具21と相手端子金具82との接続部分の間には、区画壁83と区画凹部24との沿面距離に対応した絶縁距離が長く確保されるようになっている。
【0029】
図8に示すように、ハウジング本体23の下面には、リテーナ装着孔28が開口して形成されている。リテーナ装着孔28は、ハウジング本体23の下面において、幅方向に延び、各キャビティ25および各区画凹部24にそれぞれ連通している。図1および図9に示すように、リテーナ装着孔28には、下側からリテーナ22が挿入される。
【0030】
図1に示すように、ハウジング本体23の下面の後部側は、前部側より一段高い位置に、リテーナ装着孔28を閉塞する平坦な端面29を有している。図8に示すように、ハウジング本体23の端面29には、左右両側端から後端に亘って延びる底面視L字形状の一対の角リブ31と、幅方向中間部において後述する覆い部55を介して左右方向に対をなす中間リブ32と、が形成されている。
【0031】
リテーナ22は合成樹脂製であって、詳細は図示しないが、図1に示すように、板状の基部33と、基部33の前端から立ち上がる本体部34と、を有している。本体部34の上端部は、各キャビティ25の連通部分に進入し、端子金具21の接続部27の後端に対向して配置される。本体部34が接続部27に係止可能に配置されることにより、端子金具21がハウジング本体23の内側に二次的に抜け止めされる。図9に示すように、基部33は、ハウジング本体23の下面側において、各角リブ31、各中間リブ32およびハウジング本体23の前部側によって位置ずれを規制された状態に配置される。
【0032】
図3および図4に示すように、ハウジング本体23の上面の幅方向中間部には、凹部35が開口して形成されている。凹部35は、断面角凹状をなし、ハウジング本体23において前後方向の全長に亘って形成されている。前述した各キャビティ25は、ハウジング本体23における凹部35を挟んだ幅方向両側にそれぞれ同数ずつ(本実施形態1の場合は4つずつ)並んで配置されている。
【0033】
ハウジング20は、ハウジング本体23の幅方向中間部において、凹部35の内底面36から突出する弾性変形可能なロックアーム37を有している。図7に示すように、ロックアーム37は、前後方向および幅方向に関して凹部35の範囲内に収まるように配置されている。ロックアーム37は、凹部35の内底面36から立ち上がる基端部38と、基端部38の上端から後方に延びるアーム本体部39と、アーム本体部39の後端部から上側に突出する解除操作部41と、アーム本体部39の前後方向中間部から突出するロック突部42と、を有している。アーム本体部39は、凹部35の内底面36に開口するリテーナ装着孔28の上方を前後方向に横切るように延びている。ロックアーム37の幅方向中間部には、基端部38からアーム本体部39の後部に亘って切り欠かれた形状の分割凹部43が形成されている。
【0034】
ロック突部42は、分割凹部43を介して幅方向両側に分割されている。解除操作部41の上面は、左右方向に平坦な押圧面44になっている。図5に示すように、ロックアーム37の後面には、アーム本体部39と解除操作部41とに亘って開口する凹所45が形成されている。凹所45は、ロックアーム37の後面に幅方向に長いスリット形状を呈している。図1に示すように、ロック突部42および解除操作部41は、ハウジング本体23の上面(凹部35の上面開口)より上側に突出して配置されている。
【0035】
図示はしないが、ハウジング20および相手ハウジング80の嵌合過程においては、ロック突部42がロック受部84と干渉することで、アーム本体部39が基端部38を支点として下向きに傾くように変位する。つまり、ロックアーム37が下向きに弾性変形する。ハウジング20および相手ハウジング80の正規嵌合時には、ロックアーム37が弾性復帰し、アーム本体部39が元の姿勢に戻って、図1に示すように、ロック突部42がロック受部84に係止可能に対向する。これにより、ハウジング20および相手ハウジング80が嵌合状態に保持される。
【0036】
ハウジング本体23の幅方向中間部には、凹部35の内底面36から端面29に亘って貫通する挿通凹部46が形成されている。挿通凹部46は、底面視矩形の切欠形状をなし、前後方向に延びてハウジング本体23の後面に開口している。図9に示すように、挿通凹部46は、幅方向に関して、左右両側の中間リブ32の間に配置されている。
【0037】
図3および図5に示すように、ハウジング20は、ロックアーム37(アーム本体部39)の後端部から下方に離れた位置に、反転規制部47を有し、ロックアーム37の後端部と反転規制部47との間に、両部をつなぐ連結部48を有している。
【0038】
連結部48は、上下方向に延びる角柱状または矩形板状をなし、前後方向に長い矩形の断面形状を呈している。連結部48の前後寸法は、解除操作部41の前後寸法と同一または同一に近い寸法になっている。連結部48の上端は、ロックアーム37の後端部の下面に一体に連結され、連結部48の下端は、反転規制部47の上面に一体に連結されている。連結部48は、反転規制部47に連結される下端側の部分を挿通凹部46の内側に挿通させている。
【0039】
ハウジング本体23は、挿通凹部46の左右両側に、凹部35の内底面36を区画する一対の当止部49を有している。各当止部49は、キャビティ25の下部と重なる高さ位置に配置されている。図5に示すように、各当止部49の下面(高さ方向一側を向く面)は、周囲の端面29に段差無く連続する平坦な一側当止面51とされ、高さ方向に関して反転規制部47の後述する一側対向面54に対向して配置されている。各当止部49の上面(高さ方向他側を向く面)は、周囲の内底面36に段差無く連続する平坦な他側当止面52とされ、高さ方向に関してロックアーム37の後端部の下面に対向して配置されている。ロックアーム37の後端部の下面と当止部49の他側当止面52との間の空間は、ハウジング20および相手ハウジング80の嵌合過程でロックアーム37が弾性変形するのを許容する撓み空間53になっている。
【0040】
反転規制部47は、幅方向に延びる矩形板状をなし、幅方向中間部で連結部48の下端に連結されている。反転規制部47の前面および後面は、連結部48の前面および後面にそれぞれ段差無く連続している。反転規制部47は、幅方向に関して、ロックアーム37の幅内に、詳細にはロックアーム37の最大幅内(本実施形態1の場合は解除操作部41の幅内)に、収まるように配置されている。また、反転規制部47は、高さ方向に関して、ハウジング本体23の高さ範囲内に収まるように配置されている。
【0041】
反転規制部47の上面には、連結部48との連結部分を挟んだ幅方向両側に、一対の一側対向面54が形成されている。各一側対向面54は、前後方向および幅方向に沿って平坦に配置され、各当止部49の一側当止面51と平行に対向している。図5に示すように、ロックアーム37が自然状態にあるときに、反転規制部47の一側対向面54と当止部49の一側当止面51との間の高さ方向の離間距離(高さ)は、撓み空間53の高さと比べて十分に小さくされている。なお、ロックアーム37、連結部48、反転規制部47および当止部49のそれぞれの後面は、前後方向に関してハウジング本体23の後面と同一位置またはハウジング本体23の後面より前方に引っ込む位置に配置されている(図7および図8を参照)。
【0042】
図3に示すように、ハウジング20は、反転規制部47の後方に覆い部55を有している。覆い部55は、平面視および底面視において門形枠状をなし、図7および図8に示すように、幅方向両側の端部で前後方向に短く延びる一対の腕部56と、幅方向に長く延びて各腕部56の後端部に連結される覆い本体部57と、を有している。各腕部56の前端は、それぞれ中間リブ32の後面に一体に連結されている。覆い本体部57は、反転規制部47の後面と隙間をあけて平行に対向し、反転規制部47の後面を後側(嵌合方向後側)から覆うように配置されている。なお、反転規制部47の後面と覆い本体部57との間の隙間および反転規制部47の前面と挿通凹部46の対向する内面との間の隙間は、リテーナ装着孔28を成形する図示しない下側移動金型によって、リテーナ装着孔28とともに成形可能である(図8を参照)。
【0043】
(コネクタの作用)
前述したように、ハウジング20および相手ハウジング80は、ロックアーム37の弾性変形後、ロック突部42がロック受部84に係止可能に配置されることで、嵌合状態に保持される。ロックアーム37が撓み空間53に弾性変形する間、ロックアーム37の後端部が下側(高さ方向一側)に変位し、ロックアーム37の後端部に一体に連なる連結部48および反転規制部47も下側に変位する。ここで、挿通凹部46に対する連結部48の挿通部位は上部側に変位する。反転規制部47と当止部49との間の離間距離は大きくなる。他方、ロックアーム37の後端部と当止部49との間の離間距離は小さくなる。もっとも、ハウジング20および相手ハウジング80の嵌合過程で、ロックアーム37が正規に弾性変形する限り、ロックアーム37の後端部が当止部49に干渉することはない。
【0044】
メンテナンス等の事情により、嵌合状態にあるハウジング20および相手ハウジング80を離脱させる際には、ロック突部42とロック受部84との係止を解除する必要がある。その場合、作業者は、解除操作部41の押圧面44を親指等の指で押圧し、解除操作部41を押し下げることで、係止解除することができる。特に、作業者は、押圧面44を押圧する指とは別の指、例えば、人差指を覆い部55に当てがいつつ解除操作部41を押し下げることで、反転規制部47に接触することなく、解除操作を円滑に行うことができる。
【0045】
ところで、ハウジング20および相手ハウジング80の嵌合前の状態において、解除操作部41を含むロックアーム37の後端部に電線90等の異物が引っ掛かり、ロックアーム37の後端部が上側に持ち上げられる可能性がある。しかるに本実施形態1の場合、ロックアーム37の後端部が上側に持ち上げられようとすると、反転規制部47の一側対向面54が当止部49の一側当止面51に下側から当たり、反転規制部47の上側への変位が規制される。これにより、反転規制部47に一体に連なるロックアーム37の後端部の変位も規制される。その結果、ロックアーム37が反転方向に過剰に弾性変形するのを防止することができる。
【0046】
また、ハウジング20および相手ハウジング80の嵌合前の状態において、解除操作部41を含むロックアーム37の後端部が不用意に押し下げられると、ロックアーム37の後端部は、撓み空間53に正規に弾性変形した後、当止部49の他側当止面52に当たることができる。これにより、ロックアーム37の後端部が下側に過剰に変位するのを防止することもできる。
【0047】
本実施形態1の場合、ロックアーム37が凹部35の幅内に収まるように配置され、当止部49が凹部35の内底面36を区画しており、さらに、反転規制部47が当止部49に下側から対向してロックアーム37の幅内に収まるように配置されている。したがって、本実施形態1によれば、当止部49の存在に起因してコネクタ10が高さ方向に大型化するのを回避することができる。また、反転規制部47の存在に起因してコネクタ10が幅方向に大型化するのを回避することもできる。特に、凹部35の開口幅が大きくならずに済むため、凹部35の幅方向両側に位置するキャビティ25間のピッチも広げる必要もない。
【0048】
また、各当止部49が各キャビティ25と重なる高さ範囲に配置されているので、各当止部49と各キャビティ25とが高さ方向に位置ずれしている場合に比べ、コネクタ10の高さ方向の大型化をより良好に抑えることができる。
また、ロックアーム37が当止部49に当たることで、ロックアーム37の下側への過剰な弾性変形も防止される。特に、ロックアーム37の上下両側への過剰な弾性変形を防止する構造が当止部49にまとめて設けられるため、コネクタ10の大型化をより回避できるとともに、構成の簡素化を図ることができる。
【0049】
撓み空間53の高さが反転規制部47と当止部49との間の高さより大きいため、ロックアーム37が撓み空間53に正規に弾性変形する状態を支障なく実現することができる。また、ロックアーム37が反転方向に過剰に弾性変形するのを早い段階で阻止することができる。
【0050】
さらに、ハウジング20および相手ハウジング80の嵌合状態を解除する際に、作業者が覆い部55に指を当てがいながらロックアーム37の後端部を下側に押圧することができるので、解除操作を円滑に行うことができる。
【0051】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された上記実施形態1はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
上記実施形態1の場合、当止部は、凹部の平面視において幅方向両側に対をなして配置されていた。これに対し、他の実施形態によれば、当止部は、凹部の平面視において幅方向一側のみに配置されていても良い。
上記実施形態1の場合、当止部は、凹部の周囲の内底面に段差無く連続して配置されていた。これに対し、他の実施形態によれば、当止部は、凹部の周囲の内底面から段差を有して配置されていても良い。
上記実施形態1の場合、凹部は、ハウジング本体の上面の幅方向中間部に開口していた。これに対し、凹部は、ハウジング本体の上面における幅方向一側の端部においてハウジング本体の上面から一側面に亘って開口していても良い。
【符号の説明】
【0052】
10…コネクタ
20…ハウジング
21…端子金具
22…リテーナ
23…ハウジング本体(本体部分)
24…区画凹部
25…キャビティ
26…ランス
27…接続部
28…リテーナ装着孔
29…端面
31…角リブ
32…中間リブ
33…基部
34…本体部
35…凹部
36…内底面
37…ロックアーム
38…基端部
39…アーム本体部
41…解除操作部
42…ロック突部
43…分割凹部
44…押圧面
45…凹所
46…挿通凹部
47…反転規制部
48…連結部
49…当止部
51…一側当止面
52…他側当止面
53…撓み空間
54…一側対向面
55…覆い部
56…腕部
57…覆い本体部
80…相手ハウジング
81…フード部
82…相手端子金具
83…区画壁
84…ロック受部
85…固定部材
90…電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9